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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】パーキング機構、および駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/34 20060101AFI20240709BHJP
   F16H 57/021 20120101ALI20240709BHJP
   B60T 1/06 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F16H63/34
F16H57/021
B60T1/06 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020164756
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022056808
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】藤原 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】中松 修平
(72)【発明者】
【氏名】田村 翼
(72)【発明者】
【氏名】麻生 啓介
(72)【発明者】
【氏名】松尾 秀明
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-59302(JP,A)
【文献】特開2005-67479(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167993(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/131425(WO,A1)
【文献】特表2016-511382(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0094806(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 63/34
F16H 57/021
B60T 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延びる中心軸を中心として回転可能な被駆動シャフトと、
前記被駆動シャフトの回転に伴って移動する可動部と、
爪部を有し、前記可動部の移動に伴って移動する歯止め部材と、
前記爪部が噛み合い可能なパーキングギヤと、
を備え、
前記可動部は、
前記被駆動シャフトに固定された第1可動部材と、
前記歯止め部材に接触し、前記第1可動部材に対して相対移動可能な第2可動部材と、
前記第1可動部材と前記第2可動部材とを連結する第1弾性部材と、
を有し、
前記歯止め部材の位置は、前記可動部の移動に伴って、前記爪部が前記パーキングギヤに噛み合うパーキング位置と、前記爪部が前記パーキングギヤから離れる非パーキング位置と、に切り替えられ、
前記被駆動シャフトのうち前記可動部よりも前記所定方向の一方側に位置する部分は、前記被駆動シャフトを回転させる駆動源に接続され、
前記被駆動シャフトは、前記中心軸回りに回転可能に支持される第1被支持部を有し、
前記第1被支持部は、前記可動部よりも前記所定方向の他方側に位置し、
第2弾性部材をさらに備え、
前記第1可動部材は、前記第2弾性部材が引っ掛けられる溝部を有し、
前記第2可動部材は、
前記被駆動シャフトが前記所定方向に通された貫通孔と、
前記歯止め部材に接触するカム面と、
を有し、かつ、前記第1可動部材に対して前記中心軸回りに相対回転可能であり、
前記溝部の少なくとも一部における前記中心軸回りの周方向位置は、前記カム面における前記中心軸回りの周方向位置に含まれている、パーキング機構。
【請求項2】
前記溝部は、
前記被駆動シャフトの回転角度が前記歯止め部材を前記非パーキング位置にする回転角度である場合に前記第2弾性部材が引っ掛けられる第1溝部と、
前記被駆動シャフトの回転角度が前記歯止め部材を前記パーキング位置にする回転角度である場合に前記第2弾性部材が引っ掛けられる第2溝部と、
を含む、請求項に記載のパーキング機構。
【請求項3】
前記第1可動部材は、
前記被駆動シャフトに固定された被固定部と、
前記中心軸を中心とする径方向において前記被固定部よりも外側に位置し、前記溝部が設けられた外縁部と、
を有し、
前記被固定部の前記所定方向の位置と前記外縁部の前記所定方向の位置とは、互いに異なっている、請求項1または2に記載のパーキング機構。
【請求項4】
所定方向に延びる中心軸を中心として回転可能な被駆動シャフトと、
前記被駆動シャフトの回転に伴って移動する可動部と、
爪部を有し、前記可動部の移動に伴って移動する歯止め部材と、
前記爪部が噛み合い可能なパーキングギヤと、
を備え、
前記可動部は、
前記被駆動シャフトに固定された第1可動部材と、
前記歯止め部材に接触し、前記第1可動部材に対して相対移動可能な第2可動部材と、
前記第1可動部材と前記第2可動部材とを連結する第1弾性部材と、
を有し、
前記歯止め部材の位置は、前記可動部の移動に伴って、前記爪部が前記パーキングギヤに噛み合うパーキング位置と、前記爪部が前記パーキングギヤから離れる非パーキング位置と、に切り替えられ、
前記被駆動シャフトのうち前記可動部よりも前記所定方向の一方側に位置する部分は、前記被駆動シャフトを回転させる駆動源に接続され、
前記被駆動シャフトは、前記中心軸回りに回転可能に支持される第1被支持部を有し、
前記第1被支持部は、前記可動部よりも前記所定方向の他方側に位置し、
第2弾性部材をさらに備え、
前記第1可動部材は、
前記第2弾性部材が引っ掛けられる溝部と、
前記被駆動シャフトに固定された被固定部と、
前記中心軸を中心とする径方向において前記被固定部よりも外側に位置し、前記溝部が設けられた外縁部と、
を有し、
前記被固定部の前記所定方向の位置と前記外縁部の前記所定方向の位置とは、互いに異なっており、
前記第1可動部材と前記第2可動部材とは、前記所定方向に沿って間隔を空けて配置され、
前記第1弾性部材は、前記所定方向に延び前記被駆動シャフトを囲むコイルばねであり、かつ、前記第1可動部材と前記第2可動部材との前記所定方向の間に位置し、
前記被固定部の前記所定方向の位置は、前記外縁部の前記所定方向の位置よりも、前記第2可動部材から前記所定方向に離れた位置であり、
前記第1弾性部材の一部は、前記中心軸を中心とする径方向に見て、前記外縁部と重なっている、パーキング機構。
【請求項5】
前記溝部は、
前記被駆動シャフトの回転角度が前記歯止め部材を前記非パーキング位置にする回転角度である場合に前記第2弾性部材が引っ掛けられる第1溝部と、
前記被駆動シャフトの回転角度が前記歯止め部材を前記パーキング位置にする回転角度である場合に前記第2弾性部材が引っ掛けられる第2溝部と、
を含む、請求項4に記載のパーキング機構。
【請求項6】
前記第2可動部材は、
前記被駆動シャフトが前記所定方向に通された貫通孔と、
前記歯止め部材に接触するカム面と、
を有し、かつ、前記第1可動部材に対して前記中心軸回りに相対回転可能であり、
前記溝部の少なくとも一部における前記中心軸回りの周方向位置は、前記カム面における前記中心軸回りの周方向位置に含まれている、請求項4または5に記載のパーキング機構。
【請求項7】
前記被駆動シャフトは、前記所定方向に見て、前記パーキングギヤが設けられる領域の外側に位置する、請求項1からのいずれか一項に記載のパーキング機構。
【請求項8】
前記被駆動シャフトは、前記中心軸回りに回転可能に支持される第2被支持部を有し、
前記第2被支持部は、前記被駆動シャフトのうち前記駆動源に接続される部分と前記可動部との前記所定方向の間に位置する、請求項1からのいずれか一項に記載のパーキング機構。
【請求項9】
車両に搭載される駆動装置であって、
前記駆動装置を駆動する動力部と、
前記動力部に接続された伝達機構部と、
前記伝達機構部に取り付けられた請求項に記載のパーキング機構と、
前記動力部、前記伝達機構部、および前記パーキング機構を内部に収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
前記第1被支持部が挿入された第1穴部と、
前記第2被支持部が挿入された第2穴部と、
を有する、駆動装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、
前記第1穴部を有する第1ハウジング部材と、
前記第2穴部を有し、前記第1ハウジング部材に固定された第2ハウジング部材と、
を有する、請求項に記載の駆動装置。
【請求項11】
車両に搭載される駆動装置であって、
前記駆動装置を駆動する動力部と、
前記動力部に接続された伝達機構部と、
前記伝達機構部に取り付けられた請求項1からのいずれか一項に記載のパーキング機構と、
を備える、駆動装置。
【請求項12】
前記伝達機構部は、
前記動力部に固定された第1ギヤと、
前記第1ギヤに噛み合う第2ギヤと、
を有し、
前記パーキングギヤは、前記第2ギヤに固定されている、請求項9から11のいずれか一項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキング機構、および駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両に搭載されるパーキング機構が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国実用新案第205001503号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パーキングロック機構は、電動アクチュエータによって被駆動シャフトが回転させられることで駆動される場合がある。この場合、被駆動シャフトに加えられる負荷によって被駆動シャフトが変形するなどの不具合が生じる虞があった。そのため、パーキングロック機構の動作に不具合が生じる虞があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、信頼性を向上できる構造を有するパーキング機構、およびそのようなパーキング機構を備える駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパーキング機構の一つの態様は、所定方向に延びる中心軸を中心として回転可能な被駆動シャフトと、前記被駆動シャフトの回転に伴って移動する可動部と、爪部を有し、前記可動部の移動に伴って移動する歯止め部材と、前記爪部が噛み合い可能なパーキングギヤと、を備える。前記歯止め部材の位置は、前記可動部の移動に伴って、前記爪部が前記パーキングギヤに噛み合うパーキング位置と、前記爪部が前記パーキングギヤから離れる非パーキング位置と、に切り替えられる。前記被駆動シャフトのうち前記可動部よりも前記所定方向の一方側に位置する部分は、前記被駆動シャフトを回転させる駆動源に接続されている。前記被駆動シャフトは、前記中心軸回りに回転可能に支持される第1被支持部を有する。前記第1被支持部は、前記可動部よりも前記所定方向の他方側に位置する。
【0007】
本発明の駆動装置の一つの態様は、車両に搭載される駆動装置であって、前記駆動装置を駆動する動力部と、前記動力部に接続された伝達機構部と、前記伝達機構部に取り付けられた上記のパーキング機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、パーキング機構の信頼性を向上できる。
【0009】
本発明の一つの態様によれば、駆動装置において、パーキング機構の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態の駆動装置を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本実施形態の駆動装置の一部を示す断面図である。
図3図3は、本実施形態のパーキング機構を示す斜視図である。
図4図4は、本実施形態のパーキング機構の一部を示す分解斜視図である。
図5図5は、本実施形態の第1可動部材を示す斜視図である。
図6図6は、本実施形態のパーキング機構を右側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各図には、X軸と、X軸に直交するY軸と、X軸およびY軸に直交するZ軸と、を示している。以下の説明においては、Z軸に平行な方向を「上下方向」と呼び、Y軸に平行な方向を「左右方向」と呼び、X軸に平行な方向を「前後方向」と呼ぶ。上下方向と左右方向と前後方向とは、互いに直交する方向である。上下方向は、例えば、図1に示す駆動装置100が搭載される車両における上下方向である。左右方向は、例えば、駆動装置100が搭載される車両における左右方向である。前後方向は、例えば、駆動装置100が搭載される車両における前後方向である。
【0012】
上下方向のうち、Z軸の矢印が向く正の側を上側と呼び、Z軸の矢印が向く側と逆側の負の側を下側と呼ぶ。左右方向のうち、Y軸の矢印が向く正の側を左側と呼び、Y軸の矢印が向く側と逆側の負の側を右側と呼ぶ。前後方向のうち、X軸の矢印が向く正の側を前側と呼び、X軸の矢印が向く側と逆側の負の側を後側と呼ぶ。
【0013】
以下の実施形態において、左右方向は「所定方向」に相当する。左側は「所定方向の一方側」に相当し、右側は「所定方向の他方側」に相当する。なお、上下方向、左右方向、前後方向、上側、下側、左側、右側、前側、および後側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0014】
図1に示す本実施形態の駆動装置100は、車両に搭載され、車軸86を回転させる駆動装置である。図1に示すように、駆動装置100は、動力部80aと、伝達機構部80bと、パーキング機構10と、ハウジング85と、電動アクチュエータ90と、を備える。
【0015】
ハウジング85は、動力部80a、伝達機構部80b、およびパーキング機構10を内部に収容している。ハウジング85は、動力部80aを収容する第1収容部85aと、伝達機構部80bおよびパーキング機構10を収容する第2収容部85bと、を有する。第2収容部85bは、例えば、第1収容部85aの左側に繋がっている。第1収容部85aの内部および第2収容部85bの内部には、例えば、オイルOが貯留されている。
【0016】
図2に示すように、ハウジング85は、第1ハウジング部材87と、第2ハウジング部材88と、を有する。第1ハウジング部材87と第2ハウジング部材88とは、互いに別部材である。第2ハウジング部材88は、第1ハウジング部材87に固定されている。本実施形態では、第1ハウジング部材87と第2ハウジング部材88とが固定されることで、第2収容部85bが構成されている。第2ハウジング部材88は、例えば、第1ハウジング部材87の左側に位置する。
【0017】
第1ハウジング部材87は、隔壁部87aを有する。隔壁部87aは、第1収容部85aの内部と第2収容部85bの内部とを左右方向に仕切る壁部である。隔壁部87aは、例えば、パーキング機構10の右側に位置する。隔壁部87aの左側の面は、第2収容部85bの内側面のうち右側に位置する面の少なくとも一部を構成している。
【0018】
第1ハウジング部材87は、第1穴部87bを有する。つまり、ハウジング85は、第1穴部87bを有する。第1穴部87bは、例えば、隔壁部87aの左側の面から右側に窪み、右側に底部を有する穴である。図示は省略するが、第1穴部87bは、例えば、左右方向に見て、中心軸J4を中心とする円形状である。本実施形態において中心軸J4は、左右方向に延びている。中心軸J4は、例えば、動力軸J1と平行である。
【0019】
第2ハウジング部材88は、例えば、右側に開口する箱状の部材である。第2ハウジング部材88の右側の開口は、例えば、隔壁部87aによって塞がれている。第2ハウジング部材88は、左側壁部88aと、連結筒部88bと、を有する。左側壁部88aは、例えば、パーキング機構10のうち第2収容部85b内に位置する部分の左側に位置する。左側壁部88aは、左側壁部88aの右側の面から左側に窪む凹部88cを有する。図示は省略するが、凹部88cは、例えば、左右方向に見て、中心軸J4を中心とする円形状である。
【0020】
連結筒部88bは、左側壁部88aから左側に突出している。連結筒部88bは、左側に開口している。連結筒部88bは、例えば、中心軸J4を中心とする円筒状である。連結筒部88bの内部には、オイルシール71が保持されている。オイルシール71は、後述する被駆動シャフト20を囲む円環状である。
【0021】
第2ハウジング部材88は、第2穴部88dを有する。つまり、ハウジング85は、第2穴部88dを有する。第2穴部88dは、例えば、左側壁部88aの右側の面から左側に窪んでいる。より詳細には、第2穴部88dは、例えば、凹部88cの底面から左側に窪んでいる。凹部88cの底面は、凹部88cの内側面のうち左側に位置し右側を向く面である。図示は省略するが、第2穴部88dは、例えば、左右方向に見て、中心軸J4を中心とする円形状である。第2穴部88dは、例えば、左側壁部88aを左右方向に貫通し、第2収容部85bの内部と連結筒部88bの内部とを繋いでいる。第2穴部88dの内径は、例えば、第1穴部87bの内径、凹部88cの内径、および連結筒部88bの内径よりも小さい。
【0022】
本実施形態において電動アクチュエータ90は、パーキング機構10を駆動させる駆動源である。図1に示すように、電動アクチュエータ90は、例えば、ハウジング85の外部に位置する。電動アクチュエータ90は、例えば、第2収容部85bの外側面に固定されている。電動アクチュエータ90は、例えば、連結筒部88bに連結されている。
【0023】
動力部80aは、駆動装置100を駆動する部分である。本実施形態において動力部80aは、モータである。動力部80aは、ロータ81と、ステータ82と、を有する。ロータ81は、動力軸J1を中心として回転可能な動力シャフト81aを有する。動力軸J1は、例えば、左右方向に延びている。動力シャフト81aは、例えば、動力軸J1を中心として左右方向に延びる円柱状である。動力シャフト81aは、例えば、第1収容部85aの内部から左側に延びて隔壁部87aを左右方向に貫通し、第2収容部85bの内部に突出している。
【0024】
伝達機構部80bは、動力部80aに接続されている。伝達機構部80bは、減速装置83と、差動装置84と、を有する。減速装置83は、動力シャフト81aに接続されている。減速装置83は、動力部80aの回転速度を減じて、動力部80aから出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置83は、動力部80aから出力されるトルクを差動装置84へ伝達する。減速装置83は、第1ギヤ83aと、第2ギヤ83bと、第3ギヤ83cと、中間シャフト83dと、を有する。つまり、伝達機構部80bは、第1ギヤ83aと、第2ギヤ83bと、を有する。
【0025】
第1ギヤ83aは、動力シャフト81aのうち第2収容部85b内に突出した部分の外周面に固定されている。これにより、第1ギヤ83aは、動力部80aに固定されている。中間シャフト83dは、例えば、中間軸J2を中心として左右方向に延びている。中間軸J2は、例えば、動力軸J1と平行である。中間軸J2は、例えば、動力軸J1よりも下側に位置する。第2ギヤ83bおよび第3ギヤ83cは、中間シャフト83dの外周面に固定されている。第2ギヤ83bと第3ギヤ83cとは、中間シャフト83dを介して接続されている。第2ギヤ83bは、第1ギヤ83aに噛み合っている。中間シャフト83d、第2ギヤ83b、および第3ギヤ83cは、中間軸J2を中心として回転可能である。
【0026】
差動装置84は、減速装置83に接続されている。差動装置84は、車軸86を回転させる。車軸86は、例えば、動力軸J1と平行に延びる出力軸J3回りに回転する。出力軸J3は、例えば、左右方向に見て、動力軸J1および中間軸J2とずれた位置に配置されている。差動装置84は、リングギヤ84aを有する。リングギヤ84aは、第3ギヤ83cと噛み合っている。リングギヤ84aには、動力部80aから出力されるトルクが減速装置83を介して伝えられる。リングギヤ84aの下側の端部は、第2収容部85b内に貯留されたオイルOに浸漬している。リングギヤ84aが回転することで、オイルOがかき上げられる。かき上げられたオイルOは、例えば、減速装置83および差動装置84に潤滑油として供給される。
【0027】
本実施形態においてパーキング機構10は、電動アクチュエータ90によって、車両のシフト操作に基づいて駆動される。パーキング機構10の状態は、動力源である電動アクチュエータ90によって、車軸86の回転が阻止されるロック状態と、車軸86の回転が許容されるアンロック状態と、の間で切り替えられる。パーキング機構10は、車両のギヤがパーキングである場合に、ロック状態となり、車両のギヤがパーキング以外である場合に、アンロック状態となる。車両のギヤがパーキング以外である場合とは、例えば、車両のギヤがドライブ、ニュートラル、リバースなどである場合を含む。図3に示すように、パーキング機構10は、被駆動シャフト20と、可動部30と、歯止め部材40と、パーキングギヤ50と、第2弾性部材60と、を備える。
【0028】
被駆動シャフト20は、左右方向に延びる中心軸J4を中心として回転可能である。被駆動シャフト20は、例えば、中心軸J4を中心として左右方向に延びる円柱状である。なお、以下のパーキング機構10の説明においては、中心軸J4を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J4回りの周方向を単に「周方向」と呼ぶ場合がある。各図においては、適宜、周方向を矢印θで示す。周方向のうち右側から見て中心軸J4を中心として時計回りに進む側、すなわち矢印θが向く側(+θ側)を「周方向一方側」と呼び、周方向のうち右側から見て中心軸J4を中心として反時計回りに進む側、すなわち矢印θが向く側と逆側(-θ側)を「周方向他方側」と呼ぶ。
【0029】
図2に示すように、被駆動シャフト20は、例えば、第2収容部85bの内部から、凹部88cの内部、第2穴部88dの内部、および連結筒部88bの内部を介して、ハウジング85の外部に突出している。図2および図4に示すように、被駆動シャフト20は、被連結部21と、大径部22と、中径部23と、小径部24と、を有する。被連結部21と大径部22と中径部23と小径部24とは、左側から右側に向かってこの順に繋がっている。
【0030】
被連結部21は、電動アクチュエータ90に連結された部分である。図2に示すように、被連結部21は、例えば、ハウジング85の外部に突出している。被連結部21の左側の端部は、例えば、被駆動シャフト20の左側の端部である。被連結部21の外周面には、例えば、スプライン部が設けられている。被連結部21は、例えば、スプライン部が電動アクチュエータ90の出力部に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、電動アクチュエータ90に連結されている。
【0031】
本実施形態において被連結部21は、被駆動シャフト20のうち可動部30よりも左側に位置する部分である。つまり、本実施形態では、被駆動シャフト20のうち可動部30よりも左側に位置する部分である被連結部21が、被駆動シャフト20を回転させる駆動源である電動アクチュエータ90に接続されている。
【0032】
大径部22は、被連結部21の右側に繋がっている。大径部22の外径は、例えば、被連結部21の外径よりも大きい。大径部22の左右方向の寸法は、例えば、被連結部21の左右方向の寸法よりも大きい。大径部22は、被シール部22aと、第2被支持部22bと、を有する。つまり、被駆動シャフト20は、被シール部22aと、第2被支持部22bと、を有する。
【0033】
被シール部22aは、例えば、大径部22の左側部分である。被シール部22aは、例えば、連結筒部88bの内部に位置する。被シール部22aの外周面は、オイルシール71の内周面に接触している。オイルシール71によって被シール部22aの外周面と連結筒部88bの内周面との間が封止されている。
【0034】
第2被支持部22bは、例えば、大径部22の右側部分である。第2被支持部22bは、被シール部22aの右側に繋がっている。第2被支持部22bは、第2穴部88dに挿入されている。第2被支持部22bの外径は、第2穴部88dの内径よりも僅かに小さい。本実施形態において第2被支持部22bは、第2穴部88d内に隙間嵌めされている。これにより、第2被支持部22bは、第2穴部88dの内周面によって中心軸J4回りに回転可能に支持されている。つまり、本実施形態において第2穴部88dは、第2被支持部22bを中心軸J4回りに回転可能に支持する軸受部として機能する。第2被支持部22bは、被駆動シャフト20のうち駆動源としての電動アクチュエータ90に接続される部分である被連結部21と可動部30との左右方向の間に位置する。
【0035】
中径部23は、大径部22の右側に繋がっている。中径部23の外径は、例えば、大径部22の外径よりも小さい。中径部23の左右方向の寸法は、例えば、大径部22の左右方向の寸法よりも大きい。中径部23は、例えば、第2収容部85bの内部に位置する。中径部23の左側の端部は、例えば、凹部88cの内部に位置する。中径部23は、中径部23を径方向に貫通するピン止め孔23aを有する。ピン止め孔23aは、例えば、中径部23のうち左側寄りの部分に設けられている。図4に示すように、ピン止め孔23aは、例えば、円形状の孔である。
【0036】
小径部24は、中径部23の右側に繋がっている。小径部24の外径は、例えば、中径部23の外径、および被連結部21の外径よりも小さい。図2に示すように、小径部24は、第1被支持部24aを有する。つまり、被駆動シャフト20は、第1被支持部24aを有する。第1被支持部24aは、例えば、小径部24の右側部分である。第1被支持部24aの右側の端部は、例えば、被駆動シャフト20の右側の端部である。第1被支持部24aは、可動部30よりも右側に位置する。
【0037】
第1被支持部24aは、第1穴部87bに挿入されている。第1被支持部24aの外径は、第1穴部87bの内径よりも僅かに小さい。本実施形態において第1被支持部24aは、第1穴部87b内に隙間嵌めされている。これにより、第1被支持部24aは、第1穴部87bの内周面によって中心軸J4回りに回転可能に支持されている。つまり、本実施形態において第1穴部87bは、第1被支持部24aを中心軸J4回りに回転可能に支持する軸受部として機能する。
【0038】
可動部30は、被駆動シャフト20の回転に伴って移動する部分である。本実施形態において可動部30は、被駆動シャフト20の回転に伴って中心軸J4回りに回転する。図4に示すように、可動部30は、第1可動部材31と、第2可動部材32と、第1弾性部材33と、を有する。
【0039】
第1可動部材31は、被固定部34と、フランジ部35と、を有する。被固定部34とフランジ部35とは、例えば、互いに別部材であり、互いに固定されている。被固定部34は、例えば、中心軸J4を中心とする略円筒状である。被固定部34は、左右方向の両側に開口している。図2に示すように、被固定部34の内部には、被駆動シャフト20の中径部23が左右方向に通されている。被固定部34は、第1部分34aと、第2部分34bと、を有する。
【0040】
第1部分34aは、例えば、被固定部34の左側部分である。第2部分34bは、例えば、被固定部34の右側部分である。第2部分34bは、第1部分34aの右側に繋がっている。第2部分34bの外径は、第1部分34aの外径よりも小さい。第1部分34aと第2部分34bとの左右方向の間には、段差面34eを有する段差が設けられている。段差面34eは、例えば、右側を向き左右方向と直交する面であり、第1部分34aの右側の端面である。
【0041】
第1部分34aは、ピン止め孔34cを有する。ピン止め孔34cは、中心軸J4を径方向に挟んで一対設けられている。ピン止め孔34cは、第1部分34aの内周面から外周面までを貫通している。ピン止め孔34cは、例えば、円形状の孔である。第1部分34aは、例えば、ピン止め孔34cに通されたピン38によって中径部23に固定されている。これにより、被固定部34が被駆動シャフト20に固定され、第1可動部材31が被駆動シャフト20に固定されている。
【0042】
ピン38は、中心軸J4を中心とする径方向に延びる円柱状である。ピン38は、被固定部34の一対のピン止め孔34cのうち一方のピン止め孔34cから、被駆動シャフト20のピン止め孔23aを通って、一対のピン止め孔34cのうち他方のピン止め孔34cまで延びている。ピン38は、各ピン止め孔23a,34c内に嵌め合わされて固定されている。ピン38が各ピン止め孔23a,34c内に嵌め合わされることで、被駆動シャフト20と第1可動部材31との中心軸J4回りの相対回転および左右方向の相対移動が阻止されている。図4に示すように、第1部分34aの外周面には、一対の平坦面34dが設けられている。一対の平坦面34dは、径方向と直交する矩形状の面であり、互いに中心軸J4を挟んで反対側に配置されている。
【0043】
図2に示すように、被固定部34の左側の端部と凹部88cの底面との間には、ワッシャ70が設けられている。ワッシャ70は、例えば、中心軸J4を中心とし、被駆動シャフト20の中径部23を囲む円環状である。ワッシャ70は、板面が左右方向を向く板状である。ワッシャ70の内径は、例えば、大径部22の外径よりも小さい。ワッシャ70の左側の面は、例えば、凹部88cの底面に接触している。ワッシャ70の右側の面は、例えば、被固定部34の左側の端面に接触している。
【0044】
フランジ部35は、被固定部34に固定されている。フランジ部35は、例えば、板状の部材が折り曲げられて作られている。フランジ部35は、基部35aと、連結部35bと、外縁部35cと、を有する。つまり、第1可動部材31は、外縁部35cを有する。
【0045】
基部35aは、被固定部34に固定された部分である。基部35aは、基部35aを左右方向に貫通する固定孔35gを有する。固定孔35gには、第2部分34bが嵌め合わされている。第2部分34bの右側の端部は、固定孔35gよりも右側に突出している。第2部分34bのうち固定孔35gよりも右側に突出した部分の外径は、例えば、右側に向かうに従って小さくなっている。
【0046】
基部35aの左側の面は、段差面34eに接触している。基部35aは、例えば、溶接によって被固定部34に固定されている。なお、基部35aは、固定孔35g内への第2部分34bの圧入によって、被固定部34に固定されていてもよい。図5に示すように、基部35aは、基部35aの右側の面から左側に窪む挿込穴35fを有する。挿込穴35fは、例えば、基部35aを左右方向に貫通する円形状の孔である。
【0047】
連結部35bは、基部35aと外縁部35cとを繋ぐ部分である。連結部35bは、基部35aの周方向の一部から径方向外側斜め右方に突出している。連結部35bは、例えば、基部35aのうち挿込穴35fの周方向位置と異なる周方向位置にある部分から突出している。
【0048】
外縁部35cは、連結部35bの径方向外側の端部から径方向外側に突出している。外縁部35cは、中心軸J4を中心とする径方向において被固定部34よりも外側に位置する。外縁部35cは、例えば、周方向に延びている。外縁部35cの周方向の寸法は、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなっている。図2に示すように、本実施形態において外縁部35cは、被固定部34よりも右側に位置する。つまり、本実施形態において被固定部34の左右方向の位置と外縁部35cの左右方向の位置とは、互いに異なっている。また、本実施形態において、被固定部34の左右方向の位置は、外縁部35cの左右方向の位置よりも、第2可動部材32から左右方向に離れた位置である。
【0049】
図5に示すように、第1可動部材31は、溝部35hを有する。本実施形態において溝部35hは、外縁部35cに設けられている。溝部35hは、例えば、外縁部35cの径方向外周縁から径方向内側に窪んでいる。本実施形態において溝部35hは、複数設けられている。溝部35hは、第1溝部35dと、第2溝部35eと、を含む。第1溝部35dと第2溝部35eとは、互いに周方向に離れている。第2溝部35eは、例えば、第1溝部35dから周方向一方側に離れて配置されている。第1溝部35dは、例えば、外縁部35cの周方向他方側の端部に設けられている。第2溝部35eは、例えば、外縁部35cの周方向一方側の端部に設けられている。
【0050】
図2に示すように、第2可動部材32は、第1弾性部材33を介して、第1可動部材31に連結されている。第2可動部材32は、第1可動部材31に対して相対移動可能である。本実施形態において第2可動部材32は、第1可動部材31に対して中心軸J4回りに相対回転可能である。第2可動部材32は、例えば、第1可動部材31の右側に離れて位置する。つまり、本実施形態において第1可動部材31と第2可動部材32とは、左右方向に沿って間隔を空けて配置されている。第2可動部材32は、例えば、単一の部材である。第2可動部材32は、筒部36と、カムフランジ部37と、を有する。
【0051】
筒部36は、例えば、中心軸J4を中心とする円筒状である。筒部36は、左右方向の両側に開口している。筒部36は、被駆動シャフト20が左右方向に通された貫通孔36eを有する。つまり、第2可動部材32は、被駆動シャフト20が左右方向に通された貫通孔36eを有する。貫通孔36eの内部には、中径部23の右側の端部および小径部24の左側部分が位置する。第2可動部材32は、被駆動シャフト20に対して中心軸J4回りに相対回転可能である。貫通孔36eの内周面には、段差面36dを有する段差が設けられている。段差面36dは、左側を向く面である。段差面36dには、例えば、中径部23と小径部24との左右方向の間に設けられた段差の段差面が接触している。
【0052】
筒部36は、基部36aと、基部36aの右側に繋がる第1突出部36bと、基部36aの左側に繋がる第2突出部36cと、を有する。第1突出部36bは、基部36aから右側に突出している。第1突出部36bの外径は、基部36aの外径よりも小さい。第1突出部36bの右側の端面は、例えば、第2可動部材32の右側の端面であり、隔壁部87aの左側の面に接触している。第2突出部36cは、基部36aから左側に突出している。第2突出部36cの外径は、基部36aの外径よりも小さい。第2突出部36cの外径は、例えば、左側に向かうに従って小さくなっている。
【0053】
カムフランジ部37は、基部36aから径方向外側に広がっている。カムフランジ部37は、例えば、基部36aから下側に広がっている。図4に示すように、カムフランジ部37は、左右方向に見て、略扇形状である。カムフランジ部37の径方向外側面の一部は、カム面37aである。つまり、第2可動部材32は、カム面37aを有する。カム面37aは、周方向に延びている。カム面37aは、例えば、下側を向いている。図3および図6に示すように、カム面37aは、歯止め部材40に接触する面である。つまり、本実施形態において第2可動部材32は、カム面37aを介して歯止め部材40に接触する。カム面37aは、例えば、外縁部35cの径方向外縁よりも径方向外側に位置する。
【0054】
図6に示すように、カム面37aは、第1カム部37bと、第2カム部37cと、を有する。第1カム部37bおよび第2カム部37cは、周方向に延びている。第1カム部37bおよび第2カム部37cは、例えば、中心軸J4を中心とする円弧状である。第1カム部37bと第2カム部37cとは、周方向に繋がっている。第2カム部37cは、例えば、第1カム部37bの周方向一方側に繋がっている。第2カム部37cは、第1カム部37bよりも径方向外側に位置する。
【0055】
本実施形態においてカム面37aは、周方向位置が第1溝部35dと同じ部分を有する。つまり、本実施形態において溝部35hの少なくとも一部における中心軸J4回りの周方向位置は、カム面37aにおける中心軸J4回りの周方向位置に含まれている。本実施形態においてカム面37aの周方向位置は、図6においてθcで示す周方向範囲である。カム面37aの周方向位置には、例えば、外縁部35cの周方向他方側寄りの部分の周方向位置が含まれている。
【0056】
図4に示すように、カムフランジ部37は、カムフランジ部37の左側の面から右側に窪む挿込穴37dを有する。挿込穴37dは、例えば、カムフランジ部37を左右方向に貫通する円形状の孔である。挿込穴37dは、例えば、カムフランジ部37のうち径方向外側面にカム面37aが設けられていない部分に設けられている。挿込穴37dは、例えば、カム面37aよりも周方向一方側に位置する。
【0057】
第1弾性部材33は、第1可動部材31と第2可動部材32とを連結している。図2および図4に示すように、本実施形態において第1弾性部材33は、左右方向に延び被駆動シャフト20を囲むコイルばねである。第1弾性部材33は、例えば、ねじりコイルばねである。つまり、本実施形態において第1弾性部材33は、周方向に弾性変形可能である。第1弾性部材33は、第1可動部材31と第2可動部材32とが周方向に相対回転することで周方向に弾性変形する。
【0058】
本実施形態において第1弾性部材33の内部には、中径部23が左右方向に通されている。第1弾性部材33は、第1可動部材31と第2可動部材32との左右方向の間に位置する。図4に示すように、第1弾性部材33は、弾性部材本体33aと、被挿込部33b,33cと、を有する。
【0059】
弾性部材本体33aは、第1弾性部材33を構成する線材が中心軸J4回りに螺旋状に巻き回されて構成された部分である。図2に示すように、弾性部材本体33aの左側の端部における内側には、被固定部34の第2部分34bのうち固定孔35gよりも右側に突出している部分が挿入されている。これにより、第1弾性部材33が第1可動部材31に対して径方向にずれることを抑制できる。本実施形態では、第2部分34bのうち固定孔35gよりも右側に突出した部分の外径が右側に向かうに従って小さくなっているため、弾性部材本体33aの左側の端部における内側に第2部分34bを挿入しやすい。
【0060】
弾性部材本体33aの右側の端部における内側には、筒部36の第2突出部36cが挿入されている。これにより、第1弾性部材33が第2可動部材32に対して径方向にずれることを抑制できる。本実施形態では、第2突出部36cの外径が基部36aの外径よりも小さいため、第2突出部36cの外径を比較的小さくでき、弾性部材本体33aの右側の端部における内側に第2突出部36cを挿入しやすい。また、本実施形態では、第2突出部36cの外径が左側に向かうに従って小さくなっているため、弾性部材本体33aの右側の端部における内側に第2突出部36cをより挿入しやすい。弾性部材本体33aの左側部分の一部は、外縁部35cの径方向内側に位置する。つまり、第1弾性部材33の一部は、中心軸J4を中心とする径方向に見て、外縁部35cと重なっている。
【0061】
図4に示すように、被挿込部33bは、弾性部材本体33aを構成する線材の左側の端部から左側に延びている。被挿込部33bは、第1可動部材31の挿込穴35fに挿し込まれている。これにより、第1弾性部材33は、第1可動部材31に取り付けられている。被挿込部33cは、弾性部材本体33aを構成する線材の右側の端部から右側に延びている。被挿込部33cは、第2可動部材32の挿込穴37dに挿し込まれている。これにより、第1弾性部材33は、第2可動部材32に取り付けられている。
【0062】
図3に示すように、歯止め部材40は、例えば、可動部30の下側に位置する。本実施形態において歯止め部材40は、支持シャフト44によって、回転可能に支持されている。支持シャフト44は、例えば、動力軸J1と平行な回転軸J5を中心として左右方向に延びる円柱状である。回転軸J5は、例えば、中心軸J4よりも前側かつ下側に位置する。回転軸J5は、例えば、中間軸J2よりも前側かつ上側に位置する。図示は省略するが、支持シャフト44の右側の端部は、隔壁部87aに設けられた穴部に嵌め込まれて支持されている。支持シャフト44の左側の端部は、左側壁部88aに設けられた穴部に嵌め込まれて支持されている。
【0063】
支持シャフト44には、ねじりコイルばね45が装着されている。ねじりコイルばね45の一端は、歯止め部材40に固定されている。図示は省略するが、ねじりコイルばね45の他端は、隔壁部87aに固定されている。ねじりコイルばね45は、歯止め部材40に対して、周方向一方側向き(+θ向き)の弾性力を加えている。
【0064】
歯止め部材40は、アーム部41と、爪部42と、接触部43と、を有する。アーム部41は、支持シャフト44から後側(-X側)に延びている。図6に示すように、アーム部41の前側の端部には、アーム部41を左右方向に貫通する孔部41aが設けられている。孔部41aには、支持シャフト44が左右方向に通されている。アーム部41の後側の端部は、カム面37aの下側に位置する。
【0065】
爪部42は、アーム部41の後側(-X側)の端部から下側に突出している。接触部43は、アーム部41の後側の端部における上側に設けられている。本実施形態において接触部43は、アーム部41の後側の端部に取り付けられたローラである。接触部43は、左右方向に延びる回転軸回りに回転可能にアーム部41に取り付けられている。接触部43は、カム面37aに下側から接触している。
【0066】
歯止め部材40は、可動部30の移動に伴って移動する。本実施形態において歯止め部材40は、第2可動部材32が中心軸J4回りに回転するのに伴って、回転軸J5を中心として揺動する。これにより、歯止め部材40の後側の端部は、第2可動部材32が中心軸J4回りに回転するのに伴って上下方向に移動する。本実施形態において歯止め部材40はねじりコイルばね45によって周方向一方側向きに弾性力を受けているため、歯止め部材40の後側の端部に設けられた接触部43はねじりコイルばね45から上側向きに力を受け、カム面37aに下側から押し付けられている。
【0067】
本実施形態においてパーキングギヤ50は、歯止め部材40の下側に位置する。より詳細には、パーキングギヤ50は、爪部42の下側に位置する。本実施形態においてパーキングギヤ50は、被駆動シャフト20の延長線上には位置していない。つまり、本実施形態において被駆動シャフト20は、左右方向に見て、パーキングギヤ50が設けられる領域の外側に位置する。
【0068】
図1に示すように、パーキングギヤ50は、例えば、中間シャフト83dの左側の端部に固定されている。これにより、本実施形態においてパーキングギヤ50は、中間シャフト83dを介して、第2ギヤ83bに固定されている。パーキング機構10は、パーキングギヤ50を介して伝達機構部80bに取り付けられている。パーキングギヤ50は、中間軸J2回りに回転可能である。なお、パーキングギヤ50は、第3ギヤ83cを介して第2ギヤ83bに固定されてもよいし、直接的に第2ギヤ83bに固定されていてもよい。
【0069】
図3および図6に示すように、パーキングギヤ50は、中間軸J2回りに沿って間隔を空けて複数の歯部51を有する。歯部51同士の間には、爪部42が挿入可能となっている。これにより、パーキングギヤ50には、爪部42が噛み合い可能である。
【0070】
図4に示すように、第2弾性部材60は、板バネ部61と、ローラ62と、を有する。板バネ部61は、板面が上下方向を向く板状である。板バネ部61は、前後方向に延びている。板バネ部61の前側の端部は、例えば、ネジ63によってハウジング85に固定されている。板バネ部61のうち後側に位置する部分は、第1可動部材31の下側に位置する。板バネ部61のうち後側に位置する部分は、ネジ63で固定された板バネ部61の前側の端部を支点として上下方向に弾性変位可能である。
【0071】
板バネ部61は、基部61aと、一対の腕部61b,61cと、を有する。基部61aは、例えば、板バネ部61の前側部分である。基部61aは、例えば、ネジ63によってハウジング85に固定されている。一対の腕部61b,61cは、基部61aの後側の端部から後側に延びている。一対の腕部61b,61cは、左右方向に間隔を空けて並んで配置されている。腕部61cは、腕部61bの右側に位置する。一対の腕部61b,61c同士の左右方向の間における左右方向位置は、例えば、外縁部35cの左右方向位置と同じである。一対の腕部61b,61c同士の左右方向の間には、例えば、外縁部35cが上下方向に通されている。
【0072】
ローラ62は、左右方向に延びる回転軸回りに回転可能である。ローラ62は、板バネ部61の後側の端部に取り付けられている。ローラ62は、左右方向に延びている。ローラ62は、一対の腕部61b,61cの後側の端部同士を繋いでいる。ローラ62の左側の端部は、腕部61bの後側の端部に回転可能に支持されている。ローラ62の右側の端部は、腕部61cの後側の端部に回転可能に支持されている。ローラ62は、外縁部35cの下側に位置する。ローラ62は、外縁部35cの径方向外側面に接触している。
【0073】
ローラ62は、溝部35hに嵌ることが可能であり、溝部35hに対して中心軸J4回りの周方向に引っ掛かることが可能である。これにより、溝部35hには、第2弾性部材60が中心軸J4回りの周方向に引っ掛けられる。図4では、例えば、第1溝部35dにローラ62が嵌って周方向に引っ掛けられている状態を示している。
【0074】
図3においては、パーキング機構10が、車軸86の回転が許容されるアンロック状態である場合について示している。アンロック状態においては、歯止め部材40の爪部42は、パーキングギヤ50から上側に離れた状態であり、爪部42が歯部51同士の間に位置していない。つまり、歯止め部材40は、アンロック状態においては、爪部42がパーキングギヤから離れる非パーキング位置に位置する。この状態では、パーキングギヤ50が中間軸J2回りに回転可能であり、減速装置83の各ギヤも回転可能である。そのため、動力部80aからの回転が減速装置83および差動装置84を介して車軸86に伝えられ、車軸86が回転可能である。アンロック状態においてローラ62は、第1溝部35dに周方向に引っ掛けられている。つまり、被駆動シャフト20の回転角度が歯止め部材40を非パーキング位置にする回転角度である場合に、第1溝部35dには、第2弾性部材が引っ掛けられる。アンロック状態において歯止め部材40の接触部43は、第1カム部37bに接触している。
【0075】
アンロック状態において、電動アクチュエータ90によって被駆動シャフト20が周方向他方側向き(-θ向き)に回転させられると、被駆動シャフト20と共に可動部30も周方向他方側向きに回転する。アンロック状態から第2可動部材32が周方向他方側向きに回転すると、図6に示すように、接触部43に接触するカム面37aの部分が、第1カム部37bから第2カム部37cに変わる。第2カム部37cは第1カム部37bよりも径方向外側に位置するため、接触部43が第2カム部37cによって下側に押されて、歯止め部材40の後側の端部が下側に移動させられる。これにより、爪部42が、パーキングギヤ50の歯部51同士の間に入り込み、パーキングギヤ50に噛み合う。つまり、歯止め部材40の位置が、爪部42がパーキングギヤ50に噛み合うパーキング位置になる。
【0076】
爪部42がパーキングギヤ50に噛み合うと、パーキングギヤ50の中間軸J2回りの回転が阻止される。そのため、パーキングギヤ50が固定された中間シャフト83d、第2ギヤ83b、および第3ギヤ83cの回転が阻止される。これにより、パーキング機構10は、車軸86の回転が阻止されるロック状態となる。ロック状態においてローラ62は、第2溝部35eに周方向に引っ掛けられている。つまり、被駆動シャフト20の回転角度が歯止め部材40をパーキング位置にする回転角度である場合に、第2溝部35eには、第2弾性部材60が引っ掛けられる。
【0077】
ロック状態において、電動アクチュエータ90によって被駆動シャフト20が周方向一方側向き(+θ向き)に回転させられると、被駆動シャフト20と共に可動部30も周方向一方側向きに回転する。ロック状態から第2可動部材32が周方向一方側向きに回転すると、接触部43に接触するカム面37aの部分が、第2カム部37cから第1カム部37bに変わる。これにより、コイルばね45の弾性力によって歯止め部材40の後側の端部が上側に移動させられ、爪部42がパーキングギヤ50の歯部51同士の間から上側に離れる。つまり、歯止め部材40の位置が、爪部42がパーキングギヤ50から離れる非パーキング位置になる。これにより、パーキング機構10が再びアンロック状態となる。
【0078】
以上のように、電動アクチュエータ90によって被駆動シャフト20が回転させられることによって、歯止め部材40の位置が、可動部30の移動に伴って、パーキング位置と、非パーキング位置と、に切り替えられる。これにより、パーキング機構10がロック状態とアンロック状態との間で切り替えられる。
【0079】
本実施形態によれば、被駆動シャフト20のうち可動部30よりも左側に位置する部分は、被駆動シャフト20を回転させる駆動源としての電動アクチュエータ90に接続されている。被駆動シャフト20は、可動部30よりも右側に位置する第1被支持部24aを有する。そのため、被駆動シャフト20は、可動部30よりも左右方向の両側にそれぞれ位置する部分を、電動アクチュエータ90と、第1被支持部24aを支持する部分、すなわち本実施形態では第1穴部87bとによって両持ち支持される。これにより、被駆動シャフト20が片持ち支持される場合に比べて、被駆動シャフト20を安定して支持することができる。したがって、被駆動シャフト20に負荷が加えられても、被駆動シャフト20が変形するなどの不具合が生じることを抑制できる。そのため、パーキング機構10の動作に不具合が生じることを抑制できる。したがって、パーキング機構10の信頼性を向上できる。
【0080】
また、例えば、パーキング機構10がアンロック状態からロック状態に切り替えられる場合、歯止め部材40がパーキングギヤ50に近づく際に、パーキングギヤ50の歯部51の位置によっては、爪部42が歯部51の先端に接触する場合がある。この場合、歯止め部材40は、爪部42が歯部51同士の間に噛み合う位置まで移動できない場合がある。この場合、カム面37aを介して歯止め部材40を押す第2可動部材32も、所定の位置まで回転できない場合がある。
【0081】
これに対して、本実施形態によれば、可動部30は、第1可動部材31と第2可動部材32とを連結する第1弾性部材33を有する。そのため、第2可動部材32が所定の位置まで回転できない場合であっても、第1弾性部材33が弾性変形することにより、被駆動シャフト20と共に第1可動部材31を所定の位置まで回転させつつ、第2可動部材32が所定の位置とならない状態を許容できる。これにより、爪部42が歯部51の先端に接触した場合であっても、第1可動部材31および被駆動シャフト20の回転が阻害されることを抑制できる。したがって、被駆動シャフト20を回転させる電動アクチュエータ90に負荷が加わることを抑制できる。また、爪部42が歯部51の先端に接触した衝撃が、第1可動部材31および被駆動シャフト20に伝わることを抑制できる。そのため、第1可動部材31および被駆動シャフト20が損傷することを抑制できる。
【0082】
爪部42が歯部51の先端に接触した場合、第1弾性部材33が弾性変形するため、第2可動部材32には、第1弾性部材33から所定の位置に移動させる向きの弾性力が加えられる。そのため、パーキングギヤ50が回転して歯部51の位置がずれると、第2可動部材32が所定の位置まで移動して、歯止め部材40の爪部42が歯部51同士の間に押し込まれる。これにより、爪部42が歯部51同士の間に噛み合い、歯止め部材40がパーキング位置まで移動する。
【0083】
また、本実施形態によれば、第1可動部材31は、第2弾性部材60が引っ掛けられる溝部35hを有する。そのため、溝部35hに第2弾性部材60が引っ掛けられることで、第2弾性部材60が移動することを抑制でき、被駆動シャフト20が中心軸J4回りに回転することを抑制できる。これにより、例えば、電動アクチュエータ90への電力供給がOFFになっている場合などであっても、被駆動シャフト20の位置を保持しておくことができ、パーキング機構10の状態を保持できる。一方、電動アクチュエータ90によって被駆動シャフト20が回転させられる場合には、第2弾性部材60が弾性変位することで、溝部35hから第2弾性部材60を外すことができ、被駆動シャフト20および可動部30を回転させることができる。したがって、パーキング機構10の状態を切り替えることができる。
【0084】
また、上述したように第1可動部材31と第2可動部材32とは第1弾性部材33によって連結されているため、歯止め部材40などを介して第2可動部材32に衝撃が加わった場合などであっても、当該衝撃を第1弾性部材33によって吸収することができる。これにより、当該衝撃が第1可動部材31に伝わることを抑制できる。したがって、溝部35hを第2可動部材32ではなく第1可動部材31に設けることで、第2可動部材32に衝撃が加えられた場合であっても、第1可動部材31が動いて溝部35hから第2弾性部材60が外れることを抑制できる。そのため、被駆動シャフト20の位置をより好適に保持しておくことができ、パーキング機構10の状態をより好適に保持できる。
【0085】
また、本実施形態によれば、溝部35hは、被駆動シャフト20の回転角度が歯止め部材40を非パーキング位置にする回転角度である場合に第2弾性部材60が引っ掛けられる第1溝部35dと、被駆動シャフト20の回転角度が歯止め部材40をパーキング位置にする回転角度である場合に第2弾性部材60が引っ掛けられる第2溝部35eと、を含む。そのため、第1溝部35dに第2弾性部材60が引っ掛けられることで、パーキング機構10をアンロック状態に維持できる。また、第2溝部35eに第2弾性部材60が引っ掛けられることで、パーキング機構10をロック状態に維持できる。
【0086】
本実施形態では、外縁部35cが回転すると、外縁部35cの径方向外側面によって板バネ部61が下側に弾性変位させられ、第1溝部35dおよび第2溝部35eの一方からローラ62が外れる。第1溝部35dおよび第2溝部35eの他方がローラ62と対向する位置まで移動すると、第1溝部35dおよび第2溝部35eの他方にローラ62が嵌る。
【0087】
また、本実施形態によれば、溝部35hの少なくとも一部における中心軸J4回りの周方向位置は、カム面37aにおける中心軸J4回りの周方向位置に含まれている。そのため、溝部35hが設けられる外縁部35cとカム面37aを有するカムフランジ部37とを、ハウジング85内において同じ領域にまとめて配置しやすい。これにより、外縁部35cとカムフランジ部37とを配置する領域を別々にハウジング85内に確保する場合に比べて、第1可動部材31および第2可動部材32を空間効率よくハウジング85内に配置できる。
【0088】
また、本実施形態によれば、被固定部34の左右方向の位置と外縁部35cの左右方向の位置とは、互いに異なっている。そのため、被固定部34を被駆動シャフト20に固定する際に、外縁部35cが邪魔になりにくい。これにより、被固定部34を被駆動シャフト20に固定する作業を行いやすくできる。本実施形態では、ピン38をピン止め孔23a,34cに挿し込む作業を行いやすくできる。
【0089】
また、本実施形態によれば、第1弾性部材33の一部は、中心軸J4を中心とする径方向に見て、外縁部35cと重なっている。そのため、第1弾性部材33の一部を外縁部35cの径方向内側に配置することができ、第1弾性部材33の左右方向の寸法を大きくしやすい。これにより、第1弾性部材33の弾性率を好適にしやすい。
【0090】
また、本実施形態によれば、被駆動シャフト20は、左右方向に見て、パーキングギヤ50が設けられる領域の外側に位置する。つまり、パーキングギヤ50は、被駆動シャフト20の延長線上に位置しない。そのため、ハウジング85内において、被駆動シャフト20の右側に第1被支持部24aを支持する部分を設ける空間を確保しやすい。本実施形態では、被駆動シャフト20の右側に第1穴部87bを設けやすい。
【0091】
また、本実施形態によれば、被駆動シャフト20は、被駆動シャフト20のうち駆動源としての電動アクチュエータ90に接続される部分と可動部30との左右方向の間に位置する第2被支持部22bを有する。そのため、被駆動シャフト20をより安定して支持することができる。したがって、被駆動シャフト20に負荷が加えられても、被駆動シャフト20が変形するなどの不具合が生じることをより抑制できる。したがって、パーキング機構10の信頼性をより向上できる。
【0092】
本実施形態では、第1被支持部24aと第1穴部87bとの間、および第2被支持部22bと第2穴部88dとの間には、リングギヤ84aによってかき上げられたオイルOが供給される。そのため、オイルOが潤滑油として機能し、各被支持部の外周面と各穴部の内周面との間の摩擦を低減できる。これにより、各被支持部を各穴部によって好適に回転可能に支持できる。
【0093】
また、本実施形態によれば、ハウジング85は、第1被支持部24aが挿入された第1穴部87bと、第2被支持部22bが挿入された第2穴部88dと、を有する。そのため、第1穴部87bおよび第2穴部88dによって被駆動シャフト20を回転可能に支持できる。これにより、ハウジング85に対して被駆動シャフト20を支持するベアリングを別途設ける場合などに比べて、駆動装置100の部品点数を少なくできる。
【0094】
また、本実施形態によれば、ハウジング85は、第1穴部87bを有する第1ハウジング部材87と、第2穴部88dを有する第2ハウジング部材88と、を有する。そのため、例えば、第1ハウジング部材87と第2ハウジング部材88とが固定される前に一方の被支持部を一方の穴部に支持させて、第1ハウジング部材87と第2ハウジング部材88とを固定する際に他方の被支持部を他方の穴部に支持させる組み立て方法を採用できる。これにより、例えば同一の部材に第1穴部87bおよび第2穴部88dが設けられる場合に比べて、駆動装置100の組み立てを容易にしやすい。
【0095】
また、本実施形態によれば、パーキングギヤ50は、第2ギヤ83bに固定されている。そのため、例えばパーキングギヤ50が第1ギヤ83aに固定されている場合に比べて、パーキング機構10を動力シャフト81aの延長線上から離して配置できる。これにより、ハウジング85内においてパーキング機構10を配置しやすくできる。
【0096】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。被駆動シャフトの中心軸が延びる所定方向は、特に限定されない。被駆動シャフトの中心軸が延びる所定方向は、パーキングギヤの回転軸と直交する方向であってもよい。例えば、上述した実施形態において中心軸J4および被駆動シャフト20は、上下方向に延びてもよい。
【0097】
第1被支持部を支持する部分および第2被支持部を支持する部分は、各被支持部を回転可能に支持できるならば、どのような構成であってもよい。第1被支持部を支持する部分および第2被支持部を支持する部分は、円筒状の滑り軸受部材であってもよいし、ボールベアリングなどの転がり軸受部材であってもよい。この場合、各軸受部材は、例えば、ハウジングに保持される。第1被支持部を支持する部分および第2被支持部を支持する部分は、同一の単一部材に設けられてもよい。
【0098】
例えば、上述した実施形態の被駆動シャフト20が上下方向に延びる場合に、第1被支持部24aを支持する第1穴部87bおよび第2被支持部22bを支持する第2穴部88dが第2ハウジング部材88に設けられてもよい。この場合、被連結部21は、第2ハウジング部材88から上側に突出していてもよい。また、この場合、第1穴部87bを設けるための壁部が左側壁部88aから右側に突出していてもよい。第2被支持部は、設けられていなくてもよい。
【0099】
可動部は、被駆動シャフトの回転に伴って移動するならば、どのような構成であってもよい。可動部は、単一の部材であってもよい。可動部は、回転せずに、全体が或る一方向に直線的に移動する構成であってもよい。可動部のうち歯止め部材に接触する部分は、歯止め部材を移動させられるならば、カム面でなくてもよく、どのような構成であってもよい。可動部が第1可動部材と第2可動部材とを有する場合、第1可動部材と第2可動部材とは、どのような相対位置に配置されてもよい。第1可動部材の移動方向と第2可動部材の移動方向とが互いに異なっていてもよい。上述した実施形態において、第2可動部材32が第1可動部材31よりも左側、つまり被連結部21に近い側に配置されていてもよい。
【0100】
歯止め部材は、可動部の移動に伴って移動するならば、どのように移動可能になっていてもよい。歯止め部材は、揺動せずに、全体が或る一方向に直線状に移動する構成であってもよい。第2弾性部材が引っ掛けられる溝部は、第2可動部材に設けられてもよい。溝部は、1つのみ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。溝部は、設けられなくてもよい。パーキングギヤは、伝達機構部のいずれの箇所に取り付けられてもよい。
【0101】
動力部は、モータでなくてもよい。動力部は、例えば、エンジンであってもよい。伝達機構部の構造は、特に限定されない。以上に本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0102】
10…パーキング機構、20…被駆動シャフト、22b…第2被支持部、24a…第1被支持部、30…可動部、31…第1可動部材、32…第2可動部材、33…第1弾性部材、34…被固定部、35c…外縁部、35d…第1溝部、35e…第2溝部、35h…溝部、36e…貫通孔、37a…カム面、40…歯止め部材、42…爪部、50…パーキングギヤ、60…第2弾性部材、80a…動力部、80b…伝達機構部、83a…第1ギヤ、83b…第2ギヤ、85…ハウジング、87…第1ハウジング部材、87b…第1穴部、88…第2ハウジング部材、88d…第2穴部、100…駆動装置、J4…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6