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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240709BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G03G15/00 550
H04N1/00 519
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020165382
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057237
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 元啓
(72)【発明者】
【氏名】小川 直純
(72)【発明者】
【氏名】大村 洋功
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-205416(JP,A)
【文献】特開2008-116619(JP,A)
【文献】特開2003-078256(JP,A)
【文献】特開2011-209568(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0116489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 13/00
13/04
13/045
13/056
15/00
15/04-15/043
15/047
15/056
21/16-21/18
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体のフレームである本体フレームと、該本体フレームの上側に設けられ、該本体フレームとの間にシート排出空間を形成するよう配置されたスキャナーフレームとを備え、前記本体フレームは、前記シート排出空間に対して、シート排出方向である装置左右方向の一側に隣接し、シート排出機構を内部に収容する第一支持フレームと、前記シート排出空間に対して、前記シート排出方向に直交する装置前後方向の一側に隣接する第二支持フレームとを有していて、前記第一支持フレームと前記第二支持フレームとによって前記スキャナーフレームを支持するように構成された画像形成装置であって、
前記第二支持フレームは、前記装置左右方向に沿って水平に延びるとともに上面に前記スキャナーフレームを支持する水平支持部材と、上下方向に延び、上端部が該水平支持部材における前記装置左右方向の他側の端面に固定された鉛直支持部材とを有し、
前記スキャナーフレームは、前記装置左右方向にて対向する一対の側方部材を有していて、該一対の側方部材のうち前記装置左右方向の他側に位置する側方部材が、前記第二支持フレームの前記鉛直支持部材に対して該装置左右方向の他側から連結される被連結部材として構成され、
前記第二支持フレームの前記鉛直支持部材と、前記スキャナーフレームの前記被連結部材とを連結固定するための連結部材をさらに備え、
前記鉛直支持部材及び前記被連結部材にはそれぞれ、前記連結部材が左右方向に挿通される挿通開口が設けられ、
前記連結部材は、前記スキャナーフレームにおける前記被連結部材の前記挿通開口を貫通するとともに、前記第二支持フレームにおける前記鉛直支持部材の前記挿通開口に挿通される挿通板部を有していて、該挿通板部の上面が、前記被連結部材における前記挿通開口の上端面に少なくとも一箇所で当接し、該挿通板部の下面が、前記鉛直支持部材における前記挿通開口の下端面に、前記装置前後方向に離間した少なくとも二箇所で当接するように構成されている、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記被連結部材における前記挿通開口の前記上端面には、下側に突出して前記連結部材の前記挿通板部に当接する少なくとも一つの第一突部が突設され、
前記鉛直支持部材における前記挿通開口の前記下端面には、前後に離間して形成され、上側に突出して前記連結部材の前記挿通板部に当接する少なくとも二つの第二突部が突設されている、画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記第一突部と、少なくとも二つの前記第二突部とは、前記挿通板部との当接部が、前記装置左右方向に延びる線状をなすように形成されている、画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記第一突部と、少なくとも二つの前記第二突部とは、突出面が円筒面状に形成されている、画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記連結部材は、前記挿通板部における挿通先端側とは反対側の基端部に接続され、鉛直方向に延びるとともに複数の螺子挿通孔を有する取付板部を有していて、該取付板部の各螺子挿通孔に挿通された螺子が、前記スキャナーフレームの前記被連結部材と、前記第二支持フレームの前記鉛直支持部材とを貫通して、前記第二支持フレームにおける前記水平支持部材に形成された螺子孔に螺合することで固定されるように構成されている、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置の本体フレームと、該本体フレームの上側に設けられ、該本体フレームとの間にシート排出空間を形成するよう配置されたスキャナーフレームとを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
この本体フレームは、スキャナーフレームを支持するための第一支持フレーム及び第二支持フレームを有している。第一支持フレームは、シート排出空間に対して、シート排出方向の上流側に隣接するように配置されている。第二支持フレームは、シート排出空間に対して、シート排出方向に直交する装置前後方向の後側に隣接するように配置されている。そして、スキャナーフレームは、第一支持フレーム及び第二支持フレームのそれぞれに対して片持ち支持されている。シート排出空間は、支持フレームが設けられていない二方向(前側及びシート排出方向の下流側)に開放している。
【0004】
このような片持ち支持構造を採用した場合、スキャナーフレームのうち支持フレームに支持されていない部分が下側に垂れ下がって、スキャナーフレーム全体が歪んでしまうという問題がある。
【0005】
この問題を解決するために、特許文献1に示す画像形成装置では、本体フレームにおけるシート排出方向の下流側に側板フレームを追加し、この側板フレームとスキャナー筐体とを締結部材によって締結するようにしている(特許文献1の図6参照)。締結部材の両端部は、側板フレームとスキャナー筐体とにそれぞれボルトで固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-078256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のように側板フレームを設ける構成を採用した場合、シート排出空間におけるシート排出方向の下流側(第一支持フレーム側とは反対側)が側板フレームによって塞がれてしまう。このため、ユーザーがシート排出空間からシートを取出す際に側板フレームが邪魔になるという問題がある。
【0008】
そこで、側板フレームを廃止する代わりに、特許文献1に示す締結部材(連結部材)を用いて、第二支持フレームとスキャナーフレームとの連結剛性を高めることが考えられる。
【0009】
しかし、特許文献1に示す締結部材は、矩形状の板材の両端部をボルトで固定しているだけであるため、スキャナーフレームの垂れ下がりを効果的に防止することは困難である。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、本体フレームに設けられた第一支持フレームと第二支持フレームとによってスキャナーフレームを支持する画像形成装置において、その構成に工夫を凝らすことで、スキャナーフレームの垂れ下がりによる変形を効果的に抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、画像形成装置本体のフレームである本体フレームと、該本体フレームの上側に設けられ、該本体フレームとの間にシート排出空間を形成するよう配置されたスキャナーフレームとを備え、前記本体フレームは、前記シート排出空間に対して、シート排出方向である装置左右方向の一側に隣接し、シート排出機構を内部に収容する第一支持フレームと、前記シート排出空間に対して、シート排出方向に直交する装置前後方向の一側に隣接する第二支持フレームとを有していて、前記第一支持フレームと前記第二支持フレームとによって前記スキャナーフレームを支持するように構成されている。
【0012】
前記第二支持フレームは、装置左右方向に沿って水平に延びるとともに上面に前記スキャナーフレームを支持する水平支持部材と、上下方向に延び、上端部が該水平支持部材における前記装置左右方向の他側の端面に固定された鉛直支持部材とを有し、前記スキャナーフレームは、前記装置左右方向にて対向する一対の側方部材を有していて、該一対の側方部材のうち前記装置左右方向の他側に位置する側方部材が、前記第二支持フレームの前記鉛直支持部材に対して該装置左右方向の他側から連結される被連結部材として構成され、
前記第二支持フレームの前記鉛直支持部材と、前記スキャナーフレームの前記被連結部材とを連結固定するための連結部材をさらに備え、前記鉛直支持部材及び前記被連結部材にはそれぞれ、前記連結部材が左右方向に挿通される挿通開口が設けられ、前記連結部材は、前記スキャナーフレームにおける前記被連結部材の前記挿通開口を貫通するとともに、前記第二支持フレームにおける前記鉛直支持部材の前記挿通開口に挿通される挿通板部を有していて、該挿通板部の上面が、前記被連結部材における前記挿通開口の上端面に少なくとも一箇所で当接し、該挿通板部の下面が、前記鉛直支持部材における前記挿通開口の下端面に、装置前後方向に離間した少なくとも二箇所で当接するように構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スキャナーフレームの垂れ下がりによる変形を効果的に抑制可能な画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態における画像形成装置を示す概略構成図である。
図2図2は、画像形成装置本体から外装カバーを取外して本体フレームを露出させた状態を示す斜視図である。
図3図3は、本体フレームを上側から見た平面図である。
図4図4は、図2におけるIV部を拡大して示す拡大図である。
図5図5は、後側支持フレームを構成する水平支持部材及び鉛直支持部材と、スキャナーフレームの左側板(被連結部材)と、連結部材とを示す分解斜視図である。
図6図6は、後側支持フレームを構成する水平支持部材及び鉛直支持部材と、スキャナーフレームの左側板(被連結部材)とを仮組みして、連結部材を組付ける直前の状態を示す斜視図である。
図7図7は、後側支持フレームを構成する水平支持部材及び鉛直支持部材と、スキャナーフレームの左側板(被連結部材)とを仮組みして、連結部材を組付けた状態を示す斜視図である。
図8図8は、後側支持フレームを構成する水平支持部材及び鉛直支持部材と、スキャナーフレームの左側板(被連結部材)とを、連結部材により連結した状態を示す斜視図であって、図4の拡大斜視図である。
図9図9は、スキャナーフレームの左側板から連結部材への荷重伝達経路を説明するための説明図である。
図10図10は、連結部材から鉛直支持部材への荷重伝達経路を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
《実施形態》
図1は、実施形態における画像形成装置1を示す概略構成図を示す。以下の説明において、特に断らない限り、「前側」、「後側」、「左側」、及び「右側」は、画像形成装置1を基準とする方向であって、図1に示す方向軸の定義に従うものとする。
【0017】
[全体構成]
上記画像形成装置1は、胴内排紙型の複写機であって、画像形成装置本体2と、画像形成装置本体2の上側に設けられた画像読取装置3とを有している。
【0018】
画像読取装置3は、スキャナー筐体31と、その上面に装着されたコンタクトガラスを開閉可能に覆う原稿押さえ部材32とを有している。そして、画像読取装置3は、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像を光学的に読み取ってその画像データを生成する。
【0019】
画像形成装置本体2内には、画像読取装置3にて読取った原稿の画像データを基にシートSに画像を転写形成する画像形成部4が設けられている。
【0020】
画像形成部4の下方には、レーザー光を照射する露光装置5が配置され、画像形成部4の上方には、転写ベルト6が配置されている。
【0021】
露光装置5の下方には、シートSを貯留する給紙部7が配置されている。転写ベルト6の右側の上方には、シートSに転写形成された画像に定着処理を施す定着部8が配置されている。定着部8の上方左側にはシートSをシート排出口2aから外部に排出する排出ローラー対15(排出機構の一例)が設けられている。
【0022】
画像形成装置本体2と画像読取装置3との間にはシート排出空間Kが設けられている。この空間Kは、前側及び左側の二方向に開放している。
【0023】
画像形成装置本体2の上部には、シート排出空間Kに排出されたシートSが積載されるシート排出トレイ9が形成されている。画像形成装置本体2内には、給紙部7からシート排出トレイ9に至る用紙搬送路Hが形成されている。
【0024】
画像形成部4は、イエロー、マゼンタ、シアン、又はブラックに対応する4つの画像形成ユニット10を備えている。各画像形成ユニット10は、感光体ドラム11を有していて、露光装置5によって感光体ドラム11に書込まれた静電潜像を現像器により現像して各色のトナー像として可視化する。画像形成部4は、各画像形成ユニット10の感光体ドラム11に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト6に順次転写して重ね合わせた後、給紙部7から供給されるシートSに転写する。
【0025】
定着部8は、加熱ローラー8aと加圧ローラー8bとを備えている。定着部8は、画像形成部4より供給されるシートSに担持されたトナー像を加熱及び加圧することで当該シートSに熱定着させる。定着処理後のシートSはシート排出トレイ9に排出される。
【0026】
[画像形成装置のフレーム構造]
次に、図2図4を参照して、画像形成装置1のフレーム構造について説明する。
【0027】
画像形成装置1は、本体フレーム100とスキャナーフレーム300(図4にのみ示す)とを有している。本体フレーム100及びスキャナーフレーム300は共に金属部材(例えば鉄)により構成されている。
【0028】
本体フレーム100は、画像形成装置本体2の骨格を形成する構造体である。具体的には、本体フレーム100は、図2及び図3に示すように、収容フレーム105と、収容フレーム105の上端面に立設された右側支持フレーム110及び後側支持フレーム120とを有している。
【0029】
収容フレーム105は、直方体状に骨組みされた骨格部材の各側面を平板により閉塞して構成されている。収容フレーム105内には、前記画像形成部4、前記露光装置5及び前記定着部8などの主要構成部が収容されている。
【0030】
右側支持フレーム110及び後側支持フレーム120は、平面視で略L字状に配置されていて、スキャナーフレーム300を下方から支持している。
【0031】
具体的には、右側支持フレーム110は、収容フレーム105の上端面における右側端部から上側に突出している。右側支持フレーム110は、平面視で前後方向に長い矩形状をなしていて、シート排出空間Kに対して、シート排出方向の上流側(右側)に隣接して配置されている。右側支持フレーム110内には、前記排出ローラー対15を含むシート排出機構が収容されている。この右側支持フレーム110が第一支持フレームに相当し、後側支持フレーム120が第二支持フレームに相当する。
【0032】
後側支持フレーム120は、収容フレーム105の上端面における後側端部から上側に突出している。後側支持フレーム120は、収容フレーム105の後端縁に沿って左右方向の全体に亘って延設されている。
【0033】
スキャナーフレーム300(図4参照)は、上側に開放する偏平な有底箱状をなしている。スキャナーフレーム300は、上側から見て矩形状に配置された四つの側板と、四つの側板の下側を閉塞する底板とで構成されている。スキャナーフレーム300の各側板は、樹脂製の化粧カバーにより覆われて外部から見えないようになっている。スキャナーフレーム300の上面は、コンタクトガラス31aが装着された樹脂製の上側カバー31bにより閉塞されている。スキャナーフレーム300の内部には、コンタクトガラス31a上の原稿を読取る読取りユニットや、読取ユニットを副走査方向(左右方向)に移動可能にガイドするレール部材等が収容されている。レール部材は、スキャナーフレーム300の底板の上面に取付けられている。スキャナーフレーム300の底板には、このレール部材の他に、読取ユニットを駆動するベルト機構や駆動源であるモーター等が取付けられる。
【0034】
そして、スキャナーフレーム300は、前記本体フレーム100の右側支持フレーム110と後側支持フレーム120とのそれぞれに対して片持ち支持されている。シート排出空間Kは、支持フレーム110,120が設けられていない二方向(本実施形態では前側及び左側)に開放している。
【0035】
このような片持ち支持構造を採用した場合、スキャナーフレーム300における支持フレーム110,120に支持されていない左前側の角部が自重により下側に垂れ下がる虞がある。この垂れ下がりが発生すると、スキャナーフレーム300全体が歪んでしまうので、スキャナーフレーム300の底板に配置されたレール部材が湾曲して読取ユニットの直進性が阻害され、延いては、読取ユニットによる原稿画像の読取精度が低下するという問題が生じる。
【0036】
この問題を回避するべく、本実施形態では、本体フレーム100の後側支持フレーム120と、スキャナーフレーム300の左側板301(図4参照)との連結構造に工夫を凝らすことで上述したスキャナーフレーム300の垂れ下がりの問題を回避している。
【0037】
具体的には、図4に示すように、本体フレーム100の後側支持フレーム120と、スキャナーフレーム300の左側板301とを後述する連結部材50によって連結するようにしている。
【0038】
後側支持フレーム120は、水平支持部材121と鉛直支持部材122とを有している。水平支持部材121は、後側支持フレーム120の上端部において左右方向に水平に延べてスキャナーフレーム300を下方から支持する。鉛直支持部材122は、収容フレーム105の左後側の角部から上側に延びて水平支持部材121の左側端部に連結される。
【0039】
図4示すように、鉛直支持部材122は、水平支持部材121の左側端面に固定され、スキャナーフレーム300の左側板301は、鉛直支持部材122と共に水平支持部材121の左側端面に固定される。
【0040】
以下では、水平支持部材121、鉛直支持部材122、及びスキャナーフレーム300の左側板301の構成、特にこれら三つの部材の連結部付近の構成を詳細に説明し、その後、連結部材50の構成及びそれを用いた連結構造の詳細を説明する。
【0041】
[水平支持部材の詳細]
図5に示すように、水平支持部材121は、左右方向に延びる矩形状の水平板部121aと、該水平板部121aの左側端縁から上側に突出する第一固定用片121bと、水平板部121aの後端縁における左側端部から下側に突出する第二固定用片121cとを有している。第一固定用片121bには、左右方向に貫通する一対の螺子孔121dが形成されている。また、第二固定用片121cには、前後方向に貫通する一つの螺子孔121eが形成されている。
【0042】
[鉛直支持部材の詳細]
鉛直支持部材122は、厚さ方向が左右方向を向く状態で上下方向に延びる矩形状の鉛直板部122aと、鉛直板部122aの上端部における後側端縁から右側に突出する固定用片122bとを有している。固定用片122bの後側面における上下方向の中央部には、円柱状の係合突部122gが形成されている。固定用片122bにおける該係合突部122gの上側には、前後方向に貫通する螺子孔122hが形成され、該係合突部122gの下側には、前後方向に貫通する螺子挿通孔122iが形成されている。
【0043】
鉛直板部122aの上端部には左右方向に貫通する貫通孔122cが形成されている。貫通孔122cは前後方向に長い矩形状に開口し、上縁部の中央付近には下方に向けて突出して板厚方向からみて先端部が半円形状の上側突部122eが形成されている。貫通孔122cの下端面には、前後方向に間隔を空けて並ぶ一対の下側突部122fが形成されている。鉛直板部122aの上端部における貫通孔122cの下側には、前後方向(板幅方向)に並ぶ一対の螺子挿通開口122dが形成されている。各螺子挿通開口122dは、鉛直板部122aの一部を切欠いて折曲げることで形成されている。各螺子挿通開口122dの下端縁には、右側に突出する矩形状の折曲げ片122jが接続されている。
【0044】
[スキャナーフレームの左側板(被連結部材)の詳細]
左側板301は、厚さ方向が左右方向を向くように配置された矩形状の側板本体301aを有している。側板本体301aは、前後方向に延設されていて、その後端部が僅かに下側に屈曲して前記水平支持部材121に連結されるよう構成されている。
【0045】
側板本体301aにおける上端から後端に至る縁部には、右側に突出する突出リブ301bが全縁に亘って形成されている。第一突出リブ301bの後端部には、固定用片301dが形成されている。固定用片301dは、厚さ方向が前後方向を向くように形成されている。固定用片301dには、鉛直支持部材122に形成された係合突部122gと係合する係合孔301iが形成されている。固定用片301dにおける係合孔301iの上側には、前後方向に貫通する螺子挿通孔301jが形成されている。
【0046】
側板本体301aの左側面の後端部には、連結部材50の取付座面301cが形成されている。取付座面301cは、側板本体301aの他の部分よりも一段凹んだ位置に形成されている。側板本体301aにおける取付座面301cには、左右方向に貫通する貫通孔301eが形成されている。
【0047】
この貫通孔301eは、前後方向に長い矩形状孔からなる。貫通孔301eは、前記鉛直支持部材122に形成された貫通孔122cと同じ形状を有している。貫通孔301eは、後述する連結部材50の挿通板部51が挿通される挿通開口として機能する。ここでいう、挿通とは、挿通板部51が貫通孔301eを貫通する状態を意味する。貫通孔301eの上端面における前後方向の中央部には、下側に突出する上側突部301f(第一突部の一例)が形成されている。上側突部301fの先端面は、板厚方向(左右方向)から見て半円形状をなしている。貫通孔301eの下端面には、前後方向に間隔を空けて並ぶ一対の下側突部301gが形成されている。一対の下側突部301gは、上側突部301fの中央を通る鉛直線に対して前後対称に配置されている。
【0048】
[連結部材の構成]
図5図7に示すように、連結部材50は、一枚の板金部材を断面L字状に折り曲げて形成されている。以下の説明において、特に断らない限り、連結部材50が図7に示す組付け状態にあるものとして前後左右を定義する。
【0049】
連結部材50は、前後方向に水平に延びる矩形板状の挿通板部51と、挿通板部51の左側端縁から下側に垂下する矩形板状の取付板部52とを有している。挿通板部51は、スキャナーフレーム300の左側板301における貫通孔301eを貫通するとともに、本体フレーム100における鉛直支持部材122の貫通孔122cに挿通される。取付板部52は、前後方向に長い矩形板状をなしており、その前後方向の両端部にはそれぞれ螺子挿通孔52aが形成されている。
【0050】
[連結手順の説明]
次に、図5図8を参照して、水平支持部材121、鉛直支持部材122、及び左側板301の連結手順を説明する。
【0051】
先ず、水平支持部材121の左側端部に鉛直支持部材122を固定する。具体的には、水平支持部材121における第一固定用片121bの左側端面に、鉛直支持部材122の鉛直板部122aを当接させる。そして、鉛直支持部材122に形成された前記一対の折曲げ片122jの上面に水平支持部材121を支持させる。この状態で、鉛直支持部材122の螺子挿通孔122iに螺子64(図8参照)を挿通して水平支持部材121の螺子孔121eに螺合させる。これにより、水平支持部材121に対して鉛直支持部材122が固定される。
【0052】
次に、鉛直支持部材122とスキャナーフレーム300の左側板301とを連結部材50を介して連結する。
【0053】
具体的には、先ず、鉛直支持部材122の係合突部122g(図5参照)に、前記左側板301の係合孔301iを係合させることで左側板301の高さ合わせを行う。その後、左側板301の貫通孔301eが鉛直支持部材122の貫通孔122cに重なるように、鉛直支持部材122の位置合わせを行う。図6は、鉛直支持部材122の位置合わせが完了して両貫通孔122c,301eが重なった状態を示している。この状態で、連結部材50の挿通板部51を、両貫通孔122c,301eに挿通する。この挿通量は、図7に示すように、連結部材50の取付板部52が取付座面301cに当接することで規制される。連結部材50は、取付板部52における一対の螺子挿通孔52aに挿通された螺子61(図8参照)により固定される。各螺子61は、図5の二点鎖線矢印で示すように、連結部材50の螺子挿通孔52aと、左側板301の一対の螺子挿通孔301hと、鉛直支持部材122の螺子挿通開口122dとを貫通して、水平支持部材121に形成された螺子孔121dに螺合される。これにより、前記スキャナーフレーム300の左側板301が、鉛直支持部材122を挟んで水平支持部材121に固定される。また、左側板301は、この二つの螺子61の他に、二つの螺子62,63(図8参照)により固定される。一方の螺子62は、左側板301の取付座面301cに形成された螺子挿通孔301kを貫通して鉛直支持部材122の螺子孔122kに螺合する。他方の螺子63は、固定用片301dに形成された螺子挿通孔301jを貫通して鉛直支持部材122の螺子孔122hに螺合する。
【0054】
図9及び図10は、連結部材50に作用する画像読取装置3からの静荷重Fの伝達経路を説明するための説明図である。
【0055】
図9に示すように、画像読取装置3からの静荷重Fは、スキャナーフレーム300の左側板301における貫通孔301e内の上側突部301fを介して連結部材50の挿通板部51に伝達される。挿通板部51に伝達された荷重Fは、該挿通板部51を介して、左側板301の右側(図9の紙面垂直方向の奥側)に位置する鉛直支持部材122に伝達される。すなわち、挿通板部51に作用する荷重Fは、図10に示すように、鉛直支持部材122における貫通孔122c内の一対の下側突部122fを介して該鉛直支持部材122に伝達される。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置1では、鉛直支持部材122及びスキャナーフレーム300の左側板301にはそれぞれ、連結部材50が左右方向に挿通される貫通孔122c,301eが形成されている。
【0057】
連結部材50は、スキャナーフレーム300における左側板301の貫通孔301eを貫通するとともに、鉛直支持部材122の貫通孔122cに挿通される挿通板部51を有していて、該挿通板部51の上面が、前記左側板301における貫通孔301eの上端面に一箇所(図9参照)で当接し、鉛直支持部材122における貫通孔122cの下端面に、前後方向に離間した二箇所(図10参照)で当接するように構成されている。
【0058】
この構成によれば、スキャナーフレーム300における左側板301の後端部は、連結部材50を介して、前後方向に離間した二箇所で鉛直支持部材122に支持されている。したがって、例えば左側板301の後端部を鉛直支持部材122に対して一箇所で支持させるようにした場合に比べて、左側板301の前端部の垂れ下がりを抑制することができる。すなわち、左側板301の後端部を一箇所で支持するようにした場合、当該箇所を支点に左側板301が回転する形となり、左側板301の前端部が下側に大きく変位してしまう。これに対して、本実施形態では、左側板301の後端部が前後方向に離間する二箇所で支持されるので、左側板301が回転しようとしてもこの二箇所で踏ん張ることができる。よって、スキャナーフレーム300のうち本体フレーム100の支持フレーム110,120に支持されていない左前側の角部の垂れ下がりを防止することができる。延いては、スキャナーフレーム300の変形に起因する原稿画像の読取精度の低下を防止することができる。
【0059】
スキャナーフレーム300の左側板301における貫通孔301eの上端面には、下側に突出して前記連結部材50の挿通板部51に当接する一つの上側突部301fが突設されている。また、鉛直支持部材122における貫通孔122cの下端面には、前後に離間して形成され、上側に突出して連結部材50の挿通板部51に当接する少なくとも二つの下側突部122fが突設されている。
【0060】
この構成によれば、挿通板部51の表面に突部を形成する必要がないので、連結部材50を安価に構成することができる。
【0061】
前記スキャナーフレーム300の上側突部301fと、鉛直支持部材122の二つの下側突部122fとは、連結部材50の挿通板部51との当接部が、左右方向に延びる線状をなすように形成されている。具体的には、前記上側突部301fと、前記下側突部122fとは、突出面が円筒面状に形成されている。
【0062】
この構成によれば、スキャナーフレーム300の上側突部301fと、鉛直支持部材122の二つの下側突部122fとを、連結部材50の挿通板部51に面接触させる場合に比べて、各突部301f,122fの形状精度に対する要求を緩和することができる。したがって、連結部材50を安価に製造することができる。
【0063】
また、本実施形態では、連結部材50は、前記挿通板部51における挿通先端側とは反対側の基端部に接続され、鉛直方向に延びるとともに複数の螺子挿通孔52aを有する取付板部52を有していて、該取付板部52の各螺子挿通孔52aに挿通された螺子61が、スキャナーフレーム300の左側板301と、後側支持フレーム120の鉛直支持部材122とを貫通して、前記後側支持フレーム120における前記水平支持部材121に形成された螺子孔121dに螺合することで固定されるように構成されている。
【0064】
この構成によれば、スキャナーフレーム300の左側板301と、後側支持フレーム120の鉛直支持部材122とを、連結部材50及び螺子61によって水平支持部材121に共締め固定することができる。
【0065】
(他の実施形態)
前記実施形態は、連結部材50における挿通板部51の上面が、左側板301における貫通孔301eの上端面に一箇所(図9参照)で当接する例を説明したが、これに限ったものではなく、二箇所以上で当接していてもよい。
【0066】
前記実施形態では、連結部材50における挿通板部51の下面が、鉛直支持部材122における貫通孔122cの下端面に、前後方向に離間した二箇所(図10参照)で当接する例を説明したが、これに限ったものではなく、三箇所以上で当接するものであってもよい。
【0067】
前記実施形態では、前記上側突部301fと、前記一対の下側突部122fとは、突出面が円筒面状に形成されているが、これに限ったものではなく、例えば、四角柱状や三角柱状に形成されていてもよい。
【0068】
前記実施形態では、画像形成装置1が複写機である例を説明したが、これに限ったものではない。画像形成装置1は例えば複合機(MFP)等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上説明したように、本発明は、画像形成装置について有用であり、特に、胴内排紙型の複写機又は複合機(MFP)等に適用する場合に有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 :画像形成装置
2 :画像形成装置本体
21 :水平支持部材
31 :スキャナー筐体
50 :連結部材
51 :挿通板部
52 :取付板部
52a :螺子挿通孔
61 :螺子
100 :本体フレーム
110 :右側支持フレーム(第一支持フレーム)
120 :後側支持フレーム(第二支持フレーム)
121 :水平支持部材
121d :螺子孔
122 :鉛直支持部材
122c :貫通孔
122f :下側突部(第二突部)
300 :スキャナーフレーム
301e :貫通孔
301f :上側突部(第一突部)
K :シート排出空間
p :シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10