(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】液体吐出装置、及び集積回路装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14 301
(21)【出願番号】P 2020166261
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 一仁
(72)【発明者】
【氏名】原 智子
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-149099(JP,A)
【文献】特開2019-038213(JP,A)
【文献】特開2006-102976(JP,A)
【文献】特開2004-358701(JP,A)
【文献】特開2017-114019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、
第1データ、第2データ、第3データ、及び第4データを含む吐出制御信号を出力する吐出制御信号出力回路と、
前記駆動信号と前記吐出制御信号とに基づいて、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
を備え、
前記液体吐出ヘッドは、
前記駆動信号により駆動される第1駆動素子、第2駆動素子、第3駆動素子、及び第4駆動素子と、
前記吐出制御信号に基づいて前記第1駆動素子、前記第2駆動素子、前記第3駆動素子、及び前記第4駆動素子への前記駆動信号の供給を制御する集積回路と、
を有し、
前記集積回路は、
前記駆動信号が入力され前記第1駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第1スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第2駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第2スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第3駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第3スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第4駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第4スイッチ回路と、
前記吐出制御信号が入力され、前記第1スイッチ回路、前記第2スイッチ回路、前記第3スイッチ回路、及び前記第4スイッチ回路のそれぞれが前記駆動信号を出力するか否かを制御するスイッチ制御回路と、
を有し、
前記スイッチ制御回路は、
前記第1データと前記第2データとが入力される第5スイッチ回路と、
前記第1データと前記第3データとが入力される第6スイッチ回路と、
前記第1データと前記第4データとが入力される第7スイッチ回路と、
を有し、
前記第5スイッチ回路は、前記第1データを前記第2スイッチ回路に出力するのか、前記第2データを前記第2スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第6スイッチ回路は、前記第1データを前記第3スイッチ回路に出力するのか、前記第3データを前記第3スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第7スイッチ回路は、前記第1データを前記第4スイッチ回路に出力するのか、前記第4データを前記第4スイッチ回路に出力するのかを切り替える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記スイッチ制御回路は、前記第1データに基づいて前記第1スイッチ回路、前記第2スイッチ回路、前記第3スイッチ回路、及び前記第4スイッチ回路を制御する第1モードと、前記第1データに基づいて前記第1スイッチ回路を制御し、前記第2データに基づいて前記第2スイッチ回路を制御し、前記第3データに基づいて前記第3スイッチ回路を制御し、前記第4データに基づいて前記第4スイッチ回路を制御する第2モードと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1モードと前記第2モードとは、前記集積回路に入力される切替制御信号に基づいて、切り替えられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体吐出ヘッドは、
前記第1駆動素子の駆動により圧力が変化する第1圧力室と、
前記第2駆動素子の駆動により圧力が変化する第2圧力室と、
前記第3駆動素子の駆動により圧力が変化する第3圧力室と、
前記第4駆動素子の駆動により圧力が変化する第4圧力室と、
前記第1圧力室、前記第2圧力室、前記第3圧力室、及び前記第4圧力室と連通し、液体を吐出するノズルと、
を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
第1駆動素子、第2駆動素子、第3駆動素子、及び第4駆動素子を有する液体吐出ヘッドに設けられる集積回路であって、
駆動信号が入力され前記第1駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第1スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第2駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第2スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第3駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第3スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第4駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第4スイッチ回路と、
吐出制御信号が入力され、前記第1スイッチ回路、前記第2スイッチ回路、前記第3スイッチ回路、及び前記第4スイッチ回路のそれぞれが前記駆動信号を出力するか否かを制御するスイッチ制御回路と、
を有し、
前記スイッチ制御回路は、
第1データと第2データとが入力される第5スイッチ回路と、
前記第1データと第3データとが入力される第6スイッチ回路と、
前記第1データと第4データとが入力される第7スイッチ回路と、
を有し、
前記第5スイッチ回路は、前記第1データを前記第2スイッチ回路に出力するのか、前記第2データを前記第2スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第6スイッチ回路は、前記第1データを前記第3スイッチ回路に出力するのか、前記第3データを前記第3スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第7スイッチ回路は、前記第1データを前記第4スイッチ回路に出力するのか、前記第4データを前記第4スイッチ回路に出力するのかを切り替える、
ことを特徴とする集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及び集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体に液体を吐出する液体吐出装置には、駆動信号に基づいて駆動素子を駆動することにより液体が充填されているキャビティーの内圧を変化させ、当該内圧の変化により液体を吐出する構成が知られている。また、このような駆動素子の駆動によりキャビティーの内圧を変化させることで液体を吐出する液体吐出装置の内、高粘度の液体を吐出する液体吐出装置や、吐出ヘッドに供給された液体を循環させる機能を有する液体吐出装置等の場合において、安定した液体との吐出、及び安定した液体の循環を目的として、液体が吐出される1個のノズルに対応して複数の駆動素子を備え、当該複数の駆動素子が駆動することで、液体を吐出する液体吐出装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、駆動素子としての圧電素子に駆動によりキャビティーの内圧を変化させインクを吐出する液体吐出装置であって、圧電素子に選択的に駆動信号を印加させる駆動ICにおいて、対応する圧電素子に駆動信号を供給するためのスイッチと隣り合う圧電素子に駆動信号を供給するためのスイッチが設けられた、液体吐出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の液体吐出装置では、近年の液体の吐出速度の高速化の要求の高まりに対する信号の伝搬速度の向上、さらに、半導体装置の汎用性を向上させるとの観点において、十分でなく、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、
駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、
第1データ、第2データ、第3データ、及び第4データを含む吐出制御信号を出力する吐出制御信号出力回路と、
前記駆動信号と前記吐出制御信号とに基づいて、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
を備え、
前記液体吐出ヘッドは、
前記駆動信号により駆動される第1駆動素子、第2駆動素子、第3駆動素子、及び第4駆動素子と、
前記吐出制御信号に基づいて前記第1駆動素子、前記第2駆動素子、前記第3駆動素子、及び前記第4駆動素子への前記駆動信号の供給を制御する集積回路と、
を有し、
前記集積回路は、
前記駆動信号が入力され前記第1駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第1スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第2駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第2スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第3駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第3スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第4駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第4スイッチ回路と、
前記吐出制御信号が入力され、前記第1スイッチ回路、前記第2スイッチ回路、前記第3スイッチ回路、及び前記第4スイッチ回路のそれぞれが前記駆動信号を出力するか否かを制御するスイッチ制御回路と、
を有し、
前記スイッチ制御回路は、
前記第1データと前記第2データとが入力される第5スイッチ回路と、
前記第1データと前記第3データとが入力される第6スイッチ回路と、
前記第1データと前記第4データとが入力される第7スイッチ回路と、
を有し、
前記第5スイッチ回路は、前記第1データを前記第2スイッチ回路に出力するのか、前記第2データを前記第2スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第6スイッチ回路は、前記第1データを前記第3スイッチ回路に出力するのか、前記第3データを前記第3スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第7スイッチ回路は、前記第1データを前記第4スイッチ回路に出力するのか、前記第4データを前記第4スイッチ回路に出力するのかを切り替える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【0007】
本発明に係る集積回路装置の一態様は、
第1駆動素子、第2駆動素子、第3駆動素子、及び第4駆動素子を有する液体吐出ヘッドに設けられる集積回路であって、
駆動信号が入力され前記第1駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第1スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第2駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第2スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第3駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第3スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第4駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第4スイッチ回路と、
吐出制御信号が入力され、前記第1スイッチ回路、前記第2スイッチ回路、前記第3スイッチ回路、及び前記第4スイッチ回路のそれぞれが前記駆動信号を出力するか否かを制御するスイッチ制御回路と、
を有し、
前記スイッチ制御回路は、
第1データと第2データとが入力される第5スイッチ回路と、
前記第1データと第3データとが入力される第6スイッチ回路と、
前記第1データと第4データとが入力される第7スイッチ回路と、
を有し、
前記第5スイッチ回路は、前記第1データを前記第2スイッチ回路に出力するのか、前記第2データを前記第2スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第6スイッチ回路は、前記第1データを前記第3スイッチ回路に出力するのか、前記第3データを前記第3スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第7スイッチ回路は、前記第1データを前記第4スイッチ回路に出力するのか、前記第4データを前記第4スイッチ回路に出力するのかを切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】連通板に形成されたノズル流路の形状の一例を示す図である。
【
図6】駆動信号COMの波形の一例を示す図である。
【
図7】比較例の駆動信号選択回路の構成を示す図である。
【
図8】本実施形態における駆動信号選択回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.液体吐出装置の概要
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す図である。本実施形態における液体吐出装置1は、液体の一例としてのインクを吐出する液体吐出ヘッド22が搭載されたキャリッジ21が往復移動するとともに、液体吐出ヘッド22が搬送される媒体Pに対してインクを吐出することで、媒体Pに所望の画像を形成するシリアル印刷方式のインクジェットプリンターである。以下の説明では、キャリッジ21が移動する方向をX方向、媒体Pが搬送される方向をY方向、インクが吐出される方向をZ方向として説明する。なお、X方向、Y方向、及びZ方向は互いに直交する方向として説明を行うが、液体吐出装置1が備える各種構成が直交して設けられていることに限るものではない。ここで、液体を吐出する液体吐出ヘッド22を搭載したキャリッジ21が往復移動するX方向に沿った方向を主走査方向、媒体Pが搬送されるY方向に沿った方向を搬送方向、液体吐出ヘッド22がインクを吐出するZ方向に沿った方向を吐出方向と称する場合がある。
【0011】
ここで、以下の説明において、X方向を示す矢印の起点側を-X側、先端側を+X側と称し、Y方向を示す矢印の起点側を-Y側、先端側を+Y側と称し、Z方向を示す矢印の起点側を-Z側、先端側を+Z側と称する場合がある。
【0012】
図1に示すように液体吐出装置1は、インク容器2、制御ユニット10、ヘッドユニット20、移動ユニット30、搬送ユニット40、及び循環機構90を備える。
【0013】
インク容器2には、媒体Pに吐出される複数種類のインクが貯留されている。インク容器2に貯留されるインクの色彩としては、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グレー等が挙げられる。このようなインクが貯留されるインク容器2としては、インクカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、及びインクの補充が可能なインクタンク等を用いることができる。
【0014】
循環機構90は、制御ユニット10が出力する制御信号CTR1に基づいて、インク容器2に貯留されたインクを液体吐出ヘッド22に供給する。また、循環機構90は、制御ユニット10が出力する制御信号CTR1に基づいて、液体吐出ヘッド22が有する排出流路に貯留されたインクを回収する。すなわち、循環機構90は、液体吐出装置1において、インクを還流させる。
【0015】
制御ユニット10は、例えばCPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリ等の記憶回路とを含み、液体吐出装置1の各要素を制御する。
【0016】
ヘッドユニット20は、キャリッジ21と液体吐出ヘッド22とを含む。液体吐出ヘッド22は、キャリッジ21に搭載されている。また、キャリッジ21は、後述する移動ユニット30に含まれる無端ベルト32に固定されている。液体吐出ヘッド22には、制御ユニット10が出力するインクの吐出を制御するための吐出データ信号DATAと、液体吐出ヘッド22からインクが吐出されるように駆動するための駆動信号COMとが入力される。そして、液体吐出ヘッド22は、吐出データ信号DATAと駆動信号COMとに基づいて、循環機構90を介してインク容器2から供給されるインクを媒体Pに吐出する。
【0017】
移動ユニット30は、キャリッジモーター31及び無端ベルト32を含む。キャリッジモーター31は、制御ユニット10から入力される制御信号CTR2に基づいて動作する。無端ベルト32は、キャリッジモーター31の動作に従って回転する。これにより、無端ベルト32に固定されたキャリッジ21がX方向に沿って往復移動する。
【0018】
搬送ユニット40は、搬送モーター41及び搬送ローラー42を含む。搬送モーター41は、制御ユニット10から入力される制御信号CTR3に基づいて動作する。搬送ローラー42は、搬送モーター41の動作に従って回転する。この搬送ローラー42の回転に伴って媒体PがY方向に沿って搬送される。
【0019】
以上のように液体吐出装置1は、搬送ユニット40による媒体Pの搬送と移動ユニット30によるキャリッジ21の往復移動とに連動して、キャリッジ21に搭載された液体吐出ヘッド22からインクが吐出されることで、媒体Pの表面の任意の位置にインクが着弾し、媒体Pに所望の画像を形成する。
【0020】
図2は、液体吐出装置1の機能構成を示す図である。
図2に示すように、液体吐出装置1は、制御ユニット10と、ヘッドユニット20とを備える。そして、制御ユニット10とヘッドユニット20とは、フレキシブルフラットケーブル等の摺動性を有するケーブル190によって電気的に接続される。
【0021】
制御ユニット10は、制御回路100、及び駆動信号出力回路50を有する。
【0022】
制御回路100には、ホストコンピューター等の外部機器が出力する媒体Pに形成される画像の情報を含む画像情報信号IMGが入力される。そして、制御回路100は、画像情報信号IMGに基づいて、液体吐出装置1の各部を制御する吐出データ信号DATAとして、吐出制御信号DI、ラッチ信号LAT、切替信号SW、及びクロック信号SCKをヘッドユニット20に出力する。
【0023】
具体的には、制御回路100は、制御信号CTR1を生成し循環機構90に出力する。循環機構90は、入力される制御信号CTR1に従ってインク容器2に貯留されたインクを液体吐出ヘッド22に供給するとともに、液体吐出ヘッド22の排出流路に貯留されたインクを回収する。また、制御回路100は、制御信号CTR2を生成しキャリッジモーター31に出力する。これにより、キャリッジモーター31が駆動する。また、制御回路100は、制御信号CTR3を生成し搬送モーター41に出力する。これにより、X方向に沿ったキャリッジ21の往復移動と、Y方向に沿った媒体Pの搬送とが制御される。なお、制御信号CTR1,CTR2,CTR3は、不図示のドライバー回路を介して対応する構成に入力されてもよい。
【0024】
また、制御回路100は、基駆動信号dAを生成し駆動信号出力回路50に出力する。駆動信号出力回路50は、入力される基駆動信号dAに基づいて駆動信号COMを生成しヘッドユニット20に出力する。具体的には、駆動信号出力回路50は、入力される基駆動信号dAをデジタル/アナログ変換し、変換されたアナログ信号をD級増幅することで
、駆動信号COMを生成し、ヘッドユニット20に出力する。
【0025】
ヘッドユニット20は、複数の液体吐出ヘッド22を有する。また、複数の液体吐出ヘッド22は、それぞれが、駆動信号選択回路200と、複数の圧電素子60とを含む。駆動信号選択回路200には、制御回路100が出力する吐出制御信号DI、ラッチ信号LAT、切替信号SW、及びクロック信号SCKと、駆動信号出力回路50が出力する駆動信号COMと、が入力される。そして、駆動信号選択回路200は、入力される吐出制御信号DI、ラッチ信号LAT、切替信号SW、及びクロック信号SCKに基づいて、駆動信号COMを圧電素子60に供給するか否かを切り替える。ここで、以下の説明において、駆動信号選択回路200が出力する駆動信号COMを圧電素子60に供給するか否かを切り替えることにより生成されて信号を駆動信号VOUTと称する。なお、駆動信号選択回路200の構成、及び動作の詳細については後述する。
【0026】
圧電素子60の一端には、駆動信号選択回路200が出力する駆動信号VOUTが供給される。また、圧電素子60の他端には、圧電素子60の駆動の基準電位となる基準電圧信号VBSが供給されている。そして、圧電素子60は、駆動信号VOUTと基準電圧信号VBSとの電位差に応じて駆動する。ここで、圧電素子60の他端に供給される基準電圧信号VBSは、圧電素子60の駆動の基準となる直流電圧の信号であって、例えば、DC5.5VやDC6V等の一定電位の信号であってもよく、グラウンド電位の信号であってもよい。
【0027】
ここで、駆動信号COMが、駆動信号出力回路50が出力する駆動信号の一例である。また、駆動信号VOUTが、駆動信号COMを圧電素子60に供給するか否が切り替えられることで生成された信号であるが故に、駆動信号VOUTも、駆動信号出力回路50が出力する駆動信号の一例であるといえる。
【0028】
2.液体吐出ヘッドの構成
次に、駆動信号選択回路200が設けられた液体吐出ヘッド22の構成について説明する。
図3は、液体吐出ヘッド22の分解斜視図である。
図4は、
図3におけるA-A線の断面図である。
【0029】
図3及び
図4に示す通り、液体吐出ヘッド22は、ノズル基板360、コンプライアンスシート361,362、連通板302、圧力室基板303、振動板304、貯留室形成基板305、及び配線基板308を備える。
【0030】
ノズル基板360は、Y方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材である。ノズル基板360には、M個のノズルNが形成されている。ノズルNは、ノズル基板360に設けられた貫通孔である。そして、M個のノズルNは、ノズル基板360において、Y方向に沿って並設されている。以下の説明において、Y方向に沿って並設されているノズルNが成す列をノズル列Lnと称する場合がある。ここで、「略平行」とは、完全に平行である場合の他に、誤差を考慮すれば平行であるとみなせる場合を含む。
【0031】
連通板302は、ノズル基板360の-Z側に位置している。連通板302は、Y方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材であり、インクの流路が形成されている。
【0032】
具体的には、連通板302には、供給流路RA1と、排出流路RA2とが形成されている。供給流路RA1は、連通板302の+X側に位置し、Y方向に沿って延在している。排出流路RA2は、連通板302の-X側に位置し、Y方向に沿って延在している。
【0033】
また、連通板302には、2M個の接続流路RK1と、2M個の接続流路RK2と、2M個の連通流路RR1と、2M個の連通流路RR2と、M個のノズルNと1対1に対応するM個のノズル流路RNと、が形成されている。
【0034】
M個の接続流路RK1は、供給流路RA1の-X側において、Y方向に沿って並設している。M個の連通流路RR1は、Y方向に沿って並設しているM個の接続流路RK1の-X側において、Y方向に沿って並設している。また、M個の接続流路RK2は、排出流路RA2の+X側であって、Y方向に沿って並設しているM個の連通流路RR1の-X側において、Y方向に沿って並設している。M個の連通流路RR2は、Y方向に沿って並設しているM個の接続流路RK2の+X側であって、Y方向に沿って並設しているM個の連通流路RR1の-X側において、Y方向に沿って並設している。ノズル流路NRは、共通のノズルNに対応する2個の連通流路RR1と2個の連通流路RR2とを連通する。そして、連通板302をZ方向からみたときに、ノズル流路NRのX方向における略中央に対応するノズルNが位置する。ここで、「略中央」とは、厳密に中央である場合の他に、誤差を考慮すれば中央であるとみなせる場合を含む。
【0035】
ここで、連通板302におけるノズル流路NRの形状について
図5を用いて説明する。
【0036】
図5は、連通板302に形成されたノズル流路NRの形状の一例を示す図である。
図5に示すように、ノズル流路NRは、2個の連通流路RRと2個の連通流路RR2とを連通する。具体的には、ノズル流路NRは、2個の連通流路RR1の一方と2個の連通流路RR2の一方とを連通し、2個の連通流路RR1の他方と2個の連通流路RR2の他方とを連通する。この場合に、2個の連通流路RR1の一方と2個の連通流路RR2の一方とを連通するノズル流路NRと、2個の連通流路RR1の他方と2個の連通流路RR2の他方とを連通するノズル流路NRとが、連通板302において交差するように、ノズル流路NRが形成されている。そして、2個の連通流路RR1の一方と2個の連通流路RR2の一方とを連通するノズル流路NRと、2個の連通流路RR1の他方と2個の連通流路RR2の他方とを連通するノズル流路NRとが交差する交点に、ノズルNが位置している。
【0037】
図3及び
図4に戻り、圧力室基板303は、連通板302の-Z側に位置している。圧力室基板303は、
Y軸方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材であり、インクの流路が形成されている。
【0038】
具体的には、圧力室基板303には、2M個の圧力室CB1と、2M個の圧力室CB2とが、それぞれY軸方向に沿って並んで形成されている。そして、圧力室CB1は、共通のノズルNに対応する接続流路RK1と連通流路RR1を連通する。詳細には、Z方向から見た場合に、圧力室CB1の+X側の端部と接続流路RK1とが連通し、圧力室CB1の-X側の端部と連通流路RR1とが連通することで、圧力室CB1は、共通のノズルNに対応する接続流路RK1と連通流路RR1を連通する。また、圧力室CB2は、共通のノズルNに対応する接続流路RK2と連通流路RR2とを連通する。詳細には、圧力室CB2は、Z方向から見た場合に、圧力室CB2の-X側の端部と接続流路RK2とが連通し、圧力室CB2の+X側の端部と連通流路RR2とが連通することで、圧力室CB2は、共通のノズルNに対応する接続流路RK2と連通流路RR2とを連通する。したがって、1つのノズルNに対して、2個の圧力室CB1と、2個の圧力室CB2とが連通する。
【0039】
振動板304は、圧力室基板303の-Z側に位置している。振動板304は、Y方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材であって、弾性的に振動可能な部材である。
【0040】
振動板304の-Z側には、液体吐出ヘッド22が有する複数の圧電素子60の内の、M個の圧力室CB1に1対1に対応するM個の圧電素子60aと、液体吐出ヘッド22が有する複数の圧電素子60の内の、M個の圧力室CB2に1対1に対応するM個の圧電素子60bとが、それぞれY方向に沿って並設されている。すなわち、振動板304の-Z側には、4M個の圧電素子60が2列で並設されている。
【0041】
圧電素子60a,60bは、供給される駆動信号VOUTの電位の変化に応じて駆動される。そして、振動板304は、圧電素子60a,60bの駆動に連動し変位する。その結果、圧力室CB1,CB2の内部圧力が変化する。そして、圧力室CB1,CB2の内部圧力が変化することで、圧力室CB1,CB2の内部に充填されたインクが、連通流路RR1,RR2及びノズル流路RNを経由して、ノズルNから吐出される。
【0042】
配線基板308は、振動板304の-Z側の面に接続されている。配線基板308は、液体吐出ヘッド22の内部に吐出データ信号DATA、駆動信号COMを含む各種の信号を伝搬する。このような配線基板308としては、例えば、フレキシブル配線基板(FPC:Flexible Printed Circuit)等の可撓性の構成が用いられる。また、配線基板308には、集積回路201がCOF(Chip On Film)実装されている。この集積回路201には、前述した駆動信号選択回路200が実装されている。すなわち、配線基板308は、吐出データ信号DATA、駆動信号COMを含む各種の信号を集積回路201に伝搬するとともに、集積回路201に含まれる駆動信号選択回路200が出力する駆動信号VOUTを対応する圧電素子60に伝搬する。この駆動信号選択回路200が実装された集積回路201が集積回路装置の一例である。
【0043】
貯留室形成基板305は、連通板302の-Z側に位置している。貯留室形成基板5は、Y方向に長尺な部材であり、インクの流路が形成されている。
【0044】
具体的には、貯留室形成基板5には、供給流路RB1と排出流路RB2とが形成されている。供給流路RB1は、供給流路RA1と連通する。排出流路RB2は、排出流路RA2と連通する。また、貯留室形成基板5には、供給流路RB1と連通する導入口351と、排出流路RB2と連通する排出口352とが設けられている。導入口351には、インク容器2からインクが供給される。これにより、供給流路RB1には、導入口351を介してインク容器2からインクが供給される。また、排出流路RB2に貯留されたインクは、排出口352を介して回収される。排出口352から回収されたインクは、インク容器2に戻される。また、貯留室形成基板305には、開口350が形成されている。開口350の内側には、圧力室基板303、振動板304、及び配線基板308が設けられている。
【0045】
このような貯留室形成基板305は、例えば、樹脂材料の射出成形により形成される。
【0046】
なお、貯留室形成基板305は、公知の材料および製法を任意に採用することで製造されてもよい。
【0047】
以上のように構成された液体吐出ヘッド22では、インク容器2から導入口351に供給されたインクは、供給流路RB1を経由して、供給流路RA1に流入する。そして、供給流路RA1に流入したインクは、2個の接続流路RK1においてノズルN毎に分岐し、対応する2個の圧力室CB1に流入する。圧力室CB1に流入したインクの一部は、連通流路RR1、ノズル流路RN、及び2個の連通流路RR2を経由して、2個の圧力室CB2に流入する。そして、圧力室CB2に流入したインクの一部は、接続流路RK2、排出流路RA2、及び排出流路RB2を経由して、排出口352から排出される。
【0048】
そして、駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTにより圧電素子60aが駆動されると、圧力室CB1の内部に充填されているインクの一部が、連通流路RR1、及びノズル流路RNを経由して、ノズルNから吐出される。また、駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTにより圧電素子60bが駆動されると、圧力室CB2内部に充填されているインクの一部が、連通流路RR2、及びノズル流路RNを経由して、ノズルNから吐出される。
【0049】
コンプライアンスシート361は、連通板302の+Z側に位置し、連通板302に形成された供給流路RA1、及び接続流路RK1を閉塞する。このコンプライアンスシート361は、弾性材料を含んで形成されており、供給流路RA1、及び接続流路RK1で生じたインクの圧力変動を吸収する。また、コンプライアンスシート362は、連通板302の+Z側に位置し、連通板302に形成された排出流路RA2、及び接続流路RK2を閉塞する。このコンプライアンスシート362は、弾性材料を含んで形成されており、排出流路RA2、及び接続流路RK2で生じたインクの圧力変動を吸収する。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る液体吐出装置1が有する液体吐出ヘッド22は、2個の圧電素子60aの駆動により圧力が変化する2個の圧力室CB1と、2個の圧電素子60bの駆動により圧力が変化する2個の圧力室CB2と、2個の圧力室CB1及び2個の圧力室CB2と連通し、液体を吐出するノズルNと、を有する。これにより、供給流路RA1から液体吐出ヘッド22に供給されたインクを排出流路RA2へと導くことが可能となり、液体吐出ヘッド22の内部でインクが循環する。その結果、液体吐出ヘッド22に貯留されるインクに粘度の変化等の特性の変化が生じるおそれが低減する。
【0051】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド22は、2個の圧電素子60aと2個の圧電素子60bの4個の圧電素子60を用いて、2個の圧力室CB1の内部に充填されているインクと、2個の圧力室CB2の内部に充填されているインクとを、ノズルNから吐出することができるため、1個の圧電素子60を用いて1個の圧力室内部に充填されているインクをノズルNから吐出する場合と比較して、駆動能力を高めることが可能となり、その結果、ノズルNからのインクの吐出量を増大させることができるとともに、粘度の高いインクが使用される場合であっても、安定した吐出特性を実現することが出来る。
【0052】
ここで、以下の説明において、2個の圧電素子60a、2個の圧電素子60bと、2個の圧力室CB1、2個の圧力室CB2と、2個の連通流路RR1、2個の連通流路RR2と、ノズルNとを含む構成を4個の圧電素子60の駆動によりノズルNからインクを吐出するための吐出部600と称する場合がある。
【0053】
3.駆動信号波形の一例
ここで、駆動信号出力回路50が出力する駆動信号COMの波形の一例について説明する。
図6は、駆動信号COMの波形の一例を示す図である。
図6に示すように駆動信号COMは、周期T毎に台形波形Adpを含む信号である。この駆動信号COMに含まれる台形波形Adpは、電圧Vcで一定の期間と、電圧Vcで一定の期間の後に位置する電圧Vcよりも低電位の電圧Vbで一定の期間と、電圧Vbで一定の期間の後に位置する電圧Vcよりも高電位の電圧Vtで一定の期間と、電圧Vtで一定の期間の後に位置する電圧Vcで一定の期間とを含む。すなわち、駆動信号COMは、電圧Vcで始まり電圧Vcで終了する台形波形Adpを含む。
【0054】
ここで、電圧Vcは、駆動信号COMにより駆動する圧電素子60の変位の基準となる基準電位として機能する。このとき、圧電素子60の変位は一定の状態で保持される。そして、台形波形Adpを含む駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTが圧電素子60に供給されると、駆動信号VOUTの電圧値が電圧Vcから電圧Vbとなる。これにより、
圧電素子60が例えば、上方に撓み、その結果、圧力室CB1及び圧力室CB2の内部容積が拡大する。したがって、圧力室CB1及び圧力室CB2にインクが引き込まれる。その後、駆動信号VOUTの電圧値が電圧Vbから電圧Vtとなることで、圧電素子60が下方に撓み、その結果、圧力室CB1及び圧力室CB2の内部容積が縮小する。したがって、圧力室CB1及び圧力室CB2に貯留されているインクが、ノズルNから吐出される。
【0055】
ここで、圧電素子60の駆動によりノズルNからインクが吐出された後、一定の期間、ノズルNの近傍のインクや振動板304が振動を継続する場合がある。駆動信号COMに含まれる電圧Vcで一定の期間は、このようなノズルNの近傍のインクや振動板304に生じた振動を静止させるための期間として機能し、これにより、周期T毎に安定したインクの吐出特性を実現している。
【0056】
4.駆動信号選択回路の構成、及び動作
次に、吐出部600が4個の圧電素子60を有し、当該4個の圧電素子60を用いて1つのノズルNからインクを吐出する液体吐出ヘッド22を有する液体吐出装置1において、圧電素子60に供給される駆動信号VOUTを出力する駆動信号選択回路200の構成、及び動作について説明する。
【0057】
本実施形態における駆動信号選択回路200の構成、及び動作を説明するにあたり、まず、
図7を用いて、比較例の駆動信号選択回路200aの構成、及び動作について説明する。その後、吐出部600が4個の圧電素子60を有し、当該4個の圧電素子60を用いて1つのノズルNからインクを吐出する液体吐出ヘッド22を有する液体吐出装置1に比較例の駆動信号選択回路200aを適用した場合に生じうる問題について説明する。
【0058】
図7は、比較例の駆動信号選択回路200aの構成を示す図である。
図7に示すように、比較例の駆動信号選択回路200aは、選択制御回路210と、4M個の圧電素子60に対応して設けられた4M個の選択回路TGとを有する。また、選択制御回路210は、シフトレジスター220と、4M個の選択回路TGに対応する4M個のラッチ回路LTとを有する。
【0059】
シフトレジスター220は、4M個の圧電素子60に対応した4M個のレジスターRGを有する。そしてシフトレジスター220は、入力される吐出制御信号DIに含まれる吐出データdDIをクロック信号SCKに同期して、順次後段のレジスターRGに転送するとともに、クロック信号SCKの供給が停止すると、吐出データdDIをレジスターRGに保持する。ここで、吐出制御信号DIに含まれる吐出データdDIとは、圧電素子60に駆動信号COMを駆動信号VOUTとして供給するか否かを規定する1ビットのデータ信号である。すなわち、吐出制御信号DIには、液体吐出ヘッド22が有する圧電素子60の数と同数の4M個の吐出データdDIがシリアルに含まれている。換言すれば、吐出制御信号DIは、4M個の吐出データdDIをシリアルに含む4Mビットの信号である。
【0060】
シフトレジスター220は、第1シフトレジスター221と第2シフトレジスター222とを有する。第1シフトレジスター221は、4M個のレジスターRGの内、直列に接続されたM個のレジスターRGa[1]~RGa[2M]を含む。第1シフトレジスター221は、クロック信号SCKの立下りにおいて、吐出制御信号DIに含まれる吐出データdDIを2M個のレジスターRGa[1]~RGa[2M]で順に転送するとともに、クロック信号SCKの供給が停止すると、吐出制御信号DIに含まれる吐出データdDIをM個のレジスターRGa[1]~RGa[2M]で保持する。ここで、2M個のレジスターRGa[1]~RGa[2M]は、第1シフトレジスター221において、吐出制御信号DIが転送される下流側から上流側に向かいレジスターRGa[1]、レジスターR
Ga[2]、…、レジスターRGa[2M]の順に直列に接続されている。すなわち、吐出制御信号DIに含まれる吐出データdDIは、クロック信号SCKの立下りに同期して、レジスターRGa[2M]、レジスターRGa[2M-1]、…、レジスターRGa[1]の順に転送される。
【0061】
第2シフトレジスター222は、4M個のレジスターRGの内、直列に接続されたM個のレジスターRGb[1]~RGb[2M]を有する。第2シフトレジスター222は、クロック信号SCKの立ち上がりにおいて、吐出制御信号DIに含まれる吐出データdDIを2M個のレジスターRGb[1]~RGb[2M]で順に転送するとともに、クロック信号SCKの供給が停止すると、吐出制御信号DIに含まれる吐出データdDIを2M個のレジスターRGb[1]~RGb[2M]で保持する。ここで、2M個のレジスターRGb[1]~RGb[2M]は、第2シフトレジスター222において、吐出制御信号DIが転送される下流側から上流側に向かいレジスターRGb[1]、レジスターRGb[2]、…、レジスターRGb[2M]の順に直列に接続されている。すなわち、吐出制御信号DIに含まれる吐出データdDIは、クロック信号SCKの立ち上がりに同期して、レジスターRGb[2M]、レジスターRGb[2M-1]、…、レジスターRGb[1]の順に転送される。
【0062】
4M個のラッチ回路LTは、第1シフトレジスター221が有するレジスターRGa[1]~RGa[2M]、及び第2シフトレジスター222が有するレジスターRGb[1]~RGb[2M]のそれぞれに対応して設けられている。そして、ラッチ回路LTは、ラッチ信号LATの立ち上がりで、第1シフトレジスター221が有するレジスターRGa[1]~RGa[2M]、及び第2シフトレジスター222が有するレジスターRGb[1]~RGb[2M]のそれぞれで保持されている4M個の吐出データdDIを一斉にラッチする。
【0063】
その後、ラッチ回路LTは、ラッチした吐出データdDIを選択信号Sとして、対応する選択回路TGに出力する。選択回路TGは、例えばトランスファーゲートを含んで構成される。ラッチ回路LTがラッチした選択信号Sは、対応する選択回路TGを構成するトランスファーゲートの制御端子に入力される。また、選択回路TGを構成するトランスファーゲートの入力端子には、駆動信号COMが供給されている。そして、入力される選択信号Sが、駆動信号COMを駆動信号VOUTとして出力することを示すデータに基づく信号である場合、選択回路TGは、駆動信号COMを駆動信号VOUTとして圧電素子60に供給する。一方で、制御端子に入力される選択信号Sが、駆動信号COMを駆動信号VOUTとして出力しないことを示すデータに基づく信号である場合、選択回路TGは、駆動信号COMを駆動信号VOUTとして圧電素子60に供給しない。
【0064】
以上のように構成された、比較例の駆動信号選択回路200aでは、1個の吐出部600が4個の圧電素子60を有し、1個のノズルからインクを吐出する場合であっても、4個の圧電素子60に対応した吐出データdDIを含む吐出制御信号DIをシフトレジスター220で伝搬する必要が生じる。そのため、吐出制御信号DIのデータ長を短くすることが困難であり、吐出制御信号DIの伝搬速度の向上が困難となる。また、一般的に1個の吐出部600に含まれる4個の圧電素子60には、同様の信号波形の駆動信号VOUTが供給される。係る点に鑑みると、駆動信号選択回路200aが有する1つの選択回路TGから4個の圧電素子60を駆動するための駆動信号COMを出力することも可能であるが、この場合、選択回路TGに流れる電流が増大し、その結果、選択回路TGの大型化が求められる。その結果、駆動信号選択回路200aを実装した集積回路201の小型化が困難となる。
【0065】
以上のような問題に対して、本実施形態における駆動信号選択回路200では、吐出制
御信号DIの信号の伝搬速度の向上が可能であって、当該駆動信号選択回路200が実装される集積回路201の小型化を阻害することなく、汎用性を高めることができる。
【0066】
図8は、本実施形態における駆動信号選択回路200の構成を示す図である。なお、本実施形態における駆動信号選択回路200を説明するにあたり、
図7に示す比較例の駆動信号選択回路200aと同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図8は、本実施形態における駆動信号選択回路200の構成を示す図である。
図8に示すように、本実施形態における駆動信号選択回路200は、共通の吐出部600に含まれる4個の圧電素子60のそれぞれに対応する4個のラッチ回路LTの内、3個のラッチ回路LTの出力と当該ラッチ回路LTに対応する選択回路TGとに接続される3個の切替回路240を備える。
【0068】
具体的には、3個の切替回路240のそれぞれの一方の入力端子は、対応するラッチ回路LTの出力と接続され、3個の切替回路240のそれぞれの他方の入力端子は、4個のラッチ回路LTの内、切替回路240に接続されないラッチ回路LTの出力と接続され、3個の切替回路240の出力端子は、対応する選択回路TGに接続される。また、3個の切替回路240のそれぞれの制御端子には、切替信号SWが入力される。
【0069】
以上のように構成された3個の切替回路240のそれぞれは、制御端子に入力される切替信号SWの論理レベルに基づいて、一方の入力端子に入力される対応するラッチ回路LTが出力する選択信号Sを、対応する選択回路TGに入力するのか、他方の入力端子に入力される切替回路240に接続されないラッチ回路LTが出力する選択信号Sを、対応する選択回路TGに入力するのかを切り替える。
【0070】
すなわち、3個の切替回路240は、共通の吐出部600に含まれる4個の圧電素子60のそれぞれに対応するラッチ回路LTの内、切替回路240に接続されないラッチ回路LTが出力する選択信号Sを、対応する選択回路TGに入力するのか、又は、4個のラッチ回路LTのそれぞれが出力する選択信号Sを対応する選択回路TGに入力するのかを切り替える。すなわち、本実施形態における駆動信号選択回路200は、共通の吐出部600に含まれる4個の圧電素子60のそれぞれに対応する4個のラッチ回路LTの内の、切替回路240に接続されないラッチ回路LTが出力する選択信号Sに基づいて、4個のラッチ回路LTのそれぞれに対応する4個の選択回路TGを共通に制御するモードと、共通の吐出部600に含まれる4個の圧電素子60のそれぞれに対応する4個のラッチ回路LTのそれぞれが出力する選択信号Sに基づいて、対応する選択回路TGを制御するモードとを有する。これにより、駆動信号選択回路200は、1つのラッチ回路LTが出力する選択信号Sに基づいて共通の吐出部600に含まれる4個の圧電素子60のそれぞれに対応する4個の選択回路TGを制御することが出来る。
【0071】
また、
図9に示すように、本実施形態における駆動信号選択回路200は、シフトレジスター220が複数の切替回路230を有する。
【0072】
具体的には、複数の切替回路230の内のいくつかは、シフトレジスター220に含まれる第1シフトレジスター221が有する2M個のレジスターRGa[1]~RGa[M]と直列に接続されている。具体的には、複数の切替回路230の内の1つは、2M個のレジスターRGa[1]~RGa[2M]の内、レジスターRGa[2]とレジスターRGa[3]との間において、一方の入力端子がレジスターRGa[3]の出力と接続され、他方の入力端子がレジスターRGa[6]の出力と接続され、出力端子がレジスターRGa[2]に接続されている。また、複数の切替回路230の異なる1つは、2M個のレジスターRGa[1]~RGa[2M]の内、レジスターRGa[6]とレジスターRG
a[7]との間において、一方の入力端子がレジスターRGa[7]の出力と接続され、他方の入力端子がレジスターRGa[10]の出力と接続され、出力端子がレジスターRGa[6]に接続されている。すなわち、シフトレジスター220に含まれる第1シフトレジスター221において、複数の切替回路230は、2M個のレジスターRGa[1]~RGa[2M]の内、レジスターRGa[2+r](rは0または1~2M-2の内の4の倍数)とレジスターRGa[3+r]との間において、一方の入力端子がレジスターRGa[3+r]の出力と接続され、他方の入力端子がレジスターRGa[6+r]の出力と接続され、出力端子がレジスターRGa[2+r]に接続されている。
【0073】
また、複数の切替回路230の内のいくつかは、シフトレジスター220に含まれる第2シフトレジスター222が有する2M個のレジスターRGb[1]~RGb[2M]と直列に接続されている。具体的には、複数の切替回路230の内の1つは、2M個のレジスターRGb[1]~RGb[2M]の内、レジスターRGb[3]とレジスターRGb[4]との間において、一方の入力端子がレジスターRGb[4]の出力と接続され、他方の入力端子がレジスターRGb[7]の出力と接続され、出力端子がレジスターRGb[3]に接続されている。また、複数の切替回路230の異なる1つは、2M個のレジスターRGb[1]~RGb[2M]の内、レジスターRGb[7]とレジスターRGb[8]との間において、一方の入力端子がレジスターRGb[8]の出力と接続され、他方の入力端子がレジスターRGb[11]の出力と接続され、出力端子がレジスターRGb[7]に接続されている。すなわち、シフトレジスター220に含まれる第2シフトレジスター222において、複数の切替回路230は、2M個のレジスターRGb[1]~RGb[2M]の内、レジスターRGa[3+s](sは0または1~2M-2の内の4の倍数)とレジスターRGb[4+s]との間において、一方の入力端子がレジスターRGa[4+s]の出力と接続され、他方の入力端子がレジスターRGa[7+s]の出力と接続され、出力端子がレジスターRGa[3+s]に接続されている。
【0074】
以上のように構成されたシフトレジスター220が有する複数の切替回路230は、第1シフトレジスター221において、直列に接続されたM個のレジスターRGa[1]~RGa[2M]の内のいくつかのレジスターRGaを間引き、第2シフトレジスター222において、直列に接続された2M個のレジスターRGb[1]~RGb[2M]の内のいくつかのレジスターRGbを間引くことが出来る。
【0075】
ここで、複数の切替回路230において間引かれるレジスターRGは、切替回路240において、出力する選択信号Sが対応する選択回路TGに供給されないラッチ回路LTに対応したレジスターRGとなるように設定される。これにより、吐出制御信号DIから当該ラッチ回路LTに対応する吐出データdDIを除去することができ、その結果、吐出制御信号DIのデータ長を短くすることが出来る。
【0076】
そして、第1実施形態と同様に、切替回路240と複数の切替回路230とは、共通の切替信号SWにより切り替えられる。これにより、駆動信号選択回路200において、切替回路240と複数の切替回路230との間で状態の齟齬が生じるおそれが低減し、駆動信号選択回路200の動作安定性が向上する。
【0077】
ここで、共通の吐出部600に含まれる4個の圧電素子60のそれぞれに対応する4個のラッチ回路LTの内、3個のラッチ回路LTの出力と当該ラッチ回路LTに対応する選択回路TGとに接続される3個の切替回路240の内のいずれかが第5スイッチの一例であり、異なるいずれかが第6スイッチの一例であり、異なるいずれかが第7スイッチの一例である。また、第5スイッチに相当する切替回路240が出力する選択信号Sの基となる吐出データdDIが第2データの一例であり、第6スイッチに相当する切替回路240が出力する選択信号Sの基となる吐出データdDIが第3データの一例であり、第7スイ
ッチに相当する切替回路240が出力する選択信号Sの基となる吐出データdDIが第4データの一例であり、第5スイッチに相当する切替回路240、第6スイッチに相当する切替回路240、及び第7スイッチに相当する切替回路240に共通に入力される選択信号Sの基となる吐出データdDIが第1データの一例である。そして、第1データに相当する吐出データdDIと、第2データに相当する吐出データdDIと、第3データに相当する吐出データdDIと、第4データに相当する吐出データdDIと、を含む吐出制御信号DIを出力する制御回路100が吐出制御信号出力回路の一例であり、駆動信号選択回路200がスイッチ制御回路の一例である。また、第1データに相当する吐出データdDIをラッチするラッチ回路LTが出力する選択信号Sにより動作する選択回路TGが第1スイッチ回路の一例であり、第5スイッチに相当する切替回路240が出力する選択信号Sにより動作する選択回路TGが第2スイッチ回路の一例であり、第6スイッチに相当する切替回路240が出力する選択信号Sにより動作する選択回路TGが第3スイッチ回路の一例であり、第7スイッチに相当する切替回路240が出力する選択信号Sにより動作する選択回路TGが第2スイッチ回路の一例である。また、第1スイッチに相当する選択回路TGが出力する駆動信号VOUTが供給される圧電素子60が第1圧電素子の一例であり、第2スイッチに相当する選択回路TGが出力する駆動信号VOUTが供給される圧電素子60が第2圧電素子の一例であり、第3スイッチに相当する選択回路TGが出力する駆動信号VOUTが供給される圧電素子60が第3圧電素子の一例であり、第4スイッチに相当する選択回路TGが出力する駆動信号VOUTが供給される圧電素子60が第4圧電素子の一例である。また、第1圧電素子に相当する圧電素子60が駆動することにより圧力が変化する圧力室CB1又は圧力室CB2が第1圧力室の一例であり、第2圧電素子に相当する圧電素子60が駆動することにより圧力が変化する圧力室CB1又は圧力室CB2が第2圧力室の一例であり、第3圧電素子に相当する圧電素子60が駆動することにより圧力が変化する圧力室CB1又は圧力室CB2が第3圧力室の一例であり、第4圧電素子に相当する圧電素子60が駆動することにより圧力が変化する圧力室CB1又は圧力室CB2が第4圧力室の一例である。また、共通の吐出部600に含まれる4個の圧電素子60のそれぞれに対応する4個のラッチ回路LTの内の、切替回路240に接続されないラッチ回路LTが出力する選択信号Sに基づいて、4個のラッチ回路LTのそれぞれに対応する4個の選択回路TGを共通に制御するモードが第1モードの一例であり、共通の吐出部600に含まれる4個の圧電素子60のそれぞれに対応する4個のラッチ回路LTのそれぞれが出力する選択信号Sに基づいて、対応する選択回路TGを制御するモードが第2モードの一例である。そして、第1モードと第2モードとを切り替えるための切替信号SWが切替制御信号の一例である。
【0078】
5.作用効果
以上のように構成された本実施形態における液体吐出装置1において、液体吐出ヘッド22に含まれる駆動信号選択回路200が、1つのラッチ回路LTが出力する選択信号Sに基づいて共通の吐出部600に含まれる4個の圧電素子60のそれぞれに対応する4個の選択回路TGを制御することで、吐出制御信号DIに含まれる当該選択回路TGを制御するための吐出データdDIを減らすことが可能となり、その結果、吐出制御信号DIのデータ長を短くすることが出来る。そして、吐出制御信号DIのデータ長が短くなることで、吐出制御信号DIの信号の伝搬速度が向上する。
【0079】
また、本実施形態における液体吐出装置1では、駆動信号選択回路200が、共通の吐出部600に含まれる4個の圧電素子60のそれぞれに対応するラッチ回路LTの内の、他方のラッチ回路LTが出力する選択信号Sに基づいて、一方のラッチ回路LTに対応する選択回路TGと、他方のラッチ回路LTに対応する選択回路TGとを制御するモードと、共通の吐出部600に含まれる2個の圧電素子60のそれぞれに対応するラッチ回路LTの内の、一方のラッチ回路LTが出力する選択信号Sに基づいて、一方のラッチ回路LTに対応する選択回路TGを制御し、他方のラッチ回路LTが出力する選択信号Sに基づ
いて、他方のラッチ回路LTに対応する選択回路TGを制御するモードと、を有する。これにより、駆動信号選択回路200は、共通の吐出部600に含まれる圧電素子60が1つであるのか、又は4個であるのか応じて、駆動信号選択回路200の動作を切り替えることができ、駆動信号選択回路200の汎用性を高めることが出来る。
【0080】
以上、実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0081】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0082】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0083】
液体吐出装置の一態様は、
駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、
第1データ、第2データ、第3データ、及び第4データを含む吐出制御信号を出力する吐出制御信号出力回路と、
前記駆動信号と前記吐出制御信号とに基づいて、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
を備え、
前記液体吐出ヘッドは、
前記駆動信号により駆動される第1駆動素子、第2駆動素子、第3駆動素子、及び第4駆動素子と、
前記吐出制御信号に基づいて前記第1駆動素子、前記第2駆動素子、前記第3駆動素子、及び前記第4駆動素子への前記駆動信号の供給を制御する集積回路と、
を有し、
前記集積回路は、
前記駆動信号が入力され前記第1駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第1スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第2駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第2スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第3駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第3スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第4駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第4スイッチ回路と、
前記吐出制御信号が入力され、前記第1スイッチ回路、前記第2スイッチ回路、前記第3スイッチ回路、及び前記第4スイッチ回路のそれぞれが前記駆動信号を出力するか否かを制御するスイッチ制御回路と、
を有し、
前記スイッチ制御回路は、
前記第1データと前記第2データとが入力される第5スイッチ回路と、
前記第1データと前記第3データとが入力される第6スイッチ回路と、
前記第1データと前記第4データとが入力される第7スイッチ回路と、
を有し、
前記第5スイッチ回路は、前記第1データを前記第2スイッチ回路に出力するのか、前記第2データを前記第2スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第6スイッチ回路は、前記第1データを前記第3スイッチ回路に出力するのか、前記第3データを前記第3スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第7スイッチ回路は、前記第1データを前記第4スイッチ回路に出力するのか、前記第4データを前記第4スイッチ回路に出力するのかを切り替える。
【0084】
この液体吐出装置によれば、1つのデータに基づいて第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ、及び第4スイッチを含む複数のスイッチの操作が可能となり、吐出制御信号に含まれるデータ量を少なくすることができる。その結果、吐出制御信号の通信速度を向上させることが出来る。
【0085】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記スイッチ制御回路は、前記第1データに基づいて前記第1スイッチ回路、前記第2スイッチ回路、前記第3スイッチ回路、及び前記第4スイッチ回路を制御する第1モードと、前記第1データに基づいて前記第1スイッチ回路を制御し、前記第2データに基づいて前記第2スイッチ回路を制御し、前記第3データに基づいて前記第3スイッチ回路を制御し、前記第4データに基づいて前記第4スイッチ回路を制御する第2モードと、を有してもよい。
【0086】
この液体吐出装置によれば、1つのデータに基づいて第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ、及び第4スイッチを含む複数のスイッチの操作が可能となり、吐出制御信号に含まれるデータ量を少なくすることができる。その結果、吐出制御信号の通信速度を向上させることが出来る。
【0087】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1モードと前記第2モードとは、前記集積回路に入力される切替制御信号に基づいて、切り替えられてもよい。
【0088】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記液体吐出ヘッドは、
前記第1駆動素子の駆動により圧力が変化する第1圧力室と、
前記第2駆動素子の駆動により圧力が変化する第2圧力室と、
前記第3駆動素子の駆動により圧力が変化する第3圧力室と、
前記第4駆動素子の駆動により圧力が変化する第4圧力室と、
前記第1圧力室、前記第2圧力室、前記第3圧力室、及び前記第4圧力室と連通し、液体を吐出するノズルと、
を有してもよい。
【0089】
この液体吐出装置によれば、液体として高粘度のものを使用することが可能となり、液体吐出装置の汎用性がさらに高まる。
【0090】
集積回路装置の一態様は、
第1駆動素子、第2駆動素子、第3駆動素子、及び第4駆動素子を有する液体吐出ヘッドに設けられる集積回路であって、
前記駆動信号が入力され前記第1駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第1スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第2駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第2スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第3駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替える第3スイッチ回路と、
前記駆動信号が入力され前記第4駆動素子に前記駆動信号を出力するか否かを切り替え
る第4スイッチ回路と、
前記吐出制御信号が入力され、前記第1スイッチ回路、前記第2スイッチ回路、前記第3スイッチ回路、及び前記第4スイッチ回路のそれぞれが前記駆動信号を出力するか否かを制御するスイッチ制御回路と、
を有し、
前記スイッチ制御回路は、
前記第1データと前記第2データとが入力される第5スイッチ回路と、
前記第1データと前記第3データとが入力される第6スイッチ回路と、
前記第1データと前記第4データとが入力される第7スイッチ回路と、
を有し、
前記第5スイッチ回路は、前記第1データを前記第2スイッチ回路に出力するのか、前記第2データを前記第2スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第6スイッチ回路は、前記第1データを前記第3スイッチ回路に出力するのか、前記第3データを前記第3スイッチ回路に出力するのかを切り替え、
前記第7スイッチ回路は、前記第1データを前記第4スイッチ回路に出力するのか、前記第4データを前記第4スイッチ回路に出力するのかを切り替える。
【0091】
この集積回路装置によれば、1つのデータに基づいて第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ、及び第4スイッチを含む複数のスイッチの操作が可能となり、吐出制御信号に含まれるデータ量を少なくすることができる。その結果、吐出制御信号の通信速度を向上させることが出来る。
【符号の説明】
【0092】
1…液体吐出装置、2…インク容器、5…貯留室形成基板、10…制御ユニット、20…ヘッドユニット、21…キャリッジ、22…液体吐出ヘッド、30…移動ユニット、31…キャリッジモーター、32…無端ベルト、40…搬送ユニット、41…搬送モーター、42…搬送ローラー、50…駆動信号出力回路、60…圧電素子、90…循環機構、100…制御回路、190…ケーブル、200…駆動信号選択回路、200a…駆動信号選択回路、201…集積回路、210…選択制御回路、220…シフトレジスター、221…第1シフトレジスター、222…第2シフトレジスター、230,240…切替回路、302…連通板、303…圧力室基板、304…振動板、305…貯留室形成基板、308…配線基板、350…開口、351…導入口、352…排出口、360…ノズル基板、361,362…コンプライアンスシート、600…吐出部、CB1…圧力室、CB2…圧力室、LT…ラッチ回路、Ln…ノズル列、N…ノズル、NR…ノズル流路、P…媒体、RA1…供給流路、RA2…排出流路、RB1…供給流路、RB2…排出流路、RG…レジスター、RK1…接続流路、RK2…接続流路、RN…ノズル流路、RR…連通流路、RR1…連通流路、RR2…連通流路