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特許7517045眼鏡枠形状測定装置及び眼鏡枠形状測定装置の制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】眼鏡枠形状測定装置及び眼鏡枠形状測定装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/20 20060101AFI20240709BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240709BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G01B5/20 D
G01B11/24 B
G02C13/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020166495
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057964
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】水野 博久
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-122899(JP,A)
【文献】国際公開第2019/026416(WO,A1)
【文献】特開2021-056053(JP,A)
【文献】特開2022-057965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/20
G01B 11/24
G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡フレームのリムの形状を測定する眼鏡枠形状測定装置であって、
眼鏡フレームのリムを測定状態に保持するためのリム保持部材を持つフレーム保持手段と、
リムの溝に挿入される測定子を持つ測定子ユニットと、
リムの溝の形状を光学的に測定するための光学式測定ユニットと、
前記測定子ユニットと光学式測定ユニットとを一体的に支持する支持ユニットと、
リムと前記支持ユニットとの相対的な位置関係を変更する変更手段と、
前記変更手段を制御する制御手段と、
前記リムの測定結果に基づき、前記リムの測定中に、前記フレーム保持手段に保持された眼鏡フレームの前記リム及び前記リム保持部材の少なくとも何れかを含む被干渉対象物に対し、前記測定子ユニット、前記光学式測定ユニット及び前記支持ユニットの少なくとも何れかを含む干渉物の干渉が発生したか否かを検出する干渉発生検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記リムの形状を再測定するときには、前記干渉発生検出手段による検出結果に基づいて前記変更手段を制御することで前記干渉物の干渉回避動作を行うことを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項2】
請求項1の眼鏡枠形状測定装置において、
前記干渉発生検出手段によって干渉が発生したことが検出されたときに前記リムの形状の再測定を実行する再測定実行手段を備えることを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2の眼鏡枠形状測定装置において、
前記干渉発生検出手段の検出結果に基づいて前記被干渉対象物と前記干渉物との干渉が発生した測定点を特定する測定点特定手段と、を備え、
前記制御手段は、再測定の実行で前記測定点を再測定するときに、前記変更手段を制御することで前記干渉物の干渉回避動作を行うことを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項4】
請求項3の眼鏡枠形状測定装置において、
特定された前記測定点における前記干渉物の干渉部位の配置位置を、前記変更手段の制御情報に基づいて求める演算手段を備え、
前記制御手段は、特定された前記測定点を再測定するときに、前記演算手段によって求められた干渉部位の前記配置位置に対して、動径方向及び動径方向に垂直な垂直方向の少なくとも一つの方向に前記干渉回避動作を行うことを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項5】
請求項3又は4の眼鏡枠形状測定装置において、
前記制御手段は、特定された前記測定点より後の後測定点を再測定するときには、干渉発生の前記測定点で前記干渉物を干渉回避動作させた姿勢状態に対して、本来の測定時における前干渉物の姿勢状態に段階的に変化させるように前記変更手段を制御することを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項6】
請求項3~5の何れかの眼鏡枠形状測定装置において、
前記制御手段は、特定された前記測定点より前の前測定点を再測定するときに、本来の測定時における前記干渉物の姿勢状態から干渉発生の前記測定点で前記干渉物を干渉回避動作させた姿勢状態に段階的に変化させるように前記変更手段を制御することを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項7】
眼鏡フレームのリムを保持するためのリム保持部材を持つフレーム保持手段と、前記リムの溝に挿入される測定子を持つ測定子ユニットと、前記リムの溝の形状を光学的に測定するための光学式測定ユニットと、前記測定子ユニットと光学式測定ユニットとを一体的に支持する支持ユニットと、前記リムと前記支持ユニットとの相対的な位置関係を変更する変更手段と、を備える眼鏡枠形状測定装置の制御プログラムであって、
前記リムの測定結果に基づき、前記リムの測定中に、前記フレーム保持手段に保持された眼鏡フレームの前記リム及び前記リム保持部材の少なくとも何れかを含む被干渉対象物に対し、前記測定子ユニット、前記光学式測定ユニット及び前記支持ユニットの少なくとも何れかを含む干渉物の干渉が発生したか否かを検出する干渉発生検出ステップと、
前記変更手段を制御する制御ステップであって、前記リムの形状を再測定するときには、前記干渉発生検出ステップによる検出結果に基づいて前記変更手段を制御することで前記干渉物の干渉回避動作を行う制御ステップと、
を眼鏡枠形状測定装置の制御ユニットに実行させることを特徴とする眼鏡枠形状測定装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼鏡フレームのリムの形状を得るための眼鏡枠形状測定装置及び眼鏡枠形状測定装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡フレームのリムの溝に押し当てて挿入される測定子を持つ測定子ユニットを備え、リムの溝に沿って移動される測定子の位置を得ることでリムの溝の全周に関する形状を測定する眼鏡枠形状測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、眼鏡フレームのリムの溝に測定光束を照射し、溝で反射された反射光束を受光する光学式測定ユニットを備え、受光された反射光に基づいてリムの溝の断面形状を得る眼鏡枠形状測定装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-122899号公報
【文献】国際公開2019/026416号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、測定子ユニットと光学ユニットとを一体的に移動させるように構成することで、リムの溝の全周に関する三次元形状とリムの溝の断面形状とを効率よく得る構成が考えられる。
【0006】
しかし、測定子ユニットに光学式測定ユニットを付加したことにより、測定子付近のサイズが大きくなり、リムの全周を測定する際に、光学式測定ユニットがリムを保持するリム保持部材及びリムの被測定部分に干渉し、良好に測定ができない問題が分かった。
【0007】
本開示は、リムの溝の三次元形状及びリム溝の断面形状を良好に測定することが出来る眼鏡枠形状測定装置及び眼鏡枠形状測定装置の制御プログラムを提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 眼鏡フレームのリムの形状を測定する眼鏡枠形状測定装置であって、眼鏡フレームのリムを保持するためのリム保持部材を持つフレーム保持手段と、リムの溝に挿入される測定子を持つ測定子ユニットと、リムの溝の形状を光学的に測定するための光学式測定ユニットと、前記測定子ユニットと光学式測定ユニットとを一体的に支持する支持ユニットと、リムと前記支持ユニットとの相対的な位置関係を変更する変更手段と、前記変更手段を制御する制御手段と、前記リムの測定結果に基づき、前記リムの測定中に前記干渉物と前記被干渉対象物との干渉が発生したか否かを検出する干渉発生検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記リムの形状を再測定するときには、前記干渉発生検出手段による検出結果に基づいて前記変更手段を制御することで前記干渉物の干渉回避動作を行うことを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
(2) 眼鏡フレームのリムを保持するためのリム保持部材を持つフレーム保持手段と、前記リムの溝に挿入される測定子を持つ測定子ユニットと、前記リムの溝の形状を光学的に測定するための光学式測定ユニットと、前記測定子ユニットと光学式測定ユニットとを一体的に支持する支持ユニットと、前記リムと前記支持ユニットとの相対的な位置関係を変更する変更手段と、を備える眼鏡枠形状測定装置の制御プログラムであって、前記リムの測定結果に基づき、前記リムの測定中に、前記フレーム保持手段に保持された眼鏡フレームの前記リム及び前記リム保持部材の少なくとも何れかを含む被干渉対象物に対し、前記測定子ユニット、前記光学式測定ユニット及び前記支持ユニットの少なくとも何れかを含む干渉物の干渉が発生したか否かを検出する干渉発生検出ステップと、前記変更手段を制御する制御ステップであって、前記リムの形状を再測定するときには、前記干渉発生検出ステップによる検出結果に基づいて前記変更手段を制御することで前記干渉物の干渉回避動作を行う制御ステップと、を眼鏡枠形状測定装置の制御ユニットに実行させることを特徴とする眼鏡枠形状測定装置の制御プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】測定装置の外観図である。
図2】フレーム保持ユニットの上面図である。
図3】クランプ機構を説明する図である。
図4】玉型形状取得ユニットの上面斜視図である。
図5】玉型形状取得ユニットの下面斜視図である。
図6】Z方向移動ユニット及びY方向移動ユニットの上面斜視図である。
図7】保持ユニットの概略構成を説明する斜視図である。
図8】保持ユニットが支持ユニットを保持する機構を説明する図である。
図9】測定子ユニット及び光学測定ユニットの概略構成図である。
図10】光学式測定ユニットの、投光光学系と、受光光学系と、の位置関係を示す概略図である。
図11】眼鏡枠形状測定装置の制御系を示す図である。
図12】眼鏡枠形状測定装置において制御部が実行するプログラムのフローチャート図である。
図13】測定開始時の保持ユニットの動作を示す図である。
図14】低カーブフレームの形状を測定する場合における、クランプピンと、リムと、測定子と、光学式測定ユニットと、の位置関係を示す模式図である。
図15】光学式測定ユニットと、クランプピンとが干渉する場合における、クランプピンと、リムと、測定子と、光学式測定ユニットとの位置関係を示す模式図である
図16】光学式測定ユニットの干渉部位を示す図である。
図17】光学式測定ユニットがY方向に移動されて干渉回避がされる場合を説明する図である。
図18】光学式測定ユニットがZ方向に移動されて干渉回避がされる場合を説明する図である。
図19】リムの未測定部分対して干渉回避がされる場合を説明する図である
図20】リムの測定済みの測定結果を利用して干渉回避がされる例を説明する図である。
図21】測定子によるリムの測定結果の内、Z方向の測定結果を微分した結果をグラフで示した図である。
図22】干渉が発生した測定点における回避動作を説明する図である。
図23】光学式測定ユニットがX方向に移動されて干渉回避がされる場合を説明する図である。
図24】測定子の左右両側に光学式測定ユニットが配置された場合の光学式測定ユニットと測定子の位置関係を示す模式図である。
図25】測定子の左右両側に光学式測定ユニットが配置された場合の、被干渉対
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示における実施形態を図面に基づいて説明する。図1~11は本実施形態に係る眼鏡枠形状測定装置(例えば、眼鏡枠形状測定装置1)の構成について説明する図である。なお、本実施形態においては、眼鏡枠である眼鏡フレームのリムの測定時における測定平面をXY方向とし、XY方向に垂直な垂直方向をZ方向とする。なお、例えば、測定平面(XY平面)は動径平面としても扱われる。XY方向はリムの動径情報を得るための動径方向としても扱われる。例えば、測定平面は、眼鏡フレームのリムを保持するリム保持部材(例えば、クランプピン130a,130b,131a,131b)であって、左右のリムの上側(本実施形態では眼鏡フレーム及びリムの上下とは眼鏡装用時の縦方向となる上下を言う)をそれぞれ保持するために2箇所に配置されたリム保持部材(例えば、クランプピン130a,130b)と、左右のリムの下側をそれぞれ保持するために2箇所に配置されたリム保持部材(例えば、クランプピン131a,131b)と、によって規定される平面である。また、測定平面上において、リム保持部材によって眼鏡フレームが保持されたときの眼鏡フレームの上下方向である縦方向(眼鏡枠形状測定装置の奥行き方向)をY方向とし、眼鏡フレームの左右方向をX方向として説明する。
【0011】
なお、本実施形態では、例えば、測定平面は水平方向であり、図1に示される眼鏡枠形状測定装置に対して、眼鏡フレームFのリム部分が下方向、眼鏡フレームFのテンプル部分が上方向とした状態で配置される。すなわち、眼鏡枠形状測定装置に眼鏡フレームFが配置された場合に、眼鏡フレームFの左右リムFL,FRが下方向、眼鏡フレームFの左右のテンプルFTL,FTRが上方向となる。もちろん、眼鏡枠形状測定装置に対する眼鏡フレームの配置方向は、これに限定されない。例えば、眼鏡フレームFのリム部分が上方向、眼鏡フレームFのテンプル部分が下方向とした状態で配置される構成であってもよい。また、例えば、測定平面は鉛直方向であってもよく、眼鏡枠形状測定装置に眼鏡フレームFが配置された場合に、眼鏡フレームFの左右リムFL,FRの上端が眼鏡枠形状測定装置に対して下方向、眼鏡フレームFの左右リムFL,FRの下端が眼鏡枠形状測定装置に対して上方向となるように配置される構成であってもよいし、左右リムFL,FRの上端と下端の配置が逆になってもよい。またさらに、測定平面は、水平方向又は鉛直方向に限られず、斜め方向であってもよい。
【0012】
[概要]
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、眼鏡フレームを測定状態に保持するために構成されたフレーム保持手段(例えば、フレーム保持ユニット10)を備える。例えば、フレーム保持手段は、眼鏡フレームの左右方向をX方向とし、眼鏡フレームのリムの縦方向をY方向とし、眼鏡フレームのリムの前後方向をZ方向として眼鏡フレームを保持する手段である。例えば、フレーム保持手段は、眼鏡フレームを測定状態に保持するためのリム保持部材を持つ。例えば、リム保持部材は、左右のリムの上側をそれぞれ保持するために2箇所に配置され、また、左右のリムの下側をそれぞれ保持するために2箇所に配置されている。例えば、各位置に配置されたリム保持部材は、眼鏡フレームのリムをその厚み方向(Z方向)から挟み込むために2つ配置されている。例えば、各位置に配置された2つのリム保持部材は、Z方向に開閉可能に構成されている。例えば、フレーム保持手段は、2つのリム保持部材をZ方向に開閉するためのリム保持部材開閉手段(例えば、クランプ機構300)を備える。なお、リム保持部材は、V字状の溝を持つ部材であってもよい。この場合、リム保持部材は、リムの厚み方向をV字状の溝で受けることでリムを保持する構成とされる。
【0013】
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、測定子ユニット(例えば、測定子ユニット60)を備える。例えば、測定子ユニットは、リムの溝に挿入される測定子(例えば、測定子61)を備える。例えば、測定子ユニットは、測定子が上部に配置された測定子軸(例えば、測定子軸62)備える。なお、本実施形態では測定子軸がZ方向に位置されたとき、測定子の先端の向き(例えば、測定軸L3)は、測定子軸に対して測定平面に略平行に延びるように配置されるが、これに限られない。例えば、測定子の先端の向きは、高カーブフレームを測定時にリムの形状の沿いやすいように、測定平面に対して一定角度(例えば、5~15度)で上を向くように配置されていてもよい。
【0014】
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、光学式測定ユニット(例えば、光学式測定ユニット30)を備える。例えば、光学式測定ユニットは、眼鏡フレームのリムの溝のリム形状を非接触式で光学的に測定する。例えば、光学式測定ユニットは、投光光学系(例えば、投光光学系30a)と、受光光学系(例えば、受光光学系30b)と、を備える。例えば、投光光学系は、光源(例えば、光源31)を有し、眼鏡フレームのリムの溝に向けて光源から測定光束を照射する。例えば、投光光学系は、リムの溝にスリット光を投光するように構成される。例えば、リムの溝は、スリット光により光切断された形で照明される。例えば、受光光学系は、光を受光する検出器(例えば、検出器37)を有する。例えば、受光光学系は、投光光学系によって眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射され、眼鏡フレームのリムの溝によって反射された測定光束の反射光束を検出器によって受光する。
【0015】
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、測定子ユニットと光学式測定ユニットとを一体的に支持する支持ユニット(例えば、支持ユニット70)を備える。例えば、支持ユニット、測定子ユニットと光学式測定ユニットとを支持する支持部材(例えば、測定子軸62)を有する。例えば、支持ユニットは、測定子が取り付けられた測定子軸の一部を支持部材として兼用することで、測定子ユニットと光学式測定ユニットとを支持する構成とされる。例えば、光学式測定ユニットは、測定子軸に取り付けられている。
【0016】
例えば、光学式測定ユニットは、投光光学系及び受光光学系が収納される筐体(例えば、カバー30c)を備える。例えば、光学式測定ユニットの筐体は、測定子の先端が手前を向いた状態で、測定子軸に対して左右方向の一方に筐体の全部が位置するように、支持ユニットに設けられている。なお、光学式測定ユニットは、測定子軸に対して左右両側に配置された構成であってもよい。
【0017】
また、例えば、測定開始時にリム保持部材によって保持されたリムの溝に測定子が挿入された状態において、Z方向で光学式測定ユニットがリム保持部材に干渉しないように、光学式測定ユニットの筐体(例えば、カバー30c)の上端は、リム保持部材の下端の位置より下(例えば、Z方向を上下方向としたときの下)に位置するように構成されている。これにより、測定時において、リム保持部材及びリム保持部材に近傍のリムとの干渉を回避しやすくなる。また、例えば、光学式測定ユニットの筐体の下端は、リム保持部材の上端より上に位置していてもよい。これによってもリム保持部材に対する光学式測定ユニットの干渉を回避しやすくなる。
【0018】
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、支持ユニットを保持する保持ユニット(例えば、保持ユニット25)を備える。例えば、保持ユニットは、支持ユニットを測定子の先端が向く方向(例えば、測定軸L3の方向)に移動可能に保持するために構成されている。例えば、保持ユニットは、測定子の先端をリムの溝に押し当てる測定圧を付与する測定圧付与手段(例えば、バネ76)を備える。例えば、保持ユニットは、例えば、保持ユニットは、支持ユニットのZ方向の位置を自由に移動可能に保持するために構成されている。
【0019】
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、リムと支持ユニットとの相対的な位置関係を変更する変更手段(例えば、移動ユニット210、回転ユニット260)を備える。例えば、変更手段は、測定子の先端が向くXY方向を変えるために、支持ユニットをZ方向に延びる回転軸を中心に回転する回転手段(例えば、回転ユニット260)を備える。例えば、回転手段は、保持ユニットに設けられている。回転手段により、XYの測定平面上において、測定子ユニットの測定子の先端が向くXY方向(例えば、測定軸L3の方向)及び光学式測定ユニットの測定光軸(投光光軸をL1、受光光軸をL2)のXY方向が変えられる。
【0020】
また、例えば、変更手段は、支持ユニットのXY方向の位置を変更するためのXY方向変更手段を備える。XY方向変更手段は、支持ユニットが設けられた保持ユニットのX方向の位置を変更するためのX方向変更手段(例えば、X方向移動ユニット240)と、保持ユニットのY方向の位置を変更するためのY方向変更手段(例えば、Y方向移動ユニット230)と、を備える。これにより、リムの溝に沿ってXY方向に追従する測定子の追従機構が小型化され、その重量が小さくて済むため、測定子によってリムの形状を精度よく測定できる。また、例えば、変更手段は、支持ユニットが設けられた保持ユニットのZ方向の位置を変更するためのZ方向変更手段(例えば、Z方向移動ユニット220)を備える。これにより、リムの溝に沿ってZ方向に追従する測定子の追従機構が小型化され、その重量が小さくて済むため、測定子によってリムの形状を精度よく測定できる。
【0021】
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、被干渉情報取得手段(例えば、制御部50)を備える。被干渉情報取得手段は、光学式測定ユニットに対する被干渉対象物であって、フレーム保持手段によって測定状態に置かれた眼鏡フレームのリム及びリム保持部材の少なくとも一方の被干渉対象物の被干渉情報を取得するために構成されている。例えば、被干渉情報取得手段によって取得される被干渉情報には、眼鏡フレームのリムが測定状態に置かれた状態におけるリム保持部材の配置情報が含まれる。例えば、被干渉情報取得手段は、リム保持部材のX、Y及びZ方向の少なくとも一方向の配置情報を取得する。
【0022】
例えば、被干渉情報取得手段は、フレーム保持手段によって眼鏡フレームのリムを保持するようにリム保持部材が移動されたY方向の位置に基づき、リム保持部材のY方向の配置情報を取得する。例えば、リム保持部材のX方向の配置情報は記憶手段に設計値として記憶されている。例えば、被干渉情報取得手段は、リム保持部材のX方向の配置情報を記憶手段から呼び出すことで取得する。例えば、被干渉情報取得手段は、測定時にリムを保持したときのリム保持部材(リム前側のリム保持部材)のZ方向の位置を得ることで、Z方向のリム保持部材の配置情報を得る。なお、被干渉情報取得手段は、リム保持部材のZ方向の配置情報が記憶手段に設計値として記憶されていてもよい。この場合、被干渉情報取得手段は、リム保持部材のZ方向の配置情報を記憶手段から呼び出すことで取得する。
【0023】
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、変更手段を制御する制御手段(例えば、制御部50)を備える。例えば、制御手段は、リムの形状の測定済みの結果に基づいてリムの未測定分を測定するように変更手段を制御する。この測定時に、例えば、制御手段は、被干渉情報取得手段によって取得された被干渉情報に基づき、被干渉対象物に対し、干渉物の干渉を回避するように変更手段を制御する。例えば、干渉物は測定子ユニット、光学式測定ユニット及び支持ユニットの少なくとも何れかを含む。例えば、測定時に被干渉対象物に干渉する干渉物は、代表的には光学式測定ユニットであるが、測定子ユニットの形状によっては、これが干渉物となる場合もある。また、支持ユニットの形状によっては、これが干渉物となる場合もある。 例えば、制御手段は、リムの未測定分を測定させるときに、リム保持部材の配置情報に基づき、リム保持部材に対してX方向、Y方向及びZ方向の少なくとも一つの方向に干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉部位(例えば、干渉領域IR)が離れるように、変更手段を制御する。なお、干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉部位は、干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の筐体において予め特定され、記憶手段に記憶されていてもよい。例えば、干渉部位は、測定可能な各種の眼鏡フレームのリムの形状に対し、測定時における干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の筐体の位置関係をシミュレーションすることで、予め特定することができる。例えば、干渉部位は干渉物上に定められた1点の干渉点(例えば、干渉点IRP)であってもよい。例えば、干渉点は、干渉物(例えば、光学式測定ユニット)上に定められた点であり、被干渉対象物に対し、この干渉点の干渉を回避すれば、干渉部位の全体の干渉を回避する点として定められたものである。例えば、干渉点は、干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の筐体の位置関係をシミュレーションすることで、予め特定することができる。この場合、干渉部位が或る程度の領域を持つのに対し、1つの干渉点の配置位置を演算すればよいので、演算速度が速くなり、スムーズな測定が行える。 例えば、制御手段は、リムの内側に向かって延びるリム保持部材の先端に対し、干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉部位がY方向に一定距離以上に離れるように(例えば、回避するように)変更手段を制御する。例えば、制御手段は、このときに回転手段を制御する。例えば、制御手段は、リムの未測定分を測定させるときに、測定済み結果に基づいて測定子がリムの未測定部分を測定するように位置させ、且つ、リム保持部材の先端に対し、干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉部位がY方向に一定距離以上に離れるように、XY変更手段及び回転手段を制御する。これにより、Y方向において、リム保持部材に対する干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉が回避され、また、リム保持部材の近傍に位置するリムに対する干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉が回避される。
【0024】
例えば、制御手段は、リム保持部材の配置情報に基づき、リム保持部材の先端に対してY方向に一定距離以上離れるように、Y方向に略平行な判定ライン(例えば、干渉判定ラインILCY)を設定する。そして、例えば、制御手段は、リムの未測定分を測定させるときに、干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉部位が判定ラインよりリム保持部材が位置する側に近づかないように、変更手段を制御する。これにより、Y方向において、リム保持部材に対する干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉が回避され、また、リム保持部材の近傍に位置するリムに対する干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉が回避される。
【0025】
なお、制御手段は、測定済み結果に基づいて測定子をリムの未測定部分に位置させるときに、測定子の先端がリムに対して所定角度の方向を向くように(例えば、XY方向において、未測定のリム部分が測定済みリムの延長方向にあるとし、その延長方向に対して法線方向を向くように)、支持ユニットのXY位置状態と回転手段による回転状態を含む第1状態を求めた後、この第1状態において干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉部位が判定ラインを超えたY方向の逸脱量(例えば、ΔE)求め、求めた逸脱量に基づいて干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉部位がY方向に移動されるように変更手段を制御する。
【0026】
例えば、光学式測定ユニットは、測定開始時にリム保持部材に保持されたリムの溝に測定子が挿入された状態で、Z方向においてリム保持部材に干渉しない位置に支持ユニットに支持された構成である。そして、干渉物が光学式測定ユニットである場合、例えば、制御手段は、リムの未測定部分を測定させるときであって、リム保持部材の配置情報に基づき、光学式測定ユニットの干渉部位がリム保持部材に対してZ方向に一定距離以上に離れた状態に位置しているときには、Y方向における干渉回避動作を行わない。これにより、XY方向における干渉回避のための光学式測定ユニットの位置変更が行われないため、より精度よくリムの形状を測定できる。
【0027】
例えば、被干渉情報取得手段によって取得された被干渉情報には、リムの測定済み情報が含まれる。この場合、例えば、制御手段は、リムの測定済み情報に基づき、測定済みのリムに対してX方向、Y方向及びZ方向の少なくとも一つの方向に干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉部位と被干渉対象物との距離が一定以上となるように、変更手段を制御する。
【0028】
例えば、光学式測定ユニットは、測定子をその先端方向から見た時に測定子に対して左右方向の一方に偏って配置された構成である。そして、干渉物が光学式測定ユニットである場合、例えば、制御手段は、リムの測定時に光学式測定ユニットより測定子が先行してリムの未測定部分を測定するように制御すると共に、制御手段は、リムの測定済み情報に基づき、測定済みのリムに対してX方向、Y方向及びZ方向の少なくとも一つの方向に、光学式測定ユニットの干渉部位と被干渉対象物との距離が一定以上となるように、変更手段を制御する。
【0029】
例えば、リムの測定済み情報におけるリムの被干渉部位は、光学式測定ユニットの測定によるリム断面情報に基づいて得ることができる。例えば、リムの測定済み情報におけるリムの被干渉部位は、さらには、光学式測定ユニットの測定によるリム断面情報と、測定子ユニットによるリムの三次元形状の測定結果と、に基づいて得ることができる。また、さらに、例えば、光学式測定ユニットの測定によるリム断面情報を使用しなくても、リムの測定済み情報におけるリムのXY方向の被干渉部位は、リム溝に対するリム内側のリム情報が事前に取得されていることで、これらの情報と、測定子ユニットによるリムの形状の測定結果と、に基づいて得ることができる。例えば、リムの測定済み情報におけるリムのZ方向の被干渉部位は、リム溝に対するリム厚情報が事前に取得されていることで、これらの情報と、測定子ユニットによるリムの形状の測定結果と、に基づいて得ることができる。
【0030】
また、例えば、光学式測定ユニットは、測定開始時にリム保持部材に保持されたリムの溝に測定子が挿入された状態で、Z方向においてリム保持部材に干渉しない位置に支持ユニットに支持された構成である。そして、干渉物が光学式測定ユニットである場合、例えば、制御手段は、リムの未測定部分を測定させるときであって、リム保持部材の配置情報に基づき、光学式測定ユニットの干渉部位が、リム保持部材に対してZ方向に一定距離以上に離れた状態に位置しているときには、X方向及びY方向における干渉回避動作を行わない。
【0031】
例えば、光学式測定ユニットは、測定子をその先端方向から見た時に測定子に対して左右方向の一方に偏って配置された構成である。この場合、例えば、制御手段は、リムの測定時に光学式測定ユニットより測定子が先行してリムの未測定部分を測定するように変更手段を制御する。そして、例えば、制御手段は、リムの測定済み情報に基づき、測定済みのリムに対してX方向及びY方向の少なくとも一方の方向に光学式測定ユニットの干渉部位が回避するように、変更手段を制御する。これにより、Z方向において光学式測定ユニットの干渉回避動作ができない構成であっても、リムとの干渉を回避して測定を行える。
【0032】
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、眼鏡フレームが高カーブフレームか否かを選択する選択手段を備えていてもよい。この場合、例えば、制御手段は、高カーブフレームが選択されたときに、被干渉対象物に対する干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の干渉を回避するように変更手段を制御する。一方、高カーブフレームが選択されなかった場合は(すなわち、眼鏡フレームが高カーブフレームでない場合は)、制御手段は、被干渉対象物に対する干渉物の干渉を回避するための干渉回避動作を行わない。例えば、干渉物が光学式測定ユニットである場合、光学式測定ユニットが測定開始時にリム保持部材に保持されたリムの溝に測定子が挿入された状態で、Z方向においてリム保持部材に干渉しない位置に支持ユニットに支持された構成においては、眼鏡フレームが高カーブフレームでない場合、Z方向においてリム保持部材及びリムに対して光学式測定ユニットの干渉が回避された状態であるため、X方向及びY方向における干渉回避動作を行わなくても、通常通りリムを測定できる。これにより、無用な干渉回避動作を避け、リムの形状をより精度よく測定できる。
【0033】
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、リムの測定結果に基づき、リムの測定中に干渉物と被干渉対象物との干渉が発生したか否かを検出する干渉発生検出手段を備える。例えば、干渉発生検出手段は、リムの測定結果の内、Z方向の検出結果を基に干渉の発生に有無を検出する。
【0034】
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、干渉発生検出手段によって干渉が発生したことが検出されたときにリムの形状の再測定を実行する再測定実行手段を備える。例えば、再測定実行手段は、制御部が干渉発生検出手段の検出結果に基づいて自動的に再測定を実行することでもよい。あるいは、測定中に干渉物と被干渉対象物との干渉が発生した旨を表示手段(例えば、モニタ3)に表示し、操作者が再測定実行スイッチを操作することで再測定実行信号が入力される構成であってもよい。
【0035】
例えば、眼鏡枠形状測定装置は、干渉発生検出手段の検出結果に基づいて干渉物と被干渉対象物との干渉が発生した測定点を特定する測定点特定手段を備える。例えば、眼鏡枠形状測定装置は、特定された測定点を再測定するときには、変更手段を制御することで干渉物の干渉回避動作を行う。例えば、眼鏡枠形状測定装置は、特定された干渉発生の測定点における干渉物の干渉部位の配置位置を、変更手段の制御情報(さらには、測定子に対する光学式測定ユニットの位置関係情報を含んでいてもよい)に基づいて求める演算手段を備える。この場合、例えば、制御手段は、再測定実行手段によって再測定が実行され、特定された干渉発生の測定点を再測定するときには、演算手段によって求められた干渉部位の配置位置に対して干渉部位が一定以上の距離に位置するように、変更手段を制御することで干渉物の干渉回避動作を行う。これにより、リムの形状をより精度よく、良好に測定できるようになる。
【0036】
なお、例えば、再測定実行手段による再測定は、干渉物と被干渉対象物(リム又はリム保持部材)とがわずかに干渉し、測定子がリム溝から完全に脱落していない状態のときに行われてもよい。例えば、この場合の再測定は、リムの全周の測定が終了した後に行われてもよいし、測定の途中で干渉発生検出手段によって干渉の発生が検出された時点で測定が中断された後に行われてもよい。また、例えば、再測定実行手段による再測定は、干渉発生によって測定子がリム溝から脱落した場合に行われてもよい。例えば、測定子がリム溝から脱落したか否かは、リムの測定結果が異常値を示すため、リムの測定結果を基に検出される。
【0037】
例えば、制御手段は、特定された干渉発生の測定点を再測定するときに、演算手段によって求められた干渉部位の配置位置に対して動径方向及び動径方向に垂直な垂直方向(X方向、Y方向及びZ方向)の少なくとも一つの方向に干渉回避動作を行う。
【0038】
また、例えば、制御手段は、特定された干渉発生の測定点を測定するときに、干渉部位に含まれる干渉点であって、干渉物(例えば、光学式測定ユニット)上に定められた干渉点の配置位置に対して、その干渉点がX方向及びY方向の少なくとも一方の方向でリムの内側方向に離れるように、干渉回避動作を行うようにしてもよい。この場合、干渉部位が或る程度の領域を持つのに対し、干渉物(例えば、光学式測定ユニット)上に定められた1つの干渉点の配置位置を演算すればよいので、演算速度が速くなり、スムーズな測定が行える。
【0039】
また、例えば、再測定の実行において、制御手段は、特定された干渉発生の測定点より後の後測定点を再測定するときには、干渉発生の測定点で光学式測定ユニットを干渉回避動作させた姿勢状態に対して、本来の測定時における光学式測定ユニットの姿勢状態に段階的に変化させるように変更手段を制御する。例えば、干渉発生の測定点で干渉物(例えば、光学式測定ユニット)を干渉回避動作させた姿勢状態に対して、干渉発生の測定点の後の後測定点において、本来の測定時における干渉物(例えば、光学式測定ユニット)の姿勢状態に急激に戻すと、リムに対する測定子の向き(測定軸L3の向き)が急激に変わり、測定精度が悪くなる可能性がある。このため、測定子の向きを測定精度の影響を少なくした角度(例えば、0.5度)で段階的にに変化させることで、測定精度を低下させずに、リムの測定を良好に行えるようになる。
【0040】
なお、本来の測定時における光学式測定ユニットの姿勢状態に段階的に変化させる制御は、後測定点の測定ポイント数を一定値(例えば、50ポイントで、1ポイントは動径角の0.36度)に定めておき、本来の測定時における光学式測定ユニットの姿勢状態に戻す角度を、その測定ポイント数で割った角度で徐々に変化させることでもよい。
【0041】
また、制御手段は、特定された干渉発生の測定点より前の前測定点を再測定するときに、本来の測定時における干渉物の姿勢状態から干渉発生の測定点で干渉物を干渉回避動作させた姿勢状態に段階的に変化させるように変更手段を制御してもよい。これにより、測定精度を低下させずに、リムの測定を良好に行えるようになる。
【0042】
なお、本開示においては、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う制御プログラム(ソフトウェア)をネットワーク又は各種記憶媒体等を介して、システムあるいは装置に供給する。そして、システムあるいは装置の制御部(例えば、CPU等)がプログラムを読み出し、実行することも可能である。
【0043】
例えば、眼鏡枠形状測定装置の制御プログラムは、例えば、眼鏡枠形状測定装置の制御プログラムは、変更手段を制御する制御ステップであって、前記フレーム保持手段に保持された眼鏡フレームのリム及び前記リム保持部材の少なくとも何れかを含む被干渉対象物に対し、測定子ユニット、光学式測定ユニット及び支持ユニットの少なくとも何れかを含む干渉物の干渉を回避するように変更手段を制御する制御ステップを備える。これらのステップを眼鏡枠形状測定装置の制御ユニットに実行させることで、リムの形状を良好に測定できる。
【0044】
また、制御プログラムは、フレーム保持手段によって保持された眼鏡フレームのリム及びリム保持部材の少なくとも一方の被干渉対象物の被干渉情報を取得する被干渉情報取得ステップを備えていてもよい。この場合、制御ステップは、被干渉情報取得ステップによって取得された被干渉情報に基づき、被干渉対象物に対する干渉物の干渉を回避するように変更手段を制御するステップを備える。
【0045】
また、例えば、眼鏡枠形状測定装置の制御プログラムは、リムの形状の測定済みの結果に基づいてリムの未測定分を測定するように変更手段を制御する制御ステップを備える。例えば、眼鏡枠形状測定装置の制御プログラムは、リムの測定結果に基づき、リムの測定中に、リム及びリム保持部材の少なくとも一方の被干渉対象物と干渉物との干渉が発生したか否かを検出する干渉発生検出ステップを備える。例えば、眼鏡枠形状測定装置の制御プログラムは、干渉発生検出ステップによって干渉の発生が検出されたときにリムの形状の再測定を実行する再測定実行ステップを備える。例えば、眼鏡枠形状測定装置の制御プログラムは、干渉発生検出ステップの検出結果に基づいてリムとの干渉が発生した測定点を特定する測定点特定ステップを備える。例えば、制御ステップは、再測定実行ステップによって再測定が実行され、特定された測定点を再測定するときには、前記変更手段を制御することで前記干渉物の干渉回避動作を行うステップである。
【0046】
例えば、眼鏡枠形状測定装置の制御プログラムは、特定された干渉発生の測定点における干渉物の干渉部位の配置位置を、変更手段の制御情報に基づいて求める演算ステップを備えていてもよい。この場合、制御ステップは、演算ステップによって求められた干渉部位の前記配置位置に対して干渉部位が離れるように変更手段を制御することで光学式測定ユニットの干渉回避動作を行う構成としたステップである。これらのステップを眼鏡枠形状測定装置の制御ユニットによって実行させることで、干渉発生時の再測定において、リムの形状を良好に測定できる。
【0047】
[実施例]
本開示の典型的な実施例の一つについて、図面を参照して説明する。
図1は、眼鏡枠形状測定装置の外観略図である。
【0048】
例えば、眼鏡枠形状測定装置1は、モニタ3、スイッチ部4、フレーム保持ユニット10、玉型形状取得ユニット20、等を備える。モニタ3は、各種の情報(例えば、リムRiのリム溝FAにおける断面形状、眼鏡フレームFのリムの形状、等)を表示する。モニタ3は、タッチパネルであり、モニタ3がスイッチ部4の機能を兼ねてもよい。スイッチ部4は、各種の設定(例えば、測定の開始、等)を行うために用いられる。モニタ3及びスイッチ部4から入力された操作指示に応じた信号は、後述する制御部50に出力される。なお、眼鏡枠形状測定装置1は、特開2000-314617号公報等と同じく、レンズ加工装置に組み込まれる構成としてもよい。例えば、玉型形状取得ユニット20は、フレーム保持ユニット10に保持された眼鏡フレームFのリムRi(例えば、左リムRIL、右リムRIR)の溝に向けて測定光束を照射し、その反射光束を受光することにより、眼鏡フレームFのリム溝FAの断面形状を取得する光学式測定ユニットを含む。また、例えば、玉型形状取得ユニット20は、フレーム保持ユニット10に保持された眼鏡フレームFのリム(例えば、左リムRIL、右リムRIR)の溝に測定子を挿入し、測定子の移動を検出することにより、リムRiの形状を測定する測定子ユニット60を含む。例えば、玉型形状取得ユニット20はフレーム保持ユニット10の下側に配置されている。
【0049】
<フレーム保持ユニット>
図2は、眼鏡フレームFを保持したフレーム保持ユニット10の上面図である。フレーム保持ユニット10は、眼鏡フレームFを所期する状態に保持する。例えば、フレーム保持ユニット10は、保持部ベース101、前スライダー102、後スライダー103、開閉移動機構110、等を備える。
【0050】
例えば、保持部ベース101上には、眼鏡フレームF(リムRi)を保持するための前スライダー102と、後スライダー103と、が載置されている。例えば、前スライダー102と後スライダー103は、その中心線CLを中心にY方向に延びる2つのレール111上を対向して摺動可能に配置されていると共に、バネ113により常に両者の中心線CLに向かう方向に引っ張られている。
【0051】
例えば、前スライダー102には、眼鏡フレームFのリムRiをその厚み方向(Z方向)からクランプするためのリム保持部材の例であるクランプピン130a,130bがそれぞれ2箇所に配置されている。例えば、後スライダー103には、眼鏡フレームFのリムRiをその厚み方向(Z方向)からクランプするためのリム保持部材の例であるクランプピン131a,131bがそれぞれ2箇所に配置されている。また、例えば、型板を測定するときは、前スライダー102及び後スライダー103が開放され、周知の型板保持治具が所定の取付け位置140に配置されて使用される。このフレーム保持ユニット10の構成は、例えば、特開2000-314617号公報等に記載された周知のものが使用できる。
【0052】
例えば、眼鏡フレームFは、眼鏡装用時のリムの下側が前スライダー102側に位置され、リムRiの上側が後スライダー103側に位置される。例えば、左右のリムRiのそれぞれの下側及び上側に位置するクランプピンにより、眼鏡フレームFは所定の測定状態に保持される。
【0053】
なお、前スライダー102及び後スライダー103のY方向の開閉状態は、検知器120(例えば、エンコーダ)によって検知される構成であってもよい。この場合、検知器120の検知情報は、測定時におけるクランプピン(130a,131a等)のY方向における配置情報の取得に利用される。
【0054】
図3は、リムRiを保持するクランプピン130a,130bのクランプ機構300を説明する図である。クランプ機構300は、4箇所に配置されたクランプピン130a,130b,131a,131bに対応して前スライダー102及び後スライダー103にそれぞれ配置されている。図3(a)は、左リムRILの下側をクランプするために、前スライダー102の左側に配置されたクランプ機構300の概略構成図である。図3(b)は、クランプピン130、131と、前スライダー102と、後スライダー103と、測定対象のリムRiと、の位置関係を説明する図である。図3(c)は、図3(b)においてクランプピン130(130a、130b)によって保持されているリムRiを矢印A3方向から観察した図である。
【0055】
クランプピン130aは、支持軸132aを介して第1アーム301の先端に取り付けられている。クランプピン130bは、支持軸132bを介して第2アーム302の先端に取り付けられている。第1アーム301は、軸304により回転可能に保持されている。第2アーム302は、軸306により回転可能に保持されている。第1アーム301及び第2アーム302の間には、圧縮ばね303が取り付けられている。圧縮ばね303によって、2つのクランプピン130a及び130bの間隔が、常に開く方向に付勢されている。また、第1アーム301の中心部には、軸304を中心にしたギヤ309が形成されている。同様に、第2アーム302の中心部には、軸306を中心にしたギヤ311が形成され、ギヤ309はギヤ311に噛み合わされている。第1アーム301の後端には、バネ318の一端が取り付けられている。バネ318の他端にワイヤー315が固定されている。ワイヤー315はプーリー317を介してモータ322によって巻き取られる。モータ322が駆動されることにより、第1アーム301に取り付けられたクランプピン130aと、第2アーム302に取り付けられたクランプピン130bと、が連動して開閉される。
【0056】
また、クランプピン130aとクランプピン130bの間には、リムRiが当接されるU字状のリム受け313が配置されている。リム受け313は下側の支持軸132bに固定されている。リム受け313には溝314が形成されており、この溝314の中をクランプピン130bの支持軸132aが通過する構成とされている。この構成により、リムRiがリム受け313に当接され、リムRiのY方向の位置が規制されると共に、2つクランプピン130a,130bが閉じられることで、リムRiがクランプピン130a,130bによって保持される。
【0057】
なお、スライダー102,103のそれぞれの対向面102a及び103aから支持軸132a,132bがY方向に突出する長さSSBLは、後述する光学式測定ユニット30が測定時にクランプピン130bの下側に位置し、スライダー102,103側に近寄ったときにも、光学式測定ユニット30がスライダー102,103に干渉しないような長さで配置されている。また、リム受け313からY方向に延びるクランプピン130a,130bの先端位置133までの長さHBLと、クランプピン130a,130bのX方向の幅HBA(XY位置)は、被干渉情報として後述するメモリ52に予め記憶されている。また、クランプピン130bが測定可能なリムRiを保持したときに、クランプピン130bが位置する最下端のZ方向の位置130minも、被干渉情報としてメモリ52に予め記憶されている。なお、リム受け313に関しても、測定時に光学式測定ユニット30が干渉する場合には、リム受け313のX方向の幅、Z方向の最下端の位置が被干渉対象物の被干渉情報としてメモリ52に予め記憶されていてもよい。
【0058】
なお、本実施例においては、リムRiを保持するリム保持部材の構成として、上記クランプピン130a,130b,131a,131bを例に挙げて説明したが、これに限定されず、周知の機構が使用されても良い。例えば、リム保持部材としては、V字状の溝を持つものでもよい。この場合、リムRiはV字の溝で受けられ、リムRiのZ方向位置とY方向の位置が規制される。
【0059】
<玉型形状取得ユニット>
図4図6は、玉型形状取得ユニット20を説明する図である。図4は、玉型形状取得ユニット20の上面斜視図である。図5は、玉型形状取得ユニット20の下面斜視図である。図6は、後述するZ方向移動ユニット220及びY方向移動ユニット230の上面斜視図(ベース部211とX方向移動ユニット240を取り外した状態の斜視図)である。
【0060】
例えば、玉型形状取得ユニット20は、フレーム保持ユニット10の下部に配置される。例えば、玉型形状取得ユニット20は、ベース部211、保持ユニット25、移動ユニット210等を備える。
【0061】
ベース部211は、X方向及びY方向に伸展した方形状の枠であり、フレーム保持ユニット10の下部に設けられる。保持ユニット25は、後述の測定子ユニット60及び光学式測定ユニット30を保持する。また、保持ユニット25は、回転ユニット260を備える。回転ユニット260は、回転ベース261を、回転軸L0を中心に回転させることで、後述する測定子ユニット60に備えられた測定子61が向くXY方向と、光学式測定ユニット30に備えられた開口部38が向くXY方向と、を変更する。移動ユニット210は、保持ユニット25をX方向、Y方向及びZ方向に移動させることで、保持ユニット25を眼鏡フレームFのリムRiに対して相対的に移動させる。
【0062】
<移動ユニット>
例えば、移動ユニット210は、ベース部211、Z方向移動ユニット220、Y方向移動ユニット230、X方向移動ユニット240、等を備える。例えば、ベース部211は、X方向及びY方向に伸展した方形状の枠であり、フレーム保持ユニット10の下部に配置される。例えば、Z方向移動ユニット220は、保持ユニット25をZ方向へ移動させる。例えば、Y方向移動ユニット230は、保持ユニット25及びZ方向移動ユニット220を保持し、これらをY方向へ移動させる。例えば、X方向移動ユニット240は、保持ユニット25、Z方向移動ユニット220、及びY方向移動ユニット230を保持し、これらをX方向へ移動させる。
【0063】
例えば、X方向移動ユニット240は、概略的に次のように構成されている。例えば、X方向移動ユニット240は、ベース部211の下方に、X方向へ延びるガイドレール241を備える。例えば、ガイドレール241には、Y方向移動ユニット230のYベース230aが、X方向へ移動可能に取り付けられている。例えば、ベース部211には、モータ245が取り付けられている。例えば、モータ245の回転軸には、X方向に延びる送りネジ242が取り付けられている。例えば、Yベース230aに固定されたナット部246は、送りネジ242に螺合されている。これにより、モータ245が回転されると、Yベース230aがX方向に移動される。
【0064】
例えば、Y方向移動ユニット230は、概略的に次のように構成されている。例えば、Yベース230aには、Y方向に延びる図示なきガイドレールが取り付けられている。例えば、ガイドレールには、Zベース220aがY方向へ移動可能に取り付けられている。例えば、Yベース230aには、Y方向移動用のモータ235と、Y方向に延びる回転可能な送りネジ232と、が取り付けられている。例えば、モータ235の回転は、ギヤ等の回転伝達機構を介して、送りネジ232に伝達される。例えば、送りネジ232には、Zベース220aに取り付けられたナット227が螺合されている。これにより、モータ235が回転されると、Zベース220aがY方向に移動される。
【0065】
例えば、X方向移動ユニット240及びY方向移動ユニット230によって、XY方向移動ユニットが構成される。例えば、保持ユニット25のXY方向の移動位置は、後述する制御部50が、モータ245及びモータ235が駆動されるパルス数を検知することで、検出される。なお、例えば、保持ユニット25のXY方向の移動位置は、モータ245及び235に取り付けたエンコーダ等のセンサを使用して検出してもよい。
【0066】
例えば、Z方向移動ユニット220は、概略的に次のように構成されている。例えば、Zベース220aには、Z方向に延びるガイドレール221が形成され、ガイドレール221に沿って、保持ユニット25が取り付けられた移動ベース250aが、Z方向へ移動可能に保持される。例えば、Zベース220aには、Z方向移動用のパルスモータ225が取り付けられると共に、Z方向に延びる図示なき送りネジが回転可能に取り付けられている。例えば、保持ユニット25のベース250aに取り付けられたナットに螺合されている。例えば、モータ225の回転は、ギヤ等の回転伝達機構を介して送りネジ222に伝達され、送りネジ222の回転により、保持ユニット25がZ方向に移動される。
【0067】
例えば、保持ユニット25のZ方向の移動位置は、後述する制御部50が、モータ225が駆動されるパルス数を検知することで、検出される。なお、例えば、保持ユニット25のZ方向の移動位置は、モータ225に取り付けたエンコーダ等のセンサを使用して検出してもよい。
【0068】
なお、上記のような、X方向、Y方向、及びZ方向の各移動機構は、本実施例に限定されず、周知の機構を採用することができる。例えば、保持ユニット25を直線移動させる代わりに、回転ベース261の中心に対して円弧起動で移動させる構成としてもよい(例えば、特開2006-350264号公報等参照)。
【0069】
<保持ユニット、支持ユニット>
次に、保持ユニット25の構成を、図7図10により説明する。図7は、保持ユニット25の概略構成を説明する斜視図である。保持ユニット25は、支持ユニット70を備える。
【0070】
支持ユニット70は、測定子ユニット60と、光学式測定ユニット30と、を備える。測定子ユニット60は、リムの溝に挿入される測定子61と、測定子61が上部に配置された測定子軸71と、を備える。光学式測定ユニット30は、投光光学系及び受光光学系が収納される筐体であるカバー30cを備える。そして、支持ユニット70は、測定子ユニット60と光学式測定ユニット30とを一体的に支持するように構成されている。本実施例では、測定子軸62の下方の一部が支持ユニット70を兼ね、光学式測定ユニット30が測定子軸62に取り付けられた構成である。なお、支持ユニット70は、測定子ユニット60と光学式測定ユニット30とを一体的に支持する構成であればよく、例えば、光学式測定ユニット30が測定子軸62に取り付けられるのではなく、支持部材によって測定子軸62と光学式測定ユニット30とを一体的に支持する構成であってもよい。
【0071】
また、図8に示すように、光学式測定ユニット30は、測定開始時にクランプピン130に保持されたリムの溝に測定子61が挿入された状態で、Z方向においてクランプピン130に干渉しない位置に、支持ユニット70に支持された構成である。すなわち、測定子軸62がZ方向に略平行に位置するとき、測定子61の先端61aに対するカバー30cの上面30cAの距離ZA(Z方向の距離)は、測定開始時にクランプピン130に保持されたリムの溝に測定子61が挿入された状態で、クランプピン130bに干渉しない距離とされている。
【0072】
また、光学式測定ユニット30は、測定子61の先端61a方向から見た時に、測定子61に対して左右方向の一方に偏って配置された構成である(図7図9参照)。本実施例では、光学式測定ユニット30は測定子61に対して左側に偏って配置されている。
【0073】
保持ユニット25は、支持ユニット70を測定子61の先端61aが向く方向(図9の測定軸L3の方向)に移動可能に保持すると共に、支持ユニット70のZ方向の位置を自由に移動可能に保持するように構成されている。さらに、保持ユニット25は、測定子ユニットの測定子61の先端61aが向くXY方向)及び光学式測定ユニット30の測定光軸(図9の投光光軸をL1、受光光軸をL2)のXY方向を変えるための回転ユニット260を備える。
【0074】
以下、保持ユニット25が備える各ユニットの構成を説明する。
【0075】
<回転ユニット>
回転ユニット260は、回転ベース261を備える。図7に示されるように、支持ユニット70は、回転ベース261に配置されている。回転ベース261は、Z方向に延びる回転軸LOを中心にして回転可能に保持されている。例えば、回転ベース261の下部の外周には、大径ギヤ262が形成されている。例えば、回転ユニット260は、取り付け板252を有する。例えば、取り付け板252には、モータ265が取り付けられている。例えば、モータ265の回転軸には、ピニオンギヤ266が固定され、ピニオンギヤ266の回転は、取り付け板252に回転可能に設けられたギヤ263を介して、大径ギヤ262に伝達される。したがって、モータ265の回転により、回転ベース261が回転軸LOの軸回りに回転される。例えば、モータ265の回転は、モータ265へ一体的に取り付けられたエンコーダ265aにより検出され、エンコーダ265aの出力から、回転ベース261の回転角が検知される。回転ベース261の回転の原点位置は、図示を略す原点位置センサにより検知される。
【0076】
<保持ユニットによる支持ユニットの保持機構>
図8は、保持ユニット25が、支持ユニット70を測定子61の先端61aが向く方向に移動可能に保持する機構と、支持ユニット70をZ方向に移動可能に保持する機構と、を説明する図である。
【0077】
例えば、保持ユニット25は、回転ベース261の下に固定され、且つ、Z方向に延びるシャフト74を備える。シャフト74には、Z方向に移動可能な筒状部材73が備えられている。そして、筒状部材73にはZ移動支基72が固定されている。支持ユニット70を兼ねる測定子軸62の下方は、軸S2を中心にして測定子61の先端61aの方向に傾斜可能に、Z移動支基72に保持されている。すなわち、支持ユニット70は測定子61の先端61aの方向に移動可能に保持ユニット25に保持され、且つ、支持ユニット70はZ方向に移動可能に保持ユニット25に保持される構成となっている。保持ユニット25(回転ユニット260)に対する支持ユニット70のZ方向の移動位置は、検知器の例であるエンコーダ287によって検知される。
【0078】
なお、回転ベース261と筒状部材73との間には、支持ユニット70の荷重の平衡を取るためのバネ75が配置されている。バネ75の付勢力は、僅かに上方向に測定圧が掛かるようにしてもよい。これにより、リムRiの測定時に、測定子61には上方向への測定圧が常に掛けられる状態となる。
【0079】
図8において、軸S2より下方の測定子軸62には、取り付け部材78を介して回転角検出板79が取り付けられている。軸S2を中心に回転される回転角検出板7の回転量は、検知器の例であるエンコーダ288によって検知される。すなわち、測定子軸62の傾斜量がエンコーダ288によって検知される。
【0080】
また、測定子61の先端方向に測定圧を付与するための測定圧付与手段の例であるバネ76が、取り付け部材78と筒状部材73との間に配置されている。バネ76によって、測定子軸62が測定子61の先端方向に傾斜するように常に付勢力が掛けられている。リムRiの測定時の初期状態では、取り付け部材78が制限部材78aに当接することにより、測定子軸62の傾斜が図8の状態(Z方向に対する測定子軸62の傾斜がゼロとなる状態)に制限される。なお、測定時の初期状態では、測定子軸62が測定子61の先端方向とは逆方向にわずかに傾斜(例えば、Z方向に対して2~5度傾斜)する状態であってもよい。
【0081】
<測定子ユニット>
図9は、図7の支持ユニット70を上から見たとき概略図である。例えば、測定子ユニット60は、眼鏡フレームFのリムRiの形状(例えば、リムRiの玉型形状)を取得するために用いられる。測定子ユニット60は、測定子61と、測定子軸62を備える。例えば、測定子61は、測定子軸62に取り付けられている。本実施例において、測定子軸62から、測定子61の先端61aに対する方向を、測定軸L3とする。
【0082】
<光学式測定ユニット>
光学式測定ユニット30について、図7図10を用いて説明する。なお、図10は、光学式測定ユニット30に備えられる光学系である、投光光学系30aと、受光光学系30bと、の位置関係を示す概略図である。
【0083】
例えば、光学式測定ユニット30は、投光光学系30aと、受光光学系30bと、カバー30cと、で構成される。例えば、投光光学系30a及び受光光学系30bは、眼鏡フレームFのリムRiの形状及び眼鏡フレームFのリム溝FAの断面形状を取得するために用いられる。例えば、カバー30cには開口部38が設けられている。例えば、開口部38には開口部38を覆うような透明パネルが設けられていてもよい。投光光学系30aは、眼鏡フレームFのリム溝FAに向けて、光源から測定光束を照射する。投光光学系30aからの測定光束は、保持ユニット25の内部から外部へと、開口部38を介して出射し、リム溝FAに向けて照射される。例えば、受光光学系30bは、眼鏡フレームFのリム溝FAにて反射された測定光束の反射光束を、検出器37によって受光する。眼鏡フレームFのリム溝FAに反射された測定光束の反射光束は、保持ユニット25の外部から内部へと、開口部38を介して入射し、受光光学系30bに向けて導光される。
【0084】
<投光光学系>
例えば、投光光学系30aは、光源31と、レンズ32と、スリット板33と、レンズ34と、を備える。例えば、投光光学系30aの投光光軸をL1とする。例えば、光源31から出射された測定光束は、レンズ32によって集光し、スリット板33を照明する。例えば、スリット板33を照明した測定光束は、スリット板33によって、細いスリット状に制限された測定光束となり、レンズ34を介して、眼鏡フレームFのリム溝FAに照射される。すなわち、眼鏡フレームFのリム溝FAにスリット光が照射される。これにより、眼鏡フレームFのリム溝FAは、スリット光により光切断された形で照明される。
【0085】
<受光光学系>
例えば、受光光学系30bは、レンズ36と、検出器37(例えば、受光素子)と、を備える。例えば、受光光学系30bの受光光軸をL2とする。例えば、レンズ36は、眼鏡フレームFのリム溝FAでの反射により取得される、リム溝FAの反射光束(例えば、リム溝FAの散乱光、リム溝FAの正反射光、等)を検出器37に導く。例えば、検出器37は、眼鏡フレームFのリム溝FAと略共役な位置に配置された受光面を持っている。
【0086】
<投光光学系と受光光学系の配置>
本実施例において、投光光学系30aと受光光学系30bとはシャインプルーフの原理に基づいて配置される。例えば、眼鏡フレームFのリム溝FAを投光光学系30aによるスリット光が光切断する切断面と、眼鏡フレームFのリム溝FAを含むレンズ系(眼鏡フレームFのリム溝FA及びレンズ36)と、検出器37の受光面と、がシャインプルーフの関係で配置される。
【0087】
<光学式測定ユニットと測定子ユニットの測定位置関係>
次いで、光学式測定ユニット30による測定位置と、測定子ユニット60による測定位置と、の関係について、図9を用いて説明する。
【0088】
例えば、図9に示すように、本実施例において、光学式測定ユニット30によって測定される第1測定位置Tと、測定子ユニット60によって測定される第2測定位置Sと、が異なる測定位置を測定するように、光学式測定ユニット30と測定子ユニット60が配置されている。また、本実施例においては、第1測定位置Tと、第2測定位置Sと、が隣接した測定位置を測定するように、測定子ユニット60と光学式測定ユニット30が配置されている。本実施例においては、第1測定位置Tと、第2測定位置Sと、は、ずれ量ΔD分だけ測定位置がずれている。
【0089】
なお、例えば、本実施例において、投光光学系30aの投光光軸L1及び受光光学系30bの撮像光軸L2は、測定子61の測定軸L3に対し、Z方向に傾斜角度αだけ傾斜して配置されている。
【0090】
また、例えば、本実施例において、第1測定位置Tと第2測定位置Sがより近い位置を測定可能とするために、光学式測定ユニット30における投光光学系30aの光軸L1が、測定子61から眼鏡フレームFのリム溝FAの測定位置に向かう測定軸L3に対して、動径平面上(XY平面上)において傾斜角度β分だけ傾斜して配置されている。
【0091】
さらにまた、例えば、本実施例において、投光光学系30aのスリット光により光切断された切断面が検出できるように、光学式測定ユニット30における受光光学系30bの撮像光軸L2が、投光光学系30aの光軸L1に対して、動径平面上(XY平面上)において傾斜角度γ分だけ傾斜して配置されている。すなわち、本実施例において、受光光学系30bの撮像光軸L2は、XY平面に対してZ方向に傾斜角度α分だけ下方に傾斜し、且つ、投光光学系30aの光軸L1に対して、XY平面上において傾斜角度γ分だけ傾斜して配置されている。
【0092】
例えば、測定子ユニット60と光学式測定ユニット30は一体的に支持ユニット70に支持されているため、測定子ユニット60が移動されると、測定子ユニット60の動きに合わせて、光学式測定ユニット30が移動される。
【0093】
<制御部>
図11は、眼鏡枠形状測定装置1の制御系を示す図である。例えば、制御部50には、モニタ3、スイッチ部4、光源31、検出器37、エンコーダ265a、各モータ、不揮発性メモリ52(以下、メモリ52)、等が電気的に接続されている。
【0094】
例えば、制御部50は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等を備える。例えば、制御部50は、眼鏡枠形状測定装置1における各部材の制御を司る。また、例えば、制御部50は、各センサからの出力信号に基づくリム溝FAの断面形状の演算等、各種の演算処理を行う演算部として機能する。また、制御部50は、被干渉情報取得手段の機能を有する。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、眼鏡枠形状測定装置1の動作を制御するための各種プログラム、初期値、等が記憶されている。なお、制御部50は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
【0095】
例えば、メモリ52は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、メモリ52としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等を使用することができる。
【0096】
<装置の動作>
次いで、本開示における装置の動作の一例を、図12のフローチャート図を用いて説明する。なお、図12のフローチャート図は、眼鏡枠形状測定装置1において制御部50が実行するプログラムの例である。なお、本実施例において、リムRiの測定は、右リムRIRから測定を行い、次いで左リムRILの測定を行うが、もちろん、左リムRILを先に測定し、次いで右リムRIRの測定を行ってもよい。
【0097】
まず、操作者は、フレーム保持ユニット10に眼鏡フレームFを保持させる。例えば、操作者は、眼鏡フレームFの左右リムRIR,RILが下方向、眼鏡フレームFの左右のテンプルFTL,FTRが上方向となるように、フレーム保持ユニット10に眼鏡フレームFを保持させる。その後。操作者が、スイッチ部4を操作し、測定開始のトリガ信号を、制御部50に入力する。
【0098】
なお、例えば、フレーム保持ユニット10に眼鏡フレームFが保持されたことを、図示しないセンサが検知し、測定が開始されてもよい。
【0099】
図13(a)は、保持ユニット25に備えられた測定子61の先端61aが、初期位置SR1に位置する状態を示す図である。
【0100】
なお、初期位置SR1は、測定開始前に、保持ユニット25が配置されている所定の位置である。例えば、初期位置SR1のX方向の位置は、クランプピン130a、130bのX方向の中心位置である。例えば、初期位置SR1のY方向の位置は、前スライダー102と、後スライダー103に対する中心線CLのY方向の位置と同じである。例えば、初期位置SR1のZ方向の位置は、測定子61がクランプピン130bのZ方向の可動範囲の最下端130minよりも下側となる位置であり、例えば、Z方向移動ユニット220の可動範囲の下端である。なお、本実施例においてクランプピン130a、130bのX方向の位置と、中心線CLのY方向の位置は、予め設定されている位置であり、メモリ52に保持されていてもよい。例えば、初期位置SR1において、測定子61の先端61aは測定開始点FS側を向き、測定子軸62は回転ベース261に対してZ方向に垂直に位置するように配置されている。なお、初期位置SR1は、右リムRIRのXY方向の動径情報を得るための基準位置ORとされる。また、Z方向の基準位置は、クランプピン130aとクランプピン130b(クランプピン131aとクランプピン131b)の中間位置とされる。なお、初期位置SR1は、測定子61と光学ユニット30の位置関係により、上記と異なる位置であってもよい。
【0101】
例えば、測定開始のトリガ信号が出力されると、制御部50は、移動ユニット210、及び回転ユニット260の駆動を制御し、測定子61の先端61aが、クランプピン130a、130bで挟持されたリムRiの溝部分に挿入されるように、保持ユニット25を、初期位置SR1からY方向に移動させる。なお、保持ユニット25を初期位置SR1から移動させることで、測定子61の先端61aが挿入されたリム溝FAの部分(及び測定子61の先端61aの位置)を、測定開始点FSとする。
【0102】
図13(b)は、測定子61の先端61aが測定開始点FSに位置するように、保持ユニット25が移動された状態を示す図である。例えば、測定開始点FSの位置は、例えば、クランプピン130a、130bによって挟持されている部位に含まれる点である。
【0103】
測定開始点FSに測定子61の先端61aが位置するように、保持ユニット25を、初期位置SRから移動させる方法の一例を説明する。
【0104】
なお、制御部50は、測定開始点FSでは、測定子61の測定軸L3がX方向に対して所定の角度δとなるように、回転ユニット260の回転ベース261を回転させる。所定の角度δは、例えば、測定子ユニット60と、光学式測定ユニット30の少なくとも一方が精度よくリムRiの形状を測定するために適切な角度であり、例えば、XY方向において、X方向に対して法線方向である。また、制御部50は、測定子61の先端61aが、測定開始点FSの所定高さ(クランプピン130a、クランプピン130bのZ方向における中点の位置)となるように、Z方向移動ユニット220を移動させる。次に、制御部50は、X方向移動ユニット240及びY方向移動ユニット230を駆動し、測定子61の先端61aをリム溝FAに挿入させる。測定子61の先端61aがリム溝FAに接触し、その状態からさらに保持ユニット25がリムRi側に移動されることにより、垂直状態にあった測定子軸62が軸S2を中心にして傾斜させられる。測定子軸62の傾斜がエンコーダ288の出力変化から検出されるため、測定子61の先端61aがリム溝FAに接触したことが、制御部50により検知される。測定開始点FSでは、測定子軸82が、所定の角度(例えば、5度)だけ傾斜される位置まで、保持ユニット25をリム溝FA側に移動させる。
【0105】
このときの測定子61の先端61aの位置は、移動ユニット210によって移動される保持ユニット25のXYZ位置情報と、測定子軸62のZ方向の移動量を検知するエンコーダ287の検知情報と、測定子軸62の傾斜角を検知するエンコーダ288の検知情報と、回転ユニット260の回転角を検知するエンコーダ265aの検知情報と、に基づいて求められ、メモリ52に記憶される。
【0106】
なお、測定子軸62が傾斜する状態まで保持ユニット25を移動させるのは、その後の測定点の測定に際し、リム溝FAから離れる方向に対しても測定を可能にするためである。本実施例において、測定子61は、リム溝FAに挿入された後に軸S2を中心にリム溝FA側に傾斜され、バネ75及びバネ76によって測定圧が掛けられた状態とされる。この測定圧の発生により、測定子軸62が垂直になるまで、測定子61の先端61aはリム溝FAの位置の変化に追従することができる。
【0107】
なお、リムRiの測定開始に当たり、測定対象の眼鏡フレームFが高カーブフレームか否かを、予め選択可能にしておくとよい。例えば、図1に示されるモニタ3の画面上に、測定対象の眼鏡フレームFが高カーブフレームか否かを選択するための選択手段の例である選択スイッチ3aが表示されている。選択スイッチ3aによって高カーブフレームが選択された場合は、被干渉対象物に対する光学式測定ユニット30の干渉を回避するための干渉回避測定モードが適用される。選択スイッチ3aによって高カーブフレーム以外のフレーム(すなわち、低カーブフレーム)が選択された場合は、通常測定モードが適用される。以下、通常測定モードの場合の測定動作と、干渉回避測定モードの動作と、を順に説明する。
【0108】
<通常測定モード>
図14は、低カーブフレームの形状を測定する場合において、クランプピン130、131と、リムRiと、測定子61と、光学式測定ユニット30と、の位置関係を示す模式図である。図14(a)は、図2に眼鏡フレームFのリムRiがクランプピン(130、131)に保持された状態を、紙面の上方向から観察した図であり、図14(b)は、図2における矢印A2の方向(手前方向)からリムRiを観察した図である。
【0109】
図14(a)に示されるように、測定子61の先端61aがリムRiの右側のやや下方の測定点Fnを測定する状態において、XY面を上から観察した場合、光学式測定ユニット30がクランプピン130及びリムRiに干渉している状態に見える。しかし、図14(b)に示されるように、Z方向において、クランプピン130bの下端よりも光学式測定ユニット30の上面30cAが下方に位置するため、通常は、光学式測定ユニット30と、リムRi及びクランプピン130bと、の干渉は発生しない。このため、通常測定モードでは、クランプピン130b等の干渉を避けるための特別な制御は行われない。
【0110】
通常測定モードにおける、リム形状データ取得方法の一例について説明する。通常測定モードでは、制御部50は、光学式測定ユニット30により、リム溝FAの断面形状を取得する。また、制御部50は、測定子ユニット60により、リム溝FAの全周の三次元位置情報を取得する。
【0111】
通常測定モードが開始されると、制御部50は、光学式測定ユニット30の光源31を点灯する。光源31の点灯により、眼鏡フレームFのリム溝FAはスリット光により光切断される。スリット光で光切断された眼鏡フレームFのリム溝FAからの反射光束は受光光学系30bに向かい、検出器37により受光される。制御部50は、検出器37によって受光された反射光束に基づいて、眼鏡フレームFのリム溝FAの断面形状を取得する。なお、本実施例においては、断面形状として、断面画像を取得する。
【0112】
例えば、測定子ユニット60による測定について、制御部50は、回転ユニット260を駆動することで、回転軸LOの軸回りに測定子軸62及び測定子61を回転させる。また、制御部50は、移動ユニット210を駆動させ、保持ユニット25のXY方向の位置を調整する。測定子61は、リムRi(リム溝FA)の変化に追従して、X方向、Y方向、及びZ方向に移動する。本実施例では、制御部50は、測定子61の先端61aをリムRiに沿って移動させる。このとき、制御部50は、測定軸L3がリムRiの延びる方向に対して、XY方向において所定の角度δとなるように、移動ユニット210及び回転ユニット260の動作を制御し、測定子61を移動させる。なお、所定の角度δは、例えば、予め定められた角度である。所定の角度δは、例えば、測定子ユニット60と、光学式測定ユニット30の少なくとも一方が精度よく眼鏡フレームFの形状を測定するために適切な角度であり、例えば、XY方向において、リムRiの延びる方向に対して法線方向である。
【0113】
なお、トレース時における測定子61の先端61aの位置(すなわち、リム溝FAの位置情報)は、保持ユニット25のXYZ方向の位置の検知情報(制御部50が各モータの駆動量から検知する)と、回転ユニット260の回転角を検知するエンコーダ265aの検知情報と、支持ユニット70のZ方向の移動量を検知するエンコーダ287の検知情報と、測定子軸62の傾斜角を検知するエンコーダ288の検知情報と、に基づいて求められる。
【0114】
制御部50は、保持ユニット25を移動させることによって、光学式測定ユニット30(投光光学系30a及び受光光学系30b)及び測定子ユニット60を移動させ、眼鏡フレームFのリムRiの輪郭を測定していく。これによって、眼鏡フレームFのリム溝FAの断面形状及びリムRiの位置情報(本実施例においてはリムRiの玉型形状及び周長)を取得する。なお、本実施例においては、投光光学系30a及び受光光学系30bは、シャインプルーフの関係を維持した状態で、リムRiに対して移動される。すなわち、眼鏡フレームFのリム溝FAに対して、光学式測定ユニット30が一定の位置関係となるように移動させることで、眼鏡フレームFのリム溝FAの断面形状が取得できる。
【0115】
例えば、制御部50は、XY方向において、基準位置OR(初期位置SR1)から測定子61の先端61aと接しているリム溝FAまでの動径角(θn)と、基準位置ORからリム溝FAまでの距離である動径長(rn)と、を測定子61の先端61aの位置情報に基づいて求める。
【0116】
制御部50は、測定開始点FSから、基準位置ORを中心とした動径角(θn)が0度から360度となるように、保持ユニット25を移動させ、リムRi全周の形状を測定する。なお、動径角(θn)のときに測定子61の先端61aが接するリムRi上の点を、測定点Fnとする。
【0117】
なお、リムRiの形状を測定する際に、制御部50は、既に測定したリムRiの部分の情報に基づいて、未測定の部分のリムRiの位置を予測し、保持ユニット25の移動制御及び回転ユニット260の回転制御を行ってもよい。既に測定したリムRiの位置情報に基づいて、未測定の部分のリムRiの位置を予測する方法の一例を説明する。
【0118】
例えば、動径角(θn)において、測定子61の先端61aが、測定点Fnに位置しているとき、次の測定点Fn+1の位置は、測定点Fnと、既に測定が行われた測定点Fn-1と、を通る直線上に存在すると予測される。なお、測定点Fn+1の位置の予測のために、既に測定が行われた測定点は、複数用いられてもよい。
【0119】
なお、既に測定したリムRiの位置情報に基づいて、未測定の部分のリムRiの位置を予測する方法は、特開2011-122899号公報等に記載された公知のものが使用できる。これにより、精度よくリムRiの形状を測定することができる。
【0120】
光学式測定ユニット30と、測定子ユニット60と、が支持ユニット70に一体的に支持されているため、測定子ユニット60の移動に伴って、光学式測定ユニット30によるリム溝に対する測定光束の照射位置が変更される。本実施例においては、測定子61によるリム溝FAの測定と、光学式測定ユニット30によるリム溝の断面形状測定が並行して行われる。例えば、測定子61のリム溝FAに沿った移動によって、順にリム溝FAの断面画像(断面形状)が取得されていく。すなわち、リムRiの断面画像を取得する位置がリムRiの周方向に移動されていく。なお、リムRiの断面画像を取得した位置は、測定子61の先端からΔDだけずれた値であり(図9参照)、測定子61の先端61aの位置に基づいて求められる。例えば、取得された溝の断面形状情報の取得位置は、メモリ52に記憶される。
【0121】
光学式測定ユニット30によるリムRiの断面画像の取得方法は、例えば、国際公開2019/026416号公報等に記載されたものが使用できる。
【0122】
例えば、本実施例では、リムRiの全周に亘って、基準位置ORを中心とした動径角(θn)ごとに、動径角(θn)における動径長(rn)と、動径角(θn)における測定点Fnの位置情報(xn,yn,zn)(n=1、2、3、・・・、N)と、動径角(θn)におけるリム溝FAの断面形状と、が取得される。例えば、本実施例では、リムRiの全周の測定ポイントは1,000点であり、動径角は0.36度毎に変化される。なお、本実施例において、測定点Fnの位置情報は、三次元の直交座標で表されている。測定点Fnの位置情報は、X方向及びY方向の位置を動径角θn及び動径長rnによって二次元の極座標で表すと共に、Z方向の位置をZ座標で表した(rn,zn,θn)(n=1,2,3、・・・、N)に適宜変換されてもよい。
【0123】
例えば、制御部50は、リムRi全周に亘って取得される動径角(θn)ごとに、動径角(θn)における動径長(rn)と、動径角(θn)におけるリム溝FAの三次元玉型形状データ(xn,yn,zn)(n=1、2、3、・・・、N)と、動径角(θn)におけるリム溝FAの断面形状と、をメモリ52に記憶させる。
【0124】
例えば、リムRi全周に亘ってリム溝FAの断面画像の取得が完了すると、制御部50は、メモリ52に記憶したリムRi全周の断面画像と、リムRi全周におけるリム溝FAの位置情報を呼び出し、演算処理を行って、リムRi全周におけるリムRiの三次元形状を取得する。例えば、制御部50は、取得したリムRi全周の三次元形状を、メモリ52に記憶させる。なお、本実施例においては、リムRi全周における断面形状の取得が完了した後に三次元断面画像を取得する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。リム溝FAの断面画像の各取得位置において、断面画像を取得する毎に、演算処理を行っていく構成であってもよい。
【0125】
なお、本実施例において、投光光学系30aの光軸L1及び受光光学系30bの撮像光軸L2は、XY平面に対して、Z方向に傾斜角度α分だけ下方に傾斜して配置されている。また、例えば、光学式測定ユニット30における投光光学系30aの光軸L1が、測定子61から眼鏡フレームFのリム溝FAの測定位置に向かう測定軸L3に対して、動径平面上(XY平面上)において傾斜角度β分だけ傾斜して配置されている。さらにまた、例えば、投光光学系30aの投光光軸L1及び受光光学系30bの撮像光軸L2は、測定子61から眼鏡フレームFのリム溝FAの測定位置に向かう測定軸L3に対して、Z方向において傾斜角度γ分だけ下方に傾斜して配置されている。上記のような構成に場合、例えば、制御部50は、傾斜角度αと、傾斜角度βと、傾斜角度γと、の少なくともいずれかの傾斜角度に基づいて、リム溝FAの断面形状を補正するようにしてもよい。一例として、制御部50は、傾斜角度αと、傾斜角度βと、傾斜角度γと、の少なくともいずれかの傾斜角度を利用した三角関数によって、取得された眼鏡フレームFのリム溝FAの断面形状を補正してもよい。さらにまた、例えば、光学式測定ユニット30は、測定子軸62と一体的に保持されていることから、制御部50は、エンコーダ288によって取得される測定子軸62の傾斜角度に基づいて、取得された眼鏡フレームFのリム溝FAの断面形状を補正してもよい。
【0126】
このように、傾斜角度に基づき、リム溝FAの断面形状を補正することによって、傾斜角度の影響によって生じた断面形状の歪みを補正した断面形状を取得することが可能となり、リム溝FAの断面形状を精度よく取得することができる。
【0127】
なお、例えば、測定子61の先端61aをリム溝FAに沿って移動させる際に、光学式測定ユニット30によって取得された測定結果(例えば、断面画像)に基づいて、測定子61の位置を調整しながら移動させるようにしてもよい。すなわち、光学式測定ユニット30によるリム溝FAの断面形状の測定が、測定子ユニット60によるリム溝FAの位置n測定よりも先行して行われるため、制御部50は、光学式測定ユニット30によって取得されたリム溝FAの断面形状に基づいて、測定子61がリム溝FAから脱落しないように、保持ユニット25の移動を制御することができる。この場合、例えば、制御部50は、光学式測定ユニット30によって取得された断面画像を画像処理し、リム溝FAの底を検出し、検出したリム溝FAの底の位置に基づいて、測定子61の先端61aがリム溝の底の位置に挿入されるように、保持ユニット25の移動を制御してもよい。
【0128】
例えば、制御部50は、一方のリムRi(右リムRIR)の測定が終了すると、X方向移動ユニット240の駆動を制御し、他方のリムの測定用の初期位置に保持ユニット25を移動させる。上記の測定制御と同様にして、他方のリムの測定を行う。右リムRIR及び左リムRILの測定結果は、メモリ52に記憶される。
以上のように通常測定モードを行うことで、制御部50は、リムRiの3次元形状を取得する。
【0129】
<干渉回避測定モード>
測定対象の眼鏡フレームFが高カーブフレームであると選択され、干渉回避測定モードが適用された場合を説明する。なお、測定子ユニット60によるリムRiの形状測定及び光学式測定ユニット30による断面形状測定の動作は、前述の通常測定モードと基本的に同じであるので、ここでは、被干渉対象物に対する光学式測定ユニット30の干渉回避の動作を中心に説明する。
【0130】
高カーブフレームが選択された場合、制御部50は、光学式測定ユニット30と、被干渉対象物(クランプピン130b、リムRi,等)との干渉が測定動作中に起きる可能性を考慮し、玉型形状取得ユニット20に干渉回避動作を行わせる干渉回避測定モードで、リムRiの三次元形状を取得する。
【0131】
例えば、制御部50は、干渉回避測定モードにおいて、通常測定モードと同様に、リムRiの形状を測定する際に、既に測定したリムRiの部分の情報に基づき、未測定の部分のリムRiの位置を予測する。例えば、制御部50は、基準位置を中心とした動径角(θn)ごとに、リムRi上の既に測定された部分の情報に基づいて動径角(θn)の次に測定が行われる動径角(θn+1)において、測定子61の先端61aが接触するリムRi上の測定点Fn+1の位置を予測する。なお、既に測定したリムRiの位置情報に基づいて未測定の部分のリムRiの位置を予測する方法は、通常測定モードと同様に、特開2011-122899号公報等に記載された周知のものが使用できる。
【0132】
図15は、光学式測定ユニット30と、クランプピン130bとが干渉する典型的な例を説明する図であり、リムRi,クランプピン130、131、光学式測定ユニット30の位置関係を示す概略図である。図15(a)は、測定平面を紙面の上方向から観察した図であり、図15(b)は、クランプピン130側からY軸と平行方向に観察した図である。
【0133】
矢印C1は測定進行方向(図15において時計回りの方向)であり、すなわちリムRi形状測定時における測定子61の移動方向である。本実施例において、光学式測定ユニット30は測定子61の下部に測定子軸62と一体となって設置されており、また、光学式測定ユニット30は測定子ユニット60と一体的に移動される。光学式測定ユニット30は測定子ユニット60よりもXY方向に大きい。このため、高カーブフレームに対して形状測定を行う場合であって、測定子ユニット60及び光学式測定ユニット30がリムRi上のある測定点Fnを測定しているときに、光学式測定ユニット30が、測定点Fnとは異なる部分のリムRi、クランプピン130b等と干渉してしまう可能性がある。
【0134】
干渉回避測定モードでは、光学式測定ユニット30と、被干渉対象物であるリムRi及びクランプピン130b等と、の干渉を回避しつつ、リムRiの形状データを取得する。
【0135】
干渉回避測定モードにおいて、制御部50の実行する干渉回避制御プログラムの一例について説明する。本開示では、光学式測定ユニット30が、クランプピン130b、131bと干渉する場合と、リムRiの未測定の部分と干渉する場合と、リムRiの測定済みの部分と干渉する場合と、に分けて説明する。
【0136】
例えば、測定点Fnにおいて、測定子61からリム溝FA上の測定点Fn+1に向かう測定軸L3が、リム溝FAに所定の角度δ(通常測定モードと同じ)で挿入されるとし、制御部50は干渉部位の例である後述の干渉領域IR(図16参照)の位置を求める。
【0137】
干渉回避測定モードにおいて、動径角(θn+1)における測定点Fn+1の位置が予測されると、所定の角度δに基づいて、測定点Fn+1における保持ユニット25の配置が求められる。保持ユニット25には光学式測定ユニット30及び測定子ユニット60が一体的に保持されており、また、保持ユニット25における光学式測定ユニット30の位置は各種の検知器(エンコーダ265a、287、288等)によって求められる。そして、測定点Fn+1における保持ユニット25のXYの配置が移動ユニット210の制御情報によって検知されることで、測定点Fn+1における光学式測定ユニット30のXYZ方向の配置が求められる。
【0138】
図16は、本実施形態における光学式測定ユニット30の干渉部位の例である干渉領域IRを示す図である。本実施例において光学式測定ユニット30のうち、干渉領域IRがクランプピン(130,131)及びリムRiと干渉することを想定し、干渉回避動作を行う。干渉領域IRは、予め定められた、リムRiと干渉する可能性がある、光学式測定ユニット30のカバー30c上の領域である。例えば、図16の例では、干渉領域IRは、カバー30c上の円形状の上面30cAにおける左側半分の角部の領域である。なお、光学式測定ユニット30上において干渉領域IRが位置する領域の座標位置は、光学式測定ユニット30の形状によって変化する。なお、干渉領域IRは、予め定められた光学式測定ユニット30上の領域であるため、測定点Fnにおける干渉領域IRの配置(基準位置ORを基準としたXYZ位置)は、光学式測定ユニット30の配置に基づいて求められる。
【0139】
なお、本実施例において、干渉回避動作の判定のために、干渉領域IRを設けるが、干渉領域IRは光学式測定ユニット30上の干渉点IRPであってもよい。
例えば、干渉点IRPは、複数のフレームを測定することで得られた干渉状態に基づいて設定される、光学式測定ユニット30上の点である。
例えば、干渉点IRPは、クランプピン130b、131b及びリムRiに対し、1点の干渉点IRPの干渉を回避すれば、干渉領域IRの全体の干渉を回避する点として定められたものである。
制御部50は、干渉回避測定モードにおいて、測定点Fn+1における干渉領域IRの配置に基づいて、干渉回避制御を行うか判定を行う。
【0140】
<クランプピンとの干渉を回避する場合>
まず、制御部50が、クランプピン130bに対して干渉回避を行う場合について説明する。
【0141】
光学式測定ユニット30と、クランプピン130bとが干渉する場合、光学式測定ユニット30の位置と、クランプピン130bと、のXYZ方向の位置が重なる。その一方で、光学式測定ユニット30の位置とクランプピン130bの位置に関し、X方向、Y方向、Z方向の少なくともいずれかの位置が異なれば、光学式測定ユニット30と、クランプピン130bと、は干渉しない。
【0142】
例えば、初めに、被干渉情報取得手段(制御部50)によって被干渉対象物の被干渉情報(クランプピン130b、131b、測定済みのリムRiの形状情報、等)が取得される(ステップS101)。制御部50は、干渉回避制御を行うか判定を行うために、クランプピン130bとの干渉を避けるための干渉判定ラインILC(ILCY,ILCZ)を設ける(図15を参照)(ステップS102)。典型的な例では、干渉判定ラインILCは、被干渉情報取得手段(制御部50)によって取得されたクランプピン130bのXYZの配置位置に基づき、クランプピン130bから離れる方向に、予め定められた判定距離mに設定される基準線である。
【0143】
干渉判定ラインILCは、本実施例において、Y方向及びZ方向に設定される。
【0144】
例えば、Y方向の第1の干渉判定ラインILCYは、クランプピン130bの先端位置133から、中心線CLに向かうY方向に、判定距離mだけ離れた位置に設定される。Y方向におけるクランプピン130bの先端位置133は、スライダー102,103のY方向の開閉状態を検知する検知器120の検知情報と、クランプピン130bの長さHBLと、支持軸132bの長さSSBLと、に基づいて取得される。なお、検知器120を利用しない場合は、Y方向におけるクランプピン130bの先端位置133は、測定開始点FSにおける測定子61の先端61aのY方向位置と、クランプピン130bの長さHBLと、測定可能なリムRiがクランプピン130によって保持されたたときのリムRiの最薄の距離と、に基づいて近似的に取得される。同様に、Y方向の第2の干渉判定ラインILCYがクランプピン131側にも設定される。なお、Y方向の干渉判定ラインILCYは、クランプピン130bの根本や、リム受け132b等の、クランプピン130bの先端位置133以外の部分を基準に設定されても良い。
【0145】
また、Y方向におけるクランプピン130bの位置は、リムRiがフレーム保持ユニット10に保持された状態で、制御部50が移動ユニット210及び回転ユニット260を制御し、測定子61の先端61aをクランプピン130bの先端位置133に当接させることで取得するようにしてもよい。すなわち、制御部50は、測定子61の先端61aを先端位置133に当接させたときの先端61aのY方向の座標位置を、移動ユニット210の制御データ、回転ユニット260の制御データ、測定子軸62の傾斜データ、及び回転ユニット260に対する測定子軸62のZ方向の移動データ、等に基づいて求めることで、クランプピン130bの先端位置133を求めることができる。また、リム保持部材の例であるクランプピンの先端位置133は、クランプピン131b側であってもよい。これは、クランプピン130bとクランプピン131bとは、Y方向において中心線CLを中心に対称に位置されるためである。またさらに、Y方向におけるクランプピン130bの先端位置133を得る上では、クランプピン130b又は131bに測定子61の先端61aを当接させるのではなく、クランプピン130b又は131bと既知の位置関係にある部材(例えば、リム受け313、スライダー102又は103のY方向の面、等)に測定子61の先端61aを当接させて取得することでもよい。
【0146】
例えば、Z方向の干渉判定ラインILCZは、クランプピン130bのZ方向の可動範囲の最下端130minから、Z軸に対して下方向に、判定距離mだけ離れた位置に設定される。最下端130minは、制御部50によってメモリ52から呼び出されて取得される。なお、判定距離mは干渉領域IRとクランプピン130bとの干渉を回避するために予め設定された距離であり、例えば6mmである。また、Z方向の干渉判定ラインILCZは、クランプピン130の可動中心を基準として設定されても良い。もちろん、判定距離mは、Y方向、Z方向でそれぞれ異なる値であってもよい。
【0147】
制御部50は、例えば、毎測定点Fnごとに、次の測定点Fn+1の位置を予測し、予測された測定点Fn+1の位置情報に基づいて、測定点Fn+1における干渉領域IRの位置を求める(ステップS103)。測定点Fn+1における干渉領域IRの位置が、Y方向の干渉判定ラインILCYよりもクランプピン(130b、131b)側に存在すると求められ、且つ、Z方向の干渉判定ラインILCZよりもクランプピン(130b、131b)側に存在すると求められた場合(ステップS104)、制御部50は、干渉回避制御を行うと判定する。制御部50は、測定点Fnから測定点Fn+1へ測定子61の先端61aを移動させると同時に、移動ユニット210及び回転ユニット260の動作を制御し、回避動作を行わせる。
【0148】
一方、制御部50は、干渉領域IRが、Y方向の干渉ラインILCY及びZ方向の干渉判定ラインILCZの少なくとも一方よりもクランプピン(130b、131b)側から離れた位置にある場合、干渉回避制御を行わないと判定する。(ステップS107)
なお、上記ではY方向とZ方向に干渉判定ラインを設ける例を示したが、制御部50は、X方向の干渉判定ラインILCXを設けてもよい。例えば、X方向の干渉判定ラインILCXの位置は、クランプピン130bのX方向の両端位置から、判定距離mだけクランプピンから離れる方向に設定される。なお、クランプピン130bのX方向の両端位置は、メモリ52に記憶されたクランプピン130bの配置情報から取得される。X方向の干渉判定ラインを設ける場合、例えば、制御部50は、光学式測定ユニット30の位置が、X方向、Y方向、Z方向いずれの干渉判定ラインILCよりもリムRi側に存在すると予測された場合に、干渉回避制御を行うと判定する。
【0149】
このように、複数の干渉判定ラインを用いることにより、不要な干渉回避動作が行われる頻度を減らすことができ、精度よくリムRiの三次元形状を取得することが出来る。
【0150】
図15の例においては、測定子61は、測定点Fn+1の位置を測定している。図15において、干渉領域IRは、Y方向について、Y方向の干渉判定ラインILCYよりもリムRi側に存在し、また、干渉領域IRは、Z方向について、Z方向の干渉判定ラインILCZよりもリム側に存在するため、制御部50は、干渉回避制御を行うと判定する。
【0151】
なお、XYZ方向のいずれか1つ以上の干渉判定ラインILCを用いることで、干渉回避動作を行うか判定する構成にしてもよい。例えば、干渉判定ラインILCとして、Y方向の干渉判定ラインILCYのみを用いる構成であってもよい。
【0152】
制御部50は、クランプピン130bに対して干渉回避制御を行うと判定した場合、移動ユニット210及び回転ユニット260の駆動を制御して、保持ユニット25とリムRiとの干渉を回避させる。干渉を回避させる動作について、図17を用いて説明する。図17は、光学式測定ユニット30をY方向に移動させることで干渉を回避する場合を示す図である。図17(a)は、測定平面を紙面の上方向から観察した図であり、図17(b)は、測定平面をクランプピン130側からY軸と平行方向に観察した図である。
【0153】
光学式測定ユニット30の位置と、クランプピン130b及びリムRiの位置について、X方向、Y方向、Z方向の少なくともいずれかの位置が異なる場合、干渉は起こらないことから、干渉領域IRの位置を、X方向、Y方向、Z方向の少なくとも一方向に移動させることで、干渉を回避させることができる。
【0154】
例えば、制御部50は、干渉領域IRをY方向に移動させることで、干渉領域IRと、クランプピン130bとの干渉を回避させる。まず、制御部50は、測定子61の先端61aを測定点Fnから未測定部分の測定点Fn+1へ移動させるときに、測定点Fn+1における干渉領域IRのY位置(座標位置)を求める。次に、制御部50は、求めた干渉領域IRのY位置がY方向の干渉判定ラインILCYを超えた距離である干渉量ΔEを求める(ステップS105)。そして、制御部50は、測定子61の先端61aを測定点Fnから測定点Fn+1へ移動させると同時に、干渉領域IRがY方向に干渉量ΔEだけ移動した位置となるように移動ユニット210及び回転ユニット260の動作を制御する(ステップS106)。これにより、干渉領域IRと、クランプピン130bと、の干渉を回避させることができる。このような干渉回避制御は、測定点Fn+1以降の測定点においても、干渉量ΔEが解消されるまで同様に行われる。
【0155】
なお、測定子ユニット60は光学式測定ユニット30と一体的に保持されているため、回避動作を行ったとき、リムRiに対する、測定点Fn+1におけるXY方向の測定軸L3の角度は、本来の角度δに対して変化角Δe傾斜することとなる。測定点Fn+1移行の測定点において、干渉量ΔEが解消されるようになれば、本来の角度δとなるように測定子ユニット60及び光学式測定ユニット30が一体的に移動されるが、本来の角度δに戻す変化角Δeが大きいと、測定精度に影響する可能性がある。その場合には、測定点毎に、徐々に本来の角度δに戻すように制御してもよい。例えば、0.5度毎に徐々に変化させるようにする。
【0156】
また、例えば、制御部50は、干渉回避制御として、干渉領域IRを、Z方向に移動させることで干渉を回避させる構成としても良い。図18は、光学式測定ユニット30をZ方向に移動させることで干渉を回避する場合を示す図である。図18(a)は、測定平面を紙面の上方向から観察した図であり、図18(b)は、測定平面をクランプピン130側からY軸と平行方向に観察した図である。
【0157】
例えば、先の例と同じく、制御部70は、測定点Fn+1における干渉領域IRのZ位置を求めた後、求めた干渉領域IRのZ位置がZ方向の干渉判定ラインILCZを超えた距離である干渉量ΔGを求める。また、制御部70は、Z方向の干渉判定ラインILCZの同じ考え方がで、図18に示されるように、クランプピン130bの右端に対するX方向の干渉判定ラインILCXを設定する。そして、制御部70は、干渉判定ラインILCXよりクランプピン130b側に位置する干渉領域IRがZ方向に干渉量ΔGだけ移動した位置となるように、Z方向に対する測定子軸62の傾斜角XAを求める。その後、制御部70は、Z方向に対する測定子軸62の傾斜が傾斜角XAとなるように、保持ユニット25をXY移動させる。これにより、クランプピン130bに対する光学式測定ユニット30の干渉を回避できる。
【0158】
なお、X方向の干渉判定ラインILCXを設定する場合は、多少不利となるが、干渉判定ラインILCXのみを使用することでもよい。すなわち、図18において、制御部70は、干渉領域IRが干渉判定ラインILCXよりクランプピン130bに近づかないように、測定子軸62の傾斜角XAを求め、測定子軸62が傾斜角XAとなるように保持ユニット25をXY移動させる。これにより、クランプピン130bに対する光学式測定ユニット30の干渉を回避できる。
【0159】
以上は、クランプピン130bに対する干渉回避について説明したが、クランプピン131bに対しても同様に行える。
【0160】
<リムの未測定部分との干渉を回避する場合>
図19は、リムRiの未測定部分対して光学式測定ユニット30の干渉回避を行う場合について説明する図である。図19(a)及び図19(d)において、上半分は測定平面を紙面の上方向から観察した図であり、下半分は測定平面をクランプピン130側からY軸と平行方向に観察した図である。図19(b)及び図19(c)において、上半分は測定平面を紙面の上方向から観察した図であり、下半分は測定平面をクランプピン131側からY軸と平行方向に観察した図である。
【0161】
リムの未測定部分との干渉を回避する場合も、干渉回避制御を行うか判定を行うために、図17で示したY方向の第1及び第2の干渉判定ラインILCYと、Z方向の干渉判定ラインILCZが使用される。なお、測定子61が進行する測定方向は、時計回りで、光学式測定ユニット30が測定子61より先行して測定する場合の例である。
【0162】
例えば、図19(a)、図19(b)のように、測定子61がクランプピン130bより左側(鼻側)の測定点FP1、FP2を測定している状態のとき、XY方向では光学式測定ユニット30がリムRiに干渉しているが、Z方向では光学式測定ユニット30(干渉領域IR)が干渉判定ラインILCZより下に位置しているため、干渉は発生せず、干渉回避制御は行われない。
【0163】
また、図19(c)にように、測定子61がクランプピン131bより右側(耳側)の測定点FP3を測定している状態のとき、Z方向では光学式測定ユニット30(干渉領域IR)が干渉判定ラインILCZより上に位置している。このため、Y方向の第2の干渉判定ラインILCYよりクランプピン131b側に近づかないように回避制御動作が行われる。しかし、リムRiは耳側(装用状態の装用者の耳側)に行くに従ってZ方向の位置が高くなっているので、干渉回避制御を行わなくても、通常は、光学式測定ユニット30がリムRiに干渉することはない。
【0164】
一方、図19(d)のように、測定子61がクランプピン130b、131bより右側(耳側)で、Y方向に略平行に延びるリムRiの測定点FP4を測定して状態のとき、Z方向では光学式測定ユニット30(干渉領域IR)が干渉判定ラインILCZより上に位置している。このため、先の例の図17と同じく、光学式測定ユニット30がY方向の1の干渉判定ラインILCYよりクランプピン130b側に近づかないように回避制御動作が行われる。この場合、図18と同じく、制御部70が測定子軸62を傾斜角XAとなるように傾斜させるように保持ユニット25をXY移動させることで、Z方向及びX方向の少なくとも一方で干渉を回避させることでもよい。これにより、リムの未測定部分との干渉が回避される。
【0165】
なお、以上の説明では、クランプピン(130b、131b)との干渉を回避するためのY方向の干渉判定ラインILCY、Z方向の干渉判定ラインILCZを共用したが、これらとは別に、リムの未測定部分との干渉を回避するための干渉判定ラインを設定してもよい。例えば、測定開始点FSからある程度の測定ポイントでリム溝の断面形状の測定結果に基づき、Y方向におけるリムRiの端面の位置情報が分かるため、これに基づいてY方向の干渉判定ラインを設定する。また、リム溝の断面形状の測定結果に基づき、Z方向におけるリムRiの下端面の位置情報が分かるため、これに基づいてY方向の干渉判定ラインを設定する。この場合、クランプピン(130b、131b)との干渉を回避するための干渉判定ラインよりもリムRi側に近づいた位置に干渉判定ラインを設定できるので、干渉回避の量を少なくでき、より精度よく測定ができる。
【0166】
以上は、制御部50が、クランプピン130bの位置を基準にY方向の第1の干渉判定ラインILCY及びZ方向の干渉判定ラインILCZを設定し、これらのラインから干渉物(例えば、光学式測定ユニット30)が一定距離以上となるように干渉物(干渉部位)を移動させる例を説明したが、干渉回避の動作はこれに限られない。例えば、被干渉情報取得手段(制御部50)によって取得された被干渉対象物(リム保持部材、リムの測定済み結果)の位置情報に基づき、被干渉対象物との干渉を回避するための回避領域を設定し、その回避領域に干渉物(干渉部位)が移動するように、変更手段(移動ユニット210、回転ユニット260)を制御することでもよい。
【0167】
<リムの測定済みの部分との干渉を回避する場合>
次に、リムRiの測定済みの測定結果を利用してリムRiとの干渉を回避する例を、図20に基づいて説明する。リムRiの測定済みの結果を干渉回避に利用する場合、光学式測定ユニット30よりも測定子61が先行して行われる。図20の例においては、測定進行方向C2は反時計回りとされる。
【0168】
例えば、制御部50は、測定点Fnから測定点Fn+1に測定子61の先端61aを移動させる際に、リムRiの測定済の部分の位置情報に基づいて干渉回避制御を行い、保持ユニット25のXY移動及び回転ユニット260の回転移動を制御することで干渉を回避させる。例えば、制御部50は、測定済みの測定結果に基づいて測定点Fnから次の未測定点である測定点Fn+1を測定するように、測定子61を移動させるとき、測定点Fn+1における干渉領域IR(光学式測定ユニット30のカバー30cでもよい)のXYZ位置(座標位置)を求める。次に、制御部50は、求めた干渉領域IRのXYZ位置と、リムRiの測定済み領域MAのXYZ位置(座標位置)と、を比較することで、干渉が発生しているか否かを判定する。制御部50は、干渉が発生している判定した場合、干渉回避制御を行う。例えば、Y方向に回避する場合は、制御部50は、干渉領域IRのY方向の干渉量ΔIを求める。そして、干渉量ΔIに余裕量ΔIAを加えた量だけ、干渉領域IRがリムRiの内側のY方向に移動した位置となるように、移動ユニット210及び回転ユニット260の動作を制御する。
【0169】
なお、リムRiの測定済み領域MAのXYZ位置は、測定子61による測定結果と光学式測定ユニット30によるリム溝の断面形状とに基づき、リムRiの内側のXY位置、リムRiのZ方向における下側のZ位置として求めればよい。これにより、測定済み領域MAとの干渉を回避させることができる。このような干渉回避制御は、測定点Fn+1以降の測定点においても、干渉量ΔIが解消されるまで同様に行われる。
【0170】
以上はY方向に干渉を回避する例を説明したが、同様な考えで、X方向又はZ方向に回避する制御でもよい。Z方向に回避する場合は、図18に示したように、測定子軸62を傾斜させることで回避できる。
【0171】
なお、上記のリムRiの測定済みの測定結果を利用した回避制御は、Z方向における測定子61と光学式測定ユニット30との高さ距離ZAが大きくないときに適用されると都合がよい。例えば、Z方向における測定子61と光学式測定ユニット30との高さがほぼ同じ構成の場合には、Z方向での干渉回避はできない。そのため、リムRiの測定済みの測定結果を利用し、Y方向に光学式測定ユニット30を移動させることで、干渉を回避できる。
【0172】
<干渉発生の検出>
以上のような制御により、被干渉対象物と光学式測定ユニット30との干渉を避けた測定が行われるが、リムRiの形状によっては必ずしも干渉が回避されない場合もある。以下では、例えば、測定子61がリム溝FAから脱落せずに、僅かに被干渉対象部と光学式測定ユニット30との干渉が発生したまま、測定が終了した場合の例を説明する。
【0173】
例えば、リムRi全周に対する三次元形状データの測定が終了すると、次いで、制御部50は、リムRiの測定結果に基づき、光学式測定ユニット30(干渉領域IR)と、被干渉対象物(クランプピン130b、131b及びリムRi、等)と、が、測定動作中に干渉したか否かの判定(検出)を行う。
【0174】
光学式測定ユニット30と被干渉対象物が測定動作中に干渉したかを検出する方法について説明する。図21は、測定子61によるリムRiの測定結果の内、Z方向の測定結果を微分した結果をグラフで示した図である。干渉が発生せずに測定が終了した場合、リムのZ方向の測定結果の微分値は、通常、緩やかに変化する。しかし、測定途中で干渉が発生した場合は、Z方向の測定結果の微分値は急激に変化する。図21は、測定点Fnで干渉が発生し、その後、干渉の発生が無くなり、通常の測定結果が得られて測定が継続された例である。なお、リム溝から測定子61が脱落すると、Z方向の測定値を含めて動径長の測定値も急激に変化し、異常値となる。このため、リム溝から測定子61が脱落したか否かは容易に検出される。この場合、測定は停止される。
【0175】
なお、リムの測定中に光学式測定ユニットと被干渉対象物との干渉が発生したか否の検出は、測定子軸62のZ方向の移動量を検出するエンコーダ287の出力信号を利用してもよい。
【0176】
図21において、例えば、Z方向の測定結果の微分値が所定の閾値Limを超えた場合、制御部50は、そのときの測定点Fnを被干渉対象物との干渉が発生した測定点として特定する。なお、図21において、測定点Fnの後に微分値がプラス側の閾値Limを超えているのは、干渉の発生が無くなり、再び、測定子61がリム溝の中心に追従して通常の測定に戻った測定点を示している。
【0177】
なお、Z方向の測定結果又はエンコーダ287の検知情報を用いた干渉判定方法は、判定手段の一例であり、この方法に限定されない。例えば、光学式測定ユニット30によって取得された断面画像について解析を行うことで、リム溝FAの位置情報が取得される。このリム溝FAの位置の遷移に基づいて、干渉判定を行ってもよい。
【0178】
<干渉発生の検出による再測定>
制御部50は、光学式測定ユニット30と被干渉対象物とが干渉したと判定した場合、干渉回避制御を行いつつ再測定を行う。以下、再測定の動作を説明する。再測定の際、前回の測定時に干渉が検出され、特定された測定点Fnにおいて、制御部50は、干渉回避制御を行うことで、光学式測定ユニット30と被干渉対象物との干渉を回避する。
【0179】
再測定における干渉回避制御の一例について説明する。図22は、干渉が発生した測定点における回避動作を説明する図である。図22(a)は、干渉発生時のリムRiと光学式測定ユニット30との位置関係を示す概略図である。図22(a)において、測定点Fnは干渉発生の測定点である。図22(a)の上半分は、測定平面を紙面の上方向から観察した図であり、図22(a)の下半分は、測定平面をクランプピン130側からY軸と平行方向に観察した図である。
【0180】
例えば、制御部50は、干渉の発生が特定された測定点Fnに関し、干渉発生の測定時における光学式測定ユニット30上の干渉領域IR(干渉部位)の配置位置(XYZの座標位置)を、干渉発生の測定時の制御データと、支持ユニット70に対する光学式測定ユニット30の配置データと、に基づいて求める(演算する)。例えば、干渉発生の測定時の制御データは、保持ユニット25のXYZ位置データ、回転ユニット260の回転制御データ、測定子軸62の傾斜データ、及び回転ユニット260に対する測定子軸62のZ方向の移動データ、等である。また、支持ユニット70に対する光学式測定ユニット30上の干渉領域IRの配置データは、設計値データであり、メモリ52に記憶されている。測定点Fnにおける干渉領域IRの配置位置はメモリ52に記憶される。なお、このときメモリ52に記憶される干渉領域IRの配置位置データは、例えば、Y方向に干渉を回避する場合は、Y座標データのみであってもよい。また、メモリ52には、干渉発生の測定時の制御データが記憶され、再測定時に、記憶された制御データから干渉領域IRの配置位置データが求められてもよい。
【0181】
そして、制御部50は、再測定時に測定点Fnを測定させるときには、求めた干渉領域IRの配置位置に対して、その干渉領域IRが離れるように、移動ユニット210及び回転ユニット260の回転の制御を行う。
【0182】
なお、干渉領域IRの全体の配置位置を演算することは計算量が多くなるので、簡易的には干渉領域IRに含まれる1点を干渉点IRaとし、その干渉点IRaの配置位置も演算してもよい。再測定では、僅かに干渉した部位がリムRiから離れるようにすればよいので、必ずしも干渉領域IRの全体の配置位置を特定する必要がないためである。例えば、干渉点IRaは、干渉発生時のリムRiの測定結果のリム形状に干渉領域IRが最も近づいた点として定められる。あるいは、干渉点IRaは、予め定められた部位であってもよい(例えば、干渉点IRaは、光学式測定ユニット30のカバー30cの形状に応じて干渉が発生すると特定された点)。以下では、1点の干渉点IRaがリムRiから離れるように制御する例を説明する。
【0183】
再測定においても、被干渉対象物であるリムRiと光学式測定ユニット30との干渉回避は、X、Y及びZ方向の少なくとも一方の方向で行えればよい。図22(b)は、Y方向で干渉を回避する例を説明する図である。図22(b)の上半分は、測定平面を紙面の上方向から観察した図であり、図22(b)の下半分は、測定平面をクランプピン130側からY軸と平行方向に観察した図である。
【0184】
例えば、制御部50は、干渉の発生が特定された測定点Fnにおいて、演算された干渉点IRaのY位置から、リムRiから離れるY方向(中心線CL側方向)に、回避距離ΔJ(例えば、1mm)だけ離れた位置に、X方向に略平行な干渉回避ラインIELYを設ける。そして、制御部50は、再測定で測定点Fnを測定させるときには、干渉点IRaのY位置が干渉回避ラインIELYに位置するように(干渉回避ラインIELYからリム内側に遠ざかるようにしてもよい)、移動ユニット210及び回転ユニット260の回転の制御を行う。これにより、測定点FnにおけるリムRiと光学式測定ユニット30の干渉が回避される。なお、特定された干渉発生の測定点Fnが複数点ある場合(干渉発生の測定点Fnが連続して存在する場合、離れた位置に存在する場合を含む)、制御部50は、その複数点の測定点Fnで同様な干渉回避動作を行う。
【0185】
また、干渉発生時に特定された測定点Fnに対し、再測定時には干渉発生の測定点が多少ずれる可能性がある。そのため、例えば、測定点Fnにおける回避動作は、干渉発生のずれを考慮した前後の測定ポイントを含めて行われるようにしてもよい。
【0186】
例えば、再測定の実行において、測定点Fnでの回避動作が終了した後の後測定点では、本来の測定時における光学式測定ユニット30の姿勢状態(干渉の発生が検出されたときの測定時の姿勢、あるいは、リムRiに対して測定子61の測定軸L3が法線方向の角度δとなる状態)に戻す。しかし、本来の測定時における光学式測定ユニットの姿勢状態に急激に戻すと、リムRiに対する測定子61の向き(測定軸L3の向き)が急激に変わり、測定精度が悪くなる可能性がある。これを避けるために、例えば、制御部50は、干渉発生の測定点Fnより後の後測定点を再測定するときには、干渉発生の測定点Fnで光学式測定ユニット30を干渉回避動作させた姿勢状態に対して、本来の測定時における光学式測定ユニット30の姿勢状態に徐々に変化させるように、移動ユニット210及び回転ユニット260の回転の制御を行うようにしてもよい。測定ポイント毎に徐々に変化させる測定子61の修正角度は0.5度である。例えば、全周の測定ポイントが1,000点である場合、1つの測定ポイントの動径角は0.36度である。
【0187】
なお、本来の測定時における光学式測定ユニット30の姿勢状態を徐々に変化させる制御は、後測定点の測定ポイント数を一定値(例えば、50ポイント)に定めておき、本来の測定時における光学式測定ユニット30の姿勢状態に戻す角度を、その測定ポイント数で割った角度で徐々に変化させることでもよい。
【0188】
また、特定された干渉発生の測定点Fnの前の前測定点において、後測定点の場合と同様に、本来の測定時における光学式測定ユニットの姿勢状態から回避動作の姿勢状態に急激に変化させると、リムRiに対する測定子61の向きが急激に変わり、測定精度が悪くなる可能性がある。そのため、前測定点においても、制御部50は、本来の測定時における光学式測定ユニット30の姿勢状態から干渉発生の測定点Fnで光学式測定ユニット30を干渉回避動作させた姿勢状態に徐々に変化させるように、移動ユニット210及び回転ユニット260の駆動を制御してもよい。
【0189】
なお、再測定時の制御プログラムを簡素化するために、前測定点での測定では、以下のように制御されてもよい。例えば、制御部50は、回転ユニット260を回転させることで、測定軸L3のリムRiに対する角度を変更する。このとき、制御部50は、測定子61の先端61aの位置が測定点から変化しないように、移動ユニット210及び回転ユニット260の動作を制御する。このとき、回転ユニット260の回転速度と、移動ユニット210の移動速度の関係から、測定点ごとの測定軸L3のリムRiに対する角度の変更は、制限角ΔBA(例えば、10度)に制限される。すなわち、制御部50は、余裕を見込んだ測定ポイント数の前測定点(例えば、測定点Fnより50ポイント前の測定点)から、干渉点IRaのY位置が干渉回避ラインIELYに向かうように、回転ユニット260及び移動ユニット210の制御を開始する。このとき、制御部50は、1つの測定ポイントでの制限角ΔBAを上限として、測定軸L3のリムRiに対する角度の変化を制御する。例えば、測定子61の先端61a方向の角度変更を開始してから3ポイント目の測定点で、干渉点IRaのY位置が干渉回避ラインIELYに到達すれば、その後の前測定点では、制御部50は、干渉点IRaのY位置が干渉回避ラインIELYとなるように移動ユニット210及び回転ユニット260の駆動を制御する。これにより、スムーズな測定が行える。
【0190】
以上は、Y方向で干渉を回避する例を説明したが、X方向で干渉を回避することでもよい。図23は、X方向で干渉を回避する例を説明する図である。図23の上半分は、測定平面を紙面の上方向から観察した図であり、図23の下半分は、測定平面をクランプピン130側からY軸と平行方向に観察した図である。
【0191】
例えば、制御部50は、干渉の発生が特定された測定点Fnにおいて、演算された干渉点IRaのX位置から、リムRiから離れるX方向に、回避距離ΔK(例えば、1mm)だけ離れた位置に、Y方向に略平行な干渉回避ラインIELXを設ける。そして、制御部50は、再測定で測定点Fnを測定させるときには、干渉点IRaのX位置が干渉回避ラインIELXに位置するように(干渉回避ラインIELXからリム内側に遠ざかるようにしてもよい)、移動ユニット210及び回転ユニット260の回転の制御を行う。これにより、測定点FnにおけるリムRiと光学式測定ユニット30の干渉が回避される。
【0192】
なお、測定点Fnより後の後測定点においては、Y方向での回避制御と同じく、徐々に本来の測定時における光学式測定ユニット30の姿勢状態を戻す制御を行ってもよい。また、測定点Fnより前の前測定点のおいても、Y方向での回避制御と同じく、本来の測定時における光学式測定ユニットの姿勢状態30から干渉発生の測定点Fnで光学式測定ユニット30を干渉回避動作させた姿勢状態に徐々に変化させるように制御してもよい。
【0193】
また、上記のY方向での回避制御とX方向での回避制御とを複合して用いてもよい。この場合、光学式測定ユニット30の回避の移動が少ない方で制御を行うと、測定精度の低下を軽減できる。
【0194】
また、特定された干渉発生の測定点Fnの位置によってはZ方向で干渉を回避してもよい。例えば、図18に示したように、制御部50は、移動ユニット210を制御して測定子軸62を傾斜させ、干渉点IRaのZ位置が干渉発生時のZ位置より下に位置される。これによって干渉を避けた測定が行える。
【0195】
また、以上は、リムRiの測定終了後に再測定を実行する例を説明したが、リムRiの測定途中で干渉が発生したと検出された時点で測定を中止し、再測定を実行するようにしてもよい。
【0196】
<光学式測定ユニットの変容例>
以上は、光学式測定ユニット30が、測定子61をその先端方向から見た時に、測定子61に対して左右方向の一方に偏って配置された構成で説明したが、これに限られない。例えば、図24に示すように、光学式測定ユニット30は、測定子61をその先端方向から見た時に、測定子61の左右両側に配置された構成であってもよい。
【0197】
図24は、この変容例における支持ユニット70に支持された光学式測定ユニット30と測定子ユニット60の一部を示す図である。光学式測定ユニット30のカバー30Dcは、測定子61の先端方向から見たとき、測定子軸62を挟んで左右両側にほぼ均等に配置された構成である。この変容例の光学式測定ユニット30の外観は、図7図8等に示された先の例の光学式測定ユニット30に対し、カバー30Dcの左右方向の配置が異なるのみで、他は基本的に同じである。この光学式測定ユニット30においては、被干渉対象物に対する干渉領域は、図24(a)において、カバー30Dcの上面上で、左側の半円の領域IR1と右側の半円の領域IR2に存在する。
【0198】
図25は、図24に示した光学式測定ユニット30を持つ眼鏡枠形状測定装置1において、被干渉対象物との回避動作を説明する図である。図25において、測定子61が進む測定方向は矢印C1方向(時計回り)とする。図25(a)及び(b)の上半分は、測定平面を紙面の上方向から観察した図であり、図25(a)及び(b)の下半分は、測定平面をクランプピン130側からY軸と平行方向に観察した図である。図25(c)及び(d)の上半分は、測定平面を紙面の上方向から観察した図であり、図25(c)及び(d)の下半分は、測定平面をクランプピン131側からY軸と平行方向に観察した図である。
【0199】
この例の場合も、Z方向の干渉判定ラインILCZと、Y方向の干渉判定ラインILCYが設定されている。制御部50は、光学式測定ユニット30がZ方向の干渉判定ラインILCZより下に位置する場合、被干渉対象物と光学式測定ユニット30との干渉は発生しないので、干渉回避動作は行わず、通常の測定動作を行う。制御部50は、光学式測定ユニット30がZ方向の干渉判定ラインILCZより下に位置する場合、次のように干渉回避動作を行う。
【0200】
例えば、制御部50は、測定子61より先行する側に位置する光学式測定ユニット30の領域IR1の干渉回避動作については、Y方向の干渉判定ラインILCYに基づいて行う。制御部50は、測定子61より後側に位置する光学式測定ユニット30の領域IR2の干渉回避動作については、リム保持部材の配置情報及びリムRiの測定済み結果に基づいて行う。
【0201】
図25(a)は、測定子61より先行する側の領域IR1が、Y方向の干渉判定ラインILCYよりクランプピン130b側に近づいた場合の例である。この場合、制御部50は、図25(b)のように、領域IR1がY方向の干渉判定ラインILCYよりクランプピン130b側に位置しないように、移動ユニット210及び回転ユニット260の動作を制御する。
【0202】
図25(c)は、測定子61より後側に位置する領域IR2がクランプピン131及び測定済みのリムRiに近づいた場合の例である。この場合、制御部50は、図25(d)のように、クランプピン131の配置情報及びリムRiの測定済み結果に基づき、領域IR2がクランプピン131及びリムRiから離れるように移動ユニット210及び回転ユニット260の動作を制御する。
【0203】
このような干渉回避制御により、光学式測定ユニット30が測定子61の左右両側(測定子6の先端方向から見た時の左右)に位置する構成の場合であっても、干渉を回避した測定を良好に行える。
【0204】
以上、本開示の典型的な実施例を説明したが、本開示はここに示した実施例に限られず、本開示の技術思想を同一にする範囲において種々の変容が可能である。
【符号の説明】
【0205】
1 眼鏡枠形状測定装置
25 保持ユニット
30 光学式測定ユニット
50 制御部
60 測定子ユニット
61 測定子
70 支持ユニット
130 クランプピン
210 移動ユニット
260 回転ユニット
300 クランプ機構
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