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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20240709BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240709BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G15/00 303
G03G21/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020172063
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063688
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 一矢
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-040690(JP,A)
【文献】特開2007-233421(JP,A)
【文献】特開2001-183915(JP,A)
【文献】特開平09-311522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
G03G 13/14-13/16
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 15/14-15/16
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部が生成した画像を担持可能な中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトを周回させることが可能となるように当該中間転写ベルトを支持する支持ローラと、
前記中間転写ベルトを介して前記支持ローラと対向する位置に配置されており、前記中間転写ベルトとともに前記中間転写ベルト上の前記画像を用紙に転写させる2次転写部を規定する2次転写ローラと、
前記2次転写部に搬送される前記用紙の平滑度を示す平滑度情報に基づいて、前記中間転写ベルト及び前記2次転写ローラ間の速度差が変化するように前記2次転写ローラの回転速度を制御する制御部と、を備え
前記制御部は、前記平滑度情報が所定値以上であるときの前記速度差が前記平滑度情報が所定値未満であるときの前記速度差よりも大きくなるように前記2次転写ローラの回転速度を制御し、
前記2次転写ローラの前記中間転写ベルトへの食い込み量を調整する食い込み量調整部をさらに備え、
前記制御部は、前記平滑度情報に基づいて前記食い込み量調整部を調整することによって前記2次転写ローラの回転速度を制御する、画像形成装置。
【請求項2】
前記所定値は、前記用紙がコート紙である場合の平滑度情報に設定されている、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記平滑度情報を取得するとともに、前記平滑度情報を前記制御部に送信する平滑度情報取得部をさらに備える、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記平滑度情報を前記平滑度情報取得部に送信可能な操作部を含む操作パネルをさらに備える、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記2次転写部に搬送される前記用紙の前記平滑度情報を検知するセンサをさらに備える、請求項又はに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記2次転写ローラと前記中間転写ベルトとの間に速度差が生じるように前記2次転写ローラを駆動する駆動機構と、
前記駆動機構によって前記2次転写ローラが駆動される強制駆動状態と、前記2次転写ローラが前記中間転写ベルトに対して従動回転する従動駆動状態と、を切り替え可能な切替部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記平滑度情報に基づいて前記切替部を切り替えることによって前記2次転写ローラの回転速度を制御する、請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記2次転写ローラを駆動する駆動部をさらに備え、
前記制御部は、前記平滑度情報に基づいて前記駆動部を制御する、請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記中間転写ベルトは、
基層と、
前記基層を被覆する表層と、を有する、請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中間転写ベルトを備える画像形成装置が知られている。例えば、特開2019-128393号公報には、感光体ドラム等を含む作像部と、中間転写部と、を備える画像形成装置が開示されている。作像部は、感光体ドラム上にカラーのトナー像を作像する。中間転写部は、中間転写ベルトと、駆動ローラーと、従動ローラーと、一次転写ローラーと、二次転写ローラーと、クリーナーと、を有している。
【0003】
中間転写ベルトは、駆動ローラーと従動ローラーと一次転写ローラーとに張架されて周回駆動される。一次転写ローラーは、対応する感光体ドラムに中間転写ベルトを介して対向配置されている。二次転写ローラーは、中間転写ベルトを介して駆動ローラーに対向配置されている。シートが二次転写位置を通過する際に、中間転写ベルト上に多重転写されたカラーのトナー像が二次転写ローラーの静電作用によりシート上に二次転写される。これにより、シート上にカラートナー像が形成される。クリーナーは、中間転写ベルトのうち中間転写ベルトの周回方向における二次転写位置の下流側の部位に接しており、二次転写位置においてシートに転写されずに中間転写ベルト上に残った残留トナーを中間転写ベルトから除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-128393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2019-128393号公報に記載されるような画像形成装置では、2次転写部に搬送される用紙の坪量や厚さが同じであっても、用紙の平滑度が異なる場合、2次転写部において用紙に転写される画像の長さが変化し得る。
【0006】
本開示の目的は、2次転写部において用紙に転写される画像の長さの変化を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示の一局面に従った画像形成装置は、画像形成部が生成した画像を担持可能な中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトを周回させることが可能となるように当該中間転写ベルトを支持する支持ローラと、前記中間転写ベルトを介して前記支持ローラと対向する位置に配置されており、前記中間転写ベルトとともに前記中間転写ベルト上の前記画像を用紙に転写させる2次転写部を規定する2次転写ローラと、前記2次転写部に搬送される前記用紙の平滑度を示す平滑度情報に基づいて、前記中間転写ベルト及び前記2次転写ローラ間の速度差が変化するように前記2次転写ローラの回転速度を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
この開示によれば、2次転写部において用紙に転写される画像の長さの変化を抑制することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
図2】中間転写ベルトの断面図である。
図3】2次転写部の近傍の拡大図である。
図4】用紙の平滑度情報と速度差との関係を示すグラフである。
図5】用紙の平滑度情報と速度差との関係を示すグラフである。
図6】用紙の種類と速度差の有無とを変化させた試験結果を示す表である。
図7】コントローラの制御内容を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態の画像形成装置における2次転写ローラの近傍を概略的に示す図であって、強制駆動状態であるときの駆動機構及び切替部の構成を概略的に示す図である。
図9】従動駆動状態であるときの駆動機構及び切替部の構成を概略的に示す図である。
図10】本発明の第3実施形態の画像形成装置における2次転写ローラの近傍を概略的に示す図である。
図11】2次転写ローラの近傍を概略的に示す図である。
図12】食い込み量と2次転写ローラの角速度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。この画像形成装置1は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能及びスキャナ機能などの複数の機能を備えたMFP(Multifunctional Peripherals)である。
【0012】
図1に示されるように、画像形成装置1は、画像形成部10(10Y,10M,10C,10K)と、転写装置20と、給紙トレイ31と、定着装置32と、排紙トレイ33と、トナー補給装置34と、コントローラ40と、センサ45と、操作パネル50と、を備えている。
【0013】
画像形成部10は、転写装置20に転写するトナー像(画像)を形成する。画像形成部10Y、画像形成部10M、画像形成部10C及び画像形成部10Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の色を有するトナー像を転写装置20に形成する。
【0014】
画像形成部10は、感光体11と、帯電ローラ12と、露光装置13と、現像装置14と、を有している。
【0015】
感光体11は、回転軸11Aまわりに回転可能である。感光体11の表面は、感光層を構成している。
【0016】
帯電ローラ12は、感光体11の表面を所定の電位に帯電させる。帯電ローラ12は、感光体11の表面に接するように配置されている。
【0017】
露光装置13は、感光体11の表面のうち感光体11の回転方向における帯電ローラ12の下流側に位置する露光部を露光させること(レーザ等を照射すること)によって潜像を形成する。本実施形態では、露光装置13は、感光体11の下方に配置されている。
【0018】
現像装置14は、感光体11の回転方向における帯電ローラ12の下流側に設けられている。現像装置14は、潜像にトナーを供給することによってトナー像を形成する。このトナー像は、感光体11の表面のうち感光体11の回転方向における現像装置14の下流側に位置する転写部11Sにおいて転写装置20に転写される。本実施形態では、現像装置14として、現像ローラが用いられている。
【0019】
転写装置20は、画像形成部10が形成した画像を用紙Sに転写する。図1に示されるように、転写装置20は、中間転写ベルト21と、一対の支持ローラ22と、1次転写ローラ23と、2次転写ローラ24と、ブレード部材25と、駆動部26と、を有している。
【0020】
中間転写ベルト21は、画像形成部10が生成した画像を担持可能である。画像形成部10により形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト21の表面上で重ね合わされる。中間転写ベルト21は、後述の2次転写部STに画像(カラートナー像)を搬送する。
【0021】
図2に示されるように、中間転写ベルト21は、基層21aと、基層21aを被覆する表層21bと、を有している。表層21bの厚さは、基層21aの厚さよりも小さい。表層21bは、基層21aよりもクリーニング性、転写性、離型性等の高い材料からなる。
【0022】
支持ローラ22は、中間転写ベルト21を周回させることが可能となるように当該中間転写ベルト21を支持している。一対の支持ローラ22の一方は駆動ローラを構成し、他方は従動ローラを構成している。
【0023】
1次転写ローラ23は、各色の画像形成部10と対向する位置に配置されている。具体的に、1次転写ローラ23は、中間転写ベルト21を介して感光体11と対向する位置に配置されている。
【0024】
2次転写ローラ24は、中間転写ベルト21を介して支持ローラ22と対向する位置に配置されている。2次転写ローラ24は、中間転写ベルト21に接するように配置されている。なお、図3では、説明のため、2次転写ローラ24が中間転写ベルト21から離間した状態が示されているが、実際は、2次転写ローラ24は、中間転写ベルト21に接している。2次転写ローラ24は、中間転写ベルト21とともに中間転写ベルト21上の画像を用紙Sに転写させる2次転写部STを規定している。中間転写ベルト21と2次転写ローラ24との間であって用紙Sが通過する部位が2次転写部STを構成している。
【0025】
ブレード部材25は、中間転写ベルト21のうち中間転写ベルト21の周回方向における2次転写部STの下流側の部位に接するように配置されている。ブレード部材25は、2次転写部STにおいて用紙Sに転写されずに中間転写ベルト21上に残った残留トナーを中間転写ベルト21から除去する。
【0026】
駆動部26は、2次転写ローラ24を駆動する。本実施形態では、駆動部26として、モータが用いられている。
【0027】
給紙トレイ31は、用紙Sを格納する格納部として設けられている。給紙トレイ31には、複数枚の用紙Sが格納されている。本実施形態では、給紙トレイ31は、上下方向に2段に渡って設けられている。ただし、上下方向に1段又は3段以上の給紙トレイ31が設けられてもよい。
【0028】
給紙トレイ31に収容された用紙Sは、各種の回転ローラにより、2次転写部STに搬送される。中間転写ベルト21に担持されているカラートナー像は、2次転写部STにおいて用紙Sの表面に転写される。
【0029】
定着装置32は、用紙Sの搬送方向における2次転写部STの下流側に設けられている。定着装置32は、2次転写部STにおいて用紙Sに転写されたカラートナー像を用紙Sに定着させる。定着装置32の通過によって画像が形成された用紙Sは、排紙トレイ33に排出される。
【0030】
トナー補給装置34は、現像装置14にトナー(現像剤)を供給する。このトナーには、感光体11の長寿命化のために、処理剤(潤滑剤や研磨剤等)が含まれている。トナー補給装置34は、現像装置14の上方に設けられている。ただし、画像形成装置1におけるトナー補給装置34の配置は、特に限定されない。
【0031】
コントローラ40は、2次転写部STを通過する用紙Sの速度を制御する。図3に示されるように、コントローラ40は、平滑度情報取得部41と、制御部42と、を有している。
【0032】
平滑度情報取得部41は、2次転写部STに搬送される用紙Sの平滑度を示す平滑度情報を取得する。平滑度情報取得部41は、平滑度情報を制御部42に送信する。なお、平滑度情報は、平滑度そのものであってもよいし、平滑度に対応する指標(数値等)であってもよい。
【0033】
制御部42は、平滑度情報に基づいて、中間転写ベルト21及び2次転写ローラ24間の速度差が変化するように2次転写ローラ24の回転速度を制御する。換言すれば、制御部42は、平滑度情報に基づいて、中間転写ベルト21に対する2次転写ローラ24の相対速度を制御する。本実施形態では、制御部42は、平滑度情報に基づいて、駆動部26、すなわち、モータの回転数を制御する。
【0034】
図4に示されるように、制御部42は、平滑度情報が所定値P以上であるときの速度差を平滑度情報が所定値P未満であるときの速度差よりも大きくする。速度差は、中間転写ベルト21の速度から2次転写ローラ24の回転速度を引いた値で表される。すなわち、平滑度情報が所定値P以上であるときは、制御部42は、2次転写ローラ24の回転速度を小さくする。本実施形態では、所定値Pは、用紙Sがコート紙である場合の平滑度情報に設定されている。
【0035】
制御部42は、平滑度情報が所定値P未満であるとき、速度差をゼロにする(駆動部26を停止する)。つまり、平滑度情報が所定値P未満であるとき、2次転写ローラ24は、中間転写ベルト21に対して従動回転する。
【0036】
なお、図5に示されるように、制御部42は、平滑度情報が大きくなるにしたがって次第に速度差を増大させてもよい。
【0037】
ここで、図6を参照しながら、用紙Sの種類と速度差の有無との関係の試験結果について説明する。図6には、用紙Sとして、所定値P未満の平滑度情報を有する普通紙と、所定値Pの平滑度情報を有するコート紙と、が示されている。
【0038】
普通紙が用いられ、速度差がゼロである場合(2次転写ローラ24が中間転写ベルト21に従動回転する場合)、特に問題は生じなかった。一方、普通紙が用いられ、速度差がある場合、2次転写部STにおいて普通紙が擦れることによって紙粉が発生し、その紙粉をブレード部材25が噛み込むことに起因してブレード部材25による中間転写ベルト21のクリーニング不良が発生した。
【0039】
コート紙が用いられ、速度差がゼロである場合、中間転写ベルト21とコート紙との密着度が高くなることにより、中間転写ベルト21の表面への損傷(本実施形態では、表層21bの剥離)が生じた。一方、コート紙が用いられ、速度差がある場合、特に問題は生じなかった。
【0040】
以上より、所定値P未満の小さな平滑度情報を有する用紙S(例えば普通紙)が用いられる場合、速度差は、ゼロ又は比較的小さく設定されることが好ましいことが分かる。一方、所定値P以上の大きな平滑度情報を有する用紙S(例えばコート紙)が用いられる場合、速度差は、比較的大きく設定されることが好ましいことが分かる。
【0041】
センサ45は、2次転写部STに搬送される用紙Sの平滑度情報を検知する。センサ45は、用紙Sの搬送方向における2次転写部STの上流側に設けられている。センサ45は、平滑度情報を平滑度情報取得部41に送信する。センサ45としてメディアセンサ等が挙げられる。
【0042】
操作パネル50は、画像形成装置1の上部に設けられている。操作パネル50には、各種表示が表示されている。操作パネル50は、操作部51を有している。操作部51は、平滑度情報を平滑度情報取得部41に送信可能である。
【0043】
次に、図7を参照しながら、コントローラ40の制御フローについて説明する。
【0044】
用紙Sが2次転写部STに搬送される前に、平滑度情報取得部41は、操作部51又はセンサ45から平滑度情報を取得する(ステップS11)。
【0045】
そして、制御部42は、その平滑度情報が前記所定値P未満であるか否かを判断する(ステップS12)。
【0046】
平滑度情報が所定値P未満である場合、つまり、用紙Sの平滑度情報がコート紙の平滑度情報よりも小さい場合、制御部42は、速度差をゼロにする(ステップS13)。
【0047】
一方、平滑度情報が所定値P以上である場合、つまり、用紙Sの平滑度情報がコート紙の平滑度情報以上である場合、制御部42は、速度差を平滑度情報が所定値P未満であるときの速度差よりも大きくする(ステップS14)。
【0048】
ステップS13又はステップS14における速度差の調整後、用紙Sが2次転写部STに搬送される(ステップS15)。これにより、2次転写部STにおいて中間転写ベルト21から画像が用紙Sに転写される。
【0049】
以上に説明したように、本実施形態の画像形成装置1では、制御部42が平滑度情報に基づいて2次転写ローラ24の回転速度を制御することによって、中間転写ベルト21及び2次転写ローラ24間の速度差が調整される。よって、2次転写部STにおいて用紙Sに転写される画像の長さの変化が抑制される。
【0050】
(第2実施形態)
次に、図8及び図9を参照しながら、本発明の第2実施形態の画像形成装置1について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0051】
本実施形態の画像形成装置1は、駆動機構61と、切替部65と、をさらに備えており、駆動部26を備えていない。
【0052】
駆動機構61は、2次転写ローラ24と中間転写ベルト21との間に速度差が生じるように2次転写ローラ24を駆動する。駆動機構61は、支持ローラ22の軸芯22Aに接続された第1ギア62と、2次転写ローラ24の軸芯24Aに接続された第2ギア64と、を有している。第1ギア62の歯数と第2ギア64の歯数とは互いに異なっている。第2ギア64が第1ギア62に噛み合うことにより、2次転写ローラ24が所定の速度差を有して中間転写ベルト21に対して相対回転する。
【0053】
切替部65は、強制駆動状態(図8に示される状態)と従動駆動状態(図9に示される状態)とを切り替え可能である。強制駆動状態は、駆動機構61によって2次転写ローラ24が駆動される状態を意味する。つまり、強制駆動状態は、第1ギア62と第2ギア64とが互いに噛み合った状態である。従動駆動状態は、第2ギア64が第1ギア62から離間しており、2次転写ローラ24が中間転写ベルト21に対して従動回転する状態を意味する。
【0054】
切替部65は、偏心カム66と、付勢部材67と、を有している。
【0055】
偏心カム66は、2次転写ローラ24の軸芯24Aと平行な方向における第2ギア64の外側に配置されている。偏心カム66は、第2ギア64を2次転写ローラ24に向けて押圧する姿勢(図8に示される姿勢)と、第2ギア64の押圧を行わない姿勢(図9に示される姿勢)と、の間で姿勢を変更可能である。
【0056】
付勢部材67は、2次転写ローラ24と第2ギア64との間に配置されている。付勢部材67は、第2ギア64を軸芯24Aと平行な方向に2次転写ローラ24から離間する向きに付勢している。
【0057】
この実施形態では、切替部65が第2ギア64の位置を変更することにより、2次転写ローラ24の駆動状態、すなわち、2次転写ローラ24の回転速度が調整される。つまり、この実施形態では、制御部42は、平滑度情報に基づいて切替部65を切り替えることによって2次転写ローラ24の回転速度を制御する。
【0058】
(第3実施形態)
続いて、図10から図12を参照しながら、本発明の第3実施形態の画像形成装置1について説明する。なお、第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0059】
本実施形態の画像形成装置1は、食い込み量調整部70をさらに備えており、駆動部26を備えていない。食い込み量調整部70は、2次転写ローラ24の中間転写ベルト21への食い込み量を調整する。食い込み量調整部70は、偏心カム71と、付勢部材72と、を有している。
【0060】
偏心カム71は、支持ローラ22と2次転写ローラ24とが互いに対向する方向における2次転写ローラ24の外側に配置されている。
【0061】
付勢部材72は、2次転写ローラ24と偏心カム71との間に配置されている。付勢部材72は、2次転写ローラ24を中間転写ベルト21に向けて付勢している。
【0062】
偏心カム71は、付勢部材72を2次転写ローラ24に向けて第1押圧力で押圧する姿勢(図10に示される姿勢)と、付勢部材72を2次転写ローラ24に向けて第1押圧力よりも小さな第2押圧力で押圧する姿勢(図11に示される姿勢)と、の間で姿勢を変更可能である。
【0063】
ここで、図12を参照しながら、2次転写部STを通過する用紙Sの速度について説明する。中間転写ベルト21の表面速度と2次転写ローラ24の表面速度とが互いに等しい状態では、単位時間当たりに中間転写ベルト21の表面が回転する距離と2次転写ローラ24の表面が回転する距離との比が等しい。図12に示される例では、2次転写ローラ24が食い込み量Bだけ中間転写ベルト21に食い込んでいるため、単位時間当たりに2次転写ローラ24の表面が回転する距離は、中間転写ベルト21に食い込んだ状態における2次転写ローラ24の外径に基づく算出値にほぼ等しい。この考えに基づく関係式は、以下のとおりである。
【0064】
ω1×2・π・2(R1+T)=ω2×2・π・2(R2-B) ・・・(1)
【0065】
上記式(1)において、ω1は支持ローラ22の角速度であり、R1は支持ローラ22の半径であり、Tは中間転写ベルト21の厚みであり、ω2は2次転写ローラ24の角速度であり、R2は2次転写ローラ24の半径であり、Bは2次転写ローラ24の中間転写ベルト21への食い込み量である。
【0066】
上記式(1)を書き換えると、以下の式(2)となる。
【0067】
ω1×(R1+T)=ω2×(R2-B) ・・・(2)
【0068】
用紙Sが2次転写部STを通過する際、用紙Sの影響によって2次転写ローラ24がほぼ用紙Sの厚さ分だけ凹むため、用紙Sの速度は、ω2×(R2-B)と考えることが可能である。
【0069】
この実施形態では、偏心カム71が付勢部材72の押圧力を変更することにより、2次転写ローラ24の中間転写ベルト21への食い込み量、すなわち、2次転写ローラ24の回転速度が調整される。つまり、この実施形態では、制御部42は、平滑度情報に基づいて食い込み量調整部70を調整することによって2次転写ローラ24の回転速度を制御する。
【0070】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0071】
上記実施形態の一局面に従う画像形成装置は、画像形成部が生成した画像を担持可能な中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトを周回させることが可能となるように当該中間転写ベルトを支持する支持ローラと、前記中間転写ベルトを介して前記支持ローラと対向する位置に配置されており、前記中間転写ベルトとともに前記中間転写ベルト上の前記画像を用紙に転写させる2次転写部を規定する2次転写ローラと、前記2次転写部に搬送される前記用紙の平滑度を示す平滑度情報に基づいて、前記中間転写ベルト及び前記2次転写ローラ間の速度差が変化するように前記2次転写ローラの回転速度を制御する制御部と、を備える。
【0072】
この画像形成装置では、制御部が平滑度情報に基づいて2次転写ローラの回転速度を制御することによって、中間転写ベルト及び2次転写ローラ間の速度差が調整される。よって、2次転写部において用紙に転写される画像の長さの変化を抑制することが可能となる。
【0073】
例えば、比較的小さな平滑度情報を有する用紙(普通紙等)が2次転写部を通過する際に前記速度差が大きい場合、2次転写部において用紙が擦れることによって紙粉が発生する懸念がある。一方、比較的大きな平滑度情報を有する用紙(コート紙等)が2次転写部を通過する際に前記速度差が小さい場合、中間転写ベルトと用紙との密着度が高くなることによって中間転写ベルトの表面への損傷が生じる懸念がある。
【0074】
このため、前記制御部は、前記平滑度情報が所定値以上であるときの前記速度差が前記平滑度情報が所定値未満であるときの前記速度差よりも大きくなるように前記2次転写ローラの回転速度を制御することが好ましい。
【0075】
このようにすれば、所定値未満の平滑度情報を有する用紙(普通紙等)が2次転写部を通過する際における紙粉の発生が抑制され、かつ、所定値以上の平滑度情報を有する用紙(コート紙等)が2次転写部を通過する際における中間転写ベルトの表層の劣化が抑制される。
【0076】
この場合において、前記所定値は、前記用紙がコート紙である場合の平滑度情報に設定されていることが好ましい。
【0077】
また、前記画像形成装置において、前記平滑度情報を取得するとともに、前記平滑度情報を前記制御部に送信する平滑度情報取得部をさらに備えることが好ましい。
【0078】
また、前記画像形成装置において、前記平滑度情報を前記平滑度情報取得部に送信可能な操作部を含む操作パネルをさらに備えていてもよい。
【0079】
この態様では、操作パネルの操作部の操作により平滑度情報が平滑度情報取得部に送られる。
【0080】
また、前記画像形成装置において、前記2次転写部に搬送される前記用紙の前記平滑度情報を検知するセンサをさらに備えていてもよい。
【0081】
この態様では、センサが平滑度情報を平滑度情報取得部に送る。
【0082】
また、前記画像形成装置において、前記2次転写ローラと前記中間転写ベルトとの間に速度差が生じるように前記2次転写ローラを駆動する駆動機構と、前記駆動機構によって前記2次転写ローラが駆動される強制駆動状態と、前記2次転写ローラが前記中間転写ベルトに対して従動回転する従動駆動状態と、を切り替え可能な切替部と、をさらに備えていてもよい。この場合、前記制御部は、前記平滑度情報に基づいて前記切替部を切り替えることによって前記2次転写ローラの回転速度を制御する。
【0083】
あるいは、前記画像形成装置において、前記2次転写ローラを駆動する駆動部をさらに備えていてもよい。この場合、前記制御部は、前記平滑度情報に基づいて前記駆動部を制御する。
【0084】
あるいは、前記画像形成装置において、前記2次転写ローラの前記中間転写ベルトへの食い込み量を調整する食い込み量調整部をさらに備えていてもよい。この場合、前記制御部は、前記平滑度情報に基づいて前記食い込み量調整部を調整することによって前記2次転写ローラの回転速度を制御する。
【0085】
また、前記中間転写ベルトは、基層と、前記基層を被覆する表層と、を有することが好ましい。
【0086】
なお、今回開示された実施形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
1 画像形成装置、10 画像形成部、11 感光体、12 帯電ローラ、13 露光装置、14 現像装置、20 転写装置、21 中間転写ベルト、21a 基層、21b 表層、22 支持ローラ、23 1次転写ローラ、24 2次転写ローラ、25 ブレード部材、26 駆動部、31 給紙トレイ、32 定着装置、33 排紙トレイ、34 トナー補給装置、40 コントローラ、41 平滑度情報取得部、42 制御部、45 センサ、50 操作パネル、51 操作部、61 駆動機構、62 第1ギア、64 第2ギア、65 切替部、66 偏心カム、67 付勢部材、70 食い込み量調整部、71 偏心カム、72 付勢部材、ST 2次転写部。
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