(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20240709BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20240709BHJP
F24F 1/36 20110101ALI20240709BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20240709BHJP
【FI】
F24F5/00
F24F1/0007 361B
F24F1/02 371B
F24F1/36
F24F11/70
(21)【出願番号】P 2020174313
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤村 茂長
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/104085(WO,A1)
【文献】特開2006-118797(JP,A)
【文献】特開2002-031378(JP,A)
【文献】特開2019-056493(JP,A)
【文献】中国実用新案第207751086(CN,U)
【文献】特開2010-230176(JP,A)
【文献】米国特許第06318108(US,B1)
【文献】特開昭52-141034(JP,A)
【文献】特開2006-038360(JP,A)
【文献】特開2013-053755(JP,A)
【文献】登録実用新案第3220863(JP,U)
【文献】特許第2931333(JP,B2)
【文献】実開平06-009307(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00 - 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁で囲まれた空間の空気を調和させる空調室内機と、
前記側壁の一面の外側で排気が前記一面に向かうように配置され前記空調室内機と接続される空調室外機と、
前記空調室外機の下方に配置され前記空調室内機及び前記空調室外機で発生するドレン水を気化させる気化器と、
前記気化器から発生する水蒸気又は霧を拡散させる送風機と、
を備えた、
ことを特徴とするブース。
【請求項2】
前記送風機は、その送風方向が前記側壁の一面に交差して所定角度で向き合うように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のブース。
【請求項3】
前記気化器から滴下するドレン水を受けるドレン水受け皿を有し、前記ドレン水受け皿は、前記送風機が送風する風路に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のブース。
【請求項4】
前記送風機は、前記気化器の上方にも配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のブース。
【請求項5】
前記送風機は、前記空調室外機の周辺にも配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のブース。
【請求項6】
前記送風機は、前記側壁の一面の外側で前記空調室外機から排気される空気の流通方向における下流に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のブース。
【請求項7】
前記気化器のハーネスと前記送風機のハーネスは前記側壁の一面に沿って束ねて引き回され前記側壁の重力方向における底部で保持されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブース。
【請求項8】
前記気化器のハーネスと前記送風機のハーネスは前記空間の底面に沿って束ねて引き回され前記側壁の重力方向における底部で保持されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブース。
【請求項9】
前記送風機は、前記空調室外機の動作と関係なく動作可能に構成され、前記気化器が停止しているときに送風を停止する、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のブース。
【請求項10】
前記送風機は、前記空調室外機のファンが停止していることが検知された場合、送風を開始する、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のブース。
【請求項11】
前記送風機は、前記空調室外機のファンが停止していることが検知されている場合のみ送風する、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のブース。
【請求項12】
前記送風機は、水蒸気又は霧を検知した場合、送風を開始する、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のブース。
【請求項13】
前記送風機は、前記空間の利用を管理する予約情報に応じて動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のブース。
【請求項14】
前記送風機は、前記予約情報により前記空調室外機の前記排気が停止することが推測される場合に送風を開始する、
ことを特徴とする請求項13に記載のブース。
【請求項15】
前記送風機は、一端が支持部によって支持され、前記支持部を支点として首振り動作を行い、送り込む空気流の向きを変える、
ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載のブース。
【請求項16】
前記送風機は、予め定められた時間に基づいて首振り動作を行う、
ことを特徴とする請求項15に記載のブース。
【請求項17】
前記送風機は、予め定められた周期で首振り動作を行う、
ことを特徴とする請求項15に記載のブース。
【請求項18】
前記送風機は、一端が前記側壁の一面に対して移動可能な支持部によって支持され、前記支持部が移動して前記気化器との距離を変える、
ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載のブース。
【請求項19】
前記送風機は、送り込む空気量を多段階に切り替え可能であり、検知された水蒸気又は霧の量に応じて送り込む空気量を切り替える、
ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載のブース。
【請求項20】
前記送風機は、送り込む空気を脈動的に吐出可能であり、検知された水蒸気又は霧の量に応じて送り込む空気量を切り替える、
ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載のブース。
【請求項21】
前記送風機から送り込まれ前記側壁の一面に沿って流通する空気の風速は前記空調室外機から排気され前記側壁の一面に沿って流通する空気の最大風速よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1ないし20のいずれか1項に記載のブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所に設置されるブースの内部空間の温度調整および換気を行う、空調システムであって、着脱可能な第1フィルタを有し、温度調整後の空気を第1吹出口から吹き出す、空調室内ユニットと、着脱可能な第2フィルタを有し、ブースの外から入ってくる外気を第2吹出口から吹き出す、外気取入ユニットと、を備え、空調室内ユニットおよび前記外気取入ユニットが、ともに前記ブースの内部空間に配置されている空調システムが知られている(特許文献1)。
【0003】
エアコンの室外機に取り付け、室外機の送風を利用してファンを回し、ドレンの冷水を熱交換機のフィンに散布する装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-106676号公報
【文献】特開2003-42476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ブースの室外機又は室内機から出る排水を気化させるときの水蒸気又は霧を拡散させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のブースは、
側壁で囲まれた空間の空気を調和させる空調室内機と、
前記側壁の一面の外側で排気が前記一面に向かうように配置され前記空調室内機と接続される空調室外機と、
前記空調室外機の下方に配置され前記空調室内機及び前記空調室外機で発生するドレン水を気化させる気化器と、
前記気化器から発生する水蒸気又は霧を拡散させる送風機と、
を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブースにおいて、
前記送風機は、その送風方向が前記側壁の一面に交差して所定角度で向き合うように配置されている、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のブースにおいて、
前記気化器から滴下するドレン水を受けるドレン水受け皿を有し、前記ドレン水受け皿は、前記送風機が送風する風路に配置されている、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のブースにおいて、
前記送風機は、前記気化器の上方にも配置されている、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のブースにおいて、
前記送風機は、前記空調室外機の周辺にも配置されている、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のブースにおいて、
前記送風機は、前記側壁の一面の外側で前記空調室外機から排気される空気の流通方向における下流に配置されている、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記気化器のハーネスと前記送風機のハーネスは前記側壁の一面に沿って束ねて引き回され前記側壁の重力方向における底部で保持されている、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記気化器のハーネスと前記送風機のハーネスは前記空間の底面に沿って束ねて引き回され前記側壁の重力方向における底部で保持されている、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記送風機は、前記空調室外機の動作と関係なく動作可能に構成され、前記気化器が停止しているときに送風を停止する、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記送風機は、前記空調室外機のファンが停止していることが検知された場合、送風を開始する、
ことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記送風機は、前記空調室外機のファンが停止していることが検知されている場合のみ送風する、
ことを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記送風機は、水蒸気又は霧を検知した場合、送風を開始する、
ことを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記送風機は、前記空間の利用を管理する予約情報に応じて動作を制御する、
ことを特徴とする。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載のブースにおいて、
前記送風機は、前記予約情報により前記空調室外機の前記排気が停止することが推測される場合に送風を開始する、
ことを特徴とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記送風機は、一端が支持部によって支持され、前記支持部を支点として首振り動作を行い、送り込む空気流の向きを変える、
ことを特徴とする。
【0021】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載のブースにおいて、
前記送風機は、予め定められた時間に基づいて首振り動作を行う、
ことを特徴とする。
【0022】
請求項17に記載の発明は、請求項15に記載のブースにおいて、
前記送風機は、予め定められた周期で首振り動作を行う、
ことを特徴とする。
【0023】
請求項18に記載の発明は、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記送風機は、一端が前記側壁の一面に対して移動可能な支持部によって支持され、前記支持部が移動して前記気化器との距離を変える、
ことを特徴とする。
【0024】
請求項19に記載の発明は、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記送風機は、送り込む空気量を多段階に切り替え可能であり、検知された水蒸気又は霧の量に応じて送り込む空気量を切り替える、
ことを特徴とする。
【0025】
請求項20に記載の発明は、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記送風機は、送り込む空気を脈動的に吐出可能であり、検知された水蒸気又は霧の量に応じて送り込む空気量を切り替える、
ことを特徴とする。
【0026】
請求項21に記載の発明は、請求項1ないし20のいずれか1項に記載のブースにおいて、
前記送風機から送り込まれ前記側壁の一面に沿って流通する空気の風速は前記空調室外機から排気され前記側壁の一面に沿って流通する空気の最大風速よりも大きい、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、空調室内機又は空調室外機から出るドレン水を気化させるときの水蒸気を拡散させることができる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、気化器及びその周辺から発生する水蒸気又は霧を拡散させることができる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、気化器及びドレン水受け皿から発生する水蒸気又は霧を拡散させることができる。
【0030】
請求項4、5、6に記載の発明によれば、気化器及びその周辺から発生する水蒸気又は霧を吸引して拡散させることができる。
【0031】
請求項7、8に記載の発明によれば、送風機から送風される空気流を遮りにくくすることができる。
【0032】
請求項9に記載の発明によれば、ドレン水を気化させるときの水蒸気又は霧を確実に拡散させることができる。
【0033】
請求項10に記載の発明によれば、空調室外機のファンが停止している場合であっても、ドレン水が気化するときの水蒸気又は霧を拡散させることができる。
【0034】
請求項11に記載の発明によれば、送風機の運転による電力の消費を抑制することができる。
【0035】
請求項12に記載の発明によれば、水蒸気又は霧を直接検知して、ドレン水が気化するときの水蒸気又は霧を拡散させることができる。
【0036】
請求項13に記載の発明によれば、空調室内機が使用されるときにドレン水が気化するときの水蒸気又は霧を拡散させることができる。
【0037】
請求項14に記載の発明によれば、空調室内機が使用されたあと、空調室外機のファンが停止している場合であっても、ドレン水が気化するときの水蒸気又は霧を拡散させることができる。
【0038】
請求項15に記載の発明によれば、ドレン水が気化するときの水蒸気又は霧をむらなく拡散させることができる。
【0039】
請求項16に記載の発明によれば、送風機の運転による電力の消費を抑制しながらドレン水が気化するときの水蒸気又は霧をむらなく拡散させることができる。
【0040】
請求項17に記載の発明によれば、ドレン水が気化するときの水蒸気又は霧をむらなく拡散させることができる。
【0041】
請求項18に記載の発明によれば、ドレン水が気化するときの水蒸気又は霧を効率よく拡散させることができる。
【0042】
請求項19、20に記載の発明によれば、ドレン水が気化するときの水蒸気又は霧をむらなく拡散させることができる。
【0043】
請求項21に記載の発明によれば、送風機の送風性能が低下してもドレン水が気化するときの水蒸気又は霧を拡散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本実施形態に係るブースの内部構成を示す要部斜視図である。
【
図3】(a)はブースの内部構成を示す正面一部断面図、(b)はブースの第2側壁パネル側から見た側面図、(c)はブースの平面図である。
【
図4】ブースの空間内における空気循環を模式的に示す図である。
【
図6】空調室外機の設置部への取り付けを示している図である。
【
図7】(a)は気化器及びドレン水受け皿を示す斜視図、(b)は気化器におけるドレン水の気化を機能的に説明する図である。
【
図8】空調室外機及び気化器の排気を説明する図である。
【
図9】(a)送風機の設置部への取り付けを示す平面図、(b)は側面図である。
【
図10】ブースの気化器の周辺で発生する水蒸気又は霧を模式的示す図である。
【
図11】ブースの予約管理システムとブースの動作制御を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0046】
(1)ブースの全体構成
図1は本実施形態に係るブース1の内部構成を示す要部斜視図、
図2はブース1の設置を説明する平面図である。以下、図面を参照しながら、ブース1の全体構成を説明する。
【0047】
図1、
図2に示すように、ブース1は、側壁で囲まれ全体が箱型の空間を有し、内部に机11、椅子12、モニタ13、照明14、電装ボックス15、エアコンの空調室内機16、側部に空調室外機17が設置されている。
利用者はブース1内に形成される空気調和空間内で、この椅子12に座って机11、モニタ13に向かい仕事や勉強等の諸作業を行ったり、電気通信回線を介してオンラインサービスを受けることができるようになっている。
【0048】
ブース1は、設置面FL上に設けられる土台部2と、土台部2上に設けられた床板部3と、土台部2上に立設された側壁パネル4と、側壁パネル4上に設けられた天井パネル5と、土台部2の下方に設けられたキャスター6(
図3(a)、(b)に示す)と、を備えている。
【0049】
土台部2は、ブース1の底形状に対応した矩形状をなすように、4本の梁材を互いに接合したもので、例えば、角形鋼管からなる。
床板部3は、土台部2の内側に突出するように設けられた床支持部材2aに当接して支持され、例えば、木質の板材である構造用合板上にフロアマットが積層されている。
【0050】
側壁パネル4は、奥側壁を構成し第1の面を有する第1側壁パネル41と、左右壁を構成し第2の面を有する第2側壁パネル42、第3の面を有する第3側壁パネル43と、手前壁を構成し第4の面を有する第4側壁パネル44とからなる。第4側壁パネル44は出入り口となる開口部44aを有し、この開口部44aに扉45が装着されている。本実施形態においては、扉45は引き戸となっている。
【0051】
天井パネル5は、側壁パネル4で形成された空間の上方の開口を塞ぐように、側壁パネル4の上端部に固定され、例えば、木質の板材である構造用合板からなる。
【0052】
キャスター6は、土台部2の下方の4隅に設けられ、工場等で組み立てられたブース1を設置場所へ設置する際に、トラック等の荷台に載せて運搬し、設置場所ではキャスター6を介して移動させ設置面FL上に設置する。
【0053】
ブース1の内部では、机11は、床板部3上で、第4側壁パネル44から見て右側となる第3側壁パネル43に接して配置されている。机11の上部には、第3側壁パネル43に沿って、下方から上方に向かって、モニタ13、照明14、電装ボックス15がこの順で配置されている。そして、空調室内機16は第1側壁パネル41の上部で、吹出口が床板部3から第4側壁パネル44に向くように配置されている。
【0054】
第4側壁パネル44から見て左側となる第2側壁パネル42の外側には、エアコンの空調室内機16と接続される空調室外機17が設置されている。
空調室外機17の下方には、空調室内機16及び空調室外機17から排出されるドレン水を霧化させ大気中に排出する気化器18及びドレン水受け皿19が重力方向に沿ってこの順に配置されている。気化器18及びドレン水受け皿19の側方には、気化器18から発生する水蒸気又は霧を拡散させる送風機20が第2側壁パネル42の外側面に所定の角度(
図2中 Θで示す)で向き合うように配置されている。
【0055】
このように構成されるブース1は、工場等で組み立てられ、トラック等の荷台に載せて運搬し、所定の設置場所で設置面FL上に設置できる構成になっている。設置場所としては、通行人とブース1の使用者が混在している外部空間の一例として建物躯体の入隅部が挙げられ、地下鉄駅と地上部との間に形成されているコンコース空間、連絡通路などの入隅部に好適に設置される。
具体的には、
図2に示すよう、入隅空間を構成している二つの第1壁面X及び第2壁面Yに対して、第3側壁パネル43が入隅空間の第1壁面Xと対向し、第1側壁パネル41が入隅空間の第2壁面Yと対向して設置される。このように設置されることで、第2側壁パネル42の外側に配置された空調室外機17が、ブース1の設置場所において通路に突出することなく通行人の通行(
図2中 矢印Rで示す)を阻害しない位置に位置することになる。
【0056】
また、設置場所としては建物躯体の入隅部に限らず、外部空間に自由に配置することができる。この場合、ブース1は側壁パネル4で形成された内部空間と内部空間の一方の外側に空調室外機を有し全体が平面視で短辺と長辺からなる長方形となり、扉45を配置する面を通行人の通行量が多い通路又は道路側に面して設置することが好ましい。短辺となるブース1の奥行き方向を小さくすることで、ブース1の通路側への突出を抑制して通行人の通行を阻害しないように配置することができる。
【0057】
(2)空気調和システム
図3(a)はブース1の内部構成を示す正面一部断面図、(b)はブース1の第2側壁パネル42側から見た側面図、(c)はブース1の平面図、
図4はブース1の空間内における空気循環を模式的に示す図、
図5は空調室外機17の構成を模式的に示す図、
図6は空調室外機17の設置部への取り付けを示す図、
図7(a)は気化器18及びドレン水受け皿19を示す斜視図、(b)は気化器18におけるドレン水の霧化を機能的に説明する図、
図8は空調室外機17及び気化器18の排気を説明する図、
図9(a)は送風機20の設置部への取り付けを示す平面図、(b)は側面図、
図10はブース1の気化器18の周辺で発生する水蒸気又は霧を模式的に示す図である。
【0058】
本実施形態に係るブース1は、空調室内機16と、空調室外機17と、机11、モニタ13、照明14、電装ボックス15が配置された第3側壁パネル43に設けられた吸気口43Aと、天井パネル5に設けられた換気ファン30を備え、空調室内機16の吹出口から送風される冷風又は暖気の循環と、吸気口43Aから外気を吸気して換気ファン30で排出する空気流で空気調和システムを形成している。
なお、本構成に限ったものではなく、一部の構成を除いたり、更に設備を追加したブース1であってもよい。
【0059】
図3(a)に示すように、熱源となるモニタ13、照明14、電装ボックス15が配置される側の第3側壁パネル43には、外部と通じる吸気口43Aが設けられている。吸気口43Aは、第3側壁パネル43の外側面に設けられた第1吸気口43Aaと、第3側壁パネル43の内側面に設けられた第2吸気口43Abからなり、第1吸気口43Aaは、水平方向において、第3側壁パネル43の中央よりに、第2吸気口43Abは、第1吸気口43Aaに対して第4側壁パネル44側に設けられ、重ならない位置に設けられている。
【0060】
図3(c)に示すように、換気ファン30は、天井パネル5において、第3側壁パネル43側で第4側壁パネル44に近い位置に設けられている。
これにより、
図4に矢印Aで示すように、熱源のひとつであるモニタ13の背面側から外部の空気を取り込み、他の熱源である照明14及び電装ボックス15の周囲を通過して天井パネル5に設けられた換気ファン30を介して外部に排気される空気流が形成される。
熱源となるモニタ13、照明14、電装ボックス15は、第3側壁パネル43に沿って、この順に空間の下方から上方に向かって並んで配置され、熱源の熱を効率的にブース外に排気することができる。
【0061】
ブース1内でこのように配置される空調室内機16に対して、
図3に示すように、空調室内機16と接続される空調室外機17、気化器18、ドレン水受け皿19及び送風機20は、第2側壁パネル42の外側に配置されている。空調室外機17、気化器18、ドレン水受け皿19は重力方向に沿って、この順に配置され、送風機20は、気化器18及びドレン水受け皿19に対して水平方向における側方に配置されている。
【0062】
空調室外機17は、
図4に矢印Bで示すように、外気を取り込み、熱交換を行った空気は第2側壁パネル42の外側面42aに向けて排気され、第2側壁パネル42の外側面42aに沿って上方、下方、側方に流動する。
気化器18は、
図4に矢印Cで示すように、隔壁50を介して外気を吸気して、霧化されたドレン水は高湿排気として、隔壁50から上方、側方に流通させて外部に排気する。
これにより、気化した高湿排気がブース1内に外気を取り入れる第1吸気口43Aaから侵入しないようにすることができる。
【0063】
送風機20は、
図4に矢印Dで示すように、第2側壁パネル42の外側面42aに所定の角度Θで送風し、気化器18、ドレン水受け皿19周辺の水蒸気又は霧を拡散させる。送風機20の送風Dは、気化器18の高湿排気Cとともに、大半は通路とは反対側の第2壁面Y(
図2 参照)に向かって排出され、一部は空調室外機17からの排気Bとともに上方に排出される。これにより、排気風が周囲の人に当たらないようになっている。
【0064】
空調室外機17は、
図5に示すように、冷媒(フロンなど)を空調室内機16と空調室外機17の間で循環させる圧縮機171と、循環する冷媒と室外空気とを熱交換させる室外熱交換器172と、室外熱交換器用ファン173とが内蔵され、空調室内機16とは冷媒配管174を通じて接続される。室外熱交換器172には、室外熱交換器用ファン173の送風機能により外気が室外熱交換器172周りを通って外部に排出されるようになっている。
【0065】
空調室外機17は、ブース1の重心位置が設置面FLからブース1の天井パネル5までの高さを二分する位置よりも下に位置して設置部となる据付架台70に弾性部材の一例としての防振ゴム71を介して取り付けられている。
図6(c)に示す防振ゴム71は、
図6(a)に示すように、空調室外機17の重力方向の重心位置G1を基準にして均等に二分割する分割位置S1、S2に空調室外機17の設置板17cと据付架台70との間に挟み込まれて配置されている。
【0066】
空調室外機17は、重量が重い圧縮機171は室外熱交換器172及び室外熱交換器用ファン173の側方に配置されているために、その重心位置G1は圧縮機側に偏っている。そのために、防振ゴム71を空調室外機17の設置板17cに対して、重力方向の重心位置G1を基準にして均等に二分割する分割位置S1、S2に配置することで空調室外機17の運転時の傾きを防止して、暖房時のドレン水の排水残りと防振ゴム71の劣化の偏りを抑制するとともに、空調室外機17の振動がブース1に伝わらないようにしている。
【0067】
気化器18は、
図7に示すように、タンク181、超音波振動子182、ファンモータ183、吸気口184、排気口185、ドレン接続部186、を備えたドレン水処理装置である。空調室内機16及び空調室外機17から排出されるドレン水を超音波振動子182によって霧化し、ファンモータ183の送風により霧化の状態で大気中に排出して気化させることで、空調室内機16及び暖房時に空調室外機17で発生するドレン水を処理する。尚、気化器18は超音波式でなくてもよく、例えば、蒸発式であってもよい。
【0068】
気化器18には、
図8に示すように、空気通路となる隔壁50が接続されている。隔壁50には、気化器18のファンモータ183による外気の吸気のための吸気口184に接続する外気吸気口51と、気化器18の排気口185に接続する排気受け入れ口52が設けられている。隔壁50は、矢印Cで示すように、気化器18の排気口185から排気される高湿排気を受け入れて、空調室外機17の排気Bとともに上方、側方に流通させて外部に排気する。
【0069】
送風機20は、一定の風量があれば、特に限定されないが、気化器18で発生する水蒸気又は霧を確実に拡散させるために、風量が500m3/H以上であることが望ましい。特に、送風機20から送り込まれ第2側壁パネル42の外側面42aに沿って流通する空気の風速が、空調室外機17から排気され第2側壁パネル42の外側面42aに沿って流通する空気の最大風速よりも大きくなる風量があることが好ましい。
【0070】
具体的には、通路とは反対側の第2壁面Y(
図1、2 参照)に向かって排気されるブース1の奥側の位置(
図1におけるP点)において、V(D)≧1.15V(B)であることが好ましい。ここで、V(D)は、送風機20の送風の風速、V(B)は空調室外機17の排気の風速とする。これにより、送風機20の送風性能が一定程度(例えば、15%)低下しても、ドレン水が気化するときの水蒸気又は霧を拡散させることができる。
【0071】
送風機20は、
図9に示すように、据付架台80に支持台21を介して取り付けられている。支持台21は支持軸22を回転中心としてモータMの回転駆動により回転可能になっている。支持台21は、時計方向、反時計方向に一定角度の範囲で回転制御され、これにより送風機20は支持台21の回転範囲において首振り可能となっている(図中 矢印R1参照)。
また、支持台21は、据付架台80に対して左右方向に移動可能となっている(図中 矢印R2参照)。これにより、送風機20は、支持台21の移動範囲において気化器18及びドレン水受け皿19との距離が変わるようになっている。
【0072】
図3に示すように、送風機20のハーネスHN2は、電装ボックス15からキャップCPを介して天井パネル5の上面に沿うように引き出され、気化器18のハーネスHN1と第2側壁パネル42の外側面42aに沿ってタイラップTW等で束ねて引き回され、第2側壁パネル42の重力方向における底部(
図3 Qで示す)で保持されている。ハーネスHN1、HN2をこのように引き回すことで、送風機20から送風される空気流を遮りにくくすることができる。
尚、送風機20のハーネスHN2は、ブース1の床板部3の下側に沿って引き回されてもよい。
【0073】
このようにドレン水を処理する気化器18からの高湿排気Cは、
図10(a)に模式的に示すように、主として空調室外機17の排気Bとともに、外部に排気されるが、空調室外機17の、室外熱交換器用ファン173が停止している場合は、
図10(b)に模式的に示すように、隔壁50からの自然排気のみでは上昇気流が形成されず、気化器18及びドレン水受け皿19の周辺に滞留する虞がある。
【0074】
本実施形態に係るブース1においては、気化器18及びドレン水受け皿19に対して水平方向における側方に送風機20を配置して、気化器18及びドレン水受け皿19に向かって送風することで、滞留しやすい水蒸気又は霧を拡散させている。
【0075】
(3)送風機の動作と作用
図11はブース1の予約管理システムとブース1の動作制御を示すブロック図である。
ブース1は予約することで利用可能となり、予約情報はネットワークNWに接続される予約管理サーバ100が予約者が操作する予約者端末SPからの予約情報を受け付けることにより管理される。ネットワークNWに接続されたブース1は、システムコントローラ60が通信部61を介してブース1の予約時間、空き時間等を含む予約情報を取得する。
【0076】
システムコントローラ60は、プログラムの実行を通じて各種の管理機能を提供するCPU(Central Processing Unit)と、BIOS(Basic Input Output System)等を格納する記憶領域としてのROM(Read Only Memory)と、プログラムの実行領域として使用されるRAM(Random Access Memory)とからなるプロセッサを有し、空調室外機17、気化器18、送風機20等の動作制御を行う。
【0077】
空調室外機ファン制御部62は、空調室外機17の室外熱交換器用ファン173のON/OFF制御を行う。気化器制御部63は、気化器18の超音波振動子182への通電制御、ファンモータ183のON/OFF制御を行う。送風機動作制御部64は、送風機20の支持台21の首振り動作制御、移動動作制御を行う。送風機風量制御65は、送風機20のON/OFF制御、風量の多段階制御を行う。
【0078】
(3.1)送風機の通常動作
送風機20は、空調室外機17の室外熱交換器用ファン173のON/OFFとは関係なく送風を行い、気化器18の運転が停止しているときに送風を停止することで、ドレン水を気化させるときに発生する水蒸気又は霧を確実に拡散させる。
【0079】
(3.2)送風機の検知動作
また、空調室外機ファン制御部62を介して空調室外機17の室外熱交換器用ファン173が停止していることが検知された場合、送風を開始する。これにより、空調室外機17の室外熱交換器用ファン173が停止して気化器18及びドレン水受け皿19の周辺に水蒸気又は霧が滞留する虞がある場合であっても、水蒸気又は霧を拡散させることができる。尚、空調室外機17の室外熱交換器用ファン173が停止していることが検知された場合のみ、送風することで、送風機20の運転による電力の消費を抑制してもよい。
【0080】
ブース1は水蒸気又は霧検知装置SR1を備えている。水蒸気又は霧検知装置としては、センサ内に導入された外気が飽和水蒸気であるか否かをインピーダンス変化を利用して検出する水蒸気又は霧センサでもよく、気化器18及びドレン水受け皿19の周辺の霧を直接撮影することができるカメラであってもよい。
システムコントローラ60は、気化器18及びドレン水受け皿19の周辺に配置された水蒸気又は霧検知装置SR1の検知情報に基づいて、送風機20の送風を開始してもよい。直接水蒸気又は霧の発生を検知して水蒸気又は霧を拡散させることができる。
【0081】
システムコントローラ60は、通信部61を介してブース1の予約情報を取得して、ブース1の利用が終了して空調室内機16が停止し空調室外機17の室外熱交換器用ファン173が停止することが推測される場合には、送風機20の送風を開始するように制御する。これにより、空調室内機16が使用されたあと、空調室外機17の室外熱交換器用ファン173が停止している場合であっても、ドレン水が気化するときの水蒸気又は霧を拡散させることができる。
【0082】
(3.3)送風機の風向及び風量制御
システムコントローラ60は、送風機動作制御部64を介して送風機20の支持台21の首振り動作制御を行い気化器18及びドレン水受け皿19の周辺に送り込む空気流の向きを周期的に変える。
例えば、送風機20が第2側壁パネル42の外側面42a側に向かった状態では、空調室外機17の排気(
図4におけるB)と合流して風路は第2側壁パネル42の外側面42aに沿う風路となる。送風機20が気化器18に向かった状態では、気化器18に直接向かう風路となる。これにより、水蒸気又は霧をむらなく拡散させることができる。首振り動作は、送風を開始して常時首振りしながら送風してもよいが、予め定められた周期で行ってもよい。
【0083】
システムコントローラ60は、送風機動作制御部64を介して送風機20の支持台21の移動制御を行い送風機20と気化器18及びドレン水受け皿19との距離を変える。例えば、送風機20が気化器18及びドレン水受け皿19近づくと、気化器18及びドレン水受け皿19の周辺における風量及び風速が増加し、水蒸気又は霧を効率よく拡散させることができる。
【0084】
システムコントローラ60は、送風機風量制御65を介して送風機20の風量の多段階制御を行い、水蒸気又は霧検知装置SR1により検知された水蒸気又は霧の量に応じて送り込む空気量を切り替える。例えば、検知された水蒸気又は霧の量が多いときは、風量を増加させて水蒸気又は霧をむらなく拡散させることができる。また検知された水蒸気又は霧の量が少ないときは、風量を減少させて電力の消費を抑制することができる。
【0085】
システムコントローラ60は、送風機風量制御65を介して送風機20の風量制御を行い、水蒸気検知装置SR1により検知された水蒸気又は霧の量に応じて送り込む空気を脈動的に吐出して送り込む空気量を切り替える。例えば、検知された水蒸気又は霧の量が多いときは、送風をパルス的に行い、水蒸気又は霧をむらなく拡散させることができる。また検知された水蒸気又は霧の量が少ないときは、吐出間隔を延ばして電力の消費を抑制することができる。
【符号の説明】
【0086】
1・・・ブース
2・・・土台部
3・・・床板部
4・・・側壁パネル
5・・・天井パネル
6・・・キャスター
11・・・机
12・・・椅子
13・・・モニタ
14・・・照明
15・・・電装ボックス
16・・・空調室内機
17・・・空調室外機
18・・・気化器
19・・・ドレン水受け皿
20・・・送風機
30・・・換気ファン
50・・・隔壁
70、80・・・据付架台
FL・・・設置面