(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240709BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G03G15/08 229
G03G15/08 340
G03G15/00 303
(21)【出願番号】P 2020175060
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 渉
(72)【発明者】
【氏名】高谷 俊一
(72)【発明者】
【氏名】波多野 北斗
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-148796(JP,A)
【文献】特開2006-243114(JP,A)
【文献】特開2007-078942(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0027432(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/08
G03G 13/095
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/08
G03G 15/095
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体上に静電潜像を描画する露光装置と、前記像担持体に対向する現像ローラーにより前記像担持体上に形成された静電潜像に現像剤を供給してトナー像を現像する現像部と、前記現像部による現像時に前記像担持体と前記現像ローラーとの間に流れる現像電流を検出する現像電流検出部と、これらを制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記制御部は、前記現像部により所定のトナー像を前記像担持体上に現像することで強制的にトナーを前記現像部から排出する強制トナー排出制御を実行し、当該強制トナー排出制御におけるトナー排出量を、前記現像電流検出部で
強制トナー排出制御中に検出された電流値
の変化量に基づいて制御する画像形成装置。
【請求項2】
像担持体と、前記像担持体上に静電潜像を描画する露光装置と、前記像担持体に対向する現像ローラーにより前記像担持体上に形成された静電潜像に現像剤を供給してトナー像を現像する現像部と、前記現像部による現像時に前記像担持体と前記現像ローラーとの間に流れる現像電流を検出する現像電流検出部と、これらを制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記制御部は、前記現像部により所定のトナー像を前記像担持体上に現像することで強制的にトナーを前記現像部から排出する強制トナー排出制御を実行し、当該強制トナー排出制御におけるトナー排出量を、前記
現像電流検出部で強制トナー排出制御中に検出された電流値の予め定めた閾値を超えたパルスの頻度に基づいて制御す
る画像形成装置。
【請求項3】
像担持体と、前記像担持体上に静電潜像を描画する露光装置と、前記像担持体に対向する現像ローラーにより前記像担持体上に形成された静電潜像に現像剤を供給してトナー像を現像する現像部と、前記現像部による現像時に前記像担持体と前記現像ローラーとの間に流れる現像電流を検出する現像電流検出部と、これらを制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記制御部は、前記現像部により所定のトナー像を前記像担持体上に現像することで強制的にトナーを前記現像部から排出する強制トナー排出制御を実行し、当該強制トナー排出制御におけるトナー排出量を、前記
現像電流検出部で強制トナー排出制御中に検出された電流値の予め定めたリップルの大きさに基づいて制御す
る画像形成装置。
【請求項4】
前記現像部にトナーを補給するトナー補給部を備え、
前記制御部は、前記強制トナー排出制御により排出したトナー量を、前記トナー補給部により前記現像部に補うトナー補給を制御する請求項1から請求項
3のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真方式の画像形成装置は、帯電した感光体上を画像情報に応じて露光して静電潜像を描画し、当該静電潜像に現像部からトナーを供給して感光体上にトナー像を形成し、当該トナー像を記録媒体に転写、定着させる画像形成プロセスを実行する。
このような電子写真方式の画像形成装置において、低カバレッジの画像を大量に印刷した後は現像部中のトナー表面の外添剤が埋没したり遊離したりして想定している帯電性能が得られない劣化トナーが増加し、かぶりやトナー飛散、ハーフトーン画像の荒れ等の不具合が発生してしまうことがある。
また、トナー補給装置や現像部の中でストレスを受けたトナーが凝集して劣化トナーとなり、トナーこぼれやハーフトーン画像に斑点等の不具合が発生してしまうことがある。
劣化トナーを正常なトナーに戻すことは困難なため、劣化トナーが増えていることを装置が検知したり、オペレーターが不具合に気付いたりした時に、劣化トナーを含む全面ベタのトナー像を作成して現像部から感光体へ劣化トナーを排出し、その後フレッシュトナーを補給して現像部内のトナーを入れ替えるトナーリフレッシュ制御が行われている。
【0003】
このようなトナーリフレッシュ制御の全面ベタは、本来は入れ替えるべき劣化トナーが全て排出される面積分で実施されるべきである。
しかしながら劣化トナーの残量や排出量を検出することは難しいため、一般的には作成する全面ベタの面積を予め決めておいて、トナーリフレッシュ制御の実行後に劣化トナーが残っているとオペレーターが判断した時には再度トナーリフレッシュ制御を実施して、劣化トナーがなくなったと判断されるまで繰り返し行っている。
従って改善までの効率が悪い場合があり、また制御をオペレーターなしで自動化することができない。作成する全面ベタの面積をより大きくして現像部から十分に劣化トナーを排出すれば対応できることもあるが、無駄な排出動作を実施している場合や、トナー濃度が限界まで低下しているにも関わらず排出動作を続けている場合等があり採用されない。
【0004】
特許文献1に記載の技術では、現像電流とIDCセンサーを用いて機内の現像剤の帯電量を測定し、その結果から帯電電位・露光電位・現像バイアス・トナー補給量・転写バイアスの少なくとも一つを調整して、画像濃度安定・地肌汚れやトナー飛散やキャリアー付着の抑止・高転写率の維持を、環境変動や耐久に亘って実施する。特にトナー補給量を調整しても帯電量が復帰しない時はかぶりマージン電圧を下げて劣化トナーを感光体上に排出し、フレッシュトナーを補給する。
特許文献2に記載の技術では、電位センサーとIDCセンサーを用いて機内の現像剤の帯電量を測定し、その結果からトナーの強制排出量(排出画像のカバレッジ)を決めて感光体上にトナーを排出し、TCRセンサーからの出力を基にトナーを補充する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-189790号公報
【文献】特開2006-243114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら以上の従来技術にあっても、劣化トナーの強制排出制御中にトナーの残量や排出量を検出するがことないため、トナーの排出量を精度よく制御することができなかった。
【0007】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、画像形成装置の現像部からの劣化トナーの強制排出時におけるトナーの排出量を精度よく制御することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、像担持体と、前記像担持体上に静電潜像を描画する露光装置と、前記像担持体に対向する現像ローラーにより前記像担持体上に形成された静電潜像に現像剤を供給してトナー像を現像する現像部と、前記現像部による現像時に前記像担持体と前記現像ローラーとの間に流れる現像電流を検出する現像電流検出部と、これらを制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、前記制御部は、前記現像部により所定のトナー像を前記像担持体上に現像することで強制的にトナーを前記現像部から排出する強制トナー排出制御を実行し、当該強制トナー排出制御におけるトナー排出量を、前記現像電流検出部で強制トナー排出制御中に検出された電流値の変化量に基づいて制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置の現像部からの劣化トナーの強制排出時におけるトナーの排出量を精度よく制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】画像形成装置の機能的構成を示したブロック図である。
【
図4】本発明例1における全面ベタの現像の経過時間に対する現像電流検出部が検出する現像電流値の変化を示すグラフである。
【
図5】本発明例2における全面ベタの現像の経過時間に対する現像電流検出部が検出する現像電流値の変化を示すグラフである。
【
図6】本発明例3における全面ベタの現像の経過時間に対する現像電流検出部が検出する現像電流値の変化を示すグラフである。
【
図7】本発明例4における全面ベタの現像の経過時間に対する現像電流検出部が検出する現像電流値の変化を示すグラフである。
【
図8】本発明例5における全面ベタの現像の経過時間に対する現像電流検出部が検出する現像電流値の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0012】
[画像形成装置の構成]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の主要な機能的構成を示すブロック図である。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
【0013】
画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0014】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部
30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、記憶部70、通信部80及び制御部100を備えている。
【0015】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して
図2に示す画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。
【0016】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0017】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み
取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0018】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0019】
画像処理部30は、入力されたジョブの画像データ(入力画像データ)に対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0020】
画像形成部40は、画像処理済みの入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0021】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0022】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像部412、感光体ドラム413(像担持体)、帯電装置414、ドラムクリーニング装置415、等を備える。
【0023】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に
、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
【0024】
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度(例えば、665mm/s)で回転させる。
【0025】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0026】
現像部412は、トナーとキャリアーとを含む二成分現像剤を用いる二成分現像方式の現像部であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0027】
以下、
図3を参照し、現像部412の構成について詳細に説明する。
現像部412は、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることによりトナー像を形成するための装置であり、
図3に示すように、第1現像ローラー412a、第2現像ローラー412b、回収ローラー412c1、撹拌部材412e、供給部材412f及びセンサー412gを備える。
【0028】
第1現像ローラー412a及び第2現像ローラー412bは、回転可能な現像スリーブと、現像スリーブの内部に配置された現像マグネットロールとを備える。第1現像ローラー412a及び第2現像ローラー412bは、感光体ドラム413に近接して配置され、感光体ドラム413に近接する現像領域へ現像剤を搬送する。具体的には、第1現像ローラー412a及び第2現像ローラー412bは、同じ回転方向に回転し、現像剤を上流側の第1現像ローラー412aから下流側の第2現像ローラー412bに受け渡して、それぞれのローラーの現像領域へ現像剤を搬送する。現像スリーブは、図中時計回りで回転する。現像マグネットロール内には、磁界を発生させる複数の磁極が配置されている。
【0029】
第2現像ローラー412bの近傍には、余剰な現像剤を回収する回収ローラー412c1が設けられている。回収ローラー412c1も、回転可能なスリーブと、当該スリーブの内部に配置されたマグネットロールとを備え、磁力により現像剤を担持する現像剤担持体である。
回収ローラー412c1によって回収されたトナーは、ガイド部材412c2を介して撹拌搬送部材412c3へと供給されると、撹拌搬送部材412c3によって搬送され、撹拌部材412e又は供給部材412fの収容室へと戻される。
【0030】
撹拌部材412eおよび供給部材412fは、螺旋形状のスクリュー部材である。撹拌部材412eは、回転することによりトナーとキャリアーとを混合撹拌し摩擦帯電する。供給部材412fは、回転することにより、撹拌部材412eから搬送され、摩擦帯電された現像剤を第1現像ローラー412aへ搬送する。センサー412gは、撹拌部材412eの近傍に配され、トナー濃度を検出する。センサー412gの検出結果に基づいて、トナー補給部(図示省略)から、消費されたトナーに対応した現像剤の補給がなされる。
【0031】
現像剤が第1現像ローラー412aまで導かれると、第1現像ローラー412aの現像マグネットロールが発生する磁界によって、現像スリーブの外周面上に磁気ブラシが発生して、現像剤の層が現像スリーブの外周面上に形成される。そして、現像スリーブは、図中時計回りに回転することにより、現像剤を磁界によって現像スリーブの外周面に担持しながら、感光体ドラム413に最も接近する現像領域まで搬送する。現像領域において、トナーは、第1現像ローラー412aの現像スリーブから感光体ドラム413の表面に形成された静電潜像へ静電的に移行する。一方で、第1現像ローラー412aの現像スリーブ上の現像剤の一部は、磁界の作用により第2現像ローラー412bに受け渡される。第2現像ローラー412bでは、第1現像ローラー412aと同様にして現像スリーブ上に現像剤の層が形成され、現像領域において現像剤が感光体ドラム413に移行する。
このようにして、現像部412は、感光体ドラム413にトナーを供給して静電潜像をトナーによって顕像化する。当該現像部412は、第1現像ローラー412a及び第2現像ローラー412bの2つのローラーを備えることで、現像領域を確保でき、良質な画像を形成することができる。
【0032】
なお、キャリアーとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリアーを使用することができ、バインダー型キャリアーやコート型キャリアーなどが使用できる。キャリアー粒径としてはこれに限定されるものではないが、15~100μmが好ましい。
トナーも特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができる。例えば、バインダー樹脂中に、着色剤や必要に応じて荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理させたものを使用することができる。トナー粒径は、特に限定されるものではないが、3~15μm程度が好ましい。
【0033】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0034】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422(転写部)、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、ベルトクリーニング装置426、及びセンサー427等を備える。
【0035】
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0036】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0037】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるローラー423B(以下「バックアップローラー423B」と称する)に対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙へトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0038】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0039】
その後、用紙が二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙に二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙の裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙に静電的に転写される。トナー像が転写された用紙は定着部60に向けて搬送される。
【0040】
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
【0041】
センサー427は、例えば、ローラー423A及びローラー423Bの間の中間転写ベルト421の表面に対向するよう設けられ、中間転写ベルト421上のトナーの付着量を検出する。センサー427としては、例えば、光学式の反射濃度センサーであって、画像濃度制御などに用いることもできる。
【0042】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙を定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙にトナー像を定着させる。
【0043】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙(規格用紙、特殊用紙)があらかじめ設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
【0044】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙は、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙の傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙の一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙は、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0045】
なお、用紙は、長尺紙やロール紙であってもよい。この場合、用紙は、画像形成装置1と接続された給紙装置(図示せず)に収容されており、給紙装置が保有する用紙は、当該給紙装置から用紙給紙口54を介して画像形成装置1へと供給され、搬送経路部53へと送り出される。
【0046】
記憶部70は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブ等により構成される。記憶部70には、画像形成装置1に係る各種設定情報を始めとする各種データが記憶されている。
【0047】
通信部80は、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信制御カードで構成され、LAN、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。
【0048】
[トナーリフレッシュ制御]
次に制御部100が実行するトナーリフレッシュ制御について説明する。
画像形成装置1には、上記構成に加え、現像部412による現像時に感光体ドラム413と現像ローラー412a,412bとの間に流れる現像電流を検出する現像電流検出部409(
図2)が設けられている。
制御部100は、現像部412により所定のトナー像を感光体ドラム413上に現像することで強制的にトナーを現像部412から排出する強制トナー排出制御を実行する。
この強制トナー排出制御中のトナー排出時に、現像部412からトナーが感光体ドラム413に移動することで発生する現像電流を現像電流検出部409が検出し、その値が制御部100に入力される。
制御部100は、当該強制トナー排出制御におけるトナー排出量を、現像電流検出部409で検出された電流値に基づいて制御する。本実施形態では、効率的な排出のため全面ベタ画像の現像を開始し、これを終了するタイミングによりトナー排出量を制御する。制御部100は、その終了タイミングを現像電流検出部409で検出された電流値に基づいて判断する。
例えば、全面ベタ画像の現像によるトナー排出の終了タイミングは、全面ベタ作成開始時の現像電流値からトナー濃度が低下して予め定めていた値まで現像電流値が低下した時でも良いし、全面ベタを作成させていってトナー濃度の低下により全面ベタの静電潜像の現像ポテンシャルを埋めきれず急激に現像電流値が変化した時でも良いし、更には現像部412中のトナーがほぼ排出されてキャリアー付着発生する際まででも良い。これら排出終了タイミングの設定条件によりその後のフレッシュトナー補給後のトナーの入れ替わり割合が変わり、また強制トナー排出制御にかかる時間が変わるので、装置に必要な性能等からトナー排出終了タイミングを設定する。
制御部100は、強制トナー排出制御により排出したトナー量を、トナー補給部により現像部412に補うトナー補給を制御する。強制トナー排出制御及びその後のトナー補給制御で1回のトナーリフレッシュ制御に相当する。
以下、画像形成装置1におけるトナーリフレッシュ制御を、実施例を挙げて説明する。
【0049】
〔実施例1〕
カバレッジ0.3%の印字率でA4換算50000pのランニングテストを行い、現像剤中のトナー表面の外添剤が遊離、または埋没して正常な帯電性にならない、つまり帯電性が下がって弱帯電や逆帯電となった劣化トナーが多量に含まれている状態とした。この状態で画像サンプルを採取したところ、テスト前は目視で滑らかだったハーフトーンでがさついた様な荒れが発生し、また背景部には明らかに目視できるかぶりも発生した。
【0050】
<比較例1>
劣化トナーを排出するため、全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を実施した。全面ベタの面積はA3サイズ5枚分とし、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照して現像部412にトナー補給を行った。
かかるトナーリフレッシュ制御後のハーフトーンの荒れは制御前よりは向上したがまだ許容レベルにはならず、またかぶりもまだ僅かに目視できたため、再度同様のトナーリフレッシュ制御(全面ベタA3サイズ5枚分作成後トナー補給)を行ったところハーフトーンの荒れとかぶりは許容できるレベルに復帰した。
【0051】
<本発明例1>
本発明例1では、制御部100は強制トナー排出制御におけるトナー排出量を、予め定めた値の電流値に基づいて制御する。
制御部100は、現像電流検出部409が検出する現像電流をモニターしながら全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を実施した。
図4は、本発明例1における全面ベタの現像の経過時間に対する現像電流検出部409が検出する現像電流値の変化を示すグラフである。
現像部412内で現像剤が循環する度にトナーを消費してトナー現像量は減っていく。
図4に示すグラフで連続したフラットな部分が1循環に相当しており、1循環ごとに電流値は低下していく。1循環ごとに電流値は低下していくがトナー濃度低下に伴い帯電量は漸増していくので現像電流の低下は緩やかである。
制御部100は、現像電流値が制御開始時の電流値I
0から10%下がった電流値I
1で全面ベタ作成を終了し、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った。電流値I
1は、予め実験で現像剤中の四分の一のトナー量が排出されることの判っている値である。
画像サンプルを採取したところ、ハーフトーンの荒れとかぶりは、オペレーターが関わって実施された比較例1と同等レベルであった。
【0052】
〔実施例2〕
実施例1と同様に低カバレッジのランニングテスト行って、劣化トナーが多量の現像剤状態とした。
【0053】
<比較例2>
劣化トナーを排出するため、全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を実施した。トナーリフレッシュ制御の1回に付き全面ベタの面積はA3サイズ5枚分とし、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った。
比較例1よりもハーフトーンの滑らかさとかぶりのレベルをテスト前により近いレベルまで復帰させることを目指しトナーリフレッシュ制御を繰り返し行ったところ、トナーリフレッシュ制御を6回実施したところでハーフトーンの滑らかさとかぶりはテスト前に近い状態となった。なお、トナーリフレッシュ制御中のトナー排出を1度に行うためA3サイズ30枚分にして、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った場合も同じ結果となった。ただ強制トナー排出制御中にトナー濃度が下がり過ぎてキャリアー付着が発生していたことに気付かず、テスト前に比較して現像剤が減少してしまった。
なお、キャリアー付着とは、感光体ドラム413にキャリアーが付着して現像部412内のキャリアーが減少することである。そのため、トナー濃度を回復するようにトナーを補給すると、キャリアーが減少している分現像剤が減少する。
【0054】
<本発明例2>
本発明例1でも本発明例1と同様に、制御部100は強制トナー排出制御におけるトナー排出量を、予め定めた値の電流値に基づいて制御するが、本発明例1に対して値を変更した。
制御部100は、現像電流検出部409が検出する現像電流をモニターしながら全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を実施した。
図5は、本発明例2における全面ベタの現像の経過時間に対する現像電流検出部409が検出する現像電流値の変化を示すグラフである。
制御部100は、現像電流値が制御開始時の電流値I
0から75%下がった電流値I
2で全面ベタ作成を終了し、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った。電流値I
2は、予め実験で現像剤中の五分の四のトナー量が排出されることの判っている値である。
トナーリフレッシュ制御後のハーフトーンの荒れとかぶりは、オペレーターが関わって実施された比較例2と同等レベルであり、テスト前に比較して現像剤量の変化はなかった。
【0055】
〔実施例3〕
実施例1及び2と同様に低カバレッジのランニングテスト行って、劣化トナーが多量の現像剤状態とした。
【0056】
<比較例3>
ここでは、新たな比較例を実施せず、比較例3を欠番とする。
【0057】
<本発明例3>
本発明例3では、制御部100は強制トナー排出制御におけるトナー排出量を、電流値の変化量に基づいて制御する。ここでは、電流値の変化量は、現像剤の1循環あたりの低下量とする。
制御部100は、現像電流検出部409が検出する現像電流をモニターしながら全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を実施した。
図6は、本発明例3における全面ベタの現像の経過時間に対する現像電流検出部409が検出する現像電流値の変化を示すグラフである。
ここでも現像部412内で現像剤が循環する度にトナーを消費してトナー現像量は減っていく。
図6に示すグラフで連続したフラットな部分が1循環に相当しており、1循環ごとに電流値は低下していく。1循環ごとに電流値は低下していくがトナー濃度低下に伴い帯電量は漸増していくので現像電流の低下は緩やかである。ただあるところで現像電流が、前区間に対する低下量d(n)が、前回の現像部412内での現像剤が循環していた時の区間平均値の低下量d(n-1)に対し2倍以上低下し、全面ベタの静電潜像の現像ポテンシャルを埋められない程のトナー濃度低下まで現像剤が排出されたことを検知したところで制御部100は全面ベタ作成を終了し、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った。
トナーリフレッシュ制御後のハーフトーンの荒れとかぶりは僅かに残ったがほとんどのユーザーで満足できるレベルであり、テスト前に比較して現像剤量は変化がなかった。本発明例2よりトナーリフレッシュ制御後の品質はやや下がったが、短時間で制御が終わり、またトナー濃度低下によるキャリアー付着で現像剤が減少するリスクを低下できた。
【0058】
〔実施例4〕
実施例1~3と同様に低カバレッジのランニングテスト行って、劣化トナーが多量の現像剤状態とした。
【0059】
<比較例4>
劣化トナーを排出するため、全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を実施した。トナーリフレッシュ制御1回に付き全面ベタの面積はA3サイズ5枚分とし、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った。
ハーフトーンの滑らかさとかぶりのレベルをテスト前と同等まで復帰させることを目指しトナーリフレッシュ制御を繰り返し行ったところ、8回実施したところでハーフトーンの滑らかさとかぶりはテスト前と同等になった。なお、トナーリフレッシュ制御中のトナー排出を1度に行うためA3サイズ40枚分にして、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った場合も同じ結果となった。ただ強制トナー排出制御中にトナー濃度が下がり過ぎてキャリアー付着が発生していたことに気付かず、テスト前に比較して大幅に現像剤が減少してしまった。
【0060】
<本発明例4>
本発明例4では、制御部100は強制トナー排出制御におけるトナー排出量を、現像電流検出部409が検出する電流値の予め定めた閾値TH1を超えたパルスの頻度に基づいて制御する。
制御部100は、現像電流検出部409が検出する現像電流をモニターしながら全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を実施した。
図7は、本発明例4における全面ベタの現像の経過時間に対する現像電流検出部409が検出する現像電流値の変化を示すグラフである。
本発明例4では、本発明例3の様に現像電流が大きく低下した後も制御を継続していったが、あるところで現像電流にリップルが連続して発生し、トナー濃度が下がって抵抗も下がった現像剤中のキャリアーに電荷注入が起こり、粒径が大きいので電荷量も多いキャリアーが感光体ドラム413に連続して付着し始めたことを検知した。
誤検知防止のため現像剤が現像部412の中を2周循環する時間Taを基準時間として設定し、またリップルの大きさが予め定めた値を超えた時にパルスとして判断するパルス閾値TH1を設定し、基準時間Ta内にパルスを5回検知したところで制御部100は全面ベタ作成を終了し、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った。
トナーリフレッシュ制御後のハーフトーンの荒れとかぶりはオペレーターが関わって実施された比較例4と同等であり、テスト前に比較して現像剤量はほとんど変化がなかった。上記パルス頻度の検出によりキャリアー付着の開始早期に全面ベタ作成を終了できたことによる。
【0061】
〔実施例5〕
実施例1~4と同様に低カバレッジのランニングテスト行って、劣化トナーが多量の現像剤状態とした。
【0062】
<比較例5>
ここでは、新たな比較例を実施せず、比較例5を欠番とする。
【0063】
<本発明例5>
本発明例5では、制御部100は強制トナー排出制御におけるトナー排出量を、現像電流検出部409が検出する電流値の予め定めたリップルの大きさに基づいて制御する。
制御部100は、現像電流検出部409が検出する現像電流をモニターしながら全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を実施した。
図8は、本発明例5における全面ベタの現像の経過時間に対する現像電流検出部409が検出する現像電流値の変化を示すグラフである。
本発明例5ででも、本発明例4と同様に現像電流検出部409が検出する現像電流にリップルが連続して発生し、キャリアーが感光体ドラム413に連続して付着し始めたことを検知した。
誤検知防止のためキャリアーが単発等の少量が付着した時のリップルより大きい値のリップル許容電流値TH2を設定し、リップルが許容値TH2をオーバーしたことを検知したところで制御部100は全面ベタ作成を終了し、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った。
トナーリフレッシュ制御後のハーフトーンの荒れとかぶりは比較例4と同等であり、テスト前に比較して現像剤量はほとんど変化がなかった。上記リップルの許容値オーバーの検出によりキャリアー付着の開始早期に全面ベタ作成を終了できたことによる。
【0064】
〔実施例6〕
トナー製造中の分級工程を敢えて通常通り行わずに凝集物が多く残ったトナーボトルを画像形成装置1にセットして現像部412に導入し、カバレッジ10%の印字率でA4換算5000pのランニングテストを行い、現像剤中に劣化トナーとしてトナーの凝集物が多量に含まれている状態とした。ここでトナーボトルを通常の工程で作成されたものに交換した。この状態で画像サンプルを採取したところ、ハーフトーン画像にトナーの凝集物が斑点として無数に発生し、またA3サイズの紙上に5枚に1枚の割合で明らかに目立つトナーこぼれが発生した。
【0065】
<比較例6>
劣化トナーを排出するため、全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を実施した。トナーリフレッシュ制御1回に付き全面ベタの面積はA3サイズ5枚分とし、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った。
トナーリフレッシュ制御後のハーフトーンの斑点は、トナーリフレッシュ制御前の半分程度にはなったがまだ許容できず、またトナーこぼれもまだ20枚に1枚の割合だったため、再度同様のトナーリフレッシュ制御を行ったところハーフトーンの斑点は、トナーリフレッシュ制御前の10%程度となり、トナーこぼれも50枚に1枚の割合に復帰した。
【0066】
<本発明例6>
制御部100は、現像電流検出部409が検出する現像電流をモニターしながら全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を本発明例1と同様の制御内容で実施した。制御後のハーフトーンの斑点とトナーこぼれは、オペレーターが関わって実施された比較例6と同等レベルであった。
【0067】
〔実施例7〕
実施例6と同様に凝集物入りのトナーボトルによるランニングテスト行って、劣化トナーが多量の現像剤状態とした。
【0068】
<比較例7>
劣化トナーを排出するため、全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を実施した。トナーリフレッシュ制御1回に付き全面ベタの面積はA3サイズ5枚分とし、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った。
比較例6よりもハーフトーンの斑点とトナーこぼれのレベルをテスト前(斑点なし、トナーこぼれ500枚に1枚)により近いレベルまで復帰させることを目指しトナーリフレッシュ制御を繰り返し行ったところ、6回実施したところでハーフトーンの斑点はA3サイズ中に1個、トナーこぼれは400枚に1枚とテスト前に近い状態となった。なお、トナーリフレッシュ制御中のトナー排出を1度に行うためA3サイズ30枚分にして、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った場合も同じ結果となった。ただ強制トナー排出制御中にトナー濃度が下がり過ぎてキャリアー付着が発生していたことに気付かず、現像剤が減少してしまった。
【0069】
<本発明例7>
制御部100は、現像電流検出部409が検出する現像電流をモニターしながら全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を本発明例2と同様の制御内容で実施した。トナーリフレッシュ制御後のハーフトーンの斑点とトナーこぼれは、オペレーターが関わって実施された比較例7と同等レベルであり、テスト前に比較して現像剤量の変化はなかった。
【0070】
〔実施例8〕
実施例6及び7と同様に凝集物入りのトナーボトルによるランニングテスト行って、劣化トナーが多量の現像剤状態とした。
【0071】
<比較例8>
ここでは、新たな比較例を実施せず、比較例8を欠番とする。
【0072】
<本発明例8>
制御部100は、現像電流検出部409が検出する現像電流をモニターしながら全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を本発明例3と同様の制御内容で実施した。トナーリフレッシュ制御後のハーフトーンの斑点はA3サイズ中に3個、トナーこぼれは300枚に1枚に向上し、テスト前に比較して現像剤量の変化はなかった。
本発明例7より制御後の品質はやや下がったが、短時間で制御が終わり、またトナー濃度低下によるキャリアー付着で現像剤が減少するリスクを低下できた。
【0073】
〔実施例9〕
実施例6~8と同様に凝集物入りのトナーボトルによるランニングテスト行って、劣化トナーが多量の現像剤状態とした。
【0074】
<比較例9>
劣化トナーを排出するため、全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を実施した。トナーリフレッシュ制御1回に付き全面ベタの面積はA3サイズ5枚分とし、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った。
比較例7よりもハーフトーンの斑点とトナーこぼれのレベルをテスト前と同等レベルまで復帰させることを目指しトナーリフレッシュ制御を繰り返し行ったところ、8回実施したところでハーフトーンの斑点はなし、トナーこぼれは500枚に1枚とテスト前と同等になった。なお、トナーリフレッシュ制御中のトナー排出を1度に行うためA3サイズ40枚分にして、その後トナー濃度制御センサー412gの出力値を参照してトナー補給を行った場合も同じ結果となった。ただ強制トナー排出制御中にトナー濃度が下がり過ぎてキャリアー付着が発生していたことに気付かず、現像剤が大幅に減少してしまった。
【0075】
<本発明例9>
制御部100は、現像電流検出部409が検出する現像電流をモニターしながら全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を本発明例4と同様の制御内容で実施した。トナーリフレッシュ制御後のハーフトーンの斑点とトナーこぼれは、オペレーターが関わって実施された比較例9と同等であり、テスト前に比較して現像剤量の変化はほとんどなかった。
【0076】
〔実施例10〕
実施例6~9と同様に凝集物入りのトナーボトルによるランニングテスト行って、劣化トナーが多量の現像剤状態とした。
【0077】
<比較例10>
ここでは、新たな比較例を実施せず、比較例10を欠番とする。
【0078】
<本発明例10>
制御部100は、現像電流検出部409が検出する現像電流をモニターしながら全面ベタを作成するトナーリフレッシュ制御を本発明例5と同様の制御内容で実施した。トナーリフレッシュ制御後のハーフトーンの斑点とトナーこぼれは比較例9と同等であり、テスト前に比較して現像剤量の変化はほとんどなかった。
【0079】
[まとめ]
以上説明したように本実施形態によれば、トナーの排出の進度に応じた信号である現像電流を検出し、この現像電流に基づきトナー排出量を制御することで、画像形成装置の現像部からの劣化トナーの強制排出時におけるトナーの排出量を精度よく制御することができる。
したがって、劣化トナーの排出不足を抑えて効果的なトナーリフレッシュ制御が可能である。
また、劣化トナーが排出された後の過剰な排出動作を抑えて、効率的なトナーリフレッシュ制御が可能である。
また、オペレーターの判断に依ることなく、制御部が劣化トナーを排出するためのトナー排出の動作量を判断することができ、トナーリフレッシュ制御を自動化できる。
そのため、オペレーターの判断を待つ時間を挟みつつトナーリフレッシュ制御を繰り返す必要がなく、必要最低限の時間で自動的にトナーリフレッシュ制御を実行する画像形成装置を構成できる。
【0080】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣
旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。上記各実施例で設定した全面ベタ作成の終了タイミングの条件は、上記の値や変化量や検知回数等に限らず、装置に必要な性能から適時設定すれば良い。
また、上記実施形態では全面ベタ画像の現像を開始しこれを終了するタイミングによりトナー排出量を制御したが、現像時間を一定期間に固定し、現像するトーンの変化によりトナー排出量を制御してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置
10 画像読取部
11 自動原稿給紙装置
12 原稿画像走査装置
20 操作表示部
21 表示部
22 操作部
30 画像処理部
40 画像形成部
41 画像形成ユニット
42 中間転写ユニット
50 用紙搬送部
51 給紙部
52 排紙部
53 搬送経路部
54 用紙給紙口
60 定着部
70 記憶部
80 通信部
100 制御部
409 現像電流検出部
411 露光装置
412 現像部
412a,b 現像ローラー
412c1 回収ローラー
412c2 ガイド部材
412c3 撹拌搬送部材
412e 撹拌部材
412f 供給部材
413 感光体ドラム
414 帯電装置
415 ドラムクリーニング装置
421 中間転写ベルト
422 一次転写ローラー
D 原稿