(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】性能情報可視化装置、性能情報可視化方法及び性能情報可視化プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/32 20060101AFI20240709BHJP
G06F 11/30 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G06F11/32 180
G06F11/30 151
G06F11/30 140A
(21)【出願番号】P 2020176461
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和宏
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/103422(WO,A1)
【文献】特開2001-313639(JP,A)
【文献】特開2009-169863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/30-11/32
H04L 41/085
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノードの接続関係を示す情報とノードが情報処理システムに追加された世代及びノードが前記情報処理システムから削除された世代を示す情報とをノード情報として記憶するノード情報記憶部と、
イベントが発生した時刻に対応付けられた特定世代の構成情報に前記イベントが発生したイベント発生ノードがなく該イベント発生ノードを追加する際に、前記ノード情報に基づいて、該イベント発生ノードの接続関係を含めてノード及びノード間接続を追加することで構成情報を合成する構成情報合成部と
を有することを特徴とする性能情報可視化装置。
【請求項2】
前記情報処理システムの構成情報を取得して前記ノード情報を作成して前記ノード情報記憶部に格納するノード情報作成部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の性能情報可視化装置。
【請求項3】
前記構成情報合成部は、追加したノードの接続先が全て構成情報に含まれるまでノード及びノード間接続を追加することで構成情報を合成することを特徴とする請求項1又は2に記載の性能情報可視化装置。
【請求項4】
前記構成情報合成部は、前記接続関係に基づいて前記イベント発生ノードに接続する接続ノードがそれぞれ前記特定世代の構成情報に含まれているか否かを判定し、前記特定世代の構成情報に含まれていない接続ノードについては、該接続ノードを前記イベント発生ノードに置き換えることで新たな接続ノードを探索する処理を新たな接続ノードが前記特定世代の構成情報に含まれるまで繰り返すことを特徴とする請求項3に記載の性能情報可視化装置。
【請求項5】
前記ノード情報作成部は、隣接する2つの世代間の差分に含まれるノードを抽出して前記ノード情報記憶部に格納する処理を全ての隣接する2つの世代について行うことを特徴とする請求項2に記載の性能情報可視化装置。
【請求項6】
ノードの接続関係を示す情報とノードが情報処理システムに追加された世代及びノードが前記情報処理システムから削除された世代を示す情報とをノード情報としてノード情報記憶部に記憶し、
イベントが発生した時刻に対応付けられた特定世代の構成情報に前記イベントが発生したイベント発生ノードがなく該イベント発生ノードを追加する際に、前記ノード情報に基づいて、該イベント発生ノードの接続関係を含めてノード及びノード間接続を追加することで構成情報を合成する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする性能情報可視化方法。
【請求項7】
ノードの接続関係を示す情報とノードが情報処理システムに追加された世代及びノードが前記情報処理システムから削除された世代を示す情報とをノード情報としてノード情報記憶部に記憶し、
イベントが発生した時刻に対応付けられた特定世代の構成情報に前記イベントが発生したイベント発生ノードがなく該イベント発生ノードを追加する際に、前記ノード情報に基づいて、該イベント発生ノードの接続関係を含めてノード及びノード間接続を追加することで構成情報を合成する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする性能情報可視化プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、性能情報可視化装置、性能情報可視化方法及び性能情報可視化プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客システムが動作するクラウド環境において、障害調査時は構成情報と性能情報を合わせて表示することが有用である。ここで、構成情報とは、クラウド環境の構成を示す情報であり、クラウド環境に含まれるノードの接続関係を示す情報である。ノードには、例えば、サービス、仮想リソース及び物理リソースが含まれる。仮想リソースには、例えば、仮想マシン(Virtual Machine:VM)、仮想ボリューム、仮想ストレージ、仮想ネットワーク機器が含まれる。物理リソースには、例えば、物理マシン、物理ボリューム、物理ストレージ、物理ネットワーク機器が含まれる。クラウド環境に含まれる全てのノード、又は、クラウド環境に含まれるノードのうち顧客システムが使用するノードだけが構成情報として表示される。
【0003】
接続関係には、例えば、サービスとVM(仮想マシン)又はコンテナとの配備関係、VM又はコンテナと物理マシンとの配備関係、仮想ボリュームと物理ボリュームとの配備関係が含まれる。また、接続関係には、例えば、VM又はコンテナと仮想ボリュームとの使用関係、物理マシンと物理ボリュームとの使用関係、物理マシンと物理ネットワーク機器との使用関係、仮想マシンと仮想ネットワーク機器の使用関係が含まれる。
【0004】
性能情報は、ノードの性能を示す情報である。性能情報には、例えば、仮想マシン、物理マシン、仮想ボリューム及び物理ボリュームの使用率、仮想ボリューム及び物理ボリュームのデータ転送速度、仮想ネットワーク機器及び物理ネットワーク機器のデータ転送速度が含まれる。
【0005】
図8は、構成情報の表示例を示す図である。
図8において、五角形はサービスを表し、横長長方形は仮想マシン又はコンテナを表し、縦長長方形は物理マシンを表し、大きい方の円柱は仮想ボリュームを表し、小さい方の円柱は物理ボリュームを表す。線は接続関係を示す。仮想リソースは仮想基盤を構築し、物理リソースは物理基盤を構築する。性能情報は、例えばノード周辺に表示される。
【0006】
なお、構成情報を管理する従来技術として、管理システムが、複数の構成情報エントリと複数の変更情報エントリとを保持する技術がある。複数の構成情報エントリの各々は、計算機システムの構成変更を表す情報である。複数の構成情報エントリの各々は、計算機システムから定期的に収集された情報に含まれている情報と、計算機システムから第1及び第2の収集においてそれぞれ収集された第1及び第2の情報に基づいて特定された情報とのうちの少なくとも一部を含む。複数の変更情報エントリの各々は、計算機システムの構成変更に関して手動で入力された情報を含み、計算機システムの構成変更を表す情報である。管理システムは、複数の構成情報エントリのうちの少なくとも1つに複数の変更情報エントリのうちの少なくとも1つを対応付けて管理する。複数の構成情報エントリは、それぞれ、定期的に収集された情報に基づく情報、すなわち、機械的に収集された情報から得られた情報であり、故に、収集開始時刻での構成と次の収集開始時刻での構成との差分を全て構成変更として特定できるという網羅性がある。一方、複数の変更情報エントリは、それぞれ、手動で入力された情報を含んだ情報であり、故に、個々の構成変更に関してより詳細な情報が得られる。複数の構成情報エントリのうちの少なくとも1つに、複数の変更情報エントリのうちの少なくとも1つが対応付けられる。このため、機械的に得られた情報が表す構成変更についての詳細をユーザ(例えば管理者)が知ることができる。
【0007】
また、従来技術として、ノードが持っている構成情報が運用中に変更されてもユーザ条件にあったネットワーク監視及び運用ができ、新たな構成情報に切り替えた場合でもネットワークの監視が継続できるネットワーク監視装置がある。このネットワーク監視装置は、さらには新しい構成情報に基づいて切り替えを行った後、ネットワーク内に不当な構成情報で運用しているノードを検出した場合は、自動修復する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2017/154063号
【文献】特開平9-289508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図8に示した構成情報に性能情報やイベント情報を表示する場合、対応するノードが構成情報にないために、性能情報やイベント情報を表示することができないという問題がある。ここで、イベントとは、例えば、リソースの故障、リソースへのアクセス集中、リソースの待ち時間などである。リソースの故障は、死活監視により検出される。また、イベントは、性能情報に基づいて特定される場合もある。例えば、仮想マシンへのアクセス集中は、仮想マシンの使用率が所定の閾値以上になると特定される。
【0010】
図9は、構成情報と性能情報の取得タイミングを示す図である。
図9において、構成情報は時刻T、時刻(T+1)などに取得される。ここでは、時刻Tにおいて取得された構成情報を世代Tの構成情報と呼ぶ。構成情報は、例えば1時間ごと、1日ごとに取得される。構成の変化よりも性能の変化の方が頻繁であるため、性能情報の取得周期は短い。このため、
図9に示すように、時刻t1においてノードが追加され、時刻t2において、追加されたノードにイベントが発生すると、世代Tの構成情報には追加されたノードが含まれず、イベントの表示ができない。ここで、T<t1<t2<(T+1)である。
【0011】
一方、世代(T+1)の構成情報を用いる場合には、追加されたノードについては表示可能であるが、削除されたノードについては表示ができない。
図10は、世代Tの構成情報を用いる場合と世代(T+1)の情報を用いる場合とでそれぞれ表示されない例を示す図である。
図10では、時刻Tと時刻(T+1)の間に、仮想ボリューム「vol03」と仮想マシン「VM03」が追加され、仮想ボリューム「vol02」と仮想マシン「VM02」が削除される。
図10に示すように、時刻Tの構成情報を用いる場合には、仮想ボリューム「vol03」のイベントを表示することができない。一方、時刻(T+1)の構成情報を用いる場合には、仮想ボリューム「vol02」のイベントを表示することができない。
【0012】
なお、イベントの対象となる対象ノードを複数の世代の構成情報の中から探索することも考えられるが、対象ノードと他のノードの接続関係を表示するためには、構成情報においてノードの接続関係を辿る必要があり、探索に時間がかかる。
【0013】
本発明は、1つの側面では、対応するノードが構成情報にない場合にも性能情報やイベント情報を表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1つの態様では、性能情報可視化装置は、ノード情報記憶部と構成情報合成部とを有する。前記ノード情報記憶部は、ノードの接続関係を示す情報とノードが情報処理システムに追加された世代及びノードが前記情報処理システムから削除された世代を示す情報とをノード情報として記憶する。前記成情報合成部は、前記イベントが発生した時刻に対応付けられた特定世代の構成情報に前記イベントが発生したイベント発生ノードがなく該イベント発生ノードを追加する際に、構成情報を合成する。前記成情報合成部は、前記ノード情報に基づいて、前記イベント発生ノードの接続関係を含めてノード及びノード間接続を追加することで構成情報を合成する。
【発明の効果】
【0015】
1つの側面では、本発明は、対応するノードが構成情報にない場合にも性能情報やイベント情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施例に係る性能情報可視化装置による構成情報の合成を説明するための図である。
【
図2】
図2は、実施例に係る性能情報可視化システムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、ノード情報記憶部の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、ノード情報作成部によるノード情報作成処理のフローを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、構成情報合成部による構成情報合成処理のフローを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、構成情報合成部による探索処理のフローを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施例に係る性能情報可視化プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【
図9】
図9は、構成情報と性能情報の取得タイミングを示す図である。
【
図10】
図10は、世代Tの構成情報を用いる場合と世代(T+1)の情報を用いる場合とでそれぞれ表示されない例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本願の開示する性能情報可視化装置、性能情報可視化方法及び性能情報可視化プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。
【実施例】
【0018】
まず、実施例に係る性能情報可視化装置による構成情報の合成について説明する。ここで、構成情報の合成とは、ある世代の構成情報に存在しないノードを追加する場合、追加するノードだけでなく、追加するノードの接続関係を含めて新たな構成情報を作成することである。
【0019】
図1は、実施例に係る性能情報可視化装置による構成情報の合成を説明するための図である。
図1の構成情報は、「テナントA」で表されるテナントが使用するノードについての構成情報を示す。構成情報には、「VM01」、「VM02」で表されるVMと、「vol01」、「vol02」で表される仮想ボリュームと、「St001」、「St002」で表される物理ストレージが含まれる。また、構成情報には、「psw001」、「psw002」で表される物理スイッチと、「Server001」、「Server002」で表される物理マシンが含まれる。
【0020】
この構成情報に仮想ボリューム「vol03」を追加する場合、実施例に係る性能情報可視化装置は、「vol03」が接続する仮想マシン「VM03」及び物理ストレージ「St003」も追加する。また、実施例に係る性能情報可視化装置は、「VM03」と「vol03」の接続、「テナントA」と「VM03」の接続、「VM03」と「Server002」の接続、「vol03」と「St003」の接続を追加する。また、実施例に係る性能情報可視化装置は、「St003」と「psw001」の接続を追加する。実施例に係る性能情報可視化装置は、追加したノードの接続先が全て構成情報に含まれるまでノード及び接続を追加することで、構成情報を合成する。
【0021】
次に、実施例に係る性能情報可視化システムの構成について説明する。
図2は、実施例に係る性能情報可視化システムの構成を示す図である。
図2に示すように、実施例に係る性能情報可視化システム1は、クラウドシステム2と性能情報可視化装置3を有する。
【0022】
クラウドシステム2は、サービスや仮想リソースをテナントに提供する情報処理システムである。クラウドシステム2には、複数の仮想リソース及び複数の物理リソースが含まれる。
【0023】
性能情報可視化装置3は、クラウドシステム2の構成情報と、クラウドシステム2に含まれるノードの性能情報及びイベント情報とを表示装置に表示する。性能情報可視化装置3は、構成情報取得部31と、ノード情報作成部32と、構成情報DB(DataBase)33と、ノード情報記憶部34と、性能情報取得部35と、性能情報DB36と、イベント送信部37と、構成情報合成部38と、表示部39とを有する。
【0024】
構成情報取得部31は、クラウドシステム2の構成情報をクラウドシステム2から取得する。構成情報取得部31は、テナントを指定してテナントに関係する構成情報をクラウドシステム2から取得する。
【0025】
ノード情報作成部32は、構成情報取得部31が取得した構成情報を構成情報DB33に格納する。構成情報DB33は、世代ごとに構成情報を記憶する。ノード情報作成部32は、各世代の構成情報について、1つ前の世代の構成情報と比較して、差分のノードの情報をノード情報記憶部34に格納する。
【0026】
ノード情報記憶部34は、ノードの接続関係に関する情報、ノードが追加及び削除された世代を記憶する。
図3は、ノード情報記憶部34の一例を示す図である。
図3に示すように、ノード情報記憶部34は、ノード名と、入力ノード名と、出力ノード名と、追加世代と、削除世代とを対応付けて記憶する。
【0027】
ノード名は、ノードを識別する名前である。入力ノード名は、ノードを使用するノード、ノードに配備されるノードなどの名前である。出力ノード名は、ノードに使用されるノード、ノードを配備するノードなどの名前である。追加世代は、ノードが追加された世代である。削除世代は、ノードが削除された世代である。
【0028】
例えば、「vol3」は、「VM03」により使用され、「St003」に配備され、世代「T3」の構成情報で追加され、世代「T5」の構成情報で削除される。また、「VM03」は、「tenantA」により使用され、「vol3」を使用し、「Server002」に配備され、世代「T3」の構成情報で追加され、世代「T5」の構成情報で削除される。また、「St003」は、「vol3」を配備し、「psw001」を使用する。
【0029】
性能情報取得部35は、クラウドシステム2の性能情報をクラウドシステム2から取得し、性能情報DB36に格納する。性能情報取得部35は、構成情報取得部31が構成情報を取得する頻度より高い頻度で性能情報を取得する。性能情報DB36は、クラウドシステム2の性能情報を記憶する。
【0030】
イベント送信部37は、性能情報に基づいてイベントが発生したか否かを判定し、イベントが発生すると、構成情報合成部38と表示部39に発生したイベントの情報を通知する。また、イベント送信部37は、死活監視に基づいて、ノードに故障が発生すると、故障をイベントとして構成情報合成部38と表示部39に通知する。イベント送信部37は、イベントの発生時刻、イベントが発生したノードの名前、イベントの種類、イベントに関係する性能情報を含むイベント情報を構成情報合成部38と表示部39に通知する。
【0031】
構成情報合成部38は、イベントが発生した時刻に対応する世代の構成情報を構成情報DB33から取得する。また、構成情報合成部38は、イベントが発生したノード(以下、「イベント発生ノード」という)に基づいてノード情報記憶部34を検索してイベント発生ノードの追加世代と削除世代を取得する。そして、構成情報合成部38は、イベント発生時刻が追加世代以上であり、かつ、削除世代以下であるか否かを判定する。すなわち、構成情報合成部38は、取得した構成情報にイベント発生ノードが含まれるか否かを判定する。そして、イベント発生時刻が追加世代以上であり、かつ、削除世代未満である場合には、構成情報合成部38は、取得した構成情報を表示部39に渡す。
【0032】
一方、イベント発生時刻が追加世代以上でない、又は、削除世代以下でない場合には、構成情報合成部38は、取得した構成情報とノード情報記憶部34が記憶するノード情報に基づいて構成情報の合成を行う。すなわち、構成情報合成部38は、取得した構成情報にイベント発生ノードと、イベント発生ノードの接続関係を含んだ新たな構成情報を作成する。
【0033】
具体的には、構成情報合成部38は、イベント発生ノードに接続するノード(以下、「接続ノード」という)それぞれに基づいてノード情報記憶部34を検索して各接続ノードの追加世代と削除世代を取得する。そして、構成情報合成部38は、各接続ノードについて、イベント発生時刻が追加世代より大きく、かつ、削除世代より小さいか否かを判定する。すなわち、構成情報合成部38は、各接続ノードについて、取得した構成情報に含まれるか否かを判定する。そして、全ての接続ノードについて、イベント発生時刻が追加世代より大きく、かつ、削除世代より小さい場合には、構成情報合成部38は、イベント発生ノードとイベント発生ノードの接続を追加することで構成情報の合成を完了する。
【0034】
一方、イベント発生時刻が追加世代より大きくない、又は、削除世代より小さくない接続ノードについては、構成情報合成部38は、接続ノードをイベント発生ノードに置き換えることで新たな接続ノードを探索する探索処理を繰り返す。構成情報合成部38は、新たな接続ノードが、取得した構成情報に含まれるまで探索処理を繰り返す。
【0035】
構成情報合成部38は、構成情報の合成を完了すると、合成した構成情報を表示部39に渡す。
【0036】
表示部39は、構成情報合成部38から取得した構成情報を、イベント送信部37から通知されたイベントの情報とともに、表示装置に表示する。テナント管理者は、表示装置に表示された構成情報、イベント情報に基づいて障害調査などを行う。
【0037】
次に、性能情報可視化装置3による処理のフローについて
図4~
図6を用いて説明する。
図4は、ノード情報作成部32によるノード情報作成処理のフローを示すフローチャートである。なお、
図4に示す処理は、世代Tの構成情報を取得したタイミングで行われる。
【0038】
図4に示すように、ノード情報作成部32は、世代Tの構成情報を取得し、(ステップS1)、構成情報DB33から前世代(T-1)の構成情報を取得する(ステップS2)。そして、ノード情報作成部32は、世代(T-1)と世代Tの差分ノードそれぞれについて、以下のステップS3~ステップS9の処理を実行することでノード情報の作成及び更新を行う。
【0039】
すなわち、ノード情報作成部32は、差分ノードについてノード情報記憶部34を探索し(ステップS3)、差分ノードのエントリが見つかったか否かを判定する(ステップS4)。そして、差分ノードのエントリが見つからなかった場合には、ノード情報作成部32は、ノード情報記憶部34に新しいエントリを作成し(ステップS5)、差分ノードの接続関係に基づいて入力ノード名及び出力ノード名を設定する(ステップS6)。
【0040】
そして、ノード情報作成部32は、差分ノードは追加されたか否かを判定し(ステップS7)、追加されなかった場合には、削除世代にTを設定し(ステップS8)、追加された場合には、追加世代にTを設定する(ステップS9)。
【0041】
このように、ノード情報作成部32がノード情報を作成するので、構成情報合成部38は、ノード情報を用いて構成情報の合成を行うことができる。
【0042】
図5は、構成情報合成部38による構成情報合成処理のフローを示すフローチャートである。
図5に示すように、構成情報合成部38は、イベント情報を受信し、イベントの発生時刻tとイベント発生ノードの名前Nを取得する(ステップS11)。そして、構成情報合成部38は、構成情報DB33から、tがT以上(T+1)未満となる世代Tの構成情報を取得し(ステップS12)、Nでノード情報記憶部34を検索する(ステップS13)。
【0043】
そして、構成情報合成部38は、tがNの追加世代以上であり、かつ、tがNの削除世代未満であるか否かを判定し(ステップS14)、tがNの追加世代以上であり、かつ、tがNの削除世代未満である場合には、構成情報合成処理を正常終了する。一方、tがNの追加世代以上でない、又は、tがNの削除世代未満でない場合には、構成情報合成部38は、探索処理を行う(ステップS15)。探索処理では、構成情報合成部38は、Nの接続先が全て構成情報に含まれるまでNを接続先で置き換えながらノードを探索して構成情報の合成が完了したか否かを応答する。
【0044】
そして、構成情報合成部38は、探索処理が構成情報の合成完了を応答したか否かを判定し(ステップS16)、合成完了を応答した場合には、構成情報合成処理を正常終了し、合成完了を応答しなかった場合には、構成情報合成処理をエラー終了する。
【0045】
このように、構成情報合成部38は、構成情報の合成を行うことで、イベントが発生したノードを接続関係も含めて構成情報に追加することができる。
【0046】
図6は、構成情報合成部38による探索処理のフローを示すフローチャートである。
図6に示すように、構成情報合成部38は、Nでノード情報記憶部34を検索し(ステップS21)、Nの全ての入力ノード及び出力ノードについて、以下のステップS22~ステップS24の処理を行う。なお、ここでは、Nの入力ノード又は出力ノードをnとする。
【0047】
構成情報合成部38は、nでノード情報記憶部34を検索し(ステップS22)、tがnの追加世代以上、かつ、tがnの削除世代未満か否かを判定する(ステップS23)。そして、tがnの追加世代以上、かつ、tがnの削除世代未満の場合には、構成情報合成部38は、Nがnの入力ノード又は出力ノードに含まれるか否かを判定する(ステップS24)。そして、Nがnの入力ノード又は出力ノードに含まれる場合には、構成情報合成部38は、Nを構成情報に接続して合成を完了し(ステップS25)、合成完了を応答する。
【0048】
一方、Nがnの入力ノードにも出力ノードにも含まれない場合には、構成情報合成部38は、次のnを処理する。また、tがnの追加世代以上でない、又は、tがnの削除世代未満でない場合には、構成情報合成部38は、次のnを処理する。
【0049】
そして、Nの全ての入力ノード及び出力ノードについて、ステップS22~ステップS24の処理が終了すると、構成情報合成部38は、以下のステップS26~ステップS27の処理を行う。すなわち、構成情報合成部38は、nを指定して探索処理を実行し(ステップS26)、合成完了か否かを判定する(ステップS27)。そして、合成完了の場合には、構成情報合成部38は、合成完了を応答する。一方、合成完了でない場合には、構成情報合成部38は、次のnを処理する。そして、Nの全ての入力ノード及び出力ノードについて、ステップS26~ステップS27の処理が終了すると、構成情報合成部38は、未合成を応答する。
【0050】
このように、構成情報合成部38は、ノード情報記憶部34を用いて合成範囲を探索するので、構成情報の合成を行うことができる。
【0051】
上述してきたように、実施例では、ノード情報記憶部34が、ノードの接続関係に関する情報、ノードが追加及び削除された世代を記憶する。そして、構成情報合成部38が、イベントが発生した時刻に対応する世代の構成情報を構成情報DB33から取得し、取得した構成情報にイベント発生ノードが含まれているか否かをイベント情報及びノード情報記憶部34に基づいて判定する。そして、取得した構成情報にイベント発生ノードが含まれていない場合には、構成情報合成部38は、ノード情報記憶部34に基づいて、取得した構成情報にイベント発生ノードだけでなくイベント発生ノードの接続関係を含んだ新たな構成情報を作成する。したがって、性能情報可視化装置3は、対応するノードが構成情報にない場合にも性能情報やイベント情報を表示することができる。
【0052】
また、実施例では、ノード情報作成部32が、ノードの接続関係に関する情報、ノードが追加及び削除された世代をノード情報記憶部34に格納する。したがって、構成情報合成部38は、ノード情報記憶部34に基づいて、構成情報を合成することができる。
【0053】
また、実施例では、構成情報合成部38は、構成情報に追加したノードの接続先が全て構成情報に含まれるまでノード及びノード間の接続を追加することで構成情報を合成するので、表示部39は、イベント発生ノードと他のノードとの関係を表示することができる。
【0054】
また、実施例では、構成情報合成部38は、各接続ノードが構成情報に含まれているか否かを判定する。そして、構成情報合成部38は、構成情報に含まれていない接続ノードについては、接続ノードをイベント発生ノードに置き換えることで新たな接続ノードを探索する処理を新たな接続ノードが構成情報に含まれるまで繰り返す。したがって、構成情報合成部38は、構成情報に追加したノードの接続先が全て構成情報に含まれるまでノード及びノード間の接続を追加することができる。
【0055】
また、実施例では、各世代の構成情報について、1つ前の世代の構成情報と比較して、差分のノードの情報をノード情報記憶部34に格納する。したがって、構成情報合成部38は、ノード情報記憶部34に基づいて、構成情報を合成することができる。
【0056】
なお、実施例では、性能情報可視化装置3について説明したが、性能情報可視化装置3が有する構成をソフトウェアによって実現することで、同様の機能を有する性能情報可視化プログラムを得ることができる。そこで、性能情報可視化プログラムを実行するコンピュータについて説明する。
【0057】
図7は、実施例に係る性能情報可視化プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
図7に示すように、コンピュータ50は、メインメモリ51と、CPU(Central Processing Unit)52と、LAN(Local Area Network)インタフェース53と、HDD(Hard Disk Drive)54とを有する。また、コンピュータ50は、スーパーIO(Input Output)55と、DVI(Digital Visual Interface)56と、ODD(Optical Disk Drive)57とを有する。
【0058】
メインメモリ51は、プログラムやプログラムの実行途中結果等を記憶するメモリである。CPU52は、メインメモリ51からプログラムを読み出して実行する中央処理装置である。CPU52は、メモリコントローラを有するチップセットを含む。
【0059】
LANインタフェース53は、コンピュータ50をLAN経由で他のコンピュータに接続するためのインタフェースである。HDD54は、プログラムやデータを格納するディスク装置であり、スーパーIO55は、マウスやキーボード等の入力装置を接続するためのインタフェースである。DVI56は、液晶表示装置を接続するインタフェースであり、ODD57は、DVDの読み書きを行う装置である。
【0060】
LANインタフェース53は、PCIエクスプレス(PCIe)によりCPU52に接続され、HDD54及びODD57は、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)によりCPU52に接続される。スーパーIO55は、LPC(Low Pin Count)によりCPU52に接続される。
【0061】
そして、コンピュータ50において実行される性能情報可視化プログラムは、コンピュータ50により読み出し可能な記録媒体の一例であるDVDに記憶され、ODD57によってDVDから読み出されてコンピュータ50にインストールされる。あるいは、性能情報可視化プログラムは、LANインタフェース53を介して接続された他のコンピュータシステムのデータベース等に記憶され、これらのデータベースから読み出されてコンピュータ50にインストールされる。そして、インストールされた性能情報可視化プログラムは、HDD54に記憶され、メインメモリ51に読み出されてCPU52によって実行される。
【0062】
また、実施例では、クラウドシステム2の構成情報を表示する場合について説明したが、性能情報可視化装置3は、他の情報処理システムの構成情報を表示してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 性能情報可視化システム
2 クラウドシステム
3 性能情報可視化装置
31 構成情報取得部
32 ノード情報作成部
33 構成情報DB
34 ノード情報記憶部
35 性能情報取得部
36 性能情報DB
37 イベント送信部
38 構成情報合成部
39 表示部
50 コンピュータ
51 メインメモリ
52 CPU
53 LANインタフェース
54 HDD
55 スーパーIO
56 DVI
57 ODD