(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】媒体載置装置、及び記録システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/26 20060101AFI20240709BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B65H31/26
B41J11/70
(21)【出願番号】P 2020177402
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】伊東 瞬
(72)【発明者】
【氏名】並木 政樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 春菜
(72)【発明者】
【氏名】矢下 未桜
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-196741(JP,A)
【文献】特開平08-225198(JP,A)
【文献】特開平06-127789(JP,A)
【文献】特開2010-069664(JP,A)
【文献】特開2006-089201(JP,A)
【文献】特開2006-347679(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0071413(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
B41J 11/00-11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置の開口部から排出された第1媒体、前記処理装置の前記開口部から排出された第2媒体、前記処理装置の前記開口部へ供給される前記第2媒体を載置可能な媒体載置装置であって、
前記処理装置の前記開口部より低い位置で前記第1媒体を載置する載置部と、
前記載置部を覆うと共に、前記第2媒体を載置するカバー部材と、
前記カバー部材を第1位置と前記第1位置より低い第2位置との間で移動させる移動部と、を備え、
前記カバー部材は、
前記移動部により前記第1位置に移動したとき、前記カバー部材の前記載置部に対向する面である第1面が前記処理装置の前記開口部よりも高い位置となり、前記処理装置の前記開口部から排出された前記第1媒体を、前記第1面により案内して前記載置部に載置可能とし、
前記移動部により前記第2位置に移動したとき、前記第1面とは反対側の第2面が前記処理装置の前記開口部と同じ位置か、又は低い位置となり、前記処理装置の前記開口部から排出された前記第2媒体、前記処理装置の前記開口部へ供給される前記第2媒体を、前記第2面により載置可能とする媒体載置装置。
【請求項2】
前記移動部は、
前記カバー部材を回動可能に支持する支持部と、
前記支持部を中心に前記カバー部材を回動する回動部と、を有し、
前記カバー部材が前記回動部による回動動作により前記第1位置から前記第2位置に移動したとき、前記第2面の少なくとも前記処理装置の前記開口部に向かう端が、前記処理装置の前記開口部と同じ位置か、又は低い位置となる、請求項1に記載の媒体載置装置。
【請求項3】
前記移動部は、
前記カバー部材を昇降する昇降部を有し、
前記カバー部材が前記昇降部の昇降動作により前記第1位置から前記第2位置に移動したとき、前記カバー部材の前記第2面が、前記処理装置の前記開口部と同じ位置か、又は低い位置となる、請求項1に記載の媒体載置装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、
前記第1面に押圧部材を有し、
前記押圧部材は、前記載置部に載置された前記第1媒体を押圧可能である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の媒体載置装置。
【請求項5】
前記第1媒体は切断されたロール紙である切断単票紙であり、
前記第2媒体は単票紙である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の媒体載置装置。
【請求項6】
前記カバー部材は、透光性の材料で構成されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の媒体載置装置。
【請求項7】
前記カバー部材の前記第2面には、
前記第2媒体を紙幅方向に規制する規制部材と、
前記紙幅方向と交わる方向に延在し、前記紙幅方向に複数配列されているリブと、が備えられ、
前記カバー部材が前記移動部により前記第2位置に移動したとき、前記リブが前記第2媒体を載置するときの位置が前記処理装置の前記開口部と同じ位置となる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の媒体載置装置。
【請求項8】
記録装置と、媒体載置装置と、を備える記録システムであって、
前記記録装置は、
第1媒体を収納する収納部と、
前記収納部から前記第1媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記第1媒体に記録する記録部と、
前記記録部により記録された前記第1媒体を切断する切断部と、
前記切断部により切断された前記第1媒体を排出する開口部と、を備え、
前記搬送部は、前記開口部から供給された第2媒体を前記記録部へ搬送可能であると共に、前記記録部により記録された前記第2媒体を搬送して前記開口部から排出することが可能であり、
媒体載置装置は、
前記記録装置の前記開口部より低い位置で前記第1媒体を載置する載置部と、
前記載置部を覆うと共に、前記第2媒体を載置するカバー部材と、
前記カバー部材を第1位置と前記第1位置より低い第2位置との間で移動させる移動部と、を備え、
前記カバー部材は、
前記移動部により前記第1位置に移動したとき、前記カバー部材の前記載置部に対向する面である第1面が前記記録装置の前記開口部よりも高い位置となり、前記記録装置の前記開口部から排出された前記第1媒体を、前記第1面により案内して前記載置部に載置可能とし、
前記移動部により前記第2位置に移動したとき、前記第1面とは反対側の第2面が前記記録装置の前記開口部と同じ位置か、又は低い位置となり、前記記録装置の前記開口部から排出された前記第2媒体、又は前記記録装置の前記開口部へ供給される前記第2媒体を、前記第2面により載置可能とする記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体載置装置、及び記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、記録装置から排出される長尺の媒体を、布などの柔軟性のある受け装置で受けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長尺の媒体に記録する記録装置には、単票紙の媒体を受け装置側から供給することで、単票紙の媒体への記録を可能とするものがある。しかしながら、特許文献1に記載の受け装置は、単票紙の媒体を支持する部材を備えていないので、正しく供給することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
処理装置の開口部から排出された第1媒体、処理装置の開口部から排出された第2媒体、処理装置の開口部へ供給される第2媒体を載置可能な媒体載置装置であって、処理装置の開口部より低い位置で第1媒体を載置する載置部と、載置部を覆うと共に、第2媒体を載置するカバー部材と、カバー部材を第1位置と第1位置より低い第2位置との間で移動させる移動部と、を備え、カバー部材は、移動部により第1位置に移動したとき、カバー部材の載置部に対向する面である第1面が処理装置の開口部よりも高い位置となり、処理装置の開口部から排出された第1媒体を、第1面により案内して載置部に載置可能とし、移動部により第2位置に移動したとき、第1面とは反対側の第2面が処理装置の開口部と同じ位置か、又は低い位置となり、処理装置の開口部から排出された第2媒体、処理装置の開口部へ供給される第2媒体を、第2面により載置可能とする。
【0006】
記録装置と、媒体載置装置と、を備える記録システムであって、記録装置は、第1媒体を収納する収納部と、収納部から第1媒体を搬送する搬送部と、搬送部により搬送された第1媒体に記録する記録部と、記録部により記録された第1媒体を切断する切断部と、切断部により切断された第1媒体を排出する開口部と、を備え、搬送部は、開口部から供給された第2媒体を記録部へ搬送可能であると共に、記録部により記録された第2媒体を搬送して開口部から排出することが可能であり、媒体載置装置は、記録装置の開口部より低い位置で第1媒体を載置する載置部と、載置部を覆うと共に、第2媒体を載置するカバー部材と、カバー部材を第1位置と第1位置より低い第2位置との間で移動させる移動部と、を備え、カバー部材は、移動部により第1位置に移動したとき、カバー部材の載置部に対向する面である第1面が記録装置の開口部よりも高い位置となり、記録装置の開口部から排出された第1媒体を、第1面により案内して載置部に載置可能とし、移動部により第2位置に移動したとき、第1面とは反対側の第2面が記録装置の開口部と同じ位置か、又は低い位置となり、記録装置の開口部から排出された第2媒体、又は記録装置の開口部へ供給される第2媒体を、第2面により載置可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1媒体を載置したときの実施形態1に係る記録システムの斜視図。
【
図2】第1媒体を載置したときの実施形態1に係る記録システムの断面図。
【
図3】実施形態1に係るカバー部材を下から見た斜視図。
【
図4】第2媒体を載置したときの実施形態1に係る記録システムの斜視図。
【
図5】実施形態1に係るカバー部材を上から見た斜視図。
【
図6】第2媒体を載置したときの実施形態1に係る記録システムの断面図。
【
図7】第2媒体を載置したときの実施形態2に係る記録システムの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態1
1-1.記録システムの構成
実施形態1に係る記録システムの構成について、図面を参照して説明する。
なお、図中における方向を、三次元座標を用いて説明する。説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向又は単に上と称し負方向を下方向又は単に下と称し、X軸の正方向を右方向又は単に右と称し負方向を左方向又は単に左と称し、Y軸の正方向を後方向又は単に後ろと称し負方向を前方向又は単に前と称して説明する。
【0009】
図1に示すように、実施形態1に係る記録システム1は、処理装置である記録装置3と、その前に設置される媒体載置装置2により構成される。
記録装置3は、いわゆる大判プリンターである。第1媒体は、
図2に示す長尺の媒体である長尺媒体63であり、記録装置3により切断された長尺媒体63も含むものとする。記録装置3により長尺媒体63が切断されたものを、以下では特に切断単票紙60と称する。切断単票紙60は、例えばJIS規格のA0判やB0判といった比較的大型のサイズの媒体である。媒体載置装置2は、記録装置3から切断単票紙60が排出される側に設置される。
【0010】
記録装置3のケース31には、開口部30が形成されている。記録装置3のケース31に形成された開口部30から排出された切断単票紙60は、媒体載置装置2の載置部21に載置される。カバー部材20は載置部21を覆っている。載置部21は、A0判やB0判などの大型のサイズの切断単票紙60が載置されるのに十分な面積を有している。
また、媒体載置装置2のカバー部材20の上の面である第2面22には、記録装置3の開口部30に供給又は排出される第2媒体である
図4に示す単票紙70が載置可能となっている。
【0011】
1-2.記録システムによる第1媒体の処理
まず、
図2に示す記録装置3について説明する。記録装置3は、長尺媒体63がロール状に巻かれたロール紙A,Bを、ケース31の下部の収納部61,62に収納可能である。ロール紙A,Bは異なる紙幅のものでもよい。第1搬送部35と第2搬送部36は、収納部61,62に収納されたロール紙A,Bのいずれかから、長尺媒体63をそれぞれの紙経路41,42を経由して引き出し、共通の紙経路43に沿って搬送していく。なお、長尺媒体63をロール紙とも称する。
【0012】
ヘッド32の位置に対して、長尺媒体63の搬送方向の上流に第1搬送部35が配置され、下流に第2搬送部36が配置される。長尺媒体63の搬送方向は、ヘッド32に対して-Y方向である前方向であり、矢印で示す方向である。
第1搬送部35は、第1駆動ローラー35aと第1従動ローラー35bで構成される。第1駆動ローラー35aと第1従動ローラー35bとにより長尺媒体63を挟み、第1駆動ローラー35aの駆動により長尺媒体63を搬送する。第2搬送部36は、第2駆動ローラー36aと第2従動ローラー36bで構成される。第2駆動ローラー36aと第2従動ローラー36bとにより長尺媒体63を挟み、第2駆動ローラー36aの駆動により長尺媒体63を搬送する。
【0013】
長尺媒体63は、第1搬送部35と第2搬送部36とにより、ヘッド32とヘッド32に対向するプラテン33との間の位置へ搬送され、ヘッド32により記録される。ヘッド32は、例えばインクジェットヘッドである。ヘッド32が+Z方向側である上に、プラテン33が-Z方向側である下に配置され、長尺媒体63はプラテン33に沿って搬送される。プラテン33により、ヘッド32と長尺媒体63の間の距離が規定されている。ヘッド32からインクが-Z方向である下方向へ吐出され、長尺媒体63に付着して記録される。なお、プラテン33に空気を吸い込む吸引機構を備え、プラテン33に長尺媒体63を吸着させて、ヘッド32と長尺媒体63の間の距離をより厳密に規定するようにしてもよい。
【0014】
ヘッド32により記録された長尺媒体63は、第1搬送部35と第2搬送部36とによりカッター34の位置へ搬送され、カッター34により切断される。カッター34は、可動刃と固定刃により構成される。カッター34は、固定刃に対して可動刃が移動することにより、固定刃と可動刃の間にある長尺媒体63を切断する。
【0015】
上述のように、切断された長尺媒体63を切断単票紙60と称する。長尺媒体63から切り離された切断単票紙60は第2搬送部36のみに挟持されている。切断単票紙60は、第2搬送部36により搬送され、紙案内44により案内されて、開口部30から排出される。第2搬送部36と開口部30の間には、センサー37が配置されている。切断単票紙60が第2搬送部36により搬送されていき、センサー37が切断単票紙60の後端を検出すると、第2搬送部36は搬送を停止する。センサー37は、例えばフォトセンサーである。
【0016】
次に、
図2に示す媒体載置装置2について説明する。媒体載置装置2の載置部21は、記録装置3の開口部30より低い位置にあり、記録装置3の開口部30から排出された切断単票紙60を複数枚載置することができる高さの位置となっている。
カバー部材20は、載置部21に対向する面である第1面23を有しており、第1面23により、開口部30から排出された切断単票紙60を案内して、載置部21に載置できるようになっている。
【0017】
カバー部材20は、透光性の材料で構成されている。カバー部材20は、載置部21を覆っているが、透光性の材料で構成しているため、ユーザーは、カバー部材20を透して、載置部21に載置されている切断単票紙60の状態を視認することができる。
【0018】
図3に示すように、カバー部材20の第1面23には幅方向に複数の押圧部材50を備えるようにしてもよい。また、搬送方向にも複数の押圧部材50を備えていてもよい。複数の押圧部材50は複数の押圧部材支持部51により、それぞれ支持されている。
押圧部材50は、ゴムなどの弾性材料から構成され、回転自在なローラー形状をしている。押圧部材支持部51は、樹脂などの可撓性のある材料から構成され、押圧部材50を押圧可能であって、回転可能に支持する。
押圧部材50は、押圧部材支持部51の可撓性により、開口部30から排出された切断単票紙60を押圧可能に案内して、載置部21に載置させる。
【0019】
図2に示すように、記録装置3に収納されているロール紙A,Bは、ロール状に巻かれているため、カールと呼ばれる巻き癖が付いている。ロール紙A,Bから引き出された長尺媒体63にも、記録装置3の開口部30から排出された切断単票紙60にも、カールが付いている。
カバー部材20の押圧部材50により、載置部21との間にあるカールが付いている切断単票紙60を、カールした部分を上から載置部21に向かって押圧することができ、切断単票紙60のカールを矯正することができる。
図2では、載置部21に載置された切断単票紙60の円弧状の形状をした部分がカールを示している。押圧部材50が、切断単票紙60のカールした部分を上から載置部21に向かって押圧し、切断単票紙60のカールを円弧状の形状から直線状の形状に近付けるように、矯正している。
【0020】
1-3.記録システムによる第2媒体の処理
まず、
図4に示す媒体載置装置2について説明する。媒体載置装置2のカバー部材20の上の面であり、第1面23とは反対側の面である第2面22には、記録装置3の開口部30に供給又は排出される第2媒体である単票紙70が載置可能となっている。単票紙70は、例えばJIS規格のA2判やB3判といったサイズであり、湾曲した共通の紙経路43を搬送できない剛性の強い厚紙等の媒体である。
【0021】
カバー部材20の第2面22は、左右方向である紙幅方向に単票紙70を規制する規制部材25を有していてもよい。具体的には
図5に示すように、規制部材25は、紙幅の基準位置を規制する固定された第2規制部材25bと、単票紙70の紙幅に合わせて、紙幅方向に移動可能な第1規制部材25aにより構成される。
ユーザーは、カバー部材20の第2面22に載置した単票紙70を、規制部材25により紙幅方向に規制しながら、記録装置3の開口部30に対してまっすぐに正しく供給することが容易となる。
また、記録装置3の開口部30から排出された単票紙70は、規制部材25により紙幅方向に規制を受けながら、カバー部材20の第2面22にまっすぐに載置されることが可能となる。
【0022】
図5に示すように、カバー部材20の第2面22の単票紙70を載置する部分には、紙幅方向と交わる方向に延在し、紙幅方向に複数配列されているリブ24が配置されている。
リブ24により、単票紙70を、第2面22から記録装置3の開口部30ヘ滑らかに供給することができ、また、開口部30から第2面22へ滑らかに排出することができる。
【0023】
次に、
図4に示す記録装置3について
図6も参照しながら説明する。ユーザーが、媒体載置装置2のカバー部材20の第2面22から記録装置3の開口部30へ単票紙70を差し込んで供給すると、単票紙70は紙案内44により案内されて、第2搬送部36に到達する。単票紙70が第2搬送部36に到達するとき、センサー37が単票紙70の先端を検出し、第2搬送部36は+Y方向である供給方向への搬送を開始する。なお、センサー37の代わりに、ユーザーが記録装置3のスイッチを押すことにより、第2搬送部36が搬送を開始するようにしてもよい。
【0024】
単票紙70は、第2搬送部36の搬送開始により開口部30から引き込まれていく。単票紙70は、第2搬送部36により、+Y方向であるヘッド32の位置よりも後方へ搬送され、その後-Y方向である前方に搬送されながらヘッド32により記録される。
ヘッド32による記録が終了すると、単票紙70は、第2搬送部36により-Y方向である排出方向に搬送され、紙案内44により案内され、開口部30から排出される。センサー37により単票紙70が検出されなくなり、単票紙70が排出されると、第2搬送部36は搬送を停止する。
【0025】
単票紙70は、媒体載置装置2によりまっすぐに正しく供給されているので、第2搬送部36の搬送により斜行したり、紙ジャムしたりすることを避けることができる。
なお、センサー37が単票紙70の先端を検出したとき、ヘッド32の位置に長尺媒体63があった場合には、長尺媒体63は第1搬送部35により搬送方向の上流に搬送され、第2搬送部36により単票紙70をヘッド32の位置へ搬送して記録することに対して、支障がない位置まで退避される。
【0026】
1-4.媒体載置装置の移動部
実施形態1に係る媒体載置装置の移動部の一例について、
図2と
図6により説明する。媒体載置装置2の移動部29は、カバー部材20を回動可能に支持する支持部28と、支持部28を中心にカバー部材20を回動する回動部であるカム26と、カム26を回転させる回転軸27とを備える。カム26は、支持部28に対して-Y方向である前に設置され、開口部30とは反対側に設置される。カム26は断面が楕円形状をしており、カバー部材20に接している。
【0027】
媒体載置装置2は、カバー部材20を回動させるときは、図示しないレバーまたはモーターにより回転軸27を回転させることで、カム26を回転させる。カム26が回転すると、支持部28を中心に、カム26に接するカバー部材20が回動する。カム26による回動動作により、カバー部材20のY軸方向である排出方向における両端は、支持部28を中心にシーソーのように回動する。
図2はカバー部材20が第1位置にある場合を示し、
図6はカバー部材20が第2位置にある場合を示している。カム26による回動動作により、カバー部材20は第1位置と第2位置の間を回動によって移動する。
【0028】
図2に示す媒体載置装置2のように、カム26による回動動作により、カバー部材20が第2位置から第1位置に移動したとき、カバー部材20の下の面である第1面23の少なくとも記録装置3の開口部30に向かう端は、記録装置3の開口部30よりも高い位置となる。
カバー部材20が第1位置のとき、記録装置3の開口部30から排出された切断単票紙60は、カバー部材20の第1面23と載置部21の間を通過することができる。このとき、カバー部材20の第1面23により切断単票紙60は案内され、載置部21に載置可能とされる。
【0029】
上述のように、このとき、カバー部材20の押圧部材50により、載置部21との間にあるカールした切断単票紙60を、カールした部分を上から載置部21に向かって押圧することができ、切断単票紙60のカールを矯正することができる。
【0030】
図6に示す媒体載置装置2のように、カム26による回動動作により、カバー部材20は第1位置から第2位置に移動する。カバー部材20の記録装置3の開口部30に向かう端は、第1位置より第2位置の方が低くなる。
第2位置では、カバー部材20の上の面である第2面22の少なくとも記録装置3の開口部30に向かう端は、記録装置3の開口部30と同じ高さとなる位置か、又は低い位置となる。
【0031】
この結果、ユーザーは、カバー部材20の第2面22に載置した単票紙70を、記録装置3の開口部30に向かって差し込み、正しく供給することが容易となる。
また、記録装置3の開口部30から排出された単票紙70は、カバー部材20の第2面22に載置されることが可能となる。
【0032】
カバー部材20の第2面22の少なくとも記録装置3の開口部30に向かう端が、記録装置3の開口部30より低い位置となる場合には、カバー部材20の第2面22のリブ24の単票紙70を載置する位置が、記録装置3の開口部30と同じ高さとなるようにしてもよい。
単票紙70は、リブ24に接しつつ滑らかに記録装置3の開口部30ヘ供給され、また、リブ24に接しつつ滑らかに開口部30から排出されることが可能となる。
【0033】
2.実施形態2
図7に示す実施形態2は、実施形態1に係る移動部29とは別の形態であり、カバー部材20の全体を上下に移動する昇降部55を備えている。なお、
図7では、
図2と
図6に示した実施形態1と共通する構成要素については、同じ符号を用いている。
【0034】
図7に示すように、媒体載置装置2Aの昇降部55は、ラックアンドピニオンを構成するラック53とピニオン52と、ラック53とカバー部材20を固定する固定部54とを備える。
媒体載置装置2Aは、図示しないダイヤルまたはモーターによりピニオン52を回転させる。ピニオン52の歯車とラック53の直線状に並んでいる歯が噛み合っており、ピニオン52の回転により、ラック53を昇降させる。ラック53は固定部54によりカバー部材20に固定されているので、ラック53の昇降に伴い、カバー部材20の全体も第1位置と第2位置の間を昇降する。カバー部材20は、第1位置のときより第2位置のときの方が、高さが低くなる。
【0035】
図7は、昇降部55により、カバー部材20が第1位置から第2位置に移動したときを示す。カバー部材20の第2面22の全体が、記録装置3の開口部30と同じ位置か、又は低い位置となる。
【0036】
この結果、ユーザーは、カバー部材20の第2面22に載置した単票紙70を、記録装置3の開口部30に向かって差し込み、正しく供給することが容易となる。
また、記録装置3の開口部30から排出された単票紙70は、カバー部材20の第2面22に載置されることが可能となる。
【0037】
カバー部材20の第2面22が、記録装置3の開口部30より低い位置となる場合には、カバー部材20の第2面22のリブ24の単票紙70を載置する位置が、記録装置3の開口部30と同じ高さとなるようにしてもよい。
単票紙70は、リブ24に接しつつ滑らかに記録装置3の開口部30ヘ供給され、また、リブ24に接しつつ滑らかに開口部30から排出されることが可能となる。
【0038】
昇降部55により、カバー部材20が第2位置から第1位置に移動したとき、カバー部材20と載置部21の位置は、
図2と同様の位置となるため、
図2を用いて説明する。
昇降部55による昇降動作により、カバー部材20が第2位置から第1位置に移動したとき、カバー部材20は、
図2に示す場合と同様に、カバー部材20の下の面である第1面23は全体が、記録装置3の開口部30よりも高い位置となる。
【0039】
カバー部材20が第1位置のとき、記録装置3の開口部30から排出された切断単票紙60は、カバー部材20の第1面23と載置部21の間を通過することができる。このとき、カバー部材20の第1面23により切断単票紙60は案内され、載置部21に載置可能とされる。
【0040】
上述のように、このとき、カバー部材20の押圧部材50により、載置部21との間にある切断単票紙60のカールした部分を、上から載置部21に向かって押圧することができ、切断単票紙60のカールを矯正することができる。
【0041】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
処理装置である記録装置3の開口部30から排出された第1媒体である切断単票紙60、記録装置3の開口部30から排出された第2媒体である単票紙70、記録装置3の開口部30へ供給される単票紙70を載置可能な媒体載置装置2の一実施形態は、記録装置3の開口部30よりも低い位置で切断単票紙60を載置する載置部21と、載置部21を覆うと共に、単票紙70を載置するカバー部材20と、カバー部材20を第1位置と第1位置より低い第2位置との間で移動させる移動部29と、を備え、カバー部材20は、移動部29により第1位置に移動したとき、カバー部材20の載置部21に対向する面である第1面23が記録装置3の開口部30よりも高い位置となり、記録装置3の開口部30から排出された切断単票紙60を、第1面23により案内して載置部21に載置可能とし、移動部29により第2位置に移動したとき、第1面23とは反対側の第2面22が記録装置3の開口部30と同じ位置か、又は低い位置となり、記録装置3の開口部30から排出された単票紙70、記録装置3の開口部30へ供給される単票紙70を、第2面22により載置可能とする。
【0042】
上述の態様によれば、媒体載置装置2は、記録装置3の開口部30に対するカバー部材20の位置を第1位置と第2位置の間で移動させることにより、記録装置3の開口部30から排出される切断単票紙60を載置部21に載置でき、又は、記録装置3の開口部30から排出される単票紙70を載置部21に載置でき、並びに、ユーザーにより記録装置3の開口部30へ供給される単票紙70をカバー部材20の第2面22に載置することができ、第2媒体をまっすぐに正しく記録装置3の開口部30に差し込んで供給することができる。
【0043】
記録装置3と、媒体載置装置2と、を備える記録システム1の一実施形態では、記録装置3は、長尺媒体63である第1媒体を収納する収納部61,62と、収納部61,62から長尺媒体63を搬送する第1搬送部35と第2搬送部36と、第1搬送部35と第2搬送部36により搬送された長尺媒体63に記録する記録部であるヘッド32と、ヘッド32により記録された長尺媒体63を切断する切断部であるカッター34と、カッター34により切断された長尺媒体63である切断単票紙60を排出する開口部30と、を備え、第2搬送部36は、開口部30から供給された単票紙70をヘッド32へ搬送可能であると共に、ヘッド32により記録された単票紙70を搬送して開口部30から排出することが可能であり、媒体載置装置2は、記録装置3の開口部30と同じ位置か、又は低い位置で切断単票紙60を載置する載置部21と、載置部21を覆うと共に、単票紙70を載置するカバー部材20と、カバー部材20を第1位置と第1位置より低い第2位置との間で移動させる移動部29と、を備え、カバー部材20は、移動部29により第1位置に移動したとき、カバー部材20の載置部21に対向する面である第1面23が記録装置3の開口部30よりも高い位置となり、記録装置3の開口部30から排出された切断単票紙60を、第1面23により案内して載置部21に載置可能とし、移動部29により第2位置に移動したとき、第1面23とは反対側の第2面22が記録装置3の開口部30と同じ位置か、又は低い位置となり、記録装置3の開口部30から排出された単票紙70、又は記録装置3の開口部30へ供給される単票紙70を、第2面22により載置可能とする。
【0044】
上述の態様によれば、記録装置3と媒体載置装置2を含む記録システム1では、媒体載置装置2は、記録装置3の開口部30に対するカバー部材20の位置を第1位置と第2位置の間で移動させることにより、記録装置3のカッター34により切断され、開口部30から排出される切断単票紙60を載置部21に載置でき、又は、記録装置3の開口部30から排出される単票紙70を載置部21に載置でき、並びに、ユーザーにより記録装置3の開口部30へ供給される単票紙70をカバー部材20の第2面22に載置することができ、第2媒体をまっすぐに正しく記録装置3の開口部30に差し込んで供給することができる。
【0045】
以上、これらの実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0046】
例えば、記録装置3はいわゆる大判プリンターの例で説明したが、これに限定されない。記録装置3が取り扱う切断単票紙60は、例えばJIS規格のA0判やB0判より小さいサイズの媒体であってもよい。また、記録装置3が取り扱う単票紙70は、例えばJIS規格のA2判やB3判より小さいサイズの媒体であってもよい。記録装置3のヘッド32は、インクジェットヘッドの例で説明したが、これに限定されない。昇華型のサーマル方式などの他のヘッドでもよい。
また、例えば、媒体載置装置2のカバー部材20を移動させる移動部29はカム26を用いた例で、また昇降部55はラックアンドピニオンの構成を用いた例で説明したが、これらに限定されず、モーターなどのアクチュエーターに基づき、ギアの組合せや、ベルトやワイヤーを用いて、力を伝達して、カバー部材20を移動させるようにしてもよい。
また、例えば、媒体載置装置2の移動部29と昇降部55は、カバー部材20を移動させる例で説明したが、カバー部材20と共に載置部21を移動させるようにしてもよい。
また、例えば、媒体載置装置2の押圧部材50はローラー形状をしている例で説明したが、これに限定されず、板形状にして切断単票紙60を斜めから押圧するようにしてもよい。
また、例えば、記録装置3の収納部61,62と、それぞれに収納されているロール紙A,Bは、2つでなくて、1つでもよく、3つ以上でもよい。
また、例えば、ロール紙A,Bは紙でなくてもよく、紙以外の布やフィルムなどでもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…記録システム、2…媒体載置装置、3…記録装置、20…カバー部材、21…載置部、22…第2面、23…第1面、24…リブ、25…規制部材、29…移動部、30…開口部、35…第1搬送部、36…第2搬送部、50…押圧部材、55…昇降部、60…切断単票紙、63…長尺媒体、70…単票紙。