(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】コネクタ誤認防止システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/55 20200101AFI20240709BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240709BHJP
G06K 17/00 20060101ALI20240709BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240709BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20240709BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G01R31/55
G06K19/077 108
G06K19/077 200
G06K17/00 022
G06K7/10 252
H02G1/06
G02B6/36
(21)【出願番号】P 2020186906
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】弁理士法人小竹アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】中西 久二雄
(72)【発明者】
【氏名】田川 公久
(72)【発明者】
【氏名】西久保 孝太
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 優
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-135673(JP,A)
【文献】特開2006-054118(JP,A)
【文献】特開2011-067077(JP,A)
【文献】特開2010-176990(JP,A)
【文献】特開2011-169762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
G06K 19/077
G06K 17/00
G06K 7/10
H02G 1/06
G02B 6/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタのそれぞれに取り付けられたICタグと、
前記ICタグと通信可能な携帯情報端末と、
前記携帯情報端末とネットワークを介して接続され、それぞれの前記コネクタを判別する管理用コネクタ判別情報、及び、作業対象となるコネクタ情報が記憶された回線管理データベースを備えた回線管理システムと、を有し、
それぞれの前記ICタグは、
当該ICタグの固有番号及び取り付けられるコネクタを判別するタグ用コネクタ判別情報を含む特定情報が読み取り可能に記憶された記憶部と、前記記憶部に記憶されている特定情報を送信する無線通信部と、発光素子とを備え、前記特定情報の少なくとも1つが目視可能に表示されたものであり、
前記回線管理システムは、
前記携帯情報端末に入力される前記特定情報の少なくとも1つを照合キーとして、前記携帯情報端末を介して前記ICタグから読み取られた前記タグ用コネクタ判別情報を前記回線管理データベースに記憶されている前記管理用コネクタ判別情報と照合する照合手段と、
前記照合手段による照合の結果、前記タグ用コネクタ判別情報が前記管理用コネクタ判別情報と一致したと判定された場合に、回線管理データベースを参照して、前記ICタグが取り付けられているコネクタが作業対象のコネクタであるか否かを判定する作業対象コネクタ判定手段と、
前記作業対象コネクタ判定手段により作業対象のコネクタであると判定された場合に、そのコネクタに取り付けられている前記ICタグの発光素子を前記携帯情報端末を介して発光させる発光手段と、
を具備することを特徴とするコネクタ誤認防止システム。
【請求項2】
コネクタのそれぞれに取り付けられたICタグと、
前記ICタグと通信可能な携帯情報端末と、
前記携帯情報端末とネットワークを介して接続され、それぞれの前記コネクタを判別する管理用コネクタ判別情報、及び、作業対象となるコネクタ情報が記憶された回線管理データベースを備えた回線管理システムと、を有し、
それぞれの前記ICタグは、
当該ICタグの固有番号及び取り付けられるコネクタを判別するタグ用コネクタ判別情報を含む特定情報が読み取り可能に記憶された記憶部と、前記記憶部に記憶されている特定情報を送信する無線通信部と、発光素子とを備え、前記特定情報の少なくとも1つが目視可能に表示されたものであり、
前記携帯情報端末は、
これに入力される前記特定情報の少なくとも1つを照合キーとして、前記ICタグから読み取られた前記タグ用コネクタ判別情報を前記回線管理データベースに記憶されている前記管理用コネクタ判別情報と照合する照合手段と、
前記照合手段による照合の結果、前記タグ用コネクタ判別情報が前記管理用コネクタ判別情報と一致したと判定された場合に、前記ICタグが取り付けられているコネクタが作業対象のコネクタであるか否かを前記回線管理システムに確認要請する作業対象コネクタ確認手段と、
前記回線管理システムによって作業対象のコネクタであることが確認された場合に、そのコネクタに取り付けられている前記ICタグの発光素子を発光させる発光手段と、
を具備することを特徴とするコネクタ誤認防止システム。
【請求項3】
前記照合手段による照合の結果、前記タグ用コネクタ判別情報が前記管理
用コネクタ判別情報と不一致であると判定された場合に、前記携帯情報端末に不一致である旨の情報を表示させる不一致情報表示手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ誤認防止システム。
【請求項4】
前記携帯情報端末に入力される前記特定情報は、前記携帯情報端末に直接入力するか、前記携帯情報端末で前記ICタグから読み取るものであることを特徴とする請求項1又は2記載の誤認防止システム。
【請求項5】
前記携帯情報端末は、入力された最新のコネクタ判別情報を最新のタグ用コネクタ判別情報として前記ICタグの前記記憶部に記憶されている情報を更新すると共に前記回線管理システムに送信する手段を備え、前記回線管理システムは、前記携帯情報端末から送信された前記最新のコネクタ判別情報を最新の管理用コネクタ判別情報として前記回線管理データベースに記憶されている情報を更新する更新手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコネクタ誤認防止システム。
【請求項6】
前記ICタグは、前記携帯情報端末からの誘導電力によって動作させると共に発光させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のコネクタ誤認防止システム。
【請求項7】
前記コネクタは、配線盤に収容された光コネクタであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに 記載のコネクタ誤認防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光中間配線盤(光IDF)などの多数のコネクタが収納された場所でのコネクタの切り離し、接続等の作業において、作業対象となるコネクタを誤認することなく作業することが可能なコネクタ誤認防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各営業所間の通信機器等を光ファイバによって接続する場合には、例えば、
図5に示されるように、各営業所に設置された光ファイバ集線装置である主配線盤(MDF:Main Distribution Frame)や中間配線盤(IDF:Intermediate Distribution Frame)を用いて(
図5では、中間配線盤(光IDF)1として記載されている)、多数の光ファイバ10のそれぞれを光コネクタ4によって結線するようにしている。
【0003】
このような光IDF1は、
図6に示されるように、外力からの影響を受けないようにして光ファイバ10をコネクタ接続するために、光ファイバ10の接続部および余長を保護収納する複数の収納トレイ2を筐体3内に複数段に積層した構成を有している。
それぞれの収納トレイ2には、光ファイバ10同士を接続する多数の光コネクタ4が収容され、それぞれの光コネクタ4は、例えば、プラスチックハウジングを備えたプッシュプル方式のもので、簡単に着脱できるようになっている。光ファイバ10の切り替え作業を行うためには、この光IDF内で光コネクタ4を切り離し・接続を行うが、光ファイバの入線が多い光IDF1では、光コネクタ4の数も膨大となるため、回線切り替え時の光コネクタ4の誤認による回線停止(ヒューマンエラー)が生じる可能性がある。
【0004】
このような問題に対処するために、従来においては、各光コネクタに用途や回線番号を記載した表示札20を取り付け、作業対象となる光コネクタ4を慎重に確認しているが、表示札20の記載が劣化により読み取れないものや、現地表示の修正漏れで、現地表示と管理資料(システムデータベース等)で相違している場合もある。また、外見ではコネクタは接続されているが、使用中のケーブルであるのか未使用中のケーブルであるのかの判断がつかないものもある。
このように、従来においては、表示札(タグ)の記載内容のみを頼りに作業員の判断で作業対象のコネクタ4を特定していたため、誤認を無くすことが難しく、また、作業効率も悪いものであった。
【0005】
そこで、光コネクタにRF-IDタグを取り付け、タグリーダ/ライタから入力された光コードの配線情報を問合わせ配線情報として、RF-IDタグへ電磁波で送信し、RF-IDタグによって受信した問合わせ配線情報をEEROMに格納されている固有の配線情報と照合し、照合の結果、双方の配線情報が一致した場合にLEDを発光させ、また、タグリーダ/ライタにブザー音を出音させる構成が提案されている(特許文献1参照)。
また、ICタグを利用して対象物を探知するシステムとしては、リードライタに検知対象のIDを入力して、検知対象の近くを走査することで、検知対象に取り付けられているICタグを発光させるシステムも提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-114247号公報
【文献】特開平11-205202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コネクタに取り付けられているICタグを発光させたりすることで作業対象となるコネクタの誤認防止はある程度可能になるが、タグに記憶されている情報に依存して検知対象のICタグを発光させるだけであるので、膨大なコネクタの中から作業対象となるコネクタを特定して作業を行うことを想定すると、ICタグに記憶させてある情報が管理側で把握している情報と異なっている場合、例えば、現地においてコネクタの接続状態が変更された後にICタグに記録されている情報や管理側の情報が更新されていない場合には、誤ったコネクタに対して作業が行われる可能性がある。
【0008】
すなわち、光コネクタは、その接続状態が随時変更されるものであり、現場で変更されたコネクタの接続状態が管理側に登録されていない場合には、ICタグを発光させても、管理側で予定している作業対象のICタグが発光されないことになり、誤認による回線停止を依然として避けることはできない。
【0009】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、多数のコネクタの中から作業対象のコネクタを特定して切離し、接続する作業において、作業対象となるコネクタの誤認を確実に防止するシステムを提供することを課題とするものであり、より具体的には、作業対象のコネクタを特定するに当たり、現場のコネクタの接続状態と管理側で把握しているコネクタの接続状態とが一致していることを保証した上で作業対象となるコネクタに設けられるICタグを発光させることで、誤認による回線停止をより確実に避けることが可能なコネクタ誤認防止システムを提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、本発明に係るコネクタ誤認防止システムは、コネクタに取り付けられたICタグのコネクタ判別情報と、回線管理システムで所有しているコネクタ判別情報とを照合させ、一致した場合に、当該ICタグが取り付けられているコネクタが作業対象のコネクタである場合に、ICタグを発光させるようにしている。
【0011】
このようなシステムを実現するために、コネクタ誤認防止システムは、
コネクタのそれぞれに取り付けられたICタグと、
前記ICタグと通信可能な携帯情報端末と、
前記携帯情報端末とネットワークを介して接続され、それぞれの前記コネクタを判別する管理用コネクタ判別情報、及び、作業対象となるコネクタ情報が記憶された回線管理データベースを備えた回線管理システムと、を有し、
それぞれの前記ICタグは、
当該ICタグの固有番号及び取り付けられるコネクタを判別するタグ用コネクタ判別情報を含む特定情報が読み取り可能に記憶された記憶部と、前記記憶部に記憶されている特定情報を送信する無線通信部と、発光素子とを備え、前記特定情報の少なくとも1つが目視可能に表示されたものであり、
前記回線管理システムは、
前記携帯情報端末に入力される前記特定情報の少なくとも1つを照合キーとして、前記携帯情報端末を介して前記ICタグから読み取られた前記タグ用コネクタ判別情報を前記回線管理データベースに記憶されている前記管理用コネクタ判別情報と照合する照合手段と、
前記照合手段による照合の結果、前記タグ用コネクタ判別情報が前記管理用コネクタ判別情報と一致したと判定された場合に、回線管理データベースを参照して、前記ICタグが取り付けられているコネクタが作業対象のコネクタであるか否かを判定する作業対象コネクタ判定手段と、
前記作業対象コネクタ判定手段により作業対象のコネクタであると判定された場合に、そのコネクタに取り付けられている前記ICタグの発光素子を前記携帯情報端末を介して発光させる発光手段と、
を具備するようにするとよい。
【0012】
ここで、携帯情報端末に入力される特定情報は、携帯情報端末に直接入力するようにしても、携帯情報端末でICタグから読み取るようにしてもよい。
このような構成によれば、作業者がICタグの表示を見ながら作業対象のコネクタを絞り込み(抽出し)、作業対象と認識したコネクタに取り付けられているICタグに表示された特定情報をリーダに直接入力するか、ICタグに記憶されている同情報をリーダで読み込み入力すると、回線管理システムは、照合手段により、入力された特定情報を照合キーとして、携帯情報端末を介してICタグから読み取られたタグ用コネクタ判別情報を回線管理データベースに記憶されている管理用コネクタ判別情報と照合し、タグ用コネクタ判別情報が管理用コネクタ判別情報と一致したと判定された場合に、作業対象コネクタ判定手段により、ICタグが取り付けられている光コネクタが作業対象の光コネクタであるか否かを判定し、作業対象の光コネクタであると判定された場合に、発光手段により、作業対象のコネクタに取り付けられたICタグの発光素子を携帯情報端末を介して発光させる。
【0013】
したがって、作業者は、抽出したコネクタに取り付けられているICタグが発光したことを確認すれば、抽出したコネクタを判別するためのICタグに格納されている情報が回線管理データベースに記憶されている情報と一致して間違いないものであり、且つ、作業対象のコネクタであることを認識することが可能となり、誤認することなく作業を行うことが可能となる。
【0014】
以上は、回線管理システムによって照合するものであったが、携帯情報端末側で照合することも可能である。すなわち、コネクタ誤認防止システムは、
コネクタのそれぞれに取り付けられたICタグと、
前記ICタグと通信可能な携帯情報端末と、
前記携帯情報端末とネットワークを介して接続され、それぞれの前記コネクタを判別する管理用コネクタ判別情報、及び、作業対象となるコネクタ情報が記憶された回線管理データベースを備えた回線管理システムと、を有し、
それぞれの前記ICタグは、
当該ICタグの固有番号及び取り付けられるコネクタを判別するタグ用コネクタ判別情報を含む特定情報が読み取り可能に記憶された記憶部と、前記記憶部に記憶されている特定情報を送信する無線通信部と、発光素子とを備え、前記特定情報の少なくとも1つが目視可能に表示されたものであり、
前記携帯情報端末は、
これに入力される前記特定情報の少なくとも1つを照合キーとして、前記ICタグから読み取られた前記タグ用コネクタ判別情報を前記回線管理データベースに記憶されている前記管理用コネクタ判別情報と照合する照合手段と、
前記照合手段による照合の結果、前記タグ用コネクタ判別情報が前記管理用コネクタ判別情報と一致したと判定された場合に、前記ICタグが取り付けられているコネクタが作業対象のコネクタであるか否かを前記回線管理システムに確認要請する作業対象コネクタ確認手段と、
前記回線管理システムによって作業対象のコネクタであることが確認された場合に、そのコネクタに取り付けられている前記ICタグの発光素子を発光させる発光手段と、
を具備するようにするとよい。
【0015】
このような構成によれば、作業者がICタグの表示を見ながら作業対象のコネクタを絞り込み(抽出し)、作業対象と認識したコネクタに取り付けられているICタグに表示された特定情報をリーダに直接入力するか、ICタグに記憶されている同情報をリーダで読み込み入力すると、携帯情報端末は、照合手段により、携帯情報端末を介して入力される特定情報の少なくとも1つを照合キーとして、ICタグから読み取られたタグ用コネクタ判別情報を回線管理データベースに記憶されている管理用コネクタ判別情報と照合し、タグ用コネクタ判別情報が管理用コネクタ判別情報と一致したと判定された場合に、作業対象コネクタ確認手段により、ICタグが取り付けられている光コネクタが作業対象の光コネクタであるか否かを回線管理システムに確認要請し、回線管理システムによって作業対象の光コネクタであることが確認された場合に、発光手段によって、作業対象のコネクタに取り付けられたICタグの発光素子を発光させる。
【0016】
したがって、このような構成においても、作業者は、抽出したコネクタに取り付けられているICタグが発光したことを確認すれば、選択したコネクタを判別するためのICタグに格納されている情報が回線管理データベースに記憶されている情報と一致して間違いないものであり、且つ、作業対象のコネクタであることを認識することが可能となり、誤認することなく作業を行うことが可能となる。
【0017】
なお、照合手段による照合の結果、タグ用コネクタ判別情報が管理コネクタ判別情報と不一致であると判定された場合には、携帯情報端末に不一致である旨の情報を表示させる不一致情報表示手段を備えるとよい。
携帯情報端末にこのような表示をすることで、作業者は、現場のコネクタ判別情報が回線管理システム側のコネクタ判別情報と異なっているため、コネクタの接続状態を調査するなど、慎重な作業を行うことが可能となる。
【0018】
現場のコネクタ判別情報と回線管理システム側のコネクタ判別情報とが整合していない場合には、整合を図るために、携帯情報端末は、入力された最新のコネクタ判別情報を最新のタグ用コネクタ判別情報としてICタグの記憶部に記憶されている情報を更新すると共に回線管理システムに送信するタグ側更新手段を備え、回線管理システムは、携帯情報端末から送信された最新のコネクタ判別情報を最新の管理用コネクタ判別情報として回線管理データベースに記憶されている情報を更新する管理側更新手段を備えるようにするとよい。
【0019】
作業員は、現場での実際の接続状態を確認調整した上で、携帯情報端末から最新のコネクタ判別情報を入力して、この情報をタグ側更新手段によって最新のタグ用コネクタ判別情報として記憶部に記憶されている情報を更新すると共に、回線管理システムへ送信すれば、回線管理システムは、管理側更新手段によって送信された最新のコネクタ判別情報を最新の管理用コネクタ判別情報として回線管理データベースに記憶されている情報が更新されるので、誤った情報に基づく以後の作業を回避することが可能となる。
【0020】
なお、ICタグは、携帯情報端末からの誘導電力によって動作させると共に発光させるようにするとよい。また、以上のシステムは、種々のコネクタの誤認防止に利用できるものであるが、配線盤に収容された光コネクタにおいて、特に有用である。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、コネクタに取り付けられたICタグに表示されている特定情報の少なくとも1つを照合キーとして、ICタグから読み取られたタグ用コネクタ判別情報を回線管理システムの回線管理データベースに記憶されている管理用コネクタ判別情報と照合し、一致したと判定された場合に、ICタグが取り付けられている光コネクタが作業対象の光コネクタであるか否かを判定し、作業対象の光コネクタであると判定された場合に、そのコネクタに取り付けられたICタグの発光素子を発光させるので、選択したコネクタが回線管理システムで管理されている正しいコネクタであり、且つ、作業対象のコネクタであることを作業員に認識させることが可能となり、作業対象のコネクタを誤認することなく作業することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明に係るコネクタ誤認防止システムの概略構成図である。
【
図2】
図2(a)は、光配線盤に収容される光コネクタを示した図であり、
図2(b)は、光コネクタとそれに取り付けられるICタグを示す図であり、
図2(c)は、ICタグの構成を示した図である。
【
図3】
図3は、コネクタ誤認防止システムの処理例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、コネクタ誤認防止システムの他の処理例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、光ファイバを施設例を示す概念図である。
【
図6】
図6は、光配線盤に収容される従来の光コネクタを示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るコネクタ誤認防止システムについて、図面を参照しながら説明する。
この例においては、コネクタ誤認防止システムを、光ファイバ同士を接続する光コネクタに利用した場合について示されている。
図1及び
図2に示されるように、コネクタ誤認防止システムは、光配線盤(例えば、光IDF)1の収納トレイ2に収納された光ファイバ10同士を接続するそれぞれの光コネクタ4に取り付けられたICタグ(RFタグ)5と、ICタグ5に表示又は記録されている情報を直接入力又は読み取ることが可能な携帯情報端末6と、携帯情報端末6とネットワークを介して通信可能に接続され、光ファイバ10の接続状態が記憶された回線管理データベース7を備えた回線管理システム(回線管理サーバ)8と、を有して構成されている。
【0024】
ICタグ5は、光コネクタ4に対して、結束バンドなどの固定具を用いて固定するようにしても、接着剤や両面粘着テープ、面ファスナ等を光コネクタ4との間に介在させて固定するようにしても、光コネクタ4に係止機構を設けて係合させるようにしてもよい。
それぞれのICタグ5は、
図2(c)に示されるように、発光された状態が目視可能に取り付けられた発光素子(発光ダイオード)11と、携帯情報端末6のICタグ読み取り部からの信号を受けて後述する制御部15を動作させるプログラムや所定の情報が記憶された記憶部12と、アンテナ13を介して外部と近距離無線通信(NFC)を行う無線通信部14と、タグ全体の制御を行う制御部15と、アンテナ13で受信した高周波信号を電力として取り出す電源部16とを備え、電源部16で得られた電力は、制御部15や無線通信部14、発光素子11に供給される。
【0025】
ICタグ5の記憶部12には、回線管理システム8の回線管理データベース7に格納されている情報と全く同じ情報ではなく,下記の表1で示すように、このICタグ5が取り付けられる光コネクタ4を判別する情報と、ICタグ固有の番号が格納されている。
ここで、光コネクタ4を判別する情報としては、例えば、始端コネクタID及び終端コネクタIDと、光ファイバ10の心線番号等の光ファイバ情報と、回線管理番号等である。なお、この例では、ICタグ5の記憶部12に格納された情報のうち、始端コネクタID、終端コネクタID、心線番号を、後述する照合処理を行うために用いるタグ用コネクタ判別情報としている。
また、各ICタグ5の表面には、
図2(b)に示されるように、上記ICタグ固有番号と回線管理番号が表記されている。
【0026】
【0027】
携帯情報端末6は、例えば、画面上でスタイラスペンや指によって各種操作を行うことができる、例えばタブレットであり、NFC機能を具備してICタグ5と近距離通信を行うことが可能であり、また、電磁誘導(共振回路)を用いてICタグ5への非接触給電を可能としている。また、一般的な無線通信機能を備え、インターネット等のネットワーク網を介して回線管理システムと通信可能となっている。
したがって、ICタグ5は、携帯情報端末(タブレット)6からの誘導電力によって動作し、携帯情報端末6との間で近距離無線通信を行い、制御部15による所定の処理に基づき、記憶部12に記憶されている情報を携帯情報端末6へ送信したり、記憶部12に記憶されている情報を更新したり、発光素子11を発光させたりすることが可能となっている。
【0028】
回線管理システム8は、光ファイバの接続情報などを格納した前記回線管理データベース7を有している。この回線管理データベース7は、表2に示されるように、個々の光コネクタ4に接続されている光ファイバの回線ID(回線名称、始端コネクタID、終端コネクタID、心線番号)や、回線の種類,用途,計画,運開・廃止予定等の回線情報が、回線管理番号やICタグ固有番号と紐付けされて格納されている。
なお、この例では、回線管理データベース7に格納された情報のうち、始端コネクタID、終端コネクタID、心線番号を、後述する照合処理を行うために用いる管理用コネクタ判別情報としている。
【0029】
【0030】
以上の構成において、収納トレイ2に収容された多数の光コネクタ4の中から、作業対象となる光コネクタ4を誤認することなく特定するために、以下に説明する
図3に示される処理が行われる。
先ず、作業員は、現場の光IDF1の該当する収納トレイ2を引き出し、各光コネクタ4に取り付けられているICタグ5に表示された情報を頼りにして、作業対象と認識した光コネクタ4を抽出し、光ファイバ10の余長を見ながら、作業がし易い位置に引き出す(
図1参照)。そして、この引き出された光コネクタ4に取り付けられているICタグ5に記載されている情報の何れか(ICタグ固有番号又は回線管理番号)を携帯情報端末6に作業者自らが直接入力するか、携帯情報端末6をICタグ5に近づけ、NFC機能を利用してICタグ5に記憶されている同情報を読み取る(S10)。
また、ICタグ5が取り付けられている光コネクタ4を判別するその他の情報、すなわち、タグ用コネクタ判別情報(始端コネクタID、終端コネクタID、心線番号)を携帯情報端末6によってICタグ5の記憶部12から読み取る(S12)。
【0031】
その後、携帯情報端末6は、自動的に、又は、作業員の操作により、入力された(直接入力、又は、読み取られた)ICタグ固有番号又は回線管理番号を、タグ用コネクタ判別情報(始端コネクタID、終端コネクタID、心線番号)と共に回線管理システム8へ送信する(S14)。
【0032】
回線管理システム8は、携帯情報端末(タブレット)6から送られたICタグ固有番号又は回線管理番号を照合キーとして、携帯情報端末6から送られたタグ用コネクタ判別情報(始端コネクタID、終端コネクタID、心線番号)を回線管理データベース7に記憶されている管理用コネクタ判別情報(始端コネクタID、終端コネクタID、心線番号)と照合する(S16)。
その結果、ICタグ5の記憶部12に格納されているタグ用コネクタ判別情報が回線管理データベース7に格納されている管理用コネクタ判別情報と合致していないと判定された場合には(S18)、携帯情報端末6に対してエラー(注意喚起)のメッセージを送信する(S20)。
【0033】
携帯情報端末6は、これを受けて、エラー(注意喚起)のメッセージを画面に表示する(S22)。作業者は、携帯情報端末6の画面に表示されたこのエラー(注意喚起)のメッセージを見て、これから作業しようとする光コネクタ4の接続状態が回線管理データベース7に格納されている情報と異なっていることを知ることになり、接続状態を詳しく調べる等、慎重な作業へと進む。
【0034】
また、回線管理システム8で、ICタグ5が持っているタグ用コネクタ判別情報が回線管理データベース7に格納されている管理用コネクタ判別情報と一致していると判定された場合には(S18)、一致した照合データと作業員が抽出した光コネクタ4に対応する光ファイバ10の情報を携帯情報端末6に送信する(S24)。
【0035】
携帯情報端末6は、これを受けて、一致した照合データと作業員が抽出した光コネクタ4に対応する光ファイバ10の情報を画面に表示する(S26)。
【0036】
その後、照合結果が一致している場合には、さらに、作業員が抽出した光コネクタ4が、回線管理データベース7を参照して、予め登録された作業対象の光コネクタ4であるか否かを判定する(S28)。
【0037】
作業対象の光コネクタ4でないと判定された場合には、抽出した光コネクタ4に取り付けられているICタグ5の発光素子11を発光させない状態を維持する(S30)。このため、作業者は、抽出した光コネクタ4に取り付けられているICタグ5に記憶されている情報(タグ用コネクタ判別情報)が回線管理データベース7に記録されている情報(管理用コネクタ判別情報)と合致しているとのメッセージは受け取るものの、ICタグ5が発光しなかったことで、作業対象の光コネクタ4ではなかったことを認識することとなる。
【0038】
これに対して、作業対象の光コネクタ4であると判定された場合には、携帯情報端末6からの電磁誘導を利用して、抽出した光コネクタ4のICタグ5を発光させる(S32)。作業者は、抽出した光コネクタ4に取り付けられているICタグ5に記憶されている情報(タグ用コネクタ判別情報)が回線管理データベース7に記憶されている情報(管理用コネクタ判別情報)と合致していると認識した上で、ICタグ5が発光したことを目視することによって、接続状態に問題がない作業対象の光コネクタ4であることを認識することとなる。
このため、光コネクタ4の誤認による回線停止をより確実に回避することが可能となる。
【0039】
なお、携帯情報端末6に、エラー(注意喚起)のメッセージが表示された場合には、作業者は、これを受けて、現場の光ファイバの接続状態を確認し、必要に応じて接続状態を変更し、しかる後に、現場での光コネクタ4の最新の接続状態をICタグ5及び回線管理システム8に登録するために、携帯情報端末6に光コネクタ4の最新の接続情報(最新のコネクタ判別情報)を入力し、この入力された最新のコネクタ判別情報を最新のタグ用コネクタ判別情報として前記ICタグの記憶部に記憶されている情報を更新し、また、この最新のコネクタ判別情報を回線管理システムへ送信する(S40)。
回線管理システムは、これを受けて、携帯情報端末から送信された最新のコネクタ判別情報を最新の管理用コネクタ判別情報として回線管理データベースに記憶されている情報を更新する(S42)。
これにより、ICタグ5及び回線管理データベース7に格納されている光コネクタ4の接続情報(タグ用コネクタ判別情報、管理用コネクタ判別情報)を現場の光コネクタ4の最新の接続状態に一致させておくことが可能となる。
【0040】
したがって、以上の一連の処理によれば、作業員が現場で作業対象として抽出した光コネクタ4について、そこに取り付けられているICタグ5からの情報に基づき回線管理システム8に登録されている接続情報と照合し、照合の結果、接続情報が合致していることが確認された上で、作業対象となる光コネクタ4のICタグ5のみが発光するので、作業者は、現場で抽出した光コネクタ4が接続状態に誤りがない作業対象のコネクタであることを正確に認識することができ、作業対象のコネクタを誤認することなく作業を続行することが可能となる。
【0041】
以上の構成は、ICタグ5に記憶されている光コネクタ4の接続情報(タグ用コネクタ判別情報)と回線管理データベース7に記憶されている光コネクタ4の接続情報(管理用コネクタ判別情報)の照合を回線管理システム側で行うものであったが、携帯情報端末6側で照合させるようにしてもよい。
【0042】
そのような構成例が
図4に示されており、この例では、ステップS12で携帯情報端末6によってICタグ5に記憶されているタグ用コネクタ判別情報を読み取った後に、携帯情報端末6は、自動的に、又は、作業員の操作により、入力された(直接入力、又は、読み取られた)ICタグ固有番号又は回線管理番号を回線管理システム8へ送信する(S50)。
【0043】
回線管理システム8は、携帯情報端末6から送られたICタグ固有番号又は回線管理番号を照合キーとして、回線管理データベース7に記憶されている情報から該当する管理用コネクタ判別情報(始端コネクタID、終端コネクタID、心線番号)を抽出し(S52),この抽出した管理用コネクタ判別情報を携帯情報端末6に送信する(S54)。
【0044】
携帯情報端末6は、回線管理システム8から送信された管理用コネクタ判別情報を、ICタグ5から読み取ったタグ用コネクタ判別情報と照合する(S56)。その結果、タグ用コネクタ判別情報が管理用コネクタ判別情報と一致していないと判定された場合には(S58)、エラー(注意喚起)のメッセージを画面に表示する(S60)。作業者は、携帯情報端末(タブレット)6の画面に表示されたこのエラー(注意喚起)のメッセージを見て、これから作業しようとする光コネクタ4の接続状態が回線管理データベース7に格納されている情報と異なっていることを知ることになり、接続状態を詳しく調べる等、慎重な作業へと進む。
【0045】
また、携帯情報端末6で、タグ用コネクタ判別情報が管理用コネクタ判別情報と一致していると判定された場合には(S58)、一致した照合データと作業員が抽出した光コネクタ4に対応する光ファイバの情報を画面に表示する(S62)。
【0046】
その後、携帯情報端末6は、照合結果が一致している場合には、抽出した光コネクタ4が作業対象の光コネクタ4であるか否かを回線管理システム8に確認要請する(S64)。
【0047】
回線管理システム8は、回線管理データベース7を参照して、作業員が抽出した光コネクタ4が、予め登録された作業対象の光コネクタ4であるか否かを判定する(S66)。
その結果、作業対象の光コネクタ4でないと判定された場合には、抽出した光コネクタ4に取り付けられているICタグ5の発光素子11を発光させない状態を維持する(S68)。このため、作業者は、抽出した光コネクタ4に取り付けられているICタグ5に記憶されている情報(タグ用コネクタ判別情報)が回線管理データベース7に記録されている情報(管理用コネクタ判別情報)と合致しているとのメッセージは受け取るものの、ICタグ5が発光しなかったことで、作業対象の光コネクタ4ではなかったことを認識することとなる。
【0048】
これに対して、作業対象の光コネクタ4であると判定された場合には、携帯情報端末6からの電磁誘導を利用して、抽出した光コネクタ4のICタグ5を発光させる(S70)。作業者は、抽出した光コネクタ4に取り付けられているICタグ5に記憶されている情報が回線管理データベース7に記憶されている情報と合致していると認識した上で、ICタグ5が発光したことを目視することによって、接続状態に問題がない作業対象の光コネクタ4であることを認識することとなる。
このため、光コネクタ4の誤認による回線停止をより確実に回避することが可能となる。なお、他のステップは、前記構成例と同様であるので、同一箇所に同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
以上においては、ICタグ5を取り付けるコネクタとして光コネクタ4を用いた場合について説明したが、多数のコネクタが収納されている他の箇所において、コネクタの接続、切離し作業を行うような場合に、同様のシステムを利用することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
4 光コネクタ
5 ICタグ
6 携帯情報端末
7 回線管理データベース
8 回線管理システム
10 光ファイバ
11 発光素子
12 記憶部
14 無線通信部