(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G01J 5/48 20220101AFI20240709BHJP
【FI】
G01J5/48 C
(21)【出願番号】P 2020198527
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】前田 晃毅
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/203351(WO,A1)
【文献】特開2020-064052(JP,A)
【文献】特開昭59-079129(JP,A)
【文献】特開2019-032154(JP,A)
【文献】特開2016-169942(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0075309(US,A1)
【文献】特開2005-016995(JP,A)
【文献】特開2005-037366(JP,A)
【文献】特開2005-300179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 5/00 - G01J 5/90
G09G 5/00 - G09G 5/36
G09G 5/377 - G09G 5/42
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体が流れる配管等及び当該配管等が配置された周囲環境を含む被写体の温度分布を色で示す熱画像を表示する画面を有する表示部と、
前記表示部を制御する制御部と
を備え、
前記配管等は、その内部を流れる流体を運ぶ装置であり、
前記制御部は、
前記熱画像のうちの前記周囲環境に対応する第1画像に含まれる第1位置において前記熱画像から得られる温度を第1温度とし、前記熱画像のうちの前記配管等に対応する第2画像に含まれる第2位置において前記熱画像から得られる温度を第2温度として、それぞれ設定し、
前記第1温度及び前記第2温度を用いて、温度範囲の上限値及び下限値を算出し、
前記上限値及び前記下限値が算出された温度範囲において前記被写体の温度分布を色で示すように前記熱画像を前記表示部に表示させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記上限値及び前記下限値を、前記第1温度を第1変数とし、前記第2温度を第2変数とする算出式から算出することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記算出式はさらに、予め定められた複数の異なる数値のうちのいずれかをとる第1係数を第3変数とすることを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像表示装置が移動する毎に前記第2温度を再設定することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記上限値及び前記下限値が算出される毎に前記温度範囲を表す第1矩形画像を前記熱画像に重畳するように前記表示部に表示させ、
前記第1矩形画像の長手方向は前記温度範囲における温度の増加又は減少する方向であり、
前記第1矩形画像の長手方向における一端側は前記上限値に対応し、他端側は前記下限値に対応することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記被写体の温度分布を色相、彩度又は明度の少なくとも1つの変化で示すように前記熱画像を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記熱画像を前記表示部に表示させる際、前記熱画像のうちの、前記上限値を超える温度が得られた上限画像及び前記下限値を下回る温度が得られた下限画像に関しては、色相、彩度及び明度の少なくともいずれか1つを固定することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記算出式における前記第1係数を変更するためのユーザインターフェースである第2矩形画像を前記熱画像に重畳するように前記表示部に表示させ、
前記第2矩形画像の長手方向は前記複数の異なる数値を大きくなる順序又は小さくなる順序で並べた方向であり、
前記第2矩形画像の長手方向における一端側が前記複数の異なる数値のうちの最小値に対応し、他端側が最大値に対応し、前記第2矩形画像の長手方向において所定間隔で離れた各位置が前記複数の異なる数値のうちの前記最小値及び前記最大値を除く数値のそれぞれに対応することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記表示部はさらに、前記被写体の可視光画像を表示し、
前記制御部は、前記熱画像に前記可視光画像を重畳させて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記画像表示装置は、ユーザが持ち運び可能な端末であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、診断箇所の配管外面温度の過渡的変化を赤外線カメラで撮影した撮影画像を画像処理装置で処理した熱画像に基づいて、スラリー配管の詰まり状況を診断する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、診断箇所の周囲に、当該診断箇所と大きな温度差が生じた物体が存在すると、診断箇所及び当該診断箇所の周囲の物体を含む熱画像では、当該物体の温度を含む広い温度範囲が設定されてしまう。
【0005】
この場合、当該熱画像に、診断箇所における僅かな温度差を表示させるためには、ユーザ自らが温度範囲を調整し、僅かな温度差でも表示される温度範囲を決めなければならない。この作業は、ユーザにとってかなりの手間である。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みたものであり、熱画像を表示させる際にユーザが温度範囲を調整する手間を省くことができる画像表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像表示装置は、内部に流体が流れる配管等及び当該配管等が配置された周囲環境を含む被写体の温度分布を色で示す熱画像を表示する画面を有する表示部と、前記表示部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記熱画像のうちの前記周囲環境に対応する第1画像に含まれる第1位置において前記熱画像から得られる温度を第1温度とし、前記熱画像のうちの前記配管等に対応する第2画像に含まれる第2位置において前記熱画像から得られる温度を第2温度として、それぞれ設定し、前記第1温度及び前記第2温度を用いて、温度範囲の上限値及び下限値を算出し、前記上限値及び前記下限値が算出された温度範囲において前記被写体の温度分布を色で示すように前記熱画像を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、熱画像を表示させる際にユーザが温度範囲を調整する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る画像表示装置の外観を示す図であり、画像表示装置を表面側から見た図である。
【
図2】実施形態1に係る画像表示装置の外観を示す図であり、画像表示装置を背面側から見た図である。
【
図3】実施形態1に係る画像表示装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態1に係る画像表示装置に含まれる制御部の機能的な構成を示す図である。
【
図5】実施形態1に係る画像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】周囲環境温度を決定する際の周囲環境温度の設定画面の例である。
【
図7】基準温度と温度範囲を表示する出力画面の例である。
【
図8】熱画像と可視光画像を対比して表示させた画面の例である。
【
図9】算出式の係数を変更する設定画面の例である。
【
図10】算出式の倍率を変更する設定画面の例である。
【
図11】マニュアルモードで温度範囲の上限値及び下限値を調整するための設定画面の例である。
【
図12】実施形態2に係る画像表示装置に含まれる制御部の機能的な構成を示す図である。
【
図13】実施形態2に係る画像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
図1及び
図2は、本発明の実施形態1に係る画像表示装置10の外観を示す図である。
図1は、画像表示装置10を表面側から見た図である。
図2は、画像表示装置10を背面側から見た図である。
図1及び
図2のとおり、画像表示装置10は、ユーザが持ち運び可能な無線端末である。画像表示装置10は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータである。また、画像表示装置10は、
図1のとおり、その表面側に画面10aを有する。また、画像表示装置10は、
図2のとおり、その背面側に可視光カメラ17と赤外線カメラ19とを有する。ただし、可視光カメラ17は画像表示装置10にとって必須の構成となるものではない。
【0011】
また、画像表示装置10は、ユーザが持ち運び可能な無線端末に限るものではない。画像表示装置10は、据え置き型の機器であっても良い。据え置き型の機器としては、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータが挙げられる。また、画像表示装置10が据え置き型の機器である場合、画像表示装置10は、可視光カメラ17及び赤外線カメラ19を画像表示装置10の本体から分離可能な構成を備えても良い。この場合、可視光カメラ17及び赤外線カメラ19は持ち運び可能となる。可視光カメラ17及び赤外線カメラ19はそれぞれ、画像表示装置10の本体と無線又は有線で接続される。
【0012】
なお、以下では、画像表示装置10が、ユーザが持ち運び可能な無線端末である実施形態を例として説明する。
【0013】
可視光カメラ17は、可視光の波長領域に感度を持ち、被写体からの可視光を検出して可視光画像を撮像するカメラである。赤外線カメラ19は、赤外線の波長領域に感度を持ち、被写体からの赤外線を検出して赤外線画像を撮像するカメラである。可視光カメラ17の撮像範囲と赤外線カメラ19の撮像範囲とは略一致している。
図1では、可視光カメラ17の撮像範囲と赤外線カメラ19の撮像範囲とは共に撮像範囲FAである。画像表示装置10は、ユーザが持ち運び可能な無線端末であるので、ユーザは任意の場所に移動し、可視光カメラ17及び赤外線カメラ19の撮像範囲FAを任意の方向に向けることができる。
【0014】
また、
図1では、画像表示装置10がダクトD1を撮像する様子が示されている。ダクトD1は、例えば、その内部を流れる流体を運ぶ配管等である。流体は液体と気体の総称である。配管等は、例えば、ダクト、ダンパ、流体エネルギーを利用する装置である。ダクトD1は、例えば、鉄鋼プラント等の建築物内で空調、換気、排煙等の目的で設備される。ダクトD1が配管等の一例である。また、ダクトD1の外観のうち、上述の撮像範囲FAに含まれる部分が、画像表示装置10の被写体の一例である。なお、撮像範囲FAには、ダクトD1に加え、ダクトD1の周囲環境も含まれてもよい。周囲環境は、例えば、ダクトD1を支持する支持部材、画像表示装置10から見てダクトD1の周囲に配置された装置及び壁である。この場合、被写体にはそれら周囲環境も含まれることになる。
【0015】
また、
図1では、ダクトD1の内部に、ダクトD1の内壁に粉塵が付着し、堆積された堆積物X1が存在する。ダクトD1の内部を流れる流体からの、堆積物X1とダクトD1の内壁への熱伝達の違いにより、堆積物X1とダクトD1の内壁に対する熱の抜け方が異なる。このため、ダクトD1の表面では、堆積物X1が堆積した内壁に対向する表面部分及び当該表面部分の周辺と、それらを除く残余の表面部分との間で、温度差が生じる。この温度差を、赤外線カメラ19で観察することによって、画像表示装置10は、それら2つの境界を検出する。ユーザは、この検出される境界の存在により、堆積物X1の存在を特定する。
【0016】
図1では、画像表示装置10は、可視光カメラ17で撮像された可視光画像と、赤外線カメラ19で撮像された赤外線画像に基づく熱画像と、を画面10aに重畳して表示させている。画面10aには、ダクトD1に対応する画像であるダクト画像D1aと、堆積物X1に対応する画像である堆積物画像X1aとが表示される。ダクト画像D1aは可視光画像に含まれる。堆積物画像X1aは熱画像に含まれる。ユーザは、熱画像に含まれる堆積物画像X1aと可視光画像に含まれるダクト画像D1aとを合わせて見ることができるので、ユーザは堆積物画像X1aの存在位置を容易に認識できる。
【0017】
(1-2.構成)
図3は、画像表示装置10の内部構成を示すブロック図である。画像表示装置10は、その全体動作を制御する制御部11と、種々の情報を表示する表示部13と、ユーザが操作を行うタッチパネル15と、データ及びプログラムを記憶する記憶部16と、ネットワークに接続するための通信部21と、外部機器を接続するためのインターフェース部23とを備える。さらに、画像表示装置10は、上述のとおり、可視光カメラ17と、赤外線カメラ19とを備える。また、画像表示装置10は、温度センサ25を備えてもよい。
【0018】
表示部13は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイで構成される。タッチパネル15は、例えば、ユーザの指又はスタイラスペンによるタッチ操作を検出する入力デバイスである。タッチパネル15は、その操作領域が表示部13の表示領域と重畳するように配置されている。
図1の画面10aは、表示部13とタッチパネル15とを含む。
【0019】
通信部21は、図示しないネットワークに接続するための装置である。通信部21は、3G、4G、LTE、5G等の通信規格に従い、ネットワークと通信を行う。インターフェース部23は、図示しない外部機器と接続するための装置である。インターフェース部23は、USB(Universal Serial Bus)(登録商標)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の通信規格に従い外部機器と通信を行う。
【0020】
記憶部16は、所定の機能を実現するために必要なパラメータ、データ及び制御プログラム等を記憶する記録媒体である。記憶部16は、例えばハードディスク、半導体記憶装置、半導体メモリで構成される。
【0021】
記憶部16は、画像表示装置10の後述の機能を実現するための画像表示プログラム16aと、温度範囲データ16bと、算出式データ16cとを記憶する。画像表示プログラム16aは、制御プログラムの一例である。温度範囲データ16b及び算出式データ16cの詳細については後述する。
【0022】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を含む。制御部11は、CPUが画像表示プログラム16aを実行することにより以下に説明する画像表示装置10の機能を実現する。なお、制御部11は、所定の機能を実現するように専用に設計されたハードウェア回路のみで実現してもよい。制御部11は、CPU以外に、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の種々の回路で構成してもよい。
【0023】
(1-3.動作)
図4は、制御部11の機能的な構成を示す図である。制御部11は、第1画像処理部11aと、第2画像処理部11bと、第3画像処理部11cと、表示処理部11dとを含む。制御部11に含まれる上記の各処理部11a、11b、11c及び11dは、制御部11が画像表示プログラム16aを実行することにより実現される。
【0024】
【0025】
画像表示装置10は、赤外線カメラ19で撮像した赤外線画像に基づく熱画像に、可視光カメラ17で撮像した可視光画像を重畳して表示部13に表示させる画像表示機能を有する。ここで、熱画像とは、赤外線画像において、各画素の色をその画素に含まれる被写体の温度を示す温度情報に応じて設定して生成した画像である。また、各画素の色は、上限値及び下限値が設定された温度範囲で設定される。これにより、上述の温度範囲において被写体の温度分布を色で示す熱画像が生成される。この画像表示機能は、画像表示プログラム16aにより実現される。
【0026】
なお、各画素の色は、色の3属性である「色相」、「彩度」又は「明度」のうちの少なくとも1つを各画素の温度に応じて変化させて設定すれば良い。例えば、「色相」を固定し、「彩度」及び「明度」を変化させても良いし、「彩度」及び「明度」を固定し、「色相」を変化させても良い。以下、本実施形態では、「彩度」及び「明度」を固定し、「色相」を変化させる例を実施形態として説明する。
【0027】
以下、
図5を用いて、画像表示装置10の動作を説明する。また、
図3及び
図4についても適宜参照する。
図5は、
図4の制御部11の動作を示すフローチャートである。
【0028】
また、以下では、画面10aの一例を示す図である
図6及び
図7も適宜参照する。ここで、まず、画像表示装置10の動作を説明する前に
図6及び
図7について説明しておく。
【0029】
図6は、画像表示装置10が可視光画像及び熱画像を表示させた画面10aの一例を示す図である。
図6のとおり、画面10aの一例である画面例60には、ダクトD6及びダクトD6の周囲環境である壁W6を含む可視光画像と、ダクトD6及び壁W6を含む赤外線画像から生成された熱画像とが重畳して表示されている。熱画像は、赤外線画像において、赤外線画像に含まれる各画素の温度情報に応じて各画素の色相を変化させた画像である。また、各色相は、赤外線画像における温度の最小値と最大値の間の温度範囲において、各温度に割当てられる。なお、ダクトD6は配管等の一例である。また、ダクトD6及び壁W6は被写体の一例である。
【0030】
また、
図6の画面例60には、基準位置マーク61が可視光画像及び熱画像に重畳するように表示されている。基準位置マーク61は、例えば、画面10aの中心部(第1位置)に配置される。例えば、基準位置マーク61を、壁W6上に位置させるためには、ユーザは、画像表示装置10の撮像範囲FAの中心を壁W6方向に向ければ良い。なお、基準位置マーク61は、必ずしも、画面10aの中心部に配置される必要はない。基準位置マーク61は、画面10aの右上端付近、左下端付近等であっても良い。また、基準位置マーク61の位置は、予め設定されていても良いし、ユーザが任意に設定しても良い。また、基準位置マーク61の位置をユーザが設定する場合、例えば、ユーザの指又はスタイラスペンによるタッチ操作によって基準位置マーク61の位置を設定すれば良い。以下、本実施形態では、基準位置マーク61が画面10aの中心部に配置される例を実施形態として説明する。
【0031】
また、
図6の画面例60には、基準位置マーク861の近傍に「20.0℃」と記載された温度表示欄61aが表示されている。また、
図6の画面例60には、ユーザのタッチ操作を促すOKボタン62と、ユーザに対するメッセージである「周囲環境温度の指定が必要です。画面中心点を気温に近い箇所に向けてください。」とのコメントが記載されたコメント欄63と、が表示されている。温度表示欄61a、OKボタン62及びコメント欄63については画像表示装置10の動作を説明する際に併せて説明する。
【0032】
図7は、画像表示装置10が可視光画像及び熱画像を表示させた画面10aの他の一例を示す図である。
図7のとおり、画面10aの一例である画面例70には、ダクトD7及びダクトD7の周囲環境を含む可視光画像と、ダクトD7及びダクトD7の周囲環境を含む赤外線画像から生成された熱画像とが重畳して表示されている。熱画像は、赤外線画像において、赤外線画像に含まれる各画素の温度情報に応じて各画素の色相を変化させた画像である。なお、ダクトD7は配管等の一例である。また、ダクトD7及びダクトD7の周囲環境は被写体の一例である。また、ダクトD7は、
図6のダクトD6に繋がるダクトである。
【0033】
図7の画面例70の領域71には、カラーバー71a(第1矩形画像)が熱画像に重畳するように表示されている。また、
図7の画面例70の領域74には、倍率調整バー74a(第2矩形画像)が表示されている。特に、倍率調整バー74aは、ユーザがタッチ操作を行うことによって、後述する倍率k(第3変数)を設定するためのユーザインターフェースである。これにより、ユーザに直観的な操作を提供できる。
【0034】
また、
図7の画面例70には、基準位置マーク72が熱画像に重畳するように表示されている。基準位置マーク72は、例えば、画面10aの中心部(第2位置)に配置される。基準位置マーク72の構成及び機能は、
図6の基準位置マーク61の構成及び機能と同一であり、ここではその説明を省略する。
【0035】
図7の画面例70には、基準位置マーク72の近傍に「35.0℃」と記載された温度表示欄72aが表示されている。また、画面例70には、「20.0℃」が記載された温度表示欄73が表示されている。温度表示欄73には、
図6の温度表示欄61aに記載された「20.0℃」が記載される。さらに、画面例70には、温度表示欄710が表示されている。温度表示欄710には、符号710aが付された「Avg.25.2℃」と、符号710bが付された「Max.43.8℃」と、符号710cが付された「Min.9.3℃」とが記載されている。また、
図7の画面例70には、領域74の下方に、ユーザのタッチ操作を促す、モード変更ボタン75、動画撮影ボタン76、スクリーンショットボタン77と、フォルダ参照ボタン78と、設定ボタン79と、が表示されている。画面例70に表示されている、上述の各要素については画像表示装置10の動作を説明する際に併せて説明する。なお、上述の各要素とは、例えば、カラーバー71a、倍率調整バー74a、各温度表示欄、各ボタンである。
【0036】
以上、
図6及び
図7に関する説明を行ったので、引き続き、画像表示装置10の動作を説明する。
【0037】
ステップS101:制御部11は、赤外線カメラ19で撮像したダクトD6及び壁W6を含む第1赤外線画像19aを取得する。制御部11は、赤外線カメラ19から取得した第1赤外線画像19aを記憶部16に記憶させる。
【0038】
より詳細には、ステップS101では、制御部11が
図6の画面例60を表示部13にが表示させると、ユーザは、コメント欄63に記載された「周囲環境温度の指定が必要です。画面中心点を気温に近い箇所に向けてください。」とのコメントに従い、画像表示装置10の撮像範囲FAの中心を壁W方向に向ける。壁Wの温度は外気温度に近い温度である。以下、当該温度を周囲環境温度(第1温度)と称する。ユーザは、基準位置マーク61が壁W方向に向くと、OKボタン62をタッチ操作する。このタッチ操作によって、制御部11は、第1赤外線画像19aを記憶部16に記憶させる。記憶部16に記憶される第1赤外線画像(第1画像)19aは、
図6のとおり、基準位置マーク61が壁W方向に向いた赤外線画像である。
【0039】
ステップS102:制御部11の第1画像処理部11aは、記憶部16に記憶された第1赤外線画像19aを読み出し、読み出した第1赤外線画像19aに含まれる各画素の温度情報を取得する。第1画像処理部11aは、第1赤外線画像19aの各画素のうち、基準位置マーク61及び基準位置マーク61の周囲と重なることになる各画素の温度を用いて、周囲環境温度を設定する。各画素の温度が異なる場合、周囲環境温度は各画素の温度の平均値とすればよい。
図6の画面例60では、温度表示欄61aのとおり、周囲環境温度は「20.0℃」である。周囲環境温度は記憶部16に記憶される。なお、周囲環境温度は、温度センサ25から取得しても良い。
【0040】
なお、
図6の画面例60のうちの、熱画像及び可視光画像を除く各要素については、第1画像処理部11aがそれぞれの画像を生成し、当該画像を表示処理部11dに出力する。表示処理部11dは、第1画像処理部11aから入力された画像を画面10aに表示させる。
【0041】
ステップS103:制御部11は、可視光カメラ17で撮像したダクトD7及びその周囲環境を含む可視光画像17aを取得する。さらに、制御部11は、赤外線カメラ19で撮像したダクトD7及びその周囲環境を含む第2赤外線画像19bを取得する。制御部11は、可視光カメラ17から取得した可視光画像17aと、赤外線カメラ19から取得した第2赤外線画像19bとを、記憶部16に記憶させる。
【0042】
より詳細には、ステップS103では、ユーザは、画像表示装置10の撮像範囲FAの中心を壁W方向からダクトD7の内部の中心付近方向に向ける。画像表示装置10の撮像範囲FAの中心がダクトD7の内部の中心付近方向に向くと、ユーザは、画像表示装置10の撮像範囲FAの中心がダクトD7の内部の中心付近方向から外れないように画像表示装置10の動きを停止させる。画像表示装置10の動きの停止によって、制御部11は、可視光画像17a及び第2赤外線画像19bを記憶部16に記憶させる。記憶部16に記憶される可視光画像17a及び第2赤外線画像(第2画像)19bはそれぞれ、
図7のとおり、基準位置マーク72がダクトD7の内部の中心付近方向に向いた可視光画像及び赤外線画像である。
【0043】
ステップS104:制御部11の第2画像処理部11bは、記憶部16に記憶された第2赤外線画像19bを読み出し、読み出した第2赤外線画像19bに含まれる各画素の温度情報を取得する。第2画像処理部11bは、第2赤外線画像19bの各画素のうち、基準位置マーク72及び基準位置マーク72の周囲と重なることになる各画素の温度を用いて、基準温度(第2温度)を設定する。各画素の温度が異なる場合、基準温度は各画素の温度の平均値とすればよい。
図7の画面例70では、温度表示欄72aのとおり、基準温度は「35.0℃」である。
【0044】
ステップS105:第2画像処理部11bは、以下の式により、温度範囲の上限値Tw+及び下限値Tw-を算出する。
Tw=k×A×(T2-T1)B+C・・・(1)
Tw+=T2+D×Tw ・・・(2)
Tw-=T2-(1-D)×Tw ・・・(3)
ここで、kは倍率(第3係数)、A、B、C及びDは所定の係数、T1は周囲環境温度(第1係数)、T2は基準温度(第2係数)である。
【0045】
式(1)~(3)は、算出式データ16cとして、記憶部16に記憶されている。また、係数A、係数B及び係数Cは、算出式データ16cとして、記憶部16に記憶されている。
【0046】
図6及び
図7の例では、周囲環境温度T1は「20.0℃」であり、基準温度T2は「35.0℃」である。また、例えば、係数Aを「0.58」とし、係数Bを「1.0」とし、係数Cを「0」とし、係数Dを「0.25」とする。また、倍率kを「1」とする。この場合、式(1)~(3)にそれぞれを代入することにより、下記のとおり、温度範囲の上限値Tw+及び下限値Tw-が算出される。
Tw=1×0.58×(35.0-20.0)
1.0+0=8.7
Tw+=35.0+0.25×8.7=37.2
Tw-=35.0-(1-0.25)×8.7=28.5
上記のとおり、温度範囲の上限値Tw+は「37.2℃」であり、温度範囲の下限値Tw-は「28.5℃」である。第2画像処理部11bは、上記のとおり、温度範囲の上限値Tw+及び下限値Tw-を設定する。第2画像処理部11bによって温度範囲の上限値Tw+及び下限値Tw-が設定されるので、ユーザが上限値Tw+及び下限値Tw-を設定する手間が無くなる。
【0047】
第2画像処理部11bは、上限値及び下限値が設定された温度範囲において、各温度に各色相を割当てる。第2画像処理部11bは、各温度に割り当てられた色相が反映されたカラーバー71aの画像を生成する。カラーバー71aの画像は、例えば、下限値Tw-から上限値Tw+に向かうにつれて「青」、「緑」、「赤」と変化する画像である。第2画像処理部11bは、記憶部16に記憶された温度範囲データ16bを参照して、各温度に割り当てられる色相を決定する。各温度に割り当てられる色相は、温度範囲データ16bとして、記憶部16に記憶されている。また、各温度に割り当てられる色相は、ユーザにより随時書き換え可能である。
【0048】
また、
図7のとおり、カラーバー71aの上端部付近に上限値Tw+である「37.2℃」と記載された上限値表示欄71cが表示されている。カラーバー71aの下端部付近に「28.5℃」と記載された下限値表示欄71dが表示されている。また、カラーバー71aには基準温度T2である「35.0℃」に相当する場所を示す基準温度マーカ71bが表示されている。
【0049】
また、第2画像処理部11bは、第2赤外線画像19bに含まれる各画素の温度情報から、
図7の画面例70における平均温度、最高温度及び最低温度を設定する。このように設定された平均温度、最高温度及び最低温度が、それぞれ、温度表示欄710に、符号710aが付された「Avg.25.2℃」、符号710bが付された「Max.43.8℃」と、符号710cが付された「Min.9.3℃」として表示されている。
【0050】
ここで、倍率調整バー74aについて説明する。表1は、倍率kと倍率調整バー74aに表示されている整数値の対応関係を示した表である。
【0051】
【0052】
表1のとおり、倍率kが「1/5」のとき、符号74bを付した箇所に表示される整数値は「1」である。符号74bを付した箇所は、
図7のとおり、倍率調整バー74aの中心付近に位置する。倍率kが「1」のとき、符号74bを付した箇所に表示される整数値は「5」である。このように、倍率kは上記箇所に表示される整数値と対応している。
【0053】
図7の画面例70では、倍率kに対応する整数値「5」が符号74bを付した箇所に表示されている。「5」が表示されている箇所から左方向に向けて順に小さくなる「4」、「3」、「2」及び「1」の整数値が倍率調整バー74aの長手方向である横軸に対して所定間隔で並ぶ各縦線74cの位置に対応する。最小値である「1」は倍率調整バー74aの左方向側の端部の縦線74cの位置に対応する。また、「5」が表示されている箇所から右方向に向けて順に大きくなる「6」、「7」、「8」及び「9」の整数値が倍率調整バー74aの横軸に対して所定間隔で並ぶ各縦線74cの位置に対応する。最大値である「9」は倍率調整バー74aの右方向側の端部の縦線74cの位置に対応する。ユーザは、倍率調整バー74a上に並ぶ各縦線74cをタッチ操作することによって、倍率kを選択することができる。また、ユーザは、倍率調整バー74aの両端位置にそれぞれ配置された三角マーク74d及び74eをタッチ操作し、丸印マーク74fを左方向又は右方向に移動させることによって、倍率kを選択することもできる。
【0054】
なお、倍率kが高くなる、すなわち、整数値が大きくなると、式(1)~(3)により、温度範囲の上限値Tw+は大きくなると共に、下限値Tw-は小さくなる。すなわち、温度範囲の幅は増大する。一方、倍率kが低くなる、すなわち、整数値が小さくなると、式(1)~(3)により、温度範囲の上限値Tw+は小さくなると共に、下限値Tw-は大きくなる。すなわち、温度範囲の幅は減少する。
【0055】
なお、
図7に示したカラーバー71a、倍率調整バー74a、画面例70に表示されているその他の各要素の表示位置はあくまでも一例であり、
図7に示した位置に限られるものではない。
【0056】
第1画像処理部11aは、カラーバー71a、倍率調整バー74a、画面例70に表示されているその他の各要素を画面10aに表示させるための各画像を生成する。
【0057】
ステップS106:第2画像処理部11bは、記憶部16に記憶された第2赤外線画像19bを読み出し、読み出した第2赤外線画像19bから、上限値Tw+及び下限値Tw-が設定された温度範囲において、ダクトD7及びダクトD7の周囲環境の温度分布を色で示す熱画像を生成する。より詳細には、第2画像処理部11bは、記憶部16に記憶された温度範囲データ16bを参照して、第2赤外線画像19bの各画素の温度に基づき各画素の色を決定し、温度に応じて各画素を色付けした熱画像を生成する。
【0058】
なお、第2画像処理部11bは、当該熱画像のうち、上限値Tw+を超える温度が得られた画素からなる部分(上限画像)及び下限値Tw-を下回る温度が得られた画素からなる部分(下限画像)に関しては、色相を固定しても良い。本実施形態では、上述のとおり、「彩度」及び「明度」を固定し、「色相」を変化させている。上限画像及び下限画像に関して「色相」を固定することによって、上限値Tw+及び下限値Tw-が設定された温度範囲において生成される熱画像に関してのみ、「色相」を変化させることができる。温度範囲の上限値及び下限値から外れた温度の熱画像に関しては「色相」を固定することで、ユーザは、測定したい温度範囲の「色相」のみを認識することが容易となる。本実施形態とは異なり、例えば、「色相」を固定し、「彩度」及び「明度」を変化させる場合であれば、上限画像及び下限画像に関して「彩度」及び「明度」のうちの少なくともいずれか1つを固定すればよい。
【0059】
図7の例では、ダクトD7の表面のうち、堆積物X7の存在により周囲と温度差が生じた表面部分が、その周囲と異なる色付けがなされている。
【0060】
ステップS107:第2画像処理部11bは、カラーバー71a、倍率調整バー74a、画面例70に表示されているその他の各要素を画面10aに表示させるための各画像を表示処理部11dに出力する。また、第2画像処理部11bは、熱画像を表示処理部11dに出力する。第3画像処理部11cは、記憶部16に記憶された可視光画像17aを読み出し、読み出した可視光画像17aを表示処理部11dに出力する。
【0061】
表示処理部11dは、第2画像処理部11b及び第3画像処理部11cから入力された各画像を画面10aに重畳して表示させる。
図7の画面例70では、可視光画像に含まれるダクトD7の画像と、熱画像に含まれる堆積物X7の画像とが重ね合わされている。このため、ユーザは、堆積物X7の位置を特定し易くなる。
【0062】
ステップS108:制御部11は、タッチパネル15からのユーザ操作が無ければ(ステップS108にてNO)、次のステップS109に進む。
【0063】
一方、制御部11は、タッチパネル15からのユーザ操作が有れば(ステップS108にてYES)、再び、ステップS105の処理を実行する。
【0064】
より具体的には、ステップS108にて、
図7の倍率調整バー74a上の各縦線74c又は倍率調整バー74aの両端の三角マーク74d及び74eがタッチ操作されることによって、倍率kが選択される。タッチパネル15は、ユーザの指又はスタイラスペンによるタッチ操作によって選択された整数値を検出する。ステップS105にて、第2画像処理部11bは、タッチパネル15により検出された整数値に対応する倍率kを式(1)~式(3)に代入することによって、温度範囲の上限値Tw+及び下限値Tw-を算出する。以降は、上述のステップS105~ステップS108の処理が実行される。
【0065】
ユーザは、画面10aに表示された熱画像を見ながら、
図7の倍率調整バー74a上の各縦線74c又は倍率調整バー74aの両端の三角マーク74d及び74eをタッチ操作することだけで、上述の上限値及び下限値を簡単な操作で変更することができる。ユーザにより自由に設定された上限値及び下限値の温度範囲で熱画像を表示することにより、ユーザにとって使い勝手のよい方法を提供している。
【0066】
また、一般的な赤外線カメラは、撮像された画像における温度の最小値及び最大値を自動的に認識し、認識した最小値と最大値の間の温度範囲において、各温度に各色相を割当てる。例えば、撮像された画像内に、周囲と大きな温度差が生じた物体が存在すると、赤外線カメラは当該物体の温度を最小値又は最大値として自動的に認識する。このため、ユーザが確認したい箇所における僅かな温度差に対する色相の変化は粗くなり、当該温度差をユーザは色相の変化で認識することができない。
【0067】
画像表示装置10によれば、ユーザは、このような場合であれば、上述の上限値及び下限値を簡単な操作で変更し、上述の物体の温度を温度範囲から外せばよい。これにより、ユーザは、変更した上限値及び下限値の温度範囲で生成された熱画像にユーザが確認したい箇所における僅かな温度差を表示させることができる。
【0068】
ステップS109:制御部11は、基準温度の再設定が不要であれば(ステップS109にてNO)、その動作を終了する。
【0069】
一方、制御部11は、基準温度の再設定が必要であれば(ステップS109にてYES)、再び、ステップS103の処理を実行する。
【0070】
より具体的には、ユーザが画像表示装置10の撮像範囲FAの中心を現状向いている方向とは異なる、新たな方向に向け始めたとする。その後、画像表示装置10の撮像範囲FAの中心が上記新たな方向に向くと、ユーザは、画像表示装置10の撮像範囲FAの中心が上記新たな方向から外れないように画像表示装置10の動きを停止させる。制御部11は、画像表示装置10の動きの停止によって基準温度の再設定が必要であると判断し、再び、可視光画像17a及び第2赤外線画像19bを記憶部16に記憶させる。以降は、上述のステップS103~ステップS109の処理が実行される。
【0071】
また、制御部11は、画像表示装置10の動きの停止の有無によらず、所定の時間経過毎に、可視光画像17a及び第2赤外線画像19bを記憶部16に記憶させても良い。この場合、制御部11は、ステップS109にて、前回、可視光画像17a及び第2赤外線画像19bを記憶部16に記憶させてから所定の時間が経過していれば、基準温度の再設定が必要であると判断する。
【0072】
〔実施形態1の変形例1〕
図8は、画像表示装置10が可視光画像及び熱画像を表示させた画面10aの一例を示す図である。
図8のとおり、画面10aの一例である画面例80では、可視光画像と熱画像とが重畳して表示された画像81と、画像81に含まれる可視光画像のみが表示された画像82とが、互いに隣接して配置されている。制御部11は、画面例80の画像を生成し、当該画像を画面10aに表示させる。
【0073】
図8のとおり、画像表示装置10が、画像81と画像82とを対比して表示させることで、ユーザは温度分布変化が生じている部分が、可視光画像である画像82で表示されているどの部分であるのかを容易に特定することができる。これによって、ユーザは、ダクトのどの部分に堆積物が存在するのかを容易に識別できる。
【0074】
〔実施形態1の変形例2〕
図9は、画像表示装置10の画面10aの一例を示す図である。
図9のとおり、画面10aの一例である画面例90は、上述の式(1)~(3)に含まれる係数A、係数B、係数C及び係数Dの値を変更するための画面である。制御部11は、画面例90の画像を生成し、当該画像を画面10aに表示させる。
【0075】
画面例90には、係数A、係数B、係数C及び係数Dの各名称と、係数A、係数B、係数C及び係数Dの現在の各値とが対応付けられたテーブル94が表示されている。具体的には、符号94aが付された列には係数A等の各名称が記載されている。符号94bが付された列には係数A等の現在の各値が記載されている。画面例90には、符号91が付された式(1)、符号92が付された式(2)及び符号93が付された式(3)も併せて表示されている。
【0076】
画像表示装置10のユーザは、係数A、係数B、係数C及び係数Dの各値を画面例90から変更することができる。例えば、ユーザは、係数Aの現在の値である「0.58」の記載欄をタッチ操作することによって、係数Aの値を変更することができる。同様に、係数B、係数C及び係数Dについても、それぞれの現在の値が記載された記載欄をタッチ操作することによって、それぞれの値を変更することができる。
【0077】
図10は、画像表示装置10の画面10aの一例を示す図である。
図10のとおり、画面10aの一例である画面例100は、上述の式(1)に含まれる倍率kの値を変更するための画面である。制御部11は、画面例90の画像を生成し、当該画像を画面10aに表示させる。
【0078】
画面例100には、
図7の符号74bを付した箇所に表示される各整数値と、倍率kの各値とが対応付けられたテーブル102が表示されている。具体的には、符号102aが付された列には各整数値が記載されている。符号102bが付された列には倍率kの各値が記載されている。画面例100には、符号101が付された式(1)も併せて表示されている。
【0079】
画像表示装置10のユーザは、各整数値に対応付けられた倍率kの値を任意の値に変更することができる。例えば、ユーザは、整数値「9」に対応付けられた倍率kの値である「5」の記載欄をタッチ操作することによって、整数値「9」に対応付けられた倍率kの値を変更することができる。同様に、整数値「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」についても、それぞれに対応付けされた倍率kの値の記載欄をタッチ操作することによって、それぞれの値を変更することができる。
【0080】
このように、ユーザは、各種係数A、B、C及びDと整数値と対応する倍率kを変更できるので、画像表示装置10の温度分布の様々な表示態様に対応することができる。
【0081】
〔実施形態1の変形例3〕
図11は、画像表示装置10の画面10aの一例を示す図である。
図11のとおり、画面10aの一例である画面例111は、マニュアルモードで温度範囲の上限値及び下限値を設定するための設定画面である。
【0082】
実施形態1では、周囲環境温度T1と基準温度T2を設定した後、上記の式(1)~(3)により、温度範囲の上限値Tw+及び下限値Tw-が算出されていた。
【0083】
本変形例では、
図11のとおり、ユーザが、カラーバー111aの上限値表示欄111c及び下限値表示欄111d近傍に配置された三角マーク111e及び111fをタッチ操作することによって、温度範囲の上限値Tw+及び下限値Tw-を変更することができる。
【0084】
ユーザは、画面111の右下にあるAutoManual切替ボタン115をタッチ操作することで、マニュアルモードに切り替えることができる。
【0085】
これによって、ユーザは、温度範囲の上限値Tw+及び下限値Tw-を手動で設定することができるので、熱画像を表示させる温度範囲を微妙に変化させたい場合にも対応することができる。
【0086】
なお、
図11に示した、三角マーク111e及び111fを除く各要素については、
図7に示した各要素に対応するものであるため、ここでは説明を繰り返さない。
図11の各要素と
図7の各要素とは、各画面例における位置が同じ位置である要素同士が対応する。
【0087】
〔実施形態1の変形例4〕
上述のとおり、
図7の画面例70には、領域74の下方に、ユーザのタッチ操作を促す、モード変更ボタン75、動画撮影ボタン76、スクリーンショットボタン77と、フォルダ参照ボタン78と、設定ボタン79と、が表示されている。画面例70に表示されている。
【0088】
モード変更ボタン75は、画像表示装置10のモードを切り替えるためのボタンである。ユーザは、モード変更ボタン75をタッチ操作することによって、画像表示装置10のモードをオートモードとマニュアルモードとの間で切り替えることができる。なお、オートモードは、上述の実施形態1にて説明した画像表示装置10の動作を実行するモードである。マニュアルモードは、上述の実施形態1の変形例3にて説明した画像表示装置10の動作を実行するモードである。
【0089】
動画撮影ボタン76は、被写体に動きがある場合に動画を撮影するためのボタンである。ユーザは、例えば、被写体に、移動する構造物が含まれる場合、動画撮影ボタン76をタッチ操作する。このタッチ操作によって、当該構造物の動画画像である可視光画像及び熱画像が生成され、当該動画画像が画面10aに表示される。なお、生成された動画画像は、画像表示装置10内の所定の記憶装置に記憶される。例えば、当該動画画像は記憶部16に記憶される。
【0090】
スクリーンショットボタン77は、画面10aをスクリーンショットするためのボタンである。ユーザは、例えば、動画撮影ボタン76のタッチ操作によって、動画画像が画面10aに表示されている場合、所望のタイミングでスクリーンショットボタン77をタッチ操作する。このタッチ操作によって、静止画像が生成される。なお、生成された静止画像は、画像表示装置10内の所定の記憶装置に記憶される。例えば、当該動画画像は記憶部16に記憶される。
【0091】
フォルダ参照ボタン78は、動画撮影ボタン76のタッチ操作によって生成された動画画像、及び、スクリーンショットボタン77のタッチ操作によって生成された静止画像、にアクセスするためのボタンである。例えば、上記動画画像及び上記静止画像は所定の記憶装置内に作成されたフォルダ内に記憶される。ユーザは、フォルダ参照ボタン78のタッチ操作によって、当該フォルダにアクセスし、当該フォルダ内の動画画像及び静止画像を表示させたり、削除したりすることができる。
【0092】
なお、画像表示装置10は、通信部21を介して、ネットワークに接続する。画像表示装置10は、当該ネットワークに接続されたサーバに、当該ネットワークを介して、上述のフォルダ内の動画画像及び静止画像をアップロードすることができる。サーバはアップロードされた動画画像及び静止画像をネットワークを介して当該ネットワークに接続された他の装置にダウンロードすることができる。
【0093】
設定ボタン79は、上述した
図9の画面例90及び
図10の画面例100を画面10aに表示させるためのボタンである。ユーザは、設定ボタン79をタッチ操作することによって、画面10aに
図9の画面例90及び
図10の画面例100を表示させることができる。なお、ユーザは、設定ボタン79をタッチ操作することによって、画像表示装置10の各種設定を変更するための画面を画面10aに表示させることができる。
【0094】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0095】
本実施形態は、実施形態1の可視光カメラ17が存在しない場合である。
図12は、実施形態2に係る画像表示装置10に含まれる制御部11の機能的な構成を示す図である。制御部11は、第1画像処理部11aと、第2画像処理部11bと、表示処理部11dとを含む。制御部11に含まれる上記の各処理部11a、11b及び11dは、制御部11が画像表示プログラム16aを実行することにより実現される。
図12の制御部11が
図4の制御部12と異なる点は、第3画像処理部11cを不要とする点である。
【0096】
画像表示装置10は、赤外線カメラ19で撮像した赤外線画像に基づく熱画像を表示部13に表示させる画像表示機能を有する。この画像表示機能は、画像表示プログラム16aにより実現される。
【0097】
図13は、実施形態2に係る画像表示装置の動作を示すフローチャートである。
図13のフローチャートは、画像表示装置10が、可視光カメラ17で撮像される可視光画像17aを用いない構成のフローチャートである。
図13のフローチャートのステップS201~S209のそれぞれが、
図5のフローチャートのステップS201~S209のそれぞれに対応する。
図13のフローチャートと
図5のフローチャートとが異なる点は可視光カメラ17で撮像された可視光画像を用いない点のみである。したがって、
図13のフローチャートの各ステップについては詳細な説明を行わない。
【0098】
〔ソフトウェアによる実現例〕
画像表示装置10の制御部11は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0099】
後者の場合、制御部11は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPUを用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0100】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0101】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る画像表示装置は、内部に流体が流れる配管等及び当該配管等が配置された周囲環境を含む被写体の温度分布を色で示す熱画像を表示する画面を有する表示部と、前記表示部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記熱画像のうちの前記周囲環境に対応する第1画像に含まれる第1位置において前記熱画像から得られる温度を第1温度とし、前記熱画像のうちの前記配管等に対応する第2画像に含まれる第2位置において前記熱画像から得られる温度を第2温度として、それぞれ設定し、前記第1温度及び前記第2温度を用いて、温度範囲の上限値及び下限値を算出し、前記上限値及び前記下限値が算出された温度範囲において前記被写体の温度分布を色で示すように前記熱画像を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0102】
上記構成によれば、配管等の任意の箇所とその周囲とに大きな温度差が生じた場合でも、温度範囲の上限値及び下限値をユーザが自ら温度範囲を調整することなく、自動で温度範囲を調整することで、熱画像に当該箇所における僅かな温度差をユーザの手間なく表示することができる。
【0103】
本発明の態様2に係る画像表示装置は、前記態様1において、前記制御部は、前記上限値及び前記下限値を、前記第1温度を第1変数とし、前記第2温度を第2変数とする算出式から算出することを特徴とする。
【0104】
上記構成によれば、第1温度及び第2温度に基づいて温度範囲の上限値及び下限値を算出式から設定することができる。
【0105】
本発明の態様3に係る画像表示装置は、前記態様2において、前記算出式はさらに、予め定められた複数の異なる数値のうちのいずれかをとる第1係数を第3変数とすることを特徴とする。
【0106】
上記構成値によれば、倍率に基づいて温度範囲の上限値及び下限値を算出式から設定することができる。
【0107】
本発明の態様4に係る画像表示装置は、前記態様1~3において、前記制御部は、前記画像表示装置が移動する毎に前記第2温度を再設定することを特徴とする。
【0108】
上記構成によれば、画像表示装置を移動させることで、基準温度を変更し新たな熱画像を表示することができる。
【0109】
本発明の態様5に係る画像表示装置は、前記態様1~4において、前記制御部は、前記上限値及び前記下限値が算出される毎に前記温度範囲を表す第1矩形画像を前記熱画像に重畳するように前記表示部に表示させ、前記第1矩形画像の長手方向は前記温度範囲における温度の増加又は減少する方向であり、前記第1矩形画像の長手方向における一端側は前記上限値に対応し、他端側は前記下限値に対応することを特徴とする。
【0110】
上記構成によれば、温度範囲の上限値から下限値までの温度分布に対応した色を表示するカラーバーを熱画像に重畳させて表示することができる。
【0111】
本発明の態様6に係る画像表示装置は、前記態様1~5において、前記制御部は、前記被写体の温度分布を色相、彩度又は明度の少なくとも1つの変化で示すように前記熱画像を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0112】
上記構成によれば、熱画像に表示させる温度分布の態様は、色相、彩度又は明度の少なくとも1つの中から選択することができる。
【0113】
本発明の態様7に係る画像表示装置は、前記態様6において、前記制御部は、前記熱画像を前記表示部に表示させる際、前記熱画像のうちの、前記上限値を超える温度が得られた上限画像及び前記下限値を下回る温度が得られた下限画像に関しては、色相、彩度及び明度の少なくともいずれか1つを固定することを特徴とする。
【0114】
上記構成によれば、温度範囲の上限値及び下限値から外れた温度を持つ物体を色相、彩度又は明度のいずれか1つの固定した色に表示することで、測定したい温度範囲の色のみユーザは、認識することが容易となる。
【0115】
本発明の態様8に係る画像表示装置は、前記態様3において、前記制御部は、前記算出式における前記第1係数を変更するためのユーザインターフェースである第2矩形画像を前記熱画像に重畳するように前記表示部に表示させ、前記第2矩形画像の長手方向は前記複数の異なる数値を大きくなる順序又は小さくなる順序で並べた方向であり、前記第2矩形画像の長手方向における一端側が前記複数の異なる数値のうちの最小値に対応し、他端側が最大値に対応し、前記第2矩形画像の長手方向において所定間隔で離れた各位置が前記複数の異なる数値のうちの前記最小値及び前記最大値を除く数値のそれぞれに対応することを特徴とする。
【0116】
上記構成によれば、第1係数を変更するためのユーザインターフェースである倍率調整バーが、熱画像に重畳して表示される。
【0117】
本発明の態様9に係る画像表示装置は、前記態様1~8において、前記表示部はさらに、前記被写体の可視光画像を表示し、前記制御部は、前記熱画像に前記可視光画像を重畳させて前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0118】
上記構成によれば、可視光画像と熱画像とが重ね合わされているので、ユーザは配管等の位置を特定し易くなる。
【0119】
本発明の態様10に係る画像表示装置は、前記態様1~9において、ユーザが持ち運び可能な端末であることを特徴とする。
【0120】
上記構成によれば、ユーザが画像表示装置を持ち運び可能であるので、配管等の任意の箇所を含む熱画像を画像表示装置に表示可能となる。
【0121】
本発明の各態様に係る画像表示装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記画像表示装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記画像表示装置をコンピュータにて実現させる画像表示装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【符号の説明】
【0122】
10 画像表示装置
10a 画面
11 制御部
11a 第1画像処理部
11b 第2画像処理部
11c 第3画像処理部
11d 表示処理部
13 表示部
15 タッチパネル
16 記憶部
17 可視光カメラ
19 赤外線カメラ