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  • 特許-車両用ランプ取付け構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】車両用ランプ取付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/26 20060101AFI20240709BHJP
   B60R 19/24 20060101ALI20240709BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20240709BHJP
【FI】
B60Q1/26 A
B60R19/24 R
F21S41/19
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020199375
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087443
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】隈 光祐
(72)【発明者】
【氏名】小池 裕樹
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-226316(JP,A)
【文献】特開平10-138828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/26
B60R 19/24
F21S 41/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ランプ取付け構造であって、
車両ボデーにはバンパを取付けるためのバンパ支持部材が取付けられており、
車両用ランプには前記車両ボデーに対し前記車両用ランプを取付ける方向に延びるピンと該ピンから径方向に離隔した位置に設けられたスライドガイド部とが設けられており、
前記車両ボデー又は前記バンパ支持部材のいずれかに設けられた前記取付ける方向に延びるガイド孔に前記ピンを挿入して前記車両用ランプを前記車両ボデーに近接させていったとき、前記バンパ支持部材に設けられたガイド部に前記スライドガイド部が当接して摺動することにより案内されて、前記車両用ランプが前記ピンを中心に回動しながら前記車両ボデーの所定位置に位置決めされる車両用ランプ取付け構造。
【請求項2】
請求項1において、前記ガイド部は第1ガイド部と第2ガイド部とを備え、
前記ピンを前記ガイド孔に挿入して前記車両用ランプを前記車両ボデーに近接させていったとき、前記第1ガイド部は前記スライドガイド部に当接して前記スライドガイド部を上方に押圧するように摺動させ、前記第2ガイド部は前記スライドガイド部に当接して前記スライドガイド部を前記ピンの方向に押圧するように摺動させる車両用ランプ取付け構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記ガイド部は前記バンパ支持部材において前記バンパの裏面側に向かって近接するように突出した部分に設けられている車両用ランプ取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ランプを車両の所定位置に取付けるための車両用ランプ取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ランプには、車体側に設けられた係合部に対してランプ側に設けられた被係合部をスライドさせながら挿入することにより車体に対して取付けられるものがある。特許文献1には、車体側の部品であるバンパホルダの上面部に形成された一対のT字形状の係合部に対して、リアランプの下面部に形成された一対の被係合部を車両前後方向にスライドさせながら挿入することによりリアランプをリアバンパに取付ける構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6740745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載されたリアランプのリアバンパに対する取付け構造においては、一対の係合部に対する一対の被係合部の上下左右の位置を正確に一致させたうえで車両前後方向にスライドさせる必要がある。これによって、リアランプをリアバンパに取付ける作業が容易でないという問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、車両用ランプを車両の所定位置に作業性良く取付けることが可能な車両用ランプ取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、車両用ランプ取付け構造であって、車両ボデーにはバンパを取付けるためのバンパ支持部材が取付けられており、車両用ランプには前記車両ボデーに対し前記車両用ランプを取付ける方向に延びるピンと該ピンから径方向に離隔した位置に設けられたスライドガイド部とが設けられており、前記車両ボデー又は前記バンパ支持部材のいずれかに設けられた前記取付ける方向に延びるガイド孔に前記ピンを挿入して前記車両用ランプを前記車両ボデーに近接させていったとき、前記バンパ支持部材に設けられたガイド部に前記スライドガイド部が当接して摺動することにより案内されて、前記車両用ランプが前記ピンを中心に回動しながら前記車両ボデーの所定位置に位置決めされること特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、車両ボデーに車両用ランプを取付けるに当たって、車両用ランプのピンを車両ボデー又はバンパ支持部材に設けられたガイド孔に挿入した状態で車両用ランプを車両ボデーに近接させていくだけで車両用ランプが車両ボデーの所定位置に位置決めされる。これによって、車両用ランプを車両の所定位置に作業性良く取付けることができる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記ガイド部は第1ガイド部と第2ガイド部とを備え、前記ピンを前記ガイド孔に挿入して前記車両用ランプを前記車両ボデーに近接させていったとき、前記第1ガイド部は前記スライドガイド部に当接して前記スライドガイド部を上方に押圧するように摺動させ、前記第2ガイド部は前記スライドガイド部に当接して前記スライドガイド部を前記ピンの方向に押圧するように摺動させることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、ピンがガイド孔に対して遊嵌状態であっても第1ガイド部と第2ガイド部の働きにより車両用ランプが車両ボデーの所定位置に位置決めされる。これによって、ガイド孔にピンを挿入することが容易となり取付け作業性がさらに向上する。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1発明又は上記第2発明において、前記ガイド部は前記バンパ支持部材において前記バンパの裏面側に向かって近接するように突出した部分に設けられていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、バンパがバンパ支持部材に対して取付けられたとき、ガイド部がバンパの裏面側に近接した状態で配置される。これによって、バンパに外部から大きな変形力が印加されたとき、バンパに裏面側から当接してパンパの変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用ランプ取付け構造において、車両の後部に車両用ランプを取付けた状態を示す斜視図である。
図2】上記実施形態において、車両ボデーに車両用ランプとバンパ支持部材を取付ける状態を示す模式図である。
図3】上記実施形態における車両用ランプの分解斜視図である。
図4】上記実施形態におけるバンパ支持部材の斜視図である。
図5】上記実施形態におけるバンパ支持部材のガイド部に車両用ランプのスライドガイド部が当接して摺動していく状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図5は、本発明の一実施形態である車両用ランプ取付け構造を示している。図中に示す前後、左右、上下の各方向は、車両用ランプの一例であるリアランプ10を車両ボデー20に取付けたときの車両の前後、左右、上下の各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。ここで、リアランプ10が、特許請求の範囲の「車両用ランプ」に相当する。
【0014】
図1に示すように、リアランプ10が取付けられる車両ボデー20には、バックドア21によって開閉可能とされた開口部22が設けられている。開口部22の下側にはリアバンパ23が取付けられている。リアバンパ23の左右両側において、開口部22の左右両側に沿って上方に向かって延びるリアバンパ23の延長部材である左右一対のリアバンパフィラー24が設けられている。左右一対のリアバンパフィラー24の裏面側は、それぞれ車両ボデー20に固定されたバンパ支持部材30に取付けられている。これによって、リアバンパフィラー24は車両ボデー20に対して強固に固定され、車両走行時の振動等によってリアバンパフィラー24が垂れ下がるのを防止する働きをする。左右一対のリアバンパフィラー24の上側には、それぞれリアランプ10が取付けられている。
【0015】
図2及び図3に示すように、リアランプ10は、バックランプ、ブレーキランプ、方向指示器が一体的に形成された、いわゆるリアコンビネーションランプである。リアランプ10は、車両ボデー20の左右方向中心面に関して対称形状に形成されているので代表として右側のリアランプ10について説明する。リアランプ10は、リアバンパフィラー24の上側に隣接してリアピラー25の下側との間におけるコーナ部分に配置されており、後方から見て略矩形状をしている。リアランプ10は、ランプ本体部11と、ランプ本体部11の下側に取付けられたリテーナ部12と、を有する。リテーナ部12は、上下方向に延びる複数のリブが設けられて剛性が高められた板状の部材で、左前部に前方に向けて延びるピン12aが配設されている。ピン12aは先端部が先細り形状に形成され後述する車両ボデー20に設けられたガイド孔20aに挿入し易くなっている。リテーナ部12の右前部には、前方に向けて延びるスライドガイド部12bが設けられている。スライドガイド部12bは、水平面部12b1と、水平面部12b1の右端部から下方に向かって延びる垂直面部12b2と、を有している。水平面部12b1と垂直面部12b2は直角に交わり、これによってスライドガイド部12bの横断面はL字状とされている。垂直面部12b2の下側端部は、左右方向から見て前後方向に延びる水平部12b21と、水平部12b21の前端部から斜め上方に向けて延びる傾斜部12b22と、を有する。水平部12b21と傾斜部12b22は滑らかに連結されている。リテーナ部12の後下部には、リテーナ部12にリアバンパ23を連結するビスを通すための長孔12cが設けられている。
【0016】
図2及び図4に示すように、バンパ支持部材30は、車両ボデー20の左右方向中心面に関して対称形状に形成されているので代表として右側のバンパ支持部材30について説明する。バンパ支持部材30は、左右方向に延びる複数のリブが設けられて剛性が高められた板状の部材で、左右方向から見て長軸方向を前後方向とする略矩形状をしている。具体的には、板状部31と、板状部31から右方向に延びる複数のリブ32と、を有し、車両ボデー20に対し連結するためのビスを通すための複数のビス孔33が設けられている。バンパ支持部材30は、後上部に後上方に向けて延び出す延長部34を有し、延長部34の上端部には前後方向に延びるガイド部35が形成されている。ガイド部35は、右方に向けて開口するボックス状をしており、ボックスの内部は右方に向かって延びる複数のリブ35aで補強されているとともに、車両ボデー20に対し連結するためのビスを通すためのビス孔35bが設けられている。ガイド部35の後端部側には、略垂直方向に延びる後面部35cと、略水平方向に延びる上面部35dと、後面部35cと上面部35dで形成されるコーナ部を面取り状に形成した斜面部35eと、が形成されている。そして、上面部35dの右端部には上方に向かって立ち上がる縦面部35fが形成されている。縦面部35fは、上方から見て前方に向かうにつれて左方向に傾斜する面として形成されている。後面部35cは、車両ボデー20にバンパ支持部材30とリアバンパ23が取付けられたとき、リアバンパ23の前面部に近接して位置する。斜面部35eと上面部35dは、車両ボデー20にバンパ支持部材30が取付けられた状態で、リアランプ10を車両ボデー20に取付けるために近接させていったとき、スライドガイド部12bの水平部12b21と傾斜部12b22が当接して摺動していく部分である。また、縦面部35fは、車両ボデー20にバンパ支持部材30が取付けられた状態で、リアランプ10を車両ボデー20に取付けるために近接させていったとき、スライドガイド部12bの垂直面部12b2の右側面が当接して摺動していく部分である。詳細については後述する。ここで、斜面部35eと上面部35dが、特許請求の範囲の「第1ガイド部」に相当し、縦面部35fが、特許請求の範囲の「第2ガイド部」に相当する。
【0017】
図2に示すように、車両ボデー20におけるリアランプ10の取付け箇所には、ピン12aを通すガイド孔20aが設けられている。ガイド孔20aの内径は、ピン12aの外径より若干大きく設定されている。車両ボデー20の所定の位置には、バンパ支持部材30がビスで固定されている。
【0018】
図2図5に基づいて、車両ボデー20にリアランプ10を取付ける作業手順について説明する。車両ボデー20にバンパ支持部材30が取付けられた状態で、リアランプ10のピン12aを先端部から車両ボデー20のガイド孔20aの中に挿し込んでいく。このとき、ピン12aを先端部は先細り形状に形成されているので挿し込みやすい。この状態でリアランプ10は、車両ボデー20に対しピン12aを中心にスライドガイド部12bが上下方向に移動するように回転可能となっている。ここからリアランプ10におけるリテーナ部12を略水平状態に保ちながら、さらに車両ボデー20に対してリアランプ10を前方向に移動させ近接させていくと、リアランプ10のスライドガイド部12bの傾斜部12b22が、バンパ支持部材30のガイド部35の斜面部35eに当接する。この状態からさらに車両ボデー20に対してリアランプ10を前方向に移動させ近接させていくと、スライドガイド部12bの傾斜部12b22から水平部12b21が、ガイド部35の斜面部35eから上面部35dに当接して摺動する。そして、最終的にスライドガイド部12bの水平部12b21がガイド部35の上面部35dに当接した状態で、スライドガイド部12bの上方向への移動に伴うピン12aを中心としたリアランプ10の回転が止まる。この状態がリアランプ10の上下位置が所定の取付け位置に調整された状態である。このとき、同時にスライドガイド部12bの垂直面部12b2の右側面が、ガイド部35の縦面部35fに当接して摺動する。そして、スライドガイド部12bの垂直面部12b2が左方向(ピン12aの方向)に押圧されてリアランプ10を左方向に移動させる。これによって、ガイド孔20aに対して遊嵌状態のピン12aが左方向に移動しリアランプ10の左右位置が所定の取付け位置に調整された状態となる。
【0019】
以上のように構成される実施形態は、以下のような作用効果を奏する。車両ボデー20にリアランプ10を取付けるに当たって、リアランプ10のピン12aを車両ボデー20に設けられたガイド孔20aに挿入した状態でリアランプ10を車両ボデー20に近接させていくだけでリアランプ10が車両ボデー20の所定位置に位置決めされる。これによって、リアランプ10を車両ボデー20の所定位置に作業性良く取付けることができる。また、ガイド部35は、斜面部35e及び上面部35dと、縦面部35fと、を備える。リアランプ10のピン12aを先端部から車両ボデー20のガイド孔20aの中に挿し込んでいったとき、斜面部35e及び上面部35dは、スライドガイド部12bの傾斜部12b22及び水平部12b21に当接してスライドガイド部12bを上方に押圧するように摺動させ、リアランプ10の上下位置を所定の取付け位置に調整することができる。また、リアランプ10のピン12aを先端部から車両ボデー20のガイド孔20aの中に挿し込んでいったとき、縦面部35fは、スライドガイド部12bの垂直面部12b2の右側面に当接してスライドガイド部12bを左方向に押圧するように摺動させ、リアランプ10の左右位置を所定の取付け位置に調整することができる。これによって、ピン12aがガイド孔20aに対して遊嵌状態であってもリアランプ10が車両ボデー20の所定位置に位置決めされるので、ガイド孔20aにピン12aを挿入することが容易となり取付け作業性がさらに向上する。
【0020】
さらに、ガイド部35には斜面部35eが形成され、スライドガイド部12bには傾斜部12b22が形成されているので、ガイド部35に対するスライドガイド部12bの摺動をスムーズにすることができる。加えて、ガイド部35はバンパ支持部材30においてバンパの裏面側に向かって近接するように突出した部分である延長部34に設けられている。これによって、バンパがバンパ支持部材30に対して取付けられたとき、後面部35cがバンパの裏面側に近接した状態で配置されるので、バンパに外部から大きな変形力が印加されたとき、バンパに裏面側から当接してパンパの変形を抑制することができる。
【0021】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0022】
1.上記一実施形態においては、車両用ランプをリアランプ10として構成したが、これに限らず、ヘッドライトとして構成することもできる。この場合のバンパはフロントバンパとなる。
【0023】
2.上記一実施形態においては、ガイド孔20aを車両ボデー20に設けたが、バンパ支持部材30を変形してバンパ支持部材30に設けることもできる。
【符号の説明】
【0024】
10 リアランプ(車両用ランプ)
11 ランプ本体部
12 リテーナ部
12a ピン
12b スライドガイド部
12b2 垂直面部
12b21 水平部
12b22 傾斜部
20 車両ボデー
20a ガイド孔
23 リアバンパ
24 リアバンパフィラー
30 バンパ支持部材
34 延長部
35 ガイド部
35c 後面部
35d 上面部(第1ガイド部)
35e 斜面部(第1ガイド部)
35f 縦面部(第2ガイド部)
図1
図2
図3
図4
図5