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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】車線逸脱防止装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/09 20120101AFI20240709BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20240709BHJP
   B60W 40/105 20120101ALI20240709BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20240709BHJP
   B60W 30/12 20200101ALI20240709BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240709BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20240709BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20240709BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
B60W30/09
B60W30/095
B60W40/105
B60W40/06
B60W30/12
G08G1/16 C
B62D6/00
B62D101:00
B62D119:00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020217660
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102746
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福富 大輔
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-168194(JP,A)
【文献】特開2020-104829(JP,A)
【文献】特開2018-114806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00
B60W 40/00
B60W 60/00
B62D 6/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線に対する車両の位置を検出する車両位置検出装置と、警報装置と、転舵輪を転舵する転舵装置と、前記警報装置及び前記転舵装置を制御する制御ユニットと、を含み、前記制御ユニットは、前記車両位置検出装置により検出された前記車両の位置に基づいて前記車両が車線から逸脱する虞があると判定したときには、前記車両が車線から逸脱することを防止するための前記警報装置による警報の発出及び前記転舵輪の転舵の少なくとも一方を行うよう構成された車線逸脱防止装置において、
前記車線逸脱防止装置は、更に、操舵トルクを検出する操舵トルク検出装置を含み、
前記制御ユニットは、前記車両位置検出装置により検出された前記車両の位置に基づいて前記車両が車線に対し斜行していると判定し、且つ前記操舵トルク検出装置により検出された操舵トルクが基準操舵トルク以上であると判定したときには、前記警報の発出の禁止及び前記転舵輪の転舵の禁止を開始し、前記警報の発出及び前記転舵輪の転舵を禁止している状況において、前記車両位置検出装置により検出された前記車両の位置に基づいて車線に対する前記車両の斜行が終了したと判定したときには、前記警報の発出の禁止及び前記転舵輪の転舵の禁止を解除するよう構成された車線逸脱防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車線逸脱防止装置において、前記制御ユニットは、車速の情報を取得し、車速が高いほど小さくなるよう、前記基準操舵トルクを車速に応じて可変設定するよう構成された車線逸脱防止装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車線逸脱防止装置において、前記制御ユニットは、車速の情報を取得し、前記車両位置検出装置により検出された前記車両の位置及び車速に基づいて車線に垂直な方向への前記車両の移動速度を推定し、前記移動速度及びその時間変化率の少なくとも一方に基づいて、前記車両が車線に対し斜行しているか否かを判定するよう構成された車線逸脱防止装置。
【請求項4】
請求項に記載の車線逸脱防止装置において、前記制御ユニットは、前記移動速度及びその時間変化率の線形和が斜行開始基準値以上であるときに、前記車両が車線に対し斜行していると判定するよう構成された車線逸脱防止装置。
【請求項5】
請求項に記載の車線逸脱防止装置において、前記制御ユニットは、車速が高いほど大きくなるよう、前記斜行開始基準値を車速に応じて可変設定するよう構成された車線逸脱防止装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の車線逸脱防止装置において、前記制御ユニットは、前記警報の発出及び前記転舵輪の転舵を禁止している状況において、前記移動速度及びその時間変化率の線形和が斜行終了基準値以下になったときに、車線に対する前記車両の斜行が終了したと判定するよう構成された車線逸脱防止装置。
【請求項7】
請求項に記載の車線逸脱防止装置において、前記制御ユニットは、車速が高いほど大きくなるよう、前記斜行終了基準値を車速に応じて可変設定するよう構成された車線逸脱防止装置。
【請求項8】
請求項1乃至の何れか一項に記載の車線逸脱防止装置において、前記制御ユニットは、前記警報の発出及び前記転舵輪の転舵を禁止している状況において、前記車両位置検出装置により検出された前記車両の位置に基づいて前記車両が車線内にて車線に沿って走行していると判定したときに、車線に対する前記車両の斜行が終了したと判定するよう構成された車線逸脱防止装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の車線逸脱防止装置において、前記車線逸脱防止装置は、更に、前記車両の前方の障害物を検出する障害物検出装置を含み、前記制御ユニットは、前記警報の発出及び前記転舵輪の転舵を禁止している状況において、前記障害物検出装置により前記車両の前方に障害物が検出されたときには、前記車両位置検出装置により検出された前記車両の位置に基づいて車線に対する前記車両の斜行が終了したと判定しても、前記車両の斜行が終了したと判定してから基準時間以上の時間が経過するまで、前記警報の発出の禁止及び前記転舵輪の転舵の禁止を解除しないよう構成された車線逸脱防止装置。
【請求項10】
請求項に記載の車線逸脱防止装置において、前記制御ユニットは、車速の情報を取得し、車速が高いほど短くなるよう、前記基準時間を車速に応じて可変設定するよう構成された車線逸脱防止装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の車線逸脱防止装置において、前記制御ユニットは、前記車両位置検出装置により検出された前記車両の位置に基づいて前記車両が車線変更したと判定したときには、車線に対する前記車両の斜行が終了したと判定してから前記基準時間以上の時間が経過していなくても、前記警報の発出の禁止及び前記転舵輪の転舵の禁止を解除するよう構成された車線逸脱防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両のための車線逸脱防止装置に係る。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両が車線を逸脱する虞があるときには、転舵輪を自動的に転舵して車両が車線を逸脱することを防止する車線逸脱防止制御が知られている。車線逸脱防止制御が行われていても、運転者が車線変更のように自らの意思に基づく操舵操作によって車両が車線を逸脱するように運転する状況においては、車線逸脱防止制御による転舵輪の転舵が規制される必要がある。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、車両が車線から逸脱する虞が検出されたときには、転舵輪を自動的に転舵すると共に警報装置を作動させて警報を発する車線逸脱防止装置が記載されている。この車線逸脱防止装置においては、車線逸脱防止制御が運転者の意思に基づく操舵操作と干渉することを防止すべく、車両の車線逸脱の虞が検出されても、運転者による急な操舵操作が検出されると、車線逸脱防止制御による転舵輪の転舵や警報が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平09-142327号公報
【発明の概要】
【0005】
〔発明が解決しようとする課題〕
運転者が自らの意思に基づいて車両が車線を逸脱する虞がある状況において、運転者が警報などの煩わしさを感じることを防止するためには、車線からの車両の逸脱の虞が検出される前に、運転者に車線逸脱の意思があることを判定し、転舵輪の転舵や警報を規制することが好ましい。
【0006】
上記公開公報に記載された従来の車線逸脱防止装置においては、車線からの車両の逸脱の虞が検出されたときに、車線逸脱防止制御による転舵輪の転舵が行われ、警報が発せられる。よって、車線逸脱防止制御による転舵輪の転舵及び警報の規制は、車線からの車両の逸脱の虞が検出された状況において、運転者の意思に基づく急な操舵操作が検出された場合に行われる。そのため、従来の車線逸脱防止装置においては、車線からの車両の逸脱の虞が検出される前に、運転者に車線逸脱の意思があることを判定して転舵輪の転舵や警報を規制することができず、運転者が警報などの煩わしさを感じることが避けられない。
【0007】
本発明の主要な課題は、車両の車線逸脱の虞が検出される前に、運転者の車線逸脱の意思を判定して警報の発出や転舵輪の転舵を禁止することにより、運転者が自らの意思に基づいて車両を車線から逸脱させる場合に、運転者が警報などの煩わしさを感じることを防止することである。
【0008】
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、車線(50)に対する車両(18)の位置を検出する車両位置検出装置(CCDカメラ12)と、警報装置(14)と、転舵輪を転舵する転舵装置と、警報装置及び転舵装置を制御する制御ユニット(16)と、を含み、制御ユニットは、車両位置検出装置により検出された車両の位置に基づいて車両が車線から逸脱する虞があると判定したときには、車両が車線から逸脱することを防止するための警報装置による警報の発出及び転舵輪の転舵の少なくとも一方を行うよう構成された車線逸脱防止装置(10)が提供される。
【0009】
車線逸脱防止装置(10)は、更に、操舵トルク(Ts)を検出する操舵トルク検出装置(トルクセンサ28)を含み、制御ユニットは、車両位置検出装置により検出された車両の位置に基づいて車両が車線に対し斜行していると判定し、且つ操舵トルク検出装置により検出された操舵トルクが基準操舵トルク(Tsc)以上であると判定したときには、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止を開始し、警報の発出及び転舵輪の転舵を禁止している状況において、車両位置検出装置(CCDカメラ12)により検出された車両(18)の位置に基づいて車線(50)に対する車両の斜行が終了したと判定したときには、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止を解除するよう構成される。
【0010】
運転者が車線変更のように自らの意思に基づいて車両を車線から逸脱させる場合には、車両の車線逸脱の虞が生じる前に、車両が車線に対し斜行を開始し、操舵トルクが上昇する。よって、車両が車線に対し斜行しているか否か判定すると共に、操舵トルクが大きいか否かを判定することにより、運転者が自らの意思に基づいて車両を車線から逸脱させようとしているか否かを判定することができる。
【0011】
上記の構成によれば、車両が車線に対し斜行していると判定され、且つ操舵トルクが基準操舵トルク以上であると判定されたときには、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止が開始される。よって、車両の車線逸脱の虞が生じる前に、運転者が自らの意思に基づいて車両を車線から逸脱させようとしているか否かを判定することができる。従って、車両の車線逸脱の虞が検出される前に、運転者の車線逸脱の意思を判定して警報の発出及び転舵輪の転舵を禁止することができるので、運転者が自らの意思に基づいて車両を車線から逸脱させる場合に、運転者が警報及び転舵輪の転舵の煩わしさを感じることを防止することができる。
【0012】
また、運転者の不注意により車両が車線から逸脱する場合には、車両が車線に対し斜行しても、操舵トルクは大きい値にならない。よって、車両が車線に対し斜行していると判定されても、操舵トルクが基準操舵トルク以上であると判定されないので、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止は開始されない。従って、警報の発出若しくは転舵輪の転舵を行うことができるので、運転者に注意を喚起し若しくは転舵輪の転舵によって車両が車線から逸脱することを防止することができる。
【0013】
上述のように、上記公開公報に記載された従来の車線逸脱防止装置においては、車両の車線逸脱の虞が検出されても、運転者による急な操舵操作が検出されると、警報が規制される。よって、急な操舵操作を検出するための閾値の設定によっては、車両がカーブ走行する際にも急な操舵操作が検出されるので、車両がカーブ走行する状況において車両が車線から逸脱する虞が生じても、警報による運転者への注意喚起及び車線逸脱防止のための転舵輪の転舵を行うことができない。
【0014】
上記の構成によれば、車両が車線に対し斜行していると判定され、且つ操舵トルクが基準操舵トルク以上であると判定されたときに、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止が開始される。従って、車両がカーブ走行時に車線からカーブの外側へ逸脱する場合には、操舵トルクが基準操舵トルク以上であると判定されないので、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止が開始されない。よって、車両が車線から逸脱する虞がある旨の注意を喚起する警報の発出若しくは車線逸脱防止のための転舵輪の転舵を行うことができる。
【0016】
更に、上記構成によれば、警報の発出及び転舵輪の転舵が禁止されている状況において、車両位置検出装置により検出された車両の位置に基づいて車線に対する車両の斜行が終了したと判定されたときには、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止が解除される。よって、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵が不必要に継続されることを防止し、車両が車線から逸脱する虞が生じたときには、必要な警報の発出及び転舵輪の転舵を行うことができる。
【0017】
〔発明の態様〕
本発明の一つの態様においては、制御ユニット(16)は、車速(V)の情報を取得し、車速が高いほど小さくなるよう、基準操舵トルク(Tsc)を車速に応じて可変設定するよう構成される。
【0018】
転舵輪が運転者の操舵操作によって転舵されるときの操舵抵抗は、車速が高いほど小さくなる。上記態様によれば、基準操舵トルクは、車速が高いほど小さくなるよう、車速に応じて可変設定される。よって、基準操舵トルクが定数である場合に比して、運転者が車両の進行方向を変更しようとする意思があるか否かの判別を、車速に関係なく適正に行うことができる。
【0019】
本発明の一つの態様においては、制御ユニット(16)は、車速(V)の情報を取得し、車両位置検出装置により検出された車両の位置及び車速に基づいて車線に垂直な方向への車両の移動速度(Vy)を推定し、移動速度及びその時間変化率(dVy)の少なくとも一方に基づいて、車両が車線に対し斜行しているか否かを判定するよう構成される。
【0020】
上記態様によれば、車両の位置及び車速に基づいて車線に垂直な方向への車両の移動速度が推定され、移動速度及びその時間変化率の少なくとも一方に基づいて、車両が車線に対し斜行しているか否かが判定される。よって、例えばカメラなどにより取得される車両の前方の画像情報の変化に基づいて車両が車線に対し斜行しているか否かが判定される場合に比して、容易に且つ正確に車両が車線に対し斜行しているか否かを判定することができる。
【0021】
更に、本発明の他の一つの態様においては、制御ユニット(16)は、移動速度(Vy)及びその時間変化率(dVy)の線形和が斜行開始基準値以上(Vys)であるときに、車両が車線に対し斜行していると判定するよう構成される。
【0022】
上記態様によれば、移動速度及びその時間変化率の線形和が斜行開始基準値以上であるときに、車両が車線に対し斜行していると判定される。よって、移動測度及びその時間変化率の一方に基づいて車線に対する車両の斜行が判定される場合に比して、車両が車線に対し斜行しているか否かを適正に判定することができる。
【0023】
更に、本発明の他の一つの態様においては、制御ユニット(16)は、車速(V)が高いほど大きくなるよう、斜行開始基準値(Vys)を車速に応じて可変設定するよう構成される。
【0024】
車両の斜行の度合が同一であっても、車速が高いほど移動速度及びその時間変化率の線形和は大きくなる。上記態様によれば、斜行開始基準値は、車速が高いほど大きくなるよう、車速に応じて可変設定される。よって、斜行開始判定の基準値が定数である場合に比して、車両が車線に対し斜行しているか否かの判別を、車速に関係なく適正に行うことができる。
【0025】
更に、本発明の他の一つの態様においては、制御ユニット(16)は、警報の発出及び転舵輪の転舵を禁止している状況において、移動速度(Vy)及びその時間変化(dVy)率の線形和が斜行終了基準値(Vye)以下になったときに、車線に対する車両の斜行が終了したと判定するよう構成される。
【0026】
上記態様によれば、警報の発出及び転舵輪の転舵が禁止されている状況において、移動速度及びその時間変化率の線形和が斜行終了基準値以下になったときに、車線に対する車両の斜行が終了したと判定される。よって、移動測度及びその時間変化率の一方に基づいて車線に対する車両の斜行が終了したか否かが判定される場合に比して、車線に対する車両の斜行が終了したか否かを適正に判定することができる。
【0027】
更に、本発明の他の一つの態様においては、制御ユニット(16)は、車速(V)が高いほど大きくなるよう、斜行終了基準値(Vye)を車速に応じて可変設定するよう構成される。
【0028】
上述のように、車両の斜行の度合が同一であっても、車速が高いほど移動速度及びその時間変化率の線形和は大きくなる。上記態様によれば、斜行終了基準値は、車速が高いほど大きくなるよう、車速に応じて可変設定される。よって、斜行終了基準値が定数である場合に比して、車線に対する車両の斜行が終了したか否かの判別を、車速に関係なく適正に行うことができる。
【0029】
更に、本発明の他の一つの態様においては、制御ユニット(16)は、警報の発出及び転舵輪の転舵を禁止している状況において、車両位置検出装置により検出された車両の位置に基づいて車両が車線内にて車線に沿って走行していると判定したときに、車線に対する車両の斜行が終了したと判定するよう構成される。
【0030】
上記態様によれば、警報の発出及び転舵輪の転舵が禁止されている状況において、車両が車線内にて車線に沿って走行していると判定されたときに、車線に対する車両の斜行が終了したと判定される。よって、例えば上記移動速度及びその時間変化率の線形和が斜行終了基準値以下になったときに、車線に対する車両の斜行が終了したと判定される場合に比して、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止が解除されるタイミングを遅くすることができる。
【0031】
更に、本発明の他の一つの態様においては、車線逸脱防止装置(10)は、更に、車両(18)の前方の障害物(60)を検出する障害物検出装置(CCDカメラ12)を含み、制御ユニット(16)は、警報の発出及び転舵輪の転舵を禁止している状況において、障害物検出装置により車両の前方に障害物が検出されたときには、車両位置検出装置により検出された車両の位置に基づいて車線に対する車両の斜行が終了したと判定しても、車両の斜行が終了したと判定してから基準時間(Tpc)以上の時間が経過するまで、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止を解除しないよう構成される。
【0032】
上記態様によれば、警報の発出及び転舵輪の転舵が禁止されている状況において、車両の前方に障害物が検出されたときには、車線に対する車両の斜行が終了したと判定されても、車両の斜行が終了したと判定されてから基準時間以上の時間が経過するまで、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止は解除されない。よって、運転者が自らの意思に基づいて車両の前方の障害物を回避して走行する状況において、車線に対する車両の斜行が終了したと判定されてから基準時間以上の時間が経過するまで確実に警報の発出及び転舵輪の転舵を禁止することができる。
【0035】
更に、本発明の他の一つの態様においては、制御ユニット(16)は、車速(V)の情報を取得し、車速が高いほど短くなるよう、基準時間(Tpc)を車速に応じて可変設定するよう構成される。
【0036】
車両が障害物を回避して走行するような場合には、車両は斜行して障害物を迂回し、車線に沿って走行し、更に斜行して元の車線に復帰する。車両が斜行を終了して車線に沿って走行した後元の車線に復帰するまでに要する時間は、車速が高いほど小さくなる。
【0037】
上記態様によれば、基準時間は、車速が高いほど短くなるよう、車速に応じて可変設定される。よって、基準時間が定数である場合に比して、車線逸脱防止の禁止を維持すべきか否かの判別を、車速に関係なく適正に行うことができる。
【0038】
更に、本発明の他の一つの態様においては、制御ユニット(16)は、車両位置検出装置により検出された車両の位置に基づいて車両が車線変更したと判定したときには、車線に対する車両の斜行が終了したと判定してから基準時間(Tpc)以上の時間が経過していなくても、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止を解除するよう構成される。
【0039】
上記態様によれば、車両が車線変更したと判定されたときには、車線に対する車両の斜行が終了したと判定されてから基準時間以上の時間が経過していなくても、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止が解除される。よって、車両が障害物を回避して車線変更した場合のように、車線に対する車両の斜行が終了すると、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止を解除し、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止が不必要に長く継続されることを回避することができる。
【0040】
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いられる名称及び/又は符号が括弧書きで添えられている。しかし、本発明の各構成要素は、括弧書きで添えられた名称及び/又は符号に対応する実施形態の構成要素に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の実施形態にかかる車線逸脱防止装置を示す概略構成図である。
図2】第一の実施形態における車線逸脱防止制御ルーチンを示すフローチャートである。
図3】第一の実施形態における警報及び転舵の禁止の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図4】第二の実施形態における警報及び転舵の禁止の制御ルーチンの要部を示すフローチャートである。
図5】第三の実施形態における警報及び転舵の禁止の制御ルーチンの要部を示すフローチャートである。
図6】第三の実施形態の変形例における警報及び転舵の禁止の制御ルーチンの要部を示すフローチャートである。
図7】車線の長手方向に対し垂直な方向への車両の移動速度Vyを演算する要領をするための図である。
図8】車速Vと斜行開始判定の基準値Vysとの関係を示す図である。
図9】車速Vと基準操舵トルクTscとの関係を示す図である。
図10】車速Vと斜行終了判定の基準値Vyeとの関係を示す図である。
図11】車速Vと基準時間Tpcとの関係を示す図である。
図12】車両が車線変更する場合について第一の実施形態の作動の例を示す図である。
図13】車両が先行車両を追い越す場合について第一の実施形態の作動の例を示す図である。
図14】車両が障害物を回避する場合について第一の実施形態の作動の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に添付の図を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0043】
[第一の実施形態]
図1に示されているように、実施形態にかかる車線逸脱防止装置10は、CCDカメラ12と、警報装置14と、警報装置及び後述する転舵装置を制御する制御ユニットとしての逸脱防止用電子制御装置(以下「逸脱防止用ECU」と略称する)16と、を含んでいる。CCDカメラ12は、車両位置検出装置の一部である情報取得装置として機能し、CCDカメラ12により取得された車両18の前方の画像情報は、逸脱防止用ECU16へ入力される。また、逸脱防止用ECU16には、車速センサ20から車速Vを示す信号が入力され、電動パワーステアリング用電子制御装置(以下「EPS用ECU」と略称する)22から操舵トルクTsを示す信号が入力される。
【0044】
図示の実施形態においては、情報取得装置はCCDカメラ12であるが、情報取得装置は車両18の前方の画像情報を取得することができる限り、CMOSカメラのような当技術分野において公知の他のカメラであってもよい。また、警報装置14は、警報ランプのような視覚警報を発する警報装置、警報ブザーのような聴覚警報を発する警報装置、シートの振動のような体感警報を発する警報装置の何れであってもよく、それらの任意の組合せであってもよい。
【0045】
後に詳細に説明するように、逸脱防止用ECU16は、CCDカメラ12により取得された車両18の前方の画像情報に基づいて車線を特定すると共に、車線に対する車両18の位置関係を特定する。よって、CCDカメラ12及び逸脱防止用ECU16は、互いに共働して車線に対する車両18の位置を検出する車両位置検出装置として機能する。更に、逸脱防止用ECU16は、特定した位置関係に基づいて、当技術分野において公知の要領にて車両18が車線から逸脱する虞があるか否かを判定し、逸脱の虞があると判定したときには、警報装置14を作動させることにより警報を発する車線逸脱防止制御を行う。この車線逸脱防止制御は、LDA(Lane Departure Alert)制御とも呼ばれる。
【0046】
図1に示されているように、運転者により操作されるステアリングホイール24が一体的に連結されたステアリングシャフト26には、操舵トルクTsを検出するトルクセンサ28が設けられている。トルクセンサ28により検出された操舵トルクTsを示す信号は、EPS用ECU22へ入力される。EPS用ECU22は、操舵トルクTs及び車速センサ20により検出された車速Vに基づいて、当技術分野において公知の要領にて電動パワーステアリング装置(以下「EPS」と略称する)30を制御することにより、操舵アシストトルクを制御する。
【0047】
EPS用ECU22は、EPS30を制御することにより、転舵輪32を必要に応じて転舵することができる。よって、EPS用ECU22及びEPS30は、必要に応じて転舵輪32を自動的に転舵する転舵装置34を構成している。車線逸脱防止装置10は、車両18が車線から逸脱する虞があると判定されたときには、転舵輪を転舵することにより車両が車線から逸脱することによっても車線逸脱防止制御を行う。転舵輪32の転舵による車線逸脱防止制御は、例えば当技術分野において公知の任意のLKA(Lane Keeping Assist)制御であってよい
【0048】
なお、図1には詳細に示されていないが、逸脱防止用ECU16及びEPS用ECU22は、それぞれマイクロコンピュータ及び駆動回路を含んでおり、相互に必要な情報の授受を行う。各マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成を有している。
【0049】
特に、逸脱防止用ECU16のROMは、図2に示されたフローチャートに対応する車線逸脱防止制御のプログラム及び図3に示されたフローチャートに対応する警報及び転舵禁止の制御プログラムを記憶している。逸脱防止用ECU16のCPUは、それぞれ図2及び図3に示されたフローチャートに従って車線逸脱防止制御及び警報及び転舵の禁止制御を行う。
【0050】
後に詳細に説明するように、車線逸脱防止装置10は、CCDカメラ12により取得された車両18の前方の画像情報に基づいて車両が車線に対し斜行しているか否かを判定する。車線逸脱防止装置10は、車両が車線に対し斜行していると判定し、且つトルクセンサ28により検出された操舵トルクTsの絶対値が基準操舵トルクTsc以上であると判定したときには、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止を開始する。更に、車線逸脱防止装置10は、警報の発出及び転舵輪の転舵を禁止している状況において、CCDカメラ12により取得された画像情報に基づいて車線に対する車両の斜行が終了したと判定したときには、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止を解除する。
【0051】
次に、図2に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態における車線逸脱防止制御ルーチンについて説明する。図2に示されたフローチャートによる制御は、図1には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに、所定の時間毎に繰返し逸脱防止用ECU16のCPUによって実行される。
【0052】
まず、ステップ210においては、CPUは、CCDカメラ12により検出された車両18の前方の画像情報を示す信号などの読み込みを行う。
【0053】
ステップ220においては、CPUは、車両18の前方の画像情報に基づいて車線を特定すると共に、車線に対する車両18の位置関係の変化に基づいて当技術分野において公知の要領にて車両が車線から逸脱する虞があるか否かを判別する。CPUは、否定判別をしたときには車線逸脱防止制御をステップ250へ進め、肯定判別をしたときには車線逸脱防止制御をステップ230へ進める。
【0054】
ステップ230においては、CPUは、車線逸脱防止の禁止フラグFaが1であるか否か、即ち警報の発出及び転舵輪の転舵が禁止されているか否かを判別する。CPUは、肯定判別をしたときには、即ちフラグFaが1であると判別したときには、車線逸脱防止制御をステップ250へ進め、否定判別をしたときにはステップ240において警報装置14を作動させることにより警報を発出し、転舵輪を転舵する。なお、フラグFaは、車線逸脱防止制御の開始時に、即ち図1には示されていないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替えられたときに、0に初期化され、その後は後述のように図3に示されたフローチャートに従って0又は1に設定される。
【0055】
ステップ250においては、CPUは、警報装置14を作動させている状況においては、警報装置を停止し、転舵輪の転舵を終了し、その後車線逸脱防止制御を一旦終了する。CPUは、警報装置14を作動させず転舵輪を転舵していない状況においては、そのまま車線逸脱防止制御を一旦終了する。
【0056】
次に、図3に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態における警報及び転舵の禁止制御ルーチンについて説明する。図3に示されたフローチャートによる制御も、図1には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに、所定の時間毎に繰返し逸脱防止用ECU16のCPUによって実行される。なお、下記の説明においては、警報及び転舵の禁止制御を単に「制御」と指称する。これらのことは、後述の他の実施形態における警報及び転舵の禁止制御ルーチンについても同様である。
【0057】
まず、ステップ310においては、CPUは、CCDカメラ12により検出された車両18の前方の画像情報を示す信号などの読み込みを行う。
【0058】
ステップ320においては、CPUは、車両18の前方の画像情報に基づいて車線を特定すると共に、車両18が車線に対し斜行しているか否かを判別する。CPUは、否定判別をしたときには制御を一旦終了し、肯定判別をしたときには制御をステップ330へ進める。
【0059】
この場合、車両18が車線に対し斜行しているか否かの判別は、例えば以下の要領にて行われてよい。まず、図7に示されているように、車両18の前方の画像情報に基づいて、車線50の長手方向52に対し車両18の進行方向54がなす角度θが推定される。角度θは、車線50の長手方向52に対し車両18の進行方向54が左側である場合に正の値である。車線50の長手方向52に対し垂直な方向への車両18の移動速度Vyが、角度θ及び車速Vに基づいてVsinθとして推定される。Ka及びKbを正の一定の係数として、移動速度Vy及びその時間変化率dVyの線形和の絶対値|KaVy+KbdVy|が、斜行開始判定の基準値Vys以上であるときに車両18が車線に対し斜行していると判別される。
【0060】
なお、車両18の斜行の度合が同一であっても、車速Vが高いほど線形和の絶対値|KaVy+KbdVy|は大きくなる。よって、斜行開始判定の基準値Vysは、正の定数であってもよいが、第一の実施形態及び後述の他の実施形態においては、図8に示されているように、車速Vが高いほど大きくなるよう、車速に応じて可変設定される。従って、斜行開始判定の基準値Vysが定数である場合に比して、車両18が車線に対し斜行しているか否かの判別を、車速に関係なく適正に行うことができる。
【0061】
ステップ330においては、CPUは、操舵トルクTsの絶対値が基準操舵トルクTsc以上であるか否かを判別することにより、運転者が車両の進行方向を変更しようとする意思があるか否かを判別する。CPUは、肯定判別をしたときには制御をステップ350へ進め、否定判別をしたときには制御をステップ340へ進める。
【0062】
なお、転舵輪が運転者の操舵操作によって転舵されるときの操舵抵抗は、車速Vが高いほど小さくなる。よって、基準操舵トルクTscは、正の定数であってもよいが、第一の実施形態及び後述の他の実施形態においては、図9に示されているように、車速Vが高いほど小さくなるよう、車速に応じて可変設定される。従って、基準操舵トルクTscが定数である場合に比して、運転者が車両の進行方向を変更しようとする意思があるか否かの判別を、車速に関係なく適正に行うことができる。
【0063】
ステップ340においては、CPUは、車両18の前方の画像情報に基づいて、車両18が車線内にて車線に沿って走行しているか否か、即ち斜行を終了して通常の走行状態に復帰したか否かを判別する。CPUは、否定判別をしたときには制御をステップ330へ戻し、肯定判別をしたときには制御を一旦終了する。
【0064】
ステップ350においては、CPUは、警報の発出及び転舵輪の転舵が禁止されるよう、フラグFaを1にセットして車線逸脱防止を禁止する。
【0065】
ステップ360においては、CPUは、ステップ340と同様の判別を行う。CPUは、否定判別をしたときには、即ち車両18が車線内にて車線に沿って走行していないと判別したときには、制御をステップ350へ戻す。これに対し、CPUは、肯定判別をしたときには、即ち車両18が車線内にて車線に沿って走行していると判別したときには、ステップ370において、フラグFaを0にリセットし、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止を解除して車線逸脱防止を許可する。
【0066】
[第二の実施形態]
第二の実施形態においては、車線逸脱防止制御は第一の実施形態と同様に図2に示されたフローチャートに従って実行され、警報及び転舵の禁止制御は図4に示されたフローチャートに従って実行される。
【0067】
なお、図4には示されていないが、ステップ310及び320がそれぞれ第一の実施形態のステップ310及び320と同様に実行され、ステップ320において肯定判別が行われときに、ステップ322が実行される。また、ステップ330、350及び370は、それぞれ第一の実施形態のステップ330、350及び370と同様に実行される。よって、これらのステップについての説明を省略する。
【0068】
ステップ322においては、CPUは、障害物存否のフラグFoが1であるか否か、即ち後述のステップ324において車両18の前方に障害物が存在すると判定されたか否かを判別する。CPUは、肯定判別をしたときには、即ちフラグFoが1であると判別したときには、制御をステップ330へ進め、否定判別をしたときには制御をステップ324へ進める。なお、フラグFoは、警報及び転舵の禁止制御の開始時に、即ち図1には示されていないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替えられたときに、0に初期化され、その後は後述のように図4に示されたフローチャートに従って0又は1に設定される。
【0069】
ステップ324においては、CPUは、CCDカメラ12により検出された車両18の前方の画像情報に基づいて、車両18の前方に障害物が存在するか否かを判別する。よって、CCDカメラ12及び逸脱防止用ECU16は、互いに共働して車両18の前方の障害物を検出する障害物検出装置として機能する。CPUは、否定判別をしたときには、制御をステップ330へ進め、肯定判別をしたときには、即ち車両18の前方に障害物が存在すると判別したときには、ステップ326においてフラグFoを1にセットする。
【0070】
なお、障害物は、停駐車している車両、落下物のような物体だけでなく、歩行者、野生動物のような生物を含む概念であり、回避操舵を行うことなく車両が走行することを阻害するものを意味する。
【0071】
ステップ340においては、CPUは、車両18の前方の画像情報に基づいて車線を特定すると共に、車線に対する車両18の斜行が終了したか否かを判別する。CPUは、否定判別をしたときには制御をステップ322へ戻し、肯定判別をしたときにはステップ342においてフラグFoを0にリセットし、その後制御を一旦終了する。
【0072】
ステップ350の次に実行されるステップ360においては、CPUは、ステップ340と同様に、車両18の前方の画像情報に基づいて車線を特定すると共に、車線に対する車両18の斜行が終了したか否かを判別する。CPUは、否定判別をしたときには制御をステップ350へ戻し、肯定判別をしたときには制御をステップ362へ進める。
【0073】
ステップ340及び360における車線に対する車両18の斜行が終了したか否かの判別は、例えば以下の要領にて行われてよい。まず、上述のステップ330の場合と同様に、移動速度Vy及びその時間変化率dVyの線形和の絶対値|KaVy+KbdVy|が演算される。更に、線形和の絶対値|KaVy+KbdVy|が斜行終了判定の基準値Vye以下であるときに車線に対する車両18の斜行が終了したと判別される。
【0074】
なお、上述のように、車両18の斜行の度合が同一であっても、車速Vが高いほど線形和の絶対値|KaVy+KbdVy|は大きくなる。よって、斜行終了判定の基準値Vyeは、正の定数であってもよいが、第二及び後述の第三の実施形態においては、図10に示されているように、車速Vが高いほど大きくなるよう、車速に応じて可変設定される。従って、斜行終了判定の基準値Vyeが定数である場合に比して、車線に対する車両18の斜行が終了したか否かの判別を、車速に関係なく適正に行うことができる。
【0075】
ステップ362においては、CPUは、フラグFoが1であるか否か、即ちステップ324において車両18の前方に障害物が存在すると判定されたか否かを判別する。CPUは、否定判別をしたときには制御をステップ370へ進め、肯定判別をしたときには制御をステップ364へ進める。
【0076】
ステップ364においては、CPUは、車両18の前方の画像情報に基づいて、車両18が車線内にて車線に沿って走行しているか否か、即ち通常の走行状態に復帰したか否かを判別する。CPUは、否定判別をしたときには制御をステップ350へ戻し、肯定判別をしたときにはステップ370においてフラグFaを0にリセットして警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止を解除すると共に、フラグFoを0にリセットする。
【0077】
[第三の実施形態]
第三の実施形態においては、車線逸脱防止制御は第一の実施形態と同様に図2に示されたフローチャートに従って実行され、警報及び転舵の禁止制御は図5に示されたフローチャートに従って実行される。
【0078】
なお、図5には示されていないが、ステップ310及び320がそれぞれ第一の実施形態のステップ310及び320と同様に実行され、ステップ320において肯定判別が行われときに、ステップ322が実行される。また、ステップ322乃至362及びステップ370は、それぞれ第二の実施形態のステップ322乃至362及びステップ370と同様に実行される。よって、これらのステップについての説明を省略する。
【0079】
CPUは、ステップ362において肯定判別をしたときには、制御をステップ364へ進める。CPUは、ステップ364においては、ステップ360において車線に対する車両18の斜行が終了したと判別してからの経過時間Tpが基準時間Tpc以上であるか否かを判別する。CPUは、否定判別をしたときには制御をステップ350へ戻し、肯定判別をしたときには制御をステップ370へ進める。
【0080】
なお、車両18が障害物を回避して走行する場合には、車両は斜行して障害物を迂回することにより、斜行を終了して車線に沿って走行し、更に斜行して元の車線に復帰する。車両が斜行を終了して車線に沿って走行した後元の車線に復帰するまでに要する時間は、車速Vが高いほど小さくなる。よって、基準時間Tpcは、正の定数であってよいが、第三の実施形態及び後述の第三の実施形態の変形例においては、図11に示されているように、車速Vが高いほど小さくなるよう、車速に応じて可変設定される。従って、基準時間Tpcが定数である場合に比して、車線逸脱防止の禁止を維持すべきか否かの判別を、車速に関係なく適正に行うことができる。
【0081】
[第三の実施形態の変形例]
この変形例においては、車線逸脱防止の禁止の制御は図6に示されたフローチャートに従って実行される。なお、図6には示されていないが、ステップ310乃至362及びステップ370はそれぞれ第三の実施形態の310乃至362及びステップ370と同様に実行される。
【0082】
CPUは、ステップ364において肯定判別をしたときには制御をステップ370へ進め、否定判別をしたときには制御をステップ366へ進める。
【0083】
ステップ366においては、CPUは、車両18が車線変更をしたか否かを判別する。CPUは、否定判別をしたときには制御をステップ350へ戻し、肯定判別をしたときには制御をステップ370へ進める。なお、車両が車線変更をしたか否かを判別は、当技術分野において公知の任意の要領にて行われてよい。
【0084】
上述の各実施形態及び変形例によれば、車両が車線から逸脱する虞があるときには、図2に示されたフローチャートのステップ220において肯定判別が行われる。警報及び転舵の禁止フラグFaが0であるときには、ステップ230において否定判別が行われ、ステップ240において警報が発出され、転舵輪が転舵される。
【0085】
これに対し、警報及び転舵の禁止フラグFaが1であるときには、ステップ230において肯定判別が行われ、ステップ250において警報装置14が作動されないことにより警報は発出されず、転舵輪は転舵されない。
【0086】
警報及び転舵の禁止フラグFaは、図3に示されたフローチャートによる制御により1又は0に設定される。フラグFaは、ステップ320及び330において肯定判別が行われたときに、即ち、車両18が車線に対し斜行していると判別され、且つ操舵トルクTsの絶対値が基準操舵トルクTsc以上であると判別されたときに、1に設定される。
【0087】
上述の各実施形態及び変形例によれば、車両18が車線に対し斜行していると判別され、且つ操舵トルクTsの絶対値が基準操舵トルクTsc以上であると判別されたときに、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が開始される。よって、車両18の車線逸脱の虞が生じる前に、運転者が自らの意思に基づいて車両を車線から逸脱させようとしているか否かを判定することができる。従って、車両の車線逸脱の虞が検出される前に、運転者の車線逸脱の意思を判定して警報の発出及び転舵輪の転舵を禁止することができるので、運転者が自らの意思に基づいて車両を車線から逸脱させる場合に、運転者が警報及び転舵の煩わしさを感じることを防止することができる。
【0088】
また、運転者の不注意により車両18が車線から逸脱する場合には、車両が車線に対し斜行しても、操舵トルクは大きい値にならない。よって、車両が車線に対し斜行していると判定されても、操舵トルクTsの絶対値が基準操舵トルクTsc以上であると判定されないので、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止は開始されない。従って、警報装置を作動させて警報を発することができるので、運転者に注意を喚起することができ、また転舵輪の転舵によって車両の車線逸脱を防止することができる。
【0089】
前述のように、上記公開公報に記載された従来の車線逸脱防止装置においては、車両の車線逸脱の虞が検出されても、運転者による急な操舵操作が検出されると、警報及び転舵輪の転舵が規制される。よって、急な操舵操作を検出するための閾値の設定によっては、車両がカーブ走行する際にも急な操舵操作が検出されるので、車両がカーブ走行する状況において車両が車線から逸脱する虞が生じても、警報によって運転者に注意を喚起し転舵輪の転舵によって車両の車線逸脱を防止することができない。
【0090】
上述の各実施形態及び変形例によれば、車両が車線に対し斜行していると判定され、且つ操舵トルクTsの絶対値が基準操舵トルクTsc以上であると判定されたときに、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が開始される。従って、車両がカーブ走行時に車線からカーブの外側へ逸脱する場合には、操舵トルクが基準操舵トルク以上であると判定されないので、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が開始されない。よって、車両が車線から逸脱する虞がある旨の注意を喚起する警報を発出し転舵輪を転舵することができる。
【0091】
また、上述の各実施形態及び変形例によれば、警報装置14の作動が禁止されている状況において、車線に対する車両18の斜行が終了したと判定されたときには(ステップ360)、警報装置14の作動の禁止が解除される(ステップ370)。よって、警報装置の作動の禁止が不必要に継続されることを防止し、車両18が車線から逸脱する虞が生じたときには、必要な警報を発生することができる。
【0092】
更に、上述の各実施形態及び変形例によれば、車線に垂直な方向への車両18の移動測度Vyが推定され、移動測度Vy及びその時間変化率dVyの線形和の絶対値|KaVy+KbdVy|が斜行開始基準値Vys以上であるときに、車両が車線に対し斜行していると判定される。よって、移動測度Vy及びその時間変化率dVyの一方に基づいて車線に対する車両の斜行が判定される場合に比して、車両が車線に対し斜行しているか否かを適正に判定することができる。
【0093】
更に、上述の各実施形態及び変形例によれば、警報の発出及び転舵輪の転舵が禁止されている状況において、移動測度Vy及びその時間変化率dVyの線形和の絶対値|KaVy+KbdVy|が斜行終了基準値Vye以下になったときに、車線に対する車両の斜行が終了したと判定される。よって、移動測度Vy及びその時間変化率dVyの一方に基づいて車線に対する車両の斜行の終了が判定される場合に比して、車線に対する車両の斜行が終了したか否かを適正に判定することができる。
【0094】
次に、上述の各実施形態及び変形例の作動の具体例として、車両18が車線変更する場合及び先行車を追い越す場合について説明する。
【0095】
<車線変更>
図12に示されているように、車両18が車線50内にて車線に沿って走行する状態(P11)から、運転者の操舵操作に応答して車両18が車線50に対する斜行を開始し(P12)、車両18の前端部が隣接する車線58へ移動したとする(P13)。更に、車両18の主要部が隣接する車線58へ移動し(P14)、車線58の方向に対し車両18の長手方向がなす角度が非常に小さくなり(P15)、車両18が車線58内にて車線に沿って走行する状態になったとする(P16)。
【0096】
例えば、車両18がP12の状態になったときに、ステップ320及び330において肯定判別が行われることにより、ステップ350においてフラグFaが1にセットされ、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が開始される。また、車両18の状態がP15又はP16になったときに、ステップ360又はステップ360及び364において肯定判別が行われることにより、ステップ350においてフラグFaが0にリセットされ、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が解除される。
【0097】
よって、状態P12から状態P15又はP16までフラグFaが1にセットされるので、状態P12以降に車両18が車線50から逸脱する虞があると判定されても、警報は発出されず転舵輪は転舵されない。従って、運転者が自らの意思に基づいて車線変更する状況において、警報や転舵に煩わしさを感じることを防止することができる。
【0098】
<先行車両追い越し>
図13に示されているように、車両18が走行する車線50内にて車両18の前方に車速が低い先行車両60が存在し、車両18が隣接する車線58を経由して先行車両60を追い越す場合について説明する。
【0099】
車両18が車線50内にて車線に沿って走行する状態(P21)から、運転者の操舵操作に応答して車両18が車線50に対する斜行を開始し(P22)、車両18の前端部が隣接する車線58へ移動したとする(P23)。更に、車両18が隣接する車線58へ移動し、車線58の方向に対し車両18の長手方向がなす角度が非常に小さくなり(P24)、車両18が車線58内にて車線に沿って走行する状態になったとする(P25)。更に、車両18が車線58に対する斜行を開始し(P26)、車両18の前端部が元の車線50へ移動し(P27)し、車線50の方向に対し車両18の長手方向がなす角度が非常に小さくなり(P28)、車両18が車線50内にて車線に沿って走行する状態になったとする(P29)。
【0100】
例えば、車両18がP22の状態になったときに、ステップ320及び330において肯定判別が行われることにより、ステップ350においてフラグFaが1にセットされ、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が開始される。また、車両18の状態がP24になったときに、ステップ360又はステップ360及び364において肯定判別が行われることにより、ステップ350においてフラグFaが0にリセットされ、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が解除される。
【0101】
また、車両18がP26の状態になったときに、ステップ320及び330において肯定判別が行われることにより、ステップ350においてフラグFaが1にセットされ、の状態が開始される。更に、車両18がP15又はP16の状態になったときに、ステップ360又はステップ360及び364において肯定判別が行われることにより、ステップ350においてフラグFaが0にリセットされ、の状態が解除される。
【0102】
よって、状態P22から状態P24まで及び状態P26から状態P28までフラグFaが1にセットされるので、これらの区間において車両18が車線50から逸脱する虞があると判定されても、警報は発出されず転舵輪は転舵されない。従って、運転者が自らの意思に基づいて先行車両を追い越す状況において、警報や転舵に煩わしさを感じることを防止することができる。
【0103】
なお、状態P24から状態P26までフラグFaが0にリセットされるが、この区間においては車両18が車線50から逸脱する虞があると判定されない。よって、運転者がこの区間において警報や転舵に煩わしさを感じることはない。
【0104】
特に、第一の実施形態においては警報の発出及び転舵輪の転舵が禁止されている状況において、車両が車線内にて車線に沿って走行していると判定されたときに、車線に対する車両の斜行が終了したと判定される。よって、第一の実施形態によれば、例えば線形和の絶対値|KaVy+KbdVy|が斜行終了基準値Vye以下になったときに、車線に対する車両の斜行が終了したと判定される場合に比して、警報の禁止が解除されるタイミングを遅くすることができる。
【0105】
また、第二の実施形態においては、警報の発出及び転舵輪の転舵が禁止されている状況において、車両の前方に障害物が検出されたときには、車線に対する車両の斜行が終了したと判定されても、車両が車線内にて車線に沿って走行していると判定されるまで、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止は解除されない。よって、第二の実施形態によれば、運転者が自らの意思に基づいて車両の前方の障害物を追い越す途上において、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が解除され、警報や転舵に煩わしさを感じることを防止することができる。
【0106】
次に、第二の実施形態の作動の具体例として、車両18が車線上の障害物60を回避して走行する場合について説明する。
【0107】
<障害物回避>
図14に示されているように、車両18が車線50内にて車線に沿って走行する状態(P31)から、運転者の操舵操作に応答して車両18が車線50に対する斜行を開始し(P32)、車両18の前端部が隣接する車線58へ移動したとする(P33)。更に、車両18が車線50及び58をまたぐ状態にてこれらの車線に沿って走行し(P34)、車両18の前端部が元の車線50へ移動したとする(P35)。更に、車線50の方向に対し車両18の長手方向がなす角度が非常に小さくなり(P36)、車両18が車線50内にて車線に沿って走行する状態になったとする(P37)。
【0108】
例えば、車両18がP32の状態になったときに、ステップ320及び330において肯定判別が行われることにより、ステップ350においてフラグFaが1にセットされ、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が開始される。また、車両18がP3の状態7になったときに、ステップ360において肯定判別が行われることにより、ステップ370においてフラグFaが0にリセットされ、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が解除される。なお、状態P33から状態P35までの区間においても、ステップ360の判別が肯定判別になることはない。
【0109】
よって、状態P32から状態P37までフラグFaが1にセットされるので、状態P32以降に車両18が車線50から逸脱する虞があると判定されても、警報は発出されず転舵輪は転舵されない。従って、運転者が自らの意思に基づいて障害物を回避して走行する状況において、警報や転舵に煩わしさを感じることを防止することができる。
【0110】
図14において、範囲62はCCDカメラ12の撮影範囲を示している。車両18がP32の状態にあるときには、CCDカメラ12は障害物60を撮影することができるが、状態P33以降のように障害物を回避する走行が進行すると、CCDカメラ12は障害物60を撮影することができなくなる。
【0111】
第二の実施形態によれば、障害物が検出され、ステップ324において肯定判別が行われ、運転者により障害物を回避する操舵が行われ、ステップ330において肯定判別が行われると、ステップ324は実行されず、ステップ350以降のみが実行される。よって、一旦障害物が検出され、運転者により障害物を回避する操舵が行われると、その後も障害物が検出されるか否かに関係なく、車両が車線内にて車線に沿って走行していると判定され、ステップ330において肯定判別が行われるまで、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が継続される。従って、障害物を回避する車両18の走行が完了するまで効果的に警報の発出及び転舵輪の転舵を禁止することができる。
【0112】
更に、第三の実施形態においては、警報の発出及び転舵輪の転舵が禁止されている状況において、車両の前方に障害物が検出されたときには、車線に対する車両の斜行が終了したと判定されてから基準時間以上の時間が経過するまで、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止は解除されない、第三の実施形態によれば、車両18が障害物を回避して走行する状況において、車線に対する車両の斜行が終了したと判定されてから基準時間以上の時間が経過するまで確実に警報の発出及び転舵輪の転舵を禁止することができる。
【0113】
更に、変形例においては、車両が車線変更したと判定されたときには、車線に対する車両の斜行が終了したと判定されてから基準時間以上の時間が経過していなくても、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が解除される。よって、変形例によれば、車両18が障害物を回避して車線変更した場合のように、車線に対する車両の斜行が終了すると、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止を解除し、警報発出の禁止及び転舵輪転舵の禁止が不必要に長く継続されることを回避することができる。
【0114】
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0115】
例えば、上述の各実施形態及び変形例においては、車両18が車線50に対し斜行していると判定され、且つ操舵トルクTsが基準操舵トルクTsc以上であると判定されたときには、警報の発出の禁止及び転舵輪の転舵の禁止が開始される。しかし、本発明の車線逸脱防止装置は、車両が車線から逸脱する虞があると判定されたときには、警報の発出及び転舵輪の転舵の一方のみが行われる車両に適用されてもよい。その場合には、警報の発出及び転舵輪の転舵の一方の禁止が開始される。
【0116】
また、上述の各実施形態及び変形例においては、車両が車線から逸脱する虞があると判定されたときには、警報の発出及び転舵輪の転舵が同時に開始される。しかし、車両が車線から逸脱する虞があると判定されたときには、まず警報が発出され、逸脱する虞が更に高くなったと判定されたときに、転舵輪の転舵が開始されるよう修正されてよい。
【0117】
例えば、上述の各実施形態及び変形例においては、車線50に対する車両18の位置を検出する車両位置検出装置は、互いに共働するCCDカメラ12及び逸脱防止用ECU16である。しかし、車線50に対する車両18の位置は、ナビゲーション装置に記憶された道路地図情報とGPS装置により取得される車両の現在地との組合せにより特定されてもよい。更に、車線50に対する車両18の位置は、先行車両の軌跡に対する車両18の軌道の関係により特定され、軌跡に対する車両18の軌道のずれが基準値以上であるときに、車両が斜行していると判定されてもよい。
【0118】
また、上述の各実施形態及び変形例においては、ステップ320において、線形和Ka|Vy|+Kb|dVy|が、斜行開始判定の基準値Vys以上であるか否かにより車両18が車線に対し斜行しているか否かが判別される。しかし、移動速度Vy及びその時間変化率dVyの一方に基づいて車両18が車線に対し斜行しているか否かが判別されてもよい。更に、車両18が車線に対し斜行しているか否かの判別は、CCDカメラ12などの情報取得装置により取得される車両18の前方の画像情報の変化に基づいて行われてもよい。
【0119】
また、上述の各実施形態及び変形例においては、車速Vは車速センサ20により検出される。しかし、車速VはGPS装置により供給される情報に基づいて取得されてもよい。
【0120】
更に、上述の各実施形態及び変形例においては、警報及び転舵の禁止制御(図3)は、
車線逸脱防止制御(図2)とは別に実行されるようになっている。しかし、警報及び転舵の禁止制御のルーチンが車線逸脱防止制御のステップ220と230との間において実行されるよう修正されてもよい。
【0121】
更に、上述のかく第一の実施形態におけるステップ340及び360の判別が、それぞれ第二及び第三の実施形態及び変形例におけるステップ340及び360の判別に置き換えられてもよい。
【符号の説明】
【0122】
10…車線逸脱防止装置、12…CCDカメラ、14…警報装置、16…逸脱防止用電子制御装置(逸脱防止用ECU)、18…車両、20…車速センサ、22…電動パワーステアリング用電子制御装置(EPS用ECU)、28…トルクセンサ、30…電動パワーステアリング装置(EPS)、50…車線、60…先行車両、62…障害物
図1
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