(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】中古車販売システム及び中古車販売方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240709BHJP
【FI】
G06Q30/0601 320
(21)【出願番号】P 2021007113
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田川 達也
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第03/105042(WO,A1)
【文献】特開2004-252858(JP,A)
【文献】特開2020-035164(JP,A)
【文献】特開2004-013453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中古車販売に用いられる中古車販売システムであって、
車両の走行安全性能に関する走行安全システムを後付けで取付可能な車両の情報を記憶する記憶装置と、
販売対象である対象中古車の情報を
販売店サーバから収集し、前記記憶装置に記憶された情報に基づいて、前記対象中古車が前記走行安全システムを取付可能な車両であるか否かを判定する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記走行安全システムを取付可能な
車両であると判定された前記対象中古車に対して、前記走行安全システムを手配する第1の処理を実行し、
前記走行安全システムが取付けられた前記対象中古車を販売する第2の処理を実行
し、
前記第1の処理は、
前記走行安全システムを取付可能な車両であると判定された前記対象中古車に対して、所定のパラメータに従って、前記走行安全システムを取付ける対象中古車を分類する処理と、
前記パラメータに従って分類された対象中古車に対して前記走行安全システムを纏めて手配する処理とを含み、
前記第2の処理は、
前記走行安全システムが取付けられた前記対象中古車の情報をオンライン販売サイトに掲載する処理と、
前記オンライン販売サイトにおいて購入要求のあった対象中古車を販売する処理とを含む、中古車販売システム。
【請求項2】
前記走行安全システムは、アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違いによる車両の加速を抑制する踏み間違い加速抑制システムを含む、請求項1に記載の中古車販売システム。
【請求項3】
前記第1の処理は、前記パラメータに従って、前記対象中古車毎に取付可能な前記走行安全システムを判定する処理をさらに含む、
請求項1又は請求項2に記載の中古車販売システム。
【請求項4】
前記パラメータは、車両の型式、年式、販売地域の少なくとも1つを含む、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の中古車販売システム。
【請求項5】
中古車販売に用いられる中古車販売方法であって、
販売対象である対象中古車の情報を含む第1の情報を
販売店サーバからコンピュータにより収集するステップと、
車両の走行安全性能に関する走行安全システムを後付けで取付可能な車両の情報を含む第2の情報を取得するステップと、
前記第2の情報に基づいて、前記対象中古車が前記走行安全システムを取付可能な車両であるか否かを
前記コンピュータにより判定するステップと、
前記走行安全システムを取付可能
な車両であると判定された対象中古車に対して、前記走行安全システムを手配する
処理を前記コンピュータにより実行するステップと、
前記走行安全システムが取付けられた前記対象中古車を販売する
処理を前記コンピュータにより実行するステップとを含
み、
前記手配する処理を実行するステップは、
前記走行安全システムを取付可能な車両であると判定された前記対象中古車に対して、所定のパラメータに従って、前記走行安全システムを取付ける対象中古車を分類する処理を実行するステップと、
前記パラメータに従って分類された対象中古車に対して前記走行安全システムを纏めて手配する処理を実行するステップとを含み、
前記販売する処理を実行するステップは、
前記走行安全システムが取付けられた前記対象中古車の情報をオンライン販売サイトに掲載する処理を実行するステップと、
前記オンライン販売サイトにおいて購入要求のあった対象中古車を販売する処理を実行するステップとを含む、中古車販売方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中古車販売に用いられる中古車販売システム及び中古車販売方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004-13453号公報(特許文献1)には、中古車販売時におけるカーオーディオシステムやカーナビ等の販売方法に適用可能な車載機器販売方法が開示されている。具体的には、この販売方法は、中古車販売店に設置された販売店端末からのアクセスにより、搭載予定の上記機器の手配をサポートし、新車の販売と同様に上記機器を手配することができるようにする(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
中古車の販売促進手段の一つとして、中古車の商品魅力の向上が挙げられる。特許文献1に記載の手法は、中古車購入後にユーザがカーショップに出向いてカーオーディオシステム等の機器を手配する必要がないため、ユーザにとっては便利である。しかしながら、他方で、カーオーディオシステム等の機器は、ユーザがカーショップに出向いてより広い選択肢の中から好みに合ったものを選択することも可能であるため、中古車の商品魅力向上に必ずしも寄与しない可能性がある。
【0005】
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、中古車の商品魅力を向上可能な中古車販売システム及び中古車販売方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の中古車販売システムは、中古車販売に用いられる中古車販売システムであって、記憶装置と、制御装置とを備える。記憶装置は、車両の走行安全性能に関する走行安全システムを後付けで取付可能な車両の情報を記憶する。制御装置は、販売対象である対象中古車の情報を取得し、記憶装置に記憶された情報に基づいて、対象中古車が走行安全システムを取付可能な車両であるか否かを判定する。制御装置は、走行安全システムを取付可能な対象中古車に対して、走行安全システムを手配する第1の処理を実行し、走行安全システムが取付けられた対象中古車を販売する第2の処理を実行する。
【0007】
また、本開示の中古車販売方法は、中古車販売に用いられる中古車販売方法であって、販売対象である対象中古車の情報を含む第1の情報を取得するステップと、車両の走行安全性能に関する走行安全システムを後付けで取付可能な車両の情報を含む第2の情報を取得するステップと、第2の情報に基づいて、対象中古車が走行安全システムを取付可能な車両であるか否かを判定するステップと、走行安全システムを取付可能であると判定された対象中古車に対して、走行安全システムを手配するステップと、走行安全システムが取付けられた対象中古車を販売するステップとを含む。
【0008】
上記の中古車販売システム及び中古車販売方法においては、中古車の販売時に、車両の走行安全性能に関する走行安全システムを取付けて販売することができる。このような走行安全システムの車載要求は、近年高まりつつあり、中古車販売時に上記の走行安全システムを取付けて販売することで、中古車の商品魅力向上に大きく寄与し得る。また、走行安全システムは、中古車購入後にユーザがカーショップに出向いて好みに合ったものを選択するといった類いのものではなく、中古車販売時に中古車の商品魅力向上に寄与するものである。したがって、この中古車販売システム及び中古車販売方法によれば、中古車の商品魅力を向上させることができる。
【0009】
走行安全システムは、アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違いによる車両の加速を抑制する踏み間違い加速抑制システムを含んでもよい。
【0010】
踏み間違い加速抑制システムは、近年、車載要求がますます高まりつつあり、中古車販売時に踏み間違い加速抑制システムを取付けて販売することで、中古車の商品魅力を大きく向上させることができる。
【0011】
第1の処理は、走行安全システムを取付可能な対象中古車に対して、所定のパラメータに従って、走行安全システムを取付ける対象中古車を分類する処理と、分類された対象中古車に対して走行安全システムを手配する処理とを含んでもよい。
【0012】
この構成によれば、所定のパラメータに従って、走行安全システムを取付ける対象中古車として分類された対象中古車に対して纏めて走行安全システムを手配して取付けることができるので、対象中古車に対して走行安全システムを取付けて販売するオペレーションの効率化を図ることができる。
【0013】
第1の処理は、上記パラメータに従って、対象中古車毎に取付可能な走行安全システムを判定する処理をさらに含んでもよい。
【0014】
これにより、さらに、取付可能な走行安全システム毎に分類された対象中古車に対して纏めて走行安全システムを手配して取付けることができるので、上記オペレーションのさらなる効率化を図ることができる。
【0015】
所定のパラメータは、車両の型式、年式、販売地域の少なくとも1つを含んでもよい。
これにより、車両の型式、年式、販売地域等のパラメータに従って、走行安全システムを取付ける対象中古車を適宜分類することができる。したがって、車両の型式、年式、販売地域等によって分類された対象中古車に対して纏めて走行安全システムを手配し、所望の対象中古車に当該走行安全システムを取付けて販売することができる。
【0016】
制御装置は、対象中古車の購入希望者から走行安全システムの取付を受付可能に構成されていてもよい。そして、第1の処理は、走行安全システムを取付可能な対象中古車に対して、購入希望者から受け付けた走行安全システムを手配する処理を含み、第2の処理は、第1の処理により手配された走行安全システムが取付けられた対象中古車を購入希望者に販売する処理を含んでもよい。
【0017】
この構成によれば、対象中古車の購入希望者の要望に従って、走行安全システムを手配して販売中古車に取付けることができるので、ユーザの要望を反映して中古車の商品魅力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記の中古車販売システム及び中古車販売方法によれば、中古車の商品魅力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態1に従う中古車販売システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】対象中古車がオンライン販売サイトに掲載されるまでの流れの一例を示した図である。
【
図3】
図1に示す管理サーバの構成を示す図である。
【
図4】管理サーバの販売車両情報DBに格納されるデータの構成の一例を示す図である。
【
図5】管理サーバの加修情報DBに格納されるデータの構成例を示す図である。
【
図6】管理サーバの加修情報DBに格納されるデータの構成例を示す図である。
【
図7】管理サーバの加修情報DBに格納されるデータの構成例を示す図である。
【
図8】管理サーバにおいて実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図8のステップS50において実行される走行安全システム手配処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図10】実施の形態2の管理サーバにおいて実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図10のステップS250において実行される走行安全システム手配処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に従う中古車販売システムの全体構成を概略的に示す図である。
図1を参照して、中古車販売システム10は、複数の販売店サーバ20と、管理サーバ30と、オンライン販売サイト40とを備える。各販売店サーバ20、管理サーバ30、及びオンライン販売サイト40は、インターネット等の通信ネットワーク50を介して互いに通信可能に構成される。
【0022】
販売店サーバ20は、中古車販売店に設置されたコンピュータである。各販売店サーバ20は、自販売店が保有している中古車の各種情報(車名、型式、年式等)を有している。本実施の形態1では、各販売店が保有する中古車は、自店で直接販売する車両と、自店では販売せずに適当な区分の地域で複数の販売店が保有する中古車をプールして纏めてオンライン販売サイト40で販売する車両とに仕分けされる。中古車販売システム10は、オンライン販売サイト40で販売する中古車を扱う。以下では、オンライン販売サイト40で販売する中古車を「対象中古車」と称する場合がある。各販売店サーバ20は、オンライン販売サイト40で販売する対象中古車の情報を、通信ネットワーク50を通じて管理サーバ30へ送信する。
【0023】
管理サーバ30は、各販売店が保有する対象中古車を集約してオンライン販売サイト40で販売するための管理を行なうコンピュータである。管理サーバ30は、各販売店サーバ20及びオンライン販売サイト40と通信ネットワーク50を通じて通信を行ない、各販売店サーバ20及びオンライン販売サイト40と各種情報をやり取りする。
【0024】
本実施の形態1では、管理サーバ30は、各販売店サーバ20から通信ネットワーク50を通じて対象中古車の情報を取得する。そして、管理サーバ30は、所定の加修(機能追加)を行なって販売する中古車と、無加修(機能追加なし)で販売する中古車との仕分けを行ない、加修対象の中古車に対しては加修の手配を行なう。
【0025】
詳しく説明すると、中古車の販売促進手段の一つとして、中古車の商品魅力の向上が挙げられる。本実施の形態1に従う中古車販売システム10では、中古車の商品魅力の向上を図るため、所定の条件(後述)を満たす中古車について、車両の走行安全性能に関する走行安全システムを取付けて(すなわち加修を行なって)オンライン販売サイト40で販売する。走行安全システムの搭載要求は、近年高まりつつあり、中古車販売時に走行安全システムを取付けて販売することで、中古車の商品魅力が大きく向上する。
【0026】
本実施の形態1に従う中古車販売システムでは、踏み間違い加速抑制システム、プリクラッシュセーフティ(Pre-Crash Safety:PCS)、及びクルーズコントロールの走行安全システムを追加で取付けてオンライン販売サイト40で販売することができる。踏み間違い加速抑制システムは、アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違いによる車両の加速を抑制するシステムである。PCSは、衝突の危険性がある場合に自動でブレーキをかけるシステムである。クルーズコントロールは、例えば高速道路の走行時にアクセルペダルを踏まなくても設定速度で定速走行するシステムである。
【0027】
なお、中古車販売時に取付可能な走行安全システムは、これらに限定されるものでなく、その他の走行安全システムを取付可能としてもよい。本実施の形態1では、代表的に上記の3つのシステムを中古車販売時に取付可能な走行安全システムとして説明する。以下では、「走行安全システム」は、踏み間違い加速抑制システム、プリクラッシュセーフティ(以下「PCS」)、及びクルーズコントロールの少なくともいずれかを示すものとする。
【0028】
管理サーバ30は、各販売店サーバ20から情報を取得した対象中古車が走行安全システムを取付可能な車両であるか否かを判定する。さらに、管理サーバ30は、走行安全システムを取付可能な車両について加修対象の車両を分類する。具体的には、管理サーバ30は、走行安全システムを取付可能な対象中古車に対して、走行安全システムを取付ける車両を所定のパラメータ(所定の条件)に従って分類する。
【0029】
上記のパラメータは、例えば、型式(車種)であってもよいし、年式(高年式のもの)であってもよい。或いは、パラメータは、型式と年式の組合せ(所定の型式で高年式のもの)であってもよいし、型式及び年式等でグレードが付与されている場合にはそのようなグレードであってもよい。さらには、パラメータは、対象中古車の販売地域を含んでもよい。販売地域によっては、例えば主に中古車の輸出ディーラーによって購入され、このような地域では、価格を抑えた中古車の人気が高いことから、このような地域で販売される中古車については加修対象から除外するようにしてもよい。
【0030】
そして、管理サーバ30は、加修対象として分類された中古車に対して、取付可能な走行安全システムを車両メーカーに手配する処理を実行する。具体的には、管理サーバ30は、対象の走行安全システムに関する部品をメーカーに発注する処理を実行するとともに、取付を行なう作業員、作業日時、作業場所等を手配するための処理を実行する。
【0031】
また、管理サーバ30は、対象中古車の情報(加修有/無の情報を含む。)を、通信ネットワーク50を通じてオンライン販売サイト40へ送信し、対象中古車の情報をオンライン販売サイト40に掲載するとともに、オンライン販売サイト40において購入要求を受けた対象中古車を販売する処理(決済処理等)を実行する。
【0032】
図2は、対象中古車がオンライン販売サイト40に掲載されるまでの流れの一例を示した図である。
図2を参照して、販売店100が保有する中古車は、販売店100で直接販売される車両と、オンライン販売サイト40で販売される車両とに仕分けされ、オンライン販売サイト40で販売される車両は、所定のプールヤード110に集約される。このようなプールヤード110は、適当な範囲の地域毎に複数の販売店100で共有される。プールヤード110に集約された対象中古車の情報は、各販売店100の販売店サーバ20から管理サーバ30へ送信される(
図1)。
【0033】
プールヤード110に集約された対象中古車は、上記のパラメータ(条件)に従って、加修を行なう車両、すなわち走行安全システムの追加取付を行なう車両と、無加修の車両とに分類される。そして、加修対象の中古車に対しては、必要な走行安全システムの手配及び実装が纏めて行なわれ、オンライン販売サイト40に掲載される。このように、対象中古車を纏めて管理して、走行安全システムの手配及び実装を行なうことにより、対象中古車に対して走行安全システムを取付けて販売するオペレーションの効率化を図ることができる。他方、無加修の中古車については、そのままオンライン販売サイト40に掲載される。
【0034】
図3は、
図1に示した管理サーバ30の構成を示す図である。
図3を参照して、管理サーバ30は、通信装置310と、記憶装置320と、処理装置330とを含む。通信装置310は、通信ネットワーク50を通じて各販売店サーバ20及びオンライン販売サイト40との間で双方向に通信可能に構成される。
【0035】
記憶装置320は、販売店情報データベース(DB)321と、販売車両情報DB322と、加修情報DB323とを含む。販売店情報DB321は、各販売店100の情報を格納する。例えば、販売店情報DB321には、各販売店100の識別番号、所在地、連絡先、利用するプールヤード110の所在地或いは識別番号等の各種情報が格納されている。
【0036】
販売車両情報DB322は、オンライン販売サイト40に掲載される各対象中古車の情報を格納する。すなわち、販売車両情報DB322は、各販売店サーバ20から取得される対象中古車の情報を格納する。販売車両情報DB322のデータ構成については、後ほど説明する。
【0037】
加修情報DB323は、加修可能な車両の情報、すなわち、走行安全システムを追加で取付可能な車両の情報を格納している。具体的には、加修情報DB323は、踏み間違い加速抑制システム、PCS、クルーズコントロールのシステム毎に、対応のシステムを取付可能な車両の情報を格納している。加修情報DB323のデータ構成についても、後ほど説明する。
【0038】
処理装置330は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))と、入出力バッファとを含んで構成される(いずれも図示せず)。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、処理装置330により実行される各種処理が記述されている。
【0039】
処理装置330は、オンライン販売サイト40に掲載される対象中古車の情報を、通信装置310を通じて取得し、取得された対象中古車の情報を販売車両情報DB322に登録する。そして、処理装置330は、販売車両情報DB322に登録された対象中古車毎に、加修対象車両であるか否かを判定する。詳しくは、処理装置330は、加修情報DB323を参照して、販売車両情報DB322に登録された対象中古車毎に、各走行安全システム(踏み間違い加速抑制システム、PCS、クルーズコントロール)を取付可能か否か判定する。
【0040】
処理装置330は、各対象中古車において、取付可能な走行安全システムがある場合、当該走行安全システムを手配する処理を実行する。例えば、踏み間違い加速抑制システムが取付けられる場合、処理装置330は、当該システムの部品(例えば、超音波センサを搭載したバンパー、超音波センサから車載ECU(Electronic Control Unit)までの配線、ECUソフトウェア等)をメーカーに発注する処理を実行する。さらに、処理装置330は、取付作業を行なう作業員、作業日時、作業場所等を管理する所定の工程管理サーバ(図示せず)に取付作業を発注する処理を実行する。そして、対象中古車に部品が取付けられると、処理装置330は、販売車両情報DB322内のその対象中古車の加修情報を更新するとともに、対象中古車の情報を、通信ネットワーク50を通じてオンライン販売サイト40へ送信する。
【0041】
図4は、管理サーバ30の販売車両情報DB322に格納されるデータの構成の一例を示す図である。
図4を参照して、車両IDは、オンライン販売サイト40で販売される中古車を特定するための識別番号であり、その中古車の車名、型式、年式、グレード、販売店、走行安全システムの有無、加修情報等の各種データが車両IDに対応付けられている。
【0042】
年式は、車両の製造年月又は登録年月を示す。グレードは、基本的には年式によって定められるものであり、例えばA~Eで示される。グレードAに近いほど高年式車(新しい車)であり、グレードEに近いほど低年式車(古い車)である。なお、グレードは、年式の他、走行距離や装備等を考慮して決定されてもよい。
【0043】
走行安全システムの欄は、対応する中古車の各走行安全システムの搭載状況を示す。詳しくは、走行安全システムのS1~S3は、それぞれ踏み間違い加速抑制システム、PCS、及びクルーズコントロールを示し、丸印は、対応の走行安全システムが既に搭載されていることを示す。
【0044】
加修情報の欄は、対応する中古車に対して行なわれる加修の有無を示す。詳しくは、加修情報のS1は、オンライン販売サイト40での販売にあたり、踏み間違い加速抑制システムの取付(加修)を行なってから販売することを示す。また、加修情報のS2は、オンライン販売サイト40での販売にあたり、PCSの加修が行なわれることを示す。なお、本実施の形態1では、PCSの加修とは、PCSのECUソフトのリプログラミング(バージョンアップ)を行なうことを示す。また、加修情報のS3は、オンライン販売サイト40での販売にあたり、クルーズコントロールの実装(加修)を行なってから販売することを示す。これらの加修情報は、対応のシステムの手配が行なわれた時点で書き込まれてもよいし、実際に加修が行なわれた時点で書き込まれてもよい。
【0045】
図5から
図7は、管理サーバ30の加修情報DB323に格納されるデータの構成例を示す図である。加修情報DB323には、走行安全システム毎、すなわち、踏み間違い加速抑制システム、PCS、クルーズコントロール毎に、対応のシステムを取付可能な車両の情報が格納されている。
【0046】
図5は、踏み間違い加速抑制システムを取付可能な車両の情報を示す。
図5を参照して、踏み間違い加速抑制システムを取付可能な車両の車名、型式、年式等の情報がリストで格納されている。図示のように、踏み間違い加速抑制システムを取付可能な車種は定められており、かつ、同じ車種でも踏み間違い加速抑制システムを取付可能な年式が定められている。管理サーバ30の処理装置330は、加修情報DB323に格納されている当該情報に基づいて、販売車両情報DB322(
図4)に登録されている対象中古車毎に、踏み間違い加速抑制システムを取付可能であるか否かを判定する。
【0047】
図6は、PCSのリプログラミングを実行可能な車両の情報を示す。
図6を参照して、PCSのECUソフトをリプログラミング可能な車両の車名、型式、年式等の情報がリストで格納されている。図示のように、PCSのECUソフトをリプログラミング可能な車種も定められており、かつ、同じ車種でもリプログラミング可能な年式が定められている。管理サーバ30の処理装置330は、加修情報DB323に格納されている当該情報に基づいて、販売車両情報DB322に登録されている対象中古車毎に、PCSのECUソフトをリプログラミング可能であるか否かを判定する。
【0048】
図7は、クルーズコントロールを実装可能な車両の情報を示す。
図7を参照して、クルーズコントロールを実装可能な車両の車名、型式、年式等の情報がリストで格納されている。図示のように、クルーズコントロールを実装可能な車種も定められており、かつ、同じ車種でもクルーズコントロールを実装可能な年式が定められている。管理サーバ30の処理装置330は、加修情報DB323に格納されている当該情報に基づいて、販売車両情報DB322に登録されている対象中古車毎に、クルーズコントロールを実装可能であるか否かを判定する。
【0049】
図8は、管理サーバ30において実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8とともに
図1から
図3も参照して、管理サーバ30は、オンライン販売サイト40で販売する対象中古車の情報を各販売店サーバ20から収集し、収集された対象中古車の情報を記憶装置320の販売車両情報DB322に登録する(ステップS10)。
【0050】
次いで、管理サーバ30は、販売車両情報DB322に登録されている中古車毎に、走行安全システムの加修対象車両であるか否かを判定する(ステップS20)。具体的には、まず、管理サーバ30は、記憶装置320の加修情報DB323を参照して、販売車両情報DB322に登録されている各対象中古車が走行安全システムを取付可能であるか、すなわち、踏み間違い加速抑制システムを取付可能であるか、PCSのソフトをリプログラミング可能であるか、クルーズコントロールを実装可能であるかを判定する。そして、管理サーバ30は、記憶装置320の販売車両情報DB322を参照して、走行安全システムを取付可能な対象中古車について、加修対象とするか否かを判定する。
【0051】
加修対象とするか否かは、対象中古車の型式(車種)で判定してもよいし、年式で判定してもよいし、型式と年式の組合せで判定してもよいし、グレードで判定してもよい。例えば、管理サーバ30は、グレードがA~Cの高年式車を加修対象車両とし、グレードがD,Eの低年式車については、加修可能な車両であっても加修対象から除外してもよい。
【0052】
なお、このステップS20から後述のステップS40までの各処理は、販売車両情報DB322に登録されている車両毎に実行される。ステップS20において、対象中古車が走行安全システムの加修対象の車両ではないと判定されると(ステップS20においてNO)、ステップS70(後述)へ処理が移行される。
【0053】
ステップS20において、対象中古車が走行安全システムの加修対象車両であると判定されると(ステップS20においてYES)、管理サーバ30は、対象中古車に取付可能な走行安全システムの有無を確認する(ステップS30)。すなわち、管理サーバ30は、記憶装置320の販売車両情報DB322を参照して、対象中古車の走行安全システムの搭載状況を確認し、現在未搭載で、かつ、取付可能な走行安全システムがあるか否かを判定する。ステップS30において、取付ける走行安全システムがないと判定されると(ステップS30においてNO)、ステップS70(後述)へ処理が移行される。
【0054】
ステップS30において、対象中古車に取付ける走行安全システムがある場合(ステップS30においてYES)、管理サーバ30は、対象中古車の販売地域が加修対象地域であるか否かを判定する(ステップS40)。上記のように、販売地域によっては、価格を抑えた無加修の中古車の人気が高いこともあることから、この処理は、このような地域を加修対象から除外可能とするものである。そして、ステップS40において、対象中古車の販売地域が加修対象地域ではないと判定されると(ステップS40においてNO)、後述のステップS70へ処理が移行される。なお、このステップS40は、必須の処理ではなく、地域によって加修対象の要否を分ける必要がない場合には、ステップS40の処理を省略してもよい。
【0055】
次いで、管理サーバ30は、対象中古車に搭載する走行安全システムを手配する処理を実行する(ステップS50)。このステップS50の処理は、ステップS40において販売地域が加修対象地域であると判定された対象中古車に対して、ある程度のロット(纏まり)をもって実行される。例えば、ロットは、期間(例えば1週間)であってもよいし、手配する走行安全システムの数(加修対象車両の台数)であってもよい。このステップS50において実行される処理については、後ほど詳しく説明する。
【0056】
走行安全システムの手配が完了すると、管理サーバ30は、手配が完了した走行安全システムの対象中古車への取付(実装)を指示する(ステップS60)。このステップS60の処理も、ステップS50において走行安全システムの手配が行なわれた車両に対して、ある程度のロット(纏まり)をもって実行される。
【0057】
そして、加修対象の車両に対して走行安全システムの取付が完了し、又は、ステップS20からS40のいずれかにおいてNOである場合に、管理サーバ30は、対象中古車の情報及びオンライン販売サイト40への掲載指示を、通信ネットワーク50を通じてオンライン販売サイト40へ送信する。これにより、対象中古車の情報がオンライン販売サイト40に掲載される(ステップS70)。
【0058】
そして、オンライン販売サイト40において、掲載された中古車に対して購入要求があると(ステップS80においてYES)、管理サーバ30は、図示しない所定の手順に従って、購入要求のあった中古車を販売するための販売処理(決済等)を実行する(ステップS90)。
【0059】
図9は、
図8のステップS50において実行される走行安全システム手配処理の一例を説明するフローチャートである。
図9を参照して、管理サーバ30は、加修対象とされた中古車が踏み間違い加速抑制システムの取付対象車両であるか否かを判定する(ステップS110)。具体的には、管理サーバ30は、記憶装置320の販売車両情報DB323を参照して、踏み間違い加速抑制システムが未搭載の対象中古車を当該システムの取付対象車両と判定する。
【0060】
そして、ステップS110において、踏み間違い加速抑制システムの取付対象車両であると判定されると(ステップS110においてYES)、管理サーバ30は、その中古車に取付ける踏み間違い加速抑制システムを手配する(ステップS120)。具体的には、管理サーバ30は、踏み間違い加速抑制システムに関する部品(例えば、超音波センサを搭載したバンパー、超音波センサから車載ECUまでの配線、ECUソフトウェア等)をメーカーに発注する処理を実行するとともに、作業員、作業日時、作業場所等を管理する工程管理サーバに取付作業を発注する処理を実行する。
【0061】
次いで、管理サーバ30は、加修対象とされた中古車がPCSリプログラミングの対象車両であるか否かを判定する(ステップS130)。具体的には、管理サーバ30は、記憶装置320の販売車両情報DB323を参照して、PCSのリプログラミングが行なわれていない対象中古車をPCSリプログラミングの対象車両と判定する。
【0062】
そして、ステップS130において、PCSリプログラミングの対象車両であると判定されると(ステップS130においてYES)、管理サーバ30は、その中古車に対してPCSのリプログラミングを手配する(ステップS140)。具体的には、管理サーバ30は、PCSのリプログラミング用ソフトをメーカーに発注する処理を実行するとともに、作業員、作業日時、作業場所等を管理する工程管理サーバにPCSのリプログラミング作業を発注する処理を実行する。
【0063】
さらに、管理サーバ30は、加修対象とされた中古車がクルーズコントロールの実装対象車両であるか否かを判定する(ステップS150)。具体的には、管理サーバ30は、記憶装置320の販売車両情報DB323を参照して、クルーズコントロールが未実装の対象中古車をクルーズコントロールの実装対象車両と判定する。
【0064】
そして、ステップS150において、クルーズコントロールの実装対象車両であると判定されると(ステップS150においてYES)、管理サーバ30は、その中古車に対してクルーズコントロールの実装を手配する(ステップS160)。具体的には、管理サーバ30は、クルーズコントロールの実装に関する部品(例えば、センサを搭載したバンパー、センサから車載ECUまでの配線、ECUソフトウェア等)をメーカーに発注する処理を実行するとともに、作業員、作業日時、作業場所等を管理する工程管理サーバに取付作業を発注する処理を実行する。
【0065】
以上のように、この実施の形態1においては、中古車の販売時に走行安全システムを取付けて販売することができる。このような走行安全システムの車載要求は、近年ますます高まりつつあり、中古車販売時に上記の走行安全システムを取付けて販売することで、中古車の商品魅力向上に大きく寄与し得る。したがって、この実施の形態1によれば、中古車の商品魅力を向上させることができる。
【0066】
[実施の形態2]
実施の形態1では、各販売店100から集約された各中古車に対して、管理サーバ30において、車両の型式や年式等によって走行安全システムを取付けるか否か(加修を行なうか否か)を判定するものとした。この実施の形態2では、オンライン販売サイト40において、加修可能な中古車に対して購入希望者が加修の有無をオプションで選択可能とする。
【0067】
実施の形態2に従う中古車販売システムの全体構成は、
図1から
図3に示した実施の形態1に従う中古車販売システムと同じである。
【0068】
図10は、実施の形態2の管理サーバ30において実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10とともに
図1から
図3も参照して、管理サーバ30は、オンライン販売サイト40で販売する対象中古車の情報を各販売店サーバ20から収集し、収集された対象中古車の情報を記憶装置320の販売車両情報DB322に登録する(ステップS210)。
【0069】
そして、この実施の形態2では、管理サーバ30は、販売車両情報DB322に登録された中古車の情報及びオンライン販売サイト40への掲載指示を、通信ネットワーク50を通じてオンライン販売サイト40へ送信する。これにより、対象中古車の情報がオンライン販売サイト40に掲載される(ステップS220)。
【0070】
なお、この実施の形態2では、管理サーバ30は、記憶装置320の加修情報DB323を参照して、対象中古車が各走行安全システム(踏み間違い加速抑制システム、PCS、クルーズコントロール)を取付可能であるかを判定し、取付可能である場合に、その情報も併せてオンライン販売サイト40へ送信する。走行安全システムを取付可能であることは、オンライン販売サイト40において対象中古車を購入する際のオプションとして対象中古車とともに掲載される。
【0071】
オンライン販売サイト40において中古車の購入要求があると(ステップS230においてYES)、管理サーバ30は、購入要求のあった中古車について、オンライン販売サイト40における走行安全システムの取付オプションの入力有無を確認する(ステップS240)。オプションの入力がなければ(ステップS240においてNO)、後述のステップS270へ処理が移行される。
【0072】
ステップS240において走行安全システムの取付オプションの入力があったものと判定されると(ステップS240においてYES)、管理サーバ30は、オプション入力のあった走行安全システムを手配する処理を実行する(ステップS250)。ステップS250において実行される処理については、後ほど詳しく説明する。走行安全システムの手配が完了すると、管理サーバ30は、手配が完了した走行安全システムの対象中古車への取付(実装)を指示する(ステップS260)。
【0073】
そして、オプション入力に応じて走行安全システムの取付が完了し、又は、ステップS240においてNOである場合に、管理サーバ30は、図示しない所定の手順に従って、購入要求のあった中古車を販売するための販売処理(決済等)を実行する(ステップS270)。
【0074】
図11は、
図10のステップS250において実行される走行安全システム手配処理の一例を説明するフローチャートである。
図11を参照して、オンライン販売サイト40からの購入要求時に、踏み間違い加速抑制システムのオプション入力があった場合(ステップS310においてYES)、管理サーバ30は、その対象中古車に取付ける踏み間違い加速抑制システムを手配する(ステップS320)。この処理は、
図9に示したステップS120と同じである。
【0075】
また、オンライン販売サイト40からの購入要求時に、PCSリプログラミングのオプション入力があった場合(ステップS330においてYES)、管理サーバ30は、その対象中古車に対してPCSのリプログラミングを手配する(ステップS340)。この処理も、
図9に示したステップS140と同じである。
【0076】
さらに、オンライン販売サイト40からの購入要求時に、クルーズコントロールの実装のオプション入力があった場合(ステップS350においてYES)、管理サーバ30は、その対象中古車に対してクルーズコントロールの実装を手配する(ステップS360)。この処理は、
図9に示したステップS160と同じである。
【0077】
以上のように、この実施の形態2によれば、オンライン販売サイト40での中古車購入希望者の要望に従って、走行安全システムを手配して販売中古車に取付けることができるので、ユーザの要望を反映して中古車の商品魅力を向上させることができる。
【0078】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
10 中古車販売システム、20 販売店サーバ、30 管理サーバ、40 オンライン販売サイト、50 通信ネットワーク、100 販売店、110 プールヤード、310 通信装置、320 記憶装置、321 販売店情報DB、322 販売車両情報DB、323 加修情報DB、330 処理装置。