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特許7517171異常検出装置、負荷駆動装置、異常検出方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】異常検出装置、負荷駆動装置、異常検出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/00 20060101AFI20240709BHJP
   H05B 3/00 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
H02H7/00 L
H02H7/00 Z
H05B3/00 310C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021008772
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2022112812
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2023-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馴松 智洋
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06232781(US,B1)
【文献】特表2003-536076(JP,A)
【文献】特開2002-272177(JP,A)
【文献】特開2020-137089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H7/00
H02H7/10-7/20
H05B1/00-3/00
G01R31/50-31/74
H03K17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気負荷と電力供給部との間に設けられた第1スイッチおよび前記電気負荷とアースとの間に設けられた第2スイッチを含む駆動回路のうち、前記第1スイッチを、前記電気負荷と前記電力供給部との間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記電力供給部との間を遮断するオフ状態に制御すると共に、前記第2スイッチを、前記電気負荷と前記アースとの間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記アースとの間を遮断するオフ状態に制御する制御部と、
前記制御部によって制御される前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態と、前記第1スイッチと前記電気負荷との間における電圧を検出する検出部によって検出された前記電圧と、に基づいて前記駆動回路の異常を判断する判断部と、
を含み、
前記判断部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフが一定の状態のときに、前記検出部によって検出された前記電圧に基づき前記駆動回路が正常か異常かを判断する所定の判断を複数回行い、所定回連続して異常と判断した場合に前記駆動回路に異常があると確定し、所定回連続して正常と判断した場合に前記駆動回路が正常と確定する一方、前記所定の判断を複数回行っても所定回連続して異常と判断できずかつ所定回連続して正常と判断できなかった場合に、前記電圧の異常が発生したと判断する異常検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態が互いに異なる複数の状態へ順次切り替え、
前記判断部は、前記複数の状態の各々における前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態と、前記複数の状態のときに前記検出部によって各々検出された電圧と、に基づいて前記駆動回路の異常を判断する請求項1記載の異常検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記駆動回路の起動時に前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態を制御し、
前記判断部は、前記駆動回路の起動時に前記制御部によって制御される前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態と、前記検出部によって検出された前記電圧と、に基づいて前記駆動回路の異常を判断する請求項1または請求項2記載の異常検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態が互いに異なる複数の状態へ順次切り替え、
前記判断部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチが前記複数の状態のときに前記検出部によって各々検出された前記電圧を、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態に応じて異なる閾値と比較することで、前記駆動回路の異常を判断する請求項1~請求項3の何れか1項記載の異常検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態を、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオフ状態とする第1の状態、前記第1スイッチをオフ状態としかつ前記第2スイッチをオン状態とする第2の状態、および、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオン状態とする第3の状態、へ切り替える請求項1~請求項4の何れか1項記載の異常検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態を、前記第1スイッチをオン状態としかつ前記第2スイッチをオフ状態とする第4の状態、へも切り替える請求項5記載の異常検出装置。
【請求項7】
前記判断部は、前記第1スイッチと前記電気負荷との間が電源へ短絡している場合に、前記第1スイッチをオフ状態としかつ前記第2スイッチをオン状態とする第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第1スイッチと前記電気負荷との間がアースへ短絡している場合に、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオフ状態とする第1の状態、または、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオン状態とする第3の状態、または、前記第1スイッチをオン状態としかつ前記第2スイッチをオフ状態とする第4の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第1スイッチと前記電気負荷との間が断線している場合に、前記第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第1スイッチがオン状態に固着している場合に、前記第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第1スイッチがオフ状態に固着している場合に、前記第3の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断する請求項1~請求項6の何れか1項記載の異常検出装置。
【請求項8】
前記判断部は、前記第2スイッチと前記電気負荷との間が電源へ短絡している場合に、前記第1スイッチをオフ状態としかつ前記第2スイッチをオン状態とする第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第2スイッチと前記電気負荷との間がアースへ短絡している場合に、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオフ状態とする第1の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第2スイッチと前記電気負荷との間が断線している場合に、前記第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第2スイッチがオン状態に固着している場合に、前記第1の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第2スイッチがオフ状態に固着している場合に、前記第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断する請求項1~請求項7の何れか1項記載の異常検出装置。
【請求項9】
前記電気負荷はヒータである請求項1~請求項8の何れか1項記載の異常検出装置。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れか1項記載の異常検出装置と、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを含む前記駆動回路と、
前記検出部と、
を含む負荷駆動装置。
【請求項11】
電気負荷と電力供給部との間に設けられた第1スイッチおよび前記電気負荷とアースとの間に設けられた第2スイッチを含む駆動回路のうち、前記第1スイッチを、前記電気負荷と前記電力供給部との間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記電力供給部との間を遮断するオフ状態に制御すると共に、前記第2スイッチを、前記電気負荷と前記アースとの間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記アースとの間を遮断するオフ状態に制御し、
制御した前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態と、前記第1スイッチと前記電気負荷との間における電圧を検出する検出部によって検出された前記電圧と、に基づいて前記駆動回路の異常を判断する
ことを含む処理をコンピュータによって実行させる異常検出方法であって、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフが一定の状態のときに、前記検出部によって検出された前記電圧に基づき前記駆動回路が正常か異常かを判断する所定の判断を複数回行い、所定回連続して異常と判断した場合に前記駆動回路に異常があると確定し、所定回連続して正常と判断した場合に前記駆動回路が正常と確定する一方、前記所定の判断を複数回行っても所定回連続して異常と判断できずかつ所定回連続して正常と判断できなかった場合に、前記電圧の異常が発生したと判断する異常検出方法。
【請求項12】
コンピュータに、
電気負荷と電力供給部との間に設けられた第1スイッチおよび前記電気負荷とアースとの間に設けられた第2スイッチを含む駆動回路のうち、前記第1スイッチを、前記電気負荷と前記電力供給部との間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記電力供給部との間を遮断するオフ状態に制御すると共に、前記第2スイッチを、前記電気負荷と前記アースとの間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記アースとの間を遮断するオフ状態に制御し、
制御した前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態と、前記第1スイッチと前記電気負荷との間における電圧を検出する検出部によって検出された前記電圧と、に基づいて前記駆動回路の異常を判断する
ことを含む処理を実行させるための異常検出プログラムであって、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフが一定の状態のときに、前記検出部によって検出された前記電圧に基づき前記駆動回路が正常か異常かを判断する所定の判断を複数回行い、所定回連続して異常と判断した場合に前記駆動回路に異常があると確定し、所定回連続して正常と判断した場合に前記駆動回路が正常と確定する一方、前記所定の判断を複数回行っても所定回連続して異常と判断できずかつ所定回連続して正常と判断できなかった場合に、前記電圧の異常が発生したと判断する異常検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異常検出装置、負荷駆動装置、異常検出方法および異常検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の制御装置は、ヒータと電源との間を繋ぐハイサイド配線と、ヒータと接地部との間を繋ぐローサイド配線と、ヒータの発熱電極に接続されたセンス配線と、ヒータに接続された各配線における故障を検出する故障検出部と、を備えている。そして故障検出部は、ハイサイド電圧、ローサイド電圧、センス電圧、ハイサイド電流およびローサイド電流のそれぞれに基づいて、生じた故障の態様および当該故障が生じた箇所を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-137089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、駆動回路の異常を検出するにあたり、駆動回路の複数箇所の電圧、電流、具体的には、ハイサイド電圧、ローサイド電圧、センス電圧、ハイサイド電流およびローサイド電流を取得する必要がある。このため、特許文献1に記載の技術は、駆動回路の異常を検出するための構成が複雑化するという課題がある。
【0005】
本開示は上記事実を考慮して成されたもので、駆動回路の異常を検出することを簡易な構成で実現できる異常検出装置、負荷駆動装置、異常検出方法および異常検出プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る異常検出装置は、電気負荷と電力供給部との間に設けられた第1スイッチおよび前記電気負荷とアースとの間に設けられた第2スイッチを含む駆動回路のうち、前記第1スイッチを、前記電気負荷と前記電力供給部との間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記電力供給部との間を遮断するオフ状態に制御すると共に、前記第2スイッチを、前記電気負荷と前記アースとの間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記アースとの間を遮断するオフ状態に制御する制御部と、前記制御部によって制御される前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態と、前記第1スイッチと前記電気負荷との間における電圧を検出する検出部によって検出された前記電圧と、に基づいて前記駆動回路の異常を判断する判断部と、を含んでいる。
【0007】
第1の態様では、第1スイッチをオン状態またはオフ状態に制御すると共に、第2スイッチをオン状態またはオフ状態に制御する。そして、第1スイッチおよび第2スイッチのオンオフの状態と、第1スイッチと電気負荷との間における電圧を検出する検出部によって検出された前記電圧と、に基づいて前記駆動回路の異常を判断する。このように、第1の態様では、第1スイッチと電気負荷との間における電圧に基づいて駆動回路の異常を判断するので、駆動回路の複数箇所の電圧、電流を取得する必要がなく、駆動回路の異常を検出することを簡易な構成で実現できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記制御部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態が互いに異なる複数の状態へ順次切り替え、前記判断部は、前記複数の状態の各々における前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態と、前記複数の状態のときに前記検出部によって各々検出された電圧と、に基づいて前記駆動回路の異常を判断する。
【0009】
第2の態様では、第1スイッチおよび第2スイッチを、オンオフの状態が互いに異なる複数の状態へ順次切り替え、複数の状態の各々における第1スイッチおよび第2スイッチのオンオフの状態と、複数の状態のときに検出部によって各々検出された電圧と、に基づいて駆動回路の異常を判断するので、駆動回路の異常を網羅的に検出することができる。
【0010】
第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、前記制御部は、前記駆動回路の起動時に前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態を制御し、前記判断部は、前記駆動回路の起動時に前記制御部によって制御される前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態と、前記検出部によって検出された前記電圧と、に基づいて前記駆動回路の異常を判断する。
【0011】
第3の態様では、駆動回路の起動時に、第1スイッチおよび第2スイッチのオンオフの状態を制御して駆動回路の異常を判断するので、駆動回路の異常判断で異常が無いと判断した場合に、駆動回路を早期に電気負荷の駆動に供することができる。
【0012】
第4の態様は、第1の態様~第3の態様の何れかにおいて、前記制御部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態が互いに異なる複数の状態へ順次切り替え、前記判断部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチが前記複数の状態のときに前記検出部によって各々検出された前記電圧を、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態に応じて異なる閾値と比較することで、前記駆動回路の異常を判断する。
【0013】
第4の態様では、第1スイッチおよび第2スイッチが前記複数の状態のときに各々検出された前記電圧を、第1スイッチおよび第2スイッチのオンオフの状態に応じて異なる閾値と比較することで、より精度良く異常検出を行うことができる。
【0014】
第5の態様は、第1の態様~第4の態様の何れかにおいて、前記制御部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態を、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオフ状態とする第1の状態、前記第1スイッチをオフ状態としかつ前記第2スイッチをオン状態とする第2の状態、および、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオン状態とする第3の状態、へ切り替える。
【0015】
第5の態様では、第1スイッチおよび第2スイッチのオンオフの状態を、上記の第1の状態、第2の状態および第3の状態へ切り替えるので、これらの各状態のときに各々検出された電圧に基づいて駆動回路の異常が判断される。これにより、駆動回路の異常を網羅的かつ効率的に検出することができる。
【0016】
第6の態様は、第5の態様において、前記制御部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態を、前記第1スイッチをオン状態としかつ前記第2スイッチをオフ状態とする第4の状態、へも切り替える。
【0017】
第6の態様では、第1スイッチおよび第2スイッチのオンオフの状態を第4の状態へも切り替えるので、第4の状態のときに検出された電圧も用いて駆動回路の異常が判断される。これにより、異常が発生した箇所および異常の内容を絞り込むことが可能となる。
【0018】
第7の態様は、第1の態様~第6の態様の何れかにおいて、前記判断部は、前記第1スイッチと前記電気負荷との間が電源へ短絡している場合に、前記第1スイッチをオフ状態としかつ前記第2スイッチをオン状態とする第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第1スイッチと前記電気負荷との間がアースへ短絡している場合に、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオフ状態とする第1の状態、または、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオン状態とする第3の状態、または、前記第1スイッチをオン状態としかつ前記第2スイッチをオフ状態とする第4の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第1スイッチと前記電気負荷との間が断線している場合に、前記第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第1スイッチがオン状態に固着している場合に、前記第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第1スイッチがオフ状態に固着している場合に、前記第3の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断する。
【0019】
第7の態様によれば、第1スイッチ周りの異常、詳しくは、第1スイッチと電気負荷との間が電源へ短絡している場合、第1スイッチと電気負荷との間がアースへ短絡している場合、第1スイッチと電気負荷との間が断線している場合、第1スイッチがオン状態に固着している場合、および、第1スイッチがオフ状態に固着している場合を、駆動回路の異常として検出することができる。
【0020】
第8の態様は、第1の態様~第7の態様の何れかにおいて、前記判断部は、前記第2スイッチと前記電気負荷との間が電源へ短絡している場合に、前記第1スイッチをオフ状態としかつ前記第2スイッチをオン状態とする第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第2スイッチと前記電気負荷との間がアースへ短絡している場合に、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオフ状態とする第1の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第2スイッチと前記電気負荷との間が断線している場合に、前記第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第2スイッチがオン状態に固着している場合に、前記第1の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断し、前記第2スイッチがオフ状態に固着している場合に、前記第2の状態で検出された前記電圧に基づいて前記駆動回路を異常と判断する。
【0021】
第8の態様によれば、第2スイッチ周りの異常、詳しくは、第2スイッチと電気負荷との間が電源へ短絡している場合、第2スイッチと電気負荷との間がアースへ短絡している場合、第2スイッチと電気負荷との間が断線している場合、第2スイッチがオン状態に固着している場合、および、第2スイッチがオフ状態に固着している場合を、駆動回路の異常として検出することができる。
【0022】
第9の態様は、第1の態様~第8の態様の何れかにおいて、前記判断部は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフが一定の状態のときに、前記検出部によって検出された前記電圧に基づき前記駆動回路が正常か異常かを判断することを複数回行い、所定回連続して異常と判断した場合に前記駆動回路に異常があると確定する。
【0023】
第1スイッチおよび第2スイッチのオンオフの状態を切り替えた直後は、検出部によって検出される電圧が不安定な過渡状態になる。これに対して第9の態様は、検出された前記電圧に基づき駆動回路が正常か異常かを判断することを複数回行い、所定回連続して異常と判断した場合に駆動回路に異常があると確定するので、前記過渡状態での電圧変動が異常検出に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0024】
第10の態様は、第1の態様~第8の態様の何れかにおいて、前記電気負荷はヒータである。
【0025】
第10の態様は、電気負荷としてのヒータを駆動する駆動回路の異常を検出することを簡易な構成で実現できる。
【0026】
第11の態様に係る負荷駆動装置は、第1の態様~第10の態様の何れかに記載の異常検出装置と、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを含む前記駆動回路と、前記検出部と、を含んでいる。
【0027】
第11の態様では、第1の態様~第10の態様の何れかに記載の異常検出装置を含んでいるので、第1の態様と同様に、駆動回路の異常を検出することを簡易な構成で実現できる。
【0028】
第12の態様に係る異常検出方法は、電気負荷と電力供給部との間に設けられた第1スイッチおよび前記電気負荷とアースとの間に設けられた第2スイッチを含む駆動回路のうち、前記第1スイッチを、前記電気負荷と前記電力供給部との間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記電力供給部との間を遮断するオフ状態に制御すると共に、前記第2スイッチを、前記電気負荷と前記アースとの間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記アースとの間を遮断するオフ状態に制御し、制御した前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態と、前記第1スイッチと前記電気負荷との間における電圧を検出する検出部によって検出された前記電圧と、に基づいて前記駆動回路の異常を判断することを含む処理をコンピュータによって実行させる。
【0029】
第12の態様によれば、第1の態様と同様に、駆動回路の異常を検出することを簡易な構成で実現できる。
【0030】
第13の態様に係る異常検出プログラムは、コンピュータに、電気負荷と電力供給部との間に設けられた第1スイッチおよび前記電気負荷とアースとの間に設けられた第2スイッチを含む駆動回路のうち、前記第1スイッチを、前記電気負荷と前記電力供給部との間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記電力供給部との間を遮断するオフ状態に制御すると共に、前記第2スイッチを、前記電気負荷と前記アースとの間を接続するオン状態または前記電気負荷と前記アースとの間を遮断するオフ状態に制御し、制御した前記第1スイッチおよび前記第2スイッチのオンオフの状態と、前記第1スイッチと前記電気負荷との間における電圧を検出する検出部によって検出された前記電圧と、に基づいて前記駆動回路の異常を判断することを含む処理を実行させる。
【0031】
第13の態様によれば、第1の態様と同様に、駆動回路の異常を検出することを簡易な構成で実現できる。
【発明の効果】
【0032】
本開示は、駆動回路の異常を検出することを簡易な構成で実現できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施形態に係る電池パックおよびヒータ駆動ECUを示す概略図である。
図2】マイコンの機能ブロック図である。
図3】駆動回路に「ハイ側+Bショート」が生じた場合を示す概略図である。
図4】駆動回路に「ハイ側GNDショート」が生じた場合を示す概略図である。
図5】駆動回路に「ハイ側オープン」が生じた場合を示す概略図である。
図6】駆動回路に「ハイ側オン固着」が生じた場合を示す概略図である。
図7】駆動回路に「ハイ側オフ固着」が生じた場合を示す概略図である。
図8】駆動回路に「ロー側+Bショート」が生じた場合を示す概略図である。
図9】駆動回路に「ロー側GNDショート」が生じた場合を示す概略図である。
図10】駆動回路に「ロー側オープン」が生じた場合を示す概略図である。
図11】駆動回路に「ロー側オン固着」が生じた場合を示す概略図である。
図12】駆動回路に「ロー側オフ固着」が生じた場合を示す概略図である。
図13】両リレーオフ、ロー側リレーオンおよび両リレーオンの各状態における、各種の異常の検出可否を示す図表である。
図14】第1実施形態に係る異常検出処理を示すフローチャートである。
図15】第1実施形態に係る両リレーオフ時判定処理を示すフローチャートである。
図16】第1実施形態に係るロー側リレーオン時判定処理を示すフローチャートである。
図17】第1実施形態に係る両リレーオン時判定処理を示すフローチャートである。
図18】両リレーオフ、ハイ側リレーオン、ロー側リレーオンおよび両リレーオンの各状態における、各種の異常の検出可否を示す図表である。
図19】第2実施形態に係る異常検出処理を示すフローチャートである。
図20】第2実施形態に係る両リレーオフ時判定処理を示すフローチャートである。
図21】第2実施形態に係るハイ側リレーオン時判定処理を示すフローチャートである。
図22】第2実施形態に係るロー側リレーオン時判定処理を示すフローチャートである。
図23】第2実施形態に係る両リレーオン時判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0035】
〔第1実施形態〕
図1には、電池パック10と、当該電池パック10に内蔵されたヒータ18を駆動するヒータ駆動ECU22と、が示されている。電池パック10およびヒータ駆動ECU22は、車両(図示省略)に搭載されており、ハイ側接続線38およびロー側接続線40によって接続されている。
【0036】
電池パック10は、電池12と、電池12の温度を検出する温度センサ回路14と、温度センサ回路14によって検出された電池12の温度をヒータ駆動ECU22へ送信するIC(Integrated Circuit)16と、通電時に電池12を加熱するヒータ18と、を含んでいる。ヒータ18は本開示における電気負荷の一例である。電池パック10の電池12は、例えば、車両に搭載された補機バッテリ(図示省略)のバックアップ電源として機能する。
【0037】
また、ヒータ駆動ECU22は、電力供給部24と、ヒータ18と電力供給部24との間に設けられた第1リレー26と、ヒータ18とアースとの間に設けられた第2リレー28と、電圧センサ回路30と、マイコン46と、を含んでいる。なお、第1リレー26は、本開示における第1スイッチの一例であり、必要に応じて「ハイ側リレー26」と称する。また、第2リレー28は、本開示における第2スイッチの一例であり、必要に応じて「ロー側リレー28」と称する。また、ヒータ駆動ECU22は、本開示における負荷駆動装置の一例である。
【0038】
第1リレー26は、励磁コイル26Aと、励磁コイル26Aの励磁/非励磁の状態に応じてオンオフの状態が切り替わるスイッチ26Bと、を含んでいる。励磁コイル26Aの両端はマイコン46に接続され、スイッチ26Bの一端は電力供給部24のプラス端子に接続され、スイッチ26Bの他端はハイ側接続線38を介してヒータ18の一端に接続されている。マイコン46は、励磁コイル26Aの励磁/非励磁の状態を切り替えることで、第1リレー26を、ヒータ18と電力供給部24との間を接続するオン状態、または、ヒータ18と電力供給部24との間を遮断するオフ状態に制御する。
【0039】
また、第2リレー28は、励磁コイル28Aと、励磁コイル28Aの励磁/非励磁の状態に応じてオンオフの状態が切り替わるスイッチ28Bと、を含んでいる。励磁コイル28Aの両端はマイコン46に接続され、スイッチ28Bの一端はロー側接続線40を介してヒータ18の他端に接続され、スイッチ28Bの他端はアースに接続されている。マイコン46は、励磁コイル28Aの励磁/非励磁の状態を切り替えることで、第2リレー28を、ヒータ18とアースとの間を接続するオン状態、または、ヒータ18とアースとの間を遮断するオフ状態に制御する。
【0040】
なお、上述した電力供給部24、第1リレー26、ハイ側接続線38、第2リレー28、ロー側接続線40およびアースは、ヒータ18の駆動回路の一例であり、以下、これらを必要に応じて「駆動回路42」と総称する。
【0041】
また、電圧センサ回路30は、抵抗32、34、36を含んでいる。抵抗32は、一端が電力供給部24のプラス端子に接続され、他端がハイ側接続線38の途中に接続されている。抵抗34は、一端がハイ側接続線38の途中に接続され、他端が抵抗36の一端に接続されている。抵抗36の他端はアースに接続されている。電圧センサ回路30は、抵抗34と抵抗36との接続点がマイコン46に接続されている。これにより、マイコン46には、ハイ側接続線の電圧を抵抗34、36により分圧した電圧が入力される。なお、電圧センサ回路30は検出部の一例であり、電圧センサ回路30からマイコン46に入力される電圧は「第1スイッチとヒータとの間における電圧」の一例である。
【0042】
また、マイコン46は、CPU48と、ROM、RAMなどのメモリ50と、HDD、SSDなどの不揮発性の記憶部52と、通信部54と、を含んでいる。CPU48、メモリ50、記憶部52および通信部54は内部バス56を介して相互に通信可能に接続されている。マイコン46は、電池パック10のICから受信した電池12の温度に基づき、ヒータ18による電池12の加熱が必要か否かを判断する。そしてマイコン46は、ヒータ18による電池12の加熱が必要と判断した場合には、第1リレー26および第2リレー28を各々オン状態に制御することでヒータ18に通電する。
【0043】
また、記憶部52には異常検出プログラム58が記憶されている。マイコン46は、異常検出プログラム58が記憶部52から読み出されてメモリ50に展開され、メモリ50に展開された異常検出プログラム58が、例えば車両のイグニッションスイッチがオンされて駆動回路42を起動する際にCPU48によって実行されることで、後述する異常検出処理を行う。マイコン46は、異常検出処理を行うことで、図2に示す制御部62および判断部64として機能する。マイコン46は本開示における異常検出装置の一例であり、本開示におけるコンピュータの一例である。
【0044】
制御部62は、第1リレー26を、ヒータ18と電力供給部24との間を接続するオン状態またはヒータ18と電力供給部24との間を遮断するオフ状態に制御すると共に、第2リレー28を、ヒータ18とアースとの間を接続するオン状態またはヒータ18とアースとの間を遮断するオフ状態に制御する。
【0045】
判断部64は、制御部62によって制御される第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態と、第1リレー26とヒータ18との間(ハイ側接続線38)における電圧を検出する電圧センサ回路30によって検出された前記電圧と、に基づいて駆動回路42の異常を判断する。
【0046】
次に第1実施形態の作用を説明する。本実施形態において、駆動回路42の異常としては、以下の10種類の異常が考えられる。
(1)第1リレー26とヒータ18との間が電源へ短絡している異常(図3参照、以下「ハイ側+Bショート」という)
(2)第1リレー26とヒータ18との間がアースへ短絡している異常(図4参照、以下「ハイ側GNDショート」という)
(3)第1リレー26とヒータ18との間が断線している異常(図5参照、以下「ハイ側オープン」という)
(4)第1リレー26がオン状態に固着している異常(図6参照、以下「ハイ側オン固着」という)
(5)第1リレー26がオフ状態に固着している異常(図7参照、以下「ハイ側オフ固着」という)
(6)第2リレー28とヒータ18との間が電源へ短絡している異常(図8参照、以下「ロー側+Bショート」という)
(7)第2リレー28とヒータ18との間がアースへ短絡している異常(図9参照、以下「ロー側GNDショート」という)
(8)第2リレー28とヒータ18との間が断線している異常(図10参照、以下「ロー側オープン」という)
(9)第2リレー28がオン状態に固着している異常(図11参照、以下「ロー側オン固着」という)
(10)第2リレー28がオフ状態に固着している異常(図12参照、以下「ロー側オフ固着」という)
【0047】
ここで、制御部62が、第1リレー(ハイ側リレー)26および第2リレー(ロー側リレー)28の双方をオフ状態に切り替えた場合(図13に示す「両リレーオフ」:本開示における第1の状態の一例)を考える。「両リレーオフ」において、駆動回路42が正常のときには、図13に示すように、電圧センサ回路30により検出されるハイ側接続線38の電圧(判定用電圧)は、電圧V2になる。一方、「両リレーオフ」において、駆動回路42に「ハイ側GNDショート」または「ロー側GNDショート」または「ロー側オン固着」が生じている場合には、図13に示すように、判定用電圧は0になる。
【0048】
このため、「両リレーオフ」においては、判定用電圧に対する閾値電圧を、電圧V1、V2よりも小さく0よりも大きい値とし、判断部64が、判定用電圧が閾値電圧未満の場合に駆動回路42に異常が発生していると判断することで、駆動回路42に「ハイ側GNDショート」または「ロー側GNDショート」または「ロー側オン固着」が生じていることを検出することができる。
【0049】
なお、図13において、「○」は異常を検出できることを意味し、「×」は異常を検出できないことを意味している。また、「△」は判定用電圧の変動が小さければ異常を検出可能であることを意味している。
【0050】
次に、制御部62が、第1リレー(ハイ側リレー)26をオフ状態に切り替えると共に、第2リレー(ロー側リレー)28をオン状態に切り替えた場合(図13に示す「ロー側リレーオン」:本開示における第2の状態の一例)を考える。「ロー側リレーオン」において、駆動回路42が正常のときには、図13に示すように、判定用電圧は0になる。一方、「ロー側リレーオン」において、駆動回路42に「ハイ側+Bショート」または「ハイ側オン固着」または「ロー側+Bショート」が生じている場合には、図13に示すように、判定用電圧はV4になる。また、「ロー側リレーオン」において、駆動回路42に「ハイ側オープン」または「ロー側オープン」が生じている場合には、図13に示すように、判定用電圧はV2になる。また、「ロー側リレーオン」において、駆動回路42に「ロー側オフ固着」が生じている場合には、図13に示すように、判定用電圧はV1になる。
【0051】
このため、「ロー側リレーオン」においては、判定用電圧に対する閾値電圧を、電圧V1、V2よりも小さい値とし、判断部64が、判定用電圧が閾値電圧よりも大きい場合に駆動回路42に異常が発生していると判断することで、駆動回路42に「ハイ側+Bショート」または「ハイ側オン固着」または「ハイ側オープン」または「ロー側+Bショート」または「ロー側オープン」または「ロー側オフ固着」が生じていることを検出することができる。
【0052】
続いて、制御部62が、第1リレー(ハイ側リレー)26および第2リレー(ロー側リレー)28の双方をオン状態に切り替えた場合(図13に示す「両リレーオン」:本開示における第3の状態の一例)を考える。「両リレーオン」において、駆動回路42が正常のときには、図13に示すように、電圧センサ回路30により検出されるハイ側接続線38の電圧(判定用電圧)は、電圧V3になる。一方、「両リレーオン」において、駆動回路42に「ハイ側GNDショート」または「ハイ側オフ固着」が生じている場合には、図13に示すように、判定用電圧は0になる。
【0053】
このため、「両リレーオン」においては、判定用電圧に対する閾値電圧を、電圧V3、V4よりも小さく0よりも大きい値とし、判断部64が、判定用電圧が閾値電圧未満の場合に駆動回路42に異常が発生していると判断することで、駆動回路42に「ハイ側GNDショート」または「ハイ側オフ固着」が生じていることを検出することができる。
【0054】
従って、制御部62が、第1リレー26および第2リレー28を、「両リレーオフ」、「ロー側リレーオン」、「両リレーオン」の各状態に切り替えると共に、判断部64が、判定用電圧を各状態に応じた閾値電圧と比較することにより、駆動回路42の10種類の異常を網羅的に検出することができる。
【0055】
次に、図14を参照し、第1実施形態に係る異常検出処理について説明する。ステップ100において、制御部62は、全ての判定(「両リレーオフ時判定」、「ロー側リレーオン時判定」および「両リレーオン時判定」)が未完了か否か判定する。ステップ100の判定が肯定された場合はステップ102へ移行する。
【0056】
ステップ102において、制御部62は、ハイ側リレー26およびロー側リレー28のオンオフの状態を判定用に切り替える。すなわち、まず「両リレーオフ時判定」を行うためにハイ側リレー26およびロー側リレー28の双方をオフさせる。「両リレーオフ時判定」が終了すると、次に、「ロー側リレーオン時判定」を行うためにハイ側リレー26をオフさせ、ロー側リレー28をオンさせる。「ロー側リレーオン時判定」が終了すると、続いて、「両リレーオン時判定」を行うためにハイ側リレー26およびロー側リレー28の双方をオンさせる。
【0057】
ステップ104において、判断部64は、異常検出処理の起動時に0クリアされる判定中カウンタをインクリメントする。ステップ106において、判断部64は、判定中カウンタの値が所定値未満か否か判定する。ステップ106の判定が肯定された場合はステップ108へ移行する。ステップ108において、判断部64は、電圧センサ回路30から判定用電圧(モニタ電圧)を取得する。
【0058】
ステップ110において、判断部64は、両リレーオフ時判定が未完了で、かつハイ側リレー26およびロー側リレー28の双方がオフか否かを判定する。なお、両リレーオフ時判定が未完了か否かを判定することは、後述する両リレーオフ時判定フラグ(このフラグは異常検出処理の起動時に0クリアされる)が0か否かを判断することで実現される。
【0059】
ステップ110の判定が肯定された場合はステップ112へ移行し、ステップ112において、判断部64は、両リレーオフ時判定処理を行った後にステップ118へ移行する。また、ステップ110の判定が否定された場合は、ステップ112をスキップしてステップ118へ移行する。
【0060】
図15に示すように、両リレーオフ時判定処理のステップ150において、判断部64は、先のステップ108で取得した判定用電圧(モニタ電圧)が、駆動回路42が正常と判断できる所定範囲内か否か判定する。なお、両リレーオフ時判定処理における上記の所定範囲としては、電圧V1、V2よりも小さく0よりも大きい閾値電圧以上の範囲を適用することができる。
【0061】
ステップ150の判定が肯定された場合はステップ152へ移行する。ステップ152において、判断部64は、異常カウンタを0クリアすると共に、正常カウンタの値をインクリメントし、ステップ156へ移行する。また、ステップ150の判定が否定された場合はステップ154へ移行する。ステップ154において、判断部64は、異常カウンタの値をインクリメントすると共に、正常カウンタを0クリアし、ステップ156へ移行する。
【0062】
ステップ156において、判断部64は、異常カウンタの値が所定値以上か否かを判定する。ステップ156の判定が肯定された場合はステップ158へ移行する。ステップ158において、判断部64は、両リレーオフ時異常フラグに「オン」(を意味する値)を設定し、両リレーオフ時正常フラグに「オフ」(を意味する値)を設定し、両リレーオフ時判定フラグに「処理完了」(を意味する値)を設定する。なお、ステップ156の判定が否定された場合はステップ158をスキップする。
【0063】
なお、第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態を切り替えた直後は、判定用電圧が不安定な過渡状態になる。これに対してステップ150~158では、判定用電圧に基づき駆動回路42が正常か異常かを判断することを複数回行い、所定回連続して異常と判断した場合に駆動回路42に異常があると確定する。これにより、前記過渡状態での判定用電圧の変動が異常検出に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0064】
また、ステップ166において、判断部64は、正常カウンタの値が所定値以上か否かを判定する。ステップ166の判定が肯定された場合はステップ168へ移行する。ステップ168において、判断部64は、両リレーオフ時異常フラグに「オフ」を設定し、両リレーオフ時正常フラグに「オン」を設定し、両リレーオフ時判定フラグに「処理完了」を設定する。なお、ステップ166の判定が否定された場合はステップ168をスキップする。
【0065】
図14のステップ118において、判断部64は、ロー側リレーオン時判定が未完了で、かつハイ側リレー26がオフで、かつロー側リレー28がオンか否かを判定する。なお、ロー側リレーオン時判定が未完了か否かを判定することは、後述するロー側リレーオン時判定フラグ(このフラグは異常検出処理の起動時に0クリアされる)が0か否かを判断することで実現される。
【0066】
ステップ118の判定が肯定された場合はステップ120へ移行し、ステップ120において、判断部64は、ロー側リレーオン時判定処理を行った後にステップ122へ移行する。また、ステップ118の判定が否定された場合は、ステップ120をスキップしてステップ122へ移行する。
【0067】
図16を参照し、ロー側リレーオン時判定処理について、両リレーオフ時判定処理(図15)と異なる部分を主に説明する。ロー側リレーオン時判定処理のステップ150において、判断部64は、両リレーオフ時判定処理と同様に、判定用電圧(モニタ電圧)が、駆動回路42が正常と判断できる所定範囲内か否か判定する。但し、ロー側リレーオン時判定処理における上記の所定範囲としては、電圧V1、V2よりも小さい閾値電圧以下の範囲を適用することができる。
【0068】
また、ロー側リレーオン時判定処理では、ステップ156の判定が肯定された場合にステップ162へ移行する。ステップ162において、判断部64は、ロー側リレーオン時異常フラグに「オン」を設定し、ロー側リレーオン時正常フラグに「オフ」を設定し、ロー側リレーオン時判定フラグに「処理完了」を設定する。
【0069】
また、ロー側リレーオン時判定処理では、ステップ166の判定が肯定された場合にステップ172へ移行する。ステップ172において、判断部64は、ロー側リレーオン時異常フラグに「オフ」を設定し、ロー側リレーオン時正常フラグに「オン」を設定し、ロー側リレーオン時判定フラグに「処理完了」を設定する。
【0070】
図14のステップ122において、判断部64は、両リレーオン時判定が未完了で、かつハイ側リレー26およびロー側リレー28の双方がオンか否かを判定する。なお、両リレーオン時判定が未完了か否かを判定することは、後述する両リレーオン時判定フラグ(このフラグは異常検出処理の起動時に0クリアされる)が0か否かを判断することで実現される。
【0071】
ステップ122の判定が肯定された場合はステップ124へ移行し、ステップ124において、判断部64は、両リレーオン時判定処理を行った後にステップ100へ戻る。また、ステップ122の判定が否定された場合は、ステップ124をスキップしてステップ100へ戻る。
【0072】
図17を参照し、両リレーオン時判定処理について、両リレーオフ時判定処理(図15)と異なる部分を主に説明する。両リレーオン時判定処理のステップ150において、判断部64は、両リレーオフ時判定処理と同様に、判定用電圧(モニタ電圧)が、駆動回路42が正常と判断できる所定範囲内か否か判定する。但し、両リレーオン時判定処理における上記の所定範囲としては、電圧V3、V4よりも小さく0よりも大きい閾値電圧以上の範囲を適用することができる。
【0073】
また、両リレーオン時判定処理では、ステップ156の判定が肯定された場合にステップ164へ移行する。ステップ164において、判断部64は、両リレーオン時異常フラグに「オン」を設定し、両リレーオン時正常フラグに「オフ」を設定し、両リレーオン時判定フラグに「処理完了」を設定する。
【0074】
また、両リレーオン時判定処理では、ステップ166の判定が肯定された場合にステップ174へ移行する。ステップ174において、判断部64は、両リレーオン時異常フラグに「オフ」を設定し、両リレーオン時正常フラグに「オン」を設定し、両リレーオン時判定フラグに「処理完了」を設定する。
【0075】
図14において、全ての判定(「両リレーオフ時判定」、「ロー側リレーオン時判定」および「両リレーオン時判定」)が完了した場合には、ステップ100の判定が否定されてステップ126へ移行する。また、全ての判定が完了する前に判定中カウンタの値が所定値以上になった場合には、ステップ106の判定が否定されてステップ126へ移行する。ステップ126において、制御部62は、ハイ側リレー26およびロー側リレー28の双方をオフさせ、異常検出処理を終了する。
【0076】
なお、ステップ106の判定が否定される場合としては、例えば、判定用電圧が正常と異常を繰り返すような、前述した駆動回路42の10種類の異常の何れにも属さないものの、ヒータ18の動作状態を判断できない異常を示している場合が挙げられる。ステップ106の判定における所定値は、「両リレーオフ時判定」、「ロー側リレーオン時判定」および「両リレーオン時判定」の各判定が全て完了する時間以上で、駆動回路42の起動からヒータ18の利用を開始したい時間(一例としては10秒)未満の時間(一例としては8秒)を設定することができる。
【0077】
上述した第1実施形態に係る異常検出処理では、「両リレーオフ時判定」で異常が発生した場合は両リレーオフ時異常フラグが「オン」となり、「ロー側リレーオン時判定」で異常が発生した場合はロー側リレーオン時異常フラグが「オン」となり、「両リレーオン時判定」で異常が発生した場合は両リレーオン時異常フラグが「オン」となる。このため、両リレーオフ時異常フラグ、ロー側リレーオン時異常フラグおよび両リレーオン時異常フラグの少なくとも1つが「オン」の場合に、駆動回路42を異常と判断することで、駆動回路42の10種類の異常を網羅的に検出することができる。
【0078】
一方、両リレーオフ時異常フラグ、ロー側リレーオン時異常フラグおよび両リレーオン時異常フラグが何れも「オフ」で、かつ、両リレーオフ時判定フラグ、ロー側リレーオン時判定フラグおよび両リレーオン時判定フラグが何れも「処理完了」の場合は、駆動回路42を正常と判断することができる。
【0079】
このように、第1実施形態において、制御部62は、ヒータ18と電力供給部24との間に設けられた第1リレー26およびヒータ18とアースとの間に設けられた第2リレー28を含む駆動回路42のうち、第1リレー26を、ヒータ18と電力供給部24との間を接続するオン状態またはヒータ18と電力供給部24との間を遮断するオフ状態に制御すると共に、第2リレー28を、ヒータ18とアースとの間を接続するオン状態またはヒータ18とアースとの間を遮断するオフ状態に制御する。また、判断部64は、制御部62によって制御される第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態と、第1リレー26とヒータ18との間における判定用電圧を検出する電圧センサ回路30によって検出された判定用電圧と、に基づいて駆動回路42の異常を判断する。これにより、駆動回路42の異常を判断するにあたって駆動回路42の複数箇所の電圧、電流を取得する必要がなくなり、駆動回路42の異常を検出することを簡易な構成で実現できる。
【0080】
また、第1実施形態において、制御部62は、第1リレー26および第2リレー28を、第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態が互いに異なる複数の状態へ順次切り替える。また、判断部64は、前記複数の状態の各々における第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態と、前記複数の状態のときに電圧センサ回路30によって各々検出された判定用電圧と、に基づいて駆動回路42の異常を判断する。これにより、駆動回路42の異常を網羅的に検出することができる。
【0081】
また、第1実施形態において、制御部62は、駆動回路42の起動時に第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態を制御し、判断部64は、駆動回路42の起動時に制御部62によって制御される第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態と、電圧センサ回路30によって検出された判定用電圧と、に基づいて駆動回路42の異常を判断する。これにより、駆動回路42の異常判断で異常が無いと判断した場合に、駆動回路42を早期にヒータ18の駆動に供することができる。
【0082】
また、第1実施形態において、制御部62は、第1リレー26および第2リレー28を、第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態が互いに異なる複数の状態へ順次切り替える。また、判断部64は、第1リレー26および第2リレー28が前記複数の状態のときに電圧センサ回路30によって各々検出された判定用電圧を、第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態に応じて異なる閾値と比較することで、駆動回路42の異常を判断する。これにより、より精度良く異常検出を行うことができる。
【0083】
また、第1実施形態において、制御部62は、第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態を、第1リレー26および第2リレー28の双方をオフ状態とする第1の状態(両リレーオフ)、第1リレー26をオフ状態としかつ第2リレー28をオン状態とする第2の状態(ロー側リレーオン)、および、第1リレー26および第2リレー28の双方をオン状態とする第3の状態(両リレーオン)へ切り替える。これにより、駆動回路42の異常を網羅的かつ効率的に検出することができる。
【0084】
また、第1実施形態において、判断部64は、「ハイ側+Bショート」が生じている場合に第2の状態(ロー側リレーオン)で検出された判定用電圧に基づいて駆動回路42を異常と判断し、「ハイ側GNDショート」が生じている場合に第1の状態(両リレーオフ)または第3の状態(両リレーオン)で検出された判定用電圧に基づいて駆動回路42を異常と判断し、「ハイ側オープン」が生じている場合に第2の状態で検出された判定用電圧に基づいて駆動回路42を異常と判断し、「ハイ側オン固着」が生じている場合に第2の状態で検出された判定用電圧に基づいて駆動回路42を異常と判断し、「ハイ側オフ固着」が生じている場合に第3の状態で検出された判定用電圧に基づいて駆動回路42を異常と判断する。これにより、第1リレー26周りの異常を駆動回路42の異常として検出することができる。
【0085】
また、第1実施形態において、判断部64は、「ロー側+Bショート」が生じている場合に第2の状態(ロー側リレーオン)で検出された判定用電圧に基づいて駆動回路42を異常と判断し、「ロー側GNDショート」生じている場合に第1の状態(両リレーオフ)で検出された判定用電圧に基づいて駆動回路42を異常と判断し、「ロー側オープン」が生じている場合に第2の状態で検出された判定用電圧に基づいて駆動回路42を異常と判断し、「ロー側オン固着」が生じている場合に第1の状態で検出された判定用電圧に基づいて駆動回路42を異常と判断し、「ロー側オフ固着」が生じている場合に第2の状態で検出された判定用電圧に基づいて駆動回路42を異常と判断する。これにより、第2リレー28周りの異常を、駆動回路42の異常として検出することができる。
【0086】
また、第1実施形態において、判断部64は、第1リレー26および第2リレー28のオンオフが一定の状態のときに、電圧センサ回路30によって検出された判定用電圧に基づき駆動回路42が正常か異常かを判断することを複数回行い、所定回連続して異常と判断した場合に駆動回路42に異常があると確定する。これにより、第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態を切り替えた直後の過渡状態での判定用電圧の変動が異常検出に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0087】
〔第2実施形態〕
次に本開示の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下、第2実施形態の作用について、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0088】
第1実施形態では、制御部62が、第1リレー26および第2リレー28を、「両リレーオフ」、「ロー側リレーオン」および「両リレーオン」の三つの状態へ切り替える態様を説明した。第2実施形態では、制御部62が、第1リレー26および第2リレー28を、上記の三つの状態に加えて、第1リレー26をオン状態にすると共に、第2リレー28をオフ状態にする「ハイ側リレーオン」(図18参照:本開示における第4の状態の一例)へも切り替える。
【0089】
制御部62が、第1リレー26および第2リレー28を「ハイ側リレーオン」に切り替えた場合、駆動回路42が正常のときには、図18に示すように、判定用電圧はV4になる。一方、「ハイ側リレーオン」において、駆動回路42に「ハイ側GNDショート」が生じている場合には、図18に示すように、判定用電圧は0になる。このため、「ハイ側リレーオン」においては、判定用電圧に対する閾値電圧を、電圧V3、V4よりも小さい値とし、判断部64が、判定用電圧が閾値電圧以下の場合に駆動回路42に異常が発生していると判断することで、駆動回路42に「ハイ側+GNDショート」が生じていることを検出することができる。
【0090】
次に図19を参照し、第2実施形態に係る異常検出処理を説明する。第2実施形態に係る異常検出処理では、ステップ102において、第1リレー26および第2リレー28を「両リレーオフ」、「ハイ側リレーオン」、「ロー側リレーオン」および「両リレーオン」の四状態へ順次切り替える。また、第2実施形態に係る異常検出処理では、判定中カウンタをインクリメントして所定値と比較する処理(ステップ104,106)が省略されており、更に、第2実施形態に係る異常検出処理では、ステップ112で両リレーオフ時判定処理を行うか、またはステップ110の判定が否定された場合にステップ114へ移行する。
【0091】
ステップ114において、判断部64は、ハイ側リレーオン時判定が未完了で、かつハイ側リレー26がオンで、かつロー側リレー28がオフか否かを判定する。なお、ハイ側リレーオン時判定が未完了か否かを判定することは、後述するハイ側リレーオン時判定フラグ(このフラグは異常検出処理の起動時に0クリアされる)が0か否かを判断することで実現される。
【0092】
ステップ114の判定が肯定された場合はステップ116へ移行し、ステップ116において、判断部64は、ハイ側リレーオン時判定処理を行った後にステップ118へ移行する。また、ステップ114の判定が否定された場合は、ステップ116をスキップしてステップ118へ移行する。
【0093】
次に図20を参照し、第2実施形態に係る両リレーオフ時判定処理について、第1実施形態で説明した同処理(図15)と異なる部分のみ説明する。第2実施形態に係る両リレーオフ時判定処理では、ステップ130において、判断部64は、両リレーオフ時判定用の判定中カウンタ1をインクリメントする。ステップ132において、判断部64は、判定中カウンタ1が所定値未満か否かを判定する。なお、所定値としては、例えば、正常時に両リレーオフ時判定処理が完了する時間以上の時間を設定することができる。ステップ132の判定が肯定された場合はステップ150へ移行する。ステップ150以降の処理は第1実施形態(図15)と同じである。
【0094】
また、判定中カウンタ1が所定値以上になった場合は、ステップ132の判定が否定されてステップ146へ移行する。ステップ146において、判断部64は、両リレーオフ時異常フラグに「オン」を設定し、両リレーオフ時正常フラグに「オフ」を設定し、両リレーオフ時判定フラグに「処理完了」を設定し、両リレーオフ時判定処理を終了する。これにより、異常検出処理の終了後に両リレーオフ時異常フラグが「オン」であった場合、判定中カウンタ1が所定値以上か否かに基づいて、両リレーオフ時判定処理の実行中に、判定用電圧が正常と異常を繰り返すような異常が発生していなかったか否かを判断することができる。
【0095】
次に図21を参照し、第2実施形態に係るハイ側リレーオン時判定処理について説明する。ハイ側リレーオフ時判定処理のステップ134において、判断部64は、ハイ側リレーオン時判定用の判定中カウンタ2をインクリメントする。ステップ136において、判断部64は、判定中カウンタ2が所定値未満か否かを判定する。なお、所定値としては、例えば、正常時にハイ側リレーオン時判定処理が完了する時間以上の時間を設定することができる。ステップ136の判定が肯定された場合はステップ150へ移行する。
【0096】
ステップ150以降に関しては、両リレーオフ時判定処理(図20)と異なる部分を主に説明する。ハイ側リレーオン時判定処理のステップ150において、判断部64は、両リレーオフ時判定処理と同様に、判定用電圧が、駆動回路42が正常と判断できる所定範囲内か否か判定する。但し、ハイ側リレーオン時判定処理における上記の所定範囲としては、電圧V3、V4よりも小さい閾値電圧以下の範囲を適用することができる。
【0097】
また、ハイ側リレーオン時判定処理では、ステップ156の判定が肯定された場合にステップ160へ移行する。ステップ160において、判断部64は、ハイ側リレーオン時異常フラグに「オン」を設定し、ハイ側リレーオン時正常フラグに「オフ」を設定し、ハイ側リレーオン時判定フラグに「処理完了」を設定する。
【0098】
また、ハイ側リレーオン時判定処理では、ステップ166の判定が肯定された場合にステップ170へ移行する。ステップ170において、判断部64は、ハイ側リレーオン時異常フラグに「オフ」を設定し、ハイ側リレーオン時正常フラグに「オン」を設定し、ハイ側リレーオン時判定フラグに「処理完了」を設定する。
【0099】
また、判定中カウンタ2が所定値以上になった場合は、ステップ136の判定が否定されてステップ146へ移行する。ステップ146において、判断部64は、ハイ側リレーオン時異常フラグに「オン」を設定し、ハイ側リレーオン時正常フラグに「オフ」を設定し、ハイ側リレーオン時判定フラグに「処理完了」を設定し、ロー側リレーオン時判定処理を終了する。これにより、異常検出処理の終了後にハイ側リレーオン時異常フラグが「オン」であった場合、判定中カウンタ2が所定値以上か否かに基づいて、ハイ側リレーオン時判定処理の実行中に、判定用電圧が正常と異常を繰り返すような異常が発生していなかったか否かを判断することができる。
【0100】
次に図22を参照し、第2実施形態に係るロー側リレーオン時判定処理について、第1実施形態で説明した同処理(図16)と異なる部分のみ説明する。第2実施形態に係るロー側リレーオフ時判定処理では、ステップ138において、判断部64は、ロー側リレーオン時判定用の判定中カウンタ3をインクリメントする。ステップ140において、判断部64は、判定中カウンタ3が所定値未満か否かを判定する。なお、所定値としては、例えば正常時にロー側リレーオン時判定処理が完了する時間以上の時間を設定することができる。ステップ140の判定が肯定された場合はステップ150へ移行する。ステップ150以降の処理は第1実施形態(図16)と同じである。
【0101】
また、判定中カウンタ3が所定値以上になった場合は、ステップ140の判定が否定されてステップ146へ移行する。ステップ146において、判断部64は、ロー側リレーオン時異常フラグに「オン」を設定し、ロー側リレーオン時正常フラグに「オフ」を設定し、ロー側リレーオン時判定フラグに「処理完了」を設定し、ロー側リレーオン時判定処理を終了する。これにより、異常検出処理の終了後にロー側リレーオン時異常フラグが「オン」であった場合、判定中カウンタ3が所定値以上か否かに基づいて、ロー側リレーオン時判定処理の実行中に、判定用電圧が正常と異常を繰り返すような異常が発生していなかったか否かを判断することができる。
【0102】
次に図23を参照し、第2実施形態に係る両リレーオン時判定処理について、第1実施形態で説明した同処理(図17)と異なる部分のみ説明する。第2実施形態に係る両リレーオン時判定処理では、ステップ142において、判断部64は、両リレーオン時判定用の判定中カウンタ4をインクリメントする。ステップ144において、判断部64は、判定中カウンタ4が所定値未満か否かを判定する。なお、所定値としては、例えば、正常時に両リレーオン時判定処理が完了する時間以上の時間を設定することができる。ステップ144の判定が肯定された場合はステップ150へ移行する。ステップ150以降の処理は第1実施形態(図17)と同じである。
【0103】
また、判定中カウンタ4が所定値以上になった場合は、ステップ144の判定が否定されてステップ146へ移行する。ステップ146において、判断部64は、両リレーオン時異常フラグに「オン」を設定し、両リレーオン時正常フラグに「オフ」を設定し、両リレーオン時判定フラグに「処理完了」を設定し、両リレーオン時判定処理を終了する。これにより、異常検出処理の終了後に両リレーオン時異常フラグが「オン」であった場合、判定中カウンタ4が所定値以上か否かに基づいて、両リレーオン時判定処理の実行中に、判定用電圧が正常と異常を繰り返すような異常が発生していなかったか否かを判断することができる。
【0104】
第2実施形態では、両リレーオフ時異常フラグ、ハイ側リレーオン時異常フラグ、ロー側リレーオン時異常フラグおよび両リレーオン時異常フラグの少なくとも1つが「オン」の場合に、駆動回路42を異常と判断することで、駆動回路42の10種類の異常を網羅的に検出することができる。また、上記の4つのフラグのうち、ハイ側リレーオン時異常フラグのみが「オン」の場合には、駆動回路42の異常を「ハイ側GNDショート」と特定することができるので、異常が発生した箇所および異常の内容を、第1実施形態よりも絞り込むことが可能となる。
【0105】
一方、両リレーオフ時異常フラグ、ハイ側リレーオン時異常フラグ、ロー側リレーオン時異常フラグおよび両リレーオン時異常フラグが何れも「オフ」で、かつ、両リレーオフ時判定フラグ、ハイ側リレーオン時判定フラグ、ロー側リレーオン時判定フラグおよび両リレーオン時判定フラグが何れも「処理完了」の場合は、駆動回路42を正常と判断することができる。
【0106】
このように、第2実施形態において、制御部62は、第1リレー26および第2リレー28のオンオフの状態を、第1リレー26をオン状態としかつ第2リレー28をオフ状態とする第4の状態(ハイ側リレーオン)へも切り替える。これにより、異常が発生した箇所および異常の内容を絞り込むことが可能となる。
【0107】
なお、第1実施形態では、第1リレー26および第2リレー28を「両リレーオフ」、「ロー側リレーオン」および「両リレーオン」の三状態へ順次切り替え、各状態に対応する判定処理を順次行う態様を説明した。また、第2実施形態では、第1リレー26および第2リレー28を「両リレーオフ」、「ハイ側リレーオン」、「ロー側リレーオン」および「両リレーオン」の四状態へ順次切り替え、各状態に対応する判定処理を順次行う態様を説明した。しかし、本開示において、第1リレー26および第2リレー28の状態切り替えの順序は上記の順序に限られるものではなく、適宜変更可能である。
【0108】
また、上記では、本開示に係る第1スイッチの一例として第1リレー26を適用すると共に、第2スイッチの一例として第2リレー28を適用した態様を説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、第1スイッチおよび第2スイッチは、例えば半導体スイッチング素子などの他の構成であってもよい。
【0109】
また、上記では本開示における電気負荷の一例として、電池パック10に内蔵されたヒータ18を説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、例えば、ガスセンサに内蔵されたヒータなどであってもよいし、
【0110】
また、上記では本開示に係る異常検出プログラムの一例である異常検出プログラム58が記憶部52に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本開示に係る異常検出プログラムは、HDD、SSD、DVD等の非一時的記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【符号の説明】
【0111】
18 ヒータ(電気負荷)
22 ヒータ駆動ECU(負荷駆動装置)
24 電力供給部
26 第1リレー(第1スイッチ)
28 第2リレー(第2スイッチ)
30 電圧センサ回路(検出部)
38 ハイ側接続線
40 ロー側接続線
42 駆動回路
46 マイコン(異常検出装置)
58 異常検出プログラム
62 制御部
64 判断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
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