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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像形成装置及び後処理位置調整方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240709BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240709BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240709BHJP
   B65H 45/28 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B41J29/38 206
B41J29/393 101
G03G21/00 510
G03G21/00 386
B65H45/28
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021014748
(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公開番号】P2022118316
(43)【公開日】2022-08-15
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生田 将也
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-157457(JP,A)
【文献】特開2012-019309(JP,A)
【文献】米国特許第05461469(US,A)
【文献】特開2015-116668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/393
G03G 21/00
B65H 45/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、
画像が印刷された前記記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、
前記記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部と、を備え、
前記印刷装置部は、前記後処理部で前記記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷可能であり、前記調整用記録媒体における前記基準位置の描画態様を、前記後処理の種別に応じて変え、
前記調整用記録媒体では、前記基準位置は前記第1の後処理位置に描画される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、
画像が印刷された前記記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、
前記記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部と、を備え、
前記印刷装置部は、前記後処理部で前記記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷可能であり、前記調整用記録媒体において、前記記録媒体に対して前記後処理が実行された場合に生成される成果物に対応する領域に、当該成果物の表裏を識別可能な情報を描画し、
前記調整用記録媒体では、前記基準位置は前記第1の後処理位置に描画される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、
画像が印刷された前記記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、
前記記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部と、を備え、
前記印刷装置部は、前記後処理部で前記記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷可能であり、一つの前記記録媒体に対して前記後処理が実行された際に複数の成果物が生成される場合、前記調整用記録媒体において、前記記録媒体に対して前記後処理が実行された場合に生成される各成果物に対応する領域に、当該成果物の前記調整用記録媒体上における配置位置に関する情報を描画し、
前記調整用記録媒体では、前記基準位置は前記第1の後処理位置に描画される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷装置部は、前記調整用記録媒体における前記基準位置の描画態様を、前記後処理の種別に応じて変える
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷装置部は、前記後処理の種別に応じて前記基準位置の描画色を変える
ことを特徴とする請求項1又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷装置部は、前記基準位置を線で描画し、前記後処理の種別に応じて線の種別を変える
ことを特徴とする請求項1,4,5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷装置部は、前記調整用記録媒体において、前記基準位置から所定の距離を離れた位置に、前記基準位置を示す線と平行となる複数の補助線を描画する
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記印刷装置部は、前記調整用記録媒体において、前記記録媒体に対して前記後処理が実行された場合に生成される成果物に対応する領域に、当該成果物の表裏を識別可能な情報を描画する
ことを特徴とする請求項1,3~7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
一つの前記記録媒体に対して前記後処理が実行された際に複数の成果物が生成される場合、前記印刷装置部は、前記調整用記録媒体において、前記記録媒体に対して前記後処理が実行された場合に生成される各成果物に対応する領域に、当該成果物の前記調整用記録媒体上における配置位置に関する情報を描画する
ことを特徴とする請求項1,2,4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記後処理位置設定部は、前記第2の後処理位置の調整値を設定可能である
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、画像が印刷された前記記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、前記記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部と、を備える画像形成装置の前記印刷装置部が、
前記後処理部で前記記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷すること、
前記調整用記録媒体における前記基準位置の描画態様を、前記後処理の種別に応じて変えること、を含み、
前記調整用記録媒体では、前記基準位置は前記第1の後処理位置に描画される
ことを特徴とする後処理位置調整方法。
【請求項12】
記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、画像が印刷された前記記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、前記記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部と、を備える画像形成装置の前記印刷装置部が、
前記後処理部で前記記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷すること、
前記調整用記録媒体において、前記記録媒体に対して前記後処理が実行された場合に生成される成果物に対応する領域に、当該成果物の表裏を識別可能な情報を描画すること、を含み、
前記調整用記録媒体では、前記基準位置は前記第1の後処理位置に描画される
ことを特徴とする後処理位置調整方法。
【請求項13】
記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、画像が印刷された前記記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、前記記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部と、を備える画像形成装置の前記印刷装置部が、
前記後処理部で前記記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷すること、
一つの前記記録媒体に対して前記後処理が実行された際に複数の成果物が生成される場合、前記調整用記録媒体において、前記記録媒体に対して前記後処理が実行された場合に生成される各成果物に対応する領域に、当該成果物の前記調整用記録媒体上における配置位置に関する情報を描画すること、を含み、
前記調整用記録媒体では、前記基準位置は前記第1の後処理位置に描画される
ことを特徴とする後処理位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び後処理位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷物を名刺、チケット、クーポン等に加工する際に、インラインのトリマーユニット等の後処理機により、印刷物に対して折り目、スリット、ミシン目等の生成や所望のサイズへの断裁などの後処理が行われる。しかしながら、後処理機毎に機械差があるため、後処理機毎に印刷物に対する後処理の実行位置(例えば、折り目、スリット、ミシン目、断裁等の位置:以下、「後処理位置」と称する)が所望の後処理位置からずれる場合がある。この場合、後処理機毎に後処理位置の調整が必要となる。
【0003】
そこで、従来、後処理位置に対して基準となる位置(以下、「基準位置」と称する)が描画された調整シートを用いて後処理位置の調整を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、後処理により調整シートに実際に生成された折り目の位置と、予め設定された基準折り位置との差分に基づいて、折り目の位置を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-45784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来、後処理の基準位置が描画された調整シートを用いて後処理位置の調整を行う技術が提案されている。しかしながら、従来の調整技術で用いられる調整シートは、一般に、後処理対象の印刷物(成果物)の種別に応じて作成されたものではなく、調整シートに描画された基準位置が実際の印刷物の後処理位置(所望の後処理位置)と異なることが多い。それゆえ、例えば、上述した後処理機毎の機械差の影響や後処理の成果物の仕様変更等が発生した場合には、上述した従来の後処理位置の調整技術を用いても、後処理位置をユーザーの意図する後処理位置に高精度に調整することが難しくなる。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、例えば、後処理機毎の機械差や後処理の成果物の仕様変更などの影響があっても、高精度に後処理位置を調整することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、画像が印刷された記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部とを備え、印刷装置部は、後処理部で記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷可能であり、調整用記録媒体における基準位置の描画態様を、後処理の種別に応じて変え、調整用記録媒体では、基準位置は第1の後処理位置に描画される。
また、本発明の画像形成装置は、記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、画像が印刷された記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部と、を備え、印刷装置部は、後処理部で記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷可能であり、調整用記録媒体において、記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される成果物に対応する領域に、当該成果物の表裏を識別可能な情報を描画し、調整用記録媒体では、基準位置は第1の後処理位置に描画される。
また、本発明の画像形成装置は、記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、画像が印刷された記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部と、を備え、印刷装置部は、後処理部で記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷可能であり、一つの記録媒体に対して後処理が実行された際に複数の成果物が生成される場合、調整用記録媒体において、記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される各成果物に対応する領域に、当該成果物の調整用記録媒体上における配置位置に関する情報を描画し、調整用記録媒体では、基準位置は第1の後処理位置に描画される。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明の後処理位置調整方法は、記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、画像が印刷された記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部と、を備える画像形成装置の印刷装置部が、後処理部で記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷すること、調整用記録媒体における基準位置の描画態様を、後処理の種別に応じて変えることを含み、調整用記録媒体では、基準位置は第1の後処理位置に描画される。
また、本発明の後処理位置調整方法は、記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、画像が印刷された記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部と、を備える画像形成装置の印刷装置部が、後処理部で記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷すること、調整用記録媒体において、記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される成果物に対応する領域に、当該成果物の表裏を識別可能な情報を描画すること、を含み、調整用記録媒体では、基準位置は第1の後処理位置に描画される。
また、本発明の後処理位置調整方法は、記録媒体に画像を印刷する印刷装置部と、画像が印刷された記録媒体に対して後処理を行う後処理部と、記録媒体に対して行われる後処理の位置である第1の後処理位置に関する情報を設定可能な後処理位置設定部と、を備える画像形成装置の印刷装置部が、後処理部で記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される第2の後処理位置の調整時に使用され、当該第2の後処理位置に対する基準位置が描画された調整用記録媒体を印刷すること、一つの記録媒体に対して後処理が実行された際に複数の成果物が生成される場合、調整用記録媒体において、記録媒体に対して後処理が実行された場合に生成される各成果物に対応する領域に、当該成果物の調整用記録媒体上における配置位置に関する情報を描画すること、を含み、調整用記録媒体では、基準位置は第1の後処理位置に描画される。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の本発明によれば、画像形成装置において、例えば、後処理機毎の機械差や後処理の成果物の仕様変更などの影響があっても、高精度に後処理位置を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において表示される後処理位置設定画面の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において表示される後処理位置調整画面の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において記録媒体上に形成される調整チャートの構成例1を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において記録媒体上に形成される調整チャートの構成例2を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における調整シートを用いた後処理位置の調整処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置及び後処理位置調整方法について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0012】
[画像形成装置の構成]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の外観構成を示す図である。画像形成装置1は、例えば、スキャナー機能、コピー機能、ファクシミリ機能、ネットワーク機能、BOX機能、後処理機能等の複数の機能が搭載された複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)で構成される。図1に示すように、画像形成装置1は、印刷装置部10と、後処理部20と、操作表示部30と、後述のこれらの構成部の動作を制御する制御部40(後述の図2参照)とを備える。画像形成装置1では、記録媒体の搬送方向の上流側から、印刷装置部10及び後処理部20が順に接続される。
【0013】
印刷装置部10は、例えば、電子写真方式によって記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。印刷装置部10は、画像形成に必要な構成要素で構成され、画像を印刷ジョブに指定された記録媒体に印刷する。具体的には、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置から画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、現像装置で帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ベルトに1次転写し、転写ベルトから記録媒体に2次転写し、更に定着装置で記録媒体上のトナー像を定着させる処理を行う。なお、本実施形態では、ユーザーが操作表示部30に表示される後述する図3に示す後処理位置設定画面の「調整シート出力」ボタンU13を押下した場合、印刷装置部10は、後述する図2に示す制御部40の指示に従い、後処理位置を調整するための後述の調整チャートを記録媒体上に印刷し、この調整チャートが印刷された記録媒体を後処理位置の調整用記録媒体(以下、調整シートと称する)として出力する。なお、画像形成された記録媒体(後処理位置を調整するための調整シートも含む)は、後処理部20に排出される。
【0014】
後処理部20は、印刷ジョブにおいて指定された後処理の指定に従い、印刷装置部10から排出された記録媒体(後処理位置を調整するための調整シートも含む)に対して後処理を行う。また、ユーザーが後述の後処理位置調整画面において指定された後処理の処理位置を調整した場合、後処理部20は、後述の制御部40の指示に従い、調整後の後処理位置に後処理を実施する。なお、後処理が実施された記録媒体及び調整シートが排出トレイに排出される。
【0015】
操作表示部30は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイなどの表示デバイスからなる表示部と、ユーザーからの指示、文字、数字、記号等を受け付け可能な各種操作キー、タッチセンサー等を含む操作部とで構成される。表示部、及び、操作部の一部(タッチセンサー)は、例えばタッチパネルとして一体に形成される。操作表示部30は、操作部に入力されたユーザーからの操作内容を表す操作信号を生成し、該操作信号を後述の制御部40に供給する。また、操作表示部30は、後述の制御部40から供給される表示信号に基づいて、表示部に、各種操作の設定画面(例えば、後述の後処理位置設定画面及び後述の後処理位置調整画面等)やユーザーによる設定情報などを表示する。また、本実施形態では、操作表示部30は、記録媒体に対して行われる後処理の位置(第1の後処理位置)に関する情報を設定可能な後処理位置設定部の一例として用いられる。なお、操作部をマウスやタブレットなどで構成し、表示部とは別体で構成することも可能である。
【0016】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の内部構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、図2に示すように、図1で説明した各種構成部だけでなく、制御部40と、記憶部50とを備える。バス60は、各構成部間を電気的に接続して、各構成部間における信号の入出力が行われる信号経路である。
【0017】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43とを有する。制御部40は、例えば、マイクロプロセッサ等で構成され、画像形成装置1の全体制御を行う。なお、本実施形態の画像形成装置1では、制御部40を独立の構成部として説明するが、本発明はこれに限定されず、制御部40は印刷装置部10の内部に含まれてもよい。
【0018】
CPU41は、画像形成装置1内の各部の動作を制御する。例えば、CPU41は、ユーザーが操作表示部30に表示される後述の後処理位置設定画面の「調整シート出力」ボタンU13を押下した場合、後処理位置を調整するための後述の調整チャートを記録媒体上に印刷する処理を制御する。また、例えば、CPU41は、印刷装置部10から出力された調整チャートが形成された記録媒体に対して、指定された後処理を実施するように後処理部20を制御する。
【0019】
ROM42は、例えば、不揮発性メモリ等の記憶媒体で構成され、CPU41が実行及び参照するプログラムやデータ等を記憶する。
【0020】
RAM43は、例えば、揮発性メモリ等の記憶媒体で構成され、CPU41が行う各処理に必要な情報(データ)を一時的に記憶する。
【0021】
記憶部50は、CPU41によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体で構成され、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置で構成される。記憶部50は、CPU41が各部を制御するためのプログラム、OS(Operating System)、コントローラー等のプログラム、データを記憶する。なお、記憶部50に記憶されるプログラム、データの一部は、ROM42に記憶されてもよい。また、CPU41によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体は、HDDに限定されず、例えば、SSD(Solid State Drive)、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0022】
[後処理位置設定画面及び後処理位置調整画面]
(1)後処理位置設定画面
図3は、本実施形態に係る画像形成装置1において操作表示部30に表示される後処理位置設定画面の一例を示す図である。なお、図3では、断裁処理を後処理の一例として説明する。図3に示すように、断裁設定画面U10(後処理位置設定画面の一例)には、ユーザーの操作対象となる、断裁設定入力部U11と、「調整値変更」ボタンU12と、「調整シート出力」ボタンU13とが表示される。
【0023】
図3に示す例では、断裁設定画面U10の上端部には、当該画面の名称である「断裁設定画面」が表示され、当該画面の名称の下部には、「断裁設定を選択してください。」というメッセージが表示される。また、このメッセージの下部には、断裁設定入力部U11と、「調整値変更」ボタンU12と、「調整シート出力」ボタンU13とが上からこの順で表示される。
【0024】
断裁設定入力部U11は、ユーザーが調整対象となる断裁処理の種別を選択する際に操作されるユーザーインターフェースである。ユーザーが操作表示部30の操作部(タッチセンサー等)を使用して断裁設定入力部U11に対して所定の操作を行うことにより、調整対象となる断裁処理を選択して入力することができる。なお、本実施形態の画像形成装置1では、断裁処理の種別情報(例えば、断裁方式、後処理後の記録媒体のサイズ、断裁位置等)は予め画像形成装置1に登録されているものとする。
【0025】
図3には、例えば、「四方断裁_SRA3_先端10mm/両端10mm/後端10mm」という断裁処理の種別情報が選択されている例を示す。断裁処理の種別情報に含まれる「四方断裁」は、記録媒体に対する断裁方法を示す情報であり、記録媒体の搬送方向及び搬送方向に直交する方向(搬送交差方向)に記録媒体の四方の端部を断裁することを示す。なお、ここで言う四方断裁は、記録媒体の搬送方向においてスリット断裁を行い、記録媒体の搬送交差方向においてカットを行う断裁方法とする。「SRA3」は、後処理後の記録媒体(成果物)のサイズ(この例では、320mm×450mm)を示す。「先端10mm」は、記録媒体の搬送方向の先端部から上流側の10mmの位置(先端側断裁位置)において記録媒体を断裁(カット)を行うことを示す。「両端10mm」は、記録媒体の搬送交差方向の両端部から内側の10mmの位置(奥側断裁位置、手前側断裁位置)において記録媒体を断裁(スリット)を行うことを示す。「後端10mm」は、記録媒体の搬送方向の後端部から下流側の10mmの位置(後端側断裁位置)において記録媒体を断裁(カット)を行うことを示す。なお、ここでいう、奥側断裁位置は、記録媒体の搬送交差方向の2つの端部のうち、操作表示部30の表示部の前面に位置するユーザーから見て遠い方に位置する端部から内側の所定位置である。一方、手前側断裁位置は、記録媒体の搬送交差方向の2つの端部のうち、操作表示部30の表示部の前面に位置するユーザーから見て近い方に位置する端部から内側の所定位置である。
【0026】
「調整シート出力」ボタンU13は、断裁処理の断裁位置(基準位置)を示す調整チャートが描画された記録媒体(調整シート)を出力(印刷)する際に、ユーザーにより操作されるユーザーインターフェースである。
【0027】
具体的には、ユーザーが、断裁設定入力部U11において調整対象となる断裁処理を選択した後、操作表示部30の操作部を使用して、「調整シート出力」ボタンU13に対して所定の操作(押下操作等)を行うと、後述の調整シートの出力処理(後述の図7中のS2)が行われる。この操作が行われると、記録媒体上において、選択された断裁処理の断裁位置(第1の後処理位置)に、断裁位置であることを示す態様の線(基準位置を示す線)が描画された記録媒体(調整シート)が出力(印刷)される。例えば、ユーザーが断裁処理の種別として「四方断裁_SRA3_先端10mm/両端10mm/後端10mm」を選択し、「調整シート出力」ボタンU13に対して所定の操作を行った場合には、記録媒体上において、記録媒体の搬送方向の先端部から上流側の10mmの位置、記録媒体の搬送交差方向の両端部から内側の10mmの位置、及び、記録媒体の搬送方向の後端部から下流側の10mmの位置に、断裁位置であることを示す態様の線(後述の各種調整チャートの例で直線)が調整チャートとして描画された記録媒体が出力(印刷)される。
【0028】
「調整値変更」ボタンU12は、後処理部20により実際に断裁処理が行われたときの断裁位置と調整シートの基準位置とのずれを無くすために、断裁位置の調整値を設定する際に、ユーザーにより操作されるユーザーインターフェースである。なお、この例では、ユーザーが、操作表示部30の操作部を使用して、「調整値変更」ボタンU12に対して所定の操作(押下操作等)を行うと、後述の後処理位置調整画面(後述の図4)が操作表示部30に表示される。
【0029】
(2)後処理位置調整画面
図4は、本実施形態に係る画像形成装置1において操作表示部30に表示される後処理位置調整画面の一例を示す図である。図4に示すように、断裁位置調整画面U20(後処理位置調整画面)には、ユーザーの操作対象となる、先端断裁位置調整部U21と、後端断裁位置調整部U22と、スリット位置(奥側)調整部U23と、スリット位置(前側)調整部U24と、「設定」ボタンU25とが表示される。
【0030】
図4に示す例では、断裁位置調整画面U20の上端部には、当該画面の名称である「断裁位置調整画面」が表示され、当該画面の名称の下部には、「調整値を入力してください。」というメッセージが表示される。また、このメッセージの下部には、先端断裁位置調整部U21と、後端断裁位置調整部U22と、スリット位置(奥側)調整部U23と、スリット位置(前側)調整部U24と、「設定」ボタンU25とが上からこの順で表示される。なお、各断裁位置調整部U21~U24は、それぞれ断裁位置の名称と調整値が入力されるテキストボックス(入力部)とで構成され、テキストボックスに入力される各断裁位置の調整値の単位はミリメートル(mm)である。
【0031】
先端断裁位置調整部U21は、後処理部20により実際に記録媒体(調整シート)に対して断裁処理が行われたときの先端側断裁位置の調整値の入力部である。図4に示す例では、先端断裁位置調整部U21の入力部に調整値「+1.00」mmが入力されているが、この場合には、後処理部20において、現在設定されている記録媒体の先端側断裁位置に1.00mmの調整値が加算される(現在の記録媒体の先端側断裁位置を搬送方向の上流側に1.00mmずらす設定が行われる)。
【0032】
後端断裁位置調整部U22は、後処理部20により実際に記録媒体(調整シート)に対して断裁処理が行われたときの後端側断裁位置の調整値の入力部である。図4に示す例では、後端断裁位置調整部U22の入力部に調整値「-0.50」mmが入力されているが、この場合には、後処理部20において、現在設定されている記録媒体の後端側断裁位置から0.5mmの調整値が減算される(現在の記録媒体の後端側断裁位置を搬送方向の上流側に0.5mmずらす設定が行われる)。
【0033】
スリット位置(奥側)調整部U23及びスリット位置(前側)調整部U24は、それぞれ、後処理部20により実際に記録媒体(調整シート)に対して断裁処理が行われたときの記録媒体の奥側断裁位置及び手前側断裁位置の調整値の入力部である。
【0034】
図4に示す例では、スリット位置(奥側)調整部U23の入力部に調整値「-0.10」mmが入力されているが、この場合には、後処理部20において、現在設定されている記録媒体の奥側断裁位置から0.10mmの調整値が減算される。つまり、現在の記録媒体の奥側断裁位置を遠い方に0.1mmずらす設定が行われる。一方、図4に示す例では、スリット位置(前側)調整部U24の入力部に調整値「±0.00」が入力されているが、この場合には、後処理部20において、現在設定されている記録媒体の手前側断裁位置は変更されず、維持される。
【0035】
「設定」ボタンU25は、後処理部20において現在設定されている記録媒体の各断裁位置の調整値を反映させる際に、ユーザーにより操作されるユーザーインターフェースである。ユーザーが、先端断裁位置調整部U21、後端断裁位置調整部U22、スリット位置(奥側)調整部U23及びスリット位置(前側)調整部U24においてそれぞれの調整値を入力した後、操作表示部30の操作部を使用して、「設定」ボタンU25に対して所定の操作(押下操作等)を行うと、表示画面が断裁位置調整画面U20から断裁設定画面U10に戻る。断裁位置調整画面U20において設定された各断裁位置の調整値は、画像形成装置1の制御部40に出力される。そして、ユーザーが、断裁位置調整画面U20において各断裁位置を調整した後、断裁設定画面U10で「調整シート出力」ボタンU13に対して所定の操作(押下操作等)を行うと、後述の調整シートの出力処理(後述の図7中のS2)が行われる。その後、調整チャートが形成された調整シートは、断裁位置調整画面U20において設定された調整後の各断裁位置で裁断される。
【0036】
なお、本実施形態では、後処理位置設定画面及び後処理位置調整画面の説明において断裁処理を例として説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ミシン目加工や折り加工などの各種後処理のそれぞれに対して、後処理位置設定画面及び後処理位置調整画面を設けることができる。また、例えば、1つの後処理位置設定画面に各種後処理の処理位置の設定機能を設け、1つの後処理位置調整画面に各種後処理の処理位置の調整機能を設けるような構成にしてもよい。
【0037】
[調整チャートの各種構成例]
(1)調整チャートの構成例1
次に、画像形成装置1により生成される調整チャートの構成例1を説明する。図5は、本実施形態に係る画像形成装置1において記録媒体(調整シート)上に形成(描画)される調整チャートの構成例1を示す図である。
【0038】
この例では、後処理として四方断裁、ミシン目加工及び折り加工が行われる例を説明する。この例で生成される調整チャートは、ユーザーが後処理位置設定画面において、四方断裁、ミシン目加工及び折り加工のそれぞれの後処理位置を選択(入力)して「調整シート出力」ボタンU13に対して所定操作(押下操作)を行うことにより生成される。この際、ユーザーにより操作される後処理位置設定画面は後処理の種別毎に設けられている構成にしてもよいし、一つの後処理位置設定画面により全ての後処理位置を設定可能となる構成してもよい。そして、生成された調整チャート上では、後処理位置設定画面で設定された各後処理位置(第1の後処理位置)と同じ位置に、各後処理の基準位置を示すパターンが形成(描画)される。
【0039】
この例において、調整シートS上に形成(印刷)される調整チャートL1は、実線で形成された4本の断裁基準線L11と、破線で形成された2本のミシン目基準線L12と、一点鎖線で形成された1本の折り目基準線L13とで構成され、各基準線は直線で構成される。なお、ここでは、図5上において、調整シートSの上部が搬送方向の先端側とし、搬送交差方向の右側が奥側とする。
【0040】
この例では、調整シートS上において、後処理の種別が基準線の描画態様(実線、破線、一点鎖線等)に応じて区別される。具体的には、4本の断裁基準線L11は、四方断裁(断裁処理)の基準位置を示す線であり、2本のミシン目基準線L12は、ミシン目加工のミシン目の基準位置を示す線であり、折り目基準線L13は、折り加工の折り目(クリース)の基準位置を示す線である。
【0041】
4本の断裁基準線L11は、それぞれ、調整シートSの4つの辺部(搬送方向の先端側及び後端側、搬送交差方向の奥側及び手前側の端辺部)に対応して形成される。そして、各断裁基準線L11は、調整シートSの対応する辺部から内側の所定位置に形成され且つ対応する辺部と平行に形成される。2本のミシン目基準線L12は、それぞれ、調整シートSの先端側及び後端側の辺部に対応して形成される。そして、各ミシン目基準線L12は、調整シートSの対応する辺部(先端側又は後端側の辺部)から内側の特定位置に形成され且つ対応する辺部と平行に形成される。また、折り目基準線L13は、調整シートSの略中央を横切るように、搬送交差方向に沿って形成される。
【0042】
各後処理(四方断裁、ミシン目加工及び折り加工)の後処理位置を調整する際には、調整チャートL1が形成(印刷)された調整シートSに対して実際に各後処理が実施され、後処理が実施された調整シートS上において、後処理の種別毎に、実際に後処理が行われた位置(第2の後処理位置)と、調整シートS上の対応する線の位置(基準位置)とを比較し、後処理部20における後処理の位置ずれ(ずれ量、ずれ方向)を検出することができる。また、図5に示すように、調整チャートL1において、後処理の種別毎に、基準位置を示す線の種別(描画態様)を変えることにより、実際に調整シートSに対して後処理が行われたときに生成される後処理位置(第2の後処理位置)と基準位置との対応関係が分かりやすく、複数種の後処理が行われる場合にも後処理の位置ずれ(ずれ量、ずれ方向)を容易に検出することができ、後処理調整時のミスの発生を防ぐことができる。
【0043】
(2)調整チャートの構成例2
次に、画像形成装置1により生成される調整チャートの構成例2を説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成装置1において記録媒体(調整シート)上に形成(描画)される調整チャートの構成例2を示す図である。
【0044】
この例では、後処理として後処理位置設定画面において、4分割の断裁処理が設定された場合に生成される調整チャートの構成例を説明する。この例で生成される調整チャートは、ユーザーが、後処理位置設定画面(例えば、断裁設定画面U10)において、4分割の断裁処理を選択(入力)して「調整シート出力」ボタンU13に対して所定操作(押下操作)を行うことにより生成される。そして、生成された調整チャート上では、後処理位置設定画面で選択された4分割の断裁処理の後処理位置(第1の後処理位置)と同じ位置に、後処理の基準位置を示すパターンが形成(描画)される。
【0045】
この例において、調整シートS上に形成(印刷)される調整チャートL2は、太線で形成され且つ断裁の基準位置を示す8本の断裁基準線L21~L28と、8本の断裁基準線L21~L28により分割される4つのパートP1~P4のそれぞれに、細線で形成された8本の断裁補助線(例えば、パートP1に形成される8本の断裁補助線L211,L212,L221,L222,L231,L232,L241,L242)と、各パートに生成(描画)される各種文字列(「1-1」~「2-2」、「Front」)とで構成される。なお、この例においても、図6上において、調整シートSの上部が搬送方向の先端側とし、搬送交差方向の右側が奥側とする。
【0046】
この例では、後処理(断裁処理)の位置ずれ(ずれ量、ずれ方向)を検出する際、主に、断裁位置の基準位置を示す8本の断裁基準線L21~L28を用いるが、後処理の位置ずれをより容易に且つ高精度に検出するための補助線として、8本の断裁補助線(例えば、パートP1に形成される8本の断裁補助線L211,L212,L221,L222,L231,L232,L241,L242)が設けられる。すなわち、この例では、後処理の位置ずれ調整で果たす機能(役割)に応じて、線の描画態様(線の太さ)を変える。
【0047】
なお、断裁位置の基準位置は理想的には実際の断裁位置と一致するので、調整シートSに対して後処理が実行されると、断裁処理後の調整シートS上では、基準位置の線が消えている可能性が高い。しかしながら、この例のように、補助線を設けることにより、断裁処理後の調整シートS上において基準位置の線が消えていても、この補助線を用いて、位置ずれ(ずれ量、ずれ方向)を検出することができる。また、例えば、断裁処理後の調整シートS上において、2本の補助線のうち、基準位置側に位置する補助線が消えていて、他方の補助線が残っている場合には、基準位置と基準位置側に位置する一方の補助線との間の距離以上で、且つ、基準位置と他方の補助線との間の距離未満のずれ量で位置ずれが発生していることを容易に把握することができる。すなわち、この例のように断裁補助線を設けた場合には、後処理の位置ずれ(ずれ量、ずれ方向)を容易に且つ高精度に検出することができる。
【0048】
8本の断裁基準線L21~L28は、調整シートSを4つのパートP1~P4に分割する際の断裁位置を示す。それゆえ、調整シートS内において、8本の断裁基準線L21~L28で区画される領域が成果物の領域となる。すなわち、断裁基準線L21,L23,L22及びL24により区画される(囲まれる)パートP1、断裁基準線L21,L26,L22及びL25により区画されるパートP2、断裁基準線L27,L23,L28及びL24により区画されるパートP3、並びに、断裁基準線L27,L26,L28及びL25により区画されるパートP4の部分が断裁後の成果物となる。
【0049】
断裁基準線L21,L28,L26及びL24は、調整シートSの先端側、後端側、奥側及び手前側の辺部に対応して形成され、各断裁基準線は、対応する辺部から内側の所定位置に形成され且つ対応する辺部と平行に形成される。断裁基準線L23,L25は、調整シートSの略中央を横切るように搬送方向に沿って形成され、かつ、互いに所定間隔を離れて形成される。なお、断裁基準線L23は、搬送交差方向において、断裁基準線L25より手前側に配置される。また、断裁基準線L22,L27は、調整シートSの略中央を横切るように搬送交差方向に沿って形成され、かつ、互いに所定間隔を離れて形成される。なお、太線L22は、搬送方向において、断裁基準線L27より先端側に配置される。
【0050】
なお、各パート内に形成される8本の断裁補助線について、パートP1内に形成される8本の断裁補助線L211,L212,L221,L222,L231,L232,L241,L242を例として説明する(パートP2~P4のそれぞれに形成される8本の断裁補助線はパートP1のそれらと同様であるため、説明を省略する)。
【0051】
パートP1内に形成される8本の断裁補助線のうち、2本の断裁補助線L211,L212は、パートP1(対応するパート)の先端側の辺部(断裁基準線L21)に対応して形成される。具体的は、断裁補助線L211は、対応する辺部から内側の所定位置に形成され且つ対応する辺部と平行に形成され、断裁補助線L212は、断裁補助線L211から内側の特定位置に形成され且つ対応する辺部と平行に形成される。
【0052】
パートP1内に形成される8本の断裁補助線のうち、2本の断裁補助線L221,L222は、パートP1(対応するパート)の後端側の辺部(断裁基準線L22)に対応して形成される。具体的は、断裁補助線L221は、対応する辺部から内側の所定位置に形成され且つ対応する辺部と平行に形成され、断裁補助線L222は、断裁補助線L221から内側の特定位置に形成され且つ対応する辺部と平行に形成される。
【0053】
パートP1内に形成される8本の断裁補助線のうち、2本の断裁補助線L231,L232は、パートP1(対応するパート)の奥側の辺部(断裁基準線L23)に対応して形成される。具体的は、断裁補助線L231は、対応する辺部から内側の所定位置に形成され且つ対応する辺部と平行に形成され、断裁補助線L232は、断裁補助線L231から内側の特定位置に形成され且つ対応する辺部と平行に形成される。
【0054】
パートP1内に形成される8本の断裁補助線のうち、2本の断裁補助線L241,L242は、パートP1(対応するパート)の手前側の辺部(断裁基準線L24)に対応して形成される。具体的は、断裁補助線L241は、対応する辺部から内側の所定位置に形成され且つ対応する辺部と平行に形成され、断裁補助線L242は、断裁補助線L241から内側の特定位置に形成され且つ対応する辺部と平行に形成される。
【0055】
なお、図6に示す例では、断裁補助線を各パートの領域(4本の断裁基準線で区画される領域)の内側にのみ形成する例を説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、4本の断裁基準線で区画される各パート領域の外側を囲い込むように、断裁補助線を設けてもよいし、4本の断裁基準線で区画される各パート領域の内側及び外側の両方に断裁補助線を設けてもよい。また、この例では、断裁位置の位置ずれ(ずれ量、ずれ方向)を検出するために2本の断裁補助線を設ける例を説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、必要に応じて断裁補助線の本数、断裁補助線の間の間隔等の構成を適宜変更することができる。
【0056】
また、図6に示す調整チャートL2の構成例では、各パート内に生成(描画)される各種文字列(「1-1」~「2-2」、「Front」)は、1枚の調整シートSで生成される複数の成果物の調整シートS上における配置位置に関する情報と、各成果物の表裏の識別するための情報とで構成される。
【0057】
図6に示す例では、調整シートS内の各パートの略中央に形成された文字列「Front」は、各パートの成果物の表裏を識別するための情報であり、文字列「Front」は成果物の表を示す。
【0058】
また、図6に示す例では、1枚の調整シートS上に2行×2列の態様で4つの成果物(パートP1~P4)が形成され、各パートの略中央に描画される文字列中の「1-1」~「2-2」は、4つの成果物(パートP1~P4)の調整シートS上における配置位置を示す。例えば、調整シートS上の左上に配置されるパートP1の中央には、1行-1列目の位置を示す文字列「1-1」が描画され、調整シートS上の右上に配置されるパートP2の中央には、1行-2列目の位置を示す文字列「1-2」が描画され、調整シートS上の左下に配置されるパートP3の中央には、2行-1列目の位置を示す文字列「2-1」が描画され、調整シートS上の右下に配置されるパートP4の中央には、2行-2列目の位置を示す文字列「2-2」が描画される。
【0059】
各パートの略中央に生成(描画)される情報に関する各種文字列(「1-1」~「2-2」、「Front」)は、断裁位置の調整時に、ユーザーが断裁後の調整シートSを見て、8本の断裁位置のうちどの断裁位置を調整すればよいかを判断し易くするために形成されている。
【0060】
[後処理位置の調整処理の手順]
次に、本実施形態の画像形成装置1における調整シートを用いた後処理位置の調整処理について説明する。図7は、本実施形態に係る画像形成装置1における調整シートを用いた後処理位置の調整処理の手順を示すフローチャートである。
【0061】
ユーザーが操作表示部30を使用して、例えば、図3に示す断裁設定画面U10等の後処理位置設定画面を起動し、後処理位置設定画面において調整対象となる後処理の種別(例えば、図3で説明した「四方断裁_SRA3_先端10mm/両端10mm/後端10mm」)を選択して「調整シート出力」ボタンU13を押下すると、以下に説明する処理が開始される。なお、以下に説明する調整シートを用いた後処理位置の調整処理は、実際に後処理が行われた後の調整シートにおける後処理位置が調整シートに形成された後処理の基準位置(例えば、上述の断裁基準線)と許容範囲内で一致するまで、ユーザーが後処理位置設定画面を繰り返し起動して実行される。
【0062】
まず、ユーザーにより後処理位置設定画面が起動され、調整対象となる後処理の種別が選択されると、画像形成装置1の制御部40(CPU41)は、操作表示部30からユーザーにより選択(入力)された調整対象となる所望の後処理位置(第1の後処理位置)の情報を取得する(ステップS1)。この処理では、1種類の後処理だけが選択されてもよいし、複数種の後処理が選択されてもよい。
【0063】
次いで、画像形成装置1の制御部40(CPU41)は、取得した後処理位置の情報に基づいて、印刷装置部10を制御し、記録媒体上に調整チャートを形成(印刷)して調整シートSを出力する(ステップS2)。この処理では、制御部40は、取得した後処理位置の情報に基づいて、調整シートSの印刷データを生成し、当該生成した印刷データを印刷装置部10に出力し、印刷装置部10は、入力された調整シートSの印刷データに基づいて基準位置が描画された調整シートSを印刷する。また、この処理では、制御部40は、記録媒体(調整シートS)上において、取得した所望の後処理位置(第1の後処理位置)と同一の位置に、所定の表示態様(例えば、線等)で後処理の基準位置を描画する。この際、必要に応じて、後処理部20による後処理の位置ずれ調整に必要な補助線や各種文字列などが調整シートSに形成(描画)される(図6参照)。また、ステップS1で選択された調整対象の後処理が複数種である場合には、後処理の種別毎に描画態様の種別を変えて、後処理の基準位置が描画される(図5参照)。
【0064】
次いで、画像形成装置1の制御部40(CPU41)は、後処理位置の調整値が設定されているか否かを判定する(ステップS3)。この処理では、制御部40は、例えば、図4に示す断裁位置調整画面U20等の後処理位置調整画面においてユーザーにより後処置位置の調整値が入力されている場合には、ステップS3の判定結果はYES判定となり、それ以外の場合には、ステップS3の判定結果はNO判定となる。
【0065】
ステップS3の処理において、制御部40が後処理位置の調整値が設定されていないと判定した場合(ステップS3はNO判定である場合)、制御部40は、後処理部20に対して後処理位置を変更せずに後処理を実施する指示を出す。そして、後処理部20は、制御部40の指示に従い、後処理位置を変更せずに後処理を実施する(ステップS4)。
【0066】
一方、ステップS3の処理において、制御部40が後処理位置の調整値が設定されていると判定した場合(ステップS3はYES判定である場合)、制御部40は、設定されている後処理位置の調整値を後処理部20に出力し、調整値を反映させた後処理位置で後処理を実施する指示を出す。そして、後処理部20は、制御部40の指示に従い、調整シートSに対して調整後の後処理位置で後処理を実施する(ステップS5)。
【0067】
ステップS4又はステップS5の処理後、制御部40(CPU41)は処理を終了する。
【0068】
ユーザーは、上述の処理で実際に後処理が行われた調整シートS上の後処理位置(第2の後処理位置)と、当該調整シートに形成された基準位置(例えば、上述の断裁基準線等)とを比較して、後処理部20による後処理の位置ずれ(後処理位置のずれ量、ずれ方向)を検出する。なお、調整シートSに上述した補助線が形成されている場合には、この補助線を参照して位置ずれを検出してもよい。後処理位置のずれ量を検出する際、ユーザーの目視により検出されたおおまかな値を後処理位置のずれ量としてもよいし、例えば定規等の測定器を用いて、後処理位置のずれ量を測定してもよい。そして、ユーザーは、検出した後処理位置のずれ量、ずれ方向に基づいて、例えば、図4に示す断裁位置調整画面U20等の後処理位置調整画面において後処理位置の調整値を設定する。
【0069】
[効果]
上述のように、本実施形態の画像形成装置1では、後処理位置を調整するための調整シート上において、所望の後処理位置と同一の位置に、所定の表示態様(例えば、線等)で後処理の基準位置を形成(描画)するため、例えば、後処理機毎の機械差や後処理の成果物の仕様変更などの影響があっても、高精度に後処理位置を調整することができる。また、画像形成装置1では、後処理の種別毎に基準位置を示す線の種別(描画態様)を変えるため、実際に後処理が行われた調整シート上の後処理位置と基準位置との対応関係が分かりやすく、複数種の後処理が行われる場合には、後処理調整時のミスの発生を防ぐことができる。さらに、画像形成装置1では、調整シート上に形成される基準位置に対応する補助線が設けられるため、実際に後処理が行われた調整シート上の後処理位置と、その基準位置及び/又はその基準位置に対応する補助線とを比較することにより、後処理位置の位置ずれ(ずれ量、ずれ方向)を容易に且つ高精度に検出することができる。
【0070】
<各種変形例>
以上では、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1及び後処理位置調整方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、その他種々の変形例の態様を取ることができる。
【0071】
上記実施形態の画像形成装置1では、調整シートにおいて、後処理の種別毎に基準位置を示す線の種別を変える例を説明したが、本発明はこれに限定されない。異なる種類の後処理の基準位置を区別できる描画態様であれば、基準位置の描画態様を任意に変更してもよい。例えば、調整シートにおいて、後処理の種別毎に基準位置を示す線の色(描画色)を変えてもよいし、後処理の種別毎に基準位置を示す線の種別及び色を変えてもよい。
【0072】
上記実施形態及び変形例の画像形成装置1において、断裁処理の後処理位置の位置ずれを把握するための補助線を調整シートに描画する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。後処理位置の調整対象となる任意の後処理に対しても、必要に応じて後処理位置の位置ずれを把握するための補助線を設けてもよい。例えば、調整シートにおいて、ミシン目加工や折り加工などの後処理に対しても、後処理位置の位置ずれを把握するための補助線を設けてもよい。なお、調整シートにおいて、複数種類の後処理に対して補助線を描画する場合、後処理の種別毎に補助線を示す態様(描画態様)を変える。
【0073】
上記実施形態及び各種変形例の画像形成装置1において、後処理部20が画像形成装置1の内部に設けられる構成例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、後処理部20を画像形成装置1の外部に設けてもよい。この場合、後処理部20は、画像形成装置1と連結して接続される。
【符号の説明】
【0074】
1…画像形成装置、10…印刷装置部、20…後処理部、30…操作表示部、40…制御部、41…CPU、42…ROM、43…RAM、50…記憶部、U10…断裁設定画面、U20…断裁位置調整画面、L1,L2…調整チャート、L11,L21~L28…断線基準線、L12…ミシン目基準線、L13…折り目基準線、L211,L212,L221,L222,L231,L232,L241,L242…断裁補助線、S…調整シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7