(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】車両用スライドレール装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/07 20060101AFI20240709BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20240709BHJP
【FI】
B60N2/07
B60N2/90
(21)【出願番号】P 2021021203
(22)【出願日】2021-02-12
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 侑大
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊之
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-502749(JP,A)
【文献】特開2001-334848(JP,A)
【文献】特開2014-084008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/07
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔が開口する第1の面と、前記第1の面から前記第1の面と交差する方向に延びる延出部と、を有し、前記孔と前記延出部とが前記第1の面に沿う第1の方向に並ぶ、レールと、
前記第1の面に沿うとともに前記第1の方向と交差する第2の方向に移動可能に、前記レールに取り付けられたスライダと、
前記第1の面上に配置された部材と、前記孔を通って前記部材を前記レールに取り付ける取付部と、前記部材に設けられるとともに前記延出部に当接することで前記部材が前記第1の面と交差する方向に延びる回転軸まわりに回転することを制限する制限部と、を有
し、異物に干渉して該異物を前記レールから排出する
異物干渉部品と、
を具備
し、
前記異物干渉部品は、前記スライダの前記レールに対する位置によらず、少なくとも一部が前記スライダに覆われている、
車両用スライドレール装置。
【請求項2】
前記第2の方向において、前記制限部の少なくとも一部は、前記孔から離間している、
請求項1の車両用スライドレール装置。
【請求項3】
前記レールは、前記第2の方向における第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、を有し、
前記
異物干渉部品は、前記第2の端部よりも前記第1の端部の方に近く、
前記第2の方向において、前記孔は、前記第2の端部と前記制限部との間に位置する、
請求項2の車両用スライドレール装置。
【請求項4】
前記延出部は、前記部材に向く第2の面と、前記部材に向き、前記第1の面から前記第2の面よりも離れており、前記部材から前記第2の面よりも離れている、第3の面と、を有し、
前記制限部は、前記第2の面に当接することで前記部材が前記回転軸まわりに回転することを制限する、
請求項1乃至請求項3のいずれか一つの車両用スライドレール装置。
【請求項5】
前記第2の面から離間し、前記第3の面に当接することで前記スライダを前記第2の方向に移動可能に支持する、支持部品、
をさらに具備する請求項4の車両用スライドレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用スライドレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロアに設けられるレールと、シートに固定されるとともにレールに対し移動可能に取り付けられるスライダと、を備える車両用スライドレール装置が知られる。また、レールに、例えば、ライターのような異物の排出を助けるための部品が取り付けられることがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、上記部品に、例えば、複数の突起が設けられる。当該突起は、レールに設けられた複数の孔を通り、部品をレールに取り付ける。すなわち、レールに部品を取り付けるため、レールに複数の孔が設けられることになる。
【0005】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、レールに設けられる孔の数を低減可能な車両用スライドレール装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る車両用スライドレール装置は、一例として、孔が開口する第1の面と、前記第1の面から前記第1の面と交差する方向に延びる延出部と、を有し、前記孔と前記延出部とが前記第1の面に沿う第1の方向に並ぶ、レールと、前記第1の面に沿うとともに前記第1の方向と交差する第2の方向に移動可能に、前記レールに取り付けられたスライダと、前記第1の面上に配置された部材と、前記孔を通って前記部材を前記レールに取り付ける取付部と、前記部材に設けられるとともに前記延出部に当接することで前記部材が前記第1の面と交差する方向に延びる回転軸まわりに回転することを制限する制限部と、を有する部品と、を備える。よって、一例としては、スライドレール装置は、一つの孔により部材をレールに取り付けることができるとともに、部材が回転することを抑制できる。従って、スライドレール装置は、レールに設けられる孔の数を低減できる。
【0007】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記第2の方向において、前記制限部の少なくとも一部は、前記孔から離間している。よって、一例としては、制限部は、より確実に部材の回転を制限することができる。
【0008】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記レールは、前記第2の方向における第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、を有し、前記部品は、前記第2の端部よりも前記第1の端部の方に近く、前記第2の方向において、前記孔は、前記第2の端部と前記制限部との間に位置する。よって、一例としては、制限部は、種々の物体に干渉することを抑制できる
【0009】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記延出部は、前記部材に向く第2の面と、前記部材に向き、前記第1の面から前記第2の面よりも離れており、前記部材から前記第2の面よりも離れている、第3の面と、を有し、前記制限部は、前記第2の面に当接することで前記部材が前記回転軸まわりに回転することを制限する。よって、一例としては、スライドレール装置は、第1の方向における制限部の長さを短くすることができる。
【0010】
上記車両用スライドレール装置は、一例として、前記第2の面から離間し、前記第3の面に当接することで前記スライダを前記第2の方向に移動可能に支持する、支持部品をさらに備える。よって、一例としては、制限部は、支持部品に干渉することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一つの実施形態のシート装置を概略的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、上記実施形態のスライドレール装置の一部を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、上記実施形態のロアレール及びアッパレールの一部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、上記実施形態のロアレール及びアッパレールを
図3のF4-F4線に沿って示す断面図である。
【
図5】
図5は、上記実施形態の本体及び制限部を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、上記実施形態の本体及び制限部を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、一つの実施形態について、
図1乃至
図6を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0013】
図1は、一つの実施形態のシート装置10を概略的に示す側面図である。シート装置10は、四輪自動車のような車両1に搭載され、スライドレール装置11と、シート12とを有する。シート12は、シートクッション12aと、当該シートクッション12aに対して回動可能に取り付けられたシートバック12bとを有する。
【0014】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、車両1の左右方向に沿って設けられる。Y軸は、車両1の前後方向に沿って設けられる。Z軸は、車両1の上下方向に沿って設けられる。
【0015】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向(右方向)と、X軸の矢印の反対方向である-X方向(左方向)とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向(前方向)と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向(後方向)とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向(上方向)と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向(下方向)とを含む。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交(交差)する。
【0016】
図2は、本実施形態のスライドレール装置11の一部を分解して示す斜視図である。スライドレール装置11は、二つのロアレール21と、
図1の複数のブラケット22と、複数のリベット23と、二つのアッパレール24と、複数のガイド25と、ロック機構26と、二つの異物干渉部品27とを有する。なお、スライドレール装置11は、この例に限られない。
【0017】
図2は、ロアレール21、アッパレール24、及び異物干渉部品27を一つずつ示す。ロアレール21は、レールの一例である。アッパレール24は、スライダの一例である。ガイド25は、支持部品の一例である。
【0018】
ロアレール21は、例えば、曲げ加工された一つの板金により作られる。
図1に示すように、ロアレール21は、Y方向に延びるように、ブラケット22によって車両1のフロア1aに取り付けられる。なお、ロアレール21は、フロア1aに直接的に取り付けられても良い。
【0019】
本実施形態において、ロアレール21の長手方向は、車両1の前後方向に等しい。Y方向は、第2の方向の一例である。二つのロアレール21は、X方向に互いに離間して配置される。本実施形態において、ロアレール21の幅方向は、車両1の左右方向に等しい。なお、例えばシート装置10が回転することで、Y方向及びX方向が車両1の前後方向及び左右方向と異なっても良い。
【0020】
図3は、本実施形態のロアレール21及びアッパレール24の一部を示す断面図である。
図4は、本実施形態のロアレール21及びアッパレール24を
図3のF4-F4線に沿って示す断面図である。
図4に示すように、ロアレール21は、略C字状の断面を有する。なお、ロアレール21はこの例に限られない。
【0021】
図2に示すように、ロアレール21は、Y方向における第1の端部21a及び第2の端部21bを有する。第1の端部21aは、-Y方向におけるロアレール21の端部である。第2の端部21bは、+Y方向におけるロアレール21の端部である。このため、第2の端部21bは、第1の端部21aの反対側に位置する。
【0022】
図4に示すように、ロアレール21は、底壁31と、二つの外側壁32と、二つの上壁33と、二つの内側壁34とをさらに有する。外側壁32は、延出部の一例である。底壁31、外側壁32、上壁33、及び内側壁34は、一体に形成されている。
【0023】
底壁31は、X‐Y平面に沿って広がる板状の部分であり、Y方向に延びている。底壁31は、外底面31aと、内底面31bとを有する。内底面31bは、第1の面の一例である。
【0024】
外底面31aは、略平坦に形成され、-Z方向に向く。例えば、外底面31aは、間隔を介して
図1のフロア1aに向く。内底面31bは、外底面31aの反対側に位置する。内底面31bは、略平坦に形成され、+Z方向に向く。
【0025】
内底面31bは、X‐Y平面に沿って広がる平面である。このため、X方向は、内底面31bに沿う方向である。また、Y方向は、内底面31bに沿うとともにX方向と直交(交差)する方向である。X方向は、第1の方向の一例である。なお、内底面31bに凹凸が設けられても良い。
【0026】
二つの外側壁32は、X方向における底壁31の両端から、おおよそ+Z方向に延びている。言い換えると、二つの外側壁32は、内底面31bから、当該内底面31bと交差する方向に延びている。本実施形態において、二つの外側壁32は、互いに鏡面対象となるように複数個所で折り曲げられており、互いに異なる方向に延びている。
【0027】
二つの内側壁34は、二つの外側壁32の間に位置し、略Z方向に延びている。X方向において、二つの内側壁34は、互いに離間するとともに、二つの外側壁32からも離間している。上壁33は、+Z方向における外側壁32の端部と、+Z方向における内側壁34の端部とを連結する。-Z方向における内側壁34の端部は、底壁31から離間している。
【0028】
二つの内側壁34の間に、Y方向に延びる溝35が設けられる。すなわち、溝35は、二つの内側壁34によって形成(区画、規定)される。さらに、ロアレール21の内部に、空間36が設けられる。空間36は、底壁31と、外側壁32と、上壁33と、内側壁34とによって形成(区画、規定)される。溝35は、空間36と、ロアレール21の外部と、を連通させる。
【0029】
溝35及び空間36は、ロアレール21の第1の端部21a及び第2の端部21bにおいて、ロアレール21の外部に開放されている。なお、スライドレール装置11は、第1の端部21a及び第2の端部21bのうち少なくとも一方を塞ぐキャップをさらに有しても良い。
【0030】
外側壁32は、第1の内面32aと、第2の内面32bと、第3の内面32cと、第4の内面32dとを有する。第1の内面32aは、第2の面の一例である。第3の内面32cは、第3の面の一例である。第1の内面32a、第2の内面32b、第3の内面32c、及び第4の内面32dは、ロアレール21の内部の空間36に面している。
【0031】
第1の内面32aは、底壁31の内底面31bから、斜め上方に延びている。このため、第1の内面32aは、底壁31の内底面31bに接続されるとともに、おおよそX方向に向く。二つの外側壁32の第1の内面32aは、互いに遠ざかるように内底面31bから延びている。
【0032】
第2の内面32bは、第1の内面32aから、X方向におけるロアレール21の外側に向かって斜めに延びている。このため、第2の内面32bは、第1の内面32aに接続されるとともに、おおよそ+Z方向に向く。二つの外側壁32の第2の内面32bは、互いに遠ざかるように第1の内面32aから延びている。
【0033】
第3の内面32cは、第2の内面32bから、略+Z方向に延びている。このため、第3の内面32cは、第2の内面32bに接続されるとともに、略X方向に向く。二つの外側壁32の第3の内面32cは、略平行に延びている。
【0034】
第4の内面32dは、第3の内面32cから、X方向におけるロアレール21の内側に向かって斜めに延びている。このため、第4の内面32dは、第3の内面32cに接続されるとともに、おおよそ-Z方向に向く。二つの外側壁32の第4の内面32dは、互いに近付くように第3の内面32cから延びている。
【0035】
二つの第1の内面32aは、X方向において、互いに向かい合う。さらに、二つの第3の内面32cは、X方向において、互いに向かい合う。なお、二つの内側壁34が、二つの第3の内面32cの間に位置する。第2の内面32bと第4の内面32dとは、Z方向において、互いに向かい合う。
【0036】
第3の内面32cは、底壁31の内底面31bから、第1の内面32aよりも離れている。言い換えると、第3の内面32cと内底面31bとの間の距離は、第1の内面32aと内底面31bとの間の距離よりも長い。
【0037】
外側壁32の形状は、上述の例に限られない。例えば、外側壁32は、X方向における底壁31の両端から、略直線状に延びていても良い。この場合、外側壁32はそれぞれ、略X方向に向く一つの内面を有する。
【0038】
図3に示すように、底壁31に二つの固定孔41と、取付孔42とが設けられる。取付孔42は、孔の一例である。二つの固定孔41と取付孔42とはそれぞれ、底壁31を略Z方向に貫通している。このため、固定孔41及び取付孔42はそれぞれ、底壁31の外底面31aと内底面31bとに開口する。
【0039】
固定孔41及び取付孔42は、例えば、略円形の孔である。例えば、固定孔41及び取付孔42は、ドリル、金型、又は他の手段により底壁31に形成される。なお、固定孔41及び取付孔42は、他の形状に形成されても良い。
【0040】
固定孔41及び取付孔42は、ロアレール21の第1の端部21aの近傍に位置する。二つの固定孔41は、Y方向に間隔を介して並べられる。さらに、取付孔42は、二つの固定孔41の間に位置する。なお、固定孔41及び取付孔42の配置は、この例に限られない。
【0041】
固定孔41及び取付孔42はそれぞれ、例えば、X方向における底壁31の略中央に設けられる。固定孔41及び取付孔42の直径は、X方向における内底面31bの長さよりも短い。なお、固定孔41及び取付孔42の直径は、この例に限られない。
【0042】
固定孔41及び取付孔42は、X方向において、二つの外側壁32の間に位置する。このため、固定孔41及び取付孔42と、外側壁32と、はX方向に並んでいる。外側壁32は、固定孔41及び取付孔42から離間している。なお、外側壁32は、固定孔41及び取付孔42のうち少なくとも一方に接していても良い。
【0043】
図2に示すように、二つの外側壁32はそれぞれ、二つの第1のストッパ44と、四つの第2のストッパ45と、をさらに有する。第1のストッパ44及び第2のストッパ45は、例えば、スリットにより外側壁32の他の部分から区画され、曲げられた突起である。なお、第1のストッパ44及び第2のストッパ45は、この例に限られない。
【0044】
第1のストッパ44は、例えば、外側壁32の第1の内面32aから、ロアレール21の内部に突出している。二つの第1のストッパ44は、Y方向に互いに離間している。例えば、一方の第1のストッパ44は、ロアレール21の第1の端部21aの近傍に設けられる。他方の第1のストッパ44は、ロアレール21の第2の端部21bの近傍に設けられる。
【0045】
第2のストッパ45は、例えば、外側壁32の第3の内面32cから、ロアレール21の内部に突出している。なお、第2のストッパ45は、第2の内面32b又は第4の内面32dから突出しても良い。複数の第2のストッパ45は、Y方向に互いに離間している。
【0046】
二つの内側壁34に複数のロック孔47が設けられる。なお、ロック孔47は、二つの内側壁34のうち一方に設けられても良い。ロック孔47は、内側壁34を略X方向に貫通する。複数のロック孔47は、Y方向に互いに間隔を空けて並べられる。
【0047】
図3に示すように、ブラケット22はそれぞれ、例えば、曲げ加工された一つの板金により作られる。ブラケット22はそれぞれ、第1の固定部51と、第2の固定部52と、傾斜部53とを有する。
【0048】
第1の固定部51は、ロアレール21の底壁31の外底面31aを支持する。第2の固定部52は、車両1のフロア1aに支持される。傾斜部53は、第1の固定部51と第2の固定部52とに接続され、斜めに延びている。本実施形態において、ブラケット22は、ロアレール21を、フロア1aから+Z方向に離間した位置に支持する。
【0049】
第1の固定部51に、二つの固定孔54と、取付孔55とが設けられる。固定孔54及び取付孔55は、第1の固定部51を略Z方向に貫通している。固定孔54は、ロアレール21の固定孔41に連通する。取付孔55は、ロアレール21の取付孔42に連通する。
【0050】
リベット23は、ロアレール21の固定孔41と、ブラケット22の固定孔54とを通り、ロアレール21をブラケット22に固定する。なお、ロアレール21は、溶接のような他の方法により、ブラケット22に固定されても良い。
【0051】
リベット23は、軸23aと、二つの頭部23b,23cとを有する。軸23aは、固定孔41,54に収容される。頭部23b,23cは、軸23aの両端に設けられる。頭部23bは、底壁31の内底面31bに当接する。頭部23cは、ブラケット22の第1の固定部51に当接する。頭部23b,23cの間に、底壁31及び第1の固定部51が保持される。頭部23b,23cのそれぞれの直径は、固定孔41,54のそれぞれの直径よりも大きい。
【0052】
第2の固定部52は、例えば、フロア1aから突出するアンカーボルト57に、ナット58によって取り付けられる。これにより、ロアレール21は、ブラケット22及びリベット23により、フロア1aに取り付けられる。なお、第2の固定部52は、他の手段によってフロア1aに取り付けられても良い。
【0053】
アッパレール24は、Y方向に延びるとともに、Y方向にスライド移動可能に、ロアレール21に取り付けられる。二つのアッパレール24は、
図1のシート12を支持する。このため、シート12は、アッパレール24と一体的にY方向に移動できる。
【0054】
図4に示すように、アッパレール24は、曲げ加工された一つの板金により作られる。なお、アッパレール24はこの例に限られない。アッパレール24は、上壁61と、二つの側壁62と、二つの曲壁63とを有する。
【0055】
上壁61は、X‐Y平面に沿って広がる板状の部分であり、Y方向に延びている。上壁61は、ロアレール21の外に位置する。二つの側壁62は、X方向における上壁61の両端から、略-Z方向に延びている。
【0056】
二つの側壁62は、ロアレール21の溝35を通り、略Z方向に延びている。曲壁63は、ロアレール21の内部の空間36に位置する。曲壁63は、-Z方向における側壁62の端から、ロアレール21の上壁33に向かって延びるよう曲げられている。
【0057】
図2に示すように、側壁62に、複数のロック孔65が設けられる。ロック孔65は、側壁62を略X方向に貫通する。複数のロック孔65は、Y方向に互いに間隔を空けて並べられる。複数のロック孔65の間隔は、ロアレール21のロック孔47の間隔と略等しい。
【0058】
アッパレール24は、突出部66をさらに有する。突出部66は、例えば、-Z方向における側壁62の部から突出する。Y方向において、突出部66は、ロアレール21の二つの第1のストッパ44の間に配置される。
【0059】
アッパレール24が所定の位置までY方向に移動すると、突出部66が第1のストッパ44に当接する。これにより、第1のストッパ44は、アッパレール24がロアレール21から外れることを抑制できる。
【0060】
アッパレール24の内側に、空間67が設けられる。空間67は、上壁61と二つの側壁62とによって形成(区画、規定)される。ロック孔65は、空間67と、アッパレール24の外部と、を連通させる。
【0061】
図4に示すように、ガイド25は、ロアレール21の空間36に収容され、ロアレール21の外側壁32と、アッパレール24の曲壁63との間に位置する。ガイド25はそれぞれ、複数のボール71と、ホルダ72と、を有する。
【0062】
ボール71は、例えば、金属の玉である。複数のボール71のうち一つは、外側壁32の第2の内面32bと第3の内面32cとに当接するとともに、曲壁63に当接する。さらに、複数のボール71のうち他の一つは、外側壁32の第3の内面32cと第4の内面32dとに当接するとともに、曲壁63に当接する。これにより、アッパレール24は、ボール71を介してロアレール21に支持される。なお、ボール71は、外側壁32及び曲壁63から一時的に離間しても良い。
【0063】
ホルダ72は、外側壁32の第3の内面32cと曲壁63との間に位置する。ホルダ72は、複数のボール71を転動可能に支持する。例えば、ホルダ72は、ガイド25に含まれる複数のボール71の間の距離を維持する。
【0064】
アッパレール24がロアレール21に対してY方向に移動する間、ボール71は、外側壁32の第2の内面32b、第3の内面32c、及び第4の内面32d上と、曲壁63上とで転動する。このように、ガイド25は、第2の内面32b、第3の内面32c、及び第4の内面32dに当接することで、アッパレール24をY方向に移動可能に支持する。ガイド25は、アッパレール24をY方向に滑らかに移動させるとともに、アッパレール24がロアレール21に対してX方向及びZ方向に移動することを制限する。
【0065】
本実施形態のガイド25は、アッパレール24に対して相対的に移動可能である。このため、ガイド25は、アッパレール24がロアレール21に対してY方向に移動する間、ロアレール21及びアッパレール24とは別にY方向に移動する。なお、ガイド25は、アッパレール24に取り付けられても良い。
【0066】
ガイド25は、複数の第2のストッパ45のうち二つの間に配置される。ガイド25が所定の位置までY方向に移動すると、ホルダ72が第2のストッパ45に当接する。これにより、第2のストッパ45は、ガイド25が外側壁32と曲壁63との間の隙間から外れることを抑制できる。
【0067】
ガイド25は、外側壁32の第1の内面32aから離間している。このため、ガイド25は、第1の内面32aから突出する第1のストッパ44からも離間している。なお、ガイド25は、第1のストッパ44から離間した状態で、第1の内面32aに接触しても良い。
【0068】
ガイド25は、上述の例に限られない。例えば、ガイド25は、外側壁32に対する摩擦係数が低い合成樹脂製の部材を有しても良い。当該部材が、第2の内面32b、第3の内面32c、及び第4の内面32dに当接することで、アッパレール24をY方向に移動可能に支持しても良い。
【0069】
図2に示すように、ロック機構26は、ロック部材75と、取付ブラケット76と、バネ77とを有する。ロック部材75、取付ブラケット76、及びバネ77は、アッパレール24の内部の空間67に少なくとも部分的に収容される。
【0070】
ロック部材75は、取付ブラケット76に、略Y方向に延びる回転軸まわりに回転可能に取り付けられる。取付ブラケット76は、例えば、アッパレール24の上壁61に固定される。ロック部材75は、ロアレール21及びアッパレール24のロック孔47,65に挿入可能な複数の爪75aを有する。
【0071】
爪75aがロアレール21及びアッパレール24のロック孔47,65に挿入されることで、ロック機構26は、アッパレール24がロアレール21に対してY方向に移動することを制限する。バネ77は、爪75aがロック孔47,65に挿入されるように、ロック部材75を付勢する。
【0072】
図1に示すように、ロック機構26は、例えば、ハンドル78をさらに有する。ハンドル78は、種々の機構を介して、ロック部材75に接続されている。例えば、ハンドル78が操作されることで、爪75aがロック孔47,65から抜けるようにロック部材75が回転する。
【0073】
図3に示すように、異物干渉部品27は、ロアレール21の底壁31に取り付けられる。異物干渉部品27は、例えば、ロアレール21の第1の端部21aの近傍に配置される。このため、異物干渉部品27は、第2の端部21bよりも第1の端部21aの方に近い。言い換えると、異物干渉部品27と第1の端部21aとの間の距離は、異物干渉部品27と第2の端部21bとの間の距離よりも短い。
【0074】
異物干渉部品27は、部品の一例である。異物干渉部品27は、例えば、ロアレール21の溝35にライターのような異物Obが入った場合、当該異物Obに干渉し、異物Obが溝35から排出されやすくする。なお、部品は、この例に限られず、他の用途及び機能を有しても良い。
【0075】
異物干渉部品27は、本体81と、取付部82と、二つの制限部83とを有する。
図3は、二つの制限部83のうち一方を示す。本体81は、部材の一例である。本実施形態において、本体81と制限部83とは、一体に形成される。一方、本体81及び制限部83と、取付部82とは、別々の部材である。なお、異物干渉部品27は、この例に限られず、本体81、取付部82、制限部83が別々の部材であっても良いし、一体の部材であっても良い。
【0076】
本体81及び制限部83は、例えば、ポリプロピレン(PP)のような合成樹脂によって作られる。なお、本体81及び制限部83は、金属のような他の材料によって作られても良い。
【0077】
本体81は、ロアレール21の底壁31の内底面31b上に配置される。言い換えると、本体81は、内底面31bに当接し、又は内底面31bを覆っている。本体81は、内底面31bの上方に位置しなくても良い。
【0078】
図4に示すように、X方向において、本体81は、ロアレール21の二つの内側壁34の間に位置するとともに、二つの内側壁34から離間している。ロアレール21の外側壁32の第1の内面32a及び第3の内面32cは、間隔を介して本体81に向く。第3の内面32cは、本体81から、第1の内面32aよりも離れている。言い換えると、第3の内面32cと本体81との間の距離は、第1の内面32aと本体81との間の距離よりも長い。さらに、X方向において、本体81は、アッパレール24の二つの側壁62から離間するとともに、二つの側壁62の間に位置する。
【0079】
Z方向において、本体81は、ロアレール21の底壁31と、アッパレール24の上壁61との間に位置する。Z方向において、本体81は、アッパレール24の上壁61から離間している。このため、本体81は、スライド移動するアッパレール24に干渉することを抑制できる。
【0080】
本体81の少なくとも一部は、ロアレール21の溝35及び空間36に配置される。さらに、アッパレール24がスライド移動することで、本体81の少なくとも一部は、アッパレール24の内部の空間67に入ることができる。アッパレール24がスライド移動するとき、アッパレール24の側壁62は、本体81とロアレール21の内側壁34との間の隙間を通過する。
【0081】
図5は、本実施形態の本体81及び制限部83を示す斜視図である。
図6は、本実施形態の本体81及び制限部83を示す底面図である。
図5及び
図6に示すように、本体81は、略直方体状に形成される。本体81は、下面81aと、上面81bと、二つの側面81cと、第1の端面81dと、第2の端面81eと、斜面81fとを有する。なお、本体81の形状は、この例に限られない。
【0082】
下面81aは、略平坦に形成され、略-Z方向に向く。
図3に示すように、下面81aの少なくとも一部は、ロアレール21の底壁31の内底面31bに接触し、内底面31bに支持される。上面81bは、下面81aの反対側に位置する。上面81bは、略平坦に形成され、略+Z方向に向く。なお、上面81bの形状は、この例に限られない。
【0083】
二つの側面81cは、互いに反対側に位置する。側面81cは、略平坦に形成され、略X方向に向く。一方の側面81cは、間隔を介して、ロアレール21の一方の外側壁32及び一方の内側壁34に向く。他方の側面81cは、間隔を介して、他方の外側壁32及び他方の内側壁34に向く。
【0084】
第1の端面81dは、+Y方向における本体81の端部である。第1の端面81dは、ロアレール21の第2の端部21bから離間している。第1の端面81dは、略平坦に形成され、略+Y方向に向く。なお、第1の端面81dは、この例に限られない。例えば、第1の端面81dは、+Y方向における本体81の端に近づくほどロアレール21の底壁31に近づく斜面であっても良い。
【0085】
第2の端面81eは、第1の端面81dの反対側に位置する。Y方向において、第2の端面81eは、
図3に示すように、ロアレール21の第1の端部21aから-Y方向に離間している。言い換えると、Y方向において、第1の端面81dと第2の端面81eとの間に、ロアレール21の第1の端部21aが位置する。すなわち、本体81の一部は、ロアレール21の第1の端部21aから-Y方向に張り出している。なお、本体81は、この例に限られない。
【0086】
Z方向における第2の端面81eの長さは、Z方向における第1の端面81dの長さよりも長い。例えば、Z方向において、-Z方向における第2の端面81eの端は、-Z方向における第1の端面81dの端から-Z方向に離間している。
【0087】
斜面81fは、下面81aと第2の端面81eとの間に設けられる。Y方向において、斜面81fは、第2の端面81eと、ロアレール21の第1の端部21aとの間に位置する。斜面81fは、-Y方向における下面81aの端と、-Z方向における第2の端面81eとに接続され、斜めに延びている。斜面81fは、ブラケット22の傾斜部53と略平行に延びても良い。
【0088】
本体81に、取付孔85と、窪み86と、切欠き87とが設けられる。取付孔85及び窪み86は、下面81aに開口する有底の穴である。取付孔85は、例えば、略円形の穴である。取付孔85の内面に、雌ネジ85aが設けられる。窪み86は、略半球状に形成される。切欠き87は、下面81aと第1の端面81dとの角部分に設けられる。
【0089】
取付孔85、窪み86、及び切欠き87は、間隔を介してY方向に並べられる。取付孔85は、窪み86と切欠き87との間に位置する。取付孔85は、ロアレール21の底壁31の取付孔42に連通する。窪み86は、底壁31の一方の固定孔41に面する。
【0090】
取付部82は、例えば、タッピングスクリューのようなネジである。なお、取付部82は、この例に限られず、例えば、リベットのような他の部品であっても良い。取付部82は、胴部82aと、雄ネジ82bと、頭部82cとを有する。
【0091】
取付部82の胴部82aは、ブラケット22の第1の固定部51の取付孔55と、ロアレール21の底壁31の取付孔42と、を通り、本体81の取付孔85に捻じ込まれる。雄ネジ82bは、胴部82aに設けられ、取付孔85の雌ネジ85aと嵌り合う。これにより、取付部82が本体81に取り付けられる。雌ネジ85aは、例えば、雄ネジ82bが取付孔85に捻じ込まれることで形成される。
【0092】
頭部82cは、胴部82aの端部に設けられる。ロアレール21の底壁31と、ブラケット22の第1の固定部51とは、本体81と、取付部82の頭部82cとの間に保持される。これにより、取付部82は、取付孔42,55を通って本体81をロアレール21及びブラケット22に取り付ける。
【0093】
取付部82は、本体81と一体に形成されても良い。例えば、取付部82は、本体81から突出するとともに取付孔42,55を通る雄ネジと、当該雄ネジに嵌るナットと、を有しても良い。また、取付部82は、本体81から突出し、弾性変形を伴って取付孔42,55を通り、第1の固定部51に引っかかる爪を有し、スナップフィットにより本体81をロアレール21及びブラケット22に取り付けても良い。
【0094】
一方のリベット23の頭部23bは、本体81の窪み86に収容される。すなわち、本体81は、窪み86を設けられることで、リベット23の頭部23bに干渉することを抑制できる。窪み86の内面は、リベット23の頭部23bから離間している。
【0095】
他方のリベット23の頭部23bの一部は、本体81の切欠き87に収容される。すなわち、本体81は、切欠き87を設けられることで、リベット23の頭部23bに干渉することを抑制できる。切欠き87の内面は、リベット23の頭部23bから離間している。
【0096】
図6に示すように、本体81に、複数の凹部88が設けられても良い。凹部88は、例えば、下面81aに開口する。一つの凹部88は、窪み86に連通している。他の一つの凹部88は、切欠き87に連通している。例えば、本体81は、凹部88が設けられることで軽量化できる。
【0097】
図5に示すように、制限部83はそれぞれ、延部91と、補強部92とを有する。延部91と補強部92とは、一体に形成される。なお、制限部83は、この例に限られない。
【0098】
延部91は、本体81の側面81cから略X方向に延びている。このため、制限部83は、本体81に設けられる。延部91は、X-Y平面に沿って広がる略板状に形成される。延部91は、下面91aと、上面91bと、当接面91cと、二つの端面91dとを有する。なお、延部91は、この例に限られない。
【0099】
下面91aは、略平坦に形成され、略-Z方向に向く。下面91aは、本体81の下面81aと略同一平面を形成する。
図4に示すように、下面91aは、ロアレール21の底壁31の内底面31bに接触し、内底面31bに支持される。
【0100】
上面91bは、下面91aの反対側に位置する。上面91bは、略平坦に形成され、略+Z方向に向く。上面91bは、間隔を介してロアレール21の外側壁32の第4の内面32d、上壁33、及び内側壁34に向く。さらに、上面91bは、アッパレール24がスライド移動することで、アッパレール24の曲壁63に向くことができる。
【0101】
当接面91cは、X方向における延部91の一方の端部である。X方向における延部91の他方の端部は、本体81の側面81cに接続される。当接面91cは、ロアレール21の外側壁32の第1の内面32aに当接する。なお、当接面91cは、第1の内面32aから離間していても良い。当接面91cは、外側壁32の第2の内面32b、第3の内面32c、及び第4の内面32dから離間している。なお、当接面91cは、第2の内面32b、第3の内面32c、及び第4の内面32dのうち少なくとも一つに当接しても良い。
【0102】
図6に示すように、端面91dは、Y方向における延部91の両端部である。端面91dは、当接面91cに近づくほど互いに近づくように斜めに延びている。なお、端面91dは、この例に限られない。
【0103】
図5に示すように、補強部92は、本体81の側面81cと、延部91の上面91bと、に接続される。補強部92は、側面81cに沿って延びる略三角柱状に形成され、側面81cに近づくほど厚くなっている。制限部83は、補強部92が設けられることで、剛性を向上させることができる。補強部92は、スライド移動するアッパレール24から離間するように形成される。
【0104】
図3に示すように、Y方向において、制限部83の少なくとも一部は、取付孔42,55から離間している。言い換えると、Y方向において、制限部83の少なくとも一部は、取付孔42,55からズレており、取付孔42,55と異なる位置に設けられている。Y方向において、取付孔42,55は、ロアレール21の第2の端部21bと制限部83との間に位置する。なお、Y方向において、取付孔42,55は、制限部83と略同一位置に配置されても良い。また、Y方向において、取付孔42,55が、第1の端部21aと制限部83との間に位置しても良い。
【0105】
Y方向において、制限部83の少なくとも一部は、ロアレール21の第1の端部21aと第1のストッパ44との間に位置する。Y方向において、制限部83は、第1のストッパ44から離間しており、第1のストッパ44に干渉することを抑制できる。
【0106】
取付孔42,55は、円形の孔である。さらに、取付部82の胴部82aは略円柱形に形成される。このため、制限部83が無い場合、本体81は、取付孔42,55及び取付部82の胴部82aのうち少なくとも一方の中心軸Axまわりに回転する虞がある。中心軸Axは、回転軸の一例である。中心軸Axは、略Z方向に延びている。このため、中心軸Axは、ロアレール21の底壁31の内底面31bと直交(交差)する方向に延びている。
【0107】
図4に示すように、制限部83の延部91の当接面91cは、ロアレール21の外側壁32の第1の内面32aに当接する。この時、制限部83は少し弾性変形して、内面32aに当接している。当接面91c及び第1の内面32aは、略Y方向に略直線状に延びている。当接面91cと第1の内面32aは、互いに面接触し、応力集中が生じることを抑制できる。
【0108】
上述のように、本体81の一部が、ロアレール21の第1の端部21aから-Y方向に張り出している。このため、本体81の当該一部に、中心軸Axまわりに回転する方向の外力が作用することがある。中心軸Axまわりに回転する方向の外力が本体81に作用すると、第1の内面32aが当接面91cを支持する。このため、制限部83は、本体81が中心軸Axまわりに回転することを制限する。
【0109】
以上のように、本実施形態の取付部82は、本体81を、中心軸Axまわりに回転可能にロアレール21に取り付ける。しかし、制限部83は、本体81が中心軸Axまわりに回転することを制限する。従って、本体81は、一つのネジである取付部82によってロアレール21に取り付けられるとともに、中心軸Axに回転することを抑制できる。
【0110】
制限部83は、第1の内面32aから一時的に離間しても良い。この場合、中心軸Axまわりに回転する方向の外力が本体81に作用すると、本体81は中心軸Axまわりに回転する。しかし、本体81は、制限部83が第1の内面32aに当接するまで回転すると、制限部83によって回転を止められる。
【0111】
以上の例のように、制限部83による本体81の回転の制限は、本体81の回転を常時止めることも、本体81の回転を所定の範囲内で許容することも含む。本実施形態の制限部83は、例えば、本体81がスライド移動するアッパレール24から離間した状態に保たれるように、本体81の回転を許容しても良い。
【0112】
本体81の回転は、種々の手段により制限され得る。例えば、取付孔42が多角形の孔として形成され、異物干渉部品27が当該取付孔42の縁に当接する突起を有しても良い。しかしこの場合、取付孔42が大きくなるとともに、取付孔42の形成が難しくなる。本実施形態の異物干渉部品27は、制限部83が本体81の回転を制限するため、取付孔42を比較的小さな円形の孔に設定することができる。
【0113】
制限部83は、ロアレール21の外側壁32の第2の内面32b、第3の内面32c、及び第4の内面32dから離間している。このため、制限部83は、スライド移動するアッパレール24と、ガイド25と、に干渉することを抑制できる。
【0114】
ロアレール21の溝35に、ライターのような異物Obが入る虞がある。本体81とロアレール21の内側壁34との間の隙間は、一般的なライターの厚さよりも狭い。このため、異物干渉部品27は、本体81と内側壁34との間に異物Obが入ることを抑制できる。
【0115】
溝35において、異物Obは、本体81に干渉し、本体81の上に乗る。言い換えると、本体81の上面81bが、異物Obを支持する。この場合、異物Obは、本体81により起立又は傾斜した状態に支持される。傾斜した異物Obは、本体81のみならず、ロアレール21の上壁33及び内側壁34に支持されても良い。
【0116】
溝35において、異物Obは、Y方向に見た場合にアッパレール24と重なるように配置される。このため、アッパレール24は、-Y方向にスライド移動することで、異物Obを-Y方向に押す。スライド移動するアッパレール24は、異物Obを溝35からロアレール21の外部に排出する。
【0117】
本体81の第1の端面81dは、アッパレール24が+Y方向に最大限スライド移動したとしても、アッパレール24に覆われる。このため、スライドレール装置11は、Y方向においてアッパレール24と第1の端面81dとの間に隙間が発生することを抑制できる。
【0118】
例えば、ロアレール21が長い場合、Y方向においてアッパレール24と第1の端面81dとの間に隙間が発生することがある。この場合、第1の端面81dは、+Y方向における本体81の端に近づくほどロアレール21の底壁31に近づく斜面として形成されても良い。-Y方向に移動するアッパレール24は、異物Obを押し、斜面である第1の端面81dに乗り上げさせることができる。
【0119】
以上説明された実施形態に係るスライドレール装置11において、ロアレール21は、取付孔42が開口する内底面31bと、内底面31bから当該内底面31bと交差する方向に延びる外側壁32と、を有する。異物干渉部品27は、本体81と、取付部82と、制限部83と、を有する。本体81は、内底面31b上に配置される。取付部82は、取付孔42を通って本体81をロアレール21に取り付ける。制限部83は、本体81に設けられるとともに外側壁32に当接することで本体81が内底面31bと交差する方向に延びる中心軸Axまわりに回転することを制限する。すなわち、制限部83は、取付孔42が円形の孔であったとしても、取付孔42に沿う中心軸Axまわりの本体81の回転を制限することができる。このため、スライドレール装置11は、一つの取付孔42により本体81をロアレール21に取り付けることができるとともに、本体81が回転することを抑制できる。従って、スライドレール装置11は、ロアレール21に設けられる取付孔42の数を低減できるため、孔によってロアレール21の強度が低下することを抑制できる。さらに、スライドレール装置11は、ロアレール21の加工コストが増大することを抑制できるとともに、ロアレール21の加工を容易にすることができる。
【0120】
Y方向において、制限部83の少なくとも一部は、取付孔42から離間している。これにより、取付孔42に沿う中心軸Axまわりに回転させる力が本体81に作用した場合、当該本体81の回転を制限する制限部83のモーメントアームが長くなる。従って、制限部83は、より確実に本体81の回転を制限することができる。
【0121】
異物干渉部品27は、ロアレール21の第2の端部21bよりも第1の端部21aの方に近い。Y方向において、取付孔42は、第2の端部21bと制限部83との間に位置する。言い換えると、制限部83の少なくとも一部は、Y方向におけるロアレール21の中央から取付孔42よりも離れている。これにより、制限部83は、例えば、移動するアッパレール24、ロアレール21に設けられるアッパレール24の第1のストッパ44、及びアッパレール24に押される異物Ob、のような種々の物体に干渉することを抑制できる。
【0122】
外側壁32は、本体81に向く第1の内面32a及び第3の内面32cを有する。第3の内面32cは、内底面31bから第1の内面32aよりも離れており、本体81から第1の内面32aよりも離れている。制限部83は、第1の内面32aに当接することで本体81が中心軸Axまわりに回転することを制限する。これにより、スライドレール装置11は、X方向における制限部83の長さを短くすることができ、コストを低減できる。
【0123】
ガイド25は、第1の内面32aから離間し、第3の内面32cに当接することでアッパレール24をY方向に移動可能に支持する。これにより、制限部83は、ガイド25に干渉することを抑制できる。
【0124】
以上の実施形態において、異物干渉部品27は、ロアレール21の第1の端部21aの近傍に設けられる。しかし、スライドレール装置11は、ロアレール21の第2の端部21bの近傍に設けられる異物干渉部品27を有しても良い。
【0125】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0126】
11…スライドレール装置、21…ロアレール、21a…第1の端部、21b…第2の端部、24…アッパレール、25…ガイド、27…異物干渉部品、31b…内底面、32a…第1の内面、32c…第3の内面、42…取付孔、81…本体、82…取付部、83…制限部。