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特許7517198車両管理装置、車両管理方法、車両管理システム、及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】車両管理装置、車両管理方法、車両管理システム、及び車両
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20240709BHJP
   G06Q 50/43 20240101ALI20240709BHJP
【FI】
G06Q10/02
G06Q50/43
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021023739
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125906
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】滝口 結花
(72)【発明者】
【氏名】岡本 哲史
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘和
(72)【発明者】
【氏名】中通 実
(72)【発明者】
【氏名】兼市 大輝
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-192031(JP,A)
【文献】特開2014-041475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーシェアリングサービスでユーザに提供する車両を管理する制御部を備え、
前記制御部は、
前記ユーザが前記カーシェアリングサービスを予約せずに利用するオンデマンド利用に振り当てる車両を第1車両として管理し、
前記ユーザが前記カーシェアリングサービスを予約して利用する予約利用に振り当てる車両を第2車両として管理し、
前記第1車両の数が第1所定数未満になった場合に、前記第2車両を前記第1車両に変更する、
車両管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記予約利用の利用開始時刻から予約期限時間だけ前の時刻まで前記予約利用の申し込みを受け付ける、請求項1に記載の車両管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記予約利用の申し込みに基づいて前記予約利用に振り当てる予定を前記第2車両に設定する、請求項1又は2に記載の車両管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間に前記予約利用に振り当てる予定が設定されていない前記第2車両を前記第1車両に変更する、請求項3に記載の車両管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間として、前記オンデマンド利用の時間に、前記オンデマンド利用に振り当てられた車両の返却後の準備期間を加えた期間を算出する、請求項4に記載の車両管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1車両から前記オンデマンド利用に振り当てた車両の車種と異なる車種であり、かつ、前記オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間に前記予約利用に振り当てる予定が設定されておらず前記期間の経過後に前記予約利用に振り当てる予定が設定されている前記第2車両を、前記期間に前記第1車両に変更し、前記期間の経過後に前記予約利用に振り当てる、請求項3から5までのいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1車両から前記オンデマンド利用に振り当てた車両の車種と異なる車種であり、かつ、前記予約利用に振り当てる予定が設定されていない前記第2車両を前記第1車両に変更する、請求項3から5までのいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1車両から前記オンデマンド利用に振り当てた車両の車種と同じ車種であり、かつ、前記オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間に前記予約利用に振り当てる予定が設定されておらず前記期間の経過後に前記予約利用に振り当てる予定が設定されている前記第2車両を前記第1車両に変更し、
前記オンデマンド利用に振り当てた車両を、返却された後に前記予約利用に振り当てる、請求項3から5までのいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記予約利用の利用開始時刻の予約期限時間だけ前の時刻において、前記予約利用に振り当てる予定を設定した前記第2車両よりも前記予約利用の利用開始地点の近くに位置する前記第1車両を前記予約利用に振り当てる、請求項3から8までのいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1車両の数が第2所定数より多くなった場合、前記第1車両の数が前記第2所定数以下になるように、前記第1車両の少なくとも一部を前記第2車両に変更する、請求項1から9までのいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の車両管理装置と、前記車両とを備える、車両管理システム。
【請求項12】
カーシェアリングサービスでユーザに提供する車両を管理する車両管理方法であって、
車両管理装置が、前記ユーザが前記カーシェアリングサービスを予約せずに利用するオンデマンド利用に振り当てる車両を第1車両として管理することと、
前記車両管理装置が、前記ユーザが前記カーシェアリングサービスを予約して利用する予約利用に振り当てる車両を第2車両として管理することと、
前記車両管理装置が、前記第1車両の数が第1所定数未満になった場合に、前記第2車両を前記第1車両に変更することと
を含む、車両管理方法。
【請求項13】
前記車両管理装置が、前記予約利用の利用開始時刻から予約期限時間だけ前の時刻まで前記予約利用の申し込みを受け付けることを更に含む、請求項12に記載の車両管理方法。
【請求項14】
前記車両管理装置が、前記予約利用の申し込みに基づいて前記予約利用に振り当てる予定を前記第2車両に設定することを更に含む、請求項12又は13に記載の車両管理方法。
【請求項15】
前記車両管理装置が、前記オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間に前記予約利用に振り当てる予定が設定されていない前記第2車両を前記第1車両に変更することを更に含む、請求項14に記載の車両管理方法。
【請求項16】
前記車両管理装置が、前記オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間として、前記オンデマンド利用の時間に、前記オンデマンド利用に振り当てられた車両の返却後の準備期間を加えた期間を算出することを更に含む、請求項15に記載の車両管理方法。
【請求項17】
前記車両管理装置が、前記予約利用の利用開始時刻の予約期限時間だけ前の時刻において、前記予約利用に振り当てる予定を設定した前記第2車両よりも前記予約利用の利用開始地点の近くに位置する前記第1車両を前記予約利用に振り当てることを更に含む、請求項14から16までのいずれか一項に記載の車両管理方法。
【請求項18】
自動運転によって運行される車両であって、
車両管理装置が出力する管理情報に基づいて前記車両の運行を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記車両がオンデマンド利用に振り当てる第1車両として管理される場合、前記車両を第1領域に移動させ、
前記車両が予約利用に振り当てる第2車両として管理される場合、前記車両を第2領域に移動させる、
車両。
【請求項19】
前記制御部は、前記車両が前記オンデマンド利用又は前記予約利用に振り当てられた場合、利用開始地点に前記車両を移動させる、請求項18に記載の車両。
【請求項20】
駆動するための電力を供給するバッテリを更に備え、
前記制御部は、前記管理情報に基づいて前記バッテリの充電を制御する、請求項18又は19に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両管理装置、車両管理方法、車両管理システム、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーシェアリング及びレンタカーの車両管理システムが知られている。例えば、特許文献1には、カーシェアリングにおける車両管理とレンタカーにおける車両管理とを融合させることで、車両を合理的に融通し合うことが可能な車両管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-102553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、車両を予約して利用したり、車両をオンデマンドで利用したりする。予約利用及びオンデマンド利用の両方に対応した車両管理が求められる。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、予約利用及びオンデマンド利用の両方で車両を円滑に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る車両管理装置は、カーシェアリングサービスでユーザに提供する車両を管理する制御部を備える。前記制御部は、前記ユーザが前記カーシェアリングサービスを予約せずに利用するオンデマンド利用に振り当てる車両を第1車両として管理する。前記制御部は、前記ユーザが前記カーシェアリングサービスを予約して利用する予約利用に振り当てる車両を第2車両として管理する。前記制御部は、前記第1車両の数が第1所定数未満になった場合に、前記第2車両を前記第1車両に変更する。
【0007】
本開示の一実施形態に係る車両管理システムは、前記車両管理装置と、前記車両とを備える。
【0008】
本開示の一実施形態に係る車両管理方法は、カーシェアリングサービスでユーザに提供する車両を管理することを含む。前記車両管理方法は、前記ユーザが前記カーシェアリングサービスを予約せずに利用するオンデマンド利用に振り当てる車両を第1車両として管理することを含む。前記車両管理方法は、前記ユーザが前記カーシェアリングサービスを予約して利用する予約利用に振り当てる車両を第2車両として管理することを含む。前記車両管理方法は、前記第1車両の数が第1所定数未満になった場合に、前記第2車両を前記第1車両に変更することを含む。
【0009】
本開示の一実施形態に係る車両は、自動運転によって運行される。前記車両は、車両管理装置が出力する管理情報に基づいて前記車両の運行を制御する制御部を備える。前記制御部は、前記車両がオンデマンド利用に振り当てる第1車両として管理される場合、前記車両を第1待機位置に移動させる。前記制御部は、前記車両が予約利用に振り当てる第2車両として管理される場合、前記車両を第2待機位置に移動させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施形態に係る車両管理装置、車両管理方法、車両管理システム、及び車両によれば、予約利用及びオンデマンド利用の両方で車両が円滑に提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る車両管理システムの構成例を示すブロック図である。
図2】オンデマンド利用に振り当てる第1車両と予約利用に振り当てる第2車両とを区別して管理する態様の一例を示す図である。
図3】1種類の車両のスケジュールの管理例を示す図である。
図4図3の車両のスケジュールの変更例を示す図である。
図5】2種類の車両のスケジュールの管理例を示す図である。
図6図5の車両のスケジュールの変更例を示す図である。
図7】予約車両を第2車両から第1車両に振り替える例を示す図である。
図8】一実施形態に係る車両管理方法の手順例を示すフローチャートである。
図9】一実施形態に係る車両制御方法の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(車両管理システム1の構成例)
図1に示されるように、一実施形態に係る車両管理システム1は、サーバ10と、車両30とを備える。サーバ10と車両30とは、ネットワーク20に接続されており、互いに通信可能である。サーバ10及び車両30それぞれの数は、1つに限られず、2つ以上であってよい。
【0013】
車両管理システム1は、車両30をユーザに利用させるカーシェアリングサービスを提供する。車両管理システム1は、カーシェアリングサービスでユーザに提供する車両30を管理する。カーシェアリングサービスは、ユーザが予約せずに利用できるサービスを含む。カーシェアリングサービスは、ユーザが予約して利用できるサービスを含む。ユーザがカーシェアリングサービスを予約せずに利用する態様は、オンデマンド利用とも称される。ユーザがカーシェアリングサービスを予約して利用する態様は、予約利用とも称される。オンデマンド利用において、ユーザは、オンデマンド利用を申し込んだ時点で利用可能な車両30が存在すればその車両30を利用できる。予約利用において、ユーザは、希望する利用期間に利用可能な車両30が存在すればその車両30をあらかじめ予約して利用できる。
【0014】
オンデマンド利用と予約利用とは、サービスの利用を申し込んだ時刻から利用開始時刻までの時間によって区別されてもよい。オンデマンド利用は、利用の申し込みから利用開始時刻までの時間が予約期限時間未満である場合の利用に対応づけられるとする。予約利用は、利用の申し込みから利用開始時刻までの時間が予約期限時間以上である場合の利用に対応づけられるとする。ユーザは、利用開始時刻よりも予約期限時間以上前までに利用を申し込むことによって車両30の利用を予約できる。言い換えれば、車両管理システム1は、利用開始時刻から予約期限時間だけ前の時刻まで予約利用の申し込みを受け付けるとする。予約期限時間は、予約利用に振り当てる車両30を確保するために必要な時間として設定されてよい。予約期限時間は、例えば、車両30を予約利用の前に他の利用に振り当てた場合に予約利用の利用開始時刻までに返却されるために必要な時間として設定されてよい。予約期限時間は、例えば1時間又は2時間等の1時間単位で設定されてもよいし、30分等の分単位で設定されてもよい。
【0015】
以下、カーシェアリングサービスでユーザに提供する車両30を管理する車両管理システム1の各構成部の態様の一例が説明される。
【0016】
<サーバ10>
サーバ10は、サーバ制御部11と、サーバインタフェース12とを備える。サーバインタフェース12は、サーバI/F12とも称される。
【0017】
サーバ制御部11は、サーバ10の各構成部を制御する。サーバ制御部11は、単に制御部とも称される。サーバ制御部11は、1つ以上のプロセッサを含んで構成されてよい。本実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であるが、これらに限られない。サーバ制御部11は、1つ以上の専用回路を含んで構成されてもよい。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。サーバ制御部11は、プロセッサの代わりに専用回路を含んで構成されてもよいし、プロセッサとともに専用回路を含んで構成されてもよい。
【0018】
サーバ10は、記憶部を更に備えてよい。記憶部は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部は、磁気ディスク等の電磁記憶媒体を含んでよい。記憶部は、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体として構成されてよい。記憶部は、サーバ10の動作に用いられる任意の情報を格納する。例えば、記憶部は、システムプログラム、又はアプリケーションプログラム等を格納してもよい。記憶部は、サーバ制御部11に含まれてもよい。
【0019】
サーバI/F12は、サーバ制御部11から情報又はデータ等を出力したり、サーバ制御部11に情報又はデータ等を入力したりする。サーバI/F12は、単にインタフェース又はI/Fとも称される。
【0020】
サーバI/F12は、ネットワーク20を介して車両30と通信可能に構成される通信モジュールを含んでよい。通信モジュールは、例えば4G(4th Generation)若しくは5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する通信モジュール、又は、有線若しくは無線のLAN(Local Area Network)等の通信規格に対応する通信モジュールを含んで構成されてよい。通信モジュールは、これらに限られず、種々の通信規格に対応する通信モジュールを含んで構成されてよい。サーバI/F12は、通信モジュールに接続可能に構成されてもよい。
【0021】
サーバ10は、1つ又は互いに通信可能な複数のサーバ装置を含んでよい。サーバ10は、車両管理装置とも称される。
【0022】
<車両30>
車両30は、車両制御部31と、車両I/F32とを備える。車両制御部31と車両I/F32とは、例えばCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク又は専用線を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0023】
車両制御部31は、車両30が備える各構成部を制御する。車両制御部31は、1つ以上のプロセッサを含んで構成されてよい。車両制御部31は、プロセッサの代わりに1つ以上の専用回路を含んで構成されてもよいし、プロセッサとともに1つ以上の専用回路を含んで構成されてもよい。
【0024】
車両制御部31は、記憶部を更に含んでよい。記憶部は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部は、磁気ディスク等の電磁記憶媒体を含んでよい。記憶部は、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体として構成されてよい。記憶部は、車両制御部31の動作に用いられる任意の情報を格納する。例えば、記憶部は、システムプログラム、又はアプリケーションプログラム等を格納してもよい。記憶部は、車両制御部31と別体で構成されてもよい。
【0025】
車両I/F32は、車両制御部31から情報又はデータ等を出力したり、車両制御部31に情報又はデータ等を入力したりする。車両I/F32は、単にインタフェース又はI/Fとも称される。
【0026】
車両I/F32は、ネットワーク20を介して、サーバ10と通信する。車両I/F32は、例えば車載通信機の少なくとも一部として構成されてよい。車両I/F32は、ネットワーク20に接続する通信モジュールを含んで構成されてよい。通信モジュールは、例えば4G又は5G等の移動体通信規格に対応する通信モジュール、又は、有線若しくは無線のLAN等の通信規格に対応する通信モジュールを含んで構成されてよい。通信モジュールは、これらに限られず、種々の通信規格に対応する通信モジュールを含んで構成されてよい。車両I/F32は、通信モジュールに接続可能に構成されてもよい。
【0027】
車両30は、必須ではないが位置情報取得部33を更に備える。位置情報取得部33は、CAN等の車載ネットワーク又は専用線を介して、車両制御部31又は車両I/F32と互いに通信可能に接続される。位置情報取得部33は、車両30の位置情報を取得する。位置情報取得部33は、衛星測位システムに対応する受信機を含んでよい。衛星測位システムに対応する受信機は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を含んでもよい。本実施形態において、車両制御部31は、位置情報取得部33を用いて車両30の位置情報を取得できるとする。
【0028】
車両30は、電力で駆動するモータと、モータを駆動するための電力を供給するバッテリとを備える電動車両であってもよい。
【0029】
車両30は、運転者によって運転されるように構成されてもよい。車両30は、自動運転によって運行可能に構成されてもよい。自動運転は、例えばSAE(Society of Automotive Engineers)において定義されるレベル1からレベル5までのいずれかのレベルで実施されてよい。自動運転は、例示した定義に限られず、他の定義に基づいて実施されてもよい。
【0030】
<端末装置70>
図1に示されるように、車両管理システム1は、必須ではないが端末装置70を更に備える。車両管理システム1が備える端末装置70の数は、1つに限られず、2つ以上であってよい。端末装置70は、ユーザによって所持されるとする。端末装置70は、ユーザから車両30の利用を申し込む入力を受け付け、申し込みに関する情報をサーバ10に出力する。
【0031】
端末装置70は、スマートフォン若しくはタブレット等の携帯端末、又は、ノートPC(Personal Computer)若しくはタブレットPC等のPCを含んで構成されてよい。端末装置70は、これらの例に限られず、種々の機器を含んで構成されてよい。
【0032】
端末装置70は、端末制御部71と、端末インタフェース72とを備える。端末インタフェース72は、端末I/F72とも称される。
【0033】
端末制御部71は、端末装置70の各構成部を制御する。端末制御部71は、単に制御部とも称される。端末制御部71は、サーバ10のサーバ制御部11と同一又は類似に構成されてよい。端末制御部71は、1つ以上のプロセッサを含んで構成されてよい。端末制御部71は、1つ以上の専用回路を含んで構成されてもよい。専用回路は、例えば、FPGA又はASICを含んでよい。端末制御部71は、プロセッサの代わりに専用回路を含んで構成されてもよいし、プロセッサとともに専用回路を含んで構成されてもよい。
【0034】
端末装置70は、記憶部を更に備えてよい。端末装置70の記憶部は、サーバ10の記憶部と同一又は類似に構成されてよい。記憶部は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部は、磁気ディスク等の電磁記憶媒体を含んでよい。記憶部は、端末装置70の動作に用いられる任意の情報を格納する。例えば、記憶部は、システムプログラム、又はアプリケーションプログラム等を格納してもよい。記憶部は、端末制御部71に含まれてもよい。
【0035】
端末I/F72は、端末制御部71から情報又はデータ等を出力したり、端末制御部71に情報又はデータ等を入力したりする。端末I/F72は、単にインタフェース又はI/Fとも称される。
【0036】
端末I/F72は、サーバI/F12と同一又は類似に構成されてよい。端末I/F72は、ネットワーク20を介してサーバ10等の他の機器と通信可能に構成される通信モジュールを含んでよい。通信モジュールは、例えば4G又は5G等の移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでよいが、これらに限られない。端末I/F72は、通信モジュールに接続可能に構成されてもよい。
【0037】
端末装置70は、必須ではないが入力部74を更に備える。入力部74は、ユーザから情報又はデータ等の入力を受け付ける入力デバイスを含んで構成されてよい。入力デバイスは、例えば、タッチパネル若しくはタッチセンサ、又はマウス等のポインティングデバイスを含んで構成されてよい。入力デバイスは、物理キーを含んで構成されてもよい。入力デバイスは、マイク等の音声入力デバイスを含んで構成されてもよい。
【0038】
入力部74は、端末装置70自身又はユーザの位置情報を取得可能に構成されてよい。入力部74は、衛星測位システムに対応する受信機を含んで構成されてよい。衛星測位システムに対応する受信機は、例えばGPS受信機等を含んでもよい。
【0039】
入力部74は、取得した情報を端末I/F72を介してサーバ10に出力してよい。端末制御部71は、入力部74で取得した情報を端末I/F72に出力させてよい。
【0040】
端末装置70は、必須ではないが出力部73を更に備える。出力部73は、ユーザに対して情報又はデータ等を出力する出力デバイスを含んで構成される。出力デバイスは、例えば、画像又は文字若しくは図形等の視覚情報を出力する表示デバイスを含んでよい。表示デバイスは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ若しくは無機ELディスプレイ、又は、PDP(Plasma Display Panel)等を含んで構成されてよい。表示デバイスは、これらのディスプレイに限られず、他の種々の方式のディスプレイを含んで構成されてよい。表示デバイスは、LED(Light Emission Diode)又はLD(Laser Diode)等の発光デバイスを含んで構成されてよい。表示デバイスは、他の種々のデバイスを含んで構成されてよい。出力デバイスは、例えば、音声等の聴覚情報を出力するスピーカ等の音声出力デバイスを含んでよい。出力デバイスは、これらの例に限られず、他の種々のデバイスを含んでよい。
【0041】
出力部73は、端末I/F72を介してサーバ10から取得した情報を出力してよい。端末制御部71は、端末I/F72で取得した情報を出力部73に出力させてよい。
【0042】
(車両管理システム1の動作例)
車両管理システム1の具体的な動作例が以下説明される。
【0043】
ユーザは、車両30の利用を申し込む場合、端末装置70に申し込みを入力してよい。言い換えれば、端末装置70の端末制御部71は、入力部74でユーザからの申し込みの入力を受け付け、受け付けた入力に基づいて申し込みに関する情報を生成し、生成した情報を端末I/F72からサーバ10に出力する。
【0044】
サーバ10のサーバ制御部11は、ユーザの申し込みに関する情報に基づいて、ユーザに利用させる車両30を振り当てる。具体的に、サーバ制御部11は、ユーザに利用させるために待機している車両30の中から、ユーザに利用させる車両30を選択し、ユーザに振り当てる。待機している車両30は、待機車両とも称される。つまり、サーバ制御部11は、待機車両から選択した車両30をユーザに振り当てる。
【0045】
ユーザは、オンデマンド利用又は予約利用のいずれかを申し込むとする。サーバ制御部11は、ユーザが申し込む利用の態様に基づいて、ユーザに振り当てる車両30を選択する。
【0046】
サーバ制御部11は、ユーザに車両30を振り当てた場合、申し込みを受け付けたことをユーザに通知する情報を端末装置70に出力する。サーバ制御部11は、ユーザが車両30の利用を開始する時刻、及び、ユーザが車両30の利用を開始する地点をユーザに通知する情報を端末装置70に出力する。サーバ制御部11は、ユーザに振り当てた車両30に関する情報を端末装置70に出力してもよい。サーバ制御部11は、ユーザに車両30を振り当てることができない場合、申し込みを受け付けないことをユーザに通知する情報を端末装置70に出力してもよい。端末制御部71は、サーバ10から取得した情報を、出力部73で出力してユーザに通知する。ユーザは、通知された情報に基づいて利用開始時刻に利用開始地点に移動し、車両30の利用を開始する。
【0047】
<振り当てる利用態様毎に区別した待機車両の管理>
サーバ制御部11は、車両30をオンデマンドで利用するユーザに振り当てる待機車両と、車両30を予約して利用するユーザに振り当てる待機車両とを区別して管理する。車両30をオンデマンドで利用するユーザに振り当てる待機車両は、第1車両34とも称される。車両30を予約して利用するユーザに振り当てる待機車両は、第2車両35とも称される。つまり、サーバ制御部11は、オンデマンド利用に振り当てる待機車両を第1車両34として管理し、予約利用に振り当てる待機車両を第2車両35として管理する。利用態様に応じて振り当てる待機車両を区別して管理することによって、車両30の利用効率が高められ得る。
【0048】
サーバ制御部11は、図2に例示されるように、待機車両である第1車両34を第1領域40に駐車させ、第2車両35を第2領域50に駐車させてよい。図2の例において、第1領域40は、9個の駐車枠を有する。第2領域50は、16個の駐車枠を有する。駐車枠のうち待機車両を駐車させている枠は、待機枠とも称される。第1領域40において第1車両34を駐車させている枠は、待機枠41とも称される。第2領域50において第2車両35を駐車させている枠は、待機枠51とも称される。駐車枠のうち、車両30を駐車させずに空いている枠は、空き枠とも称される。第1領域40及び第2領域50の空き枠は、それぞれ空き枠42及び空き枠52とも称される。第1領域40の9個の駐車枠は、5個の待機枠41と4個の空き枠42とを含む。第2領域50の16個の駐車枠は、9個の待機枠51と7個の空き枠52とを含む。
【0049】
サーバ制御部11は、第1車両34の数が第1所定数以上になるように管理する。本実施形態において、第1所定数は6台に設定されるとする。第1所定数は6台に限られず5台以下に設定されてもよいし7台以上に設定されてもよい。図2の例において第1車両34の数が5台である。サーバ制御部11は、第2領域50に駐車されている第2車両35のうち1台の第2車両35を変更車両36として第1車両34に変更することによって、第1車両34の数を6台以上にしてよい。つまり、サーバ制御部11は、第1車両34の数が第1所定数未満になった場合、第2車両35を第1車両34に変更してよい。サーバ制御部11は、ユーザから返却される返却車両37を第1車両34として管理することによって、第1車両34の数を6台以上にしてもよい。第1車両34の数が第1所定数以上で管理されることによって、ユーザからのオンデマンド利用の申し込みが受け付けられやすくなる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0050】
サーバ制御部11は、第1車両34の数が第2所定数以下になるように管理してよい。言い換えれば、サーバ制御部11は、第1車両34の数が第1所定数以上かつ第2所定数以下の所定範囲内になるように管理してよい。本実施形態において、第2所定数は9台に設定されるとする。サーバ制御部11は、例えば第1車両34の数が9台であるときに第1車両34から第1ユーザに振り当てていた車両30が返却される場合において、第1車両34の数が第2所定数より多くならないように、その車両30を第1車両34に戻さずに第2車両35として管理してよい。第2所定数は、第1所定数より大きい値であれば9台に限られず、8台以下に設定されてもよいし10台以上に設定されてもよい。
【0051】
サーバ制御部11は、第1車両34の数が第1所定数以上かつ第2所定数以下になるように管理してよい。つまり、サーバ制御部11は、第1車両34の数が幅のある所定範囲内になるように管理してよい。第1車両34の数が幅のある所定範囲内で管理されることによって、第1車両34を補充するタイミングの自由度が高まり得る。
【0052】
例えば、サーバ制御部11は、1台の第1車両34をオンデマンド利用に振り当てたときに、すぐに1台の第2車両35を第1車両34に変更すると仮定する。この場合において、サーバ制御部11は、第1車両34が補充された後にオンデマンド利用から返却された車両30を、第1車両34の数の上限によって、第1車両34ではなく第2車両35として管理する。一方で、サーバ制御部11が第1車両34をすぐに補充せず、オンデマンド利用からの車両30の返却を待って返却された車両30を第1車両34として管理すれば、第2車両35から第1車両34への変更作業が省略される。そうしてみると、第1車両34を補充するタイミングの自由度が高い場合、第2車両35から第1車両34への変更作業が省略されやすい。つまり、待機車両の管理態様を第1車両34と第2車両35との間で変更する頻度が低減され得る。その結果、車両30の利用効率が向上する。以上のことからすると、第1車両34の数が幅のある所定範囲内で管理されることによって、車両30の利用効率が向上する。
【0053】
サーバ制御部11は、第1車両34がオンデマンド利用に振り当てられたことによって第1車両34の数が第1所定数未満になった場合、第2車両35に設定された予定に基づいて第1車両34に変更する第2車両35を選択してよい。サーバ制御部11は、例えば第1車両34の数が第1所定数未満になった時点で、予約利用に振り当てる予定が設定されていない第2車両35を第1車両34に変更してよい。また、サーバ制御部11は、第1車両34の数が第1所定数であるときにオンデマンド利用の申し込みを受け付けた時点で、予約利用に振り当てる予定が設定されていない第2車両35を第1車両34に変更してもよい。
【0054】
サーバ制御部11は、オンデマンド利用に振り当てた車両30がユーザから返却されて第1車両34として復帰するまでの期間だけ第2車両35を第1車両34に変更してよい。この場合、サーバ制御部11は、第1車両34が復帰するまでの期間における第2車両35の予定に基づいて、第1車両34に変更する第2車両35を選択してよい。例えば、サーバ制御部11は、第1車両34が復帰する予定の時刻より後に予定が設定されているものの、第1車両34が復帰する予定の時刻までの期間に予定が設定されていない第2車両35を、第1車両34に変更してよい。
【0055】
第1車両34が復帰するまでの期間は、オンデマンド利用に振り当てられた車両30の利用時間に基づいて定まる。オンデマンド利用に振り当てられた車両30の利用時間は、オンデマンド利用の時間とも言い換えられる。つまり、サーバ制御部11は、オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間に予約利用に振り当てる予定が設定されていない第2車両35を第1車両34に変更してもよい。
【0056】
第1車両34のオンデマンド利用の時間は、ユーザがオンデマンド利用で車両30を利用する時間に対応する。ユーザがオンデマンド利用で車両30を利用できる時間は、オンデマンド利用上限で制限されるとする。さらに、オンデマンド利用から返却された待機車両を次の利用に振り当てるために、清掃又はバッテリの充電等の準備作業が実施される。したがって、サーバ制御部11は、第1車両34が復帰するまでの期間を、最長でも、オンデマンド利用上限に、準備作業に費やされる期間を加えた期間として算出できる。準備作業に費やされる期間は、準備期間とも称される。つまり、サーバ制御部11は、オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間として、オンデマンド利用の時間に、オンデマンド利用に振り当てられた車両30の返却後の準備期間を加えた期間を算出してよい。
【0057】
<車両30のスケジュールの管理例>
サーバ制御部11は、車両30を第1車両34として管理する場合、第1車両34のスケジュールとして、第1車両34の状態又は予定を設定してよい。具体的に、サーバ制御部11は、第1車両34のスケジュールとして、オンデマンド利用の申し込みに備えて待機させる予定を空き状態として設定してよい。また、サーバ制御部11は、第1車両34を実際にオンデマンド利用に振り当てた場合、第1車両34のスケジュールとして、オンデマンド利用に振り当てられている期間にオンデマンド利用から返却された後の準備期間を加えた期間を設定してよい。
【0058】
サーバ制御部11は、車両30を第2車両35として管理する場合、第2車両35のスケジュールとして、第2車両35の状態又は予定を設定してよい。具体的に、サーバ制御部11は、第2車両35のスケジュールとして、予約利用に振り当てる予定を設定してよい。また、サーバ制御部11は、第2車両35のスケジュールとして、予約利用の申し込みに備えて待機させる予定を空き状態として設定してよい。また、サーバ制御部11は、第2車両35を実際に予約利用に振り当てた場合、第2車両35のスケジュールとして、予約利用に振り当てられている期間に予約利用から返却された後の準備期間を加えた期間を設定してもよい。
【0059】
車両30は、複数の車種を含んで構成されてよい。サーバ制御部11は、1種類の車両30だけのスケジュールを管理する場合と、複数の種類の車両30のスケジュールを管理する場合とで、動作を異ならせてよい。以下、それぞれの場合におけるスケジュールの管理例が説明される。
【0060】
<<1車種のスケジュール管理例>>
サーバ制御部11は、1つの車種で構成される待機車両を、例えば図3に示されるスケジュールで管理してよい。図3において、待機車両の種類は、車種Aとして表されている。また、待機車両は、#1、#2及び#3で表される3台の車両30を含むとする。サーバ制御部11は、時刻T1において、#1の車両30を第1車両34として管理し、#2及び#3の車両30を第2車両35として管理する。
【0061】
サーバ制御部11は、第1車両34として管理している#1の車両30を時刻T1からオンデマンド利用に振り当てる。サーバ制御部11は、#1の車両30がオンデマンド利用に振り当てられる期間に、オンデマンド利用から返却された後に必要な準備期間を更に加えた期間を、#1の車両30のスケジュールとして設定する。#1の車両30がオンデマンド利用に振り当てられたことで設定された期間は、図3において時刻T1から時刻T2までの「オンデマンド利用」と表されている期間に対応する。
【0062】
サーバ制御部11は、#1の車両30のスケジュールとして、オンデマンド利用の後に再びオンデマンド利用の申し込みに備えて待機する期間を設定する。オンデマンド利用の申し込みに備えて待機する期間は、図3において時刻T2以降の「オンデマンド待機」と表されている期間に対応する。
【0063】
サーバ制御部11は、第2車両35として管理している#2の車両30のスケジュールとして、時刻T2をまたぐ期間に予約利用に振り当てる予定を設定する。サーバ制御部11は、第2車両35として管理している#3の車両30のスケジュールとして、利用開始時刻が時刻T2以降で予約利用に振り当てる予定を設定する。予約利用に振り当てる予定が設定されている期間は、「予約利用」と表されている期間に対応する。
【0064】
ここで、第1車両34として管理されていた#1の車両30がオンデマンド利用に振り当てられることによって第1車両34の数が第1所定数未満になるとする。サーバ制御部11は、第1車両34の数を増やすために、第2車両35の中から第1車両34に変更する車両30を選択する。第2車両35として管理している#2及び#3の車両30のうち、#2の車両30は、#1の車両30に予定が設定された時刻T1から時刻T2までの期間に予定が設定されている。一方で、#3の車両30は、時刻T1から時刻T2までの期間に予定が設定されていない。したがって、サーバ制御部11は、#1の車両30がオンデマンド利用に振り当てられる期間に予定が設定されていない#3の車両30を選択し、第1車両34に変更できる。
【0065】
サーバ制御部11は、#3の車両30を選択して第1車両34に変更する場合、図4に例示されるように、時刻T2以降に#3の車両30に設定されていた予約利用に振り当てる予定を解除し、#1の車両30に設定してよい。つまり、サーバ制御部11は、予約利用の予定を#3の車両30から#1の車両30に振り替えてよい。そして、サーバ制御部11は、時刻T2以降の予定が解除されたことによって時刻T1以降の予定が空いた#3の車両30を第1車両34に変更してオンデマンド利用の申し込みに備えて待機させる。
【0066】
以上述べてきた同一車種のスケジュールの管理例を言い換えれば、サーバ制御部11は、第1車両34からオンデマンド利用に振り当てた車両30の車種と同じ車種である第2車両35を第1車両34に変更する場合、以下のように動作してよい。まず、第1車両34に変更される第2車両35は、そのスケジュールに、オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間に予約利用に振り当てる予定が設定されておらず、オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間の経過後に予約利用に振り当てる予定が設定されているとする。この場合において、サーバ制御部11は、第2車両35を第1車両34に変更した上で、第2車両35に設定されていた予約利用に振り当てる予定を、オンデマンド利用から返却される車両30に振り替える。そして、サーバ制御部11は、オンデマンド利用に振り当てた車両30を、返却後に第1車両34に戻さずに予約利用に振り当てる。
【0067】
以上の管理動作は、以下のように言い換えられ得る。オンデマンド利用に振り当てた第1車両34の代わりに第2車両35が第1車両34に変更されてよい。この場合、オンデマンド利用に振り当てられた車両30が返却された後においても、第2車両35から第1車両34への変更が維持されてよい。また、オンデマンド利用に振り当てた車両30が返却された後に第1車両34に戻されなくてもよい。このようにすることによって、車両30の移動の頻度が低減され得る。その結果、車両30の利用効率が向上する。
【0068】
<<複数車種のスケジュール管理例>>
サーバ制御部11は、複数の車種で構成される待機車両を、例えば図5に示されるスケジュールで管理してよい。図5において、待機車両の種類は、車種B及び車種Cの2種類として表されている。また、待機車両は、車種Bの#4と、車種Cの#5及び#6とで表される3台の車両30を含むとする。サーバ制御部11は、時刻T3において、車種Bの#4の車両30を第1車両34として管理し、車種Cの#5及び#6の車両30を第2車両35として管理する。
【0069】
サーバ制御部11は、第1車両34として管理している#4の車両30を時刻T3からオンデマンド利用に振り当てる。サーバ制御部11は、#4の車両30がオンデマンド利用に振り当てられる期間に、オンデマンド利用から返却された後に必要な準備期間を更に加えた期間を、#4の車両30のスケジュールとして設定する。#4の車両30がオンデマンド利用に振り当てられたことで設定された期間は、図5において時刻T3から時刻T4までの「オンデマンド利用」と表されている期間に対応する。
【0070】
サーバ制御部11は、#4の車両30のスケジュールとして、オンデマンド利用の後に再びオンデマンド利用の申し込みに備えて待機する期間を設定する。オンデマンド利用の申し込みに備えて待機する期間は、図5において時刻T4以降の「オンデマンド待機」と表されている期間に対応する。
【0071】
サーバ制御部11は、第2車両35として管理している#5の車両30のスケジュールとして、時刻T4をまたぐ期間に予約利用に振り当てる予定を設定する。サーバ制御部11は、第2車両35として管理している#6の車両30のスケジュールとして、利用開始時刻が時刻T5以降で予約利用に振り当てる予定を設定する。予約利用に振り当てる予定が設定されている期間は、「予約利用」と表されている期間に対応する。
【0072】
ここで、第1車両34として管理されていた#4の車両30がオンデマンド利用に振り当てられることによって第1車両34の数が第1所定数未満になるとする。サーバ制御部11は、第1車両34の数を増やすために、第2車両35の中から第1車両34に変更する車両30を選択する。第2車両35として管理している#5及び#6の車両30のうち、#5の車両30は、#4の車両30に予定が設定された時刻T3から時刻T4までの期間に予定が設定されている。一方で、#6の車両30は、時刻T3から時刻T4までの期間に予定が設定されていない。したがって、サーバ制御部11は、#4の車両30がオンデマンド利用に振り当てられる期間に予定が設定されていない#6の車両30を選択し、第1車両34に変更できる。
【0073】
図5の例において、図3の例と異なり、第1車両34としてオンデマンド利用に振り当てられた#4の車両30の車種(B)は、第1車両34に変更する候補となる#5及び#6の車両30の車種(C)と異なっている。この場合において、#6の車両30が第1車両34に変更されたとしても、時刻T4以降において、車種Cの#6の車両30に設定されていた予約利用に振り当てる予定を車種Bの#4に振り替えることができない。
【0074】
そこで、サーバ制御部11は、図6に示されるように、車種Cの#6の車両30のスケジュールとして、時刻T5を利用開始時刻とする次の予約利用に振り当てる予定に影響しないように、時刻T6までオンデマンド待機の状態を設定する。サーバ制御部11は、時刻T6から時刻T5までの期間に、#6の車両30を他のオンデマンド利用及び予約利用に振り当てることによって次の予約利用の利用開始時刻に振り当てる車両30の準備が間に合わない事態を避けるために、他の予定を設定しない。次の予約利用に振り当てるために他の予定を設定しない時刻T6から時刻T5までの期間は、予約待機として表されている。一方で、サーバ制御部11は、オンデマンド利用から返却された次の利用のための準備を完了した#4の車両30のスケジュールとして、時刻T4以降にオンデマンド待機の状態を設定する。
【0075】
以上述べてきた複数車種のスケジュールの管理例を言い換えれば、サーバ制御部11は、第1車両34からオンデマンド利用に振り当てた車両30の車種と異なる車種である第2車両35を第1車両34に変更する場合、以下のように動作してよい。まず、第1車両34に変更される第2車両35は、そのスケジュールに、オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間に予約利用に振り当てる予定が設定されておらず、オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間の経過後に予約利用に振り当てる予定が設定されているとする。この場合において、サーバ制御部11は、第2車両35を、オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間に第1車両34に変更してオンデマンド待機の状態に設定し、オンデマンド利用の時間に基づいて定まる期間の経過後に予約利用に振り当てる。
【0076】
以上のように、#4の車両30がオンデマンド利用に振り当てられる期間において、サーバ制御部11が#6の車両30を一時的に第1車両34に変更することによって、第1車両34の数が第1所定数以上に維持される。
【0077】
また、#6の車両30に時刻T5以降も予約利用に振り当てる予定が設定されていない場合、サーバ制御部11は、#6の車両30を時刻T4に第1車両34として管理するように変更した後、そのまま時刻T6又はT5以降においても、#6の車両30を第1車両34として管理し続けてよい。
【0078】
<予約利用に振り当てる車両30の変更>
サーバ制御部11は、ユーザから予約利用の申し込みを受け付けた場合、その申し込みに応じてユーザに利用させる車両30として1台の第2車両35を選択し、その第2車両35の利用スケジュールを確保する。言い換えれば、サーバ制御部11は、予約利用の申し込みに基づいて、第2車両35を予約利用に振り当てる予定を、その第2車両35に設定する。サーバ制御部11は、図7に例示されるように、第2領域50の待機枠51に駐車されている1台の第2車両35に、予約利用に振り当てる予定を設定する。予約利用に振り当てる予定が設定された第2車両35は、破線の楕円で囲まれた予約車両38として表されている。
【0079】
ここで、車両管理システム1において、サーバ制御部11は、利用開始時刻から予約期限時間だけ前の時刻まで予約利用の申し込みを受け付ける。サーバ制御部11は、予約利用の利用開始時刻から予約期限時間だけ前の時刻において、その予約利用に振り当てる待機車両を選択しなおしてよい。つまり、サーバ制御部11は、予約利用の利用開始時刻から予約期限時間だけ前の時刻において、予約車両38に設定していた予約利用に振り当てる予定を解除し、予約車両38とは異なる他の車両30を予約利用に振り当ててもよい。
【0080】
例えば、サーバ制御部11は、予約利用に振り当てる予定を設定した予約車両38よりも利用開始地点の近くに位置する第1車両34が存在する場合、その第1車両34を実際に予約利用に振り当てる一方で、予約車両38に設定していた予定を解除してもよい。具体的に、サーバ制御部11は、予約利用の利用開始時刻から予約期限時間だけ前の時刻において、予約車両38よりも利用開始地点の近くに位置する第1車両34が存在するか判定する。図7において、第1車両34の中の実線の楕円で囲まれている振替車両39が予約車両38よりも利用開始地点の近くに位置しているとする。この場合、サーバ制御部11は、予約車両38に設定されていた予定を解除し、振替車両39を予約利用に振り当ててよい。言い換えれば、サーバ制御部11は、予約車両38に設定していた予定を振替車両39に設定しなおしてよい。このようにすることで、車両30の移動距離が短縮され得る。その結果、車両30の利用効率が向上する。
【0081】
<フローチャート例>
サーバ制御部11は、図8に例示されるフローチャートの手順を含む車両管理方法を実行してもよい。車両管理方法は、サーバ制御部11を構成するプロセッサに実行させる車両管理プログラムとして実現されてもよい。車両管理プログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体に格納されてよい。
【0082】
サーバ制御部11は、待機車両を第1車両34又は第2車両35のどちらとして管理するか決定する(ステップS1)。つまり、サーバ制御部11は、各待機車両を第1車両34として管理するか第2車両35として管理するか決定する。サーバ制御部11は、第1車両34として管理する待機車両を、第1領域40に移動させてよい。サーバ制御部11は、第2車両35として管理する待機車両を、第2領域50に移動させてよい。
【0083】
サーバ制御部11は、ユーザからのオンデマンド利用の申し込みを受け付けたか判定する(ステップS2)。サーバ制御部11は、ユーザからオンデマンド利用の申し込みを受け付けていない場合(ステップS2:NO)、後述するステップS6の手順に進む。
【0084】
サーバ制御部11は、ユーザからオンデマンド利用の申し込みを受け付けた場合(ステップS2:YES)、第1車両34をオンデマンド利用に振り当てる(ステップS3)。具体的に、サーバ制御部11は、第1車両34として管理している待機車両の中から、オンデマンド利用に振り当てる車両30を選択してオンデマンド利用に振り当てる。第1車両34がオンデマンド利用に振り当てられたことによって、第1車両34の数が減少する。
【0085】
サーバ制御部11は、第1車両34の数が第1所定数未満であるか判定する(ステップS4)。サーバ制御部11は、第1車両34の数が第1所定数未満でない場合(ステップS4:NO)、つまり第1車両34の数が第1所定数以上である場合、図8のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0086】
サーバ制御部11は、第1車両34の数が第1所定数未満である場合(ステップS4:YES)、第1車両34の数が第1所定数以上になるように第2車両35を第1車両34に変更する(ステップS5)。サーバ制御部11は、ステップS5の手順の実行後、図8のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0087】
サーバ制御部11は、ステップS2の判定手順において、ユーザからオンデマンド利用の申し込みを受け付けていない場合(ステップS2:NO)、ユーザからの予約利用の申し込みを受け付けたか判定する(ステップS6)。サーバ制御部11は、ユーザから予約利用の申し込みを受け付けていない場合(ステップS6:NO)、図8のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0088】
サーバ制御部11は、ユーザから予約利用の申し込みを受け付けた場合(ステップS6:YES)、第2車両35から予約車両38を決定する(ステップS7)。具体的に、サーバ制御部11は、第2車両35の中から選択した車両30に、予約利用に振り当てる予定を設定する。
【0089】
サーバ制御部11は、予約利用の利用開始時刻から予約期限時間だけ前の時刻において、第1車両34が予約車両38よりも利用開始地点に近いか判定する(ステップS8)。言い換えれば、サーバ制御部11は、予約車両38よりも利用開始地点の近くに位置する第1車両34が存在するか判定する。サーバ制御部11は、第1車両34が予約車両38よりも利用開始地点に近くない場合(ステップS8:NO)、ステップS10の手順に進む。
【0090】
サーバ制御部11は、第1車両34が予約車両38よりも利用開始地点に近い場合(ステップS8:YES)、利用開始地点に近い第1車両34を予約車両38に変更する(ステップS9)。
【0091】
サーバ制御部11は、予約利用の利用開始時刻において、予約車両38を予約利用に振り当てる(ステップS10)。サーバ制御部11は、ステップS10の手順の実行後、図8のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0092】
車両制御部31は、図9に例示されるフローチャートの手順を含む車両制御方法を実行してもよい。車両制御方法は、車両制御部31を構成するプロセッサに実行させる車両制御プログラムとして実現されてもよい。車両制御プログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体に格納されてよい。
【0093】
車両制御部31は、サーバ制御部11によって車両30が第1車両34又は第2車両35のどちらとして管理されているか判定する(ステップS21)。具体的に、車両制御部31は、車両30が第1車両34又は第2車両35のどちらとして管理されているかを特定する情報を、サーバ制御部11から取得してよい。
【0094】
車両制御部31は、車両30が第1車両34として管理されている場合(ステップS21:第1車両)、車両30を第1領域40に移動させる(ステップS22)。車両制御部31は、ステップS22の手順の実行後、ステップS24の手順に進む。車両制御部31は、車両30が第2車両35として管理されている場合(ステップS21:第2車両)、車両30を第2領域50に移動させる(ステップS23)。車両制御部31は、ステップS23の手順の実行後、ステップS24の手順に進む。
【0095】
車両制御部31は、ユーザによる車両30の利用が開始するか判定する(ステップS24)。車両制御部31は、車両30の利用が開始しない場合(ステップS24:NO)、ステップS21の手順に戻る。車両制御部31は、車両30の利用が開始する場合(ステップS24:YES)、車両30を利用開始地点に移動させる(ステップS25)。車両制御部31は、ステップS25の手順の実行後、図9のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0096】
<小括>
以上説明してきたように、本実施形態に係る車両管理システム1によれば、オンデマンド利用に振り当てる第1車両34の数が第1所定数以上で管理される。このようにすることによって、ユーザからのオンデマンド利用の申し込みが受け付けられやすくなる。その結果、ユーザの利便性が向上する。また、第1車両34の数が第2所定数以下で管理されてよい。つまり、第1車両34の数が幅のある所定範囲内で管理されてよい。第1車両34の数が幅のある所定範囲内で管理されることによって、待機車両の管理態様を第1車両34と第2車両35との間で変更する頻度が低減され得る。その結果、車両30の利用効率が向上する。また、第1車両34及び第2車両35がそれぞれ第1領域40及び第2領域50に駐車される場合、管理態様の変更に応じて車両30が移動される。管理態様を変更する頻度が低減されることによって、車両30の移動の頻度が低減され得る。
【0097】
また、本実施形態に係る車両管理システム1によれば、車両30の管理態様がオンデマンド利用又は予約利用の需要に基づいて変更され得る。このようにすることで、ユーザの利便性、及び、車両30の利用効率が向上され得る。具体的に、オンデマンド利用に振り当てた第1車両34の代わりに第2車両35が第1車両34に変更されてよい。この場合、オンデマンド利用に振り当てられた車両30が返却された後においても、第2車両35から第1車両34への変更が維持されてよい。また、オンデマンド利用に振り当てた車両30が返却された後に第1車両34に戻されなくてもよい。このようにすることによって、車両30の移動の頻度が低減され得る。その結果、車両30の利用効率が向上する。
【0098】
また、予約利用に振り当てる予定を予約車両38に設定した場合において、予約利用の利用開始時刻から予約期限時間だけ前の時刻において、予約車両38よりも利用開始地点の近くに位置する第1車両34に予定が振り替えられてもよい。このようにすることで、車両30の移動距離が短縮され得る。その結果、車両30の利用効率が向上する。
【0099】
(他の実施形態)
車両30が自動運転によって運行される場合、車両制御部31は、車両管理装置が出力する管理情報に基づいて車両30の運行を制御する。管理情報は、例えば、車両30が第1車両34として管理されるか第2車両35として管理されるか指示する情報を含んでよい。管理情報は、車両30がオンデマンド利用に振り当てられるか予約利用に振り当てられるか指示する情報を含んでよい。
【0100】
車両制御部31は、車両30が第1車両34として管理される場合、車両30を第1領域40に移動させてよい。車両制御部31は、車両30が第2車両35として管理される場合、車両30を第2領域50に移動させてよい。車両制御部31は、車両30がオンデマンド利用又は予約利用に振り当てられた場合、車両30を利用開始地点に移動させてよい。
【0101】
車両30は、電力で駆動するモータと、モータを駆動するための電力を供給するバッテリとを備える電動車両であってもよい。電動車両としての車両30において、車両制御部31は、サーバ10が出力する管理情報に基づいてバッテリの充電を制御してもよい。車両30が電動車両である場合、車両30の利用のための準備作業は、バッテリの充電を含む。つまり、準備期間は、バッテリの充電のために必要な期間を含んでよい。
【0102】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 車両管理システム
10 サーバ(11:サーバ制御部、12:サーバI/F)
20 ネットワーク
30 車両(31:車両制御部、32:車両I/F、33:位置情報取得装置)
34 第1車両
35 第2車両
36 変更車両
37 返却車両
38 予約車両
39 振替車両
40 第1領域(41:待機枠、42:空き枠)
50 第2領域(51:待機枠、52:空き枠)
70 端末装置(71:端末制御部、72:端末I/F、73:出力部、74:入力部)
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9