(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/739 20060101AFI20240709BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240709BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20240709BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20240709BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240709BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01L29/78 655A
H01L29/78 653A
H01L29/78 657D
H01L29/78 652D
H01L29/78 655G
H01L29/78 652J
H01L29/78 652M
H01L29/91 C
H01L29/78 652C
H01L27/06 102A
(21)【出願番号】P 2021049874
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邊 広光
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-048230(JP,A)
【文献】特開2009-027152(JP,A)
【文献】特開2013-084922(JP,A)
【文献】特開2020-167230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/739
H01L 29/78
H01L 29/861
H01L 29/868
H01L 27/06
H01L 21/8234
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IGBT素子を有するIGBT領域(1a)と、FWD素子を有するFWD領域(1b)とが共通の半導体基板(10)に形成されている半導体装置であって、
前記IGBT領域と前記FWD領域とを有し、第1導電型のドリフト層(11)と、前記ドリフト層上に形成された第2導電型のベース層(12)と、前記IGBT領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第2導電型のコレクタ層(25)と、前記FWD領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第1導電型のカソード層(26)と、を含み、前記ベース層側の面を一面(10a)とし、前記コレクタ層および前記カソード層側の面を他面(10b)とする前記半導体基板と、
前記IGBT領域において、前記ベース層を貫通して前記ドリフト層に達し、前記半導体基板の面方向における一方向を長手方向として延設された複数のゲートトレンチ(14)の壁面に形成されたゲート絶縁膜(15)と、
前記ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極(16)と、
前記IGBT領域において、前記ベース層の表層部であって、前記ゲートトレンチと接するように形成され、前記ドリフト層よりも高不純物濃度とされた第1導電型のエミッタ領域(18)と、
前記IGBT領域において、前記ベース層に形成され、前記ベース層よりも高不純物濃度とされた第2導電型のコンタクト領域(19)と、
前記半導体基板の一面側に配置され、前記ベース層および前記エミッタ領域と電気的に接続される第1電極(23)と、
前記半導体基板の他面側に配置され、前記コレクタ層および前記カソード層と電気的に接続される第2電極(27)と、を備え、
前記IGBT領域において、
前記ドリフト層上には、前記ドリフト層よりも高不純物濃度とされた第1導電型のバリア領域(13)が形成され、
前記半導体基板には、隣合う前記ゲートトレンチの間に、前記バリア領域よりも前記半導体基板の一面側に底面を有するコンタクトトレンチ(17)が形成され、
前記第1電極は、前記コンタクトトレンチに埋め込まれており、
前記コンタクトトレンチの底面と前記バリア領域との間には、前記ドリフト層よりも高不純物濃度とされ、前記バリア領域および前記第1電極と接続される第1導電型の連結領域(20)が形成され、
前記エミッタ領域およびコンタクト領域は、前記ゲートトレンチの配列方向と異なる方向に沿って配置されている半導体装置。
【請求項2】
前記エミッタ領域は、前記半導体基板の一面から露出する状態で形成され、
前記コンタクト領域は、前記エミッタ領域と前記バリア領域との間において、前記コンタクトトレンチの側面から露出する状態で形成され、前記エミッタ領域と前記半導体基板の厚さ方向に沿って配置されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記エミッタ領域および前記コンタクト領域は、前記ゲートトレンチの長手方向に沿って交互に形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記コンタクトトレンチは、前記ゲートトレンチの長手方向に沿って延設されている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記コンタクトトレンチは、前記ゲートトレンチの長手方向に部分的に形成されている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記コンタクト領域は、前記ゲートトレンチと同じ深さまで形成されている請求項1ないし5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ゲート構造を有する絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下では、IGBTという)素子とフリーホイールダイオード(以下では、FWDという)素子とが共通の半導体基板に形成された半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、インバータ等に使用されるスイッチング素子として、IGBT素子を有するIGBT領域と、FWD素子を有するFWD領域とが共通の半導体基板に形成された半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、この半導体装置では、n-型のドリフト層を構成する半導体基板の一面側にベース層が形成され、ベース層を貫通するように複数のゲートトレンチが形成されている。なお、各ゲートトレンチは、半導体基板の面方向における一方向が長手方向となるように延設されている。そして、各ゲートトレンチには、ゲート絶縁膜およびゲート電極が順に形成されている。
【0004】
また、ドリフト層上には、半導体基板の面方向に沿ってn型のバリア領域が形成されている。バリア領域は、ドリフト層とベース層との界面、または、ベース層のうちのドリフト層側の部分に形成される。
【0005】
ベース層の表層部には、ゲートトレンチに接するようにn+型のエミッタ領域が形成されていると共に、ベース層よりも高不純物濃度とされたp+型のコンタクト領域が形成されている。また、ベース層には、バリア領域に達するn型のピラー領域が形成されている。具体的には、エミッタ領域およびコンタクト領域は、隣合うゲートトレンチの間において、エミッタ領域が各ゲートトレンチに接するように形成され、エミッタ領域を挟んでゲートトレンチと反対側にコンタクト領域が配置されている。つまり、エミッタ領域とコンタクト領域とは、複数のゲートトレンチの配列方向に沿って形成されている。そして、ピラー領域は、コンタクト領域を貫通してバリア領域に達するように形成されている。
【0006】
半導体基板の一面側には、エミッタ領域、コンタクト領域、およびバリア領域と接続されるように、上部電極が形成されている。半導体基板の他面側には、p+型のコレクタ層およびn+型のカソード層が形成されている。そして、半導体基板の他面には、コレクタ層およびカソード層と電気的に接続される下部電極が形成されている。
【0007】
このような半導体装置では、半導体基板の他面側にコレクタ層が形成されている領域がIGBT領域とされ、カソード層が形成されている領域がFWD領域とされている。なお、FWD領域では、上記構成とされていることにより、n型のカソード層およびドリフト層と、p型のベース層とによってPN接合を有するFWD素子が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記半導体装置では、コンタクト領域とエミッタ領域とがゲートトレンチの配列方向に沿って並んで配置されている。このため、隣合うゲートトレンチの間隔を狭くし難く、半導体装置を微細化し難くなる。
【0010】
本発明は上記点に鑑み、微細化を図ることのできる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための請求項1では、IGBT素子を有するIGBT領域(1a)と、FWD素子を有するFWD領域(1b)とが共通の半導体基板(10)に形成されている半導体装置であって、IGBT領域とFWD領域とを有し、第1導電型のドリフト層(11)と、ドリフト層上に形成された第2導電型のベース層(12)と、IGBT領域において、ドリフト層のうちのベース層側と反対側に形成された第2導電型のコレクタ層(25)と、FWD領域において、ドリフト層のうちのベース層側と反対側に形成された第1導電型のカソード層(26)と、を含み、ベース層側の面を一面(10a)とし、コレクタ層およびカソード層側の面を他面(10b)とする半導体基板と、IGBT領域において、ベース層を貫通してドリフト層に達し、半導体基板の面方向における一方向を長手方向として延設された複数のゲートトレンチ(14)の壁面に形成されたゲート絶縁膜(15)と、ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極(16)と、IGBT領域において、ベース層の表層部であって、ゲートトレンチと接するように形成され、ドリフト層よりも高不純物濃度とされた第1導電型のエミッタ領域(18)と、IGBT領域において、ベース層に形成され、ベース層よりも高不純物濃度とされた第2導電型のコンタクト領域(19)と、半導体基板の一面側に配置され、ベース層およびエミッタ領域と電気的に接続される第1電極(23)と、半導体基板の他面側に配置され、コレクタ層およびカソード層と電気的に接続される第2電極(27)と、を備えている。そして、半導体装置は、IGBT領域において、ドリフト層上には、ドリフト層よりも高不純物濃度とされた第1導電型のバリア領域(13)が形成され、半導体基板には、隣合うゲートトレンチの間に、バリア領域よりも半導体基板の一面側に底面を有するコンタクトトレンチ(17)が形成され、第1電極は、コンタクトトレンチに埋め込まれており、コンタクトトレンチの底面とバリア領域との間には、ドリフト層よりも高不純物濃度とされ、バリア領域および第1電極と接続される第1導電型の連結領域(20)が形成され、エミッタ領域およびコンタクト領域は、ゲートトレンチの配列方向と異なる方向に沿って配置されている。
【0012】
これによれば、エミッタ領域とコンタクト領域とがゲートトレンチの配列方向と異なる方向に沿って配置されている。このため、エミッタ領域およびコンタクト領域をゲートトレンチの配列方向に沿って配置する場合と比較して、隣合うゲートトレンチの間隔を狭くし易くでき、微細化を図ることができる。
【0013】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態における半導体装置の平面図である。
【
図2】
図1中のII-II線に沿った断面図である。
【
図3】第2実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図4】第2実施形態の変形例における半導体装置の断面図である。
【
図5】第3実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図6】第3実施形態における半導体装置の
図5と異なる部分の断面図である。
【
図7】第4実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図8】第4実施形態における半導体装置の
図7と異なる部分の断面図である。
【
図9】第5実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図10】第6実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図11】第6実施形態における半導体装置の
図10と異なる部分の断面図である。
【
図12】第7実施形態における半導体装置のFWD素子がオン状態である際の電流が流れる部分を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0016】
(第1実施形態)
第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の半導体装置は、例えば、インバータ、DC/DCコンバータ等の電源回路に使用されるパワースイッチング素子として利用されると好適である。
【0017】
図1に示されるように、半導体装置は、セル領域1と、当該セル領域1を囲む外周領域2とを有している。本実施形態では、2つのセル領域1が配置されている。そして、各セル領域1には、IGBT素子として機能するIGBT領域1aと、FWD素子として機能するFWD領域1bとが形成されている。つまり、本実施形態の半導体装置は、同じチップ内にIGBT領域1aとFWD領域1bとが形成されたRC(Reverse Conductingの略)-IGBTとされている。
【0018】
本実施形態では、IGBT領域1aおよびFWD領域1bは、各セル領域1内において、一方向に沿って交互に形成されている。つまり、IGBT領域1aおよびFWD領域1bは、後述する半導体基板10の面方向における一方向に沿って交互に形成されている。具体的には、IGBT領域1aおよびFWD領域1bは、それぞれ長手方向を有する矩形状の領域とされており、当該長手方向と交差する方向に沿って交互に形成されている。また、IGBT領域1aおよびFWD領域1bは、配列方向における両端部にIGBT領域1aが位置するように、交互に配列されている。
【0019】
なお、
図1では、IGBT領域1aおよびFWD領域1bは、紙面左右方向を長手方向とする矩形状とされており、紙面上下方向に沿って交互に形成されている。また、具体的には後述するが、本実施形態では、後述するコレクタ層25上の部分がIGBT領域1aとされ、後述するカソード層26上の部分がFWD領域1bとされている。
【0020】
半導体装置は、
図2に示されるように、n
-型のドリフト層11を構成する半導体基板10を有している。なお、本実施形態の半導体基板10は、シリコン基板で構成されている。そして、ドリフト層11上には、p型のベース層12が形成されている。以下では、半導体基板10のうちのドリフト層11よりもベース層12側の面を半導体基板10の一面10aとし、半導体基板10のうちのベース層12よりもドリフト層11側の面を半導体基板10の他面10bとする。そして、本実施形態の半導体装置は、IGBT領域1aおよびFWD領域1bにおいて、半導体基板10の一面10a側の構成が同じとされている。
【0021】
ベース層12のうちのドリフト層11側の部分には、ドリフト層11よりも高不純物濃度とされたn+型のバリア領域13が形成されている。本実施形態では、バリア領域13は、半導体基板10の面方向に沿って全体的に形成されている。なお、以下では、バリア領域13がベース層12のうちのドリフト層11側の部分に形成されている例を説明するが、バリア領域13は、ドリフト層11とベース層12との界面に形成されていてもよい。
【0022】
半導体基板10には、一面10a側からベース層12およびバリア領域13を貫通してドリフト層11に達するように複数のゲートトレンチ14が形成されている。これにより、ベース層12およびバリア領域13は、ゲートトレンチ14によって複数個に分離されている。本実施形態では、複数のゲートトレンチ14は、IGBT領域1aおよびFWD領域1bにそれぞれ形成されている。また、複数のゲートトレンチ14は、IGBT領域1aおよびFWD領域1bの配列方向と交差する一方向を長手方向としてストライプ状に形成されている。つまり、
図2中では、各ゲートトレンチ14は、紙面奥行き方向を長手方向としてストライプ状に形成されている。
【0023】
各ゲートトレンチ14は、各ゲートトレンチ14の壁面を覆うように形成されたゲート絶縁膜15と、このゲート絶縁膜15の上に形成されたポリシリコン等により構成されるゲート電極16とにより埋め込まれている。これにより、トレンチゲート構造が構成されている。
【0024】
また、半導体基板10には、隣合うゲートトレンチ14の間において、一面10a側からコンタクトトレンチ17が形成されている。本実施形態では、コンタクトトレンチ17は、ゲートトレンチ14の長手方向に沿って延設されている。また、コンタクトトレンチ17は、ゲートトレンチ14よりも浅く形成されており、バリア領域13に到達しないように形成されている。つまり、コンタクトトレンチ17は、バリア領域13を底面から露出させないように形成されている。
【0025】
ベース層12の表層部には、ドリフト層11およびバリア領域13よりも高不純物濃度とされたn++型のエミッタ領域18、およびベース層12よりも高不純物濃度とされたp+型のコンタクト領域19が形成されている。本実施形態では、エミッタ領域18は、半導体基板10の一面10aから露出するようにゲートトレンチ14の長手方向に沿って延設されている。また、エミッタ領域18は、ゲートトレンチ14の側面およびコンタクトトレンチ17の側面に接するように形成され、かつ、ベース層12内で終端するように形成されている。コンタクト領域19は、エミッタ領域18とバリア領域13との間において、コンタクトトレンチ17の側面に接するように形成されている。このため、本実施形態では、エミッタ領域18およびコンタクト領域19が半導体基板10の厚さ方向に沿って形成された状態となっている。但し、本実施形態のコンタクト領域19は、エミッタ領域18のうちのゲートトレンチ14と接する部分の下方には形成されていない。つまり、ゲートトレンチ14の側面とコンタクト領域19との間には、ベース層12が配置された状態となっている。そして、ベース層12のうちのゲートトレンチ14の側面と接する部分がチャネル領域を構成する領域となる。
【0026】
コンタクトトレンチ17の底面とバリア領域13との間には、ドリフト層11よりも高不純物濃度とされるn+型の連結領域20が形成されている。具体的には、連結領域20は、コンタクトトレンチ17の底面とバリア領域13とを接続するように形成されている。
【0027】
なお、本実施形態のコンタクト領域19および連結領域20は、以下のように形成される。すなわち、コンタクト領域19は、例えば、コンタクトトレンチ17を形成した後、半導体基板10の一面10aに対する法線方向に対して傾いた斜め方向からイオン注入等を行うことによってコンタクトトレンチ17の側面に接するように形成される。連結領域20は、例えば、コンタクトトレンチ17を形成した後、コンタクトトレンチ17の底面に対してイオン注入等を行うことによって形成される。
【0028】
半導体基板10の一面10a上には、BPSG(Borophosphosilicate Glassの略)等で構成される層間絶縁膜21が形成されている。層間絶縁膜21には、半導体基板10に形成されたコンタクトトレンチ17と連通するコンタクトホール21aが形成されている。以下では、コンタクトトレンチ17およびコンタクトホール21aを纏めて接続トレンチ22ともいう。なお、本実施形態のコンタクトホール21aは、コンタクトトレンチ17に対応する形状とされており、コンタクトトレンチ17と同様に、ゲートトレンチ14の長手方向に沿って延設されている。このため、本実施形態の接続トレンチ22は、ゲートトレンチ14の長手方向に沿って延設された状態となっている。
【0029】
層間絶縁膜21上には、接続トレンチ22を通じて、エミッタ領域18、コンタクト領域19、および連結領域20と電気的に接続される上部電極23が配置されている。本実施形態では、上部電極23は、接続トレンチ22に埋め込まれる接続電極230と、層間絶縁膜21上に配置されて接続電極230と接続される主電極231とを有している。
【0030】
本実施形態の接続電極230は、コンタクトトレンチ17の壁面に沿ってTi/TiN等で構成されるバリアメタル部230aが形成され、バリアメタル部230a上にタングステンプラグ等で構成される埋込部230bが配置されて構成されている。また、主電極231は、アルミニウム等で構成されている。
【0031】
そして、上部電極23は、エミッタ領域18およびコンタクト領域19とオーミック接合の状態で電気的に接続されている。また、上部電極23は、連結領域20とショットキー接合の状態で電気的に接続されている。そして、上部電極23は、IGBT領域1aにおいてはエミッタ電極として機能し、FWD領域1bにおいてアノード電極として機能する。なお、本実施形態では、上部電極23が第1電極に相当している。
【0032】
ドリフト層11のうちのベース層12側と反対側には、ドリフト層11よりも高不純物濃度とされたn型のフィールドストップ層(以下では、FS層という)24が形成されている。つまり、半導体基板10の他面10b側には、FS層24が形成されている。
【0033】
そして、IGBT領域1aでは、FS層24を挟んでドリフト層11と反対側にp+型のコレクタ層25が形成され、FWD領域1bでは、FS層24を挟んでドリフト層11と反対側にn+型のカソード層26が形成されている。つまり、FS層24を挟んでドリフト層11と反対側には、コレクタ層25とカソード層26とが隣接して形成されている。そして、IGBT領域1aとFWD領域1bとは、半導体基板10の他面10b側に形成される層がコレクタ層25であるかカソード層26であるかによって区画されている。本実施形態では、コレクタ層25上の部分がIGBT領域1aとされ、カソード層26上の部分がFWD領域1bとされている。
【0034】
コレクタ層25およびカソード層26を挟んでドリフト層11と反対側には、コレクタ層25およびカソード層26と電気的に接続される下部電極27が形成されている。そして、下部電極27は、IGBT領域1aにおいてはコレクタ電極として機能し、FWD領域1bにおいてはカソード電極として機能する。なお、本実施形態では、下部電極27が第2電極に相当している。
【0035】
本実施形態の半導体装置は、このように構成されることにより、IGBT領域1aにおいては、ベース層12をベースとし、エミッタ領域18をエミッタとし、コレクタ層25をコレクタとするIGBT素子が構成される。また、FWD領域1bにおいては、ベース層をアノードとし、ドリフト層11、FS層24、カソード層26をカソードとしてPN接合されたFWD素子が構成される。
【0036】
以上が本実施形態における半導体装置の構成である。本実施形態では、このようにして共通の半導体基板10にIGBT領域1aおよびFWD領域1bが形成されている。なお、本実施形態では、n型、n+型、n++型、n-型が第1導電型に相当しており、p型、p+型が第2導電型に相当している。また、上記のように構成されていることにより、半導体基板10は、ドリフト層11、ベース層12、バリア領域13、エミッタ領域18、コンタクト領域19、FS層24、コレクタ層25、カソード層26等を有する構成とされている。
【0037】
次に、上記半導体装置の作動および効果について説明する。
【0038】
まず、半導体装置は、下部電極27に上部電極23より高い電圧が印加されると、ベース層12とドリフト層11との間に形成されるPN接合が逆導通状態となって空乏層が形成される。そして、ゲート電極16に、絶縁ゲート構造の閾値電圧Vth未満であるローレベル(例えば、0V)の電圧が印加されているときには、上部電極23と下部電極27との間に電流は流れない。
【0039】
IGBT素子をオン状態にするには、下部電極27に上部電極23より高い電圧が印加された状態で、ゲート電極16に、絶縁ゲート構造の閾値電圧Vth以上であるハイレベルの電圧が印加されるようにする。これにより、ベース層12のうちのゲート電極16が配置されるゲートトレンチ14と接している部分に反転層であるチャネル領域が形成される。そして、IGBT素子は、エミッタ領域18からチャネル領域を介して電子がドリフト層11に供給されることによってコレクタ層25から正孔がドリフト層11に供給され、伝導度変調によりドリフト層11の抵抗値が低下することでオン状態となる。
【0040】
この際、本実施形態では、エミッタ領域18とコンタクト領域19とが半導体基板10の厚さ方向に沿って配置されている。このため、ゲートトレンチ14の配列方向にエミッタ領域18およびコンタクト領域19を配置する場合と比較して、隣合うゲートトレンチ14の間隔を狭くし易くでき、正孔を抜け難くできる。したがって、ドリフト層11に正孔を蓄積し易くなり、IE(Injection Enhancedの略)効果を大きくすることでオン抵抗の低減を図ることができる。
【0041】
また、IGBT素子をオフ状態にし、FWD素子をオン状態にする(すなわち、FWD素子をダイオード動作させる)際には、上部電極23と下部電極27に印加する電圧をスイッチングし、上部電極23に下部電極27より高い電圧を印加する順電圧印加を行う。これにより、ベース層12へ正孔が供給されると共にカソード層26へ電子が供給されることでFWD素子がダイオード動作をする。
【0042】
この際、本実施形態では、バリア領域13および連結領域20が形成されており、連結領域20が上部電極23とショットキー接続されている。そして、FWD素子がオン状態である際には、上部電極23と連結領域20(すなわち、バリア領域13)とが短絡することにより、上部電極23からコンタクト領域19を介してドリフト層11に正孔が注入され難くなる。
【0043】
その後、FWD素子をオン状態からオフ状態にする際には、下部電極27に上部電極23より高い電圧を印加する逆電圧印加を行う。つまり、FWD素子に順方向電流が流れている状態から当該電流を遮断する際、下部電極27に上部電極23より高い電圧を印加する逆電圧印加を行う。これにより、FWD素子がリカバリ状態となる。そして、正孔が上部電極23側に引き寄せられると共に電子が下部電極27側に引き寄せられることでリカバリ電流が発生する。
【0044】
この際、本実施形態では、上記のように、FWD素子がオン状態である際に正孔の注入が抑制されている。このため、本実施形態の半導体装置では、リカバリ電流を低減でき、リカバリ損失の低減を図ることができる。
【0045】
以上説明した本実施形態によれば、上部電極23は、連結領域20を介してバリア領域13とショットキー接続されている。このため、FWD素子がオン状態である際には、上部電極23と連結領域20とが短絡することにより、上部電極23からコンタクト領域19を介してドリフト層11に正孔が注入され難くなる。したがって、FWD素子をオフ状態にする際、リカバリ電流を低減でき、リカバリ損失の低減を図ることができる。また、RC-IGBTの場合には、FWD領域1bに隣合うIGBT領域1aのコンタクト領域19やベース層12からの注入を抑制するため、コンタクト領域19やベース層12の不純物濃度を薄くすることも考えられる。しかしながら、このような構成では、IGBT素子の耐量の低下や、閾値電圧が低下する等の別の課題が発生し得る。したがって、コンタクト領域19やベース層12の不純物濃度を薄くすることなく正孔注入を抑制できる本実施形態の半導体装置は、リカバリ損失の低減を図りつつ、IGBT素子の耐量が低下することも抑制できる。
【0046】
また、本実施形態では、エミッタ領域18とコンタクト領域19とが半導体基板10の厚さ方向に沿って形成されている。このため、エミッタ領域18およびコンタクト領域19をゲートトレンチ14の配列方向に沿って配置する場合と比較して、隣合うゲートトレンチ14の間隔を狭くし易くできる。したがって、半導体装置の微細化を図ると共に、オン抵抗の低減を図ることができる。
【0047】
(1)本実施形態では、バリア領域13と、コンタクトトレンチ17に配置された上部電極23とは、連結領域20を介して接続されている。このため、コンタクトトレンチ17に配置された上部電極23を直接的にバリア領域13と接続する場合と比較して、コンタクトトレンチ17の深さずれが発生したとしても、上部電極23とバリア領域13との接続不良が発生することを抑制できる。
【0048】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、FWD領域1bの構成を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
本実施形態の半導体装置では、
図3に示されるように、FWD領域1bにおいて、バリア領域13が部分的に形成されている。言い換えると、FWD領域1bでは、バリア領域13が間引かれて形成されている。つまり、FWD領域1bでは、半導体基板10の面方向に沿った全領域にバリア領域13が形成されていない。なお、
図3は、
図1中のI-I線に沿った断面図である。
【0050】
以上説明した本実施形態によれば、エミッタ領域18とコンタクト領域19とが半導体基板10の厚さ方向に沿って形成されているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(1)本実施形態では、FWD領域1bにおいて、バリア領域13が間引かれて形成されている。このため、上記第1実施形態と比較して、FWD領域1bでの正孔の注入が抑制され難くなる。したがって、上記第1実施形態と比較すると、本実施形態の半導体装置によれば、FWD素子の順方向電圧が大きくなることを抑制できる。なお、バリア領域13を間引く領域を多くするほどFWD素子の順方向電圧を小さくできる。このため、FWD領域1bでは、使用用途に応じ、バリア領域13を間引く比率を調整することが好ましい。
【0052】
(第2実施形態の変形例)
上記第2実施形態の変形例について説明する。上記第2実施形態において、
図4に示されるように、バリア領域13がFWD領域1bの全体に形成され、連結領域20が間引かれて形成されていてもよい。このような半導体装置としても、連結領域20が形成されていない部分ではバリア領域13がフローティング状態となるため、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、エミッタ領域18とコンタクト領域19との配置の仕方を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0054】
本実施形態の半導体装置では、
図5および
図6に示されるように、エミッタ領域18およびコンタクト領域19が半導体基板10の厚さ方向に沿って形成されておらず、次のように形成されている。すなわち、本実施形態のエミッタ領域18およびコンタクト領域19は、半導体基板10の一面10aにおいて、ゲートトレンチ14の長手方向に沿って交互に配置されるように形成されている。このため、本実施形態の半導体装置では、半導体基板10の一面10aがエミッタ領域18およびコンタクト領域19にて構成されている。なお、
図5は、
図1中のII-II線に沿った断面図に相当しており、
図6は、
図1中のVI-VI線に沿った断面図に相当している。
【0055】
このような半導体装置は、次のように製造される。すなわち、半導体基板10の一面10aからイオン注入等を行い、エミッタ領域18およびコンタクト領域19を形成する。その後、ゲートトレンチ14およびコンタクトトレンチ17等を形成することにより、本実施形態の半導体装置が製造される。
【0056】
以上説明した本実施形態によれば、エミッタ領域18とコンタクト領域19とがゲートトレンチ14の長手方向に沿って形成されている。このため、エミッタ領域18およびコンタクト領域19をゲートトレンチ14の配列方向に沿って配置する場合と比較して、隣合うゲートトレンチ14の間隔を狭くし易くでき、半導体装置の微細化を図ると共に、オン抵抗の低減を図ることができる。
【0057】
(1)本実施形態では、エミッタ領域18とコンタクト領域19とがゲートトレンチ14の長手方向に沿って形成されている。このため、このような半導体装置を製造する際には、半導体基板10の一面10aからイオン注入等を行ってエミッタ領域18およびコンタクト領域19を形成し、その後にゲートトレンチ14やコンタクトトレンチ17等を形成すればよい。したがって、コンタクトトレンチ17の側面にイオン注入等を行ってコンタクト領域19を形成する場合と比較して、一面10aからイオン注入等をするため、コンタクト領域19の濃度管理をし易くできる。また、本実施形態の半導体装置では、ゲートトレンチ14とコンタクトトレンチ17との位置ずれが発生したとしても、コンタクトトレンチ17を形成した後にコンタクト領域19を形成する場合と比較して、全体の位置ずれを小さくでき、特性変動を小さくできる。
【0058】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に対し、接続トレンチ22の形状を変更したものである。その他に関しては、第3実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
本実施形態の半導体装置では、
図7および
図8に示されるように、ゲートトレンチ14の長手方向において、コンタクトトレンチ17が間引かれて形成されている。言い換えると、コンタクトトレンチ17は、ゲートトレンチ14の長手方向において、部分的に形成されている。さらに言い換えると、コンタクトトレンチ17は、ゲートトレンチ14の長手方向において、点在するように形成されている。なお、
図7は、
図1中のII-II線に沿った断面図に相当しており、
図8は、
図1中のVIII-VIII線に沿った断面図にしている。
【0060】
具体的には、エミッタ領域18およびコンタクト領域19は、上記第3実施形態と同様に、ゲートトレンチ14の長手方向に沿って交互に配置されるように形成されている。そして、コンタクトトレンチ17は、各コンタクト領域19を貫通するように形成されており、エミッタ領域18を貫通するようには形成されていない。このため、コンタクト領域19は、半導体基板10の一面10aから露出する部分も上部電極23と接続されている。なお、本実施形態では、半導体基板10の一面10aのうちの隣合うコンタクトトレンチ17の間の部分にもバリアメタル部230aが形成されている。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、エミッタ領域18とコンタクト領域19とがゲートトレンチ14の長手方向に沿って形成されているため、上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
(1)本実施形態によれば、コンタクト領域19は、半導体基板10の一面10aから露出する部分も上部電極23と接続される。したがって、上記第3実施形態のようにコンタクト領域19がコンタクトトレンチ17の側面のみで上部電極23と接続され、かつイオン注入を一面10aから行って形成されている場合と比較して、コンタクト領域19の上部電極23に対する表面濃度を増加でき、コンタクト領域19と上部電極23とのオーミック接続を確保し易くできる。そして、コンタクト領域19と上部電極23とのオーミック接続を確保し易くできるため、ベース層12のうちのエミッタ領域18の直下に位置する部分の電位が上がり難くなり、ラッチアップ耐量の向上を図ることもできる。
【0063】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第4実施形態に対し、コンタクト領域19の形状を変更したものである。その他に関しては、第4実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0064】
本実施形態の半導体装置では、
図9に示されるように、コンタクト領域19がコンタクトトレンチ17と同じ深さまで形成されている。なお、
図9は、
図1中のVIII-VIII線に沿った断面図に相当している。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、エミッタ領域18とコンタクト領域19とがゲートトレンチ14の長手方向に沿って形成されているため、上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
(1)本実施形態によれば、コンタクト領域19がコンタクトトレンチ17と同じ深さまで形成されている。このため、コンタクト領域19と上部電極23の接続面積をさらに増加でき、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。また、コンタクト領域19と上部電極23とのオーミック接続を確保し易くできるため、ゲートトレンチ14の長手方向に沿ったコンタクト領域19の間隔を短くすることもでき、バリア領域13の電位安定を図ることもできる。
【0067】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態と第5実施形態を組み合わせたものである。その他に関しては、第1実施形態および第5実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0068】
本実施形態の半導体装置では、
図10および
図11に示されるように、コンタクトトレンチ17は、ゲートトレンチ14の長手方向に沿って間引かれて形成されている。なお、
図10は、
図1中のII-II線に沿った断面図に相当し、
図11は、
図1中のVIII-VIII線に沿った断面図に相当している。
【0069】
そして、エミッタ領域18は、半導体基板10の一面10aの全体に形成されている。コンタクト領域19は、エミッタ領域18の下方において、コンタクトトレンチ17の側面と接するように形成されている。なお、コンタクト領域19は、コンタクトトレンチ17と同じ深さとされている。
【0070】
以上説明した本実施形態によれば、エミッタ領域18とコンタクト領域19とが半導体基板10の厚さ方向に沿って形成されているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
(1)本実施形態では、コンタクト領域19がコンタクトトレンチ17と同じ深さまで形成されているため、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態の半導体装置の形成場所を特定したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0073】
まず、RC-IGBTとされた半導体装置では、FWD素子がオン状態である場合、
図12に示されるように、IGBT領域1aとFWD領域1bとの境界部を基準とすると、電流が次のように流れる。すなわち、電流は、他面10b側の境界部からIGBT領域1a側に向かって半導体基板10の他面10bとの成す角度θを約45°として流れる。このため、IGBT領域1aのうちのリカバリ損失に影響するのは、FWD素子がオン状態である際に電流が流れるFWD領域1b側の部分となる。以下、本実施形態では、IGBT領域1aのうちのリカバリ損失に影響する領域(すなわち、FWD素子がオン状態である際に電流が流れる領域)を第2領域R2とする。また、IGBT領域1aのうちの第2領域R2と異なる領域を第1領域R1とする。
【0074】
そして、本実施形態の半導体装置では、第2領域R2が上記第1実施形態で説明したIGBT領域1aと同様の構成とされている。
【0075】
一方、本実施形態の半導体装置では、第1領域R1は、
図13に示されるように、ゲートトレンチ14の底面と接するように連結領域20が形成されておらず、ゲートトレンチ14の底面と接するようにコンタクト領域19が形成されている。これによれば、コンタクト領域19をコンタクトトレンチ17の底面に対するイオン注入等によって形成できるため、コンタクト領域19がコンタクトトレンチ17の側面と接するように形成されている場合と比較して、コンタクト領域19の濃度管理をし易くできる。なお、特に図示しないが、コンタクト領域19は、ゲートトレンチ14の側面とも接するように形成されていてもよい。また、第1領域R1と第2領域R2とでは、隣合うゲートトレンチ14の間隔が異なっていてもよく、例えば、第1領域R1の方が第2領域R2よりも隣合うゲートトレンチ14の間隔が狭くされていてもよい。
【0076】
以上説明した本実施形態のように、IGBT領域1aは、第1領域R1と第2領域R2とで異なる構成とされ、第2領域R2が上記第1実施形態と同様の構成とされていてもよい。
【0077】
(第7実施形態の変形例)
上記第7実施形態の変形例について説明する。IGBT領域1aは、第2領域R2が上記第3~第6実施形態と同様の構成とされていてもよい。また、FWD領域1bにおいては、
図14および
図15に示されるように、コンタクトトレンチ17が形成されておらず、連結領域20が形成されていなくてもよい。そして、ベース層12の表層部には、上部電極23と接続されるコンタクト領域19がゲートトレンチ14の長手方向に沿って部分的に形成されていてもよい。なお、
図14は、
図1中のXVI-XVI線に沿った断面図に相当しており、
図15は、
図1中のXV-XV線に沿った断面図に相当している。さらに、特に図示しないが、FWD領域1bの構成は適宜変更可能であり、例えば、ゲートトレンチ14が形成されていなくてもよいし、エミッタ領域18が形成されていなくてもよい。
【0078】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0079】
例えば、上記各実施形態では、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型とした例について説明したが、第1導電型をP型とし、第2導電型をN型とすることもできる。
【0080】
また、上記各実施形態において、セル領域1は、1つとされていてもよいし、3つ以上の複数とされていてもよい。また、FWD領域1bは、1つのセル領域1内に1つのみ形成されるようにしてもよい。
【0081】
そして、上記各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。例えば、上記第1、第3~第6実施形態において、FWD領域1bの構成は、上記第2実施形態や上記第7実施形態の構成とされていてもよいし、他の構成とされていてもよい。また、上記各実施形態を組み合わせたもの同士をさらに組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1a IGBT領域
1b FWD領域
10 半導体基板
10a 一面
10b 他面
11 ドリフト層
12 ベース層
13 バリア領域
14 ゲートトレンチ
15 ゲート絶縁膜
16 ゲート電極
17 コンタクトトレンチ
18 エミッタ領域
19 コンタクト領域
20 連結領域
23 上部電極(第1電極)
25 コレクタ層
26 カソード層
27 下部電極(第2電極)