(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】車両管理システム及び車両管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240709BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240709BHJP
B60W 30/08 20120101ALI20240709BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 V
B60W30/08
B60W30/06
(21)【出願番号】P 2021080540
(22)【出願日】2021-05-11
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 竜路
(72)【発明者】
【氏名】今津 貴雅
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-228152(JP,A)
【文献】特開2020-147142(JP,A)
【文献】特開2020-154519(JP,A)
【文献】特開2021-046063(JP,A)
【文献】特開平10-315800(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0309183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
B60W 30/08
B60W 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理エリア内の車両を通信を介して管理する車両管理システムであって、
1又は複数のプロセッサを備え、
前記車両は、ドライバ
による運転操作によらず操舵、加速、及び減速の全てを自動的に行う自動運転が少なくとも可能なように構成され、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記自動運転とマニュアル運転を切り替え可能な第1車両の位置を少なくとも示す第1車両情報を取得する処理と、
少なくとも前記自動運転を行う第2車両の位置を少なくとも示す第2車両情報を取得する処理と、
前記第1車両情報と前記第2車両情報に基づいて、前記マニュアル運転中の前記第1車両と前記自動運転中の前記第2車両が衝突する衝突可能性が第1閾値を超えたか否かを判定する処理と、
前記衝突可能性が前記第1閾値を超えた場合、前記マニュアル運転中の前記第1車両に走行制限を行うよう指示する処理と
を実行するように構成された
車両管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両管理システムであって、
前記走行制限は、減速、停車、及び指定制限速度以下で走行することのうち少なくとも一つを含む
車両管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両管理システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、前記マニュアル運転中の前記第1車両に前記走行制限を行うよう指示する場合、前記自動運転中の前記第2車両には前記走行制限を行うよう指示しない
車両管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両管理システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、前記マニュアル運転中の前記第1車両に前記走行制限を行うよう指示する場合、更に、前記第1車両のドライバに前記走行制限が行われる旨を通知する
車両管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両管理システムであって、
前記衝突可能性が前記第1閾値を超えることは、前記マニュアル運転中の前記第1車両と前記自動運転中の前記第2車両が第1距離以内に接近することを含む
車両管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両管理システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、更に、
前記第1車両情報と前記第2車両情報に基づいて、前記衝突可能性が前記第1閾値より高い第2閾値を超えたか否かを判定し、
前記衝突可能性が前記第1閾値より高く前記第2閾値以下である場合、前記マニュアル運転中の前記第1車両に指定制限速度以下で走行するよう指示し、
前記衝突可能性が前記第2閾値を超えた場合、前記マニュアル運転中の前記第1車両に減速及び停止を行うよう指示する
車両管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の車両管理システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、前記第2車両の種別に応じて前記指定制限速度を設定する
車両管理システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の車両管理システムであって、
前記管理エリアは、自動運転車両とマニュアル運転車両が混在すると想定される混在エリアを含み、
前記1又は複数のプロセッサは、前記混在エリア内において前記マニュアル運転中の前記第1車両に前記走行制限を行うよう指示する
車両管理システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の車両管理システムであって、
前記第1車両及び前記第2車両は、前記自動運転を利用した自動バレー駐車が可能な車両である
車両管理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の車両管理システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、前記第1車両と前記第2車両の外部に存在し、前記第1車両と通信を行うことによって前記第1車両から送信される第1車両情報を受け取り、前記第2車両と通信を行うことによって前記第2車両から送信される第2車両情報を受け取る
車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理エリア内の車両を通信を介して管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動バレー駐車システムにおける駐車場管理装置を開示している。駐車場管理装置は、駐車場における複数の自動運転車両の走行を管理する。第1自動運転車両と第2自動運転車両が駐車場内の同じノードを続けて通過する予定である場合、駐車場管理装置は、第1自動運転車両と第2自動運転車両が衝突する衝突リスクがあるか判定する。衝突リスクがある場合、駐車場管理装置は、第2自動運転車両が当該ノードを通過する通過予定時刻を遅らせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マニュアル運転車両と自動運転車両が混在する状況において、マニュアル運転車両と自動運転車両との衝突が発生するおそれがある。
【0005】
本開示の1つの目的は、マニュアル運転車両と自動運転車両との衝突の可能性を低下させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点は、管理エリア内の車両を通信を介して管理する車両管理システムに関連する。
車両管理システムは、1又は複数のプロセッサを備える。
1又は複数のプロセッサは、
自動運転とマニュアル運転を切り替え可能な第1車両の位置を少なくとも示す第1車両情報を取得する処理と、
少なくとも自動運転を行う第2車両の位置を少なくとも示す第2車両情報を取得する処理と、
第1車両情報と第2車両情報に基づいて、マニュアル運転中の第1車両と自動運転中の第2車両が衝突する衝突可能性が第1閾値を超えたか否かを判定する処理と、
衝突可能性が第1閾値を超えた場合、マニュアル運転中の第1車両に走行制限を行うよう指示する処理と
を実行するように構成される。
【0007】
第2の観点は、管理エリア内の車両を通信を介して管理する車両管理方法に関連する。
車両管理方法は、
自動運転とマニュアル運転を切り替え可能な第1車両の位置を少なくとも示す第1車両情報を取得する処理と、
少なくとも自動運転を行う第2車両の位置を少なくとも示す第2車両情報を取得する処理と、
第1車両情報と第2車両情報に基づいて、マニュアル運転中の第1車両と自動運転中の第2車両が衝突する衝突可能性が第1閾値を超えたか否かを判定する処理と、
衝突可能性が第1閾値を超えた場合、マニュアル運転中の第1車両に走行制限を行うよう指示する処理と
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、第1車両情報と第2車両情報に基づいて、マニュアル運転中の第1車両と自動運転中の第2車両が衝突する衝突可能性が第1閾値を超えたか否かが判定される。衝突可能性が第1閾値を超えた場合、マニュアル運転中の第1車両に走行制限が課される。これにより、第1車両と第2車両との衝突可能性が低下する。つまり、マニュアル運転車両と自動運転車両が混在する状況において、より高い安全性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態に係る車両及び車両管理システムの概要を説明するための概念図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係る車両管理システムの概要を説明するための概念図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係る車両管理システムによる走行制限指示を説明するための概念図である。
【
図4】本開示の実施の形態に係る車載システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】本開示の実施の形態における運転環境情報の例を示すブロック図である。
【
図6】本開示の実施の形態に係る車両管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図7】本開示の実施の形態に係る車両管理システムによる走行制限指示に関連する処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図7におけるステップS300及びステップS400の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の実施の形態に係る車両管理システムが自動バレー駐車に適用される例を説明するための概念図である。
【
図10】本開示の実施の形態に係る車両管理システムがスマートシティに適用される例を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0011】
1.概要
図1は、本実施の形態に係る車両1及び車両管理システム100の概要を説明するための概念図である。車両1は、少なくとも自動運転が可能なように構成されている。ここでの自動運転としては、ドライバが必ずしも100%運転に集中しなくてもよいことを前提としたもの(いわゆるレベル3以上の自動運転)を想定している。車両1は、自動運転とマニュアル運転を切り替え可能であってもよい。車両1は、駐車場における自動バレー駐車(AVP: Automated Valet Parking)が可能なAVP車両であってもよい。
【0012】
車両管理システム100は、複数の車両1を管理する。車両管理システム100は、1以上の管理サーバにより構成される。車両管理システム100は、分散システムであってもよい。車両管理システム100が管理する範囲を、以下、「管理エリアAR」と呼ぶ。例えば、管理エリアARは、駐車場である。他の例として、管理エリアARは、スマートシティ等の1つの街である。
【0013】
車両管理システム100は、各車両1と通信可能である。車両管理システム100は、管理エリアAR内の各車両1と通信を行い、各車両1の管理を行う。車両1の管理は、車両1に関する情報の収集、車両1の状態の監視、車両1に対する指示出し、車両1の遠隔制御、等を含む。
【0014】
例えば、各車両1は、自身の位置、状態、等を示す「車両情報VCL」を車両管理システム100に送信する。車両管理システム100は、通信を介して各車両1から車両情報VCLを受け取る。つまり、車両管理システム100は、管理下の多数の車両1に関する車両情報VCLを収集する。車両管理システム100は、車両情報VCLに基づいて、各車両1の状態を監視することができる。また、車両管理システム100は、車両情報VCLに基づいて、車両1間の距離を把握し、衝突可能性等を見積もることができる。
【0015】
また、車両管理システム100は、「車両制御指示INS」を車両1に送信する。車両制御指示INSは、車両1に対する指示である。例えば、車両制御指示INSは、車両1に加速、減速、及び操舵のうち少なくとも一つを行うことを指示する。車両管理システム100は、車両制御指示INSを送信することによって、車両1を遠隔で制御することができる。
【0016】
管理エリアAR内に、周囲の状況を監視するインフラカメラ5が設置されていてもよい。車両管理システム100は、インフラカメラ5と通信を行い、インフラカメラ5によって撮像された画像情報を取得する。車両管理システム100は、画像情報を解析することによって、車両1を特定し、車両1の位置を認識することもできる。つまり、車両管理システム100は、インフラカメラ5を用いて車両情報VCL(特に車両位置情報)を取得することもできる。
【0017】
図2及び
図3は、マニュアル運転車両と自動運転車両が混在する状況を示している。第1車両1-1は、自動運転とマニュアル運転を切り替え可能な車両1である。第2車両1-2は、少なくとも自動運転を行う車両1である。
図2及び
図3に示される状況おいて、第1車両1-1は、マニュアル運転で走行中であり、第2車両1-2は、自動運転で走行中である。
【0018】
車両管理システム100は、第1車両1-1及び第2車両1-2と通信を行い、第1車両1-1及び第2車両1-2の管理を行う。つまり、車両管理システム100は、自動運転中の第2車両1-2だけでなく、マニュアル運転中の第1車両1-1も管理することができる。例えば、車両管理システム100は、マニュアル運転中の第1車両1-1に車両制御指示INSを送信することによって、マニュアル運転中の第1車両1-1の走行に介入することもできる。
【0019】
図2及び
図3に示される例において、マニュアル運転中の第1車両1-1と自動運転中の第2車両1-2が互いに接近しつつある。よって、第1車両1-1と第2車両1-2との衝突が発生するおそれがある。本実施の形態によれば、第1車両1-1と第2車両1-2との衝突の可能性を低下させるために、車両管理システム100の管理機能が利用される。
【0020】
具体的には、車両管理システム100は、第1車両1-1の位置を少なくとも示す第1車両情報VCL-1を取得する。また、車両管理システム100は、第2車両1-2の位置を少なくとも示す第2車両情報VCL-2を取得する。そして、車両管理システム100は、第1車両情報VCL-1と第2車両情報VCL-2に基づいて、第1車両1-1と第2車両1-2が衝突する衝突可能性(衝突リスク)を見積もる。
【0021】
衝突可能性は、数値で表されてもよいし、「無し」、「低」、「中」、「高」といったランクで表されてもよい。例えば、第1車両1-1と第2車両1-2が第1距離より離れている場合、衝突可能性は「無し」と判断され、第1車両1-1と第2車両1-2が第1距離以内に接近した場合、衝突可能性は「低」と判断される。更に、第1車両1-1と第2車両1-2が第1距離よりも短い第2距離以内に接近した場合、衝突可能性は「中」と判断される。第1車両情報VCL-1及び第2車両情報VCL-2が車速等の車両状態を含んでいる場合、衝突可能性をより精密に算出することもできる。
【0022】
第1車両情報VCL-1と第2車両情報VCL-2の両方を有する車両管理システム100は、第1車両1-1と第2車両1-2との衝突可能性を精度良く見積もることができる。例えば、第1車両1-1と第2車両1-2が互いに死角に入っていたとしても、第1車両情報VCL-1と第2車両情報VCL-2の両方を有する車両管理システム100は、衝突可能性を精度良く見積もることができる。
【0023】
第1車両1-1と第2車両1-2との衝突可能性が第1閾値を超えた場合、衝突可能性を低下させるために、車両管理システム100は、車両走行に介入する。特に、
図3に示されるように、車両管理システム100は、「マニュアル運転中の第1車両1-1」の走行に介入する。より詳細には、車両管理システム100は、マニュアル運転中の第1車両1-1と通信を行い、第1車両制御指示INS-1を第1車両1-1に送信する。第1車両制御指示INS-1は、第1車両1-1に走行制限を行うよう指示する。走行制限は、(a)減速、(b)停車、及び(c)指定制限速度以下で走行すること、のうち少なくとも一つを含む。第1車両制御指示INS-1を受け取った第1車両1-1は、第1車両制御指示INS-1に従って走行制限を行う。これにより、第1車両1-1と第2車両1-2との衝突可能性が低下する。つまり、マニュアル運転車両と自動運転車両が混在する状況において、より高い安全性を確保することが可能となる。
【0024】
車両管理システム100は、衝突可能性が高くなるにつれて、走行制限を強くしてもよい。例えば、衝突可能性が低い段階では、第1車両制御指示INS-1は、制限速度を指定し、指定制限速度以下で走行することを指示する。衝突可能性が高くなった段階では、第1車両制御指示INS-1は、減速して停車することを指示する。これにより、衝突可能性に応じた適切な走行制限が可能となる。
【0025】
マニュアル運転中の第1車両1-1に走行制限を行うよう指示する場合、車両管理システム100は、第1車両1-1のドライバに「走行制限が行われる旨」を通知してもよい。この場合、第1車両制御指示INS-1は、「走行制限を行うこと」に加えて、「走行制限をドライバに通知すること」を指示する。これにより、マニュアル運転中の第1車両1-1のドライバが感じる違和感が抑制される。
【0026】
車両管理システム100は、マニュアル運転中の第1車両1-1に走行制限を行うよう指示する場合、自動運転中の第2車両1-2には走行制限を行うよう指示しなくてもよい。自動運転中の第2車両1-2ではなくマニュアル運転中の第1車両1-1に走行制限をかける理由は、次の通りである。
【0027】
自動運転システムは、人間よりも広い範囲の状況を精度良く認識することができる。例えば、自動運転システムは、車両1の前方、側方、及び後方を含む広範囲の状況を精度良く認識することができる。そのような自動運転システムは、他の車両1との衝突を適切に回避する可能性が極めて高い。一方、人間の視野範囲は限られている。また、人間は、居眠りしたり、集中力が切れたりする可能性がある。更に、無謀な運転を行うドライバも存在するかもしれない。従って、マニュアル運転車両が存在する限り、ある程度の衝突可能性を想定する必要がある。本実施の形態によれば、マニュアル運転中の第1車両1-1に対して走行制限が課される。これにより、マニュアル運転車両と自動運転車両との衝突可能性を効果的に低減することが可能となる。
【0028】
マニュアル運転車両と自動運転車両との衝突可能性が低下するため、マニュアル運転車両と自動運転車両とが混在する状況を許容しやすくなる。すなわち、マニュアル運転車両と自動運転車両との混在をある程度許容するように、管理エリアAR(例:駐車場、街)を設計することができる。このことは、自動運転を利用したサービスを展開するにあたって好適である。
【0029】
以下、本実施の形態に係る車両1(車載システム10)及び車両管理システム100について更に詳しく説明する。
【0030】
2.車載システム
2-1.構成例
図4は、本実施の形態に係る車両1に搭載される車載システム10の構成例を示すブロック図である。車載システム10は、センサ群20、通信装置30、HMI(Human Machine Interface)40、走行装置50、及び制御装置60を備えている。
【0031】
センサ群20は、車両1の状態を検出する車両状態センサを含む。車両状態センサは、速度センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、舵角センサ、等を含んでいる。また、センサ群20は、車両1の周辺の状況を認識(検出)する認識センサを含んでいる。認識センサとしては、カメラ、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、レーダ、等が例示される。更に、センサ群20は、車両1の位置及び方位を検出する位置センサを含む。位置センサとしては、GPS(Global Positioning System)センサが例示される。
【0032】
通信装置30は、車両1の外部と通信を行う。例えば、通信装置30は、車両管理システム100と通信を行う。
【0033】
HMI40は、ドライバに情報を提供し、また、ドライバから情報を受け付けるためのインタフェースである。HMI40としては、ディスプレイ、タッチパネル、ヘッドアップディスプレイ、等が例示される。
【0034】
走行装置50は、操舵装置、駆動装置、及び制動装置を含んでいる。操舵装置は、車輪を転舵する。例えば、操舵装置は、パワーステアリング(EPS: Electric Power Steering)装置を含んでいる。駆動装置は、駆動力を発生させる動力源である。駆動装置としては、エンジン、電動機、インホイールモータ、等が例示される。制動装置は、制動力を発生させる。
【0035】
制御装置60は、車両1を制御する。制御装置60は、1又は複数のプロセッサ61(以下、単にプロセッサ61と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置62(以下、単に記憶装置62と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ61は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ61は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。記憶装置62は、各種情報を格納する。記憶装置62としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。プロセッサ61がコンピュータプログラムである制御プログラムを実行することにより、制御装置60による各種処理が実現される。制御プログラムは、記憶装置62に格納されている、あるいは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されている。制御装置60は、1又は複数のECU(Electronic Control Unit)を含んでいてもよい。
【0036】
2-2.運転環境情報
プロセッサ61は、センサ群20を用いて、車両1の運転環境を示す運転環境情報70を取得する。運転環境情報70は、記憶装置62に格納される。
【0037】
図5は、運転環境情報70の例を示すブロック図である。運転環境情報70は、地図情報71、車両状態情報72、周辺状況情報73、及び車両位置情報74を含んでいる。
【0038】
地図情報71は、少なくとも管理エリアARの地図を含む。地図情報71としては、一般的なナビゲーション地図、高精度3次元地図、駐車場地図、等が例示される。更に、地図情報71は、自己位置推定(Localization)に使用されるランドマーク位置を示していてもよい。例えば、プロセッサ61は、車両管理システム100あるいは他の外部システムから地図情報71を取得する。
【0039】
車両状態情報72は、車両状態センサによって検出される車両状態(車速等)を示す。プロセッサ61は、車両状態センサから車両状態情報72を取得する。更に、車両状態情報72は、現在の運転状態(マニュアル運転/自動運転)を示していてもよい。
【0040】
周辺状況情報73は、認識センサによる認識結果を示す。例えば、周辺状況情報73は、カメラによって撮像される画像を含む。周辺状況情報73は、車両1の周辺の物体に関する物体情報を含んでいてもよい。車両1の周辺の物体としては、歩行者、他車両(先行車両、駐車車両、等)、白線、標識、信号、路側構造物、等が例示される。物体情報は、車両1に対する物体の相対位置及び相対速度を示す。プロセッサ61は、認識センサによる認識結果に基づいて周辺状況情報73を取得する。
【0041】
車両位置情報74は、車両1の位置を示す情報である。プロセッサ61は、位置センサによる検出結果から車両位置情報74を取得する。また、プロセッサ61は、地図情報71と周辺状況情報73を利用した周知の自己位置推定処理(Localization)により、高精度な車両位置情報74を取得してもよい。
【0042】
2-3.通信処理
プロセッサ61は、通信装置30を介して車両管理システム100と通信を行う。
【0043】
例えば、プロセッサ61は、通信装置30を介して、車両情報VCLを車両管理システム100に送信する。車両情報VCLは、上述の運転環境情報70の一部を含んでいる。車両情報VCLは、少なくとも車両位置情報74を含んでいる。車両情報VCLは、車両状態情報72を含んでいてもよい。車両情報VCLは、周辺状況情報73を含んでいてもよい。
【0044】
また、プロセッサ61は、通信装置30を介して、車両制御指示INSを車両管理システム100から受信する。
【0045】
2-4.情報提供処理
プロセッサ61は、HMI40を介して、必要な情報をドライバに提供する。例えば、プロセッサ61は、車両管理システム100から受け取る通知を、HMI40のディスプレイに表示する。
【0046】
2-5.車両走行制御
プロセッサ61は、車両1の走行を制御する車両走行制御を実行する。車両走行制御は、操舵制御、加速制御、及び減速制御を含む。プロセッサ61は、走行装置50(操舵装置、駆動装置、制動装置)を制御することによって車両走行制御を実行する。
【0047】
また、プロセッサ61は、上述の運転環境情報70に基づいて、自動運転制御を行う。例えば、プロセッサ61は、運転環境情報70に基づいて、車両1の走行プランを生成する。走行プランは、目的地までの大まかな目標経路や、目標動作を含む。目標動作としては、現在の走行車線を維持する、車線変更を行う、障害物を回避する、等が例示される。更に、プロセッサ61は、運転環境情報70に基づいて、車両1が走行プランに従って走行するために必要な目標トラジェクトリ(目標軌道)を生成する。目標トラジェクトリは、目標位置及び目標速度を含んでいる。そして、プロセッサ61は、車両1が目標トラジェクトリに追従するように車両走行制御を行う。
【0048】
車両管理システム100から車両制御指示INSを受け取った場合、プロセッサ61は、車両制御指示INSに従って車両走行制御を行う。例えば、車両制御指示INSが減速を示す場合、プロセッサ61は、減速制御を行う。
【0049】
マニュアル運転の場合、プロセッサ61は、ドライバによる運転操作に従って車両走行制御を行う。但し、車両管理システム100から車両制御指示INSを受け取った場合、プロセッサ61は、車両制御指示INSに従った車両走行制御を優先する。つまり、プロセッサ61は、マニュアル運転に介入してもよい。
【0050】
3.車両管理システム
3-1.構成例
図6は、本実施の形態に係る車両管理システム100の構成例を示すブロック図である。車両管理システム100は、例えば、管理サーバにより実現される。複数の管理サーバが分散処理を行ってもよい。車両管理システム100は、情報処理装置110及び通信装置120を備えている。
【0051】
情報処理装置110は、各種情報処理を行う。情報処理装置110は、1又は複数のプロセッサ111(以下、単にプロセッサ111と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置112(以下、単に記憶装置112と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ111は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ111は、CPUを含んでいる。記憶装置112は、各種情報を格納する。記憶装置112としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSD、等が例示される。プロセッサ111がコンピュータプログラムである車両管理プログラムを実行することによって、情報処理装置110の機能が実現される。車両管理プログラムは、記憶装置112に格納される。車両管理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。車両管理プログラムは、ネットワーク経由で提供されてもよい。
【0052】
通信装置120は、外部との通信を行う。例えば、通信装置120は、車両1と通信を行う。また、通信装置120は、インフラカメラ5と通信を行う。更に、通信装置120は、ユーザ端末と通信を行う。
【0053】
3-2.各種情報
地図情報MAPは、上述の地図情報71と同様であり、少なくとも管理エリアARの地図を含む。地図情報MAPとしては、一般的なナビゲーション地図、高精度3次元地図、駐車場地図、等が例示される。地図情報MAPは、車両管理システム100に予め提供され、記憶装置112に格納される。
【0054】
プロセッサ111は、通信装置120を介して各車両1と通信を行い、各車両1から車両情報VCLを受け取る。上述の通り、車両情報VCLは、少なくとも車両位置情報74を含んでいる。車両情報VCLは、車両状態情報72を含んでいてもよい。車両情報VCLは、周辺状況情報73を含んでいてもよい。
【0055】
また、プロセッサ111は、管理エリアAR内に設置されたインフラカメラ5と通信を行い、インフラカメラ5によって撮像された画像情報を取得する。プロセッサ111は、画像情報を解析することによって、車両1を特定し、車両1の位置を認識することもできる。つまり、プロセッサ111は、インフラカメラ5を用いて車両情報VCL(特に車両位置情報74)を取得することもできる。
【0056】
プロセッサ111は、必要に応じて、車両制御指示INSを生成する。車両制御指示INSは、車両1に対する指示である。例えば、車両制御指示INSは、車両1に加速、減速、及び操舵のうち少なくとも一つを行うことを指示する。プロセッサ111は、通信装置120を介して指示対象の車両1と通信を行い、その車両1に車両制御指示INSを送信する。
【0057】
3-3.走行制限に関連する処理
図7は、本実施の形態に係る走行制限指示に関連する処理を示すフローチャートである。ここでは、マニュアル運転中の第1車両1-1と、自動運転中の第2車両1-2について考える(
図2、
図3参照)。
【0058】
ステップS100において、プロセッサ111は、第1車両1-1の車両位置情報74を少なくとも含む第1車両情報VCL-1を取得する。また、プロセッサ111は、第2車両1-2の車両位置情報74を少なくとも含む第2車両情報VCL-2を取得する。
【0059】
ステップS200において、プロセッサ111は、第1車両1-1が「混在エリア」内に存在するか否かを判定する。混在エリアは、管理エリアARに含まれるエリアであり、自動運転車両とマニュアル運転車両が混在すると想定されるエリアである。混在エリアは、予め規定されており、地図情報MAPに予め登録される。プロセッサ111は、地図情報MAPと第1車両情報VCL-1に基づいて、第1車両1-1が混在エリア内に存在するか否かを判定する。第1車両1-1が混在エリア内に存在する場合(ステップS200;Yes)、処理は、ステップS300に進む。一方、第1車両1-1が混在エリアから出た場合(ステップS200;No)、処理は、ステップS500に進む。
【0060】
ステップS300において、プロセッサ111は、「走行制限条件」が成立するか否かを判定する。走行制限条件は、マニュアル運転中の第1車両1-1に走行制限を課す条件である。走行制限条件の具体例は後述される。走行制限条件が成立する場合(ステップS300;Yes)、処理は、ステップS400に進む。一方、走行制限条件が成立しない場合(ステップS300;No)、処理は、ステップS100に戻る。
【0061】
ステップS400において、プロセッサ111は、マニュアル運転中の第1車両1-1に走行制限を行うよう指示する。より詳細には、プロセッサ111は、マニュアル運転中の第1車両1-1と通信を行い、走行制限を行うよう指示する第1車両制御指示INS-1を第1車両1-1に送信する。走行制限は、(a)減速、(b)停車、及び(c)指定制限速度以下で走行すること、のうち少なくとも一つを含む。第1車両制御指示INS-1を受け取った第1車両1-1の車載システム10は、第1車両制御指示INS-1に従って走行制限を行う。
【0062】
ステップS400において、プロセッサ111は、第1車両1-1のドライバに「走行制限が行われる旨」を通知してもよい。この場合、第1車両制御指示INS-1は、「走行制限を行うこと」に加えて、「走行制限をドライバに通知すること」を指示する。第1車両制御指示INS-1を受け取った第1車両1-1の車載システム10は、HMI40を介して、通知をドライバに提供する。これにより、マニュアル運転中の第1車両1-1のドライバが感じる違和感が抑制される。
【0063】
ステップS500において、プロセッサ111は、第1車両1-1に対する走行制限の指示を終了する。プロセッサ111は、第1車両1-1との通信を切断してもよい。
【0064】
図8は、
図7におけるステップS300及びステップS400の一例を示すフローチャートである。
【0065】
ステップS310において、プロセッサ111は、第1車両1-1と第2車両1-2が衝突する衝突可能性(衝突リスク)が第1閾値を超えたか否かを判定する。
【0066】
より詳細には、プロセッサ111は、第1車両情報VCL-1と第2車両情報VCL-2に基づいて、第1車両1-1と第2車両1-2が衝突する衝突可能性(衝突リスク)を見積もる。衝突可能性は、数値で表されてもよいし、「無し」、「低」、「中」、「高」といったランクで表されてもよい。例えば、第1車両1-1と第2車両1-2が第1距離より離れている場合、衝突可能性は「無し」と判断され、第1車両1-1と第2車両1-2が第1距離以内に接近した場合、衝突可能性は「低」と判断される。更に、第1車両1-1と第2車両1-2が第1距離よりも短い第2距離以内に接近した場合、衝突可能性は「中」と判断される。第1車両情報VCL-1及び第2車両情報VCL-2が車速等の車両状態を含んでいる場合、衝突可能性をより精密に算出することもできる。
【0067】
例えば、第1車両1-1と第2車両1-2が衝突する衝突可能性が第1閾値を超えることは、第1車両1-1と第2車両1-2が第1距離以内に接近することである。この場合、プロセッサ111は、第1車両情報VCL-1と第2車両情報VCL-2に基づいて、第1車両1-1と第2車両1-2が第1距離以内に接近したか否かを判定する。
【0068】
第1車両1-1と第2車両1-2が衝突する衝突可能性が第1閾値以下である場合(ステップS310;No)、走行制限条件は成立せず(ステップS300;No)、処理はステップS100に戻る。一方、第1車両1-1と第2車両1-2が衝突する衝突可能性が第1閾値を超えた場合(ステップS310;Yes)、処理は、ステップS320に進む。
【0069】
ステップ320において、プロセッサ111は、第1車両1-1と第2車両1-2が衝突する衝突可能性が第2閾値を超えたか否かを判定する。第2閾値は、第1閾値よりも高い。
【0070】
例えば、第1車両1-1と第2車両1-2が衝突する衝突可能性が第2閾値を超えることは、第1車両1-1と第2車両1-2が第2距離以内に接近することである。第2距離は、上記の第1距離よりも短い。
【0071】
他の例として、第1車両情報VCL-1及び第2車両情報VCL-2が車速を含んでいる場合、プロセッサ111は、第1車両1-1と第2車両1-2が衝突するまでの時間(TTC: Time To Collision)を算出してもよい。この場合、第1車両1-1と第2車両1-2が衝突する衝突可能性が第2閾値を超えることは、TTCが所定の閾値未満になることである。
【0072】
第1車両1-1と第2車両1-2が衝突する衝突可能性が第2閾値以下である場合(ステップS320;No)、処理はステップS410に進む。一方、第1車両1-1と第2車両1-2が衝突する衝突可能性が第2閾値を超えた場合(ステップS320;Yes)、処理は、ステップS420に進む。
【0073】
ステップS410において、プロセッサ111は、マニュアル運転中の第1車両1-1に対して、制限速度を指定し、指定制限速度以下で走行するよう指示する。つまり、第1車両制御指示INS-1は、制限速度を指定し、指定制限速度以下で走行することを指示する。
【0074】
プロセッサ111は、自動運転中の第2車両1-2の種別に応じて、マニュアル運転中の第1車両1-1に対する指定制限速度を設定してもよい。例えば、自動バレー駐車に対応したAVP車両は、駐車場中を自動運転で走行する場合、第1速度(例:10km/s)で走行するよう要求されるとする。自動運転中の第2車両1-2が比較的低速のAVP車両である場合、第1車両1-1に対する指定制限速度は比較的高く設定されてもよい。他の例として、道路上の自動運転バスは、第1速度よりも高い第2速度(例:20km/s)で走行するよう要求されるとする。自動運転中の第2車両1-2が自動運転バスである場合、第2車両1-2がAVP車両である場合と比較して、第1車両1-1に対する指定制限速度はより低く設定される。このように、第2車両1-2の種別に応じて指定制限速度を変えることによって、より高い安全性を確保することが可能となる。
【0075】
ステップS420において、プロセッサ111は、マニュアル運転中の第1車両1-1に減速及び停止を行うよう指示する。これにより、衝突可能性を更に低下させ、より高い安全性を確保することが可能となる。
【0076】
3-4.その他
車両管理システム100と車載システム10は部分的に共通であってもよい。つまり、車載システム10が、
図7及び
図8で示された処理の一部を実行してもよい。いずれの場合であっても、本実施の形態に係る車両管理システム100の機能は、1又は複数のプロセッサにより実現される。
【0077】
4.適用例
4-1.自動バレー駐車
図9は、本実施の形態に係る車両管理システム100が自動バレー駐車(AVP: Automated Valet Parking)に適用される例を説明するための概念図である。車両管理システム100は、駐車場PLにおける自動バレー駐車を管理する自動バレー駐車システムに相当する。
【0078】
AVP車両1Aは、自動バレー駐車に対応した車両1である。AVP車両1Aは、車両管理システム100と通信可能である。また、AVP車両1Aは、少なくとも駐車場PLにおいて自動運転可能である。
【0079】
車両管理システム100は、駐車場PLにおけるAVP車両1Aを管理する。つまり、駐車場PLが管理エリアARに相当する。車両管理システム100は、駐車場PLにおけるAVP車両1Aと通信可能である。また、車両管理システム100は、ユーザが操作するユーザ端末200と通信可能である。ユーザ端末200としてはスマートフォンが例示される。
【0080】
駐車場PLへのAVP車両1Aの入庫(チェックイン)は、次の通りである。ユーザを乗せたAVP車両1Aが、駐車場PLの乗降場に到着し、停止する。乗降場において、ユーザは、AVP車両1Aから降りる。ユーザは、ユーザ端末200を用いて、AVP車両1Aの入庫をリクエストする。車両管理システム100は、AVP車両1Aに対して駐車枠を割り当てる。車両管理システム100は、AVP車両1Aと通信を行い、入庫を指示する車両制御指示INSをAVP車両1Aに送信する。車両制御指示INSは、駐車場PLの地図情報71と、割り当てられた駐車枠の位置情報を含む。AVP車両1Aは、車両制御指示INSに従って、車両走行制御を行う。具体的には、AVP車両1Aは、乗降場から割り当てられた駐車枠まで自動的に走行し、割り当てられた駐車枠に自動的に駐車する。
【0081】
駐車場PLからのAVP車両1Aの出庫(チェックアウト)は、次の通りである。ユーザは、ユーザ端末200を用いて、AVP車両1Aの出庫をリクエストする。車両管理システム100は、AVP車両1Aと通信を行い、出庫を指示する車両制御指示INSをAVP車両1Aに送信する。車両制御指示INSは、駐車場PLの地図情報71と、乗降場の位置情報を含む。AVP車両1Aは、車両制御指示INSに従って、車両走行制御を行う。具体的には、AVP車両1Aは、駐車枠から乗降場まで自動的に走行する。AVP車両1Aは、乗降場に到着し、停止する。ユーザは、AVP車両1Aに乗り込む。AVP車両1Aは、次の目的地に向けて発進する。
【0082】
このような駐車場PLにおいてマニュアル運転も許可されている場合、マニュアル運転車両と自動運転車両とが混在する状況が発生し得る。
【0083】
例えば、駐車中のAVP車両1Aに対して付加サービス(例:点検、洗車、タイヤ交換、等)を提供することを考える。この場合、駐車場スタッフが、AVP車両1Aをマニュアル運転で動かす可能性がある。
【0084】
他の例として、自動バレー駐車を利用したレンタカー施設について考える。レンタカースタッフが、管理、整理、等のため、駐車場PLにおいてAVP車両1Aをマニュアル運転で移動させる可能性がある。また、レンタカースタッフが、早く入庫あるいは出庫させるためにAVP車両1Aをマニュアル運転する可能性もある。
【0085】
更に他の例として、ユーザが、AVPサービスを利用するかAVP車両1Aを自ら駐車するかを選択できる場合も考えられる。例えば、乗降場が混在している場合、ユーザは、AVP車両1Aを自ら駐車することを選択する可能性がある。
【0086】
このように、自動バレー駐車に対応した駐車場PLにおいて、マニュアル運転車両と自動運転車両とが混在する状況が発生し得る。つまり、自動バレー駐車に対応した駐車場PLの少なくとも一部が混在エリアとなり得る。よって、本実施の形態に係る車両管理システム100による走行制限指示は有用である。
【0087】
4-2.スマートシティ
図10は、本実施の形態に係る車両管理システム100がスマートシティに適用される例を説明するための概念図である。管理エリアARは、スマートシティである。車両管理システム100は、管理エリアAR内の車両1を管理する。スマートシティ内には、様々な種類の車両1が存在する。例えば、車両1として、自家用車、タクシー、バス、等が例示される。それら車両1の一部は、自動運転車両である。車両1は、自動運転と手動運転が切り替え可能であってもよい。また、自動的に荷物を配達する物流ロボットも車両1に含まれる。スマートシティ内の任意の位置と駐車場PLとの間で自動バレー駐車が行われてもよい。
【0088】
このようなスマートシティにおいて、マニュアル運転車両と自動運転車両とが混在する状況が発生し得る。つまり、スマートシティの少なくとも一部が混在エリアとなり得る。よって、本実施の形態に係る車両管理システム100による走行制限指示はスマートシティにも有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 車両
1A AVP車両
1-1 第1車両
1-2 第2車両
5 インフラカメラ
10 車載システム
20 センサ群
30 通信装置
40 HMI
50 走行装置
60 制御装置
70 運転環境情報
71 地図情報
72 車両状態情報
73 周辺状況情報
74 車両位置情報
100 車両管理システム
110 情報処理装置
111 プロセッサ
112 記憶装置
120 通信装置
200 ユーザ端末
AR 管理エリア
INS 車両制御指示
MAP 地図情報
VCL 車両情報