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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電力供給ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20240709BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240709BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240709BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20240709BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240709BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240709BHJP
   B60L 53/20 20190101ALI20240709BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20240709BHJP
【FI】
H02M3/00 Y
H02M3/00 H
H02J7/00 P
H02J7/02 C
B60L1/00 L
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/20
B60L58/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021101468
(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公開番号】P2023000568
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 大我
(72)【発明者】
【氏名】村里 健次
(72)【発明者】
【氏名】上木原 大介
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-061892(JP,A)
【文献】特開2021-093783(JP,A)
【文献】特開2017-112681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00- 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電力変換装置と、
第2電力変換装置と、
前記第1電力変換装置および前記第2電力変換装置を制御する制御装置と、
隔壁により形成される複数の収容空間を有し、前記第1電力変換装置、前記第2電力変換装置および前記制御装置を収容する筐体とを備え、
前記第1電力変換装置および前記第2電力変換装置は前記筐体の同一の収容空間に配置され、
前記制御装置は、前記第1電力変換装置および前記第2電力変換装置を排他的に動作させる、電力供給ユニット。
【請求項2】
前記隔壁は、冷媒が流れる冷媒通路を有する、請求項1に記載の電力供給ユニット。
【請求項3】
前記電力供給ユニットは、車両外部の交流電源から供給される交流電力を用いて車載のメインバッテリを充電する交流充電が可能に構成された車両に搭載され、
前記第1電力変換装置は、前記メインバッテリの電力を車載の補機装置に供給するための電力に変換し、
前記第2電力変換装置は、前記交流電源から供給された電力を前記補機装置に供給するための電力に変換する、請求項1または請求項2に記載の電力供給ユニット。
【請求項4】
前記交流電力を前記メインバッテリを充電するための電力に変換する第3電力変換装置をさらに備え、
前記第3電力変換装置は、前記第1電力変換装置および前記第2電力変換装置と異なる収容空間に配置される、請求項3に記載の電力供給ユニット。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第3電力変換装置を制御し、
前記第2電力変換装置の電力容量は、前記第1電力変換装置の電力容量より小さく、
前記交流充電を実行する場合において、前記補機装置の消費電力が閾値より小さい場合には、前記制御装置は、前記第3電力変換装置を動作させて前記メインバッテリを充電し、かつ、前記第2電力変換装置を動作させて前記補機装置に電力を供給し、かつ、前記第1電力変換装置を停止させる、請求項4に記載の電力供給ユニット。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第3電力変換装置を制御し、
前記第2電力変換装置の電力容量は、前記第1電力変換装置の電力容量より小さく、
前記交流充電を実行する場合において、前記補機装置の消費電力が閾値より大きい場合には、前記制御装置は、前記第3電力変換装置を動作させて前記メインバッテリを充電し、かつ、前記第1電力変換装置を動作させて前記補機装置に電力を供給し、かつ、前記第2電力変換装置を停止させる、請求項4に記載の電力供給ユニット。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第3電力変換装置を制御し、
前記第2電力変換装置の電力容量は、前記第1電力変換装置の電力容量より小さく、
前記交流充電を実行する場合において、前記補機装置の消費電力が前記閾値より大きい場合には、前記制御装置は、前記第3電力変換装置を動作させて前記メインバッテリを充電し、かつ、前記第1電力変換装置を動作させて前記補機装置に電力を供給し、かつ、前記第2電力変換装置を停止させる、請求項5に記載の電力供給ユニット。
【請求項8】
前記車両は、前記車両外部の直流電源から供給される直流電力を用いて前記メインバッテリを充電する直流充電が可能に構成され、
前記電力供給ユニットは、前記直流電力を前記メインバッテリに供給するためのリレーをさらに備え、
前記リレーは、前記第1~第3電力変換装置とは異なる収容空間に収容される、請求項3~7のいずれか1項に記載の電力供給ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-230417号公報(特許文献1)には、筐体内に複数の電子部品を収納する電力変換装置が開示されている。筐体内には、電子部品を冷却する冷媒を流すための複数の貫通孔を有する台座部が配置されている。この電力変換装置は、各電子部品を台座部の異なる面に載置することにより、電子部品に対する有効冷却面積を増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-230417号公報
【文献】特開2013-211943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車およびプラグインハイブリッド自動車等の電動車両では、室内空間等を広く確保するために、車載機器を小型化して実装スペースを縮小させる(省スペース化する)ことが望まれている。
【0005】
電動車両には、たとえば、車両外部の交流電源から供給される交流電力を走行用バッテリを充電するための直流電力に変換するAC(Alternating current)充電器、走行用バッテリの直流電力を補機装置の駆動電圧に変換するメインDC/DCコンバータ、および、交流電源から供給される交流電力を補機装置の駆動電圧に変換するサブDC/DCコンバータ等の電力変換装置が搭載されることがある。たとえば、これら複数の電力変換装置を含めた複数の車載機器の機能を統合してユニット化することで、複数の車載機器を個別に配置する場合に比べて省スペース化を図ることが考えられる。
【0006】
しかしながら、機能統合によるユニット化を図る場合、複数の車載機器が同一の筐体に収容されるため、各車載機器で発生する熱による問題が顕著になり得る。特に、発熱量が大きくなり得る電力変換装置同士を隣接させた配置とする場合には、電力変換装置間の相互の熱干渉により故障リスクが高まる可能性がある。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の電力変換装置の機能を統合した電力変換ユニットにおいて、小型化を図りつつ、電力変換装置間の熱干渉を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)この開示に係る電力変換ユニットは、第1電力変換装置と、第2電力変換装置と、第1電力変換装置および第2電力変換装置を制御する制御装置と、隔壁により形成される複数の収容空間を有し、第1電力変換装置、第2電力変換装置および制御装置を収容する筐体とを備える。第1電力変換装置および第2電力変換装置は筐体の同一の収容空間に配置される。制御装置は、第1電力変換装置および第2電力変換装置を排他的に動作させる。
【0009】
上記構成によれば、筐体の同一の収容空間に配置された第1電力変換装置および第2電力変換装置は、排他的に動作される。すなわち、第1電力変換装置および第2電力変換装置のいずれか一方が動作している場合には、他方は停止される。これによって、第1電力変換装置および第2電力変換装置がともに動作する場合に比べて、第1電力変換装置および第2電力変換装置の発熱量を抑制することができる。よって、ユニット化による小型化を図りつつも、電力変換装置間の熱干渉を抑制することができる。
【0010】
(2)ある実施の形態においては、隔壁は、冷媒が流れる冷媒通路を有する。
上記構成によれば、隔壁が有する冷媒通路により、第1電力変換装置および第2電力変換装置の発熱が抑制される。
【0011】
(3)ある実施の形態においては、電力供給ユニットは、車両外部の交流電源から供給される交流電力を用いて車載のメインバッテリを充電する交流充電が可能に構成された車両に搭載される。第1電力変換装置は、メインバッテリの電力を車載の補機装置に供給するための電力に変換する。第2電力変換装置は、交流電源から供給された電力を補機装置に供給するための電力に変換する。
【0012】
車両への搭載性を考慮すると、電力供給ユニットの高さが大きくなることを抑制することが望ましい。第1電力変換装置および第2電力変換装置は、少なくとも一方を動作させれば補機装置に電力を供給できるので、排他的に動作させることができる。排他的に動作させることができる第1電力変換装置および第2電力変換装置を同一の収容空間に配置することにより、電力供給ユニットの高さが大きくなることを抑制することができる。
【0013】
(4)ある実施の形態においては、電力供給ユニットは、交流電力をメインバッテリを充電するための電力に変換する第3電力変換装置をさらに備える。第3電力変換装置は、第1電力変換装置および第2電力変換装置と異なる収容空間に配置される。
【0014】
第1電力変換装置および第2電力変換装置と、第3電力変換装置とは、同時に動作され得る。たとえば、交流充電の実行時にメインバッテリの電力を車両の補機装置に供給する場合には、第3電力変換装置を動作させてメインバッテリを充電するとともに、第1電力変換装置を動作させてメインバッテリの電力を変換して補機装置に供給する。たとえば、交流充電の実行時に交流電力を車両の補機装置に供給する場合には、第3電力変換装置を動作させてメインバッテリを充電するとともに、第2電力変換装置を動作させて交流電力を変換して補機装置に供給する。同時に動作され得る第3電力変換装置を、第1電力変換装置および第2電力変換装置とは異なる収容空間に配置することにより、電力変換装置間の熱干渉を抑制することができる。
【0015】
(5)ある実施の形態においては、制御装置は、第3電力変換装置を制御する。第2電力変換装置の電力容量は、第1電力変換装置の電力容量より小さい。交流充電を実行する場合において、補機装置の消費電力が閾値より小さい場合には、制御装置は、第3電力変換装置を動作させてメインバッテリを充電し、かつ、第2電力変換装置を動作させて補機装置に電力を供給し、かつ、第1電力変換装置を停止させる。
【0016】
(6),(7)ある実施の形態においては、制御装置は、第3電力変換装置を制御する。第2電力変換装置の電力容量は、第1電力変換装置の電力容量より小さい。交流充電を実行する場合において、補機装置の消費電力が閾値より大きい場合には、制御装置は、第3電力変換装置を動作させてメインバッテリを充電し、かつ、第1電力変換装置を動作させて補機装置に電力を供給し、かつ、第2電力変換装置を停止させる。
【0017】
上記(5)~(7)の構成によれば、制御装置は、補機装置の消費電力が閾値よりも大きいか否かによって、第1電力変換装置および第2電力変換装置のいずれを動作させ、いずれを停止させるかを判断する。閾値は、たとえば、第2電力変換装置の電力容量に基づいて定められる。一般に、第2電力変換装置の消費電力は、第1電力変換装置の消費電力よりも小さい。そのため、電力変換効率を考慮すると、第2電力変換装置からの電力供給分で補機装置の消費電力をまかなうことができる場合には、第1電力変換装置を動作させるよりも第2電力変換装置を動作させることが望ましい。補機装置の消費電力が第2電力変換装置の電力容量より小さい場合には、第2電力変換装置を動作させて補機装置に電力を供給することで、第1電力変換装置を動作させて補機装置に電力を供給する場合に比べ、電力変換効率を高めることができる。
【0018】
(8)ある実施の形態においては、車両は、車両外部の直流電源から供給される直流電力を用いてメインバッテリを充電する直流充電が可能に構成される。電力供給ユニットは、直流電力をメインバッテリに供給するためのリレーをさらに備える。リレーは、第1~第3電力変換装置とは異なる収容空間に収容される。
【0019】
上記構成によれば、リレーは、第1~第3電力変換装置とは異なる収容空間に収容されるので、リレーが第1~第3電力変換装置から熱干渉を受けることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、複数の電力変換装置の機能を統合した電力変換ユニットにおいて、小型化を図りつつ、電力変換装置間の熱干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態に係る車両の構成例を示すブロック図である。
図2】車両の走行時における電力供給ユニットの制御を説明するための図である。
図3】AC充電の実行時における電力供給ユニットの制御を説明するための図である。
図4】AC充電の実行時における電力供給ユニットの制御を説明するための図である。
図5】DC充電の実行時における電力供給ユニットの制御を説明するための図である。
図6】電力供給ユニットの制御の手順を示すフローチャートである。
図7】メインDC/DCコンバータ、充電回路およびサブDC/DCコンバータの動作状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0023】
<全体構成>
図1は、本実施の形態に係る車両1の構成例を示すブロック図である。実施の形態1に係る車両1は、電気自動車である。なお、車両1は、車両1外部の外部電源から供給される電力を受けて車載のメインバッテリを充電する外部充電が可能であればよく、電気自動車に限られるものではない。車両1は、たとえばプラグインハイブリッド自動車または燃料電池自動車であってもよい。
【0024】
本実施の形態に係る車両1は、車両1外部の交流電源から供給される交流電力を受けて車載のメインバッテリを充電する交流(AC)充電、および、車両1外部の直流電源から供給される直流電力を受けて車載のメインバッテリを充電する直流(DC:Direct Current)充電が可能に構成される。
【0025】
車両1は、電池パック10と、電力供給ユニット20と、フロントパワーコントロールユニット(以下「Fr_PCU(Power Control Unit)」とも称する)30と、低圧補機装置40と、高圧補機装置50と、ACインレット60と、DCインレット70と、上位ECU(Electronic Control Unit)100とを備える。なお、本実施の形態に係る車両1は前輪を駆動するように構成されるが、車両1が全輪駆動可能に構成される場合には、リアパワーコントロールユニット(以下「Rr_PCU(Power Control Unit)」とも称する)31がさらに設けられる。
【0026】
電池パック10は、車両1の駆動電源(すなわち動力源)として車両1に搭載されている。電池パック10は、メインバッテリ11と、システムメインリレー(以下「SMR(System Main Relay)」とも称する)12,13と、充電リレー(以下「CHR(Charge Relay)」とも称する)14,15とを含む。
【0027】
メインバッテリ11は、複数の電池が積層されて構成されている。電池は、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池である。また、電池は、正極と負極との間に液体電解質を有する電池であってもよいし、固体電解質を有する電池(全固体電池)であってもよい。なお、メインバッテリ11は、再充電可能な直流電源であればよく、大容量のキャパシタも採用可能である。
【0028】
SMR12,13は、メインバッテリ11と電力線PL,NLとの間に電気的に接続されている。SMR12は、一端がメインバッテリ11の正極端子に電気的に接続され、他端が電力線PLに電気的に接続されている。SMR13は、一端がメインバッテリ11の負極端子に電気的に接続され、他端が電力線NLに電気的に接続されている。SMR12,13は、たとえば、上位ECU100からの制御信号に従って開閉状態を切り替える。
【0029】
電力線PL,NLは、電池パック10とFr_PCU30とを電気的に接続する。電力線PL,NLは、その一部が電力供給ユニット20に収容されている。電力線PL,NLには、ノイズ対策のためのフェライトコア81,82が取り付けられている。なお、Rr_PCU31が設けられる場合には、電力線PL,NLは、電力線PL1,NL1に分岐される。電力線PL1,NL1は、Rr_PCU31に電気的に接続されている。電力線PL1,NL1には、フェライトコア83が取り付けられている。フェライトコア81~83の各々は、高周波のノイズ電流によって発生した磁界を取り込み、取り込まれた磁界を熱に変換してノイズを抑制する。なお、フェライトコア81~83の各々は、電力供給ユニット20に収容されている。
【0030】
Fr_PCU30は、電力線PL,NLを介してメインバッテリ11から供給される直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ(図示せず)に供給する。モータジェネレータは、交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。モータジェネレータのロータは、動力伝達ギヤを介して駆動輪である前輪に機械的に接続される(いずれも図示せず)。Fr_PCU30は、たとえば、モータジェネレータを駆動するためのインバータと、インバータに供給される直流電圧をメインバッテリ11の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成される。
【0031】
車両1がRr_PCU31をさらに備える場合には、Rr_PCU31は、動力伝達ギヤを介して後輪に機械的に接続されるロータを有するモータジェネレータ(図示せず)に交流電力を供給する。
【0032】
CHR14,15は、メインバッテリ11と電力線APL1,ANL1との間に電気的に接続される。CHR14は、一端がメインバッテリ11の正極端子に電気的に接続され、他端が電力線APL1に電気的に接続されている。CHR15は、一端がメインバッテリ11の負極端子に電気的に接続され、他端が電力線ANL1に電気的に接続されている。CHR14,15は、たとえば、上位ECU100からの制御信号に従って開閉状態を切り替える。
【0033】
電力線APL1,ANL1は、CHR14,15と、電力供給ユニット20に含まれるAC充電器22(後述)とを電気的に接続している。なお、車両1がソーラー充電器90をさらに備える場合には、ソーラー充電器90が電力線APL1,ANL1に電気的に接続される。ソーラー充電器90は、図示しない車載の太陽光パネルによって発電された電力を、メインバッテリ11の充電電力に変換して、電力線APL1,ANL1に供給する。CHR14,15が閉成状態であると、ソーラー充電器90からの電力によりメインバッテリ11が充電される。
【0034】
電力供給ユニット20は、複数の車載機器を筐体に収容してユニット化されている。具体的には、電力供給ユニット20は、メインDC/DCコンバータ21と、AC充電器22と、DCリレー25と、充電統合ECU26と、筐体28とを含む。筐体28は、複数の階層を有し、メインDC/DCコンバータ21、AC充電器22、DCリレー25、および、充電統合ECU26を収容している。筐体28の側面には、ヒューズ入りのコネクタ87~89が設けられている。筐体28の内部における車載機器の配置については後述する。
【0035】
メインDC/DCコンバータ21は、電力線PL,NLと電力線ELとの間に電気的に接続される。メインDC/DCコンバータ21は、ヒューズ86を介して電力線PL,NLに電気的に接続されている。メインDC/DCコンバータ21は、メインバッテリ11から電力線PL,NLに供給される電力を電圧変換して電力線ELに供給する。メインDC/DCコンバータ21の電力容量(電力線ELへの電流供給能力)は、後述のサブDC/DCコンバータ24の電力容量よりも大きい。なお、メインDC/DCコンバータ21は、本開示に係る「第1電力変換装置」の一例に相当する。
【0036】
電力線ELには、低圧補機装置40および補機バッテリ(図示せず)が電気的に接続されている。低圧補機装置40は、電力線ELに供給される電力で作動する装置である。低圧補機装置40には、たとえば、各種のECU、照明装置、オーディオ装置、ナビゲーション装置、パワーステアリング装置等が含まれる。
【0037】
電力線PL,NLには、電力供給ユニット20の筐体28の側面に設けられたコネクタを介して、高圧補機装置50が電気的に接続されている。高圧補機装置50は、水加熱ヒータ51と、空調装置52とを含む。
【0038】
水加熱ヒータ51は、コネクタ87に電気的に接続されている。コネクタ87は、電力供給ユニット20の筐体28内において、電力線PL,NLに電気的に接続されている。水加熱ヒータ51は、車室内を加温するためのヒータである。水加熱ヒータ51は、たとえばPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータで構成される。水加熱ヒータ51は、たとえば配管を有し、配管内を循環する水を加温して間接的に空気を加温する。
【0039】
空調装置52は、コネクタ88に電気的に接続されている。コネクタ88は、電力供給ユニット20の筐体28内において、電力線PL,NLに電気的に接続されている。空調装置52は、コンプレッサを含み、上位ECU100からの制御信号に従ってコンプレッサを作動させて車室内の空調を行なう。
【0040】
高圧補機装置50は、さらに、車両1の室内に設けられる車内コンセント(図示せず)に電力を供給するAC100Vインバータ53を含んでもよい。AC100Vインバータ53は、コネクタ89に電気的に接続されている。コネクタ89は、電力供給ユニット20の筐体29内において、電力線PL,NLに電気的に接続されている。AC100Vインバータ53は、電力線PL,NLに供給されるメインバッテリ11の電力を車内コンセントに供給するための電力(たとえば、AC100Vの電力)に変換し、変換された電力を車内コンセントに出力する。
【0041】
AC充電器22は、電力線APL1,ANL1によって電池パック10に電気的に接続されている。また、AC充電器22は、電力線APL2,ANL2によってACインレット60に電気的に接続されている。
【0042】
ACインレット60は、車両1外部のAC充電スタンド(図示せず)から供給される交流電力を受ける。ACインレット60は、AC充電スタンドの充電ケーブルの先端に設けられた充電コネクタが接続可能に構成される。ACインレット60が受けた交流電力は、電力線APL2,ANL2を介してAC充電器22に供給される。
【0043】
AC充電器22は、充電回路23と、サブDC/DCコンバータ24とを含む。本実施の形態では、充電回路23とサブDC/DCコンバータ24とは、異なる基板に配置されており、電力線27によって電気的に接続されている。
【0044】
充電回路23は、いずれも図示しないが、フィルタ回路と、PFC(Power Factor Correction)回路と、平滑コンデンサと、高圧DC/DCコンバータとを含む。フィルタ回路は、ヒューズ84を介してACインレット60と電気的に接続されている。ヒューズ84は、自身の定格電流を超える電流が流れた場合に、電流経路を遮断するように構成される。なお、後述するヒューズ85,86についても、ヒューズ84と同様の構成である。ただし、定格電流については、各ヒューズによって異なるように構成され得る。フィルタ回路は、ACインレット60から供給された交流電力に含まれるノイズを除去し、ノイズが除去された交流電力をPFC回路に出力する。PFC回路は、フィルタ回路によりノイズ除去された交流電力を整流および昇圧して平滑コンデンサに出力するとともに、入力電流を正弦波に近づけることで力率を改善する。PFC回路には公知の種々のPFC回路を採用し得る。なお、PFC回路に代えて、力率改善機能を有しない整流器を採用してもよい。平滑コンデンサは、PFC回路から受けた直流電力の電圧変動を平滑化する。平滑化された直流電力は、高圧DC/DCコンバータおよびサブDC/DCコンバータ24に供給される。高圧DC/DCコンバータは、平滑コンデンサにより平滑化された直流電力の電圧をメインバッテリ11の充電に適する電圧(たとえば200V超)に変換して、電力線APL1,ANL1に供給する。なお、充電回路23は、本開示に係る「第3電力変換装置」の一例に相当する。
【0045】
サブDC/DCコンバータ24は、平滑コンデンサにより平滑化された直流電力の電圧を低圧補機装置40に供給するための電圧に変換して、電力線ELに供給する。サブDC/DCコンバータ24は、電力線ELとの間にヒューズ85を有する。サブDC/DCコンバータ24の電力容量(電力線ELへの電流供給能力)は、メインDC/DCコンバータ21の電力容量よりも小さい。また、サブDC/DCコンバータ24の消費電力は、メインDC/DCコンバータ21の消費電力よりも小さい。なお、サブDC/DCコンバータ24は、本開示に係る「第2電力変換装置」の一例に相当する。
【0046】
DCリレー25は、電池パック10と、DCインレット70との間に設けられている。具体的には、DCリレー25は、一端が電力線PL,NLに電気的に接続され、他端が電力線CPL,CNLに電気的に接続されている。電力線CPL,CNLは、DCインレット70と、DCリレー25の他端とを電気的に接続する。DCリレー25は、充電統合ECU26からの制御信号に従って、開閉成状態を切り替える。DCリレー25が閉成状態になると、DCインレット70から供給される電力を電池パック10に供給することが可能となる。
【0047】
DCインレット70は、車両1外部のDC充電スタンド(図示せず)から供給される直流電力を受ける。DCインレット70は、DC充電スタンドの充電ケーブルの先端に設けられた充電コネクタが接続可能に構成される。DCインレット70が受けた直流電力は、DCリレー25を介して、電池パック10に供給される。
【0048】
電力線CPL,CNLには、温度センサTsが設けられている。温度センサTsは、電力線CPL,CNLの温度を検出し、その検出結果を示す信号を、温度検出線を介して充電統合ECU26に出力する。
【0049】
充電統合ECU26は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、入出力ポートとを含む(いずれも図示せず)。メモリは、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含み、CPUにより実行されるプログラム等を記憶する。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。CPUは、入出力ポートから入力される各種信号、およびメモリに記憶された情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、演算結果に基づいてメインDC/DCコンバータ21、AC充電器22(充電回路23,サブDC/DCコンバータ24)、および、DCリレー25を制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
【0050】
上位ECU100は、たとえば、EV-ECUである。上位ECU100は、CPUと、メモリと、入出力ポートとを含む(いずれも図示せず)。メモリは、ROMおよびRAMを含み、CPUにより実行されるプログラム等を記憶する。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。CPUは、入出力ポートから入力される各種信号、およびメモリに記憶された情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、演算結果に基づいて車両1が所望の状態となるように各機器を制御する。CPUは、たとえば、Fr_PCU30、Rr_PCU31、SMR12,13、CHR14,15、低圧補機装置40高圧補機装置50、および、ソーラー充電器90を制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
【0051】
上位ECU100および充電統合ECU26は、通信線を介して相互に通信が可能に構成されている。充電統合ECU26は、上位ECU100からの情報に基づいて、メインDC/DCコンバータ21、AC充電器22およびDCリレー25を制御する。
【0052】
以上のように構成された車両1では、上述したとおり、筐体28に複数の車載機器(メインDC/DCコンバータ21、AC充電器22、DCリレー25および充電統合ECU26)を収容した電力供給ユニット20を採用している。複数の車載機器の機能を統合してユニット化することにより、複数の車載機器を個別に配置する場合に比べ、省スペース化および低コスト化を図ることができる。
【0053】
しかしながら、機能統合によるユニット化を図る場合、上記複数の車載機器が同一の筐体28に収容されるため、各車載機器で発生する熱による問題が顕著になり得る。特に、メインDC/DCコンバータ21、充電回路23、および、サブDC/DCコンバータ24は、動作時の発熱量が大きくなり得る。そのため、これらを隣接させた配置とする場合には、相互の熱干渉により故障リスクが高まる可能性がある。メインDC/DCコンバータ21、充電回路23、および、サブDC/DCコンバータ24を筐体28内の異なる階層にそれぞれ配置することも考えられるが、電力供給ユニット20の車両1への搭載性を考慮すると、電力供給ユニット20の高さ(車両の高さ方向の高さ)が大きくなることを抑制したいという要求がある。また、メインDC/DCコンバータ21、充電回路23、および、サブDC/DCコンバータ24は、内包する部品点数が多く、質量の重い磁気部品等を含むため、他の車載機器よりも質量が重くなり得る。そのため、メインDC/DCコンバータ21、充電回路23、および、サブDC/DCコンバータ24を極力下位の階層に配置して、電力供給ユニット20の重心を筐体28の下方側に位置させたいという要求もある。
【0054】
そこで、本実施の形態においては、メインDC/DCコンバータ21、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24を筐体28の下方側の階層に配置する。そして、筐体28内において、メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とを同一の階層に配置する。そして、充電回路23は、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24とは異なる階層に配置する。そして、充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とを排他的に動作させる。すなわち、充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24のうちの一方を動作させる場合には他方を動作させず、メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とを同時に動作させない。これにより、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24を同時に動作させる場合に比べて、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24からの発熱量を抑制することができる。よって、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24を筐体28内の同一の階層に配置しつつも、両者の熱干渉を抑制することができる。
【0055】
充電回路23を、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24とは異なる階層に配置するのは、充電回路23は、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24と同時に動作させることが必要になり得るためである。以下、車両1の走行時、AC充電の実行時、および、DC充電の実行時のそれぞれにおける具体的な制御を説明する。
【0056】
<車両の走行時の制御>
図2は、車両1の走行時における電力供給ユニット20の制御を説明するための図である。図2および後述の図3図5では、メインバッテリ11、電力供給ユニット20、低圧補機装置40およびACインレット60が模式的に示されている。
【0057】
電力供給ユニット20の筐体28は、たとえばアルミ等で形成される。筐体28には、隔壁29により複数の階層が形成されている。具体的には、電力供給ユニット20の車両1への搭載時において、車両1の前後方向に延びる隔壁29が設けられ、当該隔壁29によって複数の階層が形成されている。すなわち、複数の階層は、電力供給ユニット20の車両1への搭載時において、車両1の高さ方向に沿って階層が積み上がるように形成されている。本実施の形態では、筐体28は3つの階層を有する。以下では、最下層の階層を「第1階層」とも称し、中間の階層を「第2階層」とも称し、最上層の階層を「第3階層」とも称する。なお、本実施の形態に係る「階層」は、本開示に係る「収容空間」の一例に相当する。
【0058】
隔壁29は、冷媒が流れる冷媒通路を有する。隔壁29が冷媒通路を有することで、筐体28内に収容された各車載機器を冷却することができる。また、隔壁29は、冷媒通路に代えて、断熱材を有してもよい。隔壁29が断熱材を有することで、階層を跨いだ車載機器の熱干渉を抑制することができる。
【0059】
本実施の形態では、第1階層には、充電回路23が配置されている。第2階層には、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24が配置されている。第3階層には、DCリレー25および充電統合ECU26が配置されている。充電回路23とサブDC/DCコンバータ24とはAC充電器22に含まれるが、上述したとおり、充電回路23とサブDC/DCコンバータ24とを異なる基板に配置したことにより、充電回路23とサブDC/DCコンバータ24とを異なる階層に配置することができる。
【0060】
車両1の走行時には、充電統合ECU26は、AC充電器22(充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24)を停止させている。充電統合ECU26は、矢印AR1で示されるように、メインDC/DCコンバータ21を動作させてメインバッテリ11の電力を変換し、変換された電力を低圧補機装置40(電力線EL)に供給する。車両1の走行時には、メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とが同時に動作されないので、メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とを同時に動作させることに起因する発熱量の問題を回避することができる。
【0061】
<AC充電の実行時の制御>
図3および図4は、AC充電の実行時における電力供給ユニット20の制御を説明するための図である。本実施の形態では、充電統合ECU26は、AC充電中に要求される低圧補機装置40の要求電力(すなわち低圧補機装置40の消費電力)によって制御を切り替える。図3には、低圧補機装置40の消費電力Paが閾値Pth未満である場合における、低圧補機装置40への電力供給フローが示されている。図4には、低圧補機装置40の消費電力Paが閾値Pth以上である場合における、低圧補機装置40への電力供給フローが示されている。閾値Pthは、サブDC/DCコンバータ24の電力容量(電力線ELへの電力供給能力)に基づいて定められる値である。閾値Pthは、サブDC/DCコンバータ24の電力容量を超えない範囲で適宜設定することができる。
【0062】
低圧補機装置40の消費電力Paが閾値Pth未満である場合には、充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21を停止させ、かつ、サブDC/DCコンバータ24を動作させて、ACインレット60から供給された電力を低圧補機装置40に供給する。充電統合ECU26は、ACインレット60から供給された電力を、メインバッテリ11に供給する電力と、低圧補機装置40(電力線EL)に供給する電力とに分ける。具体的には、充電統合ECU26は、充電回路23を動作させて、ACインレット60から供給された電力をメインバッテリ11の充電電力に変換し、当該変換された電力をメインバッテリ11に供給する(矢印AR2)。また、充電統合ECU26は、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24を動作させて、ACインレット60から供給された電力を低圧補機装置40に供給するための電力に変換して、当該変換された電力を低圧補機装置40に供給する(矢印AR3)。
【0063】
低圧補機装置40の消費電力Paが閾値Pth以上である場合には、充電統合ECU26は、サブDC/DCコンバータ24を停止させ、かつ、メインDC/DCコンバータ21を動作させて、メインバッテリ11の電力を低圧補機装置40に供給する。充電統合ECU26は、充電回路23を動作させて、ACインレット60から供給された電力をメインバッテリ11の充電電力に変換し、当該変換された電力をメインバッテリ11に供給する(矢印AR4)。また、充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21を動作させて、メインバッテリ11の電力を低圧補機装置40に供給するための電力に変換し、変換された電力を低圧補機装置40に供給する(矢印AR5)。
【0064】
上記のように、低圧補機装置40の消費電力Paが閾値Pth未満である場合には、充電統合ECU26は、サブDC/DCコンバータ24を動作させる一方で、メインDC/DCコンバータ21は動作させない。また、低圧補機装置40の消費電力Paが閾値Pth以上である場合には、充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21を動作させる一方で、サブDC/DCコンバータ24を動作させない。このように、メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とが同時に動作されないので、メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とを同時に動作させることに起因する発熱量の問題を回避することができる。
【0065】
また、サブDC/DCコンバータ24の消費電力は、メインDC/DCコンバータ21の消費電力よりも小さい。そのため、低圧補機装置40の消費電力Paが閾値Pth未満である場合、すなわち、サブDC/DCコンバータ24からの電力供給分で低圧補機装置40の消費電力Paをまかなうことができる場合には、メインDC/DCコンバータ21を停止させてサブDC/DCコンバータ24を動作させることにより、低圧補機装置40(電力線EL)に電力を供給しつつ、メインバッテリ11の充電効率の低下を抑制することができる。
【0066】
<DC充電の実行時の制御>
図5は、DC充電の実行時における電力供給ユニット20の制御を説明するための図である。
【0067】
DC充電の実行時には、充電統合ECU26は、AC充電器22(充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24)を停止させている。DC充電の実行時には、充電統合ECU26は、DCリレー25を閉成状態にする。これにより、DCインレット70から供給された電力は、DCリレー25を介してメインバッテリ11に供給される(矢印AR6)。また、充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21を動作させて、メインバッテリ11の電力を低圧補機装置40に供給するための電力に変換し、変換された電力を低圧補機装置40に供給する(矢印AR7)。DC充電の実行時には、メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とが同時に動作されないので、メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とを同時に動作させることに起因する発熱量の問題を回避することができる。
【0068】
<充電統合ECUで実行される処理>
図6は、電力供給ユニット20の制御の手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートに示される処理は、所定の制御周期毎に充電統合ECU26により繰り返し実行される。図6に示すフローチャートの各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、充電統合ECU26によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部が充電統合ECU26内に作製されたハードウェア(電子回路)によって実現されてもよい。
【0069】
S1において、充電統合ECU26は、車両1が走行中であるか否かを判定する。たとえば、充電統合ECU26は、上位ECU100から受ける情報に基づいて、車両1が走行中であるか否かを判定してもよい。車両1が走行中であると判定すると(S1においてYES)、充電統合ECU26は、処理をS2に進める。車両1が走行中でないと判定すると(S1においてNO)、充電統合ECU26は、処理をS3に進める。
【0070】
S2において、充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21を動作させ、かつ、サブDC/DCコンバータ24を停止させる。充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21を動作させることで、メインバッテリ11の電力を低圧補機装置40に供給するための電力に変換し、当該変換された電力を低圧補機装置40(電力線EL)に供給する。
【0071】
S3において、充電統合ECU26は、DC充電の実行中であるか否かを判定する。たとえば、充電統合ECU26は、DCインレット70への充電コネクタの接続の有無に基づいて、DC充電の実行中であるか否を判定する。DC充電の実行中であると判定すると(S3においてYES)、充電統合ECU26は、処理をS4に進める。DC充電の実行中でないと判定すると(S3においてNO)、充電統合ECU26は、処理をS5に進める。
【0072】
S4において、充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21を動作させ、かつ、サブDC/DCコンバータ24を停止させる。充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21を動作させることで、メインバッテリ11の電力を低圧補機装置40に供給するための電力に変換し、当該変換された電力を低圧補機装置40(電力線EL)に供給する。なお、充電統合ECU26は、DCリレー25を閉成状態に保つ。DC充電の開始時には、充電統合ECU26は、DCリレー25を開放状態から閉成状態に切り替える。
【0073】
S5において、充電統合ECU26は、AC充電の実行中であるか否かを判定する。たとえば、充電統合ECU26は、ACインレット60への充電コネクタの接続の有無に基づいて、AC充電の実行中であるか否を判定する。AC充電の実行中であると判定すると(S5においてYES)、充電統合ECU26は、処理をS6に進める。AC充電の実行中でないと判定すると(S5においてNO)、充電統合ECU26は、処理をリターンに進める。
【0074】
S6において、充電統合ECU26は、低圧補機装置40の消費電力Paが閾値Pth以上であるか否かを判定する。消費電力Paが閾値Pth未満である場合には(S6においてNO)、充電統合ECU26は、処理をS7に進める。消費電力Paが閾値Pth以上である場合には(S6においてYES)、充電統合ECU26は、処理をS8に進める。
【0075】
S7において、充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21を停止させ、かつ、サブDC/DCコンバータ24を動作させる。なお、AC充電時には、充電統合ECU26は、充電回路23も動作させる。充電統合ECU26は、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24を動作させることで、ACインレット60から供給された電力を低圧補機装置40に供給するための電力に変換し、当該変換された電力を低圧補機装置40(電力線EL)に供給する。
【0076】
S8において、充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21を動作させ、かつ、サブDC/DCコンバータ24を停止させる。なお、AC充電時には、充電統合ECU26は、充電回路23も動作させる。充電統合ECU26は、充電回路23を動作させることで、ACインレット60から供給された電力をメインバッテリ11を充電するための電力に変換し、当該変換された電力をメインバッテリ11に供給する。充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21を動作させることで、メインバッテリ11の電力を低圧補機装置40に供給するための電力に変換し、当該変換された電力を低圧補機装置40(電力線EL)に供給する。
【0077】
図7は、メインDC/DCコンバータ21、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24の動作状態を示す図である。図7には、車両1の走行時、AC充電時およびDC充電時における、メインDC/DCコンバータ21、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24の動作状態が示されている。
【0078】
車両1の走行時には、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24を停止させ(非動作)、かつ、メインDC/DCコンバータ21を動作させる。
【0079】
AC充電時には、低圧補機装置40の消費電力Paと閾値Pthとの関係により、メインDC/DCコンバータ21、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24の動作状態を異ならせる。低圧補機装置40の消費電力Paが閾値Pth未満である場合には、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24を動作させ、かつ、メインDC/DCコンバータ21を停止させる。低圧補機装置40の消費電力Paが閾値Pth以上である場合には、充電回路23およびメインDC/DCコンバータ21を動作させ、かつ、サブDC/DCコンバータ24を停止させる。
【0080】
DC充電時には、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24を停止させ、かつ、メインDC/DCコンバータ21を動作させる。
【0081】
以上のように、本実施の形態に係る車両1に搭載される電力供給ユニット20は、筐体28内に複数の車載機器、具体的にはメインDC/DCコンバータ21、AC充電器22、DCリレー25および充電統合ECU26を含み、これら複数の機能が統合されている。複数の車載機器の機能を統合させてユニット化させることにより、各車載機器を個別に配置する場合に比べて、省スペース化および低コスト化を図ることができる。
【0082】
AC充電器22は、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24を含み、これはら異なる基板に配置されている。充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24は、電力線27で電気的に接続されている。充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24は、たとえばAC充電時に同時に動作され得る。充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24を異なる基板に配置することにより、これらを筐体28内の異なる階層に配置することができる。よって、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24が同一の階層に配置されて同時に動作されることによる熱干渉を避けることができる。
【0083】
メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とを筐体28内の同一の階層に配置されている。そして、メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とを排他的に動作させる。すなわち、充電統合ECU26は、メインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とを同時に動作させない。これにより、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24を同時に動作させる場合に比べて、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24からの発熱量を抑制することができる。
【0084】
排他的に動作させることができるメインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24を筐体28内の同一の階層に配置することで、これらを異なる階層に配置する場合に比べて、電力供給ユニット20の高さが大きくなることを抑制することができる。ゆえに、電力供給ユニット20の車両1への搭載性を高めることができる。
【0085】
充電回路23は、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24とは異なる階層に配置されている。充電回路23は、メインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24と同時に動作させることが必要になり得る。そこで、充電回路23をメインDC/DCコンバータ21およびサブDC/DCコンバータ24とは異なる階層に配置することで、同時に動作されることによる熱干渉を抑制することができる。
【0086】
DCリレー25および充電統合ECU26は、動作時の発熱量が大きいメインDC/DCコンバータ21、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24とは異なる階層に配置されている。そのため、DCリレー25および充電統合ECU26が、メインDC/DCコンバータ21、充電回路23およびサブDC/DCコンバータ24から熱干渉を受けることを抑制することができる。
【0087】
[変形例]
実施の形態では、筐体28には、隔壁29により複数の階層が形成される例について説明した。複数の階層は、電力供給ユニット20の車両1への搭載時において、車両1の高さ方向に沿って階層が積み上がるように形成された。しかしながら、隔壁29により、車載機器を収容する複数の収容空間を形成することができればよく、その形成の態様は、複数の収容空間を車両1の高さ方向に沿って積み上がるように形成することに限られるものではない。
【0088】
たとえば、電力供給ユニット20の車両1への搭載時において、車両1の高さ方向に延びる隔壁29を設けることで、複数の収容空間を形成してもよい。また、電力供給ユニット20の車両1への搭載時において、車両1の前後方向に延びる隔壁29および高さ方向に延びる隔壁29を混在して設けて複数の収容空間を形成してもよい。
【0089】
上記の場合においても、同一の収容空間に配置されたメインDC/DCコンバータ21とサブDC/DCコンバータ24とを排他的に動作させることにより、実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0090】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
1 車両、10 電池パック、11 メインバッテリ、12,13 システムメインリレー(SMR)、14,15 充電リレー(CHR)、20 電力供給ユニット、21 メインDC/DCコンバータ、22 AC充電器、23 充電回路、24 サブDC/DCコンバータ、25 DCリレー、26 統合充電ECU、27 電力線、28 筐体、29 隔壁、30 Fr_PCU、31 Rr_ECU、40 低圧補機装置、50 高圧補機装置、51 水加熱ヒータ、52 空調装置、53 AC100Vインバータ、60 ACインレット、70 DCインレット、81,82,83 フェライトコア、84,85,86 ヒューズ、87,88,89 コネクタ、90 ソーラー充電器、100 上位ECU、ANL1,APL1,ANL2,APL2,CNL,CPL,EL,NL,PL,NL1,PL1 電力線、Ts 温度センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7