IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特許7517270サーバ装置、運行管理システム、プログラム、車両及び運行管理方法
<>
  • 特許-サーバ装置、運行管理システム、プログラム、車両及び運行管理方法 図1
  • 特許-サーバ装置、運行管理システム、プログラム、車両及び運行管理方法 図2
  • 特許-サーバ装置、運行管理システム、プログラム、車両及び運行管理方法 図3
  • 特許-サーバ装置、運行管理システム、プログラム、車両及び運行管理方法 図4
  • 特許-サーバ装置、運行管理システム、プログラム、車両及び運行管理方法 図5
  • 特許-サーバ装置、運行管理システム、プログラム、車両及び運行管理方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】サーバ装置、運行管理システム、プログラム、車両及び運行管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240709BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20240709BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20240709BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240709BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G06Q50/40
G01C21/34
G08G1/005
G08G1/0969
G01C21/26 P
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021104390
(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公開番号】P2023003301
(43)【公開日】2023-01-11
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 隆慶
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
(72)【発明者】
【氏名】木村 和峰
(72)【発明者】
【氏名】眞屋 朋和
(72)【発明者】
【氏名】西岡 剛志
(72)【発明者】
【氏名】立石 崇晴
(72)【発明者】
【氏名】山下 雄己
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-092932(JP,A)
【文献】特開2019-008769(JP,A)
【文献】特許第6889320(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01C 21/34
G08G 1/005
G08G 1/0969
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、
前記通信部を介して他の装置と情報を送受する制御部とを有し、
前記制御部は、複数の端末装置から、各端末装置のユーザが車両への乗車を希望する乗車地点を示す情報を受け、前記複数の端末装置からの複数の前記乗車地点のうち他の乗車地点から所定距離離れている乗車地点を除外した各前記乗車地点の近傍領域を所定の条件を満たしながら経由する経路を決定し、前記車両に前記経路を走行させるための情報を送り、前記複数の端末装置に前記経路を通知し、除外した当該乗車地点での乗車を希望するユーザにインセンティブを付与する処理を実行する、サーバ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記経路への各乗車地点からの距離に応じたインセンティブを、当該乗車地点での乗車を希望するユーザに付与する処理を実行する、
サーバ装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記所定の条件は、前記車両が所定の速度で移動するときに複数の前記近傍領域を最短時間で経由することである、
サーバ装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記所定の条件は、前記車両が複数の前記近傍領域を最短距離で経由することである、
サーバ装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかにおいて、
前記制御部は、前記複数の乗車地点から前記経路までそれぞれユーザを誘導する情報を各乗車地点に対応する前記端末装置に送る、
サーバ装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかにおいて、
前記制御部は、前記複数の端末装置から前記近傍領域の許容範囲の情報を受け、当該許容範囲を加味して前記経路を決定する、
サーバ装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかにおいて、
前記経路は、前記複数の乗車地点を経由しない、
サーバ装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の車両とサーバ装置とを有する運行管理システム。
【請求項9】
コンピュータにより実行されることで当該コンピュータを請求項1~8のいずれかに記載のサーバ装置として動作させるプログラム。
【請求項10】
サーバ装置と、当該サーバ装置と通信する車両とを有するシステムによる前記車両の運行管理方法であって、
前記サーバ装置は、複数の端末装置から、各端末装置のユーザが車両への乗車を希望する乗車地点を示す情報を受け、前記複数の端末装置からの複数の前記乗車地点のうち他の乗車地点から所定距離離れている乗車地点を除外した各前記乗車地点の近傍領域を所定の条件を満たしながら経由する経路を決定し、前記車両に前記経路を走行させるための情報を当該車両に送り、前記複数の端末装置に前記経路を通知し、除外した当該乗車地点での乗車を希望するユーザにインセンティブを付与する処理を実行し、
前記車両は、前記サーバ装置から送られる情報に基づいて前記経路を移動する、
運行管理方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記サーバ装置は、前記経路への各乗車地点からの距離に応じたインセンティブを、当該乗車地点での乗車を希望するユーザに付与する処理を実行する、
運行管理方法。
【請求項12】
請求項10又は11において、
前記所定の条件は、前記車両が所定の速度で移動するときに複数の前記近傍領域を最短時間で経由することである、
運行管理方法。
【請求項13】
請求項10又は11において、
前記所定の条件は、前記車両が複数の前記近傍領域を最短距離で経由することである、
運行管理方法。
【請求項14】
請求項10~13のいずれかにおいて、
前記サーバ装置は、前記複数の乗車地点から前記経路までそれぞれユーザを誘導する情報を各乗車地点に対応する前記端末装置に送る、
運行管理方法。
【請求項15】
請求項10~14のいずれかにおいて、
前記サーバ装置は、前記複数の端末装置から前記近傍領域の許容範囲の情報を受け、当該許容範囲を加味して前記経路を決定する、
【請求項16】
請求項10~15のいずれかにおいて、
前記経路は、前記複数の乗車地点を経由しない、
運行管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ装置、運行管理システム、プログラム、車両及び運行管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの要求に応じて運行するオンデマンドバスにおいて、ユーザの利便性を向上させるための手段が種々提案されている。例えば、特許文献1には、バスの運行経路上でユーザの位置に応じて乗降地点を決定するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/159605号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オンデマンドバスの運行の効率化の余地がある。
【0005】
本開示は、オンデマンドバスの運行効率向上を可能にするサーバ装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示におけるサーバ装置は、通信部と、前記通信部を介して他の装置と情報を送受する制御部とを有し、前記制御部は、複数の端末装置から、各端末装置のユーザが車両への乗車を希望する乗車地点を示す情報を受け、複数の前記乗車地点それぞれの近傍領域を所定の条件を満たしながら経由する経路を前記車両に走行させるための情報を当該車両に送り、前記複数の端末装置に前記経路を通知する。
【0007】
本開示における車両は、通信部と前記通信部を介して他の装置と情報を送受する制御部とを有し、前記制御部の指示に応じて走行する車両であって、前記制御部が、複数の端末装置から各端末装置のユーザが前記車両への乗車を希望する乗車地点を示す情報を受けるサーバ装置から、複数の前記乗車地点の近傍領域を所定の条件を満たしながら経由する経路の情報を受け、当該経路を走行するための指示を出力する。
【0008】
本開示における車両管理方法は、サーバ装置と、当該サーバ装置と通信する車両とを有するシステムによる前記車両の運行管理方法であって、前記サーバ装置は、複数の端末装置から、各端末装置のユーザが車両への乗車を希望する乗車地点を示す情報を受け、複数の前記乗車地点それぞれの近傍領域を所定の条件を満たしながら経由する経路を前記車両に走行させるための情報を当該車両に送り、前記複数の端末装置に前記経路を通知し、前記車両は、前記サーバ装置から送られる情報に基づいて前記経路を移動する。
【発明の効果】
【0009】
本開示におけるサーバ装置等によれば、オンデマンドバスの運行効率向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】運行管理システムの構成例を示す図である。
図2】サーバ装置の構成例を示す図である。
図3】車両の構成例を示す図である。
図4】端末装置の構成例を示す図である。
図5】運行管理システムの動作例を示すシーケンス図である。
図6】車両の経路の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、一実施形態における運行管理システムの構成例を示す図である。運行管理システム1は、オンデマンドバスの運行管理を支援するシステムである。運行管理システム1は、ネットワーク11を介して互いに情報通信可能に接続される、それぞれ一以上のサーバ装置10、車両12、及び端末装置13を有する。サーバ装置10は、例えば、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属し、各種機能を実装するサーバとして機能するサーバコンピュータである。サーバ装置10は、オンデマンドバスの運行サービスを提供する事業者により利用される。車両12は、通信機能と情報処理機能とを備え、移動通信ネットワークを介してネットワーク11に接続される。車両12は、例えば、特定区域を巡回するオンデマンドバスとしてサービスに供される、乗客が乗車可能なバス車両である。車両12は、運転手によって運転されてもよいし、任意のレベル(例えば、SAE(Society of Automotive Engineers)におけるレベル1~レベル5のいずれか)で運転が自動化されていてもよい。また、車両12は、走行のためのエネルギの少なくとも一部にバッテリの電力を用いる電気自動車、又はハイブリッド車であってもよい。端末装置13は、例えば、スマートフォン、タブレット端末装置等の通信機能を備えた情報端末装置等であって、車両12に乗車するユーザにより使用される。ネットワーク11は、例えばインターネットであるが、アドホックネットワーク、LAN(Local Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、もしくは他のネットワーク又はこれらいずれかの組合せが含まれる。
【0013】
本実施形態において、運行管理システム1は、端末装置13のユーザが車両12への乗車を希望するときに、サーバ装置10にて車両12の運行経路をユーザが希望する乗車地点(以下、乗車希望地点)に応じて最適化することで、車両12の運行を管理する。サーバ装置10は、通信部と、通信部を介して他の装置と情報を送受する制御部とを有する。制御部は、複数の端末装置13から、各端末装置13のユーザが車両12への乗車を希望する乗車希望地点を示す情報を受ける。制御部は、複数の乗車希望地点の近傍領域を最速、最短といった所定の条件を満たしながら経由する経路を車両12に走行させるための指示を車両12に送り、その経路を複数の端末装置13に通知する。運行管理システム1によれば、車両12が各乗車希望地点を経由する代わりにその近傍領域を経由し、近傍領域における乗車地点からユーザが車両12に乗車できる(近傍領域における実際の乗車地点を乗車実行地点という)。このように、運行管理システム1は、ユーザの利便に一定程度以上資する一方、車両12の移動距離短縮により燃料又は電力を節約することを可能とする。すなわち、車両12の移動経路を最適化することで、車両12の運用効率向上が可能となる。
【0014】
図2は、サーバ装置10の構成例について説明するための図である。サーバ装置10は、通信部21、記憶部22、制御部23、入力部25、及び出力部26を有する。サーバ装置10は、例えば、一のコンピュータである。または、サーバ装置10は、情報通信可能に接続されて連携動作する二以上のコンピュータで構成されてもよい。その場合、図2に示す構成は二以上のコンピュータに適宜に配置される。
【0015】
通信部21は、一以上の通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部21は、サーバ装置10の動作に用いられる情報を受信し、またサーバ装置10の動作によって得られる情報を送信する。サーバ装置10は、通信部21によりネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由で車両12と情報通信を行う。
【0016】
記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)である。RAMは、例えば、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)である。記憶部22は、サーバ装置10の動作に用いられる情報と、サーバ装置10の動作によって得られた情報とを格納する。
【0017】
制御部23は、一以上のプロセッサ、一以上の専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化したGPU(Graphics Processing Unit)等の専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。制御部23は、サーバ装置10の各部を制御しながら、サーバ装置10の動作に係る情報処理を実行する。
【0018】
入力部25は、一以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力部25は、サーバ装置10の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部23に送る。
【0019】
出力部26は、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。出力部26は、サーバ装置10の動作によって得られる情報を出力する。
【0020】
サーバ装置10の機能は、制御プログラムを、制御部23に含まれるプロセッサが実行することにより実現される。制御プログラムは、コンピュータをサーバ装置10として機能させるためのプログラムである。また、サーバ装置10の一部又は全ての機能が、制御部23に含まれる専用回路により実現されてもよい。また、制御プログラムは、サーバ装置10に読取り可能な非一過性の記録・記憶媒体に格納され、サーバ装置10が媒体から読み取ってもよい。
【0021】
図3は、本実施形態に関する車両12の構成例を示す。車両12は、通信部31、記憶部32、制御部33、測位部34、入力部35、及び出力部36を有する。これらの一以上が一の制御装置として構成されてもよいし、タブレット端末を含むパーソナルコンピュータ、スマートフォン端末、ナビゲーション装置により構成されてもよい。あるいは、各部がCAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワークを介して情報通信可能に接続されてもよい。
【0022】
通信部31は、一以上の通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、若しくは5G(5th Generation)などの移動通信規格に対応したインタフェースである。通信部31は、制御部33の動作に用いられる情報を受信し、また制御部33の動作によって得られる情報を送信する。制御部33は、通信部31により、移動体通信の基地局を介してネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由で他の装置と情報通信を行う。
【0023】
記憶部32は、一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部32は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部32は、制御部33の動作に用いられる情報と、制御部33の動作によって得られた情報とを格納する。
【0024】
制御部33は、一以上のプロセッサ、一以上の専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。制御部33は、制御部33の各部を制御しながら、車両12の動作に係る情報処理を実行する。
【0025】
測位部34は、一以上のGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を含む。GNSSには、例えば、GPS(Global Positioning System)、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)、BeiDou、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、及びGalileoの少なくともいずれかが含まれる。測位部34は、車両12の位置情報を取得する。
【0026】
入力部35は、一以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力インタフェースは、さらに、撮像画像又は画像コードを取り込むカメラ、又はIC(Integrated Circuit)カードリーダーを含んでもよい。入力部35は、制御部33の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部33に送る。
【0027】
出力部36には、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部36は、制御部33の動作によって得られる情報を出力する。
【0028】
制御部33の機能は、制御プログラムを、制御部33に含まれるプロセッサで実行することにより実現される。制御プログラムは、プロセッサを制御部33として機能させるためのプログラムである。また、制御部33の一部又は全ての機能が、制御部33に含まれる専用回路により実現されてもよい。
【0029】
制御部33は、通信部31、記憶部32、測位部34、入力部35、出力部36、及び電力供給部37と各種情報を授受しながらこれら各部を制御するとともに、車両12の動作を制御する。車両12の運行に際し、制御部33は、出力部36を介して運転者に運転に必要な各種情報を提示したり、車両12の自動運転を制御したりして、車両12の運行を制御する。
【0030】
図4は、端末装置13の構成を説明するための図である。端末装置13は、例えばスマートフォン、タブレット端末装置、パーソナルコンピュータ等の、情報端末装置である。端末装置13は、通信部41、記憶部42、制御部43、測位部44、入力部45、及び出力部46を有する。
【0031】
通信部41は、有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュール、LTE、4G、5G等の移動体通信規格に対応するモジュール等を有する。端末装置13は、通信部41により、近傍のルータ装置又は移動体通信の基地局を介してネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由で他の装置と情報通信を行う。
【0032】
記憶部42は一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部42は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部42は、制御部43の動作に用いられる情報と、制御部43の動作によって得られた情報とを格納する。
【0033】
制御部43は、例えば、CPU、MPU(Micro Processing Unit)等の一以上の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した一以上の専用プロセッサを有する。あるいは、制御部43は、一以上の、FPGA、ASIC等の専用回路を有してもよい。制御部43は、制御・処理プログラムに従って動作したり、あるいは、回路として実装された動作手順に従って動作したりすることで、端末装置13の動作を統括的に制御する。そして、制御部43は、通信部41を介してサーバ装置10等と各種情報を送受し、本実施形態にかかる動作を実行する。
【0034】
測位部44は、一以上のGNSS受信機を含む。GNSSには、例えば、GPS、QZSS、BeiDou、GLONASS、及びGalileoの少なくともいずれかが含まれる。測位部44は、端末装置13の位置情報を取得する。
【0035】
入力部45は、一以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力インタフェースは、さらに、撮像画像又は画像コードを取り込むカメラ、又はICカードリーダーを含んでもよい。入力部45は、制御部43の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部43に送る。
【0036】
出力部46には、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部46は、制御部43の動作によって得られる情報を出力する。
【0037】
制御部43の機能は、制御部43に含まれるプロセッサが制御プログラムを実行することにより実現される。制御プログラムは、プロセッサを制御部43として機能させるためのプログラムである。また、制御部43の一部又は全ての機能が、制御部43に含まれる専用回路により実現されてもよい。
【0038】
図5は、運行管理システム1の動作手順を説明するためのシーケンス図である。図5は、サーバ装置10、車両12、及び端末装置13の連係動作にかかる手順を示す。
【0039】
ステップS500において、車両12からサーバ装置10へ、車両12の現在位置の情報が送られる。車両12の制御部33は、例えば、数秒~数分周期で、測位部34により取得される現在位置の情報を、通信部31を介してサーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部23は、車両12から送られる情報を、通信部21を介して受けて、記憶部22に格納する。
【0040】
ステップS502において、サーバ装置10から端末装置13へ、運行が予定される車両12の現在位置の情報が送られる。サーバ装置10の制御部23は、記憶部22に予め格納される車両12ごとの運行スケジュールに基づいて、運行が予定される車両12を特定する。運行スケジュールは、車両12の識別情報、出発地点の位置情報、出発時刻、終点の位置情報、到着時刻等を含む。制御部23は、特定した車両12の現在位置の情報を、通信部21を介して端末装置13へ送る。端末装置13の制御部43は、サーバ装置10から送られる情報を、通信部41を介して受けて、記憶部42に格納する。
【0041】
ステップS504において、端末装置13の制御部43は、ユーザによる乗車要求を受け付ける。乗車要求は、ユーザの識別情報、及びユーザが乗車を希望する乗車希望地点の情報を含む。乗車希望地点の情報は、例えば、地図上での位置を示す情報である。乗車要求は、ユーザが乗車を希望する乗車希望時刻を含んでもよい。制御部43は、車両12の現在位置を重畳させた地図を出力部46のディスプレイにより表示するなどしてユーザに提示し、ユーザに乗車希望地点等の入力を促す。そして、制御部43は、地図上でユーザが選択する乗車希望地点、ユーザが入力する乗車希望時刻、ユーザ情報等を、入力部45のタッチパネルにより受け付ける。ユーザ情報は、ユーザ登録情報として記憶部42に予め格納されていてもよい。
【0042】
更に、端末装置13の制御部43は、近傍領域の許容範囲の情報の入力を受け付けてもよい。乗車実行地点が設定される近傍領域の許容範囲は、ユーザが車両12に乗車するための移動を許容しうる距離の範囲である。制御部43は、例えば、ユーザが地図上で乗車希望地点の近傍領域の許容範囲を指定するための地点へのタップ、許容範囲を示す数値(例えば、1キロメートル~3キロメートルの範囲の数値)の入力等の操作を行うと、その操作に応じた入力を入力部45により受け付ける。
【0043】
ステップS506において、端末装置13からサーバ装置10へ、乗車要求が送られる。乗車要求には、端末装置13の現在位置が含まれる。端末装置13の制御部43は、測位部44により取得される現在位置の情報を含めた乗車要求を、通信部41を介してサーバ装置10へ送る。また、乗車要求には、近傍領域の許容範囲の情報が含まれてもよい。サーバ装置10は、端末装置13から送られる情報を、通信部21を介して受け、記憶部22に格納する。
【0044】
ステップS508において、サーバ装置10の制御部23は、複数の端末装置13から送られる乗車要求に基づいて、車両12の経路を決定する。制御部23は、記憶部22に予め格納される地図情報を用い、任意のアルゴリズムに従って、複数の乗車希望地点の近傍領域を経由する経路を決定する。
【0045】
図6は、車両12の経路の例を示す。地図60上には、複数の端末装置13からの乗車要求に対応する乗車希望地点61と、それぞれの近傍領域62が示される。近傍領域62は、予め任意の大きさに設定され、記憶部22に格納されている。近傍領域62は、例えば、乗車希望地点61から半径数百メートル~1キロメートル程度の範囲である。制御部23は、近傍領域の許容範囲の情報が端末装置13から送られている場合には、近傍領域62を許容範囲に応じた大きさに設定してもよい。近傍領域62は、例えば、半径1キロメートル~3キロメートル程度の範囲に設定される。そして、制御部23は、近傍領域62を所定の条件を満たしながら経由する経路63を決定する。
【0046】
所定の条件は、車両12が法定速度で移動するときに複数の近傍領域62を最短時間で経由することである。制御部23は、近傍領域62を通過する道路の組合せのうち、各道路に応じた法定速度で車両12が移動する場合の所要時間を算出する。そして、制御部23は、所要時間の合計が最小になるような道路の組合せからなる経路63を決定する。制御部23は、所要時間を算出するとき、信号、交差点、曲がり角等における車両12の加減速を加味して、より正確な所要時間を算出ことが可能である。経路63は、例えば、法定速度が高くて信号、交差点等による減速の必要が少ない幹線道路の割合が、法定速度が低くて信号、交差点等による減速の必要が多い住宅地、商業用地等を通過する道路の割合より大きいような、経路である。
【0047】
また、所定の条件は、複数の近傍領域62を最短距離で経由することである。制御部23は、近傍領域62を通過する道路の組合せのうち、車両12の移動距離が最小になるような道路の組合せからなる経路63を決定する。
【0048】
あるいは、所定の条件は、複数の乗車希望地点61に対する近似曲線を形成することであってもよい。
【0049】
経路63を決定する際、制御部23は、他の乗車希望地点61から基準距離以上離れている乗車希望地点61´を除外し、乗車希望地点61それぞれの近傍領域62を経由する経路63を決定してもよい。例えば、制御部23は、乗車希望地点61及び61´のそれぞれについて、他の個々の乗車希望地点までの距離を算出し、その距離の合計又は平均を算出する。そして、距離の合計又は平均が任意に設定される基準距離(例えば、平均にして1km~数km)以上の場合に、かかる乗車希望地点を制御部23は除外する。そうすることで、車両12が迂遠な経路を移動することを回避できる。
【0050】
更に、制御部23は、任意のアルゴリズムにより、経路63上で各乗車希望地点61に対応する乗車実行地点64を設定する。すなわち、乗車実行地点64は、対応する乗車希望地点61の近傍領域62内に設定される。例えば、乗車実行地点64は、道幅、歩道の有無等を加味して、車両12が交通を妨げずに駐車しやすい地点に設定される。かかる乗車実行地点64の候補となる地点は、地図情報に予め含まれる。制御部23は、記憶部22から乗車実行地点の候補を読み出して、そのうち経路63に位置する地点を選択し、乗車実行地点64として決定する。
【0051】
上記における経路63、乗車実行地点64の決定手順は一例であり、制御部23は、任意のアルゴリズムにより経路63、乗車実行地点64等を決定することが可能である。
【0052】
ステップS510において、サーバ装置10の制御部23は、端末装置13のユーザに付与するインセンティブを決定する。制御部23は、乗車要求に紐づくユーザの識別情報を用いて、ユーザごとに乗車希望地点61から乗車実行地点64までの距離を算出し、距離に対応するインセンティブを記憶部22から読み出して決定する。記憶部22には、予め、乗車希望地点61から乗車実行地点64までの距離とインセンティブとが対応づけられて記憶されている。ここでは、距離が大きくなるほど大きいインセンティブが対応付けられる。また、制御部23は、経路63から除外した乗車希望地点61´を要求したユーザに対してもインセンティブを付与する。その場合、かかるインセンティブは、他のインセンティブより大きい重みが付けられる。決定したインセンティブはユーザごとの識別情報に紐づけて記憶部22に格納される。
【0053】
ステップS512において、サーバ装置10から車両12へ、運行情報が送られる。運行情報は、決定した経路63を車両12に走行させるための情報であって、経路63、乗車実行地点64の位置等の情報を含む。サーバ装置10の制御部23は、運行情報を、通信部21を介して車両12へ送る。車両12の制御部33は、サーバ装置10から送られる情報を、通信部31を介して受け、記憶部32に格納する。
【0054】
ステップS514において、サーバ装置10から端末装置13へ、ユーザを誘導するための誘導情報が送られる。誘導情報は、経路63、乗車実行地点64の位置等を含み、端末装置13の現在位置又は乗車希望地点61から乗車実行地点64への経路の情報が含まれる。また、誘導情報には、ユーザを乗車実行地点64まで誘導するためのゲームのプログラムが含まれてもよい。かかるゲームは、例えば、ユーザが乗車実行地点64に近づくにつれポイントが付与されるようなゲーム、乗車実行地点64までの途上でオブジェクト等を発見してポイントを獲得するゲーム等である。サーバ装置10の制御部23は、誘導情報を、通信部21を介して端末装置13へ送る。端末装置13の制御部43は、サーバ装置10から送られる情報を、通信部41を介して受け、記憶部42に格納する。なお、制御部23は、経路63から除外した乗車希望地点61´を要求したユーザの端末装置13へは、誘導情報の代わりに、別便の車両12の経路を案内する情報を送ってもよい。
【0055】
ステップS516において、車両12は運行を開始する。車両12の制御部33は、運行情報に基づいて、経路63に従って車両12の走行を開始させる。例えば、制御部33は、経路63を出力部36により経路63の情報を出力して運転手に運転を促したり、車両12の自動運転システムに経路63に従って走行する指示を送ったりする。
【0056】
ステップS518において、端末装置13は誘導情報を出力する。制御部43は、誘導情報に含まれる乗車実行地点64までの経路を出力部46により表示したり音声出力したりして、ユーザを乗車実行地点64まで誘導する。あるいは、制御部43は、ゲームプログラムを実行し、ユーザの移動に応じて付されるポイントの情報を出力部46により表示したり音声出力したりしてユーザを誘導する。誘導情報を出力してユーザに提示することで、ユーザの乗車希望地点61から乗車実行地点64への移動を支援し、利便性、興趣を向上させることができる。
【0057】
ステップS520において、サーバ装置10は、インセンティブ付与処理を行う。制御部23は、ユーザの識別情報を用いて、ユーザ毎に決定したインセンティブを付与する処理を実行する。インセンティブは、例えば、ポイント、クーポン等の経済価値であり、各ユーザのアカウント情報に紐づけて記憶部22に格納される。かかるインセンティブ付与により、乗車希望地点61から乗車実行地点64への移動の対価をユーザが得ることができるので、ユーザの納得感、利便性を確保しつつ、車両12の運行を効率化することが可能となる。また、経路63から除外した乗車希望地点61´を要求したユーザに対する補償も可能となる。
【0058】
上述の手順によれば、ユーザの利便に一定程度以上資することが可能となる一方、車両12の移動距離短縮により燃料又は電力を節約することが可能となる。すなわち、車両12の移動経路を最適化することで、車両12の運用効率向上が可能となる。
【0059】
上述の説明では、車両12がオンデマンドバスである場合を例とした。しかし、車両12がカーシェアサービスに供される乗用車等の各種車両であっても、本実施形態は適用される。また、車両12が移動を開始してからもサーバ装置10が随時端末装置13からの乗車要求を受け、経路を逐次追加、更新してもよい。
【0060】
上述において、実施形態を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段、ステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 運行管理システム
10 サーバ装置
11 ネットワーク
12 車両
13 端末装置
21、31、41 通信部
22、32、42 記憶部
23、33、43 制御部
34、44 測位部
25、35、45 入力部
26、36、46 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6