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特許7517278移動体制御システム、移動体制御方法、及び、移動体制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】移動体制御システム、移動体制御方法、及び、移動体制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20240101AFI20240709BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240709BHJP
【FI】
G05D1/00
G05D1/43
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021119412
(22)【出願日】2021-07-20
(65)【公開番号】P2023015556
(43)【公開日】2023-02-01
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】木田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】中山 貴裕
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-167213(JP,A)
【文献】国際公開第2015/147224(WO,A1)
【文献】特開2014-11518(JP,A)
【文献】国際公開第2018/189770(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - G05D 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも撮影装置を備え、所定の経路を移動可能に構成された移動体と、
前記移動体から離れた遠隔地に設けられ、前記撮影装置の撮影映像を表示させる表示装置と、
前記遠隔地に設けられた第1操作端末と、
前記第1操作端末を介して入力された第1操作情報に基づいて前記移動体の移動を制御する制御装置と、
前記遠隔地よりも前記移動体の近くに設けられた第2操作端末と、
を備え、
前記制御装置は、前記第2操作端末を介して入力された第2操作情報に基づいて、前記第1操作情報に基づく前記移動体の移動制御を補助するように構成されている、
移動体制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2操作情報によって前記移動体の移動を停止させるように指示を受けた場合には、前記第1操作情報の内容に関わらず、前記移動体の移動を停止させる、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項3】
前記制御装置が前記第2操作情報に基づいて前記移動体の移動を停止させた場合に、その旨を通知する通知装置をさらに備えた、
請求項2に記載の移動体制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第2操作情報によって所定のエリアを撮影するように指示を受けた場合には、前記移動体に搭載された前記撮影装置によって前記所定のエリアを撮影させる、
請求項1~3の何れか一項に記載の移動体制御システム。
【請求項5】
前記制御装置が前記第2操作情報に基づいて前記移動体に搭載された前記撮影装置によって前記所定のエリアを撮影させた場合に、その旨を通知する通知装置をさらに備えた、
請求項4に記載の移動体制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1操作情報に基づいて前記移動体を直進させるか否かの制御を行い、且つ、前記第2操作情報に基づいて前記移動体を旋回させるか否かの制御を行う、
請求項1~5の何れか一項に記載の移動体制御システム。
【請求項7】
所定の経路を移動可能に構成された移動体、から離れた遠隔地に設けられた第1操作端末を介して入力された第1操作情報に基づいて、前記移動体の移動を制御するステップと、
前記遠隔地よりも前記移動体の近くに設けられた第2操作端末を介して入力された第2操作情報に基づいて、前記第1操作情報に基づく前記移動体の移動制御を補助するステップと、
移動体の移動を制御しながら、前記遠隔地に設けられた表示装置に、前記移動体に搭載された撮影装置の撮影映像を表示させるステップと、
を備えた、移動体制御方法。
【請求項8】
所定の経路を移動可能に構成された移動体、から離れた遠隔地に設けられた第1操作端末を介して入力された第1操作情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する処理と、
前記遠隔地よりも前記移動体の近くに設けられた第2操作端末を介して入力された第2操作情報に基づいて、前記第1操作情報に基づく前記移動体の移動制御を補助する処理と、
移動体の移動を制御しながら、前記遠隔地に設けられた表示装置に、前記移動体に搭載された撮影装置の撮影映像を表示させる処理と、
をコンピュータに実行させる移動体制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体制御システム、移動体制御方法、及び、移動体制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、移動体に搭載された撮影装置の撮影映像を遠隔地に設けられた表示装置に表示させることにより、当該遠隔地にいるユーザが移動体に搭乗したかのような体験をすることが可能なシステムの開発が進められている。例えば、工場内の所定の経路を移動する移動体に搭載された撮影装置の撮影映像を遠隔地に設けられた表示装置に表示させることにより、当該遠隔地にいるユーザは、当該移動体に搭乗したかのようにその工場を見学することができる。
【0003】
関連する技術は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、自律走行中の移動ロボットの走行速度を、オペレータが自在に可変できるような装置を備えたシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-15528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、遠隔操作しているオペレータが、視認しづらい障害物(小石や死角にある障害物等)の存在を気にしながら移動ロボットの走行速度を制御する必要があり、当該移動ロボットを円滑に制御することができない、という課題があった。その結果、例えば、特許文献1に開示されたシステムを、ユーザが移動体(移動ロボット)に搭乗したかのような体験をすることが可能なシステムに適用した場合、ユーザは、快適に、移動体に搭乗したような体験をすることができない可能性がある。
【0006】
本開示は、以上の背景に鑑みなされたものであり、ユーザによる移動体の円滑な制御が可能な移動体制御システム、移動体制御方法、及び、移動体制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態にかかる移動体制御システムは、少なくとも撮影装置を備え、所定の経路を移動可能に構成された移動体と、前記移動体から離れた遠隔地に設けられ、前記撮影装置の撮影映像を表示させる表示装置と、前記遠隔地に設けられた第1操作端末と、前記第1操作端末を介して入力された第1操作情報に基づいて前記移動体の移動を制御する制御装置と、前記遠隔地よりも前記移動体の近くに設けられた第2操作端末と、を備え、前記制御装置は、前記第2操作端末を介して入力された第2操作情報に基づいて、前記第1操作情報に基づく前記移動体の移動制御を補助するように構成されている。この移動体制御システムでは、移動体の近くにいるサポータが、移動体を遠隔操作しているユーザにとって視認しづらい障害物を回避するように当該移動体の移動制御を補助することができるため、ユーザは、視認しづらい障害物を気にすることなく円滑に移動体を制御することができる。その結果、例えば、ユーザは、視認しづらい障害物の存在を気にせずに、移動体に搭載された撮影装置の撮影映像を見ながら、移動体に搭乗したような体験をすることができる。また、移動体に障害物を回避する機能を設ける必要が無いため、コストの増大が抑制される。
【0008】
前記制御装置は、前記第2操作情報によって前記移動体の移動を停止させるように指示を受けた場合には、前記第1操作情報の内容に関わらず、前記移動体の移動を停止させてもよい。
【0009】
前記制御装置が前記第2操作情報に基づいて前記移動体の移動を停止させた場合に、その旨を通知する通知装置をさらに備えていてもよい。
【0010】
前記制御装置は、前記第2操作情報によって所定のエリアを撮影するように指示を受けた場合には、前記移動体に搭載された前記撮影装置によって前記所定のエリアを撮影させてもよい。
【0011】
前記制御装置が前記第2操作情報に基づいて前記移動体に搭載された前記撮影装置によって前記所定のエリアを撮影させた場合に、その旨を通知する通知装置をさらに備えていてもよい。
【0012】
前記制御装置は、前記第1操作情報に基づいて前記移動体を直進させるか否かの制御を行い、且つ、前記第2操作情報に基づいて前記移動体を旋回させるか否かの制御を行ってもよい。
【0013】
本実施の形態にかかる移動体制御方法は、所定の経路を移動可能に構成された移動体、から離れた遠隔地に設けられた第1操作端末を介して入力された第1操作情報に基づいて、前記移動体の移動を制御するステップと、前記遠隔地よりも前記移動体の近くに設けられた第2操作端末を介して入力された第2操作情報に基づいて、前記第1操作情報に基づく前記移動体の移動制御を補助するステップと、移動体の移動を制御しながら、前記遠隔地に設けられた表示装置に、前記移動体に搭載された撮影装置の撮影映像を表示させるステップと、を備える。この移動体制御方法では、移動体の近くにいるサポータが、移動体を遠隔操作しているユーザにとって視認しづらい障害物を回避するように当該移動体の移動制御を補助することができるため、ユーザは、視認しづらい障害物を気にすることなく円滑に移動体を制御することができる。その結果、例えば、ユーザは、視認しづらい障害物の存在を気にせずに、移動体に搭載された撮影装置の撮影映像を見ながら、移動体に搭乗したような体験をすることができる。また、移動体に障害物を回避する機能を設ける必要が無いため、コストの増大が抑制される。
【0014】
本実施の形態にかかる移動体制御プログラムは、所定の経路を移動可能に構成された移動体、から離れた遠隔地に設けられた第1操作端末を介して入力された第1操作情報に基づいて、前記移動体の移動を制御する処理と、前記遠隔地よりも前記移動体の近くに設けられた第2操作端末を介して入力された第2操作情報に基づいて、前記第1操作情報に基づく前記移動体の移動制御を補助する処理と、移動体の移動を制御しながら、前記遠隔地に設けられた表示装置に、前記移動体に搭載された撮影装置の撮影映像を表示させる処理と、をコンピュータに実行させる。この移動体制御プログラムでは、移動体の近くにいるサポータが、移動体を遠隔操作しているユーザにとって視認しづらい障害物を回避するように当該移動体の移動制御を補助することができるため、ユーザは、視認しづらい障害物を気にすることなく円滑に移動体を制御することができる。その結果、例えば、ユーザは、視認しづらい障害物の存在を気にせずに、移動体に搭載された撮影装置の撮影映像を見ながら、移動体に搭乗したような体験をすることができる。また、移動体に障害物を回避する機能を設ける必要が無いため、コストの増大が抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、ユーザによる移動体の円滑な制御が可能な移動体制御システム、移動体制御方法、及び、移動体制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1にかかる移動体制御システムの構成例を示すブロック図である。
図2図1に示す移動体制御システムの設定動作の一例を示すフローチャートである。
図3図1に示す移動体制御システムに設けられた移動体の所定の移動経路の一例を示す図である。
図4図1に示す移動体制御システムに設けられた移動体による障害物の回避動作の一例を示す図である。
図5図1に示す移動体制御システムに設けられた移動体の所定の移動経路の他の例を示す図である。
図6図1に示す移動体制御システムに設けられた移動体による障害物の回避動作の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0018】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る移動体制御システム1の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、移動体制御システム1は、移動体11と、表示装置13と、制御装置14と、遠隔操作端末(第1操作端末)15と、近接操作端末(第2操作端末)16と、ネットワーク40と、を備える。移動体11、表示装置13、制御装置14、遠隔操作端末15、及び、近接操作端末16は、有線又は無線のネットワーク40を介して互いに通信可能に構成されている。
【0019】
移動体11は、工場等の施設20内の所定の経路を移動可能に構成された移動ロボットである。移動体11は、当該移動体11の周辺を撮影する撮影装置12を少なくとも備える。例えば、施設20が自動車製造工場である場合、撮影装置12は、施設20内を移動中の移動体11から撮影を行うことにより、自動車の製造工程の様子を撮影することができる。或いは、施設20が美術品の展示場である場合には、撮影装置12は、移動中の移動体11から撮影を行うことにより、様々な展示品を撮影することができる。
【0020】
表示装置13は、移動体11から離れた遠隔地30に設けられている。遠隔地30は、工場等の施設20から離れた任意の場所であって、例えば、ユーザ(本システムの利用者)の自宅や、施設20の見学会が催されているイベント会場などである。表示装置13は、例えば、PC(Personal Computer)端末のモニタ、タブレット端末等の携帯端末のモニタ、又は、本システム専用のモニタなどである。表示装置13には、撮影装置12による撮影映像が表示される。
【0021】
遠隔操作端末15は、表示装置13とともに遠隔地30に設けられている。遠隔操作端末15は、例えば、PC端末に備え付けられたキーボード、タブレット端末等の携帯端末の操作画面、又は、本システム専用の操作端末などである。遠隔操作端末15は、ユーザからの移動体11の操作に関する情報を受け付けて、制御装置14に送信する。
【0022】
近接操作端末16は、遠隔操作端末15よりも移動体11の近くに設けられている。例えば、近接操作端末16は、施設20の管理室や、移動体11及びその周辺を視認できる程度に当該移動体11の近傍に設けられている。近接操作端末16は、PC端末に備え付けられたキーボード、タブレット端末等の携帯端末の操作画面、又は、本システム専用の操作端末などである。近接操作端末16は、サポータ(本システムの管理者又は担当者)からの移動体11の操作に関する情報を受け付けて、制御装置14に送信する。
【0023】
制御装置14は、移動体制御システム1の全般的な制御を行う。ここで、制御装置14は、遠隔操作端末15を介して入力された操作情報(以下、第1操作情報とも称す)に基づいて、移動体11の移動を制御する。
【0024】
例えばユーザの操作によって、移動体11を所定の経路に沿って前進又は後退させるように指示する操作情報、が遠隔操作端末15に入力された場合、制御装置14は、その操作情報に従って、移動体11を所定の経路に沿って前進又は後退させる。また、ユーザの操作によって、移動体11の移動を停止させるように指示する操作情報、が遠隔操作端末15に入力された場合、制御装置14は、その操作情報に従って、移動体11の移動を停止させる。
【0025】
さらに、制御装置14は、近接操作端末16を介して入力された操作情報(以下、第2操作情報とも称す)に基づいて、第1操作情報(遠隔操作端末15を介して入力された操作情報)に基づく移動体11の移動制御を補助するように構成されている。
【0026】
例えば、移動体11が所定の経路に沿って移動中の場合において、サポータの操作によって、移動体11に所定の経路上に発見された障害物(小石や死角にある障害物等)を回避させるように指示する操作情報、が近接操作端末16に入力された場合、制御装置14は、その操作情報に従って、移動体11を、当該障害物を回避するような迂回経路に沿って移動させる。
【0027】
また、移動体11が所定の経路に沿って移動中の場合において、サポータの操作によって、移動体11の移動を緊急停止させるように指示する操作情報、が近接操作端末16に入力された場合、制御装置14は、第1操作情報の内容に関わらず、移動体11の移動を停止させる。
【0028】
また、ユーザの操作によって、撮影装置12の撮影範囲を変更するように(例えば所定のエリアを撮影するように)指示する操作情報、が近接操作端末16に入力された場合、制御装置14は、その操作情報に従って、撮影装置12の撮影範囲を変更させる(例えば撮影装置12に所定のエリアを撮影させる)。
【0029】
なお、移動体制御システム1には、第2操作情報に従って、撮影装置12に所定のエリアを撮影させたり、移動体11を緊急停止させたりした場合に、その旨を通知する通知装置がさらに設けられても良い。通知装置は、例えばスピーカであって、表示装置13等とともに遠隔地30に設けられる。
【0030】
また、制御装置14は、上述のような制御に限られず、第1操作情報に基づいて移動体11を直進させるか否かの制御を行い、且つ、第2操作情報に基づいて移動体11を旋回させるか否かの制御を行うようにしても良い。
【0031】
(移動体制御システム1の設定動作の一例)
続けて、図2を用いて、移動体制御システム1の設置動作の一例を説明する。
図2は、移動体制御システム1の設定動作の一例を示すフローチャートである。
【0032】
まず、移動体制御システム1は、近接操作端末16がネットワーク40に接続されるまで、移動体11を待機させる(ステップS101→S102のNO)。
【0033】
近接操作端末16がネットワーク40に接続されると(ステップS102のYES)、次に、遠隔操作端末15がネットワーク40に接続されたか否かの確認が行われる(ステップS103)。
【0034】
ここで、遠隔操作端末15がネットワーク40に接続されていない場合(ステップS103のNO)、移動体11の通常走行、及び、移動体11の障害物を回避するための迂回走行、の何れも、近接操作端末16を介して入力された操作情報の指示内容に従って制御される(ステップS104)。
【0035】
それに対し、遠隔操作端末15がネットワーク40に接続されている場合(ステップS103のYES)、次に、近接操作端末16に設けられた近接操作優先ボタンが押圧されているか否かの確認が行われる(ステップS105)。
【0036】
ここで、近接操作優先ボタンが押圧されている場合(ステップS105のYES)、近接操作端末16の操作が優先されるため、移動体11の通常走行、及び、移動体11の障害物を回避するための迂回走行、の何れも、近接操作端末16を介して入力された操作情報の指示内容に従って制御される(ステップS106)。
【0037】
それに対し、近接操作優先ボタンが押圧されていない場合(ステップS105のNO)、次に、近接操作端末16に設けられた遠隔操作有効ボタンが押圧されているか否かの確認が行われる(ステップS107)。
【0038】
ここで、遠隔操作有効ボタンが押圧されている場合(ステップS107のYES)、遠隔操作端末15の操作が有効になるため、移動体11の通常走行(所定経路に沿った移動)は、遠隔操作端末15を介して入力された操作情報(第1操作情報)の指示内容に従って制御され、移動体11の障害物を回避するための迂回走行は、近接操作端末16を介して入力された操作情報(第2操作情報)の指示内容に従って制御される(ステップS108)。
【0039】
それに対し、遠隔操作有効ボタンが押圧されていない場合(ステップS107のNO)、近接操作端末16の操作が優先されず、且つ、遠隔操作端末15の操作も無効になるため、遠隔操作端末15及び近接操作端末16の何れに入力される操作情報も無効となる(ステップS109)。
【0040】
なお、図2に示す設定動作は一例に過ぎず、例えば、近接操作優先ボタン及び遠隔操作有効ボタンの一つ又は全部は省略されてもよい。本実施の形態では、遠隔操作端末15及び近接操作端末16の何れに入力される操作情報も有効(即ち、図2におけるステップS108の設定状態)である場合を例に説明する。
【0041】
(移動体11による障害物の回避動作の一例)
続いて、図3及び図4を用いて移動体11による障害物の回避動作の一例を説明する。
図3は、移動体11の所定の移動経路の一例を示す図である。
図4は、移動体11による障害物の回避動作の一例を示す図である。
【0042】
図3の例では、施設20内に、通路L11と、通路L12と、通路L11,L12間を連結する曲がり角C11と、が設けられている。図3の例では、制御装置14が、遠隔操作端末15を介して入力された第1操作情報に基づいて、移動体11を、通路L11から曲がり角C11を介して通路L12にかけて形成された移動経路R1に沿って移動させている。
【0043】
ここで、図4に示すように、移動経路R1上の領域のうち移動体11にとって死角となる領域に障害物B1が発見された場合、移動体11の近くに居るサポータは、移動体11に障害物B1を回避させるように指示する操作情報を、近接操作端末16に入力する。それにより、制御装置14は、その操作情報に従って、移動体11を、障害物B1を回避するような迂回経路R1aに沿って移動させる。
【0044】
(移動体11による障害物の回避動作の他の例)
続いて、図5及び図6を用いて移動体11による障害物の回避動作の他の例を説明する。
図5は、移動体11の所定の移動経路の他の例を示す図である。
図6は、移動体11による障害物の回避動作の他の例を示す図である。
【0045】
図5の例では、施設20内に、通路L21が設けられている。図5の例では、制御装置14が、遠隔操作端末15を介して入力された第1操作情報に基づいて、移動体11を、通路L21に沿って直線状に形成された移動経路R2に沿って移動させている。
【0046】
ここで、図6に示すように、移動経路R2上に移動体11の移動の妨げとなる小石等の障害物B2が発見された場合、移動体11の近くに居るサポータは、移動体11に障害物B2を回避させるように指示する操作情報を、近接操作端末16に入力する。それにより、制御装置14は、その操作情報に従って、移動体11を、障害物B2を回避するような迂回経路R2aに沿って移動させる。
【0047】
このように、本実施の形態にかかる移動体制御システム1では、移動体11の近くにいるサポータが、移動体11を遠隔操作しているユーザにとって視認しづらい障害物を回避するように当該移動体11の移動制御を補助することができるため、ユーザは、視認しづらい障害物を気にすることなく円滑に移動体を制御することができる。その結果、例えば、ユーザは、視認しづらい障害物の存在を気にせずに、移動体11に搭載された撮影装置12の撮影映像を見ながら、移動体11に搭乗したような体験をすることができる。また、移動体11に障害物を回避する機能を設ける必要が無いため、コストの増大が抑制される。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0049】
さらに、本開示は、移動体制御システム1又はそれに設けられた制御装置14における処理の一部又は全部を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。
【0050】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0051】
1 移動体制御システム
11 移動体(移動ロボット)
12 撮影装置
13 表示装置
14 制御装置
15 遠隔操作端末
16 近接操作端末
20 施設
30 遠隔地
40 ネットワーク
B1 障害物
B2 障害物
C11 曲がり角
L11 通路
L12 通路
L21 通路
R1 移動経路
R1a 移動経路
R2 移動経路
R2a 移動経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6