(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】移載装置および搬送車
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B65G1/04 515A
B65G1/04 541
(21)【出願番号】P 2021144986
(22)【出願日】2021-09-06
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】辻本 和史
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-151600(JP,A)
【文献】特開2008-063034(JP,A)
【文献】特開2010-208816(JP,A)
【文献】特開2008-239339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被移載物が載置される載置部と、
前記被移載物を挟み込む左右一対の保持体と、
前記被移載物を挟み込んで移載元から前記載置部へ移載するように前記一対の保持体のそれぞれの動作を制御する制御部と、
前記制御部により前記制御が実行されているときの前記被移載物の姿勢を検知する検知部と、を備え、
前記制御部は、前記検知部により検知された前記姿勢が規定姿勢に対して傾いている場合、前記一対の保持体が前記被移載物を移載させる動作をそれぞれ異なるように制御することにより前記被移載物の姿勢を補正
し、
前記検知部は、前記一対の保持体のそれぞれにかかる負荷の差に基づいて前記姿勢を検知し、
前記制御部は、前記一対の保持体のうち、相対的に負荷が軽い一方の動作速度を負荷が重い他方の動作速度より速くするように制御する、移載装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記一対の保持体の負荷の差が所定値以下になるまで前記制御を継続する、請求項
1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記一対の保持体はベルトコンベヤのベルトである、請求項
1に記載の移載装置。
【請求項4】
連続する前記移載元に沿って移動することにより前記被移載物を搬送する搬送車であって、
請求項1から
3のいずれか1項に記載の移載装置を備え、
前記移載装置は、前記移載元と前記載置部との間で前記被移載物を移載する、搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被移載物を移載する移載装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッカクレーン、搬送台車などには、格納棚に対して物品を出し入れする移載装置が搭載されている。例えば、特許文献1には、物品を両側から挟持した状態で動くことにより物品を移動するサイドコンベヤを備えた移載装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の移載装置によって物品を棚から取り出す場合、物品の位置または姿勢が適正でなければ、サイドコンベヤによって物品を両側から挟持しても、サイドコンベヤが物品の両側に対して均等に搬送力を作用させることができない。このため、物品が移載方向に対して傾いてしまい、物品の移載に支障を来すという問題が生じる。
【0005】
本発明の一態様は、移載する被移載物の姿勢を補正できる移載装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る移載装置は、被移載物が載置される載置部と、前記被移載物を挟み込む左右一対の保持体と、前記被移載物を挟み込んで移載元から前記載置部へ移載するように前記一対の保持体のそれぞれの動作を制御する制御部と、前記制御部により前記制御が実行されているときの前記被移載物の姿勢を検知する検知部と、を備え、前記制御部は、前記検知部により検知された前記姿勢が規定姿勢に対して傾いている場合、前記一対の保持体が前記被移載物を移載させる動作をそれぞれ異なるように制御することにより前記被移載物の姿勢を補正する。
【0007】
上記構成によれば、一対の保持体の動作を異ならせることで、被移載物の一対の保持体に保持される部分が移動する距離の差を小さくすることができる。これにより、被移載物が傾いていても、その姿勢が補正される。したがって、被移載物の移載を円滑に行うことができる。
【0008】
前記移載装置において、前記検知部は、前記一対の保持体のそれぞれにかかる負荷の差に基づいて前記姿勢を検知し、前記制御部は、前記一対の保持体のうち、相対的に負荷が軽い一方の動作速度を負荷が重い他方の動作速度より速くするように制御する。
【0009】
上記構成によれば、一対の保持体のうち、相対的に負荷が軽い一方が保持する被移載物の部分を、他方が保持する被移載物の部分より多く移動させる。これにより、被移載物の姿勢が補正される。
【0010】
前記移載装置において、前記制御部は、前記一対の保持体の負荷の差が所定値以下になるまで前記制御を継続する。
【0011】
上記構成によれば、負荷の差が所定値以下になっていれば被移載物の姿勢が規定姿勢に補正されたと見なせる場合、負荷の差が所定値以下になるまで動作速度の制御を継続することにより、被移載物の姿勢をより正確に補正することができる。
【0012】
前記移載装置において、前記検知部は、前記移載装置における左右方向に間隔をおいた異なる2つの測定位置のそれぞれで測定された前記被移載物との移載方向の直線距離の差に基づいて前記姿勢を検知し、前記制御部は、前記一対の保持体のうち、相対的に長い前記直線距離が測定された前記測定位置側の一方の動作速度を他方の動作速度より速くするように制御する。
【0013】
上記構成によれば、一対の保持体のうち、相対的に長い直線距離が測定された測定位置側の一方が保持する被移載物の部分を、他方が保持する被移載物の部分より多く移動させる。これにより、被移載物の姿勢が補正される。
【0014】
前記移載装置において、前記制御部は、前記直線距離の差が所定値以下になるまで前記制御を継続する。
【0015】
上記構成によれば、直線距離の差が所定値以下になっていれば被移載物の姿勢が規定姿勢に補正されたと見なせる場合、直線距離の差が所定値以下になるまで動作速度の制御を継続することにより、被移載物の姿勢をより正確に補正することができる。
【0016】
前記移載装置において、前記検知部は、前記被移載物が撮影された画像に基づいて前記姿勢を検知し、前記制御部は、前記一対の保持体のうち、前記被移載物が傾いている側の一方の動作速度を他方の動作速度より遅くするように制御する。
【0017】
上記構成によれば、一対の保持体のうち、被移載物が傾いている側の一方が保持する被移載物の部分を、他方が保持する被移載物の部分より少なく移動させる。これにより、被移載物の姿勢が補正される。
【0018】
前記移載装置において、前記制御部は、前記検知部により検知された前記姿勢が前記規定姿勢になるまで前記制御を継続する。
【0019】
上記構成によれば、被移載物の姿勢を規定姿勢に正確に補正することができる。
【0020】
前記移載装置において、前記一対の保持体はベルトコンベヤのベルトである。
【0021】
上記構成によれば、ベルトコンベアのベルトが、被移載物に対する接触面積を多く確保できるため、被移載物の移載に適している。
【0022】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る搬送車は、連続する前記移載元に沿って移動することにより前記被移載物を搬送する搬送車であって、上記のいずれかの移載装置を備え、前記移載装置は、前記移載元と前記載置部との間で前記被移載物を移載する。
【0023】
上記構成によれば、上述した移載装置と同じく、被移載物の移載を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、移載する被移載物の姿勢を補正できる移載装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態1~3に共通して係る収納倉庫の構成を示す平面図である。
【
図2】上記収納倉庫における通路を走行する搬送車の構成を示す平面図である。
【
図4】上記搬送車における移載装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態1~3に係る移載装置による被移載物の移載動作を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態4に係る移載装置による被移載物の移載動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔収納倉庫および搬送車〕
本発明の実施形態1~3に共通する収納倉庫および搬送車について、
図1~
図3に基づいて説明する。
図1は、収納倉庫100の構成を示す平面図である。
図2は、収納倉庫100における通路102を走行する搬送車1の構成を示す平面図である。
図3は、搬送車1の構成を示す正面図である。
【0027】
図1に示すように、収納倉庫100は、収納棚101と、通路102とを備えている。通路102は、搬送車1が往復移動可能となるように直線状に形成されている。収納棚101は、通路102の両側に配置されている。収納棚101は、通路102に沿って連続して並ぶ複数の収納部101a(移載元)に区画されている。
図1に示す収納棚101および通路102は、1段の構成である。収納棚101には、
図1に示す収納棚101および通路102が複数段設けられている。また、収納棚101は、搬送車1を各段の通路102に昇降移動させるための図示しない昇降装置をさらに備えている。
【0028】
搬送車1は、基台2と、移載装置3とを備えている。基台2は、通路102を、通路102の長手方向に沿った、X1方向およびX1方向と逆のX2方向に往復移動可能となるように構成されている。具体的には、
図2および
図3に示すように、基台2の下面には、4つの車輪21が設けられている。また、基台2は、X1方向およびX2方向に沿った短辺と、X1方向およびX2方向に直交する方向に沿った長辺とを有する長方形に形成されている。
【0029】
移載装置3は、基台2上に設けられており、被移載物200を挟持する挟持機構5(
図2および
図3参照)を有している。移載装置3は、挟持機構5をX1方向およびX2方向に直交するY1方向(移載方向)と、Y1方向と逆のY2方向(移載方向)とに進退移動させる。これにより、移載装置3は、被移載物200を、収納部101aと、移載装置3に設けられた後述する載置板68(載置部)との間で移載する。
【0030】
続いて、移載装置3について詳細に説明する。
【0031】
図2および
図3に示すように、移載装置3は、進退機構4と、挟持機構5とを有している。
【0032】
進退機構4は、挟持機構5を基台2から収納部101aへ(Y1方向またはY2方向へ)進出移動させるとともに、挟持機構5を収納部101aから基台2へ(Y2方向またはY1方向へ)退行移動させるために設けられる機構である。進退機構4は、スライド板41と、案内機構42と、駆動機構43とを有している。
【0033】
スライド板41は、挟持機構5を支持する板部材であり、基台2上に配置されている。スライド板41は、基台2の幅(短辺)よりもやや短い長辺と、基台2の長さ(長辺)の1/3程度の短辺とを有する長方形に形成されており、その長手方向がY1方向およびY2方向に直交するように配置されている。
【0034】
案内機構42は、スライド板41をY1方向およびY2方向に案内するための機構である。
図3に示すように、案内機構42は、一対のガイドレール421と、4つのローラ422とを有している。
【0035】
ガイドレール421は、Y1方向およびY2方向に伸びるように、直線状に形成されており、基台2の上面における基台2の両側縁の付近に配置されている。ガイドレール421は、互いに対向する側に凹部が形成されている。
【0036】
ローラ422は、回転可能となるようにスライド板41の下面に支持されている。ローラ422は、1つのガイドレール421の凹部内に2つずつ配置されており、凹部の底面上をY1方向およびY2方向に転動する。
【0037】
駆動機構43は、基台2上でスライド板41をY1方向およびY2方向に駆動するための機構である。駆動機構43は、Y1方向およびY2方向に伸びるように、直線状に設けられており、一対のガイドレール421の中間位置にガイドレール421と平行に配置されている。駆動機構43は、例えば、タイミングベルトおよびプーリ、ラックアンドピニオンのような回転運動を直線運動に変換する機構が用いられる。
【0038】
挟持機構5は、拡縮機構6と、一対のベルトコンベヤ7とを有している。
【0039】
拡縮機構6は、一対のベルトコンベヤ7を、X1方向およびX2方向に沿った、間隔が縮小する方向と、間隔が拡大する方向とに移動させる機構である。拡縮機構6は、一対のねじ軸61と、一対のナット62と、共通軸受63と、一対の軸受64と、スライド軸65と、一対のホルダ66と、一対の支持部材67と、一対の載置板68とを有している。
【0040】
ねじ軸61は、スライド板41上に設けられ、スライド板41における一方の長辺側の側縁の付近に配置されている。ねじ軸61は、それぞれの中心軸が同一となるようにX1方向およびX2方向に向けて配置されている。ねじ軸61の端部のうち、スライド板41の短辺側の側縁に近い端部は、軸受64に回転可能に支持され、他の端部は共通軸受63に回転可能に支持されている。
【0041】
ナット62は、貫通孔を有しており、当該貫通孔にねじ軸61が挿入されている。ナット62が、ねじ軸61に対して図示しない鋼球を介して転がり接触することにより、ねじ軸61の回転に応じて、ナット62がねじ軸61に沿ってX1方向またはX2方向に移動する。このように、ねじ軸61およびナット62は、ボールねじを構成している。
【0042】
スライド軸65は、スライド板41上に設けられ、スライド板41における他方の長辺側の側縁の付近に、ねじ軸61と平行に配置されている。スライド軸65の両端は、支持部材67によって固定されてスライド板41上に支持されている。
【0043】
ホルダ66は、貫通孔を有しており、当該貫通孔にスライド軸65が挿入されている。ホルダ66は、スライド軸65をX1方向およびX2方向に沿ってスライド可能となるように設けられている。
【0044】
載置板68は、それぞれ、Y1方向およびY2方向に並んで配置されたナット62およびホルダ66の上に配置されている。また、載置板68は、これらのナット62およびホルダ66に固定されている。
【0045】
上記のように構成される拡縮機構6は、一対のねじ軸61が互いに逆方向に回転することにより、一対のナット62が、共通軸受63に近づくように、または共通軸受63から遠ざかるように移動する。これにより、ナット62に固定された載置板68もナット62とともに移動する。また、載置板68が固定されたホルダ66は、載置板68の移動により、スライド軸65に沿って移動する。このように、一対の載置板68は、間隔が狭まる方向または間隔が広がる方向に移動する。
【0046】
ベルトコンベヤ7は、
図3に示すように、被移載物200を挟み込んだ状態で被移載物200を保持するベルト74(保持体)の保持面をY1方向およびY2方向に移動させる。ベルトコンベヤ7は、支持体71と、一対の支持板72と、一対の駆動ローラ73と、ベルト74とを有している。ここで、被移載物200は、トレイ201に手荷物などの物品202が載置されたものである。トレイ201は、長方形を成しているため、被移載物200の外形も長方形を成している。なお、トレイ201の形状は長方形に限らず、他の形状であってもよい。
【0047】
支持体71は、ベルトコンベヤ7を拡縮機構6上に支持する部材である。具体的には、支持体71は、載置板68と同じく、Y1方向およびY2方向に並んで配置されたナット62およびホルダ66の上に配置され、これらのナット62およびホルダ66に固定されている。これにより、支持体71は、載置板68とともに移動する。
【0048】
一対の支持板72は、支持体71上に上下に間隔をおいて配置されている。下方に配置される支持板72は、支持体71上に固定されている。上方に配置される支持板72は、図示しないスペーサを間において下方に配置される支持板72上に配置されている。
【0049】
駆動ローラ73は、一対の支持板72の両端に1つずつ配置されている。駆動ローラ73の駆動軸は、一対の支持板72に回転可能に支持されている。駆動ローラ73は、駆動軸に伝達される回転駆動力によって正方向および逆方向に回転する。
【0050】
ベルト74は、一定の幅を有するとともに、環状(無端)に形成されている。ベルト74は、ゴムなどの摩擦係数の大きい材料によって形成されている。ベルト74は、一対のベルトコンベヤ7が対向する側の面で被移載物200を保持する。
【0051】
上記のように構成される挟持機構5は、一対のベルトコンベヤ7を、間隔が狭まる方向または間隔が広がる方向に移動させる。また、一対のベルトコンベヤ7は、左右一対のベルト74における被移載物200を保持する面をY1方向またはY2方向に移動させることにより、被移載物200をY1方向またはY2方向に移動させる。
【0052】
なお、挟持機構5は、ベルトコンベヤ7を有しているが、同等の機能を有する機構であれば、ベルトコンベヤ7に代えて他の機構を有していてもよい。例えば、そのような機構としては、Y1方向およびY2方向に移動する往復移動機構に被移載物200を保持するパッドを設けた機構であってもよいし、ゴムローラ送り機構などであってもよい。ゴムローラ送り機構は、Y1方向およびY2方向に並ぶように配置された複数のゴムローラを備え、回転駆動されるゴムローラにより被移載物200を移動させる。
【0053】
続いて、移載装置3の制御系について説明する。
図4は、当該制御系の構成を示すブロック図である。
【0054】
図4に示すように、移載装置3は制御部8を備えている。制御部8は、移載装置3における、進退機構4、拡縮機構6およびベルトコンベヤ7の動作を制御する。制御部8は、制御機能を実現するために、進退制御部81と、挟持制御部82と、移載制御部83とを有している。また、移載装置3は、制御系を構成する要素として、移載位置センサ11と、挟持位置センサ12と、進退モータ44と、拡縮モータと69と、コンベヤモータ75とを備えている。
【0055】
移載位置センサ11は、スライド板41のY1方向およびY2方向の位置を検出するセンサであり、基台2上の所定の位置に設けられている。具体的には、移載位置センサ11は、スライド板41の退行位置、進出位置および中間位置を検出する。
【0056】
退行位置は、スライド板41が
図2に示す基台2上の規定の位置にある状態のスライド板41の位置である。スライド板41の規定の位置は、搬送車1が被移載物200を搬送する状態でスライド板41が基台2の中央に配置される位置である。進出位置は、スライド板41が収納部101a側に最も進出した状態でのスライド板41の位置である。中間位置は、退行位置と進出位置との間の進出位置に近い位置である。
【0057】
挟持位置センサ12は、ベルトコンベヤ7の位置を検出するセンサであり、基台2上の所定の位置に設けられている。具体的には、挟持位置センサ12は、挟持位置および挟持解除位置を検出する。挟持位置は、ベルトコンベヤ7が被移載物200を挟持する最も間隔の狭まった状態にあるベルトコンベヤ7の位置である。挟持解除位置は、ベルトコンベヤ7が最も間隔の広がった状態にあるベルトコンベヤ7の位置である。
【0058】
検知部13は、被移載物200を移載するときの移載装置3の動作の制御が制御部8により実行されているときの被移載物200の姿勢を検知する。検知部13の具体的な姿勢の検知手法については、後述する実施形態2~4において説明する。
【0059】
コンベヤモータ75は、ベルトコンベヤ7に含まれるモータであり、駆動ローラ73を回転駆動する。進退モータ44は、進退機構4に含まれるモータであり、進退機構4の被駆動部を駆動する。拡縮モータ69は、拡縮機構6に含まれるモータであり、ねじ軸61を回転駆動する。拡縮モータ69は、一対のねじ軸61を同時に駆動する。このため、拡縮機構6は、一対のねじ軸61に拡縮モータ69の駆動力を伝達するための駆動力伝達機構(図示せず)を有している。
【0060】
進退制御部81は、移載位置センサ11によって検出されたスライド板41の位置(進退検出位置)に応じて、移載装置3が収納部101aから載置板68に被移載物200を移載する引き込み動作を行うときの、進退モータ44の回転および回転停止を制御する。具体的には、進退制御部81は、進出移動期間と退行移動期間とで進退モータ44の回転を反転させる。進出移動期間は、進退検出位置が退行位置から進出位置に変化するまでのスライド板41を収納部101aに進出移動させる期間である。退行移動期間は、進退検出位置が進出位置から退行位置に変化するまでのスライド板41を基台2に退行移動させる期間である。
【0061】
挟持制御部82は、挟持位置センサ12によって検出されたベルトコンベヤ7の位置(コンベヤ検出位置)および進退検出位置に応じて、移載装置3が引き込み動作を行うときの、拡縮モータ69の回転および回転停止を制御する。具体的には、挟持制御部82は、進退検出位置が退行位置から中間位置に変化するまでは拡縮モータ69を回転させず、中間位置が検出されたときに、一対のベルトコンベヤ7の間隔が縮小する方向に拡縮モータ69を回転させる。また、挟持制御部82は、挟持位置が検出されたときに、拡縮モータ69の回転を停止させる。また、挟持制御部82は、進退検出位置が進出位置から退行位置に変化するまでは拡縮モータ69を回転させ、退行位置が検出されたときに、一対のベルトコンベヤ7の間隔が拡大する方向に拡縮モータ69を回転させる。
【0062】
移載制御部83は、進退検出位置に基づいて、移載装置3が引き込み動作を行うときの一対のベルトコンベヤ7におけるコンベヤモータ75の動作を制御する。具体的には、移載制御部83は、引き込み動作前の退行位置が検出されている状態ではコンベヤモータ75を回転させない。また、移載制御部83は、検出位置が退行位置から中間位置に変化したとき、進退検出位置が中間位置から進出位置に変化したとき、および進退検出位置が進出位置から中間位置に変化したときに、コンベヤモータ75を回転させる。また、移載制御部83は、進退検出位置が中間位置から退行位置に変化したときに、コンベヤモータ75の回転を停止させる。
【0063】
移載制御部83は、検知部13によって検知された被移載物200の姿勢(検知姿勢)に応じて、一対のベルトコンベヤ7の動作を制御する。具体的には、移載制御部83は、検知姿勢が規定姿勢であるときに、2つのコンベヤモータ75を同期して制御する。また、移載制御部83は、検知姿勢が規定姿勢に対して傾いている場合、一対のベルトコンベヤ7におけるそれぞれのベルト74が被移載物200を移載させる動作をそれぞれ異なるように、2つのコンベヤモータ75を個別に制御する。
【0064】
規定姿勢は、被移載物200の中心線が移載方向(Y1方向およびY2方向)と一致する状態での被移載物200の姿勢である。また、規定姿勢は、被移載物200の中心線が移載方向に対して所定の微小角度の範囲内で傾いた状態での被移載物200の姿勢も含む。
【0065】
なお、移載装置3は、搬送車1に搭載されるが、スタッカクレーンのような装置に適用することもできる。
【0066】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、
図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図5は、本発明の実施形態1~3に係る移載装置3による被移載物200の移載動作を示す図である。なお、説明の便宜上、上述した構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。これは、後述する各実施形態についても同様である。
【0067】
本実施形態では、検知部13によって被移載物200の姿勢が傾いた状態での移載装置3の引き込み動作について説明する。まず、
図5の平面視で、基台2の左側に配置されたベルトコンベヤ7をベルトコンベヤ7Lと称し、基台2の右側に配置されたベルトコンベヤ7をベルトコンベヤ7Rと称する。
【0068】
(1)STEP1
引き込み動作の開始前の状態では、
図5に実線にて示すように、ベルトコンベヤ7L,7Rが挟持解除位置にある。また、被移載物200は、収納部101aにおいて中央からやや左側にずれた位置に配置されている。
【0069】
引き込み動作が開始すると、上述したスライド板41が、収納部101a側に進出移動する。この状態では、まだ、ベルトコンベヤ7L,7Rは動作していない。スライド板41が中間位置に達すると、
図5に二点鎖線にて示すように、ベルトコンベヤ7L,7Rは、上述した挟持機構5により、間隔が縮小する方向に移動し、ベルトコンベヤ7L,7Rのそれぞれのベルト74L,74Rが同じ速度で矢印方向に移動する。このようにベルトコンベヤ7L,7Rの進出動作と挟持動作とを同時に行うことにより、移載を効率的に行うことができる。
【0070】
(2)STEP2
ベルトコンベヤ7L,7Rは、さらに間隔を縮小する方向に移動すると、ベルトコンベヤ7Lが被移載物200の左側側面に接触する。この状態では、ベルトコンベヤ7Rは、被移載物200に接触していない。
【0071】
(3)STEP3
STEP2において、被移載物200の左側側面にのみベルトコンベヤ7Lの力が作用することから、被移載物200の姿勢が傾く。これにより、ベルトコンベヤ7Rが被移載物200に接触する。また、この状態では、移載制御部83は、検知部13によって検知されたる検知姿勢が規定姿勢に対して傾いていると判断する。そして、移載制御部83は、ベルトコンベヤ7Lを駆動するコンベヤモータ75の回転速度を低下させるか、あるいはコンベヤモータ75の回転を停止させる一方、ベルトコンベヤ7Rを駆動するコンベヤモータ75の回転速度を上昇させる。これにより、ベルトコンベヤ7Rの搬送速度(動作速度)がベルトコンベヤ7Lの搬送速度よりも速くなる。
【0072】
(4)STEP4
移載制御部83は、STEP3の状態から、さらにベルトコンベヤ7L,7Rの搬送速度の制御を継続する。これにより、被移載物200の姿勢が規定姿勢になると、移載制御部83は、検知部13によって検知されたる検知姿勢が規定姿勢であると判断し、ベルトコンベヤ7L,7Rを駆動するそれぞれのコンベヤモータ75の回転速度を同じ速度に戻す。これにより、ベルト74L,74Rの搬送速度が等しくなる。
【0073】
挟持制御部82は、挟持位置が検出されると、間隔が縮小する方向へのベルトコンベヤ7L,7Rの移動を停止させる。そして、進退制御部81は、そのままスライド板41(ベルトコンベヤ7L,7R)を基台2側に移動させ、スライド板41が退行位置に達すると、スライド板41の移動を停止させる。
【0074】
このように、本実施形態によれば、一対のベルトコンベヤ7L,7Rのベルト74L,74Rの動作を異ならせることで、被移載物200の一対のベルト74L,74Rに保持される部分が移動する距離の差を小さくすることができる。これにより、被移載物200が傾いていても、その姿勢が補正される。したがって、被移載物200の移載を円滑に行うことができる。
【0075】
なお、本実施形態では、
図5に示すように、移載装置3は、一方のベルト74Lが被移載物200と接触することにより被移載物200の姿勢が傾いた場合の姿勢補正について説明した。本実施形態は、このような場合に限らず、被移載物200が収納部101aにおいて姿勢を傾けた状態で配置されている場合にも適用が可能である。具体的には、ベルトコンベヤ7L,7Rが収納部101aに進出したときに、
図5のSTEP3に示すように、検知姿勢が傾いていると、移載制御部83は、STEP3で行った姿勢補正のための制御を行う。これは、後述する各実施形態でも同様である。
【0076】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、
図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施形態では、実施形態1で説明した動作と異なる動作についてのみ説明する。
【0077】
本実施形態では、検知部13が一対のベルトコンベヤ7L,7Rにかかる負荷の差に基づいて被移載物200の姿勢を検知する。また、移載制御部83は、ベルトコンベヤ7L,7Rのそれぞれのベルト74L,74Rのうち、相対的に負荷が軽い一方の動作速度を負荷が重い他方の動作速度より速くするように制御する。ベルト74L,74Rの負荷は、ベルト74L,74Rをそれぞれ駆動するコンベヤモータ75に流れる電流の計測値によって検出される。その制御について、以下に説明する。
【0078】
STEP2において、ベルトコンベヤ7Lが被移載物200に接触しているので、ベルト74Lには負荷がかかっているが、その負荷は軽いので、ベルト74L,74Rにかかる負荷の差は所定値より小さい。したがって、検知部13は、この状態では、被移載物200の姿勢が傾いていると検知しない。
【0079】
STEP3において、被移載物200の姿勢が傾くと、ベルト74Rは、被移載物200に接触することで負荷がかかる。この状態では、ベルトコンベヤ7Lが、傾いた状態の被移載物200を移動させようとするので、被移載物200を正しく移載方向に移動させることができず、ベルト74Lにかかる負荷が増大する。このため、ベルト74L,74Rにかかる負荷の差が所定値を超える。すると、移載制御部83は、負荷が軽いベルト74Rの搬送速度を、負荷が重い他方のベルト74Lの搬送速度より速くする。
【0080】
これにより、一対のベルト74L,74Rのうち、相対的に負荷が軽い一方が保持する被移載物200の部分を、他方が保持する被移載物200の部分より多く移動させる。これにより、被移載物200の姿勢が補正される。
【0081】
また、移載制御部83は、一対のベルト74L,74Rの負荷の差が所定値以下になるまで上記の制御を継続する。
【0082】
負荷の差が所定値D1以下になっていれば被移載物200の姿勢が規定姿勢に補正されたと見なせる場合、負荷の差が所定値以下になるまで搬送速度の制御を継続することにより、被移載物200の姿勢をより正確に補正することができる。
【0083】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、
図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施形態では、実施形態1および2で説明した動作と異なる動作についてのみ説明する。
【0084】
本実施形態において、検知部13は、被移載物200が撮影装置(図示せず)によって撮影された画像に基づいて被移載物200の姿勢を検知する。撮影装置は、移載装置3に配置されてもよいし、収納倉庫100に配置されてもよい。また、移載制御部83は、一対のベルト74L,74Rのうち、被移載物200が傾いている側の一方の搬送速度を他方の搬送速度より遅くするように制御する。移載制御部83は、STEP3のように検知姿勢が傾いているとき、実施形態1のSTEP3で行ったように、ベルト74Rの搬送速度をベルト74Lの搬送速度よりも速くする制御を行う。
【0085】
一対のベルト74L,74Rのうち、被移載物200が傾いている側の一方が保持する被移載物200の部分を、他方が保持する被移載物200の部分より少なく移動させる。これにより、被移載物200の姿勢が補正される。
【0086】
また、移載制御部83は、検知部13により検知された被移載物200の姿勢が規定姿勢になるまで上記の制御を継続する。具体的には、移載制御部83は、撮影された被移載物200の画像を規定姿勢の被移載物200の画像と比較することにより、被移載物200の姿勢が規定姿勢になったか否かを判定する。これにより、被移載物200の姿勢を規定姿勢に正確に補正することができる。
【0087】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、
図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図6は、本発明の実施形態4に係る移載装置3による被移載物200の移載動作を示す図である。本実施形態では、実施形態1~3で説明した動作と異なる動作についてのみ説明する。
【0088】
本実施形態において、
図6に示すように、検知部13は、2つの距離センサ11L,11Rを有している。距離センサ11L,11Rは、一例として、移載装置3の基台2における収納部101aから最も遠い端部の左右方向に間隔をおいた異なる2つの測定位置に配置されている。また、距離センサ11L,11Rは、
図6に示す収納部101aと基台2を間において反対側にある収納部101a(図示省略)に配置された被移載物200との距離を測定するために、上記の位置とは反対側の基台2の端部に配置されていてもよい。検知部13は、距離センサ11L,11Rでそれぞれ測定された被移載物200との移載方向の直線距離の差に基づいて被移載物200の姿勢を検知する。
【0089】
移載制御部83は、一対のベルト74L,74Rのうち、相対的に長い直線距離が測定された測定位置側の一方の搬送速度を他方の搬送速度より速くするように制御する。その制御について、以下に説明する。
【0090】
(1)STEP1,2
図6に示すように、被移載物200の姿勢が傾いていない状態では、距離センサ11L,11Rによる被移載物200との直線距離L1,L2は等しい。
【0091】
(2)STEP3
被移載物200の姿勢が傾いた状態では、直線距離L1が直線距離L2よりも短くなる。すると、移載制御部83は、実施形態1のSTEP3で行ったように、ベルト74Rの搬送速度をベルト74Lの搬送速度よりも速くする制御を行う。
【0092】
(3)STEP4
被移載物200の姿勢が規定姿勢となった状態では、直線距離L1,L2が等しくなる。すると、移載制御部83は、実施形態1のSTEP4で行ったように、ベルト74L,74Rの搬送速度を等しくする制御を行う。
【0093】
このように、本実施形態によれば、一対のベルト74L,74Rのうち、相対的に長い直線距離L1または直線距離L2が測定された測定位置側の一方が保持する被移載物200の部分を、他方が保持する被移載物200の部分より多く移動させる。これにより、被移載物200の姿勢が補正される。
【0094】
また、移載制御部83は、直線距離L1,L2の差が所定値D2以下になるまで上記の制御を継続する。直線距離L1,L2の差が所定値D2以下になっていれば被移載物200の姿勢が規定姿勢に補正されたと見なせる場合、移載制御部83は、直線距離L1,L2の差が所定値D2以下になるまで搬送速度の制御を継続する。これにより、被移載物200の姿勢をより正確に補正することができる。
【0095】
〔ソフトウェアによる実現例〕
移載装置3(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部8に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0096】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0097】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0098】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0099】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1 搬送車
3 移載装置
8 制御部
13 検知部
68 載置板(載置部)
74,74L,74R ベルト(保持体)
83 移載制御部
101a 収納部(移載元)
200 被移載物
L1,L2 直線距離