(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20240709BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240709BHJP
H01L 23/467 20060101ALI20240709BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H05K7/14 G
H05K7/20 H
H05K7/20 B
H01L23/46 C
B60R16/02 610C
(21)【出願番号】P 2021147859
(22)【出願日】2021-09-10
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】松岡 侯宏
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-69668(JP,A)
【文献】特開平1-321697(JP,A)
【文献】特開2013-207161(JP,A)
【文献】特開2013-218870(JP,A)
【文献】特開2020-137323(JP,A)
【文献】実開昭59-50465(JP,U)
【文献】登録実用新案第3030032(JP,U)
【文献】特開2008-78438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H05K 7/20
H01L 23/467
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(2、42)内に、電子部品(14)を実装した基板(8、9、10、46、47、94、95、104、105)を有する電子装置(1、31、41)であって、
前記筐体は、上部ケース(3、43、91、101)と底部ケース(4、44、92、102)とを含むと共に、該筐体内に、前記上部ケースと底部ケースとの中間に位置される中間フレーム(7、32、45、93、103)が設けられ、
前記基板は、前記中間フレームの上方に設けられる上部基板(8、9、46、94、104)と、該中間フレームの下方に設けられる下部基板(10、47、95、105)とを含み、
前記中間フレームは、前記上部基板及び下部基板に対する上下方向の位置決めを行う位置決め部(22、58、97、107)を有し、
前記上部ケース、上部基板、中間フレーム、下部基板、底部ケースは、一括締結具(17、55)により一体的に連結され
、
前記位置決め部は、前記上部基板及び下部基板に対する横方向の位置決めも行い、
前記位置決め部は、前記中間フレームに設けられた上下方向に延びる複数個のボス部を含み、
前記ボス部の上端部に、前記上部基板と嵌合する上部嵌合部が設けられていると共に、該ボス部の下端部に、前記下部基板と嵌合する下部嵌合部が設けられており、
前記上部嵌合部は、前記上部基板を挟んで前記上部ケースと嵌合するように構成され、
前記下部嵌合部は、前記下部基板を挟んで前記底部ケースと嵌合するように構成されている電子装置。
【請求項2】
前記中間フレームは、前記上部基板及び下部基板の少なくともいずれか一方からの放熱を行うためのヒートシンクとしての機能を備える請求項
1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記中間フレームには、放熱フィンが設けられていると共に、
前記放熱フィン部分に冷却風を供給するファン装置が設けられている請求項
2記載の電子装置。
【請求項4】
前記上部基板及び下部基板の少なくともいずれか一方は、前記中間フレームに熱的に接続されている請求項
2又は
3記載の電子装置。
【請求項5】
前記上部基板と下部基板との間は、前記中間フレームに設けられた穴部を通して、基板間コネクタにより接続されている請求項1から
4のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項6】
前記上部基板及び下部基板の少なくともいずれか一方には、外部接続用のコネクタが設けられており、
前記中間フレームには、前記コネクタを覆ってノイズをシールドするシールド部が設けられている請求項1から
5のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記上部基板の上面には、外部接続用の上部コネクタが設けられており、
前記上部ケースには、前記上部コネクタを覆ってノイズをシールドする上部シールド部が設けられている請求項1から
6のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記中間フレームの側部には、基板固定用の取付座が設けられている請求項1から
7のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項9】
前記上部基板と下部基板とは、それらを一体的に接続したリジッドフレキシブル基板から構成され、それら基板間に前記中間フレームを挟み込む形態で組付けられる請求項1から
8のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項10】
前記リジッドフレキシブル基板は、前記中間フレームの側部に位置する繋ぎ目基板を有し、前記繋ぎ目基板と前記中間フレームとの間に固定構造が設けられている請求項
9記載の電子装置。
【請求項11】
筐体内に、電子部品を実装した基板(75、76、124、125、143)を有する電子装置(71)であって、
前記筐体は、上部ケース(72、121、141)と底部ケース(73、122)とを含むと共に、該筐体内に、前記上部ケースと底部ケースとの中間に位置される中間フレーム(74、123,142)が設けられ、
前記基板は、前記中間フレームの上方に設けられる上部基板(75、124、143)と、該中間フレームの下方に設けられる下部基板(76、125)とを含み、
前記中間フレームは、前記上部基板及び下部基板に対する上下方向の位置決めを行う位置決め部(77、78、123,142)を有し、
前記上部ケースと上部基板と中間フレームとが第1の締結具(81、127)により一体的に連結され、
前記中間フレームと下部基板と底部ケースとが第2の締結具(82、128)により一体的に連結され
、
前記位置決め部は、前記上部基板及び下部基板に対する横方向の位置決めも行い、
前記位置決め部は、前記中間フレームに設けられた上下方向に延びる複数個のボス部を含み、
前記ボス部の上端部に、前記上部基板と嵌合する上部嵌合部が設けられていると共に、該ボス部の下端部に、前記下部基板と嵌合する下部嵌合部が設けられており、
前記上部嵌合部は、前記上部基板を挟んで前記上部ケースと嵌合するように構成され、
前記下部嵌合部は、前記下部基板を挟んで前記底部ケースと嵌合するように構成されている電子装置。
【請求項12】
前記第1の締結具は、前記上部ケースの上方から装着され、前記第2の締結具は、前記底部ケースの下方から装着される請求項1
1記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載される電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の車両には、例えばマルチメディアユニットやカーナビシステム等の制御装置として、ECU(Electronic Control Unit)と称される各種の電子装置が搭載される。この種の電子装置は、筐体内に、CPU等の発熱性の電子部品を実装した回路基板を収容して構成される。このとき、電子部品の冷却のために、筐体の左右の側壁部に吸気口及び排気口を夫々設けると共に、筐体内に、電子部品の熱を放熱するためのフィンを有するヒートシンク、筐体内に冷却風を流すための冷却ファン装置等を設けて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような電子装置にあっては、高機能化や小型化に伴い、例えば電源基板とCPU基板とを別々に設けるなど、複数枚の基板が必要となるケースが増えてきている。この場合、例えば、筐体の底部を構成するケースに、電源基板をねじ止めにより取付け、電源基板上にスペーサとなる部材を設けてその上にCPU基板をねじ止めにより取付け、CPU基板上にヒートシンクを取付け、筐体の上面部を構成するカバーをケースにねじ止めにより取付けるといった作業が必要となる。そのため、使用するねじの本数が多くなり、組付け工数が多くなる不具合を生ずる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、筐体内に複数枚の基板を備えるものにおいて、構成の簡単化を図り、組立性を良好とすることができる電子装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の電子装置(1、31、41)は、筐体(2、42)内に、電子部品(14、63)を実装した基板(8、9、10、46、47、94、95、104、105)を有するものであって、前記筐体は、上部ケース(3、43、91、101)と底部ケース(4、44、92、102)とを含むと共に、該筐体内に、前記上部ケースと底部ケースとの中間に位置される中間フレーム(7、32、45、93、103)が設けられ、前記基板は、前記中間フレームの上方に設けられる上部基板(8、9、46、94、104)と、該中間フレームの下方に設けられる下部基板(10、47、95、105)とを含み、前記中間フレームは、前記上部基板及び下部基板に対する上下方向の位置決めを行う位置決め部(22、58、97、107)を有し、前記上部ケース、上部基板、中間フレーム、下部基板、底部ケースは、一括締結具(17、55)により一体的に連結される。前記位置決め部は、前記上部基板及び下部基板に対する横方向の位置決めも行う。前記位置決め部は、前記中間フレームに設けられた上下方向に延びる複数個のボス部を含み、前記ボス部の上端部に、前記上部基板と嵌合する上部嵌合部が設けられていると共に、該ボス部の下端部に、前記下部基板と嵌合する下部嵌合部が設けられている。前記上部嵌合部は、前記上部基板を挟んで前記上部ケースと嵌合するように構成され、前記下部嵌合部は、前記下部基板を挟んで前記底部ケースと嵌合するように構成されている。
【0007】
これによれば、筐体内には、上部ケースと底部ケースとの中間に位置される中間フレームの上下に位置して、上部基板と下部基板とが設けられる。このとき、中間フレームに設けられた位置決め部によって、上部基板及び下部基板に対する上下方向の位置決めがなされる。そして、一括締結具によって、上部ケース、上部基板、中間フレーム、下部基板、底部ケースが一括して連結される。
【0008】
このとき、複数枚の基板を個々にねじ止めにより取付ける場合と比較して、締結具の数の削減を図ることができる。ひいては、組付け工数を少なく済ませることができ、また、構成が簡単化し小型化につながる。この結果、筐体内に複数枚の基板を備えるものにおいて、構成の簡単化を図り、組立性を良好とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態を示すもので、電子装置の外観を示す斜視図
【
図4】長ねじの締結前の様子を前カバーの取外し状態で示す斜視図
【
図5】電子装置の組立手順を示す縦断面図(その1)
【
図6】電子装置の組立手順を示す縦断面図(その2)
【
図7】電子装置の組立手順を示す縦断面図(その3)
【
図11】第2の実施形態を示すもので、前カバーを外した状態で示す斜視図
【
図12】取付座に追加基板を取付けた様子を示す斜視図
【
図13】第3の実施形態を示すもので、電子装置の外観を示す斜視図
【
図15】電子装置の組立手順を示す斜視図(その1)
【
図16】電子装置の組立手順を示す斜視図(その2)
【
図17】電子装置の組立手順を示す斜視図(その3)
【
図18】電子装置の組立手順を示す斜視図(その4)
【
図19】リジッドフレキシブル基板の組付け状態を示す縦断面図
【
図20】ヒートシンク部分で破断した様子を示す拡大斜視図
【
図21】電子装置を破断した半部の様子を示す斜視図
【
図22】中間フレームと上部ケースとの位置決めの様子を示す断面図
【
図23】上部ケースと底部ケースとの嵌合の様子を示す拡大縦断面図
【
図24】第4の実施形態を示すもので、ねじ止めの様子を示す拡大縦断面図
【
図25】第5の実施形態を示すもので、要部の拡大縦断面図
【
図26】第6の実施形態を示すもので、要部の拡大縦断面図
【
図27】第7の実施形態を示すもので、要部の拡大縦断面図
【
図28】第8の実施形態を示すもので、要部の拡大縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、電子装置として、例えば自動車用のECU(Electronic Control Unit)に適用したいくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、これら実施形態に係る電子装置は、例えば自動車のインストルメントパネル部分に搭載される。図面及び以下の説明で向きをいう場合には、便宜上、筐体の長手方向を左右方向とした状態、つまり
図9を縦断正面図として説明を行う。また、以下に述べる複数の実施形態間で、同一部分には同一符号を付して、繰返しの説明等を省略することとする。
【0011】
(1)第1の実施形態
図1から
図10を参照して、第1の実施形態について述べる。
図1、
図2は、本実施形態に係る電子装置1の全体の外観構成を概略的に示している。この電子装置1は、筐体2を備えており、この筐体2は、全体として、アルミ等の金属からなり、図で上下方向に薄型で左右方向やや長い薄形矩形箱状をなしている。この筐体2は、
図3等にも示すように、上部ケース3、底部ケース4、前面カバー5、背面カバー6から構成される。
【0012】
そして、
図3等に示すように、前記筐体2内には、上部ケース3と底部ケース4との間に位置して、中間フレーム7が設けられる。また、筐体2内の中間フレーム7の上方には、この場合、上部基板としてのCPU基板8及び拡張基板9が設けられる。中間フレーム7の下方には、下部基板としての電源基板10が設けられる。さらに、筐体2内には、第1の冷却ファン装置11及び第2の冷却ファン装置12が設けられている。以下、上記した各部品の詳細について述べる。
【0013】
図1~
図4に示すように、前記筐体2を構成する上部ケース3は、筐体2の天井面をなすもので、やや横長な矩形状をなしている。
図9、
図10にも示すように、この上部ケース3の上面には、左端部を除く右側部位に位置して複数の放熱フィン13aを有するヒートシンク13が一体に設けられている。この場合、
図9、
図10に示すように、ヒートシンク13の底部は、下方に凸状に構成され、その底面に、前記CPU基板8上に実装されたCPU等の発熱性の電子部品14が、放熱ゲル15を介して熱的に接触するように構成されている。
【0014】
図3、
図6~
図8に示すように、上部ケース3には、下方に突出する円筒状のボス部16が複数箇所、例えば横方向に4列で前後方向に2列の合計8箇所に位置して一体に設けられている。これらボス部16には、後述する一括締結具としての長ねじ17が挿通されるねじ挿通穴16aが上下に貫通するように形成されている。これと共に、ボス部16の下端部には、後述する中間フレーム7との間の位置決めを行うための嵌合凹部16bが形成されている。
【0015】
尚、
図7等に示すように、上部ケース3の8個のボス部16のうち、左側の4個と右側の4個とでは、下方への突出長さ寸法が異なる、つまり、左側4個が短く、右側4個がそれより長くなるように構成されている。更に本実施形態では、
図3に一部示すように、上部ケース3の底面部には、前記CPU基板8上の後辺部に配置された外部接続用の上部コネクタ18に対し、被さるように位置してノイズのシールドを行うための上部シールド部19が一体に設けられている。
【0016】
前記底部ケース4は、
図3、
図4等に示すように、筐体2の底面部と左右の側面部を構成するように構成されている。
図3、
図9に示すように、底部ケース4の左側面部には、外気を筐体2内に取入れるための吸気口4aが形成されており、右側面部には、筐体2内の空気を排出するための排気口4bが形成されている。排気口4bの内側に位置して、プロペラ型のファン装置からなる冷却ファン装置12が設けられている。そして、底部ケース4の底面部には、上方つまり筐体2内に凸となり前記電源基板10の下面を受けるための取付け用凸部20が複数箇所に設けられている。
図7、
図8等に示すように、これら複数個の取付け用凸部20の上面部には、前記8箇所のボス部16に対応位置して、前記長ねじ17が締付けられるねじ穴20aが形成されている。
【0017】
図3などに示すように、前記前面カバー5は、筐体2の前面を塞ぐように設けられる。前記背面カバー6は、筐体2の背面を塞ぐように設けられる。この背面カバー6には、前記上部コネクタ18や、後述する電源基板10に設けられた下部コネクタ21などに対する外部ケーブルの接続用の開口部6aが複数形成されている。尚、電子装置1は、前記上部コネクタ18及び下部コネクタ21を介して外部即ち車両内の他のECU等との接続がなされる。また、詳しく図示はしないが、前記前面カバー5及び背面カバー6は、前記上部ケース3及び底部ケース4に対し、穴と突起との係合、嵌め合い或いはねじ止め等の方法により結合される。
【0018】
ここで、前記中間フレーム7及びその周辺の構成について述べる。前記中間フレーム7は、例えばアルミダイカスト製品からなり、次の構成を備えている。即ち、
図3、
図5~
図8に示すように、中間フレーム7は、筐体2内に水平に配置される矩形板状をなしている主板部を備え、その主板部から上下方向に延びる円筒状のボス部22を一体に有している。このボス部22は、前記8箇所のボス部16及びねじ穴20aに対応位置して8箇所に設けられ、夫々上下に貫通するねじ挿通穴22aが形成されている。尚、
図5等に示すように、8個のボス部22のうち、図で左側の4個は、右側の4個に比べて上方への突出高さが大きくなるよう構成されている。
【0019】
また、
図8に示すように、各ボス部22の上端部には、上部基板としてのCPU基板8及び拡張基板9が嵌合する上部嵌合部としての上部嵌合凸部23が一体に形成されている。この上部嵌合凸部23は、ボス部22の上端から上方にやや小径となって突出するように設けられ、ボス部22の上端に載置状に配置された、CPU基板8の嵌合穴8a及び拡張基板9の嵌合穴9aが嵌合される。また、各ボス部22の上部嵌合凸部23の上端には、前記各上部ケース3のボス部16の下端の嵌合凹部16bが嵌合される。
【0020】
同様に、前記各ボス部22の下端部には、前記電源基板10が嵌合する下部嵌合部としての下部嵌合凸部24が一体に形成されている。この下部嵌合凸部24は、ボス部22の下端から下方にやや小径となって突出するように設けられ、ボス部22の下方に配置された、電源基板10の嵌合穴10aが嵌合されるようになっている。下部嵌合凸部24の突出寸法は、電源基板10の厚み寸法にほぼ一致する。これにて、本実施形態では、中間フレーム7のボス部22が、上部基板としてのCPU基板8及び拡張基板9、並びに、下部基板としての電源基板10の、上下方向及び横方向つまり水平方向の位置決めを行う位置決め部として機能する。
【0021】
また、中間フレーム7の上面部には、
図3、
図9、
図10に示すように、右寄り部分の四角い領域に位置して、左右に長い放熱フィン25aを前後方向に並べて形成した放熱フィン形成部25が設けられている。この放熱フィン形成部25は、左右両端及び下面側で開口し、
図9に示すように、図で左から右へ向けて冷却風が流通するようになっている。このとき、前記第1の冷却ファン装置11は、例えば遠心ファン装置からなり、中間フレーム7の上面部の左寄り部分に設けられている。
図9、
図10に示すように、前記放熱フィン形成部25は、上部に平板な天井面25bを有し、この天井面25bが放熱ゲル26を介して、前記CPU基板8の下面に熱的に接続されている。
【0022】
これにて、
図9に示すように、前記第1の冷却ファン装置11及び第2の冷却ファン装置12が駆動されることにより、吸気口4aから外気が吸込まれ、冷却風となって筐体2内を通り、排気口4bから排出される。特に第1の冷却ファン装置11により生成された冷却風は、
図10に示すように、前記放熱フィン形成部25部分を通って熱交換され、前記CPU基板8からの放熱ひいては電子部品14の冷却に寄与する。これにより、中間フレーム7はヒートシンクとしての機能も備えている。
【0023】
さらに本実施形態では、
図3に示すように、中間フレーム7には、前記放熱フィン形成部25の前側に位置して、穴部としてのスリット27が、図で横長に設けられている。
図5、
図6に示すように、前記CPU基板8の下面、及び、電源基板10の上面には、それら基板間の電気的接続を行うための基板間コネクタ28、28が設けられており、それら基板間コネクタ28、28が、前記スリット27を通して接続されるようになっている。また、
図3に示すように、中間フレーム7には、後辺部下面に位置して、前記電源基板10上の後辺部に配置された外部接続用の下部コネクタ21に対し、被さるように位置してノイズのシールドを行うための下部シールド部29が一体に設けられている。
【0024】
前記CPU基板8は、矩形状をなし、その上面には、前記電子部品14を含む複数個の電子部品が実装されて、制御回路等を構成する。
図8等に示すように、このCPU基板8には、前記ボス部22のうち右側の4個の上部嵌合凸部23に対応した4個の嵌合穴8aが形成されている。前記拡張基板9は、例えばラジオ用基板からなり、前記CPU基板8よりもやや小型な矩形状をなし、前記ボス部22のうち左側の4個の上部嵌合凸部23に対応した4個の嵌合穴9aが形成されている。
【0025】
前記拡張基板9は、CPU基板8の左側のやや高い位置に上下に部分的にラップするように配置される。このとき、
図9に示すように、拡張基板9の下面右端部、及び、CPU基板8の上面左端部には、基板間コネクタ30、30が設けられており、それら基板間コネクタ30、30により、拡張基板9とCPU基板8との間が電気的に接続されるように構成されている。尚、前記電源基板10の上面には、電源回路を構成する複数の部品等が実装されると共に、前記8個のボス部22に対応した8個の嵌合穴10aが形成されている。
【0026】
さて、
図7、
図8等に示すように、本実施形態の電子装置1は、詳しくは次の組立手順の説明でも述べるように、底部ケース4上に電源基板10が載置され、電源基板10上に中間フレーム7が載置され、中間フレーム7上にCPU基板8及び拡張基板9が載置され、CPU基板8及び拡張基板9上に上部ケース3が載置された状態で、一括締結具としての8本の長ねじ17により一括して連結される。
【0027】
このとき、これも後述するように、中間フレーム7のボス部22により、CPU基板8及び拡張基板9並びに電源基板10に対する上下方向及び横方向の位置決めがなされる。更に、ボス部22の上端部の上部嵌合凸部23が、CPU基板8及び拡張基板9を挟んで上部ケース3のボス部16の嵌合凹部16bと嵌合するように構成されている。これと共に、ボス部22の下端部の下部嵌合凸部24が、電源基板10を挟んで底部ケース4の取付け用凸部20ねじ穴20aと位置合わせされるように構成されている。
【0028】
次に、上記構成の電子装置1の組立手順について、
図5~
図8等を参照して説明する。電子装置1の組立にあたっては、まず、
図5に示すように、底部ケース4上に、電源基板10の取付け用凸部20上に、電源基板10を水平状態に載置する。このとき、取付け用凸部20に設けられたねじ穴20aと、電源基板10の嵌合穴10aとを位置合せ状態とすることにより、電源基板10の横方向の位置決めがなされる。この後、中間フレーム7を、電源基板10上に載置する。このときには、
図8にも示すように、中間フレーム7の8箇所のボス部22の下部嵌合凸部24が、電源基板10の嵌合穴10aに嵌合するように位置合せがなされる。
【0029】
次いで、中間フレーム7上に、CPU基板8及び拡張基板9を載置することが行われる。このときには、
図6、
図8に示すように、CPU基板8は、その4箇所の嵌合穴8aが、中間フレーム7の右側4箇所のボス部22の上部嵌合凸部23に嵌合するようにして、水平状態に位置決めされる。拡張基板9は、同様に、その4箇所の嵌合穴9aが、中間フレーム7の左側4箇所のボス部22の上部嵌合凸部23に嵌合して位置決めされる。また、
図6に示すように、この状態では、CPU基板8の下面側及び電源基板10の上面側に夫々設けられた基板間コネクタ28、28が、スリット27を通して接続される。これと共に、
図9に示すように、拡張基板9の下面側及びCPU基板8の上面側に夫々設けられた基板間コネクタ30、30が接続される。
【0030】
この後、
図6、
図7に示すように、上部ケース3が、CPU基板8及び拡張基板9上、すなわち中間フレーム7の8箇所のボス部22上に載置される。このとき、上部ケース3の下面に設けられた8個のボス部16の嵌合凹部16bが、夫々CPU基板8或いは拡張基板9を挟んだ状態で、ボス部22の上部嵌合凸部23に嵌合して位置決めされる。これにより、上部ケース3の各ボス部16のねじ挿通穴16a、中間フレーム7の各ボス部22のねじ挿通穴22a、底部ケース4の各取付け用凸部20のねじ穴20aが、上下方向に一直線に連続する。
【0031】
そして、
図7、
図8に示すように、8本の長ねじ17が、上方から、夫々上部ケース3の各ねじ挿通穴16aに挿入され、さらに各ボス部22のねじ挿通穴22aを通され、底部ケース4のねじ穴20aに締付けられる。これにて、上部ケース3、CPU基板8及び拡張基板9、中間フレーム7、電源基板10、底部ケース4は、長ねじ17により一体的に連結される。尚、詳しい図示や説明は省略するが、前記前面カバー5及び背面カバー6については、底部ケース4や上部ケース3に対し、爪と穴との係合、はめ合い、別途のねじ止め等の適宜の方法により連結される。
【0032】
本実施形態の電子装置1によれば、次のような作用、効果を得ることができる。即ち、筐体2内に、上部に位置するCPU基板8及び拡張基板9と、下部に位置する電源基板10との複数の基板を備えるものにあって、筐体2内に中間フレーム7を設けるようにした。この中間フレーム7には、位置決め部としてのボス部22が設けられており、このボス部22によって、CPU基板8及び拡張基板9並びに電源基板10に対する上下方向及び横方向の位置決めがなされる。そして、一括締結具としての長ねじ17によって、上部ケース3、CPU基板8及び拡張基板9、中間フレーム7、電源基板10、底部ケース4が一括して連結される。
【0033】
この本実施形態の電子装置1の組付け構造においては、例えば、複数枚の基板を個々にねじ止め等により筐体2内に組付ける場合と比較して、ねじ等の締結具の数の削減を図ることができる。これと共に、組付け工数を少なく済ませることができ、また、締結のための構成が簡単化し小型化につながる。この結果、本実施形態によれば、筐体2内に複数枚の基板8、9、10を備えるものにおいて、構成の簡単化を図り、組立性を良好とすることができるという優れた効果を得ることができる。
【0034】
特に本実施形態では、中間フレーム7のボス部22の上端部に、CPU基板8及び拡張基板9と嵌合する上部嵌合凸部23を設けると共に、該ボス部22の下端部に、電源基板10と嵌合する下部嵌合凸部24を設けた。また、上部嵌合凸部23は、CPU基板8及び拡張基板9を挟んで上部ケース3の嵌合凹部16bと嵌合し、下部嵌合凸部24は、電源基板10を挟んで底部ケース4と嵌合する構成として。これにより、中間フレーム7のボス部22により、CPU基板8及び拡張基板9並びに電源基板10の上下方向の位置決めに加えて、横方向の位置決めも行うことができ、しかも上部ケース3及び底部ケース4の位置決め、ひいては全体の位置合せを行うことが可能となる。この場合、位置決め部の数や全体としての構成を、簡単に済ませることができる。
【0035】
ところで、上記のような電子装置1においては、十分な小型化が求められると共に、CPU等の電子部品14の高性能化に伴う発熱量の増大に対処するため、基板特にCPU基板8上に実装された発熱部品である電子部品14についてのより高い冷却効果が求められる。本実施形態では、CPU基板8の電子部品14に対する冷却構造として、次のような構成が採用されている。
【0036】
即ち、本実施形態では、中間フレーム7は、アルミダイカスト製品であり、放熱フィン形成部25等を一体に有する構成とし、特にCPU基板8からの放熱を行うヒートシンクとしての機能を付加した。このとき、
図9、
図10に示すように、CPU基板8の下面は、放熱ゲル26を介して、放熱フィン形成部25の天井面25bに密着して、熱的に接続されている。これと共に、CPU基板8の上面に実装された電子部品14、14のパッケージの上面は、前記上部ケース3のヒートシンク13の底部に放熱ゲル15を介して熱的に接触されている。
【0037】
そして、本実施形態では、
図9に示すように、中間フレーム7の上面部に設けられた第1の冷却ファン装置11、及び、筐体2内の右辺部に設けられた第2の冷却ファン装置12が駆動されることにより、外気が吸気口4aから吸込まれ、冷却風となって筐体2内を通り、排気口4bから排出される。特に第1の冷却ファン装置11により生成された冷却風は、
図10に示すように、放熱フィン形成部25の放熱フィン25a部分を通って熱交換され、CPU基板8からの放熱ひいては電子部品14の冷却に寄与する。
【0038】
上記構成により、中間フレーム7が基板8、9、10等の位置決め、位置合せを行うためのスペーサの機能に加えて、CPU基板8からの放熱を行うヒートシンクの機能を兼用する。これにより、中間フレーム7の放熱フィン形成部25を介したCPU基板8からの放熱を図ることができ、放熱効果を高めながらも、構成の簡単化ひいては全体の小型化を図ることができる。第1のファン装置11を設けたことにより、中間フレーム7からの放熱機能をより高めることができ、放熱効果を高めることができる。更には、CPU基板8上の電子部品14、14を上部ケース3に熱的に接続される構成としたので、CPU基板8からの放熱効果をより一層高めることができる。
【0039】
この場合、
図10に示す放熱構造にあっては、電子部品14とヒートシンク13との間の隙間、及び、CPU基板8の下面と放熱フィン形成部25の天井面25bとの間の隙間を、夫々小さくして放熱ゲル15及び放熱ゲル26の厚みを薄くし、熱抵抗を小さくすることが望ましい。ここで、本実施形態では、
図8等に示したように、ボス部22の上端部で、中間フレーム7に対するCPU基板8及び上部ケース3の上下方向の位置決めが、確実になされるようになる。
【0040】
これにより、組付け誤差に伴う中間フレーム7、CPU基板8、上部ケース3の上下位置のばらつきを、小さく抑えることができるので、CPU基板8の下面と放熱フィン形成部25の天井面25bとの間の隙間、並びに、電子部品14とヒートシンク13との間の隙間の、隙間寸法の管理を高精度で行うことが可能となる。ひいては、それらの隙間寸法を十分に小さくすることができるので、放熱ゲル15及び放熱ゲル26の塗布厚みを十分に薄くすることができ、この結果、熱抵抗の管理が容易となる。
【0041】
さらに、本実施形態の電子装置1の構成においては、以下の作用、効果も得ることができる。即ち、CPU基板8と電源基板10との間は、中間フレーム7に設けられたスリット27を通して、基板間コネクタ28、28により接続する構成とした。これにより、中間フレーム7の上部側のCPU基板8と下部側の電源基板10との電気的な接続を、中間フレーム7が邪魔になることなく、基板間コネクタ28、28により簡単な構成で容易に行うことができる。
【0042】
本実施形態では、電源基板10の下部コネクタ21を覆ってノイズをシールドする下部シールド部29を、中間フレーム7に一体に設ける構成とした。これにより、下部コネクタ21に対するノイズをシールドするための構成を、別途に設けることなく、簡単な構成で済ませることができ、組付け作業も容易となる。また、CPU基板8の上部コネクタ18を覆ってノイズをシールドする上部シールド部19を、上部ケース3に一体に設ける構成とした。これにより、上部コネクタ18に対するノイズをシールドするための構成を、別途に設けることなく、簡単な構成で済ませることができ、組付け作業も容易となる。
【0043】
(2)第2の実施形態
図11及び
図12は、第2の実施形態に係る電子装置31の構成を示している。この第2の実施形態が上記第1の実施形態と異なる点は、中間フレーム32の構成にある。即ち、
図11に示すように、中間フレーム32の側部この場合前面側の辺部に、左右に位置して基板固定用の取付座33、34が一体に設けられている。これら取付座33、34は、横長な矩形状をなし、前面側を向く面で、追加される基板を受けるように設けられている。尚、中間フレーム32には、上記第1の実施形態と同様に、位置決め部としてのボス部22等が設けられている。
【0044】
図12に例示するように、前記取付座33の前面には、追加基板35が取付けられ、この追加基板35は、接続用のフレキシブル配線板36により拡張基板9に電気的に接続されている。また、右側の取付座34の前面には、追加基板37が取付けられ、この追加基板37とCPU基板8とがフレキシブル配線板38により接続されると共に、追加基板37と電源基板10とがフレキシブル配線板39により接続される。この第2の実施形態によれば、中間フレーム32の側部に、取付座34、35を設けたことにより、基板35、37の追加を容易に行うことが可能となる。
【0045】
(3)第3の実施形態
次に、
図13から
図23を参照して、第3の実施形態について述べる。
図13は、本実施形態に係る電子装置41の外観構成を示し、
図14は、電子装置41の分解構成を示している。ここで、電子装置41の筐体42は、例えばアルミダイカスト製の上部ケース43及び底部ケース44を備え、全体としてほぼ矩形状をなし、その内部にやはりアルミダイカスト製の中間フレーム45が設けられている。
【0046】
そして、
図14等に示すように、筐体42内には、中間フレーム45の上下に位置して、上部基板としてのCPU基板46、及び、下部基板としての電源基板47が設けられる。このとき本実施形態では、CPU基板46と電源基板47とは、それらを一体的に接続したリジッドフレキシブル基板48から構成され、それら基板46、47間に中間フレーム45を挟み込む形態で組付けられる。このリジッドフレキシブル基板48の組付け構成については、後述する。
【0047】
前記リジッドフレキシブル基板48は、より詳細には、
図15にも示すように、CPU基板46と電源基板47との間に、繋ぎ目基板49を有し、CPU基板46と繋ぎ目基板49との間、電源基板47と繋ぎ目基板49との間は、夫々フレキシブル配線板50、50により接続されている。また、
図14、
図19に示すように、前記中間フレーム45の側部この場合前辺部には、取付座51が一体に設けられている。この取付座51に前記繋ぎ目基板49が、宛がわれるようにして取付けられるようになっている。
【0048】
前記上部ケース43は、全体として、蓋状つまり下面が開口した薄型のほぼ矩形箱状をなし、その上面のほぼ右半部の矩形領域には、左右方向に延びる複数本の放熱フィン52aを有するヒートシンク52が一体に設けられている。
図20に示すように、ヒートシンク52の底面が、CPU基板46上の電子部品63に、放熱ゲル64を介して接触する。また、上部ケース43の上面左側には、そのヒートシンク52に対して冷却風を供給するための冷却ファン装置53が取付けられる。詳しく図示はしないが、この冷却ファン装置53は、ファン装置ケーシング53a内に、遠心ファン装置やモータを備えて構成されている。
図22、
図23に示すように、上部ケース43の下端部には、底部ケース44の上端部の内側に嵌合するガイドリブ43aが一体に設けられている。
【0049】
そして、
図21、
図22等に示すように、この上部ケース43の下面には、下方に突出する円筒状のボス部54が複数箇所、例えば横方向に3列で前後方向に2列の合計6箇所に位置して一体に設けられている。これらボス部54には、一括締結具としての長ねじ55が挿通されるねじ挿通穴54aが上下に貫通するように形成されている。これと共に、ボス部54の下端部には、後述する中間フレーム45との間の位置決めを行うための嵌合凹部54bが形成されている。
【0050】
前記底部ケース44は、
図14、
図15、
図19等に示すように、全体として、薄型容器状つまり上面が開口した薄型のほぼ矩形箱状をなし、その底板部には、後述する電源基板47の下面側に実装されたコネクタ56などに対する外部ケーブルの接続用の開口部44aが複数形成されている。そして、
図19、
図21等に示すように、この底部ケース44の底板部の上面には、前記6箇所のボス部54に対応位置して、上方に突出する円筒状のボス部57が一体に設けられている。各ボス部57の上端部には、長ねじ55が締付けられるねじ穴57aが形成されていると共に、中間フレーム45との間の位置決めを行うための嵌合凹部57bが形成されている。
【0051】
前記中間フレーム45は、ほぼ矩形板状をなし、その板面から上下方向に延びる円筒状のボス部58を一体に有している。このボス部58は、前記6箇所のボス部54及びボス部57に対応位置して6箇所に設けられ、夫々上下に貫通するねじ挿通穴58aが設けられている。これらボス部58の上端部には、上部基板としてのCPU基板46が嵌合すると共に、前記上部ケース43のボス部54の嵌合凹部54bが嵌合する上部嵌合部としての上部嵌合凸部59が一体に形成されている。
【0052】
また、各ボス部58の下端部には、前記電源基板47が嵌合すると共に、底部ケース44のボス部57の嵌合凹部57bが嵌合する下部嵌合部としての下部嵌合凸部60が一体に形成されている。これにて、中間フレーム45のボス部58が、CPU基板46及び電源基板47の、上下方向及び横方向の位置決めを行う位置決め部として機能する。
図20に示すように、この中間フレーム45は、前記CPU基板46の底面に、放熱ゲル61を介して接触され、ヒートシンクとしても機能する。尚、上記したように、この中間フレーム45の前辺部には、取付座51が一体に設けられている。
【0053】
さて、上記リジッドフレキシブル基板48は、次の構成を備えている。即ち、
図14~
図17等に示すように、リジッドフレキシブル基板48は、矩形板状をなす電源基板47の前辺部に、フレキシブル配線板50を介して横長な繋ぎ目基板49に接続され、繋ぎ目基板の前辺部が、フレキシブル配線板50を介して矩形板状のCPU基板46の後辺部に接続されている。この場合、CPU基板46は、最終的な組付け状態から、前後が逆で上下が反転した状態に接続されている。前記フレキシブル配線板50、50は、基板間の電気的接続を保ったまま屈曲が自在とされている。
【0054】
このとき、前記電源基板47は、詳しく図示はしないが、電源回路等を構成する電子部品が実装されていると共に、下面側にコネクタ56等を実装して構成される。
図21等に示すように、この電源基板47には、前記ボス部58に対応した6箇所に、前記下部嵌合凸部60に嵌合する嵌合穴47aが設けられている。前記CPU基板46の上面つまり、
図14、
図15では下を向く面には、制御回路を構成するCPU等の電子部品63が実装されている。
図22等に示すように、このCPU基板46には、前記ボス部58に対応した6箇所に、前記上部嵌合凸部59に嵌合する嵌合穴46aが設けられている。
【0055】
図19、
図21等に示すように、リジッドフレキシブル基板48は、電源基板47を底部ケース44の上面に載置した状態で、繋ぎ目基板49及びCPU基板46部分が、90度上方に折曲げられ、更に、中間フレーム45を挟んだ状態で、CPU基板46が後方に90度折曲げられる。これにて、中間フレーム45の下方に電源基板47が配置され、中間フレーム45の上方にCPU基板46が配置される。
図19に示すように、繋ぎ目基板49は、取付座51のすぐ前方に配置され、取付座51の前面に対しクッション性を有する両面テープ62で固定され、以て固定構造が設けられる。
【0056】
次に、上記電子装置41の組立手順、特にリジッドフレキシブル基板48を筐体42内に組付ける手順について、
図15~
図23も参照して説明する。電子装置41の組立にあたっては、まず、
図15に示すように、リジッドフレキシブル基板48の電源基板47部分を、底部ケース44のボス部57上に載置状に配置する。その状態で、電源基板47上に中間フレーム45を載置する。このときには、中間フレーム45の各ボス部58の下端部の下部嵌合凸部60を、電源基板47の嵌合穴47aを通した状態、つまり電源基板47を挟んだ状態で、底部ケース44のボス部57の嵌合凹部57bに嵌合させる。これにより、
図19等に示すように、底部ケース44に対する電源基板47及び中間フレーム45の上下方向及び横方向の位置決めがなされる。
【0057】
次いで、上記状態から、
図16に示すように、リジッドフレキシブル基板48のうち、繋ぎ目基板49及びCPU基板46部分を、電源基板47の前辺部から直角に上方に折曲げるようにする。このとき、
図19に示すように、繋ぎ目基板49の後面が、取付座51の前面に僅かの隙間をもって対向し、繋ぎ目基板49を取付座51に対し両面テープ62で固定する。また、
図16に示すように、前記中間フレーム45の上面の、前記CPU基板46の電子部品14の放熱領域に対応した部分に、放熱ゲル61を塗布しておく。
【0058】
次に、
図17に示すように、CPU基板46部分を、繋ぎ目基板49の上辺部から直角に後方に折曲げるようにする。このとき、
図19等に示すように、CPU基板46の嵌合穴46aを、中間フレーム45の各ボス部58の上端部の上部嵌合凸部59に嵌合させることにより、中間フレーム45に対するCPU基板46の上下方向及び横方向の位置決めがなされる。この状態では、
図20に示すように、放熱ゲル61がCPU基板46の下面に接触し、中間フレーム45とCPU基板46とが熱的接触状態となる。また、
図17に示すように、CPU基板46の上面の電子部品63の上面部分に、放熱ゲル64を塗布しておく。
【0059】
この後、
図18、
図22等に示すように、上部ケース43を、CPU基板46の上方に被せるように配置する。このとき、
図21に示すように、上部ケース43の底面の各ボス部54の嵌合凹部54bが、CPU基板46を挟んだ状態で、中間フレーム45の各ボス部58の上端部の上部嵌合凸部59に嵌合するようになり、上下方向及び横方向の位置決めが図られる。
図23に示すように、この状態では、上部ケース43の下端部のガイドリブ43aが、前記底部ケース44の上端部の内側に嵌合する。また、
図20に示すように、電子部品63の上面が放熱ゲル64を介して上部ケース3のヒートシンク52に熱的に接続される。
【0060】
このような上部ケース43を被せた状態では、
図21に示すように、上部ケース43の各ボス部54のねじ挿通穴54a、中間フレーム45の各ボス部58のねじ挿通穴58a、底部ケース44の各ボス部57のねじ穴57aが、上下方向に一直線に連続するように配置される。
図18等に示すように、6本の長ねじ55が、上方から、夫々上部ケース43の各ねじ挿通穴54aに挿入され、さらに中間フレーム45の各ボス部58のねじ挿通穴58aを通され、底部ケース44のねじ穴57aに締付けられる。これにて、上部ケース43、CPU基板46、中間フレーム45、電源基板47、底部ケース44は、長ねじ55により一体的に連結される。しかる後、冷却ファン装置53を、上部ケース3の上面に取付け、もって、電子装置41が得られる。
【0061】
このような第3の実施形態の電子装置41によれば、上記第1の実施形態等と同様に、上部ケース43、CPU基板46、中間フレーム45、電源基板47、底部ケース44を、長ねじ55により一括して締結する構成とした。これにより、筐体42内に複数枚の基板46、47を備えるものにおいて、構成の簡単化を図り、組立性を良好とすることができるという優れた効果を得ることができる。このとき、中間フレーム45のボス部58により、CPU基板46及び電源基板47、更には上部ケース43及び底部ケース44の上下方向及び横方向の位置決め、ひいては全体の位置合せを行うことができ、位置決め部の数や全体としての構成を、簡単に済ませることができる。
【0062】
また、本実施形態においても、冷却ファン装置53の駆動により、冷却風がヒートシンク52の放熱フィン52a部分を通って熱交換され、CPU基板46からの放熱ひいては電子部品63の冷却に寄与する。ヒートシンクとしての機能も備える中間フレーム45からの放熱も図ることができ、放熱効果を高めることができる。この場合、CPU基板46上の電子部品63とヒートシンク52との間の隙間寸法、及び、CPU基板46の下面と中間フレーム45との間の隙間寸法の管理が容易となり、放熱ゲル64及び放熱ゲル61の厚みを十分に薄くし、熱抵抗を小さくすることができる。
【0063】
そして本実施形態では、上部基板としてのCPU基板46と、下部基板としての電源基板47とを一体的に接続したリジッドフレキシブル基板48を用いて、それらを筐体42内に組付ける構成とした。これによれば、CPU基板46と電源基板47とが一体化されているので、中間フレーム45のスペーサ等の機能を維持したまま、組付けをより容易とすることができる。リジッドフレキシブル基板48の繋ぎ目基板49を、中間フレーム45の取付座51に両面テープ62により固定したので、例えば使用時の車両の振動等に伴う、基板46、47の振動の防止や抑制を図ることができ、破損や断線を防止する効果等を得ることができる。
【0064】
(4)第4の実施形態
図24は、第4の実施形態に係る電子装置71の要部構成を模式的に示すものであり、この第4の実施形態が、上記第1の実施形態等と異なる点は、全体の締結構造にある。即ち、上部ケース72と底部ケース73との間に、中間フレーム74が設けられ、中間フレーム74の上方に上部基板75が設けられ、下方に下部基板76が設けられる。
【0065】
このとき、中間フレーム74には、上面の複数箇所に位置して第1のボス部77(1個のみ図示)が上方に凸となるように一体に設けられ、下面の前記第1のボス部77とは異なる複数箇所に位置して第2のボス部78(1個のみ図示)が下方に凸となるように一体に設けられている。前記第1のボス部77には、上面が開口したねじ穴77aが形成され、第2のボス部78には、上下に貫通するねじ挿通穴78aが形成されている。これら第1のボス部77及び第2のボス部78は、前記上部基板75及び下部基板76の上下方向及び横方向の位置決めを行う位置決め部としての機能も有している。
【0066】
前記上部基板75には、前記第1のボス部77に対応した位置に、ねじ挿通穴75aが形成されている。前記上部ケース72には、第1のボス部77に対応した位置に、下方に凸となるボス部79が一体に形成され、そのボス部79には、上下に貫通するねじ挿通穴79aが形成されている。前記下部基板76には、前記第2のボス部78に対応した位置に、ねじ挿通穴76aが形成されている。前記底部ケース73には、第2のボス部78に対応した位置に、上方に凸となるボス部80が一体に形成され、そのボス部80には、上下面で開口するねじ穴80aが形成されている。
【0067】
この電子装置71にあっては、底部ケース73上に下部基板76が載置状に配置され、その上に中間フレーム74が配置される。このとき、中間フレーム74の第2のボス部78のねじ挿通穴78a、下部基板76のねじ挿通穴76a、底部ケース73のボス部80のねじ穴80aが上下に一直線に連続するように位置決めされる。この状態で、第2の締結具としての第2のねじ82が、中間フレーム74の上方からねじ挿通穴78a、ねじ挿通穴76aを順に通され、ねじ穴80aに締付けられる。これにより、中間フレーム74と下部基板76と底部ケース73とが、第2のねじ82により一体的に連結される。
【0068】
この後、前記中間フレーム74上に、上部基板75が載置状に配置され、その上に上部ケース72が配置される。このとき、上部ケース72のボス部79のねじ挿通穴79a、上部基板75のねじ挿通穴75a、中間フレーム74の第1のボス部77のねじ穴77aが上下に一直線に連続するように位置決めされる。この状態で、第1の締結具としての第1のねじ81が、上部ケース72の上方から、ねじ挿通穴79a、ねじ挿通穴75aを順に通され、ねじ穴77aに締付けられる。これにより、上部ケース72と上部基板75と中間フレーム74とが、第1のねじ81により一体的に連結される。これにて、中間フレーム74を中心に介在するようにして、第1のねじ81及び第2のねじ82によって全体が連結される。
【0069】
このような第4の実施形態によれば、第1のねじ81及び第2のねじ82によって全体を組付けることができるので、個々の部品等を夫々ねじ止めにより取付ける場合と比較して、締結具の数の削減等を図ることができ、ひいては、組付け工数を比較的少なく済ませることができ、また、構成が比較的簡単化し小型化につながる。この結果、本実施形態によっても、筐体内に複数枚の基板75、76を備えるものにおいて、構成の簡単化を図り、組立性を良好とすることができるという効果を得ることができる。
【0070】
(5)第5、第6の実施形態
図25は、第5の実施形態を示すものであり、上記第1の実施形態等とは次の点が異なる。即ち、電子装置の筐体は、アルミダイカスト製の上部ケース91及び底部ケース92を備え、その内部にやはりアルミダイカスト製の中間フレーム93が設けられている。前記中間フレーム93の上下に位置して、上部基板94、及び、下部基板95が夫々設けられる。
【0071】
前記上部ケース91には、下方に突出するボス部96が設けられ、このボス部96には、長ねじ17が挿通されるねじ挿通穴96aが上下に貫通するように形成されている。ボス部96の下面は平坦面とされている。前記底部ケース92には、長ねじ17が締付けられるねじ穴92aが形成されている。前記中間フレーム93は、主板部から上下方向に延びる円筒状をなす位置決め部としてのボス部97を一体に有している。このボス部97には、上下に貫通するねじ挿通穴97aが形成されている。ボス部97の上下両端面部は、平坦面とされている。前記上部基板94には、嵌合穴94aが形成され、前記下部基板95に嵌合穴95aが形成されている。
【0072】
本実施形態においては、底部ケース92上に、ねじ穴92aに嵌合穴95aが重なるように下部基板95が載置され、下部基板95上に、嵌合穴95aにボス部97のねじ挿通穴97aが重なるように中間フレーム93が載置される。次いで、中間フレーム93のボス部97上に、ねじ挿通穴97aに嵌合穴94aが重なるように上部基板94が載置され、上部基板94上に、ボス部96のねじ挿通穴96aが嵌合穴94aに重なるように上部ケース91が載置される。これにて、中間フレーム93のボス部97によって、上部基板94及び下部基板95の上下方向の位置決めがなされる。
【0073】
そして、中間フレーム93に対する上部基板94及び下部基板95の横方向の位置決めに関しては、治具としての位置決めピン98が用いられる。この場合、位置決めピン98は、底部ケース92の下方から、ねじ穴92a、下部基板95の嵌合穴95a、中間フレーム93のボス部97のねじ挿通穴97a、上部基板94の嵌合穴94a、上部ケース91のボス部96のねじ挿通穴96aの順に差し込まれ、これにより、横方向の位置決めが行われる。この後、位置決めピン98を引抜いた上で、長ねじ17による一括した連結がなされる。この第5の実施形態によっても、構成の簡単化を図り、組立性を良好とすることができる。
【0074】
図26は、第6の実施形態を示している。この実施形態においても、上部ケース101及び底部ケース102からなる筐体内に、中間フレーム103が設けられ、その中間フレーム103の上下に位置して、上部基板104、及び、下部基板105が夫々設けられている。前記上部ケース101には、下向きのボス部106が一体に設けられている。また、中間フレーム103には、上下方向及び横方向の位置決めを行う位置決め部としてのボス部107が一体に設けられている。
【0075】
前記上部基板104の後辺部には、上面部に位置して外部接続用の上部コネクタ108が設けられ、下面部に位置して外部接続用の中段コネクタ109が設けられている。前記下部基板105の上面後辺部には、外部接続用の下部コネクタ110が設けられている。そして、前記上部ケース101には、前記上部コネクタ108に対しノイズのシールドを行うための上部シールド部111が一体に設けられている。これと共に、前記中間フレーム103には、前記中段コネクタ109に対するノイズのシールドを行う中段シールド部112が一体に設けられていると共に、前記下部コネクタ110に対するノイズのシールドを行う下部シールド部113が一体に設けられている。
【0076】
このような第6の実施形態によれば、上部基板104の上部コネクタ108を覆ってノイズをシールドする上部シールド部111を、上部ケース101に一体に設けた。これと共に、上部基板104の中段コネクタ109を覆ってノイズをシールドする中段シールド部112、及び、下部基板105の下部コネクタ110を覆ってノイズをシールドする下部シールド部113を、中間フレーム103に一体に設ける構成とした。これにより、各外部接続用のコネクタ108、109、110に対するノイズをシールドするための構成を、別途に設けることなく、簡単な構成で済ませることができ、組付け作業も容易とすることができる。尚、コネクタ108、109、110の3つ全てを設ける構成に限らず、そのうち1つ或いは2つのコネクタを設ける構成とし、それに合わせてシールド部を設ける構成としても良い。
【0077】
(6)第7、第8の実施形態、その他の実施形態
図27は、第7の実施形態を示している。この第7の実施形態が、上記第1の実施形態と異なるところは、次の構成にある。即ち、電子装置の筐体は、アルミダイカスト製の上部ケース121及び底部ケース122を備え、その内部にやはりアルミダイカスト製の中間フレーム123が設けられている。前記中間フレーム123の上下に位置して、上部基板124、及び、下部基板125が夫々設けられる。
【0078】
前記上部ケース121には、下方に突出するボス部126が設けられ、このボス部126には、第1の締結具である第1のねじ127が挿通されるねじ挿通穴126aが上下に貫通するように形成されている。ボス部126の下端部には嵌合凹部126bが形成されている。前記底部ケース122には、第2の締結具である第2のねじ128が挿通されるねじ挿通穴122aが形成されている。前記上部基板124には、嵌合穴124aが形成され、前記下部基板125には、嵌合穴125aが形成されている。
【0079】
前記中間フレーム123は、主板部から上下方向に延びる円筒状をなす位置決め部としてのボス部129を一体に有している。このボス部129の上端部には、上部基板124が嵌合する上部嵌合部としての上部嵌合凸部130が一体に形成されている。また、ボス部129には、その上端面で開口する第1のねじ穴131が形成されている。ボス部129の下端部には、下部基板125が嵌合する下部嵌合部としての下部嵌合凸部132が一体に形成されている。ボス部129には、その下端面で開口する第2のねじ穴133が形成されている。
【0080】
本実施形態においては、底部ケース122上に、ねじ挿通穴122aに嵌合穴125aが重なるように下部基板125が載置され、下部基板125上に、嵌合穴125aにボス部129の下部嵌合凸部132が嵌合するように中間フレーム123が載置される。次いで、中間フレーム123のボス部129上に、上部嵌合凸部130に嵌合穴124aが嵌合するように上部基板124が載置され、上部基板124上に、上部嵌合凸部130にボス部126の嵌合凹部126bが嵌合するように、上部ケース121が載置される。これにて、中間フレーム123のボス部129によって、上部基板124及び下部基板125の上下方向及び横方向の位置決めがなされる。
【0081】
そして、第1のねじ127が、上方から、上部ケース121のねじ挿通穴126aを通して、ボス部129の第1のねじ穴131に締付けられる。これにより、上部ケース121と上部基板124と中間フレーム123とが、第1のねじ127により一体的に連結される。これと共に、第2のねじ128が、下方から、底部ケース122のねじ挿通穴122aを通して、ボス部129の第2のねじ穴133に締付けられる。これにより、底部ケース122と下部基板125と中間フレーム123とが、第2のねじ128により一体的に連結される。
【0082】
これにて、中間フレーム123を中心に介在するようにして、第1のねじ127及び第2のねじ128によって全体が連結される。このような第7の実施形態によれば、第1のねじ127及び第2のねじ128によって全体を組付けることができるので、個々の部品等を夫々ねじ止めにより取付ける場合と比較して、締結具の数の削減等を図ることができ、ひいては、組付け工数を比較的少なく済ませることができ、また、構成が比較的簡単化し小型化につながる。この結果、この第7の実施形態によっても、筐体内に複数枚の基板124、125を備えるものにおいて、構成の簡単化を図り、組立性を良好とすることができるという効果を得ることができる。
【0083】
図28は、第8の実施形態を示しており、上記第7の実施形態とは、次の点で異なる。即ち、電子装置の筐体は、アルミダイカスト製の上部ケース141及び底部ケース122を備え、その内部にやはりアルミダイカスト製の中間フレーム142が設けられている。前記中間フレーム142の上下に位置して、上部基板143、及び、下部基板125が夫々設けられる。
【0084】
前記上部ケース141には、下方に突出するボス部144が設けられ、このボス部144には、第1の締結具である第1のねじ127が挿通されるねじ挿通穴144aが上下に貫通するように形成されている。ボス部144の下面は平坦面とされている。前記上部基板143には、ねじ挿通穴144aに対応して、第1のねじ127が挿通される大きさの嵌合穴143aが形成されている。
【0085】
前記中間フレーム142には、主板部から上下方向に延びる円筒状をなす位置決め部としてのボス部145を一体に有している。このボス部145の上端面は平坦面とされている。ボス部145の下端部には、下部基板125が嵌合する下部嵌合部としての下部嵌合凸部146が一体に形成されている。このボス部145には上下に貫通する貫通穴145aが形成され、その貫通穴145a内の上端部には、第1のねじ穴147が形成され、貫通穴145a内の下端部には、第2のねじ穴148が形成されている。
【0086】
本実施形態においては、底部ケース122上に、ねじ挿通穴122aに嵌合穴125aが重なるように下部基板125が載置され、下部基板125上に、嵌合穴125aにボス部145の下部嵌合凸部146が嵌合するように中間フレーム142が載置される。これにて、中間フレーム142のボス部145によって、下部基板125の上下方向及び横方向の位置決めがなされる。次いで、中間フレーム142のボス部145上に、第1のねじ穴147に嵌合穴143aが重なるように上部基板143が載置され、上部基板143上に、ボス部144のねじ挿通穴144aが嵌合穴143aに重なるように上部ケース141が載置される。これにて、中間フレーム142のボス部145によって、上部基板143の上下方向の位置決めがなされる。
【0087】
そして、中間フレーム142に対する上部基板143の横方向の位置決めに関しては、治具としての位置決めピン149が用いられる。この場合、位置決めピン149は、底部ケース122の下方から、ねじ挿通穴122a、下部基板125の嵌合穴125a、中間フレーム142のボス部145の貫通穴145a、上部基板143の嵌合穴143a、上部ケース141のボス部144のねじ挿通穴144aの順に差し込まれ、これにより、横方向の位置決めが行われる。
【0088】
この後、位置決めピン149を引抜いた上で、第1のねじ127が、上方から、上部ケース141のねじ挿通穴144aを通して、ボス部125の第1のねじ穴147に締付けられる。これにより、上部ケース141と上部基板143と中間フレーム142とが、第1のねじ127により一体的に連結される。これと共に、第2のねじ128が、下方から、底部ケース122のねじ挿通穴122aを通して、ボス部145の第2のねじ穴148に締付けられる。これにより、底部ケース122と下部基板125と中間フレーム142とが、第2のねじ128により一体的に連結される。
【0089】
これにて、中間フレーム142を中心に介在するようにして、第1のねじ127及び第2のねじ128によって全体が連結される。このような第8の実施形態によれば、第1のねじ127及び第2のねじ128によって全体を組付けることができるので、個々の部品等を夫々ねじ止めにより取付ける場合と比較して、締結具の数の削減等を図ることができ、ひいては、組付け工数を比較的少なく済ませることができ、また、構成が比較的簡単化し小型化につながる。この結果、この第8の実施形態によっても、筐体内に複数枚の基板143、125を備えるものにおいて、構成の簡単化を図り、組立性を良好とすることができるという効果を得ることができる。
【0090】
尚、上記各実施形態では詳しく説明しなかったが、筐体内の中間フレームの下部に設けられる下部基板である電源基板についても、十分な放熱を行う構成とすることができる。この場合、例えば、電源基板或いは電源基板上の部品を、中間フレームのヒートシンクに熱的に接続して放熱を図るようにしたり、電源基板を底部ケースに熱的に接続し、底部ケースからの放熱を図るようにしたりすることもできる。加えて、電源基板を冷却するための冷却ファン装置を設けることもできる。これにより、電源基板からの放熱性能をより高めることができる。
【0091】
また、上記第1の実施形態では、上部基板としてCPU基板8に加えて拡張基板9を設けるようにしたが、上部基板を1枚或いは3枚以上設けたりすることも可能である。下部基板についても、複数枚設けることができる。上記第1の実施形態では、第1の冷却ファン装置11と第2の冷却ファン装置12とを設けるようにしたが、第2の冷却ファン装置12のみを設ける構成でも良く、3つ以上の冷却ファン装置を設けても良い。上部嵌合部、下部嵌合部においては、相手側との嵌合の凹凸関係を逆に構成しても良い。上記各実施形態では、8本或いは6本の長ねじ17、35を用いて一体的に連結するように構成したが、用いるねじの本数などは、適宜変更することができる。更に、一括締結具としては、長ねじに限らず、ボルト及びナット、リベット、クリップなど様々なものを採用することができる。
【0092】
その他、上記各実施形態では、車両用のECUに本発明を適用するようにしたが、様々な用途、種類の電子装置全般に適用することが可能である。筐体の材質や全体の形状、電子部品やコネクタの配置などについても様々な変更が可能であることは勿論である。本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0093】
図面中、1、31、41、71は電子装置、2、42は筐体、3、43、72、91、101、121,141は上部ケース、4、44、73、92、102、122は底部ケース、7、32、45、74、93、103、123、142は中間フレーム、8、46はCPU基板(上部基板)、9は拡張基板(上部基板)、10、47は電源基板(下部基板)、11は冷却ファン装置、13はヒートシンク、13aは放熱フィン、14、63は電子部品、17、55は長ねじ(一括締結具)、18、108は上部コネクタ(コネクタ)、19、111は上部シールド部、21、110は下部コネクタ(コネクタ)、22、58、97、107、129、145はボス部(位置決め部)、23、59、130は上部嵌合凸部(上部嵌合部)、24、60、132、146は下部嵌合凸部(下部嵌合部)、27はスリット(穴部)、28は基板間コネクタ、29、113は下部シールド部(シールド部)、33、34、51は取付座、35、37は追加基板、48はリジッドフレキシブル基板、49は繋ぎ目基板、62は両面テープ、75は上部基板、76は下部基板、77は第1のボス部(位置決め部)、78は第2のボス部(位置決め部)、81、127は第1のねじ(第1の締結具)、82、128は第2のねじ(第2の締結具)、94、104、124,143は上部基板、95、105、125は下部基板、109は中段コネクタ(コネクタ)、112は中段シールド部(シールド部)を示す。