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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】燃料タンク
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/01 20060101AFI20240709BHJP
   B60K 15/03 20060101ALI20240709BHJP
   B60K 15/04 20060101ALI20240709BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20240709BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B60K15/01 B
B60K15/03 E
B60K15/04 Z
F17C13/02 301A
F17C13/00 301C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021166471
(22)【出願日】2021-10-08
(65)【公開番号】P2023056952
(43)【公開日】2023-04-20
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅 子洵
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第2309854(US,A)
【文献】登録実用新案第3187110(JP,U)
【文献】特開2021-196058(JP,A)
【文献】特開平8-244896(JP,A)
【文献】実開昭51-34918(JP,U)
【文献】実開昭56-95929(JP,U)
【文献】中国実用新案第212499880(CN,U)
【文献】国際公開第2020/048630(WO,A1)
【文献】特開2003-021298(JP,A)
【文献】特表2008-506240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/01
B60K 15/03
B60K 15/04
B60K 15/067
B60K 15/07
F17C 13/02
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料使用装置に脱着可能に設けられた円柱状の燃料タンク本体と、
前記燃料タンク本体の長手方向の一端側に形成された取っ手と、
前記燃料タンク本体の長手方向の他端側に形成され、前記燃料タンク本体を前記燃料使用装置に装着することで、前記燃料使用装置に設けられた第二コネクタに接続されて、前記燃料使用装置に燃料を供給可能な第一コネクタと、
を備え
前記燃料タンク本体の長手方向の他端側の端面は、平坦に形成され、
前記燃料使用装置の燃料タンク装着部の底部に、前記燃料タンク本体の長手方向の他端側の前記端面が当接して、前記第一コネクタは、前記第二コネクタに接続される
燃料タンク。
【請求項2】
前記燃料タンク本体の長手方向の他端側の端面には、前記燃料タンク本体の長手方向に凹んだ凹部が形成され、
前記第一コネクタは、前記燃料タンク本体の長手方向の他端側の端面から突出しないように、前記凹部に設けられている
請求項1に記載の燃料タンク。
【請求項3】
前記第一コネクタは、前記燃料使用装置に燃料を供給する供給口と、前記燃料タンク本体に燃料を充填する充填口と、を備える
請求項1又は請求項2に記載の燃料タンク。
【請求項4】
前記燃料タンク本体の燃料の残量を表示する燃料残量表示部を備える
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の燃料タンク。
【請求項5】
前記燃料残量表示部は、前記燃料タンク本体が前記燃料使用装置に装着された状態において、外部から視認可能な位置に設けられている
請求項に記載の燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水素等の燃料を使用する車両等の燃料使用装置に、燃料タンクを脱着可能に設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、1以上の水素タンクを収容し、上面に取っ手を設置した水素貯蔵体用ケースを車両に脱着可能に設ける技術が開示されている。また、特許文献1には、車両のリアアンダーフロアに設置したクイックコネクターの他方の継手に、水素タンクを収容した水素貯蔵体用ケースの下部に設置したクイックコネクターの一方の継手を嵌着すれば、水素貯蔵体用ケースに収容した水素タンクと燃料電池システムとが連結される技術が開示されている。
【0004】
上記構成によれば、クイックコネクターのみを操作すれば良いため、水素タンクを収容した水素貯蔵体用ケースの脱着が容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-270707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術の場合、水素タンクを収容した水素貯蔵体用ケースを、車両のトランクルームを通じてリアアンダーフロアの上部に設置する作業と、クイックコネクターを接続する作業と、を必要とする。そのため、簡易な作業で、水素タンクを水素使用装置に装着して水素を使用可能状態とし、かつ、水素タンクを水素使用装置から取り外すことが望まれていた。
【0007】
本発明は、簡易な作業で、燃料タンクを燃料使用装置に装着して燃料を使用可能状態とすることができ、かつ、燃料タンクを燃料使用装置から取り外すことができる燃料タンクを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明に係る燃料タンクは、燃料使用装置に脱着可能に設けられた円柱状の燃料タンク本体と、前記燃料タンク本体の長手方向の一端側に形成された取っ手と、前記燃料タンク本体の長手方向の他端側に形成され、前記燃料タンク本体を前記燃料使用装置に装着することで、前記燃料使用装置に設けられた第二コネクタに接続されて、前記燃料使用装置に燃料を供給可能な第一コネクタと、を備え
前記燃料タンク本体の長手方向の他端側の端面は、平坦に形成され、
前記燃料使用装置の燃料タンク装着部の底部に、前記燃料タンク本体の長手方向の他端側の前記端面が当接して、前記第一コネクタは、前記第二コネクタに接続される
【0009】
請求項1記載の本発明によれば、燃料タンク本体の長手方向の一端側に取っ手を有することで、取っ手を掴んで燃料タンクが持ち上げられ、燃料使用装置に装着される。しかも、燃料タンク本体の長手方向の他端側に第一コネクタを有するので、燃料タンク本体を燃料使用装置に装着することで、燃料タンク本体の第一コネクタが燃料使用装置に設けられた第二コネクタに接続される。また、取っ手を掴んで燃料タンクを手前に引っ張ることで、燃料タンクの第一コネクタが燃料使用装置の第二コネクタから外され、燃料タンクが燃料使用装置から取り外される。そのため、簡単な作業で、燃料タンクを燃料使用装置に装
着して燃料を使用できる状態にすることができ、かつ、燃料タンクを燃料使用装置から取り外すことができる。
しかも、燃料タンク本体の長手方向の他端側の端面が平坦に形成されることで、燃料タンクは、平坦な場所に自立可能とされる。そのため、燃料タンクを平坦な場所に置くことができる。
さらに、燃料使用装置の燃料タンク装着部の底部に、燃料タンク本体の長手方向の他端側の端面が当接して、第一コネクタは、第二コネクタに接続されることで、燃料タンクを、燃料使用装置に装着した際に、燃料タンク本体の底面が、燃料タンク装着部の底部に当接する。そのため、燃料タンクが狙いの姿勢で燃料使用装置に装着される。その結果、簡易な作業で、燃料タンクを狙いの姿勢で燃料使用装置に装着することができる。
【0012】
請求項記載の本発明に係る燃料タンクは、請求項1に記載の燃料タンクにおいて、前記燃料タンク本体の長手方向の他端側の端面には、前記燃料タンク本体の長手方向に凹んだ凹部が形成され、前記第一コネクタは、前記燃料タンク本体の長手方向の他端側の端面から突出しないように、前記凹部に設けられている。
【0013】
請求項記載の本発明によれば、燃料タンク本体の長手方向の他端側の端面から突出しないように、第一コネクタが凹部に設けられることで、この端面を底面として燃料タンクを平坦な場所に置いたときに、第一コネクタが接地面に当たらない。そのため、燃料タンクを平坦な場所に置いたときに、第一コネクタが破損することを防止することができる。
【0014】
請求項記載の本発明に係る燃料タンクは、請求項1又は請求項2に記載の燃料タンクにおいて、前記第一コネクタは、前記燃料使用装置に燃料を供給する供給口と、前記燃料タンク本体に燃料を充填する充填口と、を備える。
【0015】
請求項記載の本発明によれば、第一コネクタが燃料の供給口と充填口を備えることで、燃料タンクを燃料使用装置に装着した際に、燃料の供給口及び充填口が外部に露出されない。そのため、燃料タンクを燃料使用装置に装着した状態で、燃料の供給口及び充填口を保護することができる。
【0016】
請求項記載の本発明に係る燃料タンクは、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の燃料タンクにおいて、前記燃料タンク本体の燃料の残量を表示する燃料残量表示部を備えている。
【0017】
請求項記載の本発明によれば、燃料タンクが燃料残量表示部を備えることで、燃料残量表示部に燃料タンク内の燃料の残量が表示される。そのため、燃料タンクの重量を測ることなく、燃料タンク内の燃料の残量を把握することができる。
【0018】
請求項記載の本発明に係る燃料タンクは、請求項に記載の燃料タンクにおいて、前記燃料残量表示部は、前記燃料タンク本体が前記燃料使用装置に装着された状態において、外部から視認可能な位置に設けられている。
【0019】
請求項記載の本発明によれば、燃料タンクが燃料使用装置に装着された状態で、燃料残量表示部が外部から視認可能となるので、燃料タンクが燃料使用装置に装着された状態で、燃料タンク内の燃料の残量を把握することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る燃料タンクによれば、簡易な作業で、燃料タンクを燃料使用装置に装着して燃料を使用可能状態とすることができ、かつ、燃料タンクを燃料使用装置から取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る水素タンクを搭載した車両を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る水素タンクが車両に取り付けられている部分を拡大して示す拡大斜視図である。
図3】第1実施形態に係る水素タンクを斜め上方から見た斜視図である。
図4】第1実施形態に係る水素タンクを斜め下方から見た斜視図である。
図5】第1実施形態に係る水素タンクを斜め上方から見た分解斜視図である。
図6】第1実施形態に係る水素タンクを一部断面で示す側面図である。
図7】第1実施形態に係る水素タンクが車両に装着された状態を拡大して一部断面で示す拡大側面図である。
図8】第1実施形態に係る水素タンクを車両に装着途中の状態を示す斜視図である。
図9】第1実施形態に係る水素タンクのロック状態を示す斜視図である。
図10】第1実施形態に係る水素タンクにディスペンサのノズルが装着された状態を拡大して一部断面で示す拡大側面図である。
図11】第2実施形態に係る水素タンクを示す斜視図である。
図12】第3実施形態に係る水素タンクを示す斜視図である。
図13】第4実施形態に係る水素タンクを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態に係る燃料タンクとしての水素タンクについて、図面を参照して説明する。なお、図1に記載された矢印FRは車両前方側を示しており、矢印LHは車両左方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示している。また、図3に記載された矢印は水素タンク本体32の長手方向Dを示している。また、第1実施形態に係る水素タンクは、水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーによって自動運転する小型モビリティー(以下、車両という)に搭載される例を説明する。
【0023】
<水素タンクが搭載された車両の構成>
図1に示されるように、燃料使用装置としての車両10は、ボディー部12と、車輪19を備えた駆動部18と、を有している。
【0024】
ボディー部12は、直方体の本体部12Aと、本体部12Aの車両前側から車両前方に楕円錐状に突出した突出部12Bとで構成される。突出部12Bの車両前側には、複数(第1実施形態では3つ)の水素タンク30が装着されている。水素タンク30は、長手方向Dを車両前後方向に向けた水平姿勢で装着されている。3つの水素タンク30は、車両上下方向に一列に並んで配置されている。
【0025】
ボディー部12には、FCスタック(Fuel Cell スタック)14が設けられている。FCスタック14は、水素タンク30及びエアコンプレッサ(図示省略)に接続されている。FCスタック14は、水素タンク30から供給される水素と、エアコンプレッサから供給される圧縮空気の酸素と、の電気化学反応により発電を行う。
【0026】
駆動部18は、ボディー部12の車両前側であって、車両下側に設けられている。駆動部18には、駆動モータ16と、車輪19と、が設けられている。駆動モータ16は、FCスタック14と接続されている。車輪19は、車幅方向に間隔を空けて2つ設けられている。
【0027】
そして、FCスタック14に水素及び酸素が供給されることによって発電され、FCスタック14から電力が供給されて駆動した駆動モータ16の駆動力が、車輪19へ伝達されるように構成されている。
【0028】
<水素タンクの構成>
図2に示されるように、水素タンク30は、車両前側に設けられた水素タンク装着部80に脱着可能に設けられている。
【0029】
図3及び図4に示されるように、水素タンク30は、取っ手40と第一コネクタ70とを備える燃料タンク本体としての水素タンク本体32と、カバー部材50と、を備える。
【0030】
(水素タンク本体)
図5及び図6に示されるように、水素タンク本体32は、略円柱状に形成されている。水素タンク本体32の長手方向Dの一端側には、取っ手40が形成されている。水素タンク本体32の長手方向Dの他端側には、第一コネクタ70が取り付けられている。
【0031】
図6に示されるように、水素タンク本体32は、ライナ部36と、ライナ部36を外側から覆う補強部34と、を含んで構成されている。ライナ部36は、ナイロン等の水素透過性の低い樹脂材料を用いて形成することができる。ライナ部36によって囲まれた空間は、水素タンク30が水素を収容する水素収容空間Sを構成する。補強部34は、繊維強化樹脂を用いて形成することができる。
【0032】
水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面(底面)34Aは、リング状の平坦な面に形成されている。端面34Aには、水素タンク本体32の長手方向Dに凹んだ凹部34Bが形成されている。凹部34Bは、水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面34Aから、長手方向Dに凹んだ丸みのある椀状に形成することができる。
【0033】
(第一コネクタ)
図6に示されるように、第一コネクタ70は、水素タンク本体32の径方向中央に設けられている。第一コネクタ70は、凹部34Bに、水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面34Aから、長手方向Dの他端側(下方)に突出しないように設けられている。第一コネクタ70は、凹部34Bを形成する面から、水素タンク本体32の長手方向Dの他端側に突出するように設けられている。なお、第一コネクタ70は、凹部34Bを形成する面より、水素タンク本体32の長手方向Dの一端側に引っ込むように設けることもできる。
【0034】
第一コネクタ70は、ライナ部36に設けられたライナ開口36Cと、補強部34に設けられた補強部開口34Cとに挿入されて設けられている。第一コネクタ70の流路72は、水素収容空間Sと水素タンク本体32の外部とを接続する。
【0035】
第一コネクタ70に設けられた流路72によって、水素収容空間Sに収容された水素が水素タンク30の外部に供給されたり、外部から水素収容空間Sに水素が充填されたりする。すなわち、第一コネクタ70の流路72の先端は、車両10に水素を供給する供給口74であり、水素タンク本体32に水素を充填する充填口76でもある。
【0036】
(取っ手)
図3及び図5に示されるように、水素タンク本体32の長手方向Dの一端側(上側)には、取っ手40が形成されている。取っ手40は、水素タンク本体32と一体に形成されている。言い換えると、取っ手40は、例えば、水素タンク本体32と同じ材料によって形成されている。
【0037】
取っ手40は、水素タンク本体32の長手方向Dの一端面(上面)から、長手方向Dに突出するように設けられている。取っ手40は、水素タンク本体32を長手方向Dから見て、水素タンク本体32の外周面より内側に形成されている。
【0038】
取っ手40は、水素タンク本体32を長手方向Dから見た際に、水素タンク本体32の径方向に細長く延在するように形成されている。すなわち、取っ手40は、水素タンク本体32を長手方向Dから見た際に、マイナス形状に形成されている。言い換えると、取っ手40は、水素タンク本体32を長手方向Dから見た際に、一文字形状に形成されている。
【0039】
図5及び図6に示されるように、取っ手40は、水素タンク30の側面視において、矩形のアーチ状に形成され、2つの柱部44と、架橋部42とで構成されている。柱部44は、水素タンク本体32の長手方向Dの一端面から、上方に延在するように設けられている。柱部44は、水平方向の断面において、略矩形状に形成されている。2つの柱部44は、作業者Mの手M1が挿入可能な程度に、水平方向に間隔を空けて配置されている。
【0040】
架橋部42は、2つの柱部44の上端を架け渡すように設けられている。架橋部42は、鉛直方向の断面において、略五角形状に形成されている。
【0041】
柱部44には、カバー部材50を水素タンク本体32に対して脱着可能とする爪部46が設けられている。爪部46は、各柱部44の外周面から、水素タンク本体32の径方向外側に向かって突出するように形成されている。
【0042】
(カバー部材)
図5及び図6に示されるように、水素タンク本体32の長手方向Dの一端側には、カバー部材50が脱着可能に設けられている。カバー部材50は、例えば、樹脂製であり、側壁部52と、上端面54と、凹部56と、で構成されている。
【0043】
側壁部52は、略円筒状に形成されている。側壁部52の外径は、水素タンク本体32の外径と、略同じとすることができる。上端面54は、側壁部52の長手方向Dの一端側(上端側)に、リング状の平坦な面として形成されている。
【0044】
凹部56は、カバー部材50の上端面54から、長手方向Dに凹んだ丸みのある椀状に形成されている。凹部56には、取っ手40が挿入可能な矩形の開口部58が形成されている。開口部58は、取っ手40の外形より若干大きな開口として形成される。
【0045】
図5に示されるように、側壁部52には、カバー部材50の爪部46が嵌合する嵌合孔59が形成されている。そして、水素タンク本体32の取っ手40を、カバー部材50の開口部58に挿入して、取っ手40の爪部46を、カバー部材50の嵌合孔59に嵌合させることで、カバー部材50が水素タンク本体32に装着される。また、爪部46と嵌合孔59との嵌合を解除することで、カバー部材50が水素タンク本体32から取り外されるようになっている。
【0046】
凹部56は、長手方向Dから見て、取っ手40の外側面と、水素タンク本体32の外周面との間に形成されるスペースに配置される。別の言い方をすると、凹部56は、水素タンク本体32に取っ手40が形成されることで形成されるスペースに設けられる。
【0047】
図6に示されるように、カバー部材50が水素タンク本体32に取り付けられた状態において、取っ手40は、凹部56の内側に配置されている。言い換えると、取っ手40は、凹部56の中側に配置されている。カバー部材50が水素タンク本体32に取り付けられた状態において、取っ手40の架橋部42は、凹部56と、作業者Mが手M1を挿入可能な程度に間隔を空けて設けられている。カバー部材50が水素タンク本体32に取り付けられた状態において、取っ手40は、カバー部材50の上端面54から突出しないように設けられている。
【0048】
カバー部材50には、側壁部52と、上端面54と、凹部56とを接続する補強リブ57を設けることもできる。
【0049】
(水素残量表示部)
図5に示されるように、凹部56には、水素タンク本体32の水素収容空間Sに収容された水素の残量を表示する燃料残量表示部としての水素残量表示部60が設けられている。水素残量表示部60は、水素タンク本体32が車両10に装着された状態において、外部から視認可能な位置に設けられている。
【0050】
水素タンク30は、水素タンク本体32の水素収容空間Sの圧力を検知する圧力センサ64の検知情報が、制御部66に入力され、制御部66で水素残量が演算され、水素残量表示部60に水素の残量が表示されるようになっている。
【0051】
水素残量表示部60は、複数の目盛り62の表示により、水素の残量を表示する液晶ディスプレイとすることができる。なお、水素残量表示部60に必要な電力は、FCスタック14から供給されるようにしてもよい。
【0052】
(ゲージ)
図5及び図6に示されるように、水素タンク本体32の長手方向の一端側の外縁には、リング状のゲージ48が設けられている。ゲージ48は、水素タンク本体32の外周面とは異なる色や材質で形成され、水素タンク30が車両10の水素タンク装着部80に装着される際に、水素タンク30が水素タンク装着部80に正しく装着したことを確認するための目印とすることができる。なお、ゲージ48は、水素タンク本体32の外周面に、長手方向Dに一定の間隔を空けて複数設けるようにしてもよい。
【0053】
(ロック部)
水素タンク本体32には、長手方向Dの中央部分の外周面に、ロック部68が設けられている。ロック部68は、水素タンク本体32を長手方向Dから見て、取っ手40の架橋部42が延在する方向と水素タンク本体32の外周面との交点付近に形成することができる。言い換えると、ロック部68は、水素タンク本体32の周方向において、架橋部42の両端部と、略同じ位置に形成することができる。
【0054】
ロック部68は、水素タンク本体32の外周面から、水素タンク本体32の径方向外側に向かって、円柱状に突出して形成されている。ロック部68は、水素タンク30を車両10の水素タンク装着部80に装着した際に、水素タンク30を車両10に対して取外し不能にロックする後述のロック機構を構成する。
【0055】
<車両の水素タンク装着部の構成>
図7及び図8に示されるように、車両10の水素タンク装着部80は、水素タンク30を収容可能な円柱状の穴として形成される。
【0056】
図7に示されるように、水素タンク装着部80の底部には、底面83と、段部86と、リブ84と、が形成されている。
【0057】
底面83は、水素タンク本体32の外径より小さな円形に形成されている。底面83の径方向中央には、第二コネクタ90が底面83から上方に突出して配置されている。
【0058】
段部86は、底面83に対して、水素タンク装着部80の深さ方向の段差として形成される。段部86は、底面83の周囲を囲むようにリング状に形成することができる。
【0059】
リブ84は、水素タンク装着部80の側壁85と段部86とを接続するように形成される。リブ84は、水素タンク30が水素タンク装着部80に挿入された際に、水素タンク本体32の長手方向Dに垂直な方向に対する規制をする規制リブとしての役割を果たす。
【0060】
そして、水素タンク30が水素タンク装着部80に装着されることで、第一コネクタ70が第二コネクタ90に接続され、水素収容空間Sの水素が、第一コネクタ70の流路72から第二コネクタ90の流路92を経て、車両10に供給されるようになっている。
【0061】
(ロック機構)
図8に示されるように、水素タンク装着部80の側壁85には、案内部82が形成されている。案内部82は、水素タンク30のロック部68が挿入可能な大きさに形成される。案内部82は、水素タンク装着部80の開口縁から深さ方向に延在した第一案内部82Aと、第一案内部82Aの底部から側壁85の周方向に延在した第二案内部82Bと、で構成されている。
【0062】
図7及び図8に示されるように、水素タンク30を水素タンク装着部80に挿入して、水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面34Aが段部86に当接した際に、ロック部68が、第一案内部82Aの水素タンク装着部80の深さ方向の端部に当接するように形成されている。
【0063】
第二案内部82Bの側壁85の周方向の長さは、水素タンク装着部80を深さ方向から見て、第一案内部82Aから90度の角度までの長さとする。言い換えると、第二案内部82Bの側壁85の周方向の長さは、水素タンク装着部80の周方向の全長の1/4の長さとする。
【0064】
<車両への水素タンクの脱着動作>
(装着動作)
図6に示されるように、水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面(底面)34Aを底面として、水素タンク本体32が、地面Gに置かれている。
【0065】
作業者Mは、水素タンク30の取っ手40を手M1で掴み、水素タンク30を持ち上げて、図8に示されるように、車両10の水素タンク装着部80に、水素タンク30を挿入する。
【0066】
この際、取っ手40を鉛直方向に向けた姿勢にして、水素タンク30のロック部68を、車両10の水素タンク装着部80の第一案内部82Aに挿入する。これにより、ロック部68が第一案内部82Aに案内されて、水素タンク30が水素タンク装着部80の奥深くまで挿入される。
【0067】
次いで、水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面34Aが、水素タンク装着部80の段部86に当接する。この際、図7に示されるように、水素タンク30に設けられた第一コネクタ70は、車両10の水素タンク装着部80に設けられた第二コネクタ90に接続される。
【0068】
次いで、図9に示されるように、作業者Mは、取っ手40を握りながら、水素タンク30を、水素タンク本体32の周方向の一方に90度回転させる。この際、ロック部68が第二案内部82Bに案内されて、水素タンク本体32の周方向の一方に90度回転する。これにより、水素タンク30が車両10に対して取外し不能となるロック状態となる。
【0069】
(取外し動作)
図9に示されるように、作業者Mは、取っ手40を握りながら、水素タンク30を、水素タンク本体32の周方向の他方に90度回転させる。この際、ロック部68が第二案内部82Bに案内されて、水素タンク本体32の周方向の他方に90度回転する。これにより、水素タンク30が車両10に対して取外し可能となるロック解除状態となる。すなわち、ロック状態を解除したロック解除状態となる。水素タンク30のロック部68と、水素タンク装着部80の案内部82とは、ロック機構を構成する。
【0070】
次いで、図8に示されるように、作業者Mは、手M1で取っ手40を掴んで、水素タンク30を手前に引き抜いて、水素タンク30を車両10から取り外す。
【0071】
<水素タンクへの充填動作>
車両10から取り外された水素タンク30の第一コネクタ70に、図10に示されるように、例えば、水素ステーションのディスペンサのノズル94が接続される。そして、ノズル94の流路96から、第一コネクタ70の流路72を通って、水素収容空間Sに水素が充填されるようになっている。
【0072】
水素が充填された水素タンク30は、上述した水素タンク30の車両10への装着動作によって、車両10に装着される。
【0073】
<水素タンクの作用・効果>
次に、第1実施形態の水素タンク30の作用及び効果について説明する。
【0074】
第1実施形態の水素タンク30は、車両10に脱着可能に設けられた円柱状の水素タンク本体32と、水素タンク本体32の長手方向Dの一端側に形成された取っ手40と、を備えている。さらに、水素タンク30は、水素タンク本体32の長手方向Dの他端側に形成され、水素タンク本体32を車両10に装着することで、車両10に設けられた第二コネクタ90に接続されて、車両10に水素を供給可能な第一コネクタ70を備えている。
【0075】
水素タンク本体32の長手方向Dの一端側に取っ手40を有することで、取っ手40を掴んで水素タンク30が持ち上げられ、車両10に装着される。しかも、水素タンク本体32の長手方向Dの他端側に第一コネクタ70を有するので、水素タンク本体32を車両10に装着することで、水素タンク本体32の第一コネクタ70が車両10に設けられた第二コネクタ90に接続される。また、取っ手40を掴んで水素タンク30を手前に引っ張ることで、水素タンク30の第一コネクタ70が車両10の第二コネクタ90から外され、水素タンク30が車両10から取り外される。
【0076】
そのため、取っ手40を操作する簡単な作業で、水素タンク10を車両10に装着して水素を使用できる状態にし、かつ、水素タンク30を車両10から取り外すことができる。
【0077】
第1実施形態の水素タンク30では、水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面34Aは、平坦に形成されている。
【0078】
水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面34Aが平坦に形成されていることで、水素タンク30は、地面Gに自立可能とされる。そのため、水素タンク30を地面Gに置くことができる。
【0079】
第1実施形態の水素タンク30では、水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面34Aには、水素タンク本体32の長手方向Dに凹んだ凹部34Bが形成され、第一コネクタ70は、凹部34Bに、水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面34Aから突出しないように設けられている。
【0080】
水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面34Aから突出しないように、第一コネクタ70が凹部34Bに設けられることで、この端面34Aを底面として水素タンク30を地面Gに置いたときに、第一コネクタ70が地面Gに当たらない。そのため、水素タンク30を地面Gに置いたときに、第一コネクタ70が破損することを防止することができる。
【0081】
また、第一コネクタ70が水素タンク本体32の長手方向Dの他端側の端面34Aから突出しないので、水素タンク30を搬送する際に、水素タンク30が適切な荷姿とされる。そのため、水素タンク30の積載効率を向上させることができる。
【0082】
第1実施形態の水素タンク30では、第一コネクタ70は、車両10に水素を供給する供給口74と、水素タンク本体32に水素を充填する充填口76とを備えている。
【0083】
第一コネクタ70が供給口74と充填口76とを備えることで、水素タンク30を車両10に装着した状態で、供給口74及び充填口76が外部に露出されない。そのため、水素タンク30を車両10に装着した状態で、水素の供給口74及び充填口76を保護することができる。
【0084】
第1実施形態の水素タンク30では、水素タンク本体32の水素の残量を表示する水素残量表示部60を備える。
【0085】
水素タンク30が水素残量表示部60を備えることで、水素残量表示部60に水素タンク30内の水素の残量が表示される。そのため、水素タンク30の重量を測ることなく、水素タンク30内の水素の残量を把握することができる。
【0086】
第1実施形態の水素タンク30では、水素残量表示部60は、水素タンク本体32が車両10に装着された状態において、外部から視認可能な位置に設けられている。
【0087】
水素タンク30が車両10に装着された状態で、水素残量表示部60が外部から視認可能となるので、水素タンク30が車両10に装着された状態で、水素タンク30内の水素の残量を把握することができる。そのため、水素タンク30への水素の補給のタイミングを、水素タンク30が車両10に装着された状態で把握することができる。
【0088】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の水素タンクは、取っ手の形状が異なる点で、第1実施形態の水素タンクと相違する。
【0089】
以下、第2実施形態の水素タンクの構成を説明する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は符号を用いて説明する。
【0090】
第2実形態では、図11に示されるように、取っ手140は、水素タンク本体32の長手方向Dの一端側(上側)に形成されている。取っ手140は、水素タンク本体32と一体に形成されている。取っ手140は、3つの柱部44と、架橋部142とで構成されている。架橋部142は、水素タンク本体32を長手方向Dから見た際に、T字状に形成されている。カバー部材50が水素タンク本体32に取り付けられた状態において、取っ手140の架橋部142は、凹部56と、作業者Mが手M1を挿入可能な程度に間隔を空けて設けられている。
【0091】
このような構成であっても、第1実施形態の水素タンクと同様の作用効果を奏することができる。しかも、取っ手140が、水素タンク本体32を長手方向Dから見て、T字状に形成されているので、取っ手140の強度を強化することができる。
【0092】
〔第3実施形態〕
第3実施形態の水素タンクは、水素残量表示部の位置が異なる点で、上記実施形態の水素タンクと相違する。
【0093】
以下、第3実施形態の水素タンクの構成を説明する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は符号を用いて説明する。
【0094】
第3実形態では、図12に示されるように、水素残量表示部160は、取っ手40の架橋部42の長手方向Dの一端面に取り付けられている。言い換えると、水素残量表示部160は、取っ手40の長手方向Dの一端側の端面に設けられている。
【0095】
このような構成であっても、第1実施形態の水素タンクと同様の作用効果を奏することができる。しかも、取っ手40の長手方向Dの一端側の端面に水素残量表示部160が設けられることで、水素タンク30が車両10に装着され、ロック状態とされたときに、複数の水素タンク30の水素残量表示部160の向きが水平姿勢とされる。そのため、水素タンク30が車両10の装着された状態で、水素タンク30の残量を作業者Mが確認しやすくすることができる。
【0096】
〔第4実施形態〕
第4実施形態の水素タンクは、水素残量表示部の位置が異なる点で、上記実施形態の水素タンクと相違する。
【0097】
以下、第4実施形態の水素タンクの構成を説明する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は符号を用いて説明する。
【0098】
第3実形態では、図13に示されるように、水素残量表示部260は、カバー部材50の上端面54に取り付けられている。
【0099】
このような構成であっても、第1実施形態の水素タンクと同様の作用効果を奏することができる。しかも、カバー部材50の上端面54に水素残量表示部260が設けられることで、カバー部材50の長手方向Dの端面に水素残量表示部260が配置されることになる。そのため、水素タンク30が車両10の装着された状態で、水素タンク30の残量を作業者Mが確認しやすくすることができる。
【0100】
以上、本発明の水素タンクを、上記実施形態に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これら実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更などは許容される。
【0101】
上記実施形態では、凹部56は、水素タンク本体32に脱着可能なカバー部材50に設けられている例を示した。しかし、凹部は、水素タンク本体に一体に設けることもできる。
【0102】
上記実施形態では、凹部56は、カバー部材50の上端面54から、長手方向Dに凹んだ丸みのある椀状に形成される例を示した。しかし、凹部は、カバー部材50の上端面54から、長手方向Dに凹んだ矩形の箱状に形成されてもよい。
【0103】
上記実施形態では、取っ手40は、水素タンク本体32を長手方向Dから見た際に、マイナス形状又はT字状に形成されている例を示した。しかし、取っ手は、この態様に限定されるものではなく、水素タンク本体32を長手方向Dから見た際に、例えば、十字状や円状等とすることもできる。
【0104】
上記実施形態では、ロック機構を、水素タンク本体32に設けられたロック部68と、水素タンク装着部80に設けられた案内部82とで構成する例を示した。しかし、ロック機構は、この態様に限定されず、水素タンク本体32を周方向に回転させることで、水素タンク本体32が車両10に対して取外し不能となるロック状態と、ロック状態を解除したロック解除状態とを切り替え可能な構成であればよい。
【0105】
上記実施形態では、ロック部68は、水素タンク本体32を長手方向Dから見て、マイナス形状の取っ手40が延在する方向と、水素タンク本体32の外周面との交点付近に形成される例を示した。しかし、ロック部は、水素タンク本体の外周面のいずれの場所にも設けることもできる。
【0106】
上記実施形態では、水素残量表示部60は、カバー部材50又は取っ手40に設けられる例を示した。しかし、水素残量表示部は、水素タンク本体に設けられてもよい。
【0107】
上記実施形態では、第一コネクタ70の流路72の先端は、車両10に水素を供給する供給口74であり、水素タンク本体32に水素を充填する充填口76でもある例を示した。しかし、第一コネクタには、車両10に水素を供給する供給口と、水素タンク本体32に水素を充填する充填口とを別々に設けてもよい。これにより、簡易な構成で、第一コネクタに供給口と充填口を形成することができる。
【0108】
上記実施形態では、水素タンクは、水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーによって自動運転する小型モビリティーに搭載される例を示した。しかし、水素タンクは、水素エンジン搭載車や、水素発生装置や、水素使用のドローンや、その他水素を使用する水素使用装置に搭載することもできる。
【0109】
上記実施形態では、本発明の燃料タンクを、水素タンクに適用する例を示した。しかし、本発明の燃料タンクは、水素以外の燃料を収容する燃料タンクに適用することもできる。
【符号の説明】
【0110】
10 車両
32 水素タンク本体
34 水素タンク
34B 凹部
40 取っ手
60 水素残量表示部
70 第一コネクタ
74 供給口
76 充填口
90 第二コネクタ
D 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13