IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

<>
  • 特許-搬送設備 図1
  • 特許-搬送設備 図2
  • 特許-搬送設備 図3
  • 特許-搬送設備 図4
  • 特許-搬送設備 図5
  • 特許-搬送設備 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B61B 3/02 20060101AFI20240709BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240709BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240709BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B61B3/02 A
B65G1/00 501C
H01L21/68 A
B61B13/00 U
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021172456
(22)【出願日】2021-10-21
(65)【公開番号】P2023062460
(43)【公開日】2023-05-08
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】滝本 裕貴
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-133072(JP,A)
【文献】特開平09-110107(JP,A)
【文献】特開2017-124884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 3/02
B65G 1/00
H01L 21/677
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搬送する搬送車と、前記搬送車による前記搬送物の搬送経路に関する検査を行う場合に前記搬送物に代えて前記搬送車によって搬送される検査装置と、を備えた搬送設備であって、
前記搬送車は、本体部と、前記本体部を走行させる走行部と、前記本体部に搭載された把持部と、前記走行部及び前記把持部に電力を供給する電源部と、前記電源部に接続された給電部と、前記搬送車の各部を制御する搬送制御部と、を備え、
前記把持部は、前記搬送物及び前記検査装置のそれぞれが備える被把持部を把持する把持状態と、前記被把持部の把持を解除する解除状態と、に状態変更可能に構成され、
前記検査装置は、前記被把持部と、前記電源部から供給された電力により動作して前記検査を行う検査部と、前記給電部に対して着脱自在であると共に前記電源部と前記検査部とを電気的に接続する接続部と、を備え、
前記搬送制御部は、前記接続部が前記給電部に接続されている接続状態では前記把持部が前記把持状態から前記解除状態に状態変更することを禁止し、前記接続部が前記給電部に接続されていない非接続状態では前記把持部の状態変更を許容する、搬送設備。
【請求項2】
前記搬送車は、前記把持部を昇降させる昇降部を備え、
前記搬送制御部は、前記接続部が前記接続状態かつ前記把持部が前記解除状態では、前記昇降部による前記把持部の昇降を禁止する、請求項1に記載の搬送設備。
【請求項3】
前記搬送制御部は、作業者が操作する操作部からの指令に従って前記搬送車の各部を制御する被操作モードを実行可能であり、前記被操作モードにおいて、前記接続部が前記接続状態で、前記把持部を前記把持状態から前記解除状態に状態変更する指令を受けた場合には、当該状態変更を行わず、前記作業者に対する異常報知を行う、請求項1又は2に記載の搬送設備。
【請求項4】
前記搬送車は、前記把持部を移動させる移動機構部を備え、前記把持部を移動させて前記把持部と移載対象箇所との間で前記搬送物を移載するように構成され、
前記検査部は、前記移載対象箇所を撮影するように構成され、
前記検査装置は、前記検査部により撮影された画像に基づいて、前記把持部と前記移載対象箇所との位置関係を検査する、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送設備。
【請求項5】
前記把持部の開閉動作を実行するための信号の伝達経路にスイッチが設けられ、
前記接続部が前記非接続状態では、前記スイッチにより前記伝達経路が導通状態となり、
前記接続部が前記接続状態では、前記電源部の正極又は負極の電圧が前記スイッチに入力されて、前記スイッチにより前記伝達経路が遮断状態となる、請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を搬送する搬送車と、前記搬送車による前記搬送物の搬送経路に関する検査を行う場合に前記搬送物に代えて前記搬送車によって搬送される検査装置と、を備えた搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような搬送設備の一例が、特開2016-199348号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示される符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された設備では、搬送車(1)が、搬送物としての容器(W)の代わりに検査装置(J)を把持可能に構成されており、当該検査装置(J)によって、搬送車(1)による搬送動作に係る各方向の位置ずれを検査する(特許文献1の図10及び図11等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-199348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1には、検査装置(J)の動力について特に記載がない。通常、検査装置(J)にはバッテリなどの蓄電装置が搭載されており、検査装置(J)の動力は、このような蓄電装置の電力によって賄われる。しかしながら、検査装置(J)の軽量化の観点からは、検査装置(J)には蓄電装置が搭載されていないことが好ましい。例えば、搬送車(1)側の電源部と検査装置(J)とを電気的に接続し、搬送車(1)側の電源部から検査装置(J)に電力を供給することで、検査装置(J)の蓄電装置を無くすことも可能である。ここで、搬送車(1)が検査装置(J)を搬送している際に、搬送車(1)側の電源部と検査装置(J)とが配線等の接続部によって繋がれた状態では、搬送車(1)は検査装置(J)を把持している必要がある。仮に、搬送車(1)による検査装置(J)の把持が解除された場合には、搬送車(1)と検査装置(J)とが接続部のみによって物理的に繋がっている状態となり、当該接続部に過大な負担が掛かり得る。そこで、このような事態が発生しないようにする必要がある。
【0006】
上記実状に鑑みて、検査装置の軽量化を図るために搬送車から検査装置に電力を供給できると共に、当該電力供給のための接続部に過大な負荷が作用することを回避できる搬送設備が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
搬送物を搬送する搬送車と、前記搬送車による前記搬送物の搬送経路に関する検査を行う場合に前記搬送物に代えて前記搬送車によって搬送される検査装置と、を備えた搬送設備であって、
前記搬送車は、本体部と、前記本体部を走行させる走行部と、前記本体部に搭載された把持部と、前記走行部及び前記把持部に電力を供給する電源部と、前記電源部に接続された給電部と、前記搬送車の各部を制御する搬送制御部と、を備え、
前記把持部は、前記搬送物及び前記検査装置のそれぞれが備える被把持部を把持する把持状態と、前記被把持部の把持を解除する解除状態と、に状態変更可能に構成され、
前記検査装置は、前記被把持部と、前記電源部から供給された電力により動作して前記検査を行う検査部と、前記給電部に対して着脱自在であると共に前記電源部と前記検査部とを電気的に接続する接続部と、を備え、
前記搬送制御部は、前記接続部が前記給電部に接続されている接続状態では前記把持部が前記把持状態から前記解除状態に状態変更することを禁止し、前記接続部が前記給電部に接続されていない非接続状態では前記把持部の状態変更を許容する。
【0008】
本構成によれば、検査装置の検査部が、搬送車の電源部から供給された電力により動作するように構成されている。そのため、検査装置にバッテリなどの蓄電装置を搭載する必要が無く、検査装置の軽量化を図ることができる。また、本構成によれば、検査装置の接続部が搬送車の給電部に接続されている接続状態では、把持部が把持状態から解除状態に状態変更することが搬送制御部によって禁止される。すなわち、検査装置の重量が把持部によって支持された状態が維持される。これにより、接続部に対して過大な負荷が作用しないようにすることができる。一方、接続部が給電部に接続されていない非接続状態では、把持部の状態変更が許容されるので、検査装置の着脱や搬送物の搬送を適切に行うことができる。以上のように、本構成によれば、検査装置の軽量化を図るために搬送車から検査装置に電力を供給できると共に、当該電力供給のための接続部に過大な負荷が作用することを回避できる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】搬送設備の平面図
図2】搬送車が移載対象箇所との間で搬送物を移載している様子を示す図
図3】検査装置が検査を行っている様子を示す図
図4】接続部が接続状態で、把持部が解除状態になった場合を示す図
図5】搬送設備の制御構成図であり、接続部の接続状態を示す図
図6】搬送設備の制御構成図であり、接続部の非接続状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
搬送設備は、搬送物を搬送する搬送車と、搬送車による搬送物の搬送経路に関する検査を行う場合に搬送物に代えて搬送車によって搬送される検査装置と、を備えた設備である。以下、搬送設備が、半導体製造工場に用いられる場合を例示して、搬送設備の実施形態について説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、搬送設備100は、搬送物9を搬送する搬送車1と、搬送物9の移載元または移載先となる移載対象箇所8と、を備えている。本実施形態では、複数の搬送車1と複数の移載対象箇所8とが、搬送設備100に設けられている。
【0013】
本実施形態では、搬送設備100は、設備の天井近くに設置されて搬送車1の搬送経路Rの一部を構成する走行レールRaを備えている。すなわち、本例において搬送車1は、天井近くで搬送物9を搬送する天井搬送車として構成されている。なお、「搬送経路R」とは、搬送車1が搬送物9を移動させる経路である。本例では、搬送経路Rは、走行レールRaに沿って設定されていると共に、各移載対象箇所8と走行レールRaとを上下方向に結ぶ仮想的な経路に沿って設定されている。
【0014】
図2に示すように、走行レールRaは、設備の天井から吊下げ支持されている。本例では、走行レールRaに沿って、給電線Rbが設けられている。搬送車1は、給電線Rbから非接触で電力の供給を受けることにより動力源を確保するように構成されている。
【0015】
図1及び図2に示すように、本実施形態では、移載対象箇所8は、搬送物9に対する処理を行う処理装置81と、処理装置81に隣接して配置されると共に搬送物9が載置される載置台82と、を備えている。載置台82は、いわゆるロードポートである。処理装置81は、載置台82に載置された搬送物9に対して処理を行う。載置台82には、当該載置台82に載置された搬送物9の位置決めを行う位置決め部82aが設けられている。位置決め部82aは、載置台82の上面に設けられており、載置台82に載置された搬送物9の底面に設けられた被係合部90aに係合するように構成されている。本例では、位置決め部82aは、載置台82の上面から上側に突出するように設けられた複数の位置決めピンである。
【0016】
本実施形態では、搬送車1は、処理装置81による処理が行われる前の搬送物9を載置台82に搬送すると共に、処理装置81による処理が行われた後の搬送物9を載置台82から指定された搬送先へ搬送する。例えば、搬送物9は、処理装置81による処理の対象となる処理対象物を収容する容器であり、上述の「搬送物9に対する処理」とは、搬送物9に収容された処理対象物に対する処理を意味する。搬送物9としては、ウェハを収容するウェハ収容容器(いわゆるFOUP:Front Opening Unified Pod)であっても良いし、レチクルを収容するレチクル収容容器(いわゆるレチクルポッド)であっても良い。搬送物9がFOUPである場合、処理対象物はウェハとされる。搬送物9がレチクルポッドである場合、処理対象物はレチクルとされる。ここで例示する半導体製造工場においては、処理装置81は、半導体基板に対して、例えば、薄膜形成、フォトリソグラフィー、エッチングなどの種々の処理を行う。
【0017】
図2に示すように、容器としての搬送物9は、容器本体部90と、被把持部91と、を備えている。容器本体部90は、処理対象物を収容する部分である。被把持部91は、後述する搬送車1の把持部12によって把持される部分である。本実施形態では、被把持部91は、容器本体部90の上面から上方に突出するように形成されている。本例では、被把持部91は、水平方向に沿って延在するフランジ状に形成されている。容器本体部90の底面には、載置台82に設けられた位置決め部82aに係合する被係合部90aが設けられている。上記のとおり、本例では、位置決め部82aは、複数の位置決めピンである。そこで、被係合部90aは、複数の位置決めピンのそれぞれに係合するように、容器本体部90の底面から上方に凹んで形成された凹部である。。本例では、複数の位置決めピンのそれぞれに対応する容器本体部90の底面の複数箇所に、被係合部90aとしての凹部が設けられている。よって、搬送物9が載置台82に載置された状態で、被係合部90aとしての複数の凹部は、載置台82の位置決め部82aとしての複数の位置決めピンのそれぞれに係合する。
【0018】
搬送車1は、本体部10と、本体部10を走行させる走行部11と、本体部10に搭載された把持部12と、走行部11及び把持部12に電力を供給する電源部14と、を備えている。また、搬送車1は、電源部14に接続された給電部15と、搬送車1の各部を制御する搬送制御部H1と、を備えている(図5等参照)。
【0019】
本実施形態では、搬送車1は、把持部12を移動させる移動機構部13を備え、把持部12を移動させて把持部12と移載対象箇所8との間で搬送物9を移載するように構成されている。移動機構部13は、少なくとも、把持部12を昇降させるように構成されている。すなわち本実施形態では、搬送車1は、把持部12を昇降させる昇降部を備えている。ここでは、移動機構部13が、「昇降部」としての機能を備えている。
【0020】
本実施形態では、移動機構部13は、把持部12に連結された昇降ベルト13aを備えている。昇降ベルト13aは、昇降モータにより駆動されて、把持部12を昇降させる。本例では、移動機構部13は、上方位置と、当該上方位置よりも下方に設定された下方位置との間で、把持部12を昇降させるように構成されている。把持部12が上方位置に配置された状態で、走行部11が走行レールRaに沿って走行し、本体部10及び把持部12を移動させる。また、把持部12が下方位置に配置された状態で、搬送車1と移載対象箇所8との間で搬送物9の移載が行われる。
【0021】
走行部11は、走行レールRa上を転動する複数の走行輪11aを備えている。複数の走行輪11aのうちの少なくとも1つは、走行モータにより駆動される。これにより、走行部11が走行レールRaに沿って走行するための推進力が発生する。
【0022】
本体部10は、走行部11に吊り下げ支持され、走行レールRaよりも下方に配置されている。本実施形態では、本体部10は、把持部12を収容可能なカバー部10aを備えている。具体的には、カバー部10aは、上方位置に配置された把持部12を収容するように構成されている。
【0023】
把持部12は、搬送物9及び検査装置2(図3参照)のそれぞれが備える被把持部(91,21)を把持する把持状態と、被把持部(91,21)の把持を解除する解除状態と、に状態変更可能に構成されている。本実施形態では、把持部12は、互いに接近または離間するように動作する一対の把持爪12aを備えている。一対の把持爪12aが、互いに接近するように動作することで、一対の把持爪12aが被把持部(91,21)に接触して、把持部12が把持状態となる。反対に、一対の把持爪12aが、互いに離間するように動作することで、一対の把持爪12aが被把持部(91,21)から離間して、把持部12が解除状態となる。
【0024】
電源部14は、走行部11、把持部12、及び移動機構部13に電力を供給するように構成されている。本実施形態では、電源部14は、走行レールRaに配設された給電線Rbから非接触で電力の供給を受ける受電装置として構成されている。電源部14は、給電線Rbから得た電力を搬送車1の各部に供給する。
【0025】
搬送経路Rに関する検査が行われる場合には、搬送車1は、搬送物9に代えて検査装置2を搬送する(図3参照)。搬送車1が搬送経路Rに沿って検査装置2を搬送している間に、検査装置2は、搬送経路Rに関する検査を行う。ここで、「搬送経路Rに関する検査」には、搬送経路Rを移動中の搬送車1の検査、走行レールRaの検査、移載対象箇所8の検査、搬送経路Rの周辺の空気の清浄度の検査、搬送経路Rやその周辺の状況や環境の検査などが含まれる。
【0026】
図3に示すように、検査装置2は、搬送車1の把持部12によって把持される被把持部21と、搬送車1の電源部14(図5等参照)から供給された電力により動作して検査を行う検査部22と、搬送車1の給電部15に対して着脱自在であると共に電源部14と検査部22とを電気的に接続する接続部250と、を備えている。このような構成により、検査装置2の検査部22が、搬送車1の電源部14から供給された電力により動作することができる。そのため、検査装置2にバッテリなどの蓄電装置を搭載する必要が無く、検査装置2の軽量化を図ることができる。
【0027】
本実施形態では、検査装置2は、ユニット本体部20を備えている。検査部22及び接続部250は、ユニット本体部20によって支持されている。被把持部21は、ユニット本体部20の上面から上方に突出するように形成されている。本例では、搬送物9の被把持部91と検査装置2の被把持部21とは、少なくとも、搬送車1の把持部12によって把持される部分が共通の形状となっている。
【0028】
本実施形態では、給電部15は、接続部250に接続される被接続部150を備えている。接続部250は、検査装置2側のコネクタである。被接続部150は、搬送車1側のコネクタである。これら接続部250と被接続部150とが接続されることで、搬送車1の電源部14と検査装置2の検査部22とが電気的に接続される。本例では、給電部15は、被接続部150(コネクタ)と電源部14とを電気的に接続する電気配線を更に備えている。また、検査装置2は、接続部250(コネクタ)と検査部22とを電気的に接続する電気配線を更に備えている。
【0029】
本実施形態では、検査部22は、移載対象箇所8を撮影するように構成されている。検査装置2は、検査部22により撮影された画像に基づいて、把持部12と移載対象箇所8との位置関係を検査する。本例では、検査部22は、カメラ22aを備えている。検査装置2は、カメラ22aによって移載対象箇所8を撮影する。また本例では、検査部22は、移載対象箇所8との距離を検出する距離センサ22bを備えている。距離センサ22bは、下方を向くように配置され、移載対象箇所8との上下方向の距離を検出するように構成されている。
【0030】
図1に示すように、本実施形態では、移載対象箇所8は、処理装置81に隣接されて配置された載置台82の他、検査を行う際に用いる検査用載置台83を備えている。本例では、搬送車1が検査用載置台83に検査装置2を搬送することで、検査装置2が検査を行う。
【0031】
図3に示すように、検査用載置台83には、載置台82と同様の位置決め部材83aが設けられている。本実施形態では、検査用載置台83には、検査部22により撮影される対象となるマークMが設けられている。マークMは、検査用載置台83における上面に設けられ、上方を向くように配置されている。
【0032】
本実施形態では、検査装置2は、マークMの位置を基準として、把持部12と移載対象箇所8との位置関係を検査する。具体的には、検査装置2は、カメラ22aによりマークMを撮影し、撮影された画像中におけるマークMの位置に基づいて、移載対象箇所8と把持部12との水平方向の位置関係を検査する。また、検査装置2は、距離センサ22bによりマークM(検査用載置台83の上面)との上下方向の距離を検出し、移載対象箇所8と把持部12との上下方向の位置関係を検査する。なお、検査装置2は、距離センサ22bを備えていなくても良い。この場合であっても、検査装置2は、カメラ22aにより撮影された画像中のマークMの大きさに基づいて、マークM(検査用載置台83の上面)との上下方向の距離を検出することができる。
【0033】
上記検査により、搬送車1が移載対象箇所8に対して搬送物9を搬送する際の搬送動作に係る各方向の位置ずれを検査することができる。但し、このような検査は、検査装置2が行う検査の一例に過ぎない。上述のように、検査装置2は、搬送経路Rに関する各種の検査を行っても良い。
【0034】
ここで、上述したように、検査装置2側の接続部250と搬送車1側の被接続部150とが接続されることで、搬送車1の電源部14と検査装置2の検査部22とが電気的に接続される。これにより、搬送車1の電源部14から検査装置2に電力を供給することができるため、検査装置2にバッテリなどの蓄電装置を搭載する必要が無く、検査装置2の軽量化を実現することができる。しかしながら、搬送車1が検査装置2を搬送している際に、接続部250と被接続部150とが接続された状態では、把持部12が把持状態、すなわち搬送車1が検査装置2を把持している必要がある。仮に、把持部12が解除状態となった場合には、搬送車1と検査装置2とが、給電部15と接続部250との接続のみによって物理的に繋がっている状態となり、当該接続部250(或いは給電部15)に過大な負担が掛かり得る(図4参照)。より具体的には、例えば図4に示すように、給電部15と接続部250との接続のみによって検査装置2が把持部12に吊下げられた状態となり得る。そこで、このような事態が発生しないようにする必要がある。本開示に係る搬送設備100は、検査装置2の軽量化を図るために搬送車1から検査装置2に電力を供給できると共に、当該電力供給のための接続部250に過大な負荷が作用することを回避できる。以下、これらの作用効果を実現可能な搬送設備100の構成について詳細に説明する。
【0035】
図5及び図6は、搬送設備100の制御構成図である。図5は、接続部250が被接続部150と接続された状態を示している。図6は、接続部250が被接続部150と接続されていない状態を示している。
【0036】
図5及び図6に示すように、本実施形態では、搬送設備100は、設備全体を統括して管理する統括制御装置Htと、作業者Wが操作可能な操作部7と、を備えている。統括制御装置Htは、搬送設備100に備えらえた各装置と通信可能に構成されており、各装置の動作状況に関する情報を取得可能であると共に各装置に対して各種指令を出力する。本実施形態では、統括制御装置Htは、搬送車1を制御する搬送制御部H1に対して、搬送指令や検査指令などの各種指令を出力する。また、統括制御装置Htは、作業者Wが操作部7に入力した指令を、搬送制御部H1に対して出力する。搬送指令を受けた搬送車1は、例えば、指定の搬送元から指定の搬送先へ搬送物9を搬送する。検査指令を受けた搬送車1は、例えば、指定の搬送元から指定の搬送先へ検査装置2を搬送する。統括制御装置Ht及び搬送制御部H1は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0037】
搬送制御部H1は、走行部11、把持部12、及び移動機構部13の動作を制御するように構成されている。搬送制御部H1は、接続部250が給電部15に接続されている接続状態では把持部12が把持状態から解除状態に状態変更することを禁止し、接続部250が給電部15に接続されていない非接続状態では把持部12の状態変更を許容する。これにより、検査装置2の接続部250が搬送車1の給電部15に接続されている接続状態では、把持部12が把持状態から解除状態に状態変更することが搬送制御部H1によって禁止されるため、検査装置2の重量が把持部12によって支持された状態が維持される。従って、図4に示された状態を回避でき、接続部250に対して過大な負荷が作用しないようにすることができる。
【0038】
本実施形態では、搬送車1は、把持部12の開閉動作を実行するための信号(以下特定信号GOという)が伝達される伝達経路TRを備えている。ここでは、伝達経路TRは、特定信号GOの発生源と搬送制御部H1とを接続する信号線とされている。搬送制御部H1は、伝達経路TRが導通状態で、把持部12の開閉動作を制御可能となっている。本例では、伝達経路TRには、移動機構部13の動作(ここでは昇降動作)を実行するための信号も伝達される。搬送制御部H1は、伝達経路TRが導通状態で、移動機構部13の動作を制御可能となっている。
【0039】
本実施形態では、伝達経路TRにスイッチSが設けられている。スイッチSは、例えばリレーである。本例では、スイッチSは、電源部14の正極P側に接続される正極電源端子Spと、電源部14の負極N側に接続される負極電源端子Snと、を備えている。スイッチSは、正極電源端子Sp及び負極電源端子Snに電源部14の電圧が入力された状態で、伝達経路TRを遮断する(図5参照)。また、スイッチSは、正極電源端子Sp及び負極電源端子Snの少なくとも一方に電源部14の電圧が入力されていない状態で、伝達経路TRを導通させる(図6参照)。例えば、スイッチSは、回路を閉じる方向にバネ等によって機械的に付勢されており、電圧の入力により、回路を開く方向に電気的に駆動されるように構成されている。これにより、スイッチSは、電圧が入力されていない状態で伝達経路TRを導通させ、電圧が入力されている状態で伝達経路TRを遮断する。
【0040】
図5に示すように、本実施形態では、接続部250が接続状態では、電源部14の正極P又は負極Nの電圧がスイッチSに入力されて、スイッチSにより伝達経路TRが遮断状態となる。本例では、電源部14の正極Pの電圧が常にスイッチSに入力された状態であり、スイッチSに対する電源部14の負極Nの電圧の入力の有無に応じてスイッチSの状態が変化する。後述するように、スイッチSに対する負極Nの電圧の入力の有無は、接続部250の接続状態と非接続状態とに応じて切り替わるように構成されている。
【0041】
本実施形態では、給電部15の被接続部150は、電源部14の正極P側に接続された被接続部第1端子151と、電源部14の負極N側に接続された被接続部第2端子152と、スイッチSの負極電源端子Snに接続された被接続部第3端子153と、を備えている。図示の例では、電源部14における正極Pの端子と被接続部第1端子151とを繋ぐ経路に、当該経路の導通状態を切り替え可能に構成されたパワースイッチPSが設けられている。本例では、パワースイッチPSは、手動により操作される。例えば、接続部250を被接続部150に対して着脱する作業を行う場合には、パワースイッチPSをオフにして電圧が流れない状態にしておくと、安全に着脱作業を行うことができる(図6参照)。
【0042】
本実施形態では、検査装置2の接続部250は、検査装置2の正極P側に接続された接続部第1端子251と、検査装置2の負極N側に接続された接続部第2端子252と、当該接続部第2端子252と接続された接続部第3端子253と、を備えている。
【0043】
本実施形態では、接続部250が接続状態で、被接続部第1端子151と接続部第1端子251とが電気的に接続され、被接続部第2端子152と接続部第2端子252とが電気的に接続される。これにより、電源部14の正極P及び負極Nの電圧が検査装置2に供給され、検査装置2が動作可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、接続部250が接続状態で、被接続部第3端子153と接続部第3端子253とが電気的に接続される。ここで、接続部第2端子252と接続部第3端子253とは、電気的に繋がっている。従って、接続部250が接続状態では、被接続部第2端子152と、接続部第2端子252と、接続部第3端子253と、被接続部第3端子153とが、電気的に接続された状態となり、電源部14の負極Nの電圧が、被接続部第2端子152、接続部第2端子252、接続部第3端子253、被接続部第3端子153を介して、スイッチSの負極電源端子Snに入力される。すなわち、接続部250が接続状態で、スイッチSの正極電源端子Sp及び負極電源端子Snに電源部14の電圧が入力され、スイッチSが作動して伝達経路TRが遮断される。これにより、搬送制御部H1は、把持部12の状態変更を禁止する。すなわち本例では、搬送制御部H1は、接続部250が接続状態では、把持部12が把持状態から解除状態に状態変更することを禁止すると共に、把持部12が解除状態から把持状態に状態変更することも禁止する。
【0045】
更に、本実施形態では、搬送制御部H1は、接続部250が接続状態かつ把持部12が解除状態では、移動機構部13(昇降部)による把持部12の昇降を禁止する。接続部250が接続状態で、かつ、把持部12が解除状態であっても、移動機構部13が把持部12を昇降させなければ、把持部12と検査装置2との位置関係が変化しないようにできる。これにより、把持部12の状態に関わらず、例えば図4に示すように、給電部15と接続部250との接続のみによって検査装置2が把持部12に吊下げられた状態となることを回避できるそのため、接続部250に過大な負荷が作用することを回避できる。
【0046】
上述のように、本実施形態では、伝達経路TRには、移動機構部13の動作(ここでは昇降動作)を実行するための信号も伝達される。そして、搬送制御部H1は、伝達経路TRが導通状態で、移動機構部13の動作を制御可能となっている。従って、接続部250が接続状態では、伝達経路TRは遮断状態となるため、搬送制御部H1は、把持部12の状態変更を禁止することに加えて、移動機構部13による把持部12の昇降をも禁止する。但し、搬送制御部H1は、接続部250が接続状態であっても、把持部12が把持状態であれば、移動機構部13(昇降部)による把持部12の昇降を許容する構成であっても良い。この場合、例えば、搬送制御部H1が、伝達経路TRの状態に関わらず、把持部12が把持状態である場合に搬送制御部H1に入力される信号に基づいて、移動機構部13による把持部12の昇降を許容する構成とすることができる。
【0047】
図6に示すように、接続部250が非接続状態では、スイッチSにより伝達経路TRが導通状態となる。上述のように、電源部14の負極Nの電圧がスイッチSの負極電源端子Snに入力される経路は、被接続部第2端子152、接続部第2端子252、接続部第3端子253、被接続部第3端子153を介した経路である。接続部250が非接続状態では、被接続部第2端子152と接続部第2端子252との電気的接続、及び、接続部第3端子253と被接続部第3端子153との電気的接続が解除されるため、電源部14の負極Nの電圧はスイッチSの負極電源端子Snに入力されなくなる。従って、図6に示すように、伝達経路TRが導通状態となる。
【0048】
本実施形態では、搬送制御部H1は、作業者Wが操作する操作部7からの指令に従って搬送車1の各部を制御する被操作モードを実行可能であり、被操作モードにおいて、接続部250が接続状態で、把持部12を把持状態から解除状態に状態変更する指令を受けた場合には、当該状態変更を行わず、作業者Wに対する異常報知を行う。すなわち、被操作モードの実行中において、接続部250が接続状態であるにも関わらず把持部12を把持状態から解除状態に状態変更する指令、すなわち不適切な指令がなされた場合であっても、搬送制御部H1は上記状態変更を行わない。これにより、検査装置2の重量が把持部12によって支持された状態が維持され、接続部250に対して過大な負荷が作用しないようにすることができる。また、このような場合に搬送制御部H1が作業者Wに対して異常報知を行うため、不適切な指令がなされたことを作業者Wに知らせることができる。搬送制御部H1は、上記異常報知として、例えば、統括制御装置Htを介して操作部7の表示画面に警告を表示するようにしても良いし、操作部7において警告音を発するようにしても良い。或いは、搬送車1において警告音を発するようにしても良いし、搬送車1において警告灯等により警告表示を行っても良い。
【0049】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0050】
(1)上記の実施形態では、電源部14の正極Pの電圧が常にスイッチSに入力された状態であり、スイッチSに対する電源部14の負極Nの電圧の入力の有無に応じてスイッチSの状態が変化する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、上記とは逆の構成であっても良い。すなわち、電源部14の負極Nの電圧が常にスイッチSに入力された状態であり、スイッチSに対する電源部14の正極Pの電圧の入力の有無に応じてスイッチSの状態が変化する構成であっても良い。またこのような構成において、スイッチSに対する電源部14の正極Pの電圧の入力の有無が、接続部250の接続状態と非接続状態とに応じて切り替わるように構成されていると好適である。
【0051】
(2)上記の実施形態では、電源部14が、走行レールRaに配設された給電線Rbから非接触で電力の供給を受ける受電装置として構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、電源部14は、搬送車1に搭載されたバッテリやキャパシタなどの蓄電装置を備えていても良い。このように電源部14が蓄電装置を備える場合には、電源部14は、給電線Rbから受電する受電装置を備える必要はない。
【0052】
(3)上記の実施形態では、移動機構部13が、少なくとも、把持部12を昇降させるように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、移動機構部13は、把持部12を昇降させるだけでなく、把持部12を水平方向に沿ってスライドさせる機能を有していても良い。また、移動機構部13は、把持部12を上下軸心まわりに旋回させる機能を有していても良い。すなわち、搬送車1は、把持部12を水平方向に沿ってスライドさせるスライド部、及び、把持部12を上下軸心周りに旋回させる旋回部の少なくとも一方を備えていても良い。昇降部、スライド部、及び旋回部は、任意に組み合わせて移動機構部13を構成することができる。
【0053】
(4)上記の実施形態では、搬送物9の被把持部91と検査装置2の被把持部21とは、少なくとも、把持部12によって把持される部分が共通の形状となっている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送物9の被把持部91と検査装置2の被把持部21とは、それぞれが把持部12によって把持されることが可能な形状であれば良く、互いに異なる形状であっても良い。
【0054】
(5)上記の実施形態では、搬送車1が、天井近くで搬送物9を搬送する天井搬送車として構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送車1は、床面を走行する有軌道式あるいは無軌道式の無人搬送車として構成されていても良い。
【0055】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0056】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送設備について説明する。
【0057】
搬送物を搬送する搬送車と、前記搬送車による前記搬送物の搬送経路に関する検査を行う場合に前記搬送物に代えて前記搬送車によって搬送される検査装置と、を備えた搬送設備であって、
前記搬送車は、本体部と、前記本体部を走行させる走行部と、前記本体部に搭載された把持部と、前記走行部及び前記把持部に電力を供給する電源部と、前記電源部に接続された給電部と、前記搬送車の各部を制御する搬送制御部と、を備え、
前記把持部は、前記搬送物及び前記検査装置のそれぞれが備える被把持部を把持する把持状態と、前記被把持部の把持を解除する解除状態と、に状態変更可能に構成され、
前記検査装置は、前記被把持部と、前記電源部から供給された電力により動作して前記検査を行う検査部と、前記給電部に対して着脱自在であると共に前記電源部と前記検査部とを電気的に接続する接続部と、を備え、
前記搬送制御部は、前記接続部が前記給電部に接続されている接続状態では前記把持部が前記把持状態から前記解除状態に状態変更することを禁止し、前記接続部が前記給電部に接続されていない非接続状態では前記把持部の状態変更を許容する。
【0058】
本構成によれば、検査装置の検査部が、搬送車の電源部から供給された電力により動作するように構成されている。そのため、検査装置にバッテリなどの蓄電装置を搭載する必要が無く、検査装置の軽量化を図ることができる。また、本構成によれば、検査装置の接続部が搬送車の給電部に接続されている接続状態では、把持部が把持状態から解除状態に状態変更することが搬送制御部によって禁止される。すなわち、検査装置の重量が把持部によって支持された状態が維持される。これにより、接続部に対して過大な負荷が作用しないようにすることができる。一方、接続部が給電部に接続されていない非接続状態では、把持部の状態変更が許容されるので、検査装置の着脱や搬送物の搬送を適切に行うことができる。以上のように、本構成によれば、検査装置の軽量化を図るために搬送車から検査装置に電力を供給できると共に、当該電力供給のための接続部に過大な負荷が作用することを回避できる。
【0059】
前記搬送車は、前記把持部を昇降させる昇降部を備え、
前記搬送制御部は、前記接続部が前記接続状態かつ前記把持部が前記解除状態では、前記昇降部による前記把持部の昇降を禁止する、と好適である。
【0060】
接続部が接続状態で、かつ、把持部が解除状態であっても、昇降部が把持部を昇降させなければ、把持部と検査装置との位置関係が変化しないようにできる。そのため、本構成によれば、上記のように接続部に過大な負荷が作用することを回避できる。
【0061】
前記搬送制御部は、作業者が操作する操作部からの指令に従って前記搬送車の各部を制御する被操作モードを実行可能であり、前記被操作モードにおいて、前記接続部が前記接続状態で、前記把持部を前記把持状態から前記解除状態に状態変更する指令を受けた場合には、当該状態変更を行わず、前記作業者に対する異常報知を行う、と好適である。
【0062】
本構成によれば、被操作モードの実行中において、接続部が接続状態であるにも関わらず把持部を把持状態から解除状態に状態変更する指令、すなわち不適切な指令がなされた場合であっても、搬送制御部が上記状態変更を行わない。これにより、検査装置の重量が把持部によって支持された状態が維持され、接続部に対して過大な負荷が作用しないようにすることができる。また、このような場合に搬送制御部が作業者に対して異常報知を行うため、不適切な指令がなされたことを作業者に知らせることができる。
【0063】
前記搬送車は、前記把持部を移動させる移動機構部を備え、前記把持部を移動させて前記把持部と移載対象箇所との間で前記搬送物を移載するように構成され、
前記検査部は、前記移載対象箇所を撮影するように構成され、
前記検査装置は、前記検査部により撮影された画像に基づいて、前記把持部と前記移載対象箇所との位置関係を検査する、と好適である。
【0064】
本構成によれば、検査装置を用いて、把持部と移載対象箇所との位置関係を検査することができる。これにより、搬送車による搬送物の搬送動作を適切に行うことができるか否かについても検査することができる。
【0065】
前記把持部の開閉動作を実行するための信号の伝達経路にスイッチが設けられ、
前記接続部が前記非接続状態では、前記スイッチにより前記伝達経路が導通状態となり、
前記接続部が前記接続状態では、前記電源部の正極又は負極の電圧が前記スイッチに入力されて、前記スイッチにより前記伝達経路が遮断状態となる、と好適である。
【0066】
本構成によれば、給電部に対する接続部の着脱状態、すなわち、接続状態であるか非接続状態であるかの物理的な状態に応じて、把持部の開閉動作を実行するための信号の伝達経路を導通状態と遮断状態とに切り替えることができる。そのため、制御構成を簡略化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示に係る技術は、搬送物を搬送する搬送車と、前記搬送車による前記搬送物の搬送経路に関する検査を行う場合に前記搬送物に代えて前記搬送車によって搬送される検査装置と、を備えた搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
100 :搬送設備
1 :搬送車
10 :本体部
11 :走行部
12 :把持部
13 :移動機構部
14 :電源部
15 :給電部
2 :検査装置
21 :検査装置の被把持部
22 :検査部
250 :接続部
7 :操作部
8 :移載対象箇所
9 :搬送物
91 :搬送物の被把持部
TR :伝達経路
H1 :搬送制御部
R :搬送経路
S :スイッチ
W :作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6