(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】制御装置、表示装置、車両、および携帯端末
(51)【国際特許分類】
B60K 35/21 20240101AFI20240709BHJP
【FI】
B60K35/21
(21)【出願番号】P 2021183706
(22)【出願日】2021-11-10
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真輝
(72)【発明者】
【氏名】栗橋 翠
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寛也
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-248865(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0243504(US,A1)
【文献】特開2020-112698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 31/00-31/18,35/00-37/20
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の車両の前方を走行する先行車を強調表示する表示制御を実行する制御装置であって、
複数の前記先行車のなかから前記所定の車両の追従先の候補となる候補車両を検出する検出部と、
検出された前記候補車両に対して、当該候補車両に追従走行した際に前記所定の車両で得られるエネルギ消費の低減効果を算出する算出部と、
前記低減効果が算出された前記候補車両を強調表示するための設定を行うとともに、前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調表示の強調度合いを高く設定する強調表示設定部と、
を備え、
前記検出部は、複数の前記候補車両を検出し、
前記算出部は、各候補車両について前記低減効果を算出し、
前記強調表示設定部は、
前記強調表示として表示される追従マークについて、前記追従マークの表示位置を前記候補車両の後方に設定するとともに、前記追従マークの表示サイズを基準値に設定し、
複数の候補車両のうち前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定し、前記追従マークの表示サイズを前記基準値よりも大きくする変更を行い、
複数の候補車両のうち前記低減効果が小さい車両に対しては前記基準値に設定された前記表示サイズから変更せず、
前記表示制御を実行する際、前記強調表示設定部により設定された前記強調度合いに応じて
、前記低減効果が大きい車両と前記低減効果が小さい車両とを両方とも強調表示する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記追従マークは、追従対象となる前記候補車両を強調表示するための画像であり、
前記強調表示は、複数段階のレベルに設定可能であり、
前記基準値は、前記所定の車両の運転者により選択された前記レベルに応じて予め設定された値である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記エネルギ消費の低減効果として、前記候補車両に追従走行した際に前記所定の車両で得られる空気抵抗の低減効果を算出し、
前記強調表示設定部は、前記空気抵抗の低減効果が大きい車両には、前記空気抵抗の低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
所定の車両の前方を走行する先行車を強調表示する表示装置であって、
複数の前記先行車のなかから前記所定の車両の追従先の候補となる候補車両を検出する検出部と、
検出された前記候補車両に対して、当該候補車両に追従した際に前記所定の車両で得られるエネルギ消費の低減効果を算出する算出部と、
前記低減効果が算出された前記候補車両を強調表示するための設定を行うとともに、前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調表示の強調度合いを高く設定する強調表示設定部と、
前記強調表示設定部により設定された前記強調度合いに応じて前記候補車両を強調表示する表示部と
、
を備え
、
前記検出部は、複数の前記候補車両を検出し、
前記算出部は、各候補車両について前記低減効果を算出し、
前記強調表示設定部は、
前記強調表示として表示される追従マークについて、前記追従マークの表示位置を前記候補車両の後方に設定するとともに、前記追従マークの表示サイズを基準値に設定し、
複数の候補車両のうち前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定し、前記追従マークの表示サイズを前記基準値よりも大きくする変更を行い、
複数の候補車両のうち前記低減効果が小さい車両に対しては前記基準値に設定された前記表示サイズから変更せず、
前記表示部は、前記強調表示設定部により設定された前記強調度合いに応じて、前記低減効果が大きい車両と前記低減効果が小さい車両とを両方とも強調表示する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
前記追従マークは、追従対象となる前記候補車両を強調表示するための画像であり、
前記強調表示は、複数段階のレベルに設定可能であり、
前記基準値は、前記所定の車両の運転者により選択された前記レベルに応じて予め設定された値である
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記算出部は、前記エネルギ消費の低減効果として、前記候補車両に追従走行した際に前記所定の車両で得られる空気抵抗の低減効果を算出し、
前記強調表示設定部は、前記空気抵抗の低減効果が大きい車両には、前記空気抵抗の低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の表示装置。
【請求項7】
請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の制御装置を備えた車両であって、
複数の前記先行車のなかから前記所定の車両の追従先の候補となる候補車両を検出する検出部と、
検出された前記候補車両に対して、当該候補車両に追従走行した際に前記所定の車両で得られるエネルギ消費の低減効果を算出する算出部と、
前記低減効果が算出された前記候補車両を強調表示するための設定を行うとともに、前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調表示の強調度合いを高く設定する強調表示設定部と、
を備え、
前記検出部は、複数の前記候補車両を検出し、
前記算出部は、各候補車両について前記低減効果を算出し、
前記強調表示設定部は、
前記強調表示として表示される追従マークについて、前記追従マークの表示位置を前記候補車両の後方に設定するとともに、前記追従マークの表示サイズを基準値に設定し、
複数の候補車両のうち前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定し、前記追従マークの表示サイズを前記基準値よりも大きくする変更を行い、
複数の候補車両のうち前記低減効果が小さい車両に対しては前記基準値に設定された前記表示サイズから変更せず、
前記制御装置が前記表示制御を実行する際、前記強調表示設定部により設定された前記強調度合いに応じて
、前記低減効果が大きい車両と前記低減効果が小さい車両とを両方とも強調表示する
ことを特徴とする車両。
【請求項8】
前記追従マークは、追従対象となる前記候補車両を強調表示するための画像であり、
前記強調表示は、複数段階のレベルに設定可能であり、
前記基準値は、前記所定の車両の運転者により選択された前記レベルに応じて予め設定された値である
ことを特徴とする請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記算出部は、前記エネルギ消費の低減効果として、前記候補車両に追従走行した際に前記所定の車両で得られる空気抵抗の低減効果を算出し、
前記強調表示設定部は、前記空気抵抗の低減効果が大きい車両には、前記空気抵抗の低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の車両。
【請求項10】
請求項7から9のうちのいずれか一項に記載の車両と通信可能に接続された携帯端末であって、
前記車両から送信された強調表示の画像データを受信する通信部と、
前記車両から受信した前記強調表示の画像データに応じて前記候補車両を強調表示する表示部と
を備えることを特徴とする携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、表示装置、車両、および携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両の前方を走行する先行車を強調表示する表示装置について、先行車に対する強調表示を設定する際、先行車と自車両との間の距離が長い場合、車間距離が短い場合に比べて強調表示の強調度合いを高くすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の運転者は、自車両のエネルギ消費を低減することができる追従走行を望む場合がある。この場合、どの車両に追従すればよいのか、運転者には判断が難しい。そのため、追従先の候補となる車両に関する情報を視覚的に運転者に提示する技術について検討の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、所定の車両についてエネルギ消費を低減できる追従走行を可能にする先行車に関する情報を視覚的な情報として運転者に提示することができる制御装置、表示装置、車両、および携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、所定の車両の前方を走行する先行車を強調表示する表示制御を実行する制御装置であって、複数の前記先行車のなかから前記所定の車両の追従先の候補となる候補車両を検出する検出部と、検出された前記候補車両に対して、当該候補車両に追従走行した際に前記所定の車両で得られるエネルギ消費の低減効果を算出する算出部と、前記低減効果が算出された前記候補車両を強調表示するための設定を行うとともに、前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調表示の強調度合いを高く設定する強調表示設定部と、を備え、前記表示制御を実行する際、前記強調表示設定部により設定された前記強調度合いに応じて前記候補車両を強調表示することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、所定の車両についてエネルギ消費を低減できる追従走行を可能にする先行車に関する情報を視覚的な情報として、強調表示した状態で、車両の運転者に提示することができる。
【0008】
また、前記検出部は、複数の前記候補車両を検出し、前記算出部は、各候補車両について前記低減効果を算出し、前記強調表示設定部は、複数の候補車両のうち前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定し、前記表示制御を実行する際、前記強調表示設定部により設定された前記強調度合いに応じて、前記低減効果が大きい車両と前記低減効果が小さい車両とを両方とも強調表示してもよい。
【0009】
この構成によれば、複数の先行車のなかから、エネルギ消費の低減効果が大きい追従先を強調表示することができる。
【0010】
また、前記算出部は、前記エネルギ消費の低減効果として、前記候補車両に追従走行した際に前記所定の車両で得られる空気抵抗の低減効果を算出し、前記強調表示設定部は、前記空気抵抗の低減効果が大きい車両には、前記空気抵抗の低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定してもよい。
【0011】
この構成によれば、空気抵抗の低減効果が大きい候補車両を強調表示することができる。
【0012】
また、本発明に係る表示装置は、所定の車両の前方を走行する先行車を強調表示する表示装置であって、複数の前記先行車のなかから前記所定の車両の追従先の候補となる候補車両を検出する検出部と、検出された前記候補車両に対して、当該候補車両に追従した際に前記所定の車両で得られるエネルギ消費の低減効果を算出する算出部と、前記低減効果が算出された前記候補車両を強調表示するための設定を行うとともに、前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調表示の強調度合いを高く設定する強調表示設定部と、前記強調表示設定部により設定された前記強調度合いに応じて前記候補車両を強調表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、所定の車両についてエネルギ消費を低減できる追従走行を可能にする先行車に関する情報を視覚的な情報として、強調表示した状態で、車両の運転者に提示することができる。
【0014】
また、前記検出部は、複数の前記候補車両を検出し、前記算出部は、各候補車両について前記低減効果を算出し、前記強調表示設定部は、複数の候補車両のうち前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定し、前記表示部は、前記強調表示設定部により設定された前記強調度合いに応じて、前記低減効果が大きい車両と前記低減効果が小さい車両とを両方とも強調表示してもよい。
【0015】
この構成によれば、複数の先行車のなかから、エネルギ消費の低減効果が大きい追従先を強調表示することができる。
【0016】
また、前記算出部は、前記エネルギ消費の低減効果として、前記候補車両に追従走行した際に前記所定の車両で得られる空気抵抗の低減効果を算出し、前記強調表示設定部は、前記空気抵抗の低減効果が大きい車両には、前記空気抵抗の低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定してもよい。
【0017】
この構成によれば、空気抵抗の低減効果が大きい候補車両を強調表示することができる。
【0018】
また、本発明に係る車両は、上記発明における制御装置を備えた車両であって、複数の前記先行車のなかから前記所定の車両の追従先の候補となる候補車両を検出する検出部と、検出された前記候補車両に対して、当該候補車両に追従走行した際に前記所定の車両で得られるエネルギ消費の低減効果を算出する算出部と、前記低減効果が算出された前記候補車両を強調表示するための設定を行うとともに、前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調表示の強調度合いを高く設定する強調表示設定部と、を備え、前記制御装置が前記表示制御を実行する際、前記強調表示設定部により設定された前記強調度合いに応じて前記候補車両を強調表示することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、所定の車両についてエネルギ消費を低減できる追従走行を可能にする先行車に関する情報を視覚的な情報として、強調表示した状態で、車両の運転者に提示することができる。
【0020】
また、前記検出部は、複数の前記候補車両を検出し、前記算出部は、各候補車両について前記低減効果を算出し、前記強調表示設定部は、複数の候補車両のうち前記低減効果が大きい車両には、前記低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定し、前記制御装置が前記表示制御を実行する際、前記強調表示設定部により設定された前記強調度合いに応じて、前記低減効果が大きい車両と前記低減効果が小さい車両とを両方とも強調表示してもよい。
【0021】
この構成によれば、複数の先行車のなかから、エネルギ消費の低減効果が大きい追従先を強調表示することができる。
【0022】
また、前記算出部は、前記エネルギ消費の低減効果として、前記候補車両に追従走行した際に前記所定の車両で得られる空気抵抗の低減効果を算出し、前記強調表示設定部は、前記空気抵抗の低減効果が大きい車両には、前記空気抵抗の低減効果が小さい車両に比べて前記強調度合いを高く設定してもよい。
【0023】
この構成によれば、空気抵抗の低減効果が大きい候補車両を強調表示することができる。
【0024】
また、本発明に係る携帯端末は、上記発明における車両と通信可能に接続された携帯端末であって、前記車両から送信された強調表示の画像データを受信する通信部と、前記車両から受信した前記強調表示の画像データに応じて前記候補車両を強調表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、所定の車両についてエネルギ消費を低減できる追従走行を可能にする先行車に関する情報を視覚的な情報として、強調表示した状態で携帯端末の表示部に表示し、車両の運転者に提示することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、所定の車両についてエネルギ消費を低減できる追従走行を可能にする先行車に関する情報を視覚的な情報として、強調表示した状態で、車両の運転者に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、第1実施形態の車両を模式的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、強調表示の説明するための図である。
【
図3】
図3は、強調表示処理フローを示すフローチャート図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態の構成を説明するためのブロック図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の制御を説明するためのシーケンス図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における制御装置、表示装置、車両、および携帯端末について具体的に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0029】
(第1実施形態)
第1実施形態の車両1は、自車両の前方を走行する先行車のうち追従対象となる先行車を強調表示するように構成されている。車両1には、例えばオートクルーズコントロールやアダプティブクルーズコントロール等、自車両の前方を走行する先行車に対して追従走行するシステムが搭載されている。なお、ここで記載する「自車両」とは「車両1」のことを表す。
【0030】
例えば、車両1は、走行用の動力源としてモータを搭載した電気自動車である。この車両1では、バッテリに蓄えられた電力をモータに供給することによりモータが駆動し、モータから出力された動力が動力伝達装置を介して駆動輪に伝達される。つまり、車両1は電力を消費して得られた動力により走行するため、エネルギ効率の良い走行状態となれば電費が向上し、航続距離を延ばすことができる。
【0031】
車両1は、
図1に示すように、制御装置2と、表示部3とを備えている。すなわち、車両1は、制御装置2と表示部3とを含んで構成された表示装置を搭載している。この表示装置は、自車両の前方を走行する先行車のうち追従対象となる車両を強調表示する装置である。
【0032】
制御装置2は、電子制御装置により構成されており、自車両の前方を走行する先行車に関する情報を表示部3に表示する表示制御を実行する。この制御装置2は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備えたマイクロコンピュータを含んで構成されている。制御装置2は、ROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。また、制御装置2には、車両1に搭載された各種センサからの信号が入力される。例えば、自車両の前方を走行する先行車を検出する先行車検出センサ4や、自車両の車速を検出する車速センサ5などからの信号が制御装置2に入力される。
【0033】
先行車検出センサ4は、先行車を検出するためのセンサであり、例えば前方カメラやミリ波レーダー等により構成されている。第1実施形態では、先行車検出センサ4が前方カメラとミリ波レーダーとを含んで構成されている。そのため、先行車検出センサ4は、前方カメラの画像とミリ波レーダーの測定結果とを含む先行車情報を制御装置2に出力する。また、車速センサ5は、車軸の回転数に応じたパルス信号から車両1の車速を検出する。この制御装置2は入出力インターフェースを含んで構成されているため、先行車検出センサ4と車速センサ5からの信号を受信するなど、強調表示の制御に必要となる情報の送受信を行うことが可能である。
【0034】
そして、制御装置2は、先行車検出センサ4と車速センサ5とから入力された信号に基づいて、自車両の前方を走行する先行車を強調表示する表示制御を実行する。その際、制御装置2から表示部3に強調表示の画像が出力される。このように、制御装置2は、強調表示の制御を実行する制御部であり、表示部3に強調表示の画像を出力する。
【0035】
より詳細には、制御装置2は、
図1に示すように、候補車両検出部6と、低減効果算出部7と、強調表示設定部8と、映像生成部9と、を備えている。
【0036】
候補車両検出部6は、自車両の前方を走行する先行車のうち、自車両の追従先の候補となる車両(候補車両)を検出する。この候補車両検出部6は、先行車検出センサ4から先行車情報を取得し、その先行車情報に基づいて候補車両を検出する。先行車情報には自車両前方の画像とレーダーによる測定結果とが含まれているため、候補車両検出部6は、自車両前方の画像とミリ波レーダーの測定結果とに基づいて追従対象となる先行車を検出する。
【0037】
低減効果算出部7は、追従先の候補車両に追従走行した場合に得られるエネルギ消費の低減効果を算出する。この低減効果算出部7は、候補車両検出部6で検出された候補車両ごとに、エネルギ消費の低減効果を算出する。また、車両1は電気自動車であるため、低減効果算出部7は、追従走行時に消費される電力を低減する効果を算出することになる。すなわち、低減効果算出部7は電費低減効果を算出する。
【0038】
具体的には、低減効果算出部7は、電費低減効果として、追従走行による空気抵抗の低減効果を算出する。この空気抵抗は、候補車両の車体格と、自車両と候補車両との間の距離(車間距離)と、自車両の車速とに基づいて算出することができる。候補車両の車体格および候補車両との車間距離は先行車検出センサ4により取得した先行車情報に基づいて算出することができる。自車両の車速は車速センサ5により検出することができる。例えば、低減効果算出部7は、先行車検出センサ4に含まれる前方カメラにより取得した自車両前方の画像を解析して、候補車両の車体格を算出するとともに、自車両と候補車両との車間距離を算出する。あるいは低減効果算出部7は、先行車検出センサ4に含まれるミリ波レーダーにより取得したレーダーの測定結果に基づいて、候補車両と自車両との車間距離を算出する。そして、低減効果算出部7は候補車両の車体格と車間距離と車速とに基づいて空気抵抗の低減効果を算出する。一例として、候補車両の車体格が大きい場合には空気抵抗の低減効果が大きくなり、候補車両の車体格が小さい場合には空気抵抗の低減効果は小さくなる。このように算出される低減効果を、低減効果算出部7は、候補車両検出部6により検出された複数の候補車両ごとに計算する。
【0039】
強調表示設定部8は、エネルギ消費の低減効果に応じて強調表示の強調度合を設定する。この強調表示設定部8は、エネルギ消費の低減効果が大きい車両には、エネルギ消費の低減効果が小さい車両に比べて強調表示の強調度合を高く設定する。例えば、まず基準となる強調度合に設定してから、エネルギ消費の低減効果が大きい候補車両に対して強調表示の強調度合を高めることにより、相対的に強調度合に違いを出すことが可能である。
【0040】
具体的には、強調表示設定部8は、まず強調表示として表示される画像の表示位置と、表示サイズとを設定する。画像の表示位置は、候補車両の後方に設定される。強調表示の画像は、追従対象となる候補車両を強調表示するための追従マークである。そして、強調表示設定部8は、エネルギ消費の低減効果に応じて強調表示の強調度合を変更する。エネルギ消費の低減効果が大きい候補車両に対しては、表示サイズを大きくする変更を行う。一方、エネルギ消費の低減効果が小さい候補車両に対しては、基準値に設定された表示サイズから変更しない。これにより、強調表示される画像の大きさが相対的に大きくなり、強調度合が高くなる。また、エネルギ消費の低減効果が大きくなるにつれて、強調表示の画像の大きさを大きくすることにより強調度合を高くすることも可能である。
【0041】
映像生成部9は、候補車両を強調表示するための画像を生成する。この映像生成部9は、強調表示設定部8により設定された強調度合に応じて強調表示の画像を生成する。そして、映像生成部9により生成された強調表示の画像の情報が表示部3に出力される。
【0042】
表示部3は、車室内のうち車両1を運転中の運転者が視認可能な位置に設けられ、画像を表示するディスプレイである。例えば、表示部3はカーナビ装置やマルチインフォメーションディスプレイやヘッドアップディスプレイにより構成されている。つまり、表示部3は車両1に搭載されたHMI(Human Machine Interface)により構成されている。また、表示部3は、制御装置2により制御され、制御装置2から入力された信号に応じて画像を表示する。表示装置が追従先の候補車両に関する情報を表示する際、映像生成部9から出力された強調表示の画像が表示部3に表示される。
【0043】
このように構成された制御装置2は、車両1の周囲を走行する車両のうち、追従先の候補となる候補車両を強調表示する。その際、追従走行時に自車両で得られるエネルギ消費の低減効果の大きさに応じて、強調表示の強調度合に違いを持たせることが可能である。例えば、制御装置2は、強調表示の強調度合として強調表示の大きさを変更する。表示部3に表示された強調表示の一例を
図2に示す。
【0044】
図2には、車両1が複数車線の道路を走行中、自車両の前方を二台の候補車両10が走行している場合に表示部3に表示される画像が例示されている。制御装置2は、それぞれの候補車両10に対して、強調表示としての追従マーク11を表示するとともに、追従マーク11の強調度合に違いを持たせて表示を行う。
図2に示す例では、第1候補車両10Aの車体格が第2候補車両10Bの車体格よりも大きい。そのため、追従走行した際に得られるエネルギ消費の低減効果は、第1候補車両10Aのほうが第2候補車両10Bよりも高い。そこで、制御装置2は、第1候補車両10Aに対する追従マーク11Aの強調度合を第2候補車両10Bに対する追従マーク11Bの強調度合よりも高くする。具体的には、第1候補車両10Aの後方に強調表示する追従マーク11Aを第2候補車両10Bに対する追従マーク11Bよりも大きくする。その結果、第1候補車両10Aの追従マーク11Aは、第2候補車両10Bの追従マーク11Bよりも大きく表示される。このように、複数の候補車両10に対する強調表示を同時に表示するとともに、強調表示の強調度合に違いを持たせることで、運転者がどの車両を追従先とすればよいか判断する際の判断材料となることが可能である。
【0045】
図3は、強調表示処理フローを示すフローチャート図である。なお、
図3に示す制御は、車両1が走行中に制御装置2により繰り返し実行される。
【0046】
制御装置2は、先行車検出センサ4から先行車情報を取得する(ステップS101)。ステップS101では、制御装置2の入出力インターフェースに入力された信号に基づいて、先行車情報に含まれている前方カメラの画像とレーダーの測定結果とが取得される。
【0047】
制御装置2は、自車両の前方を走行する先行車のうち、自車両の追従先となる候補車両10を検出したか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102では、候補車両検出部6が前方カメラの画像を解析することによって、自車両の前方を走行する先行車のうち追従先の候補車両10を検出したか否かが判定される。
【0048】
候補車両10を検出しない場合(ステップS102:No)、この制御ルーチンはステップS101にリターンする。
【0049】
候補車両10を検出した場合(ステップS102:Yes)、制御装置2は、検出された候補車両10を追従した際に得られる空気抵抗の低減効果を算出する(ステップS103)。ステップS103では、ステップS102において複数の候補車両10が検出された場合、複数の候補車両10のそれぞれについて追従走行した際に得られる空気抵抗の低減効果が算出される。低減効果算出部7は、ステップS103において、各候補車両10における空気抵抗の低減効果を算出する。
【0050】
制御装置2は、候補車両10に表示される強調表示を設定する(ステップS104)。ステップS104では、候補車両10ごとに、強調表示としての追従マーク11の表示位置と表示サイズとが設定される。表示位置は、表示部3における表示領域のうち、各候補車両10の後方位置に設定される。表示サイズは、所定の基準値に設定される。つまり、ステップS104では、強調表示の強調度合として、表示サイズの大きさが基準値に設定される。
【0051】
例えば、この基準値は、運転者により予め設定された値である。一例として、強調表示を「強・中・弱」のような三段階のレベルから任意に設定可能である場合、運転者が選択したレベルに応じて表示サイズの基準値を設定することができる。レベルが「強」の場合に設定される表示サイズの基準値は、レベルが「中」の場合に設定される基準値よりも大きい値である。レベルが「弱」の場合に設定される表示サイズの基準値は、レベルが「中」の場合に設定される基準値よりも小さい値である。
【0052】
また、制御装置2は、空気抵抗の低減効果の大きさに基づいて強調表示の強調度合を変更する(ステップS105)。ステップS105では、空気抵抗の低減効果が大きいと算出された候補車両10に対する強調表示の強調度合が、空気抵抗の低減効果が小さいと算出された候補車両10に対する強調表示の強調度合よりも高くなるように、強調表示の強調度合が変更される。ステップS105において、強調表示設定部8は、複数の候補車両10に対して低減効果の大小を比較し、相対的に低減効果が大きい候補車両10を特定するとともに、その候補車両10についての強調度合を高くする。すなわち、ステップS105では、相対的に空気抵抗の低減効果が大きい候補車両10を対象に、ステップS104で設定された強調表示の強調度合を基準値に対して、強調表示の強調度合を高くするように変更が行われる。
【0053】
そして、制御装置2は、候補車両10に表示される強調表示の画像を生成する(ステップS106)。ステップS106では、ステップS104,S105の処理で設定された表示位置、表示サイズ、強調度合の変更に基づいて、各候補車両10における強調表示の画像が生成される。
【0054】
制御装置2は、生成された強調表示の画像を表示部3に表示させる(ステップS107)。ステップS107では、制御装置2から表示部3に画像データが出力され、その強調表示の画像が表示部3に表示される。ステップS107の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
【0055】
このように、ステップS105の処理により、エネルギ消費の低減効果が大きい場合には、強調表示の強調度合を高く設定することができる。すなわち、空気抵抗の低減効果が相対的に小さいと算出された候補車両10について、ステップS105では強調度合の変更が行われず、ステップS104で設定された強調表示の強調度合のまま強調表示の画像が生成されることになる。そのため、
図2に示すように、二台の候補車両10に対して、一方の候補車両10について強調表示の強調度合を高くすることができる。その結果、車両1の運転者にとっては、運転中に表示部3の画像を確認することにより、どちらの車両を追従することが望ましいのかを容易に判別することができる。
【0056】
以上説明した通り、第1実施形態によれば、追従先の候補となる複数の候補車両10のうち、エネルギ消費の低減効果が大きい候補車両10が強調度合の高い画像で強調表示される。そのため、車両1の運転者にとっては視覚的に分かりやすく表示される。これにより、車両1の運転者が追従走行を希望する際、エネルギ消費の低減効果が大きい候補車両10に追従する頻度が高くなることが期待できる。
【0057】
なお、車両1は、電気自動車に限定されず、動力源としてエンジンのみを搭載した車両や、動力源としてエンジンとモータとを搭載したハイブリッド車両であってもよい。つまり、低減効果算出部7は、車両1の電費低減効果に限らず、車両1の燃費低減効果を算出することができる。すなわち、ここで説明するエネルギ消費とは、電力消費と燃料消費とのうちの少なくとも一方を含むものである。
【0058】
また、先行車検出センサ4が前方カメラとミリ波レーダーとを両方とも含む場合について説明したが、これに限定されない。先行車検出センサ4は、前方カメラとミリ波レーダーとうちの一方のみにより構成されてもよい。例えば、先行車検出センサ4が前方カメラのみにより構成される場合、制御装置2は先行車情報に含まれる前方画像を解析することにより、自車両と候補車両10との車間距離を算出することができる。あるいは、先行車検出センサ4がミリ波レーダーのみにより構成される場合、制御装置2は先行車情報に含まれるレーダーの測定結果に基づいて候補車両10の車体格を算出することができる。
【0059】
また、
図4に示すステップS104において、運転者により設定されたレベルに応じて制御装置2が強調度合の基準値を設定する場合について説明したが、これに限定されない。つまり、制御装置2は、運転者による事前の設定の有無にかかわらず、強調表示の設定を行うことが可能である。例えば、ステップS104では、各候補車両10に対して一律に表示サイズを設定することができる。
【0060】
また、
図4に示すステップS105において、空気抵抗の低減効果が大きい候補車両10の強調度合を高くする変更を行う例について説明したが、これに限定されない。強調表示設定部8は、空気抵抗の低減効果が小さい候補車両10の強調度合を低くする変更を行ってもよい。この場合、空気抵抗の低減効果が大きい候補車両10の強調度合は変更しなくてもよく、あるいは高くなるように変更してもよい。要するに強調表示設定部8は、空気抵抗の低減効果が大きい候補車両10の強調度合が、空気抵抗の低減効果が小さい候補車両10の強調度合よりも相対的に高くなるように強調度合を変更できればよい。
【0061】
また、候補車両10は、複数台に限らず、一台であってもよい。つまり、候補車両検出部6により検出された候補車両10が一台の場合であっても、強調表示設定部8は、その候補車両10についての強調表示の強調度合に強弱をつけることが可能である。例えば、強調表示設定部8は、自車両の車速に応じて低減効果の大小を判別する。車速が高いと車両1に作用する空気抵抗は大きくなる。そのため、強調表示設定部8は、車速が高い場合には追従走行により得られる空気抵抗の低減効果が大きいと判定し、車速が低い場合には追従走行により得られる空気抵抗の低減効果が小さいと判定する。車速が高いことにより追従走行による空気抵抗の低減効果が大きいと判定された場合、ステップS105において、強調表示設定部8は、その候補車両10に対する強調表示の強調度合を基準値よりも高くする変更を行う。
【0062】
また、強調表示の強調度合は、画像の大きさに限定されない。要するに、強調度合は、大きさ、色、形、透過度、点滅などにより表すことが可能である。例えば、強調度合を色で表す場合、強調表示設定部8は、相対的にエネルギ消費の低減効果が大きい候補車両10に対しては他の車両とは異なる色に追従マーク11を変更する。また、強調度合を形で表す場合、強調表示設定部8は、相対的にエネルギ消費の低減効果が大きい候補車両10に対しては他の車両とは異なる形状に追従マーク11を変更する。また、強調度合を透明度で表す場合、強調表示設定部8は、相対的にエネルギ消費の低減効果が大きい候補車両10に対しては他の車両とよりも濃い画像となるように追従マーク11の透明度を変更する。また、強調度合を点滅で表す場合、強調表示設定部8は、相対的にエネルギ消費の低減効果が大きい候補車両10に対しては他の車両とは異なり追従マーク11を点滅して表示されるように変更を行う。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、表示部が、乗員の所有する携帯端末のディスプレイにより構成されている。なお、第2実施形態の説明では、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、その参照符号を引用する。
【0064】
図4は、第2実施形態の構成を説明するためのブロック図である。第2実施形態では、車両1の制御装置2で生成された強調表示の画像が携帯端末20の表示部21に表示される。第2実施形態の表示装置は、車両側の制御装置2と携帯端末側の表示部21とを含んで構成されている。車両1と携帯端末20とは通信可能に接続されている。
【0065】
車両1は、制御装置2と、先行車検出センサ4と、車速センサ5とを備えている。制御装置2は、携帯端末20との間で情報を送受信する通信部を含んで構成されている。この通信部は、映像生成部9により生成された強調表示の画像データを携帯端末20に送信する。
【0066】
携帯端末20は、車両1の乗員が所持するスマートホンなどの携帯端末により構成されている。この携帯端末20は、表示部21と、通信部22と、制御部23とを備える。
【0067】
表示部21は、携帯端末20のディスプレイである。表示部21には、車両1から入力された強調表示の画像データが表示される。
【0068】
通信部22は、車両1との間で通信を行い、車両1から送信された強調表示の画像データを受信する。携帯端末20は、車両1と有線接続された状態で情報を送受信してもよく、あるいは無線接続された状態で無線通信を行い、情報を送受信してもよい。また、無線通信の方法も、近距離通信であるか、遠距離通信であるかは特に限定されない。
【0069】
制御部23は、表示部21を制御する制御部であり、通信部22により取得した強調表示の画像データを表示部21に表示させる。制御部23は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備えたマイクロコンピュータを含んで構成されている。なお、第2実施形態では、表示装置の制御装置に制御部23が含まれてもよい。
【0070】
このように構成された第2実施形態では、車両1が走行中、車両1の運転者が視認可能な位置に携帯端末20の表示部21が配置された状態において、強調表示制御が実行される。この制御の流れを
図5に例示する。
【0071】
図5は、第2実施形態の制御を説明するためのシーケンス図である。なお、
図5に示すステップS201~S206は、
図3に示すステップS101~S106と同様であるため説明を省略する。
【0072】
図5に示すように、車両1の制御装置2は、ステップS206の処理で生成された強調表示の画像データを携帯端末20に送信する(ステップS207)。ステップS207では、車両1の車室内に持ち込まれている携帯端末20に向けて画像データが送信される。制御装置2は、例えば携帯端末20のカメラにより車両1の前方を撮像している状態にある携帯端末20に強調表示の画像データを送信する。
【0073】
携帯端末20は、車両1から送信された強調表示の画像データを受信すると、その強調表示の画像を表示部21に表示する(ステップS301)。ステップS301では、制御部23の制御により表示部21に強調表示の画像が表示される。
【0074】
この第2実施形態によれば、車両1の制御装置2と携帯端末20の表示部21とを含んで構成された表示装置について、車両1の車室内に持ち込まれた携帯端末20に候補車両10の強調表示を行うことが可能になる。表示装置の表示部が車載装置に限定されないため、表示装置の適用範囲が広がる。
【0075】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態において車両1が備えていた強調表示のための機能の全てを、車両1の車室内に持ち込まれた携帯端末に持たせている。なお、第3実施形態の説明では、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成については説明を省略し、その参照符号を引用する。
【0076】
図6は、第3実施形態の構成を説明するためのブロック図である。第3実施形態では、車両1の車室内に持ち込まれた携帯端末30により、候補車両10を検出するとともに、候補車両10の強調表示を行う。携帯端末30は、制御装置31と、表示部32と、カメラ33と、GPS受信機34とを備えている。
【0077】
制御装置31は、電子制御装置により構成されており、ハード構成として、第1実施形態の制御装置2と同様に構成されている。この制御装置31は、携帯端末30が持ち込まれている車両1を自車両とし、この自車両の前方を走行する先行車に関する情報を表示部32に表示する表示制御を実行する。
【0078】
また、制御装置31には、携帯端末30に設けられた各種センサからの信号が入力される。例えば、カメラ33やGPS受信機34からの信号が制御装置31に入力される。
【0079】
カメラ33は、携帯端末30に搭載されているカメラであり、携帯端末30が車両1に持ち込まれた状態において、自車両の前方を走行する先行車を検出するためのセンサとして機能するものである。携帯端末30は、カメラ33が車両1の車室内から自車両の前方を撮像するような位置および向きに配置されている。また、カメラ33は、前方カメラとしての画像を含む先行車情報を制御装置31に出力する。
【0080】
GPS受信機34は、GPS衛星からの信号を受信するものであり、携帯端末30が車両1に持ち込まれた状態において、自車両の車速を検出する車速センサとして機能するものである。GPS受信機34により取得された位置情報は制御装置31に出力される。携帯端末30はGPS受信機34により自身の位置情報を取得することが可能であるため、制御装置31はその位置情報に基づいて、自身の移動速度、すなわち車両1の車速を算出することができる。
【0081】
そして、制御装置31は、携帯端末30が持ち込まれた自車両について、カメラ33とGPS受信機34とから入力された信号に基づいて、自車両の前方を走行する先行車を強調表示する表示制御を実行する。その際、制御装置31から表示部32に強調表示の画像が出力される。
【0082】
より詳細には、制御装置31は、
図6に示すように、候補車両検出部35と、低減効果算出部36と、強調表示設定部37と、映像生成部38とを備えている。なお、この候補車両検出部35、低減効果算出部36、強調表示設定部37、映像生成部38は、機能的には第1実施形態における候補車両検出部6、低減効果算出部7、強調表示設定部8、映像生成部9と同様である。
【0083】
候補車両検出部35は、カメラ33から入力された自車両前方の画像を解析することにより、自車両の前方を走行する候補車両10を検出する。
【0084】
低減効果算出部36は、カメラ33から取得した先行車情報に基づいて候補車両10の車体格および車間距離を算出するとともに、GPS受信機34から取得した位置情報に基づいて自車両の車速を算出する。そして、低減効果算出部36は空気抵抗の低減効果を算出する。
【0085】
強調表示設定部37は、低減効果算出部36により算出された空気抵抗の低減効果に基づいて強調表示の強調度合を設定する。
【0086】
映像生成部38は、強調表示設定部37により設定された強調表示の強調度合に応じて強調表示の画像を生成する。映像生成部38により生成された強調表示の画像が表示部32に出力される。
【0087】
表示部32は、携帯端末20のディスプレイである。この表示部32には、映像生成部38により生成された強調表示の画像が表示される。
【0088】
この第3実施形態によれば、車両1の車室内に持ち込まれた携帯端末30を用いて、自車両の前方を走行する候補車両10の強調表示を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0089】
1 車両
2 制御装置
3 表示部
4 先行車検出センサ
5 車速センサ
6 候補車両検出部
7 低減効果算出部
8 強調表示設定部
9 映像生成部
10 候補車両
11 追従マーク
20,30 携帯端末
21,32 表示部
31 制御装置