(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】離着陸補助装置
(51)【国際特許分類】
B64F 1/12 20060101AFI20240709BHJP
B64F 1/22 20240101ALI20240709BHJP
B64F 1/36 20240101ALI20240709BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240709BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20240709BHJP
B64U 10/16 20230101ALI20240709BHJP
B64U 70/93 20230101ALI20240709BHJP
B64U 70/97 20230101ALI20240709BHJP
B64U 70/99 20230101ALI20240709BHJP
【FI】
B64F1/12
B64F1/22
B64F1/36
B64C39/02
B64C27/04
B64U10/16
B64U70/93
B64U70/97
B64U70/99
(21)【出願番号】P 2021211518
(22)【出願日】2021-12-24
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清上 博章
(72)【発明者】
【氏名】田島 正夫
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0319272(US,A1)
【文献】特開2019-097271(JP,A)
【文献】中国実用新案第212827924(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/12
B64F 1/22
B64F 1/36
B64C 39/02
B64C 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体が離着陸するステージと、
前記ステージの縁に設けられて前記飛行体を前記ステージ上にて固定する固定装置と、
前記ステージ上において前記縁より内側に着陸した前記飛行体を前記内側から前記固定装置まで移動させる移動機構と、
を有し、
前記固定装置は、前記移動機構によって前記固定装置まで移動させられた前記飛行体を固定
し、
前記固定装置には、前記飛行体の脚部が挿入される挿入孔が形成されており、
前記固定装置は、前記脚部が前記挿入孔に挿入されることで前記飛行体を前記ステージ上にて固定し、
前記移動機構は、前記ステージ上において前記縁より内側に着陸した前記飛行体を前記内側から前記固定装置まで移動させることで、前記脚部を前記挿入孔に挿入させる、
ことを特徴とする離着陸補助装置。
【請求項2】
前記挿入孔の内部には、前記挿入孔に挿入された前記脚部と電気的に接続可能な接点が設けられている、
ことを特徴とする請求項
1に記載の離着陸補助装置。
【請求項3】
前記挿入孔は、前記固定装置において2箇所に形成されており、
前記2箇所のうち一方の箇所に形成された前記挿入孔の内部には、正極の接点が設けられており、
前記2箇所のうち他方の箇所に形成された前記挿入孔の内部には、負極の接点が設けられている、
ことを特徴とする請求項
2に記載の離着陸補助装置。
【請求項4】
前記挿入孔の開口を塞ぐ蓋を更に有し、
前記蓋は、前記脚部が前記挿入孔に挿入されると前記開口を開放し、前記脚部が前記挿入孔に挿入されていないときに前記開口を塞ぐ、
ことを特徴とする請求項
1から請求項
3のいずれか一項に記載の離着陸補助装置。
【請求項5】
前記移動機構は、前記脚部を把持する把持機構を有し、
前記把持機構は、前記脚部が前記固定装置に固定されているときに前記脚部を把持する、
ことを特徴とする請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の離着陸補助装置。
【請求項6】
前記把持機構は、更に、前記移動機構が前記飛行体を前記固定装置へ移動させているときに前記脚部を把持する、
ことを特徴とする請求項
5に記載の離着陸補助装置。
【請求項7】
前記飛行体が離陸する場合、前記飛行体が離陸する前に、前記移動機構は、前記飛行体を、前記ステージ上において前記縁よりも前記内側の位置に移動させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の離着陸補助装置。
【請求項8】
前記ステージ、前記固定装置及び前記移動機構は、車両のルーフに設置される、
ことを特徴とする請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の離着陸補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行体の離着陸を補助する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドローン(Drone)や無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)等の飛行体が知られている。
【0003】
特許文献1には、給電エリアが設けられた着陸ステージを有する給電ステーションが記載されている。着陸ステージ上に着陸した飛行体は、飛行体を移動させる手段によって、着陸ステージ上で給電エリアまで移動させられ、給電エリアにて給電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、飛行体が離着陸するステージを有する離着陸補助装置(例えばドローンポート)においては、ステージ上において、飛行体を用いた作業(例えば荷役)、飛行体への給電、飛行体の部品の交換及び飛行体の格納等が行われる場合がある。これらが安定して行われるために、ステージ上において飛行体の位置がずれたり体勢が不安定になったりしないように、飛行体をステージ上にて固定することが望ましい。
【0006】
本開示の目的は、飛行体が離着陸するステージを有する離着陸補助装置において、飛行体を当該ステージ上にて固定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの態様は、飛行体が離着陸するステージと、前記ステージの縁に設けられて前記飛行体を前記ステージ上にて固定する固定装置と、前記ステージ上において前記縁より内側に着陸した前記飛行体を前記内側から前記固定装置まで移動させる移動機構と、を有し、前記固定装置は、前記移動機構によって前記固定装置まで移動させられた前記飛行体を固定する、ことを特徴とする離着陸補助装置である。
【0008】
上記の構成によれば、ステージ上に着陸した飛行体は、ステージの縁に移動させられ、その縁に設けられた固定装置によって固定される。このようにして、飛行体をステージ上で固定することができる。固定装置によって飛行体が固定されている状態で、飛行体を用いた荷役、飛行体のバッテリの充電、飛行体の部品の交換及び飛行体の格納等の作業が行われてもよい。飛行体が固定装置によって固定されているため、そのような作業によって発生する荷重が飛行体に加えられても、そのことによる飛行体の位置ずれや体勢の崩れ等を防止することができる。また、固定装置がステージの縁に設けられているため、固定装置がステージの中央又はその付近に設けられている場合と比べて、ステージのスペースを有効的に利用することができる。
【0009】
前記固定装置には、前記飛行体の脚部が挿入される挿入孔が形成されており、前記固定装置は、前記脚部が前記挿入孔に挿入されることで前記飛行体を前記ステージ上にて固定し、前記移動機構は、前記ステージ上において前記縁より内側に着陸した前記飛行体を前記内側から前記固定装置まで移動させることで、前記脚部を前記挿入孔に挿入させてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、固定装置に形成された挿入孔に飛行体の脚部を挿入することによって、飛行体をステージ上にて固定することができる。この構成は一例に過ぎず、別の構成によって飛行体がステージ上で固定されてもよい。例えば、飛行体の脚部を前後から挟み込むことで、飛行体がステージ上で固定されてもよい。
【0011】
前記挿入孔の内部には、前記挿入孔に挿入された前記脚部と電気的に接続可能な接点が設けられてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、飛行体が固定装置によって固定されている状態で、飛行体のバッテリを充電することができる。このように固定装置を介して飛行体を充電することができるので、別の場所に給電ステーション等を別途設けずに済む。
【0013】
前記挿入孔は、前記固定装置において2箇所に形成されており、前記2箇所のうち一方の箇所に形成された前記挿入孔の内部には、正極の接点が設けられており、前記2箇所のうち他方の箇所に形成された前記挿入孔の内部には、負極の接点が設けられてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、正極と負極とが同じ挿入孔に形成されている場合に発生し得る事態を防止することができる。例えば、仮に挿入孔に異物が混入しても、ショートの発生を防止することができる。
【0015】
前記挿入孔の開口を塞ぐ蓋を更に有し、前記蓋は、前記脚部が前記挿入孔に挿入されると前記開口を開放し、前記脚部が前記挿入孔に挿入されていないときに前記開口を塞いでもよい。
【0016】
上記の構成によれば、飛行体の脚部が挿入孔に挿入されていないときには挿入孔の開口は蓋によって塞がれるため、脚部が挿入孔に挿入されていないときに、挿入孔に異物が混入することを防止することができる。
【0017】
前記移動機構は、前記脚部を把持する把持機構を有し、前記把持機構は、前記脚部が前記固定装置に固定されているときに前記脚部を把持してもよい。
【0018】
上記の構成によれば、把持機構によって脚部を押さえ付けて、飛行体に伝わり得る振動の影響を軽減し、飛行体を安定して固定することができる。
【0019】
前記把持機構は、更に、前記移動機構が前記飛行体を前記固定装置へ移動させているときに前記脚部を把持してもよい。
【0020】
上記の構成によれば、飛行体が移動しているときに、飛行体の位置や姿勢を安定させることができる。
【0021】
前記飛行体が離陸する場合、前記飛行体が離陸する前に、前記移動機構は、前記飛行体を、前記ステージ上において前記縁よりも前記内側の位置に移動させてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、ステージの縁から飛行体を離陸させる場合と比べて、離着陸補助装置の周囲から飛行体に与えられる影響(例えば風)を軽減することができる。
【0023】
前記ステージ、前記固定装置及び前記移動機構は、車両のルーフに設置されてもよい。
【0024】
離着陸補助装置が車両に搭載された場合、車両の走行中に発生した振動が飛行体に伝わり、飛行体の位置がずれたり、飛行体の姿勢が不安定になったりすることが考えられる。このような場合であっても、飛行体は固定装置によって固定されているため、走行中に発生する振動の影響を軽減し、飛行体を安定して固定することができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、飛行体が離着陸するステージを有する離着陸補助装置において、飛行体を当該ステージ上にて固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】離着陸補助装置と飛行体とを示す斜視図である。
【
図2】離着陸補助装置を上方から見た平面図である。
【
図4A】縁12c側から移動機構16Rを見た側面図である。
【
図4B】縁12d側から移動機構16Lを見た側面図である。
【
図5】飛行体が離着陸補助装置の固定装置によって固定された状態を示す斜視図である。
【
図10】固定装置の挿入部の他の実施形態を示す断面図である。
【
図11】固定装置の挿入部の他の実施形態を示す断面図である。
【
図12】飛行体が離着陸補助装置に着陸した状態を示す斜視図である。
【
図13】飛行体が離着陸補助装置に着陸した状態を示す斜視図である。
【
図14】飛行体が位置矯正機構によって挟まれた状態を示す斜視図である。
【
図15】飛行体が位置矯正機構によって挟まれた状態を上方から見た平面図である。
【
図16】飛行体が位置矯正機構によって挟まれた状態を上方から見た平面図である。
【
図17】縁12b側から把持機構22Rを見た正面図である。
【
図18】縁12b側から把持機構22Rを見た正面図である。
【
図19】飛行体の支持脚部が把持機構によって把持された状態を上方から見た平面図である。
【
図20】飛行体の支持脚部が把持機構によって把持された状態を示す斜視図である。
【
図21】飛行体が離着陸補助装置の固定装置によって固定された状態を示す斜視図である。
【
図22】飛行体が離着陸補助装置の固定装置によって固定された状態を上方から見た上面図である。
【
図23】離陸するときの飛行体と離着陸補助装置とを示す斜視図である。
【
図24】離陸するときの飛行体と離着陸補助装置とを示す斜視図である。
【
図25】変形例に係る離着陸補助装置を上方から見た平面図である。
【
図26】変形例に係る離着陸補助装置を上方から見た平面図である。
【
図27】変形例に係る離着陸補助装置を上方から見た平面図である。
【
図28】開口部が形成された離着陸補助装置と飛行体とを示す斜視図である。
【
図29】飛行体が離着陸補助装置の開口部にて作業している状態を示す斜視図である。
【
図30】飛行体が離着陸補助装置の開口部にて作業している状態を示す斜視図である。
【
図31】離陸するときの飛行体と離着陸補助装置とを示す斜視図である。
【
図32】自動車に搭載された離着陸補助装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、
図1及び
図2を参照して、実施形態に係る離着陸補助装置10について説明する。
図1は、離着陸補助装置10と飛行体34とを示す斜視図であり、
図2は、離着陸補助装置10を上方から見た平面図である。
【0028】
離着陸補助装置10は、ドローンや無人航空機等の飛行体34の離陸及び着陸を補助する装置である。飛行体34としてドローンが用いられる場合、離着陸補助装置10は、ドローンポートと称されることがある。離着陸補助装置10においては、例えば、飛行体34を用いた荷役、飛行体34への給電、飛行体34の部品の交換又は飛行体34の格納等が行われる。
【0029】
離着陸補助装置10は、ステージ12と、固定装置14と、移動機構16R,16Lと、制御装置18とを含む。
【0030】
ステージ12は、全体として矩形状の形状を有し、飛行体34が離着陸するステージである。具体的には、ステージ12は平坦な離着陸面12aを有し、飛行体34は、離着陸面12aに着陸し、離着陸面12aから離陸する。また、ステージ12は、縁12b,12c,12d,12eを有する。縁12bと縁12eは互いに対向しており、縁12c,12dは互いに対向している。縁12bの中心と縁12eの中心とを結ぶ線が、ステージ12の中心線Oとして定義される。
【0031】
固定装置14は、ステージ12の縁12bに設置され、飛行体34をステージ12上にて固定する。例えば、固定装置14は、縁12bにおいて縁12cと縁12dとの間の中心又はその付近に設置される。
【0032】
固定装置14は、挿入部14R,14Lを含む。挿入部14R,14Lは、縁12bに沿って中心線Oを間にして離れた位置に設置されている。挿入部14R,14Lのそれぞれにおいて縁12eに対向した面が開口しており、挿入部14R,14Lのそれぞれに挿入孔14eが形成されている。このように、固定装置14には、2カ所に挿入孔14eが形成されている。後述するように、挿入孔14eに飛行体34の脚部が挿入されることで、飛行体34が固定装置14によってステージ12上にて固定される。
【0033】
移動機構16R,16Lは、ステージ12上において飛行体34を移動させる。例えば、移動機構16R,16Lは、ステージ12上において縁12b,12c,12d,12eよりも内側に着陸した飛行体34を固定装置14まで移動させることで、飛行体34の脚部を挿入孔14eに挿入させる。
【0034】
移動機構16Rは、位置矯正機構20Rと把持機構22Rとを含む。移動機構16Lは、位置矯正機構20Lと把持機構22Lとを含む。
【0035】
位置矯正機構20R,20Lは、ステージ12の縁12bから縁12eに掛けて延在する棒状の部材であり、離着陸面12a上において対向して配置される。
【0036】
位置矯正機構20Rは、離着陸面12a上において中心線Oよりも縁12c側の領域に配置される。位置矯正機構20Rは、電動アクチュエータ24Rによって、縁12cと中心線Oとの間で移動させられる。例えば、位置矯正機構20Rは、縁12cと中心線Oとの間でスライドする。
【0037】
電動アクチュエータ24Rは、縁12eに沿って中心線Oよりも縁12c側に設置されている。
図2に示すように、電動アクチュエータ24Rはスライダ26Rを有する。スライダ26Rは、電動アクチュエータ24Rによって縁12eに沿って中心線Oと縁12cとの間で移動可能な部材である。位置矯正機構20Rの縁12e側の一端がスライダ26Rに連結される。電動アクチュエータ24Rによってスライダ26Rが縁12eに沿って移動させられることで、スライダ26Rに連結された位置矯正機構20Rが移動させられる。
【0038】
位置矯正機構20Lは、離着陸面12a上において中心線Oよりも縁12d側の領域に配置される。位置矯正機構20Lは、電動アクチュエータ24Lによって、縁12dと中心線Oとの間で移動させられる。例えば、位置矯正機構20Lは、縁12dと中心線Oとの間でスライドする。
【0039】
電動アクチュエータ24Lは、縁12eに沿って中心線Oよりも縁12d側に設置されている。
図2に示すように、電動アクチュエータ24Lはスライダ26Lを有する。スライダ26Lは、電動アクチュエータ24Lによって縁12eに沿って中心線Oと縁12dとの間で移動可能な部材である。位置矯正機構20Lの縁12e側の一端がスライダ26Lに連結される。電動アクチュエータ24Lによってスライダ26Lが縁12eに沿って移動させられることで、スライダ26Lに連結された位置矯正機構20Lが移動させられる。
【0040】
把持機構22Rは、電動アクチュエータ28Rによって、位置矯正機構20R上において位置矯正機構20Rに沿って移動可能な部材である。つまり、把持機構22Rは、ステージ12の縁12bと縁12eとの間で移動可能な部材である。例えば、把持機構22Rは、位置矯正機構20R上においてスライドする。把持機構22Rには、溝22Raが形成されており、その溝22Raに飛行体34の脚部が挟まれることで、把持機構22Rは、飛行体34の脚部を把持する。
【0041】
把持機構22Lは、電動アクチュエータ28Lによって、位置矯正機構20L上において位置矯正機構20Lに沿って移動可能な部材である。つまり、把持機構22Lは、ステージ12の縁12bと縁12eとの間で移動可能な部材である。例えば、把持機構22Lは、位置矯正機構20L上においてスライドする。把持機構22Lには、溝22Laが形成されており、その溝22Laに飛行体34の脚部が挟まれることで、把持機構22Lは、飛行体34の脚部を把持する。
【0042】
図2、
図3、
図4A及び
図4Bを参照して、把持機構22R,22Lを移動させる機構について説明する。
図3は、離着陸補助装置10の分解斜視図である。
図4Aは、縁12c側から移動機構16Rを見た側面図である。
図4Bは、縁12d側から移動機構16Lを見た側面図である。
【0043】
電動アクチュエータ28Rによって把持機構22Rが移動させられ、電動アクチュエータ28Lによって把持機構22Lが移動させられる。
【0044】
図3及び
図4Aに示すように、電動アクチュエータ28Rは、位置矯正機構20R上に位置矯正機構20Rに沿って設置されている。電動アクチュエータ28Rはスライダ30Rを有する。スライダ30Rは、電動アクチュエータ28Rによって位置矯正機構20Rに沿って移動可能な部材である。スライダ30R上には把持機構22Rが設置されている。スライダ30Rの移動に伴って把持機構22Rも移動する。また、回転軸32Rが、位置矯正機構20R上に位置矯正機構20Rに沿って設置されている。電動アクチュエータ28R上において、縁12b側には回転軸32Rの一端を支持する軸受32Raが設置されており、縁12e側には回転軸32Rの他端を支持する軸受32Rbが設置されている。把持機構22Rは、回転軸32Rを軸として回転することができる。その回転は、例えばモータによって実現される。
【0045】
図3及び
図4Bに示すように、電動アクチュエータ28Lは、位置矯正機構20L上に位置矯正機構20Lに沿って設置されている。電動アクチュエータ28Lはスライダ30Lを有する。スライダ30Lは、電動アクチュエータ28Lによって位置矯正機構20Lに沿って移動可能な部材である。スライダ30L上には把持機構22Lが設置されている。スライダ30Lの移動に伴って把持機構22Lも移動する。また、回転軸32Lが、位置矯正機構20L上に位置矯正機構20Lに沿って設置されている。電動アクチュエータ28L上において、縁12b側には回転軸32Lの一端を支持する軸受32Laが設置されており、縁12e側には回転軸32Lの他端を支持する軸受32Lbが設置されている。把持機構22Lは、回転軸32Lを軸として回転することができる。その回転は、例えばモータによって実現される。
【0046】
なお、
図2、
図3、
図4A及び
図4B以外の図面においては、説明の便宜上、電動アクチュエータ28R,28L、スライダ30R,30L、回転軸32R,32L、及び、軸受32Ra,32Rb,32La,32Lbの図示は省略されている。
【0047】
電動アクチュエータ24R,24L,28R,28Lとして公知のアクチュエータを用いることができる。例えば、電動アクチュエータ24R,24L,28R,28Lは、ボールねじ、ベルトプーリ機構、ラックピニオン機構、リニアガイド及びモータ等の部品を組み合わせて構成される。なお、電動アクチュエータは、位置矯正機構20R,20Lと把持機構22R,22Lとを移動させる手段の一例に過ぎず、電動アクチュエータ以外のアクチュエータが用いられて、位置矯正機構20R,20Lと把持機構22R,22Lの移動が制御されてもよい。
【0048】
制御装置18は、移動機構16R,16Lの動作や飛行体34への給電等を制御する。例えば、制御装置18は、位置矯正機構20R,20L及び把持機構22R,22Lの移動を制御することで、離着陸面12a上に着陸した飛行体34を固定装置14までスライド移動させる。
【0049】
制御装置18の機能は、例えばプロセッサや電子回路等のハードウェア資源を利用して実現することができ、その実現において必要に応じてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。例えば、制御装置18は、コンピュータである。コンピュータが備えるCPU(Central Processing Unit)やメモリ等のハードウェア資源と、CPU等の動作を規定するソフトウェア(プログラム)との協働により、制御装置18の機能が実現されてもよい。当該プログラムは、CDやDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、記憶装置に記憶される。別の例として、制御装置18の機能は、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現されてもよい。
【0050】
図1に示すように、飛行体34は、ドローンや無人航空機等であり、例えば、機体36と、飛行用のプロペラ38と、一対の脚部40R,40Lとを含む。飛行体34としては公知のドローンや無人航空機を用いることができる。
【0051】
飛行体34は、バッテリ、プロペラ38を駆動するモータ、各種センサ(例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ、気圧センサ、GPS(Global Positioning System)等)、飛行体34を制御する飛行用コンピュータ、各種ドライバ、及び、送信器と受信器とを含む通信インターフェース等を含む。
【0052】
飛行体34の飛行用コンピュータは、モータを制御することで飛行体34の飛行(例えば、上昇、下降、水平移動等)を制御したり、ジャイロセンサによって取得された情報に基づいて飛行体34の姿勢を制御したりする。
【0053】
飛行体34は、例えば、飛行体34を操縦するユーザが所持する端末装置(例えば、ドローン用のコントローラ、スマートフォン、タブレット端末等)や、サーバ等の装置(例えばクラウドサーバ等)によって制御される。端末装置やサーバは、飛行体34の操縦指令を示す操縦指令信号を飛行体34に送信することで、飛行体34を制御する。飛行体34の通信インターフェースは、端末装置やサーバから送信された操縦指令信号を受信し、飛行体34の飛行用コンピュータは、その操縦指令信号に従って飛行体34の飛行や姿勢を制御する。
【0054】
脚部40Rは、支持脚部42Rと水平脚部44Rとを含む。支持脚部42Rは、機体36から下方に延在する棒状の部材である。支持脚部42Rの下端には水平脚部44Rが連結されている。水平脚部44Rは、水平方向に延在する棒状の部材であり、飛行体34がステージ12に着陸したときに支持脚部42Rを介して機体36を支持する。
【0055】
脚部40Lは、支持脚部42Lと水平脚部44Lとを含む。支持脚部42Lは、機体36から下方に延在する棒状の部材である。支持脚部42Lの下端には水平脚部44Lが連結されている。水平脚部44Lは、水平方向に延在する棒状の部材であり、飛行体34がステージ12に着陸したときに支持脚部42Lを介して機体36を支持する。
【0056】
例えば、水平脚部44R,44Lは、平行又はそれに近い角度関係をもって、離れて配置されている。
【0057】
水平脚部44Rの一方の端部44Raは、挿入部14Rに形成された挿入孔14eに挿入され、水平脚部44Lの一方の端部44La(端部44Raと同じ側の端部)は、挿入部14Lに形成された挿入孔14eに挿入される。挿入部14R,14L間の長さは、水平脚部44R,44L間の長さに対応している。挿入部14Rは、離着陸面12a上において固定装置14まで移動した飛行体34の水平脚部44Rに対応する位置に設置されている。挿入部14Lは、固定装置14まで移動した飛行体34の水平脚部44Lに対応する位置に設置されている。
【0058】
図5を参照して、飛行体34が固定装置14によって固定された状態を説明する。
図5は、離着陸補助装置10と飛行体34とを示す斜視図である。
【0059】
離着陸面12a上に着陸した飛行体34は、移動機構16R,16Lによって縁12bまで移動させられる。具体的には、飛行体34は、固定装置14まで移動させられ、水平脚部44Rの端部44Raが挿入部14Rの挿入孔14eに挿入され、水平脚部44Lの端部44Laが挿入部14Lの挿入孔14eに挿入される。これにより、飛行体34がステージ12上にて固定装置14によって固定される。離着陸面12a上に着陸した飛行体34を固定装置14まで移動させる動作については、後で詳しく説明する。
【0060】
以下、
図6から
図11を参照して、固定装置14について説明する。
図6は、
図5中のA-A断面を示す図であり、離着陸補助装置10の一部の断面を示す図である。
図7から
図11は、固定装置14の挿入部の断面図である。
【0061】
上述したように、挿入部14R,14Lのそれぞれには、挿入孔14eが形成されている。なお、
図6から
図11には、挿入部14Lの断面は示されておらず、挿入部14Rの断面が示されているが、挿入部14Lも挿入部14Rと同様の構造を有する。
【0062】
図6から
図8に示すように、固定装置14は、壁部材14a,14bと、突出部14cと、蓋14dとを含む。壁部材14a,14bは、ステージ12の縁12bに沿って延在する部材である。突出部14cは、固定装置14まで移動した飛行体34の水平脚部44Rに対応する位置にて、壁部材14bからステージ12の内側へ向けて突出した部材である。壁部材14a,14bと突出部14cとによって挿入部14Rが形成され、壁部材14a,14bと突出部14cとによって囲まれた空間が、挿入孔14eである。挿入部14Rの挿入孔14eに、水平脚部44Rの端部44Raが挿入される。
【0063】
挿入部14Lについても同様に、固定装置14まで移動した飛行体34の水平脚部44Lに対応する位置に、突出部14cが設置されている。壁部材14a,14bと突出部14cとによって挿入部14Lが形成され、挿入部14L内に挿入孔14eが形成される。挿入部14Lの挿入孔14eに、水平脚部44Lの端部44Laが挿入される。
【0064】
蓋14dは、挿入孔14eの開口に設置され、挿入孔14eの開口を塞ぐ可動式の蓋である。挿入部14Rの蓋14dは、水平脚部44Rが挿入部14Rの挿入孔14eに挿入されると挿入孔14eの開口を開放し、水平脚部44Rが挿入孔14eに挿入されていないときに、図示しないばね等の付勢力等で開口を塞ぐ。挿入部14Lの蓋14dも同様に、水平脚部44Lが挿入部14Lの挿入孔14eに挿入されると挿入孔14eの開口を開放し、水平脚部44Lが挿入孔14eに挿入されていないときに開口を塞ぐ。
【0065】
例えば、蓋14dは、ヒンジによって壁部材14a又は突出部14cに取り付けられている。この場合、飛行体34が固定装置14まで移動させられると、水平脚部44Rの端部44Raが、挿入部14Rの蓋14dを挿入孔14e内へ押し込む。これにより、
図9に示すように、蓋14dが挿入孔14eの奥側に倒れ、挿入孔14eの開口が開放され、端部44Raが挿入孔14eに挿入される。水平脚部44Lの端部44Laも同様に、挿入部14Lの挿入孔14eに挿入される。
【0066】
飛行体34が、固定装置14から離れる方向に移動させられると、水平脚部44Rの端部44Raが、挿入部14Rの挿入孔14eから抜かれる。これにより、
図8に示すように、挿入孔14eの奥側に倒れていた蓋14dが立ち上がり、挿入孔14eの開口を塞ぐ。挿入部14Lの蓋14dも同様に、水平脚部44Lの端部44Laが、挿入部14Lの挿入孔14eから抜かれると、蓋14dが、挿入部14Lの挿入孔14eの開口を塞ぐ。
【0067】
別の例として、
図10に示すように、壁部材14bと蓋14dとの間に、ばね14fが設置されてもよい。ばね14fの一端は壁部材14bに固定され、他端は蓋14dに固定される。飛行体34が固定装置14まで移動させられると、水平脚部44Rの端部44Raが、挿入部14Rの蓋14dを壁部材14b側へ押し込む。これにより、
図11に示すように、ばね14fが縮む。蓋14dが壁部材14b側へ押し込まれると、挿入孔14eの開口が開放され、端部44Raが挿入孔14eに挿入される。水平脚部44Lの端部44Laも同様に、挿入部14Lの挿入孔14eに挿入される。
【0068】
飛行体34が、固定装置14から離れる方向に移動させられると、水平脚部44Rの端部44Raが、挿入部14Rの挿入孔14eから抜かれる。これにより、
図10に示すように、ばね14fの弾性力(復元力)によって蓋14dが、挿入孔14eの開口まで押されて開口を塞ぐ。挿入部14Lの蓋14dも同様に、水平脚部44Lの端部44Laが、挿入部14Lの挿入孔14eから抜かれると、ばね14fの弾性力によって蓋14dが、挿入孔14eの開口まで押されて開口を塞ぐ。
【0069】
また、端部44Ra,44Laのそれぞれを挿入孔14eに挿入し易くするために、突出部14cの先端14gが、挿入孔14e側へ斜めに切り込まれ、端部44Ra,44Laを導き入れる。
【0070】
挿入部14Rの挿入孔14eの内部(例えば挿入孔14eの内面)には、挿入孔14eに挿入された水平脚部44Rの端部44Raと電気的に接続可能な接点が設けられている。同様に、挿入部14Lの挿入孔14eの内部には、挿入孔14eに挿入された水平脚部44Lの端部44Laと電気的に接続可能な接点が設けられている。例えば、挿入孔14eの内面に、電極として用いられる金属が設けられて接点が形成される。
【0071】
挿入部14Rの挿入孔14e内と挿入部14Lの挿入孔14e内とでは、異なる極性を有する接点が設けられる。つまり、挿入部14Rの挿入孔14e内には、正極又は負極のいずれかの一方の極性を有する接点(例えば正極の接点)が設けられ、挿入部14Lの挿入孔14e内には、正極又は負極のいずれかの他方の極性を有する接点(例えば負極の接点)が設けられる。
【0072】
水平脚部44Rの端部44Raと水平脚部44Lの端部44Laには電極が設けられている。端部44Raが挿入部14Rの挿入孔14e内に挿入されることで、端部44Raに設けられた電極が、挿入孔14e内の接点に接触する。これにより、端部44Raに設けられた電極と挿入孔14e内の接点とが、電気的に接続される。同様に、端部44Laが挿入部14Lの挿入孔14e内に挿入されることで、端部44Laに設けられた電極が、挿入孔14e内の接点に接触する。これにより、端部44Laに設けられた電極と挿入孔14e内の接点とが、電気的に接続される。
【0073】
例えば、挿入孔14e内の接点及び端部44Ra,44Laの電極を介して、離着陸補助装置10又は他の装置から飛行体34のバッテリに電力が供給され、飛行体34のバッテリが充電される。
【0074】
このように、正極の接点と負極の接点とを別々の挿入孔14eに設けることで、正極の接点と負極の接点とが接触してショートが発生することを防止することができる。例えば、仮に異物が挿入孔14e内に入った場合であっても、正極の接点と負極の接点との接触を防止してショートの発生を防止することができる。
【0075】
また、蓋14dを設けることで、端部44Ra,44Laが挿入孔14eに挿入されていないときに挿入孔14eの開口が塞がれるので、外部から挿入孔14eへの異物や水の混入を防止することができる。
【0076】
なお、水平脚部44Rの端部44Raの反対側の端部が、挿入部14Rの挿入孔14eに挿入され、水平脚部44Lの端部44Laの反対側の端部が、挿入部14Lの挿入孔14eに挿入されてもよい。その反対側の端部に電極が形成され、それによって、挿入孔14e内の接点との電気的接続が実現されてもよい。水平脚部44R,44Lのそれぞれの両端部に電極が設けられてもよい。
【0077】
【0078】
飛行体34が離着陸面12a上に着陸する前においては、
図12に示すように、位置矯正機構20Rは、ステージ12の縁12cに設置され、位置矯正機構20Lは、ステージ12の縁12dに設置されている。また、把持機構22Rは、位置矯正機構20R上において縁12e側に設置され、把持機構22Lは、位置矯正機構20L上において縁12e側に設置されている。
【0079】
図12に示すように、飛行体34が離着陸面12a上に着陸すると、飛行体34が離着陸面12a上に着陸したことを示す信号が、飛行体34、又は、飛行体34を制御する端末装置やサーバ等の装置から、制御装置18に送信される。制御装置18は、当該信号を受信することで、飛行体34が離着陸面12a上に着陸したことを認識する。
【0080】
飛行体34が離着陸面12a上に着陸すると、
図13に示すように、制御装置18は、電動アクチュエータ24R,24Lを動作させることで、位置矯正機構20R,20Lを移動させる。具体的には、制御装置18は、矢印A1が指し示すように、位置矯正機構20Rを縁12cから中心線Oに向けて移動させ、矢印A2が指し示すように、位置矯正機構20Lを縁12dから中心線Oに向けて移動させる。これにより、
図14及び
図15に示すように、制御装置18は、位置矯正機構20R,20Lによって飛行体34の水平脚部44R,44Lを挟み込んで、飛行体34を中心線Oに沿った位置にスライドさせる。
【0081】
例えば、位置矯正機構20Rの中心線O側の面が水平脚部44Rに当たり、位置矯正機構20Rが中心線Oに向かって移動することに伴って、飛行体34が離着陸面12a上でスライドさせられる。同様に、位置矯正機構20Lの中心線O側の面が水平脚部44Lに当たり、位置矯正機構20Lが中心線Oに向かって移動することに伴って、飛行体34が離着陸面12a上でスライドさせられる。このように、位置矯正機構20R,20Lが飛行体34の水平脚部44R,44Lを両側から挟み込んで、飛行体34を中心線Oに沿った位置にスライドさせられる。
【0082】
図12に示すように、飛行体34が縁12bに対して斜めに傾いた状態で離着陸面12aに着陸した場合であっても、位置矯正機構20R,20Lによって水平脚部44R,44Lを両側から挟み込むことで、飛行体34を縁12bに向かせることができる。つまり、端部44Ra,44Laを縁12bに向かせることができる。
【0083】
ここでは一例として、位置矯正機構20R,20Lによって水平脚部44R,44Lが挟まれたときに、端部44Ra,44Laが縁12bを向くように、飛行体34が離着陸面12aに着陸している。この場合、後述するように端部44Ra,44Laのそれぞれが挿入孔14eに挿入される。
【0084】
位置矯正機構20R,20Lによって水平脚部44R,44Lが挟まれたときに、端部44Ra,44Laの反対側の端部が縁12bを向くように、飛行体34が離着陸面12aに着陸してもよい。この場合、その反対側の端部が挿入孔14eに挿入される。
【0085】
また、制御装置18は、電動アクチュエータ28R,28Lを動作させることで、把持機構22R,22Lを移動させる。具体的には、
図16に示すように、制御装置18は、矢印Bが指し示すように、把持機構22R,22Lを縁12e側から縁12b側に移動させる。
【0086】
図17及び
図18を参照して、このときの把持機構22R,22Lの動作について説明する。
【0087】
図17に示すように、制御装置18は、回転軸32Rを軸として把持機構22Rを中心線O側に回転させて中心線O側に傾斜させた状態又は倒した状態で、把持機構22Rを縁12e側から縁12b側へ移動させる。把持機構22Lについても同様に、制御装置18は、回転軸32Lを軸として把持機構22Lを中心線O側に回転させて中心線O側に傾斜させた状態又は倒した状態で、把持機構22Lを縁12e側から縁12b側へ移動させる。
【0088】
その移動中、傾斜した把持機構22Rが飛行体34の支持脚部42Rに接触すると、
図18に示すように、制御装置18は、回転軸32Rを軸として把持機構22Rを中心線O側とは反対方向に回転させて把持機構22Rを立たせる。制御装置18は、把持機構22Rの溝22Raの位置が飛行体34の支持脚部42Rの位置に合うように把持機構22Rの位置を調整し、
図17に示すように、把持機構22Rを中心線O側に回転させる。把持機構22Lについても同様に、傾斜した把持機構22Lが飛行体34の支持脚部42Lに接触すると、制御装置18は、回転軸32Lを軸として把持機構22Lを中心線O側とは反対方向に回転させて把持機構22Lを立たせる。制御装置18は、把持機構22Lの溝22Laの位置が飛行体34の支持脚部42Lの位置に合うように把持機構22Lの位置を調整し、把持機構22Lを中心線O側に回転させる。
【0089】
これにより、
図19及び
図20に示すように、溝22Raに支持脚部42Rが挟まれ、支持脚部42Rは把持機構22Rによって把持される。同様に、溝22Laに支持脚部42Lが挟まれ、支持脚部42Lは把持機構22Lによって把持される。
【0090】
図21及び
図22に示すように、水平脚部44R,44Lが位置矯正機構20R,20Lによって挟まれ、支持脚部42R,42Lが把持機構22R,22Lによって把持された状態で、制御装置18は、把持機構22R,22Lを固定装置14側まで移動させる。これにより、飛行体34が固定装置14側までスライドし、水平脚部44Rの端部44Raが挿入部14Rの挿入孔14eに挿入され、水平脚部44Lの端部44Laが挿入部14Lの挿入孔14eに挿入される。その結果、飛行体34が、ステージ12上にて固定装置14によって固定される。
【0091】
以上のように、水平脚部44Rの端部44Raを挿入部14Rの挿入孔14eに挿入し、水平脚部44Lの端部44Laを挿入部14Lの挿入孔14eに挿入することで、ステージ12上にて飛行体34を固定装置14によって機械的に固定することができる。
【0092】
水平脚部44R,44Lを位置矯正機構20R,20Lによって両側から挟むことで水平方向に対する飛行体34の位置ずれを抑制することができる。また、水平脚部44R,44Lを位置矯正機構20R,20Lによって両側から挟むことで、縁12bに対して斜めに傾いた状態で離着陸面12aに着陸した飛行体34を、縁12bに向かせることができる。このように、位置矯正機構20R,20Lによって、離着陸面12aに着陸した飛行体34の位置及び向きを矯正することができる。
【0093】
また、把持機構22Rによって支持脚部42Rを把持して支持脚部42Rを押さえ付け、把持機構22Lによって支持脚部42Lを把持して支持脚部42Lを押さえ付けることで、上下方向に対する飛行体34の振動を抑制することができる。
【0094】
挿入孔14e内に接点を形成しておくことで、飛行体34が固定装置14によって固定されている状態で、飛行体34のバッテリを充電することができる。例えば、固定装置14に設けられた給電装置から飛行体34に電力が供給されて、飛行体34のバッテリが充電される。このように固定装置14を介して飛行体34に電力を供給することができるので、固定装置14以外の場所に給電用のスペースを確保する必要がない。その結果、ステージ12上のスペースを有効に活用することができる。
【0095】
また、固定装置14が縁12bに設置されているため、固定装置14が離着陸面12aの中央に設置されている場合と比べて、離着陸面12aが広くなる。それ故、飛行体34が離着陸面12aに着陸するときに固定装置14が邪魔にならず、飛行体34は、安定して離着陸面12aに着陸することができる。例えば、着陸時における飛行体34の転倒等を防止することができる。
【0096】
飛行体34が固定装置14によって固定されているときに、荷役、飛行体34の部品の交換、及び、飛行体34のバッテリの充電等の作業が行われてもよい。飛行体34が固定装置14に固定されているため、その作業によって荷重が飛行体34に加えられても、飛行体34の位置ずれを防止し、また、飛行体34の姿勢を安定させて、作業を行うことができる。
【0097】
以下、
図19,20,23,24を参照して、飛行体34がステージ12から離陸するときの離着陸補助装置10の動作について説明する。
図23及び
図24は、離着陸補助装置10と飛行体34を示す斜視図である。
【0098】
飛行体34がステージ12から離陸する場合、把持機構22Rが支持脚部42Rを把持し、把持機構22Lが支持脚部42Lを把持している状態で、制御装置18は、電動アクチュエータ28R,28Lによって把持機構22R,22Lを縁12bから縁12eに向けて移動させる。例えば、
図19及び
図20に示すように、制御装置18は、離着陸面12aの中央又はその付近まで飛行体34を移動させる。離着陸面12aの中央は、縁12bと縁12eとの間の中央、かつ、縁12cと縁12dとの間の中央である。
【0099】
次に、
図23に示すように、制御装置18は、回転軸32Rを軸として把持機構22Rを中心線O側とは反対の方向へ回転させることで、支持脚部42Rに対する把持機構22Rの把持を解除する。同様に、制御装置18は、回転軸32Lを軸として把持機構22Lを中心線O側とは反対の方向へ回転させることで、支持脚部42Lに対する把持機構22Lによる把持を解除する。
【0100】
次に、
図24に示すように、制御装置18は、電動アクチュエータ24Rによって位置矯正機構20Rを縁12cに向けて移動させ、電動アクチュエータ24Lによって位置矯正機構20Lを縁12dに向けて移動させる。これにより、水平脚部44R,44Lに対する位置矯正機構20R,20Lによる支持が解除される。この状態で、飛行体34は、離着陸面12aから離陸する。
【0101】
飛行体34を離陸させるときに、離着陸面12aの中央又はその付近まで飛行体34を移動させることで、離着陸補助装置10の周辺からの距離を確保した状態で、飛行体34を離陸させることができる。例えば、離陸風の影響や、離陸直後に飛行体34が離着陸補助装置10の周辺の物体に接触する可能性を低減することができる。これにより、より安全な離陸を実現することができる。
【0102】
以下、
図25から
図27を参照して、変形例に係る離着陸補助装置10Aについて説明する。
図25から
図27は、離着陸補助装置10Aと飛行体34を上方から見た平面図である。
図25から
図27においては、説明の便宜上、プロペラ38は図示されていない。なお、
図25及び
図26に示す例では、飛行体34は、位置矯正機構20R,20Lによって中心線Oに沿った位置に移動させられている。
【0103】
離着陸補助装置10Aは、離着陸補助装置10の構成に加えて、押圧部材46R,46Lを更に含む。
【0104】
押圧部材46Rは、把持機構22Rの設置位置よりも縁12e側の位置において、位置矯正機構20Rの中心線O側の面(つまり縁12dに対向する面)に設置されている。また、押圧部材46Rは、離着陸面12aを基準として水平脚部44Rの高さに対応する位置に設置されている。押圧部材46Rは、電動アクチュエータ28Rのスライダ30Rに連結されている。
【0105】
押圧部材46Lは、把持機構22Lの設置位置よりも縁12e側の位置において、位置矯正機構20Lの中心線O側の面(つまり縁12cに対向する面)に設置されている。また、押圧部材46Lは、離着陸面12aを基準として水平脚部44Lの高さに対応する位置に設置されている。押圧部材46Lは、電動アクチュエータ28Lのスライダ30Lに連結されている。
【0106】
飛行体34を固定装置14まで移動させる場合、
図26に示すように、制御装置18は、把持機構22R,22Lと押圧部材46R,46Lを縁12bに向けて移動させる(矢印B参照)。これにより、押圧部材46Rが水平脚部44Rの端部(端部44Raの反対側の端部)に接触し、押圧部材46Lが水平脚部44Lの端部(端部44Laの反対側の端部)に接触する。把持機構22R,22Lと押圧部材46R,46Lを更に縁12bに向けて移動させると、押圧部材46Rが水平脚部44Rを縁12bに向けて押し、押圧部材46Lが水平脚部44Lを縁12bに向けて押す。押圧部材46R,46Lによって水平脚部44R,44Lが縁12bに向けて押されることで、飛行体34が縁12bに向けて移動させられる。
【0107】
なお、押圧部材46Rが水平脚部44Rの端部(端部44Raの反対側の端部)に接触した状態で、把持機構22Rの溝22Raが支持脚部42Rに対応する位置に配置されるように、把持機構22Rと押圧部材46Rとの位置関係が調整される。同様に、押圧部材46Lが水平脚部44Lの端部(端部44Laの反対側の端部)に接触した状態で、把持機構22Lの溝22Laが支持脚部42Lに対応する位置に配置されるように、把持機構22Lと押圧部材46Lとの位置関係が調整される。
【0108】
図27に示すように、水平脚部44Rの端部44Raが挿入部14Rの挿入孔14eに挿入され、水平脚部44Lの端部44Laが挿入部14Lの挿入孔14eに挿入されるまで、制御装置18は、把持機構22R,22Lと押圧部材46R,46Lを縁12bに向けて移動させる。
【0109】
端部44Raが挿入部14Rの挿入孔14eに挿入され、端部44Laが挿入部14Lの挿入孔14eに挿入されると、制御装置18は、電動アクチュエータ24Rによって把持機構22Rを支持脚部42R側へ回転させ、電動アクチュエータ24Lによって把持機構22Lを支持脚部42L側へ回転させる。これにより、把持機構22Rの溝22Raによって支持脚部42Rが挟まれ、把持機構22Rによって支持脚部42Rが把持される。把持機構22Lの溝22Laによって支持脚部42Lが挟まれ、把持機構22Lによって支持脚部42Lが把持される。
【0110】
このようにして、飛行体34が固定装置14によって固定され、把持機構22R,22Lによって把持される。変形例によっても、上述した実施形態と同様に、固定装置14によって飛行体34がステージ12上にて固定され、把持機構22R,22Lによって上下方向の振動が抑制される。
【0111】
なお、飛行体34を縁12bに向けて移動させている最中に、把持機構22Rによって支持脚部42Rが把持され、把持機構22Lによって支持脚部42Lが把持されてもよい。例えば、押圧部材46Rが水平脚部44Rの端部に接触したときに、把持機構22Rによって支持脚部42Rが把持され、押圧部材46Lが水平脚部44Lの端部に接触したときに、把持機構22Lによって支持脚部42Lが把持されてもよい。
【0112】
ステージ12には、荷役用の開口部が形成されていてもよい。この点について、
図28から
図31を参照して説明する。
図28から
図31は、離着陸補助装置10Bと飛行体34を示す斜視図である。
【0113】
図28に示すように、離着陸補助装置10Bは、離着陸補助装置10の構成に加えて、荷役用の開口部48を含む。開口部48は、固定装置14に固定された飛行体34に対応する位置に設置されている。飛行体34に搭載されている荷物50が、開口部48を介して離着陸補助装置10B内に搬送される。また、荷物50が、開口部48を介して飛行体34に搭載される。開口部48には、開閉可能な蓋が設けられており、荷役が行われるときに蓋が開き、それ以外のときは蓋は閉じている。蓋の開閉は、制御装置18の制御の下、例えばモータ等によって行われる。
【0114】
飛行体34は把持機構52を更に含む。把持機構52は、機体36の下部に設置され、荷物50を挟んで把持する。飛行体34は、把持機構52によって荷物50を把持した状態で、荷物50を運搬する。
【0115】
上述した実施形態と同様に、飛行体34が離着陸面12a上に着陸すると、
図29に示すように、飛行体34は、移動機構16R,16Lによって固定装置14まで移動させられ、固定装置14によって固定される。その状態で、把持機構52が荷物50の把持を解除すると、荷物50は、開口部48を介して離着陸補助装置10B内に搬送される。
【0116】
また、新たな荷物54を飛行体34に運搬させる場合、
図30に示すように、荷物54を介して把持機構52まで搬送され、把持機構52は荷物54を把持する。
【0117】
次に、
図31に示すように、離陸のために、移動機構16R,16Lは、飛行体34を離着陸面12aの中央又はその周辺まで移動させる。飛行体34は、その場所から離陸し、目的地まで飛行する。
【0118】
飛行体34が固定装置14によって固定されているため、荷役時に荷重が飛行体34に加えられても、飛行体34の位置ずれを防止し、また、飛行体34の姿勢を安定させて、
荷役の作業を行うことができる。
【0119】
なお、開口部48を介して、飛行体34の部品が交換されてもよい。この場合も、飛行体34が固定装置14によって固定されているため、部品の交換時に荷重が飛行体34に加えられても、飛行体34の位置ずれを防止し、また、飛行体34の姿勢を安定させて、部品を交換することができる。
【0120】
また、離着陸補助装置10Bにおいても、挿入孔14eを介して飛行体34のバッテリが充電されてもよい。
【0121】
離着陸補助装置10,10A,10Bは、地面、道路及び建物等のように移動が想定されていない物体や場所に設置されてもよいし、車両(例えば自動車や電車等)及び船等のように移動が想定されている物体や場所に設置されてもよい。
【0122】
ここでは一例として、
図32を参照して、車両の一例である自動車に離着陸補助装置10が設置される場合について説明する。
図32は、離着陸補助装置10と自動車56を示す斜視図である。
【0123】
離着陸補助装置10は、自動車56のルーフ58上に設置される。飛行体34は、自動車56が移動しているとき、又は、自動車56が停車しているときに、離着陸補助装置10に着陸したり、離着陸補助装置10から離陸したりする。
【0124】
図32に示す例では、固定装置14が設置されている縁12bが、自動車56の前方を向くように、離着陸補助装置10がルーフ58上に設置されているが、この設置例は一例に過ぎない。固定装置14が設置されている縁12bが、自動車56の後方を向くように、離着陸補助装置10が設置されてもよい。更に別の例として、固定装置14が設置されている縁12cが、自動車56の右方向又は左方向を向くように、離着陸補助装置10が設置されてもよい。
【0125】
このように、離着陸補助装置10が車載型の離着陸補助装置として用いられる場合、走行中の振動等が飛行体34の固定の程度に影響を与える可能性がある。振動の例として、自動車56の加速時や減速時における前後方向の振動や、路面の凹凸形状による上下方向の振動、及び、自動車56の操縦による左右方向の振動等が挙げられる。
【0126】
離着陸補助装置10によれば、固定装置14によって飛行体34を固定することで、自動車56が走行中であっても、振動等の影響を軽減して、離着陸面12a上における飛行体34の位置ずれを抑制して飛行体34を固定することができる。また、位置矯正機構20R,20Lによって水平脚部44R,44Lを両側から挟み込むことで、自動車56の左右方向の振動の影響を軽減して、左右方向における飛行体34の位置ずれを抑制することができる。また、把持機構22Rによって支持脚部42Rを把持し、把持機構22Lによって支持脚部42Lを把持することで、自動車56の上下方向の振動及び前後方向の振動の影響を軽減して、上下方向及び前後方向における飛行体34の位置ずれを抑制することができる。
【0127】
以上のように、離着陸補助装置10が自動車56に搭載された場合であっても、走行中の振動等を軽減して、飛行体34を離着陸面12a上に固定することができる。例えば、ステージ12上にて飛行体34が転倒することや、飛行体34が脱落することを防止することができる。離着陸補助装置10A,10Bが自動車56に搭載された場合も同様に、飛行体34を離着陸面12a上に固定することができる。
【0128】
離着陸補助装置10,10A,10Bが、電車や船等の移動体に搭載された場合も同様に、移動体の移動中の振動等を軽減して、飛行体34を離着陸面12a上に固定することができる。
【符号の説明】
【0129】
10,10A,10B 離着陸補助装置、12 ステージ、12a 離着陸面、12b,12c,12d,12e 縁、14 固定装置、14d 蓋、14e 挿入孔、16R,16L 移動機構、18 制御装置、20R,20L 位置矯正機構、22R,22L 把持機構、34 飛行体、40R,40L 脚部、42R,42L 支持脚部、44R,44L 水平脚部、56 自動車、58 ルーフ。