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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像処理装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/126 20140101AFI20240709BHJP
   H04N 19/157 20140101ALI20240709BHJP
   H04N 19/176 20140101ALI20240709BHJP
   H04N 19/70 20140101ALI20240709BHJP
【FI】
H04N19/126
H04N19/157
H04N19/176
H04N19/70
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021565670
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2020047338
(87)【国際公開番号】W WO2021125309
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】62/950,055
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】筑波 健史
【審査官】岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】Tung Nguyen et al.,Non-CE8: Minimum Allowed QP for Transform Skip Mode,Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-O0405-v1,15th Meeting: Gothenburg, SE,2019年06月,pp.1-4
【文献】Xiaoyu Xiu et al.,Support of adaptive color transform for 444 video coding in VVC,Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-P0517,16th Meeting: Geneva, CH,2019年09月,pp.1-4
【文献】Benjamin Bross, Jianle Chen, Shan Liu and Ye-Kui Wang,Versatile Video Coding (Draft 7),Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-P2001 (version 14),16th Meeting: Geneva, CH,2019年11月,pp.297-299
【文献】Takeshi Tsukuba et al.,On QP Adjustment for Adaptive Color Transform,Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-Q0098-v4,17th Meeting: Brussels, BE,2020年01月,pp.1-7
【文献】Kyohei Unno, Kei Kawamura and Sei Naito,Clipping of minimum QP prime value,Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-Q0142,17th Meeting: Brussels, BE,2020年01月,pp.1-3
【文献】Jaehong Jung et al.,On QP adjustment in adaptive color transform,Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-Q0241-v3,17th Meeting: Brussels, BE,2020年01月,pp.1-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 - 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する量子化パラメータ補正部と、
前記量子化パラメータ補正部により補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、符号化対象の画像の係数データを量子化する量子化部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記量子化パラメータ補正部は、前記適応色変換を適用する場合、処理対象コンポーネントに応じた補正量で前記量子化パラメータを補正する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記適応色変換を適用しない場合、前記補正量は「0」である
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用する場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された、前記変換スキップを適用する場合の前記量子化パラメータの最小値でクリップする
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限のクリップを省略する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された前記量子化パラメータの最小値でクリップする
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記量子化パラメータの最小値は「0」である
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用する場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された、前記変換スキップを適用する場合の前記量子化パラメータの最小値でクリップし、かつ、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの上限を、予め設定された、前記量子化パラメータの最大値とビット深度に基づく補正量との和でクリップする
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された前記量子化パラメータの最小値でクリップし、かつ、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの上限を、予め設定された、前記量子化パラメータの最大値とビット深度に基づく補正量との和でクリップする
請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正し、
補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、符号化対象の画像の係数データを量子化する
画像処理方法。
【請求項11】
量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する量子化パラメータ補正部と、
前記量子化パラメータ補正部により補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、画像の係数データが量子化された量子化係数データを逆量子化する逆量子化部と
を備える画像処理装置。
【請求項12】
前記量子化パラメータ補正部は、前記適応色変換を適用する場合、処理対象コンポーネントに応じた補正量で前記量子化パラメータを補正する
請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記適応色変換を適用しない場合、前記補正量は「0」である
請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用する場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された、前記変換スキップを適用する場合の前記量子化パラメータの最小値でクリップする
請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限のクリップを省略する
請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された前記量子化パラメータの最小値でクリップする
請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記量子化パラメータの最小値は「0」である
請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用する場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された、前記変換スキップを適用する場合の前記量子化パラメータの最小値でクリップし、かつ、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの上限を、予め設定された、前記量子化パラメータの最大値とビット深度に基づく補正量との和でクリップする
請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された前記量子化パラメータの最小値でクリップし、かつ、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの上限を、予め設定された、前記量子化パラメータの最大値とビット深度に基づく補正量との和でクリップする
請求項18に記載の画像処理装置。
【請求項20】
量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正し、
補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、画像の係数データが量子化された量子化係数データを逆量子化する
画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置および方法に関し、特に、量子化パラメータの値を所望の範囲内に制御することができるようにした画像処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画像の予測残差を導出し、係数変換し、量子化して符号化する符号化方法が提案された(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。また、RGB444における符号化効率を改善する符号化ツールとして、残差ドメイン上でRGB-to-YCgCo変換を実行する適応色変換(ACT(Adaptive Color Transform))が提案された(例えば、非特許文献3参照)。
【0003】
また、非特許文献3においては、その変換前の残差(C0, C1, C2)と変換後の残差(C0', C1', C2')とでの信号のダイナミックレンジの変換を考慮し、各コンポーネントの残差に適用する量子化パラメータqPを、(dqPY, dqPCg, dqPCo) = (-5, -5, -3)により補正する処理も提案された。非特許文献1には、変換スキップおよび適応色変換の適用に基づく量子化パラメータの補正方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Benjamin Bross, Jianle Chen, Shan Liu, Ye-Kui Wang, "Versatile Video Coding (Draft 7)", JVET-P2001-vE, Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11 16th Meeting: Feneva, CH, 1-11 Oct 2019
【文献】Jianle Chen, Yan Ye, Seung Hwan Kim, "Algorithm description for Versatile Video Coding and Test Model 7 (VTM 7)", JVET-P2002-v1, Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11 16th Meeting: Geneva, CH, 1-11 Oct. 2019
【文献】Xiaoyu Xiu, Yi-Wen Chen, Tsung-Chuan Ma, Hong-Jheng Jhu, Xianglin Wang, "Support of adaptive color transform for 444 video coding in VVC", JVET-P0517_r1, Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11 16th Meeting: Geneva, CH, 1-11 October 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1において開示された方法の場合、変換スキップに関するパラメータに基づく量子化パラメータの補正が実行された後に、適応色変換に関するパラメータに基づく量子化パラメータの補正が実行された。変換スキップに関するパラメータに基づく量子化パラメータの補正では、量子化パラメータの値が所望の範囲内にクリップされる。また、適応色変換に関するパラメータに基づく量子化パラメータの補正では、所定の補正量が加算される。そのため、この方法では、補正後の量子化パラメータの値が取り得る範囲を制御することができなかった。
【0006】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、量子化パラメータの値を所望の範囲内に制御することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の一側面の画像処理装置は、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する量子化パラメータ補正部と、前記量子化パラメータ補正部により補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、符号化対象の画像の係数データを量子化する量子化部とを備える画像処理装置である。
【0008】
本技術の一側面の画像処理方法は、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正し、補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、符号化対象の画像の係数データを量子化する画像処理方法である。
【0009】
本技術の他の側面の画像処理装置は、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する量子化パラメータ補正部と、前記量子化パラメータ補正部により補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、画像の係数データが量子化された量子化係数データを逆量子化する逆量子化部とを備える画像処理装置である。
【0010】
本技術の他の側面の画像処理方法は、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正し、補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、画像の係数データが量子化された量子化係数データを逆量子化する画像処理方法である。
【0011】
本技術の一側面の画像処理装置および方法においては、量子化パラメータが、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正され、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正され、その補正された量子化パラメータである補正量子化パラメータが用いられて、符号化対象の画像の係数データが量子化される。
【0012】
本技術の他の側面の画像処理装置および方法においては、量子化パラメータが、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正され、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正され、その補正された量子化パラメータである補正量子化パラメータが用いられて、画像の係数データが量子化された量子化係数データが逆量子化される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】量子化パラメータの補正方法の例を説明する図である。
図2】量子化パラメータ補正装置の主な構成例を示すブロック図である。
図3】量子化パラメータ補正処理の流れの例を示すフローチャートである。
図4】量子化パラメータ補正装置の主な構成例を示すブロック図である。
図5】量子化パラメータ補正処理の流れの例を示すフローチャートである。
図6】量子化パラメータ補正装置の主な構成例を示すブロック図である。
図7】量子化パラメータ補正処理の流れの例を示すフローチャートである。
図8】量子化パラメータ補正装置の主な構成例を示すブロック図である。
図9】量子化パラメータ補正処理の流れの例を示すフローチャートである。
図10】画像符号化装置の主な構成例を示すブロック図である。
図11】変換量子化部の主な構成例を示すブロック図である。
図12】量子化部の主な構成例を示すブロック図である。
図13】画像符号化処理の流れの例を示すフローチャートである。
図14】変換量子化処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図15】量子化処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図16】画像復号装置の主な構成例を示すブロック図である。
図17】逆量子化逆変換部の主な構成例を示すブロック図である。
図18】逆量子化部の主な構成例を示すブロック図である。
図19】画像復号処理の流れの例を示すフローチャートである。
図20】逆量子化逆変換処理の流れの例を示すフローチャートである。
図21】逆量子化処理の流れの例を示すフローチャートである。
図22】コンピュータの主な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、以下の順序で説明する。
1.量子化パラメータの補正
2.第1の実施の形態(量子化パラメータ補正装置)
3.第2の実施の形態(量子化パラメータ補正装置)
4.第3の実施の形態(量子化パラメータ補正装置)
5.第4の実施の形態(量子化パラメータ補正装置)
6.第5の実施の形態(画像符号化装置)
7.第6の実施の形態(画像復号装置)
8.付記
【0015】
<1.量子化パラメータの補正>
<技術内容や技術用語をサポートする文献等>
本技術で開示される範囲は、実施の形態に記載されている内容だけではなく、出願当時において公知である以下の非特許文献等に記載されている内容や以下の非特許文献において参照されている他の文献の内容等も含まれる。
【0016】
非特許文献1:(上述)
非特許文献2:(上述)
非特許文献3:(上述)
非特許文献4:Recommendation ITU-T H.264 (04/2017) "Advanced video coding for generic audiovisual services", April 2017
非特許文献5:Recommendation ITU-T H.265 (02/18) "High efficiency video coding", february 2018
【0017】
つまり、上述の非特許文献に記載されている内容もサポート要件を判断する際の根拠となる。例えば、上述の非特許文献に記載されているQuad-Tree Block Structure、QTBT(Quad Tree Plus Binary Tree) Block Structureが実施例において直接的な記載がない場合でも、本技術の開示範囲内であり、請求の範囲のサポート要件を満たすものとする。また、例えば、パース(Parsing)、シンタックス(Syntax)、セマンティクス(Semantics)等の技術用語についても同様に、実施例において直接的な記載がない場合でも、本技術の開示範囲内であり、請求の範囲のサポート要件を満たす。
【0018】
また、本明細書において、画像(ピクチャ)の部分領域や処理単位として説明に用いる「ブロック」(処理部を示すブロックではない)は、特に言及しない限り、ピクチャ内の任意の部分領域を示し、その大きさ、形状、および特性等は限定されない。例えば、「ブロック」には、上述の非特許文献に記載されているTB(Transform Block)、TU(Transform Unit)、PB(Prediction Block)、PU(Prediction Unit)、SCU(Smallest Coding Unit)、CU(Coding Unit)、LCU(Largest Coding Unit)、CTB(Coding Tree Block)、CTU(Coding Tree Unit)、サブブロック、マクロブロック、タイル、またはスライス等、任意の部分領域(処理単位)が含まれる。
【0019】
また、このようなブロックのサイズを指定するに当たって、直接的にブロックサイズを指定するだけでなく、間接的にブロックサイズを指定するようにしてもよい。例えばサイズを識別する識別情報を用いてブロックサイズを指定するようにしてもよい。また、例えば、基準とするブロック(例えばLCUやSCU等)のサイズとの比または差分によってブロックサイズを指定するようにしてもよい。例えば、シンタックス要素等としてブロックサイズを指定する情報を伝送する場合に、その情報として、上述のような間接的にサイズを指定する情報を用いるようにしてもよい。このようにすることにより、その情報の情報量を低減させることができ、符号化効率を向上させることができる場合もある。また、このブロックサイズの指定には、ブロックサイズの範囲の指定(例えば、許容されるブロックサイズの範囲の指定等)も含む。
【0020】
また、本明細書において、符号化とは、画像をビットストリームに変換する全体の処理だけではなく、一部の処理も含む。例えば、予測処理、直交変換、量子化、算術符号化等を包括した処理を含むだけではなく、量子化と算術符号化とを総称した処理、予測処理と量子化と算術符号化とを包括した処理、などを含む。同様に、復号とは、ビットストリームを画像に変換する全体の処理だけではなく、一部の処理も含む。例えば、逆算術復号、逆量子化、逆直交変換、予測処理等を包括した処理を含むだけではなく、逆算術復号と逆量子化とを包括した処理、逆算術復号と逆量子化と予測処理とを包括した処理、などを含む。
【0021】
<適応色変換>
非特許文献3においては、RGB444における符号化効率を改善する符号化ツールとして、残差ドメイン上でRGB-to-YCgCo変換を実行する適応色変換(ACT(Adaptive Color Transform))が提案された。以下の式(1)は、そのRGB-to-YCgCo変換を示す。また、式(2)は、その逆変換(YCgCo-RGB変換)を示す。式(1)および式(2)において、係数C0, C1, C2は、それぞれ、R, G, Bに対応する。また、C0', C1', C2'は、それぞれ、Y, Cg, Coに対応する。
【0022】
・・・(1)
・・・(2)
【0023】
式(1)および式(2)に示されるように、この適応色変換により、簡単なシフト演算および加減算のみでRGB信号をYCbCr信号相当のYCgCo信号へ変換することができる。またその逆変換も同様である。したがって、このような適応色変換を適用することにより、容易にコンポーネント間の冗長性を削減し、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0024】
また、この適応色変換を適用する場合、RGB-YCgCo変換により、変換前の残差(C0, C1, C2)と、各コンポーネントの残差に適用する量子化パラメータqPを、各コンポーネントの量子化パラメータの補正量(dqPY, dqPCg, dqPCo) = (-5, -5, -3)により補正する処理が実行された。この処理は、変換後の残差(C0', C1', C2')とでの信号のダイナミックレンジの変換を考慮したものである。
【0025】
<変換スキップ>
ところで、非特許文献1には、直交変換処理をスキップ(省略)するモードである変換スキップについて開示されている。本開示においては、変換スキップを適用しない場合を非変換スキップとも称する。
【0026】
<変換スキップと適応色変換による量子化パラメータの補正>
非特許文献1には、変換スキップおよび適応色変換の適用に基づく量子化パラメータの補正方法が開示されている。この方法では、変換スキップを適用するか否かと、適応色変換を適用するか否かに応じて量子化パラメータの補正が制御される。例えば、適応色変換が適用可能であり、かつ、変換スキップが適用される場合、量子化パラメータの補正は以下の式(3)のように実行される。これに対して、適応色変換が適用可能であり、かつ、非変換スキップが適用される場合(つまり、変換スキップが適用されない場合)、量子化パラメータの補正は以下の式(4)のように実行される。
【0027】
・・・(3)
・・・(4)
【0028】
式(3)に示されるように、変換スキップが適用される場合、量子化パラメータは、まず、変換スキップの場合の量子化パラメータの最小値(QpPrimeTsMin)により下限がクリップされる。その後、そのクリップの結果に対して、cu_act_enabled_flagの値に応じて、処理対象のコンポーネントに応じた補正量が加算される。cu_act_enabled_flagは、適応色変換を適用するか否かを示すCU単位のフラグ情報である。cu_act_enabled_flagが真(例えば「1」)の場合、適応色変換が適用されることが示される。cu_act_enabled_flagが偽(例えば「0」)の場合、適応色変換が適用されないことが示される。つまり、変換スキップに関するパラメータに基づく補正が実行された後、適応色変換に関するパラメータに基づく補正が実行される。
【0029】
式(4)に示されるように、非変換スキップが適用される場合も、式(3)の場合と同様に、変換スキップに関するパラメータに基づく補正が実行された後、適応色変換に関するパラメータに基づく補正が実行される。ただし、この場合、変換スキップに関するパラメータに基づく補正において、上述したクリップ処理はスキップ(省略)される。換言するに、量子化パラメータは、ハードウエアやソフトウエア等の仕様に基づいて取り得る最小値で下限がクリップされる。
【0030】
このように、非特許文献1に記載の補正方法では、クリップ処理の後に補正量が加算されるため、補正後の量子化パラメータの値が取り得る範囲を制御することができなかった。
【0031】
<適応色変換による量子化パラメータの補正の優先>
そこで、図1に示される表の1番上の段に示されるように、適応色変換による量子化パラメータの補正を実行してから変換スキップによる量子化パラメータの補正を実行するようにする。
【0032】
例えば、画像処理方法において、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正し、その補正された量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、符号化対象の画像の係数データを量子化するようにする。
【0033】
また、例えば、画像処理装置において、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する量子化パラメータ補正部と、その量子化パラメータ補正部により補正された量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、符号化対象の画像の係数データを量子化する量子化部とを備えるようにする。
【0034】
例えば、画像処理方法において、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正し、その補正された量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、画像の係数データが量子化された量子化係数データを逆量子化するようにする。
【0035】
また、例えば、画像処理装置において、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する量子化パラメータ補正部と、その量子化パラメータ補正部により補正された量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、画像の係数データが量子化された量子化係数データを逆量子化する逆量子化部とを備えるようにする。
【0036】
このようにすることにより、補正量を加算した後に、クリップ処理を実行することができるので、補正後の量子化パラメータの値が取り得る範囲を制御することができる。
【0037】
なお、適応色変換が適用される場合、適応色変換に関するパラメータに基づく補正として、処理対象コンポーネントに応じた補正量で量子化パラメータが補正されるようにしてもよい。例えば、画像処理装置において、量子化パラメータ補正部が、適応色変換を適用する場合、処理対象コンポーネントに応じた補正量で量子化パラメータを補正してもよい。
【0038】
また、適応色変換が適用されない場合、適応色変換に関するパラメータに基づく補正として、補正量を「0」として量子化パラメータが補正されてもよい。換言するに、適応色変換に関するパラメータに基づく補正がスキップ(省略)されてもよい。例えば、画像処理装置において、量子化パラメータ補正部が、適応色変換を適用する場合、補正量を「0」として量子化パラメータを補正してもよい。
【0039】
<2.第1の実施の形態>
<変換スキップ時の下限制御>
上述したように、非特許文献1に記載の補正方法では、変換スキップが適用される場合、式(3)に示されるように量子化パラメータqPの補正が実行される。つまり、量子化パラメータqPは、まず、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinにより下限がクリップされて、第1の補正量子化パラメータqP'が得られる。この変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinは予め設定されている。
【0040】
次に、cu_act_enabled_flagが真(例えば「1」)の場合、第1の補正量子化パラメータqP'に対して、処理対象のコンポーネントを示すコンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPが加算され、第2の補正量子化パラメータqP''が導出される。なお、cu_act_enabled_flagが偽(例えば「0」)の場合、補正量dqPが「0」として同様の演算が実行され、第2の補正量子化パラメータqP''が導出される。このように導出された第2の補正量子化パラメータqP''が、補正後の量子化パラメータqP(つまり補正結果)として、量子化処理や逆量子化処理に利用される。
【0041】
つまり、適応色変換および変換スキップが適用される場合、量子化パラメータqPは、QpPrimeTsMinにより下限がクリップされた後、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPが加算される。
【0042】
なお、量子化パラメータqPの下限をQpPrimeTsMinでクリップするのは、変換スキップで量子化ステップサイズΔ<1のときに(量子化ステップサイズΔ<1となりうるため)、ピーク信号対雑音比(PSNR(Peak Signal-to-Noise Ratio))が低減する現象を回避するためである。
【0043】
しかしながら、上述したように、QpPrimeTsMinにより下限をクリップした後、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPを加算することにより、第2の補正量子化パラメータqP''(つまり補正後の量子化パラメータqP)は、QpPrimeTsMinより小さい値となりうる。すなわち、適応色変換および変換スキップが適用される場合、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値よりも小さい量子化パラメータが量子化や逆量子化に用いられる(量子化ステップサイズΔ<1となりうる)おそれがあった。そのため、PSNRが低減するおそれがあった。すなわち、符号化効率が低減するおそれがあった。
【0044】
そこで、上述したように、図1に示される表の1番上の段に示されるように、適応色変換による量子化パラメータの補正を実行してから変換スキップによる量子化パラメータの補正を実行する。さらに、図1に示される表の上から2番目の段に示されるように、変換スキップによる量子化パラメータ補正処理において、変換スキップの場合、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinにより下限をクリップしてもよい(方法1)。
【0045】
例えば、画像処理装置において、量子化パラメータ補正部が、変換スキップを適用する場合、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された量子化パラメータの下限を、予め設定された、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinでクリップしてもよい。
【0046】
このようにすることにより、適応色変換および変換スキップが適用される場合に、量子化ステップサイズΔ<1とならないようにすることができるので、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0047】
また、図1に示される表の上から2番目の段に示されるように、変換スキップによる量子化パラメータ補正処理において、非変換スキップの場合、その下限のクリップを省略してもよい。例えば、画像処理装置において、量子化パラメータ補正部が、変換スキップを適用しない場合、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された量子化パラメータの下限のクリップを省略してもよい。換言するに、その場合、量子化パラメータが、ハードウエアやソフトウエア等の仕様に基づいて取り得る最小値で下限がクリップされるようにしてもよい。
【0048】
<量子化パラメータ補正装置>
上述した本技術は、任意の装置において適用することができる。図2は、本技術を適用した画像処理装置の一態様である量子化パラメータ補正装置の構成の一例を示すブロック図である。図2に示される量子化パラメータ補正装置100は、画像に関する係数データの量子化処理や逆量子化処理に用いられる量子化パラメータを補正する装置である。量子化パラメータ補正装置100は、例えば、画像の符号化や復号における適応色変換や変換スキップの適用に応じて量子化パラメータを補正する。その際、量子化パラメータ補正装置100は、上述した「方法1」を適用して、量子化パラメータを補正する。
【0049】
なお、図2においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、図2に示されるものが全てとは限らない。つまり、量子化パラメータ補正装置100において、図2においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、図2において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0050】
図2に示されるように、量子化パラメータ補正装置100は、第1補正部101および第2補正部102を有する。
【0051】
第1補正部101は、適応色変換に関するパラメータに基づく補正に関する処理を実行する。例えば、第1補正部101は、処理対象のコンポーネントを示すコンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また、第1補正部101は、適応色変換に関するパラメータとして、cu_act_enabled_flagを取得する。さらに、第1補正部101は、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。
【0052】
なお、コンポーネント識別子cIdxは、処理対象のコンポーネントを示す識別子である。また、量子化パラメータqPxは、コンポーネントに応じた量子化パラメータを示す。例えば、量子化パラメータqPxには、輝度Yに対応する量子化パラメータqPy、色差Cbに対応する量子化パラメータqPcb、色差Crに対応する量子化パラメータqPcr、および色差CbCrに対応する量子化パラメータqPcbcrがある。さらに、適応色変換を適用する際の各コンポーネント(Y, Cg, Co)に対応する補正量dqPxは、(-5, -5, -3)である。これらのパラメータは、特に言及しない限り、他の実施の形態においても同様である。
【0053】
第1補正部101は、cu_act_enabled_flagが真(例えば「1」)の場合、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。また、第1補正部101は、cu_act_enabled_flagが偽(例えば「0」)の場合、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、補正量「0」を加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。つまり、第1補正部101は、以下のようなシンタックスの処理を実行する。
【0054】
if cu_act_enabled_flag
qP' = qPx + dqPx
else
qP' = qPx
【0055】
第1補正部101は、導出した第1の補正量子化パラメータqP'を第2補正部102に供給する。
【0056】
第2補正部102は、変換スキップに関するパラメータに基づく補正に関する処理を実行する。例えば、第2補正部102は、第1補正部101から供給される第1の補正量子化パラメータqP'を取得する。また、第2補正部102は、変換スキップに関するパラメータとして、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。さらに、第2補正部102は、変換スキップに関するパラメータとして、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。
【0057】
なお、transform_skip_flagは、変換スキップを適用するか否かを示すフラグ情報である。このtransform_skip_flagが真(例えば「1」)の場合、変換スキップが適用されることを示す。また、transform_skip_flagが偽(例えば「0」)の場合、非変換スキップが適用される(つまり変換スキップが適用されない)ことを示す。また、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinは予め設定されている。なお、このQpPrimeTsMinを符号化側装置から復号側装置にシグナリングする(伝送する)場合、QpPrimeTsMinは、例えばパラメータセットを用いてシグナリングされる。これらのパラメータは、特に言及しない限り、他の実施の形態においても同様である。
【0058】
第2補正部102は、transform_skip_flagが真(例えば「1」)の場合、QpPrimeTsMinを用いて第1の補正量子化パラメータqP'の下限をクリップし、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。換言するに、第2補正部102は、transform_skip_flagが真の場合、QpPrimeTsMinと第1の補正量子化パラメータqP'の内の大きい方を、第2の補正量子化パラメータqP''に設定する。また、第2補正部102は、transform_skip_flagが偽(例えば「0」)の場合、このクリップ処理をスキップ(省略)し、第1の補正量子化パラメータqP'を、第2の補正量子化パラメータqP''に設定する。換言するに、第2補正部102は、transform_skip_flagが偽の場合、ハードウエアやソフトウエア等の仕様に基づいて取り得る最小値で第1の補正量子化パラメータqP'の下限をクリップし、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。つまり、第2補正部102は、以下のようなシンタックスの処理を実行する。
【0059】
if transform_skip_flag[cIdx] == 'IS_SKIP'
qP'' = Max(qP', QpPrimeTsMin)
else
qP'' = qP'
【0060】
第2補正部102は、導出した第2の補正量子化パラメータqP''を、入力された量子化パラメータqPの補正結果(補正後の量子化パラメータ)として、量子化パラメータ補正装置100の外部に出力する。
【0061】
換言するに、量子化パラメータ補正装置100は、変換スキップの場合、以下の式(5)に示されるような処理を実行し、量子化パラメータを補正する。また、量子化パラメータ補正装置100は、非変換スキップの場合、以下の式(6)に示されるような処理を実行し、量子化パラメータを補正する。
【0062】
・・・(5)
・・・(6)
【0063】
換言するに、量子化パラメータ補正装置100は、適応色変換フラグ(cu_act_enabled_flag), ACTに対応する補正量dqP, コンポーネント識別子cIdxに対応する変換スキップフラグ(transform_skip_flag)、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータ(qPx)、および変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを参照して、コンポーネント識別子cIdxに対応する処理対象変換ブロックに適用する量子化パラメータqPを導出する。
【0064】
このようにすることにより、量子化パラメータ補正装置100は、適応色変換および変換スキップが適用される場合に、量子化や逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、例えば、エンコーダやデコーダが、このように補正された量子化パラメータを用いて、画像の係数データの量子化や逆量子化を実行することにより、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0065】
なお、transform_skip_flagの代わりにmts_idxを適用し、mts_idxの1モードとして変換スキップか否かが通知されるようにしてもよい。つまり、量子化パラメータ補正装置100(第2補正部102)が、transform_skip_flagの代わりにmts_idxを取得し、その値に基づいて、変換スキップが適用されるか否かを判定してもよい。また、QpPrimeTsMinは、コンポーネント毎(Y, Cb, Cr, CbCr)に通知されるようにしてもよい。つまり、量子化パラメータ補正装置100(第2補正部102)が、コンポーネント識別子cIdxに対応するQpPrimeTsMinを取得し、そのコンポーネント識別子cIdxに対応するQpPrimeTsMinを用いて第1の補正量子化パラメータqP'の下限をクリップしてもよい。
【0066】
<量子化パラメータ補正処理の流れ>
次に、この量子化パラメータ補正装置100により実行される量子化パラメータ補正処理の流れの例を、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0067】
量子化パラメータ補正処理が開始されると、量子化パラメータ補正装置100の第1補正部101は、ステップS101において、条件1を満たすか否かを判定することにより、適応色変換を適用するか否かを判定する。例えば、この条件1は、cu_act_enabled_flag = 1としてもよい。条件1を満たす(つまり、適応色変換を適用する)と判定された場合、処理はステップS102に進む。
【0068】
ステップS102において、第1補正部101は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。つまり、第1補正部101は、以下の式(7)の演算を実行する。
【0069】
・・・(7)
【0070】
その際、補正量dqPxは、以下の式(8)のように設定してもよいし、式(9)のように設定してもよい。
【0071】
・・・(8)
・・・(9)
【0072】
ステップS102の処理が終了すると処理はステップS104に進む。また、ステップS101において、条件1を満たさない(つまり、適応色変換を適用しない)と判定された場合、処理はステップS103に進む。
【0073】
ステップS103において、第1補正部101は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、補正量「0」を加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。つまり、第1補正部101は、以下の式(10)の演算を実行する。
【0074】
・・・(10)
【0075】
ステップS103の処理が終了すると処理はステップS104に進む。
【0076】
ステップS104において、第2補正部102は、条件2を満たすか否かを判定することにより、変換スキップか否かを判定する。例えば、この条件2は、transform_skip_flag[cIdx] == 'IS_SKIP'としてもよい。または、この条件2は、mts_idx[cIdx] == 'IS_SKIP'としてもよい。条件2を満たす(つまり、変換スキップである)と判定された場合、処理はステップS105に進む。
【0077】
ステップS105において、第2補正部102は、QpPrimeTsMinを用いて第1の補正量子化パラメータqP'の下限をクリップし、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。つまり、第2補正部102は、以下の式(11)の演算を実行する。
【0078】
・・・(11)
【0079】
ステップS105の処理が終了すると、量子化パラメータ補正処理が終了する。また、ステップS104において、条件2を満たさない(つまり、非変換スキップである)と判定された場合、処理はステップS106に進む。
【0080】
ステップS106において、第2補正部102は、このクリップ処理をスキップ(省略)し、第1の補正量子化パラメータqP'を、第2の補正量子化パラメータqP''に設定する。つまり、第2補正部102は、以下の式(12)の演算を実行する。
【0081】
・・・(12)
【0082】
ステップS106の処理が終了すると、量子化パラメータ補正処理が終了する。
【0083】
以上のように量子化パラメータ補正処理を実行することにより、量子化パラメータ補正装置100は、適応色変換および変換スキップが適用される場合に、量子化や逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、例えば、エンコーダやデコーダが、このように補正された量子化パラメータを用いて、画像の係数データの量子化や逆量子化を実行することにより、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0084】
<3.第2の実施の形態>
<非変換スキップ時の下限制御>
上述したように、非特許文献1に記載の補正方法では、非変換スキップが適用される場合、式(4)に示されるように、クリップが省略される。そして、cu_act_enabled_flagが真(例えば「1」)の場合、第1の補正量子化パラメータqP'に対して、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPが加算され、第2の補正量子化パラメータqP''が導出される。なお、cu_act_enabled_flagが偽(例えば「0」)の場合、補正量dqPが「0」として同様の演算が実行され、第2の補正量子化パラメータqP''が導出される。このように導出された第2の補正量子化パラメータqP''が、補正後の量子化パラメータqP(つまり補正結果)として、量子化処理や逆量子化処理に利用される。
【0085】
したがって、非変換スキップの場合、第2の補正量子化パラメータqP''(つまり補正後の量子化パラメータqP)は、量子化パラメータの最小値「0」より小さい値となりうる。すなわち、適応色変換および非変換スキップが適用される場合、非変換スキップの量子化パラメータの最小値「0」よりも小さい量子化パラメータが量子化や逆量子化に用いられる(量子化ステップサイズΔ<1となりうる)おそれがあった。そのため、PSNRが低減するおそれがあった。すなわち、符号化効率が低減するおそれがあった。
【0086】
そこで、上述したように、図1に示される表の1番上の段に示されるように、適応色変換による量子化パラメータの補正を実行してから変換スキップによる量子化パラメータの補正を実行する。さらに、図1に示される表の上から3番目の段に示されるように、変換スキップによる量子化パラメータ補正処理において、変換スキップの場合は、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinにより量子化パラメータの下限をクリップし、非変換スキップの場合、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」により量子化パラメータの下限をクリップしてもよい(方法2)。
【0087】
例えば、画像処理装置において、量子化パラメータ補正部が、変換スキップを適用しない場合、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された量子化パラメータの下限を、予め設定された量子化パラメータの最小値でクリップしてもよい。
【0088】
例えば、その量子化パラメータの最小値は「0」としてもよい。つまり、量子化パラメータ補正部が、変換スキップを適用しない場合、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された量子化パラメータの下限を、値「0」でクリップしてもよい。
【0089】
このようにすることにより、適応色変換および非変換スキップが適用される場合に、量子化ステップサイズΔ<1とならないようにすることができるので、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0090】
<量子化パラメータ補正装置>
上述した本技術は、任意の装置において適用することができる。図4は、本技術を適用した画像処理装置の一態様である量子化パラメータ補正装置の構成の一例を示すブロック図である。図4に示される量子化パラメータ補正装置120は、量子化パラメータ補正装置100と同様の装置であり、画像に関する係数データの量子化処理や逆量子化処理に用いられる量子化パラメータを補正する。その際、量子化パラメータ補正装置120は、上述した「方法2」を適用して、量子化パラメータを補正する。
【0091】
なお、図4においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、図4に示されるものが全てとは限らない。つまり、量子化パラメータ補正装置120において、図4においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、図4において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0092】
図4に示されるように、量子化パラメータ補正装置120は、第1補正部121および第2補正部122を有する。
【0093】
第1補正部121は、量子化パラメータ補正装置100の第1補正部101と同様の処理部であり、同様の処理を実行する。つまり、第1補正部121は、適応色変換に関するパラメータに基づく補正に関する処理を実行する。例えば、第1補正部121は、処理対象のコンポーネントを示すコンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また、第1補正部121は、適応色変換に関するパラメータとして、cu_act_enabled_flagを取得する。さらに、第1補正部121は、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。
【0094】
第1補正部121は、cu_act_enabled_flagが真(例えば「1」)の場合、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。また、第1補正部121は、cu_act_enabled_flagが偽(例えば「0」)の場合、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、補正量「0」を加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。つまり、第1補正部121は、以下のようなシンタックスの処理を実行する。
【0095】
if cu_act_enabled_flag
qP' = qPx + dqPx
else
qP' = qPx
【0096】
第1補正部121は、導出した第1の補正量子化パラメータqP'を第2補正部122に供給する。
【0097】
第2補正部122は、量子化パラメータ補正装置100の第2補正部102と同様に、変換スキップに関するパラメータに基づく補正に関する処理を実行する。例えば、第2補正部122は、第1補正部121から供給される第1の補正量子化パラメータqP'を取得する。また、第2補正部122は、変換スキップに関するパラメータとして、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。さらに、第2補正部122は、変換スキップに関するパラメータとして、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。また、第2補正部122は、変換スキップに関するパラメータとして、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を取得する。
【0098】
第2補正部122は、transform_skip_flagが真(例えば「1」)の場合、QpPrimeTsMinを用いて第1の補正量子化パラメータqP'の下限をクリップし、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。換言するに、第2補正部122は、transform_skip_flagが真の場合、QpPrimeTsMinと第1の補正量子化パラメータqP'の内の大きい方を、第2の補正量子化パラメータqP''に設定する。
【0099】
これに対して、transform_skip_flagが偽(例えば「0」)の場合、第2補正部122は、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」により量子化パラメータの下限をクリップし、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。換言するに、第2補正部122は、transform_skip_flagが偽の場合、値「0」と第1の補正量子化パラメータqP'の内の大きい方を、第2の補正量子化パラメータqP''に設定する。つまり、第2補正部122は、以下のようなシンタックスの処理を実行する。
【0100】
if transform_skip_flag[cIdx] == 'IS_SKIP'
qP'' = Max(qP', QpPrimeTsMin)
else
qP'' = Max(qP', 0)
【0101】
第2補正部122は、導出した第2の補正量子化パラメータqP''を、入力された量子化パラメータqPの補正結果(補正後の量子化パラメータ)として、量子化パラメータ補正装置120の外部に出力する。
【0102】
換言するに、量子化パラメータ補正装置120は、変換スキップの場合、上述した式(5)に示されるような処理を実行し、量子化パラメータを補正する。また、量子化パラメータ補正装置120は、非変換スキップの場合、以下の式(13)に示されるような処理を実行し、量子化パラメータを補正する。
【0103】
・・・(5)(再掲)
・・・(13)
【0104】
換言するに、量子化パラメータ補正装置120は、適応色変換フラグ(cu_act_enabled_flag), ACTに対応する補正量dqP, コンポーネント識別子cIdxに対応する変換スキップフラグ(transform_skip_flag)、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータ(qPx)、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」、および変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを参照して、コンポーネント識別子cIdxに対応する処理対象変換ブロックに適用する量子化パラメータqPを導出する。
【0105】
このようにすることにより、量子化パラメータ補正装置120は、適応色変換および非変換スキップが適用される場合にも、量子化や逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。つまり、量子化パラメータ補正装置120は、変換スキップが適用されるか否かによらず、適応色変換が適用される場合、量子化や逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、例えば、エンコーダやデコーダが、このように補正された量子化パラメータを用いて、画像の係数データの量子化や逆量子化を実行することにより、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0106】
なお、transform_skip_flagの代わりにmts_idxを適用し、mts_idxの1モードとして変換スキップか否かが通知されるようにしてもよい。つまり、量子化パラメータ補正装置120(第2補正部122)が、transform_skip_flagの代わりにmts_idxを取得し、その値に基づいて、変換スキップが適用されるか否かを判定してもよい。また、QpPrimeTsMinは、コンポーネント毎(Y, Cb, Cr, CbCr)に通知されるようにしてもよい。つまり、量子化パラメータ補正装置120(第2補正部122)が、コンポーネント識別子cIdxに対応するQpPrimeTsMinを取得し、そのコンポーネント識別子cIdxに対応するQpPrimeTsMinを用いて第1の補正量子化パラメータqP'の下限をクリップしてもよい。
【0107】
<量子化パラメータ補正処理の流れ>
次に、この量子化パラメータ補正装置120により実行される量子化パラメータ補正処理の流れの例を、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0108】
量子化パラメータ補正処理が開始されると、量子化パラメータ補正装置120の第1補正部121は、ステップS121において、条件1を満たすか否かを判定することにより、適応色変換を適用するか否かを判定する。この条件1は、第1の実施の形態(図3)の場合と同様である。条件1を満たす(つまり、適応色変換を適用する)と判定された場合、処理はステップS122に進む。
【0109】
ステップS122において、第1補正部121は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。この処理は、図3のステップS102の処理と同様に実行される。
【0110】
ステップS122の処理が終了すると処理はステップS124に進む。また、ステップS121において、条件1を満たさない(つまり、適応色変換を適用しない)と判定された場合、処理はステップS123に進む。
【0111】
ステップS123において、第1補正部121は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、補正量「0」を加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。この処理は、図3のステップS103の処理と同様に実行される。
【0112】
ステップS123の処理が終了すると処理はステップS124に進む。
【0113】
ステップS124において、第2補正部122は、条件2を満たすか否かを判定することにより、変換スキップか否かを判定する。この条件2は、第1の実施の形態(図3)の場合と同様である。条件2を満たす(つまり、変換スキップである)と判定された場合、処理はステップS125に進む。
【0114】
ステップS125において、第2補正部122は、QpPrimeTsMinを用いて第1の補正量子化パラメータqP'の下限をクリップし、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。この処理は、図3のステップS105の処理と同様に実行される。
【0115】
ステップS125の処理が終了すると、量子化パラメータ補正処理が終了する。また、ステップS124において、条件2を満たさない(つまり、非変換スキップである)と判定された場合、処理はステップS126に進む。
【0116】
ステップS126において、第2補正部122は、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を用いて第1の補正量子化パラメータqP'の下限をクリップし、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。つまり、第2補正部122は、以下の式(14)の演算を実行する。
【0117】
・・・(14)
【0118】
ステップS126の処理が終了すると、量子化パラメータ補正処理が終了する。
【0119】
以上のように量子化パラメータ補正処理を実行することにより、量子化パラメータ補正装置100は、適応色変換および非変換スキップが適用される場合に、量子化や逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、例えば、エンコーダやデコーダが、このように補正された量子化パラメータを用いて、画像の係数データの量子化や逆量子化を実行することにより、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0120】
<4.第3の実施の形態>
<量子化パラメータの上限制御>
さらに、量子化パラメータの上限をクリップするようにしてもよい。例えば、図1に示される表の上から4番目の段に示されるように、適応色変換による量子化パラメータの補正を実行する。そして、その補正された量子化パラメータに対して、その量子化パラメータの最小値と最大値とでクリップしてもよい(方法3)。
【0121】
量子化パラメータが0乃至63の範囲で設定されるとすると、量子化パラメータの最小値は「0」であり、量子化パラメータの最大値は、「63+QpBdOffset」である。なお、QpBdOffsetは、量子化パラメータの、ビット深度に対応する補正量である。
【0122】
例えば、画像処理装置において、量子化パラメータ補正部が、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された量子化パラメータについて、その上限を量子化パラメータの最大値(63+QpBdOffset)でクリップし、その下限を量子化パラメータの最小値(値「0」)でクリップしてもよい。
【0123】
つまり、適応色変換による量子化パラメータの補正後に、量子化パラメータの最小値と最大値とに基づいて、量子化パラメータが有効な値に収まるように補正されてもよい。このようにすることにより、補正後の量子化パラメータの値は、量子化パラメータの最小値乃至最大値の範囲内に収まる。したがって、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0124】
なお、そのクリップ処理された量子化パラメータを、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正してもよい。この変換スキップに関するパラメータに基づく補正は、方法1の場合と同様に実行してもよい。つまり、変換スキップの場合、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinにより、クリップ処理された量子化パラメータの下限をさらにクリップしてもよい。また、非変換スキップの場合、この下限のクリップ処理をスキップ(省略)してもよい。
【0125】
このようにすることにより、補正後の量子化パラメータは、このQpPrimeTsMinより小さい値となることはない。したがって、変換スキップであるか非変換スキップであるかによらず、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0126】
なお、非変換スキップの場合、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値(値「0」)により量子化パラメータの下限をクリップしてもよい。このクリップ処理の対象となる量子化パラメータの下限は、上述した適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された量子化パラメータに対するクリップにより値「0」でクリップされているので、この場合も、下限のクリップをスキップした場合と実質的に同等の補正結果が得られる。
【0127】
<量子化パラメータ補正装置>
上述した本技術は、任意の装置において適用することができる。図6は、本技術を適用した画像処理装置の一態様である量子化パラメータ補正装置の構成の一例を示すブロック図である。図6に示される量子化パラメータ補正装置140は、量子化パラメータ補正装置100と同様の装置であり、画像に関する係数データの量子化処理や逆量子化処理に用いられる量子化パラメータを補正する。その際、量子化パラメータ補正装置140は、上述した「方法3」を適用して、量子化パラメータを補正する。
【0128】
なお、図6においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、図6に示されるものが全てとは限らない。つまり、量子化パラメータ補正装置140において、図6においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、図6において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0129】
図6に示されるように、量子化パラメータ補正装置140は、第1補正部141、第2補正部142、および第3補正部143を有する。
【0130】
第1補正部141は、量子化パラメータ補正装置100の第1補正部101と同様の処理部であり、同様の処理を実行する。つまり、第1補正部141は、適応色変換に関するパラメータに基づく補正に関する処理を実行する。例えば、第1補正部141は、処理対象のコンポーネントを示すコンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また、第1補正部141は、適応色変換に関するパラメータとして、cu_act_enabled_flagを取得する。さらに、第1補正部141は、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。
【0131】
第1補正部141は、cu_act_enabled_flagが真(例えば「1」)の場合、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。また、第1補正部141は、cu_act_enabled_flagが偽(例えば「0」)の場合、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、補正量「0」を加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。つまり、第1補正部141は、以下のようなシンタックスの処理を実行する。
【0132】
if cu_act_enabled_flag
qP' = qPx + dqPx
else
qP' = qPx
【0133】
第1補正部141は、導出した第1の補正量子化パラメータqP'を第2補正部142に供給する。
【0134】
第2補正部142は、第1の補正量子化パラメータqP'に対するクリップ処理を実行する。例えば、第2補正部142は、第1補正部141から供給される第1の補正量子化パラメータqP'を取得する。第2補正部142は、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを取得する。
【0135】
第2補正部142は、第1の補正量子化パラメータqP'の上限を量子化パラメータの最大値(63+QpBdOffset)でクリップし、第1の補正量子化パラメータqP'の下限を量子化パラメータの最小値(値「0」)でクリップする。この処理により、第2補正部142は、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。
【0136】
換言するに、第2補正部142は、第1の補正量子化パラメータqP'に対して、以下の式(15)に示されるような処理を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。
【0137】
・・・(15)
【0138】
第2補正部142は、導出した第2の補正量子化パラメータqP''を第3補正部143に供給する。
【0139】
第3補正部143は、量子化パラメータ補正装置100の第2補正部102と同様に、変換スキップに関するパラメータに基づく補正に関する処理を実行する。例えば、第3補正部143は、第2補正部142から供給される第2の補正量子化パラメータqP''を取得する。また、第3補正部143は、変換スキップに関するパラメータとして、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。さらに、第3補正部143は、変換スキップに関するパラメータとして、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。
【0140】
第3補正部143は、transform_skip_flagが真(例えば「1」)の場合、QpPrimeTsMinを用いて第2の補正量子化パラメータqP''の下限をクリップし、第3の補正量子化パラメータqP'''を導出する。換言するに、第3補正部143は、transform_skip_flagが真の場合、QpPrimeTsMinと第2の補正量子化パラメータqP''の内の大きい方を、第3の補正量子化パラメータqP'''に設定する。
【0141】
これに対して、transform_skip_flagが偽(例えば「0」)の場合、第3補正部143は、このクリップ処理をスキップ(省略)し、第2の補正量子化パラメータqP''を、第3の補正量子化パラメータqP'''に設定する。換言するに、第3補正部143は、transform_skip_flagが偽の場合、ハードウエアやソフトウエア等の仕様に基づいて取り得る最小値で第1の補正量子化パラメータqP'の下限をクリップし、第3の補正量子化パラメータqP'''を導出する。つまり、第3補正部143は、以下のようなシンタックスの処理を実行する。
【0142】
if transform_skip_flag[cIdx] == 'IS_SKIP'
qP''' = Max(qP'', QpPrimeTsMin)
else
qP''' = qP''
【0143】
第3補正部143は、導出した第3の補正量子化パラメータqP'''を、入力された量子化パラメータqPの補正結果(補正後の量子化パラメータ)として、量子化パラメータ補正装置140の外部に出力する。
【0144】
換言するに、量子化パラメータ補正装置140は、変換スキップの場合、以下の式(16)に示されるような処理を実行し、量子化パラメータを補正する。また、量子化パラメータ補正装置140は、非変換スキップの場合、以下の式(17)に示されるような処理を実行し、量子化パラメータを補正する。
【0145】
・・・(16)
・・・(17)
【0146】
換言するに、量子化パラメータ補正装置120は、適応色変換フラグ(cu_act_enabled_flag), ACTに対応する補正量dqP, コンポーネント識別子cIdxに対応する変換スキップフラグ(transform_skip_flag)、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータ(qPx)、ビット深度に対応する補正量QpBdOffset、量子化パラメータの最小値「0」、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetによる補正前の量子化パラメータの最大値「63」、および変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを参照して、コンポーネント識別子cIdxに対応する処理対象変換ブロックに適用する量子化パラメータqPを導出する。
【0147】
このように、量子化パラメータ補正装置140は、適応色変換による量子化パラメータの補正後に、量子化パラメータの最小値と最大値とに基づいて、量子化パラメータを有効な値に収まるように補正する。つまり、このように補正することにより、補正後の量子化パラメータの値は、量子化パラメータの最小値乃至最大値の範囲内に収まる。したがって、例えば、エンコーダやデコーダが、このように補正された量子化パラメータを用いて、画像の係数データの量子化や逆量子化を実行することにより、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0148】
また、変換スキップの場合、さらに、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinにより量子化パラメータの下限がクリップされるので、補正後の量子化パラメータは、このQpPrimeTsMinより小さい値となることはない。したがって、例えば、エンコーダやデコーダが、このように補正された量子化パラメータを用いて、画像の係数データの量子化や逆量子化を実行することにより、変換スキップであるか非変換スキップであるかによらず、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0149】
なお、transform_skip_flagの代わりにmts_idxを適用し、mts_idxの1モードとして変換スキップか否かが通知されるようにしてもよい。つまり、量子化パラメータ補正装置140(第3補正部143)が、transform_skip_flagの代わりにmts_idxを取得し、その値に基づいて、変換スキップが適用されるか否かを判定してもよい。また、QpPrimeTsMinは、コンポーネント毎(Y, Cb, Cr, CbCr)に通知されるようにしてもよい。つまり、量子化パラメータ補正装置140(第3補正部143)が、コンポーネント識別子cIdxに対応するQpPrimeTsMinを取得し、そのコンポーネント識別子cIdxに対応するQpPrimeTsMinを用いて第2の補正量子化パラメータqP''の下限をクリップしてもよい。
【0150】
<量子化パラメータ補正処理の流れ>
次に、この量子化パラメータ補正装置140により実行される量子化パラメータ補正処理の流れの例を、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0151】
量子化パラメータ補正処理が開始されると、量子化パラメータ補正装置140の第1補正部141は、ステップS141において、条件1を満たすか否かを判定することにより、適応色変換を適用するか否かを判定する。この条件1は、第1の実施の形態(図3)の場合と同様である。条件1を満たす(つまり、適応色変換を適用する)と判定された場合、処理はステップS142に進む。
【0152】
ステップS142において、第1補正部141は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。この処理は、図3のステップS102の処理と同様に実行される。
【0153】
ステップS142の処理が終了すると処理はステップS144に進む。また、ステップS141において、条件1を満たさない(つまり、適応色変換を適用しない)と判定された場合、処理はステップS143に進む。
【0154】
ステップS143において、第1補正部141は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、補正量「0」を加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。この処理は、図3のステップS103の処理と同様に実行される。
【0155】
ステップS143の処理が終了すると処理はステップS144に進む。
【0156】
ステップS144において、第2補正部142は、第1の補正量子化パラメータqP'の上限を量子化パラメータの最大値(63+QpBdOffset)でクリップし、第1の補正量子化パラメータqP'の下限を量子化パラメータの最小値(値「0」)でクリップする。この処理により、第2補正部142は、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。
【0157】
つまり、第2補正部142は、第1の補正量子化パラメータqP'に対して、上述した式(15)に示されるような処理を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。ステップS144の処理が終了すると、処理はステップS145に進む。
【0158】
ステップS145において、第3補正部143は、条件2を満たすか否かを判定することにより、変換スキップか否かを判定する。この条件2は、第1の実施の形態(図3)の場合と同様である。条件2を満たす(つまり、変換スキップである)と判定された場合、処理はステップS146に進む。
【0159】
ステップS146において、第3補正部143は、QpPrimeTsMinを用いて第2の補正量子化パラメータqP''の下限をクリップし、第3の補正量子化パラメータqP'''を導出する。この処理は、図3のステップS105の処理と同様に実行される。
【0160】
ステップS146の処理が終了すると、量子化パラメータ補正処理が終了する。また、ステップS145において、条件2を満たさない(つまり、非変換スキップである)と判定された場合、処理はステップS147に進む。
【0161】
ステップS147において、第3補正部143は、ステップS146のクリップ処理をスキップ(省略)し、第2の補正量子化パラメータqP''を、第3の補正量子化パラメータqP'''に設定する。この処理は、図3のステップS106の処理と同様に実行される。
【0162】
ステップS147の処理が終了すると、量子化パラメータ補正処理が終了する。
【0163】
以上のように量子化パラメータ補正処理を実行することにより、量子化パラメータ補正装置140は、補正後の量子化パラメータの値を、量子化パラメータの最小値乃至最大値の範囲内に収めることができる。したがって、例えば、エンコーダやデコーダが、このように補正された量子化パラメータを用いて、画像の係数データの量子化や逆量子化を実行することにより、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0164】
また、変換スキップの場合も、QpPrimeTsMinにより量子化パラメータの下限がクリップされるので、補正後の量子化パラメータは、このQpPrimeTsMinより小さい値となることはない。したがって、例えば、エンコーダやデコーダが、このように補正された量子化パラメータを用いて、画像の係数データの量子化や逆量子化を実行することにより、変換スキップであるか非変換スキップであるかによらず、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0165】
<5.第4の実施の形態>
<量子化パラメータの上限制御>
第3の実施の形態において説明した方法3における第1の補正量子化パラメータqP'に対するクリップ処理は、変換スキップに関するパラメータに基づく補正のクリップ処理とまとめてもよい。
【0166】
つまり、図1に示される表の最下段に示されるように、変換スキップによる量子化パラメータ補正処理を以下のように実行しても良い。すなわち、変換スキップの場合、第1の補正量子化パラメータqP'について、その下限を変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinによりクリップし、その上限を量子化パラメータの最大値(63+QpBdOffset)によりクリップしてもよい。また、非変換スキップの場合、第1の補正量子化パラメータqP'について、その下限を非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」によりクリップし、その上限を量子化パラメータの最大値(63+QpBdOffset)によりクリップしてもよい(方法4)。
【0167】
例えば、画像処理装置において、量子化パラメータ補正部が、変換スキップを適用する場合、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された量子化パラメータの下限を、予め設定された、変換スキップを適用する場合の量子化パラメータの最小値でクリップし、かつ、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された量子化パラメータの上限を、予め設定された、量子化パラメータの最大値でクリップしてもよい。この量子化パラメータの最大値は、ビット深度に基づく補正量で補正された値であってもよい。例えば、この量子化パラメータの最大値は、ビット深度に基づく補正量で補正される前の量子化パラメータの最大値と、ビット深度に基づく補正量との和であってもよい。
【0168】
また、例えば、画像処理装置において、量子化パラメータ補正部が、変換スキップを適用しない場合、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された量子化パラメータの下限を、予め設定された量子化パラメータの最小値でクリップし、かつ、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された量子化パラメータの上限を、予め設定された、量子化パラメータの最大値でクリップしてもよい。この量子化パラメータの最大値は、ビット深度に基づく補正量で補正された値であってもよい。例えば、この量子化パラメータの最大値は、ビット深度に基づく補正量で補正される前の量子化パラメータの最大値と、ビット深度に基づく補正量との和であってもよい。
【0169】
このようにすることにより、方法3の場合と同様の、補正後の量子化パラメータの値が得られる。つまり、補正後の量子化パラメータの値は、量子化パラメータの最小値乃至最大値の範囲内に収まる。したがって、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0170】
また、変換スキップの場合は、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinにより量子化パラメータの下限がクリップされるので、補正後の量子化パラメータは、このQpPrimeTsMinより小さい値となることはない。したがって、変換スキップであるか非変換スキップであるかによらず、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0171】
<量子化パラメータ補正装置>
上述した本技術は、任意の装置において適用することができる。図8は、本技術を適用した画像処理装置の一態様である量子化パラメータ補正装置の構成の一例を示すブロック図である。図8に示される量子化パラメータ補正装置160は、量子化パラメータ補正装置100と同様の装置であり、画像に関する係数データの量子化処理や逆量子化処理に用いられる量子化パラメータを補正する。その際、量子化パラメータ補正装置160は、上述した「方法4」を適用して、量子化パラメータを補正する。
【0172】
なお、図8においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、図8に示されるものが全てとは限らない。つまり、量子化パラメータ補正装置160において、図8においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、図8において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。
【0173】
図8に示されるように、量子化パラメータ補正装置160は、第1補正部161および第2補正部162を有する。
【0174】
第1補正部161は、量子化パラメータ補正装置100の第1補正部101と同様の処理部であり、同様の処理を実行する。つまり、第1補正部161は、適応色変換に関するパラメータに基づく補正に関する処理を実行する。例えば、第1補正部161は、処理対象のコンポーネントを示すコンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また、第1補正部161は、適応色変換に関するパラメータとして、cu_act_enabled_flagを取得する。さらに、第1補正部161は、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。
【0175】
第1補正部161は、cu_act_enabled_flagが真(例えば「1」)の場合、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。また、第1補正部161は、cu_act_enabled_flagが偽(例えば「0」)の場合、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、補正量「0」を加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。つまり、第1補正部161は、以下のようなシンタックスの処理を実行する。
【0176】
if cu_act_enabled_flag
qP' = qPx + dqPx
else
qP' = qPx
【0177】
第1補正部161は、導出した第1の補正量子化パラメータqP'を第2補正部162に供給する。
【0178】
第2補正部162は、量子化パラメータ補正装置100の第2補正部102と同様に、変換スキップに関するパラメータに基づく補正に関する処理を実行する。例えば、第2補正部162は、第1補正部161から供給される第1の補正量子化パラメータqP'を取得する。また、第2補正部162は、変換スキップに関するパラメータとして、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。さらに、第2補正部162は、変換スキップに関するパラメータとして、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。
【0179】
さらに、第2補正部162は、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを取得する。
【0180】
第2補正部162は、transform_skip_flagが真(例えば「1」)の場合、QpPrimeTsMinを用いて第1の補正量子化パラメータqP'の下限をクリップし、(63+QpBdOffset)を用いて第1の補正量子化パラメータqP'の上限をクリップする。第2補正部162は、このようなクリップ処理により、第1の補正量子化パラメータqP'から第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。つまり、第2の補正量子化パラメータqP''の値が、(QpPrimeTsMin乃至(63+QpBdOffset))の範囲内に制限される(第2の補正量子化パラメータqP''の値が(QpPrimeTsMin乃至(63+QpBdOffset))の範囲内になるように制御される)。
【0181】
これに対して、transform_skip_flagが偽(例えば「0」)の場合、第2補正部162は、値「0」を用いて量子化パラメータの下限をクリップし、(63+QpBdOffset)を用いて第1の補正量子化パラメータqP'の上限をクリップする。つまり、第2補正部162は、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値と最大値とで、第1の補正量子化パラメータqP'の上限と下限をクリップする。第2補正部162は、このようなクリップ処理により、第1の補正量子化パラメータqP'から第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。つまり、第2の補正量子化パラメータqP''の値が、(0乃至(63+QpBdOffset))の範囲内に制限される(第2の補正量子化パラメータqP''の値が(0乃至(63+QpBdOffset))の範囲内になるように制御される)。
【0182】
つまり、第2補正部162は、以下のようなシンタックスの処理を実行する。
【0183】
if transform_skip_flag[cIdx] == 'IS_SKIP'
qP'' = Clip3(QpPrimeTsMin, 63+QpBdOffset, qP')
else
qP'' = Clip3(0, 63+QpBdOffset, qP')
【0184】
第2補正部162は、導出した第2の補正量子化パラメータqP''を、入力された量子化パラメータqPの補正結果(補正後の量子化パラメータ)として、量子化パラメータ補正装置160の外部に出力する。
【0185】
換言するに、量子化パラメータ補正装置160は、変換スキップの場合、以下の式(16)に示されるような処理を実行して、量子化パラメータを補正する。また、量子化パラメータ補正装置120は、非変換スキップの場合、上述した式(17)に示されるような処理を実行して、量子化パラメータを補正する。
【0186】
・・・(18)
・・・(17)(再掲)
【0187】
つまり、方法4の場合、実質的に方法3の場合と同等の演算が実行され、同等の補正結果が得られる。
【0188】
換言するに、量子化パラメータ補正装置120は、方法3の場合と同様に、適応色変換フラグ(cu_act_enabled_flag), ACTに対応する補正量dqP, コンポーネント識別子cIdxに対応する変換スキップフラグ(transform_skip_flag)、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータ(qPx)、ビット深度に対応する補正量QpBdOffset、量子化パラメータの最小値「0」、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetによる補正前の量子化パラメータの最大値「63」、および変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを参照して、コンポーネント識別子cIdxに対応する処理対象変換ブロックに適用する量子化パラメータqPを導出する。
【0189】
このように、量子化パラメータ補正装置160は、非変換スキップの場合、適応色変換による量子化パラメータの補正後において、量子化パラメータの最小値と最大値とに基づいて、量子化パラメータを有効な値に収まるように補正する。また、量子化パラメータ補正装置160は、変換スキップの場合、適応色変換による量子化パラメータの補正後において、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値と最大値とに基づいて、量子化パラメータを有効な値に収まるように補正する。このようにすることにより、量子化パラメータ補正装置100は、適応色変換および変換スキップが適用される場合に、量子化や逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、例えばエンコーダやデコーダがこのように補正された量子化パラメータを用いて画像の係数データの量子化や逆量子化を実行することにより、変換スキップであるか非変換スキップであるかによらず、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0190】
なお、transform_skip_flagの代わりにmts_idxを適用し、mts_idxの1モードとして変換スキップか否かが通知されるようにしてもよい。つまり、量子化パラメータ補正装置160(第2補正部162)が、transform_skip_flagの代わりにmts_idxを取得し、その値に基づいて、変換スキップが適用されるか否かを判定してもよい。また、QpPrimeTsMinは、コンポーネント毎(Y, Cb, Cr, CbCr)に通知されるようにしてもよい。つまり、量子化パラメータ補正装置160(第2補正部162)が、コンポーネント識別子cIdxに対応するQpPrimeTsMinを取得し、そのコンポーネント識別子cIdxに対応するQpPrimeTsMinを用いて第1の補正量子化パラメータqP'の下限をクリップしてもよい。
【0191】
<量子化パラメータ補正処理の流れ>
次に、この量子化パラメータ補正装置160により実行される量子化パラメータ補正処理の流れの例を、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0192】
量子化パラメータ補正処理が開始されると、量子化パラメータ補正装置160の第1補正部161は、ステップS161において、条件1を満たすか否かを判定することにより、適応色変換を適用するか否かを判定する。この条件1は、第1の実施の形態(図3)の場合と同様である。条件1を満たす(つまり、適応色変換を適用する)と判定された場合、処理はステップS162に進む。
【0193】
ステップS162において、第1補正部161は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。この処理は、図3のステップS102の処理と同様に実行される。
【0194】
ステップS162の処理が終了すると処理はステップS164に進む。また、ステップS161において、条件1を満たさない(つまり、適応色変換を適用しない)と判定された場合、処理はステップS163に進む。
【0195】
ステップS163において、第1補正部161は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxに、補正量「0」を加算し、第1の補正量子化パラメータqP'を導出する。この処理は、図3のステップS103の処理と同様に実行される。
【0196】
ステップS163の処理が終了すると処理はステップS164に進む。
【0197】
ステップS164において、第2補正部162は、条件2を満たすか否かを判定することにより、変換スキップか否かを判定する。この条件2は、第1の実施の形態(図3)の場合と同様である。条件2を満たす(つまり、変換スキップである)と判定された場合、処理はステップS165に進む。
【0198】
ステップS165において、第2補正部162は、(63+QpBdOffset)およびQpPrimeTsMinを用いて第1の補正量子化パラメータqP'の上限および下限をクリップし、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。つまり、第2補正部162は、以下の式(19)の演算を実行する。
【0199】
・・・(19)
【0200】
ステップS165の処理が終了すると、量子化パラメータ補正処理が終了する。また、ステップS164において、条件2を満たさない(つまり、非変換スキップである)と判定された場合、処理はステップS166に進む。
【0201】
ステップS166において、第2補正部162は、(63+QpBdOffset)および値「0」を用いて第1の補正量子化パラメータqP'の上限および下限をクリップし、第2の補正量子化パラメータqP''を導出する。つまり、第2補正部162は、上述した式(15)の演算を実行する。
【0202】
・・・(15)(再掲)
【0203】
ステップS166の処理が終了すると、量子化パラメータ補正処理が終了する。
【0204】
以上のように量子化パラメータ補正処理を実行することにより、量子化パラメータ補正装置100は、適応色変換および変換スキップが適用される場合に、量子化や逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、例えば、エンコーダやデコーダが、このように補正された量子化パラメータを用いて、画像の係数データの量子化や逆量子化を実行することにより、PSNRの低減を抑制することができ、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0205】
<6.第5の実施の形態>
<画像符号化装置>
以上において説明した本技術(各種方法)は、任意の装置、デバイス、システム等に適用することができる。例えば、画像データを符号化する画像符号化装置に、本技術を適用することができる。
【0206】
図10は、本技術を適用した画像処理装置の一態様である画像符号化装置の構成の一例を示すブロック図である。図10に示される画像符号化装置300は、動画像の画像データを符号化する装置である。例えば、画像符号化装置300は、上述した非特許文献に記載のVVC(Versatile Video Coding)、AVC(Advanced Video Coding)、HEVC(High Efficiency Video Coding)等の符号化方式で動画像の画像データを符号化する。
【0207】
なお、図10においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、図10に示されるものが全てとは限らない。つまり、画像符号化装置300において、図10においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、図10において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。これは、画像符号化装置300内の処理部等を説明する他の図においても同様である。
【0208】
図10に示されるように画像符号化装置300は、制御部301、並べ替えバッファ311、演算部312、変換量子化部313、符号化部314、および蓄積バッファ315を有する。また、画像符号化装置300は、逆量子化逆変換部316、演算部317、インループフィルタ部318、フレームメモリ319、予測部320、およびレート制御部321を有する。
【0209】
<制御部>
制御部301は、外部、または予め指定された処理単位のブロックサイズに基づいて、並べ替えバッファ311により保持されている動画像データを処理単位のブロック(CU,PU,TUなど)へ分割する。また、制御部301は、各ブロックへ供給する符号化パラメータ(ヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo、フィルタ情報Finfoなど)を、例えば、RDO(Rate-Distortion Optimization)に基づいて、決定する。例えば、制御部301は、変換スキップフラグ等を設定することができる。
【0210】
これらの符号化パラメータの詳細については後述する。制御部301は、以上のような符号化パラメータを決定すると、それを各ブロックへ供給する。具体的には、以下の通りである。
【0211】
ヘッダ情報Hinfoは、各ブロックに供給される。予測モード情報Pinfoは、符号化部314および予測部320に供給される。変換情報Tinfoは、符号化部314、変換量子化部313、および逆量子化逆変換部316に供給される。フィルタ情報Finfoは、符号化部314およびインループフィルタ部318に供給される。
【0212】
<並べ替えバッファ>
画像符号化装置300には、動画像データの各フィールド(入力画像)がその再生順(表示順)に入力される。並べ替えバッファ311は、各入力画像をその再生順(表示順)に取得し、保持(記憶)する。並べ替えバッファ311は、制御部301の制御に基づいて、その入力画像を符号化順(復号順)に並べ替えたり、処理単位のブロックに分割したりする。並べ替えバッファ311は、処理後の各入力画像を演算部312に供給する。
【0213】
<演算部>
演算部312は、並べ替えバッファ311から供給される処理単位のブロックに対応する画像から、予測部320より供給される予測画像Pを減算して、残差データDを導出し、それを変換量子化部313に供給する。
【0214】
<変換量子化部>
変換量子化部313は、変換量子化に関する処理を実行する。例えば、変換量子化部313は、演算部312から供給される残差データDを取得する。また、変換量子化部313は、制御部301から供給される予測モード情報Pinfoおよび変換情報Tinfoを取得する。変換量子化部313は、その予測モード情報Pinfoおよび変換情報Tinfoに基づいて、その残差データDに対して変換量子化処理を実行し、量子化係数データlevelを導出する。変換量子化処理においては、例えば、適応色変換、直交変換、および量子化等の処理が実行される。もちろん、変換量子化処理に含まれる処理は任意であり、上述した一部の処理が省略されてもよいし、上述した以外の処理が含まれていてもよい。変換量子化部313は、導出した量子化係数データlevelを、符号化部314および逆量子化逆変換部316に供給する。
【0215】
<符号化部>
符号化部314は、変換量子化部313から供給された量子化係数データlevel(または残差データD)を取得する。また、符号化部314は、制御部301から供給される各種符号化パラメータ(ヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo、フィルタ情報Finfoなど)を取得する。さらに、符号化部314は、インループフィルタ部318から供給されるフィルタ係数等のフィルタに関する情報を取得する。また、符号化部314は、予測部320から供給される最適な予測モードに関する情報を取得する。
【0216】
符号化部314は、量子化係数データlevelまたは残差データDをエントロピ符号化(可逆符号化)し、ビット列(符号化データ)を生成する。符号化部314は、このエントロピ符号化として、例えばCABAC(Context-based Adaptive Binary Arithmetic Code)を適用し得る。符号化部314は、このエントロピ符号化として、例えばCAVLC(Context-based Adaptive Variable Length Code)を適用し得る。もちろん、このエントロピ符号化の内容は任意であり、これらの例に限定されない。
【0217】
また、符号化部314は、その量子化係数レベルから残差情報Rinfoを導出し、残差情報Rinfoを符号化し、ビット列を生成する。
【0218】
さらに、符号化部314は、インループフィルタ部318から供給されるフィルタに関する情報をフィルタ情報Finfoに含め、予測部320から供給される最適な予測モードに関する情報を予測モード情報Pinfoに含める。そして、符号化部314は、上述した各種符号化パラメータ(ヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo、フィルタ情報Finfoなど)を符号化し、ビット列を生成する。
【0219】
また、符号化部314は、以上のように生成された各種情報のビット列を多重化し、符号化データを生成する。符号化部314は、その符号化データを蓄積バッファ315に供給する。
【0220】
<蓄積バッファ>
蓄積バッファ315は、符号化部314において得られた符号化データを、一時的に保持する。蓄積バッファ315は、所定のタイミングにおいて、保持している符号化データを、例えばビットストリーム等として画像符号化装置300の外部に出力する。例えば、この符号化データは、任意の記録媒体、任意の伝送媒体、任意の情報処理装置等を介して復号側に伝送される。すなわち、蓄積バッファ315は、符号化データ(ビットストリーム)を伝送する伝送部でもある。
【0221】
<逆量子化逆変換部>
逆量子化逆変換部316は、逆量子化逆変換に関する処理を実行する。例えば、逆量子化逆変換部316は、変換量子化部313から供給される量子化係数データlevelを取得する。例えば、逆量子化逆変換部316は、制御部301から供給される変換情報Tinfoを取得する。
【0222】
逆量子化逆変換部316は、変換情報Tinfoに基づいて、量子化係数データlevelに対して逆量子化逆変換処理を実行し、残差データD'を導出する。この逆量子化逆変換処理は、変換量子化部313において実行される変換量子化処理の逆処理である。つまり、逆量子化逆変換処理においては、例えば、逆量子化、逆直交変換、および逆適応色変換等の処理が実行される。逆量子化は、変換量子化部313において実行される量子化の逆処理である。逆直交変換は、変換量子化部313において実行される直交変換の逆処理である。逆適応色変換は、変換量子化部313において実行される適応色変換の逆処理である。もちろん、逆量子化逆変換処理に含まれる処理は任意であり、上述した一部の処理が省略されてもよいし、上述した以外の処理が含まれていてもよい。逆量子化逆変換部316は、導出した残差データD'を演算部317に供給する。
【0223】
なお、この逆量子化逆変換部316は、復号側の逆量子化逆変換部(後述する)と同様であるので、逆量子化逆変換部316については、復号側についての説明(後述する)を適用することができる。
【0224】
<演算部>
演算部317は、逆量子化逆変換部316から供給される残差データD'と、予測部320から供給される予測画像Pを取得する。演算部317は、その残差データD'と、その残差データD'に対応する予測画像とを加算し、局所復号画像を導出する。演算部317は、導出した局所復号画像をインループフィルタ部318およびフレームメモリ319に供給する。
【0225】
<インループフィルタ部>
インループフィルタ部318は、インループフィルタ処理に関する処理を実行する。例えば、インループフィルタ部318は、演算部317から供給される局所復号画像を取得する。例えば、インループフィルタ部318は、制御部301から供給されるフィルタ情報Finfoを取得する。例えば、インループフィルタ部318は、並べ替えバッファ311から供給される入力画像(元画像)を取得する。なお、インループフィルタ部318に入力される情報は任意であり、これらの情報以外の情報が入力されてもよい。例えば、必要に応じて、予測モード、動き情報、符号量目標値、量子化パラメータQP、ピクチャタイプ、ブロック(CU、CTU等)の情報等がインループフィルタ部318に入力されるようにしてもよい。
【0226】
インループフィルタ部318は、そのフィルタ情報Finfoに基づいて、局所復号画像に対して適宜フィルタ処理を実行する。インループフィルタ部318は、必要に応じて入力画像(元画像)や、その他の入力情報もそのフィルタ処理に用いる。
【0227】
例えば、インループフィルタ部318は、そのフィルタ処理として、バイラテラルフィルタを適用し得る。例えば、インループフィルタ部318は、そのフィルタ処理として、デブロッキングフィルタ(DBF(DeBlocking Filter))を適用し得る。例えば、インループフィルタ部318は、そのフィルタ処理として、適応オフセットフィルタ(SAO(Sample Adaptive Offset))を適用し得る。例えば、インループフィルタ部318は、そのフィルタ処理として、適応ループフィルタ(ALF(Adaptive Loop Filter))を適用し得る。また、インループフィルタ部318は、フィルタ処理として、これらの内の複数のフィルタを組み合わせて適用し得る。なお、どのフィルタを適用するか、どの順で適用するかは任意であり、適宜選択可能である。例えば、インループフィルタ部318は、フィルタ処理として、バイラテラルフィルタ、デブロッキングフィルタ、適応オフセットフィルタ、適応ループフィルタの4つのインループフィルタをこの順に適用する。
【0228】
もちろん、インループフィルタ部318が実行するフィルタ処理は任意であり、上述の例に限定されない。例えば、インループフィルタ部318がウィーナーフィルタ等を適用するようにしてもよい。
【0229】
インループフィルタ部318は、フィルタ処理された局所復号画像をフレームメモリ319に供給する。なお、例えばフィルタ係数等のフィルタに関する情報を復号側に伝送する場合、インループフィルタ部318は、そのフィルタに関する情報を符号化部314に供給する。
【0230】
<フレームメモリ>
フレームメモリ319は、画像に関するデータの記憶に関する処理を実行する。例えば、フレームメモリ319は、演算部317から供給される局所復号画像や、インループフィルタ部318から供給されるフィルタ処理された局所復号画像を取得し、それを保持(記憶)する。また、フレームメモリ319は、その局所復号画像を用いてピクチャ単位毎の復号画像を再構築し、保持する(フレームメモリ319内のバッファへ格納する)。フレームメモリ319は、予測部320の要求に応じて、その復号画像(またはその一部)を予測部320に供給する。
【0231】
<予測部>
予測部320は、予測画像の生成に関する処理を実行する。例えば、予測部320は、制御部301から供給される予測モード情報Pinfoを取得する。例えば、予測部320は、並べ替えバッファ311から供給される入力画像(元画像)を取得する。例えば、予測部320は、フレームメモリ319から読み出す復号画像(またはその一部)を取得する。
【0232】
予測部320は、予測モード情報Pinfoや入力画像(元画像)を用い、インター予測やイントラ予測等の予測処理を実行する。つまり、予測部320は、復号画像を参照画像として参照して予測と動き補償を実行し、予測画像Pを生成する。予測部320は、生成した予測画像Pを演算部312および演算部317に供給する。また、予測部320は、以上の処理により選択した予測モード、すなわち最適な予測モードに関する情報を、必要に応じて符号化部314に供給する。
【0233】
<レート制御部>
レート制御部321は、レート制御に関する処理を実行する。例えば、レート制御部321は、蓄積バッファ315に蓄積された符号化データの符号量に基づいて、オーバフローあるいはアンダーフローが発生しないように、変換量子化部313の量子化動作のレートを制御する。
【0234】
<本技術の適用>
以上のような構成の画像符号化装置300に、<1.量子化パラメータの補正>、<2.第1の実施の形態>、<3.第2の実施の形態>、<4.第3の実施の形態>、および<5.第4の実施の形態>において上述した本技術を適用し得る。
【0235】
<制御部>
例えば、上述した「方法1」を適用する場合、制御部301は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを導出し、変換量子化部313および逆量子化逆変換部316に供給する。制御部301は、適応色変換に関するパラメータとして、cu_act_enabled_flagを導出し、変換量子化部313および逆量子化逆変換部316に供給する。制御部301は、適応色変換に関するパラメータとして、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを導出し、変換量子化部313および逆量子化逆変換部316に供給する。制御部301は、変換スキップに関するパラメータとして、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を導出し、変換量子化部313および逆量子化逆変換部316に供給する。制御部301は、変換スキップに関するパラメータとして、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを導出し、変換量子化部313および逆量子化逆変換部316に供給する。また、制御部301は、それらのパラメータを符号化部314にも供給する。
【0236】
例えば、上述した「方法2」を適用する場合、制御部301は、「方法1」を適用する場合において供給するパラメータを、変換量子化部313、逆量子化逆変換部316、および符号化部314に供給する。制御部301は、これらのパラメータに加え、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を、変換スキップに関するパラメータとして、逆量子化逆変換部316、および符号化部314に供給する。
【0237】
例えば、上述した「方法3」を適用する場合、制御部301は、「方法1」を適用する場合において供給するパラメータを、変換量子化部313、逆量子化逆変換部316、および符号化部314に供給する。制御部301は、これらのパラメータに加え、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを、変換量子化部313、逆量子化逆変換部316、および符号化部314に供給する。
【0238】
例えば、上述した「方法4」を適用する場合、制御部301は、「方法3」を適用する場合において供給するパラメータを、変換量子化部313、逆量子化逆変換部316、および符号化部314に供給する。
【0239】
<変換量子化部>
例えば、上述した「方法1」を適用する場合、変換量子化部313は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また変換量子化部313は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。変換量子化部313は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに変換量子化部313は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。変換量子化部313は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。変換量子化部313は、取得したそれらのパラメータを用いて、変換量子化処理を実行する。
【0240】
例えば、上述した「方法2」を適用する場合、変換量子化部313は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また変換量子化部313は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。変換量子化部313は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに変換量子化部313は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。変換量子化部313は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。変換量子化部313は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を取得する。変換量子化部313は、取得したそれらのパラメータを用いて、変換量子化処理を実行する。
【0241】
例えば、上述した「方法3」を適用する場合、変換量子化部313は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また変換量子化部313は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。変換量子化部313は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに変換量子化部313は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。変換量子化部313は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。変換量子化部313は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを取得する。変換量子化部313は、取得したそれらのパラメータを用いて、変換量子化処理を実行する。
【0242】
例えば、上述した「方法4」を適用する場合、変換量子化部313は、「方法3」を適用する場合において取得するのと同じパラメータを取得する。変換量子化部313は、取得したそれらのパラメータを用いて、変換量子化処理を実行する。
【0243】
<変換量子化部の構成例>
図11は、図10の変換量子化部313の主な構成例を示すブロック図である。図11に示されるように、変換量子化部313は、適応色変換部341、直交変換部342、および量子化部343を有する。
【0244】
適応色変換部341は、適応色変換(ALT)に関する処理を実行する。例えば、適応色変換部341は、演算部312から供給される残差データres_x(つまり図10の残差データD)を取得する。適応色変換部341は、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。適応色変換部341は、cu_act_enabled_flagの値に基づいて、残差データres_xに対する適応色変換を実行する。例えば、cu_act_enabled_flagが真(例えば「1」)の場合、適応色変換部341は、上述した式(1)に示されるような演算を実行し、R, G, Bのコンポーネントからなる残差データres_xをRGB-to-YCgCo変換する。この処理により、Y, Cg, Coのコンポーネントからなる適応色変換係数データres_x'が生成される。適応色変換部341は、生成した適応色変換係数データres_x'を直交変換部342に供給する。
【0245】
直交変換部342は、直交変換に関する処理を実行する。例えば、直交変換部342は、適応色変換部341から供給される適応色変換係数データres_x'を取得する。直交変換部342は、制御部301から供給される変換情報Tinfoや予測モード情報Pinfoを取得する。例えば、直交変換部342は、変換情報Tinfoとして、transform_skip_flag、mts_idx、lfnst_idx等の情報を取得し得る。直交変換部342は、取得したそれらの情報を用いて適応色変換係数データres_x'を直交変換し、直交変換係数データcoef_xを生成する。直交変換部342は、生成した直交変換係数データcoef_xを量子化部343に供給する。
【0246】
量子化部343は、量子化に関する処理を実行する。例えば、量子化部343は、直交変換部342から供給される直交変換係数データcoeff_xを取得する。量子化部343は、その直交変換係数データcoeff_xを量子化し、量子化係数データqcoef_xを生成する。量子化部343は、生成した量子化係数データqcoef_x(つまり、図10の量子化係数データlevel)を符号化部314および逆量子化逆変換部316に供給する。
【0247】
例えば、上述した「方法1」を適用する場合、量子化部343は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また量子化部343は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。量子化部343は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに量子化部343は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。量子化部343は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。
【0248】
量子化部343は、取得したそれらのパラメータを用いて、直交変換係数データcoeff_xを量子化し、量子化係数データqcoef_xを生成する。
【0249】
例えば、上述した「方法2」を適用する場合、量子化部343は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また量子化部343は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。量子化部343は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに量子化部343は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。量子化部343は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。量子化部343は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を取得する。
【0250】
量子化部343は、取得したそれらのパラメータを用いて、直交変換係数データcoeff_xを量子化し、量子化係数データqcoef_xを生成する。
【0251】
例えば、上述した「方法3」を適用する場合、量子化部343は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また量子化部343は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。量子化部343は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに量子化部343は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。量子化部343は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。量子化部343は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを取得する。
【0252】
量子化部343は、取得したそれらのパラメータを用いて、直交変換係数データcoeff_xを量子化し、量子化係数データqcoef_xを生成する。
【0253】
例えば、上述した「方法4」を適用する場合、量子化部343は、「方法3」を適用する場合において取得するのと同じパラメータを取得する。量子化部343は、取得したそれらのパラメータを用いて、直交変換係数データcoeff_xを量子化し、量子化係数データqcoef_xを生成する。
【0254】
<量子化部の構成例>
図12は、図11の量子化部343の主な構成例を示すブロック図である。図12に示されるように、量子化部343は、量子化パラメータ補正部351および量子化処理部352を有する。
【0255】
量子化パラメータ補正部351は、量子化パラメータの補正に関する処理を実行する。例えば、量子化パラメータ補正部351は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。量子化パラメータ補正部351は、そのコンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを補正して、補正後の量子化パラメータである補正量子化パラメータを量子化処理部352に供給する。
【0256】
量子化処理部352は、量子化に関する処理を実行する。例えば、量子化処理部352は、直交変換部342から供給される直交変換係数データcoef_xを取得する。量子化処理部352は、量子化パラメータ補正部351から供給される補正量子化パラメータを取得する。量子化処理部352は、補正量子化パラメータを用いて直交変換係数データcoef_xを量子化し、量子化係数データqcoef_xを生成する。量子化処理部352は、生成した量子化係数データqcoef_x(つまり、図10の量子化係数データlevel)を符号化部314および逆量子化逆変換部316に供給する。
【0257】
以上のような構成の量子化部343において本技術を適用する場合、量子化パラメータ補正部351は、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する。量子化処理部352は、量子化パラメータ補正部351により補正された量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、符号化対象の画像の係数データを量子化する。
【0258】
例えば、上述した「方法1」を適用する場合、量子化パラメータ補正部351として量子化パラメータ補正装置100(図2)を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また、量子化パラメータ補正部351は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。量子化パラメータ補正部351は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。さらに、量子化パラメータ補正部351は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。量子化パラメータ補正部351は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。
【0259】
量子化パラメータ補正部351は、取得したcu_act_enabled_flag、dqPx、transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、およびQpPrimeTsMinを用いて、第1の実施の形態において説明したような方法で、qPxを補正する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、式(5)または式(6)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。量子化パラメータ補正部351は、生成した第2の補正量子化パラメータqP''を、量子化処理部352に供給する。
【0260】
このようにすることにより、量子化パラメータ補正部351は、適応色変換および変換スキップが適用される場合に、量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、量子化処理部352がこのように補正された量子化パラメータを用いて画像の係数データを量子化することにより、量子化部343(変換量子化部313)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像符号化装置300は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0261】
例えば、上述した「方法2」を適用する場合、量子化パラメータ補正部351として量子化パラメータ補正装置120(図4)を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また、量子化パラメータ補正部351は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。量子化パラメータ補正部351は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。さらに、量子化パラメータ補正部351は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。量子化パラメータ補正部351は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。量子化パラメータ補正部351は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を取得する。
【0262】
量子化パラメータ補正部351は、取得したcu_act_enabled_flag、dqPx、transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、QpPrimeTsMin、および値「0」を用いて、第2の実施の形態において説明したような方法で、qPxを補正する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、式(5)または式(13)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。量子化パラメータ補正部351は、生成した第2の補正量子化パラメータqP''を、量子化処理部352に供給する。
【0263】
このようにすることにより、量子化パラメータ補正部351は、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、量子化処理部352がこのように補正された量子化パラメータを用いて画像の係数データを量子化することにより、量子化部343(変換量子化部313)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像符号化装置300は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0264】
例えば、上述した「方法3」を適用する場合、量子化パラメータ補正部351として量子化パラメータ補正装置140(図6)を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また、量子化パラメータ補正部351は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。量子化パラメータ補正部351は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。さらに、量子化パラメータ補正部351は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。量子化パラメータ補正部351は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。量子化パラメータ補正部351は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを取得する。
【0265】
量子化パラメータ補正部351は、取得したcu_act_enabled_flag、dqPx、transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、QpPrimeTsMin、およびQpBdOffsetを用いて、第3の実施の形態において説明したような方法で、qPxを補正する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、式(16)または式(17)のような演算を実行し、第3の補正量子化パラメータqP'''を生成する。量子化パラメータ補正部351は、生成した第3の補正量子化パラメータqP'''を、量子化処理部352に供給する。
【0266】
このようにすることにより、変換スキップが適用されか否かによらず、補正後の量子化パラメータの値は、量子化パラメータの最小値乃至最大値の範囲内に収まる。また、変換スキップの場合、さらに、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinにより量子化パラメータの下限がクリップされる。つまり、量子化パラメータ補正部351は、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、量子化処理部352がこのように補正された量子化パラメータを用いて画像の係数データを量子化することにより、量子化部343(変換量子化部313)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像符号化装置300は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0267】
例えば、上述した「方法4」を適用する場合、量子化パラメータ補正部351として量子化パラメータ補正装置160(図8)を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、「方法3」の場合と同様のパラメータを取得する。
【0268】
量子化パラメータ補正部351は、それらのパラメータ(cu_act_enabled_flag、dqPx、transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、QpPrimeTsMin、およびQpBdOffset)を用いて、第4の実施の形態において説明したような方法で、qPxを補正する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、式(18)または式(17)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。量子化パラメータ補正部351は、生成した第2の補正量子化パラメータqP''を、量子化処理部352に供給する。
【0269】
つまり、方法4の場合、実質的に方法3の場合と同等の演算が実行され、同等の補正結果が得られる。したがって、この場合も、方法3の場合と同様に、量子化パラメータ補正部351は、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、量子化処理部352がこのように補正された量子化パラメータを用いて画像の係数データを量子化することにより、量子化部343(変換量子化部313)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像符号化装置300は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0270】
<符号化部>
例えば、上述した「方法1」を適用する場合、符号化部314は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また符号化部314は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。符号化部314は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに符号化部314は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。符号化部314は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。符号化部314は、取得したそれらのパラメータを符号化し、ビット列を生成し、符号化データに含める。
【0271】
このようにすることにより、これらの情報がシグナリングされる。つまり、これらの情報が復号側装置(デコーダ等)に供給される。したがって、その復号側装置は、復号処理において適応色変換および変換スキップが適用される場合に、量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、復号側装置は、その復号処理において、このように補正された量子化パラメータを用いて逆量子化を実行することができる。したがって、復号側装置は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、復号側装置は、符号化効率の低減の抑制を実現することができる。
【0272】
例えば、上述した「方法2」を適用する場合、符号化部314は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また符号化部314は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。符号化部314は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに符号化部314は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。符号化部314は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。符号化部314は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を取得する。符号化部314は、取得したそれらのパラメータを符号化し、ビット列を生成し、符号化データに含める。
【0273】
このようにすることにより、これらの情報がシグナリングされる。つまり、これらの情報が復号側装置(デコーダ等)に供給される。したがって、その復号側装置は、復号処理において、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、復号側装置は、その復号処理において、このように補正された量子化パラメータを用いて逆量子化を実行することができる。したがって、復号側装置は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、復号側装置は、符号化効率の低減の抑制を実現することができる。
【0274】
例えば、上述した「方法3」を適用する場合、符号化部314は、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また符号化部314は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。符号化部314は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに符号化部314は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。符号化部314は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。符号化部314は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部301から供給される、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを取得する。符号化部314は、取得したそれらのパラメータを符号化し、ビット列を生成し、符号化データに含める。
【0275】
このようにすることにより、これらの情報がシグナリングされる。つまり、これらの情報が復号側装置(デコーダ等)に供給される。したがって、その復号側装置による復号処理において、変換スキップが適用されか否かによらず、補正後の量子化パラメータの値は、量子化パラメータの最小値乃至最大値の範囲内に収まる。また、変換スキップの場合、さらに、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinにより量子化パラメータの下限がクリップされる。つまり、復号側装置は、復号処理において、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、復号側装置は、その復号処理において、このように補正された量子化パラメータを用いて逆量子化を実行することができる。したがって、復号側装置は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、復号側装置は、符号化効率の低減の抑制を実現することができる。
【0276】
例えば、上述した「方法4」を適用する場合、符号化部314は、「方法3」の場合と同様のパラメータを取得する。符号化部314は、取得したそれらのパラメータ(cu_act_enabled_flag、dqPx、transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、QpPrimeTsMin、およびQpBdOffset)を符号化し、ビット列を生成し、符号化データに含める。
【0277】
このようにすることにより、これらの情報がシグナリングされる。つまり、これらの情報が復号側装置(デコーダ等)に供給される。したがって、この場合も、その復号側装置は、復号処理において、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、復号側装置は、その復号処理において、このように補正された量子化パラメータを用いて逆量子化を実行することができる。したがって、復号側装置は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、復号側装置は、符号化効率の低減の抑制を実現することができる。
【0278】
<画像符号化処理の流れ>
次に、以上のような画像符号化装置300により実行される各処理の流れについて説明する。最初に、図13のフローチャートを参照して、画像符号化処理の流れの例を説明する。
【0279】
画像符号化処理が開始されると、ステップS301において、並べ替えバッファ311は、制御部301に制御されて、入力された動画像データのフレームの順を表示順から符号化順に並べ替える。
【0280】
ステップS302において、制御部301は、並べ替えバッファ311が保持する入力画像に対して、処理単位を設定する(ブロックを分割する)。
【0281】
ステップS303において、制御部301は、並べ替えバッファ311が保持する入力画像についての符号化パラメータ(例えば、ヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo等)を設定する。
【0282】
ステップS304において、予測部320は、予測処理を実行し、最適な予測モードの予測画像等を生成する。例えば、この予測処理において、予測部320は、イントラ予測を実行して最適なイントラ予測モードの予測画像等を生成し、インター予測を実行して最適なインター予測モードの予測画像等を生成し、それらの中から、コスト関数値等に基づいて最適な予測モードを選択する。
【0283】
ステップS305において、演算部312は、入力画像と、ステップS304の予測処理により選択された最適なモードの予測画像との差分を演算する。つまり、演算部312は、入力画像と予測画像との残差データDを生成する。このようにして求められた残差データDは、元の画像データに比べてデータ量が低減される。したがって、画像をそのまま符号化する場合に比べて、データ量を圧縮することができる。
【0284】
ステップS306において、変換量子化部313は、ステップS303において生成された変換情報Tinfo等の符号化パラメータを用いて、ステップS305の処理により生成された残差データDに対して変換量子化処理を実行し、量子化係数データlevelを生成する。
【0285】
ステップS307において、逆量子化逆変換部316は、ステップS303において生成された変換情報Tinfo等の符号化パラメータを用いて、ステップS306において生成された量子化係数データlevelに対して、逆量子化逆変換処理を実行し、残差データD'を生成する。
【0286】
この逆量子化逆変換処理は、ステップS306の変換量子化処理の逆処理である。後述する復号側装置(画像復号装置400)においても、同様の処理が実行される。したがって、この逆量子化逆変換処理は、復号側装置(画像復号装置400)の処理として説明する。そしてその説明は、この逆量子化逆変換処理(ステップS307)に適用することができる。
【0287】
ステップS308において、演算部317は、ステップS307の逆量子化逆変換処理により得られた残差データD'に、ステップS304の予測処理により得られた予測画像を加算することにより、局所的に復号された復号画像を生成する。
【0288】
ステップS309において、インループフィルタ部318は、ステップS308の処理により導出された、局所的に復号された復号画像に対して、インループフィルタ処理を実行する。
【0289】
ステップS310において、フレームメモリ319は、ステップS308の処理により導出された、局所的に復号された復号画像や、ステップS309においてフィルタ処理された、局所的に復号された復号画像を記憶する。
【0290】
ステップS311において、符号化部314は、ステップS306の変換量子化処理により得られた量子化係数データlevelを符号化し、符号化データを生成する。また、このとき、符号化部314は、各種符号化パラメータ(ヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo)を符号化する。さらに、符号化部314は、量子化係数データlevelから残差情報RInfoを導出し、その残差情報RInfoを符号化する。
【0291】
ステップS312において、蓄積バッファ315は、このようにして得られた符号化データを蓄積し、例えばビットストリームとして、それを画像符号化装置300の外部に出力する。このビットストリームは、例えば、伝送路や記録媒体を介して復号側装置に伝送される。また、レート制御部321は、必要に応じてレートを制御する。ステップS312の処理が終了すると、画像符号化処理が終了する。
【0292】
<変換量子化処理の流れ>
次に、図14のフローチャートを参照して、図13のステップS306において実行される変換量子化処理の流れの例を説明する。
【0293】
変換量子化処理が開始されると、適応色変換部341は、ステップS341において、ステップS303(図13)において生成されたcu_act_enabled_flagに基づいて、ステップS305の処理により生成された残差データres_xを適応色変換し、適応色変換係数データres_x'を生成する。
【0294】
ステップS342において、直交変換部342は、ステップS303(図13)において生成された変換情報Tinfoや予測モード情報Pinfo等を用いて、ステップS341において生成された適応色変換係数データres_x'を直交変換し、直交変換係数データcoef_xを生成する。
【0295】
ステップS343において、量子化部343は、ステップS303(図13)において生成された変換情報Tinfo等を用いて、ステップS342において生成された直交変換係数データcoef_xを量子化し、量子化係数データqcoef_xを生成する。
【0296】
ステップS343の処理が終了すると、処理は図13に戻る。
【0297】
<量子化処理の流れ>
次に、図15のフローチャートを参照して、図14のステップS343において実行される量子化処理の流れの例を説明する。
【0298】
量子化処理が開始されると、量子化パラメータ補正部351は、ステップS351において、量子化パラメータ補正処理を実行し、量子化パラメータを補正し、補正量子化パラメータを生成する。
【0299】
ステップS352において、量子化処理部352は、ステップS351において生成された補正量子化パラメータを用いて、ステップS342(図14)において生成された直交変換係数データcoef_xを量子化し、量子化係数データqcoef_xを生成する。
【0300】
ステップS352の処理が終了すると、量子化処理が終了し、処理は図14に戻る。
【0301】
このような量子化処理において、<1.量子化パラメータの補正>、<2.第1の実施の形態>、<3.第2の実施の形態>、<4.第3の実施の形態>、および<5.第4の実施の形態>において上述した本技術を適用し得る。
【0302】
つまり、以上のような量子化処理において本技術を適用する場合、ステップS351において、量子化パラメータ補正部351は、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する。ステップS352において、量子化処理部352は、その補正された量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、符号化対象の画像の係数データを量子化する。
【0303】
例えば、上述した「方法1」を適用する場合、量子化パラメータ補正部351は、ステップS351の量子化パラメータ補正処理として、図3のフローチャートを参照して説明した量子化パラメータ補正処理を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、式(5)または式(6)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。
【0304】
このようにすることにより、量子化パラメータ補正部351は、適応色変換および変換スキップが適用される場合に、量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、量子化処理部352がこのように補正された量子化パラメータを用いて画像の係数データを量子化することにより、量子化部343(変換量子化部313)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像符号化装置300は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0305】
例えば、上述した「方法2」を適用する場合、量子化パラメータ補正部351は、ステップS351の量子化パラメータ補正処理として、図5のフローチャートを参照して説明した量子化パラメータ補正処理を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、式(5)または式(13)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。
【0306】
このようにすることにより、量子化パラメータ補正部351は、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、量子化処理部352がこのように補正された量子化パラメータを用いて画像の係数データを量子化することにより、量子化部343(変換量子化部313)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像符号化装置300は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0307】
例えば、上述した「方法3」を適用する場合、量子化パラメータ補正部351は、ステップS351の量子化パラメータ補正処理として、図7のフローチャートを参照して説明した量子化パラメータ補正処理を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、式(16)または式(17)のような演算を実行し、第3の補正量子化パラメータqP'''を生成する。
【0308】
このようにすることにより、変換スキップが適用されか否かによらず、補正後の量子化パラメータの値は、量子化パラメータの最小値乃至最大値の範囲内に収まる。変換スキップの場合、さらに、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinにより量子化パラメータの下限がクリップされる。つまり、量子化パラメータ補正部351は、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、量子化処理部352がこのように補正された量子化パラメータを用いて画像の係数データを量子化することにより、量子化部343(変換量子化部313)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像符号化装置300は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0309】
例えば、上述した「方法4」を適用する場合、量子化パラメータ補正部351は、ステップS351の量子化パラメータ補正処理として、図9のフローチャートを参照して説明した量子化パラメータ補正処理を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部351は、式(18)または式(17)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。
【0310】
つまり、方法4の場合、実質的に方法3の場合と同等の演算が行われ、同等の補正結果が得られる。したがって、この場合も、方法3の場合と同様に、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、量子化処理部352がこのように補正された量子化パラメータを用いて画像の係数データを量子化することにより、量子化部343(変換量子化部313)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像符号化装置300は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0311】
<符号化>
なお、図13のステップS311において、符号化部314が、各種符号化パラメータ(ヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo)を符号化する。本技術を適用する場合、符号化部314は、この符号化パラメータとして、量子化パラメータの補正に適用される上述した各種パラメータを符号化する。例えば、「方法1」が適用される場合、符号化部314は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPx、cu_act_enabled_flag、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPx、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMin等のパラメータを符号化する。また、「方法2」が適用される場合、符号化部314は、「方法1」が適用される場合に符号化するパラメータに加え、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を符号化する。さらに、「方法3」または「方法4」が適用される場合、符号化部314は、「方法1」が適用される場合に符号化するパラメータに加え、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを符号化する。
【0312】
このようにすることにより、これらの情報がシグナリングされるので、復号側装置は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、復号側装置は、符号化効率の低減の抑制を実現することができる。
【0313】
<7.第6の実施の形態>
<画像復号装置>
以上において説明した本技術(各種方法)は、画像データの符号化データを復号する画像復号装置に適用することもできる。
【0314】
図16は、本技術を適用した画像処理装置の一態様である画像復号装置の構成の一例を示すブロック図である。図16に示される画像復号装置400は、動画像の符号化データを復号する装置である。例えば、画像復号装置400は、上述した非特許文献に記載のVVC、AVC、HEVC等の符号化方式で符号化された動画像の符号化データを復号する。例えば、画像復号装置400は、上述の画像符号化装置300(図10)により生成された符号化データ(ビットストリーム)を復号することができる。
【0315】
なお、図16においては、処理部やデータの流れ等の主なものを示しており、図16に示されるものが全てとは限らない。つまり、画像復号装置400において、図16においてブロックとして示されていない処理部が存在したり、図16において矢印等として示されていない処理やデータの流れが存在したりしてもよい。これは、画像復号装置400内の処理部等を説明する他の図においても同様である。
【0316】
図16に示されるように画像復号装置400は、制御部401、蓄積バッファ411、復号部412、逆量子化逆変換部413、演算部414、インループフィルタ部415、並べ替えバッファ416、フレームメモリ417、および予測部418を備えている。なお、予測部418は、不図示のイントラ予測部、およびインター予測部を備えている。
【0317】
<制御部>
制御部401は、復号の制御に関する処理を実行する。例えば、制御部401は、ビットストリームに含まれる符号化パラメータ(ヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo、残差情報Rinfo、フィルタ情報Finfoなど)を、復号部412を介して取得する。また、制御部401は、ビットストリームに含まれない符号化パラメータを推定し得る。さらに、制御部401は、取得した(または推定した)符号化パラメータに基づいて、画像復号装置400の各処理部(蓄積バッファ411乃至予測部418)を制御することにより、復号を制御する。
【0318】
例えば、制御部401は、ヘッダ情報Hinfoを、逆量子化逆変換部413、予測部418、インループフィルタ部415に供給する。また、制御部401は、予測モード情報Pinfoを、逆量子化逆変換部413および予測部418に供給する。さらに、制御部401は、変換情報Tinfoを、逆量子化逆変換部413に供給する。また、制御部401は、残差情報Rinfoを、復号部412に供給する。さらに制御部401は、フィルタ情報Finfoを、インループフィルタ部415に供給する。
【0319】
もちろん、上述の例は一例であり、この例に限定されない。例えば、各符号化パラメータが任意の処理部に供給されるようにしてもよい。また、その他の情報が、任意の処理部に供給されるようにしてもよい。
【0320】
<ヘッダ情報Hinfo>
ヘッダ情報Hinfoは、例えば、VPS(Video Parameter Set)、SPS(Sequence ParameterSet)、PPS(Picture Parameter Set)、PH(ピクチャヘッダ)、SH(スライスヘッダ)などのヘッダ情報を含む。ヘッダ情報Hinfoには、例えば、画像サイズ(横幅PicWidth、縦幅PicHeight)、ビット深度(輝度bitDepthY, 色差bitDepthC)、色差アレイタイプChromaArrayType、CUサイズの最大値MaxCUSizeや最小値MinCUSize、4分木分割(Quad-tree分割ともいう)の最大深度MaxQTDepthや最小深度MinQTDepth、2分木分割(Binary-tree分割)の最大深度MaxBTDepthや最小深度MinBTDepth、変換スキップブロックの最大値MaxTSSize(最大変換スキップブロックサイズともいう)、各符号化ツールのオンオフフラグ(有効フラグともいう)などを規定する情報が含まれる。
【0321】
例えば、ヘッダ情報Hinfoに含まれる符号化ツールのオンオフフラグとしては、以下に示す変換、量子化処理に関わるオンオフフラグがある。なお、符号化ツールのオンオフフラグは、符号化ツールに関わるシンタックスが符号化データ中に存在するか否かを示すフラグとも解釈することができる。また、オンオフフラグの値が1(真)の場合、符号化ツールが使用可能であることを示す。オンオフフラグの値が0(偽)の場合、符号化ツールが使用不可であることを示す。なお、フラグ値の解釈は逆であってもよい。
【0322】
<予測モード情報Pinfo>
予測モード情報Pinfoには、例えば、処理対象PB(予測ブロック)のサイズ情報PBSize(予測ブロックサイズ)、イントラ予測モード情報IPinfo、動き予測情報MVinfo等の情報が含まれる。
【0323】
イントラ予測モード情報IPinfoには、例えば、JCTVC-W1005, 7.3.8.5 Coding Unit syntax中のprev_intra_luma_pred_flag, mpm_idx, rem_intra_pred_mode、およびそのシンタックスから導出される輝度イントラ予測モードIntraPredModeY等が含まれ得る。
【0324】
また、イントラ予測モード情報IPinfoには、例えば、コンポーネント間予測フラグ(ccp_flag(cclmp_flag))、多クラス線形予測モードフラグ(mclm_flag)、色差サンプル位置タイプ識別子(chroma_sample_loc_type_idx)、色差MPM識別子(chroma_mpm_idx)、および、これらのシンタックスから導出される輝度イントラ予測モード(IntraPredModeC)等が含まれ得る。
【0325】
コンポーネント間予測フラグ(ccp_flag(cclmp_flag))は、コンポーネント間線形予測を適用するか否かを示すフラグ情報である。例えば、ccp_flag==1のとき、コンポーネント間予測を適用することを示し、ccp_flag==0のとき、コンポーネント間予測を適用しないことを示す。
【0326】
多クラス線形予測モードフラグ(mclm_flag)は、線形予測のモードに関する情報(線形予測モード情報)である。より具体的には、多クラス線形予測モードフラグ(mclm_flag)は、多クラス線形予測モードにするか否かを示すフラグ情報である。例えば、「0」の場合、1クラスモード(単一クラスモード)(例えばCCLMP)であることを示し、「1」の場合、2クラスモード(多クラスモード)(例えばMCLMP)であることを示す。
【0327】
色差サンプル位置タイプ識別子(chroma_sample_loc_type_idx)は、色差コンポーネントの画素位置のタイプ(色差サンプル位置タイプとも称する)を識別する識別子である。
【0328】
なお、この色差サンプル位置タイプ識別子(chroma_sample_loc_type_idx)は、色差コンポーネントの画素位置に関する情報(chroma_sample_loc_info())として(に格納されて)伝送される。
【0329】
色差MPM識別子(chroma_mpm_idx)は、色差イントラ予測モード候補リスト(intraPredModeCandListC)の中のどの予測モード候補を色差イントラ予測モードとして指定するかを表す識別子である。
【0330】
動き予測情報MVinfoには、例えば、merge_idx, merge_flag, inter_pred_idc, ref_idx_LX, mvp_lX_flag, X={0,1}, mvd等の情報が含まれ得る(例えば、JCTVC-W1005, 7.3.8.6 Prediction Unit Syntaxを参照)。
【0331】
もちろん、予測モード情報Pinfoに含まれる情報は任意であり、これらの情報以外の情報が含まれるようにしてもよい。
【0332】
<変換情報Tinfo>
変換情報Tinfoには、例えば、以下の情報が含まれ得る。
【0333】
処理対象変換ブロックの横幅サイズTBWSizeおよび縦幅TBHSize:2を底とする各TBWSize、TBHSizeの対数値log2TBWSize、log2TBHSizeであってもよい。
変換スキップフラグ(ts_flag):(逆)プライマリ変換および(逆)セカンダリ変換をスキップか否かを示すフラグである。
スキャン識別子(scanIdx)
量子化パラメータ(qp)
量子化マトリックス(scaling_matrix):例えば、JCTVC-W1005, 7.3.4 Scaling list data syntax
【0334】
もちろん、変換情報Tinfoに含まれる情報は任意であり、これらの情報以外の情報が含まれるようにしてもよい。
【0335】
<残差情報Rinfo>
残差情報Rinfo(例えば、JCTVC-W1005の7.3.8.11 Residual Coding syntaxを参照)には、例えば以下の情報が含まれ得る。
【0336】
cbf(coded_block_flag):残差データ有無フラグ
last_sig_coeff_x_pos:ラスト非ゼロ係数X座標
last_sig_coeff_y_pos:ラスト非ゼロ係数Y座標
coded_sub_block_flag:サブブロック非ゼロ係数有無フラグ
sig_coeff_flag:非ゼロ係数有無フラグ
gr1_flag:非ゼロ係数のレベルが1より大きいかを示すフラグ(GR1フラグとも呼ぶ)
gr2_flag:非ゼロ係数のレベルが2より大きいかを示すフラグ(GR2フラグとも呼ぶ)
sign_flag:非ゼロ係数の正負を示す符号(サイン符号とも呼ぶ)
coeff_abs_level_remaining:非ゼロ係数の残余レベル(非ゼロ係数残余レベルとも呼ぶ)
【0337】
もちろん、残差情報Rinfoに含まれる情報は任意であり、これらの情報以外の情報が含まれるようにしてもよい。
【0338】
<フィルタ情報Finfo>
フィルタ情報Finfoには、例えば、以下に示す各フィルタ処理に関する制御情報が含まれ得る。
【0339】
デブロッキングフィルタ(DBF)に関する制御情報
画素適応オフセット(SAO)に関する制御情報
適応ループフィルタ(ALF)に関する制御情報
その他の線形・非線形フィルタに関する制御情報
【0340】
また、例えば、各フィルタを適用するピクチャや、ピクチャ内の領域を指定する情報や、CU単位のフィルタのオンオフ制御情報、スライス、タイルの境界に関するフィルタのオンオフ制御情報などが含まれてもよい。もちろん、フィルタ情報Finfoに含まれる情報は任意であり、これらの情報以外の情報が含まれるようにしてもよい。
【0341】
<蓄積バッファ>
蓄積バッファ411は、画像復号装置400に入力されたビットストリームを取得し、保持(記憶)する。蓄積バッファ411は、所定のタイミングにおいて、または、所定の条件が整う等した場合、蓄積しているビットストリームに含まれる符号化データを抽出し、復号部412に供給する。
【0342】
<復号部>
復号部412は、画像の復号に関する処理を実行する。例えば、復号部412は、蓄積バッファ411から供給される符号化データを取得し、シンタックステーブルの定義に沿って、そのビット列から、各シンタックス要素のシンタックス値をエントロピ復号(可逆復号)し、符号化パラメータを導出する。
【0343】
この符号化パラメータには、例えば、ヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo、残差情報Rinfo、フィルタ情報Finfoなどの情報が含まれ得る。つまり、復号部412は、ビットストリームから、これらの情報を復号し、パースする(解析して取得する)。
【0344】
復号部412は、制御部401の制御に従って、このような処理(復号やパース等)を実行し、得られたこれらの情報を制御部401に供給する。
【0345】
さらに、復号部412は、残差情報Rinfoを参照して符号化データを復号する。その際、復号部412は、例えばCABACやCAVLC等のエントロピ復号(可逆復号)を適用する。つまり、復号部412は、画像符号化装置300の符号化部314が実行する符号化処理の符号化方式に対応する復号方式で符号化データを復号する。
【0346】
例えば、CABACを適用するとする。復号部412は、符号化データに対してコンテキストモデルを用いる算術復号を行い、各変換ブロック内の各係数位置の量子化係数データlevelを導出する。復号部412は、その導出した量子化係数データlevelを逆量子化逆変換部413に供給する。
【0347】
<逆量子化逆変換部>
逆量子化逆変換部413は、逆量子化および逆係数変換に関する処理を実行する。例えば、逆量子化逆変換部413は、復号部412から供給される量子化係数データlevelを取得する。逆量子化逆変換部413は、制御部401から供給される予測モード情報Pinfoや変換情報Tinfo等の符号化パラメータを取得する。
【0348】
逆量子化逆変換部413は、予測モード情報Pinfoや変換情報Tinfo等の符号化パラメータに基づいて、量子化係数データlevelに対して逆量子化逆変換処理を実行し、残差データD'を導出する。この逆量子化逆変換処理は、変換量子化部313において実行される変換量子化処理の逆処理である。つまり、逆量子化逆変換処理においては、例えば、逆量子化、逆直交変換、および逆適応色変換等の処理が実行される。逆量子化は、変換量子化部313において実行される量子化の逆処理である。逆直交変換は、変換量子化部313において実行される直交変換の逆処理である。逆適応色変換は、変換量子化部313において実行される適応色変換の逆処理である。もちろん、逆量子化逆変換処理に含まれる処理は任意であり、上述した一部の処理が省略されてもよいし、上述した以外の処理が含まれていてもよい。逆量子化逆変換部413は、導出した残差データD'を演算部414に供給する。
【0349】
<演算部>
演算部414は、画像に関する情報の加算に関する処理を実行する。例えば、演算部414は、逆量子化逆変換部413から供給される残差データD'と、予測部418から供給される予測画像とを取得する。演算部414は、その残差データとその残差データに対応する予測画像(予測信号)とを加算し、局所復号画像を導出する。演算部414は、導出した局所復号画像を、インループフィルタ部415およびフレームメモリ417に供給する。
【0350】
<インループフィルタ部>
インループフィルタ部415は、インループフィルタ処理に関する処理を実行する。例えば、インループフィルタ部415は、演算部414から供給される局所復号画像を取得する。インループフィルタ部415は、制御部401から供給されるフィルタ情報Finfoを取得する。なお、インループフィルタ部415に入力される情報は任意であり、これらの情報以外の情報が入力されてもよい。
【0351】
インループフィルタ部415は、そのフィルタ情報Finfoに基づいて、局所復号画像に対して適宜フィルタ処理を実行する。例えば、インループフィルタ部415は、そのフィルタ処理として、バイラテラルフィルタを適用し得る。例えば、インループフィルタ部415は、そのフィルタ処理として、デブロッキングフィルタ(DBF(DeBlocking Filter))を適用し得る。例えば、インループフィルタ部415は、そのフィルタ処理として、適応オフセットフィルタ(SAO(Sample Adaptive Offset))を適用し得る。例えば、インループフィルタ部415は、そのフィルタ処理として、適応ループフィルタ(ALF(Adaptive Loop Filter))を適用し得る。また、インループフィルタ部415は、フィルタ処理として、これらの内の複数のフィルタを組み合わせて適用し得る。なお、どのフィルタを適用するか、どの順で適用するかは任意であり、適宜選択可能である。例えば、インループフィルタ部415は、フィルタ処理として、バイラテラルフィルタ、デブロッキングフィルタ、適応オフセットフィルタ、適応ループフィルタの4つのインループフィルタをこの順に適用する。
【0352】
インループフィルタ部415は、符号化側装置(例えば画像符号化装置300のインループフィルタ部318)により実行されたフィルタ処理に対応するフィルタ処理を実行する。もちろん、インループフィルタ部415が実行するフィルタ処理は任意であり、上述の例に限定されない。例えば、インループフィルタ部415がウィーナーフィルタ等を適用するようにしてもよい。
【0353】
インループフィルタ部415は、フィルタ処理された局所復号画像を並べ替えバッファ416およびフレームメモリ417に供給する。
【0354】
<並べ替えバッファ>
並べ替えバッファ416は、インループフィルタ部415から供給された局所復号画像を入力とし、それを保持(記憶)する。並べ替えバッファ416は、その局所復号画像を用いてピクチャ単位毎の復号画像を再構築し、保持する(バッファ内に格納する)。並べ替えバッファ416は、得られた復号画像を、復号順から再生順に並べ替える。並べ替えバッファ416は、並べ替えた復号画像群を動画像データとして画像復号装置400の外部に出力する。
【0355】
<フレームメモリ>
フレームメモリ417は、画像に関するデータの記憶に関する処理を実行する。例えば、フレームメモリ417は、演算部414より供給される局所復号画像を取得し、ピクチャ単位毎の復号画像を再構築して、フレームメモリ417内のバッファへ格納する。
【0356】
また、フレームメモリ417は、インループフィルタ部415から供給される、インループフィルタ処理された局所復号画像を取得し、ピクチャ単位毎の復号画像を再構築して、フレームメモリ417内のバッファへ格納する。フレームメモリ417は、適宜、その記憶している復号画像(またはその一部)を参照画像として予測部418に供給する。
【0357】
なお、フレームメモリ417が、復号画像の生成に係るヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo、フィルタ情報Finfoなどを記憶するようにしても良い。
【0358】
<予測部>
予測部418は、予測画像の生成に関する処理を実行する。例えば、予測部418は、制御部401から供給される予測モード情報Pinfoを取得する。また、予測部418は、フレームメモリ417から読み出す復号画像(またはその一部)を取得する。予測部418は、予測モード情報Pinfoに基づいて符号化の際に採用された予測モードで予測処理を実行し、復号画像を参照画像として参照して予測画像を生成する。予測部418は、生成した予測画像を演算部414に供給する。
【0359】
<本技術の適用>
以上のような構成の画像復号装置400に、<1.量子化パラメータの補正>、<2.第1の実施の形態>、<3.第2の実施の形態>、<4.第3の実施の形態>、および<5.第4の実施の形態>において上述した本技術を適用し得る。
【0360】
<復号部>
上述したように復号部412は、ビットストリームから、ヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo、残差情報Rinfo、フィルタ情報Finfo等の符号化パラメータをパースする。
【0361】
したがって、本技術を適用する場合、復号部412は、ビットストリームを復号し、符号側装置(例えば画像符号化装置300)から供給される、量子化パラメータの補正に用いられるパラメータをパースする。
【0362】
例えば、「方法1」が適用される場合、復号部412は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPx、cu_act_enabled_flag、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPx、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMin等のパラメータをパースする。また、「方法2」が適用される場合、復号部412は、「方法1」が適用される場合に符号化するパラメータに加え、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」をパースする。さらに、「方法3」または「方法4」が適用される場合、復号部412は、「方法1」が適用される場合に符号化するパラメータに加え、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetをパースする。
【0363】
<制御部>
例えば、上述した「方法1」を適用する場合、制御部401は、復号部412から、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得し、逆量子化逆変換部413に供給する。制御部401は、復号部412から、適応色変換に関するパラメータとして、cu_act_enabled_flagを取得し、逆量子化逆変換部413に供給する。制御部401は、復号部412から、適応色変換に関するパラメータとして、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得し、逆量子化逆変換部413に供給する。制御部401は、復号部412から、変換スキップに関するパラメータとして、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得し、逆量子化逆変換部413に供給する。制御部401は、復号部412から、変換スキップに関するパラメータとして、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得し、逆量子化逆変換部413に供給する。
【0364】
例えば、上述した「方法2」を適用する場合、制御部401は、「方法1」を適用する場合において供給するパラメータを、逆量子化逆変換部413に供給する。制御部401は、これらのパラメータに加え、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を、変換スキップに関するパラメータとして、逆量子化逆変換部413に供給する。
【0365】
例えば、上述した「方法3」を適用する場合、制御部401は、「方法1」を適用する場合において供給するパラメータを、逆量子化逆変換部413に供給する。制御部401は、これらのパラメータに加え、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを、逆量子化逆変換部413に供給する。
【0366】
例えば、上述した「方法4」を適用する場合、制御部401は、「方法3」を適用する場合において供給するパラメータを逆量子化逆変換部413に供給する。
【0367】
<逆量子化逆変換部>
例えば、上述した「方法1」を適用する場合、逆量子化逆変換部413は、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また逆量子化逆変換部413は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。逆量子化逆変換部413は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに逆量子化逆変換部413は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。逆量子化逆変換部413は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。逆量子化逆変換部413は、取得したそれらのパラメータを用いて、逆量子化逆変換処理を実行する。
【0368】
例えば、上述した「方法2」を適用する場合、逆量子化逆変換部413は、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また逆量子化逆変換部413は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。逆量子化逆変換部413は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに逆量子化逆変換部413は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。逆量子化逆変換部413は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。逆量子化逆変換部413は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を取得する。逆量子化逆変換部413は、取得したそれらのパラメータを用いて、逆量子化逆変換処理を実行する。
【0369】
例えば、上述した「方法3」を適用する場合、逆量子化逆変換部413は、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また逆量子化逆変換部413は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。逆量子化逆変換部413は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxとを取得する。さらに逆量子化逆変換部413は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。逆量子化逆変換部413は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。逆量子化逆変換部413は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを取得する。逆量子化逆変換部413は、取得したそれらのパラメータを用いて、逆量子化逆変換処理を実行する。
【0370】
例えば、上述した「方法4」を適用する場合、逆量子化逆変換部413は、「方法3」を適用する場合において取得するのと同じパラメータを取得する。逆量子化逆変換部413は、取得したそれらのパラメータを用いて、逆量子化逆変換処理を実行する。
【0371】
<逆量子化逆変換部の構成例>
図17は、図16の逆量子化逆変換部413の主な構成例を示すブロック図である。図17に示されるように、逆量子化逆変換部413は、逆量子化部441、逆直交変換部442、および逆適応色変換部443を有する。
【0372】
逆量子化部441は、逆量子化に関する処理を実行する。例えば、逆量子化部441は、復号部412から供給される量子化係数データqcoeff_x(つまり、図16の量子化係数データlevel)を取得する。逆量子化部441は、その量子化係数データqcoeff_xを逆量子化し、直交変換係数データcoef_xを生成する。逆量子化部441は、生成した直交変換係数データcoef_xを逆直交変換部442に供給する。
【0373】
逆直交変換部442は、逆直交変換に関する処理を実行する。例えば、逆直交変換部442は、逆量子化部441から供給される直交変換係数データcoeff_xを取得する。逆直交変換部442は、制御部401から供給される変換情報Tinfoや予測モード情報Pinfoを取得する。例えば、逆直交変換部442は、変換情報Tinfoとして、transform_skip_flag、mts_idx、lfnst_idx等の情報を取得し得る。逆直交変換部442は、取得したそれらの情報を用いて直交変換係数データcoeff_xを逆直交変換し、適応色変換係数データres_x'を生成する。逆直交変換部442は、生成した適応色変換係数データres_x'を逆適応色変換部443に供給する。
【0374】
逆適応色変換部443は、逆適応色変換に関する処理を実行する。例えば、逆適応色変換部443は、逆直交変換部442から供給される適応色変換係数データres_x'を取得する。逆適応色変換部443は、制御部401から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。逆適応色変換部443は、cu_act_enabled_flagの値に基づいて、残差データres_xに対する適応色変換を実行する。例えば、cu_act_enabled_flagが真(例えば「1」)の場合、逆適応色変換部443は、上述した式(2)に示されるような演算を実行し、Y, Cg, Coのコンポーネントからなる適応色変換係数データres_x'をYCgCo-RGB変換する。この処理により、R, G, Bのコンポーネントからなる残差データres_x(つまり図10の残差データD)が生成される。逆適応色変換部443は、生成した残差データres_xを演算部414に供給する。
【0375】
例えば、上述した「方法1」を適用する場合、逆量子化部441は、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また逆量子化部441は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。逆量子化部441は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。さらに逆量子化部441は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。逆量子化部441は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。
【0376】
逆量子化部441は、取得したそれらのパラメータを用いて、量子化係数データqcoef_xを逆量子化し、直交変換係数データcoeff_xを生成する。
【0377】
例えば、上述した「方法2」を適用する場合、逆量子化部441は、逆量子化部441は、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また逆量子化部441は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。逆量子化部441は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。さらに逆量子化部441は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。逆量子化部441は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。逆量子化部441は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を取得する。
【0378】
逆量子化部441は、取得したそれらのパラメータを用いて、量子化係数データqcoef_xを逆量子化し、直交変換係数データcoeff_xを生成する。
【0379】
例えば、上述した「方法3」を適用する場合、逆量子化部441は、逆量子化部441は、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また逆量子化部441は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。逆量子化部441は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。さらに逆量子化部441は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。逆量子化部441は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。逆量子化部441は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを取得する。
【0380】
逆量子化部441は、取得したそれらのパラメータを用いて、量子化係数データqcoef_xを逆量子化し、直交変換係数データcoeff_xを生成する。
【0381】
例えば、上述した「方法4」を適用する場合、逆量子化部441は、「方法3」を適用する場合において取得するのと同じパラメータを取得する。逆量子化部441は、取得したそれらのパラメータを用いて、量子化係数データqcoef_xを逆量子化し、直交変換係数データcoeff_xを生成する。
【0382】
<逆量子化部の構成例>
図18は、図17の逆量子化部441の主な構成例を示すブロック図である。図18に示されるように、逆量子化部441は、量子化パラメータ補正部451および逆量子化処理部452を有する。
【0383】
量子化パラメータ補正部451は、量子化パラメータの補正に関する処理を実行する。例えば、量子化パラメータ補正部451は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。量子化パラメータ補正部451は、そのコンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを補正して、補正後の量子化パラメータである補正量子化パラメータを逆量子化処理部452に供給する。
【0384】
逆量子化処理部452は、逆量子化に関する処理を実行する。例えば、逆量子化処理部452は、復号部412から供給される量子化係数データqcoef_xを取得する。逆量子化処理部452は、量子化パラメータ補正部451から供給される補正量子化パラメータを取得する。逆量子化処理部452は、その補正量子化パラメータを用いて量子化係数データqcoef_xを逆量子化し、直交変換係数データcoef_xを生成する。逆量子化処理部452は、生成した直交変換係数データcoef_xを逆直交変換部442に供給する。
【0385】
以上のような構成の逆量子化部441において本技術を適用する場合、量子化パラメータ補正部451は、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する。逆量子化処理部452は、量子化パラメータ補正部451により補正された量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、画像の係数データが量子化された量子化係数データを逆量子化する。
【0386】
例えば、上述した「方法1」を適用する場合、量子化パラメータ補正部451として量子化パラメータ補正装置100(図2)を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また、量子化パラメータ補正部451は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。量子化パラメータ補正部451は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。量子化パラメータ補正部451は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。量子化パラメータ補正部451は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。
【0387】
量子化パラメータ補正部451は、そのcu_act_enabled_flag、dqPx、transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、およびQpPrimeTsMinを用いて、第1の実施の形態において説明したような方法で、qPxを補正する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、式(5)または式(6)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。量子化パラメータ補正部451は、生成した第2の補正量子化パラメータqP''を、逆量子化処理部452に供給する。
【0388】
このようにすることにより、量子化パラメータ補正部451は、適応色変換および変換スキップが適用される場合に、逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、逆量子化処理部452がこのように補正された量子化パラメータを用いて量子化係数データを逆量子化することにより、逆量子化部441(逆量子化逆変換部413)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像復号装置400は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0389】
例えば、上述した「方法2」を適用する場合、量子化パラメータ補正部451として量子化パラメータ補正装置100(図2)を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また、量子化パラメータ補正部451は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。量子化パラメータ補正部451は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。量子化パラメータ補正部451は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。量子化パラメータ補正部451は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。量子化パラメータ補正部451は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を取得する。
【0390】
量子化パラメータ補正部451は、そのcu_act_enabled_flag、dqPx、transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、QpPrimeTsMin、および値「0」を用いて、第2の実施の形態において説明したような方法で、qPxを補正する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、式(5)または式(13)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。量子化パラメータ補正部451は、生成した第2の補正量子化パラメータqP''を、逆量子化処理部452に供給する。
【0391】
このようにすることにより、量子化パラメータ補正部451は、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、逆量子化処理部452がこのように補正された量子化パラメータを用いて量子化係数データを逆量子化することにより、逆量子化部441(逆量子化逆変換部413)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像復号装置400は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0392】
例えば、上述した「方法3」を適用する場合、量子化パラメータ補正部451として量子化パラメータ補正装置100(図2)を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPxを取得する。また、量子化パラメータ補正部451は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給されるcu_act_enabled_flagを取得する。量子化パラメータ補正部451は、適応色変換に関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPxを取得する。量子化パラメータ補正部451は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]を取得する。量子化パラメータ補正部451は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinを取得する。量子化パラメータ補正部451は、変換スキップに関するパラメータとして、制御部401から供給される、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを取得する。
【0393】
量子化パラメータ補正部451は、そのcu_act_enabled_flag、dqPx、transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、QpPrimeTsMin、およびQpBdOffsetを用いて、第2の実施の形態において説明したような方法で、qPxを補正する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、式(16)または式(17)のような演算を実行し、第3の補正量子化パラメータqP'''を生成する。量子化パラメータ補正部451は、生成した第3の補正量子化パラメータqP'''を、逆量子化処理部452に供給する。
【0394】
このようにすることにより、変換スキップが適用されか否かによらず、補正後の量子化パラメータの値は、量子化パラメータの最小値乃至最大値の範囲内に収まる。また、変換スキップの場合、さらに、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinにより量子化パラメータの下限がクリップされる。つまり、量子化パラメータ補正部451は、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、逆量子化処理部452がこのように補正された量子化パラメータを用いて量子化係数データを逆量子化することにより、逆量子化部441(逆量子化逆変換部413)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像復号装置400は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0395】
例えば、上述した「方法4」を適用する場合、量子化パラメータ補正部451として量子化パラメータ補正装置160(図8)を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、「方法3」の場合と同様のパラメータを取得する。
【0396】
量子化パラメータ補正部451は、それらのパラメータ(cu_act_enabled_flag、dqPx、transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、QpPrimeTsMin、およびQpBdOffset)を用いて、第4の実施の形態において説明したような方法で、qPxを補正する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、式(18)または式(17)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。量子化パラメータ補正部451は、生成した第2の補正量子化パラメータqP''を、逆量子化処理部452に供給する。
【0397】
つまり、方法4の場合、実質的に方法3の場合と同等の演算が実行され、同等の補正結果が得られる。したがって、この場合も、方法3の場合と同様に、量子化パラメータ補正部451は、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、逆量子化処理部452がこのように補正された量子化パラメータを用いて量子化係数データを逆量子化することにより、逆量子化部441(逆量子化逆変換部413)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像復号装置400は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0398】
本実施の形態において説明した逆量子化逆変換部413への説明は、画像符号化装置300の逆量子化逆変換部316にも適用することができる。ただし、その場合、符号化パラメータの供給元は制御部301である。また、量子化係数データの供給元は変換量子化部313である。さらに、残差データD'の供給先は演算部317である。
【0399】
<画像復号処理の流れ>
次に、以上のような画像復号装置400により実行される各処理の流れについて説明する。最初に、図19のフローチャートを参照して、画像復号処理の流れの例を説明する。
【0400】
画像復号処理が開始されると、蓄積バッファ411は、ステップS401において、画像復号装置400の外部から供給されるビットストリーム(符号化データ)を取得して保持する(蓄積する)。
【0401】
ステップS402において、復号部412は、復号処理を実行する。例えば、復号部412は、そのビットストリームから各種符号化パラメータ(例えば、ヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo等)をパースする(解析して取得する)。制御部401は、その取得した各種符号化パラメータを各種処理部に供給することにより、その各種符号化パラメータを設定する。
【0402】
また、制御部401は、得られた符号化パラメータに基づいて、処理単位を設定する。さらに、復号部412は、制御部401の制御に従って、ビットストリームを復号し、量子化係数データlevelを得る。
【0403】
ステップS403において、逆量子化逆変換部413は、逆量子化逆変換処理を実行し、残差データD'を生成する。逆量子化逆変換処理については後述する。
【0404】
ステップS404において、予測部418は、予測画像を生成する。例えば、予測部418は、ステップS402において設定された符号化パラメータ等に基づいて、符号化側より指定される予測方法で予測処理を実行し、フレームメモリ417に記憶されている参照画像を参照する等して、予測画像Pを生成する。
【0405】
ステップS405において、演算部414は、ステップS403において得られた残差データD'と、ステップS404において得られた予測画像Pとを加算し、局所復号画像Rlocalを導出する。
【0406】
ステップS406において、インループフィルタ部415は、ステップS405の処理により得られた局所復号画像Rlocalに対して、インループフィルタ処理を実行する。
【0407】
ステップS407において、並べ替えバッファ416は、ステップS406の処理によりフィルタ処理された局所復号画像Rlocalを用いて復号画像Rを導出し、その復号画像R群の順序を復号順から再生順に並べ替える。再生順に並べ替えられた復号画像R群は、動画像として画像復号装置400の外部に出力される。
【0408】
また、ステップS408において、フレームメモリ417は、ステップS405の処理により得られた局所復号画像Rlocal、および、ステップS406の処理によりフィルタ処理された局所復号画像Rlocalの内、少なくとも一方を記憶する。
【0409】
ステップS408の処理が終了すると、画像復号処理が終了する。
【0410】
<逆量子化逆変換処理の流れ>
次に、図20のフローチャートを参照して、図19のステップS403において実行される逆量子化逆変換処理の流れの例を説明する。
【0411】
逆量子化逆変換処理が開始されると、逆量子化部441は、ステップS441において、ステップS402(図19)において設定された変換情報Tinfo等を用いて、量子化係数データqcoef_xを逆量子化し、直交変換係数データcoef_xを生成する。この量子化係数データqcoef_xは、図19のステップS402の処理において生成された量子化係数データlevelに対応する。
【0412】
ステップS442において、逆直交変換部442は、ステップS402(図19)において設定された変換情報Tinfo等を用いて、ステップS441において生成された直交変換係数データcoef_xを逆直交変換し、適応色変換係数データres_x'を生成する。
【0413】
ステップS443において、逆適応色変換部443は、ステップS402(図19)において設定されたcu_act_enabled_flagに基づいて、ステップS442において生成された適応色変換係数データres_x'を逆適応色変換し、残差データres_x(残差データD')を生成する。
【0414】
ステップS443の処理が終了すると逆量子化逆変換処理が終了し、処理は図19に戻る。
【0415】
<量子化処理の流れ>
次に、図21のフローチャートを参照して、図20のステップS441において実行される逆量子化処理の流れの例を説明する。
【0416】
逆量子化処理が開始されると、量子化パラメータ補正部451は、ステップS451において、量子化パラメータ補正処理を実行し、量子化パラメータを補正し、補正量子化パラメータを生成する。
【0417】
ステップS452において、逆量子化処理部452は、ステップS451において生成された補正量子化パラメータを用いて、量子化係数データqcoef_xを逆量子化し、直交変換係数データcoef_xを生成する。
【0418】
ステップS452の処理が終了すると、逆量子化処理が終了し、処理は図20に戻る。
【0419】
このような逆量子化処理において、<1.量子化パラメータの補正>、<2.第1の実施の形態>、<3.第2の実施の形態>、<4.第3の実施の形態>、および<5.第4の実施の形態>において上述した本技術を適用し得る。
【0420】
つまり、以上のような逆量子化処理において本技術を適用する場合、ステップS451において、量子化パラメータ補正部451は、量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する。ステップS452において、逆量子化処理部452は、その補正された量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、画像の係数データが量子化された量子化係数データを逆量子化する。
【0421】
例えば、上述した「方法1」を適用する場合、量子化パラメータ補正部451は、ステップS351の量子化パラメータ補正処理として、図3のフローチャートを参照して説明した量子化パラメータ補正処理を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、式(5)または式(6)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。
【0422】
このようにすることにより、量子化パラメータ補正部451は、適応色変換および変換スキップが適用される場合に、逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、逆量子化処理部452がこのように補正された量子化パラメータを用いて量子化係数データを逆量子化することにより、逆量子化部441(逆量子化逆変換部413)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像復号装置400は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0423】
例えば、上述した「方法2」を適用する場合、量子化パラメータ補正部451は、ステップS351の量子化パラメータ補正処理として、図5のフローチャートを参照して説明した量子化パラメータ補正処理を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、式(5)または式(13)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。
【0424】
このようにすることにより、量子化パラメータ補正部451は、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、逆量子化処理部452がこのように補正された量子化パラメータを用いて量子化係数データを逆量子化することにより、逆量子化部441(逆量子化逆変換部413)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像復号装置400は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0425】
例えば、上述した「方法3」を適用する場合、量子化パラメータ補正部451は、ステップS351の量子化パラメータ補正処理として、図7のフローチャートを参照して説明した量子化パラメータ補正処理を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、式(16)または式(17)のような演算を実行し、第3の補正量子化パラメータqP'''を生成する。
【0426】
このようにすることにより、変換スキップが適用されか否かによらず、補正後の量子化パラメータの値は、量子化パラメータの最小値乃至最大値の範囲内に収まる。また、変換スキップの場合、さらに、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMinにより量子化パラメータの下限がクリップされる。つまり、量子化パラメータ補正部451は、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、逆量子化処理部452がこのように補正された量子化パラメータを用いて量子化係数データを逆量子化することにより、逆量子化部441(逆量子化逆変換部413)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像復号装置400は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0427】
例えば、上述した「方法4」を適用する場合、量子化パラメータ補正部451は、ステップS351の量子化パラメータ補正処理として、図9のフローチャートを参照して説明した量子化パラメータ補正処理を適用する。つまり、量子化パラメータ補正部451は、式(18)または式(17)のような演算を実行し、第2の補正量子化パラメータqP''を生成する。
【0428】
つまり、方法4の場合、実質的に方法3の場合と同等の演算が行われ、同等の補正結果が得られる。したがって、この場合も、方法3の場合と同様に、変換スキップが適用されか否かによらず、適応色変換が適用される場合に、逆量子化において量子化ステップサイズΔ<1とならないように、量子化パラメータを補正することができる。したがって、逆量子化処理部452がこのように補正された量子化パラメータを用いて量子化係数データを逆量子化することにより、逆量子化部441(逆量子化逆変換部413)は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像復号装置400は、符号化効率の低減を抑制することができる。
【0429】
<復号>
なお、図19のステップS402において、復号部412が、各種符号化パラメータ(ヘッダ情報Hinfo、予測モード情報Pinfo、変換情報Tinfo)を復号する。したがって、本技術を適用する場合、復号部412は、量子化パラメータの補正に適用される上述した各種パラメータを復号する。例えば、「方法1」が適用される場合、復号部412は、コンポーネント識別子cIdxに対応するCUレベルの量子化パラメータqPx、cu_act_enabled_flag、コンポーネント識別子cIdxに対応する補正量dqPx、コンポーネント識別子cIdxに対応するtransform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx]、変換スキップの際の量子化パラメータの最小値QpPrimeTsMin等のパラメータを復号する。また、「方法2」が適用される場合、符号化部314は、「方法1」が適用される場合に符号化するパラメータに加え、非変換スキップの際の量子化パラメータの最小値「0」を復号する。さらに、「方法3」または「方法4」が適用される場合、符号化部314は、「方法1」が適用される場合に符号化するパラメータに加え、ビット深度に対応する補正量QpBdOffsetを復号する。
【0430】
このようにすることにより、画像復号装置400は、シグナリングされたこれらの情報を得ることができる。したがって、画像復号装置400は、PSNRの低減を抑制することができる。したがって、画像復号装置400は、符号化効率の低減の抑制を実現することができる。
【0431】
本実施の形態において説明した逆量子化逆変換処理(図19のステップS403、図20)についての説明は、画像符号化処理(図13)において実行される逆量子化逆変換処理(ステップS307)にも適用することができる。
【0432】
<8.付記>
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
【0433】
図22は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0434】
図22に示されるコンピュータ800において、CPU(Central Processing Unit)801、ROM(Read Only Memory)802、RAM(Random Access Memory)803は、バス804を介して相互に接続されている。
【0435】
バス804にはまた、入出力インタフェース810も接続されている。入出力インタフェース810には、入力部811、出力部812、記憶部813、通信部814、およびドライブ815が接続されている。
【0436】
入力部811は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部812は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部813は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部814は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ815は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア821を駆動する。
【0437】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU801が、例えば、記憶部813に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース810およびバス804を介して、RAM803にロードして実行することにより、上述した一連の処理が実行される。RAM803にはまた、CPU801が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0438】
コンピュータが実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア821に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア821をドライブ815に装着することにより、入出力インタフェース810を介して、記憶部813にインストールすることができる。
【0439】
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部814で受信し、記憶部813にインストールすることができる。
【0440】
その他、このプログラムは、ROM802や記憶部813に、あらかじめインストールしておくこともできる。
【0441】
<本技術の適用対象>
本技術は、任意の画像符号化方式や復号方式に適用することができる。つまり、上述した本技術と矛盾しない限り、変換(逆変換)、量子化(逆量子化)、符号化(復号)、予測等、画像符号化・復号に関する各種処理の仕様は任意であり、上述した例に限定されない。また、上述した本技術と矛盾しない限り、これらの処理の内の一部を省略してもよい。
【0442】
また本技術は、複数の視点(ビュー(view))の画像を含む多視点画像を符号化する多視点画像符号化システムに適用することができる。また本技術は、複数の視点(ビュー(view))の画像を含む多視点画像の符号化データを復号する多視点画像復号システムに適用することができる。その場合、各視点(ビュー(view))の符号化や復号において、本技術を適用するようにすればよい。
【0443】
さらに本技術は、所定のパラメータについてスケーラビリティ(scalability)機能を有するように複数レイヤ化(階層化)された階層画像を符号化する階層画像符号化(スケーラブル符号化)システムに適用することができる。また、本技術は、所定のパラメータについてスケーラビリティ(scalability)機能を有するように複数レイヤ化(階層化)された階層画像の符号化データを復号する階層画像復号(スケーラブル復号)システムに適用することができる。その場合、各階層(レイヤ)の符号化や復号において、本技術を適用するようにすればよい。
【0444】
また、以上においては、本技術の適用例として、量子化パラメータ補正装置100、量子化パラメータ補正装置120、量子化パラメータ補正装置140、量子化パラメータ補正装置160、画像符号化装置300、および画像復号装置400について説明したが、本技術は、任意の構成に適用することができる。
【0445】
例えば、本技術は、衛星放送、ケーブルTVなどの有線放送、インターネット上での配信、およびセルラー通信による端末への配信などにおける送信機や受信機(例えばテレビジョン受像機や携帯電話機)、または、光ディスク、磁気ディスクおよびフラッシュメモリなどの媒体に画像を記録したり、これら記憶媒体から画像を再生したりする装置(例えばハードディスクレコーダやカメラ)などの、様々な電子機器に応用され得る。
【0446】
また、例えば、本技術は、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ(例えばビデオプロセッサ)、複数のプロセッサ等を用いるモジュール(例えばビデオモジュール)、複数のモジュール等を用いるユニット(例えばビデオユニット)、または、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット(例えばビデオセット)等、装置の一部の構成として実施することもできる。
【0447】
また、例えば、本技術は、複数の装置により構成されるネットワークシステムにも適用することもできる。例えば、本技術を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングとして実施するようにしてもよい。例えば、コンピュータ、AV(Audio Visual)機器、携帯型情報処理端末、IoT(Internet of Things)デバイス等の任意の端末に対して、画像(動画像)に関するサービスを提供するクラウドサービスにおいて本技術を実施するようにしてもよい。
【0448】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、および、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0449】
<本技術を適用可能な分野や用途>
本技術を適用したシステム、装置、処理部等は、例えば、交通、医療、防犯、農業、畜産業、鉱業、美容、工場、家電、気象、自然監視等、任意の分野に利用することができる。また、その用途も任意である。
【0450】
例えば、本技術は、観賞用コンテンツ等の提供の用に供されるシステムやデバイスに適用することができる。また、例えば、本技術は、交通状況の監理や自動運転制御等、交通の用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、セキュリティの用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。また、例えば、本技術は、機械等の自動制御の用に供されるシステムやデバイスに適用することができる。さらに、例えば、本技術は、農業や畜産業の用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。また、本技術は、例えば火山、森林、海洋等の自然の状態や野生生物等を監視するシステムやデバイスにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、スポーツの用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。
【0451】
<その他>
なお、本明細書において「フラグ」とは、複数の状態を識別するための情報であり、真(1)または偽(0)の2状態を識別する際に用いる情報だけでなく、3以上の状態を識別することが可能な情報も含まれる。したがって、この「フラグ」が取り得る値は、例えば1/0の2値であってもよいし、3値以上であってもよい。すなわち、この「フラグ」を構成するbit数は任意であり、1bitでも複数bitでもよい。また、識別情報(フラグも含む)は、その識別情報をビットストリームに含める形だけでなく、ある基準となる情報に対する識別情報の差分情報をビットストリームに含める形も想定されるため、本明細書においては、「フラグ」や「識別情報」は、その情報だけではなく、基準となる情報に対する差分情報も包含する。
【0452】
また、符号化データ(ビットストリーム)に関する各種情報(メタデータ等)は、符号化データに関連づけられていれば、どのような形態で伝送または記録されるようにしてもよい。ここで、「関連付ける」という用語は、例えば、一方のデータを処理する際に他方のデータを利用し得る(リンクさせ得る)ようにすることを意味する。つまり、互いに関連付けられたデータは、1つのデータとしてまとめられてもよいし、それぞれ個別のデータとしてもよい。例えば、符号化データ(画像)に関連付けられた情報は、その符号化データ(画像)とは別の伝送路上で伝送されるようにしてもよい。また、例えば、符号化データ(画像)に関連付けられた情報は、その符号化データ(画像)とは別の記録媒体(または同一の記録媒体の別の記録エリア)に記録されるようにしてもよい。なお、この「関連付け」は、データ全体でなく、データの一部であってもよい。例えば、画像とその画像に対応する情報とが、複数フレーム、1フレーム、またはフレーム内の一部分などの任意の単位で互いに関連付けられるようにしてもよい。
【0453】
なお、本明細書において、「合成する」、「多重化する」、「付加する」、「一体化する」、「含める」、「格納する」、「入れ込む」、「差し込む」、「挿入する」等の用語は、例えば符号化データとメタデータとを1つのデータにまとめるといった、複数の物を1つにまとめることを意味し、上述の「関連付ける」の1つの方法を意味する。
【0454】
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0455】
例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
【0456】
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行されるようにしてもよい。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
【0457】
また、例えば、1つのフローチャートの各ステップを、1つの装置が実行するようにしてもよいし、複数の装置が分担して実行するようにしてもよい。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合、その複数の処理を、1つの装置が実行するようにしてもよいし、複数の装置が分担して実行するようにしてもよい。換言するに、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
【0458】
また、コンピュータが実行するプログラムは、以下のような特徴を有していてもよい。例えば、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしてもよい。また、プログラムを記述するステップの処理が並列に実行されるようにしてもよい。さらに、プログラムを記述するステップの処理が、呼び出されとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしてもよい。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。また、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしてもよい。
【0459】
また、例えば、本技術に関する複数の技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施の形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
【0460】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する量子化パラメータ補正部と、
前記量子化パラメータ補正部により補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、符号化対象の画像の係数データを量子化する量子化部と
を備える画像処理装置。
(2) 前記量子化パラメータ補正部は、前記適応色変換を適用する場合、処理対象コンポーネントに応じた補正量で前記量子化パラメータを補正する
(1)に記載の画像処理装置。
(3) 前記適応色変換を適用しない場合、前記補正量は「0」である
(2)に記載の画像処理装置。
(4) 前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用する場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された、前記変換スキップを適用する場合の前記量子化パラメータの最小値でクリップする
(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(5) 前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限のクリップを省略する
(4)に記載の画像処理装置。
(6) 前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された前記量子化パラメータの最小値でクリップする
(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7) 前記量子化パラメータの最小値は「0」である
(6)に記載の画像処理装置。
(8) 前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用する場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された、前記変換スキップを適用する場合の前記量子化パラメータの最小値でクリップし、かつ、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの上限を、予め設定された、前記量子化パラメータの最大値とビット深度に基づく補正量との和でクリップする
(1)乃至(7)のいずれかに記載の画像処理装置。
(9) 前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された前記量子化パラメータの最小値でクリップし、かつ、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの上限を、予め設定された、前記量子化パラメータの最大値とビット深度に基づく補正量との和でクリップする
(8)に記載の画像処理装置。
(10) 量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正し、
補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、符号化対象の画像の係数データを量子化する
画像処理方法。
【0461】
(11) 量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正する量子化パラメータ補正部と、
前記量子化パラメータ補正部により補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、画像の係数データが量子化された量子化係数データを逆量子化する逆量子化部と
を備える画像処理装置。
(12) 前記量子化パラメータ補正部は、前記適応色変換を適用する場合、処理対象コンポーネントに応じた補正量で前記量子化パラメータを補正する
(11)に記載の画像処理装置。
(13) 前記適応色変換を適用しない場合、前記補正量は「0」である
(12)に記載の画像処理装置。
(14) 前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用する場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された、前記変換スキップを適用する場合の前記量子化パラメータの最小値でクリップする
(11)乃至(13)のいずれかに記載の画像処理装置。
(15) 前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限のクリップを省略する
(14)に記載の画像処理装置。
(16) 前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された前記量子化パラメータの最小値でクリップする
(11)乃至(15)のいずれかに記載の画像処理装置。
(17) 前記量子化パラメータの最小値は「0」である
(16)に記載の画像処理装置。
(18) 前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用する場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された、前記変換スキップを適用する場合の前記量子化パラメータの最小値でクリップし、かつ、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの上限を、予め設定された、前記量子化パラメータの最大値とビット深度に基づく補正量との和でクリップする
(11)乃至(17)のいずれかに記載の画像処理装置。
(19) 前記量子化パラメータ補正部は、前記変換スキップを適用しない場合、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの下限を、予め設定された前記量子化パラメータの最小値でクリップし、かつ、前記適応色変換に関するパラメータに基づいて補正された前記量子化パラメータの上限を、予め設定された、前記量子化パラメータの最大値とビット深度に基づく補正量との和でクリップする
(18)に記載の画像処理装置。
(20) 量子化パラメータを、適応色変換に関するパラメータに基づいて補正し、さらに、変換スキップに関するパラメータに基づいて補正し、
補正された前記量子化パラメータである補正量子化パラメータを用いて、画像の係数データが量子化された量子化係数データを逆量子化する
画像処理方法。
【符号の説明】
【0462】
100 量子化パラメータ補正装置, 101 第1補正部, 102 第2補正部, 120 量子化パラメータ補正装置, 121 第1補正部, 122 第2補正部, 140 量子化パラメータ補正装置, 141 第1補正部, 142 第2補正部, 143 第3補正部, 160 量子化パラメータ補正装置, 161 第1補正部, 162 第2補正部, 300 画像符号化装置, 301 制御部, 313 変換量子化部, 314 符号化部, 341 適応色変換部, 342 直交変換部, 343 量子化部, 351 量子化パラメータ補正部, 352 量子化処理部, 400 画像復号装置, 401 制御部, 412 復号部, 413 逆量子化逆変換部, 441 逆量子化部, 442 逆直交変換部, 443 逆適応色変換部, 451 量子化パラメータ補正部, 452 逆量子化処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22