(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ペダル装置及び電子鍵盤楽器
(51)【国際特許分類】
G10H 1/32 20060101AFI20240709BHJP
G10C 3/14 20190101ALI20240709BHJP
G10C 3/26 20190101ALI20240709BHJP
【FI】
G10H1/32 A
G10C3/14
G10C3/26 100
(21)【出願番号】P 2022066716
(22)【出願日】2022-04-14
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池本 博
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-087108(JP,A)
【文献】特開2016-202945(JP,A)
【文献】特開2020-056978(JP,A)
【文献】特開2011-180511(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0156903(US,A1)
【文献】米国特許第06460429(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00-1/46
G10B 1/00-3/24
G10C 1/00-3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動可能に支持されるペダルと、
基板に設けられ、前記ペダルに連動して回動可能な回転軸を備えるロータリボリュームと、
前記ロータリボリュームにおける前記回転軸周りの非回転部及び前記基板に係合する係合部材と、
前記ロータリボリュームを覆うカバー部材と、
を有
し、
前記カバー部材は、前記係合部材の当接部と当接することで前記係合部材における前記回転軸の軸方向への移動を規制する第1規制部を備えて前記基板に設けられるペダル装置。
【請求項2】
前記回転軸の回転量に応じて、前記ペダルの踏み込み量を導出するプロセッサを備える、請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記ロータリボリュームにおけるロータリボリューム本体部、前記非回転部及び前記回転軸の基部側の一部を覆う、請求項1に記載のペダル装置。
【請求項4】
前記係合部材は、前記回転軸の軸方向に貫通する支持孔部を有し、
前記支持孔部には、前記非回転部が挿入される、
請求項1に記載のペダル装置。
【請求項5】
前記カバー部材は、矩形箱状部と、円弧状部が連接して設けられ、
前記矩形箱状部は、前記ロータリボリュームにおけるロータリボリューム本体部を覆い、
前記円弧状部は、前記係合部材を覆う、請求項1に記載のペダル装置。
【請求項6】
前記カバー部材は、下方が開放されるカバー本体部と、前記カバー本体部の下端部から前記回転軸の軸方向へ延設される枠状部とを有する、請求項1に記載のペダル装置。
【請求項7】
前記回転軸には、前記ペダルのアーム部と係合するカム部を備えるカム部材が設けられ、
前記枠状部内には、前記カム部材が収まるように配置され、
前記枠状部は、前記カム部材における前記回転軸の軸方向への移動を規制する第2規制部を備える、請求項6に記載のペダル装置。
【請求項8】
一方の脚部が前記カム部材に係止し、他方の脚部が前記枠状部に係止するねじりコイルばねを有する、請求項7に記載のペダル装置。
【請求項9】
請求項1-8のいずれか一項に記載のペダル装置を備えた電子鍵盤楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダル装置及び電子鍵盤楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ペダルの踏み込み量を検出するロータリボリューム等のセンサを備えたペダル装置が開示されている。特許文献1には、ペダルの踏み込み操作により、ペダルの伝達部を介してセンサのレバー部が押圧されて、ペダルの踏み込み量が検出されるセンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転軸を備えるセンサであるロータリボリュームは、当該回転軸の軸心が水平方向となるよう配置され、この回転軸にレバーが設けられている。この回転軸は、ペダルの踏み込み操作により、レバーが押圧されて回転する。ここで、ロータリボリュームの取付位置が装置毎に異なると、装置毎にペダルの踏み込み量の検出値が異なることがある。すると、装置毎にペダルの操作感覚が異なってしまうことがある。
【0005】
本発明は、装置毎の操作感覚を均一としたペダル装置及び電子鍵盤楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るペダル装置は、回動可能に支持されるペダルと、基板に設けられ、前記ペダルに連動して回動可能な回転軸を備えるロータリボリュームと、前記ロータリボリュームにおける前記回転軸周りの非回転部及び前記基板に係合する係合部材と、前記ロータリボリュームを覆うカバー部材と、を有し、前記カバー部材は、前記係合部材の当接部と当接することで前記係合部材における前記回転軸の軸方向への移動を規制する第1規制部を備えて前記基板に設けられる。
【0007】
本発明に係る電子鍵盤楽器は、上述のペダル装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置毎の操作感覚を均一としたペダル装置及び電子鍵盤楽器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るペダル装置を備える電子鍵盤楽器の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るペダル装置のペダルケースの一部を断面とした斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るペダル装置のペダルケースと前板金部材を省略して示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るペダル装置の
図2のIV-IV断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るペダル装置のセンサユニットと基板を示す、右方から見た分解斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るペダル装置のセンサユニットと基板を示す、左方から見た分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るペダル装置のセンサユニットを右方から見た側面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るペダル装置の
図7のVIII-VIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1に示す電子鍵盤楽器10は、基板やスピーカ等が内部に設けられる楽器ケース14を備える。楽器ケース14には、複数の白鍵11と黒鍵12を備えるフルサイズ(88鍵)の鍵盤13が設けられている。楽器ケース14(電子鍵盤楽器10)の下面には、4本の脚21を備える脚部20が接続されている。電子鍵盤楽器10は、脚部20により支持されている。なお、以下の説明においては、鍵盤13の手前側を前側、その反対側を後側とし、鍵盤13に向かって左側を左、右側を右とし、鍵盤側を上、脚部20側を下として説明する。
【0011】
電子鍵盤楽器10の左側の2本の脚21と右側の2本の脚21との間には、左右それぞれに接続杆51が設けられている。各接続杆51は、図示しないが、上端部を電子鍵盤楽器10の後面と接続し、下方に延びるようにして設けられる。左右の各接続杆51は、ペダル装置50の左右にそれぞれ接続されている。電子鍵盤楽器10に設けられるペダル装置50は、ペダル52を踏み込むことにより、電子鍵盤楽器10にダンパー効果の付与等の種々の操作を行うことができる。ペダル装置50には、基板161やセンサユニット160、軸受部153等(後述)を覆うペダルケース53が設けられている。
【0012】
ペダルケース53は、前後面、上面及び左右側面を備えて下面側が開口する左右方向に長い略長矩形箱状に設けられている。ペダルケース53には、3つの開口部53aが設けられている。また、ペダル装置50には、左側、右側及び中央に3つ並んだペダル52(右ペダル52a、左ペダル52b、中ペダル52c)が設けられている。各ペダル52は、ペダルケース53における対応する各開口部53aを介して前方(外方)に突出して回動可能に設けられている。
【0013】
図2及び
図3に示すように、ペダル装置50には、下ベース部材100が設けられている。下ベース部材100は、左右方向に長い平板状の下ベース部材本体部101と、各ペダル52に対応して下ベース部材本体部101から前方に向けて延在する3つのペダル対応部102が設けられている。左側と右側のペダル対応部102には、設置面に当接するよう調整可能なように、各ペダル対応部102に螺合接続されている調整部材103が設けられている。中央のペダル対応部102には、設置面に対向するパッド104が設けられている。
図4に示すように、調整部材103及びパッド104に対向する各ペダル対応部102の上面には、ペダル52の下面と当接してペダル52の下限位置を規制するクッション部材105が設けられている。クッション部材105は、例えばフェルト材を用いることができる。
【0014】
図2及び
図3に示すように、下ベース部材100の下ベース部材本体部101の下面には、断面L字状(
図4参照)の下板金部材110が設けられている。下板金部材110は、左右両端部において立設する固定部111を備える。各固定部111は、ねじ部材により、左右の各接続杆51の端部と固定されている。
【0015】
下ベース部材100の下ベース部材本体部101の上面には、上板金部材120が設けられている。
図4に示すように、上板金部材120は、下ベース部材本体部101に平板状に配置される下板部121と、平板状の上板部123と、垂直方向に立設するようにして下板部121と上板部123を接続する接続板122とを有する。
【0016】
図2に示すように、ペダル装置50には、下板部121の上面から立設するように、上下端部が後方に向けて折り曲げられた前板金部材130が設けられている。
図4に示すように、前板金部材130は、下側の板部を下板部121及び下ベース部材本体部101とねじ部材により共締めして固定されている。前板金部材130の上側の板部は、ペダルケース53の上板部の下面に固定されている。
図2に戻り、前板金部材130には、各ペダル52に対応して開口し、下方側が開放された形状とされる開口部131が設けられている。各開口部131の周縁部には、リブ132が設けられている。なお、
図2では、右ペダル52aに対応する開口部131(リブ132)のみ示している。
【0017】
図2及び
図3に示すように、各ペダル52の基端部側における上面側には、規制部材140が設けられている。規制部材140は、第1規制部141と、第2規制部142を有する。第1規制部141は、ペダル52の上面を覆うように、ペダル52の基端部側に傾斜する傾斜面を備えて設けられている。第2規制部142は、第1規制部141と接続して第1規制部141の上方に配置され、基端部側に傾斜する傾斜面を備えて設けられている。規制部材140により、開口部53aを介して指等が進入してしまうことが低減されている。
【0018】
図3に示すように、第2規制部142の後方における、規制部材140の上面には、長矩形板状のクッション部材143が設けられている。クッション部材143は、例えばフェルト材を用いることができる。クッション部材143は、前板金部材130の開口部131(リブ132)の上側の部分と当接し、後述のコイルばね54により上方に付勢されるペダル52の上限位置を規制する。また、規制部材140には、後述のセンサユニット160側に突出し、センサユニット160のカム部材164と係合するアーム部144が設けられている(
図4も参照)。アーム部144の下面には、屈曲した平面部からなるカム面144aが設けられている(
図4参照)。
【0019】
下ベース部材100の上方には、上板金部材120を介して上ベース部材150が設けられている。上ベース部材150には、下ベース部材100の各ペダル対応部102の基端部上方に対応して、ばね保持部151が設けられている。ばね保持部151は、筒状に設けられて、内部にコイルばね54が配置されている。コイルばね54は、ばね保持部151の底面で下端が支持されている。コイルばね54の上端は、ペダル52の下面に設けられるばね受部材(不図示)と接続する。ペダル52は、コイルばね54により、上方に付勢されている。
【0020】
上ベース部材150の各ばね保持部151の基端部は、上ベース部材本体部152と接続している。上ベース部材本体部152は、左右方向に長い板状に設けられている。上ベース部材本体部152の上面には、各ペダル52の基端部に設けられる回動軸55を回動自在に支持する軸受部153が、各ペダル52に対応して設けられている。また、上ベース部材本体部152の上面は左右方向に長い凹部152aとされている。凹部152aには、基板161が設けられている。基板161の上面には、センサユニット160が設けられている。センサユニット160は、後述するが、カム部材164のカム部164aが、規制部材140のアーム部144のカム面144aと当接して係合し、ペダル52とロータリボリューム162の回転軸162bが連動している。
【0021】
図5及び
図6に示すように、センサユニット160は、ロータリボリューム162と、係合部材163と、カム部材164と、カバー部材165と、ねじりコイルばね166とを有する。ロータリボリューム162は、可変抵抗器を用いたロータリボリュームや、回転軸162bの回転角度を出力するロータリエンコーダを備えたロータリボリュームを用いることができる。ロータリボリューム162は、略矩形箱状の本体部162aの下面から3本の端子162a1が突出して設けられている。端子162a1は、基板161の端子用孔部161aに差し込まれ、はんだ付けされる。また、ロータリボリューム162は、回転軸162bを備える。ペダル装置50は、基板161等に、回転軸162bの回転量に応じてペダル52の踏み込み量を導出するプロセッサ(不図示)を備える。回転軸162bには、面削ぎ部162b1が設けられている。回転軸162bの面削ぎ部162b1が設けられる部分は、断面視D字状に設けられている。ロータリボリューム162の回転軸162bの基端部周りには、略円筒状の非回転部162cが設けられている。非回転部162cは、本体部162aに固定される部位であり、回転軸162bと共に回転することはない。
【0022】
係合部材163は、上側を半円弧状とし、下面は略平坦面状とする矩形ブロック状とされ、ロータリボリューム162の回転軸162bの軸方向に貫通する支持孔部163aが設けられている。係合部材163のロータリボリューム162側は、鍔部163b(当接部)が設けられている。また、係合部材163の下面には、下方に突出するボス163cが設けられている。係合部材163の支持孔部163aには、ロータリボリューム162の非回転部162cが、支持孔部163aの内周面に非回転部162cの外周面が摺接するように挿入されている。また、係合部材163のボス163cは、基板161の孔部161bに軽圧入にて挿入されている。そして、平坦な下面である当接面163dは、基板161の上面に当接する。このようにして、係合部材163は、ロータリボリューム162の非回転部162cと基板161に係合している。
【0023】
カム部材164は、略円筒状の取付部164bと、取付部164bから径外方向に突出して設けられるカム部164aとを有する。カム部164aは、取付部164bの軸方向略中央位置に設けられている。カム部164aの先端部は、軸方向における左側に突出する凸円弧状のカム面164a1が設けられている。カム面164a1が突出する側における取付部164bの外周は、ばね配置部164b1とされて、ねじりコイルばね166が配置されている。取付部164bの左端の下部には、径外方向に突出する突起164cが設けられている。
【0024】
カム部材164は、ロータリボリューム162の回転軸162bに取り付けられている。
図7及び
図8に示すように、カム部材164の取付部164bは、取付部164bの内周面に突出する位置合わせ部164b2により、略円筒状の内部の軸方向略中央部がD字状の孔とされる。従って、カム部材164は、位置合わせ部164b2が回転軸162bの面削ぎ部162b1に当接するようにして回転軸162bに取り付けられる。このようにして、カム部材164は、回転軸162bに対する相対的な回転が規制され、回転軸162bに固定されている。
【0025】
図5及び
図6に示すように、カバー部材165は、下方が開放されるカバー本体部165aと、カバー本体部165aの下端部から左方に延設される枠状の枠状部165bとを有する。カバー本体部165aは、矩形箱状部165a1と、円弧状部165a2が連接して設けられている。カバー本体部165aの外側及び枠状部165bの外側には、それぞれボルト孔165c1,165c2が設けられている。
【0026】
カバー部材165は、ボルト孔165c1,165c2を介して基板161のボルト孔161c,161dにねじ止めされ固定される。ここで、
図8に示すように、ボルト孔165c1,165c2の内側近傍の下面には、ボス165d1,165d2が設けられている。そして、ボス165d1は孔部161eに軽圧入され、ボス165d2は、ボルト孔161dと連通しているやや長い孔部161fに、ボス165d2の径方向を軽圧入され挿入される。
【0027】
カバー部材165は、ロータリボリューム162の大部分(本体部162a、非回転部162c及び回転軸162bの基部側の一部)を覆っている。換言すれば、カバー本体部165aは、概略すると、矩形箱状部165a1によりロータリボリューム162の本体部162aを覆い、円弧状部165a2で係合部材163を覆っている。
【0028】
ここで、矩形箱状部165a1と円弧状部165a2の略境界部分における矩形箱状部165a1の上部内面には、溝状の第1規制部165dが設けられている。第1規制部165dには、係合部材163の鍔部163bの上部分が配置されている。第1規制部165dの左側(
図8における右側)側壁面は、鍔部163bと対向している。第1規制部165dの側壁面と鍔部163bとが当接することにより、係合部材163は、回転軸162bの軸方向先端側への移動が規制されている。
【0029】
また、枠状部165b内には、カム部材164が収まるように配置されている。カム部材164の突起164cは、カバー部材165の枠状部165bにおける左側の内壁面とされる第2規制部165eと対向している。第2規制部165eが突起164cの端面と当接することで、カム部材164は、回転軸162bの軸方向先端側への移動が規制されている。
【0030】
カム部材164のばね配置部164b1に設けられるねじりコイルばね166の一方(上側)の脚部166aは、カム面164a1が形成される部位において切欠きにて設けられるばね係止部164dに係止される。ねじりコイルばね166の他方(下側)の脚部166bは、カバー部材165の枠状部165bの前側に設けられる切欠きにて設けられるばね係止部165fに係止される。
図7に示すように、カム部材164は、ねじりコイルばね166により、ロータリボリューム162の回転軸162bと共に、回転軸162bの先端側から見て反時計回り(換言すれば、上方)に付勢されている。従って、カム部材164のカム部164a(カム面164a1)は、常に、ペダル52の上面に固定される規制部材140のアーム部144の下面とされるカム面144aに当接して係合している。従って、カム部材164は、ロータリボリューム162の回転軸162bと共にペダル52の踏み込みに応じて回転し、ロータリボリューム162によりペダル52の踏み込み量が検出される。
【0031】
センサユニット160における基板161への取付は、先ず、ロータリボリューム162に、回転軸162bの先端側から係合部材163を取り付けて支持孔部163aと非回転部162cを係合させる。次に、ロータリボリューム162の回転軸162bにカム部材164を取り付ける。その後、カバー部材165を、ロータリボリューム162、係合部材163、カム部材164が組み立てられた状態のものに取り付ける。そして、ねじりコイルばね166を取り付けてセンサユニット160を組み立てる。その後、組み立てたセンサユニット160を基板161に取り付ける。
【0032】
ペダル装置50では、センサユニット160は、各ペダル52に対応して設けられている。例えば、センサユニット160は、実際のピアノのようにダンパー効果を付与するため右ペダル52aのみに対応して設けてもよいが、左ペダル52bや中ペダル52cにもセンサユニット160を設けることで、単なるペダル52の踏み込んだか否かのON/OFFのみではなく、実際のピアノには無い機能(ペダル52の踏み込み量に応じた効果を発揮する機能)を実現することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態では、ペダル装置50は、回動可能に支持されるペダル52と、基板161に設けられ、ペダル52に連動して回動可能な回転軸162bを備えるロータリボリューム162と、ロータリボリューム162における回転軸162b周りの非回転部162c及び基板161に係合する係合部材163と、を有する。
【0034】
これにより、ロータリボリューム162が、基板に対して固定される係合部材163により支持されているので、ロータリボリューム162の回転軸162bを確実に位置決めすることができる。特に、回転軸162bの傾きが、係合部材163により規制される。よって、ペダル装置50の装置毎の回転軸162bの取付位置が略均一となるので、装置毎のペダル52の操作感覚も均一とすることができる。
【0035】
また、ペダル装置50は、回転軸162bの回転量に応じて、ペダル52の踏み込み量を導出するプロセッサを備える。これにより、ペダル52を踏み込んだ踏み込み量に応じたダンパー等の効果を付与することができる。
【0036】
また、係合部材163は、基板161に挿入可能なボス163cを有する。これにより、簡易な構造で、係合部材163を基板161に固定することができる。
【0037】
また、係合部材163は、基板161に当接する当接面163dを有する。これにより、係合部材163と非回転部162cとの係合を確実なものとして、回転軸162bの位置決めをすることができる。
【0038】
また、係合部材163は、回転軸162bの軸方向に貫通する支持孔部163aを有し、支持孔部163aには、非回転部162cが挿入される。これにより、円筒状の非回転部162cの外周を係合部材163で確実に支持することができるので、より精度よく、回転軸162bの位置決めを行うことができる。
【0039】
また、カバー部材165は、係合部材163の鍔部163bとされる当接部と当接することで係合部材163の移動を規制する第1規制部165dを備えて基板161に設けられ、ロータリボリューム162を覆う。これにより、ペダル装置50が衝撃を受けても、係合部材163が回転軸162bの先端側に移動してしまうことが低減されるので、さらに安定して、継続的に回転軸162bの位置決めがなされる。
【0040】
また、回転軸162bには、ペダル52のアーム部144と係合するカム部164aを備えるカム部材164が設けられ、カバー部材165は、カム部材164の移動を規制する第2規制部165eを有する。これにより、ペダル装置50が衝撃を受けても、ペダル52の踏み込みに応じて回転軸162bを回転させるカム部材164が、回転軸162bの先端側に移動してしまうことが低減される。
【0041】
また、ペダル装置50には、一方の脚部166aがカム部材164に係止し、他方の脚部166bがカバー部材165に係止するねじりコイルばね166を有する。これにより、カム部材164のカム部164a(カム面164a1)を確実にアーム部144のカム面144aに当接させることができるので、精度良くペダル52の踏み込み量を検出することができる。
【0042】
また、電子鍵盤楽器10は、ペダル装置50を有する。これにより、装置毎のペダル52の操作感覚を均一とした電子鍵盤楽器10を提供することができる。なお、ペダル装置50は、本実施形態においては電子鍵盤楽器10に設けたが、他の楽器や電子楽器にも設けることができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0044】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]回動可能に支持されるペダルと、
基板に設けられ、前記ペダルに連動して回動可能な回転軸を備えるロータリボリュームと、
前記ロータリボリュームにおける前記回転軸周りの非回転部及び前記基板に係合する係合部材と、
を有するペダル装置。
[2]前記回転軸の回転量に応じて、前記ペダルの踏み込み量を導出するプロセッサを備える、前記[1]に記載のペダル装置。
[3]前記係合部材は、前記基板に挿入可能なボスを有する、前記[1]又は前記[2]に記載のペダル装置。
[4]前記係合部材は、前記基板に当接する当接面を有する、前記[3]に記載のペダル装置。
[5]前記係合部材は、前記回転軸の軸方向に貫通する支持孔部を有し、
前記支持孔部には、前記非回転部が挿入される、前記[4]に記載のペダル装置。
[6]前記係合部材の当接部と当接することで前記係合部材における前記回転軸の軸方向への移動を規制する第1規制部を備えて前記基板に設けられる前記ロータリボリュームを覆うカバー部材を有する、前記[5]に記載のペダル装置。
[7]前記回転軸には、前記ペダルのアーム部と係合するカム部を備えるカム部材が設けられ、
前記カム部材における前記回転軸の軸方向への移動を規制する第2規制部を備える枠状部を有する、前記[6]に記載のペダル装置。
[8]一方の脚部が前記カム部材に係止し、他方の脚部が前記枠状部に係止するねじりコイルばねを有する、前記[7]に記載のペダル装置。
[9]前記[8]に記載のペダル装置を備えた電子鍵盤楽器。
【符号の説明】
【0045】
10 電子鍵盤楽器 11 白鍵
12 黒鍵 13 鍵盤
14 楽器ケース 20 脚部
21 脚 50 ペダル装置
51 接続杆 52 ペダル
52a 右ペダル 52b 左ペダル
52c 中ペダル 53 ペダルケース
53a 開口部 54 コイルばね
55 回動軸 100 下ベース部材
101 ベース部材本体部 101 下ベース部材本体部
102 ペダル対応部 103 調整部材
104 パッド 105 クッション部材
110 下板金部材 111 固定部
120 上板金部材 121 下板部
122 接続板 123 上板部
130 前板金部材 131 開口部
132 リブ 140 規制部材
141 第1規制部 142 第2規制部
143 クッション部材 144 アーム部
144a カム面 150 上ベース部材
151 ばね保持部 152 上ベース部材本体部
152a 凹部 153 軸受部
160 センサユニット 161 基板
161a 端子用孔部 161b 孔部
161c ボルト孔 161d ボルト孔
161e 孔部 161f 孔部
162 ロータリボリューム 162a 本体部
162a1 端子 162b 回転軸
162b1 面削ぎ部 162c 非回転部
163 係合部材 163a 支持孔部
163b 鍔部 163c ボス
163d 当接面 164 カム部材
164a カム部 164a1 カム面
164b 取付部 164b1 ばね配置部
164b2 位置合わせ部 164c 突起
164d ばね係止部 165 カバー部材
165a カバー本体部 165a1 矩形箱状部
165a2 円弧状部 165b 枠状部
165c1 ボルト孔 165c2 ボルト孔
165d 第1規制部 165d1 ボス
165d2 ボス 165e 第2規制部
165f ばね係止部 166 ねじりコイルばね
166a 脚部 166b 脚部