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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電子機器及び電子機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20240709BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240709BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240709BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H05K5/02 A
H05K5/02 Q
H05K5/03 A
G03B21/14 Z
G03B21/00 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022099301
(22)【出願日】2022-06-21
(65)【公開番号】P2024000572
(43)【公開日】2024-01-09
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 教輔
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-515072(JP,A)
【文献】特開2000-232274(JP,A)
【文献】実開平06-023283(JP,U)
【文献】実開昭57-022281(JP,U)
【文献】特開2001-155801(JP,A)
【文献】特開2003-218545(JP,A)
【文献】中国実用新案第203259743(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00 - 5/06
G03B 21/134- 21/30
G03B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケースと、
前記第1ケースとの間に内部部品が配置された形で設けられている第2ケースと、
前記第1ケースと前記第2ケースとの間の各側面側に夫々設けられている複数の側面パネルと、を備え、
前記複数の側面パネルは、前記内部部品側に向けて設けられているとともに前記第1ケースと前記内部部品と前記第2ケースとの並び方向に貫通するように開口するガイド部材、を有し、
前記第1ケースは、前記並び方向に延びるとともに前記ガイド部材に挿通されている第1ボスを有し、
前記第2ケースに対して前記第1ボスが固定されている、
電子機器。
【請求項2】
前記複数の側面パネルは、前記内部部品側に突出する突出部を有し、
前記第1ボス、前記突出部、及び前記第2ケースは共締めされている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ガイド部材は、略環状に形成されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2ケースは、第1係合部を有し、
前記複数の側面パネルは、前記第1係合部に係合される第1被係合部を有する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記複数の側面パネルのうち前記並び方向における前記第1ケース側の端部に設けられている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記複数の側面パネルは、第2係合部を有し、
前記第1ケースは、前記第2係合部に係合される第2被係合部を有する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記ガイド部材は、前記第2係合部と一連となって繋がる形で設けられ、
前記第1ボスは、前記第2被係合部と一連となって繋がる形で設けられている、
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第2被係合部は、前記第1ケースの外縁部の略全周に亘って設けられている、請求項6に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1係合部は、前記第2ケースの外縁部の略全周に亘って設けられている、請求項4に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1ボスは、前記ガイド部材に挿通される部位の外周面の少なくとも一部が円弧状に形成されており、前記ガイド部材に対して該ガイド部材の径方向に隙間を設けた形で前記ガイド部材に挿通されている、請求項3に記載の電子機器。
【請求項11】
前記ガイド部材の少なくとも一つは、前記内部部品の配線を載置可能なフック状のフック部を有している、請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
前記複数の側面パネルの一つに投影口開口部が設けられ、前記ガイド部材が前記内部部品と干渉しない配置で設けられている投影装置である、請求項1~11のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
第1ケースと第2ケースの間に配置される内部部品を前記第2ケースに搭載する搭載工程と、
複数の側面パネルを前記内部部品の周りに立てた状態で前記第2ケースに係合させる係合工程と、
前記第2ケースに係合された前記複数の側面パネルのガイド部材に前記第1ケースのボスを挿通させつつ、前記第1ケースを前記複数の側面パネルに重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記ボス、前記第2ケース、及び前記複数の側面パネルを締結具によって共締めする共締め工程と、
を備える電子機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上側筐体と下側筐体の間に内部部品を配置し、一方の筐体の内面側から延びるボスに対して他方の筐体を固定する電子機器が知られている。例えば、特許文献1には、アッパーケースとロアケースを有する外装筐体を備え、アッパーケースとロアケースが装置本体を上下に挟むようにして組み合わされるプロジェクター(電子機器)が開示されている。このプロジェクターでは、ロアケースの内面から円筒状のボスが突出しており、ボスに設けられた孔部に底面側からネジが挿通されることにより、アッパーケースとロアケースが締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-17964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の電子機器では、ロアケースによって前後左右の側面が構成される。一方で、上記のような上側筐体と下側筐体の間に内部部品を挟み込む構成とされた電子機器では、意匠性や機能性の向上を図るべく、前後左右の側面をパネル状の別部材として設けたい場合がある。しかしながら、上記特許文献1の電子機器において各側面を別部材として設けた場合、筐体の落下等により各側面の部材が上下の筐体から外れる虞があり、堅牢性を確保することができなかった。また、製造工程において各側面を構成する部材の組付け作業が別途必要であった。
【0005】
本発明は、堅牢性を確保することができ、かつ部材の組付けが容易な電子機器、及びそのような電子機器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、第1ケースと、前記第1ケースとの間に内部部品が配置された形で設けられている第2ケースと、前記第1ケースと前記第2ケースとの間の各側面側に夫々設けられている複数の側面パネルと、を備え、前記複数の側面パネルは、前記内部部品側に向けて設けられているとともに前記第1ケースと前記内部部品と前記第2ケースとの並び方向に貫通するように開口するガイド部材、を有し、前記第1ケースは、前記並び方向に延びるとともに前記ガイド部材に挿通されている第1ボスを有し、前記第2ケースに対して前記第1ボスが固定されている。
【0007】
本発明の電子機器の製造方法は、第1ケースと第2ケースの間に配置される内部部品を前記第2ケースに搭載する搭載工程と、複数の側面パネルを前記内部部品の周りに立てた状態で前記第2ケースに係合させる係合工程と、前記第2ケースに係合された前記複数の側面パネルのガイド部材に前記第1ケースのボスを挿通させつつ、前記第1ケースを前記複数の側面パネルに重ね合わせる重ね合わせ工程と、前記ボス、前記第2ケース、及び前記複数の側面パネルを締結具によって共締めする共締め工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、堅牢性を確保することができ、かつ部材の組付けが容易な電子機器、及びそのような電子機器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る投影装置を前方上側から視た斜視図である。
図2】実施形態に係る投影装置を後方下側から視た斜視図である。
図3】実施形態に係る投影装置の筐体を構成する上ケース、下ケース、底面カバーの分解斜視図である。
図4】実施形態に係る投影装置の筐体を構成する前側パネル、後側パネル、左側パネル、右側パネルを前方下側から視た分解斜視図であり、E1は、左側パネルの下端部の一部を拡大した斜視図である。
図5】実施形態に係る投影装置の筐体を構成する左側パネルを前方上側から視た斜視図である。
図6】実施形態に係る投影装置の上ケースを外した状態を前方上側から視た斜視図である。
図7】実施形態に係る投影装置の上ケースを前方上側から視た斜視図である。
図8】実施形態に係る投影装置の下ケースを前方上側から視た斜視図である。
図9】実施形態に係る投影装置の底面カバーを前方上側から視た斜視図である。
図10】実施形態に係る投影装置の左側パネル近傍の縦断面図であって、図6におけるX-X断面の断面図である。
図11】実施形態に係る投影装置の左側パネル近傍の縦断面図であって、図6におけるXI-XI断面の断面図である。
図12】実施形態に係る投影装置の上ケースを外した状態の左側パネルの環状部近傍を上方から視た斜視図である。
図13】実施形態に係る投影装置の左側パネルの環状部近傍において環状部に挿通された第1ボスの横断面図である。
図14】変形例に係る投影装置の左側パネル近傍の縦断面図であって、図6におけるX-X断面に対応する断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1及び図2に示すように、実施形態に係る投影装置(電子機器)10は、左右方向を長手方向とする略長矩形箱状に6面(上面20a、下面20b、左側面20c、右側面20d、前面20e、後面20f)を有する筐体20を備えている。投影装置10は、前面20e側に投影光が出射される投影口11を有している。なお、以下の説明においては、投影装置10における左右とは投影口11からの投影光の出射方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10の投影光の進行方向に対しての前後方向を示す。また、上面20a側を投影装置10の上側、下面20b側を投影装置10の下側とする。
【0011】
筐体20は、上面20aと四隅の角部を備える上ケース(第1ケース、あるいは第1カバーともいう)22と、下ケース(第2ケース、あるいは第2カバーともいう)24(図3等参照)と、下面20bを備える底面カバー(カバー部材)26とを有している。筐体20の内部には、投影装置10を構成する内部部品IP(図6参照)が上ケース22と下ケース24の間に配置されている。即ち、上ケース22、内部部品IP、下ケース24は、上下方向(並び方向)に並んでいる。底面カバー26は、下ケース24の略全域を外側(内部部品IP側とは反対側)から覆っている。底面カバー26の前方部左右両側には、投影装置10のチルトヒンジ機構が取り付けられるカバー側ヒンジ取付部26Hが設けられている。
【0012】
また、筐体20は、前側に前面20eを備える前側パネル(側面パネル)32、後側に後面20fを備える後側パネル(側面パネル)34、左側に左側面20cを備える左側パネル(側面パネル)36、右側に右側面20dを備える右側パネル(側面パネル)38を有している。筐体20を構成する各部材のうち下ケース24は例えば金属製とされており、他の部材は例えば樹脂製とされている。
【0013】
上ケース22は、筐体20の四隅の角部を構成する筐体角部22aを有している。各筐体角部22aは角R状とされており、その先端部(下端部)が底面カバー26と当接している。上ケース22の上面20aには、投影装置10の設定等を行うことができるボタン群を備える操作パネル22bが設けられている。また、上ケース22の上面20aの左前角部には、略矩形状の調整開口部22cが設けられている。調整開口部22cの開口には、筐体20内に収容されたレンズ鏡筒42(図6参照)に設けられている可動可能な調整リング42aが露出している。
【0014】
筐体20の側面を構成する各パネル32,34,36,38は、長方形状のパネル状部材であり、後述するようにその上端縁(短手方向の一端)が上ケース22に係合され、その下端縁(短手方向の他端)が下ケース24に係合されている。また、各パネル32,34,36,38の長手方向の両端部は、各筐体角部22aの内側に当接されている。前側パネル32には、レンズ鏡筒42の投影口11が露出する投影口開口部32a、第1吸気口32b及び排気口32cが設けられている。左側パネル36には、第2吸気口36a、画像入力用のコネクタの接続口36b、外部コントロール用シリアルコネクタの接続口36c、電源プラグの接続口36d等が設けられている。右側パネル38には、第3吸気口38a及び第4吸気口38bが設けられている。
【0015】
ここで、図6を参照して投影装置10の筐体20内に収容された内部部品IPについて説明する。図6に示すように、投影装置10の内部部品IPは、筐体20の略中央左側寄りの部分に保護カバーによって覆われた光源装置40を備えており、筐体20の左前角部近傍にレンズ鏡筒42を備えている。筐体20の後方部分には、内部部品IPとして、投影装置10の制御部等が実装された制御回路基板44が配置されている。また、投影装置10は、内部部品IPとして、制御回路基板44の右側に第1冷却装置51を備えており、筐体20の右側前方寄りの部分にそれぞれ第2冷却装置52及び第3冷却装置53を備えている。光源装置40と各冷却装置51,52,53の間には、ヒートパイプ等が配置されている。また、投影装置10は、光源装置40、制御回路基板44、第2冷却装置52、第3冷却装置53によって囲まれる部分(筐体20の右側部分)に、冷却ファン56を備えている。
【0016】
次に、筐体20を構成する各部材の構成について詳しく説明する。まず、図3図6及び図7を参照して、上ケース22について説明する。上ケース22の各筐体角部22aは、その先端部に厚みを薄くして下方にわずかに突出する角部止め部22a1を有している(図7参照)。各角部止め部22a1は、その外面が後述する底面カバー26の角部受け部26aの内面と当接する。上ケース22の内面側(下面側)のうち、調整開口部22cの開口周りには、レンズ鏡筒42の上側部分を支持する上側鏡筒支持部22dが設けられている。上側鏡筒支持部22dは、レンズ鏡筒42の外周面に沿って略円弧状をなして突出している。また、上ケース22の内面側の外縁部のうち前方縁部の右側寄りの位置には、投影装置10の第1吸気口32bと排気口32cの間を区画する区画板22eが設けられている。
【0017】
上ケース22は、その内面側(下面側)に上下方向に延びる複数のボスB1,B2を有している。詳しくは、上ケース22は、後述する環状部32R,34R,36R,38Rに挿通される5つの第1ボスB1と、環状部32R,34R,36R,38Rに挿通されない7つの第2ボスB2とを有している。第1ボスB1は、上ケース22の外縁部のうち前方縁部の左側寄りの位置、後方縁部の左寄りの位置、左側縁部のやや前方寄りの位置、右側縁部の前方寄りの位置、及び後方寄りの位置にそれぞれ1つずつ、設けられている。第2ボスB2は、上ケース22のうち各筐体角部22aの内側の位置、前方縁部のやや右寄りの位置(区画板22eの内側の位置)、中央部やや後方右寄りの位置、及び左側縁部のやや後方寄りの位置にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0018】
第1ボスB1及び第2ボスB2は、上ケース22の内面から延びる基端側の基端部B1a,B2aと、基端部B1a,B2aから下方に延びる先端側の先端部B1b,B2bとを有している。基端部B1a,B2aは中実とされ、先端部B1b,B2bは下方に開口する中空の略筒状とされている。略筒状とされた先端部B1b,B2bの内側には、後述する第1ネジ(第1締結具)S1及び第2ネジ(第2締結具)S2が螺合されるネジ溝BH(図10参照)が設けられている。また、第1ボスB1のうち、環状部32R,34R,36R,38Rに挿通される基端部B1aの外周面の一部は、円弧状とされている(図13参照)。また、基端部B1aの外周面の一部は、略円弧状であってもよい。
【0019】
第1ボスB1は、後述する突出部32P,34P,36P、38Pと当接又は近接する位置まで延びており、第2ボスB2は、後述する下ケース24の第2当接部24b2と当接又は近接する位置まで延びている。なお、基端部B1a,B2a及び先端部B1b,B2bの外周周りには、上下方向に沿って線状に延びる複数本の補強リブが設けられている。
【0020】
また、上ケース22の内面側の外縁部には、外縁部に沿って溝状をなす上ケース溝部(第2被係合部)22Gが設けられている。上ケース溝部22Gは、外側と内側の2つの壁状部によって構成され、外縁部上における第1ボスB1及び第2ボスB2が設けられた箇所、レンズ鏡筒42が配置される箇所を除き、上ケース22の内面側の略全周に亘って設けられている。換言すれば、外縁上の第1ボスB1及び第2ボスB2は、上ケース溝部22Gと一連となって繋がっている。ここでいう略全周とは、本実施形態では、上ケース溝部22Gが上ケース22の内面側の全周のうち一部を除いた領域に設けられた構成を例示したが、上ケース溝部22Gが上ケース22の内面側の全周の全領域に亘って設けられた構成も含む。また、上ケース溝部22Gを構成する2つの壁状部のうち外側の壁状部の一部には、下側に向かって凸状とされた上ケース凸部(被嵌合部)22G1が複数箇所に設けられている。
【0021】
次に、図4図5、及び図6を参照して、筐体20の側面を構成する各パネル32,34,36,38を説明する。各パネル32,34,36,38のうち上端部寄りの位置の一部には、内側(内部部品IP側)に向けて略環状をなすとともに上下方向に貫通するように開口する環状部(ガイド部材)32R,34R,36R,38Rがそれぞれ設けられている。各環状部(ガイド部材)32R,34R,36R,38Rの少なくとも一部は円弧状の形状を有し、本明細書において略環状とは、円環状に限らず、一部に円弧状の形状を有する閉じた形状を含む。具体的には、各環状部32R,34R,36R,38Rは、上下方向において上ケース22の第1ボスB1と重畳する位置に設けられており、第1ボスB1が挿通可能な開口径とされている。より具体的には、環状部32R,34R,36R,38Rは、パネル32,34,36,38の上端部にそれぞれ設けられている。
【0022】
環状部32R,34R,36R,38Rは、前側パネル32に1つ、後側パネル34に1つ、左側パネル36に1つ、右側パネルに2つ、それぞれ設けられている。このように環状部32R,34R,36R,38Rは、各パネル32,34,36,38の上下方向における上ケース22側の位置に少なくとも一つ設けられている。投影装置10の内部では、前側パネル32の環状部32Rは光源装置40の前側部分とレンズ鏡筒42との間に配置され、後側パネル34の環状部34Rは制御回路基板44の後側左寄りの位置に配置され、左側パネル36の環状部36Rはレンズ鏡筒42の後端部と光源装置40との間に配置され、右側パネル38の2つの環状部38Rは第1冷却装置51と第2冷却装置52との間、第2冷却装置52と冷却ファン56との間にそれぞれ配置されている。
【0023】
各パネル32,34,36,38の上端部には、上ケース溝部22Gと係合されるパネルリブ部(第2係合部)32r,34r,36r,38rが設けられている。各パネルリブ部32r,34r,36r,38rは、各パネル32,34,36,38から内側に迫り出してリブ状に垂直に立ち上がる形で各パネル32,34,36,38の長辺方向に沿って設けられている。パネルリブ部32r,34r,36r,38rは、環状部32R,34R,36R,38Rが設けられた箇所を除き、各パネル32,34,36,38の上端部の略全域に亘って設けられている。換言すれば、環状部32R,34R,36R,38Rは、パネルリブ部32r,34r,36r,38rと一連となって繋がっている。
【0024】
また、図5に示すように、左側パネル36とパネルリブ部36rの間の隙間の位置には、上方に開口する凹状とされ、上ケース21の上ケース凸部22G1と嵌合するパネル凹部(嵌合部)36Uがそれぞれ設けられている。なお、前側パネル32、後側パネル34、右側パネル38についても同様に、パネルリブ部36rの間の隙間の位置において上ケース凸部22G1と嵌合するパネル凹部32U,34U,38Uがそれぞれ設けられている(図6参照)。
【0025】
また、各パネル32,34,36,38の下端寄りの位置の一部には、両板面を上下方向に向けた板状をなすとともに内側(内部部品IP側)に突出する突出部32P,34P,36P,38Pが設けられている。具体的には、各突出部32P,34P,36P,38Pは、前側パネル32の右寄りの位置に設けられた突出部32Pを除き、上下方向において上ケース22の第1ボスB1と重畳する位置に設けられている。このため、第1ボスB1と重畳する突出部32P,34P,36P,38Pは、上下方向において環状部32R,34R,36R,38Rとも重畳する。また、各突出部32P,34P,36P,38Pには、第1ネジS1及び第2ネジS2を挿通可能な突出部ネジ孔PH(図4に示す拡大図E1参照)が設けられている。なお、図4では、左側パネル36の突出部36Pに設けられた突出部ネジ孔PHのみ図示しているが、他のパネル32,34,38の突出部32P,34P,38Pにおいても同様に突出部ネジ孔が設けられている。
【0026】
また、各パネル32,34,36,38の下端部には、各パネル32,34,36,38の長辺方向に沿って溝状をなすとともに後述する下ケースリブ部24rに係合されるパネル溝部(第1被係合部)32G,34G,36G,38Gが設けられている。各パネル32,34,36,38において、突出部32P,34P,36P,38Pは、パネル溝部32G,34G,36G,38Gと一連となって繋がっている。前側パネル32のパネル溝部32G、左側パネル36のパネル溝部36G、右側パネル38のパネル溝部38Gは、その下端部の一部に設けられており、後側パネル34のパネル溝部34Gは、その下端部の略全域に亘って設けられている。
【0027】
次に、図3及び図8を参照して、下ケース24について説明する。下ケース24は略板状をなしており、その上面側に投影装置10の内部部品IPが搭載される。下ケース24には、内部部品IPを搭載するための複数のネジ孔やボス等が設けられている。下ケース24の上面側のうち、上下方向においてレンズ鏡筒42と重畳する位置には、レンズ鏡筒42の下側部分を支持する下側鏡筒支持部24dが設けられている。下側鏡筒支持部24dは、レンズ鏡筒42の外周面に沿って略円弧状をなして突出している。また、下ケース24の前方部左右両側には、投影装置10のチルトヒンジ機構が取り付けられるケース側ヒンジ取付部24Hが設けられている。
【0028】
下ケース24の上面側のうち、上下方向において第1ボスB1と重畳する位置には、第1ボスB1の先端部B1bと各パネル32,34,36,38の突出部32P,34P,36P,38Pを介して当接する第1当接部24b1が設けられている。即ち、下ケース24の上面側には、5つの第1当接部24b1が設けられている。各第1当接部24b1には、第1ネジS1が螺合されるネジ孔が設けられている。また、下ケース24の上面側のうち、上下方向において第2ボスB2と重畳する位置には、第2ボスB2の先端部B2bと当接する第2当接部24b2が設けられている。即ち、下ケース24の上面側には、7つの第2当接部24b2が設けられている。各第2当接部24b2には、第2ネジS2が螺合されるネジ孔が設けられている。第1当接部24b1及び第2当接部24b2は、下ケース24の上面側に略円板状に設けられている。
【0029】
また、下ケース24の上面側の外縁部には、その外縁に沿って下ケースリブ部(第1係合部)24rが設けられている。下ケースリブ部24rは、外縁部からリブ状に垂直に立ち上がる形で設けられている。下ケースリブ部24rは、下ケース24の四隅、外縁上の第1当接部24b1及び第2当接部24b2が設けられた箇所、下側鏡筒支持部24d及びケース側ヒンジ取付部24Hが設けられた箇所を除き、下ケース24の内面側の略全周に亘って設けられている。換言すれば、外縁上の第1当接部24b1及び第2当接部24b2は、下ケースリブ部24rと一連となって繋がっている。ここでいう略全周とは、本実施形態では、下ケースリブ部24rが下ケース24の内面側の全周のうち一部を除いた領域に設けられた構成を例示したが、下ケースリブ部24rが下ケース24の内面側の全周の全領域に亘って設けられた構成も含む。
【0030】
次に、図2図3、及び図9を参照して、底面カバー26について説明する。底面カバー26は、下ケース24よりも一回り大きな略板状とされている。底面カバー26の上面側の四隅には、上ケース22の各筐体角部22aと当接する角部受け部26aが設けられている。各角部受け部26aは、底面カバー26の上面側の四隅から上方にわずかに突出しており、その外面が各筐体角部22aの外面に沿った角R状とされている。各角部受け部26aは、その先端側の内面が各筐体角部22aの角部止め部22a1と当接する。これにより、上ケース22の各筐体角部22aが底面カバー26の各角部受け部26aに係止されるようになっている。
【0031】
底面カバー26の上面側のうち、上下方向において第1ボスB1と重畳する位置には、下ケース24の第1当接部24b1を第1ボスB1との間で挟持する第1挟持部26b1が設けられている。即ち、底面カバー26の上面側には、5つの第1挟持部26b1が設けられている。各第1挟持部26b1には、第1ネジS1が螺合されるネジ孔が設けられている。また、底面カバー26の上面側のうち、上下方向において第2ボスB2と重畳する位置には、下ケース24の第2当接部24b2を第2ボスB2との間で挟持する第2挟持部26b2が設けられている。即ち、底面カバー26の上面側には、7つの第2挟持部26b2が設けられている。各第2挟持部26b2には、第2ネジS2が螺合されるネジ孔が設けられている。第1挟持部26b1及び第2挟持部26b2は、底面カバー26の上面側に略円板状に設けられている。
【0032】
一方、図2に示すように、底面カバー26の下面側のうち、第1挟持部26b1と対応する位置には、第1ネジS1がネジ止めされる第1ネジ止め部26s1が設けられている。即ち、底面カバー26の下面側には、5つの第1ネジ止め部26s1が設けられている。また、第2挟持部26b2と対応する位置には、第2ネジS2がネジ止めされる第2ネジ止め部26s2が設けられている。即ち、底面カバー26の下面側には、7つの第2ネジ止め部26s2が設けられている。第1ネジ止め部26s1及び第2ネジ止め部26s2は、第1ネジS1及び第2ネジS2のネジ頭部が入り込む略円形状の窪みとされている(カバー側ヒンジ取付部26H内に設けられた第1ネジ止め部26s1を除く)。
【0033】
次に、投影装置10を構成する筐体20の組付け態様について説明する。図2及び図10に示すように、筐体20では、第1ボスB1が環状部32R,34R,36R,38Rに挿通された状態で、第1ボスB1、各パネル32,34,36,38、下ケース24、及び底面カバー26が共締めされている。換言すれば、第1ボスB1に対して、各パネル32,34,36,38、下ケース24、及び底面カバー26が共締めされている。具体的には、第1ボスB1の先端部B1bに対して上方側から順に突出部32P,34P,36P,38P、第1当接部24b1、第1挟持部26b1が当接又は近接された状態で重ね合わされ、筐体20の下面側から第1ボスB1のネジ溝BHに第1ネジS1が螺合されることにより、これらが共締めされている。
【0034】
さらに、第2ボスB2の先端部B2bに対して上方側から順に第2当接部24b2、第2挟持部26b2が当接又は近接された状態で重ね合わされ、筐体20の下面側から第2ボスB2のネジ溝BHに第2ネジS2が螺合されており、これにより、第2ボスB2、下ケース24、及び底面カバー26が共締めされている。換言すれば、第2ボスB2に対して、下ケース24、及び底面カバー26が共締めされている。
【0035】
また、図11に示すように、筐体20では、各パネル32,34,36,38のパネル溝部32G,34G,36G,38Gが下ケース24の下ケースリブ部24rに係合され、かつ各パネル32,34,36,38のパネルリブ部32r,34r,36r,38rが上ケース22の上ケース溝部22Gに係合された状態で、上述した共締めがされている。なお、各パネルリブ部32r,34r,36r,38rと上ケース溝部22Gの間は、上ケース凸部22G1が各パネル凹部32U,34U,36U,38Uに嵌合された状態で、互いに係合されている。また、上ケース22の各筐体角部22aは、底面カバー26の各角部受け部26aに係止されている。
【0036】
ここで、図6に示すように、各パネル32,34,36,38に設けられた各環状部32R,34R,36R,38Rは、筐体20内の内部部品IPと干渉しない配置で設けられている。また、図10及び図12に示すように、左側パネル36の環状部36Rの先端部外面には、フック状をなすフック部36R1が設けられている。そして、環状部36R近傍における内部部品IPの配線Cは、フック部36R1に係止されてまとめられ、引き回されている。他の環状部32R,34R,38Rにおいても同様に近傍の配線を係止するフック部を設けてもよい。
【0037】
また、図13に示すように、第1ボスB1(基端部B1a)は、略円環状(具体的には、半円環状)とされた環状部36Rに対してその径方向(上下方向に垂直な方向)にわずかな隙間を設けた形で環状部36Rに挿通されている。換言すれば、第1ボスB1の基端部B1aの外径寸法及び環状部32R,34R,36R,38Rの開口径は、両者の間にわずかな隙間が生じるような大きさとされている。なお、図13では、左側パネル36の環状部36Rを図示しているが、他の環状部32R,34R,38Rにおいても同様である。
【0038】
環状部32R,34R,36R,38Rのうち第1ボスB1が挿通される部位の上下方向寸法は、第1ボスB1に対して各パネル32,34,36,38の上下方向に垂直な方向における位置を規制するために十分な強度を確保でき、かつ投影装置10の内部部品IPと干渉しない程度の大きさとされている。一例では、環状部32R,34R,36R,38Rのうち第1ボスB1が挿通される部位の上下方向寸法は、第1ボスB1の上下方向の寸法の1/8の寸法である。このように、環状部32R,34R,36R,38Rの当該部位の上下方向寸法は、筐体20内の限られたスペースにおいてなるべく大きくすることが好ましい。
【0039】
次に、投影装置10を構成する筐体20の組付け方法(投影装置10の製造方法)について説明する。筐体20の組付け工程では、まず、筐体20内に収容される投影装置10の内部部品IPを下ケース24上に搭載して組み付ける(搭載工程)。次に、各パネル32,34,36,38のパネル溝部32G,34G,36G,38Gを、それぞれ立てた状態(図4に示す状態)で、下ケース24の上面側の外縁部に設けられた下ケースリブ部24rに係合させる。即ち、図6に示すように、各パネル32,34,36,38を内部部品IPの周りに立てた状態で下ケース24の外縁部に係合させる(係合工程)。このとき、下ケース24の第1当接部24b1に各パネル32,34,36,38の突出部32P,34P,36P,38Pが重なり合うように、下ケース24に対して各パネル32,34,36,38を係合させる。
【0040】
次に、上ケース22の第1ボスB1が各パネル32,34,36,38の上端側に設けられた各環状部32R,34R,36R,38Rに挿通されるように上ケース22を位置決めする。そして、環状部32R,34R,36R,38Rに上ケース22の第1ボスB1を挿通させつつ、上ケース22を各パネル32,34,36,38上に被せ(図6に示す破線参照)、上ケース22を各パネル32,34,36,38に対して上下方向に重ね合わせる(重ね合わせ工程)。換言すれば、上ケース22を下ケース24に搭載された内部部品IPの上方に配置する。このとき、上ケース22の下面側の外縁部に設けられた上ケース溝部22Gを各パネル32,34,36,38のパネルリブ部32r,34r,36r,38rに係合させながら、上ケース22を、内部部品IPを上側から覆うように配置さに被せる。また、このとき、上ケース22の上ケース凸部22G1を各パネル32,34,36,38のパネル凹部32U,34U,36U,38Uに嵌合させつつ、上ケース22を各パネル32,34,36,38上に被せる。
【0041】
これにより、上下方向において各パネル32,34,36,38の突出部32P,34P,36P,38Pが第1ボスB1と重なり合い、各パネル32,34,36,38は、上ケース22と下ケース24に対して強固に係合された状態で上ケース22と下ケース24との間で挟持される。なお、この工程では、上ケース22は、第1ボスB1の先端部B1bが各パネル32,34,36,38の突出部32P,34P,36P,38Pに当接するまで、かつ第2ボスB2の先端部B2bが下ケース24の第2当接部24b2と当接するまで押し込んでもよい。
【0042】
次に、全体を裏返して下ケース24が上方に向けられた状態とし、底面カバー26の第1ネジ止め部26s1及び第2ネジ止め部26s2を上方に向けた形(下面側を上方に向けた形)で、底面カバー26を下ケース24上に被せる。このとき、上下方向において第1ネジ止め部26sが下ケース24の第1当接部24b1と重畳し、第2ネジ止め部26s2が第2当接部24b2と重畳するように底面カバー26を下ケース24に被せる。これにより、第1ネジ止め部26s1(第1挟持部26b1)のネジ孔、第1当接部24b1のネジ孔、及び突出部32P,34P,36P,38Pの突出部ネジ孔PHが第1ボスB1のネジ溝BHと連通し、第2ネジ止め部26s2(第2挟持部26b2)のネジ孔及び第2当接部24b2のネジ孔が第2ボスB2のネジ溝BHと連通する。また、底面カバー26の各角部受け部26aが上ケース22の各筐体角部22aと当接し、各角部止め部22a1が各角部受け部26aに係止される。
【0043】
次に、第1ネジS1を第1ネジ止め部26s1のネジ孔に挿通して第1ボスB1のネジ溝BHに螺合することにより、底面カバー26の第1挟持部26b1、下ケース24の第1当接部24b1、及び突出部32P,34P,36P,38Pを第1ボスB1に対して共締めする。さらに、第2ネジS2を第2ネジ止め部26s2のネジ孔に挿通して第2ボスB2のネジ溝BHに螺合することにより、底面カバー26の第2挟持部26b2及び下ケース24の第2当接部24b2を第2ボスB2に対して共締めする(共締め工程)。以上の工程により、筐体20を構成する各部材が強固に組付けられ、投影装置10を製造することができる。
【0044】
(変形例)
次に、図14を参照して本発明の実施形態の変形例について説明する。変形例に係る投影装置110は、各パネルに設けられたパネル突出部(図14では左側パネル136及びそのパネル突出部136Pのみ図示)の構成、及び筐体120から延びる第1ボスB10の先端部B10bの構成が上述した実施形態のものと異なる。その他の構成については、上述した実施形態と同様であるため、説明を省略する。変形例に係るパネル突出部136Pは、薄肉の略円環状とされている。パネル突出部136Pには、第1ボスB10の先端部B10bを挿通可能な突出部ネジ孔PH10が設けられている。
【0045】
図14に示すように、変形例では、第1ボスB10の先端部B10bが左側パネル136のパネル突出部136Pの突出部ネジ孔PH10に挿通される。また、第1ボスB10の先端部B10bは、上記の実施形態のものよりも長く延びており、パネル突出部136Pを介することなく下ケース24の第1当接部24b1と当接又は近接している。詳しくは、第1ボスB10の先端部B10bに対して上方側から順に第1当接部24b1、第1挟持部26b1が当接又は近接された状態で重ね合わされ、筐体20の下面側から第1ボスB10のネジ溝BHに第1ネジS1が螺合されることにより、これらが共締めされている。なお、左側パネル136以外の他のパネル32,34,38に設けられたパネル突出部に対しても、第1ボスB1の先端部B1bが同様の態様で係合され、組付けられている。
【0046】
以上説明したように本実施形態に係る投影装置10は、上ケース22と、上ケース22との間に内部部品IPが配置された形で設けられている下ケース24と、上ケース22と下ケース24との間の各側面側に夫々設けられている各パネル32,34,36,38と、を備えている。そして、各パネル32,34,36,38は、内部部品IP側に向けて設けられているとともに上下方向に貫通するように開口する環状部32R,34R,36R,38Rを有し、上ケース22は、上下方向に延びるとともに環状部32R,34R,36R,38Rに挿通されている第1ボスB1を有し、下ケース24は、第1ボスB1に対して固定されている。
【0047】
このように投影装置10では、各パネル32,34,36,38の環状部32R,34R,36R,38Rに上下方向に延びる上ケース22の第1ボスB1が挿通されることにより、第1ボスB1に対して各パネル32,34,36,38の位置(上下方向に直交する方向の位置)が規制され、各パネル32,34,36,38が上ケース22に固定されている。そして、このように各パネル32,34,36,38が上ケース22に固定された状態で上ケース22と下ケース24の間に設けられ、上ケース22の第1ボスB1に対して下ケース24が固定されていることにより、投影装置10が落下等により衝撃を受けた場合であっても、各パネル32,34,36,38が上ケース22と下ケース24の間から外れる(外側に開く)ことが防止ないし抑制されている。これにより、投影装置10の筐体20を構成する上ケース22、下ケース24、及び各パネル32,34,36,38は、簡易な構成で十分な堅牢性が確保されている。
【0048】
さらに、投影装置10の組付け工程において、下ケース24に固定された各パネル32,34,36,38の環状部32R,34R,36R,38Rに上ケース22から延びる第1ボスB1を挿通させることにより(換言すれば、第1ボスB1を環状部32R,34R,36R,38Rに誘いこむことにより)、上ケース22を正しい位置に重ねることができ、ネジ止め等を行うことなく、上ケース22を各パネル32,34,36,38に対して固定しつつ容易に組み付けることができる。以上のように本実施形態では、堅牢性を確保することができ、部材の組付けが容易な投影装置10を実現することができる。
【0049】
また、投影装置10では、各パネル32,34,36,38は、内部部品IP側に突出する突出部32P,34P,36P,38Pを有し、第1ボスB1、突出部32P,34P,36P,38P、下ケース24は共締めされている。これにより、上ケース22、下ケース24、及び各パネル32,34,36,38(突出部32P,34P,36P,38P)の間が強固に固定され、投影装置10の堅牢性を一層向上させることができる。さらに、投影装置10の組付け工程において、共締めにより上ケース22、下ケース24、及び各パネル32,34,36,38を一度に締結することができるため、投影装置10の筐体20を構成する上ケース22、下ケース24、及び各パネル32,34,36,38の組付けを一層容易に行うことができる。
【0050】
また、投影装置10では、環状部32R,34R,36R,38Rは、略円環状とされている。これにより、例えば環状部32R,34R,36R,38Rが角環状とされている場合に比して環状部32R,34R,36R,38Rの一部に応力が集中し難くなるため、環状部32R,34R,36R,38Rの強度を高めることができる。
【0051】
また、投影装置10では、下ケース24は、下ケースリブ部24rを有し、各パネル32,34,36,38は、下ケースリブ部24rに係合されるパネル溝部32G,34G,36G,38Gを有する。このため、投影装置10の組付け工程において、各パネル32,34,36,38のパネル溝部32G,34G,36G,38Gを下ケースリブ部24rに係合させることにより、ネジ止め等を行うことなく、各パネル32,34,36,38を下ケース24に固定させることができる。これにより、投影装置10の組付け工程における部材の組付けを一層容易にすることができる。
【0052】
また、投影装置10では、環状部32R,34R,36R,38Rは、各パネル32,34,36,38のうち上下方向における上ケース22側の端部に設けられている。これにより、環状部32R,34R,36R,38Rが下ケース24側に設けられている場合に比して、環状部32R,34R,36R,38Rと上ケース22との間の距離が小さくなるため、各パネル32,34,36,38を上ケース22に対してより強固に固定することができる。
【0053】
また、投影装置10では、各パネル32,34,36,38は、パネルリブ部32r,34r,36r,38rを有し、上ケース22は、パネルリブ部32r,34r,36r,38rに係合される上ケース溝部22Gを有している。このため、パネルリブ部32r,34r,36r,38rを上ケース溝部22Gに係合させることで、各パネル32,34,36,38を環状部32R,34R,36R,38Rに加えてパネルリブ部32r,34r,36r,38rにより上ケース22に対して固定することができる。これにより、各パネル32,34,36,38を上ケース22に対してより強固に固定することができる。
【0054】
また、投影装置10では、環状部32R,34R,36R,38Rは、パネルリブ部32r,34r,36r,38rと一連となって繋がる形で設けられ、第1ボスB1は、上ケース溝部22Gと一連となって繋がる形で設けられている。これにより、環状部32R,34R,36R,38Rとパネルリブ部32r,34r,36r,38rの強度を互いに高めることができ、かつ第1ボスB1と上ケース溝部22Gの強度を互いに高めることができる。このため、投影装置10の堅牢性を一層高めることができる。
【0055】
また、投影装置10では、パネルリブ部32r,34r,36r,38rは、その一部に凹状とされたパネル凹部36Uを有し、上ケース溝部22Gは、その一部に凸状とされてパネル凹部36Uに嵌合される上ケース凸部22G1を有している。このため、パネル凹部36Uと上ケース凸部22G1が嵌合されることにより、各パネル32,34,36,38がパネルリブ部32r,34r,36r,38rの延在方向に沿って位置ずれすることを防止することができる。これにより、各パネル32,34,36,38と上ケース22の組付けを一層容易にすることができ、さらに、投影装置10の堅牢性を一層高めることができる。
【0056】
また、投影装置10では、上ケース溝部22Gは、上ケース22の外縁部の略全周に亘って設けられている。これにより、各パネル32,34,36,38を上ケース22の外縁部の略全周に亘って固定することができるため、投影装置10の堅牢性を一層高めることができる。
【0057】
また、投影装置10では、下ケースリブ部24rは、下ケース24の外縁部の略全周に亘って設けられている。これにより、各パネル32,34,36,38を下ケース24の外縁部の略全周に亘って固定することができるため、投影装置10の堅牢性を一層高めることができる。
【0058】
また、投影装置10は、下ケース24の内部部品IP側とは反対側を覆う底面カバー26を備え、底面カバー26は、下ケース24及び突出部32P,34P,36P,38Pと共に第1ボスB1に対して共締めされている。このため、下ケース24が塗装等が困難な金属製である場合に、下ケース24を底面カバー26により覆うことができ、投影装置10の下側部分の意匠性を高めることができる。さらに、共締めにより底面カバー26と共に上ケース22、下ケース24、及び各パネル32,34,36,38を一度に締結することができ、投影装置10の堅牢性及び部材の組付け容易性を一層高めることができる。なお、上述した本実施形態の変形例においても、底面カバー26、下ケース24、第1ボスB10(B1)が共締めされ、第1ボスB10(B1)に突出部136P(32P,34P,38P)が係合される。このため、変形例においても、投影装置110の堅牢性及び部材の組付け容易性を一層高めることができる。
【0059】
また、投影装置10では、上ケース22は、上下方向に延びるとともに環状部32R,34R,36R,38Rに挿通されない第2ボスB2を有し、底面カバー26は、下ケース24と共に第2ボスB2に対して共締めされている。これにより、第1ボスB1に加えて第2ボスB2を介して上ケース22に底面カバー26と下ケース24が固定されるため、底面カバー26を備える投影装置10の堅牢性を一層高めることができる。また、投影装置10内のスペースのうち環状部32R,34R,36R,38Rを設けることができないような位置においても、第2ボスB2を介して上ケース22に対して底面カバー26と下ケース24を共締めして固定することができる。
【0060】
また、投影装置10では、環状部32R,34R,36R,38Rは、各パネル32,34,36,38の各々に少なくとも一つ設けられている。これにより、環状部32R,34R,36R,38Rを介して各パネル32,34,36,38を確実に上ケース22に対して固定することができ、投影装置10の堅牢性を一層高めることができる。
【0061】
また、投影装置10では、第1ボスB1は、環状部32R,34R,36R,38Rに挿通される基端部B1aの外周面の一部が円弧状に形成されており、環状部32R,34R,36R,38Rに対して環状部32R,34R,36R,38Rの径方向(上下方向(第1ボスB1の挿通方向)に対して直交する方向)に隙間を設けた形で環状部32R,34R,36R,38Rに挿通されている。これにより、上ケースが各パネルに対して水平方向(環状部32R,34R,36R,38Rの径方向)に位置ずれした場合であっても、第1ボスB1が各環状部32R,34R,36R,38Rに強く干渉して各環状部32R,34R,36R,38Rに応力が集中することを防止ないし抑制することができる。
【0062】
また、投影装置10では、左側パネル36に設けられた環状部36Rは、内部部品IPの配線Cを載置可能なフック状のフック部36R1を有している。これにより、フック部36R1により内部部品IPの配線Cを効率良く引き回すことができるため、内部部品IPの周りに環状部32R,34R,36R,38Rを設けるために十分なスペースを確保することができる。
【0063】
また、電子機器としての上記の投影装置10では、前側パネル32に投影口開口部32aが設けられ、環状部32R,34R,36R,38Rが内部部品IPと干渉しない配置で設けられている。これにより、投影装置10内の限られたスペースにおいて環状部32R,34R,36R,38Rを介して上ケース22と各パネル32,34,36,38を固定することができ、堅牢性と共に内部スペースの利用効率が高められた投影装置10を実現することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る投影装置の製造方法は、上ケース22と下ケース24の間に配置される投影装置10の内部部品IPを下ケース24に搭載する搭載工程と、各パネル32,34,36,38を内部部品IPの周りに立てた状態で下ケース24に係合させる係合工程と、下ケース24に係合された各パネル32,34,36,38の環状部32R,34R,36R,38Rに上ケース22の第1ボスB1を挿通させつつ、上ケース22を各パネル32,34,36,38に重ね合わせる重ね合わせ工程と、第1ボスB1、下ケース24、及び各パネル32,34,36,38を第1ネジS1によって共締めする共締め工程と、を備える。
【0065】
上記の製造方法によれば、係合工程においてネジ止め等を行うことなく各パネル32,34,36,38を立てた状態で下ケース24に対して係合させて仮固定できるため、各パネル32,34,36,38について仮固定するためのネジ止め等の工程を削減することができる。また、重ね合わせ工程において第1ボスB1を各環状部32R,34R,36R,38Rに挿通させることにより、下ケース24及び各パネル32,34,36,38に対して容易に上ケース22の位置決めを行うことができる。さらに、共締め工程において上ケース22、下ケース24、及び各パネル32,34,36,38を第1ネジS1によって一度に締結することができ、各部材を強固に組付けることができる。このように上記の製造方法では、容易な組付け工程で、堅牢性が高い投影装置10を製造することができる。
【0066】
なお、本実施形態の投影装置10は、各パネル32,34,36,38を上ケース22及び下ケース24とは別部材とすることにより、意匠性や機能性の向上と堅牢性の確保を両立させることが可能となるため、製品としての付加価値を向上させることができる。
【0067】
以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0068】
例えば上記の実施形態では、各パネルに少なくとも一つの環状部が設けられた構成を例示したが、各パネルに少なくとも2つ以上の環状部が設けられた構成であってもよい。この場合、環状部を介して上ケースに対して各パネルをより強固に固定することができ、投影装置の堅牢性を一層高めることができる。また、例えば上記の実施形態では、環状部に挿通されない第2ボスが上ケースに設けられた構成を例示したが、上ケースに第2ボスが設けられていない構成であってもよい。この場合であっても、堅牢性を確保することができ、部材の組付けが容易な投影装置を実現することができる。また、例えば上記の実施形態では、ガイド部材である環状部が環状とされた構成を例示したが、ガイド部材は環状に限定されず、例えばC字状等、第1ボスが挿通されて係合され得る形状であればよい。なお、上記の実施形態では、電子機器として投影装置を例示したが、投影装置以外の電子機器にも本発明は適用可能である。
【0069】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]第1ケースと、
前記第1ケースとの間に内部部品が配置された形で設けられている第2ケースと、
前記第1ケースと前記第2ケースとの間の各側面側に夫々設けられている複数の側面パネルと、を備え、
前記複数の側面パネルは、前記内部部品側に向けて設けられているとともに前記第1ケースと前記内部部品と前記第2ケースとの並び方向に貫通するように開口するガイド部材、を有し、
前記第1ケースは、前記並び方向に延びるとともに前記ガイド部材に挿通されている第1ボスを有し、
前記第2ケースに対して前記第1ボスが固定されている、
電子機器。
[2]前記複数の側面パネルは、前記内部部品側に突出する突出部を有し、
前記第1ボス、前記突出部、及び前記第2ケースは共締めされている、
前記[1]に記載の電子機器。
[3]前記ガイド部材は、略環状に形成されている、前記[1]に記載の電子機器。
[4]前記第2ケースは、第1係合部を有し、
前記複数の側面パネルは、前記第1係合部に係合される第1被係合部を有する、
前記[1]に記載の電子機器。
[5]前記ガイド部材は、前記複数の側面パネルのうち前記並び方向における前記第1ケース側の端部に設けられている、前記[1]に記載の電子機器。
[6]前記複数の側面パネルは、第2係合部を有し、
前記第1ケースは、前記第2係合部に係合される第2被係合部を有する、
前記[1]に記載の電子機器。
[7]前記ガイド部材は、前記第2係合部と一連となって繋がる形で設けられ、
前記第1ボスは、前記第2被係合部と一連となって繋がる形で設けられている、
前記[6]に記載の電子機器。
[8]前記第2被係合部は、前記第1ケースの外縁部の略全周に亘って設けられている、前記[6]に記載の電子機器。
[9]前記第1係合部は、前記第2ケースの外縁部の略全周に亘って設けられている、前記[4]に記載の電子機器。
[10]前記第2ケースの前記内部部品側とは反対側を覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記第2ケース及び前記突出部と共に前記第1ボスに対して共締めされている、
前記[1]に記載の電子機器。
[11]前記第1ケースは、前記並び方向に延びるとともに前記ガイド部材に挿通されない第2ボスを有し、
前記カバー部材は、前記第2ケースと共に前記第2ボスに対して共締めされている、
前記[10]に記載の電子機器。
[12]前記第1ボスは、前記ガイド部材に挿通される部位の外周面の少なくとも一部が円弧状に形成されており、前記ガイド部材に対して該ガイド部材の径方向に隙間を設けた形で前記ガイド部材に挿通されている、前記[3]に記載の電子機器。
[13]前記ガイド部材の少なくとも一つは、前記内部部品の配線を載置可能なフック状のフック部を有している、前記[1]に記載の電子機器。
[14]前記複数の側面パネルの一つに投影口開口部が設けられ、前記ガイド部材が前記内部部品と干渉しない配置で設けられている投影装置である、前記[1]から[13]のいずれかに記載の電子機器。
[15]第1ケースと第2ケースの間に配置される電子機器の内部部品を前記第2ケースに搭載する搭載工程と、
複数の側面パネルを前記内部部品の周りに立てた状態で前記第2ケースに係合させる係合工程と、
前記第2ケースに係合された前記複数の側面パネルのガイド部材に前記第1ケースのボスを挿通させつつ、前記第1ケースを前記複数の側面パネルに重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記ボス、前記第2ケース、及び前記複数の側面パネルを締結具によって共締めする共締め工程と、
を備える電子機器の製造方法。
【符号の説明】
【0070】
10 投影装置 11 投影口
20 筐体 20a 上面
20b 下面 20c 左側面
20d 右側面 20e 前面
20f 後面 22 上ケース
22a 筐体角部 22a1 角部止め部
22b 操作パネル 22c 調整開口部
22d 上側鏡筒支持部 22e 区画板
22G 上ケース溝部 22G1 上ケース凸部
24 下ケース 24b1 第1当接部
24b2 第2当接部 24d 下側鏡筒支持部
24H ケース側ヒンジ取付部 24r 下ケースリブ部
26 底面カバー 26a 角部受け部
26b1 第1挟持部 26b2 第2挟持部
26s1 第1ネジ止め部 26s2 第2ネジ止め部
26H カバー側ヒンジ取付部 32 前側パネル
32a 投影口開口部 32b 第1吸入口
32c 排気口 32G パネル溝部
32P 突出部 32r パネルリブ部
32R 環状部 34 後側パネル
34G パネル溝部 34P 突出部
34r パネルリブ部 34R 環状部
36 左側パネル 36a 第2吸気口
36b 接続口 36c 接続口
36d 接続口 36G パネル溝部
36P 突出部 36r パネルリブ部
36R 環状部 36R1 フック部
36U パネル凹部 38 右側パネル
38a 第3吸気口 38b 第4吸気口
38G パネル溝部 38P 突出部
38r パネルリブ部 38R 環状部
40 光源装置 42 レンズ鏡筒
44 制御回路基板 51 第1冷却装置
52 第2冷却装置 53 第3冷却装置
56 冷却ファン 110 投影装置
120 筐体 136 左側パネル
136P 突出部 B1 第1ボス
B1a 基端部 B1b 先端部
B2 第2ボス B2a 基端部
B2b 先端部 B10 第1ボス
B10b 先端部 BH ネジ溝
BH10 ねじ溝 C 配線
PH 突出部ネジ孔 S1 第1ネジ
S2 第2ネジ
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