(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/86 20060101AFI20240709BHJP
B65D 65/40 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
B65D85/86 300
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2022154551
(22)【出願日】2022-09-28
(62)【分割の表示】P 2020037899の分割
【原出願日】2020-03-05
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】矢ヶ部 徹
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/055804(WO,A1)
【文献】特開2011-121602(JP,A)
【文献】特開2011-251493(JP,A)
【文献】特開2019-172281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/86
B65D 65/00-65/46
B65D 85/00-85/38
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、前記基材層の一方の面側に設けられたシーラント層とを備え、さらに、前記基材層と前記シーラント層との間に中間層を備え、前記中間層と前記シーラント層とは直接接しており、前記シーラント層をキャリアテープにヒートシールして用いる電子部品包装用カバーテープであって、
前記基材層は、ポリエステルを含み、かつ、10~30μmの厚みを有し、
以下[条件1]により求められる剥離強度の平均値をF
Lowとし、以下[条件2]により求められる剥離強度の平均値をF
Highとしたとき、F
High/F
Lowの値が1.0~2.0であるカバーテープ(ただし、キャリアテープからの剥離時に、シーラント層が凝集破壊されることでキャリアテープの面にシーラント層の一部が残るカバーテープを除く)。
[条件1]
シール条件:前記カバーテープを5.3mm幅にスリットして長尺状としたものを、シーラント層側の面で、デンカ株式会社製のキャリアテープ用シート「クリアレンCST2401」の表面と接触させ、そして、160℃、4kg/cm
2
、0.1秒の条件で熱シールし、複合体を得る。
剥離条件:前記複合体を、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で剥離し、剥離強度を測定する。
[条件2]
熱シールの温度を200℃とした以外は、[条件1]と同じ条件。
【請求項2】
基材層と、前記基材層の一方の面側に設けられたシーラント層とを備え、さらに、前記基材層と前記シーラント層との間に中間層を備え、前記シーラント層をキャリアテープにヒートシールして用いる電子部品包装用カバーテープであって、
前記基材層は、ポリエステルを含み、かつ、10~30μmの厚みを有し、
前記シーラント層は、樹脂を1種類のみ含み、複数種類の樹脂を含まず、
以下[条件1]により求められる剥離強度の平均値をF
Lowとし、以下[条件2]により求められる剥離強度の平均値をF
Highとしたとき、F
High/F
Lowの値が1.0~2.0であるカバーテープ(ただし、キャリアテープからの剥離時に、シーラント層が凝集破壊されることでキャリアテープの面にシーラント層の一部が残るカバーテープを除く)。
[条件1]
シール条件:前記カバーテープを5.3mm幅にスリットして長尺状としたものを、シーラント層側の面で、デンカ株式会社製のキャリアテープ用シート「クリアレンCST2401」の表面と接触させ、そして、160℃、4kg/cm
2
、0.1秒の条件で熱シールし、複合体を得る。
剥離条件:前記複合体を、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で剥離し、剥離強度を測定する。
[条件2]
熱シールの温度を200℃とした以外は、[条件1]と同じ条件。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記[条件1]の試験の際の、測定時間を横軸に、剥離に測定された力の大きさを縦軸にプロットしたグラフにおいて、力の大きさの最大値をf
max、力の大きさの最小値をf
minとしたとき、f
max/f
minの値が1~1.6であるカバーテープ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記基材層が含む前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを含むカバーテープ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記中間層は、ポリエチレンを含むカバーテープ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記シーラント層は、(メタ)アクリル系樹脂を含むカバーテープ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記シーラント層の厚みは0.1~3μmであるカバーテープ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記シーラント層は、シーラント層を構成する成分を有機溶剤に溶解または分散させた塗布液を塗布し、有機溶剤を乾燥させることにより設けられるカバーテープ。
【請求項9】
請求項1に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記シーラント層は、樹脂を1種類のみ含み、複数種類の樹脂を含まないカバーテープ。
【請求項10】
電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、請求項1~9のいずれか1項に記載のカバーテープとを備え、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアテープに接着された電子部品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体に関する。より具体的には、電子部品包装用カバーテープ、および、その電子部品包装用カバーテープとキャリアテープとを備える電子部品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を運搬、保管等する際に、しばしば、キャリアテープおよびカバーテープが用いられる。
具体的には、まず、キャリアテープに形成された凹部に、電子部品(半導体チップ等)を入れ、その後、キャリアテープの上面にカバーテープをヒートシールして電子部品を封入する。そして、それをリール状に巻き取って運搬/保管する。
【0003】
典型的には、カバーテープは、基材層と、シーラント層(ヒートシール層)の2層を備える。シーラント層は、キャリアテープとの熱シールのための層である。
【0004】
一例として、特許文献1には、特定の熱可塑性樹脂と、カーボンナノ材料と、溶媒とを含む塗布液を用いてシーラント層を形成したことが記載されている。
別の例として、特許文献2には、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とのブロック共重合体、エチレン-αオレフィンランダム共重合体、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とのブロック共重合体、および、耐衝撃性ポリスチレンを含む樹脂組成物を用いてシーラント層を形成したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-45513号公報
【文献】特表2003-508253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、キャリアテープからカバーテープを剥離する際、カバーテープが破断してしまう場合があった。
そこで、本発明者は、キャリアテープからカバーテープを剥離する際の、カバーテープの破断を抑えることを目的として、検討を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
【0008】
本発明によれば、以下のカバーテープが提供される。
【0009】
基材層と、前記基材層の一方の面側に設けられたシーラント層とを備える電子部品包装用カバーテープであって、
前記基材層は、ポリエステルを含み、かつ、10~30μmの厚みを有し、
以下[条件1]により求められる剥離強度の平均値をFLowとし、以下[条件2]により求められる剥離強度の平均値をFHighとしたとき、FHigh/FLowの値が1.0~2.0であるカバーテープ。
[条件1]
シール条件:前記カバーテープを5.3mm幅にスリットして長尺状としたものを、シーラント層側の面で、デンカ株式会社製のキャリアテープ用シート「クリアレンCST2401」の表面と接触させ、そして、160℃、4kg/cm2、0.1秒の条件で熱シールし、複合体を得る。
剥離条件:前記複合体を、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で剥離し、剥離強度を測定する。
[条件2]
熱シールの温度を200℃とした以外は、[条件1]と同じ条件。
【0010】
また、本発明によれば、以下の電子部品包装体が提供される。
【0011】
電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、上記のカバーテープとを備え、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアテープに接着された電子部品包装体。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、キャリアテープからカバーテープを剥離する際に、カバーテープが破断しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態のカバーテープの層構成の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
【0015】
本明細書中、数値範囲の説明における「X~Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
【0016】
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
【0017】
本明細書中、「gf」との表記は、力の単位「グラム重」を表す。また、「kgf」との表記は、力の単位「キログラム重」を表す。これら単位で表されている数値に重力加速度を掛けるなどすれば、他の単位系に換算可能である。
【0018】
<カバーテープ>
図1は、本実施形態の電子部品包装用のカバーテープ(カバーテープ1)の層構成を模式的に示した図である。
カバーテープ1は、基材層14と、その基材層14の一方の面側にあるシーラント層11とを少なくとも備える。
【0019】
カバーテープ1は、基材層14とシーラント層11との間に、中間層12、接着層13などを備えることができる。これらは任意の層である。
【0020】
カバーテープ1において、以下[条件1]により求められる剥離強度の平均値をFLowとし、以下[条件2]により求められる剥離強度の平均値をFHighとしたとき、FHigh/FLowの値は1.0~2.0である。
[条件1]
シール条件:カバーテープ1を5.3mm幅にスリットして長尺状としたものを、シーラント層側の面で、デンカ株式会社製のキャリアテープ用シート「クリアレンCST2401」の表面と接触させ、そして、160℃、4kg/cm2、0.1秒の条件で熱シールし、複合体を得る。
剥離条件:上記複合体を、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で剥離し、剥離強度を測定する。
[条件2]
熱シールの温度を200℃とする以外は、[条件1]と同じ条件。
【0021】
本発明者は、カバーテープを破断しにくくするため、比較的「硬くて丈夫な」ポリエステルを基材層に採用することとした。また、基材層の厚みを、比較的厚い10~30μmに設定した。これらにより、カバーテープの「基礎的な」強度を担保するようにした。
【0022】
また、本発明者は、従来のカバーテープの破断には、キャリアテープ-カバーテープ間の接着力に、所々でムラがあることが関係しているのではないかと考えた。
具体的に説明すると、キャリアテープ表面の小さな凹凸の存在や、ヒートシール条件(温度、時間、押圧力等)の変動などにより、ヒートシールされた部分の全体でシール強度は必ずしも一定ではなく、所によりシール強度にムラがある(シール強度が大きい部分と小さい部分が混在する)と考えられる。このシール強度のムラにより、キャリアテープからカバーテープを剥離する際にスムーズな剥離ができず、破断が誘発されていたと考えられる。
【0023】
そこで、本発明者は、ヒートシール条件が変動しても、シール強度がさほど変化しないカバーテープを設計すれば、破断が抑えられると考え、検討を進めた。具体的には、カバーテープと、キャリアテープにしばしば用いられるシート素材であるデンカ株式会社製のキャリアテープ用シート「クリアレンCST2401」(ポリスチレン系、単層)とを、(i)温度160℃でヒートシールしたときのシール強度(上記FLow)と、(ii)温度200℃でヒートシールしたときのシール強度(上記FHigh)と、を設計指標に設定した。
そして、本発明者は、FHigh/FLowの値が1.0~2.0となるカバーテープ、つまり、160℃でのヒートシールと200℃でのヒートシールで、ヒートシール強度(剥離強度)がさほど大きく変動しないカバーテープを新たに設計した。これにより、キャリアテープにヒートシールされたカバーテープを剥離する際に、カバーテープを切れにくくすることに成功した。
【0024】
FHigh/FLowの値が1.0~2.0であるカバーテープを製造するためには、カバーテープ1を構成する素材や製法を適切に選択することが重要である。これらの選択については以下で具体的に説明していく。簡単に述べておくと、(1)基材層14を構成する素材として適切なポリエステル樹脂を採用し、また、基材層14を適度に厚く設計すること、(2)シーラント層11を設けるにあたって、(メタ)アクリル系樹脂や、適当な無機粒子を適量含む塗布液を用いること、等が重要である。このような基材層14を設けることで、ヒートシールの際の押圧ムラや熱ムラが低減されるなどし、FHigh/FLowの値が1.0~2.0に調整されやすくなる。
【0025】
以下、カバーテープ1の具体的な構成や製法などに関する説明を続ける。
【0026】
(シーラント層11)
シーラント層11は、通常のヒートシール条件において適度に軟化/融解し、キャリアテープとヒートシール可能なものである限り、任意の樹脂を含むことができる。また、シーラント層11の素材や厚みなどを適切に選択することで、FHighやFLowの値を調整することができ、カバーテープの破断を一層抑えやすくなる。
【0027】
シーラント層11は、通常、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂としては、例えば、アイオノマー樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、マレイン酸樹脂などを挙げることができる。
特に、多種多様なキャリアテープに熱融着可能な点などから、(メタ)アクリル系樹脂が好適に用いられる。シーラント層11が(メタ)アクリル系樹脂を含むことで、FHigh/FLowの値を調整しやすく、カバーテープの破断を一層抑えやすくなる傾向がある。詳細は不明だが、(メタ)アクリル系樹脂は、160℃と200℃で融解挙動がさほど変わらないために、(メタ)アクリル系樹脂を用いることでFHigh/FLowの値を1.0~2.0としやすいとも推察される。
【0028】
また、シーラント層11は、適切な樹脂とともに、無機粒子を含むことが好ましい。これにより、より一層、FHigh/FLowの値を1.0~2.0としやすい。
無機粒子としては、硫化亜鉛、硫化銅、硫化カドミウム、硫化ニッケル、硫化パラジウム等の硫化物粒子、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン等の金属酸化物、カーボン微粒子などを挙げることができる。入手容易性、剥離強度の調整のしやすさなどから、無機粒子としては金属酸化物が好ましい。
無機粒子の平均粒径は、好ましくは10~1000nm、好ましくは50~500nmである。適切な平均粒径の無機粒子を選択することで、諸性能を維持しつつ、FHigh/FLowの値を1.0~2.0としやすい。
シーラント層11が無機粒子を含む場合、その量は、樹脂(熱可塑性樹脂)100質量部に対し、例えば1~20質量部、好ましくは1~10質量部である。
【0029】
シーラント層11に帯電防止効果を付与するために、シーラント層11は、金属酸化物等の導電性フィラー、高分子型共重合体タイプの帯電防止剤、等を含んでもよい(上述の無機粒子は、導電性フィラーを兼ねる場合がある)。シーラント層11は、更に必要に応じて分散剤、充填剤、可塑剤等の添加剤を含んでもよい。
【0030】
シーラント層11の厚さは、他の性能を過度に損なわずに十二分なヒートシール性を得る観点から、好ましくは0.1~5μm、より好ましくは0.5~3μmである。
【0031】
(中間層12)
カバーテープ1が中間層12を備える場合、中間層12は、通常、シーラント層11と基材層14との間に存在する。
中間層12は、必ずしもシーラント層11や基材層14に直接接触していなくてもよい。つまり、基材層14と中間層12の間には追加の層があってもよいし、シーラント層11と中間層12の間には追加の層があってもよい。もちろん、中間層12は、基材層14とシーラント層11に接触していてもよい。
カバーテープ1が中間層12を備えることで、カバーテープ1のクッション性、耐衝撃性などを高めることができる。また、カバーテープ1が中間層12を備えることで、ヒートシールの際の押圧力が適度に平準化されて、FHigh/FLowの値を1.0~2.0に設計しやすくなる場合がある。
【0032】
中間層12の材料としては、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂等が挙げられる。中でも、カバーテープ1全体のクッション性を向上させる観点から、オレフィン系樹脂が好ましい。
オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。なかでもポリエチレンが好ましい。特にクッション性の点からは、低密度ポリエチレン(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)がより好ましい。また、クッション性と強度の両立の点から、高密度ポリエチレン(HDPE)も好ましい。
中間層12は、各種の添加剤を含んでもよい。添加剤の例としてはシーラント層や基材層で挙げたもの等が挙げられる。
【0033】
中間層を設ける場合、その厚さは、他の性能を過度に損なわずにカバーテープ全体のクッション性を向上させる観点から、好ましくは10~50μm、さらに好ましくは15~45μmである。
【0034】
(接着層13)
接着層13は、例えばカバーテープ1が中間層12を備える場合に、中間層12と基材層14とを貼り合せるために設けられる場合がある。
接着層13を形成するための材料としては、一般に、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールなどのポリオールと、イソシアネート化合物とを組み合わせたもの等を使用することができる。
また、接着層13を形成するための材料として、公知の溶剤系または水系のアンカーコート剤を使用することができる。より具体的には、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系などのアンカーコート剤を挙げることができる。
さらに、接着層13を形成するための材料として、ウレタン系のドライラミネート用接着樹脂などを挙げることもできる。
【0035】
ちなみに、中間層12および/または基材層14の接着面にコロナ処理を施すことにより、密着性をより向上させることができる。このコロナ処理の条件は適宜調整すればよい。
【0036】
接着層13の厚みは、好ましくは0.001~10μm、より好ましくは0.01~5μmである。適度な厚みとすることで、十分な接着性を得つつ、視認性の低下などを抑えることができる。
【0037】
(基材層14)
前述のように、基材層14はポリエステル系樹脂を含む。ポリエステル系樹脂は、機械的強度の観点で好ましい。すなわち、基材層14を、ポリエステル樹脂を含む材料で構成することで、キャリアテープからカバーテープを剥離する際などに、十二分に耐えうる機械的強度を得やすい。また、ポリエステル系樹脂は、キャリアテープにカバーテープ1をヒートシールする際の熱に強いという利点も有する。
【0038】
ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートやこれらの誘導体等が挙げられる。機械的強度、耐熱性、コストなどのバランスから、基材層14はポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことが好ましい。
【0039】
基材層14は、延伸処理されていても未延伸であってもよい。
基材層14を形成するに際して、市販のポリエステル系樹脂フィルムを利用してもよい。市販のポリエステル系樹脂フィルムの中では、例えば、東洋紡社のエスペット(登録商標)フィルムT7410などを好ましく用いることができる。詳細は不明だが、このフィルムを用いることで、FHigh/FLowの値を1.0~2.0に設計しやすくなる。ちなみに、このフィルムは二軸延伸フィルムである。
【0040】
基材層14は、好ましくは帯電防止剤を含む。これにより、電子部品を収容して運搬する際や、キャリアテープからカバーテープ1を剥離する際の静電気の帯電を抑えることができ、電子部品の損傷を抑えることができる。
【0041】
帯電防止剤としては、金属酸化物等の導電性フィラー、高分子型共重合体タイプの帯電防止剤、界面活性剤タイプの帯電防止剤などが挙げられる。
基材層14が帯電防止剤を含む場合、基材層14中に含有してもよいし、基材層14にコーティングにより積層させたものでもよい。
【0042】
基材層14の厚さは、10~30μm、好ましくは10~27.5μm、より好ましくは10~25μmである。基材層14の厚さが10~30μmであることにより、ヒートシールの際の押圧ムラや熱ムラが低減され、FHigh/FLowの値が1.0~2.0に調整されやすくなる。
また、基材層14の厚さが30μm以下であることで、カバーテープ1の剛性が大きくなりすぎない。これにより、シール後のキャリアテープに対して捻り応力がかかった場合でも、カバーテープ1がキャリアテープの変形に追従しやすい。よって、カバーテープがキャリアテープから意図せず剥離してしまうことを抑制することができる。
さらに、基材層14の厚さが10μm以上であることで、カバーテープ1の機械的強度を十二分に良好なものとすることができる。よって、例えばキャリアテープからカバーテープ1を高速で剥離する場合でも、カバーテープが破断してしまうことを抑制することができる。
【0043】
(その他の層)
カバーテープ1は、上記以外の層を備えていてもよいし、いなくてもよい。
一態様として、「比較的硬くて厚い」という基材層14の特徴により、FHigh/FLowの値を1.0~2.0にする観点からは、カバーテープ1は、上記の層(シーラント層11、中間層12、接着層13および基材層14)以外の余分な層を備えないことが好ましい。例えば、従来のカバーテープには、ナイロン(ポリアミド)含有層を備えるものがあるが、カバーテープ1はそのような層を備えることを要しない。
【0044】
(FHigh、FLow等に関する追加説明)
カバーテープ1において、FHigh/FLowの値は1.0~2.0であればよい。FHigh/FLowの値は好ましくは1.05~1.60である。
FLowそのものの値は、好ましくは5~80gf、より好ましくは10~70gf、さらに好ましくは20~60gfである。そして、FHighそのものの値は、これら数値の1.0~2.0倍である。FLowやFHighそのものの値が適当な範囲内にあることにより、収容された電子部品を適切に保護しつつ、通常のカバーテープ剥離条件において剥離しやすい。
【0045】
念のため、FLowおよびFHighが「平均値」であることについて説明しておく。
FLowが、[条件1]により求められる剥離強度の「平均値」であるとは、[条件1]の試験において、測定時間tを横軸に、引きはがし中に測定された力の大きさFを縦軸にプロットしたグラフの平均(一定時間ごとに測定した剥離強度の合計を、測定点数で割った値)をFLowとして採用することを意味している。ただし、この平均を計算するにあたっては、グラフにおけるt=0近傍の「立ち上がり部分」およびt=測定時間終了近傍の「立ち下がり部分」は除いて計算する。
同様に、FHighが、[条件2]により求められる剥離強度の「平均値」であるとは、[条件2]の試験において、測定時間tを横軸に、引きはがし中に測定された力の大きさFを縦軸にプロットしたグラフの平均(一定時間ごとに測定した剥離強度の合計を、測定点数で割った値)をFHighとして採用することを意味している。この平均を計算するにあたっても、グラフにおけるt=0近傍の「立ち上がり部分」およびt=測定時間終了近傍の「立ち下がり部分」は除いて計算する。
【0046】
FLowやFHighとは別の観点として、[条件1]の試験の際の、測定時間を横軸に、引きはがし中に測定された力の大きさを縦軸にプロットしたグラフにおいて、力の大きさの最大値をfmax、力の大きさの最小値をfminとしたとき、fmax/fminの値は1~1.6が好ましく、1~1.4がより好ましい。
温度が変わったときの剥離強度の変動が小さいこと(FHigh/FLowの値が1.0~2.0であること)に加え、一定の温度下での一度の剥離における剥離強度の変動が小さいことで、カバーテープの破断を一層抑えることができる。
【0047】
ちなみに、fminそのものの値は、好ましくは20~50gfである。そして、fmaxそのものの値は、好ましくはこれら数値の1.0~1.4倍である。fminそのものの値やfmaxそのものの値を適切に設計することにより、収容された電子部品を適切に保護でき、かつ、通常の剥離条件において剥離しやすいカバーテープとすることができる。
【0048】
(カバーテープの幅、長さ)
カバーテープ1の幅や長さは、主として、ヒートシールの相手方であるキャリアテープの幅および長さに応じて適宜設定することができる。
典型的には、カバーテープ1の幅は例えば1~100mm程度、好ましくは2~100mm程度である。また、長さは100~10000m程度である。
【0049】
(製造方法)
カバーテープ1の製造方法は特に限定されない。例えば、公知の押出法、ラミネート法、塗布法などを適用することで製造することができる。
【0050】
より具体的には、カバーテープ1は、以下のような手順で製造することができる。
(1)基材層14に相当するフィルムを準備する。このフィルムには、コロナ処理等の表面処理が施されていてもよい。
(2)(1)で準備したフィルムと、中間層12に相当するフィルムとを積層させる。積層には、例えばドライラミネート法を適用することができる。ドライラミネート法により積層させた場合には、基材層14と中間層12との間に接着層13が形成される。
(3)(2)で得られた積層フィルムの、中間層12が露出している面に、塗布法によりシーラント層11を製膜する。例えば、(メタ)アクリル系樹脂や無機粒子を、トルエンなどの有機溶剤に溶解または分散させた塗布液を、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーターなどを用いて中間層12の露出面に塗布する。塗布方法や所望の膜厚にもよるが、塗布液の不揮発分濃度は、例えば10~50質量%の間で調整すればよい。
塗布後、65~75℃程度で乾燥処理を施すことでシーラント層11を形成することができる。適切な塗布液を用い、適切な温度で乾燥させることで、乾燥後の表面状態が適切となり、FHigh/FLowの値が1.0~2.0であるカバーテープを製造しやすい。塗布液としては市販品を利用してもよい。塗布液の市販品は例えばDIC社などから入手することができる。
(4)必要に応じ、得られたフィルムを、適当な長さおよび幅に裁断する。
【0051】
<電子部品包装体>
電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、上述のカバーテープ1とをヒートシールすることで、電子部品包装体を製造することができる。
より具体的には、以下のような手順で、電子部品を封止するように、カバーテープ1のシーラント層11がキャリアテープに接着された電子部品包装体を得ることができる。
(1)電子部品が凹部に収容されたキャリアテープを準備する。
(2)カバーテープ1を用いて、上述のキャリアテープの開口部全面を覆う(このときシーラント層11がキャリアテープと接触するようにする)。
(3)ヒートシール処理を施す。
【0052】
ヒートシールの具体的なやり方や条件は、カバーテープ1がキャリアテープに十分強く接着する限り特に限定されない。典型的には、公知のテーピングマシンを用い、温度100~240℃、荷重0.1~10kgf(0.98~98N)、時間0.0001~1秒の範囲内で行うことができる。
【0053】
得られた電子部品包装体は、例えば、リールに巻かれ、その後、電子部品を電子回路基板等に実装する作業領域まで搬送される。リールの素材は、金属製、紙製、プラスチック製などであることができる。
電子部品包装体が作業領域まで搬送された後、カバーテープ1をキャリアテープから剥離し、収容された電子部品を取り出す。
【0054】
収容される電子部品は、特に限定されない。半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、圧電素子、光学素子、LED関連部材、コネクタ、電極など、電気・電子機器の製造に用いられる部品全般を挙げることができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
基材層と、前記基材層の一方の面側に設けられたシーラント層とを備える電子部品包装用カバーテープであって、
前記基材層は、ポリエステルを含み、かつ、10~30μmの厚みを有し、
以下[条件1]により求められる剥離強度の平均値をF
Low
とし、以下[条件2]により求められる剥離強度の平均値をF
High
としたとき、F
High
/F
Low
の値が1.0~2.0であるカバーテープ。
[条件1]
シール条件:前記カバーテープを5.3mm幅にスリットして長尺状としたものを、シーラント層側の面で、デンカ株式会社製のキャリアテープ用シート「クリアレンCST2401」の表面と接触させ、そして、160℃、4kg/cm
2
、0.1秒の条件で熱シールし、複合体を得る。
剥離条件:前記複合体を、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で剥離し、剥離強度を測定する。
[条件2]
熱シールの温度を200℃とした以外は、[条件1]と同じ条件。
2.
1.に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記[条件1]の試験の際の、測定時間を横軸に、剥離に測定された力の大きさを縦軸にプロットしたグラフにおいて、力の大きさの最大値をf
max
、力の大きさの最小値をf
min
としたとき、f
max
/f
min
の値が1~1.6であるカバーテープ。
3.
1.または2.に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記基材層が含む前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを含むカバーテープ。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記基材層と前記シーラント層との間に、中間層を備えるカバーテープ。
5.
4.に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記中間層は、ポリエチレンを含むカバーテープ。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の電子部品包装用カバーテープであって、
前記シーラント層は、(メタ)アクリル系樹脂を含むカバーテープ。
7.
電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、1.~6.のいずれか1つに記載のカバーテープとを備え、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層が前記キャリアテープに接着された電子部品包装体。
【実施例】
【0056】
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
【0057】
(実施例1:カバーテープの製造)
以下手順により製造した。
(1)基材層として、膜厚12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡社製、エスペット(登録商標)E5100)を準備した。
(2)上記基材層のコロナ処理面側に、ポリエチレンを膜厚が25μmとなるようにドライラミネート(ウレタン系接着剤使用)にて積層した。これにより中間層を設けた。
(3)中間層の露出面をコロナ処理した後、アクリル系シーラント樹脂(DIC社製、A450A)30質量%、平均粒径100nmの酸化アルミニウム2質量%、トルエン68質量%を混合した塗布液を塗布し、70℃で乾燥させてシーラント層を設けた。塗布量は、乾燥後の膜厚が2μmとなるように調整した。
【0058】
(実施例2:カバーテープの製造)
以下手順により製造した。
(1)基材層として、膜厚25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡社製、エスペット(登録商標)E5100)を準備した。
(2)上記基材層のコロナ処理面側に、ポリエチレンを膜厚が25μmとなるようにドライラミネート(ウレタン系接着剤使用)にて積層した。これにより中間層を設けた。(3)中間層の露出面をコロナ処理した後、アクリル系シーラント樹脂(DIC社製、A450A)30質量%、平均粒径100nmの酸化アルミニウム2質量%、トルエン68質量%を混合した塗布液を塗布し、70℃で乾燥させてシーラント層を設けた。塗布量は、乾燥後の膜厚が2μmとなるように調整した。
【0059】
(実施例3:カバーテープの製造)
以下手順により製造した。
(1)基材層として、膜厚12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡社製、エスペット(登録商標)E5100)を準備した。
(2)上記基材層のコロナ処理面側に、ポリエチレンを膜厚が45μmとなるようにドライラミネート(ウレタン系接着剤使用)にて積層した。これにより中間層を設けた。
(3)中間層の露出面をコロナ処理した後、アクリル系シーラント樹脂(DIC社製、A450A)30質量%、平均粒径100nmの酸化アルミニウム2質量%、トルエン68質量%を混合した塗布液を塗布し、70℃で乾燥させてシーラント層を設けた。塗布量は、乾燥後の膜厚が2μmとなるように調整した。
【0060】
(実施例4:カバーテープの製造)
以下手順により製造した。
(1)基材層として、膜厚45μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡社製、エスペット(登録商標)E5100)を準備した。
(2)上記基材層のコロナ処理面側に、ポリエチレンを膜厚が45μmとなるようにドライラミネート(ウレタン系接着剤使用)にて積層した。これにより中間層を設けた。
(3)中間層の露出面をコロナ処理した後、アクリル系シーラント樹脂(三菱ケミカル社製、ダイヤナールBR-116)30質量%、平均粒径100nmの酸化アルミニウム2質量%、トルエン68質量%を混合した塗布液を塗布し、70℃で乾燥させてシーラント層を設けた。塗布量は、乾燥後の膜厚が2μmとなるように調整した。
【0061】
(比較例1:カバーテープの製造)
以下手順により製造した。
(1)基材層として、膜厚25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡社製、エスペット(登録商標)E5100)を準備した。
(2)上記基材層のコロナ処理面側に、中間層として、ポリエチレンを膜厚が25μmとなるように積層した。
(3)中間層の露出面をコロナ処理した後、スチレン系シーラント樹脂(日本ゼオン社製、LX2507H)を塗布し、乾燥させてシーラント層を設けた。塗布量は、乾燥後の膜厚が2μmとなるように調整した。
【0062】
(比較例2:カバーテープの製造)
以下手順により製造した。
(1)基材層として、膜厚12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡社製、エスペット(登録商標)E5100)を準備した。
(2)上記基材層のコロナ処理面側に、ポリエチレンを膜厚が45μmとなるようにドライラミネート(ウレタン系接着剤使用)にて積層した。これにより中間層を設けた。
(3)中間層の露出面をコロナ処理した後、スチレン系シーラント樹脂(日本ゼオン社製、LX2507H)を塗布し、乾燥させてシーラント層を設けた。塗布量は、乾燥後の膜厚が2μmとなるように調整した。
【0063】
([条件1]による測定)
実施例1、2および比較例1で得たカバーテープを、それぞれ、5.5mm幅に切断した。
切断したカバーテープを、デンカ株式会社製のキャリアテープ用シート「クリアレンCST2401」の8mm幅のシート(キャリアテープの材料となる平面状シート)に、以下の条件でヒートシールした。これにより、試験用の複合体を得た。
・装置:ISMECA MBM4000(テーピングマシン)
・シール時のアイロン形状:刃幅0.3mm/刃長54mm/刃間隔1.95mm(0.3mm×54mmのコテが、1.95mm間隔で2本並んでいる)
・シール温度:160℃
・シール時間:0.1s
・シール圧力:4kgf/cm2
【0064】
得られた複合体を用いて、カバーテープとキャリアテープの剥離強度を、以下の条件にて測定した。
・剥離装置:856VS(General Production Devices社製)
・剥離速度:300mm/min
・剥離角度:180°
・規格:JIS K 0806-3
【0065】
上記測定において、剥離装置から得られた測定時間-剥離強度の関係(グラフ)から、FLow、fmaxおよびfminを求めた。FLowについては、グラフにおけるt=0近傍の「立ち上がり部分」およびt=測定時間終了近傍の「立ち下がり部分」を除いて、0.1秒ごとに100回(計10秒)測定した剥離強度の合計を、100で割った値を採用した。
【0066】
([条件2]による測定)
ヒートシール温度を200℃に変更した以外は、上記の[条件1]による測定と同様の測定を行った。そして、FHighを求めた。
【0067】
(評価:テープ切れ試験)
上記[条件1]または[条件2]のようにして得た試験用の複合体を、以下のような高速剥離条件で剥離した。この際のテープ切れの有無を確認した。
・剥離装置:856VS(General Production Devices社製)
・剥離速度:15,000mm/min
・剥離角度:180°
・規格:JIS K 806-3
【0068】
評価結果などをまとめて下表に示す。
【0069】
【0070】
上表に示されるように、実施例1~4のカバーテープ(FHigh/FLowの値が1.0~2.0である)の評価では、テープ切れは発生しなかった。
一方、比較例1および2のカバーテープ(FHigh/FLowの値が2.0超)の評価では、ヒートシール条件を200℃としたときに、テープ切れが発生した。比較的高温のヒートシールにおいて、所によりシール強度にムラが生じ、スムーズな剥離ができなかったためと推察される。
【符号の説明】
【0071】
1 カバーテープ
11 シーラント層
12 中間層
13 接着層
14 基材層