(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、および、3Dモデルデータ生成方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240709BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240709BHJP
G06T 7/80 20170101ALI20240709BHJP
G06T 7/55 20170101ALI20240709BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/56
G06T7/80
G06T7/55
(21)【出願番号】P 2022511835
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2021010754
(87)【国際公開番号】W WO2021200143
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2020060384
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】荒木 祐一
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-195760(JP,A)
【文献】特開2008-054031(JP,A)
【文献】特開2004-201722(JP,A)
【文献】特開2012-194349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/56
G06T 7/80
G06T 7/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるタイミングで所定の被写体を撮影した画像を参照画像として、同一の被写体を現在の環境で撮影した撮影画像と比較した比較結果に基づいて、カメラパラメータを調整する調整部と、
前記異なるタイミングで前記所定の被写体を撮影した複数の前記画像から前記被写体の3Dモデルを生成し、生成した前記3Dモデルを、前記現在の環境の視点から見た仮想視点画像を前記参照画像として生成する参照画像生成部と
を備え、
前記調整部は、前記仮想視点画像が生成された場合、前記仮想視点画像を前記参照画像として前記撮影画像と比較した比較結果に基づいて、前記カメラパラメータを調整する
画像処理装置。
【請求項2】
前記異なるタイミングで所定の被写体を撮影した画像を、1以上の環境について記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている1以上の環境のなかの所定の1つをユーザに選択させる選択部と
をさらに備え、
前記調整部は、前記ユーザによって選択された前記環境の前記画像に基づく前記参照画像と、前記撮影画像との比較結果に基づいて、カメラパラメータを調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記カメラパラメータとして、シャッタスピードとゲインを少なくとも調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記調整部は、前記カメラパラメータとして、撮影装置の内部パラメータと外部パラメータを少なくとも調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記調整部は、前記カメラパラメータに加えて、照明装置のパラメータも調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記照明装置のパラメータは、照度と色温度である
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
異なるタイミングで所定の被写体を撮影した画像を参照画像として、同一の被写体を現在の環境で撮影した撮影画像と比較した比較結果に基づいて、カメラパラメータを調整することと、
前記異なるタイミングで前記所定の被写体を撮影した複数の前記画像から前記被写体の3Dモデルを生成し、生成した前記3Dモデルを、前記現在の環境の視点から見た仮想視点画像を前記参照画像として生成することと、
前記仮想視点画像が生成された場合、前記仮想視点画像を前記参照画像として前記撮影画像と比較した比較結果に基づいて、前記カメラパラメータを調整することと
を含む画像処理方法。
【請求項8】
異なるタイミングで第1の被写体を撮影した画像を参照画像として、前記第1の被写体を現在の環境で撮影した第1の撮影画像と比較した比較結果に基づいて調整したカメラパラメータと、前記異なるタイミングで前記第1の被写体を撮影した複数の前記画像から前記第1の被写体の3Dモデルを生成し、生成した前記3Dモデルを前記現在の環境の視点から見た仮想視点画像を前記参照画像として生成し、前記仮想視点画像を前記参照画像として前記
第1の撮影画像と比較した比較結果に基づいて調整したカメラパラメータのどちらかのカメラパラメータを用いた複数の撮影装置で第2の被写体を撮影した複数の第2の撮影画像から、前記第2の被写体の3Dモデルを生成し、生成した前記第2の被写体の3Dモデルを、所定の視点から見た仮想視点画像を生成する
3Dモデルデータ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理方法、および、3Dモデルデータ生成方法に関し、特に、撮影環境の調整を容易に行うことができるようにした画像処理装置、画像処理方法、および、3Dモデルデータ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多視点で撮影された動画像から被写体の3Dモデルを生成し、任意の視聴位置に応じた3Dモデルの仮想視点画像を生成することで自由な視点の画像を提供する技術がある。この技術は、ボリューメトリックキャプチャなどとも呼ばれている。
【0003】
ボリューメトリックキャプチャでは、例えば人物などのオブジェクト単位で3Dモデルを生成し、異なるタイミングで生成した複数のオブジェクトを含む仮想視点画像を生成することが可能である。このような場合、複数のオブジェクトを生成する際のそれぞれの撮影環境を合わせたいという要求がある。
【0004】
例えば、過去に屋外で背景画像を撮影した時の照明状況を、前景画像の撮影時に再現できるように制御するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
3Dモデル生成時の撮影では、多数の撮影装置を用いて異なる視点から被写体を撮影するため、撮影環境を合わせる作業が大変である。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、撮影環境の調整を容易に行うことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1側面の画像処理装置は、異なるタイミングで所定の被写体を撮影した画像を参照画像として、同一の被写体を現在の環境で撮影した撮影画像と比較した比較結果に基づいて、カメラパラメータを調整する調整部と、前記異なるタイミングで前記所定の被写体を撮影した複数の前記画像から前記被写体の3Dモデルを生成し、生成した前記3Dモデルを、前記現在の環境の視点から見た仮想視点画像を前記参照画像として生成する参照画像生成部とを備え、前記調整部は、前記仮想視点画像が生成された場合、前記仮想視点画像を前記参照画像として前記撮影画像と比較した比較結果に基づいて、前記カメラパラメータを調整する。
【0009】
本開示の第2側面の画像処理方法は、異なるタイミングで所定の被写体を撮影した画像を参照画像として、同一の被写体を現在の環境で撮影した撮影画像と比較した比較結果に基づいて、カメラパラメータを調整することと、前記異なるタイミングで前記所定の被写体を撮影した複数の前記画像から前記被写体の3Dモデルを生成し、生成した前記3Dモデルを、前記現在の環境の視点から見た仮想視点画像を前記参照画像として生成することと、前記仮想視点画像が生成された場合、前記仮想視点画像を前記参照画像として前記撮影画像と比較した比較結果に基づいて、前記カメラパラメータを調整することとを含む。
【0010】
本開示の第3側面の3Dモデルデータ生成方法は、異なるタイミングで第1の被写体を撮影した画像を参照画像として、前記第1の被写体を現在の環境で撮影した第1の撮影画像と比較した比較結果に基づいて調整したカメラパラメータと、前記異なるタイミングで前記第1の被写体を撮影した複数の前記画像から前記第1の被写体の3Dモデルを生成し、生成した前記3Dモデルを前記現在の環境の視点から見た仮想視点画像を前記参照画像として生成し、前記仮想視点画像を前記参照画像として前記第1の撮影画像と比較した比較結果に基づいて調整したカメラパラメータのどちらかのカメラパラメータを用いた複数の撮影装置で第2の被写体を撮影した複数の第2の撮影画像から、前記第2の被写体の3Dモデルを生成し、生成した前記第2の被写体の3Dモデルを、所定の視点から見た仮想視点画像を生成する。
【0011】
本開示の第1側面~第3側面においては、異なるタイミングで所定の被写体を撮影した画像を参照画像として、同一の被写体を現在の環境で撮影した撮影画像と比較した比較結果に基づいて、カメラパラメータが調整される。また、前記異なるタイミングで前記所定の被写体を撮影した複数の前記画像から前記被写体の3Dモデルが生成され、生成された前記3Dモデルを、前記現在の環境の視点から見た仮想視点画像が前記参照画像として生成され、前記仮想視点画像が生成された場合、前記仮想視点画像を前記参照画像として前記撮影画像と比較した比較結果に基づいて、前記カメラパラメータが調整される。さらに、本開示の第3側面においては、調整されたカメラパラメータを用いた複数の撮影装置で第2の被写体を撮影した複数の第2の撮影画像から、前記第2の被写体の3Dモデルが生成され、生成された前記第2の被写体の3Dモデルを所定の視点から見た仮想視点画像が生成される。
【0012】
なお、本開示の第1側面の画像処理装置は、コンピュータにプログラムを実行させることにより実現することができる。画像処理装置を実現するために、コンピュータに実行させるプログラムは、伝送媒体を介して伝送することにより、又は、記録媒体に記録して、提供することができる。
【0013】
画像処理装置は、独立した装置であっても良いし、1つの装置を構成している内部ブロックであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】被写体の3Dモデルの生成と自由視点画像の表示を説明する図である。
【
図2】3Dモデルデータのデータフォーマットの例を示す図である。
【
図4】本開示を適用した画像処理システムの第1実施の形態を示すブロック図である。
【
図5】参照カメラ画像DBに記憶されている撮影環境データの例を示す図である。
【
図6】画像処理装置が実行する調整処理の流れを説明する図である。
【
図7】第1実施の形態に係る画像処理システム全体の処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図7のステップS1の参照撮影環境選択処理の詳細なフローチャートである。
【
図9】
図7のステップS2の初期撮影環境設定処理の詳細なフローチャートである。
【
図10】
図7のステップS3の撮影環境調整処理の詳細なフローチャートである。
【
図11】
図10のステップS63のカメラパラメータ調整処理の詳細なフローチャートである。
【
図12】
図7のステップS4の撮影環境登録処理の詳細なフローチャートである。
【
図13】本開示を適用した画像処理システムの第2実施の形態を示すブロック図である。
【
図14】第2実施の形態において撮影環境調整部が実行する撮影環境調整処理を説明する図である。
【
図15】第2実施の形態に係る画像処理システム全体の処理を示すフローチャートである。
【
図16】
図15のステップS153の参照仮想視点画像生成処理の詳細なフローチャートである。
【
図17】
図15のステップS154の撮影環境調整処理の詳細なフローチャートである。
【
図18】
図17のステップS193のカメラパラメータ調整処理の詳細なフローチャートである。
【
図19】画像処理装置が3Dモデル再生表示装置としての機能を実行する場合の構成例を示すブロック図である。
【
図20】本開示を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本開示を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。説明は以下の順序で行う。
1.ボリューメトリックキャプチャの概要
2.撮影環境の調整について
3.画像処理システムの第1実施の形態
4.第1実施の形態に係る画像処理システムによる処理
5.画像処理システムの第2実施の形態
6.第2実施の形態に係る画像処理システムによる処理
7.3Dモデル再生表示装置としての構成
8.コンピュータ構成例
【0016】
<1.ボリューメトリックキャプチャの概要>
本開示の画像処理システムは、多視点で撮影された動画像から被写体の3Dモデルを生成し、任意の視聴位置に応じた3Dモデルの仮想視点画像を生成することで自由な視点の画像(自由視点画像)を提供するボリューメトリックキャプチャに関する。
【0017】
そこで、初めに、
図1を参照して、被写体の3Dモデルの生成と、3Dモデルを用いた自由視点画像の表示について簡単に説明する。
【0018】
例えば、人物等の被写体を配置した所定の撮影空間を、その外周から複数の撮影装置で撮像を行うことにより複数の撮影画像が得られる。撮影画像は、例えば、動画像で構成される。
図1の例では、被写体#Ob1を取り囲むように3台の撮影装置CAM1乃至CAM3が配置されているが、撮影装置CAMの台数は3台に限らず、任意である。撮影時の撮影装置CAMの台数は、自由視点画像を生成する際の既知の視点数となるため、多ければ多いほど、自由視点画像を高精度に表現することができる。被写体#Ob1は、所定の動作をとっている人物とされている。
【0019】
異なる方向の複数の撮影装置CAMから得られた撮影画像を用いて、撮影空間において表示対象となる被写体#Ob1の3Dモデルである3DオブジェクトMO1が生成される(3Dモデリング)。例えば、異なる方向の撮影画像を用いて被写体の3次元形状の削り出しを行うVisual Hull等の手法を用いて、3DオブジェクトMO1が生成される。
【0020】
そして、撮影空間に存在する1以上の3Dオブジェクトのうち、1以上の3Dオブジェクトのデータ(以下、3Dモデルデータとも称する。)が、再生側の装置に伝送され、再生される。すなわち、再生側の装置において、取得した3Dオブジェクトのデータに基づいて、3Dオブジェクトのレンダリングを行うことにより、視聴者の視聴デバイスに3D形状映像が表示される。
図1においては、視聴デバイスが、ディスプレイD1や、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)D2である例を示している。
【0021】
再生側は、撮影空間に存在する1以上の3Dオブジェクトのうち、視聴対象の3Dオブジェクトだけを要求して、視聴デバイスに表示させることが可能である。例えば、再生側は、視聴者の視聴範囲が撮影範囲となるような仮想カメラを想定し、撮影空間に存在する多数の3Dオブジェクトのうち、仮想カメラで捉えられる3Dオブジェクトのみを要求して、視聴デバイスに表示させる。実世界において視聴者が任意の視点から被写体を見ることができるように、仮想カメラの視点(仮想視点)は任意の位置に設定することができる。3Dオブジェクトには、適宜、所定の空間を表す背景の映像を合成することができる。
【0022】
図2は、一般的な3Dモデルデータのデータフォーマットの例を示している。
【0023】
3Dモデルデータは、一般的には、被写体の3D形状(ジオメトリ情報)を表した3D形状データと、被写体の色情報を表したテクスチャデータとで表現される。
【0024】
3D形状データは、例えば、被写体の3次元位置を点の集合で表したポイントクラウド形式、ポリゴンメッシュと呼ばれる頂点(Vertex)と頂点間のつながりで表した3Dメッシュ形式、ボクセル(voxel)と呼ばれる立方体の集合で表したボクセル形式などで表現される。
【0025】
テクスチャデータは、例えば、各撮影装置CAMが撮影した撮影画像(2次元テクスチャ画像)で保有するマルチテクスチャ形式や、3D形状データである各ポイントまたは各ポリゴンメッシュに貼り付けられる2次元テクスチャ画像を、UV座標系で表現して保有するUVマッピング形式などがある。
【0026】
図2の上段のように、3D形状データと、各撮影装置CAMが撮影した複数の撮影画像P1乃至P8で保有するマルチテクスチャ形式とで、3Dモデルデータを記述する形式は、仮想視点(仮想カメラの位置)によって、色情報が変化し得るViewDependentな形式である。
【0027】
これに対して、
図2の下段のように、3D形状データと、被写体のテクスチャ情報をUV座標系にマッピングしたUVマッピング形式とで、3Dモデルデータを記述する形式は、仮想視点(仮想カメラの位置)によって、色情報が同一となるViewIndependentな形式である。
【0028】
<2.撮影環境の調整について>
図1を参照したような手順で生成される被写体の3Dモデル(3Dオブジェクト)は、異なるタイミングで生成された複数の3Dモデルを同一空間上に配置して表示(再生)することもできるし、同一撮影空間で同時に撮影および生成した複数の3Dモデルのなかの一つの3Dモデルのみを表示(再生)することもできる。
【0029】
例えば、
図3に示されるように、1回目の撮影において、人物A、B,Cの3人を撮影し、それぞれの3DオブジェクトMO11乃至MO13を生成したとする。そして、人物Bの服装を変更したい場合や、人物Bを人物Dに変更したい場合には、人物A、B,Cの3人を再度集めて再撮影する必要はなく、服装を変更した人物Bのみを再撮影したり、人物Dのみを再撮影すればよい。
【0030】
しかしながら、1回目の撮影時と、服装を変更した人物Bの再撮影時、または、人物Dのみの再撮影時とで、明るさが合っていなかったり、フォーカスなどの設定に違いがあると、3Dオブジェクトの差し替え前後で、コンテンツのクオリティが変わってしまう。
【0031】
そのため、1回目の撮影時の撮影環境と、再撮影時の撮影環境とをできるだけ揃える必要があるが、3Dモデル生成時の撮影では、多数の撮影装置を用いて異なる視点から被写体を撮影するため、撮影環境を合わせる作業が大変である。
【0032】
そこで、本開示の画像処理システムは、3Dモデル生成時の撮影において、異なるタイミングで撮影された複数の撮影環境を揃えることができるように、撮影環境の調整を容易に行うことができるようにしたシステムである。
【0033】
以下、本開示の画像処理システムの詳細構成について説明する。
【0034】
<3.画像処理システムの第1実施の形態>
図4は、本開示を適用した画像処理システムの第1実施の形態を示すブロック図である。
【0035】
図4の画像処理システム10は、N台(N>2)の撮影装置11-1乃至11-N、M台(M>0)の照明装置12-1乃至12-M、および、画像処理装置13とで構成される。画像処理装置13と、撮影装置11-1乃至11-Nおよび照明装置12-1乃至12-Mとは、例えば、所定の通信ケーブルまたはLAN(Local Area Network)などのネットワークで接続されている。また、各装置は、有線通信に限らず、無線通信により接続されてもよい。
【0036】
なお、以下において、N台の撮影装置11-1乃至11-Nそれぞれを特に区別しない場合、単に撮影装置11と称し、M台の照明装置12-1乃至12-Mを特に区別しない場合、単に、照明装置12と称する。N台の撮影装置11には、所定の順番で番号が割り当てられている。
【0037】
N台の撮影装置11-1乃至11-Nは、被写体に対して異なる方向からの撮影となるように、被写体を囲むように所定の撮影空間に配置される。撮影装置11は、被写体の3Dモデル(3Dオブジェクト)を生成するための撮影を行う。撮影の開始および終了のタイミングは、画像処理装置13によって制御され、撮影により得られた静止画または動画像の画像データも、画像処理装置13に供給される。
【0038】
M台の照明装置12-1乃至12-Mは、被写体に対して異なる方向から光を照射するように、被写体を囲むように所定の撮影空間に配置される。照明装置12は、被写体の撮影を行う際に、被写体に光を照射する。照明装置12の照射のタイミングや照明条件は、画像処理装置13によって制御される。
【0039】
N台の撮影装置11およびM台の照明装置12で囲まれた撮影空間の中心には、被写体が配置される。現在の撮影環境と、過去の撮影環境とを合わせるための被写体としては、例えば、マネキンなどの条件が変わらない物体が使用される。
【0040】
画像処理装置13は、参照カメラ画像DB21、参照撮影環境選択部22、初期撮影環境設定部23、撮影環境調整部24、および、撮影環境登録部25を有する。
【0041】
なお、第1実施の形態の画像処理装置13は、今回撮影を行う撮影空間と、撮影環境を合わせたい過去の撮影空間とが同一であり、撮影装置11の台数と、(x,y,z)で特定される撮影装置11の3次元位置と、(yaw,pitch,roll)で特定される撮影装置11の姿勢のうちのrollが、変化していないとした場合に対応した構成を示している。
【0042】
画像処理装置13は、被写体の3Dモデル(3Dオブジェクト)を生成するための撮影時の撮影環境を調整する処理を実行する。具体的には、画像処理装置13は、各撮影装置11については、撮影装置11の3次元上の位置(x,y,z)および姿勢(yaw,pitch,roll)と、撮影時のフォーカス(ピント位置)、シャッタスピード、および、ゲインとを調整し、各照明装置12については、照明時の照度および色温度を調整する。ここで、数値的に設定可能なパラメータは、撮影装置11のシャッタスピードおよびゲインと、照明装置12の照度および色温度である。ただし、前提により、撮影装置11の3次元上の位置(x,y,z)およびrollは、合わせたい過去の撮影時と変更されていない。
【0043】
参照カメラ画像DB21は、3Dモデル生成の撮影を過去に行ったときの撮影環境を特定するデータ(以下、撮影環境データとも称する。)、例えば、画像処理装置13が制御する上記の撮影装置11と照明装置12の各パラメータ等を記憶しており、必要に応じて、装置内の各部に供給する。
【0044】
図5は、参照カメラ画像DB21に記憶されている撮影環境データの例を示している。
【0045】
参照カメラ画像DB21には、撮影環境ID、撮影日、照明装置12の照度、照明装置12の色温度、撮影装置配置ID、撮影装置11の台数、および、台数分の撮影装置11のパラメータとカメラ画像が、撮影装置11ごとに記憶されている。
【0046】
撮影環境IDは、参照カメラ画像DB21に記憶されている各撮影環境データを識別する識別情報である。撮影日は、撮影が行われた日時を示す情報である。
【0047】
照明装置照度および照明装置色温度は、撮影が行われた時の照明装置12の照度および色温度の設定値を表す。照度および色温度は、照明装置12の照明パラメータを構成する。
【0048】
撮影装置配置IDは、撮影装置11の配置方法を識別する情報である。例えば、ID=1は、4台の撮影装置11を四隅に配置した配置方法、ID=2は、水平方向の周囲に8台、斜め上方の周囲に4台、斜め下方の周囲に4台の計16台の撮影装置11を配置した配置方法、などのように、IDの値によって配置方法が決定されている。
【0049】
撮影装置台数は、撮影に使用された撮影装置11の台数を表す。
【0050】
撮影装置11のパラメータ(カメラパラメータ)としては、シャッタスピード、ゲイン、内部パラメータ、および、外部パラメータが、記憶されている。内部パラメータは、撮影装置11の光学中心座標(cx,cy)と焦点距離(fx,fy)であり、外部パラメータは、3次元上の位置(x,y,z)および姿勢(yaw,pitch,roll)である。
【0051】
カメラ画像は、過去に撮影を行った時に、その撮影装置11で被写体を撮影した画像であり、のちの撮影において参照画像として比較され得る画像である。カメラ画像は、静止画とするが、動画像でもよい。
【0052】
以上のように、参照カメラ画像DB21は、過去に(異なるタイミングで)所定の被写体を撮影したカメラパラメータと照明パラメータおよびカメラ画像を記憶している。
図4の説明に戻る。
【0053】
参照撮影環境選択部22は、参照カメラ画像DB21に記憶されている撮影環境データのリストである撮影環境リストを取得し、ディスプレイに表示するなどして、ユーザに提示する。そして、参照撮影環境選択部22は、ユーザに所望の撮影環境IDを選択させることにより、撮影環境リストのなかの所定の1つの撮影環境をユーザに選択させる。ユーザによって選択された撮影環境IDが、今回の撮影において参照される撮影環境IDrとして、初期撮影環境設定部23に供給される。
【0054】
初期撮影環境設定部23は、参照撮影環境選択部22から供給される撮影環境IDrに基づいて、撮影環境IDrの環境パラメータを、参照カメラ画像DB21から取得する。環境パラメータは、撮影環境データのうちの、撮影装置11のカメラパラメータと照明装置12の照度パラメータに相当する。
【0055】
そして、初期撮影環境設定部23は、参照カメラ画像DB21から取得した環境パラメータと同じになるように、撮影装置11および照明装置12の各パラメータを設定する。すなわち、初期撮影環境設定部23は、撮影環境IDrと同じ撮影環境を初期撮影環境として設定する。
【0056】
また、初期撮影環境設定部23は、今回の撮影環境の撮影環境データを参照カメラ画像DB21に登録するための新規の記録領域を確保し、その撮影環境IDを撮影環境IDxとする。初期撮影環境設定部23は、撮影環境IDrを、撮影環境調整部24に供給する。
【0057】
撮影環境調整部24は、初期撮影環境設定部23から供給される撮影環境IDrに基づいて、撮影環境IDrに記憶されている全ての撮影装置11のカメラ画像を、参照画像として、参照カメラ画像DB21から取得する。
【0058】
そして、撮影環境調整部24は、各撮影装置11で被写体を撮影し、その結果得られた撮影画像と、参照カメラ画像DB21から参照画像として取得したカメラ画像とを比較し、撮影装置11のカメラパラメータを、撮影装置11の台数分調整する。撮影環境調整部24は、撮影環境IDrを、撮影環境登録部25に供給する。
【0059】
撮影環境登録部25は、撮影環境調整部24が調整を行った後の最終状態のカメラパラメータと撮影画像を取得し、参照カメラ画像DB21に記憶させる(登録する)。具体的には、撮影環境登録部25は、調整を行った後の最終状態で、撮影装置11の内部パラメータおよび外部パラメータを推定するとともに、被写体を撮影して、撮影画像を取得する。そして、撮影環境登録部25は、現在の撮影環境の撮影環境データ用に確保された参照カメラ画像DB21内の撮影環境IDxの記録領域に、カメラパラメータと撮影画像を記憶する。被写体を撮影した撮影画像は、参照用のカメラ画像として記憶される。
【0060】
第1実施の形態の画像処理システム10は、以上のように構成される。
【0061】
図6は、第1実施の形態において、画像処理装置13が実行する撮影環境の調整処理の流れを簡単に示した図である。
【0062】
画像処理装置13は、初めに、ユーザによって選択された撮影環境IDrの環境パラメータのうち、数値的に設定可能なパラメータである、照明装置12の照明パラメータ、並びに、撮影装置11のシャッタスピードおよびゲインを設定した後、1回目の撮影を行い、撮影画像を取得する。
【0063】
1回目の撮影で得られた撮影画像を、撮影環境IDrの同じ撮影位置のカメラ画像と比較すると、撮影装置11の姿勢と、フォーカスがずれた状態となっている。
【0064】
そこで、画像処理装置13は、1回目の撮影画像を用いて、撮影装置11の姿勢のずれを検出して調整(制御)した後、2回目の撮影を行い、撮影画像を取得する。ここでの姿勢のずれとは、rollは変化していない前提としているので、yawとpitchのずれに相当する。
【0065】
2回目の撮影で得られた撮影画像は、撮影装置11の姿勢は合っているが、まだフォーカスがずれた状態となっている。
【0066】
そこで、画像処理装置13は、2回目の撮影画像を用いて、撮影装置11のフォーカスのずれを検出して調整(制御)した後、3回目の撮影を行い、撮影画像を取得する。3回目の撮影画像は、撮影環境IDrの同じ撮影位置のカメラ画像と同等となる。
【0067】
以上のように、画像処理装置13の撮影環境調整部24は、異なるタイミングである過去に所定の被写体を撮影したカメラ画像を参照画像として、同一の被写体を現在の環境で撮影した撮影画像と比較した比較結果に基づいて、カメラパラメータを調整する。
【0068】
<4.第1実施の形態に係る画像処理システムによる処理>
図7は、第1実施の形態に係る画像処理システム10全体の処理を示すフローチャートである。この処理は、例えば、画像処理装置13の図示せぬ操作部において、撮影環境の調整開始を指示する操作が行われたとき開始される。
【0069】
初めに、ステップS1において、参照撮影環境選択部22は、参照カメラ画像DB21に記憶されている撮影環境リストから、今回の撮影において参照される過去の撮影環境をユーザに選択させる参照撮影環境選択処理を実行する。
【0070】
図8は、
図7のステップS1において実行される参照撮影環境選択処理の詳細を示すフローチャートである。
【0071】
参照撮影環境選択処理では、初めに、ステップS21において、参照撮影環境選択部22は、撮影環境データのリストである撮影環境リストを、参照カメラ画像DB21から取得してディスプレイに表示し、ユーザに選択させる。例えば、ユーザは、今回の撮影において合わせたい撮影環境の撮影環境IDを指定する操作を行う。
【0072】
ステップS22において、参照撮影環境選択部22は、ユーザによって選択された撮影環境IDを取得し、その撮影環境IDを、今回の撮影において参照される撮影環境IDrとする。
【0073】
ステップS23において、参照撮影環境選択部22は、撮影環境IDrを、初期撮影環境設定部23に供給する。
【0074】
以上で参照撮影環境選択処理が終了し、処理は、
図7に戻って、ステップS2に進む。
【0075】
図7のステップS2において、初期撮影環境設定部23は、参照撮影環境選択部22から供給された撮影環境IDrと同じ撮影環境を、初期撮影環境として設定する初期撮影環境設定処理を実行する。
【0076】
図9は、
図7のステップS2において実行される初期撮影環境設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0077】
初期撮影環境設定処理では、初めに、ステップS41において、初期撮影環境設定部23は、今回の撮影環境の撮影環境データを参照カメラ画像DB21に登録するための新規の記録領域を確保し、その撮影環境IDを撮影環境IDxとする。
【0078】
ステップS42において、初期撮影環境設定部23は、参照カメラ画像DB21から撮影環境IDrの撮影環境データを取得し、撮影環境IDxの記録領域にコピーする。なお、撮影環境IDxの撮影日には、現在の日付が記録される。
【0079】
ステップS43において、初期撮影環境設定部23は、参照撮影環境選択部22から取得した撮影環境IDrの撮影環境データに基づいて、照明装置12の照度および色温度を設定するとともに、全ての撮影装置11に対して、シャッタスピードとゲインを設定する。
【0080】
ステップS44において、初期撮影環境設定部23は、カメラキャリブレーションを実行し、全ての撮影装置11の内部パラメータと外部パラメータを決定(推定)する。カメラキャリブレーションは、例えば、チェスボードなどの既知のキャリブレーションパターンを撮影し、その撮影画像から、内部パラメータと外部パラメータを決定(推定)する処理である。
【0081】
ステップS45において、初期撮影環境設定部23は、撮影環境IDrを、撮影環境調整部24に供給する。
【0082】
以上で初期撮影環境設定処理が終了し、処理は、
図7に戻って、ステップS3に進む。
【0083】
図7のステップS3において、撮影環境調整部24は、各撮影装置11が被写体を撮影した撮影画像を、参照画像としての撮影環境IDrのカメラ画像と比較することにより各撮影装置11のカメラパラメータを調整する撮影環境調整処理を実行する。
【0084】
図10は、
図7のステップS3において実行される撮影環境調整処理の詳細を示すフローチャートである。
【0085】
撮影環境調整処理では、初めに、ステップS61において、撮影環境調整部24は、初期撮影環境設定部23から供給された撮影環境IDrに基づいて、撮影環境IDrに記憶されている全ての撮影装置11のカメラ画像を、参照画像として、参照カメラ画像DB21から取得する。
【0086】
ステップS62において、撮影環境調整部24は、N台の撮影装置11のうちの所定の撮影装置11を特定する変数iに、初期値として1を設定する。
【0087】
ステップS63において、撮影環境調整部24は、i番目の撮影装置11で撮影した撮影画像と、撮影環境IDrから参照画像として取得した、対応するカメラ画像とを比較することで、i番目の撮影装置11の姿勢(yawおよびpitch)と、フォーカスを調整するカメラパラメータ調整処理を実行する。
【0088】
図11は、
図10のステップS63において実行されるカメラパラメータ調整処理の詳細を示すフローチャートである。
【0089】
カメラパラメータ調整処理では、初めに、ステップS81において、撮影環境調整部24は、i番目の撮影装置11で被写体を撮影し、撮影画像を取得する。ここで撮影される被写体は、マネキンなど条件が変わらない物体であり、かつ、撮影環境IDrのカメラ画像に写る被写体と同じ物体である。
【0090】
続いて、ステップS82において、撮影環境調整部24は、取得した撮影画像を、i番目の参照画像であるカメラ画像と比較し、2次元画像内の被写体のずれを算出する。例えば、撮影環境調整部24は、2枚の画像の対応する点(被写体の所定箇所)が、どこからどこへ移動したかを探索するオプティカルフローを算出し、そのベクトルの大きさにより、被写体のずれを算出する。
【0091】
ステップS83において、撮影環境調整部24は、算出された被写体のずれが所定の閾値Th1以内であるかを判定する。
【0092】
ステップS83で、算出された被写体のずれが所定の閾値Th1以内ではない(所定の閾値Th1より大きい)と判定された場合、処理はステップS84に進み、撮影環境調整部24は、算出された被写体のずれを基に、i番目の撮影装置11の姿勢を調整する。例えば、i番目の撮影装置11のyawとpitchのずれを補正する制御コマンドが、i番目の撮影装置11に送信される。
【0093】
ステップS84の後、処理はステップS81に戻り、上述したステップS81乃至S83が再度実行される。
【0094】
一方、ステップS83で、算出された被写体のずれが所定の閾値Th1以内であると判定された場合、処理はステップS85に進み、撮影環境調整部24は、i番目の撮影装置11で被写体を撮影し、撮影画像を取得する。
【0095】
続いて、ステップS86において、撮影環境調整部24は、撮影画像を、i番目の参照画像であるカメラ画像と比較し、フォーカス(ピント位置)のずれ具合を算出する。例えば、撮影環境調整部24は、2枚の画像それぞれの周波数成分の差を、フォーカスのずれ具合として算出したり、2枚の画像それぞれの微分画像の差を、フォーカスのずれ具合として算出する。フォーカスのずれ具合を何らかの方法で数値化し、比較できればよい。
【0096】
ステップS87において、撮影環境調整部24は、算出されたフォーカスのずれ具合が、所定の閾値Th2以内であるかを判定する。
【0097】
ステップS87で、算出されたフォーカスのずれ具合が、所定の閾値Th2以内ではない(所定の閾値Th2より大きい)と判定された場合、処理はステップS88に進み、撮影環境調整部24は、算出されたフォーカスのずれ具合を基に、フォーカスを調整する。例えば、i番目の撮影装置11のフォーカス位置を補正する制御コマンドが、i番目の撮影装置11に送信される。
【0098】
一方、ステップS87で、算出されたフォーカスのずれ具合が、所定の閾値Th2以内であると判定された場合、カメラパラメータ調整処理が終了し、処理は、
図10に戻って、ステップS64に進む。
【0099】
ステップS64において、撮影環境調整部24は、全ての撮影装置11、即ちN台の撮影装置11に対してカメラパラメータ調整処理を行ったかを判定する。
【0100】
ステップS64で、全ての撮影装置11に対してカメラパラメータ調整処理をまだ行っていないと判定された場合、処理はステップS65に進み、撮影環境調整部24は、変数iを1だけインクリメントさせた後、処理をステップS63に戻す。これにより、次の撮影装置11に対するカメラパラメータ調整処理が実行される。
【0101】
一方、ステップS64で、全ての撮影装置11に対してカメラパラメータ調整処理を行ったと判定された場合、撮影環境調整処理が終了し、処理は、
図7に戻って、ステップS4に進む。
【0102】
図7のステップS4において、撮影環境登録部25は、撮影環境調整部24が調整を行った後の最終状態の撮影環境データを、参照カメラ画像DB21に登録する撮影環境登録処理を実行する。
【0103】
図12は、
図7のステップS4において実行される撮影環境登録処理の詳細を示すフローチャートである。
【0104】
撮影環境登録処理では、初めに、ステップS101において、撮影環境登録部25は、カメラキャリブレーションを実行し、全ての撮影装置11の内部パラメータと外部パラメータを決定(推定)する。この処理は、
図9の初期撮影環境設定処理のステップS44で実行した処理と同様である。
【0105】
続いて、ステップS102において、撮影環境登録部25は、全ての撮影装置11で被写体を撮影し、撮影画像を取得する。
【0106】
ステップS103において、撮影環境登録部25は、参照カメラ画像DB21内の撮影環境IDxの記録領域に、全ての撮影装置11の内部パラメータおよび外部パラメータと撮影画像を記憶させる。その他の照明装置12の照度および色温度、撮影装置配置ID、撮影装置11の台数、シャッタスピードおよびゲインは、
図9の初期撮影環境設定処理におけるステップS42の処理により、既に記憶されている。
【0107】
以上で撮影環境登録処理が終了して
図7に戻り、
図7の処理自体も終了する。
【0108】
以上の調整処理を実行する画像処理システム10の第1実施の形態によれば、撮影装置11の3次元位置とrollが変化していないという条件下において、画像処理装置13が、各照明装置12の照明パラメータ(照度および色温度)と、各撮影装置11の姿勢(yawおよびpitch)、フォーカス(ピント位置)、シャッタスピード、および、ゲインを、過去の撮影環境に自動で合わせることが可能となる。これにより、ユーザが撮影画像を見ながら手動で合わせる従来の手法と比較して、撮影環境の調整を容易に行うことができ、運用コストを削減することができる。
【0109】
<5.画像処理システムの第2実施の形態>
図13は、本開示を適用した画像処理システムの第2実施の形態を示すブロック図である。
【0110】
図13の第2実施の形態において、
図4に示した第1実施の形態と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0111】
図13の画像処理システム10は、N台の撮影装置11-1乃至11-N、M台の照明装置12-1乃至12-M、および、画像処理装置13とで構成される。
【0112】
上述した第1実施の形態では、今回の撮影装置11の3次元位置とrollが変化していない場合に、今回の撮影環境を、過去の撮影環境に合わせる場合の構成であったが、第2実施の形態は、撮影装置11の3次元位置とrollも変化している場合に対応した構成を示している。例えば、N台の撮影装置11-1乃至11-Nの配置を変更した場合や、撮影スタジオ(撮影空間)が異なる場合などが考えられる。
【0113】
画像処理装置13は、参照カメラ画像DB21、参照撮影環境選択部22、初期撮影環境設定部23、参照仮想視点画像生成部51、撮影環境調整部24A、および、撮影環境登録部25を有する。
【0114】
したがって、第2実施の形態の画像処理装置13は、第1実施の形態と比較すると、参照仮想視点画像生成部51が新たに追加されるとともに、撮影環境調整部24が、撮影環境調整部24Aに変更されている。画像処理装置13のその他の構成は、第1実施の形態と同様である。
【0115】
参照仮想視点画像生成部51は、撮影環境IDrを、初期撮影環境設定部23から取得する。そして、参照仮想視点画像生成部51は、撮影環境IDrに記憶されている各撮影装置1乃至Nの内部パラメータおよび外部パラメータとカメラ画像を使用して、被写体の3Dモデルを生成する。さらに、参照仮想視点画像生成部51は、生成した被写体の3Dモデルを、今回の撮影装置11それぞれと同じ視点から見た仮想視点画像を、参照仮想視点画像として生成し、撮影環境IDrとともに撮影環境調整部24Aに供給する。
【0116】
撮影環境調整部24Aは、参照仮想視点画像生成部51から供給される撮影環境IDrに基づいて、参照カメラ画像DB21から、撮影環境IDrに記憶されている照明パラメータ(照度および色温度)を取得する。そして、撮影環境調整部24Aは、照明装置12の設定値を、撮影環境IDrの照度および色温度に調整する。また、撮影環境調整部24Aは、参照仮想視点画像生成部51から供給される撮影装置11それぞれに対応する参照仮想視点画像と、撮影装置11が撮影した撮影画像とを比較し、撮影装置11のカメラパラメータを調整する。
【0117】
第2実施の形態における画像処理システム10は、以上のように構成される。
【0118】
図14は、第2実施の形態において撮影環境調整部24Aが実行する撮影環境調整処理を説明する図である。
【0119】
第2実施の形態では、撮影装置11の配置が、過去の撮影時の配置と異なることを想定しているため、参照カメラ画像DB21から取得した撮影環境IDrのカメラ画像の視点と、撮影装置11の視点が異なることが想定される。したがって、まず、参照画像の視点と、撮影装置11の視点を合わせる必要がある。
【0120】
そこで、参照仮想視点画像生成部51は、参照カメラ画像DB21から取得した撮影環境IDrの各撮影装置1乃至Nの内部パラメータおよび外部パラメータとカメラ画像とから、被写体の3Dモデルを生成し、生成した3Dモデルを、現在の環境である撮影装置11それぞれの視点から見た仮想視点画像を参照画像として生成する。これにより、生成された仮想視点画像は、今回の撮影装置11のいずれかと同じ視点からの画像となるので、撮影環境調整部24Aが、生成された仮想視点画像と、それと同じ視点の撮影装置11が被写体を撮影した撮影画像とを比較し、比較結果に基づいて、カメラパラメータを調整することができる。
【0121】
また、第2実施の形態では、撮影装置11の配置の違いにより明るさにも違いがあることが想定されるため、撮影環境調整部24Aは、照明パラメータも調整する。撮影環境調整部24Aのその他の調整は、第1実施の形態の撮影環境調整部24と同様である。
【0122】
<6.第2実施の形態に係る画像処理システムによる処理>
図15は、第2実施の形態に係る画像処理システム10全体の処理を示すフローチャートである。この処理は、例えば、画像処理装置13の図示せぬ操作部において、撮影環境の調整開始を指示する操作が行われたとき開始される。
【0123】
初めに、ステップS151において、参照撮影環境選択部22は、参照カメラ画像DB21に記憶されている撮影環境リストから、今回の撮影において参照される過去の撮影環境をユーザに選択させる参照撮影環境選択処理を実行する。この処理の詳細は、
図8のフローチャートで説明した処理と同様である。
【0124】
ステップS152において、初期撮影環境設定部23は、参照撮影環境選択部22から供給された撮影環境IDrと同じ撮影環境を、初期撮影環境として設定する初期撮影環境設定処理を実行する。この処理の詳細は、
図9のフローチャートで説明した処理と同様である。
【0125】
ステップS153において、参照仮想視点画像生成部51は、撮影環境IDrに記憶されている撮影環境データから3Dモデルを生成し、生成した3Dモデルを、今回の撮影装置11それぞれの視点から見た仮想視点画像を、参照仮想視点画像として生成する参照仮想視点画像生成処理を実行する。この処理の詳細は、
図16を参照して後述する。
【0126】
ステップS154において、撮影環境調整部24Aは、各撮影装置11が被写体を撮影した撮影画像を、参照画像としての参照仮想視点画像と比較することにより、各撮影装置11のカメラパラメータを調整する撮影環境調整処理を実行する。この処理の詳細は、
図17および
図18を参照して後述する。
【0127】
ステップS155において、撮影環境登録部25は、撮影環境調整部24が調整を行った後の最終状態の撮影環境データを、参照カメラ画像DB21に登録する撮影環境登録処理を実行する。
【0128】
図16は、
図15のステップS153において実行される参照仮想視点画像生成処理の詳細を示すフローチャートである。
【0129】
初めに、ステップS171において、参照仮想視点画像生成部51は、初期撮影環境設定部23から供給された撮影環境IDrに記憶されている各撮影装置1乃至Nの内部パラメータおよび外部パラメータとカメラ画像を使用して、被写体の3Dモデルを生成する。
【0130】
ステップS172において、参照仮想視点画像生成部51は、生成した被写体の3Dモデルを、今回の撮影装置11それぞれの視点から見た仮想視点画像を、参照仮想視点画像として生成し、撮影環境IDrとともに撮影環境調整部24Aに供給する。
【0131】
以上で参照仮想視点画像生成処理が終了し、処理は、
図15に戻って、ステップS154に進む。
【0132】
図17は、
図15のステップS154において実行される撮影環境調整処理の詳細を示すフローチャートである。
【0133】
初めに、ステップS191において、撮影環境調整部24Aは、参照仮想視点画像生成部51から供給された撮影環境IDrに基づいて、参照カメラ画像DB21から、撮影環境IDrに記憶されている照明パラメータ(照度および色温度)を取得し、照明装置12の設定値を、撮影環境IDrの照度および色温度に調整する。
【0134】
ステップS192において、撮影環境調整部24Aは、N台の撮影装置11のうちの所定の撮影装置11を特定する変数iに、初期値として1を設定する。
【0135】
ステップS193において、撮影環境調整部24Aは、i番目の撮影装置11で撮影した撮影画像と、参照仮想視点画像生成部51で生成された、対応する参照仮想視点画像とを比較することで、i番目の撮影装置11のカメラパラメータを調整するカメラパラメータ調整処理を実行する。この処理の詳細は、
図18を参照して後述する。
【0136】
ステップS194において、撮影環境調整部24Aは、全ての撮影装置11、即ちN台の撮影装置11に対してカメラパラメータ調整処理を行ったかを判定する。
【0137】
ステップS194で、全ての撮影装置11に対してカメラパラメータ調整処理を行っていないと判定された場合、処理はステップS195に進み、撮影環境調整部24Aは、変数iを1だけインクリメントさせた後、処理をステップS193に戻す。これにより、次の撮影装置11に対するカメラパラメータ調整処理が実行される。
【0138】
一方、ステップS194で、全ての撮影装置11に対してカメラパラメータ調整処理を行ったと判定された場合、撮影環境調整処理が終了し、処理は、
図15に戻って、ステップS155に進む。
【0139】
図18は、
図17のステップS193において実行されるカメラパラメータ調整処理の詳細を示すフローチャートである。
【0140】
カメラパラメータ調整処理では、初めに、ステップS211において、撮影環境調整部24Aは、i番目の撮影装置11で被写体を撮影し、撮影画像を取得する。ここで撮影される被写体は、マネキンなど条件が変わらない物体であり、かつ、撮影環境IDrのカメラ画像に写る被写体と同じ物体である。
【0141】
続いて、ステップS212において、撮影環境調整部24Aは、取得した撮影画像を、対応する参照仮想視点画像と比較し、2次元画像内の被写体の明るさのずれを算出する。例えば、撮影環境調整部24Aは、2枚の画像の対応する点(被写体の所定箇所)のRGB値から変換した輝度値の差を、明るさのずれとして算出する。
【0142】
ステップS213において、撮影環境調整部24Aは、算出された被写体の明るさのずれが所定の閾値Th3以内であるかを判定する。
【0143】
ステップS213で、算出された被写体の明るさのずれが所定の閾値Th3以内ではない(所定の閾値Th3より大きい)と判定された場合、処理はステップS214に進み、撮影環境調整部24Aは、算出された被写体の明るさのずれを基に、i番目の撮影装置11のシャッタスピードおよびゲインの少なくとも一方を調整する。例えば、i番目の撮影装置11のゲインを変更する制御コマンドが、i番目の撮影装置11に送信される。
【0144】
ステップS214の後、処理はステップS211に戻り、上述したステップS211乃至S213が再度実行される。
【0145】
一方、ステップS213で、算出された被写体の明るさのずれが所定の閾値Th3以内であると判定された場合、処理はステップS215に進み、撮影環境調整部24Aは、i番目の撮影装置11で被写体を撮影し、撮影画像を取得する。
【0146】
続いて、ステップS216において、撮影環境調整部24Aは、取得した撮影画像を、対応する参照仮想視点画像と比較し、フォーカス(ピント位置)のずれ具合を算出する。この処理は、第1実施の形態にける
図11のステップS86と同様である。
【0147】
ステップS217において、撮影環境調整部24Aは、算出されたフォーカスのずれ具合が、所定の閾値Th4以内であるかを判定する。
【0148】
ステップS217で、算出されたフォーカスのずれ具合が、所定の閾値Th4以内ではないと判定された場合、処理はステップS218に進み、撮影環境調整部24Aは、算出されたフォーカスのずれ具合を基に、フォーカスを調整する。この処理は、第1実施の形態にける
図11のステップS88と同様である。
【0149】
一方、ステップS217で、算出されたフォーカスのずれ具合が、所定の閾値Th4以内であると判定された場合、カメラパラメータ調整処理が終了し、処理は、
図17に戻って、ステップS194に進む。
【0150】
第2実施の形態に係る画像処理システム10の処理は以上のように実行される。
【0151】
画像処理システム10の第2実施の形態によれば、例えば、撮影装置11の3次元位置が変更されたような場合においても、画像処理装置13が、各照明装置12の照明パラメータ(照度および色温度)と、各撮影装置11のフォーカス(ピント位置)、シャッタスピード、および、ゲインを、過去の撮影環境に自動で合わせることが可能となる。これにより、ユーザが撮影画像を見ながら手動で合わせる従来の手法と比較して、撮影環境の調整を容易に行うことができ、運用コストを削減することができる。
【0152】
画像処理装置13は、上述した第1実施の形態の構成と第2実施の形態の構成の両方を備え、現在の撮影装置11の3次元位置が、合わせたい過去の撮影環境と同じか否か等を指定することによって、いずれか一方の調整処理を選択して実行することができる。
【0153】
<7.3Dモデル再生表示装置としての構成>
画像処理システム10の画像処理装置13は、撮影環境を調整する処理だけではなく、撮影環境が調整された後に、撮影装置11と照明装置12を制御して、調整用ではない3Dモデル生成対象の被写体を撮影して動画像データを取得し、3Dモデルを生成する処理と、生成された3Dモデルを任意の仮想視点から見た仮想視点画像を生成し、所定の表示装置に表示させる表示処理を行う3Dモデル再生表示装置としての機能も備える。
【0154】
図19は、画像処理装置13が3Dモデル再生表示装置としての機能を実行する場合の構成例を示すブロック図である。
【0155】
画像処理装置13は、画像取得部71、3Dモデル生成部72、3DモデルDB73、レンダリング部74、および、参照カメラ画像DB21を備える。
【0156】
画像取得部71は、N台の撮影装置11-1乃至11-Nそれぞれから供給される、被写体を撮影した撮影画像(動画像)を取得し、3Dモデル生成部72に供給する。
【0157】
3Dモデル生成部72は、参照カメラ画像DB21から、現在の撮影環境の撮影装置1乃至Nのカメラパラメータを取得する。カメラパラメータには、外部パラメータおよび内部パラメータが少なくとも含まれる。
【0158】
3Dモデル生成部72は、N台の撮影装置11-1乃至11-Nで撮影された撮影画像と、カメラパラメータとに基づいて、被写体の3Dモデルを生成し、生成した3Dモデルの動画像データ(3Dモデルデータ)を、3DモデルDB73に記憶させる。
【0159】
3DモデルDB73は、3Dモデル生成部72で生成された3Dモデルデータを記憶し、レンダリング部74から要求に応じて、レンダリング部74に供給する。3DモデルDB73と参照カメラ画像DB21は、同一の記憶媒体であってもよいし、別々の記憶媒体であってもよい。
【0160】
レンダリング部74は、3Dモデルの再生画像を視聴する視聴者が指定する3Dモデルの動画像データ(3Dモデルデータ)を3DモデルDB73から取得する。そして、レンダリング部74は、図示せぬ操作部から供給される視聴者の視聴位置から、3Dモデルを見た2次元画像を生成(再生)し、表示装置81に供給する。レンダリング部74は、視聴者の視聴範囲が撮影範囲となるような仮想カメラを想定し、仮想カメラで捉えられる3Dオブジェクトの2次元画像を生成して、表示装置81に表示させる。表示装置81は、
図1に示したようなディスプレイD1や、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)D2などで構成される。
【0161】
<8.コンピュータ構成例>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているマイクロコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0162】
図20は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0163】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0164】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、入力部106、出力部107、記憶部108、通信部109、及びドライブ110が接続されている。
【0165】
入力部106は、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部107は、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部108は、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部109は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ110は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体111を駆動する。
【0166】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0167】
コンピュータ(CPU101)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体111に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0168】
本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる場合はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで実行されてもよい。
【0169】
本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0170】
本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0171】
例えば、上述した複数の実施の形態の全てまたは一部を組み合わせた形態を採用することができる。
【0172】
例えば、本開示は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0173】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0174】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0175】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
【0176】
なお、本開示は、以下の構成を取ることができる。
(1)
異なるタイミングで所定の被写体を撮影した画像に基づく参照画像と、同一の被写体を現在の環境で撮影した撮影画像との比較結果に基づいて、カメラパラメータを調整する調整部を備える
画像処理装置。
(2)
前記調整部は、前記異なるタイミングで所定の被写体を撮影した画像を前記参照画像として前記撮影画像と比較し、前記カメラパラメータを調整する
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記異なるタイミングで所定の被写体を撮影した複数の前記画像から前記被写体の3Dモデルを生成し、生成した前記3Dモデルを、前記現在の環境の視点から見た仮想視点画像を前記参照画像として生成する参照画像生成部をさらに備え、
前記調整部は、前記参照画像としての前記仮想視点画像と、前記撮影画像とを比較し、前記カメラパラメータを調整する
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記異なるタイミングで所定の被写体を撮影した画像を、1以上の環境について記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている1以上の環境のなかの所定の1つをユーザに選択させる選択部と
をさらに備え、
前記調整部は、前記ユーザによって選択された前記環境の前記画像に基づく参照画像と、前記撮影画像との比較結果に基づいて、カメラパラメータを調整する
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(5)
前記調整部は、前記カメラパラメータとして、シャッタスピードとゲインを少なくとも調整する
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)
前記調整部は、前記カメラパラメータとして、撮影装置の内部パラメータと外部パラメータを少なくとも調整する
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)
前記調整部は、前記カメラパラメータに加えて、照明装置のパラメータも調整する
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の画像処理装置。
(8)
前記照明装置のパラメータは、照度と色温度である
前記(7)に記載の画像処理装置。
(9)
異なるタイミングで所定の被写体を撮影した画像に基づく参照画像と、同一の被写体を現在の環境で撮影した撮影画像との比較結果に基づいて、カメラパラメータを調整する
画像処理方法。
(10)
異なるタイミングで第1の被写体を撮影した画像に基づく参照画像と、前記第1の被写体を現在の環境で撮影した第1の撮影画像との比較結果に基づいて調整したカメラパラメータを用いた複数の撮影装置で第2の被写体を撮影した複数の第2の撮影画像から、前記第2の被写体の3Dモデルを生成し、生成した前記第2の被写体の3Dモデルを、所定の視点から見た仮想視点画像を生成する
3Dモデルデータ生成方法。
【符号の説明】
【0177】
10 画像処理システム, 11-1乃至11-N 撮影装置, 12-1乃至12-M 照明装置, 13 画像処理装置, 21 参照カメラ画像DB, 22 参照撮影環境選択部, 23 初期撮影環境設定部, 24,24A 撮影環境調整部, 25 撮影環境登録部, 51 参照仮想視点画像生成部, 71 画像取得部, 72 3Dモデル生成部, 73 3DモデルDB, 74 レンダリング部, 81 表示装置, 101 CPU, 102 ROM, 103 RAM, 106 入力部, 107 出力部, 108 記憶部, 109 通信部, 110 ドライブ