(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】吸収係数画像生成方法、核医学診断装置および学習済みモデルの作成方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
G01T1/161 D
(21)【出願番号】P 2022532213
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2020025275
(87)【国際公開番号】W WO2021260928
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】繁木 結衣
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-008164(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0336095(US,A1)
【文献】特表2019-531783(JP,A)
【文献】国際公開第2019/172181(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/240257(WO,A1)
【文献】特開2013-185855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161-1/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体内の吸収係数画像を生成する核医学診断装置のための吸収係数画像生成方法であって、
前記被写体から放射された放射線の検出に基づいて取得された測定データに対して、画像化処理を行うことにより、入力画像を生成するステップと、
前記入力画像に基づいて、各画素に含まれる
複数の組織の割合を示す
複数の組織組成比画像、または、各画素が
複数の組織のいずれの組織に属するかの確率を示す
複数の信頼度画像を生成するステップと、
複数の前記組織組成比画像または
複数の前記信頼度画像
の各々の画像について組織領域の既知の吸収係数
を乗じた上で前記各々の画像を足し合わせることによる重み付け加算に基づいて、吸収係数画像を生成するステップと、を備える、吸収係数画像生成方法。
【請求項2】
前記吸収係数画像を生成するステップは、既知の吸収係数に基づいて、
複数の前記組織組成比画像中の組織または
複数の前記信頼度画像中の組織に吸収係数を割り当てるステップを含む、請求項1に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項3】
前記入力画像を生成するステップは、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを行うことなく、前記入力画像を生成するステップを含む、請求項1に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項4】
前記入力画像を生成するステップは、前記測定データに対して、逆投影処理を含む処理を行うステップを含む、請求項1に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項5】
前記入力画像は、画像化処理された前記測定データに対して、画質変換処理を適用していない画像、画質変換処理を適用した画像、および、領域識別処理を適用した画像のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項6】
前記入力画像は、2種類以上の解像度の画像を含む、請求項1に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項7】
複数の前記組織組成比画像または
複数の前記信頼度画像を生成するステップは、前記入力画像に対して、予め学習された機械学習モデルを適用するステップを含む、請求項1に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項8】
前記機械学習モデルの学習データとしての前記入力画像は、画素値範囲が正規化された正規化画像、前記正規化画像に対して0よりも大きく、1よりも小さい係数が乗算された画像、および、前記正規化画像または正規化前の画像の特定領域に対して正の係数が乗算された画像のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項9】
前記機械学習モデルは、前記組織組成比画像または前記信頼度画像に加えて、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを適用した再構成画像も同時に出力する、請求項7に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項10】
前記機械学習モデルは、
3次元画像を入力とする機械学習モデルと、
アキシャル断面画像を入力とする機械学習モデルと、
コロナル断面画像を入力とする機械学習モデルと、
サジタル断面画像を入力とする機械学習モデルと、
3次元画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、
アキシャル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、
コロナル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、
サジタル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項11】
前記機械学習モデルは、前記入力画像に加えて、前記入力画像の空間的位置に関する情報を入力とする、請求項7に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項12】
前記機械学習モデルは、深層ニューラルネットワークを含む、請求項7に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項13】
前記深層ニューラルネットワークは、畳み込み処理を含む、請求項12に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項14】
前記機械学習モデルは、モンテカルロシミュレーション計算、および、解析的シミュレーション計算のうちの少なくとも1つに基づいて生成された疑似画像を用いて学習されている、請求項7に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項15】
前記機械学習モデルは、前記疑似画像と実際の被験者の画像との両方を用いて学習されている、請求項14に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項16】
前記機械学習モデルは、前記疑似画像で学習された機械学習モデルをベースモデルとして、実際の被験者の画像を用いて追加学習されている、請求項15に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項17】
前記吸収係数画像を生成するステップは、
複数の前記組織組成比画像が生成される場合、既知の吸収係数を係数とした各組織の前記組織組成比画像の線形結合処理を行うステップを含む、請求項2に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項18】
前記吸収係数画像を生成するステップは、
複数の前記信頼度画像が生成される場合、既知の吸収係数を係数とした、組織ラベル画像の中間出力である前記信頼度画像の線形結合処理を行うステップを含む、請求項2に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項19】
前記測定データは、ヒトの頭部の測定データであり、
前記組織組成比画像または前記信頼度画像を構成する要素は、背景、空洞、軟部組織、および、骨のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項20】
前記測定データは、ヒトの乳房の測定データであり、
前記組織組成比画像または前記信頼度画像を構成する要素は、背景、および、軟部組織のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の吸収係数画像生成方法。
【請求項21】
被写体内の放射性薬剤から発生した放射線を検出する検出部と、
前記検出部による放射線の検出に基づいて、前記被写体内の放射能分布画像を生成する処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記被写体から放射された放射線の検出に基づいて取得された測定データに対して、画像化処理を行うことにより、入力画像を生成し、
前記入力画像に基づいて、各画素に含まれる
複数の組織の割合を示す
複数の組織組成比画像、または、各画素が
複数の組織のいずれの組織に属するかの確率を示す
複数の信頼度画像を生成し、
複数の前記組織組成比画像または
複数の前記信頼度画像
の各々の画像について組織領域の既知の吸収係数
を乗じた上で前記各々の画像を足し合わせることによる重み付け加算に基づいて、前記放射能分布画像を生成するための吸収係数画像を生成するように構成されている、核医学診断装置。
【請求項22】
前記処理部は、前記吸収係数画像に基づいて、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを行うように構成されている、請求項21に記載の核医学診断装置。
【請求項23】
核医学診断装置のための学習済みモデルの作成方法であって、
各画素が属する組織を示す組織ラベル画像を準備するステップと、
前記組織ラベル画像に基づいて、疑似放射能分布画像および疑似吸収係数画像を作成するステップと、
前記疑似放射能分布画像および前記疑似吸収係数画像に基づいて、シミュレーション計算を行うことにより、疑似測定データを作成するステップと、
前記疑似測定データに対して画像化処理を行うことにより、疑似画像を生成するステップと、
前記疑似画像を学習データとして、学習済みモデルを作成するステップと、を備える、学習済みモデルの作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収係数画像生成方法、核医学診断装置および学習済みモデルの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、核医学診断装置のための吸収係数画像を生成する方法が知られている。このような方法は、たとえば、米国特許出願公開第2019/0130569号明細書(以下、単に「特許文献1」という)に開示されている。
【0003】
上記特許文献1には、陽電子放出断層撮影装置(核医学診断装置)のための吸収係数画像を生成する方法が開示されている。この方法では、予め学習された機械学習モデルを用いて、吸収係数画像を生成する。具体的には、機械学習モデルに、PET(Positron Emission Tomography)データから生成されたPET画像を入力する。そして、機械学習モデルから、吸収係数画像を出力する。これにより、被写体に対してCT(Computed Tomography)撮影およびMR(Magnetic Resonance)撮影などを行わずに、機械学習モデルによりPETデータ(測定データ)から吸収係数画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2019/0130569号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された方法では、被写体に対してCT撮影およびMR撮影などを行わずに、機械学習モデルによりPETデータ(測定データ)から吸収係数画像を生成することができる。しかしながら、機械学習モデルが吸収係数画像を出力する場合、吸収係数画像の吸収係数が適正範囲内の値(通常取り得る値)であるか否かが考慮されないため、吸収係数画像の吸収係数が適正範囲外の値(通常取り得ない値)となる可能性がある。このため、被写体に対してCT撮影およびMR撮影などを行わずに、機械学習モデルによりPETデータ(測定データ)から吸収係数画像を生成しつつ、吸収係数画像の吸収係数が適正範囲外の値となる可能性を排除することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被写体に対してCT撮影およびMR撮影などを行わずに、測定データから吸収係数画像を生成する場合にも、吸収係数画像の吸収係数が適正範囲内の値(通常取り得る値)となることを保証することが可能な吸収係数画像生成方法および核医学診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における吸収係数画像生成方法は、被写体内の吸収係数画像を生成する核医学診断装置のための吸収係数画像生成方法であって、被写体から放射された放射線の検出に基づいて取得された測定データに対して、画像化処理を行うことにより、入力画像を生成するステップと、入力画像に基づいて、各画素に含まれる複数の組織の割合を示す複数の組織組成比画像、または、各画素が複数の組織のいずれの組織に属するかの確率を示す複数の信頼度画像を生成するステップと、複数の組織組成比画像または複数の信頼度画像の各々の画像について組織領域の既知の吸収係数を乗じた上で各々の画像を足し合わせることによる重み付け加算に基づいて、吸収係数画像を生成するステップと、を備える。ここで、「組織」とは、たとえば、脳、骨、皮膚、筋肉、内臓、および、体腔などを意味している。
【0008】
また、この発明の第2の局面における核医学診断装置は、被写体内の放射性薬剤から発生した放射線を検出する検出部と、検出部による放射線の検出に基づいて、被写体内の放射能分布画像を生成する処理部と、を備え、処理部は、被写体から放射された放射線の検出に基づいて取得された測定データに対して、画像化処理を行うことにより、入力画像を生成し、入力画像に基づいて、各画素に含まれる複数の組織の割合を示す複数の組織組成比画像、または、各画素が複数の組織のいずれの組織に属するかの確率を示す複数の信頼度画像を生成し、複数の組織組成比画像または複数の信頼度画像の各々の画像について組織領域の既知の吸収係数を乗じた上で各々の画像を足し合わせることによる重み付け加算に基づいて、放射能分布画像を生成するための吸収係数画像を生成するように構成されている。
【0009】
また、この発明の第3の局面における学習済みモデルの作成方法は、核医学診断装置のための学習済みモデルの作成方法であって、各画素が属する組織を示す組織ラベル画像を準備するステップと、組織ラベル画像に基づいて、疑似放射能分布画像および疑似吸収係数画像を作成するステップと、疑似放射能分布画像および疑似吸収係数画像に基づいて、シミュレーション計算を行うことにより、疑似測定データを作成するステップと、疑似測定データに対して画像化処理を行うことにより、疑似画像を生成するステップと、疑似画像を学習データとして、学習済みモデルを作成するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
この発明の第1の局面における吸収係数画像生成方法および第2の局面における核医学診断装置では、上記のように、被写体から放射された放射線の検出に基づいて取得された測定データに対して、画像化処理を行うことにより、入力画像を生成し、入力画像に基づいて、組織領域に関する画像を含む中間画像を生成し、中間画像と組織領域の既知の吸収係数とに基づいて、吸収係数画像を生成する。これにより、組織領域に関する画像を含む中間画像に基づいて、吸収係数画像を生成することができる。その結果、被写体に対してCT撮影およびMR撮影などを行わずに、測定データから吸収係数画像を生成する場合にも、吸収係数画像の吸収係数が適正範囲内の値(通常取り得る値)となることを保証することができる。
また、この発明の第3の局面における学習済みモデルの作成方法では、上記のように、各画素が属する組織を示す組織ラベル画像を準備するステップと、組織ラベル画像に基づいて、疑似放射能分布画像および疑似吸収係数画像を作成するステップと、疑似放射能分布画像および疑似吸収係数画像に基づいて、シミュレーション計算を行うことにより、疑似測定データを作成するステップと、疑似測定データに対して画像化処理を行うことにより、疑似画像を生成するステップと、疑似画像を学習データとして、学習済みモデルを作成するステップと、を備える。これにより、シミュレーション計算により得られた疑似画像を学習データとして学習済みモデルを作成することができる。その結果、実際の画像(臨床画像)を学習データとして学習済みモデルを作成する場合と異なり、多数の臨床画像を収集する必要がない。これにより、多数の臨床画像を収集するという,個人情報保護の観点などから容易でない作業を経ずに学習済みモデルを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態によるPET装置の構成を示した模式図である。
【
図2】一実施形態による放射線(ガンマ線)検出器の構成を示した模式的な斜視図である。
【
図3】一実施形態による放射能分布画像生成処理を説明するためのフローチャートである。
【
図4】一実施形態による放射能分布画像の生成を説明するための図である。
【
図5】一実施形態による入力画像からの中間画像の生成を説明するための図である。
【
図6】一実施形態による中間画像からの吸収係数画像の生成を説明するための図である。
【
図7】一実施形態による機械学習モデルの学習を説明するための図である。
【
図8】一実施形態による学習済みモデル作成方法を説明するためのフローチャートである。
【
図9】一実施形態による機械学習モデルの学習の詳細を説明するための図である。
【
図10】一実施形態の第1変形例による入力画像からの中間画像の生成を説明するための図である。
【
図11】一実施形態の第2変形例による機械学習モデルを説明するための図である。
【
図12】一実施形態の第2変形例による中間画像からの吸収係数画像の生成を説明するための図である。
【
図13】一実施形態の第2変形例の第1変形例による中間画像からの吸収係数画像の生成を説明するための図である。
【
図14】一実施形態の第2変形例の第2変形例による中間画像からの吸収係数画像の生成を説明するための図である。
【
図15】一実施形態の第3変形例による入力画像からの中間画像の生成を説明するための図である。
【
図16】一実施形態の第3変形例の第1変形例による入力画像からの中間画像の生成を説明するための図である。
【
図17】一実施形態の第3変形例の第2変形例による入力画像からの中間画像の生成を説明するための図である。
【
図18】一実施形態の第3変形例の第3変形例による入力画像からの中間画像の生成を説明するための図である。
【
図19】一実施形態の第3変形例の第4変形例による入力画像からの中間画像の生成を説明するための図である。
【
図20】一実施形態の第4変形例による入力画像からの中間画像および吸収補正ありの再構成画像の生成を説明するための図である。
【
図21】一実施形態の第5変形例による入力画像からの中間画像の生成を説明するための図である。
【
図22】一実施形態の第5変形例による中間画像からの吸収係数画像の生成を説明するための図である。
【
図23】一実施形態の第6変形例による機械学習モデルを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(PET装置の構成)
図1および
図2を参照して、一実施形態によるPET(Positron Emission Tomography:陽電子断層撮影)装置1の構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、PET装置1は、被写体100に予め投与された放射性薬剤に起因して被写体100内から発生した放射線(ガンマ線)を検出することにより、被写体100を撮影する装置である。被写体100は、ヒトである。射線(ガンマ線)は、被写体100内において、放射性薬剤から発生した陽電子と、この陽電子の近傍の原子が有する電子との対消滅に起因して発生する消滅放射線である。PET装置1は、被写体100の撮影結果に基づいて、被写体100の放射能分布画像10(
図3参照)を生成するように構成されている。なお、PET装置1は、被写体100の全身を撮影可能に構成されていてもよいし、被写体100の一部(乳房および頭部など)を撮影可能に構成されていてもよい。また、PET装置1は、請求の範囲の「核医学診断装置」の一例である。
【0015】
PET装置1は、被写体100の周囲を取り囲む検出器リング2を備えている。検出器リング2は、被写体100の体軸方向に複数層積層されるように設けられている。検出器リング2の内部には、複数の放射線(ガンマ線)検出器3(
図2参照)が設けられている。これにより、検出器リング2は、被写体100内の放射性薬剤から発生した放射線(ガンマ線)を検出するように構成されている。なお、検出器リング2は、請求の範囲の「検出部」の一例である。
【0016】
また、PET装置1は、制御部4を備えている。制御部4は、同時計数回路40と、処理回路41とを含んでいる。なお、
図1では、放射線検出器3(
図2参照)から制御部4(同時計数回路40)への配線を2つのみ図示しているが、実際には、放射線検出器3の後述する光電子増倍管(PMT: Photo Multiplier Tube)33(
図2参照)の総チャンネル数分、制御部4(同時計数回路40)に接続されている。なお、処理回路41は、請求の範囲の「処理部」の一例である。また、PMT以外の、たとえば、SiPM(Silicon Photomultiplier)などのセンサが用いられる場合もある。
【0017】
図2に示すように、放射線検出器3は、シンチレータブロック31と、ライトガイド32と、光電子増倍管33とを含んでいる。なお、ライトガイド32が用いられない場合もある。
【0018】
シンチレータブロック31は、放射性薬剤が投与された被写体100(
図1参照)から発生した放射線(ガンマ線)を光に変換する。被写体100に放射性薬剤が投与されると、ポジトロン放出型のRIのポジトロンが消滅することにより、2本の放射線(ガンマ線)が発生する。シンチレータブロック31を構成する各シンチレータ素子は、放射線(ガンマ線)の入射に伴って発光することによって、放射線(ガンマ線)を光に変換する。
【0019】
ライトガイド32は、シンチレータブロック31および光電子増倍管33の各々に光学的に結合されている。シンチレータブロック31のシンチレータ素子において発光した光がシンチレータブロック31において拡散され、ライトガイド32を介して光電子増倍管33に入力される。
【0020】
光電子増倍管33は、ライトガイド32を介して入力された光を増倍させ、電気信号に変換する。この電気信号は、同時計数回路40(
図1参照)に送信される。
【0021】
同時計数回路40(
図1参照)は、光電子増倍管33から送信された電気信号に基づいて、検出信号データ(カウント値)を生成する。
【0022】
具体的には、同時計数回路40(
図1参照)は、シンチレータブロック31の位置と放射線(ガンマ線)の入射タイミングとをチェックし、被写体100の両側(被写体100を中心とした対角線上)にある2つのシンチレータブロック31に放射線(ガンマ線)が同時に入射したときのみ、送信された電気信号を適正なデータと判定する。すなわち、同時計数回路40は、上述した電気信号に基づいて、被写体100の両側(被写体100を中心とした対角線上)にある2つの放射線検出器3において放射線(ガンマ線)が同時観測(すなわち同時計数)されたことを検出する。
【0023】
同時計数回路40により同時計数と判定された適正なデータにより構成された検出信号データ(カウント値)は、処理回路41(
図1参照)に送信される。処理回路41は、検出器リング2による放射線(ガンマ線)の検出に基づいて、被写体100内の放射能分布画像10(
図3参照)を生成する。
【0024】
(放射能分布画像の生成)
次に、
図3のフローチャートおよび
図4~
図6を参照して、一実施形態のPET装置1による放射能分布画像生成処理について説明する。なお、放射能分布画像生成処理は、制御部4の処理回路41により行われる。
【0025】
図3および
図4に示すように、まず、ステップ101では、被写体100から放出された放射線の検出に基づいて、測定データ5が取得される。
【0026】
そして、ステップ102では、測定データ5に対して、画像化処理を行うことにより、入力画像6が生成される。具体的には、ステップ102では、ヒストグラム化による画像化処理、機械学習による画像化処理、または、逆投影処理を含む処理を行うことにより、入力画像6が生成される。ヒストグラム化による画像化処理としては、測定データ5に含まれるTOF(Time Of Flight)情報に基づいて、最も確率が高い位置にイベントを加算することにより画像化する方法を採用することができる。また、機械学習による画像化処理としては、測定データ5を入力画像6に変換する機械学習モデルを用いて画像化する方法を採用することができる。また、逆投影処理を含む処理としては、たとえば、単純逆投影処理、および、再構成処理などを採用することができる。また、再構成処理としては、たとえば、解析的再構成処理、および、逐次近似再構成処理などを採用することができる。また、解析的再構成処理としては、たとえば、FBP(Filtered Back Projection)法などを採用することができる。また、逐次近似再構成処理としては、たとえば、OSEM(Ordered Subsets Expectation Maximization)法などを採用することができる。ステップ102では、たとえば、再構成処理が行われる。この場合、入力画像6は、再構成画像である。
【0027】
入力画像6は、被写体100の内部を示す画像である。入力画像6は、3次元画像、アキシャル断面画像、コロナル断面画像、サジタル断面画像、3次元画像から一部の領域を切り出したパッチ画像、アキシャル断面画像から一部の領域を切り出したパッチ画像、コロナル断面画像から一部の領域を切り出したパッチ画像、サジタル断面画像から一部の領域を切り出したパッチ画像のうちの少なくとも1つを含んでいる。ここで、「断面画像」とは、1スライスの2次元画像を意味している。また、アキシャル断面画像とは、体軸に直交する断面の画像を意味している。また、コロナル断面画像とは、体軸に平行な横切りの断面の画像を意味している。また、サジタル断面画像とは、体軸に平行な縦切りの断面の画像を意味している。また、入力画像6は、1スライスのみでもよいし、連続する数スライスであってもよい。
【0028】
また、ステップ102では、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを行うことなく、入力画像6が生成される。吸収補正処理とは、被写体100内での放射線の吸収に対する補正を行う処理である。また、散乱補正処理とは、被写体100内での放射線の散乱に対する補正を行う処理である。ステップ102では、測定データ5から、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つが行われていない補正なしの入力画像6が生成される。
【0029】
また、ステップ102では、画質変換処理が行われなくてもよいし、画質変換処理が行われてもよいし、領域識別処理が行われてもよい。本実施形態では、入力画像6は、画質変換処理を適用していない画像、画質変換処理を適用した画像、および、領域識別処理を適用した画像のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。画質変換処理としては、たとえば、γ補正処理、ヒストグラム平坦化処理、平滑化処理、および、エッジ検出処理などを採用することができる。また、たとえば、画質変換処理としては、均一分布、正規分布、ポアソン分布、および、ラプラス分布などの分布のランダムノイズを加える処理を採用することができる。また、たとえば、画質変換処理としては、画像全体または画像の特定の領域を定数倍する処理を採用することができる。また、たとえば、領域識別処理としては、画像中の被写体100の輪郭を識別する処理を採用することができる。
【0030】
そして、ステップ103では、入力画像6に基づいて、組織領域に関する画像を含む中間画像7が生成される。具体的には、ステップ103では、入力画像6に対して、予め学習された機械学習モデル8が適用されることにより、中間画像7が生成される。機械学習モデル8は、入力画像6を入力とするとともに、中間画像7を出力とする機械学習モデルである。機械学習モデル8は、3次元画像を入力とする機械学習モデルと、アキシャル断面画像を入力とする機械学習モデルと、コロナル断面画像を入力とする機械学習モデルと、サジタル断面画像を入力とする機械学習モデルと、3次元画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、アキシャル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、コロナル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、サジタル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、のうちの少なくとも1つを含んでいる。
【0031】
なお、本実施形態の図面(
図5、
図6および
図8)では、説明の便宜上、機械学習モデル8が、アキシャル断面画像である入力画像6を入力とし、アキシャル断面画像に対応する中間画像7を出力とする例について図示している。
【0032】
中間画像7は、脳、骨、皮膚、筋肉および内臓などの、吸収係数が既知のN個(有限個)の組織の組み合わせで構成されている。たとえば、測定データ5が、ヒトの頭部の測定データである場合、中間画像7の組織領域に関する画像を構成する要素(組織)は、背景(被写体外)、空洞(鼻腔および口腔など)、軟部組織(脳および皮膚など)、および、骨(頭蓋骨)のうちの少なくとも1つを含んでいる。また、たとえば、測定データ5が、ヒトの乳房の測定データである場合、中間画像7の組織領域に関する画像を構成する要素(組織)は、背景(被写体外)、および、軟部組織のうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
本実施形態では、
図5に示すように、中間画像7は、各画素に含まれる組織の割合を示す組織組成比画像71を、組織領域に関する画像として含んでいる。組織組成比画像71は、各画素に含まれる複数の組織の割合を画素値とするマルチチャンネル画像である。
図5に示す例では、組織組成比画像71は、ヒトの頭部の画像であり、背景、空洞、軟部組織および骨の4チャンネルの画像を含んでいる。背景のチャンネルの画像は、各画素に含まれる背景の割合を画素値として構成されている。また、空洞のチャンネルの画像は、各画素に含まれる空洞の割合を画素値として構成されている。また、軟部組織のチャンネルの画像は、各画素に含まれる軟部組織の割合を画素値として構成されている。また、骨のチャンネルの画像は、各画素に含まれる骨の割合を画素値として構成されている。なお、4チャンネルの各画像の画素値は割合を示しているため、ある画素についての4チャンネルの画像の画素値の和は、1となる。
【0034】
そして、
図3および
図4に示すように、ステップ104では、中間画像7と組織領域の既知の吸収係数とに基づいて、吸収係数画像9が生成される。本実施形態では、
図6に示すように、ステップ104では、既知の吸収係数に基づいて、組織組成比画像71中の組織に吸収係数が割り当てられることにより、吸収係数画像9が生成される。具体的には、ステップ104では、既知の吸収係数を係数とした各組織の組織組成比画像71の線形結合処理が行われることにより、吸収係数画像9が生成される。より具体的には、以下の式(1)により、既知の吸収係数を係数とした各組織の組織組成比画像71の線形結合処理が行われる。
【数1】
ここで、
n:組織ラベル(組織番号)
j:画素番号
μ
j:画素jの吸収係数
μ
*
n:組織nの吸収係数(既知の吸収係数)
r
nj:画素jの組織nの組成比
である。
なお、r
njは、以下の式(2)を満たしている。
【数2】
【0035】
たとえば、組織組成比画像71が、ヒトの頭部の画像であり、背景、空洞、軟部組織および骨の4チャンネルの画像を含んでいる場合、一般的に知られている、背景の吸収係数μ*
0、空洞の吸収係数μ*
1、軟部組織の吸収係数μ*
2、および、骨の吸収係数μ*
3を用いて、上記式(1)により、既知の吸収係数を係数とした各組織の組織組成比画像71の線形結合処理が行われる。
【0036】
そして、
図3および
図4に示すように、ステップ105では、吸収係数画像9および測定データ5に基づいて、再構成処理が行われることにより、放射能分布画像10が生成される。この際、吸収係数画像9に基づいて、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つが行われる。たとえば、ステップ105では、吸収係数画像9に基づいて、吸収補正処理が行われるとともに、吸収係数画像9および測定データ5に基づいて取得された散乱分布データに基づいて、散乱補正処理が行われる。ステップ105では、吸収補正処理、および、散乱補正処理が行われた定量的な放射能分布画像10が生成される。
【0037】
(機械学習モデル)
次に、
図7~
図9を参照して、一実施形態のPET装置1が備える機械学習モデル8について説明する。なお、以下では、理解の容易化のため、学習データとしての入力画像6および中間画像7を、それぞれ、入力画像6aおよび中間画像7aと称する。
【0038】
図7に示すように、機械学習モデル8は、複数の入力画像6aおよび中間画像7aのペアを学習データとして、教師あり学習により学習されている。具体的には、機械学習モデル8は、予め準備された入力画像6aを入力とし、予め準備された中間画像7aを教師画像(正解画像)として、学習されている。なお、機械学習モデル8の学習の詳細については、後述する。
【0039】
また、機械学習モデル8は、深層ニューラルネットワークを含んでいる。また、機械学習モデル8の深層ニューラルネットワークは、畳み込み処理を含んでいる。すなわち、機械学習モデル8は、深層畳み込みニューラルネットワークを含んでいる。機械学習モデル8の深層畳み込みニューラルネットワークとしては、たとえば、スキップ結合を有するU字型ネットワーク(U-Net)を採用することができる。また、機械学習モデル8の深層畳み込みニューラルネットワークの活性化関数としては、Softmax関数を採用することができる。
【0040】
図8のフローチャートおよび
図9を参照して、一実施形態のPET装置1が備える機械学習モデル8の作成方法(学習済みモデルの作成方法)について説明する。
【0041】
図8および
図9に示すように、まず、ステップ111では、各画素が属する組織をラベルにより示す組織ラベル画像11が準備される。組織ラベル画像11は、MR画像およびCT画像などの医用画像に対して領域分割処理を施すことで準備することができる。また、組織ラベル画像11は、インターネット上に公開されている組織ラベル画像(例えば、BrainWeb)を入手することにより、準備することができる。
【0042】
そして、ステップ112では、組織ラベル画像11に基づいて、疑似放射能分布画像12および疑似吸収係数画像13が作成される。具体的には、組織ラベル画像11の各組織に対して放射能濃度を割り当てることにより、疑似放射能分布画像12が作成される。また、組織ラベル画像11の各組織のラベルを統合することにより作成された組織ラベル画像14の各組織に対して吸収係数を割り当てることにより、疑似吸収係数画像13が作成される。組織ラベル画像14は、ラベルを統合することにより、組織ラベル画像11に対してラベルの数を減らした画像である。
【0043】
そして、ステップ113では、疑似放射能分布画像12および疑似吸収係数画像13に基づいて、シミュレーション計算を行うことにより、疑似測定データ15が作成される。具体的には、ステップ113では、疑似放射能分布画像12、疑似吸収係数画像13、および、各種のシミュレーション条件を入力して、シミュレーション計算を行うことにより、疑似測定データ15が作成される。シミュレーション計算としては、たとえば、モンテカルロシミュレーション計算、および、解析的シミュレーション計算などを採用することができる。本実施形態では、機械学習モデル8は、モンテカルロシミュレーション計算、および、解析的シミュレーション計算のうちの少なくとも1つに基づいて生成された疑似測定データ15を用いて学習されている。たとえば、機械学習モデル8は、モンテカルロシミュレーション計算、および、解析的シミュレーション計算のうちの解析的シミュレーション計算に基づいて生成された疑似測定データ15を用いて学習されている。
【0044】
そして、ステップ114では、疑似測定データ15に対して逆投影処理を含む処理(画像化処理)を行うことにより、疑似再構成画像16が生成される。具体的には、ステップ114では、疑似測定データ15および画素サイズを含む各種の再構成条件を入力して、再構成処理を行うことにより、疑似再構成画像16が生成される。再構成処理においては、解像度情報(画素サイズの情報)が、パラメータとして入力される。なお、疑似再構成画像16は、請求の範囲の「疑似画像」の一例である。
【0045】
また、ステップ114では、疑似再構成画像16に対して、画素値範囲を[0,1]に正規化する正規化処理が行われることにより、正規化された疑似再構成画像16が生成される。また、ステップ114では、正規化された疑似再構成画像16に対して0よりも大きく、1よりも小さい係数を乗算してもよいし、正規化された疑似再構成画像16または正規化前の疑似再構成画像16の特定領域に対して正の係数を乗算してもよい。このようにすれば、多様な画素値の疑似再構成画像16により、機械学習モデル8を学習させることが可能である。本実施形態では、機械学習モデル8の学習データとしての入力画像6a(疑似再構成画像16)は、画素値範囲が正規化された正規化画像、正規化画像に対して0よりも大きく、1よりも小さい係数が乗算された画像、および、正規化画像または正規化前の画像の特定領域に対して正の係数が乗算された画像のうちの少なくとも1つを含んでいる。
【0046】
正規化画像に対して0よりも大きく、1よりも小さい係数を乗算する場合、たとえば、1/n(nは正の整数)を係数として乗算する。この場合、n=2~10(1刻み)、n=20~100(10刻み)、および、n=200~1000(100刻み)などとして、画素値の大きさ(画像の明るさ)が異なる多数の入力画像6aを生成することができる。
【0047】
また、正規化画像または正規化前の画像の特定領域に対して正の係数を乗算する場合、特定の領域として、組織単位の領域を採用することができる。たとえば、正規化画像がヒトの頭部の画像である場合、特定の領域として、脳の灰白質、白質、小脳、頭部の皮膚、および、頭部の筋肉などを採用することができる。これにより、個人差や放射性薬剤の違いなどに起因する放射能分布の多様性を考慮して、機械学習モデル8の学習を行うことが可能である。
【0048】
また、ステップ114では、画質変換処理が行われなくてもよいし、画質変換処理が行われてもよいし、領域識別処理が行われてもよい。本実施形態では、入力画像6aは、画質変換処理を適用していない画像、画質変換処理を適用した画像、および、領域識別処理を適用した画像のうちの少なくとも1つを含んでいる。画質変換処理としては、たとえば、γ補正処理、ヒストグラム平坦化処理、平滑化処理、および、エッジ検出処理などを採用することができる。また、たとえば、画質変換処理としては、均一分布、正規分布、ポアソン分布、および、ラプラス分布などの分布のランダムノイズを加える処理を採用することができる。また、たとえば、画質変換処理としては、画像全体または画像の特定の領域を定数倍する処理を採用することができる。このようにすれば、多様な画素値の入力画像6aにより、機械学習モデル8を学習させることが可能である。また、たとえば、領域識別処理としては、画像中の被写体100の輪郭を識別する処理を採用することができる。
【0049】
また、ステップ115では、組織ラベル画像11に基づいて、学習データとしての中間画像(教師画像)7aが作成される。具体的には、ステップ115では、組織ラベル画像11の各組織のラベルを統合することにより作成された組織ラベル画像14に基づいて、中間画像7aが作成される。より具体的には、疑似再構成画像16と同じ低解像度の画素サイズを仮定し、高解像度の組織ラベル画像14に対して、1つの画素に含まれる各組織の割合(組成比)を計算することにより、組織組成比画像としての中間画像7aが作成される。
【0050】
そして、ステップ116では、多数の疑似再構成画像16および中間画像7aを学習データとして、学習済みモデルとしての機械学習モデル8が作成される。本実施形態では、機械学習モデル8は、モンテカルロシミュレーション計算、および、解析的シミュレーション計算のうちの少なくとも1つに基づいて生成された疑似再構成画像16を用いて学習されている。
【0051】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0052】
本実施形態では、上記のように、被写体100から放射された放射線の検出に基づいて取得された測定データ5に対して、画像化処理を行うことにより、入力画像6を生成し、入力画像6に基づいて、組織領域に関する画像を含む中間画像7を生成し、中間画像7と組織領域の既知の吸収係数とに基づいて、吸収係数画像9を生成する。これにより、組織領域に関する画像を含む中間画像7に基づいて、吸収係数画像9を生成することができる。その結果、被写体100に対してCT撮影およびMR撮影などを行わずに、測定データ5から吸収係数画像9を生成する場合にも、吸収係数画像9の吸収係数が適正範囲内の値(通常取り得る値)となることを保証することができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、中間画像7は、各画素に含まれる組織の割合を示す組織組成比画像71を、組織領域に関する画像として含む。これにより、中間画像7が組織組成比画像71を含む場合、組織組成比画像71の各画素に含まれる組織の割合に基づいて、吸収係数が適正範囲内の値の吸収係数画像9を容易に生成することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、吸収係数画像9を生成するステップは、各組織領域の既知の吸収係数に基づいて、組織組成比画像71中の組織に吸収係数を割り当てるステップを含む。これにより、既知の吸収係数に基づいて吸収係数を割り当てた組織組成比画像71に基づいて、吸収係数が適正範囲内の値の吸収係数画像9を容易に生成することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、入力画像6を生成するステップは、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを行うことなく、入力画像6を生成するステップを含む。これにより、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを行って、入力画像6を生成する場合に比べて、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを行わない分だけ、入力画像6を生成するための処理を簡単に行うことができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、入力画像6を生成するステップは、測定データ5に対して、逆投影処理を含む処理を行うステップを含む。これにより、測定データ5に対して、逆投影処理を含む処理を行うことにより、入力画像6を容易に生成することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、入力画像6は、画像化処理された測定データ5に対して、画質変換処理を適用していない画像、画質変換処理を適用した画像、および、領域識別処理を適用した画像のうちの少なくとも1つを含む。これにより、画像化処理された測定データ5に対して、画質変換処理を適用した画像、および、領域識別処理を適用した画像のうちの少なくとも1つに基づいて、中間画像7を生成することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、中間画像7を生成するステップは、入力画像6に対して、予め学習された機械学習モデル8を適用するステップを含む。これにより、入力画像6に対して、予め学習された機械学習モデル8を適用するだけで、中間画像7を容易に生成することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、機械学習モデル8の学習データとしての入力画像6aは、画素値範囲が正規化された正規化画像、正規化画像に対して0よりも大きく、1よりも小さい係数が乗算された画像、および、正規化画像または正規化前の画像の特定領域に対して正の係数が乗算された画像のうちの少なくとも1つを含む。これにより、多様な画素値の入力画像6aにより、機械学習モデル8を学習させることができる。その結果、画素値のばらつきに強い機械学習モデル8を作成することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、機械学習モデル8は、3次元画像を入力とする機械学習モデル8と、アキシャル断面画像を入力とする機械学習モデル8と、コロナル断面画像を入力とする機械学習モデル8と、サジタル断面画像を入力とする機械学習モデル8と、3次元画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデル8と、アキシャル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデル8と、コロナル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデル8と、サジタル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデル8と、のうちの少なくとも1つを含む。これにより、3次元画像、アキシャル断面画像、コロナル断面画像、サジタル断面画像、3次元画像から切り出したパッチ画像、アキシャル断面画像から切り出したパッチ画像、コロナル断面画像から切り出したパッチ画像、または、サジタル断面画像から切り出したパッチ画像を入力として、中間画像7を生成することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、機械学習モデル8は、深層ニューラルネットワークを含む。これにより、深層ニューラルネットワークを含む機械学習モデル8により、学習を効果的に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、深層ニューラルネットワークは、畳み込み処理を含む。これにより、畳み込み処理を含む深層ニューラルネットワークにより、学習をより効果的に行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、機械学習モデル8は、モンテカルロシミュレーション計算、および、解析的シミュレーション計算のうちの少なくとも1つに基づいて生成された疑似再構成画像16を用いて学習されている。これにより、モンテカルロシミュレーション計算、および、解析的シミュレーション計算のうちの少なくとも1つに基づいて生成された疑似再構成画像16を用いて機械学習モデル8を作成することができる。その結果、実際の再構成画像(臨床画像)を用いて機械学習モデル8を作成する場合と異なり、多数の臨床画像を収集する必要がない。これにより、機械学習モデル8を容易に作成することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、吸収係数画像9を生成するステップは、中間画像7が組織組成比画像71を含む場合、既知の吸収係数を係数とした各組織の組織組成比画像71の線形結合処理を行うステップを含む。これにより、中間画像7が組織組成比画像71を含む場合、既知の吸収係数を係数とした各組織の組織組成比画像71の線形結合処理を行うことにより、吸収係数が適正範囲内の値の吸収係数画像9を容易に生成することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、測定データ5は、ヒトの頭部の測定データであり、中間画像7の組織領域に関する画像を構成する要素は、背景、空洞、軟部組織、および、骨のうちの少なくとも1つを含む。これにより、測定データ5がヒトの頭部の測定データである場合に、組織領域に関する画像を含む中間画像7から、吸収係数が適正範囲内の値の吸収係数画像9を容易に生成することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、測定データ5は、ヒトの乳房の測定データであり、中間画像7の組織領域に関する画像を構成する要素は、背景、および、軟部組織のうちの少なくとも1つを含む。これにより、測定データ5がヒトの乳房の測定データである場合に、組織領域に関する画像を含む中間画像7から、吸収係数が適正範囲内の値の吸収係数画像9を容易に生成することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、処理回路41は、吸収係数画像9に基づいて、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを行うように構成されている。これにより、吸収係数が適正範囲内の値の吸収係数画像9に基づいて、適切な吸収補正処理、または、適切な散乱補正処理を行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、学習済みモデルの作成方法は、各画素が属する組織を示す組織ラベル画像11を準備するステップと、組織ラベル画像11に基づいて、疑似放射能分布画像12および疑似吸収係数画像13を作成するステップと、疑似放射能分布画像12および疑似吸収係数画像13に基づいて、シミュレーション計算を行うことにより、疑似測定データ15を作成するステップと、疑似測定データ15に対して画像化処理を行うことにより、疑似再構成画像16を生成するステップと、疑似再構成画像16を学習データとして、学習済みモデル(機械学習モデル8)を作成するステップと、を備える。これにより、シミュレーション計算により得られた疑似再構成画像16を学習データとして学習済みモデル(機械学習モデル8)を作成することができる。その結果、実際の再構成画像(臨床画像)を学習データとして学習済みモデル(機械学習モデル8)を作成する場合と異なり、多数の臨床画像を収集する必要がない。これにより、多数の臨床画像を収集するという,個人情報保護の観点などから容易でない作業を経ずに学習済みモデル(機械学習モデル8)を作成することができる。
【0069】
(第1変形例)
次に、
図10を参照して、上記実施形態の第1変形例について説明する。上記実施形態の第1変形例では、中間画像が、組織ラベル画像を含む例について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0070】
図10に示すように、上記実施形態の第1変形例では、中間画像7は、各画素が属する組織を示す組織ラベル画像72を、組織領域に関する画像として含んでいる。これにより、中間画像7が組織ラベル画像72を含む場合、組織ラベル画像72の各画素が属する組織に基づいて、吸収係数が適正範囲内の値の吸収係数画像9を容易に生成することができる。組織ラベル画像72では、1つの画素に複数の組織が混在している場合、最も大きな割合を占める組織に画素が属するとして、ラベルが付されている。
【0071】
図10に示す例では、組織ラベル画像72は、ヒトの頭部の画像であり、背景、空洞、軟部組織および骨の4つのラベルを含んでいる。背景のラベルの領域は、背景のラベルに割り当てられた画素値を画素値として構成されている。また、空洞のラベルの領域は、空洞のラベルに割り当てられた画素値を画素値として構成されている。また、軟部組織のラベルの領域は、軟部組織のラベルに割り当てられた画素値を画素値として構成されている。また、骨のラベルの領域は、骨のラベルに割り当てられた画素値を画素値として構成されている。なお、4つのラベルには、互いに異なる画素値(整数値)が割り当てられている。
【0072】
上記実施形態の第1変形例では、上記実施形態のステップ104において、中間画像7の組織ラベル画像72と組織領域の既知の吸収係数とに基づいて、吸収係数画像9が生成される。具体的には、既知の吸収係数に基づいて、組織ラベル画像72中の組織に吸収係数が割り当てられる。これにより、既知の吸収係数に基づいて吸収係数を割り当てた組織ラベル画像72に基づいて、吸収係数が適正範囲内の値の吸収係数画像9を容易に生成することができる。より具体的には、組織ラベル画像72のラベル値に対応した既知の吸収係数の割り当て処理が行われる。これにより、中間画像7が組織ラベル画像72を含む場合、組織ラベル画像72のラベル値に対応した既知の吸収係数の割り当て処理を行うことにより、吸収係数が適正範囲内の値の吸収係数画像9を容易に生成することができる。
【0073】
上記実施形態の第1変形例では、以下の式(3)により、組織ラベル画像72のラベル値に対応した既知の吸収係数の割り当て処理が行われる。
【数3】
ここで、
j:画素番号
l
j:画素jのラベル値(組織番号)
μ
j:画素jの吸収係数
μ
*
l:ラベル値lの吸収係数(既知の吸収係数)
である。
【0074】
たとえば、組織ラベル画像72が、ヒトの頭部の画像であり、背景、空洞、軟部組織および骨の4つのラベルを含んでいる場合、一般的に知られている、背景の吸収係数μ*
0、空洞の吸収係数μ*
1、軟部組織の吸収係数μ*
2、および、骨の吸収係数μ*
3を用いて、上記式(3)により、組織ラベル画像72のラベル値に対応した既知の吸収係数の割り当て処理が行われる。
【0075】
また、組織ラベル画像72を出力とする機械学習モデル8は、基本的に、組織ラベル画像72を直接出力するのではなく、中間出力として、画素毎に信頼度を出力する。信頼度は、画素がいずれのラベルに属するかを決定するための確率的な意味合いをもち得る指標である。そして、組織ラベル画像72を出力とする機械学習モデル8は、取得した信頼度が最大のラベルに画素が属するとして、組織ラベル画像72を最終的に出力する。ここで、信頼度は、0~1の値とすることでき、かつ、全てのラベルの信頼度の和を1とすることができる。このため、上記実施形態における組織組成比を信頼度に読み替えて、上記実施形態の組織組成比画像71と同様に線形結合処理を行うことにより、吸収係数画像9を生成することも可能である。すなわち、既知の吸収係数を係数とした、組織ラベル画像72の中間出力である信頼度画像の線形結合処理が行われることにより、吸収係数画像9が生成されてもよい。これにより、中間画像7が組織ラベル画像72を含む場合、既知の吸収係数を係数とした、組織ラベル画像72の中間出力である信頼度画像の線形結合処理を行うことにより、吸収係数が適正範囲内の値の吸収係数画像9を容易かつ正確に生成することができる。
【0076】
また、上記実施形態の第1変形例では、上記実施形態のステップ115において、疑似再構成画像16と同じ低解像度の画素サイズを仮定し、高解像度の組織ラベル画像14に対して、1つの画素に含まれる各組織の割合(組成比)を計算し、最大割合を占める組織に画素が属するとして、ラベルを付すことにより、組織ラベル画像としての中間画像7aが作成される。
【0077】
(第2変形例)
次に、
図11および
図12を参照して、上記実施形態の第2変形例について説明する。上記実施形態の第2変形例では、複数の機械学習モデルを組み合わせる例について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0078】
図11に示すように、上記実施形態の第2変形例では、機械学習モデル8は、アキシャル断面用の機械学習モデルと、コロナル断面用の機械学習モデルと、サジタル断面用の機械学習モデルとの3つの機械学習モデルを含んでいる。アキシャル断面用の機械学習モデルは、アキシャル断面画像である入力画像6aを入力とし、アキシャル断面画像に対応する中間画像7aを教師画像として学習されている。コロナル断面用の機械学習モデルは、コロナル断面画像である入力画像6aを入力とし、コロナル断面画像に対応する中間画像7aを教師画像として学習されている。サジタル断面用の機械学習モデルは、サジタル断面画像である入力画像6aを入力とし、サジタル断面画像に対応する中間画像7aを教師画像として学習されている。
【0079】
また、上記実施形態の第2変形例では、
図12に示すように、上記実施形態のステップ102において、アキシャル断面画像と、コロナル断面画像と、サジタル断面画像との3つの入力画像6が生成される。
【0080】
そして、上記実施形態の第2変形例では、上記実施形態のステップ103において、アキシャル断面画像に対応する組織組成比画像と、コロナル断面画像に対応する組織組成比画像と、サジタル断面画像に対応する組織組成比画像との3つの中間画像7が生成される。
【0081】
そして、上記実施形態の第2変形例では、上記実施形態のステップ104において、アキシャル断面画像に対応する組織組成比画像と、コロナル断面画像に対応する組織組成比画像と、サジタル断面画像に対応する組織組成比画像との3つの中間画像7に基づいて、吸収係数画像9が生成される。具体的には、アキシャル断面画像に対応する組織組成比画像と、コロナル断面画像に対応する組織組成比画像と、サジタル断面画像に対応する組織組成比画像とのうちのいずれか2つが、残りの1つの断面に対応する画像となるように断面変換処理が行われる。そして、断面が揃った3つの組織組成比画像の平均画像(平均組織組成比画像)が生成される。この際、単純平均処理が行われてもよいし、精度が高い断面に重みを掛けた加重平均処理が行われてもよい。そして、上記実施形態と同様に、平均組織組成比画像の線形結合処理が行われることにより、吸収係数画像9が生成される。
【0082】
(第2変形例の第1および第2変形例)
次に、
図13および
図14を参照して、上記実施形態の第2変形例の第1および第2変形例について説明する。上記実施形態の第2変形例の第1および第2変形例では、上記第2変形例において中間画像が組織ラベル画像を含む例について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0083】
図13に示すように、上記実施形態の第2変形例の第1変形例では、上記実施形態のステップ103において、アキシャル断面画像に対応する組織ラベル画像と、コロナル断面画像に対応する組織ラベル画像と、サジタル断面画像に対応する組織ラベル画像との3つの中間画像7が生成される。
【0084】
そして、上記実施形態の第2変形例の第1変形例では、上記実施形態のステップ104において、アキシャル断面画像に対応する組織ラベル画像と、コロナル断面画像に対応する組織ラベル画像と、サジタル断面画像に対応する組織ラベル画像との3つの中間画像7に基づいて、吸収係数画像9が生成される。具体的には、アキシャル断面画像に対応する組織ラベル画像と、コロナル断面画像に対応する組織ラベル画像と、サジタル断面画像に対応する組織ラベル画像とのうちのいずれか2つが、残りの1つの断面に対応する画像となるように断面変換処理が行われる。そして、断面が揃った3つの組織ラベル画像の多数決により各画素のラベル値を決定した多数決画像(多数決組織ラベル画像)が生成される。この際、多数決によりラベル値が決定できない場合には、予め決められた断面のラベル値が採用されてもよい。そして、上記実施形態の第1変形例と同様に、多数決組織ラベル画像の割り当て処理が行われることにより、吸収係数画像9が生成される。
【0085】
また、多数決以外の方法により、吸収係数画像9を生成することもできる。具体的には、
図14に示すように、上記実施形態の第2変形例の第2変形例では、上記実施形態の第2変形例の第1変形例とは異なり、断面が揃った3つの組織ラベル画像の各々に対応するように3つの吸収係数画像が生成される。そして、3つの吸収係数画像の平均画像としての吸収係数画像が、最終的な吸収係数画像9として生成される。
【0086】
(第3変形例)
次に、
図15を参照して、上記実施形態の第3変形例について説明する。上記実施形態の第3変形例では、機械学習モデルに対して複数種類の入力を行う例(入力画像のマルチチャンネル化)について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0087】
図15に示すように、上記実施形態の第3変形例では、再構成処理を行うことにより生成された再構成画像と、単純逆投影処理を行うことにより生成された逆投影画像との2種類の入力画像6が、機械学習モデル8の入力となっている。上記実施形態の第3変形例では、機械学習モデル8は、2種類の入力画像6に基づいて、中間画像7の組織組成比画像71を出力する。
【0088】
なお、入力画像6の組み合わせは、再構成処理を行うことにより生成された再構成画像と、単純逆投影処理を行うことにより生成された逆投影画像との組み合わせには限られない。たとえば、入力画像6の組み合わせは、再構成アルゴリズムが互いに異なる複数種類の再構成画像の組み合わせであってもよい。また、たとえば、入力画像6の組み合わせは、逐次近似画像再構成処理の反復回数が互いに異なる複数種類の再構成画像の組み合わせであってもよい。また、たとえば、入力画像6の組み合わせは、解像度が互いに異なる複数種類の再構成画像であってもよい。この場合、入力画像6は、2種類以上の解像度の画像を含んでいる。これにより、1種類のみの解像度の画像を含む場合に比べて、多様な種類の解像度の入力画像6に基づいて、中間画像7を生成することができる。また、入力画像6の組み合わせは、互いに異なる画像処理が施された複数種類の再構成画像の組み合わせであってもよい。また、入力画像6の組み合わせは、これらの画像の組み合わせであってもよい。
【0089】
(第3変形例の第1~第4変形例)
次に、
図16~
図19を参照して、上記実施形態の第3変形例の第1~第4変形例について説明する。上記実施形態の第3変形例の第1~第3変形例では、上記第3変形例において再構成画像と再構成画像および逆投影画像以外の情報とを組み合わせる例について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0090】
図16に示すように、上記実施形態の第3変形例の第1変形例では、入力画像(再構成画像)6と、各画素が属する組織を示す組織ラベル画像17との2種類が、機械学習モデル8の入力となっている。上記実施形態の第3変形例の第1変形例では、機械学習モデル8は、入力画像6と補助情報としての組織ラベル画像17とに基づいて、中間画像7の組織組成比画像71を出力する。
【0091】
また、
図17に示すように、上記実施形態の第3変形例の第2変形例では、入力画像(再構成画像)6と、被写体100の領域を示す被写体領域指示画像18との2種類が、機械学習モデル8の入力となっている。上記実施形態の第3変形例の第2変形例では、機械学習モデル8は、入力画像6と補助情報としての被写体領域指示画像18とに基づいて、中間画像7の組織組成比画像71を出力する。また、被写体領域指示画像18に代えて、単一組織の領域を示す単一組織領域指示画像が用いられてもよい。
【0092】
また、
図18に示すように、上記実施形態の第3変形例の第3変形例では、入力画像(再構成画像)6と、画素に含まれる組織の種類の数を示す混合組織数画像19との2種類が、機械学習モデル8の入力となっている。上記実施形態の第3変形例の第3変形例では、機械学習モデル8は、入力画像6と補助情報としての混合組織数画像19とに基づいて、中間画像7の組織組成比画像71を出力する。
【0093】
また、
図19に示すように、上記実施形態の第3変形例の第4変形例では、入力画像(再構成画像)6と、非画像情報である入力画像6の空間的位置に関する情報20との2種類が、機械学習モデル8の入力となっている。すなわち、上記実施形態の第3変形例の第4変形例では、機械学習モデル8は、入力画像6に加えて、入力画像6の空間的位置に関する情報20を入力としている。これにより、入力画像6だけでなく、入力画像6の空間的位置に関する情報20も入力として、中間画像7を効果的に生成することができる。入力画像6の空間的位置に関する情報20としては、たとえば、被写体の重心からの距離および相対距離などを採用することができる。上記実施形態の第3変形例の第4変形例では、機械学習モデル8は、入力画像6と補助情報としての入力画像6の空間的位置に関する情報20とに基づいて、中間画像7の組織組成比画像71を出力する。
【0094】
(第4変形例)
次に、
図20を参照して、上記実施形態の第4変形例について説明する。上記実施形態の第4変形例では、機械学習モデルから複数種類の出力を行う例について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0095】
図20に示すように、上記実施形態の第4変形例では、組織組成比画像71を含む中間画像7と、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを適用した再構成画像21との2種類の画像が、機械学習モデル8の出力となっている。上記実施形態の第4変形例では、機械学習モデル8は、中間画像7に加えて、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを適用した再構成画像21も同時に出力する。これにより、入力画像6に対して、予め学習された機械学習モデル8を適用するだけで、中間画像7だけでなく、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを適用した再構成画像21も生成することができる。上記実施形態の第4変形例では、たとえば、機械学習モデル8は、中間画像7と、吸収補正処理を適用した再構成画像21とを出力する。
【0096】
また、上記実施形態の第4変形例では、機械学習モデル8は、中間画像7と、再構成画像21との2種類の画像を出力するマルチ出力型(マルチタスク型)の深層畳み込みニューラルネットワークを含んでいる。
【0097】
(第5変形例)
次に、
図21および
図22を参照して、上記実施形態の第5変形例について説明する。上記実施形態の第5変形例では、組織組成比画像の各組織に対応する複数の機械学習モデルを組み合わせる例について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0098】
図21に示すように、上記実施形態の第5変形例では、機械学習モデル8は、中間画像7の組織組成比画像71の各組織に対応する複数の機械学習モデルを含んでいる。
図21に示す例では、組織組成比画像71は、ヒトの頭部の画像である。この場合、機械学習モデル8は、背景用の機械学習モデルと、空洞用の機械学習モデルと、軟部組織用の機械学習モデルと、骨用の機械学習モデルとの4つの機械学習モデルを含んでいる。背景用の機械学習モデルは、入力画像6を入力とし、背景に対応する組織組成比画像71を出力する。空洞用の機械学習モデルは、入力画像6を入力とし、空洞に対応する組織組成比画像71を出力する。軟部組織用の機械学習モデルは、入力画像6を入力とし、軟部組織に対応する組織組成比画像71を出力する。骨用の機械学習モデルは、入力画像6を入力とし、骨に対応する組織組成比画像71を出力する。
【0099】
また、上記実施形態の第5変形例では、
図22に示すように、以下の式(4)により、既知の吸収係数を係数とした各組織の組織組成比画像71の線形結合処理が行われる。
【数4】
ここで、
n:組織番号
j:画素番号
μ
j:画素jの吸収係数
μ
*
n:組織nの吸収係数(既知の吸収係数)
r
nj:画素jの組織nの組成比(0≦r
nj≦1)
である。
【0100】
上記実施形態の第5変形例では、互いに独立した機械学習モデルにより、各組織の組織組成比画像71を生成するため、上記実施形態とは異なり、組成比の和が1であるという条件を自動的には満たさない。このため、上記実施形態の第5変形例では、上記式(4)に示すように、線形結合処理時に、正規化処理(上記式(4)の分母の項で除する処理)が行われている。
【0101】
(第6変形例)
次に、
図23を参照して、上記実施形態の第6変形例について説明する。上記実施形態の第6変形例では、1つの機械学習モデルが、互いに異なる断面の画像を処理する例について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0102】
図23に示すように、上記実施形態の第6変形例では、機械学習モデル8は、アキシャル断面用の深層ニューラルネットワークと、コロナル断面用の深層ニューラルネットワークと、サジタル断面用の深層ニューラルネットワークと、を含んでいる。アキシャル断面用の深層ニューラルネットワークは、3次元のアキシャル断面画像である入力画像6を入力とし、アキシャル断面画像に対応する組織組成比画像を出力する。コロナル断面用の深層ニューラルネットワークは、3次元のコロナル断面画像である入力画像6を入力とし、コロナル断面画像に対応する組織組成比画像を出力する。サジタル断面用の深層ニューラルネットワークは、3次元のサジタル断面画像である入力画像6を入力とし、サジタル断面画像に対応する組織組成比画像を出力する。
【0103】
また、上記実施形態の第6変形例では、機械学習モデル8は、アキシャル断面画像に対応する組織組成比画像と、コロナル断面画像に対応する組織組成比画像と、サジタル断面画像に対応する組織組成比画像とのうちのいずれか2つが、残りの1つの断面に対応する画像となるように断面変換処理を行うように構成されている。また、上記実施形態の第6変形例では、機械学習モデル8は、断面が揃った3つの組織組成比画像を入力とし、断面が揃った3つ組織組成比画像に対応する3次元の組織組成比画像を出力する深層ニューラルネットワークを含んでいる。これにより、上記実施形態の第6変形では、3次元の組織組成比画像として、中間画像7が生成される。
【0104】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく、請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0105】
たとえば、本発明では、上記実施形態および第1~第6変形例に記載された構成のうち、互いに適用可能な構成同士を適宜組み合わせることが可能である。
【0106】
また、上記実施形態では、核医学診断装置が、PET装置である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、核医学診断装置が、PET装置以外のSPECT(Single photon emission computed tomography:単一光子放射断層撮影)装置であってもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、疑似再構成画像に対して、画素値範囲を[0,1]に正規化する正規化処理が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、正規化範囲は、[0,1]以外の[-1,1]などの任意の範囲であってもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、機械学習モデルが、シミュレーション計算に基づいて準備した疑似画像を用いて学習されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、機械学習モデルが、疑似画像と実画像(実際の被験者の画像)との両方を用いて学習されていてもよい。これにより、機械学習モデルを多様なデータにより学習させることができる。その結果、被写体毎のばらつきに強い機械学習モデルを作成することができる。また、機械学習モデルが、疑似画像で学習された機械学習モデルをベースモデルとして、実画像を用いて追加学習されていてもよい。これにより、疑似画像と実画像との両方を用いて機械学習モデルを学習させる場合にも、機械学習モデルを効率よく学習させることができる。
【0109】
また、上記実施形態では、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを行うことなく、入力画像が生成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの両方が行われた入力画像が生成されてもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、既知の吸収係数を係数とした各組織の組織組成比画像の線形結合処理が行われることにより、吸収係数画像が生成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、組織組成比画像から吸収係数画像が生成される場合に、各画素で最大の組織組成比を有する組織に対応した既知の吸収係数の割り当て処理が行われることにより、吸収係数画像が生成されてもよい。
【0111】
また、上記実施形態の第2変形例では、機械学習モデルが、アキシャル断面用の機械学習モデルと、コロナル断面用の機械学習モデルと、サジタル断面用の機械学習モデルとの3つの機械学習モデルを含んでいる例を説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、機械学習モデルが、アキシャル断面用の機械学習モデルと、コロナル断面用の機械学習モデルと、サジタル断面用の機械学習モデルとのうちのいずれか2つの機械学習モデルを含んでいてもよい。
【0112】
また、上記実施形態の第4変形例では、中間画像と、再構成画像との2種類の画像が、機械学習モデルの出力となっている例を説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、3種類以上の画像が、機械学習モデルの出力となっていてもよい。また、中間画像と、再構成画像以外の画像とが、機械学習モデルの出力となっていてもよい。たとえば、中間画像と、画素に含まれる組織の種類の数を示す混合組織数画像とが、機械学習モデルの出力となっていてもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、処理回路の各処理を「フロー駆動型」のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記各処理をイベント単位で実行する「イベント駆動型」により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【0114】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0115】
(項目1)
被写体内の吸収係数画像を生成する核医学診断装置のための吸収係数画像生成方法であって、
前記被写体から放射された放射線の検出に基づいて取得された測定データに対して、画像化処理を行うことにより、入力画像を生成するステップと、
前記入力画像に基づいて、組織領域に関する画像を含む中間画像を生成するステップと、
前記中間画像と組織領域の既知の吸収係数とに基づいて、吸収係数画像を生成するステップと、を備える、吸収係数画像生成方法。
【0116】
(項目2)
前記中間画像は、各画素に含まれる組織の割合を示す組織組成比画像、および、各画素が属する組織を示す組織ラベル画像のうちの少なくとも1つを、組織領域に関する画像として含む、項目1に記載の吸収係数画像生成方法。
【0117】
(項目3)
前記吸収係数画像を生成するステップは、既知の吸収係数に基づいて、前記組織組成比画像中の組織または前記組織ラベル画像中の組織に吸収係数を割り当てるステップを含む、項目2に記載の吸収係数画像生成方法。
【0118】
(項目4)
前記入力画像を生成するステップは、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを行うことなく、前記入力画像を生成するステップを含む、項目1に記載の吸収係数画像生成方法。
【0119】
(項目5)
前記入力画像を生成するステップは、前記測定データに対して、逆投影処理を含む処理を行うステップを含む、項目1に記載の吸収係数画像生成方法。
【0120】
(項目6)
前記入力画像は、画像化処理された前記測定データに対して、画質変換処理を適用していない画像、画質変換処理を適用した画像、および、領域識別処理を適用した画像のうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載の吸収係数画像生成方法。
【0121】
(項目7)
前記入力画像は、2種類以上の解像度の画像を含む、項目1に記載の吸収係数画像生成方法。
(項目8)
前記中間画像を生成するステップは、前記入力画像に対して、予め学習された機械学習モデルを適用するステップを含む、項目1に記載の吸収係数画像生成方法。
【0122】
(項目9)
前記機械学習モデルの学習データとしての前記入力画像は、画素値範囲が正規化された正規化画像、前記正規化画像に対して0よりも大きく、1よりも小さい係数が乗算された画像、および、前記正規化画像または正規化前の画像の特定領域に対して正の係数が乗算された画像のうちの少なくとも1つを含む、項目8に記載の吸収係数画像生成方法。
【0123】
(項目10)
前記機械学習モデルは、前記中間画像に加えて、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを適用した再構成画像も同時に出力する、項目8に記載の吸収係数画像生成方法。
【0124】
(項目11)
前記機械学習モデルは、
3次元画像を入力とする機械学習モデルと、
アキシャル断面画像を入力とする機械学習モデルと、
コロナル断面画像を入力とする機械学習モデルと、
サジタル断面画像を入力とする機械学習モデルと、
3次元画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、
アキシャル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、
コロナル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、
サジタル断面画像から切り出したパッチ画像を入力とする機械学習モデルと、
のうちの少なくとも1つを含む、項目8に記載の吸収係数画像生成方法。
【0125】
(項目12)
前記機械学習モデルは、前記入力画像に加えて、前記入力画像の空間的位置に関する情報を入力とする、項目8に記載の吸収係数画像生成方法。
【0126】
(項目13)
前記機械学習モデルは、深層ニューラルネットワークを含む、項目8に記載の吸収係数画像生成方法。
【0127】
(項目14)
前記深層ニューラルネットワークは、畳み込み処理を含む、項目13に記載の吸収係数画像生成方法。
【0128】
(項目15)
前記機械学習モデルは、モンテカルロシミュレーション計算、および、解析的シミュレーション計算のうちの少なくとも1つに基づいて生成された疑似画像を用いて学習されている、項目8に記載の吸収係数画像生成方法。
【0129】
(項目16)
前記機械学習モデルは、前記疑似画像と実際の被験者の画像との両方を用いて学習されている、項目15に記載の吸収係数画像生成方法。
【0130】
(項目17)
前記機械学習モデルは、前記疑似画像で学習された機械学習モデルをベースモデルとして、実際の被験者の画像を用いて追加学習されている、項目16に記載の吸収係数画像生成方法。
【0131】
(項目18)
前記吸収係数画像を生成するステップは、
前記中間画像が前記組織組成比画像を含む場合、既知の吸収係数を係数とした各組織の前記組織組成比画像の線形結合処理を行うステップを含み、
前記中間画像が前記組織ラベル画像を含む場合、前記組織ラベル画像のラベル値に対応した既知の吸収係数の割り当て処理を行うステップを含む、項目3に記載の吸収係数画像生成方法。
【0132】
(項目19)
前記吸収係数画像を生成するステップは、前記中間画像が前記組織ラベル画像を含む場合、既知の吸収係数を係数とした、前記組織ラベル画像の中間出力である信頼度画像の線形結合処理を行うステップを含む、項目3に記載の吸収係数画像生成方法。
【0133】
(項目20)
前記測定データは、ヒトの頭部の測定データであり、
組織領域に関する画像を構成する要素は、背景、空洞、軟部組織、および、骨のうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載の吸収係数画像生成方法。
【0134】
(項目21)
前記測定データは、ヒトの乳房の測定データであり、
組織領域に関する画像を構成する要素は、背景、および、軟部組織のうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載の吸収係数画像生成方法。
【0135】
(項目22)
被写体内の放射性薬剤から発生した放射線を検出する検出部と、
前記検出部による放射線の検出に基づいて、前記被写体内の放射能分布画像を生成する処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記被写体から放射された放射線の検出に基づいて取得された測定データに対して、画像化処理を行うことにより、入力画像を生成し、
前記入力画像に基づいて、組織領域に関する画像を含む中間画像を生成し、
前記中間画像と組織領域の既知の吸収係数とに基づいて、前記放射能分布画像を生成するための吸収係数画像を生成するように構成されている、核医学診断装置。
【0136】
(項目23)
前記処理部は、前記吸収係数画像に基づいて、吸収補正処理、および、散乱補正処理のうちの少なくとも1つを行うように構成されている、項目22に記載の核医学診断装置。
【0137】
(項目24)
核医学診断装置のための学習済みモデルの作成方法であって、
各画素が属する組織を示す組織ラベル画像を準備するステップと、
前記組織ラベル画像に基づいて、疑似放射能分布画像および疑似吸収係数画像を作成するステップと、
前記疑似放射能分布画像および前記疑似吸収係数画像に基づいて、シミュレーション計算を行うことにより、疑似測定データを作成するステップと、
前記疑似測定データに対して画像化処理を行うことにより、疑似画像を生成するステップと、
前記疑似画像を学習データとして、学習済みモデルを作成するステップと、を備える、学習済みモデルの作成方法。
【符号の説明】
【0138】
1 PET装置(核医学診断装置)
2 検出器リング(検出部)
5 測定データ
6、6a 入力画像
7、7a 中間画像
8 機械学習モデル
9 吸収係数画像
10 放射能分布画像
11 組織ラベル画像
12 疑似放射能分布画像
13 疑似吸収係数画像
15 疑似測定データ
16 疑似再構成画像(疑似画像)
20 空間的な位置に関する情報
21 再構成画像
41 処理回路(処理部)
71 組織組成比画像
72 組織ラベル画像
100 被写体