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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】貼付部材、及び、貼付方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240709BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20240709BHJP
【FI】
A61B5/00 M
G01K1/14 E
G01K1/14 L
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022538584
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2021013621
(87)【国際公開番号】W WO2022018908
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2020125057
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】志牟田 亨
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-078389(JP,A)
【文献】特表2018-509191(JP,A)
【文献】特表2013-501591(JP,A)
【文献】特表2017-529114(JP,A)
【文献】特開2020-078440(JP,A)
【文献】特開2000-160111(JP,A)
【文献】特表2019-537470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に形成され、粘着性を有する一対の貼付面を有し、該一対の貼付面のうち一方の貼付面が剥離可能に貼付型生体デバイスの底面に貼り付けられる粘着部材と、
前記粘着部材の一方の貼付面に剥離可能に貼り付けられた第1剥離部材と、
前記粘着部材の他方の貼付面に剥離可能に貼り付けられた第2剥離部材と、を備え、
前記第1剥離部材、及び/又は、前記第2剥離部材は、外郭が視認可能に、かつ、前記貼付型生体デバイスに貼り付けられる際に、平面視において、外郭の少なくとも一部が、前記貼付型生体デバイスの底面の外郭の少なくとも一部と重なり得るように形成されている貼付部材を前記貼付型生体デバイスの底面に貼り付ける貼付方法であって、
前記第1剥離部材の外郭と前記貼付型生体デバイスの底面の外郭との位置合わせをした後、前記第1剥離部材を前記粘着部材から剥離し、前記粘着部材を前記貼付型生体デバイスの底面に貼り付けることを特徴とする貼付方法。
【請求項2】
前記第1剥離部材は、不透明又は有色透明な素材から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の貼付方法。
【請求項3】
前記第1剥離部材、及び/又は、前記第2剥離部材は、前記貼付型生体デバイスに貼り付けられる際に、平面視において、外郭が、前記貼付型生体デバイスの底面の外郭と、少なくとも2つの辺の直線部において重なり得るように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の貼付方法。
【請求項4】
前記第1剥離部材は、外郭を視認可能に、かつ、前記貼付型生体デバイスに貼り付けられる際に、平面視において、外郭の少なくとも一部が、前記貼付型生体デバイスの底面の外郭と、重なり得るように形成され、
平面視において、前記第2剥離部材の外郭は、少なくとも一部が前記粘着部材の外郭よりも大きいことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貼付方法。
【請求項5】
前記第1剥離部材は、切れ目によって複数の部分に分割されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の貼付方法。
【請求項6】
前記粘着部材は、樹脂フィルムにより形成されたコア材、及び、該コア材の両面に形成された粘着層を含む両面テープからなることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の貼付方法。
【請求項7】
前記第2剥離部材は、ミシン目、ハーフカット、又は、折り目によって複数の部分に分割されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の貼付方法。
【請求項8】
前記粘着部材の一方の貼付面と、前記第1剥離部材との間に、粘着性を有しないフィルム状の剥離片が部分的に挟まれていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の貼付方法。
【請求項9】
前記剥離片は、有色透明又は不透明であることを特徴とする請求項8に記載の貼付方法。
【請求項10】
前記第1剥離部材は、外周に接しない閉じたスリットによって画成され、前記第1剥離部が剥離されたときに、前記粘着部材の一方の貼付面に残る領域を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付部材、及び、貼付方法に関し、特に、生体に貼り付けて用いられる貼付型生体デバイスに貼付される貼付部材、及び、該貼付部材を貼付型生体デバイスに貼り付ける貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体に貼り付けて用いるさまざまな貼付型生体用デバイスが提案されている。ところで、このような貼付型生体デバイスでは、使用する際に、すなわち、生体の体表面(皮膚)に貼り付けて用いる際には、例えば、貼付面(粘着面)の剥離紙を剥して生体の体表面に貼り付けるようにされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一方の貼付面が貼付型生体デバイスに貼り付けられる第1貼付層と、一方の面が第1貼付層の他方の貼付面に貼り付けられた中間層と、一方の貼付面が中間層の他方の面に貼り付けられた第2貼付層と、第2貼付層の他方の貼付面に貼り付けられたフィルム状の剥離部材と、剥離部材の外縁部に、該外縁部から突出するように設けられたつまみ部とを備えた貼付部材が開示されている。この貼付部材の剥離部材には、つまみ部の基端部の周囲に、外縁から内側に向けて延びる切り込みが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-078440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した剥離部材によれば、剥離部材を第2貼付層から剥離する際に、つまみ部を引っ張ると、まず、切り込みにより画成された比較的小さな領域(微小部分)が剥がれ、その後、そこから、剥離部材の本体部分が剥がれだす。よって、中間層の端部への応力集中が緩和され、中間層の層内剥離や層間剥離が生じることを抑制できる。また、つまみ部をつまんで引き剥がすことにより、一度の剥離動作で剥離部材を剥離することができる。その結果、剥離部材を剥離して貼付型生体デバイスを生体に貼付する際に、層内剥離や層間剥離を起こすことなく、剥離部材を一度の剥離動作で簡易に剥離することができる。
【0006】
ところで、例えば、貼付型生体デバイスが貼付型の体温計である場合、体温の測定精度の悪化を防止するために、温度センサを内蔵している体温計の底面(下面)が皮膚に隙間なく密着して貼り付けられていることが求められる。ここで、体温計の底面に対する貼付部材の貼付位置が大きくずれると、例えば、温度センサが内蔵されている箇所(又はその近傍)の底面が皮膚に貼り付かなくなったり、貼付部材にしわが寄ってしまったり、或は、貼付部材の端部が折り返されて二重になってしまうこと等により、温度センサが内蔵されている箇所(又はその近傍)の底面と皮膚との間に隙間が生じ、体温の測定精度が低下してしまうおそれがある。そのため、貼付型生体デバイスに対する貼付部材の貼り付け位置の位置ずれを極力減らしたいという要望があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、生体に貼り付けて用いられる貼付型生体デバイスに貼付される貼付部材であって、貼付部材を貼付型生体デバイスに貼り付ける際に、貼り付け位置の位置合わせが容易で、貼り付け位置のずれを低減することが可能な貼付部材、及び、該貼付部材を貼付型生体デバイスに貼り付ける貼付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る貼付部材は、シート状に形成され、粘着性を有する一対の貼付面を有し、該一対の貼付面のうち一方の貼付面が剥離可能に貼付型生体デバイスの底面に貼り付けられる粘着部材と、粘着部材の一方の貼付面に剥離可能に貼り付けられた第1剥離部材と、粘着部材の他方の貼付面に剥離可能に貼り付けられた第2剥離部材とを備え、第1剥離部材、及び/又は、第2剥離部材の外郭が視認可能に、かつ、貼付型生体デバイスに貼り付けられる際に、平面視において、当該外郭の少なくとも一部が貼付型生体デバイスの底面の外郭と重なり得るように形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る貼付部材によれば、第1剥離部材、及び/又は、第2剥離部材の外郭が視認可能に、かつ、貼付型生体デバイスに貼り付けられる際に、平面視において、外郭の少なくとも一部が貼付型生体デバイスの底面の外郭と重なり得るように形成されている。そのため、貼付型生体デバイスの底面に視認可能な第1剥離部材、及び/又は、第2剥離部材の外郭(輪郭)を重ね合わせることで、目視によって容易に貼付部材の位置合わせをすることができる。
【発明の効果】
【0010】
その結果、本発明によれば、貼付部材を貼付型生体デバイスに貼り付ける際に、貼り付け位置の位置合わせが容易で、貼り付け位置のずれを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る貼付部材の平面図、及び、側面図である。
図2】実施形態の第1変形例に係る貼付部材の平面図、及び、側面図である。
図3】実施形態の第2変形例に係る貼付部材の平面図、及び、側面図である。
図4】実施形態の第3変形例に係る貼付部材の平面図、及び、側面図である。
図5】実施形態の第4変形例に係る貼付部材の平面図、及び、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0013】
まず、図1を用いて、実施形態に係る貼付部材1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る貼付部材1の平面図、及び、側面図である。なお、ここでは、本発明を、貼付型の深部体温計100(請求の範囲に記載の貼付型生体デバイスに相当、以下、単に「深部体温計100」という)に適用した場合を例にして説明する。そのため、図1では、深部体温計100の底面を併せて示した。なお、深部体温計100としては、例えば、国際公開第2019/225532号等に記載されているものを好適に用いることができる。
【0014】
貼付部材1は、主として、粘着性を有する一対の貼付面(表面及び裏面)を有する粘着部材10と、粘着部材10の一方の貼付面に剥離可能に貼り付けられた第1剥離部材21と、粘着部材10の他方の貼付面に剥離可能に貼り付けられた第2剥離部材22とを備えている。貼付部材1は、第1剥離部材21と、粘着部材10と、第2剥離部材22とが積層されて構成されている。
【0015】
貼付部材1は、使用時に、粘着部材10の一方の貼付面に貼り付けられている第1剥離部材21が剥され、当該一方の貼付面が剥離可能(引き剥がし可能)に深部体温計100の底面(下外装体)に貼り付けられる。また、粘着部材10の他方の貼付面に貼り付けられている第2剥離部材22が剥され、当該他方の貼付面が生体に貼り付けられる。
【0016】
粘着部材10は、シート状に形成され、粘着性を有する一対の貼付面を有し、使用される際に、該一対の貼付面のうち一方の貼付面が剥離可能に深部体温計100の底面に貼り付けられる部材である。本実施形態では、粘着部材10を、四隅が丸く処理された略矩形の形状、すなわち、深部体温計100の底面と同じ形状に形成した。また、粘着部材10を、深部体温計100の底面と同じ寸法(サイズ)に形成した。
【0017】
粘着部材10は、深部体温計100の使用後に、貼付部材1(粘着部材10)を深部体温計100の底面から剥す際に、貼付部材1(粘着部材10)が破れ難く(裂け難く)なるように、例えば、樹脂フィルムにより形成されたコア材、及び、該コア材の両面に形成された粘着層を含む両面テープからなることが好ましい。粘着部材10(粘着層)には、例えば、アクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤等が好適に用いられる。なお、合成ゴム系粘着剤を用いてもよい。また、粘着部材10の厚さは、0.005~1.0mmであることが好ましく、0.05~0.3mmであることがより好ましい。
【0018】
この場合、粘着部材10に樹脂フィルムからなるコア材が介装されているため、深部体温計100の使用後に、深部体温計100の底面から粘着部材10を剥がす途中で粘着部材10が破れて深部体温計100側に残ってしまうことを防止できる。
【0019】
第1剥離部材21は、例えば保管時などに、粘着部材10の貼付面を、ほこり等が付着して粘着力が低下しないように保護するために、粘着部材10の一方の貼付面に貼り付けられるフィルム状(又はシート状)の部材である。第1剥離部材21は、深部体温計100を使用する際(貼付部材1を深部体温計100に貼り付ける際)に、粘着部材10の一方の貼付面から引き剥される。
【0020】
同様に、第2剥離部材22は、深部体温計100を使用しないとき(保管時など)に、粘着部材10の他方の貼付面に貼り付けられるフィルム状(又はシート状)の部材である。第2剥離部材22は、深部体温計100を使用する際(深部体温計100を生体に貼り付けて深部体温を測定する際)に、粘着部材10の他方の貼付面から引き剥がされる。
【0021】
第1剥離部材21、及び/又は、第2剥離部材22は(すなわち、第1剥離部材21および第2剥離部材22のうち少なくともいずれか一方は)、外郭(輪郭)が視認可能に形成されている。より具体的には、第1剥離部材21、及び/又は、第2剥離部材22は、例えば、不透明又は有色透明な素材から形成されている。
【0022】
また、第1剥離部材21、及び/又は、第2剥離部材22は(すなわち、第1剥離部材21および第2剥離部材22のうち少なくともいずれか一方は)、深部体温計100の底面に貼り付けられる際に、平面視において、外郭(輪郭)が、深部体温計100の底面の外郭(輪郭)と、少なくとも一部が重なり得るように(一致させることができるように)形成されている。より具体的には、第1剥離部材21、及び/又は、第2剥離部材22は、外郭(輪郭)が、深部体温計100の底面の外郭(輪郭)と、例えば、少なくとも交わる2つの辺の直線部(又は3点)において重なり得るように形成されている。
【0023】
なお、本実施形態では、第1剥離部材21を、外郭(輪郭)が視認可能(不透明)に、かつ、深部体温計100に貼り付けられる際に、平面視において(厚み方向から見て)、外郭(輪郭)が、深部体温計100の底面の外郭(輪郭)と重なり得るように形成した。すなわち、深部体温計100の底面と同じ形状、かつ、同じ寸法(サイズ)に形成した。また、第2剥離部材22を、無色透明な素材から形成した。
【0024】
より具体的には、第1剥離部材21(紙セパレータ)は、例えば、不透明な紙などから形成される。本実施形態では、第1剥離部材21を、四隅が丸く処理された略矩形状に形成した。また、第1剥離部材21を、外郭(輪郭)が深部体温計100の底面の外郭(輪郭)と同じ大きさに(一致するように)形成した。このようにすれば、深部体温計100の底面と第1剥離部材21の外郭(輪郭)を目視で合わせることで、簡便にずれなく貼り付けることができる(後述する第2剥離部材22が透明なPETからなるため、目視での位置合わせができる)。
【0025】
なお、第1剥離部材21は、外郭(輪郭)のみ不透明としてもよい。また、外郭(輪郭)のうち、深部体温計100の外郭と重なり合う(一致する)箇所のみ不透明としてもよい。
【0026】
また、第1剥離部材21は、第1剥離部材21の短辺と略平行に形成された切れ目21aによって複数(図1の例では2つ)の部分に分割されていることが好ましい。このようにすれば、目視で、第1剥離部材21と深部体温計100の底面との位置合わせをした後(すなわち、第1剥離部材21の外郭(輪郭)と深部体温計100の底面の外郭(輪郭)とを合わせた後)、例えば、双方の上半分を指で押さえて深部体温計100と貼付部材1とがずれないようにしつつ、第1剥離部材21の下半分を剥がして貼付部材1の下半分を深部体温計100の底面に貼り付け、次に、双方の下半分を指で持ち、第1剥離部材21の上半分を剥がして貼付部材1の上半分を深部体温計100の底面に貼り付けることで(すなわち、分割された第1剥離部材21を半分ずつ剥がして貼付部材1を深部体温計100の底面に貼り付けることで)、簡便に位置ずれなく貼付部材1を貼り付けることができる。
【0027】
一方、第2剥離部材22(PETセパレータ)は、例えば、無色透明なPET(ポリエチレンテレフタラート)などから形成される。より詳細には、第2剥離部材22には、例えば、PETフィルムに離型処理を施したもの等が好適に用いられる。ただし、硬い樹脂であれば、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)やPI(ポリイミド)などを用いてもよい。また、厚さとしては、0.025~0.3mmが好ましく、0.05~0.2mmがより好ましい。
【0028】
本実施形態では、第2剥離部材22を、矩形に形成した。また、第2剥離部材22は、平面視において、外郭(輪郭)の少なくとも一部が粘着部材10の外郭(深部体温計100の底面)よりも大きいことが好ましい。このようにすれば、つまみ等を別途付加することなく、第2剥離部材22の粘着部材10の外郭(深部体温計100の底面)よりも大きい箇所(すなわち突出している箇所)をつまんで第2剥離部材22を容易に剥がすことができる。
【0029】
特に、本実施形態(図1に示した例)では、第2剥離部材22の外郭が、全周にわたって(全体的に)粘着部材10の外郭(深部体温計100の底面)よりも大きくなるように形成した。このようにすれば、粘着部材10から突出している第2剥離部材22の外縁をどこでもつまんで剥がすことができ、持つ方向や剥がす方向が制限されることがない。また、貼付部材1を複数枚重ねた場合に、粘着部材10が側面から第1剥離部材21の外にはみ出して上下の貼付部材1がくっついてしまうことが想定されるが、この場合、第2剥離部材22が粘着部材10より大きく形成されているため、第2剥離部材22をつまんで容易に分離することができる。
【0030】
また、第2剥離部材22は、ミシン目、ハーフカット、又は、折り目22a(以下、「ミシン目等22a」という)によって複数(図1の例では2つ)の部分に分割されていることが好ましい。このようにすれば、ミシン目等22aまで第2剥離部材22を剥がした状態で、深部体温計100を貼付対象(生体)に対して位置合わせして貼り付け、その後、第2剥離部材22をすべて剥がして深部体温計100全体を貼り付けることで、位置ずれなく深部体温計100を貼り付けることができる。
【0031】
ここで、ミシン目等22aを形成する位置は、該ミシン目等22aまで第2剥離部材22を剥がした状態における粘着部材10の露出面積が、深部体温計100を貼付対象(生体)に固定でき、かつ、貼り直しができる程度の面積となるように決定することが好ましい。なお、ミシン目等22aを中央に設けて上記条件が満たされる場合には、中央に設けることが望ましい。この場合、どちらの方向からでも剥がしやすくなるためである。ただし、例えば、ミシン目等22aを中央に設けると粘着力が強すぎて貼り直しがしにくくなるような場合には、求められる要件等に応じて好適な位置に変更することが好ましい。その場合、一方から剥がしやすくするか、ミシン目等22aを複数形成することが好ましい。すなわち、ミシン目等22aを複数形成し、上下どちらから剥がしてもよいようにすることが好ましい。
【0032】
さらに、粘着部材10の一方の貼付面と、第1剥離部材21との間に、粘着性を有しないフィルム状の剥離片30が部分的に挟まれていることが好ましい。剥離片30は、例えば、粘着部材10(第1剥離部材21)の端部に配置される。剥離片30には、例えば、PETや硬い樹脂(OPPやPIなど)等が好適に用いられる。また、剥離片30の厚さは、0.005~0.3mmであることが好ましく、0.05~0.2mmであることがより好ましい。このようにすれば、粘着性を有しない剥離片30が挟まれている箇所は、部分的に接着力が低下し、深部体温計100の使用後に、深部体温計100の底面から粘着部材10を剥し易くなる。
【0033】
また、剥離片30は、視認性を高めるために、有色透明(着色されている)又は不透明であることが好ましい。このようにすれば、剥離片30に色がついているため(又は不透明であるため)、使用後に深部体温計100から粘着部材10を剥がす際に剥離片30を容易に視認することができる。よって、粘着部材10を剥し易くなる。
【0034】
上述したように構成されることにより、深部体温計100を使用する際(貼付部材1を深部体温計100に貼り付ける際)に、粘着部材10に貼り付けてある第1剥離部材21が剥されて、貼付部材1(粘着部材10)が深部体温計100の底面に貼り付けられる。
【0035】
より詳細には、まず、目視で、貼付部材1(第1剥離部材21)と深部体温計100の底面との位置合わせをした後(すなわち、第1剥離部材21の外郭(輪郭)と深部体温計100の底面の外郭(輪郭)とを合わせた後)、一方の手の指(例えば左手の親指と人差し指)で双方の上半分を持って深部体温計100と貼付部材1とがずれないようにしつつ、他方の手の指(例えば右手の親指と人差し指)で第1剥離部材21の下部をつまんで、分割された下半分の第1剥離部材21を剥がす。そして、第1剥離部材21が剥された貼付部材1(粘着部材10)の下半分を深部体温計100の底面に貼り付ける。次に、同様にして、一方の手の指(例えば左手の親指と人差し指)で双方の下半分を持ちつつ、他方の手の指(例えば右手の親指と人差し指)で第1剥離部材21の上部をつまんで、分割された上半分の第1剥離部材21を剥がす。そして、貼付部材1(粘着部材10)の全面(残りの部分)を深部体温計100の底面に貼り付ける。
【0036】
そして、その後、深部体温計100を生体に貼り付けて深部体温を測定する際には、第2剥離部材22の外縁を手指でつまんで、貼付部材1(粘着部材10)の他方の貼付面に付着している第2剥離部材22を引き剥がす。そして、深部体温計100を使用者(被測定者)の体表面(皮膚)に貼り付ける。より詳細には、上述したように、ミシン目等22aまで第2剥離部材22を剥がした状態で、深部体温計100を貼付対象(生体)に対して位置合わせして貼り付け、その後、第2剥離部材22をすべて剥がして深部体温計100全体を貼り付ける。
【0037】
このようにして、容易に、かつ、位置ずれなく、貼付部材1を深部体温計100に貼り付ける(又は交換する)とともに、深部体温計100を使用者の皮膚に貼り付けることができる。
【0038】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、第1剥離部材21の外郭(輪郭)が視認可能(不透明)に、かつ、深部体温計100に貼り付けられる際に、平面視において、外郭(輪郭)が、深部体温計100の底面の外郭(輪郭)と重なり得るように形成されている。そのため、深部体温計100の底面に視認可能な第1剥離部材21の外郭(輪郭)を重ね合わせることで、目視によって容易に貼付部材1の位置合わせをすることができる。その結果、貼付部材1を深部体温計100に貼り付ける際に、貼り付け位置の位置合わせが容易で、貼り付け位置のずれを低減することが可能となる。
【0039】
(第1変形例)
上記実施形態では、粘着部材10の一方の貼付面と、第1剥離部材21との間に、粘着性を有しないフィルム状の剥離片30を部分的に挟む構成としたが、剥離片30に代えて、第1剥離部材21の一部を粘着部材10に残すことにより、貼付部材1を深部体温計100に貼り付けたときに、粘着部材10の一方の貼付面と深部体温計100の底面との間に、粘着性を有しないフィルム状の剥離片(第1剥離部材21の残片)が部分的に挟まれる構成としてもよい。
【0040】
そこで、次に、図2を参照しつつ、上記実施形態の第1変形例に係る貼付部材1Bについて説明する。図2は、第1変形例に係る貼付部材1Bの平面図、及び、側面図である。貼付部材1Bは、剥離片30を備えていない点、及び、第1剥離部材21に代えて、スリット21Bbが形成された第1剥離部材21Bを備えている点で、上述した実施形態に係る貼付部材1と異なっている。
【0041】
第1剥離部材21Bは、該第1剥離部材21Bの外周に接しない閉じたスリット21Bbによって画成され、第1剥離部21Bが剥離されたときに、粘着部材10の一方の貼付面に残る領域(剥離片)を含んでいる。そのため、粘着部材10が深部体温計100に貼り付けられた後に、深部体温計100の外縁付近にこの剥離片が挟まれることとなる。
【0042】
より詳細には、スリット(切れ目)21Bbは、第1剥離部材21Bの外縁に接していない閉じた形状、例えば、楕円形や角丸四角形などとすることが好ましい。また、第1剥離部材21Bが剥される際にちぎれないように、スリット21Bbは、第1剥離部材21Bの外縁から、例えば2mm以上離して形成することが好ましい。なお、スリット21Bbは、複数(図2の例では2つ)形成してもよい。なお、その他の構成は、上述した実施形態に係る貼付部材1と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
本変形例によれば、第1剥離部21Bを剥す際に、閉じた形状のスリット21Bbで囲まれた部分(剥離片)が粘着部材10上に残り、粘着部材10の一方の貼付面と深部体温計100の底面との間に当該剥離片が部分的に挟まれることとなるため、その個所(剥離片が挟まれている箇所)は、部分的に接着力が低下し、深部体温計100の使用後に、深部体温計100の底面から貼付部材1Bを剥し易くできる。
【0044】
(第2変形例)
次に、図3を参照しつつ、上記実施形態の第2変形例に係る貼付部材1Cについて説明する。図3は、第2変形例に係る貼付部材1Cの平面図、及び、側面図である。
【0045】
貼付部材1Cは、第1剥離部材21に代えて第1剥離部材21Cを備えるとともに、第2剥離部材22に代えて第2剥離部材22Cを備え、さらに、粘着部材10に代えて粘着部材10Cを備えている点で、上述した実施形態に係る貼付部材1と異なっている。
【0046】
第1剥離部材21Cは、形状が矩形である点で、上述した第1剥離部材21と異なっている。この場合、第1剥離部材21Cの外郭(輪郭)が、深部体温計100の底面の少なくとも交わる2つの辺の直線部と重なり合うように形成されていることが好ましい。なお、本変形例では、第1剥離部材21Cの外郭(輪郭)を、深部体温計100の底面の4つの辺の直線部において重なり合うように形成した(図3の一点鎖線参照)。
【0047】
第2剥離部材22Cは、寸法(サイズ)がより小さい点で、上述した第2剥離部材22と異なっている。なお、本変形例では、第2剥離部材22Cを、第1剥離部材21Cと同一の形状、かつ、同一の寸法(サイズ)とした。この場合、第2剥離部材22Cの外郭(輪郭)は、粘着部材10Cの外郭(深部体温計100の底面)よりも少なくとも一部が大きく(すなわち突出するように)形成されていることが好ましい。なお、本変形例では、第2剥離部材22Cの角部(四隅)を粘着部材10C(深部体温計100の底面)から突出するように形成した。このようにすれば、つまみ等を別途付加することなく、粘着部材10C(深部体温計100の底面)から突出している第2剥離部材22Cの角部をつまんで容易に剥がすことができる。
【0048】
また、粘着部材10Cは、寸法(サイズ)がより小さい点で、上述した粘着部材10と異なっている。すなわち、粘着部材10Cは、外形の寸法が深部体温計100の底面の外形(輪郭)よりも小さく形成されている。ただし、粘着部材10Cの寸法は、深部体温計100の底面の外形と同じ寸法にしてもよい。その場合、第1剥離部材21Cも粘着部材10C(深部体温計100の底面)と同じ外形(寸法)としてもよい。なお、その他の構成は、上述した実施形態に係る貼付部材1と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0049】
本変形例によっても、深部体温計100の底面と第1剥離部材21Cの外郭(輪郭)が重なる部分(最低2箇所、本変形例では4箇所)を指に押し当てて位置決めをすることで、簡便にずれなく、深部体温計100の底面に貼付部材1Cを貼り付けることができる。
【0050】
(第3変形例)
上記第2変形例では、第1剥離部材21を不透明とし、第2剥離部材22Cを透明としたが、第1剥離部材21を透明とし、第2剥離部材22Cを不透明としてもよい。そこで、次に、図4を参照しつつ、上記実施形態の第3変形例に係る貼付部材1Dについて説明する。図4は、第3変形例に係る貼付部材1Dの平面図、及び、側面図である。
【0051】
貼付部材1Dは、不透明な第1剥離部材21に代えて、透明な第1剥離部材21Dを備えるとともに、透明な第2剥離部材22Cに代えて、不透明な第2剥離部材22Dを備えている点で、上述した第2変形例に係る貼付部材1Cと異なっている。
【0052】
第1剥離部材21Dは、例えば、無色透明なPET等から形成されることが好ましい。一方、第2剥離部材22Dは、例えば、不透明な紙等から形成されることが好ましい。なお、本変形例では、第1剥離部材21Dと第2剥離部材22Dとを、同一の形状、かつ、同一の寸法(サイズ)とした。
【0053】
この場合、第2剥離部材22Dの外郭(輪郭)が、深部体温計100の底面の少なくとも交わる2つの辺の直線部と重なり合うように形成されていることが好ましい。なお、本変形例では、第2剥離部材22Dの外郭(輪郭)が、深部体温計100の底面の4つの辺の直線部において重なり合うように形成した(図4の一点鎖線参照)。なお、その他の構成は、上述した第2変形例に係る貼付部材1Cと同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0054】
本変形例によれば、深部体温計100の底面と第2剥離部材22Dの外郭(輪郭)が重なる部分(最低2箇所、本変形例では4箇所)を指に押し当てて位置決めをすることで、簡便にずれなく、深部体温計100の底面に貼付部材1Dを貼り付けることができる。
【0055】
(第4変形例)
上記第2変形例では、第1剥離部材21を不透明とし、第2剥離部材22Cを透明としたが、第1剥離部材21を不透明とし、第2剥離部材22Cも不透明としてもよい。そこで、次に、図5を参照しつつ、上記実施形態の第4変形例に係る貼付部材1Eについて説明する。図5は、第4変形例に係る貼付部材1Eの平面図、及び、側面図である。
【0056】
貼付部材1Eは、第1剥離部材21Cに代えて、第1剥離部材21Eを備えるとともに、第2剥離部材22Cに代えて、不透明な第2剥離部材22Eを備えている点で、上述した第2変形例に係る貼付部材1Cと異なっている。
【0057】
第1剥離部材21Eは、例えば、不透明な紙等から形成される。また、第1剥離部材21Eは、寸法(サイズ)がより小さい点で、上述した第1剥離部材21Cと異なっている。なお、本変形例では、第1剥離部材21Eを、粘着部材10Cと同一の形状、かつ、同一の寸法(サイズ)とした。
【0058】
第2剥離部材22Eも、例えば、不透明な紙等から形成されている。この場合も、第2剥離部材22Eの外郭(輪郭)が、深部体温計100の底面の少なくとも交わる2つの辺の直線部と重なり合うように形成されていることが好ましい。なお、本変形例では、第2剥離部材22Eの外郭(輪郭)が、深部体温計100の底面の4つの辺の直線部において重なり合うように形成した(図5の一点鎖線参照)。なお、その他の構成は、上述した第2変形例に係る貼付部材1Cと同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0059】
本変形例によっても、深部体温計100の底面と第2剥離部材22Eの外郭(輪郭)が重なる部分(最低2箇所、本変形例では4箇所)を指に押し当てて位置決めをすることで、簡便にずれなく、深部体温計100の底面に貼付部材1Eを貼り付けることができる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明を深部体温計100に適用した場合を例にして説明したが、本発明は、深部体温計以外の体温計に適用することもできる。さらに、本発明は、例えば、心電計、及び、呼吸や脈拍などを測定する貼付型生体用デバイスなどにも適用することができる。
【0061】
また、上述した第1剥離部材21や、第2剥離部材22、粘着部材10、スリット21Bb、切れ目21a、ミシン目等22aの形状や、大きさ、配置、数などは上記実施形態に限られることなく、要求される要件等に基づいて任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0062】
1,1B,1C,1D,1E 貼付部材
10,10C 粘着部材
21,21B,21C,21D,21E 第1剥離部材
22,22C,22D,22E 第2剥離部材
21a,21Ba,21Ca,21Da,21Ea 切れ目
21Bb スリット
22a ミシン目、ハーフカット、又は、折り目
30 剥離片
100 深部体温計(貼付型生体デバイス)
図1
図2
図3
図4
図5