(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ゲート装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240709BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240709BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G06K7/10 268
G06K7/10 128
G06K7/10 240
G07B15/00
G07G1/00 311D
(21)【出願番号】P 2022544999
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2020032365
(87)【国際公開番号】W WO2022044202
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】三浦 和樹
【審査官】土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0311164(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0226331(US,A1)
【文献】米国特許第09760826(US,B1)
【文献】特開2008-234527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G07B 15/00
G07G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が通る通路を定める第1および第2の筐体と、
前記第1の筐体および前記第2の筐体の少なくとも一方の筐体の前記通路に面する側面に設けられた凹部と、
前記凹部に設けられた第1のアンテナと、
前記第1のアンテナよりも前記通路側に位置している領域に設けられた電波吸収材と、を備え
、
前記電波吸収材は、前記凹部のうち前記第1のアンテナの裏面側にも設けられている、ゲート装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲート装置において、
前記電波吸収材は、前記第1のアンテナよりも前記通路側に位置している領域に相当し、かつ、前記第1のアンテナが設けられている領域の外周の少なくとも一部に設けられる、ゲート装置。
【請求項3】
請求項
1または2に記載のゲート装置において、
前記通路に面する前記側面のうち前記凹部が形成されていない部分の少なくとも一部に前記電波吸収材が設けられている、ゲート装置。
【請求項4】
請求項
3に記載のゲート装置において、
前記電波吸収材は、少なくとも、
他方の筐体の
前記凹部に設けられた前記第1のアンテナから照射される範囲を覆っている、ゲート装置。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載のゲート装置において、
前記通路の入り口側に設けられた第2のアンテナをさらに備え、
前記電波吸収材は、さらに、前記第2のアンテナの裏面側に設けられている、ゲート装置。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか一項に記載のゲート装置において、
前記第1および前記第2の筐体の双方に、前記凹部、前記第1のアンテナ、および前記電波吸収材を有する、ゲート装置。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載のゲート装置において、
前記第1のアンテナは、前記凹部の底面に設けられている、ゲート装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載のゲート装置において、
前記第1のアンテナは、前記通路を通る人とともに移動するRF(Radio Frequency)タグを読み取る、ゲート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RF(Radio Frequency)タグのついた商品を決済する為、RFタグを読み取り商品情報を取得し、会計することができる決済用のウォークスルーゲートの開発が進んでいる。
例えば、特許文献1には、施設の出入口に設けられて、その出入口を通過する通行人が所持する物品に添付されたRFタグから識別情報を読み取る通信用ゲートが記載されている。このゲートでは、通路を挟むように対向配置される一対の側壁部と天井部を有し、側壁部は、電波吸収体と、RFタグと無線通信するアンテナを含むことが記載されている。電波吸収体は、側壁部の通路側に突出する部位にも形成されており、この構成により、ゲート外部への電波の漏洩を抑制している。
【0003】
特許文献2に記載の電子タグの読取システムは、顧客は商品を保持した状態で顧客通路通過するとともに、商品は顧客の移動に伴って、商品用の通路を通過させることで商品用通路に設けられたアンテナを介して読取装置により商品に付された電子タグに記録されている商品情報を読み取ることが記載されている。商品用通路の両側に設けられた側壁に複数のアンテナが設けられるとともに、電波の漏洩を低減させるための電波吸収体で側壁を構成することが記載されている。
【0004】
特許文献3に記載のRFID(Radio Frequency Identification)ゲート構造は、通路の両側にRFIDアンテナを配設し、かつ、通路を挟んで各RFIDアンテナの反対側に電波吸収壁を配設している。電波吸収壁は、中央の板と、中央の板の前後に折り畳み自在に電波吸収壁を構成する板とを含んでいる。前後の電波吸収壁により、ゲートの外部に漏洩する電波を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-038544号公報
【文献】特開2020-57109号公報
【文献】特開2008-234527号公報
【文献】特開2019-87137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
RFタグの読み取りに関し、商品情報の読み取り率を上げるためにリーダの出力を上げれば、交信範囲は拡がるが、読み取りたくないRFタグの情報を誤って読み取ってしまう可能性が出てくる。このため、リーダの出力調整が困難である。
特許文献4に記載の商品を載置台において商品に付されたRFIDタグから商品情報を読み取る読取装置では、上記問題を解決するため、RFIDアンテナの配置を工夫している。
【0007】
しかしながら、決済用のウォークスルーゲートの場合、ゲートのサイズ(幅や長さ)が大きく、また、人とともに移動しているRFタグから情報を読み取る必要があるため、アンテナ位置の調整には手間がかかる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ゲートを通過するRFタグの読み取り精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の各側面では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。
【0010】
第一の側面は、ゲート装置に関する。
第一の側面に係るゲート装置は、
人が通る通路を定める第1および第2の筐体と、
前記第1の筐体および前記第2の筐体の少なくとも一方の筐体の前記通路に面する側面に設けられた凹部と、
前記凹部に設けられた第1のアンテナと、
前記第1のアンテナよりも前記通路側に位置している領域に設けられた電波吸収材と、を有する。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0012】
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0013】
また、本発明の方法およびコンピュータプログラムには複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の手順を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明の方法およびコンピュータプログラムを実施するときには、その複数の手順の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0014】
さらに、本発明の方法およびコンピュータプログラムの複数の手順は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある手順の実行中に他の手順が発生すること、ある手順の実行タイミングと他の手順の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0015】
上記各側面によれば、ゲートを通過するRFタグの読み取り精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係るゲート装置の使用例を示す図である。
【
図2】
図1のゲート装置の線I-Iから見た断面図である。
【
図3】
図2の電波吸収材を筐体内に配置したときの配置例を示す斜視図である。
【
図4】各第1のアンテナから発信される電波の照射範囲を示す図である。
【
図5】
図1のゲート装置の制御部を実現するコンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図6】
図1のゲート装置の線I-Iから見た断面図である。
【
図7】ゲート装置の比較例1の構成を示す図である。
【
図8】ゲート装置の比較例2の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、以下の各図において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してあり、図示されていない。
【0018】
実施形態において「取得」とは、自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータまたは情報を取りに行くこと(能動的な取得)、および、自装置に他の装置から出力されるデータまたは情報を入力すること(受動的な取得)の少なくとも一方を含む。能動的な取得の例は、他の装置にリクエストまたは問い合わせしてその返信を受信すること、及び、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等がある。また、受動的な取得の例は、配信(または、送信、プッシュ通知等)される情報を受信すること等がある。さらに、「取得」とは、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、または、配信されたデータまたは情報を選択して受信することであってもよい。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るゲート装置10の使用例を示す図である。ゲート装置10は、人Uが通る通路30を定める第1の筐体110aおよび第2の筐体110bを備えている。筐体110は、人Uが通過する通路30の入口から出口に沿って所定の距離にわたって延在する。通路30の両側に2つの筐体110が間隔を空けて互いに平行に並べて設置されている。好ましくは2つの筐体110は並行に設置される。
【0020】
ゲート装置10は、通路30を通る人Uが携行する商品などに付されているRF(Radio Frequency)タグを読み取るアンテナ(後述する
図2の第1のアンテナ130)を含み、アンテナが読み取った情報を処理する制御部160をさらに含んでいる。少なくとも2つの筐体110、もしくは筐体110に含まれる各構成要素は、互いに電気的に接続されていてよい。そのため、各筐体110に設けられている複数の第1のアンテナ130や第2のアンテナ132(
図2)は、協働して動作できる。
【0021】
制御部160、例えば、人Uが購入する商品を持って通路30を歩いている間に、アンテナにより商品に付されているRFタグに記録されている情報を読み取り、決済装置(不図示)に送信する処理を行ってもよい。商品に付されているRFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグである。RFIDタグは、アンテナと、ICチップとを含む。ICチップは、メモリと、通信部と、を有する。通信部は、アンテナを介してRFIDタグを読み取る装置(本実施形態ではゲート装置10に設けられたアンテナ130)と無線通信する。メモリは、読み書き可能なメモリデバイスであり、例えば、商品を一意に識別する商品識別情報が書き込まれている。
【0022】
図5は、制御部160を実現するコンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【0023】
コンピュータ(制御部160)は、バス1010、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、およびネットワークインタフェース1060を有する。
【0024】
バス1010は、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、およびネットワークインタフェース1060が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1020などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0025】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0026】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0027】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス1040は制御部160の各機能(例えば、決済機能など)を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030上に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能が実現される。
【0028】
プログラムモジュールは、記録媒体に記録されてもよい。プログラムモジュールを記録する記録媒体は、非一時的な有形のコンピュータが使用可能な媒体を含み、その媒体に、コンピュータ(プロセッサ1020)が読み取り可能なプログラムコードが埋め込まれてよい。
【0029】
入出力インタフェース1050は、コンピュータと各種入出力機器とを接続するためのインタフェースである。入出力インタフェース1050は、ブルートゥース(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などの近距離無線通信を行う通信インタフェースとしても機能する。
【0030】
ネットワークインタフェース1060は、コンピュータを通信ネットワークに接続するためのインタフェースである。この通信ネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1060が通信ネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0031】
そして、コンピュータは、入出力インタフェース1050またはネットワークインタフェース1060を介して、必要な機器(例えば、第1のアンテナ130、第2のアンテナ132、センサ150、センサ152、開閉扉20の開閉制御部22等)に接続する。
【0032】
図2は、
図1のゲート装置10の線I-Iから見た断面図である。
ゲート装置10は、人Uが通る通路30を定める第1および第2の筐体110a、110bと、第1の筐体110aおよび前記第2の筐体110bの少なくとも一方の筐体110の通路30に面する側面112に設けられた凹部120と、凹部120に設けられた第1のアンテナ130と、電波吸収材140とを備える。以下、第1の筐体110aおよび第2の筐体110bを区別する必要がない場合は、単に筐体110とも呼ぶ。
【0033】
電波吸収材140は、第1のアンテナ130が発信する電波を吸収する材料からなり、所定の厚さを有したプレートまたはシート状の部材である。
電波吸収材140は、第1のアンテナ130よりも通路30側に位置している領域(内側面122)および領域124にそれぞれ設けられた部分(符号142および144で示す)と、を含んでいる。
【0034】
電波吸収材140は、第1のアンテナ130よりも通路30側に位置している領域(凹部120の内側面122および側面112の領域124)に相当し、かつ、第1のアンテナ130が設けられている領域の外周の少なくとも一部に設けられている。つまり、電波吸収材140は、第1のアンテナ130の上方は覆わないように設けられている。
【0035】
図2の例では、ゲート装置10は、第1の筐体110aおよび第2の筐体110bの双方に、凹部120、第1のアンテナ130、および電波吸収材140を有している。
ただし、上記したように、ゲート装置10は、第1の筐体110aおよび第2の筐体110bの少なくとも一方の筐体110に、凹部120、第1のアンテナ130、および電波吸収材140を有していればよい。
【0036】
ただし、凹部120と第1のアンテナ130が一方の筐体110のみに設けられている場合は、他方の筐体110に電波吸収材140は設けられる。この場合、他方の筐体110には、凹部120は設けられて、設けられなくてもいずれでもよい。凹部120が設けられない構成の場合、電波吸収材140は、筐体110の側面112のうち、対向する第1のアンテナ130から発信される電波の照射範囲を覆うように設けられるのが好ましい。
【0037】
図2の例では、ゲート装置10の出口側には、開閉扉20が設けられていて、回転制御部22により開閉扉20は開閉制御される。開閉扉20の開閉により、人Uが通路30を通過できるように出口を解放したり、人Uが通路30を通過できないように出口を遮断したりする。
【0038】
筐体110の側面112はゲート装置10内における人の通路を画定している。そして凹部120は、筐体110の側面112から凹んだ領域である。なお、側面112にはカバーが設けられることもある。この場合、ゲート装置10内における人の通路は、このカバーによって画定され、また、凹部120は露出しない。
図2の例では、凹部120は、筐体110の側面112から通路30と反対側に凹んだ直方体状(断面ではコの字形状)を有している。
図2において、凹部120は、側面112とほぼ同じ方向を向いている底面120aと、底面120aから側面112側に立ち上がっている内側面122を有している。さらに、側面112は、凹部120が形成されてない領域124を含んでいる。ただし、凹部120の形状は、錐状であってもよいし、角錐の上部を切断した形状であってもよいし、部分的に曲面状であってもよい。
【0039】
また側面112と底面120aとの境界は不明確な場合もある。さらに内側面122は側面112に対して斜めであってもよい。この場合、底面120aが設けられず、2つの斜めの内側面122によって凹部120が形成されていてもよい。この場合、内側面122に第1のアンテナ130が設けられる。電波吸収材140は、側面112の領域124の少なくとも一部と、凹部120の内側面122と、凹部120の底面120aと、に設けられている。
【0040】
図3は、
図2の電波吸収材140を筐体110内に配置したときの配置例を示す斜視図である。
図4は、各第1のアンテナ130から発信される電波の照射範囲を網掛けで示している。
第1のアンテナ130は、通路30を通る人Uとともに移動するRFタグを読み取る。RFタグから読み取れられた情報は、制御部160に送信される。
【0041】
各第1のアンテナ130からは、第1のアンテナ130の前方に向けて所定の照射角度で電波が発信される。第1のアンテナ130の照射範囲(角度)は、電波吸収材140の位置および設置範囲に応じて調整される。少なくとも第1のアンテナ130から発信される電波の照射範囲は、対面する側の他の筐体110の側面112に設けられている電波吸収材140の領域144を超えないようになっている。言い換えると、電波吸収材140により、第1のアンテナ130から発信された電波は、通路30の外に漏洩しないようになっている。
【0042】
本実施形態の例では、第1のアンテナ130は、凹部120の底面120aに上下左右に4つ設けられている。第2のアンテナ132は、各筐体110の前面114に相当する位置にそれぞれ設けられている。
【0043】
また、各筐体110の側面112の入口側と出口側には、それぞれ一対の人感センサ150および152が設けられている。人感センサ150および152は、例えば、赤外線センサである。ゲート装置10に進入またはゲート装置10から退出する人Uを検出する。例えば、入口側の人感センサ150がゲート装置10内への人Uの進入を検出すると、制御部160は、第1のアンテナ130によるRFタグの読み取り処理を開始してよい。さらに、出口側の人感センサ152がゲート装置10から人Uが退出したことを検出すると、制御部160は、第1のアンテナ130によるRFタグの読み取り処理を終了してよい。
【0044】
一例として、ゲート装置10の各寸法は以下の通りである。ただし、以下は一例であり、これに限定されない。
通路30の幅W1は75cmである。通路30の長さ、少なくとも筐体110の長さL1は140cmである。筐体110の高さは110cmである。筐体110の幅は40cmである。2つの筐体110を並べたときの外側側面の距離W2は155cmである。2つの筐体110の凹部120の底面120aの間隔W3は135cmである。
【0045】
電波吸収材140の高さH1は100cmである。電波吸収材140に設けられている第1のアンテナ130は、その中心が高さH3および高さH3より低い高さH4になるように設けられている。第2のアンテナ132は、その中心が高さH2になるように設けられている。高さH2は50cm、高さH3は80cm、高さH4は40cmである。
【0046】
第1のアンテナ130は一辺が12cmの正方形である。第1のアンテナ130の通路30の進行方向の間隔D2は30cmである。凹部120の底面120aの通路30の進行方向の長さD3は70cmである。凹部120の深さ(内側面122の高さ)は26.3cmである。側面112の凹部120が形成されていない領域124の通路30の進行方向の長さは、入口側のD4と出口側のD1はともに30cmである。
【0047】
この側面112の凹部120が形成されていない領域124には、電波吸収材140の一部である電波吸収材144が設けられている。この電波吸収材144は、対向する第1のアンテナ130から発信される電波の照射範囲を覆う長さを有するように、設けられる。第1のアンテナ130の設置位置、照射角度、および凹部120の深さなどから、領域124の長さD1、すなわち、電波吸収材144の設置範囲は算出することができる。
【0048】
さらに、
図6に示すように、前記電波吸収材140は、凹部120のうち第1のアンテナ130の裏面130a側にも設けられている。ただし、第1のアンテナ130が電波を透過しない場合、第1のアンテナ130の裏面130aの真裏に相当する底面120aの領域には、電波吸収材140はなくてもよい。
【0049】
電波吸収材140は、少なくとも、対面する側の他方の筐体110の凹部120に設けられた第1のアンテナ130から照射される範囲を覆っている。
【0050】
ゲート装置10は、通路30の入り口側に設けられた第2のアンテナ132をさらに備えている。電波吸収材140は、さらに、第2のアンテナ132の裏面132a側にも設けられている。第2のアンテナ132の裏面132a側の電波吸収材は、符号146で示されている。
【0051】
電波吸収材140と電波吸収材146により、筐体110には、断面が矩形の空洞126が形成されている。この空洞126内には電波が侵入しないため、この空洞126内に電波の影響が懸念される機器を収容してもよい。
【0052】
第2のアンテナ132は、通路30の外側に存在するRFタグの情報を読み取る。第2のアンテナ132で読み取ったRFタグの情報を第1のアンテナ130が読み取った情報から差し引くことで、第1のアンテナ130が通路30の外側に存在するRFタグの情報を誤って読み取った場合に通路30の外側に存在するRFタグの情報を除外できる。これにより第1のアンテナ130の読み取り精度を向上させることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態のゲート装置10において、通路30を定める第1の筐体110aと第2の筐体110bの少なくとも一方の筐体110の通路30に面する側面112に凹部120を設け、凹部120に第1のアンテナ130を設けられている。そして、電波吸収材140は、第1のアンテナ130よりも通路30側に位置している領域(凹部120の内側面122および側面112の領域124)に設けられている。
【0054】
これにより、第1のアンテナ130から発信された電波は、第1のアンテナ130よりも通路30側に位置している領域に設けられた電波吸収材140により効率よく吸収されるので、ゲート装置10の外部への電波の漏洩を低減できる。よって、RFタグの読み取り精度を向上できる。
【0055】
特に、電波吸収材140を、側面112のうち凹部120が形成されていない部分の少なくとも一部に相当する位置(側面112の領域124)に設けることで、第1のアンテナ130から発信される電波のゲート装置10外部への漏洩を効率よく抑制できる。
【0056】
(比較例1)
図7は、ゲート装置10の比較例1の構成を示す図である。比較例1のゲート装置10は、筐体110の断面がアーチ状の凹部120を有している点で第1実施形態と相違する。
【0057】
凹部120の底面120aは、少なくとも一方の筐体110の側面112全体に形成されている。この例では、通路30の長さL11は231cmである。通路30の幅W11は60cmである。2組の筐体110を2つ並べた筐体110の外側側面の距離W12は266cmである。
【0058】
各筐体110には、前面114に第2のアンテナ132が設けられ、通路30の進行方向に向かって高さH3と高さH4にそれぞれ等間隔に4つの第1のアンテナ130が並んでもうけられている。
【0059】
筐体110の前面114から通路30の進行方向に向かって1つの目の第1のアンテナ130の中心との距離L12は40cmである。各第1のアンテナ130の中心の間隔L13は50cmである。
【0060】
4つの第1のアンテナ130は、凹部120のアーチ状の底面120aに設けられているため、各第1のアンテナ130から発信される電波は通路30の中央に向けて照射される。第1のアンテナ130から発信される電波は、対面する筐体110の凹部120表面で乱反射してしまい、RFタグの読取精度が向上しなかった。
【0061】
(比較例2)
図8は、ゲート装置10の比較例2の構成を示す図である。比較例2のゲート装置10は、筐体110に凹部120を設ける代わりに、筐体110の側面112に各第1のアンテナ130の照射方向を通路30の中央に向けて設置する点で第1実施形態と相違する。
【0062】
この例では、第1の筐体110aおよび第2の筐体110bの少なくとも一方の筐体110の通路30側の側面112に通路30の進行方向に向かって高さH3と高さH4にそれぞれ3つの第1のアンテナ130が所定の間隔を空けて並べられている。各筐体110には、さらに、前面114に第2のアンテナ132が設けられている。
【0063】
通路30の進行方向に向かって1番目と3番目の第1のアンテナ130は、水平方向から6度、かつ、垂直方向から6度、通路30の中央に向けてそれぞれ傾けられている。通路30の進行方向の中央(2番目)の第1のアンテナ130は、垂直方向から10度下方向に傾けられている。このようにして、各第1のアンテナ130から発信される電波は通路30の中央に向けて照射される。
【0064】
この例では、金属構造部分で対応する第1のアンテナ130から発信された電波の跳ね返りが発生し、ゲート外にも可読ポイントが出てしまい、読み取り精度が向上しなかった。
【0065】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0066】
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
なお、本発明において利用者(例えば、人U)に関する情報を取得、利用する場合は、これを適法に行うものとする。
【0067】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1. 人が通る通路を定める第1および第2の筐体と、
前記第1の筐体および前記第2の筐体の少なくとも一方の筐体の前記通路に面する側面に設けられた凹部と、
前記凹部に設けられた第1のアンテナと、
前記第1のアンテナよりも前記通路側に位置している領域に設けられた電波吸収材と、を備える、ゲート装置。
2. 1.に記載のゲート装置において、
前記電波吸収材は、前記第1のアンテナよりも前記通路側に位置している領域に相当し、かつ、前記第1のアンテナが設けられている領域の外周の少なくとも一部に設けられる、ゲート装置。
3. 1.または2.に記載のゲート装置において、
前記電波吸収材は、前記凹部のうち前記第1のアンテナの裏面側にも設けられている、ゲート装置。
4. 1.から3.のいずれか一つに記載のゲート装置において、
前記通路に面する前記側面のうち前記凹部が形成されていない部分の少なくとも一部に前記電波吸収材が設けられている、ゲート装置。
5. 3.または3.を引用する4.に記載のゲート装置において、
前記電波吸収材は、少なくとも、対面する側の他方の筐体の凹部に設けられた前記第1のアンテナから照射される範囲を覆っている、ゲート装置。
6. 1.から5.のいずれか一つに記載のゲート装置において、
前記通路の入り口側に設けられた第2のアンテナをさらに備え、
前記電波吸収材は、さらに、前記第2のアンテナの裏面側に設けられている、ゲート装置。
7. 1.から6.のいずれか一つに記載のゲート装置において、
前記第1および前記第2の筐体の双方に、前記凹部、前記第1のアンテナ、および前記電波吸収材を有する、ゲート装置。
8. 1.から7.のいずれか一つに記載のゲート装置において、
前記第1のアンテナは、前記凹部の底面に設けられている、ゲート装置。
9. 1.から8.のいずれか一つに記載のゲート装置において、
前記第1のアンテナは、前記通路を通る人とともに移動するRF(Radio Frequency)タグを読み取る、ゲート装置。
【符号の説明】
【0068】
10 ゲート装置
20 開閉扉
22 回転制御部
30 通路
110 筐体
110a 第1の筐体
110b 第2の筐体
112 側面
114 前面
120 凹部
120a 底面
122 内側面
124 領域
126 空洞
130 第1のアンテナ
132 第2のアンテナ
140 電波吸収材
142 電波吸収材
144 電波吸収材
146 電波吸収材
150 人感センサ
152 人感センサ
160 制御部
1010 バス
1020 プロセッサ
1030 メモリ
1040 ストレージデバイス
1050 入出力インタフェース
1060 ネットワークインタフェース