(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】移行装置、移行方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/185 20190101AFI20240709BHJP
【FI】
G06F16/185
(21)【出願番号】P 2022560702
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2021038614
(87)【国際公開番号】W WO2022097469
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2020186306
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】小島 裕貴
【審査官】齊藤 貴孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0075138(US,A1)
【文献】米国特許第05734720(US,A)
【文献】特開2018-005446(JP,A)
【文献】特開2007-293619(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0332486(US,A1)
【文献】特開2006-040146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0019718(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06F 21/00-21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サーバに格納されているファイルの
アクセス権を含む属性情報に基づくクラスタリングによって、前記ファイルの複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのいずれかに、前記第1サーバの対象ファイルを、当該対象ファイルの属性情報に基づいて分類する解析手段と、
前記対象ファイルを、当該対象ファイルが分類されたクラスタに関連付けられる、
前記第1サーバのアクセス権の体系と異なるアクセス権の体系を持つ第2サーバのフォルダに格納する実行手段と、
を備える移行装置。
【請求項2】
前記属性情報から、当該属性情報に基づくベクトルである属性ベクトルを生成する前処理手段を備え、
前記解析手段は、前記第1サーバに格納されている前記ファイルの前記属性ベクトルの前記クラスタリングによって前記複数のクラスタを生成し、前記対象ファイルの前記属性ベクトルに基づいて、前記対象ファイルを前記複数のクラスタのいずれかに分類する
請求項1に記載の移行装置。
【請求項3】
前記解析手段は、第1属性の値が第1所定値ではない前記属性情報に基づく前記クラスタリングによって、前記複数のクラスタを生成する
請求項1又は2に記載の移行装置。
【請求項4】
前記第1所定値は、前記第1サーバにおいて設定され、前記第2サーバにおいて設定できない属性である
請求項3に記載の移行装置。
【請求項5】
前記解析手段は、前記属性情報の複数の属性の各々に対して重みを設定し、前記対象ファイルの前記属性情報と前記重みとに基づいて、前記対象ファイルを前記複数のクラスタのいずれかに分類する
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の移行装置。
【請求項6】
前記解析手段は、前記属性情報と前記重みとに基づく前記クラスタリングによって、前記複数のクラスタを生成する
請求項5に記載の移行装置。
【請求項7】
前記解析手段は、前記対象ファイルの前記複数のクラスタのいずれかへの分類に、前記複数の属性のうち前記ファイルへのアクセスの権限の属性である第2属性が与える影響が、前記第2属性以外の前記複数の属性が前記分類に与える影響よりも大きくなるように、前記第2属性の重みを決定する
請求項5又は6に記載の移行装置。
【請求項8】
前記第1サーバから、当該第1サーバに格納されている前記ファイルの前記属性情報を取得する属性取得手段と、
前記第1サーバから前記対象ファイルを取得するファイル取得手段と、
前記複数のクラスタにそれぞれ関連する複数のフォルダを前記第2サーバに作成する作成手段と、
をさらに備える請求項1乃至7のいずれか1項に記載の移行装置。
【請求項9】
コンピュータが、
第1サーバに格納されているファイルの
アクセス権を含む属性情報に基づくクラスタリングによって、前記ファイルの複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのいずれかに、前記第1サーバの対象ファイルを、当該対象ファイルの属性情報に基づいて分類し、
前記対象ファイルを、当該対象ファイルが分類されたクラスタに関連付けられる、
前記第1サーバのアクセス権の体系と異なるアクセス権の体系を持つ第2サーバのフォルダに格納する、
移行方法。
【請求項10】
第1サーバに格納されているファイルの
アクセス権を含む属性情報に基づくクラスタリングによって、前記ファイルの複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのいずれかに、前記第1サーバの対象ファイルを、当該対象ファイルの属性情報に基づいて分類する解析処理と、
前記対象ファイルを、当該対象ファイルが分類されたクラスタに関連付けられる、
前記第1サーバのアクセス権の体系と異なるアクセス権の体系を持つ第2サーバのフォルダに格納する実行処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データを移行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバに格納されているデータを、他のサーバに移行する際、一般に、他のサーバに移行されるデータのファイルの属性情報を適切に設定することが望まれる。
【0003】
特許文献1には、移行先のファイルの属性情報を設定する技術の一例が開示されている。特許文献1の技術では、ファイルの特徴情報に基づいて移行先のファイルを特定し、特定したファイルに、特徴情報に含まれる所定の属性情報を関連付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移行元のファイルサーバと移行先のファイルサーバとの間で、ファイルの属性の体系、例えば、ファイルのアクセス権の体系が、大きく異なる場合がある。例えば、オンプレミス型のファイルサーバ(以下、単にオンプレミスサーバとも表記)の環境と、クラウド型のオンラインのストレージの環境(以下、クラウドとも表記)との間で、アクセス権の体系が大きく異なっている場合が多い。ファイルの属性の体系が異なっているサーバ間でデータの移行を行う場合、ファイルの属性を維持したまま移行することは容易ではない。
【0006】
一般的に、クラウドでは、オンプレミスサーバと比較して、アクセス権の継承/非継承及び適用先の範囲の設定の自由度が低い。
【0007】
例えば、オンプレミスサーバがデータの移行元であり、クラウドがデータの移行先である場合、オンプレミスサーバにおいて設定されているファイルの属性と同一の属性を、クラウドに移行したファイルに設定することはできない。この場合、例えば、オンプレミスサーバのファイルやフォルダに、アクセス権の非継承などのクラウドでは設定できない属性が設定されていれば、フォルダ構造を維持したままデータの移行を行うことはできない。
【0008】
なお、フォルダ構造を維持するとは、例えば、移行元の装置の移行の対象の記憶領域における、移行の対象のフォルダの構造と、移行先の装置の記憶領域における、移行が行われたフォルダの構造が同じであることを指す。
【0009】
特許文献1の技術では、移行元のフォルダ構造を維持したまま移行先にデータの移行を行うことができない場合に、ファイルが格納される移行先のフォルダを決定することはできない。このような場合、ファイルごとに移行先のフォルダを手作業で決定する方法が考えられる。しかし、そのような方法では、例えば、多数のファイルが存在する場合、移行時の作業に加えて、移行後のファイルの利用及び管理が煩雑になる。
【0010】
本開示の目的の1つは、移行元のフォルダ構造を維持したまま移行先にデータの移行を行うことができない場合であっても、ファイルが格納される移行先のフォルダを決定できる移行装置などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様に係る移行装置は、第1サーバに格納されているファイルの属性情報に基づくクラスタリングによって、前記ファイルの複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのいずれかに、前記第1サーバの対象ファイルを、当該対象ファイルの属性情報に基づいて分類する解析手段と、前記対象ファイルを、当該対象ファイルが分類されたクラスタに関連付けられる、第2サーバのフォルダに格納する実行手段と、を備える。
【0012】
本開示の一態様に係る移行方法は、第1サーバに格納されているファイルの属性情報に基づくクラスタリングによって、前記ファイルの複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのいずれかに、前記第1サーバの対象ファイルを、当該対象ファイルの属性情報に基づいて分類し、前記対象ファイルを、当該対象ファイルが分類されたクラスタに関連付けられる、第2サーバのフォルダに格納する。
【0013】
本開示の一態様に係るプログラムは、第1サーバに格納されているファイルの属性情報に基づくクラスタリングによって、前記ファイルの複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのいずれかに、前記第1サーバの対象ファイルを、当該対象ファイルの属性情報に基づいて分類する解析処理と、前記対象ファイルを、当該対象ファイルが分類されたクラスタに関連付けられる、第2サーバのフォルダに格納する実行処理と、をコンピュータに実行させる。本開示の一態様は、上述のプログラムを記憶する記憶媒体によっても実現される。
【発明の効果】
【0014】
本開示には、移行元のフォルダ構造を維持したまま移行先にデータの移行を行うことができない場合であっても、ファイルが格納される移行先のフォルダを決定できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る移行システムの構成の例を表すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施形態に係る移行元情報記憶部に格納されている属性情報の例である。
【
図3】
図3は、本開示の第1の実施形態に係る前処理部が属性ベクトルの生成に使用する属性の例を表す図である
【
図4】
図4は、本開示の第1の実施形態に係る正規化後の属性ベクトルの例を表す図である。
【
図5】
図5は、本開示の第1の実施形態に係る所有者の値を数値化するルールを表す図である。
【
図6】
図6は、本開示の第1の実施形態に係るアクセス権限の値を数値化するルールを表す図である。
【
図7】
図7は、本開示の第1の実施形態に係る属性ベクトルの要素に付与する重みの例を表す図である。
【
図8】
図8は、本開示の第1の実施形態に係るファイルの分類の結果の情報の例を表す図である。
【
図9】
図9は、本開示の第1の実施形態に係る移行装置の、クラスタ分類の動作の例を表すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本開示の第1の実施形態に係る移行装置の、データ移行の動作の例を表すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本開示の第2の実施形態に係る移行装置の構成の例を表すブロック図である。
【
図12】
図12は、本開示の第2の実施形態に係る移行装置の動作の例を表すフローチャートである。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態に係る移行装置を実現することができる、コンピュータのハードウェア構成の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態について、図面を使用して詳細に説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
<構成>
図1は、本開示の第1の実施形態に係る移行システム10の構成の例を表すブロック図である。
図1に示す例では、移行システム10は、移行装置1と、第1サーバ2と、第2サーバ3とを含む。移行装置1は、第1サーバ2及び第2サーバ3の各々と、通信可能に接続されている。移行装置1は、第1サーバ2にファイルの形で格納されているデータを、第2サーバ3に移行する。
【0018】
<概要>
移行装置1は、第1サーバ2に格納されているファイルの属性情報を読み出し、読み出した属性情報に基づいて、ファイルのクラスタリングを行う。移行装置1は、ファイルのクラスタリングによって、ファイルの複数のクラスタを生成する。移行装置1は、第1サーバのファイルを、複数のクラスタのうちそのファイルが分類されるクラスタに関連付けられる、第2サーバのフォルダに格納する。
【0019】
属性情報は、作成日時や更新日時などのタイムスタンプ、サイズ、所有者、アクセス権などの、ファイルに付与されている情報である。属性情報は、ファイルプロパティ情報とも表記される。属性情報が含む、作成日時や更新日時などのタイムスタンプ、サイズ、所有者、アクセス権などの、個々の情報の種類を、属性と表記する。個々の情報の値を、属性の値と表記する。属性情報は、上述の例に限られない。
【0020】
<第1サーバ2>
第1サーバ2は、移行の対象となるデータ(例えば、ファイルおよびフォルダなどのコンテンツ)を記憶するファイルサーバである。ファイル及びフォルダには属性が付与されている。第1サーバ2は、例えば、上述のオンプレミス型ファイルサーバである。
【0021】
<第2サーバ3>
第2サーバ3は、第1サーバ2から読み出された移行の対象となるデータが格納されるファイルサーバである。第2サーバ3は、例えば、クラウド型オンラインストレージである。
【0022】
<移行装置1>
移行装置1は、属性取得部101と、前処理部102と、解析部103と、移行制御部104と、移行元情報記憶部201と、条件記憶部202と、分析結果記憶部203と、権限対応記憶部204と、を含む。移行制御部104は、ファイル取得部301と、実行部302と、生成部303とを含む。
【0023】
<属性取得部101>
属性取得部101は、第1サーバ2の、移行対象となる記憶領域に格納されているファイルの属性情報を読み出す。属性取得部101は、具体的には、移行対象となる記憶領域に格納されている全てのファイルの、ファイル識別子と属性情報とを読み出す。ファイル識別子は、第1サーバ2において、ファイルを特定する情報である。ファイル識別子は、ファイル名を含んでいてもよい。属性取得部101は、読み出した、ファイルのファイル識別子と、そのファイルの属性情報とを、移行元情報記憶部201に格納する。
【0024】
<移行元情報記憶部201>
移行元情報記憶部201は、属性取得部101によって第1サーバ2から読み出された、ファイル識別子と、属性情報とを記憶する。
【0025】
図2は、移行元情報記憶部201に格納されている属性情報の例である。
図2において、文書ID(Identifier)は、ファイルの識別子である。情報取得日時は、属性取得部101が属性情報を取得した日時を表す。ファイル名は、ファイルの名称である。ファイルサイズは、ファイルのサイズである。共有パスは、ファイルが格納されているフォルダを表す。作成日時は、ファイルが作成された日時を表す。
図2に示す例は、一例である。属性情報は、
図2に示す例に限られない。属性情報は、
図2に示す属性の一部または全部を含んでいなくてもよい。属性情報は、
図2に示す属性以外の属性を含んでいてもよい。
【0026】
<前処理部102>
前処理部102は、移行元情報記憶部201から、ファイル識別子と、属性情報とを読み出す。具体的には、前処理部102は、移行対象となる記憶領域に格納されている全てのファイルの、ファイル識別子と、属性情報とを読み出す。前処理部102は、読み出した属性情報から、ベクトルの形式のデータ(以下、属性ベクトルと表記)を生成する。具体的には、前処理部102は、属性情報に含まれる属性の値のうち、所定の種類の属性の値を要素として含む、属性ベクトルを生成する。
【0027】
前処理部102は、あらかじめ定められているルールに従って、所定の種類の属性の値を、それぞれ、数値に変換する。前処理部102は、属性の値が数値を表している場合、属性の値を、そのまま、属性ベクトルの要素の値としてよい。
【0028】
前処理部102は、例えばアクセス権の情報などの、複雑な属性を、あらかじめ定めておいた方法に従って、複数の次元の要素の値に変換してよい。例えば、アクセス権の属性として、ファイルにアクセスできるか否かを表す情報が、部門ごとに設定されている場合、前処理部102は、部門ごとの、ファイルにアクセスできるか否かを表す情報を、1つの要素の値として設定してよい。
【0029】
前処理部102は、例えば所有者の情報などの、そのまま数値化することが難しい属性の値を、第1サーバ2において設定されている、特定の管理単位レベル(例えば、組織の様々な階層の部門のために設定されているグループ分けのいずれか)で抽象化し、属性ベクトルの要素の値に変換してよい。その場合、例えば、特定の管理単位レベルのグループの各々に対して異なる数値をあらかじめ割りあてておいてよい。前処理部102は、特定の管理単位レベルの値にあらかじめ割り当てられている数値を、属性ベクトルの、特定の管理単位レベルを表す要素の値としてよい。
【0030】
前処理部102は、生成した属性ベクトルの正規化を行う。本実施形態における属性ベクトルの正規化は、例えば、属性ベクトルの各要素の値を、0以上1以下の値に変換することである。さらに詳細には、本実施形態における属性ベクトルの正規化は、属性ベクトルの要素ごとに、要素の値の最小値が0に、要素の値の最小値が1になるように、要素の値からその要素の値の最小値を引いた値を、要素の値の最大値から最小値を引いた値によって割った値を、その要素の値の変換後の値としてよい。
【0031】
図3は、前処理部102が属性ベクトルの生成に使用する属性の例を表す図である。
図3に示す例においても、文書IDは、ファイルの識別子である。作成日時は、数値化された、ファイルが作成された日時を表す。
図3の例では、作成日時は、移行元情報記憶部201に格納されている作成日時の属性の中で最も古い作成日時からの経過日数を表す。更新日時は、数値化された、ファイルが最後に更新された日時を表す。
図3の例では、更新日時は、移行元情報記憶部201に格納されている更新日時の属性の中で最も古い更新日時からの経過日数を表す。所有者は、ファイルの所有者の名称である。所有者を表す属性の値は、所有者に割り当てられている識別子であってよい。権限営業部、権限開発部、権限人事部、権限情報シス部の各々は、アクセス権限を表す属性である。フルコントロール、読み取り専用、なしの各々は、付与されているアクセス権限を表す。アクセス権限を表す属性の値は、フルコントロール、読み取り専用、なし等にそれぞれ割り当てられている値のいずれかであってよい。前処理部102が属性ベクトルの生成に使用する属性は、
図3に示す例に限られない。
【0032】
前処理部102は、
図3に示す例に含まれる属性の一部または全部を使用しなくてもよい。前処理部102は、
図3に示す属性以外の属性を使用して属性ベクトルを生成してもよい。前処理部102は、例えば、ファイルサイズ、及び、共有パスの階層数などを、属性として使用してもよい。
【0033】
図4は、正規化後の属性ベクトルの例を表す図である。
図4に示す例では、識別子である文書IDによって特定されるファイルの属性ベクトルの要素の値が、文書IDの値が含まれる行と同じ行に含まれる数値である。
【0034】
図5は、所有者の値を数値化するルールを表す図である。前処理部102は、例えば、
図5に示すルールに従って、所有者を表す属性の値を数値に変換する。前処理部102は、例えば、
図5の「所有者」の列に示される、所有者を表す属性の値を、同じ行の「対応値」の数値に変換する。
【0035】
図6は、アクセス権限の値を数値化するルールを表す図である。前処理部102は、例えば、
図6に示すルールに従って、アクセス権限を表す属性の値を数値に変換する。前処理部102は、例えば、
図6の「権限」の列に示される、アクセス権限を表す属性の値を、同じ行の「対応値」の数値に変換する。
【0036】
<条件記憶部202>
条件記憶部202は、例えば、前処理部102が属性の値を数値に変換するためのルールを記憶する。条件記憶部202は、さらに、後述の解析部103が、属性ベクトルの各要素に付与する重みを記憶する。重みは、移行装置1の管理者等によって、あらかじめ定められていてよい。
【0037】
<解析部103>
解析部103は、属性ベクトル(具体的には、正規化後の属性ベクトル)のクラスタリングを行う。解析部103は、ベクトルのクラスタリングを行う既存の任意の方法のいずれかによって、属性ベクトルのクラスタリングを行ってよい。解析部103は、クラスタリングによって、属性ベクトルの複数のクラスタが生成する。解析部103は、生成したクラスタの各々に、クラスタを識別する情報であるクラスタ識別子(例えば、番号など)を割り当てる。解析部103は、例えば、k-means法を用いてクラスタリングを行う。
【0038】
解析部103は、第1サーバ2から第2サーバ3にそのまま移行できるフォルダ(以下、単純移行元フォルダとも表記)の数を特定する。第1サーバ2から第2サーバ3にそのまま移行できるフォルダは、例えば、第2サーバ3において設定できる属性の値のみ設定されているフォルダである。第2サーバ3において対応する値が存在しない属性の値が設定されている、第1サーバ2のフォルダを、そのまま第2サーバ3に移行することはできない。解析部103は、例えば、第1サーバ2の移行対象の記憶領域に存在するフォルダのうち、設定されている属性に、第2サーバ3において設定できる属性の値のみ設定されているフォルダの数を特定し、特定した数をクラスタの数に設定してよい。言い換えると、解析部103は、第1サーバ2の移行対象の記憶領域に存在フォルダのうち、第2サーバ3において対応する値が存在しない属性の値が設定されているフォルダを除くフォルダの数を、クラスタの数に設定してよい。
【0039】
上述のように、第1サーバ2において、アクセス権限が非継承であることを表す値がフォルダの属性の値として設定可能であり、第2サーバ3において、アクセス権限が非継承である値をフォルダの属性の値を設定できない場合が存在する。この場合、そのようなフォルダを第1サーバ2から第2サーバ3にそのまま移行できない。解析部103は、第1サーバ2の移行対象の記憶領域において、アクセス権限が非継承である値が属性の値として設定されているフォルダを除くフォルダの数を特定し、特定したフォルダの数をクラスタの数に設定する。
【0040】
解析部103は、属性ベクトルのクラスタリングによって、各属性ベクトルが属するクラスタを特定する。言い換えると、解析部103は、属性ベクトルのクラスタリングによって、各属性ベクトルが分類されるクラスタを特定する。
【0041】
解析部103は、クラスタリングの結果に基づいて、各クラスタに関連するフォルダを決定する。具体的には、解析部103は、例えば、第1サーバ2から第2サーバ3にそのまま移行できるフォルダ(上述の単純移行元フォルダ)に格納されていたファイルのうち、最も多くのファイルが分類されたクラスタを特定する。そして、解析部103は、フォルダ構造を維持したまま移行を行った場合に、その単純移行元フォルダが移行されるフォルダである移行先フォルダを特定する。解析部103は、特定したクラスタと、移行先フォルダとを関連付ける。
【0042】
なお、上述のようにフォルダ構造を維持するとは、例えば、移行元の装置の移行の対象の記憶領域における、移行の対象のフォルダの構造と、移行先の装置の記憶領域における、移行が行われたフォルダの構造が同じであることを指す。
【0043】
解析部103は、上述の単純移行元フォルダと、クラスタとが、1対1で関連付けられるように、単純移行元フォルダとクラスタとの関連付けを行ってよい。その場合、解析部103は、例えば、単純移行元フォルダごとに、各クラスタに分類されたファイルの割合を算出する。解析部103は、算出された割合の値が最も大きい、単純移行元フォルダとクラスタとの組み合わせを特定する。単純移行元フォルダとクラスタとの組み合わせが1対1である場合、解析部103は、その組み合わせの単純移行元フォルダとクラスタとを関連付ける。
【0044】
クラスタが共通である複数の組み合わせが特定された場合、それらの組み合わせのいずれかに含まれる複数の単純移行元フォルダのうち、そのクラスタに分類されたファイルが最も多い単純移行元フォルダを特定する。1つの単純移行元フォルダが特定された場合、解析部103は、特定した単純移行元フォルダとそのクラスタとを関連付ける。複数の単純移行元フォルダが特定された場合、解析部103は、所定の選択方法に従って、複数の単純元フォルダから1つの単純にもう元フォルダを選択し、選択した単純移行元フォルダとそのクラスタとを関連付ける。所定の選択方法は、適宜定められていてよい。所定の選択方法は、ランダムに選択する方法であってもよい。所定の選択方法は、フォルダに割り当てられている所定の属性の値を数値とみなした場合に値の大きいフォルダ識別子が割り当てられている単純移行元フォルダを選択する方法であってもよい。所定の選択方法は、フォルダに割り当てられている所定の属性の値を数値とみなした場合に値の小さいフォルダ識別子が割り当てられている単純移行元フォルダを選択する方法であってもよい。
【0045】
解析部103は、互いに関連付けられた単純移行元フォルダとクラスタとを除いた、単純移行元フォルダとクラスタとの中で、単純移行元フォルダごとの、各クラスタに分類されたファイルの割合が最も大きい単純移行元フォルダとクラスタとの組み合わせを特定する。そして、解析部103は、特定された単純移行元フォルダとクラスタとの組み合わせから、上述のように、単純移行フォルダとクラスタとを関連付ける。解析部103は、関連付けられていない単純移行フォルダとクラスタとが存在しなくなるまで、単純移行フォルダとクラスタとの関連付けを繰り返す。
【0046】
以上で説明した方法は、単なる一例である。解析部103は、他の方法によって、クラスタと第2サーバ3におけるフォルダとを関連付けてよい。
【0047】
解析部103は、移行の対象であるファイルの各々の、ファイル識別子と、属性ベクトルが分類されたクラスタのクラスタ識別子とを、クラスタリングによって得られた複数のクラスタへのファイルの分類の結果として、分析結果記憶部203に格納する。以下では、クラスタリングによって得られた複数のクラスタへのファイルの分類の結果を、単に、ファイルの分類の結果、及び、分類の結果とも表記する。解析部103は、クラスタリングの結果として、生成された複数のクラスタの個数と、複数のクラスタの各々のクラスタ識別子と、複数のクラスタにそれぞれ関連付けられている第2サーバ3のフォルダを、分析結果記憶部203に格納してもよい。解析部103は、クラスタとフォルダとの関連付けの結果を、分析結果記憶部203に格納する。クラスタとフォルダとの関連付けの結果は、例えば、複数のクラスタについての、クラスタのクラスタ識別子と、移行元フォルダと、移行先フォルダと、の組み合わせである。移行先フォルダは、クラスタに最も多くのファイルが分類された、第1サーバ2のフォルダである。移行先フォルダは、フォルダ構造を保ったまま第1サーバ2から第2サーバ3へデータを移行した場合、その移行元フォルダの移行先の、第2サーバ3のフォルダである。以下では、クラスタとフォルダとの関連付けの結果を表す情報を、クラスタの情報とも表記する。
【0048】
解析部103は、属性ベクトルに基づくクラスタリング、及び、属性ベクトルに基づく分類において、属性ベクトル間の距離を算出する際、属性ベクトルの要素の各々に重みを付与してもよい。
【0049】
図7は、属性ベクトルの要素に付与する重みの例を表す図である。
図7に示す例では、「作成日時」は、作成日時を表す属性が変換された数値の要素に付与される重みの例である。「更新日時」は、更新日時を表す属性が変換された数値の要素に付与される重みの例である。「所有者」は、所有者を表す属性が変換された数値の要素に付与される重みの例である。「権限」は、アクセス権限を表す属性が変換された数値の要素(すなわち、アクセス権限を表す要素)の各々に付与される重みの例である。
図7に示す例では、アクセス権限を表す要素に付与される重みは、他の要素に付与される重みよりも大きい。言い換えると、解析部103は、アクセス権限を表す要素が、他の属性の要素と比較して、上述のクラスタリング及びファイルの分類に与える影響が大きくなるように、アクセス権限を表す要素および他の要素に重みを付与する。
【0050】
<分析結果記憶部203>
分析結果記憶部203は、移行の対象であるファイルの各々の、ファイル識別子と、属性ベクトルが分類されたクラスタ識別子とを、クラスタリングによって得られた複数のクラスタへのファイルの分類の結果として記憶する。分析結果記憶部203は、クラスタリングの結果として、生成された複数のクラスタの個数と、複数のクラスタの各々のクラスタ識別子とを記憶していてもよい。分析結果記憶部203は、クラスタと移行先フォルダとの関連付けの結果(複数のクラスタのクラスタ識別子と、複数のクラスタにそれぞれ関連付けられている移行先フォルダすなわち第2サーバ3のフォルダと)を記憶する。
【0051】
図8は、ファイルの分類の結果の情報の例を表す図である。
図8に示す例では、文書IDは、ファイルの識別子を表す。クラスタ番号は、クラスタの識別子を表す。そして、
図8に示す例は、文書IDによって特定されるファイルが、クラスタ番号によって特定されるクラスタに分類されていることを表す。
【0052】
<権限対応記憶部204>
権限対応記憶部204は、第1サーバ2においてファイル及びフォルダに設定され得るアクセス権限と、第2サーバ3において設定されるアクセス権限との対応(以下、権限対応と表記)を記憶する。権限対応は、例えば移行装置1の管理者によって、あらかじめ、第1サーバ2及び第2サーバ3の各々のアクセス権限の設定の情報に基づいて決定され、権限対応記憶部204に格納されていてよい。権限対応の形式は、適宜定められていてよい。
【0053】
<生成部303>
生成部303は、分析結果記憶部203に格納されている情報に基づいて、複数のクラスタの各々に関連するフォルダを、第2サーバ3に生成する。具体的には、生成部303は、クラスタと移行先フォルダとの関連付けの結果(複数のクラスタのクラスタ識別子と、複数のクラスタにそれぞれ関連付けられている移行先フォルダ)に基づいて、複数のクラスタの各々に関連するフォルダを生成してよい。言い換えると、生成部303は、複数のクラスタ(具体的にはクラスタのクラスタ識別子)にそれぞれ関連付けられている移行先フォルダを生成する。
【0054】
生成部303は、さらに、権限対応記憶部204に格納されている権限対応の情報を読み出し、読み出した権限対応の情報に基づいて、生成した移行先フォルダにアクセス権限を設定する。
【0055】
<ファイル取得部301>
ファイル取得部301は、第1サーバ2から、移行の対象であるファイルを取得する。ファイル取得部301は、例えば、第1サーバ2の、移行対象となる記憶領域に格納されているファイルを読み出す。ファイル取得部301は、移行の対象となるファイルを1つ1つ読み出してもよい。
【0056】
ファイル取得部301は、取得したファイルを、実行部302に送出する。
【0057】
<実行部302>
実行部302は、ファイル取得部301から、移行の対象であるファイルを受け取る。実行部302は、分析結果記憶部203に格納されている、ファイルの分類の結果の情報と、クラスタと移行先フォルダとの関連付けの結果とに基づいて、受け取ったファイルが、第2サーバ3において格納されるフォルダを特定する。具体的には、実行部302は、受け取ったファイルが分類されるクラスタをファイルの分類の結果の情報において特定する。実行部302は、さらに、特定したクラスタに関連付けられている移行先フォルダを、クラスタと移行先フォルダとの関連付けの結果において特定する。実行部302は、受け取ったファイルを、そのファイルが分類されているクラスタに関連付けられている、第2サーバ3の移行先フォルダに格納する。
【0058】
<動作>
次に、本実施形態の移行装置1の動作について、図面を使用して詳細に説明する。
【0059】
図9は、本開示の第1の実施形態に係る移行装置1の、クラスタ分類の動作の例を表すフローチャートである。
【0060】
図9に示す例では、ます、属性取得部101が、移行対象のファイル(すなわち、移行対象の記憶領域に格納されている全てのファイル)の属性の取得が終了するまで、ステップS101からステップS104までの属性取得ループを繰り返し実行する。属性取得ループでは、属性取得部101は、移行対象の1つのファイルの属性情報を取得する(ステップS102)。移行装置1は、取得した属性情報を記憶する(ステップS102)。具体的には、属性取得部101は、取得した属性情報を、移行元情報記憶部201に格納する。
【0061】
次に、前処理部102が、属性情報の前処理を行う(ステップS105)。具体的には、前処理部102は、各ファイルの属性情報から属性ベクトルを生成する。
【0062】
次に、解析部103が、属性情報に基づく、クラスタの生成とファイルのクラスタへの分類とを行う(ステップS106)。移行装置1は、クラスタの情報と、分類の結果とを、記憶する(ステップS107)。具体的には、解析部103は、クラスタの情報と、分類の結果とを、分析結果記憶部203に格納する。クラスタの情報は、上述のように、クラスタとフォルダとの関連付けの結果を表す情報を指す。分類の結果は、クラスタへのファイルの分類の結果を表す。
【0063】
図10は、本開示の第1の実施形態に係る移行装置1の、データ移行の動作の例を表すフローチャートである。
【0064】
図10に示す例では、まず、生成部303が、第2サーバ3に、移行先のフォルダを生成する(ステップS201)。生成部303は、ステップS201において、作成したフォルダに、アクセス権等の属性の値を設定する。
【0065】
次に、移行装置1は、ステップS202からステップS206までのファイル移行ループを、移行の対象のファイルの格納が終了するまで繰り返し実行する。ファイル移行ループでは、まず、ファイル取得部301が、1つのファイルを対象ファイルとして取得する(ステップS203)。実行部302は、対象ファイルの移行先の情報を取得する(ステップS204)。ステップS204において、実行部302は、分析結果記憶部203に格納されている、クラスタの情報と分類の結果に基づいて、対象ファイルが分類されたクラスタに関連付けられている、移行先のフォルダを特定する。実行部302は、対象ファイルを、特定した移行先のフォルダに格納する(ステップS205)。
【0066】
<効果>
本実施形態には、移行元のフォルダ構造を維持したまま移行先にデータの移行を行うことができない場合であっても、ファイルが格納される移行先のフォルダを決定できるという効果がある。その理由は、解析部103が、ファイルの属性に基づいてファイルをクラスタに分類し、実行部302が、そのファイルを、ファイルが分類されたクラスタに関連付けられる移行先のフォルダに格納するからである。
【0067】
<変形例>
以下では、第1の実施形態の変形例について説明する。以下の説明では、特に説明が無い限り、移行システム10及び移行装置1の各要素は、第1の実施形態において、同じ名称と同じ符号とが付与されている要素と同じである。
【0068】
<第1の変形例>
解析部103は、クラスタリングを、k-means法などの非階層型のクラスタリング方法ではなく、ウォード法などの階層型のクラスタリング方法によって行ってもよい。解析部103は、分析過程で作成されるデンドログラムを任意の高さで区切ることでクラスタを決定し、移行後のフォルダ構造を決定する。
【0069】
本変形例では、行先のフォルダ構造が移行元と大きく変わってしまう場合がある。しかし、階層型クラスタ分析では予めクラスタ数を決める必要が無い、クラスタリングの結果を階層構造で得られるといった利点がある。
【0070】
<第2の変形例>
本変形例では、解析部103は、第1サーバ2から第2サーバ3にそのまま移行できるフォルダ(上述の単純移行元フォルダ)に格納されているファイルの属性情報のみを用いて、上述のクラスタリングを行う。クラスタリングによって、単純移行元フォルダに格納されているファイルは、いずれかのクラスタに分類される。言い換えると、解析部103は、クラスタリングによって、単純移行元フォルダに格納されているファイルを、クラスタリングによって生成されたいずれかのクラスタに分類する。
【0071】
解析部103は、属性情報を使用して、第1サーバ2から第2サーバ3にそのまま移行できないフォルダ(以下では、非単純移行元フォルダとも表記)に格納されているファイルを、クラスタリングによって生成されたいずれかのクラスタに分類する。非単純移行元フォルダは、第1サーバ2の移行対象の記憶領域に存在するフォルダのうち、単純移行元フォルダ以外のフォルダである。具体的には、解析部103は、非単純移行元フォルダに格納されているファイルの属性ベクトルが、分類されるクラスタを、クラスタリングによって生成された複数のクラスタから特定する。解析部103が、属性ベクトルを、複数のクラスタのいずれかに分類する方法は、既存の分類方法のいずれかであってよい。解析部103は、例えば、クラスタリングによって生成された複数のクラスタの各々の代表属性ベクトルを算出する。代表属性ベクトルは、例えば、クラスタに含まれるファイルの属性ベクトルの平均ベクトルである。代表属性ベクトルは、他のベクトルであってもよい。解析部103は、複数のクラスタの各々の代表ベクトルと、非単純移行元フォルダに格納されているファイルの属性ベクトルと、の要素の値に、要素にそれぞれ付与されている重みを掛ける。そして、解析部103は、重みが掛けられた、非単純移行フォルダに格納されているファイルの属性ベクトルの各々と、複数のクラスタの各々の代表ベクトルと、の間の距離(例えばユークリッド距離)を算出する。解析部103は、非単純移行フォルダに格納されているファイルの属性ベクトルと代表ベクトルとの間の上述の距離が最も小さいクラスタに、そのファイルを分類する。
【0072】
<第3の変形例>
解析部103は、同じ単純移行元フォルダに格納されている全てのファイルを、同じクラスタに分類する。その他の点において、本変形例は第2の変形例と同じである。
【0073】
<第4の変形例>
前処理部102は、所定の属性の値が所定値ではない属性情報から属性ベクトルを生成する。前処理部102は、所定の属性の値が所定値である属性情報から属性ベクトルを生成しない。
【0074】
所定の属性の所定値は、例えば、第1サーバ2においては設定でき、第2サーバ3においては設定できない設定値である。所定の属性は、例えば、アクセス権の継承又は非継承を表す値であり、所定の属性の所定値は、例えば、アクセス権の非継承を表す値であってよい。
【0075】
解析部103は、所定の属性の値が所定値である属性情報のファイルの分類を行う。解析部103は、所定の属性の値が所定値である属性情報のファイルの分類を、所定の属性の値以外の属性の値に基づいて行ってよい。分類の方法は、例えば、ベクトルをいずれかのクラスタに分類する、既存の任意の方法のいずれかであってよい。解析部103は、例えば、各クラスタの代表属性ベクトルを算出してよい。解析部103は、所定の属性が所定値である属性情報から生成された属性ベクトルと、代表属性ベクトルの各々との間のユークリッド距離を算出してよい。解析部103は、算出されたユークリッド距離が最も小さいクラスタを特定してよい。解析部103は、その属性ベクトルが生成された属性が付与されているファイルを、特定したクラスタに分類してよい。
【0076】
条件記憶部202は、上述の所定の属性を特定する情報を記憶する。
【0077】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態について、図面を使用して詳細に説明する。
【0078】
<構成>
図11は、本開示の第2の実施形態に係る移行装置1Aの構成の例を表すブロック図である。
図11に示す例では、移行装置1Aは、解析部103と、実行部302と、を備える。解析部103は、第1サーバに格納されているファイルの属性情報に基づくクラスタリングによって、前記ファイルの複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのいずれかに、前記第1サーバの対象ファイルを、当該対象ファイルの属性情報に基づいて分類する。
実行部302は、前記対象ファイルを、当該対象ファイルが分類されたクラスタに関連付けられる、第2サーバのフォルダに格納する。解析部103及び実行部302は、それぞれ、第1の実施形態の解析部103及び実行部302と同様に動作してよい。
【0079】
<動作>
図12は、本開示の第2の実施形態に係る移行装置1Aの動作の例を表すフローチャートである。
図12に示す例では、まず、解析部103が、第1サーバのファイルの属性情報に基づいて、ファイルをクラスタに分類する(ステップS301)。次に、実行部302が、ファイルが分類されたクラスタに関連付けられている第2サーバのフォルダに、ファイルを格納する(ステップS302)。
【0080】
<効果>
本実施形態には、第1の実施形態の効果と同じ効果がある。その理由は、第1の実施形態の効果が生じる理由と同じである。
【0081】
<他の実施形態>
移行装置1及び移行装置1Aは、記憶媒体から読み出されたプログラムがロードされたメモリと、そのプログラムを実行するプロセッサとを含むコンピュータによって実現することができる。このコンピュータは、互いに通信可能に接続された複数のコンピュータの組み合わせであってもよい。移行装置1及び移行装置1Aは、回路などの専用のハードウェアによって実現することもできる。この回路は、互いに通信可能に接続された複数の回路の組み合わせであってもよい。移行装置1及び移行装置1Aは、互いに通信可能に接続された、前述のコンピュータと専用のハードウェアとの組み合わせによって実現することもできる。
【0082】
図13は、本開示の実施形態に係る移行装置を実現することができる、コンピュータ1000のハードウェア構成の一例を表す図である。
図13を参照すると、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、I/O(Input/Output)インタフェース1004とを含む。また、コンピュータ1000は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。メモリ1002と記憶装置1003は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶媒体1005は、例えば、RAM、ハードディスクなどの記憶装置、ROM(Read Only Memory)、可搬記憶媒体である。記憶装置1003が記憶媒体1005であってもよい。プロセッサ1001は、メモリ1002と、記憶装置1003に対して、データやプログラムの読み出しと書き込みを行うことができる。プロセッサ1001は、I/Oインタフェース1004を介して、例えば、第1サーバ2及び第2サーバ3にアクセスすることができる。プロセッサ1001は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。記憶媒体1005には、コンピュータ1000を、本開示の実施形態に係る移行装置として動作させるプログラムが格納されている。
【0083】
プロセッサ1001は、記憶媒体1005に格納されている、コンピュータ1000を、本開示の実施形態に係る移行装置として動作させるプログラムを、メモリ1002にロードする。そして、プロセッサ1001が、メモリ1002にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータ1000は、本開示の実施形態に係る移行装置として動作する。
【0084】
属性取得部101、前処理部102、解析部103、移行制御部104、ファイル取得部301、実行部302、生成部303は、例えばメモリ1002にロードされたプログラムを実行するプロセッサ1001により実現できる。また、移行元情報記憶部201、条件記憶部202、分析結果記憶部203、権限対応記憶部204は、コンピュータ1000が含むメモリ1002やハードディスク装置等の記憶装置1003により実現できる。属性取得部101、前処理部102、解析部103、移行制御部104、移行元情報記憶部201、条件記憶部202、分析結果記憶部203、権限対応記憶部204、ファイル取得部301、実行部302、生成部303の一部又は全部を専用の回路によっても実現できる。
【0085】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0086】
(付記1)
第1サーバに格納されているファイルの属性情報に基づくクラスタリングによって、前記ファイルの複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのいずれかに、前記第1サーバの対象ファイルを、当該対象ファイルの属性情報に基づいて分類する解析手段と、
前記対象ファイルを、当該対象ファイルが分類されたクラスタに関連付けられる、第2サーバのフォルダに格納する実行手段と、
を備える移行装置。
【0087】
(付記2)
前記属性情報から、当該属性情報に基づくベクトルである属性ベクトルを生成する前処理手段を備え、
前記解析手段は、前記第1サーバに格納されている前記ファイルの前記属性ベクトルの前記クラスタリングによって前記複数のクラスタを生成し、前記対象ファイルの前記属性ベクトルに基づいて、前記対象ファイルを前記複数のクラスタのいずれかに分類する
付記1に記載の移行装置。
【0088】
(付記3)
前記解析手段は、第1属性の値が第1所定値ではない前記属性情報に基づく前記クラスタリングによって、前記複数のクラスタを生成する
付記1又は2に記載の移行装置。
【0089】
(付記4)
前記第1所定値は、前記第1サーバにおいて設定され、前記第2サーバにおいて設定できない属性である
付記3に記載の移行装置。
【0090】
(付記5)
前記解析手段は、前記属性情報の複数の属性の各々に対して重みを設定し、前記対象ファイルの前記属性情報と前記重みとに基づいて、前記対象ファイルを前記複数のクラスタのいずれかに分類する
付記1乃至4のいずれか1項に記載の移行装置。
【0091】
(付記6)
前記解析手段は、前記属性情報と前記重みとに基づく前記クラスタリングによって、前記複数のクラスタを生成する
付記5に記載の移行装置。
【0092】
(付記7)
前記解析手段は、前記対象ファイルの前記複数のクラスタのいずれかへの分類に、前記複数の属性のうち前記ファイルへのアクセスの権限の属性である第2属性が与える影響が、前記第2属性以外の前記複数の属性が前記分類に与える影響よりも大きくなるように、前記第2属性の重みを決定する
付記5又は6に記載の移行装置。
【0093】
(付記8)
前記第1サーバから、当該第1サーバに格納されている前記ファイルの前記属性情報を取得する属性取得手段と、
前記第1サーバから前記対象ファイルを取得するファイル取得手段と、
前記複数のクラスタにそれぞれ関連する複数のフォルダを前記第2サーバに作成する作成手段と、
をさらに備える付記1乃至7のいずれか1項に記載の移行装置。
【0094】
(付記9)
第1サーバに格納されているファイルの属性情報に基づくクラスタリングによって、前記ファイルの複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのいずれかに、前記第1サーバの対象ファイルを、当該対象ファイルの属性情報に基づいて分類し、
前記対象ファイルを、当該対象ファイルが分類されたクラスタに関連付けられる、第2サーバのフォルダに格納する、
移行方法。
【0095】
(付記10)
前記属性情報から、当該属性情報に基づくベクトルである属性ベクトルを生成し、
前記第1サーバに格納されている前記ファイルの前記属性ベクトルの前記クラスタリングによって前記複数のクラスタを生成し、前記対象ファイルの前記属性ベクトルに基づいて、前記対象ファイルを前記複数のクラスタのいずれかに分類する
付記9に記載の移行方法。
【0096】
(付記11)
第1属性の値が第1所定値ではない前記属性情報に基づく前記クラスタリングによって、前記複数のクラスタを生成する
付記9又は10に記載の移行方法。
【0097】
(付記12)
前記第1所定値は、前記第1サーバにおいて設定され、前記第2サーバにおいて設定できない属性である
付記11に記載の移行方法。
【0098】
(付記13)
前記属性情報の複数の属性の各々に対して重みを設定し、前記対象ファイルの前記属性情報と前記重みとに基づいて、前記対象ファイルを前記複数のクラスタのいずれかに分類する
付記9乃至12のいずれか1項に記載の移行方法。
【0099】
(付記14)
前記属性情報と前記重みとに基づく前記クラスタリングによって、前記複数のクラスタを生成する
付記13に記載の移行方法。
【0100】
(付記15)
前記対象ファイルの前記複数のクラスタのいずれかへの分類に、前記複数の属性のうち前記ファイルへのアクセスの権限の属性である第2属性が与える影響が、前記第2属性以外の前記複数の属性が前記分類に与える影響よりも大きくなるように、前記第2属性の重みを決定する
付記13又は14に記載の移行方法。
【0101】
(付記16)
前記第1サーバから、当該第1サーバに格納されている前記ファイルの前記属性情報を取得し、
前記第1サーバから前記対象ファイルを取得し、
前記複数のクラスタにそれぞれ関連する複数のフォルダを前記第2サーバに作成する、
付記9乃至15のいずれか1項に記載の移行方法。
【0102】
(付記17)
第1サーバに格納されているファイルの属性情報に基づくクラスタリングによって、前記ファイルの複数のクラスタを生成し、当該複数のクラスタのいずれかに、前記第1サーバの対象ファイルを、当該対象ファイルの属性情報に基づいて分類する解析処理と、
前記対象ファイルを、当該対象ファイルが分類されたクラスタに関連付けられる、第2サーバのフォルダに格納する実行処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【0103】
(付記18)
前記属性情報から、当該属性情報に基づくベクトルである属性ベクトルを生成する前処理処理をコンピュータにさらに実行させ、
前記解析処理は、前記第1サーバに格納されている前記ファイルの前記属性ベクトルの前記クラスタリングによって前記複数のクラスタを生成し、前記対象ファイルの前記属性ベクトルに基づいて、前記対象ファイルを前記複数のクラスタのいずれかに分類する
付記17に記載のプログラム。
【0104】
(付記19)
前記解析処理は、第1属性の値が第1所定値ではない前記属性情報に基づく前記クラスタリングによって、前記複数のクラスタを生成する
付記17又は18に記載のプログラム。
【0105】
(付記20)
前記第1所定値は、前記第1サーバにおいて設定され、前記第2サーバにおいて設定できない属性である
付記19に記載のプログラム。
【0106】
(付記21)
前記解析処理は、前記属性情報の複数の属性の各々に対して重みを設定し、前記対象ファイルの前記属性情報と前記重みとに基づいて、前記対象ファイルを前記複数のクラスタのいずれかに分類する
付記17乃至20のいずれか1項に記載のプログラム。
【0107】
(付記22)
前記解析処理は、前記属性情報と前記重みとに基づく前記クラスタリングによって、前記複数のクラスタを生成する
付記21に記載のプログラム。
【0108】
(付記23)
前記解析処理は、前記対象ファイルの前記複数のクラスタのいずれかへの分類に、前記複数の属性のうち前記ファイルへのアクセスの権限の属性である第2属性が与える影響が、前記第2属性以外の前記複数の属性が前記分類に与える影響よりも大きくなるように、前記第2属性の重みを決定する
付記21又は22に記載のプログラム。
【0109】
(付記24)
前記第1サーバから、当該第1サーバに格納されている前記ファイルの前記属性情報を取得する属性取得処理と、
前記第1サーバから前記対象ファイルを取得するファイル取得処理と、
前記複数のクラスタにそれぞれ関連する複数のフォルダを前記第2サーバに作成する作成処理と、
をコンピュータにさらに実行させる付記17乃至23のいずれか1項に記載のプログラム。
【0110】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0111】
この出願は、2020年11月9日に出願された日本出願特願2020-186306を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0112】
1 移行装置
1A 移行装置
2 第1サーバ
3 第2サーバ
10 移行システム
101 属性取得部
102 前処理部
103 解析部
104 移行制御部
201 移行元情報記憶部
202 条件記憶部
203 分析結果記憶部
204 権限対応記憶部
301 ファイル取得部
302 実行部
303 生成部
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 記憶装置
1004 I/Oインタフェース
1005 記憶媒体