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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】放射線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240709BHJP
【FI】
A61B6/00 530A
A61B6/00 500
A61B6/00 520Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023000397
(22)【出願日】2023-01-05
(62)【分割の表示】P 2019142716の分割
【原出願日】2019-08-02
(65)【公開番号】P2023026606
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑田 正弘
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特許第7207222(JP,B2)
【文献】特開2018-093954(JP,A)
【文献】特開2019-051322(JP,A)
【文献】特開2013-223535(JP,A)
【文献】特開2014-171523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の照射を指示する第一信号を取得する取得部と、
回の放射線照射の指示に対して回の放射線照射しかできない放射線発生装置、あるいは放射線をユーザーが照射指示スイッチの押下を行っている期間だけ照射する放射線発生装置と接続することが可能な第二接続部と、
記第一信号の取得に対して、記放射線照射を許可する第三信号を前記第二接続部から所定期間出力し続ける制御部と、を備える放射線発生制御装置と、
前記制御部により前記第三信号が出力され続けている間において前記放射線発生装置が連続的に照射する放射線に対して動態撮影が可能な放射線画像撮影装置と、
を備える、放射線撮影システム。
【請求項2】
前記第二接続部は、一端部が前記放射線発生装置に接続されたケーブルの他端部を差し込むことが可能なコネクターであることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項3】
前記第二接続部は、信号を中継可能な中継部を介して前記放射線発生装置と接続可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項4】
前記第一信号を出力可能な照射指示スイッチが接続され、
前記取得部は、前記第一信号を、前記照射指示スイッチから直接取得することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項5】
前記第一信号を出力可能な照射指示スイッチが設けられた基板又は機器が接続され、
前記取得部は、照射指示スイッチが出力した前記第一信号を、前記基板又は前記機器を介して取得することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項6】
前記取得部は、照射指示スイッチが出力した前記第一信号を、前記放射線発生装置を介して取得することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項7】
前記放射線発生制御装置は、第一接続部を備え、
前記制御部は、放射線画像の撮影タイミングを指示する第四信号を前記第一接続部から出力させることが可能であり、
前記放射線画像撮影装置は、前記第四信号に基づき動態撮影を行う、請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項8】
前記取得部は、前記第一信号よりも前に出力される、放射線画像の撮影開始を指示する第五信号を取得することが可能であり、
前記制御部は、前記第四信号を、前記第五信号を取得してから前記第一信号を取得するまでの間にも出力することを特徴とする請求項7に記載の放射線撮影システム。
【請求項9】
前記取得部は、前記第一信号よりも前であって前記第五信号よりも後に出力される、放射線の照射準備を指示する第六信号を取得することが可能であり、
前記制御部は、前記第四信号を、前記第六信号を取得してから前記第一信号を取得するまでの間にも出力することを特徴とする請求項8に記載の放射線撮影システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記第三信号を、最初に出力してから所定の出力時間が経過するまで、又は前記第四信号が所定の出力回数となるまで出力させ続けることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【請求項11】
前記放射線画像撮影装置は、予め設定された撮影フレームレートにて電荷の蓄積及び画像の読み出しを繰り返す、請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項12】
前記放射線画像撮影装置は、前記電荷の蓄積及び画像の読み出しを、前記放射線発生装置からの放射線の検知によって開始する、請求項11に記載の放射線撮影システム。
【請求項13】
前記放射線発生制御装置は、放射線画像を生成可能な放射線画像撮影装置の駆動状態を示す第二信号を入力することが可能な第一接続部を備え、
前記制御部は、取得した前記第一信号及び入力された前記第二信号に基づいて、前記第三信号を出力する請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項14】
前記放射線発生制御装置と、
前記放射線発生制御装置に接続され、前記放射線発生制御装置の動作を設定することが可能なコンソールと、を備え、
前記コンソールは、前記放射線発生制御装置が前記第三信号を出力するまでに、所定期間又は前記第四信号を出力する出力回数を前記放射線発生制御装置に設定することが可能である放射線発生制御システムを備える請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【請求項15】
前記コンソールは、
表示部を有し、
前記放射線発生制御装置に設定した前記所定期間又は前記第四信号の出力回数を前記表示部に表示することを特徴とする請求項14に記載の放射線撮影システム。
【請求項16】
前記放射線発生制御装置は、放射線画像を生成可能な放射線画像撮影装置の駆動状態を示す第二信号を入力することが可能な第一接続部を備え、
前記コンソールは、前記放射線発生制御装置の前記第一接続部に前記第二信号が入力されると、照射可能である旨を前記表示部に表示することを特徴とする請求項15に記載の放射線撮影システム。
【請求項17】
前記コンソールは、前記放射線発生制御装置が前記第三信号を出力している間、放射線を照射中である旨を前記表示部に表示することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の放射線撮影システム。
【請求項18】
放射線を発生可能な放射線発生装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【請求項19】
前記放射線発生制御装置が接続されていない状態において、静止画の撮影が可能であることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線を用いて被検体の内部を透視する技術には、従来、大きく分けて、カメラを用いて低画質の動画を撮影するものと、フィルムや蛍光板を用いて高画質の静止画を撮影するものと、が存在していた。
動画を撮影する手段としては、例えば特許文献1に記載されているような、放射線透過像を生成するTVカメラや、曝射スイッチが押下されている間、TVカメラの画像取得動作に同期したパルス状の高電圧を放射線管へ印加する放射線高電圧装置を備えた放射線映像装置がある。
【0003】
一方、静止画の撮影分野においては、複数の画素が二次元状に配列された基板を内蔵し、放射線発生装置から被検体を介して照射された放射線の強度に応じて各画素に発生した電荷の量を画像データとして読み出すことにより静止画の撮影を行う放射線画像撮影装置(Flat Panel Detector)が新たに開発されるようになった。
そこで、例えば特許文献2に記載されているように、こうした放射線撮影装置を、フィルムや蛍光板の代わりに用いることができるように構成した放射線撮影システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平09-270955号公報
【文献】特許第6039225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、放射線撮影装置の性能はさらに向上し、静止画の撮影を短時間に複数回繰り返し行うことが可能な撮影能力を有する放射線撮影装置が出てきている。そこで、この放射線撮影装置に、放射線を所定期間照射し続け、その間に静止画の生成を繰り返させることにより、被検体の検査対象部位の動態を一連の複数枚の静止画の形で撮影し、診断に応用する試みがなされるようになってきている。以下、こうした静止画の生成を短時間で繰り返す撮影を動態撮影と称す。
しかしながら、特許文献2に記載されたような従来の放射線撮影システムでは、放射線撮影装置を上述した動態撮影に対応したものに置き換えることはできても、放射線発生装置が1回の放射線照射の指示に対して1回のパルス状の放射線照射しか行うことができないもの、あるいは放射線を曝射スイッチが押下されている期間照射するものであるため、撮影枚数が厳格に管理される動態撮影を適切に行うことはできなかった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、1回の放射線の照射指示に対してパルス状の放射線の照射を1回しか行うことができない、あるいは放射線をユーザーが所定操作を行っている期間照射する既存の放射線発生装置を、動態撮影に対応したものに容易に改造できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の問題を解決するために、本発明に係る放射線撮影システムは、
放射線の照射を指示する第一信号を取得する取得部と、
回の放射線照射の指示に対して回の放射線照射しかできない放射線発生装置、あるいは放射線をユーザーが照射指示スイッチの押下を行っている期間だけ照射する放射線発生装置と接続することが可能な第二接続部と、
記第一信号の取得に対して、記放射線照射を許可する第三信号を前記第二接続部から所定期間出力し続ける制御部と、を備える放射線発生制御装置と、
前記制御部により前記第三信号が出力され続けている間において前記放射線発生装置が連続的に照射する放射線に対して動態撮影が可能な放射線画像撮影装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1回の放射線の照射指示に対してパルス状の放射線の照射を1回しか行うことができない、あるいは放射線をユーザーが所定操作を行っている期間照射する既存の放射線発生装置を、動態撮影に対応したものに容易に改造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来技術1に係る放射線撮影システムを表すブロック図である。
図2】本発明の第一実施形態(第二実施形態)に係る放射線撮影システムを表すブロック図である。
図3図2の放射線撮影システムが備える放射線画像撮影装置のブロック図である。
図4】第一実施形態に係る放射線撮影システムの動作の前半を表すラダーチャートである。
図5】第一実施形態に係る放射線撮影システムの動作の後半を表すラダーチャートである。
図6図2の放射線撮影システムの動作を表すタイミングチャートである。
図7】本発明の第二実施形態に係る放射線撮影システムの動作の前半を表すラダーチャートである。
図8】第二実施形態に係る放射線撮影システムの動作の後半を表すラダーチャートである。
図9】従来技術2に係る放射線撮影システムを表すブロック図である。
図10】本発明の第三実施形態(第四実施形態)に係る放射線撮影システムを表すブロック図である。
図11】第三実施形態に係る放射線撮影システムの動作の前半を表すラダーチャートである。
図12】第三実施形態に係る放射線撮影システムの動作の後半を表すラダーチャートである。
図13】本発明の第四実施形態に係る放射線撮影システムの動作の前半を表すラダーチャートである。
図14】第四実施形態に係る放射線撮影システムの動作の後半を表すラダーチャートである。
図15図2又は図10の放射線撮影システムの状態の遷移を説明する状態遷移図である。
図16】第一,第三実施形態に係る放射線撮影システムの動作を表すタイミングチャートである。
図17】第二,第四実施形態に係る放射線撮影システムの動作を表すタイミングチャートである。
図18図2又は図10の放射線撮影システムの他の構成例を表すブロック図である。
図19図2又は図10の放射線撮影システムが備えるコンソールの表示部の表示画面の一例である。
図20図2又は図10の放射線撮影システムの他の構成例を表すブロック図である。
図21図2又は図10の放射線撮影システムが備えるコンソールの表示部の表示画面の一例である。
図22図2又は図10の放射線撮影システムの動作を表すタイミングチャートである。
図23図2又は図10の放射線撮影システムの動作を表すタイミングチャートである。
図24】第二実施形態の放射線撮影システムの動作の後半を表すラダーチャートである。
図25】第四実施形態の放射線撮影システムの動作の後半を表すラダーチャートである。
図26】コンソールの表示部に表示する放射線撮影システムの機器構成、接続構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態、及びその元となる従来技術について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記実施形態の説明や図面に例示したものに限定されるものではない。
なお、ここでは、第一,第二実施形態の元となる従来技術1を説明し、続いて第一実施形態、第二実施形態の順に説明する。また続いて、第三,第四実施形態の元となる従来技術2を説明し、続いて第三実施形態、第四実施形態の順に説明する。
【0011】
<従来技術1>
まず、本発明の第一,第二実施形態に係る放射線撮影システム(詳細後述)の元となる従来技術1について、図1を参照しながら説明する。
【0012】
[システム構成]
初めに、従来技術1に係る放射線撮影システム(以下従来システム100)の概略構成について説明する。図1は、従来システム100を表すブロック図である。
【0013】
従来システム100は、例えば図1に示したように、放射線制御部11と、高電圧発生部12と、放射線発生部2と、カセッテ3と、放射線制御コンソール41と、照射指示スイッチ5と、を備え、放射線撮影フィルムやCR等、放射線照射タイミングと撮影タイミングが連動しない静止画の撮影を行うことが可能に構成されている。
なお、図1には、放射線制御部11及び高電圧発生部12が、共に放射線制御装置1を構成する(例えば1つの筐体に格納される)場合を例示したが、放射線制御部11と高電圧発生部12が、例えば異なる筐体に配置される等、それぞれ独立した構成とすることもできる。
また、放射線制御部11、高電圧発生部12及び放射線発生部2は、本発明における放射線発生装置を構成している。
【0014】
放射線制御部11は、放射線照射を制御するためのものである。
具体的には、放射線制御部11は、放射線制御コンソール41からの照射準備信号がONになったことを検知したことに基づいて、その高電圧発生部12へ出力する照射準備信号をONにしたり他の外部機器へ向けて出力可能な状態としたりすることが可能となっている。
また、放射線制御部11は、放射線制御コンソール41からの放射線の照射を指示する照射指示信号(本発明における第一信号)がONになったことを検知したことに基づいて、この照射指示信号を外部機器へ向けて出力可能な状態とすることが可能であるとともに、放射線制御コンソール41により設定された撮影条件に応じた照射信号を高電圧発生部12へ送信することが可能となっている。
【0015】
この放射線制御部11から外部機器へ向けて出力可能な照射準備信号や照射指示信号は、例えば放射線制御部11に外部機器が接続されている場合に使用される。
この照射準備信号や照射指示信号により、放射線照射時に、カセッテ3以外の外部機器の準備が必要な撮影において、外部機器は、放射線制御部11から出力される照射準備信号や照射指示信号に基づいて撮影準備を行うことが可能となる。
このような外部機器の例としては、カセッテ3の放射線入射面に設けられ、撮影する際にグリッドを揺動させるのに用いられるグリッド揺動装置等がある。
【0016】
なお、上述した外部機器の中には、撮影準備の完了後、照射許可信号を放射線制御部11へ送信する構成となっているものがある。このため、放射線制御部11に、外部機器から照射許可信号を入力するための接続部を備え、放射線制御コンソール41からの照射指示信号と外部機器からの照射許可信号の両方がONになった場合のみ照射信号を高電圧発生部12へ送信するよう構成することもできる。
このようにすれば、外部機器の撮影準備が完了しないうちは照射許可信号が放射線制御部11に入力されないため、外部機器の撮影準備が完了する前に、放射線が照射されてしまうことを防止することが可能となる。
【0017】
例えば、外部機器が前述のグリッド揺動装置である場合には、グリッド揺動装置が揺動を開始し、指定された揺動速度に達した後に、グリッド揺動装置から放射線制御部11へ照射許可信号が入力されるよう構成することが出来る。このようにすれば、放射線制御部11は、撮影者の操作に基づく照射指示スイッチ5からの照射指示信号と、外部機器からの照射許可信号の両方が揃って初めて照射信号を出力するため、外部機器の準備が完了する前に放射線が照射されてしまうことを防止することが可能となる。
【0018】
一方、放射線制御部11において外部機器からの照射許可信号を用いたくない場合には、例えば照射許可信号を無効化する、あるいは照射許可信号を常にON又はOFFの状態にし続ける必要がある。
例えば、放射線制御部11が、外部機器からの照射許可信号を照射信号の出力可否の判断に用いるか否かを切り替えることが可能に構成されている場合には、判断に用いないよう切り替えることで無効化することもできる。
一方、こうした切り替えができない場合であって、例えば照射許可信号が2本の信号線のオープンあるいはクローズで指示されるよう構成されている場合には、2本の信号線を常にオープン又はクローズとすることにより、常に照射許可信号をON又はOFFの状態にし続ける。
【0019】
また、放射線制御部11を、照射準備信号がONになったことを検知してから所定の待機時間が経過するまで、照射指示信号がONになったことを検知しても照射信号を送信しない構成とすることができる。
このようにすれば、高電圧発生部12や放射線発生部が、照射準備信号がONになったことを検知してからある程度準備に時間を要するような構成のものである場合に、照射準備が完了していないのに放射線を照射してしまうのを防ぐことができる。
【0020】
高電圧発生部12は、放射線制御部11からの照射準備信号がONになったことを検知したことに基づいて、照射準備出力を放射線発生部2へ出力することが可能に構成されている。
また、高電圧発生部12は、放射線制御部11から照射信号を受信したことに基づいて、放射線発生部2が放射線を発生するために必要な(入力された照射信号に応じた)高電圧を照射出力として放射線発生部2へ印加することが可能に構成されている。
なお、図1には、高電圧発生部12が放射線制御部11からの照射準備信号がONになったことを検知すると、高電圧発生部12が放射線発生部2へ照射準備出力を行う構成を例示したが、放射線制御部11が放射線発生部2へ照射準備信号を直接出力し、放射線発生部2において照射準備出力に変換し、照射準備を行う構成とすることもできる。
【0021】
放射線発生部2(X線管球)は、例えば電子銃と陽極とを備え、高電圧発生部12から印加された高電圧に応じた放射線(例えばX線)を発生させることが可能に構成されている。
具体的には、高電圧を印加されると電子銃が電子ビームを陽極へ照射し、陽極が電子ビームを受けることで放射線を発生させるようになっている。
なお、放射線を発生させているときの陽極は、電子ビームを受けた部分が発熱して高温になるため、安定して放射線を照射するためには、陽極における電子ビームが照射される位置を絶えず変える必要がある。そこで、陽極を回転させながら電子ビームを照射する回転陽極を用いる構成とする場合がある。
上述した高電圧発生部12からの照射準備出力は、例えば回転陽極の回転開始の指示として使うことができる。
【0022】
このように構成される放射線発生装置(放射線制御部11、高電圧発生部12、放射線発生部2)は、照射指示信号及び照射許可信号がONにされた直後にパルス状の放射線を照射するモード(以下、パルス照射モード)で動作する場合と、照射指示信号及び照射許可信号がONにされている期間、放射線を照射し続けるモード(以下、連続照射モード)で動作する場合と、が考えられる。
また、放射線制御部11、高電圧発生部12、放射線発生部2の種類によっては、放射線発生装置は、パルス照射モードと連続照射モードのどちらか一方のモードでしか動作できないものとなる場合もあれば、両方のモードに対応したものとなる場合もある。
【0023】
カセッテ3は、放射線フィルム又は蛍光板を格納しており、被検体を透過した放射線が入射すると、被検体の放射線画像を形成することが可能となっている。
【0024】
放射線制御コンソール41は、情報信号接続を用いて、被検体に関する情報や撮影条件(管電圧、管電流、照射時間等)を放射線制御部11に設定することが可能に構成されている。
なお、放射線制御コンソール41は、院内LAN等の外部の通信ネットワークNを介して、上位システム7(放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)等、図4,6,12,14参照)と通信可能となっていてもよい。
【0025】
照射指示スイッチ5は、撮影者が放射線照射を指示するためのものである。
本実施形態における照射指示スイッチ5は、二段階操作が可能に構成されている。具体的には、一段目が押下されると放射線制御コンソール41へ出力する照射準備信号をONにし、二段目が押下されると放射線制御コンソール41へ出力する照射指示信号をONすることが可能となっている。
なお、図1には、照射指示スイッチ5が放射線制御コンソール41に接続され、照射指示スイッチ5が出力した照射準備信号や照射指示信号が、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11へ入力される構成を例示したが、照射指示スイッチ5を放射線制御部11へ接続し、照射準備信号や照射指示信号が放射線制御部11へ直接入力されるようにしてもよい。
【0026】
[動作]
次に、上記従来システム100の動作について説明する。
【0027】
(照射準備動作)
撮影者により照射指示スイッチ5の一段目が押下されると、照射指示スイッチ5は、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11へ出力する照射準備信号をONにする。
放射線制御部11は、照射準備信号がONになったことを検知すると、高電圧発生部12へ出力する照射準備信号をONにするとともに、外部機器に向けて照射準備信号を出力可能な状態にする。
高電圧発生部12は、照射準備信号がONになったことを検知すると、照射準備出力を放射線発生部2へ出力する。
【0028】
放射線発生部2は、照射準備出力が入力されると、放射線を発生させるための準備を開始する。
この放射線を発生させるための準備は、陽極を回転陽極とした場合には、例えば回転陽極を回転させる等の動作を指す。
【0029】
(照射動作)
続いて、撮影者により照射指示スイッチの二段目が押下されると、照射指示スイッチ5は、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11へ出力する照射指示信号をONにする。
放射線制御部11は、照射指示信号がONになったことを検知すると、この照射指示信号を外部機器に向けて出力可能な状態にするとともに、照射信号を高電圧発生部12へ送信する。
なお、放射線制御部11が、外部機器からの照射許可信号に基づいて放射線照射の可否を判断するよう構成されている場合には、照射指示スイッチ5あるいは放射線制御コンソール41からの照射指示信号がONであり、かつ外部機器から照射許可信号を受信した場合に、高電圧発生部12へ照射信号を送信することとなる。
【0030】
高電圧発生部12は、照射信号を受信すると、放射線発生部2での放射線照射に必要な高電圧を放射線発生部2に印加する(照射出力を行う)。
放射線発生部2は、高電圧発生部12から高電圧が印加されると、印加された電圧に応じた放射線を発生させる。
発生した放射線は、図示しないコリメーター等の制御器により照射の方向、領域、線質等が調整され被検体及びその背後のカセッテ3へ照射される。放射線は一部が被検体を透過してカセッテ3へ入射する。
カセッテ3に放射線が入射すると、格納されているフィルム又は蛍光板に放射線画像が形成される。
【0031】
ここで、上述した照射準備信号と照射指示信号をONにするタイミングが近接していると、例えば放射線発生部2の回転陽極の回転が十分な速度に達する前に照射が行われてしまい、回転陽極の局所部分が過剰に加熱され、回転陽極が損傷したり、照射される放射線量が不安定になったり(電子ビームの照射強度に対して不十分、あるいは過剰になる等)する場合がある。
しかし、放射線制御部11を、上述したような、照射準備信号がONになったことを検知してから所定の待機時間が経過するまで、照射指示信号がONになったことを検知しても照射信号を送信しない構成としておけば、こうした問題が生じるのを防ぐことができる。
【0032】
このように、従来システム100を用いた放射線撮影では、1回の撮影操作に基づいて、被検体の放射線画像(静止画)が一枚だけ撮影される。
【0033】
上述したように、放射線発生装置が、パルス照射モードと連続照射モードのうちの一方のモードしか有していないものである場合には、パルス照射モードを有する装置と、連続照射モードを有する装置をそれぞれ用意し、所望のモードに対応する放射線発生装置を用いることで、所望のモードで撮影することが可能となる。
一方、放射線発生装置が、パルス照射モードと連続照射モードの両方のモードを有し、放射線制御部11あるいは高電圧発生部12でのモード切替えや、外部から放射線制御部11あるいは高電圧発生部12への入力等によってモードを切替えることが可能に構成されている場合には、例えば撮影前に撮影条件を入力する際に、どちらのモードで撮影を行うのかを放射線制御コンソール41で選択し、撮影前に放射線制御部11あるいは高電圧発生部12の動作を切替えることで、所望のモードで撮影することが可能となる。
【0034】
<第一実施形態>
次に、本発明の第一実施形態について、図2~6を参照しながら説明する。なお、上記従来技術1と同等の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
[システム構成]
初めに、本実施形態に係る放射線撮影システム(以下、システム100A)のシステム構成について説明する。図2はシステム100Aを表すブロック図、図3は撮影装置3Aのブロック図である。なお、図2中の括弧書きの符号は、後述する第二実施形態のものである。
【0036】
本実施形態に係るシステム100Aは、例えば図2に示したように、従来システム100(図1参照)のカセッテ3を放射線画像撮影装置(以下、撮影装置3A)に置き換え、更に撮影装置制御コンソール42と、付加装置6と、を加えたものとなっている。
【0037】
本実施形態に係る撮影装置3Aは、図示しない筐体やシンチレーターの他、図3に示したように、撮影制御部31、放射線検出部32、走査駆動部33、読出し部34、記憶部35、通信部36等を備えている。そして、各部31~36は、バッテリー37から電力の供給を受けるようになっている。
【0038】
筐体には、図示しない電源スイッチや切替スイッチ、インジケーター、後述する通信部36のコネクター36b等が設けられている。
シンチレーターは、放射線を受けると可視光等の放射線よりも波長の長い電磁波を発するようになっている。
【0039】
撮影制御部31は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接
続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成され
ている。なお、専用の制御回路で構成されていてもよい。
【0040】
放射線検出部32は、放射線を受けることで電荷を発生させるためのもので、基板32aや、複数の走査線32b、複数の信号線32c、複数の放射線検出素子32d、複数のスイッチ素子32e、複数のバイアス線32f、電源回路32g等で構成されている。
基板32aは、板状に形成され、シンチレーターと並行に対向するよう配置されている。
複数の走査線32bは、所定間隔を空けて互いに平行に延びるよう設けられている。
複数の信号線32cは、所定間隔を空けて互いに平行に延びるように、走査線32bと直交して延びるように、かつ各走査線と導通しないように設けられている。
すなわち、複数の走査線32b及び信号線32cは格子をなすように設けられている。
【0041】
放射線検出素子32dは、当該放射線検出素子に照射された放射線の線量(或いはシンチレーターで変換された電磁波の光量)に応じた電気信号(電流、電荷)をそれぞれ発生させるもので、例えばフォトダイオードや、フォトトランジスター等で構成されている。
複数の放射線検出素子32dは、基板32aの表面であって、複数の走査線32b及び信号線32cによって区画された複数の領域内にそれぞれ設けられている。すなわち、複数の放射線検出素子32dは、マトリクス状(行列状)に配列されている。このため、各放射線検出素子32dは、それぞれシンチレーターと対向することとなる。
各放射線検出素子32dの一方の端子には、スイッチ素子であるスイッチ素子32eのドレイン端子が、他方の端子にはバイアス線がそれぞれ接続されている。
【0042】
複数のスイッチ素子32eは、放射線検出素子32dと同様、複数の走査線32b及び信号線32cによって区画された複数の領域内にそれぞれ設けられている。
各スイッチ素子32eは、ゲート電極が近接する走査線32bに、ソース電極が近接する信号線32cに、ドレイン電極が同じ領域内の放射線検出素子32dの一方の端子にそれぞれ接続されている。
【0043】
複数のバイアス線32fは、各放射線検出素子32dの他方の端子に接続されている。
電源回路32gは、逆バイアス電圧を生成し、バイアス線32fを介して各放射線検出素子に逆バイアス電圧を印加するようになっている。
【0044】
走査駆動部33は、電源回路33aや、ゲートドライバー33b等で構成されている。
電源回路33aは、それぞれ電圧の異なるオン電圧とオフ電圧を生成し、ゲートドライバー33bに供給するようになっている。
ゲートドライバー33bは、各走査線32bに印加する電圧をオン電圧かオフ電圧に切り替えるようになっている。
【0045】
読出し部34は、複数の読出し回路34aや、アナログマルチプレクサー34b、A/D変換器34c等を備えている。
複数の読出し回路34aは、放射線検出部32の各信号線32cにそれぞれ接続されるとともに、各信号線32cに基準電圧を印加するようになっている。
また、各読出し回路34aは、積分回路34dと相関二重サンプリング回路(以下、CDS回路)34e等で構成されている。
【0046】
積分回路34dは、信号線32cに放出された電荷を積分し、積分された電荷量に応じた電圧値をCDS回路34eへ出力するようになっている。
CDS回路34eは、信号を読み出す対象の放射線検出素子32dが接続された走査線32bにオン電圧を印可する前(オフ電圧を印加している間)に、積分回路34dの出力電圧をサンプリングホールドし、該当の走査線32bにオン電圧を印可して放射線検出素子の信号電荷を読出し、該当の走査線32bにオフ電圧を印加した後の積分回路34dの出力電圧の差分を出力するようになっている。
【0047】
アナログマルチプレクサー34bは、CDS回路34eから出力された複数の差分信号を一つずつA/D変換器34cへ出力するようになっている。
A/D変換器34cは、入力されたアナログ電圧値の画像データをデジタル値の画像データに順次変換するようになっている。
【0048】
記憶部35は、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、NAND型フラッシュメモリー、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。
【0049】
通信部36は、外部と通信するためのアンテナ36a及びコネクター36bを備えている。
また、通信部36は、外部からの制御信号に基づいて、無線通信と有線通信のどちらを行うかを選択することが可能となっている。すなわち、無線通信が選択された場合には、アンテナ36aを用いた無線通信を行い、有線通信が選択された場合には、有線LAN等を用いることで情報の送受信を行うことができる。また、有線通信を用いて同期を行いたい場合には、例えばNTP(Network Time Protocol)等のプロトコルや、国際標準規格
IEEE1588に規定されているような方法を用いることで同期を行うことができる。
【0050】
このように構成された撮影装置3Aは、電源がオンにされると、「初期化状態」、「蓄積状態」、「読出し・送信状態」のうちのいずれかの状態を取る。状態を切り替えるタイミングについては後述する。
「初期化状態」は、各スイッチ素子32eにオン電圧が印加され、放射線検出素子32dが発生させた電荷が各画素に蓄積されない(電荷を信号線32cに放出する)状態である。
「蓄積状態」は、各スイッチ素子32eにオフ電圧が印加され、放射線検出素子32dが発生させた電荷が画素内に蓄積可能となる(電荷が信号線32cに放出されない)状態である。
「読出し・送信状態」は、各スイッチ素子32eにオン電圧が印加されるとともに、読出し部34が駆動して、流れ込んできた電荷に基づく画像データを読出し、それを他の装置へ送信することが可能な状態である。
なお、「送信する」には、画像データを残しつつ送る場合と、残さずに送る(いわゆる転送)場合の両方が含まれる。
また、素子および装置の構成によっては、読出しにより蓄積された電荷がクリアされるため、「読出し」と「初期化」を別動作として区別せず、「読出し」と「初期化」が同じ動作として同時に行われる場合もある。
【0051】
なお、ここでは、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型のものを例にして説明するが、本発明は、放射線を検出素子で直接電気信号に変換する、いわゆる直接型の撮影装置であってもよい。
また、撮影装置3Aの他の構成についても、放射線画像の画像データを生成することが可能であれば、図3に例示したものに限る必要はない。
【0052】
撮影装置制御コンソール42は、図2に示したように、放射線制御コンソール41と情報信号を送受信し、被検体に関する情報や撮影条件等を撮影装置3Aに設定することが可能に構成されている。
なお、放射線制御コンソール41は、放射線制御部11の設定を行い、撮影装置制御コンソール42は、撮影装置3Aの設定を行っているが、これらはいずれも同一の撮影に関する設定を行うものであるため、以下の説明では、これらをまとめて広義にコンソール4と称することがある。
また、コンソール4は、付加装置6と共に本発明における放射線発生制御システムを構成する。
【0053】
また、図2には、撮影装置制御コンソール42で撮影条件等の設定を行った場合、放射線制御コンソール41を介して(放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42とが情報信号を送受信して)放射線制御部11に設定されることになる構成を例示したが、撮影装置制御コンソール42から直接放射線制御部11の設定を行う構成とすることも可能である。
また、放射線制御コンソール41から撮影装置3Aの設定を行う構成とすることも可能である。
また、図2には、コンソール4を、付加装置6を介して撮影装置3Aと接続した構成を例示したが、コンソール4は、撮影装置3Aと直接接続することも、例えば図2に示したように、通信ネットワークNを介して撮影装置3Aと接続することも可能である。
【0054】
また、コンソール4は、付加装置6の動作を設定することが可能となっている。
具体的には、付加装置6が放射線発生装置へ出力している照射許可信号(本発明における第三信号)をONにするまでに、タイミング信号を出力する出力回数(最大撮影枚数N)又は照射許可信号の出力をONにしてからOFFにするまでの出力時間を付加装置6に設定することが可能となっている。
【0055】
なお、コンソール4に、表示部43を備え、付加装置6に設定した出力回数又は出力時間を表示部43に表示するようにしてもよい。
また、コンソール4を、付加装置6に入力される撮影開始信号(本発明における第二信号、詳細後述)がONになると、照射可能である旨を表示部43に表示するようにしてもよい。
また、コンソール4を、付加装置6が照射許可信号を出力している間、放射線を照射中である旨を表示部43に表示するようにしてもよい。
【0056】
付加装置6は、本発明における放射線発生制御装置であり、第一取得部62と、第二取得部63と、第一接続部64と、第二接続部65と、を有する付加制御部61を備えて構成されている。
【0057】
付加制御部61は、CPU、RAM等で付加装置6の各部の動作を統括的に制御するように構成することができる。
この場合、図示しない記憶部に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該処理プログラムに従って各種処理を実行することとなる。
【0058】
第一取得部62は、放射線制御部11との接点(例えばコネクター)をなすもので、本実施形態においては、照射指示スイッチ5が出力した照射準備信号を、放射線制御部11(放射線発生装置)を介して取得するようになっている。
【0059】
第二取得部63は、放射線制御部11との接点(例えばコネクター)をなすもので、本実施形態においては、照射指示スイッチ5が出力した照射指示信号を、放射線制御部11(放射線発生装置)を介して取得するようになっている。
上述したように、照射指示信号は本発明における第一信号に相当するため、第二取得部63は、本発明における取得部をなす。
【0060】
第一接続部64は、撮影装置3Aとの接点(例えばコネクター)をなすもので、照射開始信号を入力することが可能となっている。
なお、照射開始信号は、撮影装置3Aが撮影可能な状態になるとONになり、撮影不可の状態になるとOFFになる信号であるため、本発明における撮影装置3Aの駆動状態を示す信号ということになる。
また、第一接続部64は、撮影装置3Aとの接点(例えばコネクター)をなすもので、情報信号を送受信することが可能となっている。情報信号としては、例えば撮影装置3Aの撮影動作モードの選択に関する情報や、撮影フレームレートなどの撮影条件に関する情報を送受信することが可能である。
【0061】
第二接続部65は、本実施形態においてはコネクターとなっており、一端部が放射線制御部11(放射線発生装置)に接続されたケーブルの他端部を差し込むことで放射線制御部11(放射線発生装置)と接続することが可能となっている。
そして、照射許可信号を放射線制御部11へ出力することが可能となっている。
【0062】
なお、図2には、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65が他の装置(第一,第二取得部63及び第二接続部65は放射線制御装置1、第一接続部64は撮影装置3A)と情報や信号を直接送受信している構成を例示したが、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65の少なくともいずれかは、信号を中継可能な図示しない中継部を介して他の装置と接続可能としてもよい。
また中継部は、例えば有線/無線を用いた通信ネットワークであっても良い。これは、図2に示した通信ネットワークNであっても良いし、図示は省略した別の通信ネットワークを介して接続されていても良い。
また、図2には、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65が別々に設けられた場合を例示したが、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65のうちの少なくとも2つは一体に構成されて(各部62~65が兼用となって)いてもよい。
【0063】
このように構成された付加装置6の付加制御部61は第二取得部63を介して放射線制御部11から取得した照射指示信号及び第一接続部64を介して撮影装置3Aから入力された照射開始信号に基づいて、第二接続部65から放射線制御部11へ出力する放射線の照射を指示する照射許可信号を所定期間ONにし続けることが可能となっている。
なお、付加制御部61を、照射開始信号がONになったことを検知してから所定の待機時間が経過するまで、撮影開始信号がONになったことを検知しても照射許可信号を出力しないように構成するようにしてもよい。
【0064】
また、付加制御部61は、放射線画像の撮影タイミングを指示するタイミング信号(本発明における第四信号)を、照射許可信号をONにしている間、第一接続部64から撮影装置3Aへ出力させるようになっている。
撮影タイミングは、例えば放射線画像の電荷の蓄積動作を開始するタイミングとしている。すなわち、本実施形態に係る撮影装置3Aは、タイミング信号に合わせて電荷の蓄積を開始し、撮影装置3Aの計時手段により逐次的に蓄積の終了、各画素の電荷の読出し、各画素の電荷の画像化、画像の保存や送信の動作を行う。
このような制御とすることで、付加制御部61は、タイミング信号による放射線照射時に電荷を蓄積する蓄積タイミングを制御することが可能となる。その結果、放射線が照射されている期間、放射線照射による電荷を確実に蓄積することができ、延いては放射線照射による画像を確実に取得することが可能となる。
【0065】
なお、このように電荷の蓄積動作開始を上記撮影タイミングとする場合、撮影装置3Aが放射線照射による撮影動作にあたる蓄積タイミングに移行することが可能な状態で待機し、タイミング信号に合わせて蓄積動作を開始するようにしても良い。例えば、撮影装置3Aは、各画素に放射線照射による電荷の蓄積以前に経時的に蓄積されるノイズ成分である暗電荷を画素外に放出するために、スイッチ素子32eにオン電荷を印加するリセットする動作を繰り返している。このため、電荷の撮影タイミングをこのように設定すれば、上記撮影タイミングで撮影装置3Aはリセット動作を終了し、放射線に応じた電荷の蓄積、読出しによる画像化を連続して行う動作へと移行するようにすることが可能となる。
このような制御とすることで、付加制御部61は上記の場合と同様に放射線照射による画像を確実に取得することが可能となる。
【0066】
また、このタイミング信号の入力を契機とする撮影タイミングは、上記電荷の蓄積動作以外に、撮影装置3Aが繰り返し行う各種動作のいずれかを開始するタイミングとすることができる。
例えば蓄積動作前に各画素に蓄積された電荷をリセットする必要がある場合には、リセットを開始するタイミングを上記撮影タイミングとしても良い。
この場合、撮影装置3Aを、リセット完了後に逐次的に蓄積動作に移行するようにしても良い。
このような制御とすることで、各画素に放射線照射による電荷の蓄積以前に経時的に蓄積されるノイズ成分である暗電荷をリセットにより放出した状態で、放射線照射による電荷蓄積を行う蓄積動作に入ることが可能となり、よりノイズの少ない画像を取得することが可能となる。
【0067】
あるいは、蓄積動作を終了させるタイミングを上記撮影タイミングとしても良い。あるいは、タイミング信号により蓄積された電荷の読出しを開始するタイミングを上記撮影タイミングとしても良い。
このような制御とすることで、付加制御部61は、照射許可信号による放射線照射のタイミングと、タイミング信号による撮影動作(リセット動作の終了、蓄積動作の開始、蓄積動作の終了、蓄積された電荷の読出しの開始など)の両方を制御することが可能となる。その結果、放射線照射による電荷を確実に蓄積することができ、延いては放射線照射による画像を確実に取得することが可能となる。
【0068】
なお、タイミング信号を各動作の開始ではなく、終了に使用しても良い。例えばタイミング信号のOFFからONに変わるタイミングに合わせて蓄積動作を開始し、ONからOFFに変わるタイミングに合わせて蓄積動作を終了させるようにしても良い。
このような制御とすることで、付加制御部61は上記の各場合と同様に放射線照射による画像を確実に取得することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態においては、タイミング信号を繰り返し出力するようになっている。
また、付加制御部61は、本実施形態においては、予め設定された撮影時間又は撮影枚数に応じて、所定期間の長さを決定するようになっている。すなわち、照射許可信号を、タイミング信号の出力回数が所定の出力回数となるまで、又は最初に出力してから所定の出力時間が経過するまで、ONにし続けるようになっている。
【0070】
なお、付加制御部61は、所定周期でタイミング信号を繰り返し送信するため、タイミングを制御するための計時手段を有するように構成することができる。
また、付加制御部61は、タイミング信号を所定の出力回数となるまで繰り返し出力するために、出力数をカウントするカウント手段を有するように構成することが出来る。あるいは、タイミング信号や照射許可信号を最初に出力してから所定の出力時間が経過するまで繰り返し出力するために、計時手段を有するように構成することが出来る。
【0071】
また、タイミング信号を、照射指示スイッチ5の2段目が押下される(照射指示信号を取得する)前の段階から出力するよう構成することもできる。
具体的には、例えばシーケンス開始信号(本発明における第五信号)を取得(ONになったことを検知)してから照射指示信号を取得するまでの間、あるいは照射準備信号(本発明における第六信号)を取得(ONになったことを検知)してから照射指示信号を取得するまでの間にも出力するような構成とすることができる。
【0072】
[動作]
次に、上記システム100Aの動作について説明する。図4,5は本実施形態に係るシステム100Aの動作を表すラダーチャート、図6はシステム100Aの動作を表すタイミングチャートである。
【0073】
(A:機器設置時、装置立ち上げ時、接続機器変更時、定期的な接続機器確認時)
まず、コンソール4、特に撮影装置制御コンソール42は、図4に示したように、機器設置時、撮影システム立ち上げ時、接続機器変更時、その他の定期的な接続機器確認時に、コンソール4が制御している撮影環境に接続されている撮影装置3Aや付加装置6を確認し(ステップS1)、コンソール4の表示部43に機器構成、接続構成を表示する(ステップS2)。機器構成、接続構成としては、例えば図26に示したようなものをコンソール4の表示部43に表示することが可能である。
コンソール4が制御している撮影環境に接続されている撮影装置3A、付加装置6を確認は、例えばコンソール4から撮影装置3A、付加装置6に接続の有無、IDをリクエストし、撮影装置3A、付加装置6が接続の有無、IDを返送することで確認することが可能である。
IDとしては、例えば、機器固有に設定されたMACアドレスや、機器固有のBSSID、装置固有に設定されたシリアル番号等の機器毎に固有のIDを用いることもできるし、設定したIPアドレス、設定したESSID等、後から設定したIDを用いることもできる。
【0074】
(B:撮影準備)
その後、コンソール4は、RISやHIS等の上位システム7から撮影オーダーを受信すると(ステップS3)、受け取った撮影オーダーをコンソール4の画面に表示する(ステップS4)。
その際、新しい撮影オーダーを受けたことを、光や音を用いて作業者に通知する構成としてもよい。
【0075】
撮影者は表示された撮影オーダーから、撮影順序を変える等の操作を行い、次に撮影する撮影オーダーを選択する(ステップS5)。
その際、接続されている複数の撮影装置3Aの中から使用する撮影装置3Aを選択するようにしてもよい。
また、接続されている複数の撮影装置3Aの中から、撮影者の撮影手技に応じて推奨される撮影装置3Aが自動的に選択される構成としてもよい。
また、特に変更が無い場合に、前の撮影で使用した撮影装置3Aが継続して選択される構成としてもよい。
【0076】
使用する撮影装置3Aが選択されると、コンソール4は、撮影装置3A及び付加装置6に接続要求をそれぞれ行う(ステップS6)。
撮影装置3Aや付加装置6は、接続要求を受けると、コンソール4とそれぞれ接続する(ステップS7)。
なお、接続要求は、図3に示したように、コンソール4から付加装置6に対して行い、更に付加装置6から撮影装置3Aに対して行う構成とすることもできる。
撮影装置3Aとコンソール4とは、図2に示したように通信ネットワークNを介して接続したり、直接接続したりすることが可能であるが、コンソール4と撮影装置3Aとが直接接続されると、付加装置6と接続していない撮影装置3Aと接続し、付加装置6と撮影装置3Aとが連携した状態での接続構成を確立できない可能性がある。
しかし、このように付加装置6を介して撮影装置3Aとコンソール4とを接続することにより、確実に付加装置6に接続された撮影装置3Aと接続することが可能となる。
【0077】
あるいは、図示は省略するが、コンソール4より各撮影装置3Aに接続要求を行い、その後各撮影装置3Aから付加装置6に接続要求を行う構成としても良い。
撮影に使用する撮影装置3Aの設定はコンソール4にて行われるため、このように構成すれば、使用する撮影装置3Aを確実に選択し付加装置6と接続することができ、誤った撮影装置3Aを選択することなく、付加装置6と使用する撮影装置3Aとが連携した状態を確立することが可能となる。
また、このような構成とすることで、前述のように付加装置6に接続された撮影装置3Aからのみではなく、使用可能な撮影装置3A全体から撮影装置3Aを選択し、接続することが可能となる。
また、ここで、撮影装置3Aを、接続を開始するときに、自身の状態を、撮影準備、あるいは撮影が可能な前述の消費電力の低いモードから、当該消費電力の低いモードよりも消費電力が高いモードへ自動的に遷移する構成としても良い。
【0078】
続いて、撮影者が、コンソール4より、撮影装置3A、付加装置6、放射線制御装置1の少なくとも1つの装置へ撮影に必要な撮影条件を送信する。
撮影条件には、例えば撮影装置3Aがタイミング信号に基づいてどの動作を行うかといった動作モードに関する情報や、撮影フレームレート等に関する情報、撮影時の電圧、電流、照射時間等といった放射線の照射に関する情報、放射線照射装置がパルス照射モードで照射を行うのか連続照射モードで照射を行うのかといった動作モードに関する情報等が含まれる。
また、撮影条件は、例えばコンソール4と付加装置6の間で送受信される情報信号、付加装置6と撮影装置3Aの間で送受信される情報信号を用いて送信することが可能である。
撮影装置3A、付加装置6、放射線制御装置1のうちの少なくとも一つの装置は、撮影条件を受信すると、それをセットする。
なお、コンソール4に、これらの情報のうち、組み合わせて動作可能な組合せ、あるいは条件範囲を格納しておき、これらの組合せや条件範囲による選択、あるいは組合せや条件範囲との照合による確認、あるいは組合せや条件範囲による選択可否制御を行う機能をもたせるようにしても良い。
【0079】
続いて、撮影者が、撮影開始をコンソール4へ指示すると、コンソール4は、撮影装置3A及び付加装置6に対して撮影シーケンスの開始を指示するシーケンス開始信号をONにする。そして、シーケンス開始信号を撮影装置3A及び付加装置6に送信する(ステップS8)。シーケンス開始信号は、例えばコンソール4と付加装置6の間で送受信される情報信号、付加装置6と撮影装置3Aの間で送受信される情報信号を用いて送信することが可能である。
撮影装置3A及び付加装置6は、シーケンス開始信号がONになったことを検知すると、撮影準備を開始する。
【0080】
ここで、付加装置6が、照射指示スイッチ5が押下される前の段階からタイミング信号を送信するよう構成されている場合、付加装置6が、シーケンス開始信号がONになったことを検知後、読出指示信号(図16参照)をONにするとともに、タイミング信号を撮影装置3Aへ所定間隔で繰り返し送信するように制御しても良い(ステップS9)。
撮影装置3Aは、このタイミング信号を受信する度に、読み出し動作を繰り返す。すると、撮影装置3A内の回路の温度が上昇する。すなわち、この段階の撮影装置3Aが繰り返し行う読み出し動作は、撮影装置3Aのウォームアップとなる。
また、撮影装置3Aが読み出し動作を繰り返す初期段階で、ウォームアップを開始した旨をコンソール4へ通知する(ステップS10)。
【0081】
ところで、撮影装置3Aに対しては、撮影直前に蓄積された電荷を除去するための読み出し操作(リセット動作)を行う必要がある。
一方、撮影装置3Aは、読み出し動作を行う際に電力を消費するため、それに伴って撮影装置3Aの温度が上昇する。また、この温度上昇により撮影装置3Aの特に受光部の感度が変化し、放射線入射量へ出力する画像濃度も変化する。1枚の静止画撮影であればこの温度上昇による画像の変化は問題にならないが、本実施形態に係るシステム100Aのように動態撮影(静止画の繰り返し撮影)を行う場合には、撮影中の温度上昇による画像の変化が問題になる。
しかし、上述したように、ウォームアップを行うよう構成した場合には、こうした温度上昇による画像濃度の変化を少なくすることができる。
【0082】
また、ステップS9が複数回繰り返される何処かのタイミングにて、撮影装置3Aが補正用画像を取得するようにしても良い。
例えば、撮影装置3Aがウォームアップを行う(照射指示スイッチ5の押下前に読み出し動作を行う)構成とした場合、このウォームアップの後半で読み出した画像を、補正用画像としてコンソール4へ送信してもよい(ステップS11)。
撮影装置3Aが有する複数の画素はそれぞれ特性が異なっており、放射線が照射されていない状態であっても、画像の明るさに相当する電荷のレベルが画素毎に異なっている。そこで、ウォームアップの後半で読み出した画像を補正用画像として取得しておき、例えば後に得られる撮影画像の各信号値から、補正用画像の各信号値を差し引くことで、画素毎のばらつきが除去された撮影画像を得ることができる。
なお、ここでは、補正用画像の使用方法として、撮影画像から単純に補正用画像を差し引く場合を例に挙げたが、さまざまな演算を用いてノイズ成分を除去することも可能である。
【0083】
また、補正用画像の取得以外の前記撮影直前に蓄積された電荷を除去するための読み出し操作(リセット動作)時に、通常の撮影と同様の動作として、除去した電荷を画像化する工程、画像化した画像データを撮影装置3A内の記憶部に格納する工程、画像化したデータ、あるいは撮影装置3A内の記憶部に格納された画像データをコンソール4へ送信する工程の少なくとも1つを行っても良い。
通常の撮影と同様の上記工程を行った方が実際の撮影に近い条件となるため、このようにすれば、以降のステップで撮影を行った際の差異が少なく、例えば前記温度上昇の影響を少なく抑えることが可能となる。
【0084】
一方で、通常の撮影と同様の上記工程を行った場合、電力の消費量が多くなる、無駄な放射線未照射時の画像が撮影装置3Aの記憶部に格納されることで撮影時に使用できる記憶部の容量が少なくなる、無駄な放射線未照射時の画像がコンソールに送信されることで、通信容量の一部を占有してしまい、またコンソールの記憶部に格納されることで撮影時に使用できる記憶部の容量が少なくなる、といった問題があるため、こうした問題が生じるのを回避するため、上記工程の一部を省くことも可能である。
特に近年、撮影装置3Aの記憶部の容量が大きくなり、また撮影制御部31の計算能力が向上している。そのため前述の画像補正に関しては、その少なくとも一部の工程を撮影後に撮影装置3Aにて行い、補正処理済の画像をコンソール4に送る構成としても良い。その場合には、前述の補正用画像をコンソールに送付する必要は無く、撮影装置3Aの記憶部に格納するように構成しても良い。
【0085】
撮影装置3Aは、ウォームアップとして予め設定された読出し回数、あるいは読み出し動作期間が経過することでウォームアップの完了とする構成とすることができる。これは、例えば後述する照射開始信号をONにするステップS25(図5参照)にて、前述の予め設定された読出し回数、あるいは読み出し動作期間が経過するまで、照射開始信号をONしないようにすることで、ウォームアップが完了するまで放射線の照射による撮影を開始しないようにすることが可能となる。
【0086】
その後、撮影装置3Aは、撮影準備が完了したことをコンソール4に通知する(ステップS12)。
その際、コンソール4の表示部43に「撮影可能」と表示するようにしてもよい(ステップS13)。
【0087】
(C:撮影確認)
付加装置6は、引き続きタイミング信号を撮影装置3Aへ繰り返し送信し、撮影装置3Aは、このタイミング信号を受信する度に、撮影装置3Aの読み出し動作を繰り返す。
撮影者が被検体のポジショニングを終え、照射指示スイッチ5の一段目を押下すると(ステップS14)、照射指示スイッチ5は、コンソール4を介して放射線制御部11へ出力する照射準備信号をONにする(ステップS15)。
放射線発生装置の放射線制御部11は、この照射準備信号がONになったことを検知すると、高電圧発生部12及び付加装置6へ出力する照射準備信号をONにする(ステップS16)。これにより、付加装置6の第一取得部62は、(照射指示信号よりも前であってシーケンス開始信号がONになるよりも後に出力される)照射準備信号を取得することとなる。
このように、放射線制御部11を含む放射線発生装置は、照射準備信号に応じ、放射線の照射準備を開始する。
【0088】
付加装置6の付加制御部61は、放射線制御部11からの照射準備信号がONになったことを検知すると、撮影準備信号をコンソール4へ送信する(ステップS17)。
コンソール4は、撮影準備信号を受信すると、撮影準備を開始する。コンソール4での撮影準備は、例えばコンソール4を構成する撮影装置制御コンソール42と、放射線照射を制御する放射線制御コンソール41の設定が同じであることを確認したり、撮影装置3Aに指定した撮影条件等が設定されていることを確認したりする動作である。
コンソール4は、撮影準備を完了させると、付加装置6へ出力する撮影準備完了信号をONにする(ステップS18)。
その際、コンソール4の表示部43に「撮影中」と表示するようにしてもよい(ステップS19)。
【0089】
また、この撮影準備が完了した段階にて、コンソール4への撮影条件変更等の入力をロックし、変更できないようにする構成としても良い。
静止画撮影の場合には、撮影は短時間で終了するため、撮影中に撮影条件の変更等が行われる危険性は少なく、このように構成する必要性は低いが、動態撮影の場合には、撮影期間が長いため、撮影者あるいは撮影者以外の第三者が故意あるいは無意識にコンソール画面を操作して撮影条件等を変更してしまう危険性がより高くなる。
そこで、この段階から後述するステップS45以降のシーケンス終了までの間、コンソール4への撮影条件変更等の入力をロックすることで、このような撮影条件の変更を確実に防ぐことが可能となる。
【0090】
なお、図4には、撮影準備信号を付加装置6からコンソール4へ出力する場合を例示したが、撮影準備信号をコンソール4ではなく撮影装置3Aへ出力し、撮影装置3Aに撮影準備を行わせ、撮影装置3Aの撮影準備が完了したら撮影装置3Aから撮影準備完了信号を付加装置6へ出力する場合もある。
また、コンソール4と撮影装置3Aの双方に撮影準備信号をそれぞれ出力し、双方にそれぞれ撮影準備をさせ、双方の撮影準備が完了したらコンソール4と撮影装置3Aから撮影完了信号を付加装置6へそれぞれ送信し、付加装置6が双方の撮影完了信号を受信した段階で全体の撮影準備が完了したと判断する場合もある。
【0091】
また、図示は省略するが、放射線発生装置の放射線制御部11が、外部機器の撮影準備が完了したことを入力することが可能な撮影準備完了信号を入力する接続部を有する場合、付加装置6が撮影準備完了信号をこの放射線制御部11の接続部へ出力する構成としてもよい。
放射線制御部11が、付加装置6からの撮影準備完了信号がONになったことを検知することで、撮影装置3Aが撮影可能な状態であることを検知することが可能となる。ここで、放射線制御装置1が、撮影準備完了信号がONになったことを検知した後に放射線照射を行うように制御することで、撮影装置3Aが撮影不可の状態で放射線を照射してしまい、被検体を無駄に被曝させてしまうという危険性を確実に排除することが可能となる。
【0092】
(D:撮影実行)
続いて、撮影者が照射指示スイッチ5の二段目を押下すると(ステップS20)、照射指示スイッチ5は、コンソール4を介して放射線制御部11へ送信する照射指示信号をONにする(ステップS21)。
このとき、付加装置6は、引き続きタイミング信号を撮影装置3Aへ繰り返し送信し、撮影装置3Aは、このタイミング信号を受信する度に、読み出し動作を繰り返している。
放射線発生装置の放射線制御部11は、照射指示スイッチ5から照射指示信号が入力されても、付加装置6からの照射許可信号がこの時点ではOFFであるため、照射信号を高電圧発生部12へ送信しない。
【0093】
一方、放射線制御部11は、付加制御部61へ送信する照射指示信号をONにする(ステップS22)。
付加装置6は、照射指示信号を受信すると、撮影装置3A及びコンソール4へ出力する、撮影の開始を許可するか否かを通知する撮影開始信号をONにする(ステップS23,S24)。
撮影装置3Aは、撮影開始信号がONになったことを検知すると、その時点で自身が行っている読み出し動作が終了したことを契機として、例えば図5に示したように、付加装置6へ出力する照射開始信号をONにする(ステップS25)。これは、撮影装置3Aの読み出し動作は、二次元状に配置された画素に蓄積された電荷を順次読み出すことで受光面全体の画像を取得するようになっており、読み出しの途中で照射開始信号をONにし、放射線が照射されてしまうと、読み出しが完了した画素と読み出しが完了していない画素とで信号値に差が出てしまい、画像品位を著しく落としてしまうためである。
【0094】
一方、本実施形態においては、後述するように放射線照射と撮影装置3Aの画像読み出しが、付加装置6からの照射許可信号及びタイミング信号に基づいて行われるため、読み出し動作の途中で放射線が照射されることは、通常のルーチンでは発生することは無い。このため、照射開始信号を前述の撮影装置3Aの読み出しタイミングを考慮せずONにする構成としてもよい。
【0095】
撮影装置3Aは、照射開始信号がONになった後も画像読み出し動作を繰り返す。この照射開始信号がONになった後に読み出した画像は、撮影画像として撮影装置3Aのメモリーに保存、あるいはコンソール4へ送信するようにする。
【0096】
付加装置6は、撮影装置3Aからの照射開始信号がONになったことを検知すると、撮影装置3Aが撮影可能状態であると判断し、放射線制御部11へ出力している照射許可信号をONにする(ステップS26)。
放射線発生装置の放射線制御部11は、照射許可信号がONになると、撮影指示信号と照射許可信号が揃うこととなるため、高電圧発生部12へ出力している照射信号をONにする。
高電圧発生部12は、照射信号がONになると、放射線照射に必要な高電圧を連続的に発生させ、その高電圧を照射出力として放射線発生部2へ出力し続ける。
放射線発生部2は、照射出力が入力されると、撮影装置3Aに対して放射線を照射し続ける(ステップS27)。
照射された放射線は、撮影装置3Aと放射線発生部2との間に配置された図示しない被検体を透過し、撮影装置3Aに入射する。
【0097】
一方、撮影装置3Aは、タイミング信号を受信する度に、入射した放射線の強度に応じた量の電荷を蓄積し(ステップS28)、それを撮影画像として読み出す(ステップS29)。
以降、ステップS28及びステップS29をN-1回繰り返す(合計でN(最大撮影枚数N)回繰り返す)。
撮影装置3Aは、読み出した放射線画像を、コンソール4へ送信する(ステップS30)。
【0098】
なお、撮影画像をコンソール4へ送信するよう構成した場合であって、データ量や通信環境の都合上、コンソール4への送信が間に合わない場合には、このステップS30において、複数の撮影画像のうちの一部の撮影画像、あるいは一枚の撮影画像の一部を撮影装置3Aに保存し、残りをコンソール4へ送信するようにしてもよい。
また、このステップS30において、撮影中は撮影画像の送信は行わず、撮影装置3Aの記憶部に格納するようにしても良い。記憶した撮影画像は、撮影後に有線接続、無線接続、あるいは着脱可能に撮影装置3Aに取り付けられた可搬型メモリーを介してコンソール4へ送信するようにしても良い。
【0099】
ここで、撮影装置3Aの動作の一例に関して図6を用いて更に説明する。ここでは前述のタイミング信号に合わせて電荷の蓄積を開始する場合について説明を行う。
<リセット動作/補正画像取得動作>
撮影前に行われるリセット動作では、撮影装置3Aは、放射線発生装置からの放射線照射が無い状態で前述の動作を繰り返し行い、各画素に蓄積された放射線照射に基づかない電荷(暗電荷あるいは暗電流)を放出することで、放射線照射に基づいた電荷による画像に対するノイズ成分となる各画素に蓄積された放射線照射に基づかない電荷をリセットすることが出来る。なお、このリセット動作時には、前述の読出し部34で流れ込んできた電荷を画像データ化しない制御としても良い。(t1以前の動作)
【0100】
また、撮影前あるいは撮影後に行われる補正画像取得動作では、撮影装置3Aは、放射線発生装置からの放射線照射が無い状態で前述の動作を繰り返し行い、各画素に蓄積された放射線照射に基づかない電荷(暗電荷あるいは暗電流)を放出することで、放射線照射に基づいた電荷による画像に対するノイズ成分となる各画素に蓄積された放射線照射に基づかない電荷をリセットすることが出来る。また、この補正画像取得動作時には、前述の読出し部34で流れ込んできた電荷を画像データ化し記憶することで、放射線照射が無い状態でのノイズ成分量を記憶することが可能となり、このノイズ成分を放射線照射された状態での画像データから差し引くことでノイズ成分の除去を行うことが出来る。なお、この補正画像取得動作を前述のリセット動作の一部として行っても良い。(t1以前の動作)
【0101】
<リセット動作/補正画像取得動作の終了動作>
リセット動作あるいは補正画像取得動作に続いてステップS21の照射指示信号がONになると、撮影装置3Aに入力される撮影開始信号がONになる(ステップS23)。すると、撮影装置3Aは、前述のリセット動作あるいは補正画像取得動作を停止する。
一方、撮影開始信号がONになっていても、前記補正画像取得動作が所定枚数の補正用画像取得を完了していない場合には補正画像取得動作を停止せず、所定枚数の補正用画像が取得されるまで前記補正画像取得動作を継続させ、その後に前記補正画像取得動作を停止する。
【0102】
あるいは、リセット動作あるいは補正画像取得動作は、2次元状に配置された放射線検出素子32dに対して順次行っていく。そのため前述のリセット動作あるいは補正画像取得動作は2次元状に配置された放射線検出素子32dの端部の放射線検出素子32dまでリセット動作あるいは補正画像取得動作が終了した段階で停止させるように構成しても良い。2次元状に配置された放射線検出素子32dの端部以外で停止すると、2次元状に配置された放射線検出素子32dの隣接した放射線検出素子32d間でリセット動作あるいは補正画像取得動作が行われてから撮影までの経過時間が大きく異なることとなるため、この部分にて取得画像に段差が生じる場合があるためである。2次元状に配置された放射線検出素子32dの端部の放射線検出素子32dまでリセット動作あるいは補正画像取得動作が終了した段階で停止させることで、このような段差の発生を防ぐことが可能となる。
リセット動作あるいは補正画像取得動作を停止すると、撮影装置3Aはリセット動作あるいは補正画像取得動作を停止し、撮影可能状態になったことを、ステップS25の照射開始信号をONすることで通知する(t1)。
【0103】
<撮影動作>
その後、付加制御部61は、放射線発生装置に出力している照射許可信号をONにする(ステップS26)。
すると、放射線発生装置は、撮影装置3Aへの放射線の照射を開始する(ステップS27;t2)。
撮影装置3Aは、放射線を受けると電荷を生成する。しかし、この段階ではスイッチ素子32eにオン電圧が印可されているため、撮影装置3Aは、生成された電荷を、そのまま読出し部34へ放出する。
【0104】
付加制御部61からタイミング信号を受信した後、撮影装置3Aは、各走査線32bへオフ電圧を印加することで、図6に示したように、放射線検出素子32dが発生させた電荷を画素内に蓄積可能な状態に遷移し(t3,t6,t9,・・・)、生成された電荷を、各画素に蓄積する(ステップS28)。
撮影装置3Aは、自身が持つ計時手段により、所定時間電荷を蓄積するモードを継続する(t3~t4,t6~t7,t9~t10,・・・)。
【0105】
オフ電圧印可から所定時間経過後、撮影装置3Aは、上記所定時間経過後に各スイッチ素子32eにオン電圧を印加することで、各画素に蓄積されていた電荷を信号線32cに放出する読み出し動作を行う。読み出し動作では、撮影装置3Aは、読出し部34で流れ込んできた電荷に基づく画像データを読み出して画像データ化する。また画像データ化した画像データの少なくとも一部をコンソール4へ送信してもよいし、撮影装置3Aの記憶部35に保存しても良い(ステップS29,S30;t4~t5,t7~t8,t10~t11,・・・)。
【0106】
<動作制御方式の別の実施形態>
上記の説明では、付加制御部61からのタイミング信号に応じて、撮影装置3Aが電荷を画素内に蓄積可能な状態に遷移する例(タイミング信号に応じてt3、t6、t9・・・の動作を行う例)を示したが、このタイミング信号に応じて他の動作を行うように制御しても良い。つまり、タイミング信号に応じて撮影装置が蓄積された電荷の読出しを開始するよう遷移する(タイミング信号に応じてt4、t7、t10・・・の動作を行う)ように構成しても良い。
例えば、撮影装置3Aが各画素に蓄積されていた電荷を信号線32cに放出する読み出し動作(t4~5、t7~t8,t10~t11,・・・)を終えた後、付加制御部61からのタイミング信号を待たずに電荷を画素内に蓄積可能な状態(t6~t7、t9~t10,・・・)へ遷移させるように制御しても良い。
そして、付加制御部61が放射線発生装置へ出力している照射許可信号をONにした後、タイミング信号を出力するように制御する。
そして、撮影装置3Aが受信したタイミング信号に応じて各画素に蓄積されていた電荷を信号線32cに放出する読み出し動作に遷移させる(t4、t7、t10,・・・)。
このような動作制御を繰り返すことによっても放射線発生装置による放射線照射タイミングと、撮影装置による画像生成タイミングとを合わせながら撮影を行うことが可能となる。
【0107】
(E:撮影終了)
付加装置6は、照射許可信号をONにした(放射線の照射を開始した)時点から、タイミング信号を送信した回数、あるいは照射許可信号をONにした時点からの時間をカウントし、その都度、予め設定された最大撮影枚数Nあるいは最大撮影時間に達したか否かの判定を行う。そして、カウントしたタイミング信号の送信回数(撮影済み枚数)が最大撮影枚数Nに達した、あるいはカウントした時間が最大撮影時間に達したと判断した場合は、放射線発生装置へ出力している照射許可信号をOFFにする(ステップS26A)。すると、放射線発生装置が放射線の照射を終了する(ステップS27A)。
また、付加装置6は、撮影開始信号をOFFにし(ステップS31)、前述のタイミング信号の出力を停止する。
【0108】
なお、ここで、付加装置6が、最後にタイミング信号を出力してから、撮影装置3Aが入射した放射線の強度に応じた量の電荷を蓄積し(ステップS28)、それを撮影画像として読み出す(ステップS29)動作を少なくとも1回行う制御を行うようにしても良い。これにより、最後に放射線が照射された画像を確実に読み出して撮影画像とすることができ、被検体を無駄に被曝させることを確実に防止することが出来る。
また、付加装置6が、最後にタイミング信号を出力してから、撮影装置3Aが電荷を蓄積し(ステップS28)、それを撮影画像として読み出した(ステップS29)後、さらに撮影装置3Aが電荷を蓄積し、それを撮影画像として読み出す動作を行うように制御するように構成しても良い。この撮影画像は放射線が照射されていない状態で撮影される画像となるため、これらの画像を前述の補正用画像と同様に、放射線照射時の撮影画像の補正に使用することができる。
【0109】
つまり補正用画像として、前述のように放射線を用いた撮影前に撮影した画像を補正用画像として使用しても良いし、上記のように放射線を用いた撮影後に撮影した画像を補正用画像として使用しても良い。
あるいは、放射線を用いた撮影の前、および後に撮影した補正用画像を用いても良い。この場合、放射線を用いた撮影の前後の補正用画像を用いることで、撮影中の補正用画像の変化を予想し補正用画像を生成しても良い。これらは例えば放射線撮影前後で撮影した補正用画像を平均化する、あるいは変動を線形あるいは曲線補完することで生成することが可能である。
静止画撮影の場合には、撮影に要する時間が短いため、撮影の前後での補正画像の変化は少ないが、動態撮影の場合には、撮影に要する時間が静止画に比べてはるかに長くなる。そのため前述のように撮影前後の補正用画像を用いることで、撮影中の変動も考慮した補正を行うことが可能となる。
【0110】
撮影装置3Aは、撮影開始信号がOFFになったことを検知し、更に前述の放射線照射後の撮影や、補正用画像取得のための撮影が終了すると、読出指示信号(図16参照)をOFFにし、撮影装置3Aのメモリーに残された残画像(未送信の撮影画像)をコンソール4へ送信する(ステップS32)。そして、残画像の送信が完了すると、残画像送信完了信号をコンソール4へ送信する(ステップS33)。
【0111】
一方、コンソール4は、撮影開始信号がOFFになったことを検知すると、送信されてきた撮影画像の確認作業を開始する。
また、コンソール4は、残画像送信完了信号を受信すると、画像の削除を指示する画像削除信号を撮影装置3Aへ送信する(ステップS34)。
なお、画像削除信号は、前記撮影画像の確認作業が完了し、送信されてきた全ての画像に問題がないことを確認した後に送信するように制御しても良い。
また、その際、コンソール4の表示部43に「撮影終了」を表示するようにしてもよい(ステップS35)。
撮影装置3Aは、画像削除信号を受信すると、メモリーに保存していた撮影画像を削除する(ステップS36)。これにより、メモリーの空き領域を次の撮影のために確保することができる。
【0112】
撮影が終了したことを確認(例えば、コンソール4に表示された「撮影終了」の表示を視認する等)した撮影者が、照射指示スイッチ5の二段目を開放すると(ステップS37)、照射指示スイッチ5は、照射指示信号をOFFにし(ステップS38)、更に放射線制御部11も照射指示信号をOFFにする(ステップS39)。
その後、撮影者が照射指示スイッチ5の一段目を開放すると(ステップS40)、照射指示スイッチ5は、照射準備信号をOFFにし(ステップS41)、更に放射線制御部11も照射準備信号をOFFにする(ステップS42)。
付加装置6は、照射準備信号がOFFになったことを検知すると、その旨をコンソール4へ通知する。
コンソール4は、付加装置6から通知を受けると、撮影準備完了信号をOFFにして、シーケンス状態を照射準備状態へ遷移させる。
【0113】
付加装置6は、照射指示信号及び照射準備信号がOFFになったことを検知すると、撮影が終了したことを示す撮影終了信号を撮影装置3A及びコンソール4に送信する(ステップS43,S44)。
撮影装置3Aは、撮影終了信号を受信すると、スタンバイ信号をコンソール4へ送信する(ステップS45)。
コンソール4は、スタンバイ信号を受信すると、所定期間、再撮影や他の撮影の有無を監視し、再撮影や他の撮影が無いまま所定期間が経過した場合には、シーケンス開始信号をOFFにして、シーケンス状態を、撮影指示を待機する待機状態へ遷移させる。
こうして、一連の撮影動作が終了する。
本実施形態に係るシステム100Aは以上のように動作し、これにより複数の静止画を短時間に繰り返し撮影する動態撮影が行われる。
【0114】
[変形例1:撮影装置3Aにて撮影済み枚数をカウント]
なお、上記実施形態では、付加装置6がタイミング信号を送信した回数をカウントし、カウントしたタイミング信号の出力回数が最大撮影枚数Nに達した場合に、最大撮影枚数Nに到達したと判断する例を示したが、撮影装置3Aが照射開始信号送信以降にタイミング信号を受信した回数、あるいはタイミング信号を受信し撮影装置3Aの読み出しを行った回数、あるいは撮影装置3Aの読み出しを行い画像の保存、あるいはコンソール4への送信を行った回数をカウントし、それらが予め設定された最大撮影枚数Nに達したかで判断を行う装置構成としてもよい。
【0115】
[変形例2:撮影装置の状態による撮影許可]
また、撮影装置3A、コンソール4及び付加装置6の接続時、あるいは撮影開始時に、撮影装置3Aの残電力量やメモリー残量を参照し、指定の動態撮影が最後まで可能かを判断する構成としてもよい。
また、判断結果に応じて、撮影が可能であれば撮影が可能であることを表示する構成としてもよい。
また、判断結果に応じて、撮影が不可であれば不可であることを表示する構成としてもよい。
【0116】
[変形例3]
また、撮影装置3Aへのタイミング信号あるいは/および情報信号は、有線接続で送信してもよいし無線接続で送信しても構わない。
また、タイミング信号を無線接続で送信する場合、無線通信規格IEEE802.11で規定された時刻同期機能(Timing Synchronization Function、以下TSF)を用いた
計時情報、あるいはこの計時情報に基づいて生成された信号をタイミング信号として用いても構わない。
【0117】
[効果]
以上説明してきたように、本実施形態に係るシステム100Aは、従来システム100(図1参照)における、1回の放射線の照射指示に対してパルス状の放射線の照射を1回しか行うことができない、あるいは放射線をユーザーが照射指示スイッチ5の押下を行っている期間だけ照射する放射線制御装置1に、付加制御部61を接続したことにより、放射線制御装置1が一回の照射指示信号の取得(ON検知)に対して照射信号を予め設定された所定時間出力し続けるようになっている。このため、撮影装置3Aを用いた、静止画(フレーム)の生成を短時間に複数回繰り返し行う撮影、すなわち動態撮影を行うことが可能となる。
また、従来システム100は、単純な静止画を撮影する放射線装置として広く普及している。このため、従来システム100を使用している医療機関は、高価な放射線発生装置を更新することなく、撮影装置3A及び付加装置6を追加するだけで、既存の放射線発生装置を含む従来システム100を動態撮影に対応したものに容易に改造することができる。
【0118】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、図2,7,8を参照しながら説明する。なお、上記従来技術1や第一実施形態と同等の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、第一実施形態において挙げた各種変形パターンは、本実施形態にも適用可能である。
【0119】
[システム構成]
初めに、本実施形態に係る放射線撮影システム(以下、システム100B)のシステム構成について説明する。
【0120】
本実施形態に係るシステム100Bは、上記第一実施形態と同様、図2に示したように、従来システム100(図1参照)のカセッテ3を放射線画像撮影装置に置き換え、更に撮影装置制御コンソール42と、付加装置と、を加えたものとなっている。しかし、本実施形態に係るシステム100Bは、放射線画像撮影装置(以下、撮影装置3B)及び付加装置6Aの構成が上記第一実施形態と異なっている。
【0121】
具体的には、撮影装置3Bは、上記実施形態の撮影装置のように付加装置6からのタイミング信号に基づいて電荷の蓄積及び画像の読み出しを行うのではなく、放射線発生装置からの放射線を検知したことをトリガーとして、電荷の蓄積及び画像の読み出しを開始し、以降、予め設定された撮影フレームレートにて電荷の蓄積及び画像の読み出しを繰り返すよう構成されている。
また、撮影装置3Bは、電荷の蓄積を開始すると撮影枚数のカウントを開始し、カウント数が予め設定された撮影枚数に到達したら電荷の蓄積及び画像の読み出しの繰り返しを停止するようになっている。
【0122】
付加装置6Aは、タイミング信号を送信しないように構成されている。
また、付加装置6Aは、照射許可信号をONにすると経過時間のカウントを開始し、経過時間が予め設定された撮影時間に到達したら撮影許可信号をOFFにするようになっている。
【0123】
[動作]
次に、上記システム100Bの動作について説明する。図7,8は本実施形態に係るシステム100Bの動作を表すラダーチャートである。
【0124】
本実施形態に係るシステム100Bの動作は、図7に示すように、開始からステップS8まで第一実施形態と共通している。
ステップS10(ウォームアップ通知)が行われるまでには、撮影装置3Bが読み出し動作を開始する(ステップS9A)。以降、撮影装置3Bは、読み出し動作を所定のフレームレートで繰り返す。
【0125】
その後、図8に示すように、付加装置6Aが放射線発生装置へ出力している照射許可信号をONにし(ステップS26)、放射線発生装置が撮影装置3Bへ放射線を照射すると、撮影装置3Bは、その放射線を検知し、ステップS28(電荷の蓄積)及びステップS29(画像読み出し)を開始する。以降、ステップS28及びステップS29を所定のフレームレートでN-1回繰り返す。
ステップS28及びステップS29を繰り返している途中のステップS30(撮影画像送信、保存等)や、ステップS28及びステップS29をN回繰り返した後のステップS31以降の動作は、上記第一実施形態と同様である。
【0126】
[効果]
以上説明してきたように、本実施形態に係るシステム100Bは、上記第一実施形態と同様に、従来システム100(図1参照)における、1回の放射線の照射指示に対してパルス状の放射線の照射を1回しか行うことができない、あるいは放射線をユーザーが照射指示スイッチ5の押下を行っている期間だけ照射する放射線制御装置1に、付加制御部61Aを接続したことにより、放射線制御装置1が一回の照射指示信号の取得(ON検知)に対して照射信号を予め設定された所定時間出力し続けるようになっている。このため、撮影装置3Bを用いた、静止画(フレーム)の生成を短時間に複数回繰り返し行う撮影、すなわち動態撮影を行うことが可能となる。
また、従来システム100は、単純な静止画を撮影する放射線装置として広く普及している。このため、従来システム100を使用している医療機関は、高価な放射線発生装置を更新することなく、撮影装置3B及び付加装置6Aを追加するだけで、既存の放射線発生装置を含む従来システム100を動態撮影に対応したものに容易に改造することができる。
【0127】
また、無線通信は、ベストエフォート方式のパケット送信技術を用いたものであるため、上記第一実施形態のように付加装置6からのタイミング信号に応じて撮影を行う際に、付加装置6から撮影装置3Aへのタイミング信号の送信を無線通信で行うと、信号が到達する時間に変動が生じてしまう場合がある。このため、無線で送信されるタイミング信号を撮影タイミングの制御に用いることは困難であった。
一方、医療現場においては、撮影者の所望するタイミングで迅速に撮影を行いたいという要望があった。
しかし、本実施形態に係るシステム100Bを用いれば、撮影装置3Bと放射線発生装置間でタイミング信号等のやり取りのない簡素な制御で動態撮影を開始することができるため、撮影者が撮影したいタイミングで迅速に撮影を開始することが可能となる。
【0128】
<従来技術2>
次に、本発明の第三,第四実施形態に係る放射線撮影システム(詳細後述)の元となる従来技術2について、図9を参照しながら説明する。なお、上記従来技術1と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0129】
[システム構成]
まず、従来技術2に係る放射線撮影システム(以下、従来システム200)の概略構成について説明する。図9は、従来システム200の概略構成を表すブロック図である。
【0130】
従来システム200は、例えば図9に示したように、放射線制御装置1Aが備える放射線制御部11Aの構成が上記従来システム100のものと異なる。
具体的には、従来システム100の放射線制御部11は、放射線制御コンソール41からの照射準備信号や照射指示信号がONになったことを検知したことに基づいて、それらを外部機器へ向けて出力することが可能に構成されていたが、従来システム200の放射線制御部11Aは、こうした構成を有していない。
また、従来システム100の放射線制御部11は、外部機器から照射許可信号を受信することが可能に構成されていたが、従来システム200の放射線制御部11Aは、こうした構成も有していない。
【0131】
[動作]
次に、上記従来システム200の動作について説明する。
【0132】
(照射準備動作)
撮影者により照射指示スイッチ5の一段目が押下されると、照射指示スイッチ5は、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11Aへ出力する照射準備信号をONにする。
放射線制御部11Aは、照射準備信号がONになったことを検知すると、高電圧発生部12へ出力する照射準備信号をONにする。
なお、図9においては、放射線制御部11Aから外部機器への照射準備信号の出力は図示していないが、外部機器と連携して動作する場合には、外部機器への照射準備信号を出力しても構わない。
高電圧発生部12は、照射準備信号がONになったことを検知すると、照射準備出力を放射線発生部2へ出力する。
【0133】
放射線発生部2は、照射準備出力が入力されると、放射線を発生させるための準備を始める。
陽極を回転陽極とした場合には、例えば回転陽極を回転させる等の動作を行う。
【0134】
このように構成される放射線発生装置(放射線制御部11A、高電圧発生部12、放射線発生部2)は、第一実施形態の放射線発生装置と同様に、パルス照射モードで動作する場合と、連続照射モードで動作する場合と、が考えられる。
また、放射線制御部11A、高電圧発生部12、放射線発生部2の種類によっては、放射線発生装置は、パルス照射モードと連続照射モードのどちらか一方のモードでしか動作できないものとなる場合もあれば、両方のモードに対応したものとなる場合もある。
【0135】
(照射動作)
続いて、撮影者により照射指示スイッチの二段目が押下されると、照射指示スイッチ5は、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11Aへ出力する照射指示信号をONにする。
なお、図9においては、放射線制御部11Aから外部機器への照射指示信号の出力は図示していないが、外部機器と連携して動作する場合には、外部機器への照射指示信号を出力しても構わない。
【0136】
従来技術2においては、外部機器からの照射許可信号を受信する構成となっていないため、照射指示信号と照射許可信号が揃った場合に照射信号を送信するという制御を行わない。このため、放射線制御部11Aは、照射指示信号がONになったことを検知するだけで、高電圧発生部12へ出力する照射信号をONにする。
高電圧発生部12は、照射信号がONになったことを検知すると、放射線発生部2での放射線照射に必要な高電圧を照射出力として放射線発生部2に印加する。
放射線発生部2は、高電圧発生部12から高電圧を印加されると、印加された電圧に応じた放射線を発生させる。
発生した放射線は、図示しないコリメーター等の制御器により照射の方向、領域、線質等が調整され被検体及びその背後のカセッテ3へ照射される。放射線は一部が被検体を透過してカセッテ3へ入射する。
カセッテ3に放射線が入射すると、格納されているフィルム又は蛍光板に放射線画像が形成される。
【0137】
ここで、回転陽極の回転が十分な速度に達する前に照射が行われたりするのを防ぐため、上記従来技術1と同様に、放射線制御部11Aを、上述したような、照射準備信号がONになったことを検知してから所定の待機時間が経過するまで、照射指示信号がONになったことを検知しても照射信号を送信しない構成としてもよい。
【0138】
このように、従来システム200を用いた放射線撮影では、上記従来システム100を用いた場合と同様、1回の撮影操作に基づいて、被検体の放射線画像(静止画)が一枚だけ撮影される。
【0139】
上述したように、放射線発生装置が、パルス照射モードと連続照射モードのうちの一方のモードしか有していないものである場合には、パルス照射モードを有する装置と、連続照射モードを有する装置をそれぞれ用意し、所望のモードに対応する放射線発生装置を用いることで、所望のモードで撮影することが可能となる。
一方、放射線発生装置が、パルス照射モードと連続照射モードの両方のモードを有し、放射線制御部11Aあるいは高電圧発生部12でのモード切替えや、外部から放射線制御部11Aあるいは高電圧発生部12への入力等によってモードを切替えることが可能に構成されている場合には、例えば撮影前に撮影条件を入力する際に、どちらのモードで撮影を行うのかを放射線制御コンソール41で選択し、撮影前に放射線制御部11Aあるいは高電圧発生部12の動作を切替えることで、所望のモードで撮影することが可能となる。
【0140】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態について、図10~12を参照しながら説明する。なお、上記従来技術2や第一,第二実施形態と同等の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、第一,第二実施形態において挙げた各種変形パターンは、本実施形態にも適用可能である。
【0141】
[前提、背景、課題]
放射線撮影システムの中には、上記従来技術1に示したような、放射線制御部11に外部から照射許可信号の入力部があり、撮影者からの照射指示と外部からの照射許可に応じて照射信号を送信する放射線制御部11もあるが、一方で、上記従来技術2に示したような、放射線制御部11Aに外部からは照射指示信号の入力部のみを有し静止画を撮影する放射線制御部11Aもある。
本実施形態に係る放射線撮影システム(以下、システム200A)は、このような放射線制御部11Aに対しても、付加装置6Bを付加することで、連続的な撮影を行えるようにするものである。
【0142】
[システム構成]
まず、システム200Aのシステム構成について説明する。図10は、第一実施形態に係るシステム100の概略構成を表すブロック図である。なお、図10中の括弧書きの符号は、後述する第四実施形態のものである。
【0143】
本発明に係るシステム200Aは、例えば図10に示したように、従来システム200(図9参照)のカセッテ3を撮影装置3Aに置き換え、上記第一実施形態と同様の撮影装置制御コンソール42と、付加装置6Bと、を更に備えたものとなっている。
【0144】
付加装置6Bは、付加制御部61Bと、インターフェース部(以下、I/F部67)と、を備えている。
なお、図10には、付加装置6Bとして、付加制御部61BとI/F部67とを分けて構成したものを例示したが、これらは一体に構成してもよい。
【0145】
付加制御部61Bは、上記第一実施形態と同様の第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64及び第二接続部65の他に、第三接続部66を有する。
また、I/F部67は、第一AND回路67aと、第二AND回路67bと、を有する。
第一取得部62は第一AND回路67aの一方の入力部と、第三接続部66は、第一AND回路67aの他方の入力部とそれぞれ接続されている。
また、第二取得部63は第二AND回路67bの一方の入力部と、第二接続部65は第二AND回路67bの他方の入力部とそれぞれ接続されている。
【0146】
また、第一実施形態に係るシステム100は、照射指示スイッチ5がコンソール4に接続され、照射指示スイッチ5が照射準備信号や照射指示信号を放射線制御装置1を介して付加装置6へ出力するようになっていたが、本実施形態に係るシステム200Aは、照射準備信号や照射指示信号を出力可能な照射指示スイッチ5が付加装置6Bに直接接続されている。
そして、付加装置6Bは、照射指示スイッチ5からの照射準備信号や照射指示信号を付加制御部61BとI/F部67の第一,第二AND回路67a,67bの一方の入力部とにそれぞれ入力することが可能となっている。すなわち、第一取得部62は照射準備信号を、また第二取得部63は照射指示信号を、照射指示スイッチ5から直接取得することが可能となっている。
なお、照射指示スイッチ5が設けられた基板又は機器がI/F部67に接続された構成とし、第一,第二取得部62,63は、照射指示スイッチ5が出力した照射準備信号や照射指示信号を、基板又は機器を介して取得するよう構成してもよい。
【0147】
また、本実施形態に係る第三接続部66は撮影準備完了信号を第一AND回路67aへ、第二接続部65は照射許可信号を第二AND回路67bへそれぞれ出力し、第一,第二AND回路67a,67bにて照射指示スイッチ5からの照射準備信号、照射指示信号とAND条件が成立した場合に、照射準備信号、照射指示信号を、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11へそれぞれ出力することが可能となっている。
すなわち、本実施形態に係る第二接続部65は、I/F部67を介して放射線発生装置と接続可能となっている。このため、本実施形態のI/F部67や放射線制御コンソール41は、本発明における中継部をなす。
【0148】
ここで、図9図10には、放射線制御部11Aに入力する照射準備信号と照射指示信号は、放射線制御コンソール41を介して入力される放射線撮影システムを示した。しかしながら、放射線撮影システムによっては、放射線制御コンソールが無い場合がある。このような場合、放射線照射条件の設定は、撮影装置制御コンソール42と放射線制御部11Aとが情報通信を行うことによりなされる。また、このような場合、照射準備信号と照射指示信号は放射線制御部11Aへ入力される。
また放射線制御コンソール41は有るが、放射線制御コンソール41は放射線照射条件の設定を放射線制御部11Aとの情報通信により行うのみで、照射準備信号と照射指示信号は放射線制御部11Aへ入力される構成の放射線撮影システムもある。
こうした場合においても、照射準備信号と照射指示信号が放射線制御コンソール41を介さず放射線制御部11Aへ入力されるよう構成することで、本発明記載の構成を実施することが可能である。
【0149】
なお、図8においては、照射指示スイッチ5からの照射準備信号もI/F部67にて付加制御部61Bと第一AND回路67aとに入力されるように分岐し、付加制御部61Bからの撮影準備完了信号とAND条件が成立した際にI/F部67より照射準備信号が出力される例を示した。しかしながら、照射準備信号についてはこのような構成とはせず、照射指示スイッチ5より放射線制御コンソール41や放射線制御部11Aに直接出力される構成としても良い。
【0150】
また、図10には、第一接続部64が撮影装置3Aと情報や信号を直接送受信している構成を例示したが、第一接続部64は、信号を中継可能な図示しない中継部を介して他の装置と接続可能としてもよい。
また、図2には、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65及び第三接続部66が別々に設けられた場合を例示したが、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65、第三接続部66のうちの少なくとも2つは一体に構成されて(各部62~66が兼用となって)いてもよい。
また、図示は省略するが、付加装置6Bが出力した照射準備信号及び照射指示信号を、放射線制御コンソール41を介さず、放射線制御部11Aで直接入力する構成としてもよい。
【0151】
また、付加制御部61Bは、実行するプログラムが第一実施形態に係る付加制御部61と異なっており、構造は第一実施形態に係る付加制御部61と同様のものとすることもできる。(図2では図示を省略しているが、第一実施形態に係る付加制御部61も第三接続部66を備えているが、プログラムにこれを使用するコマンドを含めていないことで、付加制御部61と同様のものを使用することも可能となる)。あるいは付加制御部61Bは付加制御部61とは別に、必要な機能に限定したものを用いても良い。
付加制御部61Bは、照射指示スイッチ5からの照射準備信号がONになったことを検知すると、撮影装置3A及びコンソール4のうちの少なくとも一方の装置へ出力する撮影準備信号をONにするようになっている。
また、付加制御部61Bは、コンソール4及び撮影装置3Aのうちの少なくとも一方の装置からの撮影準備完了信号がONになっていることを検知すると、I/F部67の第一AND回路67aの他方の入力部へ出力する撮影準備完了信号をONにするようになっている。
【0152】
また、付加制御部61Bは、照射指示スイッチ5からの照射指示信号がONになったことを検知すると、撮影装置3A及びコンソール4のうちの少なくとも一方の装置へ出力する撮影開始信号をONにするようになっている。
また、付加制御部61Bは、コンソール4及び撮影装置3Aのうちの少なくとも一方の装置からの照射開始信号がONになったことを検知すると、I/F部67の第二AND回路67bの他方の入力部へ出力している第一実施形態と同様の照射許可信号をONにするようになっている。
また、付加制御部61Bは、第一実施形態と同様のタイミング信号(例えばパルス状の信号)を撮影装置3Aへ所定周期で繰り返し出力するようになっている。
このように、照射許可信号の出力期間やタイミング信号の送信タイミングを制御するため、付加制御部61Bに、第一実施形態と同様の計時手段を有する構成とすることができる。
【0153】
[動作]
次に、上記システム200Aの動作について説明する。図11,12は、本実施形態に係るシステム200Aの動作を表すラダーチャートである。
【0154】
A:機器設置時、装置立ち上げ時、接続機器変更時、定期的な接続機器確認時の動作(ステップS1,S2)及びB:撮影準備における動作(ステップS3~S13)は、図11に示したように、上記第一実施形態と同様である。
【0155】
[C:撮影確認(照射準備)]
付加装置6Bは、引き続きタイミング信号を撮影装置3Aへ繰り返し送信し、撮影装置3Aは、このタイミング信号を受信する度に、撮影装置3Aの読み出し動作を繰り返す。
撮影者が被検体のポジショニングを終え、照射指示スイッチ5の一段目を押下すると(ステップS14)、照射指示スイッチ5は、付加装置6Bへ出力する照射準備信号をONにする(ステップS15A)。
【0156】
照射準備信号は、付加制御部61BとI/F部67の第一AND回路67aの一方の入力部とにそれぞれ入力される。
このとき、第一AND回路67aの他方の入力部には、付加制御部61Bが接続されている。このため、照射指示スイッチ5から第一AND回路67aの一方の入力部に入力される照射準備信号がONになっていても、他方の入力部へ入力される撮影準備完了信号がONではない場合、第一AND回路67aから放射線制御コンソール41へ出力される照射準備信号はOFFのままである。
【0157】
付加制御部61Bは、照射指示スイッチ5からの照射準備信号がONになったことを検知すると、撮影準備を指示する撮影準備信号を、コンソール4及び撮影装置3Aのうちの少なくとも一方の装置へ送信する(ステップS17)。
コンソール4及び撮影装置3Aのうちの少なくとも一方の装置は、撮影準備信号を受信すると、撮影準備を行い、撮影準備が完了すると、付加装置6Bへ出力する撮影準備完了信号をONにする(ステップS18)。
【0158】
[外部機器の撮影準備の制御]
また、図示は省略するが、コンソール4及び撮影装置3Aのうちの少なく十も一方の装置が、外部機器から撮影準備が完了したか否かを示す撮影準備完了信号を入力する接続部を有する場合には、コンソール4及び撮影装置3Aのうちの少なくとも一方の装置を、外部機器からの撮影準備完了信号がONになったことを検知した場合に、撮影準備完了信号をONにする構成としてもよい。
あるいは、図示は省略するが、付加装置6B又は付加制御部61Bに、外部機器へ撮影準備信号の出力を行う接続部、もしくは外部機器からの撮影準備完了信号を入力可能な接続部を設けてもよい。
これにより、付加装置6B又は付加制御部61Bより外部機器へ撮影準備を指示したり、あるいは外部機器の撮影準備完了を検知し、外部機器の撮影準備が完了したことにも応じてI/F部へ撮影準備完了信号を出力したりすることができるようになる。
【0159】
付加装置6Bは、撮影準備完了信号がONになったことを検知することで、コンソール4及び撮影装置3Aのうちの少なくとも一方の装置、又は外部機器が撮影可能な状態であることを知ることが可能となり、撮影準備完了信号がONになった後に放射線照射を行うように制御することで、コンソール4及び撮影装置3Aのうちの少なくとも一方の装置又は外部機器が撮影不可の状態で放射線を照射してしまい、被検体に無駄な被曝をさせる危険性を確実に排除することが可能となる。
【0160】
コンソール4及び撮影装置3Aのうちの少なくとも一方の装置は、撮影準備信号がONになったことを検知する、あるいは撮影準備動作に入る、あるいは撮影準備動作が完了すると、付加装置6Bへ送信する、撮影準備信号を受信したか否かを示す信号、あるいは撮影準備動作に入ったか否かを示す信号、あるいは撮影準備動作が完了したか否かを示す撮影準備完了信号をONにする(ステップS18)。
【0161】
付加装置6Bは、撮影準備完了信号がONになったことを検知すると、I/F部67の第一AND回路67aの他方の入力部へ出力する撮影準備完了信号をONにする。
このとき、I/F部67の第一AND回路67aに入力される、照射指示スイッチ5からの照射準備信号と、付加制御部61Bからの撮影準備完了信号が共にONになるため、第一AND回路67aは、放射線制御コンソール41へ出力する照射準備信号をONにする。
【0162】
放射線制御コンソール41は、照射準備信号がONになったことを検知すると、放射線制御部11A(放射線発生装置)へ出力する照射準備信号をONにする。すなわち、付加装置6Bは、放射線制御コンソール41を介して放射線発生装置へ送信する照射準備信号をONにする(ステップS18A)
放射線発生装置(放射線制御部11A,高電圧発生部12、放射線発生部2)は、照射準備信号がONになったことを検知すると、上記第一実施形態と同様の放射線照射のための準備を行う。
【0163】
なお、ここでは、付加装置6Bが、撮影装置3Aやコンソール4の撮影準備が完了したのを確認(撮影準備完了信号を受信)してから放射線制御部11Aへ照射準備信号を送信する場合について説明したが、撮影装置3Aやコンソール4の撮影準備完了を確認せずに、照射準備信号を撮影装置3Aやコンソール4へ送信するのと同時に放射線制御部11Aへ送信する構成としてもよい。
この場合、I/F部67の第一AND回路67aは不要であり、照射指示スイッチ5から受信した照射準備信号を、コンソール4、撮影装置3A、放射線制御コンソール41又は放射線制御部11Aへそれぞれ分配する構成としてもよい。
【0164】
[D:撮影実行]
続いて、撮影者が照射指示スイッチ5の二段目を押下すると(ステップS20)、照射指示スイッチ5は、付加装置6Bへ出力する照射指示信号をONにする(ステップS21A)。
このとき、付加装置6Bは、引き続きタイミング信号を撮影装置3Aへ繰り返し送信し、撮影装置3Aは、このタイミング信号を受信する度に、読み出し動作を繰り返している。
【0165】
照射指示信号は、付加制御部61BとI/F部67の第二AND回路67bの一方の入力部とにそれぞれ入力される。
このとき、第二AND回路67bの他方の入力部には、付加制御部61Bが接続されている。このため、照射指示スイッチ5から第二AND回路67bの一方の入力部に入力される照射指示信号がONになっていても、他方の入力部へ照射許可信号が入力されない場合、第二AND回路67bから放射線制御コンソール41へ出力される照射指示信号はOFFのままである。
【0166】
付加装置6Bは、照射指示スイッチ5からの照射指示信号がONになったことを検知すると、コンソール4及び撮影装置3Aのうちの少なくとも一方の装置へ出力する撮影開始信号をONにする(ステップS23,S24)。
【0167】
撮影装置3Aは、撮影開始信号がONになったことを検知すると、その時点で自身が行っている読み出し動作が終了したことを契機として、例えば図12に示したように、付加装置6Bへ出力する照射開始信号をONにする(ステップS25)。
付加制御部61Bは、撮影装置3Aからの照射開始信号がONになったことを検知すると、撮影装置3Aが撮影可能状態であると判断し、付加制御部61BよりI/F部67へ出力される照射許可信号をONにする。
このとき、I/F部67の第二AND回路67bに入力される、照射指示スイッチ5からの照射指示信号と、付加制御部61Bからの照射許可信号が共にONになるため、第二AND回路67bは、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11Aへ出力している照射指示信号をONにする(ステップS26)。
【0168】
「D:撮影実行」における後半の動作(ステップS27~S30)及び「E:撮影終了」における前半の動作(ステップS31~S36)は、上記第一実施形態と同様である。
【0169】
[撮影終了]
撮影が終了したことを確認した撮影者が、照射指示スイッチ5の二段目を開放すると(ステップS37)、照射指示スイッチ5は、照射指示信号をOFFにする(ステップS38A)。すると、撮影装置3Aは、撮影開始信号をOFFにする。
【0170】
その後、撮影者が照射指示スイッチ5の一段目を開放すると(ステップS40)、照射指示スイッチ5は、照射準備信号をOFFにする(ステップS41A)。
ステップS43~S45は、上記第一実施形態と同様である。
こうして、一連の撮影動作が終了する。
本実施形態に係るシステム200Aは以上のように動作し、これにより第一実施形態に係るシステム100Aと同様、複数の静止画を短時間に繰り返し撮影する動態撮影が行われる。
【0171】
[効果]
以上説明してきたように、本実施形態に係るシステム200Aは、従来システム200(図9参照)における、1回の放射線の照射指示に対してパルス状の放射線の照射を1回しか行うことができない、あるいは放射線をユーザーが照射指示スイッチ5の押下を行っている期間だけ照射する放射線制御装置1Aに、付加制御部61Bを接続したことにより、放射線制御装置1が一回の照射指示(照射指示スイッチ5の2段目押下)に対して照射信号を予め設定された所定時間出力し続けるようになっている。このため、撮影装置3Aを用いた、静止画(フレーム)の生成を短時間に複数回繰り返し行う撮影、すなわち動態撮影を行うことが可能となる。
また、従来システム200は、単純な静止画を撮影する放射線装置として広く普及している。このため、従来システム200を使用している医療機関は、高価な放射線発生装置を更新することなく、撮影装置3A及び付加装置6Bを追加するだけで、既存の放射線発生装置を含む従来システム200を動態撮影に対応したものに容易に改造することができる。
【0172】
また、本実施形態に係るシステム200Aは、付加装置6Bを付加制御部61BとI/F部67とに分け、付加制御部61Bは、構造が第一実施形態の付加制御部61と同じ(記憶されているプログラムだけが異なる)ものとすることもできる。このため、共通の部品を使って、装置の種類を増やすことなく、第一実施形態の付加装置6も第二実施形態の付加装置6Bも製造する(従来システム100も従来システム200も改造する)ことができる。
【0173】
また、前述の第二実施形態での説明では、従来システム200(図9参照)に対して動態撮影が可能となるよう付加装置6Bを加える構成について説明を行った。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、例えば従来システム100(図1参照)に対して第二実施形態の付加装置6Bを加えて動態撮影が可能とすることもできる。
これは、例えば例えば従来システム100の放射線制御部11に入力される照射許可信号が常にONとなるようにすることで、従来システム100を、本発明に係る放射線撮影システムとして構成することが可能となる。
このような構成とすることで、多種の放射線撮影システムに対して付加装置を加えることで動態撮影を可能なものとすることが出来る。
【0174】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態について、図10,13,14を参照しながら説明する。なお、上記従来技術2や第三実施形態と同等の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、第三実施形態において挙げた各種変形パターンは、本実施形態にも適用可能である。
【0175】
[システム構成]
初めに、本実施形態に係る放射線撮影システム(以下、システム200B)のシステム構成について説明する。
【0176】
本実施形態に係るシステム200Bは、上記第三実施形態と同様、図10に示したように、従来システム200(図9参照)のカセッテ3を放射線画像撮影装置に置き換え、更に撮影装置制御コンソール42と、付加装置と、を加えたものとなっている。しかし、本実施形態に係るシステム200Bは、放射線画像撮影装置(以下、撮影装置3B)及び付加装置6Cの構成が上記第一実施形態と異なっている。
【0177】
具体的には、撮影装置3Bは、第二実施形態と同様に、放射線発生装置からの放射線を検知したことをトリガーとして、電荷の蓄積及び画像の読み出しを開始し、以降、予め設定された撮影フレームレートにて電荷の蓄積及び画像の読み出しを繰り返すよう構成されている。
また、撮影装置3Bは、電荷の蓄積を開始すると撮影枚数のカウントを開始し、カウント数が予め設定された撮影枚数に到達したら電荷の蓄積及び画像の読み出しの繰り返しを停止するようになっている。
【0178】
付加装置6Cは、第二実施形態と同様に、タイミング信号を送信しないように構成されている。
また、付加装置6Cは、照射許可信号をONにすると経過時間のカウントを開始し、経過時間が予め設定された撮影時間に到達したら撮影許可信号をOFFにするようになっている。
【0179】
[動作]
次に、上記システム200Bの動作について説明する。図13,14は本実施形態に係るシステム200Bの動作を表すラダーチャートである。
【0180】
本実施形態に係るシステム200Bの動作は、図13に示すように、開始からステップS8まで第三実施形態と共通している。
ステップS10(ウォームアップ通知)が行われるまでには、撮影装置3Bが読み出し動作を開始する(ステップS9A)。以降、撮影装置3Bは、読み出し動作を所定のフレームレートで繰り返す。
【0181】
その後、図14に示すように、付加装置6Cが放射線発生装置へ出力している照射許可信号をONにし(ステップS26)、放射線発生装置が撮影装置3Bへ放射線を照射すると(ステップS27)、撮影装置3Bは、その放射線を検知し、ステップS28(電荷の蓄積)及びステップS29(画像読み出し)を開始する。以降、ステップS28及びステップS29を所定のフレームレートでN-1回繰り返す。
ステップS28及びステップS29を繰り返している途中のステップS30(撮影画像送信、保存等)や、ステップS28及びステップS29をN回繰り返した後のステップS31以降の動作は、上記第三実施形態と同様である。
【0182】
[効果]
以上説明してきたように、本実施形態に係るシステム200Bは、上記第一実施形態と同様に、従来システム200(図9参照)における、1回の放射線の照射指示に対してパルス状の放射線の照射を1回しか行うことができない、あるいは放射線をユーザーが照射指示スイッチ5の押下を行っている期間だけ照射する放射線制御装置1に、付加制御部61Cを接続したことにより、放射線制御装置1が一回の照射指示信号の取得(ON検知)に対して照射信号を予め設定された所定時間出力し続けるようになっている。このため、撮影装置3Bを用いた、静止画(フレーム)の生成を短時間に複数回繰り返し行う撮影、すなわち動態撮影を行うことが可能となる。
また、従来システム200は、単純な静止画を撮影する放射線装置として広く普及している。このため、従来システム200を使用している医療機関は、高価な放射線発生装置を更新することなく、撮影装置3B及び付加装置6Cを追加するだけで、既存の放射線発生装置を含む従来システム200を動態撮影に対応したものに容易に改造することができる。
【0183】
また、上述したように、無線通信は、ベストエフォート方式のパケット送信技術を用いたものであるため、上記第一実施形態のように付加装置6からのタイミング信号に応じて撮影を行う際に、付加装置6から撮影装置3Aへのタイミング信号の送信を無線通信で行うと、信号が到達する時間に変動が生じてしまう場合がある。このため、無線で送信されるタイミング信号を撮影タイミングの制御に用いることは困難であった。
一方、医療現場においては、撮影者の所望するタイミングで迅速に撮影を行いたいという要望があった。
そこで、本実施形態に係るシステム100Bを用いれば、撮影装置3Bと放射線発生装置間でタイミング信号等のやり取りのない簡素な制御で動態撮影を開始することができるため、撮影者が撮影したいタイミングで迅速に撮影を開始することが可能となる。
【0184】
<シーケンス状態遷移>
次に、上記第一~第四実施形態に係るシステム100A,100B,200A,200B(以下システム100A等)のシーケンス状態の遷移動作について、図15,16を参照しながら説明する。
【0185】
[前提、背景、課題]
上記第一~第四実施形態に係るシステム100A等は、接続されている各機器が正しい順序で動作しなければ、撮影を正しく行うことができない。
また、信号線へのノイズや信号線の切断等、撮影者が意図しないエラーが生じた場合であっても、撮影を安全に終了させ、意図しない放射線照射等が発生しないようにする必要がある。
【0186】
[動作]
初めに、システム100A等の動作について説明する。図15はシステム100A等の状態遷移図、図16は第一,第三実施形態に係るシステム100A,200Aの動作を表すタイミングチャート、図17は第二,第四実施形態に係るシステム100B,200Bの動作を表すタイミングチャートである。
【0187】
本実施形態に係るシステム100A等は、図15に示したように、はじめ、撮影者からの撮影開始指示を受けていない状態である待機状態St1となっている。
その後、コンソール4が、RISやHIS等の上位システム7から撮影オーダーを受信し、撮影者が撮影オーダーを選択すると、図16,17に示したように、コンソール4が撮影装置3A,3B及び付加装置6,6A,6B,6C(以下、付加装置6等)へ出力するシーケンス開始信号をONにする(t1)。
すると、撮影装置3A,3B及び付加装置6等は、撮影準備を開始する。これにより、システム100A等は、図15に示したように照射準備状態St2へ遷移する。
【0188】
照射準備状態St2では、システム100A,200Aの付加装置6等が、図16に示したように、タイミング信号を撮影装置3Aへ所定間隔で繰り返し送信し、撮影装置3Aは、このタイミング信号を受信する度に、読み出し動作を繰り返すことにより、撮影装置3Aに蓄積される電荷を除去するリセット動作を繰り返し行う。
一方、システム100B,200Bの撮影装置3Bが、図17に示したように、自動的に読み出し動作を繰り返すことにより、撮影装置3Bに蓄積される電荷を除去するリセット動作を繰り返し行う。
ここで行われる読み出し動作は、撮影画像を取得する際の動作と同じである。しかしながら、リセット動作により取得された画像は、放射線が照射されていない照射準備状態St2で生成されたものであるため、撮影装置3A,3Bのメモリーに保存したり、コンソール4へ送信したりしてもよいが、保存、送信をせずに削除してしまっても構わない。
【0189】
一方、このリセット動作により取得された画像の少なくとも一部は、撮影装置3A,3Bの個々の画素あるいは撮影装置3A,3Bの画像の特性を表すため、例えば撮影画像を補正するための補正用画像として撮影装置3A,3B内に保存、あるいはコンソール4へ送信することも可能である。
補正用画像は、リセット動作を繰り返すことで取得された複数のうちの少なくとも1枚を用いてもよいし、複数の画像における対応する画素の信号値の平均、あるいは時間方向の補完予想値を算出し、それを補正用画像としてもよい。
撮影画像を補正する方法としては、放射線を照射して得られた画像に対して、補正用画像の各画素の信号値をそれぞれ差し引くといったものが挙げられる。
【0190】
なお、タイミング信号を照射準備状態St2以外の状態のときにも撮影装置3Aへ送信可能に構成しておくとともに、照射準備状態St2へ遷移したらリセット動作指示信号をONにし、撮影装置3Aを、リセット動作指示信号がONの場合のみリセット動作を行う構成としてもよい。
【0191】
撮影者は、撮影装置制御コンソール42あるいは放射線制御コンソール41を用いて撮影条件等を設定し、被検体のポジショニングを行ってから撮影動作に入る。
具体的には、図16,17に示したように、照射指示スイッチ5を操作し、コンソール4へ送信する照射準備信号をONにする(t2)。すると、システム100A等は、図15に示したように照射起動状態St3へ遷移する。
【0192】
照射起動状態St3では、コンソール4は、放射線制御装置1、撮影装置3A,3B及び付加装置6等の状態を確認し、撮影可能な状態であると判断すると、図15に示したように、付加装置6等へ送信する撮影準備完了信号をONにする(t3)。
ここで、コンソール4が、放射線制御コンソール41に設定された撮影条件と、撮影装置制御コンソール42に設定された撮影条件と、が同じであるか否かを確認し、異なっていれば異なっていることを表示するような構成としてもよい。
また、放射線制御コンソール41に設定された撮影条件と、撮影装置制御コンソール42に設定された撮影条件と、が異なっている場合には、以降の撮影シーケンスに進めないように制御する構成としてもよい。
また、撮影準備完了信号がONになっている間は、撮影装置制御コンソール42及び放射線制御コンソール41に設定された撮影条件を変更することができないように制御する構成としてもよい。
【0193】
一方、放射線制御装置1は、照射準備完了信号がONになっていることを検知すると、放射線の照射準備に入る(t2)。これは、例えば放射線発生部2の回転陽極の回転を開始させる動作等である。
【0194】
また、付加装置6等は、照射準備信号がONになったことを検知すると、設定されたタイマーのカウントを開始する(t2)。
詳細は後述するが、これにより、撮影者が照射指示スイッチ5の2段目を押下(照射指示信号をONに)しても、このタイマーのカウントが所定の待機時間を経過しないうちは後述する照射待機状態St4に移行できなくなる。
【0195】
この後、撮影者は、照射指示スイッチ5の2段目を押下して照射指示信号をONにする(t4)。なお、図16,17には、撮影準備完了信号がONになった後に照射指示信号がONとなる場合を例示したが、撮影準備完了信号がONになる前に、照射指示信号がONになるようにしても構わない。
付加制御部61,61A,61B,61C(以下、付加制御部61等)が、照射指示信号がONとなっていること、撮影準備完了信号がONとなっていること、及びタイマーが所定の待機時間を経過していることを確認すると、システム100A等は、図15に示したように照射待機状態St4へ遷移する。
【0196】
照射待機状態St4では、付加制御部61等は、撮影装置3A,3Bが撮影可能な状態であるか否かを確認する。撮影装置3A,3Bは、自身が撮影可能な状態であるか否かを確認し、撮影可能な状態であると判断した場合には、図16,17に示したように、照射開始信号を付加制御部61等へ送信する(t5)。
撮影可能であるか否かの確認は、例えば所定のリセット動作が完了し、撮影装置3A,3Bの受光部の電荷が除去されているか否か、あるいは受光面上の全ての画素においてリセット動作を完了したか否か(リセット動作は受光面に行列状に広がるように配置された各画素を一行ずつ走査して行うため)を判断する。
付加制御部61等が、撮影装置3A,3Bからの照射開始信号がONになっていることを検知すると、システム100A等は、図15に示したように、照射許可状態St5へ遷移する。
【0197】
照射許可状態St5では、付加制御部61,61Aは、図16に示したように、内部のインターロックである撮影開始信号をONにし(t5)、放射線制御部11,11Aへ出力している照射許可信号又は照射指示信号をONにするとともに、タイミング信号を撮影装置3Aへ出力する。
一方、付加制御部61B,61Cは、図17に示したように、撮影開始信号をONにし(t5)、放射線制御部11,11Aへ出力している照射許可信号又は照射指示信号をONにする。
放射線発生装置(放射線制御部11,11A、高電圧発生部12、放射線発生部2)は、付加制御部61等からの照射許可信号又は照射指示信号がONになると放射線を発生させ、被検体を透過した放射線が撮影装置3A,3Bに入射することが可能となる。
【0198】
照射許可状態St5では、照射開始信号がONになった後、付加制御部61等が、タイミング信号を送信する度に、撮影済み枚数をカウントするように制御する構成とすることができる。この場合、カウントした撮影済み枚数が、設定した最大撮影枚数Nに達した場合に撮影開始信号をOFFとし(t6)、システム100A等は、図15に示したように照射終了状態St6へ遷移する。
なお、タイミング信号をカウントすることで撮影済み枚数をカウントする場合には、最後の放射線照射による撮影画像を読み出す必要があるため、読出指示信号をOFFにするタイミングを遅らせるとともに、読み出し動作のトリガーとなるタイミング信号をさらに1フレーム分送信する構成とすることもできる。このような構成とすることで、設定した最大撮影枚数N以上に撮影を継続し、被検体に必要のない放射線照射を行い、被検体を必要以上に被曝させてしまう危険性を排除することが可能となる。
【0199】
その後、撮影者が照射指示スイッチ5の2段目を開放すると、図16,17に示したように、照射指示信号がOFFになる(t7)。
その後、撮影者が照射指示スイッチ5の1段目を開放すると、照射準備信号がOFFになる(t8)。
そして、付加制御部61等が、自身に入力される全てのシグナルが解除されたことを確認すると、システム100A等は、図15に示したように照射準備状態St2へ遷移する。
ここで、「全てのシグナル」とは、照射準備信号、照射指示信号、付加制御部61等のインターロックである撮影開始信号、撮影装置3A,3Bの照射開始信号とすることができる。
【0200】
この後、撮影者が、更に他の撮影を行う、あるいは撮影画像を確認した結果、取得された撮影画像が所望の目的に対して十分なものではないために再撮影を行う必要があると判断した場合には、被検体の状態や撮影条件を変え、再度上述した流れで撮影を行う。
一方、撮影を行う必要が無いと判断した場合には、コンソール4がシーケンス開始信号をOFFにし(t9)、撮影シーケンスを終了する。すると、システム100A等は、図15に示したように待機状態St1へ遷移する。
なお、上記の場合(撮影者の判断)の他、一定時間に撮影者からの入力が無い場合に、待機状態St1へ遷移させる構成としても良い。
【0201】
[撮影を継続しない場合の動作]
なお、上述した状態遷移の流れは、撮影が最大撮影枚数Nに達するまで継続された場合であるが、種々の状況により最大撮影枚数Nに達するまで撮影を継続できない場合もある。
【0202】
例えば、撮影者が、最大撮影枚数Nまで撮影する前に撮影を中断したくなった場合には、照射指示スイッチ5の2段目を開放することにより照射指示信号をOFFにする。すると、システム100A等が照射許可状態St5から照射終了状態St6へ遷移する。これは、図15に示した、照射許可状態St5から照射終了状態St6へ遷移する複数のOR条件(照射指示スイッチ5からの照射指示信号がOFFになる、撮影装置3A,3Bからの照射開始信号がOFFになる、付加装置6等からの撮影開始信号がOFFになる)のうちの一つが成立したことによるものである。
【0203】
照射終了状態St6では、放射線照射は停止され、以降は最大撮影枚数Nまで撮影された場合と同様に、撮影装置3A,3B内の残画像をコンソール4へ送信する処理や、送信後に撮影装置3A,3B内に保存された画像を削除する処理等を行う。これは、予め指定した枚数まで撮影を行わなかった場合でも、撮影画像を利用できる場合があり、そのような場合でも通常の画像と同様に撮影者が撮影画像を確認することが出来るようにするためである。
一方で、予め指定した枚数まで撮影を行わなかったことを撮影画像と紐付けて管理する必要があり、予め指定した枚数まで撮影を行わなかった場合には、個々の画像、あるいは画像の集合体に対して、予め指定した枚数まで撮影を行わなかったことを付記し管理する構成とすることが出来る。
またコンソール4は、前記予め指定した枚数まで撮影を行わなかった場合、付加装置6等からのエラー信号送信等により、予め指定した枚数まで撮影を行わなかったことを表示する構成としても良い。
【0204】
[エラー発生時の動作]
また、撮影中に付加装置6等と撮影装置3A,3Bとの接続が切断される場合もある。その原因としては、例えば付加装置6等と撮影装置3A,3Bとが有線接続の場合には、ケーブルがコネクターから外れてしまうことが考えられるし、付加装置6等と撮影装置3A,3Bとが無線接続の場合には、無線の混線や、無線機の故障、無線機への電力の切断等が考えられる。
【0205】
そこで、システム100A等に、各シーケンス状態St3~St6におけるエラー(エラー1、エラー2、エラー3、エラー4)発生の有無を監視する機能を持たせ、エラーを検知した場合には、図15の破線で示したようにエラー状態St7へ遷移させるようにしてもよい。
また、エラー状態St7へ遷移した場合には、コンソール4の表示部43等に、どのような内容のエラーでエラー状態St7へ遷移したのかを表示する構成としてもよい。
【0206】
このようなエラーの検知は、例えば図15に示した撮影シーケンスとは別の、各状態における信号を監視するエラー監視シーケンスを並行して進め、エラー監視シーケンスにおいてエラーを検知した場合に、撮影シーケンスを、現在のシーケンス状態St3~St6からエラー状態St7へ遷移させる構成としてもよい。
あるいは、図15に示した各シーケンス状態St3~St6に動作可能時間をそれぞれ設定するとともに、各シーケンス状態St3~St6へ遷移するときにタイマーによる計時を開始することにより各シーケンス状態における動作時間を測定し、タイマーの時間がそのシーケンス状態における動作可能時間を経過した場合にエラー状態St7へ遷移するように制御してもよい。
更に、エラーが発生した場合には、エラーを検知した付加装置6等や撮影装置3A,3Bから、コンソール4へエラーを通知し、コンソール4においてエラーが発生したことを表示する構成としても良い。
【0207】
エラー状態St7へ遷移した後は、特定条件の成立(エラーの解除や全シグナルの解除等)を契機として照射準備状態St2あるいは待機状態St1へ遷移させる。
【0208】
[効果]
このようなエラー検知方式を用いることで、装置や動作の不具合を確実に検知してエラー状態へ遷移させ、必要に応じて撮影シーケンスの途中から待機状態St1あるいは照射準備状態St2に戻すことにより、装置や動作が不具合を有した状態で放射線照射がなされ、被検体を無駄に被曝させてしまう危険性を排除することが可能となる。
【実施例
【0209】
次に、上記システム100A等を実施する際の具体的な実施例について説明する。
なお、ここで説明する各種技術は、従来システム100,200等に適用可能な場合もある。
【0210】
(実施例1.付加制御部の一体化)
[付加制御部の放射線制御装置への一体化]
上記実施形態に係るシステム100A等を病院等の医療機関に設置する際、医療機関の状況によっては、放射線制御装置1とは別体として付加装置6等を設ける場所が確保できない場合がある。
一方、放射線制御装置1の中には、内部にオプションとして付加機能を付けるためのスペースを有するものも存在する。
【0211】
そこで、付加制御部61等を、放射線制御装置1から独立した付加装置6等として設けるのではなく、例えば図18に示したように、放射線制御装置1Bの内部に付加制御部61等を設ける構成としてもよい。
付加制御部61等は、例えば基板の形で提供することが可能である。
このようにすれば、放射線制御装置1とは別に付加装置6,6Aを設けることなく、従来の静止画を撮影する装置に付加制御部61等や必要に応じてI/F部を付加することで、システム100A等を、動態撮影を行うことが可能な状態とすることができる。
また、システム100A等を構成する各装置の周囲に配される配線を少なくすることができ、撮影の際に配線が邪魔になったり、配線からノイズを受けてシステム100A等が誤作動してしまうリスクを少なくしたりすることができる。
【0212】
(実施例2.回診車)
[回診車での構成]
多くの撮影者の間で、室内に固定して用いる放射線撮影システムだけではなく、医療機関内を移動させて用いることが可能な回診車でも動態撮影を行いたい、という要望がある。
そこで、従来の静止画を撮影する回診車に、上記実施形態の構成を用いるようにしてもよい。つまり、付加装置6,6Aを回診車の筐体内部に内蔵したり、回診車とともに移動可能となるように回診車に付加させたりすることで、回診車と一体的に動作するように構成することができる。
その際、上記実施例1で説明したように、付加制御部61等を放射線制御装置1の内部に設けるようにしてもよい。
このようにすれば、従来の静止画を撮影するための回診車を用いて動態撮影を行うことが可能となる。
【0213】
(実施例3.表示の統一)
[情報の入力/表示]
上記実施形態に係るシステム100A等においては、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42の双方にそれぞれ表示部43を有する構成とすることができる。その場合、各コンソール41,42の表示部43に、異なる撮影条件が表示されると、撮影者はどちらの撮影条件が放射線制御部11,11Aや撮影装置3A,3Bに設定されているのか判別できず、最悪の場合、撮影者が意図しない撮影条件で撮影が行われてしまい、被検体を無駄に被曝させてしまう可能性がある。
【0214】
そこで、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42の双方に設定されている撮影条件が同じになるよう制御し、その結果、両者の表示部43に表示される内容が同じになるようにするようにしてもよい。撮影条件を同じにする制御の具体例については、例えば下記実施例4において後述する。
一方、上記方法とは別に、両者のうちの少なくとも一方が、例えば特定の動作を検知したこと、あるいは特定の期間の経過したこと、のうちの少なくとも1つを契機として、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42の双方に設定されている撮影条件、あるいは両者の表示部43に表示されている設定内容が一致していることを確認する処理を実行するようにしてもよい。
なお、この処理を実行した結果、すなわち、両者の設定内容や表示内容が同じであったか否か、あるいは設定内容や表示内容が両者で異なっていたことの警告、のうちの少なくとも1つを通知するよう構成してもよい。
【0215】
このようにすれば、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42の双方に表示部43を有する場合であっても、両者に同じ撮影条件が設定される、あるいは両表示部43に同じ設定内容が表示されるため、撮影者は、システム100A等全体に設定された撮影条件を確認することが可能となり、撮影者が意図した撮影条件で撮影を行うことが可能となる。
【0216】
(実施例4.入力結果の一致)
[情報連携]
上記第一~第四実施形態のように、撮影条件等を放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42の双方から入力できるようにする場合、各コンソール41,42における入力結果(設定内容)を両者で一致させる必要がある。
そこで、例えば下記(1)~(3)のような情報連携方法により、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42のうちの一方のコンソールで条件変更した場合に、他方のコンソールも同じ設定に変更するような構成としてもよい。
【0217】
[情報連携方法(1)]
放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42のうちの一方のコンソールをマスター、他方のコンソールをスレーブに設定する。そして、情報の書き換えはマスターで行い、スレーブはマスターにおいて書き換えられた情報を複写するのみとする。
【0218】
[情報連携方法(2)]
放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42の情報連携方法を共に共通のものとする。
もしくは放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42に互いに同期した計時手段をそれぞれ持たせ、入力が行われたときに入力内容と共に計時手段の時刻情報も記憶する。そして、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42の双方で時刻の古い入力から順に撮影条件を設定する。
【0219】
[情報連携方法(3)]
入力があった場合に、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42の両方を書き換える。両方の書き換えが終わるまでは、次の入力を受け付けない、あるいは次の入力を記憶しておき、書き換えが終わったら次の入力の書き換えを行うようにする。
【0220】
このようにすれば、撮影条件等を放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42のどちらからも入力することが可能となり、放射線撮影システムの利便性が高まる。
また、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42のうちの一方のコンソールからなされた入力を、両コンソール41,42で確実に一致させることが可能となる。
【0221】
(実施例5.設定が同じになっていることを確認してから照射許可)
[情報の確認]
上記第一~第四実施形態のように、放射線制御コンソール41と、撮影装置制御コンソール42の双方から撮影条件等の条件の入力が可能で、両方のコンソール41,42で撮影条件等の表示が可能な場合、両方のコンソール41,42の条件が一致していない場合に、どちらかのコンソール4に設定された撮影条件で撮影を行ってしまうと、撮影者が意図しない撮影条件で撮影が行われてしまう可能性がある。
【0222】
そこで、撮影シーケンスのあるタイミングで、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42が認識している、設定されている、あるいは表示している撮影条件が両者で一致しているか否かを判定し、一致していると判定した場合に撮影シーケンスを継続するように構成してもよい。
また、撮影シーケンスを継続する場合には、一致していて問題ない旨を表示するようにしてもよい。
一方で、撮影条件が両者で一致していないと判定した場合に撮影シーケンスの継続や放射線の照射を許可しないように制御する、一致していない旨を表示する、のうちの少なくとも1つを行うようにしてもよい。
なお、上記説明における「撮影シーケンスのあるタイミング」のうちの少なくとも1つは、例えば図16,17に示したような、照射準備信号が入力された後の撮影条件の設定時又は確認動作時としてもよい。
【0223】
このようにすれば、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42の双方で撮影条件を確実に一致させることが可能となる。
また、一致していない状態で、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42のいずれか一方に設定された撮影条件で撮影を行ってしまう危険性を確実に排除することが可能となる。
【0224】
(実施例6.撮影開始後は撮影条件を変更できないようにする)
[情報入力/変更の禁止期間]
上記技術を用いることにより、撮影者が放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42のうちの一方から撮影条件が入力され、他方の撮影条件もそろえられた状態で撮影が開始されたとしても、それ以降の撮影中に、放射線制御コンソール41又は撮影装置制御コンソール42から撮影者が意図しない撮影条件の変更が行われると、その後、撮影者が意図しない撮影が行われてしまう可能性がある。
【0225】
そこで、撮影シーケンスのあるタイミング以降は、放射線制御コンソール41及び撮影装置制御コンソール42からの撮影条件の変更ができない構成としてもよい。
具体的には、例えば表示画面を入力画面以外のものへ遷移させる、あるいは入力画面をグレーダウンさせる等して、撮影条件の入力ができないようにする。
なお、上記説明における「撮影シーケンスのあるタイミング」のうちの少なくとも1つは、例えば図16,17に示したように、照射準備信号が入力された後の撮影条件の設定時又は確認動作時としてもよい。
このようにすれば、撮影中に撮影条件が変更され、撮影者が意図しない撮影条件で撮影が行われてしまうのを確実に防ぐことができる。
【0226】
(実施例7)
撮影を行うに際しては、どの撮影モードで撮影を行うのか、撮影装置3A,3B及び放射線発生装置(放射線制御部11,11A、高電圧発生部12)に対し、予め設定しておく必要がある。
このような課題に鑑み、コンソール4(例えば図19に示す表示部43上)にて、使用する撮影装置3A,3Bを選択した後、そのままコンソール4にて、(1)静止画撮影モード、(2)連続撮影(パルス照射)モード、(3)連続撮影(連続照射)モードのうちのいずれの撮影モードで撮影を行うのかを選択できるようにしてもよい。
撮影モード選択・設定は、撮影装置3A,3Bの選択後から撮影シーケンスの撮影までの間のいずれかのタイミングで行う。
【0227】
その際、コンソール4を、撮影装置3A,3Bや、放射線制御部11,11Aの種類に応じて、上記選択肢の中で対応していない場合には選択できないように構成してもよい。
あるいは上記選択肢の中で、対応していないものを選択した場合はエラー表示する、あるいは選択できても撮影できないように制御するようにしてもよい。
このようにすれば、撮影者が意図した撮影モードを選択することが可能となる。
また、撮影装置3A,3Bや放射線発生装置が対応していない撮影モードを選択し撮影が行われてしまうことを防止することができる。
【0228】
(実施例8)
撮影を行うに際しては、放射線発生装置と撮影装置3A,3Bとが連携した連携状態で撮影を行うのか、これらが連携していない非連携状態で行うのか、予め設定しておく必要がある。
このような課題に鑑み、コンソール4にて、使用する撮影装置3A,3B及び撮影モードを選択した後、撮影を撮影装置3A,3B及び放射線発生装置を、(1)連携状態とする、(2)非連携状態とする、(3)撮影開始までは連携状態とし撮影開始後は非連携状態とする、のいずれかを選択できるようにしてもよい。
選択後、撮影開始までのいずこかのタイミングで撮影装置3A,3B及び放射線発生装置に、上記設定をそれぞれ設定することとなる。
【0229】
連携状態が選択・設定された場合には、撮影装置3Aと放射線制御装置との間で、撮影枚数、撮影フレームレートの情報を共有した撮影が行われる。
一方、非連携状態が選択・設定された場合には、撮影装置3B側で自らタイミングを生成し撮影を行うこととなる。
このようにすれば、コンソール4から撮影装置3A,3Bへ、フレームレート、撮影枚数を送信し、撮影者が意図した状態(連携状態又は非連携状態)で撮影を行うことが可能となる。
また、撮影装置3A,3Bや放射線発生装置が対応していない状態を選択し撮影を行ってしまうことを防止することができる。"
【0230】
(実施例9.各配線を分けて出力)
[配線方法]
付加制御部61等を接続するための既存の放射線撮影システムを改造においては、静止画を撮影するために改造を行う場合と、静止画撮影と動態撮影の両方を行えるように改造する場合がある。
静止画のみを撮影するための改造を行う場合には、タイミング信号用の配線は不要となるため問題にならないが、例えば撮影に既存の撮影台(立位、臥位等)を用いる際、解像対象の装置内に配置できる配線の太さが、装置内における曲率等の関係上、静止画を撮影するための情報を送受信するために必要な最低限の太さ(例えば汎用に用いられているLANケーブル等の太さ)に制限されている場合がある。そのような装置を改造しようとすると、装置内を経由して送受信される信号の種類が増え、配線が太くなってしまうため、装置内に配置することができないという問題があった。
【0231】
そこで、例えば図20に示したように、付加制御部61等から撮影装置3A,3Bへの信号線を、情報用配線と、給電用配線と、タイミング信号用配線と、に分けて出力するよう構成してもよい。
具体的には、静止画のみを撮影するための改造を行う場合には、配線を2本(情報用配線と給電用配線)に分けて配置する。
一方、静止画撮影と動態撮影の両方を行うための改造を行う場合には、配線を3本(情報用配線、給電用配線及びタイミング信号用配線)に分けて配置する。
【0232】
なお、静止画撮影と動態撮影の両方を行うための改造を行う場合には、情報信号+給電用配線とタイミング信号用配線の2本に分ける場合と、情報用配線と給電+タイミング信号用配線の2本に分けるようにしてもよい。
このようにすれば、静止画撮影を行うための改造においては、タイミング信号の配線を行う必要がないため、配線の太さを気にする必要がなくなる。
また、静止画撮影と動態撮影の両方を行うための改造においては、静止画撮影に必要な情報の送受信や給電に加えタイミング信号を送受信できるようにする必要があるが、これらを2本以上の配線に分け、配線を太くしないようにすることにより、比較的容易に改造を行うことができる。
【0233】
(実施例10.各配線を接続させる手前で合流)
[配線の合流]
撮影装置3A,3Bは、無線で信号を送受信することにより配線無しで使用される場合もあるため、情報/給電/タイミング信号を伝達するための配線を、コネクター等により着脱することが可能に構成されている。
しかし、コネクターに複数の配線が接続される場合、配線の取り扱いが煩雑となり、その結果、例えば他の配線との接触によって必要な配線がコネクターから外れて信号の伝達が阻害され、意図した撮影ができなくなってしまう問題があった。
【0234】
そこで、接続される配線が、情報用配線と、給電用配線と、タイミング信号用配線が個々、あるいはいずれかの組合せに分かれている場合、例えば図20に示したように、これらの配線のうちの少なくとも2本以上を、合流器8を用いて合流させ、配線の本数を送受信する信号の種類よりも少なくして撮影装置3A,3Bと接続を行うようにしてもよい。
このようにすれば、配線が少なくなり、配線の取り扱いが簡素になるため、配線が外れてしまう等、意図した撮影ができなくなってしまうリスクを軽減することが可能となる。
【0235】
また、付加装置6等から撮影装置3A,3Bまでの配線を、静止画撮影で必要になる配線と、静止画撮影に加えて動態撮影を行う場合に必要になる配線と、に分けて配線することも可能である。
この静止画撮影に加えて動態撮影を行う場合に必要になる配線としては、例えば前述のタイミング信号を送信する配線が挙げられる。
このようにすることで、改造前の静止画撮影で必要になる配線は、そのまま改造前の配線を用いることが可能となる。そして、動態撮影を行う場合には、改造前からある静止画撮影に加えて、動態撮影を行う場合に必要になる配線を追加するだけで、旧来の静止画のみを撮影する装置を、動態撮影が可能な装置に容易に変えることが可能となる。
【0236】
(実施例11.付加装置を介して放射線画像撮影装置から情報を入手)
[付加装置を介した撮影装置の接続]
上記実施形態における撮影装置制御コンソール42は、通信ネットワークNと接続されているため、この通信ネットワークを介すことにより、図示しない他の撮影装置3Aと有線又は無線で接続することが可能である。
一方、上記第一,第三実施形態で説明したような動態撮影を行うためには、撮影装置3Aが付加制御部61,61Aと接続されている必要がある。
そこで、撮影装置制御コンソール42に、付加制御部61,61Aを介して撮影装置3Aと動態撮影を行うための情報通信を行わせるようにしてもよい。
その際、撮影装置制御コンソール42に、撮影装置3Aの種類等の情報を、接続された撮影装置3Aから付加制御部61,61Aを介して取得させるようにする。
このようにすれば、付加制御部61,61Aにおいて、撮影に使用する撮影装置3Aが、動態撮影を行うことの可能なものであるか否かを確実に確認することが可能となる。
【0237】
(実施例12.動態撮影が可能か否かを表示する)
[動態撮影可能な撮影装置の表示]
上記実施形態における撮影装置制御コンソール42は、通信ネットワークNと接続されているため、この通信ネットワークを介すことにより、図示しない他の撮影装置3A,3Bと有線又は無線で接続することが可能である。
そこで、例えば図19に示したように、撮影者は接続された撮影装置3A,3Bが、静止画のみ撮影可能なものであるか、静止画に加えて動態画像の撮影も可能なものであるかを、撮影装置制御コンソール42の表示部43に表示するようにしてもよい。
撮影装置制御コンソール42に動態撮影可能な撮影装置であるか否かを表示することで、撮影者は動態撮影が可能である撮影装置3A,3Bを容易かつ確実に選択することが可能となる。
また、撮影者が誤って動態撮影が不可である撮影装置を選択し、そのまま動態撮影を行ってしまうことを防止することが可能となる。
【0238】
(実施例13.解像度、フレームレートの選択範囲を変更)
[動態撮影の条件選択]
撮影者は、撮影に使用する撮影装置3A,3Bに対して、適切な解像度やフレームレートを設定する必要がある。
そこで、例えば図19に示したように、使用可能な撮影装置3A,3Bとともに、その撮影装置3A,3Bの解像度やフレームレートを表示するようにしてもよい。
また、表示されている解像度やフレームレートを選択できる構成としてもよい。
【0239】
なお、静止画撮影にしか対応していない撮影装置3A,3Bが接続されている場合には、使用可能な撮影装置3A,3Bとして表示しつつ、例えば図21に示したように、使用不能な撮影装置3A,3Bの条件設定領域R1,R2をグレーダウンさせる等して動態撮影用として選択できないようにしたり、選択しても設定できないようにしたり、撮影を許可しないようにしたりすることもできる。
また、解像度やフレームレート以外にも、ビニング処理の可否や、画像送信方法、露光時間等を表示する構成としてもよい。また、それらから選択できる構成としてもよい。
【0240】
(実施例14.静止画撮影と動態撮影の切り替え)
[静止画撮影と動態撮影の切り替え]
撮影者は、状況に応じて、静止画撮影と動態撮影のうちのいずれかの撮影を適時選択し撮影を行う。そのため、放射線撮影システムは静止画撮影と動態撮影を切替える可能な構成とする必要がある。
例えば、制御方法を静止画撮影、動態撮影で切り替える方法を用いることができる。具体的には、静止画撮影が選択されれば、静止画撮影を行うように付加制御部61等の制御を切替え、動態撮影が選択されれば、動態撮影を行うように付加制御部61等の制御を切替えるようにする。
【0241】
また、図21に示すように、現在、静止画撮影が選択されているか、動態撮影が選択されているかを表示可能な構成としても良い。また、これらを切替えられるようにしても良い。
例えば、静止画撮影が選択されている場合には、図21に示すように、表示部43における動態撮影の条件設定領域R1をグレーダウンすることで静止画撮影が選択されていることを表示することができる。
また、図示は省略するが、選択された撮影装置3A,3Bが動態撮影に対応した撮影装置3A,3Bである場合、グレーダウンされた動態撮影の条件設定領域R1が選択されると、撮影方法を動態撮影に切り替えるとともに、当該条件設定領域R1のグレーダウンを無くして、代わりに静止画撮影の条件設定領域R2をグレーダウンすることで、動態撮影が選択されていることを表示することが可能である。
条件設定領域R1,R2の選択は、例えばマウスを用いて画面上に表示された指示部を行いたい撮影の条件設定領域R1,R2に移動させ、そこでマウスをクリックすることで選択することが可能である。あるいは、表示部43がタッチパネルスクリーンである場合、行いたい撮影の条件設定領域R1,R2をタッチすることで選択することが可能である。
【0242】
また、その際に、静止画撮影、動態撮影それぞれ個別に撮影条件を保持しておき、静止画撮影または動態撮影が選択された場合には、選択された撮影の撮影条件を自動的に設定するようにしても良い。また、それら静止画撮影、動態撮影それぞれ個別の撮影条件は、撮影手技に応じて個別にプリセットされた値でも良いし、撮影者が変更、入力した値でも良い。
この場合、例えば、撮影者が静止画撮影の撮影条件を設定した後、動態撮影を選択した場合には、動態撮影の撮影条件を表示、設定することとなる。その後、再び静止画撮影が選択された場合には、動態撮影を選択する前の静止画撮影の撮影条件を設定、表示するように構成することが出来る。
その他、動態撮影の設定において最大撮影枚数Nを1枚とすることにより、静止画撮影の制御とすることもできる。
このようにすれば、放射線撮影システムが一つであっても、撮影者の選択に応じて、静止画撮影も動態撮影も行うことが可能となる。
【0243】
(実施例15.照射指示スイッチの1段目押下でリセット)
[リセット動作の開始タイミング]
リセット動作は電力を消費するため、撮影シーケンスの開始からリセット動作を繰り返すと、消費電力が多くなってしまう。特に、撮影装置3A,3Bを内蔵バッテリーで駆動させる場合には、バッテリー切れの問題が生じる。
そこで、リセット動作(読み出し動作)の開始タイミングを、例えば図22に示したように、照射準備信号がONになった後としてもよい。
なお、図示は省略するが、タイミング信号を、照射準備信号の送信前から出力しておき、タイミング信号とは別の読み出し指示信号を撮影装置3A,3Bに送信するようにし、撮影装置3A,3Bが読み出し指示信号を受信するとタイミング信号に応じて読み出しを行うようにしてもよい。
このようにすれば、撮影装置3A,3Bの電力消費を抑えることが可能となる。
【0244】
(実施例16.リセット停止から動態撮影周期を開始)
[撮影開始のタイミング]
撮影装置3A,3Bのリセット動作は、内蔵された基板表面に行列状に広がるように配置された受光部の各画素を一行ずつ走査することで行われるため、リセット動作の途中で撮影を開始してしまうと、受光部の一部はリセット動作が完了しているが残りの部分はリセット動作が完了していない状態で放射線を受けることとなり、放射線画像の濃度分布がリセット動作の完了部分とそうでない部分とで異なってしまう場合があった。
【0245】
そこで、撮影装置3A,3Bの受光部全てに対して均一にリセット動作がなされた状態から撮影を開始するようにするのが好ましい。
具体的には、撮影装置3A,3Bに、リセット動作を開始してから、受光部全ての画素の走査が完了したタイミングで照射開始信号を付加装置6,6Aへ送信する機能を持たせる。
すると、付加装置6,6Aは、リセット動作が均一に行われたタイミングで照射開始信号を受信して、インターロックとなる撮影開始信号をONにし、照射許可信号を放射線制御部11,11Aへ繰り返し送信することとなる。
このようにすれば、受光部のリセット動作が不均一な状態で撮影され、放射線画像の濃度分布がリセット動作の完了部分とそうでない部分とで異なってしまうのを確実に防止することができる。
【0246】
(実施例17.タイミング信号の違いから照射状態か否かを判別)
[非照射時/照射時の信号]
撮影装置3A,3Bは、タイミング信号だけでは、読み出し動作をリセット動作として(放射線の非照射中に)行っているのか、撮影として(放射線の照射中に)行っているのか判別することができない。このため、読み出した画像を撮影画像として保存するか否かを判別することができない。
【0247】
そこで、リセット動作のためのタイミング信号と、撮影のためのタイミング信号を異ならせるようにしてもよい。
具体的には、例えば図23に示したように、リセット動作のためのタイミング信号と撮影のためのタイミング信号とで信号のパルス幅を変える等の方法がある。もし、信号のパルス幅を変えても、読み出し動作の開始、パルス信号の立ち上がりに応じて行えば、リセット動作や撮影のタイミングが狂うことはない。
【0248】
このようにすれば、撮影装置3A,3Bは、読み出し動作をリセット動作として行っているのか撮影として行っているのかを、タイミング信号から判別することが可能となる。このため、放射線照射中にタイミング信号を受信したにもかかわらず、これから行う読み出し動作がリセット動作であると誤って判断し、読み出した撮影画像を破棄してしまう危険性を確実に排除することが可能となる。
【0249】
(実施例18.照射準備信号受信後に待機時間を入れる)
[待機時間]
撮影者によっては、照射指示スイッチ5の一段目押下(照射準備信号出力)から2段目押下(照射指示信号出力)までの間隔が短い場合がある。また、装置構成によっては、照射指示スイッチ5から出力される信号が照射準備信号と照射指示信号とに分かれておらず、照射準備信号と照射指示信号が同一の信号として入力される場合がある。すると、回転陽極の回転や、撮影装置3A,3Bのリセット動作による撮影装置3A,3Bのウォームアップ、画像均一化等といった撮影準備が不十分な状態で動態撮影が開始されてしまう可能性がある。
このことは、1枚の静止画撮影であれば問題無い場合もある。しかしながら、動態撮影の場合には、得られた動態画像を撮影時刻が前後する複数の画像における信号値差等を用いて解析を行う場合等があり、動態撮影の最中に撮影装置3A,3Bの状態が変化することに伴いフレームが変化することが問題となる場合がある。
【0250】
そこで、付加装置6等にタイマーを設け、照射準備信号を受信したときにタイマーによる計時を開始し、タイマーの計時開始から所定の待機時間を経過していないうちは、照射指示信号が入力されても照射許可信号を出力しないようにしてもよい。
このようにすれば、待機時間のうちに撮影装置3A,3Bのリセット動作等を十分に行うことができる。ウォームアップが十分に行われた後の撮影装置3A,3Bの温度変化の程度は小さくなるため、動態撮影の最中の撮影装置3A,3Bの状態変化によるフレームの変化を防ぐことができる。
【0251】
(実施例19.付加装置の待機時間を放射線制御部の待機時間より長くする)
[待機時間の設定]
放射線制御部11,11Aの中には、照射準備信号の受信時刻と照射指示信号の受信時刻との間隔が短い場合に、所定の待機時間を経過していないうちは照射信号を送信しない機能を有している場合がある。
このような放射線制御部11,11Aと、上記実施例18で説明したような機能を有する付加装置6等と、でシステム100A等を構成する場合には、付加装置6等に設定する待機時間を、放射線制御部11,11Aに設定する待機時間より長くするようにしてもよい。
このようにすれば、撮影装置3A,3Bに必要な待機時間と放射線照射に必要な待機時間を加味した待機時間を設定することが可能となる。
【0252】
なお、放射線制御部11,11Aに設定する待機時間をゼロとし、必要な待機時間を付加装置6等で遅延させることもできる。
放射線制御部11,11Aに設定する場合、放射線の遅延のみを考慮した設定のみとなる。しかし、このようにすれば、付加制御部61等に設定することで、撮影装置3A,3Bに必要な待機時間と放射線照射に必要な待機時間を加味した待機時間を設定することが可能となる。
【0253】
(実施例20.待機時間は1枚目の撮影にしか入れない)
[待機時間のタイミング]
動態撮影において、待機時間は装置の立ち上がり時に必要な時間であり、待機時間が必要となるのは1枚目の撮影のみで、2枚目以降の撮影には待機時間は入れる必要が無い。
そこで、待機時間を1枚目の撮影にのみ入れ、2枚目以降の撮影には入れないようにしてもよい。
このようにすれば、待機時間が必要な1枚目の撮影のみ、撮影装置3A,3Bと放射線照射とに待機時間を入れることが可能となる。
【0254】
(実施例21)
また、複数行設けられている放射線検出素子32dのうち先頭(一番上)の行における初めに読み出しを行う放射線検出素子32dが放射線照射を検知したことを契機として電荷の蓄積を開始するようにしてもよい。
撮影装置3Bは、各放射線検出素子32dから行ごとに放射線画像を読み出し、画像化しているため、ある行の最初あるいはその付近の放射線検出素子32dが放射線照射を検知したタイミングから画像の生成を開始するように制御することで、先頭の行から読み出された画像を生成することが可能となる。
【0255】
(実施例22)
また、先頭の行以外の行における放射線検出素子32dが放射線照射を検知したことを契機として画像の生成を開始するようにしてもよい。
このようにすれば、放射線検知から画像生成開始までに時間が必要となる場合であっても、次に先頭の行の読み出しを行うまでに放射線が照射されるため、先頭の行から読み出された画像を生成することが可能となる。
【0256】
(実施例23)
また、複数の放射線検出素子32dからそれぞれ得られた検知データを用いて放射線の照射開始を判断するようにしてもよい。例えば、ノイズ耐性を高めるため複数の検知データの平均値等に基づいて放射線検知を判断するようにしてもよい。
このようにすれば、より正確に放射線の照射を検知することができる。
【0257】
(実施例24)
また、放射線の検知を、撮影装置3Bの放射線検出素子32d、あるいは放射線検出素子32dとは別途設けられる放射線センサーにより行うようにしてもよい。
このようにすれば、新たな部品を使用する必要が無いため、装置構成を簡素にすることができる。
また、放射線センサーを用いれば、放射線検出素子32dでは検出することが困難な、線量の小さいパルス状の放射線を確実に検出することができる。
【0258】
(実施例25)
また、電荷の蓄積及び画像の読み出しを繰り返している間、放射線検出素子32d又は放射線センサーによる放射線の検知を継続し、放射線が検知できなくなったら電荷の蓄積及び画像の読み出しを終了するようにしてもよい。
ここで、放射線が検知できなくなるとは、放射線の測定値が所定閾値以下となった場合を指す。
このようにすれば、放射線が照射されていないのに無駄に撮影を継続してしまうことを防ぐことができる。
【0259】
(実施例26)
上記第二,第四実施形態のような放射線検知を契機として撮影を開始する撮影装置3Bは、自らに作用する荷重状態の変化によって放射線検知と同様の信号を発生させてしまう場合がある。このため、誤ったタイミングで放射線を検知したと誤判定して撮影を開始してしまうという問題があった。
一方で、付加装置6Cと撮影装置3Bとが行う無線通信は、ベストエフォート方式のパケット送信技術を用いたものであるため、信号が到達する時間に変動があり、撮影タイミングの制御に用いることは困難であった。
【0260】
このような課題に鑑み、付加装置6A,6Cを、撮影装置3Bへ蓄積開始信号を出力可能に構成するとともに、撮影装置3Bを、付加装置6A,6Cから入力される蓄積開始信号がONになったことを契機として電荷の蓄積や画像の読み出しを開始するよう構成してもよい。
このようにした場合、システム100Bは、例えば図24,25に示すように、ステップS25(照射開始信号ON)の後、付加装置6A,6Cが撮影装置3Bへ出力する蓄積開始信号をONにし(ステップS26B)、撮影装置3BがステップS28(電荷の蓄積)及びステップS29(画像読み出し)を開始するように動作する。
また、撮影装置3BがステップS28及びステップS29をN回繰り返した後、付加装置6A,6Cが蓄積開始信号をOFFにすると(ステップS26A)、ステップS28及びステップS29を終了するように動作する。
【0261】
なお、無線通信の信号遅延も加味し、放射線照射よりも少し前のタイミングで無線通信により撮影開始信号を送信する方法を用いることもできる。
なお、無線通信の信号遅延が発生しないよう、遅延が無い、あるいは遅延を補償する信号通信方式を用いて、撮影開始タイミングを送信する構成としても良い。
このようにすれば、誤ったタイミングで放射線を検知したと誤判定して撮影を開始してしまうことを防ぐことができる。
【0262】
(実施例27)
蓄積開始信号が撮影装置3Bに届いていない等で撮影装置3Bが撮影を開始できなかった場合、放射線発生装置は撮影装置3B側が撮影できているか分からないため、放射線照射を継続してしまい、被検体を無駄に被曝させてしまう問題があった。
このような課題に鑑み、撮影装置3Bに、蓄積開始信号がONになり電荷の蓄積及び画像の生成を開始した場合に、撮影を開始したことを放射線発生装置や付加装置6A,6Cへ返信する機能を持たせるようにしてもよい。そして、放射線発生装置又は付加装置6A,6Cに、照射開始信号をONにしてから所定期間内に返信が無い場合に撮影が失敗したと判断し、放射線照射を停止する制御を行う機能を持たせるようにしてもよい。
【0263】
なお、上記実施形態のように蓄積開始信号を用いることなく電荷の蓄積及び画像の生成を自動的に開始する場合でも同様に、放射線を検知後、撮影を開始したことを放射線発生装置や付加装置6A,6Cへ返信する構成とすることも出来る。
このようにすれば、撮影装置3B側が確実に撮影が出来ていることを放射線発生装置側が確認し、撮影を継続することが可能となる。その結果、撮影装置3B側が撮影できない状態で放射線の照射を無駄に継続してしまい、被検体に無駄な被ばくをさせることを確実に防止することが可能となる。
【0264】
(実施例28)
撮影装置3B側と放射線発生装置側とで、互いに独立した異なる計時手段を用いて撮影時の動作のタイミングをとるように構成されている場合、各計時手段によるカウントの差が大きくなってくると、放射線発生装置による放射線照射のタイミングと撮影装置3Bによる画像生成のタイミングとがずれ、意図した画像を得ることができないという問題があった。
このような課題に鑑み、撮影の直前のみ撮影装置3Bと放射線発生装置とを有線接続して各計時手段を同期させたり、TSF機能を用いて定期的にタイミングを同期させたりするようにしてもよい。
このようにすれば、撮影装置3Bが放射線発生装置側から独立した計時手段に基づくタイミングで画像生成を行うように構成された場合であっても、撮影装置3Bを放射線発生装置側の放射線照射タイミングに合わせて動作させることが可能となり、より正確な撮影が可能となる。
【0265】
(実施例29.設定された最大撮影枚数で撮影を終了)
[撮影指定枚数での撮影停止]
撮影者より放射線の照射指示(照射指示スイッチ5の2段目押下)が継続されていたとしても、予め設定された最大撮影枚数N以上の撮影を超えて撮影を行ってしまうと、被検体を無駄に被曝させてしまうという問題があった。
そこで、付加制御部61等、撮影装置3A,3B、放射線制御部11,11Aのうちの少なくとも1つに、撮影済み枚数をカウントする機能を持たせるようにしてもよい。
更に、付加制御部61等、撮影装置3A,3B、放射線制御部11,11Aのうちの少なくとも1つ(カウント機能を持たせたものと同じでも異なっていてもよい)に、カウントした撮影済み枚数を予め設定された最大撮影枚数Nと比較し、最大撮影枚数Nに達した場合に、最大撮影枚数Nに到達したことを、少なくとも付加制御部61等、撮影装置3A,3B、放射線制御部11,11Aのうちの少なくとも1つへ送信する(自制御部から自制御部へ送信することも含む)機能を持たせる。
そして、付加制御部61等に、最大撮影枚数Nに到達した旨を受信した場合に、撮影許可をOFFとし、照射許可信号の出力を停止する機能を持たせる。
【0266】
なお、読み出し指示、あるいは読み出しのためのタイミング信号は、最大撮影枚数Nに到達した後も、少なくとも1枚撮影する分だけ更へ出力するようにするのが好ましい。これは、放射線照射をカウントしている場合、最後に放射線照射を行った画像を読み出し保存する必要があるためである。なお、読み出し完了をカウントしている場合は、この機能は不要である。
このようにすれば、必要な枚数の撮影が完了したら、確実に撮影が終了するため、被検体を無駄に被曝させてしまうのを防ぐことができる。
【0267】
(実施例30)
また、放射線発生装置側で、撮影枚数をカウントする、あるいは撮影枚数やフレームレートに基づいて算出される撮影時間をカウントし、撮影枚数や撮影時間が所定値に到達したことにより撮影終了と判断し、放射線照射を終了するようにしてもよい。
一方、撮影装置3B側で、撮影枚数をカウントする、あるいは撮影枚数やフレームレートに基づいて算出される撮影時間をカウントし、撮影枚数や撮影時間が所定値に到達したことにより撮影終了と判断し、撮影装置3Bから撮影終了信号を放射線発生装置へ送信し、放射線照射を終了するようにしてもよい。
その際、撮影枚数を、放射線照射期間より長い期間撮影を行うように設定するようにしてもよい。
このようにすれば、撮影装置3Bとは独立して放射線照射終了を判断し、終了することが出来、撮影装置3Bとの密な連携無しに動態撮影を終了させることが可能となる。
【0268】
(実施例31)
また、撮影装置3B側で、撮影枚数をカウントする、あるいは撮影枚数やフレームレートに基づいて算出される撮影時間をカウントし、撮影枚数や撮影時間が所定値に到達したことにより撮影終了と判断し、画像生成を終了するようにしてもよい。
一方、放射線発生装置側、撮影枚数をカウントする、あるいは撮影枚数やフレームレートに基づいて算出される撮影時間をカウントし、撮影枚数や撮影時間が所定値に到達したことにより撮影終了と判断し、放射線発生装置側から撮影終了信号を撮影装置3Bへ送信し、画像生成を終了するようにしてもよい。
その際、撮影枚数を、放射線照射期間より長い期間撮影を行うように設定するようにしてもよい。
このようにすることによっても、撮影装置3Bとは独立して放射線照射終了を判断し、終了することが出来、撮影装置3Bとの密な連携無しに動態撮影を終了させることが可能となる。
【0269】
(実施例32.照射指示、撮影済み枚数、異常有無を確認して撮影を継続)
[撮影の終了]
放射線の照射指示が中断された場合や、予め設定された最大撮影枚数Nの撮影を終えた場合、放射線撮影システムを構成する装置あるいはこれらの制御状態に不具合がある場合等に、撮影を継続してしまうと、撮影者が意図していない状態で撮影が継続されることとなり、被検体を無駄に被曝させてしまうという問題があった。
そこで、放射線の照射指示(照射指示スイッチ5の2段目押下)が継続しているか否か、撮影済み枚数が予め設定された最大撮影枚数N以下であるか否か、機器や制御状態に不具合があるか否か、のうちの少なくとも1つを監視し、問題があると判定した場合には、撮影を中断する、問題があることを送信する、問題があることを表示する、のうちの少なくとも1つを実施するようにしてもよい。
【0270】
なお、こうした監視動作は、例えば図15に示したようなシーケンス状態を遷移させる制御を用いて実施するようにしてもよい。
また、この制御とは別の監視シーケンスを同時に動作させ、監視するようにしてもよい。この場合、2重のチェックが可能となるため、問題の発生をより確実に検出することができる。
このようにすれば、撮影者が意図しない状態で撮影が行われ、被検体を無駄に被曝させてしまうのを防ぐことができる。
【0271】
なお、上記の監視動作を、最初に照射許可信号を送信する前、あるいは繰り返し行われる各照射許可信号を送信する前に行うようにしてもよい。
このようにすれば、放射線の照射を許可する照射許可信号を送信する直前の状態に対して以上の有無を判断することが可能となるため、撮影者が意図しない状態で放射線が照射される(撮影が行われる)のを防止することができる。
【0272】
(実施例33)
放射線発生装置と撮影装置3B側が連携していない非連携モードで撮影を行う場合、放射線発生装置側に問題が生じ、放射線の照射を継続できない、あるいはタイミングがずれてしまう場合に、撮影装置3Bは放射線発生装置側の問題を把握することが出来ないため、そのまま撮影を継続してしまう問題があった。
このような課題に鑑み、放射線発生装置側に異常があり放射線照射を停止した場合には、非連携モードであっても、放射線発生装置から撮影装置3Bへ放射線照射を停止したことを通知し、撮影装置3Bによる画像生成を停止させるようにしてもよい。
このようにすれば、放射線発生装置と撮影装置3Bとが連携していない非連携モードでの撮影であっても、放射線発生装置に問題が生じた場合に、撮影装置3Bによる画像生成を適切に停止することが可能となり、無駄な撮影が行われてしまうことを防止することが可能となる。
【0273】
(実施例34)
放射線発生装置と撮影装置3B側が連携していない非連携モードで撮影を行う場合、撮影装置3B側に問題が生じ、画像生成を継続できない、あるいは画像生成のタイミングがずれてしまう場合に、放射線発生装置は撮影装置3B側の問題を把握することが出来ないため、画像生成が継続できない状態にもかかわらず放射線照射を継続し、被検体を無駄に被曝させてしまう問題があった。
このような課題に鑑み、撮影装置3B側に異常があり画像生成を停止した場合には、非連携モードであっても、撮影装置3Bから放射線発生装置に画像生成を停止したことを通知し、放射線発生装置による放射線照射を停止させるようにしてもよい。
このようにすれば、放射線発生装置側と撮影装置3B側が連携していない非連携モードでの撮影であっても、撮影装置3B側に問題が生じた場合に、放射線発生装置による放射線照射を適切に停止することが可能となり、無駄な撮影が行われるとともに、被検体を無駄に被ばくさせてしまうことを防止することが可能となる。
【0274】
(実施例35)
動画撮影では、多数の画像を送信する必要があり、ネットワークに負荷がかかる。特に、上記第二,第四実施形態のような、放射線発生装置と撮影装置3Bとを連携させずに撮影する非連携モードでの撮影においては、放射線発生装置と撮影装置3A,3Bとを無線で接続して通信を行う場合があり、そのような場合にはネットワークに更なる負荷をかけることになる。
このような課題に鑑み、撮影中は画像を送信せず、撮影終了後に画像を送信するようにしてもよい。
このようにすれば、ネットワークにかかる負荷を低減することができる。
【0275】
(実施例36)
また、上記実施例35で挙げた、動画撮影はネットワークに負荷がかかる、非連携モードでの撮影の場合にはさらに負荷がかかる場合がある、という課題に鑑み、全フレームのプレビュー用画像を先に送信し、その後全フレームの本画像を送信するようにしてもよい。
このようにすることによっても、ネットワークにかかる負荷を低減することができる。
【0276】
(実施例37)
また、上記実施例35で挙げた、動画撮影はネットワークに負荷がかかる、非連携モードでの撮影の場合にはさらに負荷がかかる場合がある、という課題に鑑み、コンソール4もしくは撮影装置3Bに対する所定操作に基づいて、撮影中は撮影装置3B内に画像を保存するメモリー撮影モードによる動態撮影を開始するようにしてもよい。
その際、撮影者の操作により、動態撮影での撮影装置3B側のパラメーターである撮影枚数やフレームレートを変更できるようにしても良い。
また、パラメーターをコンソール4や撮影装置3A,3Bの表示部に表示するようにしても良い。
このようにすることによっても、ネットワークにかかる負荷を低減することができる。
【0277】
(実施例38)
また、上記実施例35で挙げた、動画撮影はネットワークに負荷がかかる、非連携モードでの撮影の場合にはさらに負荷がかかる場合がある、という課題に鑑み、非連携モードでの撮影の場合には、撮影中、撮影装置3B内に画像を保存しておくようにしてもよい。
このようにすることによっても、ネットワークにかかる負荷を低減することができる。
【0278】
(実施例39)
また、上記実施例35で挙げた、動画撮影はネットワークに負荷がかかる、非連携モードでの撮影の場合にはさらに負荷がかかる場合がある、という課題に鑑み、プレビュー用の画像は無線で送信し、本画像は後で有線接続した後に送信するようにしてもよい。
このようにすることによっても、ネットワークにかかる負荷を低減することができる。
【0279】
なお、本発明が上記の実施形態等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0280】
例えば、医療機関に既に導入された、1回の放射線照射の指示に対して1回の放射線照射しかできない放射線発生装置に対して、本発明に記載の技術により動態撮影が可能となるよう改造することも可能となる。
あるいは、1回の放射線照射の指示に対して1回の放射線照射しかできない放射線発生装置と、本発明に記載の技術を組み合わせることにより、動態撮影が可能な新しいシステムを容易に構築することが可能となる。
【符号の説明】
【0281】
100A,100B,200A,200B 放射線撮影システム
100,200 従来の放射線撮影システム
1,1A,1B 放射線制御装置
11,11A 放射線制御部
12 高電圧発生部
2 放射線発生部
3A,3B 放射線画像撮影装置
31 撮影制御部
32 放射線検出部
32a 基板
32b 走査線
32c 信号線
32d 放射線検出素子
32e スイッチ素子
32f バイアス線
32g 電源回路
33 走査駆動部
33a 電源回路
33b ゲートドライバー
34 読出し部
34a 読出し回路
34b アナログマルチプレクサー
34c A/D変換器
34d 積分回路
34e 相関二重サンプリング回路
35 記憶部
36 通信部
36a アンテナ
36b コネクター
37 バッテリー
3 カセッテ
4 コンソール
41 放射線制御コンソール
42 撮影装置制御コンソール
43 表示部
5 照射指示スイッチ
6,6A,6B,6C 付加装置
61,61A,61B,61C 付加制御部
62 第一取得部
63 第二取得部
64 第一接続部
65 第二接続部
66 第三接続部
67 インターフェース部
67a 第一AND回路
67b 第二AND回路
7 上位システム
8 合流器
N 通信ネットワーク
R1,R2 条件設定領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図26