(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20240709BHJP
B62D 33/04 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G01B21/00 H
B62D33/04 C
(21)【出願番号】P 2023046950
(22)【出願日】2023-03-23
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後閑 雅登
(72)【発明者】
【氏名】下沢 智啓
(72)【発明者】
【氏名】松下 真矢
(72)【発明者】
【氏名】水師 由佳
(72)【発明者】
【氏名】下中 淳史
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-83908(JP,A)
【文献】中国実用新案第212988286(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0021920(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00-21/32
G01B 11/00-11/30
B62D 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室内に設置されているレールと、
前記レールに沿って前記荷室内を移動することにより、前記荷室内の所定領域を計測可能な計測装置を有し、
前記計測装置は、
筐体と、
前記筐体を前記レールに把持する把持部と、
前記筐体を前記レールに沿って移動させる駆動部と、
前記筐体に取付けられ、
前記駆動部により前記荷室内を移動することにより前記荷室内
の所定の領域の状況を計測する計測部と、
前記計測されたデータを外部に送信する通信部と、
を有する、
車両。
【請求項2】
前記レールは、H鋼である、
請求項1に記載の
車両。
【請求項3】
前記H鋼は、ウィングボディタイプの車両における前記荷室の梁部を構成している、
請求項2に記載の
車両。
【請求項4】
前記レールは、前記荷室の天井に取り付けられたものである、
請求項1に記載の
車両。
【請求項5】
前記筐体は、内部にバッテリを有し、
前記駆動部は、ブレーキを有する、
請求項1に記載の
車両。
【請求項6】
前記把持部は、前記筐体を前記レールに着脱自在に把持する、
請求項1に記載の
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
運送業界の人員不足に対応して、運送する車両の荷室に搭載されている荷物の積載量及び/又は容積率を把握することで運送業務をより効率的に行いたいという運送業界のニーズがある。荷室における荷物の積載量及び/又は容積率を計測する場合、カメラ、深度センサなどの空間的に情報の取得範囲の限られる計測装置を用いて荷室内全域を監視するため、複数台の計測装置が設置される必要がある。(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、荷物の積載量及び/又は容積率を精度よく把握するためには荷室内全域を計測する必要があることから、複数台の計測装置が必要になりシステムが高額化・煩雑化してしまう。
【0005】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、本開示の目的は、低コスト且つ簡素な構成で荷室内の計測を可能とし、これにより荷室における荷物の積載量及び/又は容積率を精度よく把握することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様における車両は、車両の荷室内に設置されているレールと、前記レールに沿って前記荷室内を移動することにより、前記荷室内の所定領域を計測可能な計測装置を有し、前記計測装置は、筐体と、前記筐体を前記レールに把持する把持部と、前記筐体を前記レールに沿って移動させる駆動部と、前記筐体に取付けられ、前記駆動部により荷室内を移動することにより前記荷室内の所定の領域の状況を計測する計測部と、前記計測されたデータを外部に送信する通信部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、高額な計測装置を複数台取り付けることなく、荷室内をくまなく計測でき、システムの低コスト化及び簡素化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】計測用台車がH鋼に把持された状態を示す正面図
【
図3】計測用台車をH鋼に把持する途中状態を示す図
【
図5】計測用台車がH鋼に把持された状態を示す上面図
【
図8】水平部を支柱に対して回転可能にした計測用台車の例を示す図
【
図12】計測用台車をH鋼に把持した状態を示す上面図
【
図13A】計測用台車をC形鋼に把持した状態を示す側面図
【
図13B】計測用台車を2本のC形鋼に把持した状態を示す側面図
【
図14】センサを筐体に対して移動可能とした例を示す図
【
図15】ウィングボディタイプのトラックのウィングドアが開いた状態の荷台構造を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
<ウィングボディタイプのトラック>
まず、本開示が適用される車両の一例として、ウィングボディタイプのトラックについて説明する。
図15は、ウィングボディタイプのトラックのウィングドアが開いた状態の荷台構造を説明する図である。
図15において、トラック1500を左側斜め後ろ方向から見ている。
図15に示すように、トラック1500は、キャブ1510と荷台1520とを有する。
荷台1520は、荷物を載せる架装の部位であり、
図15に示すように、前壁1530、ウィングドア1540、あおり1550、及び後部ドア1560を有する。以下では、ウィングドア1540の構造について説明する。
【0011】
ウィングドア1540は、荷台1520の上面(天井)のほぼ中心線の位置に設置された梁部1541に設けられている軸を回転軸として上方へ開く扉である。梁部1541は、例えばH鋼(後述する)で構成されており、回転軸は、車両の前後方向に延在するH鋼の側部に設けられている。なお、荷台1520の上面(天井)の中心線とは、
図15に示すように、前壁1530の上辺における中央部と、後述する後部ドア1560のドアフレーム1561の上辺の中央部とを結ぶ線である。ウィングドア1540は、この梁部1541の側部に設けられている軸を回転軸として、例えば油圧あるいは空気圧等によって上下方向に開閉される。ウィングドア1540の開閉機構については、
図15では図示を省略している。
【0012】
図15においては、トラック1500の左側のウィングドア1540のみが開かれた状態が記載されているが、
図15におけるトラック1500の右側にも同様のウィングドアを設け、梁部1541を構成するH鋼の反対側の側部にもう1つの軸を設け、これを回転軸として開閉できるようにしてもよい。
【0013】
<第1の実施の形態>
本実施の形態の計測用台車の構成について説明する。計測用台車に計測装置を設置することで計測用装置が構成される。
【0014】
図1は、本実施の形態の計測用台車100の構成例の正面図である。
図2は、本実施の形態の計測用台車100がH鋼201に把持された状態を示す正面図である。
図3は、本実施の形態の計測用台車100をH鋼201に把持する途中状態を示す図である。
図4は、本実施の形態の計測用台車100の構成例の上面図である。
図5は、本実施の形態の計測用台車100がH鋼201に把持された状態を示す上面図である。
図6は、本実施の形態の計測用台車100の構成例の側面図である。
【0015】
図5では、分かり易さのため、H鋼201を網掛けで表示し、H鋼201の下の計測用台車100の構成を表示している。
【0016】
<計測用台車の構造>
計測用台車100は、筐体101、駆動部102、支柱103、第1固定部104、水平部105、第2固定部107、ガイド部108、及びH鋼支持部109を有する。支柱103、第1固定部104、水平部105、第2固定部107、ガイド部108、及びH鋼支持部109は、把持部を構成する。把持部により、計測用台車100がH鋼201に着脱自在に把持される。筐体101の側面110に計測装置120(以下、「センサ」という。)が取付けられて計測用装置が構成される(
図4参照)。このセンサ120は、筐体101の内部及び/又は筐体101の底面111等に取付けられてもよい。
【0017】
筐体101は、内部に、図示しないモータ等の駆動機構、バッテリー等からなる電源部、通信部、制御部等を有する。
【0018】
駆動機構は、駆動部102を駆動する。
【0019】
電源部は、駆動機構、通信部、制御部等に電源を供給する。電源部は、センサに対して無線又は有線により電源を供給してもよい。バッテリーは充電可能であってもよい。また、計測用台車100がH鋼の端部など所定の位置に存在する場合に、車両から電源が供給されてもよい。車両から計測用台車100への電源供給は、無線又は有線により行われてもよい。
【0020】
通信部は、車両の装置、運送会社事務所の装置等の外部装置と通信する。車両の装置は、例えば運転台周辺に設置される。通信部は、筐体101の側面110、底面111、及び/又は内部に設置されたセンサ120と通信を行ってもよい。通信部は、センサ120から受信したデータを外部装置に送信してもよいし、外部装置からのデータをセンサ120に送信してもよい。通信部は、計測用台車100の位置情報を送信してもよい。通信部は、センサ120から受信したデータをメモリに保存してもよいし、保存されたデータを外部装置に送信してもよい。センサ120と筐体101内の通信部の間の通信及び筐体101内の通信部と外部装置の間の通信は、いずれも有線通信でも無線通信でもよい。無線通信は、例えばBluetooth、無線LAN(Local Area Network)、NFC(Near Field Communication)、携帯電話網等を用いることができる。制御部は、駆動機構、電源部、通信部等を制御し、計測用台車100を制御する。
【0021】
制御部は、通信手段により筐体101に設置されたセンサ120を制御してもよい。センサ120が外部装置に通信を行ってもよい。
【0022】
駆動部102は、例えば表面がゴム製のタイヤで構成されており、計測用台車100がH鋼201に把持された際に、H鋼201の下面(外側)と接触して駆動部102が回転駆動されることにより、計測用台車100をH鋼201に沿って移動させる。また駆動部102は、計測用台車100がH鋼201に把持された際にH鋼201の下面(外側)と所定の圧接力をもって接触するように図示しないバネ等の付勢機構により、H鋼201の下面(外側)に向かう方向に付勢されている。
【0023】
支柱103は、筐体101の上面に対して垂直方向に長さ方向を有する。支柱103には、第1固定部104が垂直方向(
図1における上下方向)に移動可能な状態で取付られており、垂直方向の位置が調整された後、支柱103に対して固定される。支柱103の水平方向(
図1における左右方向)の間隔Dは、H鋼201の水平方向の幅よりも大きい。なお、支柱103の位置を筐体101に対して水平方向に移動可能な構造とすることで、間隔Dを変更可能としてもよい。
【0024】
第1固定部104は、支柱103に対して垂直方向に移動可能となるように固定されるとともに、水平部105を水平方向に移動可能となるように保持する。
【0025】
水平部105は、第1固定部104に対して左右方向の位置が調整された後、第1固定部104に固定される。第2固定部107は、水平部105に対して水平方向に移動可能に固定される。水平部105には、同一の中心軸106を有するベアリングからなるH鋼支持部109が取り付けられている。H鋼支持部109が取り付けられる代わりに、水平部105の一部の太さが変更されていてもよい。
【0026】
第2固定部107は、水平部105に対して固定される。第2固定部107の筐体101側にはベアリングからなるガイド部108が取り付けられている。
【0027】
ガイド部108は、計測用台車100がH鋼201に把持される際にH鋼201の側面に接触するように位置を調整される。これにより、計測用台車100の横方向へのズレが防止され、計測用台車100のH鋼の長さ方向に対する移動をガイドする。
【0028】
H鋼支持部109は回転可能なベアリングで構成されており、計測用台車100がH鋼201に把持される際にH鋼201の上面(内側)に接触することで、筐体101をH鋼の下面側で把持する。H鋼支持部109は、中心軸106に対して回転可能であるが、固定された構造であってもよい。
【0029】
筐体101の側面110及び/又は底面111に、各種センサが設置される。センサは、カメラ、深度センサ、RFIDリーダ等であってよい。センサが荷室の状況を計測することで、荷室の容積率、荷物の積載状況等が算出される。荷室の壁までの距離を計測するなど、センサの計測により計測用台車100の位置情報が算出されてもよい。
【0030】
<計測用台車のH鋼への設置>
ガイド部108が水平部105により水平移動可能とされており、H鋼支持部109が支柱103に対して垂直移動可能とされていることにより、計測用台車100は、任意の厚さと幅のH鋼201を把持することができる。
【0031】
図3に示すように、第2固定部107が筐体101の外部側に移動された状態、及び第1固定部104が支柱103の先端側に移動された状態とした上で、計測用台車100を
図3における下方向からH鋼201の方向に移動させ、計測用台車100の駆動部102をH鋼201の下面(外側)に接触させる。
【0032】
この状態で、左右一対の第2固定部107を筐体101の中心側にそれぞれ移動させ、更に第1固定部104を支柱103の根元側に移動させて、ガイド部108及びH鋼支持部109をH鋼201の上面と側面にそれぞれ接触させ、この状態で左右一対の第2固定部107(水平部105)と第1固定部104を支柱103に固定する。これにより、
図2に示す状態となり、H鋼201に対する計測用台車100の把持(取付け)が完了する。
【0033】
計測用台車100は、H鋼に着脱自在に把持することとしたが、着脱自在でなくてもよい。
【0034】
<計測用台車の移動>
計測用台車100がH鋼201を把持している状態で、筐体101内に配置されている図示しない駆動機構が、ゴム製のタイヤである駆動部102を回転駆動することにより、計測用台車100はH鋼201に沿って荷室の車両最前部から車両最後部まで範囲を移動することが可能である。計測用台車100の位置は、センサ120による計測から求められてもよいし、駆動部であるステップモータ又はロータリーエンコーダ等のセンサを備えるモータの回転数から算出されてもよいし、センサ120による計測から求められた位置と回転数による移動距離からの算出された位置の両方から求められてもよい。センサ120による位置の計測は、荷室の壁からの距離を計測してもよいし、H鋼201の下面に設けられた目印701を読み取ることにより算出されてもよい。
【0035】
図7に、H鋼201の下面に設けられる目印701の例を示す。目印701は、等間隔に表示された線でもよい。等間隔に線が表示された用紙がH鋼の下面に貼付されてもよいし、H鋼の下面がペイントされてもよい。計測用台車100に設置されたセンサ120が等間隔に表示された線を読み取り、カウントすることで、計測用台車100の位置が把握されてもよい。
【0036】
また、計測用台車100をH鋼201に沿って移動させる機構として、H鋼201にラックギアが設置されてもよい。この場合は駆動部102をゴム製のタイヤではなくピニオンギアで構成し、ピニオンギアをH鋼201に設置されたラックギアに嵌合させて、ステップモータで駆動することにより、計測用台車100を移動させてもよい。ステップモータの回転をカウントすることにより、計測用台車100の位置が把握されてもよい。車両の振動又は傾きにより計測用台車100が意図しない方向へ移動してしまうという確率を減らすため、駆動部102に回転軸を静止させるブレーキを搭載してもよい。この場合、駆動部102をゴム製のタイヤによる摩擦伝動からピニオンギアとラックギアを用いた歯車伝導とすることで、滑りを無くし、より強固な制動力を得ることができる。
【0037】
<センサの動作>
計測用台車100の筐体101の側面110にセンサ120を設置することで計測用装置が構成され、計測用装置のセンサ120により、荷室内の計測を行う。計測用台車100はH鋼201に沿って荷室の車両最前部から車両最後部まで範囲を移動することが可能であることから、筐体101の側面110に設置された1つのセンサ120により荷室内の全ての領域の計測を行うことができる。計測は、荷物までの距離であってもよい。例えば、計測された荷物までの距離と、計測した計測用台車100の位置に基づいて、荷室の積載率が把握される。
【0038】
センサ120によって計測された距離と位置は、Bluetooth等の無線通信または有線通信により、筐体101内の通信部に送信されてもよい。送信された距離と位置は、筐体101に搭載されているメモリに蓄積された後に、運転席付近の装置及び/又は運送会社の事務所に設置された装置等の外部装置に送信されてもよい。筐体101内のメモリは、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive),USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカード等でよい。筐体101内の通信部から外部装置への送信は、無線LAN、携帯電話網等の無線通信でもよい。筐体101からメモリを取り外して、外部装置が該メモリから読み出してもよい。
【0039】
荷室の積載率は、筐体101内の制御部により演算されてもよいし、外部装置で演算されてもよい。
【0040】
本実施の形態の計測用台車は、ウィングボディタイプのトラックの梁部1541を構成するH鋼201に取り付けて使用することができるので、トラックの荷室に対する追加工事や取り付け工事が不要である。
【0041】
<変形例>
実施の形態では、ウィングボディタイプのトラックの梁部1541を構成するH鋼201をレールとして、H鋼201に取り付けて使用する例を説明したが、車両の荷室に別途レールを取り付けて、取り付けられたレールに計測用台車100を取り付けて使用してもよい。取り付けるレールはCチャンネル(C形鋼)を用いることができる。梁部1541を構成するH鋼201に取り付けた場合は、計測用台車100は荷室の中央部分だけを直線的に移動するが、レールを取り付ける場所を荷室の上部(天井)に限らず、荷室の側面、前面、後面等、任意に設定することで、計測用台車100の計測場所を任意に設定することが可能である。
【0042】
また、荷室の上部に、例えば楕円形のレールを配置することにより、ウィングドアに近い部分の荷物についても、より正確な距離を測定することができ、積載率をより詳細に計算することが可能である。また、荷室の上部が開閉しないタイプの車両であれば、荷室の上部に楕円形のレールやつづら折り形状のレールを配置することにより、荷室の全領域の計測をより精度良く行うことも可能となる。なお、荷室に取り付けるレールは、H鋼でなくてもよく、計測用台車100を取付け可能であって車両に荷室内を移動させることができるものであればどのような形状のものであってもよい。
【0043】
計測用台車100に設置されたカメラ(センサ)が取得した画像を運転席付近の装置に送信することにより、運転者が荷室内の荷物の状態を監視することもできる。
【0044】
図8に、水平部105を支柱103に対して水平方向に回転可能にした計測用台車の例を示す。この構造によれば、H鋼201に計測用台車を把持させる際に、水平部105をH鋼201の長さ方向に位置するように回転させた後、
図4に示すH鋼201の長さ方向に対して直交する位置に回転させることで、H鋼201を把持してもよい。
【0045】
<第2の実施の形態>
本実施の形態の計測用台車は、車両の荷室天井に設置したレールに取り付けて使用することができる。設置するレールはCチャンネル(C形鋼)を用いることができる。
【0046】
本実施の形態の計測用台車900の構成について説明する。
図9は、本実施の形態の計測用台車900の構成例の上面図である。
図10は、本実施の形態の計測用台車900の構成例の正面図である。
図11は、本実施の形態の計測用台車900の構成例の側面図である。
図12は、本実施の形態の計測用台車900をC形鋼1201のレールに把持した状態を示す上面図である。
図13Aは、本実施の形態の計測用台車900をC形鋼1201のレールに把持した状態を示す側面図である。
図13Bは、本実施の形態の計測用台車900を2本のC形鋼1201、1301のレールに把持した状態を示す側面図である。C形鋼以外のレールが用いられてもよい。
【0047】
図12は、分かり易さのためC形鋼1201を網掛けで表示し、C形鋼1201に隠れている計測用台車900の構成を表示している。
図12、
図13Aに記載されるように、本実施の形態では、車両の荷室の天井に、荷室の車両最前部から車両最後部にわたって平行に設置されているC形鋼1201に計測用台車900が把持されている。
図13Bに記載されるように、2本のC形鋼1201、1301の間に計測用台車900が把持されてもよい。
【0048】
<計測用台車の構造>
計測用台車900は、筐体901、駆動部902、支柱903、C形鋼支持部904、固定部905、腕部906、ガイド部907を有する。計測用台車900の側面にセンサ908を設置する。センサ908は、筐体901の底面に設置されてもよい。支柱903、C形鋼支持部904、固定部905、腕部906、及びガイド部907は、把持部を構成する。把持部により筐体901がC形鋼1201を着脱自在に把持する。計測用台車は、着脱自在でなくてもよい。
【0049】
筐体901は、内部に、図示しないモータ等からなる駆動機構、バッテリー等からなる電源部、通信部、制御部等を有する。
【0050】
駆動機構は、駆動部902を駆動する。
【0051】
電源部は、駆動手段、通信部、制御部等に電源を供給する。
【0052】
通信部は、トラックの運転台周辺の装置、運送会社事務所の装置等の外部装置と通信する。通信部は、計測用台車900の側面及び/又は底面に設置されたセンサと通信を行ってもよい。通信部は、センサから受信したデータを外部装置に送信してもよいし、外部装置からのデータをセンサに送信してもよい。通信部は、計測用台車900の位置情報を送信してもよい。通信部は、センサから受信したデータをメモリに保存し、保存されたデータを外部装置に送信してもよい。通信は有線通信でも無線通信でもよい。無線通信は、例えばBluetooth、無線LAN、NFC、携帯電話網等を用いることができる。
【0053】
制御部は、駆動手段、電源部、通信部等を制御し、計測用台車900を制御する。制御部は、通信手段により計測用台車900に設置されたセンサ908を制御してもよい。
【0054】
駆動部902は、
図13Aに示すようにC形鋼1201の内面と接触して、計測用台車900をC形鋼1201に沿って移動させる。
図13Bに示すように、2本のC形鋼を用いてもよい。
図13Bは2本の溝形鋼を用いてもよい。駆動部902は、例えばピニオンギアで構成されている。駆動部902が接触するC形鋼1201の内面には、図示しないラックギアが設置されている。ラックギアは、C形鋼1201に貼付されてもよい。車両の振動又は傾きにより計測用台車100が意図しない方向へ移動してしまうという確率を減らすため、駆動部102に回転軸を静止させるブレーキを搭載してもよい。ピニオンギアとラックギアを用いた歯車伝導であるから、モータ回転軸を静止させることで、計測用台車100は強固な制動力を得る。なお、駆動部902を表面がゴム製のタイヤとし、C形鋼1201にラックギアを設けない構成としてもよい。駆動部902は、計測用台車900がC形鋼1201に把持された際にC形鋼1201の下面(内側)と所定の圧接力をもって接触するように図示しないバネ等の付勢機構により、C形鋼1201の下面(内側)に向かう方向に付勢されている。
【0055】
支柱903は、筐体901の側面に対する垂直方向(すなわち水平方向)に長さ方向を有する。支柱903は、C形鋼支持部904が回転可能に固定される。支柱903は伸縮自在であってもよい。
【0056】
C形鋼支持部904は回転可能なベアリングで構成されており、支柱903に対して回転可能に固定される。C形鋼支持部904は、C形鋼1201の内面に接触することで、筐体901をC形鋼1201に把持する。C形鋼支持部904は、外部方向(
図13における下方向)に付勢されてもよい。
【0057】
固定部905は、筐体901の側面に固定され、腕部906が回転可能且つ固定可能に取り付けられている。
【0058】
腕部906には、ガイド部907が回転可能に取り付けられている。また、腕部906は、固定部905に対して回転可能且つ固定可能とされており、筐体901の長手方向から直角方向に向かう方向に図示しない付勢機構により付勢されている。腕部906が筐体901の長手方向に対して直角方向に向かう方向に付勢されていることで、一対のガイド部907が
図13に示すようにC形鋼1201の内側の側面に所定の圧接力を持って当接可能となっている。
【0059】
ガイド部907は、C形鋼1201の内側の側面に接触し、計測用台車900のH鋼の長さ方向に対する移動をガイドする。
【0060】
計測用台車900の側面及び/又は底面に、各種センサ908が設置される。センサは、カメラ、深度センサ等であってよい。センサが荷室の状況を計測することで、荷室の容積率が算出される。荷室の壁までの距離を計測するなど、センサの計測により計測用台車900の位置情報が算出されてもよい。
【0061】
<計測用台車の移動>
計測用台車900がC形鋼1201に把持された状態で、駆動機構が駆動部902を駆動することにより、計測用台車900が荷室の車両最前部から車両最後部まで範囲をC形鋼1201に沿って移動することが可能である。本実施の形態では、駆動部902がピニオンギアで構成され、C形鋼1201にラックギアが設けられている。
【0062】
筐体901内の駆動機構であるモータをステップモータとすることにより、計測用台車900の位置を把握することができる。ステップモータはステッピングモーターとも呼ばれる。計測用台車900の位置は、センサによる計測から求められてもよいし、ステップモータの回転数から算出されてもよいし、センサの計測による位置と回転数により算出された位置の両方から求められてもよい。位置を算出するためのセンサの計測は、荷室の壁からの距離を計測してもよい。C形鋼の下面に設けられた目印を読み取ることにより算出されてもよい。
【0063】
駆動部902は、ピニオンギアでなく、第1の実施の形態と同様の表面がゴム製のタイヤであってもよいし、他の手段であってもよい。
<変形例>
【0064】
設置されるC形鋼は、直線状だけでなく、任意の形状、例えば略楕円形とすることもできる。C形鋼を楕円形に設置することで、荷室の中央部分以外にも計測用台車900を移動させることができるので、幅広い範囲に計測用台車900を移動させることができる。また、2本の溝形鋼の幅は任意でよい。
【0065】
計測用台車900に設置されたカメラで取得した画像を運転席付近の端末に表示させることで、運転者が荷室内の荷物の状態を監視することもできる。
【0066】
図14は、2本の溝形鋼1403、1404を離して設置し、センサ1402を筐体1401に対して移動可能とした例を示す。2本のC形鋼を用いることもできる。
【0067】
図14に示すように、2本の溝形鋼1403、1404を、例えば荷室の側面上部の隅に設置して、筐体1401を溝形鋼1403、1404に沿って移動可能とし、筐体1401に対してセンサ1402を移動可能(すなわち、H鋼の長手方向に対して直交する方向に移動可能)とすることで、センサ1402を荷室内の任意の箇所に移動させることができる。筐体1401に対してセンサ1402を移動可能とする構成は、周知の構成を用いてよい。溝形鋼1403、1404以外のレールが用いられてもよい。
【0068】
なお、本開示は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0069】
(1)本開示の一態様における計測用台車は、計測装置が設置可能な筐体と、前記筐体を荷室内のレールに着脱自在に把持する把持部と、前記筐体を前記レールに沿って移動させる駆動部と、を有する。
【0070】
(2)本開示の一態様における計測用台車は、(1)の計測用台車において、前記レールは、H鋼である。
【0071】
(3)本開示の一態様における計測用台車は、(2)の計測用台車において、前記H鋼は、ウィングボディタイプの車両における荷室の梁部を構成している。
【0072】
(4)本開示の一態様における計測用台車は、(1)の計測用台車において、前記レールは、前記荷室の天井に取り付けたものである。
【0073】
(5)本開示の一態様における車両は、(1)の計測用台車が取り付けられている。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本開示の車両は、トラックの荷室管理に有用である。
【符号の説明】
【0075】
100、900 計測用台車
101、901、1401 筐体
102、902 駆動部
103、903 支柱
104 第1固定部
105 水平部
106 軸
107 第2固定部
108、907 ガイド部
109 H鋼支持部
110 側面
111 底面
120、908、1402 センサ
201 H鋼
701 目印
904 C形鋼支持部
905 固定部
906 腕部
1201、1301 C形鋼
1403、1404 溝形鋼
1500 トラック
1510 キャブ
1520 荷台
1530 前壁
1540 ウィングドア
1541 梁部
1550 あおり
1560 後部ドア
1561 ドアフレーム
【要約】
【課題】複数台の計測装置を用いることによって、システムが高額化・煩雑化する。
【解決手段】本開示の一態様における計測用装置は、筐体と、前記筐体を荷室内のレールに把持する把持部と、前記筐体を前記レールに沿って移動させる駆動部と、前記筐体に取付けられ、前記荷室内の状況を計測する計測部と、前記計測されたデータを外部に送信する通信部と、を有する。
【選択図】
図1