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特許7517505遠隔制御システム、車両、遠隔制御無効化装置および遠隔制御無効化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】遠隔制御システム、車両、遠隔制御無効化装置および遠隔制御無効化方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 65/18 20060101AFI20240709BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240709BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240709BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B62D65/18 Z
H04Q9/00 301B
G08G1/0969
G08G1/09 V
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023050913
(22)【出願日】2023-03-28
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-109024(JP,A)
【文献】特開2019-111883(JP,A)
【文献】国際公開第2017/013858(WO,A1)
【文献】特開2021-062790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 65/18
G08G 1/09
H04Q 9/00
G08G 1/0969
B60R 25/01,25/20
G01M 17/007
B60W 50/00
H04L 12/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔制御システムであって、
遠隔制御により移動可能な車両であって、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部を備える前記車両と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定する判定部と、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された場合に、前記無効化実行部に前記遠隔制御を無効化させるための無効化指令を前記車両に送信する無効化指令部と、
を備え、
前記無効化実行部は、前記無効化指令を受信した後、予め定められた期間が経過した場合に、前記遠隔制御を無効化し、
前記判定部は、前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記無効化指令部は、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化させるための有効化指令を前記車両に送信し、
前記無効化実行部は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記有効化指令を受信した場合に、前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御システム。
【請求項2】
遠隔制御システムであって、
遠隔制御により移動可能な車両であって、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部を備える前記車両と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定する判定部と、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された場合に、前記無効化実行部に前記遠隔制御を無効化させるための無効化指令を前記車両に送信する無効化指令部と、
を備え、
前記無効化実行部は、前記無効化指令を受信した後、前記車両が予め定められた距離を移動した場合に、前記遠隔制御を無効化し、
前記判定部は、前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記無効化指令部は、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化させるための有効化指令を前記車両に送信し、
前記無効化実行部は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記有効化指令を受信した場合に、前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御システム。
【請求項3】
遠隔制御システムであって、
遠隔制御により移動可能な車両であって、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部を備える前記車両と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定する判定部と、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された場合に、前記無効化実行部に前記遠隔制御を無効化させるための無効化指令を前記車両に送信する無効化指令部と、
を備え、
前記無効化実行部は、前記無効化指令を受信した後、前記車両の速度が予め定められた速度を超えた場合に、前記遠隔制御を無効化し、
前記判定部は、前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記無効化指令部は、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化させるための有効化指令を前記車両に送信し、
前記無効化実行部は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記有効化指令を受信した場合に、前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御システム。
【請求項4】
遠隔制御無効化装置であって、
遠隔制御により移動可能な車両であって、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部を備える前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定する判定部と、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された場合に、前記無効化実行部に前記遠隔制御を無効化させるための無効化指令を前記車両に送信する無効化指令部と、
を備え、
前記無効化実行部は、前記無効化指令を受信した後、予め定められた期間が経過した場合に、前記遠隔制御を無効化し、
前記判定部は、前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記無効化指令部は、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化させるための有効化指令を前記車両に送信し、
前記無効化実行部は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記有効化指令を受信した場合に、前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御無効化装置。
【請求項5】
遠隔制御無効化装置であって、
遠隔制御により移動可能な車両であって、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部を備える前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定する判定部と、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された場合に、前記無効化実行部に前記遠隔制御を無効化させるための無効化指令を前記車両に送信する無効化指令部と、
を備え、
前記無効化実行部は、前記無効化指令を受信した後、前記車両が予め定められた距離を移動した場合に、前記遠隔制御を無効化し、
前記判定部は、前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記無効化指令部は、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化させるための有効化指令を前記車両に送信し、
前記無効化実行部は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記有効化指令を受信した場合に、前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御無効化装置。
【請求項6】
遠隔制御無効化装置であって、
遠隔制御により移動可能な車両であって、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部を備える前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定する判定部と、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された場合に、前記無効化実行部に前記遠隔制御を無効化させるための無効化指令を前記車両に送信する無効化指令部と、
を備え、
前記無効化実行部は、前記無効化指令を受信した後、前記車両の速度が予め定められた速度を超えた場合に、前記遠隔制御を無効化し、
前記判定部は、前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記無効化指令部は、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化させるための有効化指令を前記車両に送信し、
前記無効化実行部は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記有効化指令を受信した場合に、前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御無効化装置。
【請求項7】
遠隔制御により移動可能な車両であって、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定する判定部と、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された後、予め定められた期間が経過した場合に、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部と、
を備え
前記判定部は、前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記無効化実行部は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化する、車両。
【請求項8】
遠隔制御により移動可能な車両であって、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定する判定部と、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された後、前記車両が予め定められた距離を移動した場合に、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部と、
を備え
前記判定部は、前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記無効化実行部は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化する、車両。
【請求項9】
遠隔制御により移動可能な車両であって、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定する判定部と、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された後、前記車両の速度が予め定められた速度を超えた場合に、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部と、
を備え
前記判定部は、前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記無効化実行部は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化する、車両。
【請求項10】
遠隔制御無効化方法であって、
遠隔制御により移動可能な車両の位置情報を取得し、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を無効化させるための無効化指令を前記車両に送信し、
前記無効化指令を記車両が受信した後、予め定められた期間が経過した場合に、前記車両が前記遠隔制御を無効化し、
前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化させるための有効化指令を前記車両に送信し、
前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記有効化指令を受信した場合に、前記車両が前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御無効化方法。
【請求項11】
遠隔制御無効化方法であって、
遠隔制御により移動可能な車両の位置情報を取得し、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を無効化させるための無効化指令を前記車両に送信し、
前記無効化指令を記車両が受信した後、前記車両が予め定められた距離を移動した場合に、前記車両が前記遠隔制御を無効化し、
前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化させるための有効化指令を前記車両に送信し、
前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記有効化指令を受信した場合に、前記車両が前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御無効化方法。
【請求項12】
遠隔制御無効化方法であって、
遠隔制御により移動可能な車両の位置情報を取得し、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を無効化させるための無効化指令を前記車両に送信し、
前記無効化指令を記車両が受信した後、前記車両の速度が予め定められた速度を超えた場合に、前記車両が前記遠隔制御を無効化し、
前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化させるための有効化指令を前記車両に送信し、
前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記有効化指令を受信した場合に、前記車両が前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御無効化方法。
【請求項13】
コンピュータにより実行される遠隔制御無効化方法であって、
遠隔制御により移動可能な車両の位置情報を取得し、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された後、予め定められた期間が経過した場合に、前記遠隔制御を無効化し、
前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御無効化方法。
【請求項14】
コンピュータにより実行される遠隔制御無効化方法であって、
遠隔制御により移動可能な車両の位置情報を取得し、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された後、前記車両が予め定められた距離を移動した場合に、前記遠隔制御を無効化し、
前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御無効化方法。
【請求項15】
コンピュータにより実行される遠隔制御無効化方法であって、
遠隔制御により移動可能な車両の位置情報を取得し、
前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記車両が位置しているか前記第1領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記第1領域外に前記車両が位置していると判定された後、前記車両の速度が予め定められた速度を超えた場合に、前記遠隔制御を無効化し、
前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記車両が位置しているか前記第2領域外に前記車両が位置しているかを判定し、
前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記第2領域内に前記車両が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化する、遠隔制御無効化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔制御システム、車両、遠隔制御無効化装置および遠隔制御無効化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の製造工程において、遠隔制御により車両を走行させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-538619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動体が遠隔制御により移動可能である場合、第三者により移動体の遠隔制御が行われる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1の形態によれば、遠隔制御システムが提供される。この遠隔制御システムは、遠隔制御により移動可能な移動体であって、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部を備える前記移動体と、前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記移動体が位置しているか前記第1領域外に前記移動体が位置しているかを判定する判定部と、前記第1領域外に前記移動体が位置していると判定された場合に、前記無効化実行部に前記遠隔制御を無効化させるための無効化指令を前記移動体に送信する無効化指令部と、を備える。
この形態の遠隔制御システムによれば、移動体が第1領域外に位置していると判定された場合には、移動体の遠隔制御が無効化される。したがって、第三者により移動体の遠隔制御が行われることを抑制できる。
(2)上記形態の遠隔制御システムにおいて、前記第1領域には、前記移動体を製造する工場の少なくとも一部が含まれてもよい。
この形態の遠隔制御システムによれば、第三者により移動体の遠隔制御が行われることを抑制しつつ、工場内において移動体の遠隔制御を行うことができる。
(3)上記形態の遠隔制御システムにおいて、前記無効化実行部は、前記無効化指令を受信した後、予め定められた期間が経過した場合に、前記遠隔制御を無効化してもよい。
この形態の遠隔制御システムによれば、遠隔制御が誤って無効化されることを抑制できる。
(4)上記形態の遠隔制御システムにおいて、前記無効化実行部は、前記無効化指令を受信した後、前記移動体が予め定められた距離を移動した場合に、前記遠隔制御を無効化してもよい。
この形態の遠隔制御システムによれば、遠隔制御が誤って無効化されることを抑制できる。
(5)上記形態の遠隔制御システムにおいて、前記無効化実行部は、前記無効化指令を受信した後、前記移動体の速度が予め定められた速度を超えた場合に、前記遠隔制御を無効化してもよい。
この形態の遠隔制御システムによれば、遠隔制御が誤って無効化されることを抑制できる。
(6)上記形態の遠隔制御システムにおいて、前記判定部は、前記位置情報を用いて、前記第1領域外に含まれる予め定められた第2領域内に前記移動体が位置しているか前記第2領域外に前記移動体が位置しているかを判定し、前記無効化指令部は、前記第2領域内に前記移動体が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を有効化させるための有効化指令を前記移動体に送信し、前記無効化実行部は、前記遠隔制御を可逆的に無効化した後、前記有効化指令を受信した場合に、前記遠隔制御を有効化してもよい。
この形態の遠隔制御システムによれば、第三者により移動体の遠隔制御が行われることを抑制しつつ、第2領域内において移動体の遠隔制御を行うことができる。
(7)上記形態の遠隔制御システムにおいて、前記無効化実行部は、前記遠隔制御を不可逆的に無効化してもよい。
この形態の遠隔制御システムによれば、第三者により移動体の遠隔制御が行われることをより確実に抑制できる。
(8)本開示の第2の形態によれば、遠隔制御無効化装置が提供される。この遠隔制御無効化装置は、遠隔制御により移動可能な移動体であって、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部を備える前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記移動体が位置しているか前記第1領域外に前記移動体が位置しているかを判定する判定部と、前記第1領域外に前記移動体が位置していると判定された場合に、前記無効化実行部に前記遠隔制御を無効化させるための無効化指令を前記移動体に送信する無効化指令部と、を備える。
この形態の遠隔制御無効化装置によれば、移動体が第1領域外に位置していると判定された場合には、移動体の遠隔制御が無効化される。したがって、第三者により移動体の遠隔制御が行われることを抑制できる。
(9)本開示の第3の形態によれば、遠隔制御により移動可能な移動体が提供される。この移動体は、前記移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記移動体が位置しているか前記第1領域外に前記移動体が位置しているかを判定する判定部と、前記第1領域外に前記移動体が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を無効化する無効化実行部と、を備える。
この形態の移動体によれば、移動体が第1領域外に位置していると判定された場合には、移動体の遠隔制御が無効化される。したがって、第三者により移動体の遠隔制御が行われることを抑制できる。
(10)本開示の第4の形態によれば、遠隔制御無効化方法が提供される。この遠隔制御無効化方法は、遠隔制御により移動可能な移動体の位置情報を取得し、前記位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に前記移動体が位置しているか前記第1領域外に前記移動体が位置しているかを判定し、前記第1領域外に前記移動体が位置していると判定された場合に、前記遠隔制御を無効化する。
この形態の遠隔制御無効化方法によれば、移動体が第1領域外に位置していると判定された場合には、移動体の遠隔制御が無効化される。したがって、第三者により移動体の遠隔制御が行われることを抑制できる。
本開示は、遠隔制御システム、移動体、遠隔制御無効化装置、および、遠隔制御無効化方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、コンピュータプログラム、および、コンピュータプログラムが記録された記録媒体などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態における遠隔制御システムの構成を模式的に示す説明図。
図2】第1実施形態におけるジオフェンス領域を模式的に示す説明図。
図3】第1実施形態における位置情報取得処理の内容を示すフローチャート。
図4】第1実施形態における判定処理の内容を示すフローチャート。
図5】第1実施形態における無効化実行処理の内容を示すフローチャート。
図6】第2実施形態における無効化実行処理の内容を示すフローチャート。
図7】第3実施形態における判定処理の内容を示すフローチャート。
図8】第3実施形態における無効化実行処理の内容を示すフローチャート。
図9】第3実施形態におけるジオフェンス領域を模式的に示す説明図。
図10】第4実施形態における遠隔制御システムの構成を模式的に示す説明図。
図11】第4実施形態における無効化処理の内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における遠隔制御システム10の構成を模式的に示す説明図である。遠隔制御システム10は、移動体を遠隔制御により移動させるために用いられる。本実施形態では、移動体は、車両100である。より具体的には、移動体は、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)である。なお、移動体は、電気自動車に限られず、例えば、ガソリン自動車や、ハイブリッド自動車や、燃料電池自動車でもよい。移動体は、車両100に限られず、例えば、電動垂直離着陸機(いわゆる空飛ぶ自動車)でもよい。
【0009】
遠隔制御システム10は、車両100と、車両100を遠隔制御するための遠隔制御装置200とを備えている。車両100は、車両100の各部を制御するための車両制御装置110と、車両制御装置110の制御下で駆動するアクチュエータ群120と、無線通信により遠隔制御装置200と通信するための通信装置130と、車両100の位置情報を取得するためのGPS受信機140とを備えている。本実施形態では、アクチュエータ群120には、車両100を加速させるための駆動装置のアクチュエータ、車両100の進行方向を変更するための操舵装置のアクチュエータ、および、車両100を減速させるための制動装置のアクチュエータが含まれている。駆動装置には、バッテリ、バッテリの電力により駆動する走行用モータ、および、走行用モータにより回転する駆動輪が含まれている。駆動装置のアクチュエータには、走行用モータが含まれている。なお、アクチュエータ群120には、さらに、車両100のワイパーを揺動させるためのアクチュエータや、車両100のパワーウィンドウを開閉させるためのアクチュエータなどが含まれてもよい。
【0010】
車両制御装置110は、プロセッサ111と、メモリ112と、入出力インタフェース113と、内部バス114とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ201、メモリ202、および、入出力インタフェース203は、内部バス204を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース203には、アクチュエータ群120、通信装置130、および、GPS受信機140が接続されている。
【0011】
本実施形態では、プロセッサ111は、メモリ112に予め記憶されているプログラムPG1を実行することにより、車両制御部115、位置情報取得部116、および、無効化実行部118として機能する。車両制御部115は、アクチュエータ群120を制御することにより、車両100を走行させる。車両制御部115は、車両100に運転者が搭乗している場合に、運転者の操作に応じてアクチュエータ群120を制御することにより、車両100を走行させることができる。車両制御部115は、車両100に運転者が搭乗しているか否かにかかわらず、遠隔制御装置200からの遠隔制御に応じてアクチュエータ群120を制御することにより、車両100を走行させることもできる。位置情報取得部116は、GPS受信機140を用いて、車両100の現在地を示す位置情報を取得する。無効化実行部118は、車両100の遠隔制御の無効化を実行する。
【0012】
遠隔制御装置200は、プロセッサ201と、メモリ202と、入出力インタフェース203と、内部バス204とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ201、メモリ202、および、入出力インタフェース203は、内部バス204を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース203には、無線通信により車両100と通信するための通信装置205が接続されている。本実施形態では、メモリ202には、ジオフェンス領域を示すジオフェンス情報GJが記憶されている。ジオフェンス領域とは、仮想的な柵であるジオフェンスで囲まれている領域のことである。
【0013】
本実施形態では、プロセッサ201は、メモリ202に予め記憶されているプログラムPG2を実行することにより、遠隔制御部210、位置情報受信部220、判定部230、および、無効化指令部240として機能する。遠隔制御部210は、車両100を遠隔制御することにより、車両100を走行させる。位置情報受信部220は、車両100から送信された位置情報を受信することにより、位置情報を取得する。判定部230は、位置情報とジオフェンス情報とを用いて、ジオフェンス領域内に車両100が位置しているかジオフェンス領域外に車両100が位置しているかを判定する。無効化指令部240は、ジオフェンス領域外に車両100が位置していると判定された場合に、車両100の遠隔制御を無効化するための指令である無効化指令を車両100に送信する。なお、遠隔制御装置200のことを遠隔制御無効化装置と呼ぶことがあり、位置情報受信部220のことを位置情報取得部と呼ぶことがある。
【0014】
図2は、ジオフェンス領域GRを模式的に示す説明図である。ジオフェンス領域GRには、車両100を製造する工場KJの少なくとも一部が含まれている。工場KJは、第1場所PL1と、第2場所PL2とを備えている。第1場所PL1は、例えば、車両100の組み立てが実施される場所であり、第2場所PL2は、例えば、車両100の検査が実施される場所である。第1場所PL1と第2場所PL2とは、車両100が走行可能な走行路SRによって接続されている。各場所PL1,PL2は、同じ建物内に設けられてもよいし、同じ敷地内の異なる建物内に設けられてもよい。各場所PL1,PL2は、屋内ではなく、屋外に設けられてもよい。各場所PL1,PL2は、複数の敷地に分散して設けられてもよい。例えば、各場所PL1,PL2は、公道あるいは私道を挟んで隣接する第1工場と第2工場とに分散して設けられてもよい。この場合、第1工場と第2工場とを合わせて工場KJと呼び、走行路SRには公道の一部あるいは私道の一部が含まれてもよい。
【0015】
本実施形態では、工場KJの敷地境界線上にジオフェンスGFが設けられており、ジオフェンス領域GRには、工場KJの全部が含まれている。ジオフェンスGFは、工場KJの敷地境界線上に設けられるのではなく、例えば、工場KJの敷地境界線から工場KJの外側に所定距離離れた位置に設けられてもよい。ジオフェンスGFは、工場KJの敷地内に設けられてもよい。すなわち、工場KJの一部がジオフェンス領域GRに含まれていなくてもよい。この場合、第1場所PL1、第2場所PL2、および、走行路SRがジオフェンスGFに囲まれていることが好ましい。なお、ジオフェンス領域GRのことを第1領域と呼ぶことがある。
【0016】
図2には、遠隔制御部210の遠隔制御により走行路SRを走行する車両100が表されている。遠隔制御部210が遠隔制御により車両100を走行させる方法について説明する。本実施形態では、遠隔制御部210は、車両100が走行路SRを通って目的地まで走行するための目標ルートを決定する。工場KJには、走行路SRを撮影する複数のカメラCMが設置されており、遠隔制御部210は、各カメラCMにより撮影された映像を解析することにより、リアルタイムで、目標ルートに対する車両100の相対的な位置および向きを取得することができる。遠隔制御部210は、車両100を目標ルートに沿って走行させるための制御指令を生成し、制御指令を車両100に送信する。車両100に搭載されている車両制御装置110は、受信した制御指令に従ってアクチュエータ群120を制御することにより、車両100を走行させる。したがって、遠隔制御システム10により、車両100を第1場所PL1から第2場所PL2まで、クレーンやコンベアなどの搬送装置を用いずに、遠隔制御により移動させることができる。なお、遠隔制御部210は、工場KJに設置されたカメラCMではなく、車両100に搭載されているGPS受信機140を用いて、目標ルートに対する車両100の相対的な位置および向きを取得してもよい。
【0017】
図3は、車両100において実行される位置情報取得処理の内容を示すフローチャートであり、図4は、遠隔制御装置200において実行される判定処理の内容を示すフローチャートであり、図5は、車両100において実行される無効化実行処理の内容を示すフローチャートである。図3から図5を用いて、遠隔制御システム10において実行される遠隔制御無効化方法について説明する。
【0018】
図3に示す位置情報取得処理は、車両100の遠隔制御が有効である間、車両100の位置情報取得部116により繰り返し実行される。位置情報取得処理が開始されると、ステップS110にて、位置情報取得部116は、車両100の位置情報を前回取得したタイミングから所定時間が経過したか否かを判定する。初めて位置情報取得処理が実行される場合には、位置情報取得部116は、ステップS110の処理をスキップする。所定時間は、数秒、あるいは、数十秒程度であることが好ましい。ステップS110において位置情報を前回取得したタイミングから所定時間が経過したと判定されなかった場合には、位置情報取得部116は、ステップS110後の処理をスキップして、位置情報取得処理を終了する。
【0019】
ステップS110において位置情報を前回取得したタイミングから所定時間が経過したと判定された場合には、位置情報取得部116は、ステップS120にて、GPS受信機140を用いて、車両100の現在地を示す位置情報を取得する。例えば、車両100が工場KJから販売店に搬送される際に、GPS受信機140がオフにされる場合がある。GPS受信機140がオフにされている場合には、GPS受信機140がオンにされたタイミングで、位置情報の取得が実行される。ステップS130にて、位置情報取得部116は、通信装置130を介して、位置情報を遠隔制御装置200に送信する。その後、位置情報取得部116は、位置情報取得処理を終了する。
【0020】
図4に示す判定処理は、車両100の遠隔制御が有効である間、遠隔制御装置200により繰り返し実行される。判定処理が開始されると、ステップS210にて、位置情報受信部220は、位置情報を受信したか否かを判定する。ステップS210において位置情報を受信したと判定されなかった場合には、遠隔制御装置200は、ステップS210後の処理をスキップして、判定処理を終了する。
【0021】
ステップS210において位置情報を受信したと判定された場合には、位置情報受信部220から判定部230に位置情報が送信され、判定部230は、ステップS220にて、位置情報とジオフェンス情報GJとを用いて、車両100がジオフェンス領域GR外に位置しているか否かを判定する。ステップS220において車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定されなかった場合、換言すれば、車両100がジオフェンス領域GR内に位置していると判定された場合には、遠隔制御装置200は、ステップS220後の処理をスキップして、判定処理を終了する。
【0022】
ステップS220において車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定された場合には、無効化指令部240は、ステップS230にて、無効化指令を車両100に送信する。その後、遠隔制御装置200は、判定処理を終了する。
【0023】
図5に示す無効化実行処理は、車両100の遠隔制御が有効である間、車両100の無効化実行部118により繰り返し実行される。無効化実行処理が開始されると、ステップS310にて、無効化実行部118は、無効化指令を受信したか否かを判定する。ステップS310において無効化指令を受信したと判定されなかった場合には、無効化実行部118は、ステップS310後の処理をスキップして、この処理を終了する。
【0024】
ステップS310において無効化指令を受信したと判定された場合には、無効化実行部118は、車両100の遠隔制御の無効化を実行する。本実施形態では、無効化実行部118は、無効化指令を受信したと判定された場合に、直ちに遠隔制御を無効化する。無効化実行部118は、無効化指令を受信したタイミングから所定時間が経過した後に遠隔制御を無効化してもよい。無効化実行部118は、遠隔制御を可逆的に無効化してもよいし、不可逆的に無効化してもよい。遠隔制御を可逆的に無効化するとは、遠隔制御を再び有効化できるように無効化することを意味し、遠隔制御を不可逆的に無効化するとは、遠隔制御を再び有効化できないように無効化することを意味する。遠隔制御を可逆的に無効化する場合には、無効化実行部118は、例えば、遠隔制御を有効化する権限を有しているか否かの認証をクリアしない限り、遠隔制御を使用不可能にする。遠隔制御を不可逆的に無効化する場合には、無効化実行部118は、例えば、メモリ112に記憶されているプログラムPG1から遠隔制御に関する部分を削除することにより、遠隔制御を使用不可能にする。車両制御装置110と通信装置130との間に不可逆的に開閉するリレーが設けられている場合には、無効化実行部118は、リレーの開閉により車両制御装置110と通信装置130との接続を遮断することで、遠隔制御を不可逆的に無効化してもよい。その後、無効化実行部118は、無効化実行処理を終了する。
【0025】
以上で説明した本実施形態における遠隔制御システム10によれば、車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定された場合には、車両100の遠隔制御が無効化される。したがって、第三者により車両100の遠隔制御が行われることを抑制できる。
【0026】
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態における遠隔制御システム10bにおいて実行される無効化実行処理の内容を示すフローチャートである。本実施形態では、車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定された後、所定条件を満たすと判定された場合に無効化が実行されることが第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0027】
本実施形態では、無効化実行処理が開始されると、ステップS410にて、無効化実行部118は、無効化指令を受信したか否かを判定する。ステップS410において無効化指令を受信したと判定されなかった場合には、無効化実行部118は、ステップS410後の処理をスキップして、この処理を終了する。
【0028】
ステップS410において無効化指令を受信したと判定された場合、無効化実行部118は、ステップS415にて、所定条件を満たすか否かを判定する。本実施形態では、所定条件は、以下の条件Aと条件Bとのいずれか一方を満たすことである。
・条件A:車両100が無効化指令を受信してから車両100が所定距離を移動した。
・条件B:車両100が無効化指令を受信してから車両100の速度が所定速度を超えた。
【0029】
条件Aにおける車両100の移動には、車両100が自走することによる移動と、車両100がトレーラーなどにより搬送されることによる移動とが含まれる。無効化実行部118は、例えば、GPS受信機140を用いて、車両100が無効化指令を受信してから車両100が所定距離を移動したか否かを判定できる。
【0030】
条件Bにおける車両100の速度には、自走時の速度とトレーラーなどによる搬送時の速度とが含まれる。無効化実行部118は、例えば、GPS受信機140を用いて取得される位置情報の時系列データを用いて車両100の速度を算出できる。車両100に速度センサが設けられている場合には、無効化実行部118は、速度センサを用いて車両100の速度を取得できる。所定速度は、例えば、時速80kmに設定される。この場合、車両100が工場KJから販売店までトレーラーにより搬送される際に、トレーラーが高速道路上を走行することにより、無効化が実行される。
【0031】
上記所定条件は、条件Aと条件Bとの両方を満たすことでもよい。あるいは、上記所定条件は、車両100が無効化指令を受信してから所定時間内に、無効化指令がキャンセルされなかったことでもよい。この場合、判定部230により車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定された後、判定部230により車両100がジオフェンス領域GR内に位置していると判定された場合に、無効化指令部240は、無効化指令をキャンセルする指令を車両100に送信する。
【0032】
ステップS415において所定条件を満たすと判定されなかった場合には、無効化実行部118は、ステップS418にて、所定条件が満たされないまま所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS418において所定条件が満たされないまま所定時間が経過したと判定されなかった場合には、無効化実行部118は、ステップS415に戻り、再び、所定条件を満たしたか否かを判定する。ステップS418において所定条件が満たされないまま所定時間が経過したと判定された場合には、無効化実行部118は、遠隔制御の無効化を実行せずに、無効化処理を終了する。
【0033】
ステップS415において所定条件を満たすと判定された場合には、無効化実行部118は、ステップS420にて、遠隔制御を無効化する。その後、無効化実行部118は、無効化処理を終了する。
【0034】
以上で説明した本実施形態における遠隔制御システム10bによれば、車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定された後、所定条件を満たした場合に、車両100の遠隔制御が無効化されるため、遠隔制御が誤って無効化されることを抑制できる。
【0035】
C.第3実施形態:
図7は、第3実施形態における遠隔制御システム10cにおいて実行される判定処理の内容を示すフローチャートであり、図8は、第3実施形態における遠隔制御システム10cにおいて実行される無効化実行処理の内容を示すフローチャートであり、図9は、第3実施形態におけるジオフェンス領域GR1,GR2を模式的に示す説明図である。本実施形態では、車両100の遠隔制御が可逆的に無効化された後、車両100がジオフェンス領域GR内に位置していると判定された場合に、車両100の遠隔制御が有効化されることが第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0036】
図9に示すように、本実施形態では、工場KJの少なくとも一部を含むジオフェンス領域GR1に加えて、工場KJを含まないジオフェンス領域GR2が設けられている。以下の説明では、工場KJの少なくとも一部を含むジオフェンス領域GR1のことを第1ジオフェンス領域GR1と呼び、工場KJを含まないジオフェンス領域GR2のことを第2ジオフェンス領域GR2と呼ぶ。第1ジオフェンス領域GR1と第2ジオフェンス領域GR2とを特に区別せずに説明する場合には、単にジオフェンス領域GRと呼ぶ。第2ジオフェンス領域GR2は、例えば、車両100の販売店に設けられる。第2ジオフェンス領域GR2は、車両100が船積みされる港に設けられてもよい。第2ジオフェンス領域GR2は、車両100を遠隔制御することにより作業員の工数を削減可能な場所に設けられることが好ましい。本実施形態では、遠隔制御装置200のメモリ202に記憶されているジオフェンス情報GJには、第1ジオフェンス領域GR1に関する情報と、第2ジオフェンス領域GR2に関する情報とが含まれている。なお、第1ジオフェンス領域GR1のことを第1領域GR1と呼び、第2ジオフェンス領域GR2のことを第2領域GR2と呼ぶことがある。
【0037】
本実施形態では、図3に示した位置情報取得処理、図7に示す判定処理、および、図8に示す無効化実行処理は、車両100の遠隔制御が有効である間だけではなく、車両100の遠隔制御が無効化された後も繰り返し実行される。図7に示す判定処理が開始されると、ステップS510にて、位置情報受信部220は、位置情報を受信したか否かを判定する。ステップS510において位置情報を受信したと判定されなかった場合には、遠隔制御装置200は、ステップS510後の処理をスキップして、判定処理を終了する。ステップS510において位置情報を受信したと判定された場合には、位置情報受信部220から判定部230に位置情報が送信され、判定部230は、ステップS520にて、位置情報とジオフェンス情報GJとを用いて、車両100がジオフェンス領域GR外に位置しているか否かを判定する。
【0038】
ステップS520において車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定された場合には、無効化指令部240は、ステップS530にて、無効化指令を車両100に送信する。ステップS520において車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定されなかった場合には、判定部230は、ステップS535にて、車両100の遠隔制御を有効化するための有効化指令を車両100に送信する。ステップS530またはステップS535の後、遠隔制御装置200は、判定処理を終了する。
【0039】
図8に示す無効化実行処理が開始されると、ステップS610にて、無効化実行部118は、無効化指令を受信したか否かを判定する。ステップS610において無効化指令を受信したと判定された場合には、無効化実行部118は、ステップS620にて、遠隔制御の可逆的な無効化を実行する。その後、無効化実行部118は、無効化実行処理を終了する。
【0040】
ステップS610において無効化指令を受信したと判定されなかった場合には、無効化実行部118は、ステップS615にて、有効化指令を受信したか否かを判定する。ステップS615において有効化指令を受信したと判定された場合には、無効化実行部118は、ステップS625にて、遠隔制御の有効化を実行する。その後、無効化実行部118は、無効化実行処理を終了する。ステップS615において有効化指令を受信したと判定されなかった場合には、無効化実行部118は、ステップS625をスキップして、無効化実行処理を終了する。
【0041】
以上で説明した本実施形態における遠隔制御システム10cによれば、ジオフェンス領域GR外において第三者により車両100の遠隔制御が行われることを抑制しつつ、ジオフェンス領域GR内において車両100の遠隔制御を行うことができる。
【0042】
D.第4実施形態:
図10は、第4実施形態における遠隔制御システム10dの構成を模式的に示す説明図である。本実施形態では、車両100がジオフェンス領域GR外に位置しているか否かの判定が遠隔制御装置200ではなく車両100において実行されることが第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0043】
本実施形態では、車両制御装置110のプロセッサ111は、車両制御部115と位置情報取得部116と無効化実行部118に加えて、判定部117としても機能する。車両制御装置110のメモリ112には、ジオフェンス情報GJが記憶されている。判定部117は、位置情報とジオフェンス情報GJとを用いて、車両100がジオフェンス領域GR内に位置しているか車両100がジオフェンス領域GR外に位置しているかを判定する。なお、本実施形態では、図1に示した位置情報受信部220、判定部230、および、無効化指令部240が遠隔制御装置200に設けられていない。
【0044】
図11は、本実施形態における無効化処理の内容を示すフローチャートである。無効化処理は、車両100の遠隔制御が有効化されている間、車両制御装置110により繰り返し実行される。無効化処理が開始されると、ステップS710にて、位置情報取得部116は、車両100の位置情報を前回取得したタイミングから所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS710において位置情報を前回取得したタイミングから所定時間が経過したと判定されなかった場合には、位置情報取得部116は、ステップS710後の処理をスキップして、無効化処理を終了する。ステップS710において位置情報を前回取得したタイミングから所定時間が経過したと判定された場合には、位置情報取得部116は、ステップS720にて、GPS受信機140を用いて、車両100の現在地を示す位置情報を取得する。
【0045】
ステップS730にて、判定部117は、位置情報とジオフェンス情報GJとを用いて、車両100がジオフェンス領域GR外に位置しているか否かを判定する。ステップS730において車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定されなかった場合には、判定部117は、ステップS730後の処理をスキップして、無効化処理を終了する。ステップS730において車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定された場合には、無効化実行部118は、ステップS740にて、遠隔制御の無効化を実行する。その後、車両制御装置110は、無効化処理を終了する。
【0046】
以上で説明した本実施形態における遠隔制御システム10dによれば、第1実施形態と同様に、車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定された場合には、車両100の遠隔制御が無効化される。したがって、第三者により車両100の遠隔制御が行われることを抑制できる。特に、本実施形態では、遠隔制御装置200を用いずに、車両100の遠隔制御を無効化することができる。
【0047】
E.他の実施形態:
(E1)上述した第1実施形態から第3実施形態の遠隔制御システム10~10cにおいて、位置情報受信部220、判定部230、および、無効化指令部240は、遠隔制御装置200上に設けられている。これに対して、位置情報受信部220、判定部230、および、無効化指令部240は、遠隔制御装置200とは異なるコンピュータ上に設けられてもよい。この場合、当該コンピュータのことを遠隔制御無効化装置と呼ぶ。遠隔制御無効化装置には、無線通信により車両100と通信するための通信装置が接続され、遠隔制御無効化装置のメモリにはジオフェンス情報GJが記憶される。
【0048】
(E2)上述した第2実施形態の遠隔制御システム10bにおいて、ステップS415の所定条件を満たしたか否かの判定は、遠隔制御装置200上で実行されてもよい。この場合、条件Aを満たすか否かを判定するために、車両100の移動距離を算出するための情報が車両100から遠隔制御装置200に送信され、条件Bを満たすか否かを判定するために、車両100の速度を算出するための関する情報が車両100から遠隔制御装置200に送信される。
【0049】
(E3)上述した第4実施形態の遠隔制御システム10dにおいて、第2実施形態と同様に、車両100がジオフェンス領域GR外に位置していると判定された後、所定条件を満たすと判定された場合に無効化が実行されてもよい。第3実施形態と同様に、車両100の遠隔制御が可逆的に無効化された後、車両100がジオフェンス領域GR内に位置していると判定された場合に、車両100の遠隔制御が有効化されてもよい。
【0050】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10~10d…遠隔制御システム、100…車両(移動体)、110…車両制御装置、111…プロセッサ、112…メモリ、113…入出力インタフェース、114…内部バス、115…車両制御部、116…位置情報取得部、117…判定部、118…無効化実行部、120…アクチュエータ群、130…通信装置、140…GPS受信機、200…遠隔制御装置(遠隔制御無効化装置)、201…プロセッサ、202…メモリ、203…入出力インタフェース、204…内部バス、205…通信装置、210…遠隔制御部、220…位置情報受信部(位置情報取得部)、230…判定部、240…無効化指令部
【要約】
【課題】第三者により移動体の遠隔制御が行われることを抑制する。
【解決手段】遠隔制御システムは、遠隔制御により移動可能な移動体であって、遠隔制御を無効化する無効化実行部を備える移動体と、移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報を用いて、予め定められた第1領域内に移動体が位置しているか第1領域外に移動体が位置しているかを判定する判定部と、第1領域外に移動体が位置していると判定された場合に、無効化実行部に遠隔制御を無効化させるための無効化指令を移動体に送信する無効化指令部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11