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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】車両及び駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B60W30/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023069329
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2021170254の分割
【原出願日】2018-04-03
(65)【公開番号】P2023086840
(43)【公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 仙之
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/124085(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/122704(WO,A1)
【文献】特開2016-175553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0029591(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/06
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が駐車予定の駐車スペースの降車スペースが所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記降車スペースが前記所定の条件を満たさないと判定された場合に、前記車両を自動的に制御する自動駐車制御のうち、前記車両の外部から実行要求が行われるリモート駐車を前記車両のユーザに提案する提案手段と、
を備え
前記提案手段は、前記ユーザが前記車両に乗車した状態で前記自動駐車制御により、前記車両が前記駐車スペースまで移動される途中で、前記リモート駐車を提案する
ことを特徴とする車両。
【請求項2】
前記判定手段による前記降車スペースが前記所定の条件を満たすか否かの判定は、前記車両を前記駐車スペースに移動させた場合に十分な降車スペースが存在するか否かを判定することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記判定手段による前記降車スペースが前記所定の条件を満たすか否かの判定は、前記車両に搭載されたカメラに基づいて行われることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記判定手段は、前記自動駐車制御が行われているときに、前記降車スペースが前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項5】
当該車両は、前記リモート駐車が提案された後、前記ユーザが前記リモート駐車を承諾した場合に、前記自動駐車制御を待機状態に変更する移行手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記自動駐車制御が前記待機状態になった後、前記車両の前記外部から前記実行要求を受信した場合に、前記移行手段は、前記自動駐車制御を再開することを特徴とする請求項5に記載の車両。
【請求項7】
車両が駐車予定の駐車スペースの降車スペースが所定の条件を満たすか否かを判定する判定工程と、
前記降車スペースが前記所定の条件を満たさないと判定された場合に、前記車両を自動的に制御する自動駐車制御のうち、前記車両の外部から実行要求が行われるリモート駐車を前記車両のユーザに提案する提案工程と、
を含み、
前記提案工程において、前記ユーザが前記車両に乗車した状態で前記自動駐車制御により、前記車両が前記駐車スペースまで移動される途中で、前記リモート駐車が提案される
ことを特徴とする駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、及び、車両の目標駐車位置への駐車を行う駐車支援方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、車両を所定の駐車位置へ移動させる自動駐車制御を行う装置であって、自動駐車制御の実行中にドアの開動作が検出された場合に自動駐車制御を終了して車両を停止させる装置が提案されている(特許文献1参照)。例えば、自律的及び部分自律的運転マヌーバを実施するためのアシスタント・システムによる運転マヌーバの実行中に、車両のドアが開いている等の運転マヌーバを安全に実施できない要因が存在する場合、アシスタント・システム及び/又は車両を、定義されたイニシャル状態等の安全な状態へ移行させる技術が提案されている(特許文献2参照)。その他、関連する技術として、特許文献3乃至5に記載の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-120403号公報
【文献】特許第6138130号
【文献】特開2017-182463号
【文献】特開2015-034484号公報
【文献】特開2007-331479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両を目標位置へ駐車させる場合、駐車スペースの広さによっては、車両が目標位置へ移動している途中で、搭乗者が降車したり、荷おろしをしたりすることがある。他方で、自動駐車制御の実行中にドアが開けられると、例えば特許文献1及び2に記載されているように、安全性の観点から自動駐車制御が終了してしまう。しかしながら、車両が目標位置へ到達する前の降車や荷おろしに起因してドアが開けられた場合にも、自動駐車制御が終了してしまうと、自動駐車制御を再開するために、例えば目標位置等を再度入力する必要があり、ユーザの利便性が損なわれてしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザの利便性を向上することが
できる車両及び駐車支援方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両は、車両が駐車予定の駐車スペースの降車スペースが所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、前記降車スペースが前記所定の条件を満たさないと判定された場合に、前記車両を自動的に制御する自動駐車制御のうち、前記車両の外部から実行要求が行われるリモート駐車を前記車両のユーザに提案する提案手段と、を備え、前記提案手段は、前記ユーザが前記車両に乗車した状態で前記自動駐車制御により、前記車両が前記駐車スペースまで移動される途中で、前記リモート駐車を提案するというものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る駐車支援装置の構成を示すブロック図である。
図2】駐車動作の一例を示す図である。
図3】第1実施形態に係る駐車処理動作を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態に係る駐車処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
駐車支援装置に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
<第1実施形態>
駐車支援装置に係る第1実施形態について図1乃至図3を参照して説明する。
【0010】
(構成)
第1実施形態に係る駐車支援装置の構成について図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る駐車支援装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1において、駐車支援装置100は、車両1に搭載されている。車両1は、例えば車速センサ、ヨーレートセンサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、ステアリングセンサ、ドアセンサ、シフトセンサ等を含む車両状態センサ21と、例えばカメラ、ミリ波レーダ等を含む周辺監視センサ22と、例えばスロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、ステアリングアクチュエータ等の各種アクチュエータ24を夫々制御する各種ECU(Electronic Control Unit)23と、を備えて構成されている。
【0012】
駐車支援装置100は、車両1を目標駐車位置へ駐車させる駐車処理動作を実行可能に構成されている。駐車支援装置100は、駐車処理動作を実行するために、その内部に論理的に実現される処理ブロックとして又は物理的に実現される処理回路として、受付部11、判定部12、状態移行部13、メモリ14及び自動駐車制御部15を備えて構成されている。駐車支援装置100は、駐車処理動作の一態様として、遠隔操作により車両1を駐車させる所謂リモート駐車を実行可能に構成されている。
【0013】
受付部11は、リモート駐車時に車両1のユーザにより操作される操作端末31から発信される信号を受け付け可能に構成されている。受付部11は更に、車両1の車室内に設けられている駐車支援ボタン32及びリモート駐車ボタン33各々から出力される信号も受け付け可能に構成されている。ここで、駐車支援ボタン32は、車両1のユーザが駐車支援装置100による車両1の駐車(即ち、駐車処理動作)を希望する旨の意思表示をするためのボタンである。リモート駐車ボタン33は、車両1のユーザが、駐車処理動作の一態様としてのリモート駐車を希望する旨の意思表示をするためのボタンである。
【0014】
リモート駐車の実行方法には、既存の各種態様を適用可能である。一例を挙げると、ユーザがリモート駐車ボタン33を押下した後に、ユーザが車両1の外部から操作端末31を操作することにより、リモート駐車が実行される。
【0015】
メモリ14には、駐車処理動作を実行するために必要な情報が格納されている。該情報には、例えば車両1のサイズ(即ち、長さ、幅、高さ)等の車両1に係る固有情報に限らず、例えば目標駐車位置、切り返し地点等の経由位置、等を示す一時的な情報も含まれていてよい。
【0016】
自動駐車制御部15は、駐車支援装置100の中核をなす構成要素である。自動駐車制御部15は、駐車処理動作の一部として、車両1を駐車させるために、車両状態センサ21から出力される信号及び周辺監視センサ22から出力される信号等に基づいて、各種ECU23を介して、各種アクチュエータ24を制御する。自動駐車制御部15が、車両1を駐車させるために各種アクチュエータ24を制御することを、適宜「自動駐車制御」と称する。
【0017】
自動駐車制御部15は、操作端末31から発信された又は駐車支援ボタン32から出力された、自動駐車制御の実行要求を示す信号が受付部11により受け付けられたことを条件に、自動駐車制御を実行する。操作端末31から発信された自動駐車制御の実行要求を示す信号が受付部11により受け付けられた場合に実行される自動駐車制御が、「リモート駐車」に該当する。尚、判定部12及び状態移行部13については後述する。
【0018】
(駐車処理動作)
上述の如く構成された駐車支援装置100を搭載する車両1の駐車動作の一例について図2を参照して説明する。図2に示す例では、車両1が地点Bまで前進し、地点Bから後退しながら目標駐車位置に移動するものとする。
【0019】
駐車支援装置100により車両1が駐車される場合、次の4つのパターンが挙げられる。即ち、(i)図2の地点Aまでユーザ(即ち、ドライバ)が車両1を運転し、地点Aから目標駐車位置までは、ユーザが車両1に乗車した状態で、駐車支援装置100により車両1が移動される。(ii)図2の地点Aまでユーザが車両1を運転し、地点Aでユーザが車両1から降車した後、駐車支援装置100により車両1が目標駐車位置まで移動される(即ち、リモート駐車が行われる)。(iii)図2の地点Cまでユーザが車両1を運転し、地点Cから地点Aまでは、ユーザが車両1に乗車した状態で、駐車支援装置100により車両1が移動され、地点Aでユーザが車両1から降車した後、駐車支援装置100により車両1が目標駐車位置まで移動される。(iv)図2の地点Cまでユーザが車両1を運転し、地点Cから地点Aまでは、ユーザが車両1に乗車した状態で、駐車支援装置100により車両1が移動され、地点Aでドアが開放され(例えば、車両1に複数の人が乗車している場合にユーザ以外の人が降車した、或いは、ユーザが荷おろしをした)、その後、ユーザが車両1に乗車した状態で、駐車支援装置100により車両1が目標駐車位置まで移動される。
【0020】
上記(iii)及び(iv)の場合、駐車支援装置100による車両1の移動(即ち、駐車処理動作)が開始された後、車両1が目標駐車位置に到達する前に、車両1のドアが開放される。このとき、ドアが開放されたことに起因して駐車処理動作がリセットされてしまうと、駐車支援装置100により地点Aから目標駐車位置まで車両1を移動させるために、ユーザは駐車処理動作に係る操作を再度始めから行わなければならない。尚、上記(i)及び(ii)の場合は、このような問題は生じない。
【0021】
そこで、本実施形態では、駐車支援装置100による車両1の移動が開始された後、車両1が目標駐車位置に到達する前に、車両1のドアが開放された場合、状態移行部13が、メモリ14に格納されている目標駐車位置等を示す一時的な情報を維持しつつ(即ち、目標駐車位置等を示す一時的な情報をメモリ14から消去せずに)、自動駐車制御部15による自動駐車制御を待機状態に移行する。状態移行部13は、自動駐車制御が待機状態であるときに、自動駐車制御の実行要求があった場合、自動駐車制御部15に自動駐車制御を再開させる。
【0022】
従って、本実施形態では、駐車支援装置100による車両1の移動が開始された後、車両1が目標駐車位置に到達する前に、車両1のドアが開放されたとしても、駐車処理動作はリセットされないので、ユーザが駐車処理動作に係る操作をやり直す必要はない。更には、自動駐車制御部15もまた目標駐車位置の再設定等を行う必要はないため、目標駐車位置の再設定等を行う必要がある場合と比較して、車両1のドアが開放された後の自動駐車制御の再開に要する時間が短縮される。
【0023】
本実施形態に係る駐車処理動作について、図3のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0024】
図3において、自動駐車制御部15が自動駐車制御を実行しているときに(ステップS101)、判定部12は、車両状態センサ21から出力された信号に基づいて、車両1のドアが開放されたか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102の処理において、ドアが開放されたと判定された場合(ステップS102:Yes)、判定部12は、駐車が完了したか否か(即ち、車両1が目標駐車位置に到達したか否か)を判定する(ステップS103)。
【0025】
ステップS103の処理において、駐車が完了したと判定された場合(ステップS103:Yes)、当該駐車処理動作は終了される。他方、ステップS103の処理において、駐車が完了していないと判定された場合(ステップS103:No)、判定部12は、リモート駐車であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0026】
ステップS104の処理において、リモート駐車であると判定された場合(ステップS104:Yes)、当該駐車処理動作は終了される。この場合は、車両1の外部から車両1のドアが開けられたと推定される。このため、この場合は、安全性の観点から駐車処理動作が終了される。
【0027】
他方、ステップS104の処理において、リモート駐車ではないと判定された場合(ステップS104:No)、状態移行部13は、メモリ14に格納されている目標駐車位置等を示す一時的な情報を維持しつつ、自動駐車制御部15による自動駐車制御を待機状態に移行する(ステップS105)。
【0028】
本実施形態において自動駐車制御が待機状態に移行する場合は、駐車支援ボタン32から出力された自動駐車制御の実行要求を示す信号が受付部11により受け付けられたことに起因して、自動駐車制御が実行された場合に限られる(なぜなら、リモート駐車の場合にドアが開放されると当該駐車処理動作が終了されるからである)。駐車支援ボタン32から出力された自動駐車制御の実行要求を示す信号に起因して、自動駐車制御が実行された場合、受付部11は、自動駐車制御が待機状態になったことを条件に、操作端末31から発信された信号の受け付けを許可してよい(この場合、受付部11は、自動駐車制御が待機状態になるまで、操作端末31から発信された信号の受け付けを禁止してもよいし、操作端末31から発信された信号を受け付けた上で無効なものとして処理してもよい)。このように構成すれば、当該駐車処理動作の途中からリモート駐車を実行することができる。
【0029】
その後、判定部12は、自動駐車制御の実行要求があるか否かを判定する(ステップS106)。判定部12は、駐車支援ボタン32から出力された実行要求を示す信号を受付部11が受け付けた場合、或いは、操作端末31から発信された実行要求を示す信号を受付部11が受け付けた場合、自動駐車制御の実行要求があると判定する。
【0030】
ステップS106の処理において、自動駐車制御の実行要求がないと判定された場合(ステップS106:No)、自動駐車制御の待機状態が維持される。他方、ステップS106の処理において、自動駐車制御の実行要求があると判定された場合(ステップS106:Yes)、自動駐車制御が再開される(ステップS101)。
【0031】
上述のステップS102の処理において、ドアが開放されていないと判定された場合(ステップS102:No)、判定部12は、駐車が完了したか否かを判定する(ステップS107)。ステップS107の処理において、駐車が完了していないと判定された場合(ステップS107:No)、自動駐車制御が継続される(ステップS101)。他方、ステップS107の処理において、駐車が完了していると判定された場合(ステップS107:Yes)、当該駐車処理動作は終了される。
【0032】
(技術的効果)
当該駐車支援装置100では、自動駐車制御が実行されているときに(即ち、車両1が目標駐車位置に到達する前に)車両1のドアが開放された場合、メモリ14に格納されている目標駐車位置等を示す一時的な情報が維持されたまま、自動駐車制御部15による自動駐車制御が待機状態に移行される(リモート駐車の場合を除く)。そして、自動駐車制御が待機状態であるときに、自動駐車制御の実行要求があった場合には、自動駐車制御が再開される。
【0033】
当該駐車支援装置100では、自動駐車制御が実行されているときに車両1のドアが開放されたとしても、駐車処理動作がリセットされないので、ユーザが駐車処理動作に係る操作をやり直す必要はない。従って、当該駐車支援装置100によれば、ユーザの利便性を向上させることができる。更には、自動駐車制御部15もまた目標駐車位置の再設定等を行う必要はないため、目標駐車位置の再設定等を行う必要がある場合と比較して、車両1のドアが開放された後の自動駐車制御の再開に要する時間が短縮される。従って、自動駐車制御の再開に相対的に多くの時間がかかることに起因してユーザに煩わしさを感じさせることがなく、駐車支援装置100の商品性が向上する。
【0034】
<第2実施形態>
駐車支援装置に係る第2実施形態について、図4を参照して説明する。第2実施形態では、駐車処理動作の一部が異なる以外は、上述した第1実施形態と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略するとともに、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図4を参照して説明する。
【0035】
(駐車処理動作)
本実施形態に係る駐車処理動作について、図4のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0036】
図4のステップS107の処理において、駐車が完了していないと判定された場合(ステップS107:No)、判定部12は、車両1のユーザにリモート駐車の意図があるか否かを判定する(ステップS201)。
【0037】
判定部12は、例えば次の場合に、ユーザにリモート駐車の意図があると判定する。(i)リモート駐車ボタン33が押下された状態で、車両1の停車時に、ユーザ(即ち、ドライバ)により、シフトレバーがPレンジに入れられた場合、又は、EPB(Electronic Parking Brake)若しくはブレーキペダルが操作された場合。或いは、(ii)リモート駐車ボタン33が押下された状態で、車両1が、目標駐車位置とは異なる所定の降車位置に到達して車両1が停止したときに、当該駐車支援装置100によるリモート駐車へ移行する旨の通知に対して、ユーザが承諾した場合。或いは、(iii)操作端末31が、該操作端末31の起動情報を示す信号を発信するように構成されている場合に、(リモート駐車ボタン33が押下されることに代えて、)受付部11により該起動情報を示す信号が受け付けられた後、ユーザによる操作端末31の操作に起因する信号が受付部11により受け付けられた場合。
【0038】
ステップS201の処理において、ユーザにリモート駐車の意図がないと判定された場合(ステップS201:No)、自動駐車制御が継続される(ステップS101)。他方、ステップS201の処理において、ユーザにリモート駐車の意図があると判定された場合(ステップS201:Yes)、状態移行部13は、メモリ14に格納されている目標駐車位置等を示す一時的な情報を維持しつつ、自動駐車制御部15による自動駐車制御を待機状態に移行する(ステップS202)。このとき、車両1のドアが開放されたとしても、駐車処理動作はリセットされない。
【0039】
次に、判定部12は、リモート駐車指示があるか否かを判定する(ステップS203)。判定部12は、操作端末31から発信された自動駐車制御の実行要求を示す信号を受付部11が受け付けた場合、リモート駐車指示があると判定する。ステップS203の処理において、リモート駐車指示がないと判定された場合(ステップS203:No)、自動駐車制御の待機状態が維持される。
【0040】
他方、ステップS203の処理において、リモート駐車指示があると判定された場合(ステップS203:Yes)、リモート駐車(即ち、操作端末31から発信された自動駐車制御の実行要求を示す信号が受付部11により受け付けられた場合に実行される自動駐車制御)が実行される(ステップS204)。
【0041】
このとき、駐車支援装置100は、例えば車両1の車室内を撮像するカメラの画像や、着座センサの出力等から、車両1に人が乗車していないことを確認してよい。車両1に人が乗車している場合及び/又は車両1のドアが開放されている場合、ステップS203の処理においてリモート駐車指示があると判定されたとしても、リモート駐車は実行されない。
【0042】
次に、判定部12は、車両状態センサ21から出力された信号に基づいて、車両1のドアが開放されたか否かを判定する(ステップS205)。ステップS205の処理において、ドアが開放されたと判定された場合(ステップS205:Yes)、車両1の外部から車両1のドアが開けられたと推定される。このため、この場合は、安全性の観点から当該駐車処理動作は終了される。
【0043】
他方、ドアが開放されていないと判定された場合(ステップS205:No)、判定部12は、駐車が完了したか否か(即ち、車両1が目標駐車位置に到達したか否か)を判定する(ステップS206)。
【0044】
ステップS206の処理において、駐車が完了したと判定された場合(ステップS206:Yes)、当該駐車処理動作は終了される。他方、ステップS206の処理において、駐車が完了していないと判定された場合(ステップS206:No)、リモート駐車が継続される(ステップS204)。
【0045】
(技術的効果)
本実施形態に係る駐車支援装置100によれば、上述した第1実施形態に係る駐車支援装置100と同様に、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0046】
<変形例>
駐車支援装置100は、例えば周辺監視センサ22から出力される信号(例えば車両1の周辺を撮像するカメラの画像を示す信号等)から、駐車スペースに車両1を移動させた場合、十分な降車スペースが存在するか否かを判定してよい。
【0047】
(i)駐車支援装置100は、駐車スペースに車両1を移動させた場合に十分な降車スペースがないと判定された場合、自動駐車制御の実行中に、車両1のユーザの意思にかかわらず、車両1を停止して、ユーザにリモート駐車を提案してよい。ユーザがリモート駐車を承諾した場合、メモリ14に格納されている目標駐車位置等を示す一時的な情報が維持されたまま、自動駐車制御部15による自動駐車制御が待機状態に移行されてよい(即ち、図4のステップS202の処理に相当する処理が行われてよい)。
【0048】
或いは、(ii)駐車支援装置100は、駐車スペースに車両1を移動させた場合に十分な降車スペースがないと判定された場合、自動駐車制御の実行中に、車両1のユーザの意思にかかわらず、車両1を停止して、ユーザに降車を提案してよい。ユーザが降車を承諾した場合、メモリ14に格納されている目標駐車位置等を示す一時的な情報が維持されたまま、自動駐車制御部15による自動駐車制御が待機状態に移行されてよい。この場合、駐車支援装置100は、ユーザが降車した後、自動で(即ち、リモート駐車とは異なる方法により)車両1を目標駐車位置に移動させてよい。
【0049】
以上に説明した実施形態及び変形例から導き出される発明の各種態様を以下に説明する。
【0050】
発明の一態様に係る駐車支援装置は、車両を目標駐車位置へ駐車させる駐車処理動作を実行可能な駐車支援装置であって、前記駐車処理動作に係る前記目標駐車位置を保持する保持手段と、前記駐車処理動作の一部として、前記目標駐車位置に前記車両が駐車するように前記車両を自動で制御する自動駐車制御を行う自動駐車手段と、前記車両が前記目標駐車位置に到達する前に、前記車両の扉が開状態となったことを条件に、前記保持手段に前記目標駐車位置を保持させたまま、前記自動駐車制御を待機状態に移行する移行手段と、を備え、前記移行手段は、前記自動駐車制御が前記待機状態であるときに、前記自動駐車制御の実行要求があったことを条件に、前記自動駐車手段に前記自動駐車制御を再開させるというものである。
【0051】
上述の実施形態においては、「メモリ14」が「保持手段」の一例に相当し、「自動駐車制御部15」が「自動駐車手段」の一例に相当し、「状態移行部13」が「移行手段」の一例に相当する。
【0052】
「目標駐車位置に車両が駐車するように車両を自動で制御する」とは、車両のドライバが、例えばステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル等を操作することなく(ただし、車両のドライバが、リモート駐車のための操作端末(上述の実施形態における“操作端末31”に相当)を操作することは除く)、目標位置に車両が駐車するように車両が制御されることを意味する。
【0053】
当該駐車支援装置では、自動駐車制御の実行中の車両が目標駐車位置に到達する前に、車両の扉が開状態となったとしても、保持手段が目標駐車位置を保持したまま、自動駐車制御が待機状態に移行される。このため、自動駐車制御を再開するときに、ユーザが駐車処理動作に係る操作を初めから行う必要がない。つまり、当該駐車支援装置では、自動駐車制御の実行中の車両が目標駐車位置に到達する前に、車両の扉が開状態となったとしても、例えば目標駐車位置を再設定することなく、自動駐車制御を再開することができる。従って、当該駐車支援装置によれば、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0054】
当該駐車支援装置の一態様では、前記車両の外部からの前記自動駐車制御の実行要求を受け付け可能な受付手段を備える。この態様によれば、当該駐車支援装置に、リモート駐車(即ち、車両の外部からの実行要求に起因する自動駐車制御)を実行させることができる。
【0055】
この態様では、前記受付手段は、更に、前記車両の車室内からの前記自動駐車制御の実行要求を受け付け可能であり、前記車室内からの前記自動駐車制御の実行要求に起因して前記自動駐車手段により前記自動駐車制御が開始され、その後前記自動駐車制御が前記待機状態に移行した場合、前記受付手段は、前記外部からの前記自動駐車制御の実行要求の受け付けを許可してよい。このように構成すれば、自動駐車制御の途中でリモート駐車に切り替えることができる。
【0056】
尚、車室内からの自動駐車制御の実行要求に起因して自動駐車手段により自動駐車制御が開始された後、自動駐車制御が待機状態になるまでの期間については、受付手段は、典型的には、車両の外部からの自動駐車制御の実行要求を受け付けないが、受付手段は、車両の外部からの自動駐車制御の実行要求を受け付けた場合に、該実行要求を無効なものとして処理してもよい。
【0057】
当該駐車支援装置の他の態様では、前記自動駐車制御の実行中、且つ、前記車両の扉が閉状態である場合に、前記車両のユーザの、前記車両の外部からの操作による前記自動駐車制御の実行の意図があるか否かを判定する判定手段を備え、前記移行手段は、前記意図があると判定されたことを条件に、前記保持手段に前記目標駐車位置を保持させたまま、前記自動駐車制御を前記待機状態に移行する。
【0058】
この態様によれば、ユーザのリモート駐車の実行の意図(即ち、車両の外部からの操作による自動駐車制御の実行の意図)に応じて、自動駐車制御が待機状態に移行されるので、自動駐車制御の途中でのリモート駐車への切り替えを容易に行うことができる。尚、上述の実施形態においては、「判定部12」が「判定手段」の一例に相当する。
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駐車支援装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
1…車両、11…受付部、12…判定部、13…状態移行部、14…メモリ、15…自動駐車制御部、21…車両状態センサ、22…周辺監視センサ、23…各種ECU、24…各種アクチュエータ、31…操作端末、32…駐車支援ボタン、33…リモート駐車ボタン、100…駐車支援装置
図1
図2
図3
図4