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特許7517543入力支援装置、入力支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】入力支援装置、入力支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0484 20220101AFI20240709BHJP
【FI】
G06F3/0484
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023105584
(22)【出願日】2023-06-28
(62)【分割の表示】P 2020216801の分割
【原出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2023115225
(43)【公開日】2023-08-18
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 博明
(72)【発明者】
【氏名】吉川 裕紀
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-005534(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0119319(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0173242(US,A1)
【文献】特開2015-102881(JP,A)
【文献】特開2006-190035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/02 - 3/027
15/02
15/04
H03M 11/00 - 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の計算式での計算のために必要な複数の数値の入力を1問1答形式で案内表示することにより前記複数の数値を順番に入力させていく入力支援装置であって、
前記所定の計算式での今回の計算のために入力された数値を、当該数値の入力に続けて所定の操作が実行された場合に前記所定の計算式と同じ計算式での次回の計算のときの既定値として設定する設定手段を備え、
第1操作キーの操作により前記案内表示が開始される第1計算式での計算と、前記第1操作キーとは異なる第2操作キーの操作により前記案内表示が開始される前記第1計算式とは異なる第2計算式での計算との間で、前記既定値を設定するための前記所定の操作が異なるように設定されている、
ことを特徴とする入力支援装置。
【請求項2】
前記第1計算式での計算のときの前記所定の操作は、第1操作態様での操作により前記数値の入力を確定するための第3操作キーに対する、前記第1操作態様とは異なる第2操作態様での操作であり、
前記第2計算式での計算のときの前記所定の操作は、前記第3操作キーとは異なる第4操作キーに対する、前記第1操作態様での操作である、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力支援装置。
【請求項3】
前記第1操作態様は、短押しであり、
前記第2操作態様は、長押しである、
ことを特徴とする請求項2に記載の入力支援装置。
【請求項4】
前記第1計算式での計算は薬事に係る計算であり、
前記第2計算式での計算は金融に係る計算である、
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の入力支援装置。
【請求項5】
所定の計算式での計算のために必要な複数の数値の入力を1問1答形式で案内表示することにより前記複数の数値を順番に入力させていく入力支援装置が実行する入力支援方法であって、
前記所定の計算式での今回の計算のために入力された数値を、当該数値の入力に続けて所定の操作が実行された場合に前記所定の計算式と同じ計算式での次回の計算のときの既定値として設定する設定処理を含み、
第1操作キーの操作により前記案内表示が開始される第1計算式での計算と、前記第1操作キーとは異なる第2操作キーの操作により前記案内表示が開始される前記第1計算式とは異なる第2計算式での計算との間で、前記既定値を設定するための前記所定の操作が異なるように設定されている、
ことを特徴とする入力支援方法。
【請求項6】
所定の計算式での計算のために必要な複数の数値の入力を1問1答形式で案内表示することにより前記複数の数値を順番に入力させていく入力支援装置のコンピュータを、
前記所定の計算式での今回の計算のために入力された数値を、当該数値の入力に続けて所定の操作が実行された場合に前記所定の計算式と同じ計算式での次回の計算のときの既定値として設定する設定手段として機能させ、
第1操作キーの操作により前記案内表示が開始される第1計算式での計算と、前記第1操作キーとは異なる第2操作キーの操作により前記案内表示が開始される前記第1計算式とは異なる第2計算式での計算との間で、前記既定値を設定するための前記所定の操作が異なるように設定されている、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力支援装置、入力支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、データを処理する装置において、1以上のデータの入力対象項目を含むデータセットの各項目への入力を、複数のデータセット分、繰り返す処理が実行されている。例えば、特許文献1に記載された情報処理システムでは、パラメータとして複数の項目が設けられており、複数の項目に対して繰り返してデータの入力が実行される。
【0003】
特許文献1に記載された情報処理システムでは、パラメータとして既定値と入力許可条件とが入力され、入力許可条件が満たされた値が次のデータ入力用の画面の入力対象項目に引き継がれて表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭63-98018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように特許文献1に記載された従来技術では、複数の項目についてデータが繰り返して入力される場合に、入力許可条件を満たす場合に、入力されたデータを記憶しておき、次の入力時に引き継ぐようにしている。
【0006】
すなわち、従来の技術では、ある項目について、入力されたデータを引き継がせる場合には、データを入力すると共に、データが入力許可される条件を設定しなければならず、簡便にデータの引き継ぎをすることができなかった。
【0007】
本発明は、前記のような課題に考慮してなされたもので、ある項目に対して入力したデータを、その項目の既定値簡便に設定することができる入力支援装置、入力支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る入力支援装置は、所定の計算式での計算のために必要な複数の数値の入力を1問1答形式で案内表示することにより前記複数の数値を順番に入力させていく入力支援装置であって、前記所定の計算式での今回の計算のために入力された数値を、当該数値の入力に続けて所定の操作が実行された場合に前記所定の計算式と同じ計算式での次回の計算のときの既定値として設定する設定手段を備え、第1操作キーの操作により前記案内表示が開始される第1計算式での計算と、前記第1操作キーとは異なる第2操作キーの操作により前記案内表示が開始される前記第1計算式とは異なる第2計算式での計算との間で、前記既定値を設定するための前記所定の操作が異なるように設定されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係る入力支援方法は、所定の計算式での計算のために必要な複数の数値の入力を1問1答形式で案内表示することにより前記複数の数値を順番に入力させていく入力支援装置が実行する入力支援方法であって、前記所定の計算式での今回の計算のために入力された数値を、当該数値の入力に続けて所定の操作が実行された場合に前記所定の計算式と同じ計算式での次回の計算のときの既定値として設定する設定処理を含み、第1操作キーの操作により前記案内表示が開始される第1計算式での計算と、前記第1操作キーとは異なる第2操作キーの操作により前記案内表示が開始される前記第1計算式とは異なる第2計算式での計算との間で、前記既定値を設定するための前記所定の操作が異なるように設定されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係るプログラムは、所定の計算式での計算のために必要な複数の数値の入力を1問1答形式で案内表示することにより前記複数の数値を順番に入力させていく入力支援装置のコンピュータを、前記所定の計算式での今回の計算のために入力された数値を、当該数値の入力に続けて所定の操作が実行された場合に前記所定の計算式と同じ計算式での次回の計算のときの既定値として設定する設定手段として機能させ、第1操作キーの操作により前記案内表示が開始される第1計算式での計算と、前記第1操作キーとは異なる第2操作キーの操作により前記案内表示が開始される前記第1計算式とは異なる第2計算式での計算との間で、前記既定値を設定するための前記所定の操作が異なるように設定されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ある項目に対して入力したデータを、その項目の既定値簡便に設定することができる入力支援装置、入力支援方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における電子機器の構成を示す図。
図2】本実施形態における電卓の電子回路の構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態における電卓の計算機能を説明するためのデータ入力操作と表示の具体例を示す図。
図4】第1実施形態における電卓の計算機能(アプリ計算処理(1))の動作を説明するためのフローチャート。
図5】第1実施形態における電卓の計算機能(アプリ計算処理(1))の動作を説明するためのフローチャート。
図6】第1実施形態における電卓の計算機能を説明するためのメモリイメージの具体例を示す図。
図7】第1実施形態における電卓の計算機能を説明するためのメモリイメージの具体例を示す図。
図8】第2実施形態における電卓の計算機能を説明するためのデータ入力操作と表示の具体例を示す図。
図9】第2実施形態における電卓の計算機能(アプリ計算処理(2))の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における電子機器の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態における電子機器は、例えば電卓10として構成される。
【0013】
なお、電子機器は、電卓10として構成する他、計算機能を有する(計算プログラムが実装された)、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、携帯電話機、PDA(personal digital assistants)、電子ブック、携帯ゲーム機、カーナビゲーションシステム等として構成することができる。なお、電卓10のような物理的なキー(ボタン)が実装されていない計算機は、電卓10のキーと同様なソフトウェアキーボードを表示し、このソフトウェアキーボードに対するキー操作に応じてデータ入力して計算処理を実行する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る電卓10は、本体正面に表示部11およびキー入力部12を備える。
【0015】
表示部11は、例えばモノクロの反射型液晶表示パネルで構成される。表示部11は、例えば、上段にドットマトリクス表示部を設け、下段に7セグメント表示部を設けている。ドットマトリクス表示部には、操作ガイド、設定情報、入力データ単位などを表す文字等を表示することができる。7セグメント表示部には、例えば10桁分の数字を表示するための7セグメントおよび小数点のセグメントが配置されており、入力された数値や計算結果の数値等を表示することができる。
【0016】
キー入力部12は、例えば数値・演算記号キー群12A、アプリ計算キー群12Bを含む。
【0017】
数値・演算記号キー群12Aは、四則演算を含む基本計算のために操作されるキーを含み、例えば「0」~「9」(数値)キー、小数点キー、「+」「-」「×」「÷」(四則記号)キー、「÷余り」キー、「+/-」(正負反転)キー12F、「OFF」(オフ)キー、「→」キー、「C」(クリア)キー、「AC」(オールクリア)キー、[=](実行)キー、複数のメモリキー([M+]キー12D、[M-]キー12E、[MRC]キー)などを含む。「÷余り」キーは、余り計算を実行するためのキーである。[=](実行)キーは、アプリ計算キー群12Bのキー操作によって指定されたアプリ計算の実行中などにおいて、指定された計算式中での変数の数値入力(入力データの確定)と次の計算工程への移行を指示する「入力・確定」キー12Cとして使用される。
【0018】
アプリ計算キー群12Bは、特定の目的をもった計算(アプリ計算)の実行を指示するための、複数のアプリ計算にそれぞれ対応するキーを含む。図1に示すアプリ計算キー群12Bは、主に病院や薬局などで使用される複数のアプリ計算を実行するためのキーが設けられた例を示している。電卓10において実行可能なアプリ計算の内容、組合せは、特に限定されるものではない。
【0019】
例えば、アプリ計算キー群12Bには、「BMI」キー12B1、「力価」キー12B2、「体表」キー、「腎機能」キーが設けられている。「BMI」キー、は、ボディマス指数BMI(Body Mass Index)と標準体重を計算するアプリを実行するためのキーである。「力価」キーは、効果を発揮するのに必要な薬の量を計算するアプリを実行するためのキーである。「体表」キーは、例えば藤本式あるいはDuBois式により体表面積を計算するアプリを実行するためのキーである。「腎機能」キーは、例えば腎機能計算でCCr(Creatinine Clearance:クレアチニンクリアランス(血清中のクレアチニンのクリアランス(腎臓が身体の老廃物を排泄する能力))を計算する、あるいは腎機能計算で推定糸状体濾過量eGFR(estimated Glomeruler Filtration Rate)を計算するアプリを実行するためのキーである。
【0020】
また、アプリ計算キー群12Bに含まれる各キーは、予め決められた所定の操作、例えば短時間内の2度押しによって、別のアプリ計算の実行を指示するキーとして機能させることができる。例えば「BMI」キー12B1は、2度押しによって「散薬分包」キーとして機能する。同様にして、「力価」キー12B2は、「ローン計算」キー、「腎機能」キーは、「日数計算」キーとして機能する。
【0021】
「散薬分包」キーは、散薬を分包したときの誤差の範囲を求める散薬分包後計算をするアプリを実行するためのキーである。「日数計算」キーは、疾病等の経過日数を計算するアプリを実行するためのキーである。「ローン計算」キーは、ローン計算のアプリを実行するためのキーである。
【0022】
アプリ計算キー群12Bに含まれるキーによって実行されるアプリ計算では、予め決められたデータ入力方法によって、1以上の項目(変数名)に関するデータセットを入力することで、特定の目的とする計算結果を出力(表示)するものが含まれる。複数の項目に関するデータセット(複数の数値データ)を入力するアプリ計算では、表示部11に入力の対象とする項目を操作ガイドとして表示し、この項目に対してキー入力部12の操作によって数値データが入力されると、次の入力の対象とする項目を表示して、同様にして次の数値データの入力を促す。
【0023】
すなわち、アプリ計算では、データセットに含まれる複数の項目のデータを入力するために、一問一答(1項目の表示に対して1数値データの入力)の形式によって入力操作が実行される。
【0024】
例えば、「散薬分包」キーにより実行される散薬分包後計算では、入力対象とする項目として「一包重量」「一薬重量」「散薬個数」「分包誤差」がある。従って、散薬分包後計算を実行する場合には、「一包重量」「一薬重量」「散薬個数」「分包誤差」の項目が順番に表示され、各項目に対してそれぞれ数値データを入力することで、入力された複数の数値データ(データセット)をもとに計算が実行され、計算結果とする誤差の範囲が表示される。
【0025】
複数の項目に対応するデータセットをもとに計算結果を出力(表示)するアプリ計算では、基本的に、計算を実行する毎に、複数の項目のそれぞれに対する数値データを入力する。
【0026】
本実施形態における電卓10では、ある項目に対するデータを入力する際に、データの入力に伴って所定の入力操作をすることで、入力が受け付けられたデータを、ある項目に対する既定値として設定し、次回以降のデータセットのデータ入力時に利用できるようにすることができる。すなわち、データの入力対象とする項目について、簡便な操作によって既定値を設定することができる。
【0027】
例えば、散薬分包後計算は、「一薬重量」や「散薬個数」については患者毎に処方する薬が異なることから計算毎に異なる数値が入力される。一方、「一包重量」や「分包誤差」については、複数の患者について共通する同じ値を用いることがある。本実施形態における電卓10では、「一包重量」「分包誤差」に対して入力されたデータを所定の入力操作をすることで既定値として設定することで、その後の計算において、「一包重量」「分包誤差」に対して計算毎に同じ数値データを入力する操作をしなくて済む。
【0028】
既定値が設定された項目については、入力対象とする項目が表示された画面において、予め設定された既定値が入力済みの状態で表示される。従って、項目に対して数値データを入力するためのキー操作を省略することができる。
【0029】
また、本実施形態における電卓10では、ある項目に対するデータを入力する際に、データの入力に伴って、既定値を設定した場合と異なる所定の入力操作をすることで、既定値として設定されたデータを、ある項目に対する既定値として設定しないようにできる。従って、ある項目に対する既定値の設定/非設定を容易に切り替えられることができる。
【0030】
図2は、本実施形態における電卓10の電子回路の構成を示すブロック図である。電卓10の電子回路は、CPU21、ROM22、RAM23を含む、コンピュータを構成する複数のユニットを備えている。
【0031】
CPU21は、ROM22に記憶された計算プログラムを実行することにより、回路各部の動作を制御する。キー入力部12への入力操作が行われると、CPU21は、キー入力部12からのキー入力信号により入力操作がされたキーを検出し、検出された各キーに応じた各種の計算処理を実行する。電卓10は、CPU21が計算プログラムに記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウェアとハードウェアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる計算機能による処理を含む計算処理を実現する。
【0032】
ROM22に記憶される計算プログラムには、例えば通常計算プログラム22A、アプリ計算プログラム22Bが含まれる。通常計算プログラム22Aは、四則演算を含む基本計算を実行するためのプログラムである。アプリ計算プログラム22Bは、アプリ計算を実行するためのプログラムである。アプリ計算プログラム22Bには、例えば「散薬分包」キーの操作に応じて実行される散薬分包計算プログラム22C、「ローン計算」キーの操作により実行が指示されるローン計算プログラム22Dなど、複数のアプリ計算のそれぞれに対応するプログラムが含まれる。
【0033】
計算プログラムは、予めROM22に記憶されていても良いし、メモリカード等の外部記録媒体(図示せず)から読み込まれても良いし、あるいは通信部及び通信ネットワーク(インターネット等を含む)(図示せず)を介して、外部装置(サーバ等)からダウンロードされても良い。
【0034】
RAM23には、計算プログラムによる計算処理のために、計算処理の計算結果を記憶するエリアの他、各データを記憶する計算エリアが設けられる。例えば、RAM23には、キー入力部12のキー操作によって入力されるデータを一時的に記憶する入力データメモリ23D、計算処理のために入力が受け付けられたデータ(数値)が記憶される計算実行時メモリ23Bが設けられる。また、RAM23には、複数の項目に関するデータセットを入力するアプリ計算において、ある項目に対して入力が受け付けられたデータを、ある項目に対する既定値として設定する処理をするための制御エリアとして、例えば入力値保持フラグ23A、保持数値メモリ23Cが設けられる。
【0035】
入力値保持フラグ23A、計算実行時メモリ23B、保持数値メモリ23Cに記憶されるデータは、入力対象とする項目(変数名)毎に対応づけて管理される。すなわち、入力されたデータは、計算実行時メモリ23Bに記憶され、この入力されたデータに対して項目の既定値とする指示(特定キー操作)がされた場合に、入力値保持フラグ23Aがオン(ON)される。入力値保持フラグ23Aがオンされた項目に対応する計算実行時メモリ23Bに記憶されたデータは、所定のタイミングで保持数値メモリ23Cに記憶され、同じ項目に対応する既定値のデータとして設定される。保持数値メモリ23Cに記憶されたデータは、次回以降のアプリ計算の複数の項目に関するデータセットを入力する処理において、該当する項目に対する入力済みのデータとして扱われる。
【0036】
CPU21は、キー入力部12に対するキー操作に応じて適宜ROM22から必要なプログラム、データ等を読出してRAM23に展開して保持し、計算動作を実行して、各計算過程の表示データを表示駆動部24へ出力する。
【0037】
表示駆動部24は、CPU21から与えられる表示データに基づいて表示部11を駆動し、通常計算およびアプリ計算の各計算過程などを表示させる。
【0038】
[第1実施形態]
次に、第1実施形態における電卓10の動作について説明する。
【0039】
図3は、第1実施形態における電卓10の計算機能を説明するためのデータ入力操作と表示の具体例を示す図である。図4及び図5は、第1実施形態における電卓10の計算機能(アプリ計算処理(1))の動作(データ入力方法)を説明するためのフローチャートである。図6及び図7は、第1実施形態における電卓10の計算機能を説明するためのメモリイメージの具体例を示す図である。
【0040】
ここでは、アプリ計算キー群12Bに含まれる「BMI」キー12B1の2度押し(「散薬分包」キー)によって、散薬分包後計算をするアプリ計算の実行が指示される場合を例にして説明する。
【0041】
まず、ユーザは、計算を開始前に表示及びメモリの内容をクリアするため、[AC]キーを操作(押下)する。CPU21は、[AC]キーが操作されると、RAM23の計算エリア及び制御エリアを全てクリアする。また、CPU21は、図3(A1)に示すように、表示部11の下段7セグメント表示部において初期値「0」を表示させる。
【0042】
[AC]キーの入力操作の直後に、「BMI」キー12B1の2度押し(「散薬分包」キー)に対する入力操作を検出した場合、CPU21は、ROM22の散薬分包計算プログラム22Cを起動し、散薬分包後計算のための処理を開始する。本実施形態における散薬分包後計算では、複数の項目のデータ(データセット)を、一問一答(1項目の表示に対して1数値データの入力)の形式によって入力する。例えば、散薬分包後計算のデータセットには、複数の項目「一包重量」「一薬重量」「散薬個数」「分包誤差」のそれぞれに対応するデータが含まれる。
【0043】
CPU21は、散薬分包計算プログラム22Cに従い、散薬分包後計算を開始すると、次のデータセットについての計算のために初期化処理(次計算初期化処理)を実行する(ステップA1)。すなわち、CPU21は、RAM23の計算エリアをクリアする。
【0044】
次に、CPU21は、入力画面表示処理を実行して、散薬分包後計算のデータセットのうちの次の入力対象とする、ある項目のデータの入力を受け付けるための次変数入力画面を表示させる(ステップA2)。
【0045】
入力画面表示処理において、CPU21は、先に入力が受け付けられたデータセットの項目に対して既定値として設定されている場合の処理を実行する。すなわち、CPU21は、入力対象とする項目に対応する保持数値メモリ23Cに記憶されたデータを、この項目に対してキー操作によって入力されたデータとして、入力データメモリ23Dに一時的に記憶させる。散薬分包後計算の開始時では、保持数値メモリ23Cが初期状態にあるため、入力データメモリ23Dに記憶されるデータは初期値「0」となる。
【0046】
散薬分包後計算の次変数入力画面では、CPU21は、表示部11の上段ドットマトリクス表示部において、操作ガイドとして、計算内容を示す文字列「散薬分包後」の他、データセットに含まれる複数の項目のうち次にデータの入力の対象とする項目「一包重量」、及び入力対象とする項目に対応する入力データ単位「g」を表示させる。
【0047】
また、CPU21は、入力データメモリ23Dに一時的に記憶されたデータが示す数字を、表示部11の下段7セグメント表示部において表示させる。次計算初期化処理直後の最初の項目のデータ入力時には、図3(A2)に示すように、表示部11の下段7セグメント表示部において初期値「0」を表示させる。
【0048】
CPU21は、項目「一包重量」についての数値(変数)の入力待ち状態となる。ここで、数値・演算記号キー群12Aの数値キー及び小数点キーに対する操作が検出されると(ステップA3:Yes)、CPU21は、キー操作に応じた数値データの入力処理を実行する。すなわち、CPU21は、キー操作によって入力された数値データ(変数)を入力データメモリ23Dに一時的に記憶させると共に、表示部11において入力された数値を表示させる。例えば、数値データ「0.6」が入力された場合、CPU21は、図3(A3)に示すように、表示部11に数値「0.6」を表示させる。
【0049】
CPU21は、「入力・確定」キー12C([=](実行)キー)の操作によって入力データの確定が指示されなければ(ステップA5:No)、数値・演算記号キー群12Aに対する操作に応じた数値データの入力及び入力処理を継続する(ステップA3,A4)。
【0050】
CPU21は、「入力・確定」キー12Cが操作されたことを検出すると(ステップA5:Yes)、入力データメモリ23Dに一時的に記憶させた数値データを、入力対象とする項目(一包重量)と対応づけて計算実行時メモリ23Bに記憶させる。
【0051】
また、CPU21は、数値データを入力するためにされた操作が、入力対象とする項目に対して入力されたデータを既定値として設定することを指示するための第1の操作(第1の方法)であるかを判別する。
【0052】
第1実施形態では、数値データを入力するための操作は、数値データを入力するための数値キー(及び小数点キー)への操作と、「入力・確定」キー12Cの操作の組合せとする。ここで、入力されたデータを既定値として設定することを指示するための操作は、「入力・確定」キー12Cに対する操作の長押しとする。CPU21は、数値キーの操作によりデータが入力された後に「入力・確定」キー12Cが押下された場合、「入力・確定」キー12Cが押下され続けている時間が、予め「入力・確定」キー12Cの長押しを判定するための基準値を超えているかを判別する。長押しを判定するための基準値は、例えば300~500msecの範囲で設定されるものとする。また、基準値は、固定値としても良いし、ユーザ操作によって変更可能としても良い。
【0053】
CPU21は、「入力・確定」キー12Cに対する操作が長押しと判別された場合(ステップA6:Yes)、入力対象とする項目に対応する入力値保持フラグ23Aをオン(ON)する。
【0054】
図6(A)には、入力対象とする項目(変数名)、入力値保持フラグ23A、計算実行時メモリ23B、保持数値メモリ23Cに記憶されるデータの対応を示している。例えば、現在、データの入力対象としている項目(変数名)「一包重量」に対して、入力が受け付けられた数値データ「0.6」が計算実行時メモリ23Bに記憶され、「入力・確定」キー12Cに対する操作が長押しと判別されたことにより、数値データ「0.6」に対応する入力値保持フラグ23Aがオンに設定される。
【0055】
次に、CPU21は、データセットの全てのデータ(全変数)についてのデータの入力を受け付けていない場合、入力画面表示処理を実行して、図3(A4)に示すように、表示部11において散薬分包後計算のデータセットのうちの次の入力対象とする、ある項目のデータの入力を受け付けるための次変数入力画面を表示させる(ステップA2)。
【0056】
次変数入力画面では、CPU21は、表示部11の上段ドットマトリクス表示部において、計算内容を示す文字列「散薬分包後」の他、データセットに含まれる複数の項目のうち次にデータの入力の対象とする項目「一薬重量」、及び入力対象とする項目に対応する入力データ単位「g」を表示させる。また、CPU21は、次計算初期化処理直後の最初の項目のデータ入力時には、表示部11の下段7セグメント表示部において初期値「0」を表示させる。
【0057】
CPU21は、項目「一薬重量」についての数値(変数)の入力待ち状態となる。ここで、数値・演算記号キー群12Aの数値キー及び小数点キーに対する操作が検出されると(ステップA3:Yes)、CPU21は、キー操作に応じた数値データの入力処理を実行する。すなわち、CPU21は、キー操作によって入力された数値のデータ(変数)を入力データメモリ23Dに一時的に記憶させると共に、表示部11において入力された数値を表示させる。例えば、数値「2」が入力された場合、CPU21は、図3(A5)に示すように、表示部11に数値「2」を表示させる。
【0058】
CPU21は、数値データ「2」の入力を受け付けた後、「入力・確定」キー12Cが操作されたことを検出すると(ステップA5:Yes)、前述と同様にして、数値データを入力するためにされた操作が、入力対象とする項目に対して入力されたデータを既定値として設定することを指示するための操作(第1の操作)であるかを判別する。すなわち、CPU21は、数値キーの操作によりデータが入力された後に操作された「入力・確定」キー12Cの押下が長押しであるか判別する。
【0059】
CPU21は、数値キーの操作によりデータが入力された後に押下された「入力・確定」キー12Cが長押しされていない操作(短押し操作)と判別された場合(ステップA6:No)、すなわち第1の操作と異なる第2の操作(第2の方法)がされたと判別された場合、図6(A)に示すように、入力対象とする項目(一薬重量)及び入力が受け付けられた数値データ「2」に対応する入力値保持フラグ23Aをオフ(OFF)する(デフォルト値はOFF)。
【0060】
この結果、図6(A)に示すように、データの入力対象としている項目(変数名)「一薬重量」に対して、入力が受け付けられた数値データ「2」が計算実行時メモリ23Bに記憶され、「入力・確定」キー12Cに対する操作が短押しと判別されたことにより、数値データ「2」に対応する入力値保持フラグ23Aがオフに設定される。
【0061】
次に、前述と同様にして、CPU21は、入力画面表示処理を実行して、図3(A6)に示すように、次の入力の対象とする項目「散薬個数」の次変数入力画面を表示させる(ステップA2)。
【0062】
CPU21は、項目「散薬個数」についての数値(変数)の入力待ち状態となる。ここで、数値・演算記号キー群12Aの数値キーに対する操作が検出されると(ステップA3:Yes)、CPU21は、キー操作に応じた数値データの入力処理を実行する。すなわち、CPU21は、キー操作によって入力された数値のデータ(変数)を入力データメモリ23Dに一時的に記憶させると共に、表示部11において入力された数値を表示させる。例えば、数値「9」が入力された場合、CPU21は、図3(A7)に示すように、表示部11に数値「9」を表示させる。
【0063】
ここでは、数値キーの操作によりデータが入力された後に、「入力・確定」キー12Cが長押しされていない(短押し操作)ものとする(ステップA6:No)。この結果、図6(A)に示すように、データの入力対象としている項目(変数名)「散薬個数」に対して、入力が受け付けられた数値データ「9」が計算実行時メモリ23Bに記憶され、「入力・確定」キー12Cに対する操作が短押しと判別されたことにより、数値データ「9」に対応する入力値保持フラグ23Aがオフに設定される。
【0064】
次に、前述と同様にして、CPU21は、入力画面表示処理を実行して、図3(A8)に示すように、次の入力の対象とする項目「分包誤差」の次変数入力画面を表示させる(ステップA2)。
【0065】
CPU21は、項目「分包誤差」についての数値(変数)の入力待ち状態となる。ここで、数値・演算記号キー群12Aの数値キーに対する操作が検出されると(ステップA3:Yes)、CPU21は、キー操作に応じた数値データの入力処理を実行する。すなわち、CPU21は、キー操作によって入力された数値のデータ(変数)を入力データメモリ23Dに一時的に記憶させると共に、表示部11において入力された数値を表示させる。例えば、数値「2」が入力された場合、CPU21は、図3(A9)に示すように、表示部11に数値「2」を表示させる。
【0066】
ここでは、数値キーの操作によりデータが入力された後に「入力・確定」キー12Cが長押しされたものとする(ステップA6:No)。この結果、図6(A)に示すように、データの入力対象としている項目(変数名)「分包誤差」に対して、入力が受け付けられた数値データ「2」が計算実行時メモリ23Bに記憶され、「入力・確定」キー12Cに対する操作が長押しと判別されたことにより、数値データ「2」に対応する入力値保持フラグ23Aがオンに設定される。
【0067】
こうして、第1実施形態では、数値データを入力するための数値キーへの操作と「入力・確定」キー12Cの操作の組合せにおいて、「入力・確定」キー12Cに対する操作を長押しにすることにより、入力が受け付けられたデータを入力対象としている項目の既定値として指定することができる。
【0068】
CPU21は、データセットの全ての項目(変数)についてのデータの入力(受け付け)が完了すると(ステップA9:Yes)、計算実行前処理を実行する(ステップA10)。計算実行前処理では、項目に対して既定値として指定されたデータを、次以降のデータセットに対するデータ入力のための入力画面表示処理において、入力済みのデータ(既定値)として表示できるようにする。
【0069】
図5は、第1実施形態における計算実行前処理を説明するためのフローチャートである。
【0070】
CPU21は、データセットに含まれる複数の項目から確認対象とする項目(確認対象変数)を設定する(ステップB1)。まず、CPU21は、散薬分包後計算のデータセットの最初の項目「一包重量」を設定し、項目「一包重量」に対応する入力値保持フラグ23Aがオンに設定されているか判別する。図6(A)に示すように、項目「一包重量」に対応する入力値保持フラグ23Aがオンに設定されている(ステップB2:Yes)。
【0071】
この場合、CPU21は、項目「一包重量」に対応する計算実行時メモリ23Bに記憶されているデータを、項目「一包重量」と対応づけて保持数値メモリ23Cに書き込む(ステップB3)。すなわち、計算実行時メモリ23Bに記憶された入力を受け付けたデータを、保持数値メモリ23Cに書き込むことにより、このデータを項目「一包重量」に対する既定値として設定する(既定値設定処理)。
【0072】
CPU21は、データセットの全ての項目について入力値保持フラグ23Aの確認が完了していなければ(ステップB4:No)、次の項目「一薬重量」を確認対象変数として設定し、前述と同様にして、項目「一薬重量」に対応する入力値保持フラグ23Aがオンに設定されているか判別する。図6(A)に示すように、項目「一薬重量」に対応する入力値保持フラグ23Aがオフに設定されている(ステップB2:No)。この場合、CPU21は、項目「一薬重量」に対応する計算実行時メモリ23Bに記憶されているデータを、保持数値メモリ23Cに書き込まない。すなわち、計算実行時メモリ23Bに記憶された入力を受け付けたデータを、項目「一薬重量」の既定値に設定しない(既定値非設定処理)。
【0073】
以下、同様にして、CPU21は、項目「散薬個数」「分包誤差」についても、それぞれ入力値保持フラグ23Aがオンに設定されているか判別する。項目「分包誤差」については、図6(A)に示すように、入力値保持フラグ23Aがオンに設定されているため、項目「分包誤差」に対応する計算実行時メモリ23Bのデータを保持数値メモリ23Cに書き込み、既定値として設定する。
【0074】
CPU21は、データセットの全ての項目について入力値保持フラグ23Aの確認が完了すると(ステップB4:Yes)、計算実行前処理を終了する。この結果、保持数値メモリ23Cには、第1の操作(「入力・確定」キー12Cの長押し)によって既定値の設定が指定された項目「一包重量」「分包誤差」について、図6(B)に示すように、計算実行時メモリ23Bに記憶されたデータが保持数値メモリ23Cに書き込まれる。
【0075】
CPU21は、計算実行前処理が終了すると、計算実行時メモリ23Bに記憶された複数の項目についてのデータセットの数値データをもとに、散薬を分包したときの誤差の範囲を求める散薬分包後計算を実行する(ステップA11)。
【0076】
CPU21は、散薬分包後計算の計算結果画面を、図3(A10)に示すように、表示部11に表示させる(ステップA12)。計算結果画面では、CPU21は、表示部11の上段ドットマトリクス表示部において、操作ガイドとして、計算内容を示す文字列「散薬分包後」の他、表示された数値が計算結果であることを示す文字列「許容範囲」、及びデータ単位「g」を表示させる。また、CPU21は、散薬分包後計算の計算結果とする許容範囲を示す数字「23.04-23.76」を、表示部11の下段7セグメント表示部において表示させる。
【0077】
ここで、CPU21は、[AC]キーが操作されると(ステップA14:Yes)、散薬分包後計算を実行するアプリ計算処理を終了する。
【0078】
一方、CPU21は、散薬分包後計算の計算結果が表示された状態において、「入力・確定」キー12C([=](実行)キー)が操作された場合(ステップA13:Yes)、次のデータセットを用いたアプリ計算(散薬分包後計算)に移行するために初期化処理(次計算初期化処理)を実行し、RAM23の計算エリアをクリアする(ステップA1)。
【0079】
図7(A)には、次のデータセットの散薬分包後計算に移行した時の入力対象とする項目(変数名)、入力値保持フラグ23A、計算実行時メモリ23B、保持数値メモリ23Cに記憶されるデータの対応を示している。図7(A)に示すように、前述した図3(A2)~図3(A9)に示すデータセットに対するデータ入力によって、項目「一包重量」「分包誤差」については入力値保持フラグ23Aがオンに設定され、入力が受け付けられたデータが既定値として保持数値メモリ23Cに記憶されている。すなわち、保持数値メモリ23Cには、項目「一包重量」については数値データ「0.6」、項目「分包誤差」については数値データ「2」が既定値として記憶されている。
【0080】
次に、CPU21は、入力画面表示処理を実行して、入力対象とする項目に対応する保持数値メモリ23Cに記憶されたデータを、この項目に対してキー操作によって入力されたデータとして、入力データメモリ23Dに一時的に記憶させる(ステップA2)。
【0081】
また、CPU21は、入力データメモリ23Dに一時的に記憶されたデータが示す数字を、表示部11の下段7セグメント表示部において表示させる。
【0082】
次の入力対象とする項目「一包重量」については、先のデータセットに対するデータ入力時に、受け付けられたデータ「0.6」を既定値として設定している。このため、項目「一包重量」に対応する保持数値メモリ23Cのデータを入力データメモリ23Dに一時的に記憶させることにより、項目「一包重量」の入力画面では、図3(A11)に示すように、表示部11の下段7セグメント表示部において数字「0.6」が表示される。
【0083】
すなわち、項目「一包重量」についての入力画面では、数値・演算記号キー群12Aに対する操作を必要とすることなく、既定値として設定されたデータが入力された状態とすることができる。
【0084】
ここで、CPU21は、「入力・確定」キー12Cが操作されたことを検出すると(ステップA5:Yes)、入力データメモリ23Dに一時的に記憶させた数値データを、入力対象とする項目(一包重量)と対応づけて計算実行時メモリ23Bに記憶させる。すなわち、既定値として予め設定されているデータを「入力・確定」キー12Cに対する操作のみによって受け付けることができる。
【0085】
また、CPU21は、「入力・確定」キー12Cに対する操作が長押しであるか、前述と同様にして判別する。CPU21は、長押しと判別された場合(ステップA6:Yes)、入力対象とする項目「一包重量」に対応する入力値保持フラグ23Aをオン(ON)し(ステップA8)、長押しと判別されなかった場合(ステップA6:No)、入力対象とする項目「一包重量」に対応する入力値保持フラグ23Aをオフ(OFF)する(ステップA7)。ここでは、「入力・確定」キー12Cが短押しされたものとする。
【0086】
次に、CPU21は、入力画面表示処理を実行して、図3(A12)に示すように、表示部11において散薬分包後計算のデータセットのうちの次の入力対象とする項目「一薬重量」のデータの入力を受け付けるための次変数入力画面を表示させる(ステップA2)。
【0087】
項目「一薬重量」については図7(A)に示すように、既定値が設定されていないため、入力画面では初期値「0」が表示される。項目「一薬重量」について、数値・演算記号キー群12Aの操作によって数値データ「3」が入力されると、CPU21は、図3(A13)に示すように、入力されたデータ「3」を表示部11に表示させる。ここで、「入力・確定」キー12Cが操作されると(短押し)、CPU21は、計算実行時メモリ23Bには項目「一薬重量」に対応づけてデータ「3」を記憶させる(ステップA3~A9)。
【0088】
同様にして、次に、CPU21は、入力画面表示処理を実行して、図3(A14)に示すように、表示部11において散薬分包後計算のデータセットのうちの次の入力対象とする項目「散薬個数」のデータの入力を受け付けるための次変数入力画面を表示させる(ステップA2)。
【0089】
項目「散薬個数」については図7(A)に示すように、既定値が設定されていないため、入力画面では初期値「0」が表示される。項目「散薬個数」について、数値・演算記号キー群12Aの操作によって数値データ「8」が入力されると、CPU21は、図3(A15)に示すように、入力されたデータ「8」を表示部11に表示させる。ここで、「入力・確定」キー12Cが操作されると(短押し)、CPU21は、計算実行時メモリ23Bには項目「散薬個数」に対応づけてデータ「8」を記憶させる。
【0090】
次に、CPU21は、入力画面表示処理を実行して、図3(A14)に示すように、表示部11において散薬分包後計算のデータセットのうちの次の入力対象とする項目「分包誤差」のデータの入力を受け付けるための次変数入力画面を表示させる(ステップA2)。
【0091】
項目「分包誤差」については図7(A)に示すように、既定値が設定されている。このため、図3(A16)に示すように、項目「分包誤差」に対して設定された既定値「2」が、数値・演算記号キー群12Aに対する操作がされることなく項目「分包誤差」の次変数入力画面において表示される。ここで、「入力・確定」キー12Cが操作されると(短押し)、CPU21は、計算実行時メモリ23Bには項目「分包誤差」に対応づけてデータ「2」を記憶させる。
【0092】
こうして、CPU21は、データセットの全ての項目(変数)についてのデータの入力(受け付け)が完了すると(ステップA9:Yes)、計算実行前処理を実行する(ステップA10)。前述した図3(A11)~図3(A16)に示すデータセットに対するデータ入力では、「入力・確定」キー12Cに対する操作が全て短押しとなっている。このため、全ての項目についての入力値保持フラグ23Aがオフに設定されている。従って、CPU21は、計算実行前処理では、何れの項目についても、計算実行時メモリ23Bに記憶されたデータを保持数値メモリ23Cに書き込まない。すなわち、入力が受け付けられたデータを既定値として設定しない。
【0093】
CPU21は、計算実行前処理が終了すると、計算実行時メモリ23Bに記憶された複数の項目についてのデータセットの数値データをもとに散薬分包後計算を実行し(ステップA11)、図3(A17)に示すように、散薬分包後計算の計算結果画面を表示部11に表示させる(ステップA12)。
【0094】
このようにして、第1実施形態における電卓10では、複数の項目に関するデータセットに対するデータの入力時に、数値データを入力するための数値キー(及び小数点キー)への操作と「入力・確定」キー12Cの操作の組合せにおいて、「入力・確定」キー12Cを長押しすることで、入力対象とする項目について入力を受け付けたデータを既定値と設定する既定値設定処理を実行し、「入力・確定」キー12Cを長押ししない(短押し)することで、入力対象とする項目について入力を受け付けたデータを既定値と設定しない既定値非設定処理を実行することができる。一般的なデータ入力時に使用される「入力・確定」キー12Cのみについて、通常の操作である短押しとは異なる長押しをするだけで簡単に既定値の設定をすることができる。
【0095】
既定値として設定されたデータは、入力対象とする項目の次変数入力画面において入力済みの状態で表示されるため、数値キーを操作する必要がなく操作負担が軽減される。特に、複数のデータセットについてデータの入力が必要な場合には、データセット毎にデータが異なる項目についてのみデータを入力すれば良いので、大幅な操作負担の軽減が期待できる。
【0096】
なお、前述した図3(A11)~図3(A17)に示すデータの入力例では、既定値として設定された項目「一包重量」「分包誤差」のデータを、そのまま次のデータセットの項目「一包重量」「分包誤差」のデータとしているが、任意にデータを変更することができる。
【0097】
図7(B)には、既定値として設定されたデータと異なるデータが入力された場合の入力対象とする項目(変数名)、入力値保持フラグ23A、計算実行時メモリ23B、保持数値メモリ23Cに記憶されるデータの対応を示している。
【0098】
例えば、図3(A11)に示す項目「一包重量」について既定値「0.6」が表示された次変数入力画面において、数値キーの操作によって数値データ「0.8」が入力され、「入力・確定」キー12Cが短押しされた場合、図7(B)に示すように、入力を受け付けた数値データ「0.8」が計算実行時メモリ23Bに記憶される。
【0099】
以下、項目「一薬重量」「散薬個数」「分包誤差」について、それぞれ数値データと「入力・確定」キー12Cの短押しによって、データが入力されたものとする。CPU21は、既定値として設定されたデータとは関係なく、任意に入力されたデータセットのデータをもとにアプリ計算を実行することができる。
【0100】
全ての項目について「入力・確定」キー12Cに対して短押しの操作がされているため、図7(B)に示すように、入力値保持フラグ23Aが全てオフとなっている。従って、CPU21は、計算実行前処理において、計算実行時メモリ23Bに記憶されたデータを保持数値メモリ23Cに書き込まない(既定値非設定処理)。このため、保持数値メモリ23Cには、先のデータセットのデータ入力時に既定値として設定されたデータが記憶されたままとなる。
【0101】
従って、次のデータセットの入力時には、既定値が設定された項目「一包重量」「分包誤差」については、前述と同様にして、既定値のデータを用いて次変数入力画面が表示され、既定値を用いたデータの入力が可能となる。
【0102】
また、図7(B)に示す例では、各項目に対してデータを入力際に、「入力・確定」キー12Cが短押しされるとしているが、新たな数値データを既定値として設定する場合には、「入力・確定」キー12Cを長押しすれば良い。
【0103】
図7(C)には、既定値として設定されたデータと異なるデータを既定値として設定される場合の入力対象とする項目(変数名)、入力値保持フラグ23A、計算実行時メモリ23B、保持数値メモリ23Cに記憶されるデータの対応を示している。
【0104】
例えば、図3(A11)に示す項目「一包重量」について既定値「0.6」が表示された次変数入力画面において、数値キーの操作によって数値データ「0.8」が入力され、「入力・確定」キー12Cが長押しされた場合、図7(C)に示すように、項目「一包重量」に対応する入力値保持フラグ23Aがオンにされ、入力を受け付けた数値データ「0.8」が計算実行時メモリ23Bに記憶される。
【0105】
従って、CPU21は、計算実行前処理において、項目「一包重量」に対応する入力値保持フラグ23Aがオンであるため、計算実行時メモリ23Bに記憶されたデータを保持数値メモリ23Cに書き込み、既定値を設定する(既定値設定処理)。こうして、入力を受け付けたデータを簡単に新たな既定値として設定することができる。
【0106】
なお、第1実施形態では、一般的に入力データの確定のために操作される「入力・確定」キー12Cの長押し(第1の操作)/短押し(第2の操作)に応じて既定値の設定をする/しないを制御しているが、別のキー操作に応じて、入力を受け付けたデータを既定値に設定する/しないを制御しても良い。例えば、長押しに代えて「入力・確定」キー12Cと別のキーとの同時押しとしても良い。
【0107】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態における電卓10の動作について説明する。
【0108】
図8は、第2実施形態における電卓10の計算機能を説明するためのデータ入力操作と表示の具体例を示す図である。図9は、第2実施形態における電卓10の計算機能(アプリ計算処理(2))の動作(データ入力方法)を説明するためのフローチャートである。
【0109】
第1実施形態では、数値データを入力するための数値キーへの操作と「入力・確定」キー12Cの操作の組合せにおいて、「入力・確定」キー12Cへの長押し、あるいは短押しに応じて、入力を受け付けたデータを既定値に設定する/しないを制御しているが、第2実施形態では、数値データ入力のための数値キーへの操作と、予め決められた特定のキーの操作の組合せにおいて、特定のキーの操作あり(第1の操作)と特定のキーの操作なし(第2の操作)に応じて、入力を受け付けたデータを既定値に設定する/しない(既定値設定処理/既定値非設定処理)を制御する。
【0110】
第2実施形態において、予め決められた特定のキーは、例えば、メモリキーの[M+]キー12Dと[M-]キー12Eが使用されるものとする。[M+]キー12Dは、入力を受け付けたデータを既定値に設定するための操作(第1の操作)に用い、[M-]キー12Eは、入力を受け付けたデータを既定値に設定しないための操作(第2の操作)に用いるものとする。
【0111】
なお、[M+]キー12Dと[M-]キー12Eは、アプリ計算において使用されないキーであるため、既定値の設定のための特定のキーとして使用している。キー入力部12において、アプリ計算におけるデータ入力に使用しない、[M+]キー12Dと[M-]キー12Eとは異なるキーが存在する場合には、このキーを特定のキーとして使用することが可能である。
【0112】
ここでは、アプリ計算キー群12Bに含まれる「力価」キー12B2の2度押し(「ローン計算」キー)によって、ローン計算をするアプリ計算の実行が指示される場合を例にして説明する。
【0113】
なお、第2実施形態におけるアプリ計算処理(2)は、基本的に第1実施形態のアプリ計算処理(1)と同じであるので共通する部分については説明を省略する。
【0114】
[AC]キーの入力操作の直後に、「力価」キー12B2の2度押し(「ローン計算」キー)に対する入力操作を検出した場合、CPU21は、ROM22のローン計算プログラム22Dを起動し、ローン計算のための処理を開始する。本実施形態におけるローン計算では、データセットに複数の項目「ローン借入額」「利率」「返済月数」のそれぞれに対応するデータが含まれ、月々返済額が計算結果として算出されるものとする。
【0115】
CPU21は、初期化処理(次計算初期化処理)(ステップC1)を実行した後、入力画面表示処理を実行して、ローン計算のデータセットのうちの次の入力対象とする項目「ローン借入額」のデータの入力を受け付けるための次変数入力画面を表示させる(ステップC2)。
【0116】
CPU21は、図8(B1)に示すように、表示部11の次変数入力画面において、次の入力対象とする項目「ローン借入額」の文字列と初期値「0」を表示させる。
【0117】
ここで、数値・演算記号キー群12Aの数値キーに対する操作により数値データ「300000」が入力された場合、CPU21は、入力処理を実行して、図8(B2)に示すように、表示部11に数値「300000」を表示させる(ステップC3、C4)。
【0118】
CPU21は、「入力・確定」キー12C([=](実行)キー)の操作によって入力データの確定が指示されなければ(ステップC9:No)、数値・演算記号キー群12Aに対する操作に応じた数値データの入力及び入力処理を継続する。
【0119】
また、CPU21は、「入力・確定」キー12Cが操作される前に、[M+]キー12Dが操作された場合(ステップC5:Yes)、入力対象とする項目「ローン借入額」に対応する入力値保持フラグ23Aをオン(ON)する(ステップC6)。すなわち、入力画面に表示された数値データを既定値として設定されるようにする。
【0120】
また、CPU21は、[M+]キー12Dの操作に応じて、表示部11のドットマトリクス表示部において、図8(B3)に示すように、入力されたデータが既定値として設定(保持)されることを示す設定情報を表示する。図8(B3)に示す例では、例えば「<保持>」の文字列を設定情報として表示することで、既定値が設定されることを使用者に対して報知する。
【0121】
なお、報知の方法としては、図8(B3)に示すように、表示部11に操作ガイドとして文字列(<保持>)を表示するだけでなく、文字表示以外の形態として、例えば表示部11の背景色を変更する、入力された数値(既定値)の点滅表示する他、予め決められた音出力やLED(Light Emitting Diode)表示(点灯、点滅)などを用いることも可能である。
【0122】
CPU21は、「入力・確定」キー12Cが操作されたことを検出すると(ステップC9:Yes)、入力された数値データを、入力対象とする項目(ローン借入額)と対応づけて記憶させる。
【0123】
次に、CPU21は、データセットの全てのデータ(全変数)についてのデータの入力を受け付けていない場合、入力画面表示処理を実行して、図8(B4)に示すように、次の入力対象とする項目「利率」のデータの入力を受け付けるための次変数入力画面を表示させる(ステップC2)。
【0124】
ここで、数値キーの操作により数値データ「2」が入力されると(ステップC3,C4)、CPU21は、図8(B5)に示すように、入力された数値「2」を表示させる。さらに、CPU21は、「入力・確定」キー12Cが操作されると(ステップC9:Yes)、項目「利率」と対応づけて数値「2」を記憶させる。
【0125】
同様にして、CPU21は、入力画面表示処理を実行して、図8(B6)に示すように、次の入力対象とする項目「返済月数」のデータの入力を受け付けるための次変数入力画面を表示させ(ステップC2)、項目「返済月数」に対する数値データ「120」が入力されると、図8(B7)に示すように、表示部11に表示させる。
【0126】
さらに、CPU21は、「入力・確定」キー12Cが操作されると(ステップC9:Yes)、項目「返済月数」と対応づけて数値「120」を記憶させる。
【0127】
ここで、データセットの全ての項目についてのデータ入力が完了したので(ステップC10:Yes)、CPU21は、計算実行前処理を実行して、[M+]キー12Dの操作に応じて入力値保持フラグ23Aがオンに設定された、項目「ローン購入額」に対して入力が受け付けられたデータ「3000000」を、この項目の既定値として設定する(ステップC11)。
【0128】
CPU21は、データセットの全ての項目について入力されたデータをもとに、ローン計算を実行して(ステップC12)、図8(B8)に示すように、計算結果とする月々返済額「27604」を表示部11に表示させる。
【0129】
ここで、CPU21は、[AC]キーが操作されると(ステップC15:Yes)、ローン計算を実行するアプリ計算処理を終了する。
【0130】
一方、CPU21は、ローン計算の計算結果が表示された状態において、「入力・確定」キー12Cが操作された場合(ステップC13:Yes)、次のデータセットを用いたアプリ計算(ローン計算)に移行するために、初期化処理(次計算初期化処理)(ステップC1)を実行した後、入力画面表示処理を実行して、ローン計算のデータセットのうちの次の入力対象とする項目「ローン借入額」のデータの入力を受け付けるための次変数入力画面を表示させる(ステップC2)。
【0131】
ここで、項目「ローン借入額」については既定値が設定されているため、CPU21は、図8(B9)に示すように、表示部11の次変数入力画面において既定値「3000000」を表示させる。また、CPU21は、既定値を表示させた次変数入力画面には、既定値として設定(保持)されたデータを表示したことを示す情報を表示する。図8(B3)に示す例では、例えば「<保持>」の文字列を表示することで、既定値が設定されることを使用者に対して報知する。なお、報知の方法としては、前述したように、文字表示以外の形態とすることも可能である。また、既定値の設定が指示された場合と異なる形態によって報知するようにしても良い。
【0132】
第2実施形態では、[M+]キー12Dの操作によって既定値が設定された項目については、この項目に対する既定値が変更されないようにする(ロックする)。すなわち、既定値を用いて次変数入力画面(設定情報「<保持>」の文字列)を表示した場合、数値キーに対する操作が検出されると(ステップC3:Yes)、CPU21は、入力処理において、キー操作に応じた数値データの入力を無効にし、キー操作に応じたデータを入力しない。この場合、CPU21は、キー操作によるデータ入力が無効とされたことを報知するため、表示部11に所定の情報を表示するようにしても良い。
【0133】
こうして、既定値が設定された項目に対するデータ入力を無効とすることで、予め既定値を設定した項目に誤ったデータを入力して計算を実行してしまうことを確実に回避することができる。
【0134】
CPU21は、既定値を用いて次変数入力画面が表示された状態において、「入力・確定」キー12Cが操作された場合には、第1実施形態と同様にして、既定値を入力対象とする項目に対する入力データとして処理する。
【0135】
一方、既定値と異なる数値を入力する必要がある場合、[M-]キー12Eの操作によって、入力対象とする項目に設定された既定値をデータ入力時に初期化することができる。
【0136】
CPU21は、図8(B9)に示すように、項目「ローン借入額」の次変数入力画面に既定値「3000000」が表示された状態において[M-]キー12Eが操作された場合(ステップC7、Yes)、項目「ローン借入額」に対応する入力値保持フラグ23Aをオフにする(ステップC8)。
【0137】
この場合、CPU21は、図8(B10)に示すように、表示部11に表示された「<保持>」の文字列を消去し、数値・演算記号キー群12A(数値キー)の操作によるデータ入力を有効にする。
【0138】
ここで、数値キーが操作されて項目「ローン借入額」に対する数値データ「5000000」が入力されると(ステップC3:Yes)、CPU21は、図8(B11)に示すように、入力処理により、入力された数値「5000000」を表示させる。
【0139】
ここで、CPU21は、「入力・確定」キー12Cが操作されたことを検出すると(ステップC9:Yes)、入力された数値データ「5000000」を、入力対象とする項目(ローン借入額)と対応づけて記憶させる。
【0140】
次に、CPU21は、入力画面表示処理を実行して、図8(B12)に示すように、次の入力対象とする項目「利率」のデータの入力を受け付けるための次変数入力画面を表示させる(ステップC2)。
【0141】
ここで、数値キーの操作により数値データ「3」が入力されると(ステップC3,C4)、CPU21は、図8(B14)に示すように、入力された数値「3」を表示させる。
【0142】
ここで、[M+]キー12Dがされた場合(ステップC5:Yes)、CPU21は、項目「利率」に対する入力値保持フラグ23Aをオンにし、図8(B14)に示すように、入力された数値「3」を表示すると共に「<保持>」の文字列を表示させる。
【0143】
さらに、CPU21は、「入力・確定」キー12Cが操作されると(ステップC9:Yes)、項目「利率」と対応づけて数値「3」を記憶させる。
【0144】
以下、前述と同様にして、次の入力対象とする項目に対するデータを入力する処理を実行する。CPU21は、データセットの全てのデータ(全変数)についてのデータの入力が完了すると(ステップC10:Yes)、計算実行前処理を実行する(ステップC11)。
【0145】
図8(B9)~図8(B15)に示す例では、項目「ローン借入額」に対応する入力値保持フラグ23Aがオフされ、項目「利率」に対応する入力値保持フラグ23Aがオンされている。
【0146】
第2実施形態の計算実行前処理では、入力値保持フラグ23Aがオフされた項目について、計算実行時メモリ23Bに記憶されたデータを保持数値メモリ23Cに書き込まないだけでなく、保持数値メモリ23Cに記憶された既定値の初期化(数値「0」の書き込み)を実行する。従って、次のデータセットのデータ入力時には、項目「ローン借入額」について既定値が設定されておらず(初期値「0」)、次変数入力画面の初期状態では数値「0」が表示され、任意のデータの入力が可能となる。
【0147】
このようにして、第2実施形態の電卓10では、複数の項目に関するデータセットに対するデータの入力時に、数値データを入力するための数値キー(及び小数点キー)への操作と「入力・確定」キー12Cの操作の組合せにおいて、データ入力後に、予め決められた[M+]キー12Dが操作されることで、入力対象とする項目について入力を受け付けたデータを既定値と設定する既定値設定処理を実行し、[M-]キー12E)が操作されることで、入力対象とする項目について入力を受け付けたデータを既定値と設定しない既定値非設定処理を実行することができる。特定のキーとして使用する[M+]キー12Dと[M-]キー12Eに対する直感的な操作によって、入力したデータを既定値に設定する、あるいは設定しないを容易に指定することができる。
【0148】
なお、前述した第2実施形態では、既定値が設定された項目に対しては、データ入力を無効にしているが、[M-]キー12Eの操作がされなくても、データの入力を有効にして数値を変更できるようにしても良い。この場合、項目に対して設定された既定値については、既定値が表示された状態において[M-]キー12Eが操作されなければ初期化されないものとする。また、既定値が設定された項目に対してデータの入力を有効にした場合、同じ項目に対して、数値キーと[M+]キー12Dの操作により既定値を設定する操作(第1の操作)がされた場合に、[M-]キー12Eの操作により設定済みの既定値が解除されなければ、受け付けられたデータによる既定値の設定(変更)をしないようにする。
【0149】
また、前述した説明では、項目に対する既定値の設定に使用する特定のキーとして、2つの[M+]キー12Dと[M-]キー12Eを使用しているが、1つの特定のキーにより、既定値の設定/初期化を指定できるようにしても良い。
【0150】
例えば、特定のキーとして「+/-」キー12Fを使用するものとする。この場合、既定値が設定されていない項目を入力対象としている場合に、データ入力の後、「入力・確定」キー12Cが操作される前に「+/-」キー12Fが操作された場合に、入力されたデータを既定値に設定する。また、次変数入力画面において既定値が表示された状態において、「+/-」キー12Fが操作された場合に、入力対象としている項目に設定された既定値を初期化する。
【0151】
こうして、1つの特定のキー(「+/-」キー12F)に対するトグル操作によって、項目に対する既定値の設定/初期化を制御すると共に、表示部11における設定情報の表示/非表示を切り替えることができる。従って、キー操作を簡単にすることができ、またキー入力部12に設けられるキー数に制限がある場合に、キーを有効に活用することができる。
【0152】
なお、前述した第1及び第2の実施形態では、1つの項目に対して1つの既定値を設定するとしているが、1つの項目に対して複数の既定値を設定しても良い。例えば、第2実施形態において、ある項目に対して入力されたデータが既定値として設定されている場合に、同じデータセットあるいは別のデータセットにおいて、さらに同じ項目について入力されたデータについて既定値の設定が指示された場合には、新たな既定値を同じ項目と対応づけて既定値として設定する。
【0153】
複数の既定値が設定された項目の次変数入力画面では、複数の既定値の何れか1つを選択して初期画面に表示させる。例えば、最後に追加された既定値、あるいは入力が確定された(「入力・確定」キー12Cの操作がされた)回数が最も多い既定値を複数の既定値から選択する。次変数入力画面に表示された既定値と異なる既定値を使用する場合には、例えばキー入力部12の「→」キーなどの操作に応じて、別の既定値に表示を切り替えて、複数の既定値から何れかを選択できるようにする。
【0154】
また、前述した第1及び第2の実施形態では、電卓10における1つ以上の項目に対して入力されたデータ(数値)をもとに計算を実行する例について説明しているが、本実施形態におけるデータ入力方法は、その他のデータを入力する情報処理装置におけるデータ入力処理に適用することができる。
【0155】
例えば、計算のための数値データの入力だけでなく、複数の項目に対して、テキストデータ、画像データ、図形データなどの各種形式のデータを入力する情報処理装置のデータ入力処理に適用することができる。また、複数の項目に対して入力されるデータの種類は、数値データ、テキストデータ、画像データ、図形データなどが混在して入力されても良い。
【0156】
また、実施形態において記載した電子機器により実行されるデータ入力方法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して配布することができる。そして、コンピュータは、外部記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、実施形態において説明した機能と同様の処理を実現することができる。
【0157】
また、各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワーク(インターネットなど)上を伝送させることができ、このネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ装置等)からプログラムデータを取り込み、前述した実施形態と同様の機能を実現することもできる。
【0158】
なお、本願発明は、実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0159】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0160】
[1]ある項目のデータの入力を受け付けるために入力画面をディスプレイに表示させる入力画面表示処理を実行する第1処理手段と、
前記入力画面を表示中、前記ある項目に対して第1の方法によりデータの入力を受け付けた場合に、前記データを前記ある項目の既定値に設定する既定値設定処理を実行し、前記第1の方法により入力を受け付けた前記データを用いたデータ処理を実行する第2処理手段と、
前記入力画面を表示中、前記ある項目に対して前記第1の方法とは異なる第2の方法によりデータの入力を受け付けた場合に、入力を受け付けたデータを前記ある項目の既定値に設定しない既定値非設定処理を実行し、前記第2の方法により入力を受け付けた前記データを用いたデータ処理を実行する第3処理手段と
を有する電子機器。
【0161】
[2]前記第1処理手段は、
前記既定値設定処理の実行後、前記入力画面表示処理を実行した場合に、前記入力画面の前記ある項目のデータとして前記既定値を表示する[1]記載の電子機器。
【0162】
[3]前記第1処理手段は、
前記既定値設定処理の実行後、前記入力画面表示処理を実行した場合に、前記ある項目のデータとして前記既定値が設定されていることを示す設定情報を報知する、[1]または[2]に記載の電子機器。
【0163】
[4]前記第2処理手段は、前記第1の方法により前記データの入力を受け付けたことを記憶しておき、前記ある項目を含むデータセットの全ての項目のデータの入力を受け付けた後に、前記既定値設定処理を実行し、
前記第3処理手段は、前記第2の方法により前記データの入力を受け付けたことを記憶しておき、前記データセットの全ての項目のデータの入力を受け付けた後に、前記既定値非設定処理を実行する、[1]乃至[3]の何れか一項に記載の電子機器。
【0164】
[5]前記ある項目に対して前記第1の方法により前記データの入力を受け付けた場合、前記データを第1のメモリに記憶しておき、
前記第2処理手段は、前記データセットの全ての項目のデータの入力を受け付けた後に、前記第1のメモリに記憶された前記データを第2のメモリに前記既定値として記憶させる処理を、前記既定値設定処理として実行し、
前記第3処理手段は、前記データセットの全ての項目のデータの入力を受け付けた後に、前記第1のメモリに記憶された前記データを前記第2のメモリに記憶させない処理を、前記既定値非設定処理として実行する、[4]記載の電子機器。
【0165】
[6]前記第3処理手段は、前記ある項目に既定値が設定されている場合に、前記第2の方法により前記データの入力を受け付けたことに応じて前記既定値を初期化する処理を、前記既定値非設定処理として実行する、[1]乃至[3]の何れか一項記載の電子機器。
【0166】
[7]前記第1処理手段は、
前記既定値非設定処理の実行後、前記入力画面表示処理を実行した場合に、前記入力画面の前記ある項目のデータとして前記既定値を表示しない、[1]乃至[6]の何れか一項に記載の電子機器。
【0167】
[8]前記第1の方法により前記データの入力を受け付けることは、数値キーの操作と、特定キーの操作を含み、
前記第2の方法により前記データの入力を受け付けることは、数値キーの操作と、前記特定キーの別の操作とを含む、[1]乃至[7]の何れか一項に記載の電子機器。
【0168】
[9]前記第1の方法により前記データの入力を受け付けることは、数値キーの操作と、第1の特定キーの操作を含み、
前記第2の方法により前記データの入力を受け付けることは、数値キーの操作と、前記第1の特定キーとは異なる第2の特定キーの操作を含む、[1]乃至[8]の何れか一項に記載の電子機器。
【0169】
[10]前記第1処理手段は、
前記データを前記ある項目の既定値とすることを示す設定情報を前記ディスプレイより報知する、[1]乃至[9]の何れか一項に記載の電子機器。
【0170】
[11]前記第1処理手段は、
前記ディスプレイより前記設定情報を報知している状態と、報知していない状態とを、予め定めた操作により切り替える、[10]記載の電子機器。
【0171】
[12]前記ディスプレイより前記設定情報を報知している間、前記ある項目に対するデータの入力を無効にする第4処理手段をさらに有する、[10]または[11]記載の電子機器。
【0172】
[13]前記ディスプレイより前記設定情報を報知していない間、前記ある項目に対するデータの入力を有効にする第4処理手段をさらに有する、[10]乃至[12]の何れか一項に記載の電子機器。
【0173】
[14]前記第2処理手段は、
前記ディスプレイより前記設定情報を報知している間に、前記ある項目に対するデータ入力の確定操作を受け付けた場合、前記既定値設定処理を実行する、[10]乃至[13]の何れか一項に記載の電子機器。
【0174】
[15]前記第3処理手段は、
前記ディスプレイより前記設定情報を報知していない間に、前記ある項目に対するデータ入力の確定操作を受け付けた場合、前記既定値非設定処理を実行する、[10]乃至[12]の何れか一項に記載の電子機器。
【0175】
[16]前記第1処理手段は、前記ある項目を含むデータセットの全ての項目のデータの入力完了後に、前記第1の方法により入力を受け付けた前記データを前記ディスプレイに表示させる既定値表示処理を実行し、
前記第3処理手段は、前記データを前記ディスプレイに表示中、前記第1の方法により入力を受け付けた前記データを前記ある項目の既定値に設定しないように変更する既定値不設定処理を実行する[1]乃至[15]の何れか一項に記載の電子機器。
【0176】
[17]前記第2処理手段は、前記ある項目を含むデータセットの全ての項目のデータの入力を受け付けた後に、前記データ処理を実行し、
前記第3処理手段は、前記データセットの全ての項目のデータの入力を受け付けた後に、前記データ処理を実行する、[1乃至[16の何れか一項に記載の電子機器。
【0177】
[18]電子機器により実行されるデータ入力方法であって、
ある項目のデータの入力を受け付けるために入力画面をディスプレイに表示させる入力画面表示処理を実行し、
前記入力画面を表示中、前記ある項目に対して第1の方法によりデータの入力を受け付けた場合に、前記データを前記ある項目の既定値に設定する既定値設定処理を実行し、前記第1の方法により入力を受け付けた前記データを用いたデータ処理を実行し、
前記入力画面を表示中、前記ある項目に対して前記第1の方法とは異なる第2の方法によりデータの入力を受け付けた場合に、入力を受け付けたデータを前記ある項目の既定値に設定しない既定値非設定処理を実行し、前記第2の方法により入力を受け付けた前記データを用いたデータ処理を実行する、データ入力方法。
【0178】
[19]コンピュータを、
ある項目のデータの入力を受け付けるために入力画面をディスプレイに表示させる入力画面表示処理を実行する第1処理手段と、
前記入力画面を表示中、前記ある項目に対して第1の方法によりデータの入力を受け付けた場合に、前記データを前記ある項目の既定値に設定する既定値設定処理を実行し、前記第1の方法により入力を受け付けた前記データを用いたデータ処理を実行する第2処理手段と、
前記入力画面を表示中、前記ある項目に対して前記第1の方法とは異なる第2の方法によりデータの入力を受け付けた場合に、入力を受け付けたデータを前記ある項目の既定値に設定しない既定値非設定処理を実行し、前記第2の方法により入力を受け付けた前記データを用いたデータ処理を実行する第3処理手段として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0179】
10…電卓、11…表示部、12…キー入力部、12A…数値・演算記号キー群、12B…アプリ計算キー群、21…CPU、22…ROM、22A…通常計算プログラム、22B…アプリ計算プログラム、22C…散薬分包計算プログラム、22D…ローン計算プログラム、23…RAM、23A…入力値保持フラグ、23B…計算実行時メモリ、23C…保持数値メモリ、23D…入力データメモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9