(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】透過型液晶パネル
(51)【国際特許分類】
G03B 21/16 20060101AFI20240709BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240709BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240709BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G03B21/16
G02F1/1333
G03B21/00 E
G09F9/00 302
G09F9/00 304B
(21)【出願番号】P 2023112980
(22)【出願日】2023-07-10
(62)【分割の表示】P 2021123692の分割
【原出願日】2021-07-28
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】門谷 典和
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-089721(JP,A)
【文献】特開2005-070439(JP,A)
【文献】特開2019-128465(JP,A)
【文献】国際公開第2019/035282(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
G09F9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が配列された画素領域と、
前記複数の画素ごとに光を変調する液晶層と、
前記液晶層に光を入射させる入射部と、
前記液晶層にて変調された光を画像光として出射する出射部と、
平板状の第1部材と平板状の第2部材とが組み合わされて形成され
て内部に冷媒が封入され
、前記入射部及び前記出射部のうちの一方の部分に対して他方の部分とは反対側に設けられ、前記一方の部分に熱伝達可能に接続された平板状のベイパーチャンバーと、
前記ベイパーチャンバーに熱伝達可能に接続された放熱部材と、を備え、
前記ベイパーチャンバーは、前記画素領域に応じた開口部と、前記開口部の周囲に設けられた受熱部と、前記受熱部によって受熱された熱を放熱する放熱部と、を有し、前記内部に封入された液体の前記冷媒を前記受熱部にて受熱された熱によって気化させ、気体の前記冷媒の熱を前記放熱部にて放熱することによって気体の前記冷媒を液体の前記冷媒に凝縮
し、
前記放熱部材は、前記ベイパーチャンバーにおいて前記一方の部分とは反対側の面に熱伝達可能に接続されている、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記出射部は、前記液晶層と熱伝達可能に接続され、前記画像光が通過する透光性の出射側基板を有し、
前記出射側基板の面積は、前記画像光の出射方向から見て前記画素領域の面積よりも大きく、
前記ベイパーチャンバーは、前記出射側基板に熱伝達可能に設けられている、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項3】
請求項2に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記出射部は、前記液晶層に電気的に接続される出射側電極を有し、前記液晶層に対して光出射側に配置される透光性の出射側電極基板を備え、
前記出射側基板は、前記出射側電極基板である、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項4】
請求項3に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記出射部は、前記出射側電極基板における光出射側の面に設けられた出射側防塵基板を備え、
前記出射側防塵基板は、前記出射側防塵基板における光入射側の面と、前記出射側防塵基板における光出射側の面とを接続する側面を有し、
前記受熱部は、前記出射側電極基板における光出射側の面と、前記出射側防塵基板における前記側面とから受熱する、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項5】
請求項2に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記出射部は、
前記液晶層に電気的に接続される出射側電極を有し、前記液晶層に対して光出射側に配置される透光性の出射側電極基板と、
前記出射側電極基板における光出射側の面に設けられた出射側防塵基板と、を備え、
前記出射側基板は、前記出射側防塵基板である、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項6】
請求項5に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記ベイパーチャンバーは、前記出射側防塵基板の光出射側の面に設けられている、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項7】
請求項5に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記出射側防塵基板は、前記出射側防塵基板における光入射側の面と、前記出射側防塵基板における光出射側の面とを接続する側面を有し、
前記開口部の内周面は、前記出射側防塵基板における前記側面の少なくとも一部と熱伝達可能に接続している、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項8】
請求項7に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記受熱部は、前記出射側電極基板に熱伝達可能に接続されている、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項9】
複数の画素が配列された画素領域と、
前記複数の画素ごとに光を変調する液晶層と、
前記液晶層に光を入射させる入射部と、
前記液晶層にて変調された光を画像光として出射する出射部と、
平板状の第1部材と平板状の第2部材とが組み合わされて形成され、内部に冷媒が封入されたベイパーチャンバーと、を備え、
前記出射部は、
前記液晶層に電気的に接続される出射側電極を有し、前記液晶層に対して光出射側に配置される透光性の出射側電極基板と、
前記出射側電極基板における光出射側の面に設けられた出射側防塵基板と、を備え、
前記出射側電極基板は、前記液晶層と熱伝達可能に接続され、前記画像光が通過する透光性の出射側基板であり、
前記出射側電極基板の面積は、前記画像光の出射方向から見て前記画素領域の面積よりも大きく、
前記出射側防塵基板は、前記出射側防塵基板における光入射側の面と、前記出射側防塵基板における光出射側の面とを接続する側面を有し、
前記ベイパーチャンバーは、前記出射側基板に熱伝達可能に設けられ、
前記ベイパーチャンバーは、前記画素領域に応じた開口部と、前記開口部の周囲に設けられた受熱部と、前記受熱部によって受熱された熱を放熱する放熱部と、を有し、前記内部に封入された液体の前記冷媒を前記受熱部にて受熱された熱によって気化させ、気体の前記冷媒の熱を前記放熱部にて放熱することによって気体の前記冷媒を液体の前記冷媒に凝縮
し、
前記受熱部は、前記出射側電極基板における光出射側の面と、前記出射側防塵基板における前記側面とから受熱する、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項10】
請求項3から請求項
9のいずれか一項に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記出射側電極基板は、前記出射側電極として、前記複数の画素のそれぞれに応じて設けられる複数の画素電極を有し、前記液晶層に対して光出射側に配置される画素基板である、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項11】
請求項1に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記入射部は、前記液晶層と熱伝達可能に接続され、前記液晶層に入射する光が通過する透光性の入射側基板を有し、
前記入射側基板の面積は、前記液晶層に入射する光の進行方向とは反対方向から見て前記画素領域の面積よりも大きく、
前記ベイパーチャンバーは、前記入射側基板に熱伝達可能に設けられている、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項12】
請求項
11に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記入射部は、前記液晶層に電気的に接続される入射側電極を有し、前記液晶層に対して光入射側に配置される透光性の入射側電極基板を備え、
前記入射側基板は、前記入射側電極基板である、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項13】
請求項
12に記載の透過型液晶パネルおいて、
前記入射部は、前記入射側電極基板における光入射側の面に設けられた入射側防塵基板を備え、
前記入射側防塵基板は、前記入射側防塵基板における光入射側の面と、前記入射側防塵基板における光出射側の面とを接続する側面を有し、
前記受熱部は、前記入射側電極基板における光入射側の面と、前記入射側防塵基板における前記側面とから受熱する、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項14】
請求項
11に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記入射部は、
前記液晶層に電気的に接続される入射側電極を有し、前記液晶層に対して光入射側に配置される透光性の入射側電極基板と、
前記入射側電極基板における光入射側の面に設けられた入射側防塵基板と、を備え、
前記入射側基板は、前記入射側防塵基板である、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項15】
請求項
14に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記ベイパーチャンバーは、前記入射側防塵基板の光入射側の面に設けられている、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項16】
請求項
14に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記入射側防塵基板は、前記入射側防塵基板における光入射側の面と、前記入射側防塵基板における光出射側の面とを接続する側面を有し、
前記開口部の内周面は、前記入射側防塵基板における前記側面の少なくとも一部に熱伝達可能に接触している、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項17】
請求項
16に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記受熱部は、前記入射側電極基板に熱伝達可能に接続されている、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項18】
複数の画素が配列された画素領域と、
前記複数の画素ごとに光を変調する液晶層と、
前記液晶層に光を入射させる入射部と、
前記液晶層にて変調された光を画像光として出射する出射部と、
平板状の第1部材と平板状の第2部材とが組み合わされて形成され、内部に冷媒が封入されたベイパーチャンバーと、を備え、
前記入射部は、
前記液晶層に電気的に接続される入射側電極を有し、前記液晶層に対して光入射側に配置される透光性の入射側電極基板と、
前記入射側電極基板における光入射側の面に設けられた入射側防塵基板と、を備え、
前記入射側電極基板は、前記液晶層と熱伝達可能に接続され、前記液晶層に入射する光が通過する透光性の入射側基板であり、
前記入射側電極基板の面積は、前記液晶層に入射する光の進行方向とは反対方向から見て前記画素領域の面積よりも大きく、
前記入射側防塵基板は、前記入射側防塵基板における光入射側の面と、前記入射側防塵基板における光出射側の面とを接続する側面を有し、
前記ベイパーチャンバーは、前記入射側基板に熱伝達可能に設けられ、
前記ベイパーチャンバーは、前記画素領域に応じた開口部と、前記開口部の周囲に設けられた受熱部と、前記受熱部によって受熱された熱を放熱する放熱部と、を有し、前記内部に封入された液体の前記冷媒を前記受熱部にて受熱された熱によって気化させ、気体の前記冷媒の熱を前記放熱部にて放熱することによって気体の前記冷媒を液体の前記冷媒に凝縮
し、
前記受熱部は、前記入射側電極基板における光入射側の面と、前記入射側防塵基板における前記側面とから受熱する、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【請求項19】
請求項
12から請求項
18のいずれか一項に記載の透過型液晶パネルにおいて、
前記入射側電極基板は、前記入射側電極として、前記画素領域に応じて設けられる共通電極を有する対向基板である、ことを特徴とする透過型液晶パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透過型液晶パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルを冷却する冷却装置を備えたプロジェクターが知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクターでは、液晶パネルは、枠体内に収容されており、枠体内には、冷却装置によって流通する液体冷媒の流路が設けられている。枠体は、液晶パネルから伝達される熱を液体冷媒に伝達することによって、液晶パネルを冷却する冷却部である。また、液晶パネル及び枠体は、第1密閉筐体内に収容され、第1密閉筐体内には、熱交換器及び送風ファンが設けられている。熱交換器には、冷却装置によって循環する液体冷媒が流通し、熱交換器は、第1密閉筐体内の気体の熱を液体冷媒に伝達し、これにより、第1密閉筐体内の気体を冷却する。第1密閉筐体内の気体は、送風ファンによって第1密閉筐体内を循環して、液晶パネルを冷却する。
冷却装置は、液体冷媒を圧送するポンプ、液体冷媒を冷却するラジエータ、及び、液体冷媒が循環する複数の配管を備える。複数の配管のうち、一部の配管には、一部の配管によって液体冷媒が流通する部品を交換できるように、カプラーが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクターでは、液晶パネルを収容する枠体には、液体冷媒が流通することから、枠体には、配管が設けられる。このような配管が設けられていると、液晶パネルを交換する必要が生じた場合に、液体冷媒が漏出しないように工夫しながら液晶パネルを取り外す必要があり、液晶パネルの交換作業が煩雑となる。このようなことは、液晶パネルをプロジェクターに組み込む際にも発生する。
また、枠体に流通する液体冷媒を循環させるには、ポンプ及びタンクが必要になることから、冷却装置、ひいては、プロジェクターが大型化するという問題がある。
このため、液晶パネルの交換工程及び組込工程の簡略化、並びに、液晶パネルが搭載される装置の小型化を図ることができる構成が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様に係る透過型液晶パネルは、複数の画素が配列された画素領域と、前記複数の画素ごとに光を変調する液晶層と、前記液晶層に光を入射させる入射部と、前記液晶層にて変調された光を画像光として出射する出射部と、前記画素領域に応じた開口部と、前記開口部の周囲に設けられた受熱部と、前記受熱部によって受熱された熱を放熱する放熱部と、を有し、内部に封入された液体の冷媒を前記受熱部にて受熱された熱によって気化させ、気体の前記冷媒の熱を前記放熱部にて放熱することによって気体の前記冷媒を液体の前記冷媒に凝縮するベイパーチャンバーと、を備える。
【0006】
本開示の第2態様に係る透過型液晶パネルは、複数の画素が配列された画素領域と、前記複数の画素ごとに光を変調する液晶層と、前記画素領域に応じて設けられる共通電極を有する対向基板と、前記複数の画素のそれぞれに応じて設けられる複数の画素電極を有し、前記対向基板との間に前記液晶層を担持する画素基板と、前記対向基板において前記画素基板とは反対側の面に設けられた第1防塵基板と、前記画素基板において前記対向基板とは反対側の面に設けられた第2防塵基板と、前記画素領域に応じた第1開口部と、前記第1開口部の周囲に設けられ、前記対向基板及び前記第1防塵基板のうち少なくとも一方に熱伝達可能に接続される第1受熱部と、前記第1受熱部によって受熱された熱を放熱する第1放熱部と、を有し、内部に封入された液体の第1冷媒を前記第1受熱部にて受熱された熱によって気化させ、気体の前記第1冷媒の熱を前記第1放熱部にて放熱することによって液体の前記第1冷媒を気体の前記第1冷媒に凝縮する第1ベイパーチャンバーと、前記画素領域に応じた第2開口部と、前記第2開口部の周囲に設けられ、前記画素基板及び前記第2防塵基板のうち少なくとも一方に熱伝達可能に接続される第2受熱部と、前記第2受熱部によって受熱された熱を放熱する第2放熱部と、を有し、内部に封入された液体の第2冷媒を前記第2受熱部にて受熱された熱によって気化させ、気体の前記第2冷媒の熱を前記第2放熱部にて放熱することによって液体の前記第2冷媒を気体の前記第2冷媒に凝縮する第2ベイパーチャンバーと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係るプロジェクターの構成を示す模式図。
【
図2】第1実施形態に係る画像形成ユニットを示す斜視図。
【
図3】第1実施形態に係る液晶パネル及び保持部材を示す分解斜視図。
【
図4】第1実施形態に係る液晶パネル及び保持部材を示す分解斜視図。
【
図5】第1実施形態に係る液晶パネルを示す断面図。
【
図6】第1実施形態に係る出射側冷却部材の本体部を示す斜視図。
【
図7】第1実施形態に係る本体部に取り付けられた第1放熱部材を示す斜視図。
【
図8】第1実施形態に係る液晶パネルの断面を示す模式図。
【
図9】第1実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図10】第1実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図11】第2実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネルの断面を示す模式図。
【
図12】第2実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図13】第2実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図14】第3実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネルの断面を示す模式図。
【
図15】第3実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図16】第3実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図17】第4実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネルの断面を示す模式図。
【
図18】第4実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図19】第4実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図20】第5実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネルの断面を示す模式図。
【
図21】第5実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図22】第5実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図23】第6実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネルの断面を示す模式図。
【
図24】第6実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図25】第6実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図26】第7実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネルの断面を示す模式図。
【
図27】第7実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図28】第7実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図29】第7実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図30】第7実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図31】第7実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図32】第7実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネルの断面を示す模式図。
【
図33】第7実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図34】第7実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図35】第7実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【
図36】各実施形態に係る液晶パネルの変形の断面を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、光源から出射された光を変調して画像情報に応じた画像を形成し、形成された画像をスクリーン等の被投射面に拡大投射する。プロジェクター1は、
図1に示すように、外装筐体2及び画像投射装置3を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、プロジェクター1を構成する冷却対象を冷却する冷却装置、プロジェクター1を構成する電子部品に電力を供給する電源装置、及び、プロジェクター1の動作を制御する制御装置を備える。
【0009】
[外装筐体の構成]
外装筐体2は、プロジェクター1の外装を構成し、画像投射装置3、冷却装置、電源装置及び制御装置を内部に収容する。
外装筐体2は、正面部21、背面部22、正面部21に対して左側面部23及び右側面部24を有する。図示を省略するが、外装筐体2は、各面部21~24における一方の端部間を接続する天面部と、各面部21~24における他方の端部間を接続する底面部と、を有する。外装筐体2は、例えば略直方体形状に形成される。
【0010】
右側面部24は、吸気口241を有する。吸気口241は、外装筐体2の外部の空気を冷却気体として外装筐体2の内部に導入する。吸気口241には、吸気口241を通過する空気に含まれる塵埃を捕集するフィルターが設けられていてもよい。
正面部21は、正面部21における略中央に位置する通過口211を有する。後述する投射光学装置37から投射された光は、通過口211を通過する。
正面部21は、正面部21における左側面部23側に位置する排気口212を有する。排気口212は、外装筐体2内に設けられた冷却対象を冷却した冷却気体を、外装筐体2の外部に排出する。
【0011】
[画像投射装置の構成]
画像投射装置3は、制御装置から入力される画像情報に応じた画像を形成し、形成された画像を投射する。画像投射装置3は、光源31、光均一化部32、色分離部33、リレー部34、画像形成部35、光学部品用筐体36及び投射光学装置37を備える。
【0012】
光源31は、光均一化部32に照明光を出射する。光源31の構成としては、例えば、励起光である青色光を出射する固体光源と、固体光源から出射された青色光のうちの一部を、緑色光及び赤色光を含む蛍光に波長変換する波長変換素子と、を有する構成を例示できる。なお、光源31の他の構成としては、超高圧水銀ランプ等の光源ランプを光源として有する構成を例示できる他、青色光、緑色光及び赤色光を個別に出射する半導体レーザーや発光素子を用いた固体光源を有する構成を例示できる。
光均一化部32は、光源31から出射された光を均一化する。均一化された光は、色分離部33及びリレー部34を経て、後述する液晶パネル4Aの変調領域を照明する。光均一化部32は、2つのレンズアレイ321,322、偏光変換素子323及び重畳レンズ324を備える。
色分離部33は、光均一化部32から入射される光を赤、緑及び青の各色光に分離する。色分離部33は、2つのダイクロイックミラー331,332と、ダイクロイックミラー331によって分離された青色光を反射させる反射ミラー333と、を備える。
【0013】
リレー部34は、他の色光の光路よりも長い赤色光の光路に設けられ、赤色光の損失を抑制する。リレー部34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343、反射ミラー342,344を備える。なお、本実施形態では、赤色光の光路上にリレー部34を設けることとした。しかしながら、これに限らず、例えば他の色光より光路が長い色光を青色光とし、青色光の光路上にリレー部34を設ける構成としてもよい。
【0014】
画像形成部35は、入射される赤、緑及び青の各色光を変調し、変調された各色光を合成して、画像を形成する。画像形成部35は、入射される色光に応じて設けられる3つのフィールドレンズ351と、3つの入射側偏光板352と、画像形成ユニット353Aと、を備える。
【0015】
画像形成ユニット353Aは、3つの液晶パネル4A、3つの視野角補償板354と、3つの出射側偏光板355と、1つの色合成部356と、を有し、これらが一体化されたものである。
【0016】
液晶パネル4Aは、光源31から出射された光を、制御装置から入力する画像信号に基づいて変調する。具体的に、液晶パネル4Aは、入射側偏光板352から出射された光を、入力する画像信号に基づいて変調し、変調した光を画像光として出射する。液晶パネル4Aは、赤色光を変調する液晶パネル4AR、緑色光を変調する液晶パネル4AG、及び、青色光を変調する液晶パネル4ABを含む。液晶パネル4Aは、液晶パネル4Aに対する光の入射方向に沿って、変調した光を出射する透過型の液晶パネルであり、入射側偏光板352、液晶パネル4A、出射側偏光板355によって液晶ライトバルブが構成される。
液晶パネル4Aの詳しい構成は、後に詳述する。
【0017】
色合成部356は、液晶パネル4AB,4AG,4ARによって変調された3つの色光を合成する。色合成部356によって合成された画像光は、投射光学装置37に入射する。本実施形態では、色合成部356は、略直方体形状のクロスダイクロイックプリズムによって構成されている。クロスダイクロイックプリズムは、例えば4つの直角三角柱状のプリズムを貼り合わせた略直方体形状を有するプリズムであり、4つのプリズムの界面には、互いに交差する2つの誘電体多層膜が設けられている。
【0018】
図2は、画像形成ユニット353Aを示す斜視図である。
色合成部356は、
図2に示すように、液晶パネル4AR,4AG,4ABと対向し、かつ、液晶パネル4AR,4AG,4ABを通過した各色光が入射される3つの入射面356R,356G,356Bと、1つの出射面356Sと、を有する。各入射面356R,356G,356Bに入射された3つの色光のうち、青色光及び赤色光は、2つの誘電体多層膜にて投射光学装置37に向かって反射され、緑色光は、2つの誘電体多層膜を投射光学装置37に向かって通過する。これにより、3つの色光が合成される。合成された画像光は、出射面356Sから投射光学装置37に向かって出射される。
【0019】
画像形成ユニット353Aは、上記した構成の他、
図2に示すように、3つの保持部材357を有する。
3つの保持部材357のそれぞれは、液晶パネル4A及び後述する出射側偏光板355を保持し、入射面356R,356G,356Bのうち、対応する入射面に固定される。
【0020】
図3は、液晶パネル4A及び保持部材357を液晶パネル4Aの光入射側から見た分解斜視図であり、
図4は、液晶パネル4A及び保持部材357を液晶パネル4Aの光出射側から見た分解斜視図である。
保持部材357は、
図3及び
図4に示すように、取付部358及び4つの突起の挿入部359を有する。
取付部358は、矩形枠状に形成され、上記対応する入射面に接着等によって取り付けられる。取付部358は、開口部3581及び保持部3582を有する。
開口部3581は、取付部358の略中央に矩形状に形成されている。開口部3581は、出射側偏光板355を通過した光が色合成部356に向かって通過する。
保持部3582は、出射側偏光板355を保持する。
【0021】
4つの挿入部359は、取付部358における四隅に応じた部分から液晶パネル4A側に突出している。4つの挿入部359は、液晶パネル4Aの各位置調整部503に挿入された後、紫外線硬化接着剤等の接着剤によって液晶パネル4Aと接着固定される。
このような保持部材357によって、液晶パネル4Aは、色合成部356と一体化される。しかしながら、略直方体形状のクロスダイクロイックプリズムに限らず、色合成部356は、例えば複数のダイクロイックミラーによって構成してもよい。
【0022】
図1に示すように、光学部品用筐体36は、上記した各部32~34及びフィールドレンズ351を内部に収容する。なお、画像投射装置3には、設計上の光軸である照明光軸Axが設定されており、光学部品用筐体36は、照明光軸Axにおける所定位置に各部32~34及びフィールドレンズ351を保持する。光源31、画像形成ユニット353A及び投射光学装置37は、照明光軸Axにおける所定位置に配置される。
【0023】
投射光学装置37は、画像形成部35から入射される画像を被投射面に拡大して投射する投射レンズである。すなわち、投射光学装置37は、液晶パネル4Aによって変調された画像光を投射する。投射光学装置37としては、複数のレンズと、複数のレンズが内部に収容される筒状の鏡筒とを有する組レンズを例示できる。
【0024】
[液晶パネルの構成]
液晶パネル4Aは、上記のように、入射側偏光板352から入射される光を変調する透過型の液晶パネルであり、保持部材357によって色合成部356の各入射面に応じた位置に配置される。液晶パネル4Aは、
図3及び
図4に示すように、パネル本体41と、フラットケーブルで構成した配線49と、保持筐体50と、出射側冷却部材6Aと、を有する。
以下の説明では、互いに直交する三つの方向を、+X方向、+Y方向及び+Z方向とする。本実施形態では、+Z方向を、液晶パネル4Aに入射する光の進行方向とする。+Y方向が上方向と一致するように液晶パネル4Aを+Z方向に沿って見た場合の右方向を+X方向とする。図示を省略するが、+X方向の反対方向を-X方向とし、+Y方向の反対方向を-Y方向とし、+Z方向の反対方向を-Z方向とする。すなわち、液晶パネル4Aに対する+Z方向は、液晶パネル4Aに対する光出射側であり、液晶パネル4Aに対する-Z方向は、液晶パネル4Aに対する光入射側である。
【0025】
[パネル本体の構成]
図5は、液晶パネル4Aを示す断面図である。
パネル本体41は、入射される光を変調する。パネル本体41は、複数の画素が配列された画素領域41Aを有する。画素領域41Aは、液晶パネル4Aにおいて、複数の画素が配列されて、入力する画像信号に基づいて、入射する光を変調する領域であり、複数の画素のそれぞれは、個別に光を変調可能である。
パネル本体41は、
図5に示すように、液晶層42、入射部43及び出射部46を有する。すなわち、液晶パネル4Aは、画素領域41Aを有する透過型液晶パネルである。
【0026】
[液晶層の構成]
液晶層42は、入射部43と出射部46との間に封入された液晶によって形成されている。詳述すると、液晶層42は、入射部43を構成する対向基板44と、出射部46を構成する画素基板47との間に封入された液晶によって形成されている。
液晶層42は、入射部43を介して入射する光を、入力する画像信号に応じて変調する。すなわち、液晶層42は、画素領域41Aにおいて、入射する光を変調する変調部であり、画素領域41Aの主要部分を構成する。
液晶層42には、光が入射することによって熱が発生する。液晶層42にて発生した熱は、液晶層42を挟む入射部43及び出射部46に伝達される。
【0027】
[入射部の構成]
入射部43は、液晶層42に対する光入射側に設けられ、液晶層42に入射する光を透過させ、これにより、液晶層42に光を入射させる。入射部43は、画素基板47とともに液晶層42を挟む対向基板44と、対向基板44に設けられた入射側防塵基板45と、を備える。
【0028】
[対向基板の構成]
対向基板44は、液晶層42に対して光入射側に配置され、液晶層42と熱伝達可能に接続される透光性の入射側電極基板である。対向基板44は、図示を省略するが、液晶層42に電気的に接続される共通電極としての対向電極と、対向電極を支持する支持基板と、を有する。対向電極は、入射側電極に相当し、画素領域41Aを構成する。画素領域41Aに入射する光の進行方向に沿って見て、対向基板44の面積は、画素領域41Aの面積よりも大きい。すなわち、-Z方向から見て、対向基板44の面積は、画素領域41Aの面積よりも大きい。
対向基板44は、光入射側の面であり、光が入射する光入射面441と、光出射側の面であり、対向基板44を通過した光が出射される光出射面442と、を有する。
対向基板44には、液晶層42にて生じた熱が伝達される。
【0029】
[入射側防塵基板の構成]
入射側防塵基板45は、対向基板44の光入射面441において画素領域41Aに応じた部分に設けられる透光性の基板である。すなわち、-Z方向から液晶パネル4Aを見た場合、入射側防塵基板45は、画素領域41Aを覆うように、光入射面441に熱伝達可能に設けられる。
入射側防塵基板45は、光入射面441において画素領域41Aに対応する領域に塵埃等が付着して、画像光に塵埃等の影が入り込むことを抑制する。画素領域41Aに入射する光の進行方向に沿って見て、入射側防塵基板45の面積は、画素領域41Aの面積よりも大きい。詳述すると、-Z方向から見て、入射側防塵基板45の面積は、画素領域41Aの面積よりも大きく、対向基板44の面積よりも小さい。
【0030】
入射側防塵基板45は、光入射面451、光出射面452及び側面453を有し、略直方体形状に形成されている。
光入射面451は、入射側防塵基板45における光入射側の面であり、入射側偏光板352から出射された光が入射する面である。
光出射面452は、入射側防塵基板45における光出射側の面であり、入射側防塵基板45を通過する光が出射される面である。光出射面452は、対向基板44の光入射面441に接続される。
側面453は、光入射面451と光出射面452とを接続する面である。
入射側防塵基板45には、対向基板44を介して、液晶層42の熱が伝達される。すなわち、入射側防塵基板45は、対向基板44を介して液晶層42と熱伝達可能に接続される。
【0031】
[出射部の構成]
出射部46は、液晶層42に対する光出射側に設けられ、液晶層42にて変調された光を画像光として出射する。出射部46は、対向基板44とともに液晶層42を挟む画素基板47と、画素基板47に設けられた出射側防塵基板48と、を備える。
【0032】
[画素基板の構成]
画素基板47は、液晶層42に対して光出射側に配置され、液晶層42と熱伝達可能に接続される透光性の出射側電極基板である。画素基板47は、図示を省略するが、TFT(Thin Film Transistor)等の複数のスイッチング素子と、液晶層42に電気的に接続される複数の画素電極と、複数のスイッチング素子及び複数の画素電極を支持する支持基板と、を有する。複数の画素電極は、出射側電極に相当し、画素領域41Aを構成する。詳述すると、複数の画素電極のそれぞれは、画素領域41Aに配列された複数の画素のそれぞれに応じて設けられ、複数のスイッチング素子と、液晶層42において複数の画素に対応する部分とに電気的に接続されている。換言すると、複数の画素電極は、画素領域41Aに配列される複数の画素を規定する。画素基板47から出射される画像光の出射方向から見て、画素基板47の面積は、画素領域41Aの面積よりも大きい。
画素基板47は、光入射側の面であり、液晶層42にて変調された光が入射する光入射面471と、光出射側に配置されて、画素基板47を通過した光が出射される光出射面472を有する。
画素基板47には、液晶層42にて生じた熱が伝達される。
【0033】
[出射側防塵基板の構成]
出射側防塵基板48は、画素基板47の光出射面472において画素領域41Aに応じた部分に設けられる透光性の基板である。すなわち、光出射側から液晶パネル4Aを見た場合、出射側防塵基板48は、画素領域41Aを覆うように、光入射面471に熱伝達可能に設けられる。
出射側防塵基板48は、画素基板47に塵埃等が直接付着して、画像光に塵埃等の影が入り込むことを抑制するものである。液晶層42から出射される画像光の出射方向から見て、出射側防塵基板48の面積は、画素領域41Aの面積よりも大きい。詳述すると、+Z方向から見て、出射側防塵基板48の面積は、画素領域41Aの面積よりも大きく、画素基板47の面積よりも小さい。
【0034】
出射側防塵基板48は、光入射面481、光出射面482及び側面483を有し、略直方体形状に形成されている。
光入射面481は、出射側防塵基板48における光入射側の面であり、画素基板47の光出射面472に接続されて光出射面472から出射された光が入射する面である。
光出射面482は、出射側防塵基板48における光出射側の面であり、出射側防塵基板48を通過した光が出射される面である。
側面483は、光入射面481と光出射面482とを接続する面である。
出射側防塵基板48には、画素基板47を介して、液晶層42の熱が伝達される。すなわち、出射側防塵基板48は、画素基板47を介して液晶層42と熱伝達可能に接続される。
【0035】
[配線の構成]
配線49は、液晶層42において複数の画素に対応する領域に、画素基板47に設けられた複数の画素電極と対向基板44の対向電極との間に、画像信号を応じた印加電圧を印加する。すなわち、配線49は、液晶層42を駆動する画像信号を供給する。
配線49は、画素基板47に電気的に接続されている。詳述すると、配線49は、対向基板44及び画素基板47のそれぞれから+Y方向に延出し、図示しない制御装置と接続される。本実施形態では、配線49は、FPC(Flexible Printed Circuits)によって構成されている。
配線49における+Z方向の面には、制御装置から入力される画像信号に応じてパネル本体41の動作を制御するドライバー回路491が設けられている。ドライバー回路491は、出射側冷却部材6Aの第1部材62と熱的に接続される。
【0036】
[保持筐体の構成]
保持筐体50は、パネル本体41と、対向基板44と、配線49の一部とを-Z方向にて覆う。保持筐体50は、出射側冷却部材6Aと組み合わされることによって、パネル本体41を内部に保持する。すなわち、保持筐体50は、後述する出射側冷却部材6Aとは別体である。保持筐体50は、
図3に示すように、開口部501及び放熱フィン502を有する他、
図3及び
図4に示すように、4つの位置調整部503を有する。
【0037】
開口部501は、
図3に示すように、-Z方向から見て画素領域41Aに応じて略矩形状に設けられている。開口部501は、入射側偏光板352から出射された光を通過させて、入射側防塵基板45に入射させる。
放熱フィン502は、開口部501に対して+Y方向の部分から-Z方向に突出するように複数設けられている。放熱フィン502は、入射部43から保持筐体50に伝達された熱を放熱する。
4つの位置調整部503は、
図3及び
図4に示すように、-Z方向から見て保持筐体50の四隅に設けられている。各位置調整部503は、対応する挿入部359が+Z方向から挿入される孔部である。各位置調整部503に対する挿入部359の挿入量に応じて、保持部材357が取り付けられる色合成部356の入射面に対する保持筐体50の位置、ひいては、液晶パネル4Aの位置が調整される。液晶パネル4Aの位置調整の後、上記のように、挿入部359と位置調整部503とは、接着剤によって固定される。
【0038】
[出射側冷却部材の構成]
出射側冷却部材6Aは、画素基板47に対して対向基板44とは反対側に配置され、画素基板47と熱的に接続される。出射側冷却部材6Aは、
図5に示すように、冷媒が封入された中空の封入空間SPを有し、発熱体から伝達された熱によって液体の冷媒を気化させることにより、発熱体から伝達される熱を消費し、これにより、発熱体を冷却する。
本実施形態では、出射側冷却部材6Aは、画素基板47及び出射側防塵基板48を介して伝達される液晶層42の熱によって液体の冷媒を気体の冷媒に気化させることにより、液晶層42を冷却する。すなわち、出射側冷却部材6Aは、液体の冷媒の気化によって液晶層42を冷却する。
出射側冷却部材6Aは、本体部61A及び第1放熱部材68を有する。
【0039】
[本体部の構成]
図6は、本体部61Aを示す斜視図である。詳述すると、
図6は、本体部61Aを第2部材63側から見た斜視図である。
本体部61Aは、
図6に示すように、第1部材62及び第2部材63を有し、第1部材62及び第2部材63が組み合わされて構成される。本実施形態では、本体部61Aは、ベイパーチャンバーであり、本体部61Aの内部には、第1部材62及び第2部材63が組み合わされることによって封入空間SP(
図5参照)が形成されている。封入空間SPには、冷媒が封入されている。なお、本体部61Aは、液晶層42から出射される光の出射側(+Z方向)から見て、画素基板47及び出射側防塵基板48よりも外側に延在している。
【0040】
第1部材62は、平板状に形成された基板であり、第1基板ということもできる。第1部材62は、本体部61Aにおいて発熱体と接続される接続部分であり、封入空間SP内に封入された液体の冷媒と接触可能に構成されている。第1部材62において、外部から熱が伝達された部分は、封入空間SP内の液体の冷媒を気体の冷媒に変化させる。すなわち、第1部材62は、伝達された熱によって液体の冷媒を気化させる。第1部材62において第2部材63とは反対側の第1面62Aは、発熱体に接触する面である。本実施形態では、第1面62Aは、平坦面である。
第1部材62は、発熱体の熱を受熱する受熱部621を有する。すなわち、本実施形態に係るベイパーチャンバーである本体部61Aは、受熱部621を有する。受熱部621については、後に詳述する。
【0041】
第2部材63は、平板状に形成された基板であり、第2基板ということもできる。第2部材63は、第1部材62に接合されて、第1部材62とともに封入空間SPを形成する。第2部材63は、封入空間SP内の気体の冷媒と接触可能に構成されている。
第2部材63は、第2面63A及び第1放熱部631を有する。
第2面63Aは、第2部材63において第1部材62とは反対側の面である。
第1放熱部631は、封入空間SP内の気体の冷媒から熱を受熱し、気体の冷媒を液体の冷媒に凝縮するとともに、受熱した熱を外部に放熱する。すなわち、第1放熱部631は、第1凝縮部ということもできる。第1放熱部631の位置については後に詳述する。
このような第2部材63は、液晶パネル4Aにおいて第1部材62に対して液晶層42とは反対側に配置される。
【0042】
本体部61Aは、開口部64を有する。
開口部64は、本体部61Aにおいて画素領域41Aに応じて設けられた略矩形状の開口部である。開口部64は、第1部材62と第2部材63とが互いに対向する方向(+Z方向)に沿って本体部61Aを貫通しており、液晶パネル4Aを通過する光は、開口部64を通過する。すなわち、開口部64は、内周面を有する貫通孔である。
開口部64の内周面は、第1部材62と第2部材63との接合部分によって形成される。このため、開口部64の内縁に伝達された熱は、第1部材62に伝達される。
なお、本体部61Aは、開口部64から+Y方向に延出している。詳述すると、本体部61Aは、開口部64から、液晶層42に接続される画素基板47からの配線49の延在方向(+Y方向)に延出している。換言すると、本体部61Aは、液晶層42からの配線49の延在方向(+Y方向)に開口部64から延出している。
【0043】
[受熱部の構成]
受熱部621は、本体部61Aにおいて発熱体の熱を受熱する部分である。このため、本実施形態では、受熱部621の一部は、第1部材62において開口部64の周囲に設けられている。本実施形態では、本体部61Aは、第1部材62が画素基板47及び出射側防塵基板48と接触するように設けられることから、受熱部621は、開口部64周囲の部分であって、第1部材62において画素基板47及び出射側防塵基板48と接触する部分である。換言すると、本体部61Aは、第1部材62において開口部64の周囲に設けられて、発熱体である画素基板47の光出射面472と、発熱体である出射側防塵基板48の側面483とから受熱する受熱部621を有する。
図示を省略するが、封入空間SPの内面において受熱部621に対応する部分は、受熱部621にて受熱された熱によって液体の冷媒を気化させる気化部ということができる。詳述すると、封入空間SPの内面において液体の冷媒と接触する部分のうち、受熱部621にて受熱された熱が伝達されて、液体の冷媒を気化させる部分が、気化部である。
【0044】
[第1放熱部の構成]
第1放熱部631は、本体部61Aにおいて封入空間SP内を流通する気体の冷媒の熱を放熱する部分である。
図示を省略するが、封入空間SPの内面において第1放熱部631に対応する部分は、気体の冷媒から受熱して、気体の冷媒を液体の冷媒に凝縮する第1凝縮部ということができる。詳述すると、封入空間SPの内面において気体の冷媒と接触する部分のうち、気体の冷媒の熱を受熱して気体の冷媒を液体の冷媒に凝縮する部分が、第1凝縮部である。このような第1凝縮部によって気体の冷媒から受熱した熱が、第1放熱部631によって放熱される。
第1放熱部631は、開口部64に対して液晶層42からの配線49の延在方向に設けられている。第2面63Aにおいて第1放熱部631に対応する位置には、第1放熱部材68(
図5参照)が設けられる。第1放熱部631に第1放熱部材68が設けられることによって、第1放熱部631は、第2部材63において気体の冷媒から受熱した熱を本体部61Aの外部に放熱しやすい部分となる。このため、出射側冷却部材6Aにおいて、第1放熱部材68が設けられた部分が第1放熱部631として構成される。
【0045】
[第1放熱部材の構成]
図7は、本体部61Aに取り付けられた第1放熱部材68を示す斜視図である。
第1放熱部材68は、第1放熱部631から伝達される熱を放熱する。第1放熱部材68は、
図7に示すように、複数のフィン681を有する。
複数のフィン681のそれぞれは、四角筒状に形成されており、+X方向に並んで配置されている。複数のフィン681のそれぞれは、+Y方向に沿って冷却気体が流通可能な流路を内部に有する。液晶パネル4Aに流通する冷却気体の一部は、第2面63Aに沿って+Y方向に流通し、各フィン681の内部に設けられた流路に沿って流通する。流路内を流通する冷却気体には、各フィン681から熱が伝達される。
なお、フィン681の形状は、他の形状でもよい。例えば、フィン681は、第1部材62とは反対側に突出するピンであってもよい。この場合、ピンの形状は、円柱状、角柱状、円錐台状及び角錐台状のうち1つの形状であってもよい。
【0046】
[パネル本体に対する出射側冷却部材の配置]
図8は、液晶パネル4AのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
出射側冷却部材6Aは、
図8に示すように、液晶層42に対して光出射側に設けられる。具体的に、出射側冷却部材6Aは、画素基板47の光出射面472に設けられる。すなわち、第1部材62の第1面62Aは、画素基板47の光出射面472に熱伝達可能に接続される。本実施形態では、画素基板47は、出射側基板に相当する。
また、開口部64内には、出射側防塵基板48が配置される。開口部64の内周面には、出射側防塵基板48の側面483が熱伝導性接着剤を介して熱伝達可能に接続される。すなわち、開口部64の内周面は、受熱部621の一部である。
【0047】
[液晶層にて発生した熱の伝達経路]
液晶層42にて発生した熱のうち、一部の熱は、対向基板44に伝達され、他の熱は、画素基板47に伝達される。対向基板44に伝達された熱は、入射側防塵基板45及び保持筐体50に伝達されて放熱される。
画素基板47に伝達された熱のうち、一部の熱は、受熱部621に伝達され、他の一部の熱は、出射側防塵基板48を介して受熱部621に伝達される。より具体的に説明すると、
図8に示す出射側冷却部材6Aにおいては、液晶層42から画素基板47に伝達された熱は、画素基板47の光出射面472と接触する受熱部621に伝達される。一方、出射側防塵基板48に伝達された熱は、出射側防塵基板48の側面483に熱伝達可能に接続される開口部64の内周面に伝達される。
受熱部621を有する第1部材62は、伝達された液晶層42の熱によって封入空間SPの液体の冷媒を気化させることによって、第1部材62に伝達された液晶層42の熱を消費する。これにより、画素基板47及び出射側防塵基板48、ひいては、液晶層42が冷却される。
封入空間SP内を流通して上記第1凝縮部に到達した気体の冷媒は、第1凝縮部にて液体の冷媒に凝縮される。第1凝縮部にて気体の冷媒から受熱された熱は、第1放熱部631から第1放熱部材68に伝達され、第1放熱部材68にて放熱される。
【0048】
[液晶パネルに流通する冷却気体の流れ]
外装筐体2に配置された冷却装置のファンによって流通する冷却気体は、液晶パネル4Aに対して+Y方向に流通する。具体的に、液晶パネル4Aに流通する冷却気体は、液晶パネル4Aにおける-Y方向の端部にて、液晶パネル4Aに対する光入射側の空間を流通する冷却気体と、液晶パネル4Aに対する光出射側の空間を流通する冷却気体とに分流される。
【0049】
液晶パネル4Aに対する光入射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して入射側防塵基板45及び保持筐体50を順に冷却する。すなわち、入射側防塵基板45及び保持筐体50に伝達された液晶層42の熱は、冷却気体に伝達される。なお、配線49に設けられたドライバー回路491等の電子部品の熱の一部は、保持筐体50に伝達される。保持筐体50の放熱フィン502には、液晶パネル4Aに対する光入射側の空間を流通する冷却気体が流通するので、電子部品の熱の一部は、放熱フィン502によって冷却気体に伝達される。これにより、電子部品も冷却される。
【0050】
液晶パネル4Aに対する光出射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して出射側防塵基板48及び第1放熱部材68を順に冷却する。すなわち、出射側防塵基板48及び第1放熱部材68に伝達された液晶層42の熱は、冷却気体に伝達される。
このように、液晶層42の熱が伝達される入射側防塵基板45、保持筐体50、出射側防塵基板48及び第1放熱部材68に冷却気体が流通することによって、液晶層42の熱が冷却気体に伝達され、ひいては、液晶層42が冷却される。なお、本実施形態では、ドライバー回路491は、出射側冷却部材6Aの第1部材62と熱的に接続されるので、ドライバー回路491の熱の一部は、第1部材62に伝達された後、第2部材63の第1放熱部631にて第1放熱部材68に伝達され、第1放熱部材68に流通する冷却気体に伝達される。これにより、ドライバー回路491は冷却される。
【0051】
ここで、液晶パネル4Aにおいて、第1放熱部631は、第1部材62において画素基板47との接続部分及び出射側防塵基板48との接続部分よりも+Y方向に設けられている。換言すると、第1放熱部631は、開口部64に対して+Y方向に設けられている。このことから、気体の冷媒を液体の冷媒に凝縮する第1凝縮部は、開口部64に対して+Y方向に設けられる。
このため、+Y方向が鉛直方向上側となるように、液晶パネル4Aが配置される場合には、第1凝縮部にて凝縮された液体の冷媒を、毛細管力だけでなく重力によっても、受熱部621にて受熱した熱が伝達されて、液体の冷媒を気化させる気化部に輸送できる。これにより、液晶層42から画素基板47及び出射側防塵基板48を介して伝達される熱によって、気化部での液体から気体への冷媒の変化を促進できる。すなわち、液晶層42の熱の放熱効率、ひいては、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0052】
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を奏する。
プロジェクター1は、光源から出射された光を変調する光変調装置としての液晶パネル4Aを備える。液晶パネル4Aは、液晶パネルに入射する光の進行方向に沿って、変調した光を出射する透過型液晶パネルである。
液晶パネル4Aは、画素領域41A、液晶層42、入射部43、出射部46及び本体部61Aを備える。画素領域41Aには、複数の画素が配列されている。液晶層42は、複数の画素ごとに光を変調する。入射部43は、液晶層42に光を入射させる。出射部46は、液晶層42にて変調された光を画像光として出射する。本体部61Aは、出射側冷却部材6Aを構成するベイパーチャンバーである。本体部61Aは、開口部64、受熱部621、第1放熱部631と、を有する。開口部64は、画素領域41Aに応じて本体部61Aに設けられている。受熱部621は、開口部64の周囲に設けられている。第1放熱部631は、放熱部に相当し、受熱部621によって受熱された熱を放熱する。本体部61Aは、本体部61Aの内部に設けられた封入空間SPの内部に封入された液体の冷媒を受熱部621にて受熱された熱によって気化させ、気体の冷媒の熱を第1放熱部631にて放熱することによって気体の冷媒を液体の冷媒に凝縮する。
【0053】
ここで、ベイパーチャンバーは、冷媒を流通させる配管、及び、駆動電力を供給する配線が不要である。上記構成によれば、冷媒が流通する冷却装置を設ける場合、及び、電力によって熱を移動させるペルチェ素子等の熱電変換素子を設ける場合に比べて、液晶パネル4Aの構成を簡略化できる。従って、液晶パネル4Aが搭載される装置としてのプロジェクター1の小型化を図ることができる。また、配管及び配線を装着及び脱離させることなく、プロジェクター1から液晶パネル4Aを装着及び脱離させることができるので、液晶パネル4Aの交換を容易に実施できる。更に、画素領域41Aに応じた開口部64の周囲に設けられた受熱部621が熱を受熱するので、画素領域41Aにおける温度の均一性を高めることができる。
【0054】
液晶パネル4Aでは、出射部46は、液晶層42と熱伝達可能に接続され、画像光が通過する画素基板47を有する。画素基板47は、透光性の出射側基板であり、液晶層42から出射される画像光の出射方向から見て、画素基板47の面積は、画素領域41Aの面積よりも大きい。ベイパーチャンバーである本体部61Aは、画素基板47に熱伝達可能に設けられている。
このような構成によれば、本体部61Aが、液晶層42と熱伝達可能に接続される画素基板47に熱伝達可能に設けられることによって、受熱部821が画素基板47を介して液晶層42の熱を受熱しやすくなる。従って、液晶層42を冷却しやすくすることができる。
【0055】
液晶パネル4Aでは、出射部46は、画素基板47を有する。画素基板47は、液晶層42に電気的に接続される出射側電極を有する。画素基板47は、液晶層42に対して光出射側に配置される透光性の出射側電極基板である。出射側冷却部材6Aの本体部61Aが設けられる出射側基板は、画素基板47である。
このような構成によれば、画素基板47は、熱に弱い液晶層42に直接接続される透光性基板であるので、画素基板47に受熱部621が接続されることによって、液晶層42にて生じた熱を受熱部621に効率よく伝達できる。従って、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0056】
液晶パネル4Aでは、出射部46は、画素基板47の光出射面472に設けられた出射側防塵基板48を備える。光出射面472は、画素基板47における光出射側の面に相当する。出射側防塵基板48は、光入射面481と、光出射面482と、側面483とを有する。側面483は、光入射面481と光出射面482とを接続する。光入射面481は、出射側防塵基板48における光入射側の面に相当し、光出射面482は、出射側防塵基板48における光出射側の面に相当する。受熱部621は、画素基板47における光出射面472と、出射側防塵基板48における側面483とから受熱する。
このような構成によれば、受熱部621は、画素基板47及び出射側防塵基板48のそれぞれと接続されるので、液晶層42の熱を画素基板47及び出射側防塵基板48のそれぞれを介して受熱部621に伝達できる。従って、受熱部621に液晶層42の熱を効率よく伝達できるので、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0057】
液晶パネル4Aでは、画素基板47は、出射側電極として、複数の画素のそれぞれに応じて設けられる複数の画素電極を有する。画素基板47は、液晶層42に対して光出射側に配置される出射側電極基板である。
ここで、一般的な透過型液晶パネルでは、液晶層に対する光入射側に対向基板が配置され、液晶層に対する光出射側に画素基板が配置される。
このため、出射側電極基板が画素基板47であることによって、一般的な透過型液晶パネルに上記した構成を有する本体部61Aを設けることによって、上記効果を奏することができる液晶パネル4Aを構成できる。従って、液晶パネル4Aを簡易に構成できる。
【0058】
液晶パネル4Aは、液晶層42を駆動する画像信号を供給する配線49を備える。ベイパーチャンバーである本体部61Aは、液晶層42からの配線49の延在方向に開口部64から延出している。
このような構成によれば、例えば本体部61Aが開口部64から配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に延出している場合に比べて、液晶パネル4Aの大型化を抑制できる。
【0059】
液晶パネル4Aでは、出射側冷却部材6Aは、ベイパーチャンバーである本体部61Aに設けられ、第1放熱部631から伝達された熱を放出する第1放熱部材68を備える。第1放熱部材68は、放熱部材に相当する。第1放熱部材68は、開口部64に対して開口部64から本体部61Aが延出する+Y方向に設けられている。
このような構成によれば、受熱部621に接続される発熱体である画素基板47及び出射側防塵基板48と、第1放熱部材68とを離すことができる。これにより、第1放熱部材68に伝達された熱が、画素基板47及び出射側防塵基板48に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0060】
[第1実施形態の第1変形例]
液晶パネル4Aでは、出射側防塵基板48の側面483は、受熱部621の一部である開口部64の内周面と熱伝導性接着剤を介して熱伝達可能に接続されているとした。しかしながら、これに限らず、側面483と開口部64の内周面とは熱伝達可能に接続されていなくてもよい。また、側面483と開口部64の内周面とは、板ばね等の熱伝達部材によって熱伝達可能に接続されていてもよい。この他、側面483の全てが開口部64の内周面と熱伝達可能に接続される形態に限らず、側面483の一部が開口部64の内周面と熱伝達可能に接続されていてもよい。
【0061】
[第1実施形態の第2変形例]
液晶パネル4Aでは、出射側冷却部材6Aの受熱部621は、画素基板47の光出射面472と直接接続され、出射側防塵基板48の側面483と熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続されるとした。しかしながら、これに限らず、受熱部621は、出射側防塵基板48と直接接続され、画素基板47と直接接続されていなくてもよい。例えば、画素基板47と受熱部621との間に、画素基板47から受熱部621に熱を伝達可能な熱伝達部材が設けられていてもよい。
【0062】
図9は、液晶パネル4Aの変形である液晶パネル4BのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル4Aに代えて、
図9に示す液晶パネル4Bを採用してもよい。
液晶パネル4Bは、出射側冷却部材6Aに代えて出射側冷却部材6B及び挟持部材51を備える他は、液晶パネル4Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、液晶パネル4Bは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び出射側冷却部材6Bを備える。
挟持部材51は、保持筐体50と組み合わされて、保持筐体50とともに+Z方向においてパネル本体41を挟持する。すなわち、挟持部材51は、液晶層42に対して光出射側に配置されている。詳述すると、挟持部材51の一部は、画素基板47と受熱部621との間に配置されている。挟持部材51は、例えば熱伝導性が良好な金属によって形成されている。
【0063】
出射側冷却部材6Bは、本体部61Aに代えて本体部61Bを備える他は、出射側冷却部材6Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、出射側冷却部材6Bは、本体部61B及び第1放熱部材68を備える。
本体部61Dは、第1部材62、第2部材63及び開口部64を有する。第1部材62は、第1面62A及び受熱部621を有し、第2部材63は、第2面63A及び第1放熱部631を有する。
出射側冷却部材6Bにおいて、第1部材62の第1面62Aは、画素基板47と直接接続されず、挟持部材51を介して画素基板47と熱伝達可能に接続される。また、第1面62Aは、出射側防塵基板48の光出射面482と接続される。すなわち、液晶パネル4Bでは、液晶層42に入射する光の進行方向(+Z方向)から見て、出射側防塵基板48の面積は、出射側冷却部材6Bの開口部64の面積よりも大きい。このため、出射側防塵基板48は、開口部64の内側には配置されず、本体部61Bは、出射側防塵基板48に設けられる。
【0064】
出射側防塵基板48に伝達された熱は、第1面62Aにて第1部材62に伝達される。すなわち、本体部61Dの受熱部621は、第1部材62において出射側防塵基板48の光出射面482と接続される部分である他、挟持部材51を介して画素基板47と熱伝達可能に接続される部分である。
なお、液晶層42で発熱した熱量のうち、画素基板47を介して出射側防塵基板48に伝達される熱量は、画素基板47を介して挟持部材51に伝達される熱量よりも大きいので、受熱部621は、挟持部材51と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
【0065】
[第1実施形態の第2変形例の効果]
このような液晶パネル4Bは、上記した液晶パネル4Aと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
液晶パネル4Bでは、出射部46は、液晶層42に電気的に接続される複数の画素電極を有し、液晶層42に対して光出射側に配置される画素基板47と、画素基板47における光出射面472に設けられた出射側防塵基板48と、を備える。出射側冷却部材6Bの本体部61Bが設けられる出射側基板は、出射側防塵基板48である。なお、画素基板47は、透光性の出射側電極基板に相当し、複数の画素電極は、出射側電極に相当する。
このような構成によれば、ベイパーチャンバーである本体部61Bは、画素基板47よりも光出射側に設けられる出射側防塵基板48に熱伝達可能に設けられるので、出射側防塵基板48を避けるように画素基板47に本体部61Bを設ける場合に比べて、本体部61Bを出射部46に容易に接続できる。
ここで、液晶層42にて生じた熱は、画素基板47を介して出射側防塵基板48に伝達されるので、液晶層42の熱は拡散する。これに対し、本体部61Bの第1部材62が出射側防塵基板48の光出射面482に接続されるので、第1部材62における受熱部621に液晶層42の熱を伝達させやすくすることができる。
【0066】
液晶パネル4Bでは、ベイパーチャンバーである本体部61Bは、出射側防塵基板48の光出射面482に設けられている。光出射面482は、出射側防塵基板48の光出射側の面に相当する。
このような構成によれば、例えば画素領域41Aに応じた開口部64内に出射側防塵基板48が配置される場合に比較して、ベイパーチャンバーである本体部61Bに公差が生じた場合でも、本体部61Bを出射部46に容易に取り付けることができる。
【0067】
[第1実施形態の第3変形例]
液晶パネル4Aでは、出射側冷却部材6Aの受熱部621は、画素基板47の光出射面472と出射側防塵基板48の側面483とに熱伝達可能に接続されるとした。また、液晶パネル4Bでは、受熱部621は、出射側防塵基板48の光出射面482と接続されるとした。しかしながら、受熱部621における画素基板47及び出射側防塵基板48との接続部分は、上記に限定されない。
【0068】
図10は、液晶パネル4Aの変形である液晶パネル4CのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル4Aに代えて、
図10に示す液晶パネル4Cを採用してもよい。
液晶パネル4Cは、出射側冷却部材6Aに代えて挟持部材51及び出射側冷却部材6Cを備える他は、液晶パネル4Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、液晶パネル4Cは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び出射側冷却部材6Cを備える。
出射側冷却部材6Cは、出射側冷却部材6Aと同様に、画素基板47及び出射側防塵基板48から伝達される熱によって液体の冷媒を気体の冷媒に気化させ、気体の冷媒から受熱した熱を外部に放熱する。出射側冷却部材6Cは、本体部61Aに代えて本体部61Cを備える他は、出射側冷却部材6Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、出射側冷却部材6Cは、本体部61C及び第1放熱部材68を備える。
【0069】
本体部61Cは、本体部61Aと同様に、第1部材62及び第2部材63を備え、第1部材62及び第2部材63が組み合わされて構成される。本体部61Cは、第1部材62の第1面62Aが、画素基板47の光出射面472と接触するように、画素基板47に設けられる。すなわち、本体部61Cの受熱部621の一部は、画素基板47に熱伝達可能に接続される。
本体部61Cは、開口部64Cを備える。
開口部64Cは、光入射側(-Z方向)に設けられた第1開口部64C1と、光出射側(+Z方向)に設けられた第2開口部64C2とを有する二段孔である。
第1開口部64C1の内径は、第2開口部64C2の内径よりも大きい。第1開口部64C1の内部には、出射側防塵基板48が配置され、第1開口部64C1の内周面には、出射側防塵基板48の側面483が、熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。
【0070】
第1開口部64C1の内周面と第2開口部64C2の内周面とを接続する接続部64C3は、出射側防塵基板48を通過する光の進行方向(+Z方向)に対する直交面と略平行であり、接続部64C3には、出射側防塵基板48の光出射面482の一部が熱伝達可能に接続される。換言すると、本体部61Cは、第1開口部64C1と接続部64C3と第2開口部64C2とによって形成される段差部を有する。そして、第1開口部64C1の内周面が段差部の内周面に相当し、接続部64C3が段差部の底面に相当する。
なお、本体部61Cにおいて、画素基板47及び出射側防塵基板48との接続部分は、受熱部621である。このため、第1開口部64C1の内周面、及び、接続部64C3は、受熱部621の一部である。
【0071】
[第1実施形態の第3変形例の効果]
このような液晶パネル4Cは、上記した液晶パネル4A,4Bと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
液晶パネル4Cでは、出射側防塵基板48は、光入射面481と光出射面482とを接続する側面483を有する。光入射面481は、出射側防塵基板48における光入射側の面に相当し、光出射面482は、出射側防塵基板48における光出射側の面に相当する。本体部61Cの第1開口部64C1の内周面は、出射側防塵基板48における側面483の少なくとも一部と熱伝達可能に接続される。また、本体部61Cの接続部64C3は、出射側防塵基板48の光出射面482と熱伝達可能に接続される。すなわち、第1開口部64C1の内周面と、接続部64C3とは、受熱部621の一部である。
このような構成によれば、出射側防塵基板48に伝達された液晶層42の熱を、第1開口部64C1の内周面と接続部64C3とにて受熱できる。これによれば、出射側防塵基板48における光出射面482にベイパーチャンバーである本体部が設けられる場合に比べて、光が通過する方向(+Z方向)における液晶パネル4Cの寸法が大きくなることを抑制できる。
【0072】
液晶パネル4Cでは、受熱部621は、画素基板47に熱伝達可能に接続されている。
このような構成によれば、受熱部621には、出射側防塵基板48の側面483から熱が伝達するだけでなく、画素基板47から熱が伝達する。これによれば、液晶層42の熱を受熱部621に伝達しやすくすることができるので、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
なお、液晶パネル4Cでは、受熱部621を有する第1部材62と画素基板47とは、熱伝達可能に接続されていなくてもよい。この場合、出射側防塵基板48に対して本体部61Cが固定されていてもよい。
【0073】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、液晶パネルを構成する出射側冷却部材における第1放熱部材の位置が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
図11は、本実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネル4DのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係る液晶パネル4Aに代えて、
図11に示す液晶パネル4Dを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。液晶パネル4Dは、出射側冷却部材6Aに代えて、出射側冷却部材6Dを備える他は、液晶パネル4Aと同様の構成及び機能を備える。
【0075】
出射側冷却部材6Dは、第1実施形態に係る本体部61Aに代えて、本体部61Dを備える他は、第1実施形態に係る出射側冷却部材6Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、出射側冷却部材6Dは、本体部61D及び第1放熱部材68を備える。
本体部61Dは、第1部材62及び第2部材63を備え、第1部材62及び第2部材63が+Z方向において組み合わされて構成されている。
本体部61Dは、開口部64を備え、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に開口部64から延出している。このため、本体部61Dの第2部材63において第1放熱部631は、開口部64に対して-Y方向に配置されている。第1放熱部材68は、第2部材63の第2面63Aにおいて第1放熱部631に対応した位置に設けられている。
なお、開口部64の内部には、出射側防塵基板48が配置され、開口部64の内周面と出射側防塵基板48の側面483とは、熱伝導性接着剤等によって熱伝達可能に接続されている。すなわち、本体部61Dにおいて受熱部621は、画素基板47の光出射面472と接続されている他、出射側防塵基板48の側面483と熱伝達可能に接続されている。
【0076】
[液晶パネルに流通する冷却気体の流れ]
外装筐体2に配置された冷却装置のファンによって流通する冷却気体は、液晶パネル4Dに対して+Y方向に流通する。図示を省略するが、液晶パネル4Dに流通する冷却気体は、液晶パネル4Aに流通する冷却気体と同様に、液晶パネル4Dにおける-Y方向の端部にて、液晶パネル4Dに対する光入射側の空間を流通する冷却気体と、液晶パネル4Dに対する光出射側の空間を流通する冷却気体とに分流される。
【0077】
液晶パネル4Dに対する光入射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して、入射側防塵基板45を冷却した後、保持筐体50を冷却する。
液晶パネル4Dに対する光出射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して、第1放熱部材68を冷却した後、出射側防塵基板48を冷却する。
このように、液晶パネル4Dでは、入射側防塵基板45、出射側防塵基板48、保持筐体50及び出射側冷却部材6Dに冷却気体が流通することによって、液晶層42の熱が冷却気体に伝達されて、液晶層42が冷却される他、ドライバー回路491が冷却される。
【0078】
なお、液晶パネル4Dでは、第1放熱部631及び第1放熱部材68は、開口部64に対して-Y方向に設けられている。このため、-Y方向が鉛直方向上側となるように、液晶パネル4Dが配置される場合には、第1放熱部631に対応する第1凝縮部にて凝縮された液体の冷媒を、毛細管力だけでなく重力によっても、受熱部621において画素基板47との接続部分及び出射側防塵基板48との接続部分に対応する気化部に輸送できる。これにより、液晶層42から画素基板47及び出射側防塵基板48を介して伝達される熱によって、気化部での液体から気体への冷媒の変化を促進できる。すなわち、液晶層42の熱の放熱効率、ひいては、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0079】
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態に係る液晶パネル4Dは、第1実施形態に係る液晶パネル4Aと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
液晶パネル4Dは、液晶層42に画像信号を供給する配線49を備える。ベイパーチャンバーである本体部61Dは、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に開口部64から延出している。
このような構成によれば、配線49と本体部61Dとが互いに干渉することを抑制できるので、本体部61Dによる放熱が配線49によって妨げられることを抑制できる。
【0080】
[第2実施形態の第1変形例]
液晶パネル4Dでは、出射側防塵基板48の側面483は、受熱部621の一部である開口部64の内周面と熱伝導性接着剤を介して熱伝達可能に接続されているとした。しかしながら、これに限らず、側面483と開口部64の内周面とは熱伝達可能に接続されていなくてもよい。また、側面483と開口部64の内周面とは、板ばね等の熱伝達部材によって熱伝達可能に接続されていてもよい。この他、側面483の全てが開口部64の内周面と熱伝達可能に接続される形態に限らず、側面483の一部が開口部64の内周面と熱伝達可能に接続されていてもよい。
【0081】
[第2実施形態の第2変形例]
液晶パネル4Dでは、受熱部621は、画素基板47の光出射面472と直接接続され、出射側防塵基板48の側面483と熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続されるとした。しかしながら、これに限らず、受熱部621は、出射側防塵基板48と直接接続され、画素基板47と直接接続されていなくてもよい。例えば、画素基板47と受熱部621との間に、画素基板47から受熱部621に熱を伝達可能な熱伝達部材が設けられていてもよい。
【0082】
図12は、液晶パネル4Dの変形である液晶パネル4EのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル4Dに代えて、
図12に示す液晶パネル4Eを採用してもよい。
液晶パネル4Eは、出射側冷却部材6Dに代えて、出射側冷却部材6E及び挟持部材51を備える他は、液晶パネル4Dと同様の構成及び機能を備える。すなわち、液晶パネル4Eは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び出射側冷却部材6Eを備える。
【0083】
出射側冷却部材6Eは、本体部61Dに代えて本体部61Eを備える他は、出射側冷却部材6Dと同様の構成及び機能を備える。すなわち、出射側冷却部材6Eは、本体部61E及び第1放熱部材68を備える。
本体部61Eは、第1部材62及び第2部材63を有し、第1部材62及び第2部材63が組み合わされて構成されている。本体部61Eは、開口部64を有し、第1部材62は、第1面62A及び受熱部621を有し、第2部材63は、第2面63A及び第1放熱部631を有する。本体部61Eは、本体部61Dと同様に、開口部64から配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に延出している。
【0084】
出射側冷却部材6Eにおいて、第1部材62の第1面62Aは、画素基板47と直接接続されず、挟持部材51を介して画素基板47と熱伝達可能に接続される。また、本体部61Eは、出射側防塵基板48に設けられ、第1面62Aは、出射側防塵基板48の光出射面482と接続される。すなわち、出射側冷却部材6Eは、第1面62Aにおける開口部64の周囲部分が光出射面482に接続されるように、出射側防塵基板48に設けられる。換言すると、開口部64の周囲に設けられた受熱部621の一部は、出射側防塵基板48の光出射面482と熱伝達可能に接続され、受熱部621の他の一部は、挟持部材51を介して画素基板47と熱伝達可能に接続される。
【0085】
なお、液晶層42にて発生した熱量のうち、画素基板47を介して出射側防塵基板48に伝達される熱量は、画素基板47を介して挟持部材51に伝達される熱量よりも大きい。このため、受熱部621は、挟持部材51と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
このような液晶パネル4Eは、上記した液晶パネル4B,4Dと同様の効果を奏する。
【0086】
[第2実施形態の第3変形例]
液晶パネル4Dでは、出射側冷却部材6Dの受熱部621は、画素基板47の光出射面472と出射側防塵基板48の側面483とに熱伝達可能に接続されるとした。また、液晶パネル4Eでは、受熱部621は、出射側防塵基板48の光出射面482に直接接続されるとした。しかしながら、受熱部621における画素基板47及び出射側防塵基板48との接続部分は、上記に限定されない。
【0087】
図13は、液晶パネル4Dの変形である液晶パネル4FのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル4Dに代えて、
図13に示す液晶パネル4Fを採用してもよい。
液晶パネル4Fは、出射側冷却部材6Dに代えて出射側冷却部材6Fを備える他は、液晶パネル4Dと同様の構成及び機能を備える。すなわち、液晶パネル4Fは、パネル本体41、配線49、保持筐体50及び出射側冷却部材6Fを備える。
出射側冷却部材6Fは、出射側冷却部材6Dと同様に、画素基板47及び出射側防塵基板48から伝達される熱によって液体の冷媒を気体の冷媒に気化させ、気体の冷媒から受熱した熱を外部に放熱する。出射側冷却部材6Fは、本体部61Dに代えて本体部61Fを備える他は、出射側冷却部材6Dと同様の構成及び機能を備える。すなわち、出射側冷却部材6Fは、本体部61F及び第1放熱部材68を備える。
【0088】
本体部61Fは、本体部61Dと同様に、第1部材62及び第2部材63を備え、第1部材62及び第2部材63が組み合わされて構成されている。本体部61Fは、第1部材62の第1面62Aが、画素基板47の光出射面472と接触するように、画素基板47に設けられる。すなわち、本体部61Fの受熱部621の一部は、画素基板47に熱伝達可能に接続される。
【0089】
本体部61Fは、開口部64Cを備える。
開口部64Cは、上記のように、光入射側に設けられた第1開口部64C1と、光出射側に設けられた第2開口部64C2とを有する二段孔である。第1開口部64C1の内部には、出射側防塵基板48が配置され、第1開口部64C1の内周面には、出射側防塵基板48の側面483が、熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。また、第1開口部64C1の内周面と第2開口部64C2の内周面とを接続する接続部64C3には、出射側防塵基板48の光出射面482の一部が熱伝達可能に接続される。換言すると、本体部61Fは、第1開口部64C1と接続部64C3と第2開口部64C2とによって形成される段差部を有する。第1開口部64C1の内周面は段差部の内周面に相当し、接続部64C3は段差部の底面に相当する。
なお、本体部61Cにおいて、画素基板47及び出射側防塵基板48との接続部分は、受熱部621の一部である。このため、第1開口部64C1の内周面、及び、接続部64C3は、受熱部621の一部である。
【0090】
このような液晶パネル4Fは、上記した液晶パネル4C,4Dと同様の効果を奏することができる。
なお、液晶パネル4Fでは、液晶パネル4Cと同様に、受熱部621を有する第1部材62と画素基板47とは、熱伝達可能に接続されていなくてもよい。この場合、出射側防塵基板48に対して本体部61Fが固定されていてもよい。
【0091】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、液晶パネルが有する出射側冷却部材の本体部が、開口部から配線49の延在方向に延出している他、開口部から配線49の延在方向とは反対方向に延出している点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
図14は、本実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネル4GのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係る液晶パネル4Aに代えて、
図14に示す液晶パネル4Gを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。
液晶パネル4Gは、出射側冷却部材6Aに代えて出射側冷却部材6Gを備える他は、液晶パネル4Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、液晶パネル4Gは、パネル本体41、配線49、保持筐体50及び出射側冷却部材6Gを備える。パネル本体41は、液晶層42、入射部43及び出射部46を備え、入射部43は、対向基板44及び入射側防塵基板45を有し、出射部46は、画素基板47及び出射側防塵基板48を有する。そして、パネル本体41は、液晶層42、対向基板44及び画素基板47によって構成される画素領域41Aを備え、画素領域41Aには、複数の画素が配列されている。
【0093】
出射側冷却部材6Gは、第2放熱部材69を更に備え、出射側冷却部材6Aよりも+Y方向に大きく形成されている他は、出射側冷却部材6Aと同様の構成を備える。すなわち、出射側冷却部材6Gは、本体部61G、第1放熱部材68及び第2放熱部材69を備える。
【0094】
本体部61Gは、第1部材62、第2部材63及び開口部64を有する。第1部材62は、第1面62A及び受熱部621を有する。第2部材63は、第2面63A、第1放熱部631及び第2放熱部632を有する。
本体部61Gは、第1部材62及び第2部材63が組み合わされて構成されている。本体部61Gは、液晶層42からの配線49の延在方向である+Y方向に沿って開口部64から延出している他、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に沿って開口部64から延出している。
第1放熱部631は、上記のように、第2部材63において開口部64に対する+Y方向に配置されている。第2部材63の第2面63Aにおいて第1放熱部631に対応した位置には、第1放熱部材68が設けられている。
第2放熱部632は、第2部材63において開口部64に対する-Y方向に配置されている。第2部材63の第2面63Aにおいて第2放熱部632に対応した位置には、第2放熱部材69が設けられている。
第2放熱部材69は、第2放熱部632から伝達された熱を、第2放熱部材69に流通する冷却気体に放熱する。第2放熱部材69は、例えば複数のフィン681と同様の複数のフィンを有する構成としてもよく、他の形状に形成された複数のフィンを有する構成としてもよい。
【0095】
[液晶パネルに流通する冷却気体の流れ]
外装筐体2に配置された冷却装置のファンによって流通する冷却気体は、液晶パネル4Gに対して+Y方向に流通する。図示を省略するが、液晶パネル4Gに流通する冷却気体は、液晶パネル4Gにおける-Y方向の端部にて、液晶パネル4Gに対する光入射側の空間を流通する冷却気体と、液晶パネル4Gに対する光出射側の空間を流通する冷却気体とに分流される。
液晶パネル4Gに対する光入射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して入射側防塵基板45を冷却した後、保持筐体50を冷却する。
液晶パネル4Gに対する光出射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して第2放熱部材69、出射側防塵基板48及び第1放熱部材68を順に冷却する。
このように、液晶層42の熱が伝達される入射側防塵基板45、保持筐体50、出射側防塵基板48、第1放熱部材68及び第2放熱部材69に冷却気体が流通することによって、液晶層42の熱が冷却気体に伝達され、ひいては、液晶層42が冷却される他、ドライバー回路491が冷却される。
【0096】
なお、液晶パネル4Gでは、第1放熱部631及び第1放熱部材68は、開口部64に対して+Y方向に設けられ、第2放熱部632及び第2放熱部材69は、開口部64に対して-Y方向に設けられている。
このため、+Y方向が鉛直方向上側となるように、液晶パネル4Gが配置される場合には、第1放熱部631に対応する第1凝縮部にて凝縮された液体の冷媒を、毛細管力だけでなく重力によっても、受熱部621において画素基板47との接続部分及び出射側防塵基板48との接続部分に対応する気化部に輸送できる。また、-Y方向が鉛直方向上側となるように、液晶パネル4Gが配置される場合には、第2放熱部632に対応する第2凝縮部にて凝縮された液体の冷媒を、毛細管力だけでなく重力によっても、受熱部621において画素基板47との接続部分及び出射側防塵基板48との接続部分に対応する気化部に輸送できる。これにより、液晶層42から画素基板47及び出射側防塵基板48を介して伝達される熱によって、各気化部での液体から気体への冷媒の変化を促進できる。すなわち、液晶層42の熱の放熱効率、ひいては、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0097】
[第3実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター及び第2実施形態に係るプロジェクターと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態に係る液晶パネル4Gは、第1実施形態に係る液晶パネル4A及び第2実施形態に係る液晶パネル4Dと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
液晶パネル4Gは、液晶層42に画像信号を供給する配線49を備える。ベイパーチャンバーである本体部61Gは、+Y方向及び-Y方向のそれぞれに開口部64から延出している。+Y方向は、液晶層42からの配線49の延在方向に相当し、-Y方向は、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向に相当する。
このような構成によれば、本体部61Gにおいて気体の冷媒から受熱された熱の放熱面積を拡大できるので、気体の冷媒を液体の冷媒を凝縮しやすくすることができる。従って、気化部に液体の冷媒を遅滞なく流通させることができ、液晶層42の熱による液体の冷媒の気化を促進できる。
また、+Y方向及び-Y方向のうち一方の方向が鉛直方向上側となるように液晶パネル4Gが配置されることによって、凝縮された液体の冷媒を、毛細管力だけでなく重力によっても、液体の冷媒を気化させる気化部に輸送できる。これにより、受熱部621にて受熱された熱を用いた液体から気体への冷媒の変化を促進できる。従って、液晶層42の熱の放熱効率、ひいては、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0098】
[第3実施形態の第1変形例]
液晶パネル4Gでは、出射側防塵基板48の側面483は、受熱部621の一部である開口部64の内周面と熱伝導性接着剤を介して熱伝達可能に接続されているとした。しかしながら、これに限らず、側面483と開口部64の内周面とは熱伝達可能に接続されていなくてもよい。また、側面483と開口部64の内周面とは、板ばね等の熱伝達部材によって熱伝達可能に接続されていてもよい。この他、側面483の全てが開口部64の内周面と熱伝達可能に接続される形態に限らず、側面483の一部が開口部64の内周面と熱伝達可能に接続されていてもよい。
【0099】
[第3実施形態の第2変形例]
液晶パネル4Gでは、出射側冷却部材6Gの受熱部621は、画素基板47の光出射面472と直接接続され、出射側防塵基板48の側面483と熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続されるとした。しかしながら、これに限らず、受熱部621は、出射側防塵基板48と直接接続され、画素基板47と直接接続されていなくてもよい。例えば、画素基板47と受熱部621との間に、画素基板47から受熱部621に熱を伝達可能な熱伝達部材が設けられていてもよい。
【0100】
図15は、液晶パネル4Gの変形である液晶パネル4HのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル4Gに代えて、
図15に示す液晶パネル4Hを採用してもよい。
液晶パネル4Hは、出射側冷却部材6Gに代えて、出射側冷却部材6H及び挟持部材51を備える他は、液晶パネル4Gと同様の構成及び機能を備える。すなわち、液晶パネル4Hは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び出射側冷却部材6Hを備える。
【0101】
出射側冷却部材6Hは、本体部61Gに代えて本体部61Hを備える他は、出射側冷却部材6Gと同様の構成及び機能を備える。すなわち、出射側冷却部材6Hは、本体部61H、第1放熱部材68及び第2放熱部材69を備える。
本体部61Hは、第1部材62、第2部材63及び開口部64を備え、第1部材62は、第1面62A及び受熱部621を有し、第2部材63は、第2面63A、第1放熱部631及び第2放熱部632を有する。本体部61Hは、本体部61Aと同様に、液晶層42からの配線49の延在方向である+Y方向に開口部64から延出している他、本体部61Dと同様に、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に開口部64から延出している。
【0102】
出射側冷却部材6Hにおいて、第1部材62の第1面62Aは、画素基板47と直接接続されず、挟持部材51を介して画素基板47と熱伝達可能に接続される他、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続される。また、第1面62Aは、出射側防塵基板48の光出射面482と接続される。液晶パネル4Hによる画像光の出射方向から見て、出射側防塵基板48の面積は、出射側冷却部材6Hの開口部64の面積よりも大きい。そして、出射側防塵基板48は、開口部64の内側には配置されず、第1面62Aは、開口部64の周囲の部分にて、出射側防塵基板48の光出射面482と接続される。すなわち、出射側冷却部材6Hは、第1面62Aにおける開口部64の周囲部分が光出射面482に接続されるように、出射側防塵基板48に設けられる。換言すると、開口部64の周囲に設けられた受熱部621の一部は、出射側防塵基板48の光出射面482と熱伝達可能に接続され、受熱部621の他の一部は、挟持部材51を介して画素基板47と熱伝達可能に接続され、受熱部621の更に他の一部は、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続される。そして、液晶層42から画素基板47を介して出射側防塵基板48に伝達された熱は、受熱部621に伝達される。
【0103】
なお、上記のように、液晶層42にて発生した熱量のうち、画素基板47を介して出射側防塵基板48に伝達される熱量は、画素基板47を介して挟持部材51に伝達される熱量よりも大きい。このため、受熱部621は、挟持部材51と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
このような液晶パネル4Hは、上記した液晶パネル4B,4E,4Gと同様の効果を奏する。
【0104】
[第3実施形態の第3変形例]
液晶パネル4Gでは、出射側冷却部材6Gの受熱部621は、画素基板47の光出射面472と出射側防塵基板48の側面483とに直接接続されるとした。また、液晶パネル4Hでは、受熱部621は、出射側防塵基板48の光出射面482に直接接続されるとした。しかしながら、受熱部621における画素基板47及び出射側防塵基板48との接続部分は、上記に限定されない。
【0105】
図16は、液晶パネル4Gの変形である液晶パネル4IのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル4Gに代えて、
図16に示す液晶パネル4Iを採用してもよい。
液晶パネル4Iは、出射側冷却部材6Gに代えて出射側冷却部材6Iを備える他は、液晶パネル4Gと同様の構成及び機能を備える。すなわち、液晶パネル4Iは、パネル本体41、配線49、保持筐体50及び出射側冷却部材6Iを備える。
出射側冷却部材6Iは、出射側冷却部材6Gと同様に、画素基板47及び出射側防塵基板48から伝達される熱によって液体の冷媒を気体の冷媒に気化させ、気体の冷媒から受熱した熱を外部に放熱する。出射側冷却部材6Iは、本体部61Gに代えて本体部61Iを備える他は、出射側冷却部材6Gと同様の構成及び機能を備える。すなわち、出射側冷却部材6Iは、本体部61I、第1放熱部材68及び第2放熱部材69を備える。
【0106】
本体部61Iは、本体部61Gと同様に、第1部材62及び第2部材63を備え、第1部材62及び第2部材63が組み合わされて構成されている。本体部61Iは、第1部材62の第1面62Aが、画素基板47の光出射面472と接触するように、画素基板47に設けられる。すなわち、本体部61Iの受熱部621の一部は、画素基板47に熱伝達可能に接続される。
【0107】
本体部61Iは、開口部64Cを備える。
開口部64Cは、上記のように、光入射側に設けられた第1開口部64C1と、光出射側に設けられた第2開口部64C2とを有する二段孔である。第1開口部64C1の内部には、出射側防塵基板48が配置され、第1開口部64C1の内周面には、出射側防塵基板48の側面483が、熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。第1開口部64C1の内周面と第2開口部64C2の内周面とを接続する接続部64C3には、出射側防塵基板48の光出射面482の一部が熱伝達可能に接続される。換言すると、本体部61Iは、第1開口部64C1と接続部64C3と第2開口部64C2とによって形成される段差部を有する。第1開口部64C1の内周面が段差部の内周面に相当し、接続部64C3が段差部の底面に相当する。
本体部61Iにおいて、画素基板47及び出射側防塵基板48との接続部分は、受熱部621の一部である。このため、第1開口部64C1の内周面、及び、接続部64C3は、受熱部621の一部である。
【0108】
なお、本体部61Iは、本体部61Gと同様に、液晶層42からの配線49の延在方向である+Y方向に開口部64Cから延出している他、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に開口部64Cから延出している。第1放熱部631及び第1放熱部材68は、第2面63Aにおいて開口部64Cに対する+Y方向の部分に設けられ、第2放熱部632及び第2放熱部材69は、第2面63Aにおいて開口部64Cに対する-Y方向の部分に設けられている。
このような液晶パネル4Iは、上記した液晶パネル4C,4F,4Gと同様の効果を奏することができる。
なお、液晶パネル4Iでは、液晶パネル4C,4Fと同様に、受熱部621を有する第1部材62と画素基板47とは、熱伝達可能に接続されていなくてもよい。この場合、出射側防塵基板48に対して本体部61Cが固定されていてもよい。
【0109】
[第4実施形態]
次に、本開示の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、液晶パネルにおける冷却部材の配置が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0110】
図17は、本実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネル7AのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係る液晶パネル4Aに代えて、
図17に示す液晶パネル7Aを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。
液晶パネル7Aは、出射側冷却部材6Aに代えて、挟持部材51及び入射側冷却部材8Aを備える他は、液晶パネル4Aと同様の構成を備える。すなわち、液晶パネル7Aは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び入射側冷却部材8Aを備える。パネル本体41は、液晶層42、入射部43及び出射部46を備え、入射部43は、対向基板44及び入射側防塵基板45を備え、出射部46は、画素基板47及び出射側防塵基板48を備える。そして、パネル本体41は、液晶層42、対向基板44及び画素基板47によって構成される画素領域41Aを備え、画素領域41Aには、複数の画素が配列されている。
なお、挟持部材51は、第1実施形態の第2変形例にて示したように、保持筐体50とともにパネル本体41を挟持する。本実施形態では、保持筐体50は、放熱フィン502を備えず、保持筐体50における光入射側の面50Aには、入射側冷却部材8Aが設けられる。
【0111】
[入射側冷却部材の構成]
入射側冷却部材8Aは、出射側冷却部材6Aと同様に、内部に封入された液体の冷媒を、液晶層42から伝達される熱によって気体の冷媒に気化させることによって、液晶層42から伝達される熱を消費して液晶層42を冷却するとともに、気体の冷媒の熱を受熱して気体の冷媒を液体の冷媒に凝縮し、受熱した熱を外部に放熱する。
入射側冷却部材8Aは、本体部81A及び第1放熱部材88を備え、本体部81Aは、互いに組み合わされる第1部材82及び第2部材83を有する他、開口部84を有する。本体部81Aは、液晶層42に入射する光の入射側(-Z方向)から見て、対向基板44及び入射側防塵基板45よりも外側に延在している。
【0112】
第1部材82は、平板状に形成された基板であり、第1基板ということもできる。第1部材82は、第1部材62と同様の構成を有する。第1部材82は、第1部材82において第2部材83とは反対側の面である第1面82Aを有する。第1面82Aは、発熱体に接触する面である。本実施形態では、第1面82Aは、平坦面である。
第1部材82は、発熱体の熱を受熱する受熱部821を有する。すなわち、本実施形態に係るベイパーチャンバーである本体部81Aは、受熱部821を有する。受熱部821については、後に詳述する。
【0113】
第2部材83は、平板状に形成された基板であり、第2基板ということもできる。第2部材83は、第2部材63と同様の構成を有する。第2部材83は、第1部材82に接合され、第1部材82とともに封入空間SPを形成する。第2部材83は、第2部材83において第1部材82とは反対側の面である第2面83Aを有する他、第2面83Aに設けられた第1放熱部831を有する。そして、第2部材83は、第1放熱部831にて封入空間SP内の気体の冷媒から受熱し、気体の冷媒の熱を外部に放熱する。また、図示を省略するが、封入空間SPの内面において第1放熱部831に対応する部分である第1凝縮部が、熱が受熱された気体の冷媒を液体の冷媒に凝縮する。
【0114】
開口部84は、第1部材82と第2部材83とが互いに対向する方向(+Z方向)に沿って本体部81Aを貫通する貫通孔である。開口部84は、+Z方向から見て略矩形状の開口部である。開口部84の内周面は、第1部材82と第2部材83との接合部分によって形成される。
なお、本体部81Aは、液晶層42からの配線49の延在方向である+Y方向に沿って開口部84から延出している。すなわち、第1部材82及び第2部材83は、配線49の延在方向(+Y方向)に開口部84から延出している。
【0115】
[受熱部の構成]
受熱部821は、第1部材82において、発熱体と接続されて発熱体の熱を受熱する部分である。すなわち、受熱部821は、第1部材82において発熱体に接続する接続部分であると定義できる。受熱部821は、第1部材82において開口部84の周囲に設けられている。本実施形態では、受熱部821は、対向基板44の光入射面441と入射側防塵基板45の側面453とに接続され、対向基板44の熱及び入射側防塵基板45の熱を受熱する。
図示を省略するが、封入空間SPの内面において受熱部821に対応する部分は、受熱部821にて受熱された熱によって液体の冷媒を気化させる気化部ということができる。詳述すると、封入空間SPの内面において液体の冷媒と接触する部分のうち、受熱部821にて受熱された熱が伝達されて、液体の冷媒を気化させる部分が、気化部である。
【0116】
[第1放熱部の構成]
第1放熱部831は、第2部材83において第1部材82とは反対側の第2面83Aに設けられている。第1放熱部831は、封入空間SP内を流通する気体の冷媒の熱を放熱する。
図示を省略するが、封入空間SPの内面において第1放熱部831に対応する部分は、気体の冷媒から受熱して、気体の冷媒を液体の冷媒に凝縮する第1凝縮部ということができる。詳述すると、封入空間SPの内面において気体の冷媒と接触する部分のうち、気体の冷媒の熱を受熱して気体の冷媒を液体の冷媒に凝縮する部分が、第1凝縮部である。このような第1凝縮部によって気体の冷媒から受熱した熱が、第1放熱部831によって放熱される。
第1放熱部831は、開口部64に対して液晶層42からの配線49の延在方向に設けられている。第2面83Aにおいて第1放熱部831に対応する位置には、第1放熱部材88が設けられる。第1放熱部831に第1放熱部材88が設けられることによって、第2部材83において気体の冷媒から受熱した熱を本体部81Aの外部に放熱しやすい部分となる。このため、入射側冷却部材8Aにおいて、第1放熱部材88が設けられた部分が第1放熱部831として構成される。
【0117】
[パネル本体に対する入射側冷却部材の配置]
入射側冷却部材8Aは、液晶層42に対して光入射側に設けられる。具体的に、入射側冷却部材8Aは、入射側基板である対向基板44の光入射面441に設けられ、第1部材82の第1面82Aは、対向基板44の光入射面441と熱伝達可能に接続される。
また、開口部84内には、入射側防塵基板45が配置される。開口部84の内周面には、入射側防塵基板45の側面453が熱伝導性接着剤を介して熱伝達可能に接続される。すなわち、開口部84の内周面は、受熱部821の一部である。
【0118】
[液晶層にて発生した熱の伝達経路]
液晶層42から対向基板44に伝達された熱のうち、一部の熱は、対向基板44を介して受熱部821に伝達され、他の一部の熱は、対向基板44から入射側防塵基板45を介して受熱部821に伝達される。より具体的に説明すると、
図17に示す入射側冷却部材8Aにおいては、液晶層42から対向基板44に伝達された熱は、対向基板44の光入射面441と接触する受熱部821に伝達される。一方、入射側防塵基板45に伝達された熱は、入射側防塵基板45の側面453に熱伝達可能に接続される開口部84の内周面に伝達される。
受熱部821を有する第1部材82は、伝達された液晶層42の熱によって封入空間SPの液体の冷媒を気化させることによって、第1部材82に伝達された熱を消費する。これにより、対向基板44及び入射側防塵基板45、ひいては、液晶層42が冷却される。
封入空間SP内を流通して上記第1凝縮部に到達した気体の冷媒は、第1凝縮部にて液体の冷媒に凝縮される。第1凝縮部にて気体の冷媒から受熱された熱は、第1放熱部831から第1放熱部材88に伝達され、第1放熱部材88にて放熱される。
【0119】
[液晶パネルに流通する冷却気体の流れ]
外装筐体2に配置された冷却装置のファンによって流通する冷却気体は、液晶パネル7Aに対して+Y方向に流通する。図示を省略するが、液晶パネル7Aに流通する冷却気体は、液晶パネル4Aに流通する冷却気体と同様に、液晶パネル7Aにおける-Y方向の端部にて、液晶パネル7Aに対する光入射側の空間を流通する冷却気体と、液晶パネル7Aに対する光出射側の空間を流通する冷却気体とに分流される。
【0120】
液晶パネル7Aに対する光入射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して入射側防塵基板45を冷却した後、第2面83Aに沿って+Y方向に流通して、第1放熱部材88に流通する。第1放熱部材88は、第1放熱部831から伝達された熱を冷却気体に伝達する。
液晶パネル7Aに対する光出射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して出射側防塵基板48を冷却した後、挟持部材51を冷却し、ひいては、ドライバー回路491等の回路素子を冷却する。
このように、液晶層42の熱が伝達される入射側防塵基板45、出射側防塵基板48、挟持部材51、第1放熱部材88に冷却気体が流通することによって、液晶層42の熱が冷却気体に伝達され、ひいては、液晶層42が冷却される。
【0121】
なお、液晶パネル7Aにおいても、第1放熱部831は、開口部84に対して+Y方向に設けられている。このため、+Y方向が鉛直方向上側となるように、液晶パネル7Aが配置される場合には、第1凝縮部にて凝縮された液体の冷媒を、毛細管力だけでなく重力によっても、受熱部821にて受熱した熱が伝達されて液体の冷媒を気化させる気化部に輸送できる。これにより、液晶層42から対向基板44及び入射側防塵基板45を介して伝達される熱によって、気化部での液体から気体への冷媒の変化を促進できる。すなわち、液晶層42の熱の放熱効率、ひいては、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0122】
[第4実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態に係る液晶パネル7Aは、第1実施形態に係る液晶パネル4Aと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
本実施形態に係るプロジェクターは、光源から出射された光を変調する光変調装置としての液晶パネル7Aを備える。液晶パネル7Aは、液晶パネルに入射する光の進行方向に沿って、変調した光を出射する透過型の液晶パネルである。
液晶パネル7Aは、画素領域41A、液晶層42、入射部43、出射部46及び本体部81Aを備える。画素領域41Aには、複数の画素が配列されている。液晶層42は、複数の画素ごとに光を変調する。入射部43は、液晶層42に光を入射させる。出射部46は、液晶層42にて変調された光を画像光として出射する。本体部81Aは、入射側冷却部材8Aを構成するベイパーチャンバーである。本体部81Aは、開口部84、受熱部821、第1放熱部831と、を有する。開口部84は、画素領域41Aに応じて本体部81Aに設けられている。受熱部821は、開口部64の周囲に設けられている。第1放熱部831は、受熱部821によって受熱された熱を放熱する。本体部81Aは、本体部81Aの内部に設けられた封入空間SPの内部に封入された液体の冷媒を受熱部821にて受熱された熱によって気化させ、気体の冷媒の熱を第1放熱部831にて放熱することによって気体の冷媒を液体の冷媒に凝縮する。
【0123】
ここで、ベイパーチャンバーは、冷媒を流通させる配管、及び、駆動電力を供給する配線が不要である。上記構成によれば、冷媒が流通する冷却装置を設ける場合、及び、電力によって熱を移動させるペルチェ素子等の熱電変換素子を設ける場合に比べて、液晶パネル7Aの構成を簡略化できる。従って、液晶パネル7Aが搭載される装置としてのプロジェクターの小型化を図ることができる。また、配管及び配線を装着及び脱離させることなく、プロジェクターから液晶パネル7Aを装着及び脱離させることができるので、液晶パネル7Aの交換を容易に実施できる。更に、画素領域41Aに応じた開口部84の周囲に設けられた受熱部821が熱を受熱するので、画素領域41Aにおける温度の均一性を高めることができる。
【0124】
液晶パネル7Aでは、入射部43は、液晶層42と熱伝達可能に接続され、液晶層42に入射する光が通過する対向基板44を有する。本実施形態では、対向基板44は、透光性の入射側基板に相当する。対向基板44の面積は、-Z方向から見て画素領域41Aの面積よりも大きい。-Z方向は、液晶層42に入射する光の進行方向とは反対方向に相当する。ベイパーチャンバーである本体部81Aは、対向基板44に熱伝達可能に設けられている。
このような構成によれば、本体部81Aが、液晶層42と熱伝達可能に接続される対向基板44に熱伝達可能に設けられることによって、受熱部821が対向基板44を介して液晶層42の熱を受熱しやすくなる。従って、液晶層42を冷却しやすくすることができる。
【0125】
液晶パネル7Aでは、入射部43は、液晶層42に電気的に接続される共通電極を有し、液晶層42に対して光入射側に配置される対向基板44を備える。共通電極は、入射側電極に相当し、対向基板44は、透光性の入射側電極基板に相当する。対向基板44は、ベイパーチャンバーである本体部81Aが設けられる入射側基板である。
このような構成によれば、対向基板44は、熱に弱い液晶層42に直接接続される透光性基板である。このような対向基板44に本体部81Aが設けられるので、液晶層42にて生じた熱を本体部81Aに効率よく伝達できる。従って、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0126】
液晶パネル7Aでは、入射部43は、対向基板44における光入射面441に設けられた入射側防塵基板45を備える。光入射面441は、光入射側の面に相当する。入射側防塵基板45は、光入射面451、光出射面452及び側面453を有する。光入射面451は、入射側防塵基板45における光入射側の面に相当し、光出射面452は、入射側防塵基板45における光出射側の面に相当する。側面453は、光入射面451と光出射面452とを接続する。受熱部821は、対向基板44における光入射面441と、入射側防塵基板45における側面453とから受熱する。
このような構成によれば、受熱部821は、対向基板44及び入射側防塵基板45から受熱するので、液晶層42の熱を対向基板44及び入射側防塵基板45のそれぞれを介して受熱部821に伝達できる。従って、受熱部821に液晶層42の熱を効率よく伝達できるので、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0127】
液晶パネル7Aでは、対向基板44は、入射側電極として、画素領域41Aに応じて設けられる共通電極を有する。
上記のように、一般的な透過型液晶パネルでは、液晶層に対する光入射側に対向基板が配置され、液晶層に対する光出射側に画素基板が配置される。
このため、一般的な透過型液晶パネルに上記した構成を有する本体部81A、すなわち、ベイパーチャンバーである本体部81Aを設けることによって、上記効果を奏する液晶パネル7Aを構成できる。
【0128】
液晶パネル7Aは、液晶層42を駆動する画像信号を供給する配線49を備える。ベイパーチャンバーである本体部81Aは、液晶層42からの配線49の延在方向に開口部84から延出している。
このような構成によれば、例えば本体部が開口部84から配線49の延在方向とは反対方向に延出している場合に比べて、配線49の延在方向における液晶パネル7Aの大型化を抑制できる。
【0129】
[第4実施形態の第1変形例]
液晶パネル7Aでは、入射側防塵基板45の側面453は、受熱部821の一部である開口部84の内周面と熱伝導性接着剤を介して熱伝達可能に接続されているとした。しかしながら、これに限らず、側面453と開口部84の内周面とは熱伝達可能に接続されていなくてもよい。また、上記と同様に、側面453と開口部84の内周面とは、熱伝導性接着剤以外の構成、例えば板ばね等の熱伝達部材によって熱伝達可能に接続されていてもよい。この他、側面453の全てが開口部84の内周面と熱伝達可能に接続される形態に限らず、側面453の一部が開口部84の内周面と熱伝達可能に接続されていてもよい。
【0130】
[第4実施形態の第2変形例]
液晶パネル7Aでは、入射側冷却部材8Aの受熱部821は、対向基板44の光入射面441と直接接続され、入射側防塵基板45の側面453と熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続されるとした。しかしながら、これに限らず、受熱部821は、入射側防塵基板45と直接接続され、対向基板44と直接接続されていなくてもよい。例えば、対向基板44と受熱部821との間に、対向基板44から受熱部821に熱を伝達可能な熱伝達部材が設けられていてもよい。
【0131】
図18は、液晶パネル7Aの変形である液晶パネル7BのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル7Aに代えて、
図18に示す液晶パネル7Bを採用してもよい。
液晶パネル7Bは、入射側冷却部材8Aに代えて入射側冷却部材8Bを備える他は、液晶パネル7Aと同様の構成及び機能を有する。すなわち、液晶パネル7Bは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び入射側冷却部材8Bを備える。
【0132】
入射側冷却部材8Bは、本体部81B及び第1放熱部材88を備え、本体部81Bは、第1部材82、第2部材83及び開口部84を有する。第1部材82は、第1面82A及び受熱部821を有し、第2部材83は、第2面83A及び第1放熱部831を有する。
入射側冷却部材8Bにおいて、第1部材82の第1面82Aは、対向基板44と直接接続されず、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続される。また、第1面82Aは、入射側防塵基板45の光入射面451と接続される。すなわち、液晶パネル7Bでは、液晶層42に入射する光の進行方向とは反対方向(-Z方向)から見て、入射側防塵基板45の面積は、入射側冷却部材8Bの開口部84の面積よりも大きい。このため、入射側防塵基板45は、開口部84の内側には配置されず、本体部81Bは、入射側防塵基板45に設けられる。
【0133】
入射側防塵基板45に伝達された熱は、第1面82Aにて第1部材82に伝達される。すなわち、本体部81Dの受熱部821の一部は、第1部材82において入射側防塵基板45の光入射面451と接続される部分である。この他、液晶層42から保持筐体50への熱の伝達は、画素基板47を介しても伝達されるので、受熱部821の他の一部は、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続される部分である。
なお、液晶層42で発熱した熱量のうち、対向基板44を介して入射側防塵基板45に伝達される熱量は、対向基板44を介して保持筐体50に伝達される熱量よりも大きいので、受熱部821は、保持筐体50と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
【0134】
[第4実施形態の第2変形例の効果]
このような液晶パネル7Bは、上記した液晶パネル7Aと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
液晶パネル7Bでは、入射部43は、対向基板44及び入射側防塵基板45を備える。対向基板44は、液晶層42に電気的に接続される共通電極を有し、液晶層42に対して光入射側に配置される透光性の入射側電極基板である。共通電極は、入射側電極に相当する。入射側防塵基板45は、対向基板44における光入射面441に設けられている。光入射面441は、対向基板44における光入射側の面に相当する。入射側防塵基板45は、ベイパーチャンバーである本体部81Bが設けられる入射側基板である。
このような構成によれば、本体部81Bは、対向基板44よりも光入射側に設けられる入射側防塵基板45に熱伝達可能に設けられる。これによれば、入射側防塵基板45を避けるように対向基板44に本体部81Bを設ける場合に比べて、本体部81Bを出射部46に容易に接続できる。
ここで、液晶層42にて生じた熱は、対向基板44を介して入射側防塵基板45に伝達されるので、液晶層42の熱は拡散する。これに対し、本体部81Bの第1部材82が入射側防塵基板45の光入射面451に接続されるので、第1部材82における受熱部821に液晶層42の熱を伝達させやすくすることができる。
【0135】
液晶パネル7Bでは、ベイパーチャンバーである本体部81Bは、入射側防塵基板45の光入射面451に設けられている。光入射面451は、入射側防塵基板45の光入射側の面に相当する。
このような構成によれば、例えば画素領域に応じた開口部84内に入射側防塵基板45が配置される場合に比較して、ベイパーチャンバーである本体部81Bに公差が生じた場合でも、本体部81Bを入射部43に容易に取り付けることができる。
【0136】
[第4実施形態の第3変形例]
液晶パネル7Aでは、入射側冷却部材8Aの受熱部821は、対向基板44の光入射面441と入射側防塵基板45の側面453とに熱伝達可能に接続されるとした。また、液晶パネル7Bでは、受熱部821は、入射側防塵基板45の光入射面451に直接接続されるとした。しかしながら、受熱部821における対向基板44及び入射側防塵基板45との接続部分は、上記に限定されない。
【0137】
図19は、液晶パネル7Aの変形である液晶パネル7CのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル7Aに代えて、
図19に示す液晶パネル7Cを採用してもよい。
液晶パネル7Cは、入射側冷却部材8Aに代えて入射側冷却部材8Cを備える他は、液晶パネル7Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、液晶パネル7Cは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び入射側冷却部材8Cを備える。
入射側冷却部材8Cは、入射側冷却部材8Aと同様に、対向基板44及び入射側防塵基板45から伝達される熱によって液体の冷媒を気体の冷媒に気化させ、気体の冷媒から受熱した熱を外部に放熱する。入射側冷却部材8Cは、本体部81Aに代えて本体部81Cを備える他は、入射側冷却部材8Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、入射側冷却部材8Cは、本体部81C及び第1放熱部材88を備える。
【0138】
本体部81Cは、本体部81Aと同様に、第1部材82及び第2部材83を備え、第1部材82及び第2部材83が組み合わされて構成されている。なお、第1部材82は、第1面82A及び受熱部821を有し、第2部材83は、第2面83A及び第1放熱部831を有する。
本体部81Cは、開口部84Cを有する。
開口部84Cは、開口部64Cと同様の二段孔であり、光出射側(+Z方向)に設けられた第1開口部84C1と、光入射側(-Z方向)に設けられた第2開口部84C2とを有する。
第1開口部84C1の内径は、第2開口部84C2の内径よりも大きい。第1開口部84C1の内部には、入射側防塵基板45が配置され、第1開口部84C1の内周面には、入射側防塵基板45の側面453が、熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。
【0139】
第1開口部84C1の内周面と第2開口部84C2の内周面とを接続する接続部84C3は、入射側防塵基板45を通過する光の進行方向(+Z方向)に対する直交面と略平行であり、接続部84C3には、入射側防塵基板45の光入射面451の一部が熱伝達可能に接続される。換言すると、本体部81Cは、第1開口部84C1と接続部84C3と第2開口部84C2とによって形成される段差部を有する。そして、第1開口部84C1の内周面が段差部の内周面に相当し、接続部84C3が段差部の底面に相当する。
なお、本体部81Cにおいて、対向基板44及び入射側防塵基板45との接続部分は、受熱部821の一部である。このため、第1開口部84C1の内周面、及び、接続部84C3は、受熱部821の一部である。
【0140】
[第4実施形態の第3変形例の効果]
このような液晶パネル7Cは、上記した液晶パネル7A,7Bと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
液晶パネル7Cでは、入射側防塵基板45は、光入射面451と光出射面452とを接続する側面453を有する。光入射面451は、入射側防塵基板45における光入射側の面に相当し、光出射面452は、入射側防塵基板45における光出射側の面に相当する。本体部81Cの第1開口部84C1の内周面は、入射側防塵基板45における側面453の少なくとも一部と熱伝達可能に接続される。また、本体部81Cの接続部84C3は、入射側防塵基板45の光入射面451と熱伝達可能に接続される。すなわち、第1開口部84C1の内周面と、接続部84C3とは、受熱部821の一部である。
このような構成によれば、入射側防塵基板45に伝達された液晶層42の熱を、第1開口部84C1の内周面と接続部84C3とにて受熱できる。これによれば、入射側防塵基板45における光入射面451にベイパーチャンバーである本体部が設けられる場合に比べて、光が通過する方向(+Z方向)における液晶パネル7Cの寸法が大きくなることを抑制できる。
【0141】
液晶パネル7Cでは、受熱部821は、対向基板44に熱伝達可能に接続されている。
このような構成によれば、受熱部821には、入射側防塵基板45の側面453から熱が伝達するだけでなく、対向基板44から熱が伝達する。これによれば、液晶層42の熱を受熱部821に伝達しやすくすることができるので、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
なお、液晶パネル7Cでは、受熱部821を有する第1部材82と対向基板44とは、熱伝達可能に接続されていなくてもよい。この場合、入射側防塵基板45に対して本体部81Cが固定されていてもよい。
【0142】
[第5実施形態]
次に、本開示の第5実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第4実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、液晶パネルの入射側冷却部材における第1放熱部材の位置が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0143】
図20は、本実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネル7DのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、第4実施形態に係る液晶パネル7Aに代えて、
図20に示す液晶パネル7Dを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。
液晶パネル7Dは、入射側冷却部材8Aに代えて入射側冷却部材8Dを備える他は、第4実施形態に係る液晶パネル7Aと同様の構成を備える。すなわち、液晶パネル7Dは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び入射側冷却部材8Dを備える。
【0144】
入射側冷却部材8Dは、入射側冷却部材8Aと同様に、対向基板44及び入射側防塵基板45から伝達される液晶層42の熱を用いて、内部に封入された液体の冷媒を気化させて、液晶層42を冷却し、気体の冷媒から受熱した熱を放熱する。入射側冷却部材8Dは、本体部81D及び第1放熱部材88を備える。
本体部81Dは、第1部材82及び第2部材83を備え、第1部材82及び第2部材83が互いに組み合わされて構成されている。本体部81Dは、開口部84を備える。
本体部81Dは、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に開口部84から延出している。このため、第2部材83の第2面83Aにおいて第1放熱部831は、開口部84に対して-Y方向に設けられている。第1放熱部材88は、第2面83Aにおいて第1放熱部831に対応した位置に設けられている。
なお、開口部84の内部には、入射側防塵基板45が配置され、開口部84の内周面と入射側防塵基板45の側面453とは、熱伝導性接着剤等によって熱伝達可能に接続されている。すなわち、本体部81Dにおいて受熱部821は、対向基板44の光入射面451と接続されている他、入射側防塵基板45の側面453と熱伝達可能に接続されている。
【0145】
[液晶パネルに流通する冷却気体の流れ]
外装筐体2に配置された冷却装置のファンによって流通する冷却気体は、液晶パネル7Dに対して+Y方向に流通する。
液晶パネル7Dに対する光入射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して第1放熱部材88及び入射側防塵基板45を冷却した後、保持筐体50を冷却する。
液晶パネル7Dに対する光出射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して出射側防塵基板48を冷却した後、挟持部材51を冷却する。
このように、液晶パネル7Dでは、入射側防塵基板45、出射側防塵基板48、保持筐体50、挟持部材51及び第1放熱部材88に冷却気体が流通することによって、液晶層42の熱が冷却気体に伝達されて、液晶層42が冷却される他、ドライバー回路491が冷却される。
【0146】
なお、液晶パネル7Dでは、第1放熱部831及び第1放熱部材88は、開口部84に対して-Y方向に設けられている。このため、-Y方向が鉛直方向上側となるように、液晶パネル7Dが配置される場合には、第1放熱部831に対応する第1凝縮部にて凝縮された液体の冷媒を、毛細管力だけでなく重力によっても、受熱部821において対向基板44との接続部分及び入射側防塵基板45との接続部分に対応する気化部に輸送できる。これにより、液晶層42から対向基板44及び入射側防塵基板45を介して伝達される熱によって、気化部での液体から気体への冷媒の変化を促進できる。すなわち、液晶層42の熱の放熱効率、ひいては、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0147】
[第5実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第4実施形態に係るプロジェクターと同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態に係る液晶パネル7Dは、第4実施形態に係る液晶パネル7Aと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
液晶パネル7Dは、液晶層42に画像信号を供給する配線49を備える。ベイパーチャンバーである本体部81Dは、-Y方向に開口部84から延出している。-Y方向は、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である。
このような構成によれば、配線49と本体部81Dとが互いに干渉することを抑制できるので、本体部81Dによる放熱が配線49によって妨げられることを抑制できる。
【0148】
[第5実施形態の第1変形例]
液晶パネル7Dでは、入射側防塵基板45の側面453は、受熱部821の一部である開口部84の内周面と熱伝導性接着剤を介して熱伝達可能に接続されているとした。しかしながら、これに限らず、側面453と開口部84の内周面とは熱伝達可能に接続されていなくてもよい。また、側面453と開口部84の内周面とは、板ばね等の熱伝達部材を介して熱伝達可能に接続されていてもよい。この他、側面453の全てが開口部84の内周面と熱伝達可能に接続される形態に限らず、側面453の一部が開口部84の内周面と熱伝達可能に接続されていてもよい。
【0149】
[第5実施形態の第2変形例]
液晶パネル7Dでは、受熱部821は、対向基板44の光入射面441と直接接続され、入射側防塵基板45の側面453と熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続されるとした。しかしながら、これに限らず、受熱部821は、入射側防塵基板45と直接接続され、対向基板44と直接接続されていなくてもよい。例えば、対向基板44と受熱部821との間に、対向基板44から受熱部821に熱を伝達可能な熱伝達部材が設けられていてもよい。
【0150】
図21は、液晶パネル7Dの変形である液晶パネル7EのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル7Dに代えて、
図21に示す液晶パネル7Eを採用してもよい。
液晶パネル7Eは、入射側冷却部材8Dに代えて入射側冷却部材8Eを備える他は、液晶パネル7Dと同様の構成及び機能を有する。すなわち、液晶パネル7Eは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び入射側冷却部材8Eを備える。
入射側冷却部材8Eは、本体部81E及び第1放熱部材88を備える。本体部81Eは、本体部81Dと同様に、第1部材82、第2部材83及び開口部84を有し、第1部材82は、第1面82A及び受熱部821を有し、第2部材83は、第2面83A及び第1放熱部831を有する。本体部81Eは、本体部81Dと同様に、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に開口部84から延出している。
【0151】
入射側冷却部材8Eにおいて、第1部材82の第1面82Aは、対向基板44と直接接続されず、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続される。また、本体部81Eは、入射側防塵基板45に設けられ、第1面82Aは、入射側防塵基板45の光入射面451と直接接続される。すなわち、入射側冷却部材8Eは、第1面82Aにおける開口部84の周囲部分が光入射面451に接続されるように、入射側防塵基板45に設けられる。換言すると、開口部84の周囲に設けられた受熱部821の一部は、入射側防塵基板45の光入射面451と熱伝達可能に接続され、受熱部821の他の一部は、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続される。液晶層42から保持筐体50への熱の伝達は、画素基板47を介しても伝達される。
なお、液晶層42にて発生した熱量のうち、対向基板44を介して入射側防塵基板45に伝達される熱量は、対向基板44及び画素基板47を介して保持筐体50に伝達される熱量よりも大きい。このため、受熱部821は、保持筐体50と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
このような液晶パネル7Eは、上記した液晶パネル7B,7Dと同様の効果を奏する。
【0152】
[第5実施形態の第3変形例]
液晶パネル7Dでは、入射側冷却部材8Dの受熱部821は、対向基板44の光入射面441と入射側防塵基板45の側面453とに熱伝達可能に接続されるとした。また、液晶パネル7Eでは、受熱部821は、入射側防塵基板45の光入射面451に直接接続されるとした。しかしながら、受熱部821において対向基板44及び入射側防塵基板45との接続部分は、上記に限定されない。
【0153】
図22は、液晶パネル7Dの変形である液晶パネル7FのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル7Dに代えて、
図22に示す液晶パネル7Fを採用してもよい。
液晶パネル7Fは、入射側冷却部材8Dに代えて入射側冷却部材8Fを備える他は、液晶パネル7Dと同様の構成及び機能を備える。すなわち、液晶パネル7Fは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び入射側冷却部材8Fを備える。
入射側冷却部材8Fは、入射側冷却部材8Dと同様に、対向基板44及び入射側防塵基板45から伝達される熱によって液体の冷媒を気体の冷媒に気化させ、気体の冷媒から受熱した熱を外部に放熱する。入射側冷却部材8Fは、本体部81Dに代えて本体部81Fを備える他は、入射側冷却部材8Dと同様の構成及び機能を備える。すなわち、入射側冷却部材8Fは、本体部81F及び第1放熱部材88を備える。
【0154】
本体部81Fは、第1部材82、第2部材83及び開口部84Cを有する。なお、本体部81Fは、本体部81Dと同様に、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に開口部84Cから延出している。
開口部84Cは、第4実施形態の第3変形例にて示したように、光出射側に設けられた第1開口部84C1と、光入射側に設けられた第2開口部84C2とを有する二段孔である。第1開口部84C1の内径は、第2開口部84C2の内径よりも大きく、第1開口部84C1の内部には、入射側防塵基板45が配置される。第1開口部84C1の内周面には、入射側防塵基板45の側面453が、熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。接続部84C3には、入射側防塵基板45の光入射面451の一部が熱伝達可能に接続される。換言すると、本体部81Fは、第1開口部84C1と接続部84C3と第2開口部84C2とによって形成される段差部を有する。第1開口部84C1の内周面は段差部の内周面に相当し、接続部84C3は段差部の底面に相当する。
なお、本体部81Fにおいて、対向基板44及び入射側防塵基板45との接続部分は、受熱部821の一部である。このため、第1開口部84C1の内周面、及び、接続部84C3は、受熱部821の一部である。
このような液晶パネル7Fは、上記した液晶パネル7C,7Dと同様の効果を奏する。
なお、液晶パネル7Fでは、液晶パネル7Cと同様に、受熱部821を有する第1部材82と対向基板44とは、熱伝達可能に接続されていなくてもよい。この場合、入射側防塵基板45に対して本体部81Fが固定されていてもよい。
【0155】
[第6実施形態]
次に、本開示の第6実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第4実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、液晶パネルが有する入射側冷却部材の本体部が、開口部から配線49の延在方向に延出している他、開口部から配線49の延在方向とは反対方向に延出している点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0156】
図23は、本実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネル7GのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、第4実施形態に係る液晶パネル7Aに代えて、
図23に示す液晶パネル7Gを備える他は、第4実施形態に係るプロジェクターと同様の構成及び機能を備える。
液晶パネル7Gは、入射側冷却部材8Aに代えて入射側冷却部材8Gを備える他は、第4実施形態に係る液晶パネル7Aと同様の構成を備える。すなわち、液晶パネル7Gは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び入射側冷却部材8Gを備える。パネル本体41は、液晶層42、入射部43及び出射部46を備え、入射部43は、対向基板44及び入射側防塵基板45を有し、出射部46は、画素基板47及び出射側防塵基板48を有する。そして、パネル本体41は、液晶層42、対向基板44及び画素基板47によって構成される画素領域41Aを備え、画素領域41Aには、複数の画素が配列されている。
【0157】
入射側冷却部材8Gは、第2放熱部材89を更に備え、入射側冷却部材8Aよりも+Y方向に大きく形成されている他は、入射側冷却部材8Aと同様の構成を備える。すなわち、入射側冷却部材8Gは、本体部81G、第1放熱部材88及び第2放熱部材89を備える。
【0158】
本体部81Gは、第1部材82、第2部材83及び開口部84を有する。第1部材82は、第1面82A及び受熱部821を有する。第2部材83は、第2面83A、第1放熱部831及び第2放熱部832を有する。
本体部81Gは、第1部材82及び第2部材83が組み合わされて構成されている。本体部81Gは、液晶層42からの配線49の延在方向である+Y方向に沿って開口部84から延出している他、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に沿って開口部84から延出している。
第1放熱部831は、上記のように、第2部材83において開口部84に対する+Y方向に配置されている。第2部材83の第2面83Aにおいて第1放熱部831に対応した位置には、第1放熱部材88が設けられている。
第2放熱部832は、第2部材において開口部84に対する-Y方向に配置されている。第2部材83の第2面83Aにおいて第2放熱部832に対応した位置には、第2放熱部材89が設けられている。
第2放熱部材89は、第2放熱部832から伝達された熱を、第2放熱部材89に流通する冷却気体に放熱する。第2放熱部材89は、例えば複数のフィン681と同様の複数のフィンを有する構成としてもよく、他の形状に形成された複数のフィンを有する構成としてもよい。
【0159】
[液晶パネルに流通する冷却気体の流れ]
外装筐体2に配置された冷却装置のファンによって流通する冷却気体は、液晶パネル7Gに対して+Y方向に流通する。
液晶パネル7Gに対する光入射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して第2放熱部材89、入射側防塵基板45及び第1放熱部材88を順に冷却する。
液晶パネル7Gに対する光出射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して出射側防塵基板48を冷却した後、挟持部材51を冷却する。
このように、液晶層42の熱が伝達される入射側防塵基板45、出射側防塵基板48、挟持部材51、第1放熱部材88及び第2放熱部材89に冷却気体が流通することによって、液晶層42の熱が冷却気体に伝達され、ひいては、液晶層42が冷却される他、ドライバー回路491が冷却される。
【0160】
なお、液晶パネル7Gでは、第1放熱部831及び第1放熱部材88は、開口部84に対して+Y方向に設けられ、第2放熱部832及び第2放熱部材89は、開口部84に対して-Y方向に設けられている。
このため、+Y方向が鉛直方向上側となるように、液晶パネル7Gが配置される場合には、第1放熱部831に対応する第1凝縮部にて凝縮された液体の冷媒を、毛細管力だけでなく重力によっても、受熱部821において対向基板44との接続部分及び入射側防塵基板45との接続部分に対応する気化部に輸送できる。また、-Y方向が鉛直方向上側となるように、液晶パネル7Gが配置される場合には、第2放熱部832に対応する第2凝縮部にて凝縮された液体の冷媒を、毛細管力だけでなく重力によっても、受熱部821において対向基板44との接続部分及び入射側防塵基板45との接続部分に対応する気化部に輸送できる。これにより、液晶層42から対向基板44及び入射側防塵基板45を介して伝達される熱によって、各気化部での液体から気体への冷媒の変化を促進できる。すなわち、液晶層42の熱の放熱効率、ひいては、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0161】
[第6実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第4実施形態に係るプロジェクター及び第5実施形態に係るプロジェクターと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態に係る液晶パネル7Gは、第4実施形態に係る液晶パネル7A及び第5実施形態に係る液晶パネル7Dと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
液晶パネル7Gは、液晶層42に画像信号を供給する配線49を備える。ベイパーチャンバーである本体部81Gは、+Y方向及び-Y方向のそれぞれに開口部84から延出している。+Y方向は、液晶層42からの配線49の延在方向に相当し、-Y方向は、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向に相当する。
このような構成によれば、本体部81Gにおいて気体の冷媒から受熱された熱の放熱面積を拡大できるので、気体の冷媒を液体の冷媒を凝縮しやすくすることができる。従って、気化部に液体の冷媒を遅滞なく流通させることができ、液晶層42の熱による液体の冷媒の気化を促進できる。
また、+Y方向及び-Y方向のうち一方の方向が鉛直方向上側となるように液晶パネル7Gが配置されることによって、凝縮された液体の冷媒を、毛細管力だけでなく重力によっても、液体の冷媒を気化させる気化部に輸送できる。これにより、受熱部821にて受熱された熱を用いた液体から気体への冷媒の変化を促進できる。従って、液晶層42の熱の放熱効率、ひいては、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
【0162】
[第6実施形態の第1変形例]
液晶パネル7Gでは、入射側防塵基板45の側面453は、受熱部821の一部である開口部84の内周面と熱伝導性接着剤を介して熱伝達可能に接続されているとした。しかしながら、これに限らず、側面453と開口部84の内周面とは熱伝達可能に接続されていなくてもよい。また、側面453と開口部84の内周面とは、板ばね等の熱伝達部材を介して熱伝達可能に接続されていてもよい。この他、側面453の全てが開口部84の内周面と熱伝達可能に接続される形態に限らず、側面453の一部が開口部84の内周面と熱伝達可能に接続されていてもよい。
【0163】
[第6実施形態の第2変形例]
液晶パネル7Gでは、入射側冷却部材8Gの受熱部821は、対向基板44の光入射面441と直接接続され、入射側防塵基板45の側面453と熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続されるとした。しかしながら、これに限らず、受熱部821は、入射側防塵基板45と直接接続され、対向基板44と直接接続されていなくてもよい。例えば、対向基板44と受熱部821との間に、対向基板44から受熱部821に熱を伝達可能な熱伝達部材が設けられていてもよい。
【0164】
図24は、液晶パネル7Gの変形である液晶パネル7HのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル7Gに代えて、
図24に示す液晶パネル7Hを採用してもよい。
液晶パネル7Hは、入射側冷却部材8Gに代えて入射側冷却部材8Hを備える他は、液晶パネル7Gと同様の構成及び機能を有する。すなわち、液晶パネル7Hは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び入射側冷却部材8Hを備える。
入射側冷却部材8Hは、本体部81H、第1放熱部材88及び第2放熱部材89を備え、本体部81Hは、第1部材82、第2部材83及び開口部84を備え、第1部材82は、第1面82A及び受熱部821を有し、第2部材83は、第2面83A、第1放熱部831及び第2放熱部832を有する。本体部81Hは、本体部81Aと同様に、液晶層42からの配線49の延在方向である+Y方向に開口部84から延出している他、本体部81Dと同様に、配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に開口部84から延出している。
【0165】
入射側冷却部材8Hにおいて、第1部材82の第1面82Aは、対向基板44と直接接続されず、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続される。また、第1面82Aは、入射側防塵基板45の光入射面451と接続される。すなわち、液晶層42に入射する光の進行方向とは反対方向(-Z方向)から見て、入射側防塵基板45の面積は、入射側冷却部材8Hの開口部84の面積よりも大きい。このため、入射側防塵基板45は、開口部84の内側には配置されず、第1面82Aは、開口部84の周囲の部分にて、入射側防塵基板45の光入射面451と接続される。すなわち、入射側冷却部材8Hは、第1面82Aにおける開口部84の周囲部分が光入射面451に接続されるように、入射側防塵基板45に設けられる。換言すると、開口部84の周囲に設けられた受熱部821の一部は、入射側防塵基板45の光入射面451と熱伝達可能に接続され、受熱部821の他の一部は、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続され、受熱部821の更に他の一部は、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続される。そして、液晶層42から対向基板44を介して入射側防塵基板45に伝達された熱は、受熱部821に伝達される。
【0166】
なお、上記のように、液晶層42にて発生した熱量のうち、対向基板44を介して入射側防塵基板45に伝達される熱量は、対向基板44を介して保持筐体50に伝達される熱量よりも大きい。このため、受熱部821は、保持筐体50と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
このような液晶パネル7Hは、上記した液晶パネル7B,7E,7Gと同様の効果を奏する。
【0167】
[第6実施形態の第3変形例]
液晶パネル7Gでは、入射側冷却部材8Gの受熱部821は、対向基板44の光入射面441と入射側防塵基板45の側面453とに熱伝達可能に接続されるとした。また、液晶パネル7Hでは、受熱部821は、入射側防塵基板45の光入射面451に熱伝達可能に接続されるとした。しかしながら、受熱部821において対向基板44及び入射側防塵基板45との接続部分は、上記に限定されない。
【0168】
図25は、液晶パネル7Gの変形である液晶パネル7IのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル7Gに代えて、
図25に示す液晶パネル7Iを採用してもよい。
液晶パネル7Iは、入射側冷却部材8Gに代えて入射側冷却部材8Iを備える他は、液晶パネル7Gと同様の構成及び機能を備える。すなわち、液晶パネル7Iは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51及び入射側冷却部材8Iを備える。
入射側冷却部材8Iは、入射側冷却部材8Gと同様に、対向基板44及び入射側防塵基板45から伝達される熱によって液体の冷媒を気体の冷媒に気化させ、気体の冷媒から受熱した熱を外部に放熱する。入射側冷却部材8Iは、本体部81Gに代えて本体部81Iを備える他は、入射側冷却部材8Gと同様の構成及び機能を備える。すなわち、入射側冷却部材8Iは、本体部81I、第1放熱部材88及び第2放熱部材89を備える。
【0169】
本体部81Iは、本体部81Gと同様に、第1部材82及び第2部材83を備え、第1部材82及び第2部材83が組み合わされて構成されている。本体部81Iは、第1部材82の第1面82Aが、対向基板44の光入射面441と接触するように、対向基板44に設けられる。すなわち、本体部81Iの受熱部821の一部は、対向基板44に熱伝達可能に接続される。
【0170】
本体部81Iは、開口部84Cを有する。
開口部84Cは、第4実施形態の第3変形例にて示したように、光出射側に設けられた第1開口部84C1と、光入射側に設けられた第2開口部84C2とを有する二段孔である。第1開口部84C1の内部には、入射側防塵基板45が配置され、第1開口部84C1の内周面には、入射側防塵基板45の側面453が熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。接続部84C3には、入射側防塵基板45の光入射面451の一部が熱伝達可能に接続される。換言すると、本体部81Iは、第1開口部84C1と接続部84C3と第2開口部84C2とによって形成される段差部を有する。第1開口部84C1の内周面が段差部の内周面に相当し、接続部84C3が段差部の底面に相当する。
本体部81Iにおいて、対向基板44及び入射側防塵基板45との接続部分は、受熱部821の一部である。このため、第1開口部84C1の内周面、及び、接続部84C3は、受熱部821の一部である。
なお、本体部81Iは、本体部81Gと同様に、液晶層42からの配線49の延在方向である+Y方向に開口部84Cから延出している他、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に開口部84Cから延出している。第1放熱部831及び第1放熱部材88は、第2面83Aにおいて開口部84Cに対する+Y方向に設けられ、第2放熱部832及び第2放熱部材89は、第2面83Aにおいて開口部84Cに対する-Y方向に設けられている。
【0171】
このような液晶パネル7Iは、上記した液晶パネル7C,7F,7Gと同様の効果を奏する。
なお、液晶パネル7Iでは、液晶パネル7C,7Fと同様に、受熱部821を有する第1部材82と対向基板44とは、熱伝達可能に接続されていなくてもよい。この場合、入射側防塵基板45に対して本体部81Cが固定されていてもよい。
【0172】
[第7実施形態]
次に、本開示の第7実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、液晶パネルが入射側冷却部材及び出射側冷却部材を備える点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0173】
図26は、本実施形態に係るプロジェクターが備える液晶パネル9AのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係る液晶パネル4Aに代えて、
図26に示す液晶パネル9Aを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備える。
液晶パネル9Aは、第1実施形態に係る液晶パネル4Aの構成に加えて入射側冷却部材8Aを備える。換言すると、液晶パネル9Aは、第4実施形態に係る液晶パネル7Aの構成に加えて出射側冷却部材6Aを備える。すなわち、液晶パネル9Aは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、出射側冷却部材6A及び入射側冷却部材8Aを備える。パネル本体41は、第1実施形態にて説明したように、液晶層42、入射部43及び出射部46を有する。入射部43は、対向基板44及び入射側防塵基板45を有し、出射部46は、画素基板47及び出射側防塵基板48を有する。
【0174】
本実施形態では、入射側防塵基板45は、第1防塵基板に相当し、出射側防塵基板48は、第2防塵基板に相当する。
入射側冷却部材8Aを構成する本体部81Aは、第1ベイパーチャンバーに相当し、本体部81Aを構成する第1部材82、第2部材83及び開口部84は、第1受熱部、第1放熱部及び第1開口部に相当する。本体部81Aは、液晶層42に入射する光の入射側(-Z方向)から見て、対向基板44及び入射側防塵基板45よりも外側に延在している。
【0175】
出射側冷却部材6Aを構成する本体部61Aは、第2ベイパーチャンバーに相当し、本体部61Aを構成する第1部材62、第2部材63及び開口部64は、第2受熱部、第2放熱部及び第2開口部に相当する。本体部61Aは、液晶層42から出射される光の出射側(+Z方向)から見て、画素基板47及び出射側防塵基板48よりも外側に延在している。
そして、本体部81Aと本体部61Aとは、液晶層42に対する光の入射方向(+Z方向)において互いに対向している。
【0176】
液晶パネル9Aにおいて、出射側冷却部材6Aの受熱部621の一部は、パネル本体41を構成する画素基板47の光出射面472に熱伝達可能に接続され、出射側冷却部材6Aの開口部64の内周面は、出射側防塵基板48の側面483と熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。開口部64の内周面は、受熱部621の一部である。なお、出射側冷却部材6Aは、画素基板47に設けられていてもよく、出射側防塵基板48に設けられていてもよい。
液晶パネル9Aにおいて、入射側冷却部材8Aの受熱部821の一部は、パネル本体41を構成する対向基板44の光入射面441に熱伝達可能に接続され、入射側冷却部材8Aの開口部84の内周面は、入射側防塵基板45の側面453と熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。開口部84の内周面は、受熱部821の一部である。なお、入射側冷却部材8Aは、対向基板44に設けられていてもよく、入射側防塵基板45に設けられていてもよい。
【0177】
このような液晶パネル9Aには、上記した液晶パネル4A~4I,7A~7Iと同様に、+Y方向に沿って冷却気体が冷却装置から流通する。
液晶パネル9Aに対して光入射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して入射側防塵基板45及び第1放熱部材88を冷却する。
液晶パネル9Aに対して光出射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して出射側防塵基板48及び第1放熱部材68を冷却する。
このように、液晶パネル9Aでは、入射側防塵基板45、出射側防塵基板48、出射側冷却部材6A及び入射側冷却部材8Aによって、液晶パネル9Aの外部に液晶層42の熱が放熱されて、液晶層42が冷却される他、ドライバー回路491が冷却される。
【0178】
[第7実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1及び第4実施形態に係るプロジェクターと同様の効果を奏する。すなわち、本実施形態に係る液晶パネル9Aは、第1実施形態に係る液晶パネル4A及び第4実施形態に係る液晶パネル7Aと同様の効果を奏することができる。
具体的に、液晶パネル9Aは、液晶パネルに入射する光の進行方向に沿って、変調した光を出射する透過型の液晶パネルである。液晶パネル9Aは、画素領域41A、液晶層42、対向基板44、入射側防塵基板45、画素基板47、出射側防塵基板48及び本体部61A,81Aを備える。画素領域41Aには、複数の画素が配列されている。液晶層42は、複数の画素ごとに光を変調する、対向基板44は、画素領域に応じて設けられる共通電極を有する。画素基板47は、複数の画素のそれぞれに応じて設けられる複数の画素電極を有し、対向基板44との間に液晶層42を担持する。入射側防塵基板45は、第1防塵基板に相当し、対向基板44において画素基板47とは反対側の面に設けられる。出射側防塵基板48は、第2防塵基板に相当し、画素基板47において対向基板44とは反対側の面に設けられる。
【0179】
本体部81Aは、第1ベイパーチャンバーに相当し、第1開口部としての開口部84と、第1受熱部としての受熱部821と、第1放熱部としての第1放熱部831と、を有する。開口部84は、画素領域41Aに応じた開口部である。受熱部821は、開口部84の周囲に設けられ、対向基板44及び入射側防塵基板45のうち少なくとも一方に熱伝達可能に接続される。第1放熱部831は、受熱部821によって受熱された熱を放熱する。本体部81Aは、内部に封入された液体の冷媒を受熱部821にて受熱された熱によって気化させ、気体の冷媒の熱を第1放熱部831にて放熱することによって液体の冷媒を気体の冷媒に凝縮する。本体部81Aの封入空間SP内に封入されている冷媒は、第1冷媒に相当する。
【0180】
本体部61Aは、第2ベイパーチャンバーに相当し、第2開口部としての開口部64と、第2受熱部としての受熱部621と、第2放熱部としての第1放熱部631と、を有する。開口部64は、画素領域41Aに応じた開口部である。受熱部621は、開口部64の周囲に設けられ、画素基板47及び出射側防塵基板48のうち少なくとも一方に熱伝達可能に接続される。第1放熱部631は、受熱部621によって受熱された熱を放熱する。本体部61Aは、内部に封入された液体の冷媒を受熱部621にて受熱された熱によって気化させ、気体の冷媒の熱を第1放熱部631にて放熱することによって液体の冷媒を気体の冷媒に凝縮する。本体部61Aの封入空間SP内に封入されている冷媒は、第2冷媒に相当する。
【0181】
このような構成によれば、液晶パネル4A,7Aと同様の効果を奏することができる。また、液晶パネル9Aは、対向基板44及び入射側防塵基板45のうち少なくとも一方に熱伝達可能に接続される本体部81Aと、画素基板47及び出射側防塵基板48のうち少なくとも一方に熱伝達可能に接続される本体部61Aと、を備えることによって、液晶層42の冷却効率を一層高めることができる。
【0182】
液晶パネル9Aでは、第1ベイパーチャンバーとしての本体部81Aは、液晶層42に入射する光の入射側から見て、対向基板44及び入射側防塵基板45よりも外側に延在する。第2ベイパーチャンバーとしての本体部61Aは、液晶層42から出射される光の出射側から見て、画素基板47及び出射側防塵基板48よりも外側に延在する。本体部81Aと本体部61Aとは、液晶層42に対する光の入射方向において互いに対向している。
このような構成によれば、本体部81Aと本体部61Aとが互いに対向しない場合に比べて、液晶パネル9Aの大型化を抑制できる。
【0183】
[第7実施形態の第1変形例]
液晶パネル9Aでは、入射側防塵基板45の側面453は、入射側冷却部材8Aの本体部81Aにおいて受熱部821の一部である開口部84の内周面と熱伝導性接着剤を介して熱伝達可能に接続されているとした。また、出射側防塵基板48の側面483は、出射側冷却部材6Aの本体部61Aにおいて受熱部621の一部である開口部64の内周面と熱伝導性接着剤を介して熱伝達可能に接続されているとした。しかしながら、これに限らず、入射側防塵基板45の側面453と出射側防塵基板48の側面483とのうち、少なくとも一方の側面は、入射側冷却部材8Aの開口部84と出射側冷却部材6Aの開口部64とのうち、対応する開口部の内周面と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。また、入射側防塵基板45の側面453と出射側防塵基板48の側面483とのうち、少なくとも一方の側面は、入射側冷却部材8Aの開口部84と出射側冷却部材6Aの開口部64とのうち、対応する開口部の内周面との間に、板ばね等の熱伝達部材を介して熱伝達可能に接続されていてもよい。この他、上記のように、側面453の一部が開口部84の内周面と熱伝達可能に接続されていてもよく、側面483の一部が開口部64の内周面と熱伝達可能に接続されていてもよい。
【0184】
[第7実施形態の第2変形例]
液晶パネル9Aでは、出射側冷却部材として出射側冷却部材6Aが採用され、入射側冷却部材として入射側冷却部材8Aが採用された。しかしながら、これに限らず、入射側冷却部材の構成及び出射側冷却部材の構成は、上記に限定されない。例えば、液晶パネルは、出射側冷却部材として出射側冷却部材6A~6Iのうちの1つを備え、入射側冷却部材として入射側冷却部材8A~8Iのうち1つを備える構成としてもよい。この場合、液晶層42から出射される光の出射側(+Z方向)から見て、本体部が画素基板47及び出射側防塵基板48よりも外側に延在するように、出射側冷却部材を構成してもよい。また、液晶層42に入射する光の入射側(-Z方向)から見て、本体部が対向基板44及び入射側防塵基板45よりも外側に延在するように、入射側冷却部材を構成してもよい。そして、出射側冷却部材の本体部と入射側冷却部材の本体部とが、液晶層42に対する光の入射方向(+Z方向)において互いに対向するように、出射側冷却部材及び入射側冷却部材を配置してもよい。
【0185】
図27は、液晶パネル9Aの変形である液晶パネル9BのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル9Aに代えて、
図27に示す液晶パネル9Bを採用してもよい。
液晶パネル9Bは、第1実施形態の第2変形例にて示した液晶パネル4Bと第4実施形態の第2変形例にて示した液晶パネル7Bとを組み合わせた構成を有する。すなわち、液晶パネル9Bは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51、出射側冷却部材6B及び入射側冷却部材8Bを備える。
【0186】
液晶パネル9Bでは、出射側冷却部材6Bは、開口部64の周囲に設けられた受熱部621が光出射面482に接続されるように、出射側防塵基板48に設けられる。受熱部621の他の一部は、挟持部材51を介して画素基板47と熱伝達可能に接続される。
液晶パネル9Bでは、入射側冷却部材8Bは、開口部84の周囲に設けられた受熱部821が光入射面451に接続されるように、入射側防塵基板45に設けられる。受熱部821の他の一部は、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続される。
なお、受熱部621は、挟持部材51と熱伝達可能に接続されていなくてもよく、受熱部821は、保持筐体50と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
このような液晶パネル9Bは、液晶パネル4B,7B,9Aと同様の効果を奏する。
【0187】
[第7実施形態の第3変形例]
図28は、液晶パネル9Aの変形である液晶パネル9CのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル9Aに代えて、
図28に示す液晶パネル9Cを採用してもよい。
液晶パネル9Cは、第1実施形態の第3変形例にて示した液晶パネル4Cと第4実施形態の第3変形例にて示した液晶パネル7Cとを組み合わせた構成を有する。すなわち、液晶パネル9Cは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51、出射側冷却部材6C及び入射側冷却部材8Cを備える。
【0188】
液晶パネル9Cでは、出射側防塵基板48は、出射側冷却部材6Cの第1開口部64C1内に配置される。第1開口部64C1の内縁は、出射側防塵基板48の側面483と接続され、接続部64C3は、出射側防塵基板48の光出射面482の一部と接続される。また、第1部材62の受熱部621は、画素基板47と接続される。
液晶パネル9Cでは、入射側防塵基板45は、入射側冷却部材8Cの第1開口部84C1内に配置される。第1開口部84C1の内縁は、入射側防塵基板45の側面453と接続され、接続部84C3は、入射側防塵基板45の光入射面451の一部と接続される。また、第1部材82の受熱部821は、保持筐体50を介して画素基板47と熱伝達可能に接続される。
なお、受熱部621は、挟持部材51と熱伝達可能に接続されていなくてもよく、受熱部821は、保持筐体50と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
このような液晶パネル9Cは、液晶パネル4C,7C,9Aと同様の効果を奏する。
【0189】
[第7実施形態の第4変形例]
図29は、液晶パネル9Aの変形である液晶パネル9DのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル9Aに代えて、
図29に示す液晶パネル9Dを採用してもよい。
液晶パネル9Dは、第2実施形態にて示した液晶パネル4Dと第5実施形態にて示した液晶パネル7Dとを組み合わせた構成を有する。すなわち、液晶パネル9Dは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、出射側冷却部材6D及び入射側冷却部材8Dを備える。
なお、出射側冷却部材6Dの本体部61Dは、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に開口部64から延出し、入射側冷却部材8Dの本体部81Dは、液晶層42からの配線49の延在方向とは反対方向である-Y方向に開口部84から延出している。
【0190】
液晶パネル9Dでは、出射側冷却部材6Dの受熱部621は、画素基板47の光出射面472に接続される。出射側防塵基板48は、開口部64の内側に配置され、出射側防塵基板48の側面483は、出射側冷却部材6Gの開口部64の内周面と熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。開口部64の内周面は、受熱部621の一部である。出射側冷却部材6Dの本体部61Dは、画素基板47に設けられていてもよく、出射側防塵基板48に設けられていてもよい。
液晶パネル9Dでは、入射側冷却部材8Dの受熱部821は、対向基板44の光入射面441に接続される。入射側防塵基板45は、開口部84の内側に配置され、入射側防塵基板45の側面453は、入射側冷却部材8Dの開口部84の内周面と熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。開口部84の内周面は、受熱部821の一部である。入射側冷却部材8Dの本体部81Dは、対向基板44に設けられていてもよく、入射側防塵基板45に設けられていてもよい。
【0191】
このような液晶パネル9Dには、上記した液晶パネル4A~4I,7A~7Iと同様に、+Y方向に沿って冷却気体が冷却装置から流通する。
液晶パネル9Dに対して光入射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して第1放熱部材88及び入射側防塵基板45を順に冷却した後、保持筐体50を冷却する。
液晶パネル9Dに対して光出射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して第1放熱部材68及び出射側防塵基板48を順に冷却した後、挟持部材51を冷却する。
このように、液晶パネル9Dでは、入射側防塵基板45、出射側防塵基板48、出射側冷却部材6D及び入射側冷却部材8Dによって、液晶パネル9Dの外部に液晶層42の熱が放熱されて、液晶層42が冷却される他、ドライバー回路491が冷却される。
このような液晶パネル9Dは、液晶パネル4D,7D,9Aと同様の効果を奏する。
【0192】
[第7実施形態の第5変形例]
図30は、液晶パネル9Aの変形である液晶パネル9EのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル9Aに代えて、
図30に示す液晶パネル9Eを採用してもよい。
液晶パネル9Eは、第2実施形態の第2変形例にて示した液晶パネル4Eと第5実施形態の第2変形例にて示した液晶パネル7Eとを組み合わせた構成を有する。すなわち、液晶パネル9Eは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51、出射側冷却部材6E及び入射側冷却部材8Eを備える。
【0193】
液晶パネル9Eでは、出射側冷却部材6Eの本体部61Eは、第1面62Aにおいて開口部64の周囲に設けられた受熱部621の一部が光出射面482と接続されるように、出射側防塵基板48に設けられる。受熱部621の他の一部は、挟持部材51を介して画素基板47と熱伝達可能に接続される。
液晶パネル9Eでは、入射側冷却部材8Eの本体部81Eは、第1面82Aにおいて開口部84の周囲に設けられた受熱部821の一部が光入射面451と接続されるように、入射側防塵基板45に設けられる。受熱部821の他の一部は、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続される。
なお、受熱部621は、挟持部材51と熱伝達可能に接続されていなくてもよく、受熱部821は、保持筐体50と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
このような液晶パネル9Eは、液晶パネル4E,7E,9Dと同様の効果を奏する。
【0194】
[第7実施形態の第6変形例]
図31は、液晶パネル9Aの変形である液晶パネル9FのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル9Aに代えて、
図31に示す液晶パネル9Fを採用してもよい。
液晶パネル9Fは、第2実施形態の第3変形例にて示した液晶パネル4Fと第5実施形態の第3変形例にて示した液晶パネル7Fとを組み合わせた構成を有する。すなわち、液晶パネル9Fは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51、出射側冷却部材6F及び入射側冷却部材8Fを備える。
【0195】
液晶パネル9Fでは、出射側防塵基板48は、出射側冷却部材6Iの第1開口部64C1内に配置される。第1開口部64C1の内周面は、出射側防塵基板48の側面483と熱伝達可能に接続され、接続部64C3は、出射側防塵基板48の光出射面482の一部と接続される。また、受熱部621は、画素基板47と接続される。なお、受熱部621は、必ずしも画素基板47と接続されていなくてもよい。
液晶パネル9Fでは、入射側防塵基板45は、入射側冷却部材8Fの第1開口部84C1内に配置される。第1開口部84C1の内周面は、入射側防塵基板45の側面453と熱伝達可能に接続され、接続部84C3は、入射側防塵基板45の光入射面451の一部と接続される。また、受熱部821は、保持筐体50を介して画素基板47と熱伝達可能に接続される。
なお、受熱部621は、挟持部材51と熱伝達可能に接続されていなくてもよく、受熱部821は、保持筐体50と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
このような液晶パネル9Fは、液晶パネル4F,7F,9Dと同様の効果を奏する。
【0196】
[第7実施形態の第7変形例]
図32は、液晶パネル9Aの変形である液晶パネル9GのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル9Aに代えて、
図32に示す液晶パネル9Gを採用してもよい。
液晶パネル9Gは、第3実施形態にて示した液晶パネル4Gと第6実施形態にて示した液晶パネル7Gとを組み合わせた構成を有する。すなわち、液晶パネル9Gは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51、出射側冷却部材6G及び入射側冷却部材8Gを備える。
【0197】
液晶パネル9Gにおいて、出射側冷却部材6Gの受熱部621は、画素基板47の光出射面472に熱伝達可能に接続される。出射側冷却部材6Gの開口部64の内側には、出射側防塵基板48が配置され、開口部64の内周面には、側面483が熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。出射側冷却部材6Gの本体部61Gは、画素基板47に設けられていてもよく、出射側防塵基板48に設けられていてもよい。
液晶パネル9Gにおいて、入射側冷却部材8Gの受熱部821は、対向基板44の光入射面441に熱伝達可能に接続される。入射側冷却部材8Gの開口部84の内側には、入射側防塵基板45が配置され、開口部84の内周面には、側面453が熱伝導性接着剤等を介して熱伝達可能に接続される。入射側冷却部材8Gの本体部81Gは、対向基板44に設けられていてもよく、入射側防塵基板45に設けられていてもよい。
【0198】
このような液晶パネル9Gには、上記した液晶パネル4A~4I,7A~7Iと同様に、+Y方向に沿って冷却気体が冷却装置のファンから流通する。
液晶パネル9Gに対して光入射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して第2放熱部材89、入射側防塵基板45、第1放熱部材88を順に冷却する。
液晶パネル9Gに対して光出射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して第2放熱部材69、出射側防塵基板48、第1放熱部材68を順に冷却する。
このように、液晶パネル9Gでは、入射側防塵基板45、出射側防塵基板48、出射側冷却部材6G及び入射側冷却部材8Gによって、液晶パネル9Gの外部に液晶層42の熱が放熱されて、液晶層42が冷却される他、ドライバー回路491が冷却される。
このような液晶パネル9Gは、液晶パネル4G,7G,9Aと同様の効果を奏する。
【0199】
[第7実施形態の第8変形例]
図33は、液晶パネル9Aの変形である液晶パネル9HのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル9Aに代えて、
図33に示す液晶パネル9Hを採用してもよい。
液晶パネル9Hは、第3実施形態の第2変形例にて示した液晶パネル4Hと第6実施形態の第2変形例にて示した液晶パネル7Hとを組み合わせた構成を有する。すなわち、液晶パネル9Hは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51、出射側冷却部材6H及び入射側冷却部材8Hを備える。
【0200】
液晶パネル9Hでは、出射側冷却部材6Hの本体部61Hは、出射側防塵基板48に設けられ、第1面62Aにおいて開口部64の周囲に設けられた受熱部621は、出射側防塵基板48の光出射面482に接続される。受熱部621の他の一部は、挟持部材51を介して画素基板47と熱伝達可能に接続される。
液晶パネル9Hでは、入射側冷却部材8Eの本体部81Hは、入射側防塵基板45に設けられ、第1面82Aにおいて開口部84の周囲に設けられた受熱部821は、入射側防塵基板45の光入射面451に接続される。受熱部821の他の一部は、保持筐体50を介して対向基板44と熱伝達可能に接続される。
なお、受熱部621は、挟持部材51と熱伝達可能に接続されていなくてもよく、受熱部821は、保持筐体50と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
このような液晶パネル9Hは、液晶パネル4H,7H,9Gと同様の効果を奏する。
【0201】
[第7実施形態の第9変形例]
図34は、液晶パネル9Aの変形である液晶パネル9IのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル9Aに代えて、
図34に示す液晶パネル9Iを採用してもよい。
液晶パネル9Iは、第3実施形態の第3変形例にて示した液晶パネル4Iと第6実施形態の第3変形例にて示した液晶パネル7Iとを組み合わせた構成を有する。すなわち、液晶パネル9Iは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51、出射側冷却部材6I及び入射側冷却部材8Iを備える。
【0202】
液晶パネル9Iでは、出射側防塵基板48は、出射側冷却部材6Fの第1開口部64C1内に配置される。第1開口部64C1の内周面は、出射側防塵基板48の側面483と接続され、接続部64C3は、出射側防塵基板48の光出射面482の一部と接続される。第1開口部64C1の内周面と接続部64C3とは、受熱部621の一部である。また、受熱部621は、画素基板47と接続される。
液晶パネル9Iでは、入射側防塵基板45は、入射側冷却部材8Fの第1開口部84C1内に配置される。第1開口部84C1の内周面は、入射側防塵基板45の側面453と接続され、接続部84C3は、入射側防塵基板45の光入射面451の一部と接続される。第1開口部84C1の内周面と接続部84C3とは、受熱部821の一部である。また、受熱部821は、保持筐体50を介して対向基板44及び画素基板47と熱伝達可能に接続される。
なお、受熱部621は、挟持部材51と熱伝達可能に接続されていなくてもよく、受熱部821は、保持筐体50と熱伝達可能に接続されていなくてもよい。
このような液晶パネル9Iは、液晶パネル4I,7I,9Gと同様の効果を奏する。
【0203】
[第7実施形態の第10変形例]
液晶パネル9Aでは、入射側冷却部材8Aの構成のうち第1ベイパーチャンバーとしての本体部81Aと、出射側冷却部材6Aの構成のうち第2ベイパーチャンバーとしての本体部61Aとは、液晶層42に入射する光の進行方向において互いに対向するとした。しかしながら、これに限らず、本体部81Aと本体部61Aとは、液晶層42に入射する光の進行方向において互いに対向しなくてもよい。出射側冷却部材6A~6Iのうちの1つの出射側冷却部材と、入射側冷却部材8A~8Iのうちの1つの入射側冷却部材とを備える液晶パネルにおいても同様である。
【0204】
図35は、液晶パネル9Gの変形である液晶パネル9Jを液晶層42に対する光入射側から見た模式図である。換言すると、
図35は、液晶パネル9Jにおける出射側冷却部材6Gの本体部61G及び入射側冷却部材8Gの本体部81Gの配置を示す図である。
例えば、液晶パネル9Aに代えて、
図35に示す液晶パネル9Jを採用してもよい。
液晶パネル9Jは、液晶パネル9Gと同様に、パネル本体41と、配線49と、図示しない保持筐体50と、出射側冷却部材6Gと、入射側冷却部材8Gと、を備える。
【0205】
液晶パネル9Jでは、出射側冷却部材6Gを構成する本体部61Gは、本体部61Gにおける-Y方向の端部から、+Y方向に向かうに従って+X方向に位置するように+Y方向及び+X方向のそれぞれに対して傾斜している。このため、
図35の例では、出射側冷却部材6Gの第1放熱部材68は、画素領域41Aに対して+X方向かつ+Y方向の位置に配置され、第2放熱部材69は、画素領域41Aに対して-X方向から-Y方向の位置に配置される。
なお、第1放熱部材68及び第2放熱部材69は、第1放熱部材68及び第2放熱部材69のそれぞれに設けられた流路が+Y方向に沿うように第1放熱部631及び第2放熱部632に応じて設けられる。
【0206】
液晶パネル9Jでは、入射側冷却部材8Gを構成する本体部81Gは、本体部81Gにおける-Y方向の端部から、+Y方向に向かうに従って-X方向に位置するように+Y方向及び+X方向のそれぞれに対して傾斜している。このため、
図35の例では、入射側冷却部材8Gの第1放熱部材88は、画素領域41Aに対して-X方向かつ+Y方向の位置に配置され、第2放熱部材89は、画素領域41Aに対して+X方向から-Y方向の位置に配置される。
なお、第1放熱部材88及び第2放熱部材89は、第1放熱部材88及び第2放熱部材89のそれぞれに設けられた流路が+Y方向に沿うように第1放熱部831及び第2放熱部832に応じて設けられる。
【0207】
このように、液晶パネル9Jでは、出射側冷却部材6Gと入射側冷却部材8Gとは、液晶パネル9Jに対する光入射側から見て画素領域41Aにて交差するように設けられる。これにより、+Y方向に沿って流通する冷却気体を、各放熱部材68,69,88,89、入射側防塵基板45及び出射側防塵基板48のそれぞれに流通させやすくすることができる。従って、液晶層42の冷却効率を高めることができる。
なお、本体部61Gは、本体部61Gにおける-Y方向の端部から、+Y方向に向かうに従って-X方向に位置するように傾斜していてもよく、本体部81Gは、本体部81Gにおける-Y方向の端部から、+Y方向に向かうに従って+X方向に位置するように傾斜していてもよい。
また、上記のように配置される冷却部材は、出射側冷却部材6G及び入射側冷却部材8Gに限らず、出射側冷却部材6A~6Iのうちの1つであってもよく、入射側冷却部材8A~8Iのうちの1つであってもよい。例えば、液晶パネルが出射側冷却部材及び入射側冷却部材のうち1つの冷却部材を備える場合でも、当該1つの冷却部材が+X方向及び+Y方向に対して傾斜していてもよい。
【0208】
[実施形態の変形]
本開示は、上記各変形例を含む上記各実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記第2及び第8実施形態に係る出射側冷却部材では、第2部材63の第2面63Aに第1放熱部631に応じて設けられる第1放熱部材68は、第1部材62に対して光出射側に配置されていた。しかしながら、これに限らず、第1放熱部材68は、第1部材62に対して光入射側に設けられていてもよい。上記第3及び第9実施形態に係る出射側冷却部材では、第2部材63の第2面63Aに第2放熱部632に応じて設けられる第2放熱部材69は、第1部材62に対して光出射側に配置されていた。しかしながら、これに限らず、第2放熱部材69は、第1部材62に対して光入射側に設けられていてもよい。これらの場合、例えば第1放熱部631と第1放熱部材68とを熱伝達部材によって熱伝達可能に接続すればよく、例えば第2放熱部632と第2放熱部材69とを熱伝達部材によって熱伝達可能に接続すればよい。なお、熱伝達部材は、第1放熱部材68又は第2放熱部材69を支持する機能を備えていてもよい。
【0209】
上記第4及び第8実施形態に係る入射側冷却部材では、第2部材83の第2面83Aに第1放熱部831に応じて設けられる第1放熱部材88は、第1部材82に対して光入射側に配置されていた。しかしながら、これに限らず、第1放熱部材88は、第1部材82に対して光出射側に設けられていてもよい。上記第5及び第9実施形態に係る入射側冷却部材では、第2部材83の第2面83Aに第2放熱部832に応じて設けられる第2放熱部材89は、第1部材82に対して光入射側に配置されていた。しかしながら、これに限らず、第2放熱部材89は、第1部材82に対して光出射側に設けられていてもよい。これらの場合、例えば第1放熱部831と第1放熱部材88とを熱伝達部材によって熱伝達可能に接続すればよく、例えば第2放熱部832と第2放熱部材89とを熱伝達部材によって熱伝達可能に接続すればよい。なお、熱伝達部材は、第1放熱部材88又は第2放熱部材89を支持する機能を備えていてもよい。
【0210】
図36は、液晶パネル9Dの変形である液晶パネル9KのYZ平面に沿う断面を模式的に示す図である。
例えば、液晶パネル9Dに代えて、
図36に示す液晶パネル9Kを採用してもよい。
液晶パネル9Kは、出射側冷却部材6D及び入射側冷却部材8Dに代えて出射側冷却部材6K及び入射側冷却部材8Kを備える他は、液晶パネル9Dと同様の構成及び機能を備える。すなわち、液晶パネル9Kは、パネル本体41、配線49、保持筐体50、挟持部材51、出射側冷却部材6K及び入射側冷却部材8Kを備える。
【0211】
出射側冷却部材6Kは、出射側冷却部材6Dと同様に、画素基板47及び出射側防塵基板48から伝達される熱によって液体の冷媒を気体の冷媒に気化させ、気体の冷媒から受熱した熱を外部に放熱する。出射側冷却部材6Kは、熱伝達部材67を備え、第1放熱部材68の配置が異なる他は、出射側冷却部材6Dと同様の構成及び機能を備える。すなわち、出射側冷却部材6Kは、本体部61Dと、熱伝達部材67と、第1放熱部材68と、を備える。
【0212】
出射側冷却部材6Kでは、第1放熱部材68は、第1部材62に対して光入射側に配置される。すなわち、第1放熱部材68は、第1部材62に対して第2部材63とは反対側に配置される。なお、第1放熱部材68が有する複数のフィンとして、複数のフィン681が設けられる場合には、フィン681内に設けられる流路は、+Y方向に向かうに従って+X方向又は-X方向に位置するように、+Y方向に対して傾斜していてもよい。
熱伝達部材67は、第2面63Aにおける第1放熱部631と第1放熱部材68とを熱伝達可能に接続し、第1凝縮部から第1放熱部631に伝達された気体の冷媒の熱を第1放熱部材68に伝達する。熱伝達部材67は、例えば金属のシートによって形成されていてもよく、第1放熱部材68を支持可能な金属製部材によって形成されていてもよい。
【0213】
入射側冷却部材8Kは、入射側冷却部材8Dと同様に、対向基板44及び入射側防塵基板45から伝達される熱によって液体の冷媒を気体の冷媒に気化させ、気体の冷媒から受熱した熱を外部に放熱する。入射側冷却部材8Kは、熱伝達部材87を備え、第1放熱部材88の配置が異なる他は、入射側冷却部材8Dと同様の構成及び機能を備える。すなわち、入射側冷却部材8Kは、本体部81Dと、熱伝達部材87と、第1放熱部材88と、を備える。
【0214】
入射側冷却部材8Kでは、第1放熱部材88は、第1部材82に対して光出射側に配置される。すなわち、第1放熱部材88は、第1部材82に対して第2部材83とは反対側に配置される。なお、第1放熱部材88が有する複数のフィンとして、複数のフィン681が設けられる場合には、フィン681内に設けられる流路は、+Y方向に向かうに従って+X方向又は-X方向に位置するように、+Y方向に対して傾斜していてもよい。
熱伝達部材87は、第2面83Aにおける第1放熱部831と第1放熱部材88とを熱伝達可能に接続し、第1凝縮部から第1放熱部831に伝達された気体の冷媒の熱を第1放熱部材88に伝達する。熱伝達部材87は、例えば金属のシートによって形成されていてもよく、第1放熱部材88を支持可能な金属製部材によって形成されていてもよい。
【0215】
外装筐体2内に配置された冷却装置のファンによって流通する冷却気体は、液晶パネル9Kに対して+Y方向に流通する。
液晶パネル9Kに対する光入射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して、入射側防塵基板45を冷却した後、保持筐体50を冷却する。
液晶パネル9Kに対する光出射側の空間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して、出射側防塵基板48を冷却した後、挟持部材51を冷却する。
出射側冷却部材6Kの本体部61Dと入射側冷却部材8Kの本体部81Dとの間を流通する冷却気体は、+Y方向に流通して、第1放熱部材68,88を冷却した後、+X方向又は-X方向に流通して、液晶パネル9Kから離れる方向に流通する。
【0216】
このような液晶パネル9Kでは、液晶パネル9Dと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
第1放熱部材68を流通した冷却気体が、出射側防塵基板48に流通することを抑制でき、第1放熱部材88を流通した冷却気体が、入射側防塵基板45に流通することを抑制できる。このため、出射側防塵基板48と、出射側防塵基板48に対して-Y方向に配置された第1放熱部材68とのそれぞれに、比較的温度が低い冷却気体を個別に流通させることができる。同様に、入射側防塵基板45と、入射側防塵基板45に対して-Y方向に配置された第1放熱部材88とのそれぞれに、比較的温度が低い冷却気体を個別に流通させることができる。従って、入射側防塵基板45、出射側防塵基板48及び第1放熱部材68,88を効率よく冷却でき、ひいては、液晶層42を効率よく冷却できる。
【0217】
なお、出射側冷却部材6D~6Iのうちの1つの出射側冷却部材を備える液晶パネルであれば、開口部64,64Cに対して-Y方向に配置される第1放熱部材68又は第2放熱部材69を、第1部材62に対して第2部材63とは反対側に配置し、熱伝達部材67によって第2面63Aと第1放熱部材68又は第2放熱部材69とを熱伝達可能に接続してもよい。
同様に、入射側冷却部材8D~8Iのうちの1つの入射側冷却部材を備える液晶パネルであれば、開口部84,84Cに対して-Y方向に配置される第1放熱部材88又は第2放熱部材89を、第1部材82に対して第2部材83とは反対側に配置し、熱伝達部材87によって第2面63Aと第1放熱部材88又は第2放熱部材89とを熱伝達可能に接続してもよい。
【0218】
また、冷却装置のファンから流通する冷却気体が、液晶パネルに対して-Y方向に流通する場合には、出射側冷却部材6A~6C,6G~6Iにおいて開口部64,64Cに対して+Y方向に配置された第1放熱部材68を、第1部材62に対して第2部材63とは反対方向に配置し、第2面63Aと第1放熱部材68とを熱伝達部材67を介して熱伝達可能に接続してもよい。
同様に、冷却装置から流通する冷却気体が、液晶パネルに対して-Y方向に流通する場合には、入射側冷却部材8A~8C,8G~8Iにおいて開口部84,84Cに対して+Y方向に配置された第1放熱部材88を、第1部材82に対して第2部材83とは反対方向に配置し、第2面83Aと第1放熱部材88とを熱伝達部材87を介して熱伝達可能に接続してもよい。
また、入射側冷却部材が有する入射側放熱部材と、出射側冷却部材が有する出射側放熱部材とのうち、一方の放熱部材を第1部材82に対して第2部材83側に設け、他方の放熱部材を第1部材82に対して第2部材83とは反対側に設けてもよい。
【0219】
上記各実施形態では、入射部43は、入射側防塵基板45を備え、出射部46は、出射側防塵基板48を備えるとした。しかしながら、これに限らず、本開示の液晶パネルは、入射側防塵基板45及び出射側防塵基板48のうち少なくとも1つの防塵基板を備えていなくてもよい。
【0220】
上記各実施形態では、出射側冷却部材6A~6Iは、第1放熱部材68及び第2放熱部材69のうち少なくとも1つの放熱部材を備えるとし、入射側冷却部材8A~8Iは、第1放熱部材88及び第2放熱部材89のうち少なくとも1つの放熱部材を備えるとした。しかしながら、これに限らず、入射側冷却部材及び出射側冷却部材のうち少なくともいずれかは、放熱部材を備えなくてもよい。すなわち、本開示においてベイパーチャンバーに放熱部材は設けられていなくてもよい。
【0221】
上記各実施形態では、液晶層42に対して光入射側に配置される入射側電極基板を対向基板44とし、液晶層42に対して光出射側に配置される出射側電極基板を画素基板47とした。しかしながら、これに限らず、入射側電極基板を画素基板47とし、出射側電極基板を対向基板44としてもよい。
【0222】
上記各実施形態では、液晶パネル4A~4I,7A~7I,9A~9Kが搭載される装置としてプロジェクターを挙げた。しかしながら、これに限らず、例えば設置型の液晶表示装置に本開示の液晶パネルを適用してもよく、例えばモバイル型の液晶表示装置に本開示の液晶パネルを適用してもよい。
【0223】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
本開示の第1態様に係る透過型液晶パネルは、複数の画素が配列された画素領域と、前記複数の画素ごとに光を変調する液晶層と、前記液晶層に光を入射させる入射部と、前記液晶層にて変調された光を画像光として出射する出射部と、前記画素領域に応じた開口部と、前記開口部の周囲に設けられた受熱部と、前記受熱部によって受熱された熱を放熱する放熱部と、を有し、内部に封入された液体の冷媒を前記受熱部にて受熱された熱によって気化させ、気体の前記冷媒の熱を前記放熱部にて放熱することによって気体の前記冷媒を液体の前記冷媒に凝縮するベイパーチャンバーと、を備える。
【0224】
ここで、ベイパーチャンバーは、冷媒を流通させる配管、及び、駆動電力を供給する配線が不要である。上記構成によれば、冷媒が流通する冷却装置を設ける場合、及び、電力によって熱を移動させるペルチェ素子等の熱電変換素子を設ける場合に比べて、透過型液晶パネルの構成を簡略化できる。従って、透過型液晶パネルが搭載される装置の小型化を図ることができる。また、配管及び配線を装着及び脱離させることなく、装置から透過型液晶パネルを装着及び脱離させることができるので、透過型液晶パネルの交換を容易に実施できる。更に、画素領域に応じた開口部の周囲に設けられた受熱部が熱を受熱するので、画素領域における温度の均一性を高めることができる。
【0225】
上記第1態様では、前記出射部は、前記液晶層と熱伝達可能に接続され、前記画像光が通過する透光性の出射側基板を有し、前記出射側基板の面積は、前記画像光の出射方向から見て前記画素領域の面積よりも大きく、前記ベイパーチャンバーは、前記出射側基板に熱伝達可能に設けられていてもよい。
このような構成によれば、出射側基板は、液晶層と熱伝達可能に接続されるので、液晶層の熱が伝達される。このような出射側基板にベイパーチャンバーが熱伝達可能に設けられることによって、受熱部が液晶層の熱を受熱しやすくなる。従って、液晶層を冷却しやすくすることができる。
【0226】
上記第1態様では、前記出射部は、前記液晶層に電気的に接続される出射側電極を有し、前記液晶層に対して光出射側に配置される透光性の出射側電極基板を備え、前記出射側基板は、前記出射側電極基板であってもよい。
このような構成によれば、出射側電極基板は、熱に弱い液晶層に直接接続される透光性基板である。このような出射側電極基板にベイパーチャンバーが設けられるので、液晶層にて生じた熱を受熱部に効率よく伝達できる。従って、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0227】
上記第1態様では、前記出射部は、前記出射側電極基板における光出射側の面に設けられた出射側防塵基板を備え、前記出射側防塵基板は、前記出射側防塵基板における光入射側の面と、前記出射側防塵基板における光出射側の面とを接続する側面を有し、前記受熱部は、前記出射側電極基板における光出射側の面と、前記出射側防塵基板における前記側面とから受熱してもよい。
このような構成によれば、受熱部は、出射側電極基板及び出射側防塵基板のそれぞれから受熱するので、液晶層の熱を出射側電極基板及び出射側防塵基板のそれぞれを介して受熱部に伝達できる。従って、受熱部に液晶層の熱を効率よく伝達できるので、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0228】
上記第1態様では、前記出射部は、前記液晶層に電気的に接続される出射側電極を有し、前記液晶層に対して光出射側に配置される透光性の出射側電極基板と、前記出射側電極基板における光出射側の面に設けられた出射側防塵基板と、を備え、前記出射側基板は、前記出射側防塵基板であってもよい。
このような構成によれば、ベイパーチャンバーは、出射側電極基板よりも光出射側に設けられる出射側防塵基板に熱伝達可能に設けられる。これによれば、出射側防塵基板を避けるように出射側電極基板にベイパーチャンバーを設ける場合に比べて、ベイパーチャンバーを出射部に容易に接続できる。
ここで、液晶層にて生じた熱は、出射側電極基板を介して出射側防塵基板に伝達されるので、液晶層の熱は拡散する。これに対し、ベイパーチャンバーが出射側防塵基板における光出射側の面に設けられるので、受熱部に液晶層の熱を伝達させやすくすることができる。
【0229】
上記第1態様では、前記ベイパーチャンバーは、前記出射側防塵基板の光出射側の面に設けられていてもよい。
このような構成によれば、例えば画素領域に応じた開口部内に出射側防塵基板が配置される場合に比較して、ベイパーチャンバーに公差が生じた場合でも、ベイパーチャンバーを出射部に容易に取り付けることができる。
【0230】
上記第1態様では、前記出射側防塵基板は、前記出射側防塵基板における光入射側の面と、前記出射側防塵基板における光出射側の面とを接続する側面を有し、前記開口部の内周面は、前記出射側防塵基板における前記側面の少なくとも一部と熱伝達可能に接続していてもよい。
このような構成によれば、出射側防塵基板に伝達された液晶層の熱を、開口部の内周面にて受熱できる。これによれば、出射側防塵基板における光出射側の面に受熱部が接続されるようにベイパーチャンバーが設けられる場合に比べて、光が通過する方向における透過型液晶パネルの寸法が大きくなることを抑制できる。
【0231】
上記第1態様では、前記受熱部は、前記出射側電極基板に熱伝達可能に接続されていてもよい。
このような構成によれば、受熱部には、出射側防塵基板の側面から熱が伝達するだけでなく、出射側電極基板から熱が伝達する。これによれば、液晶層の熱を受熱部に伝達しやすくすることができるので、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0232】
上記第1態様では、前記出射側電極基板は、前記出射側電極として、前記複数の画素のそれぞれに応じて設けられる複数の画素電極を有し、前記液晶層に対して光出射側に配置される画素基板であってもよい。
ここで、一般的な透過型液晶パネルでは、液晶層に対する光入射側に対向基板が配置され、液晶層に対する光出射側に画素基板が配置される。
このため、出射側電極基板が画素基板であることによって、一般的な透過型液晶パネルに上記した構成を有するベイパーチャンバーを設けることによって、本開示の透過型液晶パネルを構成できる。従って、本開示の透過型液晶パネルを簡易に構成できる。
【0233】
上記第1態様では、前記入射部は、前記液晶層と熱伝達可能に接続され、前記液晶層に入射する光が通過する透光性の入射側基板を有し、前記入射側基板の面積は、前記液晶層に入射する光の進行方向とは反対方向から見て前記画素領域の面積よりも大きく、前記ベイパーチャンバーは、前記入射側基板に熱伝達可能に設けられていてもよい。
このような構成によれば、入射側基板は、液晶層と熱伝達可能に接続されるので、液晶層の熱が伝達される。このような入射側基板にベイパーチャンバーが熱伝達可能に設けられることによって、受熱部が液晶層の熱を受熱しやすくなる。従って、液晶層を冷却しやすくすることができる。
【0234】
上記第1態様では、前記入射部は、前記液晶層に電気的に接続される入射側電極を有し、前記液晶層に対して光入射側に配置される透光性の入射側電極基板を備え、前記入射側基板は、前記入射側電極基板であってもよい。
このような構成によれば、入射側電極基板は、熱に弱い液晶層に直接接続される透光性基板である。このような出射側電極基板にベイパーチャンバーが設けられるので、液晶層にて生じた熱を受熱部に効率よく伝達できる。従って、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0235】
上記第1態様では、前記入射部は、前記入射側電極基板における光入射側の面に設けられた入射側防塵基板を備え、前記入射側防塵基板は、前記入射側防塵基板における光入射側の面と、前記入射側防塵基板における光出射側の面とを接続する側面を有し、前記受熱部は、前記入射側電極基板における光入射側の面と、前記入射側防塵基板における前記側面とから受熱してもよい。
このような構成によれば、受熱部は、入射側電極基板及び入射側防塵基板のそれぞれから受熱するので、液晶層の熱を入射側電極基板及び入射側防塵基板のそれぞれを介して受熱部に伝達できる。従って、受熱部に液晶層の熱を効率よく伝達できるので、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0236】
上記第1態様では、前記入射部は、前記液晶層に電気的に接続される入射側電極を有し、前記液晶層に対して光入射側に配置される透光性の入射側電極基板と、前記入射側電極基板における光入射側の面に設けられた入射側防塵基板と、を備え、前記入射側基板は、前記入射側防塵基板であってもよい。
このような構成によれば、ベイパーチャンバーは、入射側電極基板よりも光入射側に設けられる入射側防塵基板に熱伝達可能に設けられる。これによれば、入射側防塵基板を避けるように入射側電極基板にベイパーチャンバーを設ける場合に比べて、ベイパーチャンバーを出射部に容易に接続できる。
ここで、液晶層にて生じた熱は、入射側電極基板を介して出射側防塵基板に伝達されるので、液晶層の熱は拡散する。これに対し、ベイパーチャンバーが入射側防塵基板における光入射側の面に設けられるので、受熱部に液晶層の熱を伝達させやすくすることができる。
【0237】
上記第1態様では、前記ベイパーチャンバーは、前記入射側防塵基板の光入射側の面に設けられていてもよい。
このような構成によれば、例えば画素領域に応じた開口部内に入射側防塵基板が配置される場合に比較して、ベイパーチャンバーに公差が生じた場合でも、ベイパーチャンバーを入射部に容易に取り付けることができる。
【0238】
上記第1態様では、前記入射側防塵基板は、前記入射側防塵基板における光入射側の面と、前記入射側防塵基板における光出射側の面とを接続する側面を有し、前記開口部の内周面は、前記入射側防塵基板における前記側面の少なくとも一部に熱伝達可能に接触していてもよい。
このような構成によれば、入射側防塵基板に伝達された液晶層の熱を、開口部の内縁にて受熱できる。これによれば、入射側防塵基板における光入射側の面に受熱部が接続されるようにベイパーチャンバーが設けられる場合に比べて、光が通過する方向における透過型液晶パネルの寸法が大きくなることを抑制できる。
【0239】
上記第1態様では、前記受熱部は、前記入射側電極基板に熱伝達可能に接続されていてもよい。
このような構成によれば、受熱部には、入射側防塵基板の側面から熱が伝達するだけでなく、入射側電極基板から熱が伝達する。これによれば、液晶層の熱を受熱部に伝達しやすくすることができるので、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0240】
上記第1態様では、前記入射側電極基板は、前記入射側電極として、前記画素領域に応じて設けられる共通電極を有する対向基板であってもよい。
上記のように、一般的な透過型液晶パネルでは、液晶層に対する光入射側に対向基板が配置され、液晶層に対する光出射側に画素基板が配置される。
このため、入射側電極基板が対向基板であることによって、一般的な透過型液晶パネルに上記した構成を有するベイパーチャンバーを設けることによって、本開示の透過型液晶パネルを構成できる。従って、本開示の透過型液晶パネルを簡易に構成できる。
【0241】
上記第1態様では、前記液晶層を駆動する画像信号を供給する配線を備え、前記ベイパーチャンバーは、前記液晶層からの前記配線の延在方向に前記開口部から延出していてもよい。
このような構成によれば、例えばベイパーチャンバーが開口部から配線の延在方向とは反対方向に延出している場合に比べて、透過型液晶パネルの大型化を抑制できる。
【0242】
上記第1態様では、前記液晶層を駆動する画像信号を供給する配線を備え、前記ベイパーチャンバーは、前記液晶層からの前記配線の延在方向とは反対方向に前記開口部から延出していてもよい。
このような構成によれば、配線とベイパーチャンバーとが互いに干渉することを抑制できるので、ベイパーチャンバーによる放熱が配線によって妨げられることを抑制できる。
【0243】
上記第1態様では、前記液晶層を駆動する画像信号を供給する配線を備え、前記ベイパーチャンバーは、前記液晶層からの前記配線の延在方向と、前記延在方向とは反対方向とのそれぞれに前記開口部から延出していてもよい。
このような構成によれば、ベイパーチャンバーにおいて気体の冷媒から受熱された熱の放熱面積を拡大できるので、気体の冷媒を液体の冷媒を凝縮しやすくすることができる。従って、受熱部に液体の冷媒を遅滞なく流通させることができ、液晶層の熱による液体の冷媒の気化を促進できる。
また、配線の延在方向、及び、配線の延在方向とは反対方向のうち一方が鉛直方向上側となるように透過型液晶パネルが配置されることによって、凝縮された液体の冷媒を、毛細管力だけでなく重力によっても、液体の冷媒を気化させる部分に輸送できる。これにより、受熱部にて受熱された熱による液体から気体への冷媒の変化を促進できる。従って、液晶層の熱の放熱効率、ひいては、液晶層の冷却効率を高めることができる。
【0244】
上記第1態様では、前記ベイパーチャンバーに設けられ、前記放熱部から伝達された熱を放出する放熱部材を備え、前記放熱部材は、前記開口部に対して前記開口部から前記ベイパーチャンバーが延出する方向に設けられていてもよい。
このような構成によれば、受熱部に接続される発熱体と、放熱部材とを離すことができる。これにより、放熱部材に伝達された熱が、発熱体に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0245】
本開示の第2態様に係る透過型液晶パネルは、複数の画素が配列された画素領域と、前記複数の画素ごとに光を変調する液晶層と、前記画素領域に応じて設けられる共通電極を有する対向基板と、前記複数の画素のそれぞれに応じて設けられる複数の画素電極を有し、前記対向基板との間に前記液晶層を担持する画素基板と、前記対向基板において前記画素基板とは反対側の面に設けられた第1防塵基板と、前記画素基板において前記対向基板とは反対側の面に設けられた第2防塵基板と、前記画素領域に応じた第1開口部と、前記第1開口部の周囲に設けられ、前記対向基板及び前記第1防塵基板のうち少なくとも一方に熱伝達可能に接続される第1受熱部と、前記第1受熱部によって受熱された熱を放熱する第1放熱部と、を有し、内部に封入された液体の第1冷媒を前記第1受熱部にて受熱された熱によって気化させ、気体の前記第1冷媒の熱を前記第1放熱部にて放熱することによって液体の前記第1冷媒を気体の前記第1冷媒に凝縮する第1ベイパーチャンバーと、前記画素領域に応じた第2開口部と、前記第2開口部の周囲に設けられ、前記画素基板及び前記第2防塵基板のうち少なくとも一方に熱伝達可能に接続される第2受熱部と、前記第2受熱部によって受熱された熱を放熱する第2放熱部と、を有し、内部に封入された液体の第2冷媒を前記第2受熱部にて受熱された熱によって気化させ、気体の前記第2冷媒の熱を前記第2放熱部にて放熱することによって液体の前記第2冷媒を気体の前記第2冷媒に凝縮する第2ベイパーチャンバーと、を備える。
【0246】
このような構成によれば、上記第1態様に係る透過型液晶パネルと同様の効果を奏することができる。また、透過型液晶パネルは、対向基板及び前記第1防塵基板のうち少なくとも一方に熱伝達可能に接続される第1ベイパーチャンバーと、画素基板及び前記第2防塵基板のうち少なくとも一方に熱伝達可能に接続される第2ベイパーチャンバーと、を備えることによって、液晶層の冷却効率を一層高めることができる。
【0247】
上記第2態様では、前記第1ベイパーチャンバーは、前記液晶層に入射する光の入射側から見て、前記対向基板及び前記第1防塵基板よりも外側に延在し、前記第2ベイパーチャンバーは、前記液晶層から出射される光の出射側から見て、前記画素基板及び前記第2防塵基板よりも外側に延在し、前記第1ベイパーチャンバーと前記第2ベイパーチャンバーとは、前記液晶層に対する光の入射方向において互いに対向していてもよい。
このような構成によれば、第1ベイパーチャンバーと第2ベイパーチャンバーとが互いに対向しない場合に比べて、透過型液晶パネルの大型化を抑制できる。
【符号の説明】
【0248】
4A,4B,4C,4D,4E,4F,4G,4H,4I…液晶パネル(透過型液晶パネル)、41…パネル本体、41A…画素領域、42…液晶層、43…入射部、44…対向基板(入射側電極基板)、441…光入射面、442…光出射面、45…入射側防塵基板(第1防塵基板)、451…光入射面(光入射側の面)、452…光出射面(光出射側の面)、453…側面、46…出射部、47…画素基板(出射側電極基板)、471…光入射面、472…光出射面、48…出射側防塵基板(第2防塵基板)、481…光入射面(光入射側の面)、482…光出射面(光出射側の面)、483…側面、49…配線、50…保持筐体、51…挟持部材、6A,6B,6C,6D,6E,6F,6G,6H,6I…出射側冷却部材、61A,61B,61C,61D,61E,61F,61G,61H,61I…本体部(ベイパーチャンバー、第2ベイパーチャンバー)、62…第1部材、621…受熱部、62A…第1面、63…第2部材、631…第1放熱部(放熱部)、632…第2放熱部(放熱部)、63A…第2面、64,64C…開口部、67…熱伝達部材、68…第1放熱部材、69…第2放熱部材、7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G,7H,7I…液晶パネル、8A,8B,8C,8D,8E,8F,8G,8H,8I…入射側冷却部材、81A,81B,81C,81D,81E,81F,81G,81H,81I…本体部(ベイパーチャンバー、第1ベイパーチャンバー)、82…第1部材、821…受熱部、82A…第1面、83…第2部材、831…第1放熱部(放熱部)、832…第2放熱部(放熱部)、83A…第2面、84,84C…開口部、87…熱伝達部材、88…第1放熱部材、89…第2放熱部材、9A,9B,9C,9D,9E,9F,9G,9H,9I,9J,9K…液晶パネル、SP…封入空間。