(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】エレベータの巻上機の結露防止システム及びエレベータの巻上機の結露防止方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20240709BHJP
B66B 5/02 20060101ALI20240709BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B66B1/14 F
B66B1/14 L
B66B5/02 Z
B66B3/00 R
(21)【出願番号】P 2023178729
(22)【出願日】2023-10-17
【審査請求日】2023-10-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】磯野 祐輔
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-227235(JP,A)
【文献】特開2006-136160(JP,A)
【文献】特開2000-016714(JP,A)
【文献】特開平11-29269(JP,A)
【文献】特開2007-055743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
B66B 3/00- 3/02
B66B 5/00- 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路の温度及び相対湿度を取得し、取得した前記昇降路の温度及び相対湿度から前記昇降路の露点温度を算出する露点温度算出部と、
巻上機の温度を取得する巻上機温度取得部と、
前記巻上機温度取得部が取得した前記巻上機の温度が、前記露点温度算出部が算出した前記露点温度より大きく、かつ、前記露点温度に予め定めた閾値温度を加えた温度以下である場合、前記巻上機の温度を上昇させる結露防止運転が必要であると判定する判定部と、
前記判定部が、前記結露防止運転が必要であると判定した場合、前記結露防止運転を行う巻上機制御部と、
前記巻上機に結露が発生した場合、外部の保守会社に前記巻上機に結露が発生していることを通知する通知部と、
を備えるエレベータの巻上機の結露防止システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記巻上機の温度が前記露点温度以下である場合、前記巻上機に結露が発生していると判定し、
前記通知部は、前記巻上機に結露が発生していると判定された場合、外部の保守会社に前記巻上機に結露が発生していることを通知する、
請求項1に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
【請求項3】
前記通知部は、結露検出センサが前記巻上機の結露を検出した場合、外部の保守会社に前記巻上機に結露が発生していることを通知する、
請求項1に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
【請求項4】
前記巻上機温度取得部が取得した前記巻上機の温度が、前記露点温度算出部が算出した
前記露点温度に前記閾値温度を加えた温度より高くなるために必要な上昇温度である必要
上昇温度を算出する必要上昇温度算出部と、
前記結露防止運転を行う時間を示す結露防止運転時間と、前記結露防止運転時間の間、
前記結露防止運転を行うことによる前記巻上機の上昇温度とを対応させるテーブルを記憶
する記憶部と、
前記判定部が、前記結露防止運転が必要であると判定した場合、前記必要上昇温度算出
部が算出した前記必要上昇温度に相当する上昇温度と対応する前記結露防止運転時間を、
前記記憶部の前記テーブルから取得する結露防止運転時間取得部と、
を備え、
前記巻上機制御部は、前記結露防止運転時間取得部から取得した前記結露防止運転時間
の間、前記結露防止運転を行う
請求項1に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
【請求項5】
前記記憶部は、前記昇降路の温度と対応する前記結露防止運転時間と上昇温度との関係
を前記テーブルに記憶し、
前記結露防止運転時間取得部は、前記昇降路の温度を取得し、前記昇降路の温度に対応
する前記テーブルから、前記必要上昇温度算出部が算出した前記必要上昇温度に相当する
上昇温度と対応する前記結露防止運転時間を取得する
請求項
4に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
【請求項6】
前記巻上機制御部は、エレベータが待機状態でない場合、前記エレベータが待機状態と
なった後に、前記結露防止運転を開始する
請求項1から
5のいずれか一項に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
【請求項7】
前記巻上機制御部は、前記結露防止運転の終了後に前記巻上機の通常運転を再開する
請求項1から
5のいずれか一項に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
【請求項8】
前記巻上機制御部は、前記結露防止運転中に乗場呼びが登録された場合、前記結露防止
運転を続行し、前記結露防止運転の終了後に前記乗場呼びに応答する
請求項
7に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
【請求項9】
前記露点温度算出部は、乗場の出入口を形成する壁の前記昇降路側の面に設けられた温
湿度計から前記昇降路の温度及び相対湿度を取得する
請求項1から
5のいずれか一項に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
【請求項10】
前記巻上機温度取得部は、前記巻上機のステータの巻線の温度を算出することにより、前記巻上機の温度を取得する
請求項1から
5のいずれか一項に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
【請求項11】
前記巻上機温度取得部は、前記巻上機のステータの巻線の温度を、前記巻上機のステー
タの巻線の抵抗値の測定結果を取得し、前記抵抗値を用いて算出する
請求項
10に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
【請求項12】
昇降路の温度及び相対湿度を取得し、取得した前記昇降路の温度及び相対湿度から前記
昇降路の露点温度を露点温度算出部が算出する露点温度算出ステップと、
巻上機の温度を巻上機温度取得部が取得する巻上機温度取得ステップと、
前記巻上機温度取得部が取得した前記巻上機の温度が、前記露点温度算出部が算出した
前記露点温度より大きく、かつ、前記露点温度に予め定めた閾値温度を加えた温度以下で
ある場合、前記巻上機の温度を上昇させる結露防止運転が必要であると判定部が判定する判定ステップと、
前記判定部が、前記結露防止運転が必要であると判定した場合、巻上機制御部が前記結
露防止運転を行う巻上機制御ステップと、
前記巻上機に結露が発生した場合、外部の保守会社に前記巻上機に結露が発生していることを通知する通知ステップと、
を備えるエレベータの巻上機の結露防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はエレベータの巻上機の結露防止システム及びエレベータの巻上機の結露防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの結露防止システムでは、天気情報サービスセンタからエレベータが設置されている地域における温度及び相対湿度を取得し、取得した温度及び相対湿度を用いて露点温度を算出する。そして、取得した温度と算出した露点温度とを用いて、エレベータ、特に巻上機の結露防止運転の要否を判定することで、結露が発生することを防止している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベータの結露防止システムでは、実際のエレベータの温度及び露点温度と、天気情報サービスセンタから取得した温度及び露点温度とに差が生じる場合があった。
【0005】
また、エレベータ内において、乗場の出入口から乗場の空気が昇降路に流入し、昇降路の温度や湿度が変化し、昇降路の露点温度が上昇することがあった。この場合、昇降路内の乗場の出入口から離れた場所に設けられる巻上機は、流入した乗場の空気の影響を直接受けない。そのため、上昇した昇降路の露点温度より巻上機の温度が低くなり、巻上機に結露が発生してしまう場合があった。従来のエレベータの結露防止システムでは、このようにエレベータ内の環境条件が一定でない場合があることを考慮できていなかった。
【0006】
したがって、従来のエレベータの結露防止システムは、巻上機に注目すると、巻上機の結露防止運転の要否を正確に判定することができず、結露が発生してしまう可能性があった。
【0007】
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、巻上機の結露防止運転の要否を正確に判定でき、巻上機に結露が発生することを防止できるエレベータの巻上機の結露防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るエレベータの巻上機の結露防止システムは、昇降路の温度及び相対湿度を取得し、取得した昇降路の温度及び相対湿度から昇降路の露点温度を算出する露点温度算出部と、巻上機の温度を取得する巻上機温度取得部と、巻上機温度取得部が取得した巻上機の温度が、露点温度算出部が算出した露点温度より大きく、かつ、露点温度に予め定めた閾値温度を加えた温度以下である場合、巻上機の温度を上昇させる結露防止運転が必要であると判定する判定部と、判定部が、結露防止運転が必要であると判定した場合、結露防止運転を行う巻上機制御部と、巻上機に結露が発生した場合、外部の保守会社に巻上機に結露が発生していることを通知する通知部と、を備える。
【0009】
本開示に係るエレベータの巻上機の結露防止方法は、昇降路の温度及び相対湿度を取得し、取得した昇降路の温度及び相対湿度から昇降路の露点温度を露点温度算出部が算出する露点温度算出ステップと、巻上機の温度を巻上機温度取得部が取得する巻上機温度取得ステップと、巻上機温度取得部が取得した巻上機の温度が、露点温度算出部が算出した露点温度より大きく、かつ、露点温度に予め定めた閾値温度を加えた温度以下である場合、巻上機の温度を上昇させる結露防止運転が必要であると判定部が判定する判定ステップと、判定部が、結露防止運転が必要であると判定した場合、巻上機制御部が結露防止運転を行う巻上機制御ステップと、巻上機に結露が発生した場合、外部の保守会社に巻上機に結露が発生していることを通知する通知ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、巻上機の結露防止運転の要否を正確に判定でき、巻上機に結露が発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係るエレベータの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るエレベータの巻上機の断面図である。
【
図3】実施の形態1に係るエレベータの巻上機の結露防止システムの構成図である。
【
図4】実施の形態1に係る記憶部が記憶するテーブルである。
【
図5】実施の形態1におけるエレベータ制御盤のハードウェア構成を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係るエレベータの巻上機の結露防止システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
実施の形態1に係るエレベータの構成を説明する。
図1は、実施の形態1に係るエレベータの構成図である。
図2は、実施の形態1に係るエレベータの巻上機6の断面図である。なお、
図1におけるエレベータは、機械室のない、1:1ローピング方式でロープ掛けされるロープ式エレベータである。また、
図1は、エレベータのかご3が最上階の乗場2に到着した状態を示す。なお、
図2は、
図1におけるA-A断面を乗場2側から見た図である。
【0013】
図1において、エレベータには、昇降路1と、乗場2と、が設けられる。昇降路1は、鉛直方向に移動するかご3と、鉛直方向に移動するつり合いおもり4と、かご3とつり合いおもり4を連結するロープ5と、ロープ5を掛ける巻上機6と、乗場2の出入口を形成する壁面の昇降路1側の面に設けられる温湿度計18と、を備える。かご3は、出入口にかご扉7を有する。また、各階床の乗場2は、出入口に乗場扉8を有する。かご扉7及び乗場扉8は、乗場2にかご3が到着すると、図示しない連結機構によって連結し、スライドして開閉される。温湿度計18は、昇降路1の温度及び相対湿度を測定する。
【0014】
図2において、巻上機6は、ロープ5を巻き付けるシーブ9と、シーブ9を回転させるための駆動力を発生するモータ10と、モータ10が発生する駆動力をシーブ9に伝達するシャフト11と、シャフト11を回転可能に支持する一対の軸受12と、シーブ9の回転を制御する制御装置13と、シーブ9、モータ10及び軸受12を支持する土台部材14と、を備える。
【0015】
モータ10は、ステータ15と、ロータ16と、ケーシング17と、を備える。ケーシング17は、ステータ15及びロータ16を収容する。ステータ15は、ケーシング17に固定される。また、ステータ15は、鉄芯と巻線から構成されている。ロータ16は、ステータ15との間に間隙を設けて配置され、シャフト11のモータ10側の端部が圧入され固定される。モータ10は、ステータ15の巻線が通電することで磁場が変化し、ステータ15の磁場と相互作用することでロータ16が回転し、駆動力をシャフト11に伝達する。なお、通常、ステータ15の巻線は絶縁材料で形成され、ステータ15の鉄芯、ロータ16、及びケーシング17は導電性の材料で形成される。
【0016】
巻上機6に結露が発生した場合、モータ10内の機器に水滴がついたり、モータ10下部に水が滞留したりする。ここで、絶縁材料で形成されたステータ15の巻線が吸湿することで、ステータ15の巻線に部分放電の発生が増加する可能性がある。部分放電は、絶縁材料の劣化や絶縁不良を示すものであり、継続的に発生すると絶縁破壊が発生する可能性がある。よって、ステータ15の巻線に部分放電の発生が増加すると、絶縁破壊が発生し、最終的に短絡が発生し、巻上機6の故障を引き起こす。巻上機6の故障とは、例えば、図示しない巻上機6のブレーキの故障である。巻上機6のブレーキは、ステータ15の逆起電力によって作動するため、ステータ15の巻線が短絡した場合は正常に作動できず、巻上機6の回転が停止できなくなる可能性がある。したがって、巻上機6において結露が発生をすることを防止すると、巻上機6の故障を避けることができる。
【0017】
次に、実施の形態1に係るエレベータの巻上機6の結露防止システムの構成を説明する。実施の形態1に係るエレベータの巻上機6の結露防止システムでは、巻上機6に結露が発生する予兆を検出し、巻上機6に結露が発生することを防止するために結露防止運転を行う。
【0018】
結露防止運転とは、巻上機6の温度、特にステータ15の巻線の温度を上昇させるために、巻上機6の発熱量を大きくする運転のことを示す。結露防止運転は、例えば、巻上機6のブレーキを制動した状態でモータ10に電圧を印加し、静止状態とする運転である。このように巻上機6を駆動させると、モータ10に負荷がかかり、巻上機6の発熱量が大きくなり、巻上機6の温度が上昇する。
【0019】
図3は、実施の形態1に係るエレベータの巻上機6の結露防止システムの構成図である。エレベータの巻上機6の結露防止システムは、昇降路1に設けられた温湿度計18と、巻上機6が有するステータ15と、露点温度算出部20と、抵抗値測定部21と、巻上機温度取得部22と、判定部23と、必要上昇温度算出部24と、記憶部25と、結露防止運転時間取得部26と、巻上機制御部27と、通知部28と、を備える。露点温度算出部20、抵抗値測定部21、巻上機温度取得部22、判定部23、必要上昇温度算出部24、記憶部25、結露防止運転時間取得部26、巻上機制御部27、及び通知部28は、エレベータ内に備えられたエレベータ制御盤19によって機能が実現される。
【0020】
露点温度算出部20は、温湿度計18から昇降路1の温度及び相対湿度を取得し、取得した昇降路1の温度及び相対湿度を用いて昇降路1の結露が発生する温度である露点温度T1を算出する。露点温度T1の算出方法としては、例えば、湿り空気線図を参照して、取得した温度及び相対湿度と対応する露点温度T1を求めてもよい。
【0021】
抵抗値測定部21は、ステータ15の巻線の抵抗値RT2を測定する。抵抗値測定部21は、定期メンテナンス時にステータ15の巻線の抵抗値RT2を測定するために、通常は用いられる。
【0022】
巻上機温度取得部22は、巻上機6の温度T2を取得する。巻上機温度取得部22は、例えば、抵抗値測定部21で測定されたステータ15の巻線の抵抗値RT2を用いて、巻上機6の温度T2を算出することで巻上機6の温度T2を取得する。ここで、抵抗値RT2は、巻上機6の温度T2、任意の温度t、温度tのときの抵抗値Rt、温度tのときの抵抗温度係数αtを用いて数式1のように表される。数式1を変形すると、巻上機6の温度T2は数式2のように表される。したがって、巻上機温度取得部22は、予め測定または算出された温度t、抵抗値Rt及び抵抗温度係数αtと、抵抗値測定部21で測定されたステータ15の巻線の抵抗値RT2を用いて、巻上機6の温度T2を数式2によって算出する。
【0023】
【0024】
【0025】
判定部23は、露点温度算出部20で算出された露点温度T1、巻上機温度取得部22で取得された巻上機6の温度T2、及び予め設定した閾値温度T3を用いて、結露防止運転の要否を判定する。具体的には、判定部23は、巻上機6の温度T2が、露点温度T1より大きいか否かを判定する。判定部23は、巻上機6の温度T2が、露点温度T1より大きい場合、巻上機6の温度T2が、露点温度T1に閾値温度T3を加えた温度以下であるか否かを判定する。判定部23は、巻上機6の温度T2が、露点温度T1以下である場合、巻上機6に結露が発生していると判定する。
【0026】
また、判定部23は、巻上機6の温度T2が、露点温度T1に閾値温度T3を加えた温度以下である場合、巻上機6に結露が発生する予兆を検出し、巻上機6に結露が発生することを防止するための結露防止運転が必要であると判定する。また、判定部23は、巻上機6の温度T2が、露点温度T1に閾値温度T3を加えた温度よりも大きい場合、結露防止運転が必要ないと判定する。
【0027】
なお、閾値温度T3は、露点温度T1に閾値温度T3を加えた温度が、露点温度T1よりわずかに大きくなるように設定される。このように閾値温度T3を設定することで、巻上機6の温度T2が露点温度T1に近づき、巻上機6に結露が発生する予兆を判定部23が判定することができる。閾値温度T3は、例えば3℃と設定される。
【0028】
必要上昇温度算出部24は、露点温度T1、巻上機6の温度T2、及び閾値温度T3を用いて、巻上機6の温度T2が、露点温度T1に閾値温度T3を加えた温度より高くなるために必要な上昇温度である必要上昇温度T4を算出する。例えば、露点温度T1が10℃、巻上機6の温度T2が12.5℃、閾値温度T3が3℃である場合、露点温度T1に閾値温度T3を加えた温度は13℃であり、巻上機6の温度T2との差である必要上昇温度T4は0.5℃であると算出される。必要上昇温度算出部24は、露点温度T1、巻上機6の温度T2、及び閾値温度T3を、判定部23から取得してもよい。
【0029】
図4は、実施の形態1に係る記憶部25が記憶するテーブルである。
図4は、昇降路1の温度が15℃の場合に対応するテーブルを示す。記憶部25は、結露防止運転を行う時間を示す結露防止運転時間と、結露防止運転時間の間、結露防止運転を行うことによる巻上機6の上昇温度とを対応させるテーブルを記憶する。例えば、
図4に示すように、昇降路1の温度が15℃の場合、結露防止運転を20秒行うと、巻上機6の温度は0.5℃上昇する。なお、結露防止運転時間と上昇温度との関係は、昇降路1の温度によって異なる。よって、記憶部25は昇降路1の温度と対応する結露防止運転時間と上昇温度との関係をテーブルに記憶する。例えば、記憶部25は昇降路1の温度を0.5℃ごとにテーブルを記憶してもよい。
【0030】
結露防止運転時間取得部26は、判定部23が、結露防止運転が必要であると判定した場合、必要上昇温度算出部24が算出した必要上昇温度T4に相当する上昇温度と対応する結露防止運転時間を、記憶部25が記憶するテーブルから取得する。ここでは、温湿度計18で測定された昇降路1の温度を取得し、取得した昇降路1の温度に対応するテーブルを参照する。例えば、昇降路1の温度が15℃の場合に対応するテーブルである
図4を参照すると、必要上昇温度T4が0.5℃である場合、必要上昇温度T4に相当する上昇温度は0.5℃であり、結露防止運転時間に必要な時間は20秒であることが取得できる。
【0031】
巻上機制御部27は、巻上機6の通常運転及び結露防止運転を切り替えて、巻上機6の運転を制御する。判定部23が、結露防止運転が必要であると判定した場合、結露防止運転を行う。また、結露防止運転時間取得部26が取得した結露防止運転時間を受信する場合、結露防止運転時間取得部26が取得した結露防止運転時間の間、結露防止運転を行うように巻上機6の運転を制御する。なお、巻上機制御部27は、エレベータが待機状態である場合は直ちに結露防止運転を開始し、エレベータが待機状態でない場合、エレベータが待機状態となった後に、結露防止運転を開始する。なお、巻上機制御部27は、結露防止運転の終了後に巻上機6の通常運転を再開する。なお、結露防止運転中に乗場呼びが登録された場合、結露防止運転を続行し、結露防止運転の終了後に乗場呼びに応答する。
【0032】
通知部28は、判定部23が、巻上機6に結露が発生していると判定する場合、外部の保守会社29に巻上機6に結露が発生していることを通知する。
【0033】
ここで、実施の形態1に係るエレベータ制御盤19のハードウェア構成について説明する。
図5は、実施の形態1におけるエレベータ制御盤19のハードウェア構成を示す図である。エレベータ制御盤19は、例えばパーソナルコンピュータ、マイクロコントローラなどのコンピュータにより実現される。
【0034】
エレベータ制御盤19は、バス40を介して互いに接続された、プロセッサ41と、メモリ42と、インタフェース43と、二次記憶装置44と、を備える。
【0035】
プロセッサ41は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)である。プロセッサ41が、二次記憶装置44に記憶された動作プログラムをメモリ42に読み込んで実行することにより、エレベータ制御盤19の各機能が実現される。
【0036】
メモリ42は、例えば、RAM(Random Access Memory)により構成される主記憶装置である。メモリ42は、プロセッサ41が二次記憶装置44から読み込んだプログラムを記憶する。また、メモリ42は、プロセッサ41がプログラムを実行する際のワークメモリとして機能する。
【0037】
インタフェース43は、例えばシリアルポート、USB(Universal Serial Bus)ポート、ネットワークインタフェースなどのI/O(Input/Output)インタフェースである。インタフェース43によって、温湿度計18からの入力及び巻上機6からの入出力が行われる。
【0038】
二次記憶装置44は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)である。二次記憶装置44は、エレベータ出入口の物体検知システムの動作に必要な各種情報及びプロセッサ41が実行するプログラムを記憶する。
【0039】
次に、実施の形態1に係るエレベータの巻上機6の結露防止システムの動作を説明する。
図6は、実施の形態1に係るエレベータの巻上機6の結露防止システムの動作を示すフローチャートである。
【0040】
最初に、露点温度算出部20は、温湿度計18から昇降路1の温度及び相対湿度を取得し、取得した昇降路1の温度及び相対湿度を用いて昇降路1の露点温度T1を算出する。また、巻上機温度取得部22は、抵抗値測定部21で検出されたステータ15の巻線の抵抗値RT2を用いて巻上機6の温度T2を算出することで、巻上機6の温度T2を取得する。露点温度T1の算出及び巻上機6の温度T2の算出は、周期的に行われ、例えば1分に1回算出される(S1)。
【0041】
次に、判定部23は、露点温度算出部20で算出された露点温度T1、抵抗値測定部21で検出された巻上機6の温度T2、及び予め設定した閾値温度T3を用いて、結露防止運転の要否を判定する。具体的には、判定部23は、巻上機6の温度T2が、露点温度T1大きいか否かを判定する(S2)。巻上機6の温度T2が、露点温度T1より大きい場合、巻上機6の温度T2が、露点温度T1に閾値温度T3を加えた温度以下であるか否かを比較し、結露防止運転の要否を判定する(S3)。
【0042】
巻上機6の温度T2が、露点温度T1より大きく(S2のYES)、露点温度T1に閾値温度T3を加えた温度以下である場合、結露防止運転が必要であると判定される(S3のYES)。そして、結露防止運転時間取得部26は、必要上昇温度算出部24が算出した必要上昇温度T4に相当する上昇温度と対応する結露防止運転時間を、記憶部25のテーブルから取得する。ここでは、結露防止運転時間取得部26は、温湿度計18で測定された昇降路1の温度を取得し、取得した昇降路1の温度に対応する結露防止運転時間と上昇温度との関係を示すテーブルを参照する(S4)。
【0043】
巻上機制御部27は、結露防止運転時間取得部26から結露防止運転時間を受信する場合に、結露防止運転時間取得部26が算出した結露防止運転時間の間、結露防止運転を行う。巻上機制御部27は、結露防止運転として、例えば、巻上機6のブレーキを制動した状態でモータ10に電圧を印加し、静止状態とする運転を行う。なお、巻上機制御部27は、エレベータが待機状態である場合は直ちに結露防止運転を開始し、エレベータが待機状態でない場合、エレベータが待機状態となった後に、結露防止運転を開始する。なお、巻上機制御部27は、結露防止運転が終了後に巻上機6の通常運転を再開する。なお、結露防止運転中に乗場呼びが登録された場合、結露防止運転を続行し、結露防止運転の終了後に乗場呼びに応答する(S5)。
【0044】
結露防止運転時間の間、巻上機6が結露防止運転を行うと、再び、露点温度算出部20は露点温度T1の算出をし、巻上機温度取得部22は巻上機6の温度T2を取得する(S1)。そして、巻上機6の温度T2が、露点温度T1に閾値温度T3を加えた温度より高くなる(S3のNO)まで、結露防止運転が行われる。
【0045】
巻上機6の温度T2が、露点温度T1より大きく(S2のYES)、露点温度T1に閾値温度T3を加えた温度より大きい場合、結露防止運転が必要ないと判定され(S3のNO)、フローを終了する。
【0046】
巻上機6の温度T2が、露点温度T1以下である場合、巻上機6に結露が発生していると判定され(S2のNO)、通知部28が外部の保守会社29に巻上機6に結露が発生していることを通知する(S6)。
【0047】
以上より、実施の形態1に係るエレベータの巻上機6の結露防止システムは、昇降路1の温度及び相対湿度を取得し、取得した昇降路1の温度及び相対湿度から昇降路1の露点温度T1を算出する露点温度算出部20と、巻上機6の温度T2を取得する巻上機温度取得部22と、巻上機温度取得部22が取得した巻上機6の温度T2が、露点温度算出部20が算出した露点温度T1より大きく、かつ、露点温度T1に予め定めた閾値温度T3を加えた温度以下である場合、巻上機6の温度T2を上昇させる結露防止運転が必要であると判定する判定部23と、判定部23が、結露防止運転が必要であると判定した場合、結露防止運転を行う巻上機制御部27と、を備えることで、巻上機6の結露防止運転の要否を正確に判定でき、巻上機6に結露が発生することを防止できる。
【0048】
なお、露点温度算出部20は、昇降路1の温度及び相対湿度を取得できれば、取得手段は限定されない。また、露点温度算出部20が露点温度T1を算出する手段は限定されない。なお、巻上機温度取得部22は、巻上機6の温度T2を取得する手段は限定されない。例えば、温度センサによって巻上機6の温度T2を取得してもよい。
【0049】
また、巻上機温度取得部22が取得した巻上機6の温度T2が、露点温度算出部20が算出した露点温度T1に閾値温度T3を加えた温度より高くなるために必要な上昇温度である必要上昇温度T4を算出する必要上昇温度算出部24と、結露防止運転を行う時間を示す結露防止運転時間と、結露防止運転時間の間、結露防止運転を行うことによる巻上機6の上昇温度とを対応させるテーブルを記憶する記憶部25と、判定部23が、結露防止運転が必要であると判定した場合、必要上昇温度算出部24が算出した必要上昇温度T4に相当する上昇温度と対応する結露防止運転時間を、記憶部25のテーブルから取得する結露防止運転時間取得部26と、を備え、巻上機制御部27は、結露防止運転時間取得部26から取得した結露防止運転時間の間、前記結露防止運転を行うことで、巻上機6を必要上昇温度T4まで上昇するために必要な時間だけ、結露防止運転を行うことができ、効率的に巻上機6に結露が発生することを防止できる。
【0050】
なお、巻上機制御部27は、結露防止運転時間取得部26が結露防止運転時間を算出することが望ましいが、予め定めた運転時間の間、結露防止運転を行ってもよい。
【0051】
なお、必要上昇温度算出部24が、露点温度T1、巻上機6の温度T2、及び閾値温度T3を取得する手段は限定されない。判定部23から取得してもよく、露点温度T1を露点温度算出部20から取得し、巻上機6の温度T2を巻上機温度取得部22から取得し、閾値温度T3を予め記憶してもよい。
【0052】
また、記憶部25は、昇降路1の温度と対応する結露防止運転時間と上昇温度との関係をテーブルに記憶し、結露防止運転時間取得部26は、昇降路1の温度を取得し、昇降路1の温度に対応するテーブルから、必要上昇温度算出部24が算出した必要上昇温度T4に相当する上昇温度と対応する結露防止運転時間を取得することで、巻上機6を必要上昇温度T4まで上昇するために必要な時間を正確に把握できる。
【0053】
なお、結露防止運転時間取得部26が、昇降路1の温度を取得する手段は限定されない。
【0054】
また、巻上機制御部27は、エレベータが待機状態でない場合、エレベータが待機状態となった後に、結露防止運転を開始する。また、巻上機制御部27は、結露防止運転の終了後に、巻上機6の通常運転を再開する。また、巻上機制御部27は、結露防止運転中に乗場呼びが登録された場合、結露防止運転を続行し、結露防止運転の終了後に乗場呼びに応答する。このように巻上機制御部27が巻上機6の運転を行うことで、エレベータのスムーズな運用を保った上で、結露防止運転を優先でき、巻上機6に結露が発生することを防止できる。
【0055】
また、露点温度算出部20は、乗場2の出入口を形成する壁の昇降路1側の面に設けられた温湿度計18から昇降路1の温度及び相対湿度を取得することで、乗場2の出入口から昇降路1に流入した空気によって変化する昇降路1の露点温度を正確に取得できる。
【0056】
なお、温湿度計18は、乗場2の出入口を形成する壁の昇降路1側の面に設けられることが望ましいが、昇降路1であれば設けられる場所は限定されない。
【0057】
また、巻上機温度取得部22は、巻上機6のステータ15の巻線の温度を算出することにより、巻上機6の温度T2を取得することで、巻上機6のステータ15に結露が発生することを防止できる。また、巻上機温度取得部22は、巻上機6のステータ15の巻線の温度を、巻上機6のステータ15の巻線の抵抗値RT2の測定結果を取得し、抵抗値RT2を用いて算出することで、巻上機6のステータ15の巻線の温度を取得するための部品を用いずとも巻上機6のステータ15の巻線の温度を算出し、取得することができる。
【0058】
なお、エレベータの機械室の有無やローピング方式は限定されない。巻上機6が機械室内にある場合には、昇降路1ではなく機械室が巻上機6に近接するため、温湿度計18を機械室に設けてもよい。
【0059】
なお、結露防止運転は、巻上機6の発熱量を大きくし、巻上機6の温度を上昇させる運転であれば限定されない。例えば、巻上機6のブレーキを制動した状態で巻上機6を通常よりも低速で駆動させる運転であってもよい。例えば、かご3を昇降路1で繰り返し上下させるように巻上機6を稼働してもよい。
【0060】
なお、露点温度算出部20、抵抗値測定部21、巻上機温度取得部22、判定部23、記憶部25、結露防止運転時間取得部26、巻上機制御部27、及び通知部28は、エレベータ内に備えられたエレベータ制御盤19によって機能が実現されるとしたが、これに限定されない。例えば、エレベータ制御盤19とは異なるコンピュータ、または、エレベータ制御サーバーによって一部または全ての機能を実現してもよい。
【0061】
なお、乗場2の出入口から空気が流入し、昇降路1の露点温度が急激に上昇することがある。この場合、結露防止運転の要否を判定する前に、巻上機6の温度より昇降路1の露点温度が高くなり、巻上機6に結露が発生することがある。この場合に備えて、巻上機6に結露検出センサを設けてもよい。結露検出センサとは、例えば、結露検出センサ周囲の露点温度を算出し、算出した露点温度と結露検知センサの表面温度を比較するものである。なお、結露検出センサが結露を検出する場合、通知部28が外部の保守会社29に巻上機6に結露が発生していることを通知してもよい。
【0062】
さらに、結露検出センサが結露を検出した場合、ステータ15の絶縁性能の確認を行うために、インパルス試験を行ってもよい。インパルス試験では、ステータ15にインパルス電圧を印加する。ここで、インパルス試験によって応答した信号から部分放電を検出すると、絶縁材料の劣化や絶縁不良を検出でき、ステータ15に異常が生じていることが分かる。なお、インパルス試験によって応答した信号から部分放電を検出した場合、外部の保守会社にステータ15の異常を通知してもよい。
【0063】
さらに、巻上機6の下部に、浸水検出センサを設け、巻上機6が浸水しているかを確認してもよい。浸水検出センサとは、例えば、浸水検出センサの表面に水滴が形成されることで、浸水検出センサの表面の導電性の変化を検出するものである。なお、浸水検出センサが巻上機6の浸水を検出する場合、地絡が発生する可能性があるため、ステータ15への給電を停止し、通知部28が外部の保守会社29に巻上機6の異常を通知してもよい。
【0064】
なお、以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能である。また本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0065】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
昇降路の温度及び相対湿度を取得し、取得した前記昇降路の温度及び相対湿度から前記昇降路の露点温度を算出する露点温度算出部と、
前記巻上機の温度を取得する巻上機温度取得部と、
前記巻上機温度取得部が取得した前記巻上機の温度が、前記露点温度算出部が算出した前記露点温度より大きく、かつ、前記露点温度に予め定めた閾値温度を加えた温度以下である場合、前記巻上機の温度を上昇させる結露防止運転が必要であると判定する判定部と、
前記判定部が、前記結露防止運転が必要であると判定した場合、前記結露防止運転を行う巻上機制御部と、
を備えるエレベータの巻上機の結露防止システム。
(付記2)
前記巻上機温度取得部が取得した前記巻上機の温度が、前記露点温度算出部が算出した前記露点温度に前記閾値温度を加えた温度より高くなるために必要な上昇温度である必要上昇温度を算出する必要上昇温度算出部と、
前記結露防止運転を行う時間を示す結露防止運転時間と、前記結露防止運転時間の間、前記結露防止運転を行うことによる前記巻上機の上昇温度とを対応させるテーブルを記憶する記憶部と、
前記判定部が、前記結露防止運転が必要であると判定した場合、前記必要上昇温度算出部が算出した前記必要上昇温度に相当する上昇温度と対応する前記結露防止運転時間を、前記記憶部の前記テーブルから取得する結露防止運転時間取得部と、
を備え、
前記巻上機制御部は、前記結露防止運転時間取得部から取得した前記結露防止運転時間の間、前記結露防止運転を行う
付記1に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
(付記3)
前記記憶部は、前記昇降路の温度と対応する結露防止運転時間と上昇温度との関係を前記テーブルに記憶し、
前記結露防止運転時間取得部は、前記昇降路の温度を取得し、前記昇降路の温度に対応する前記テーブルから、前記必要上昇温度算出部が算出した前記必要上昇温度に相当する上昇温度と対応する前記結露防止運転時間を取得する
付記2に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
(付記4)
前記巻上機制御部は、エレベータが待機状態でない場合、前記エレベータが待機状態となった後に、前記結露防止運転を開始する
付記1から3のいずれか一項に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
(付記5)
前記巻上機制御部は、前記結露防止運転の終了後に前記巻上機の通常運転を再開する
付記1から4のいずれか一項に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
(付記6)
前記巻上機制御部は、前記結露防止運転中に乗場呼びが登録された場合、前記結露防止運転を続行し、前記結露防止運転の終了後に前記乗場呼びに応答する
付記5に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
(付記7)
前記露点温度算出部は、乗場の出入口を形成する壁の前記昇降路側の面に設けられた温湿度計から前記昇降路の温度及び相対湿度を取得する
付記1から6のいずれか一項に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
(付記8)
前記巻上機温度取得部は、前記巻上機のステータの巻線の温度を算出することにより、前記巻上機の温度を取得する
付記1から7に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
(付記9)
前記巻上機温度取得部は、前記巻上機のステータの巻線の温度を、前記巻上機のステータの巻線の抵抗値の測定結果を取得し、前記抵抗値を用いて算出する
付記8に記載のエレベータの巻上機の結露防止システム。
(付記10)
昇降路の温度及び相対湿度を取得し、取得した前記昇降路の温度及び相対湿度から前記昇降路の露点温度を露点温度算出部が算出する露点温度算出ステップと、
前記巻上機の温度を巻上機温度取得部が取得する巻上機温度取得ステップと、
前記巻上機温度取得部が取得した前記巻上機の温度が、前記露点温度算出部が算出した前記露点温度より大きく、かつ、前記露点温度に予め定めた閾値温度を加えた温度以下である場合、前記巻上機の温度を上昇させる結露防止運転が必要であると判定部が判定する判定ステップと、
前記判定部が、前記結露防止運転が必要であると判定した場合、巻上機制御部が前記結露防止運転を行う巻上機制御ステップと、
を備えるエレベータの巻上機の結露防止方法。
【符号の説明】
【0066】
1 昇降路、2 乗場、3 かご、4 つり合いおもり、5 ロープ、6 巻上機、7 かご扉、8 乗場扉、9 シーブ、10モータ、11 シャフト、12 軸受、13 制御装置、14 土台部材、15 ステータ、16 ロータ、17 ケーシング、18 温湿度計、19 エレベータ制御盤、20 露点温度算出部、21 抵抗値測定部、22 巻上機温度取得部、23 判定部、24 必要上昇温度算出部、25 記憶部、26 結露防止運転時間取得部、27 巻上機制御部、28 通知部、29 保守会社、40 バス、41 プロセッサ、42 メモリ、43 インタフェース、44 二次記憶装置
【要約】
【課題】巻上機の結露防止運転の要否を正確に判定でき、巻上機に結露が発生することを防止できるエレベータの巻上機の結露防止システムを提供することを目的とする。
【解決手段】昇降路1の温度及び相対湿度を取得し、取得した昇降路1の温度及び相対湿度から昇降路1の露点温度T1を算出する露点温度算出部20と、巻上機6の温度T2を取得する巻上機温度取得部22と、巻上機温度算出部22が算出した巻上機6の温度T2が、露点温度算出部20が算出した露点温度T1より大きく、かつ、露点温度T1に予め定めた閾値温度T3を加えた温度以下である場合、巻上機6の温度T2を上昇させる結露防止運転が必要であると判定する判定部23と、判定部23が、結露防止運転が必要であると判定した場合、結露防止運転を行う巻上機制御部27と、を備える。
【選択図】
図3