(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】医療情報集計システム、医療情報集計方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 70/00 20180101AFI20240709BHJP
【FI】
G16H70/00
(21)【出願番号】P 2023203283
(22)【出願日】2023-11-30
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克高
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-155736(JP,A)
【文献】特表2023-503392(JP,A)
【文献】特開2023-166464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人ごとの医療情報を記憶する医療情報記憶部と、
前記医療情報記憶部が記憶する医療情報に基づく要素の集合から、所定の集計事項に対応して抽出する要素についての抽出条件を設定する抽出条件設定部と、
前記抽出条件に基づいて抽出された該当要素についての集計結果を示す集計情報にて提示するものとして指定された集計項目を出力条件として設定する出力条件設定部と、
前記集合から前記抽出条件に合致する要素を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された要素に関して集計した結果を示し、前記出力条件設定部により設定された出力条件が示す集計項目ごとに該当する要素数を示す集計情報を生成する集計情報生成部とを備え
、
前記抽出条件設定部は、要素としての個人が受けた検査種別を前記抽出条件として設定可能であり、
前記抽出部は、前記検査種別を含んで設定された抽出条件に基づいて個人としての要素を抽出し、
前記出力条件設定部は、抽出された個人ごとの当該検査種別の検査結果を示す検査値のうち、最小値と最大値とによる検査値範囲を提示するとともに、前記検査値範囲を区分する区分単位値の指定を受け付け可能とされ、区分単位値が指定されたことに応じて、指定された区分単位値を出力条件として設定し、
前記集計情報生成部は、前記出力条件として設定された区分単位により前記検査値範囲を区分した区分範囲ごとに個人数を示す集計情報を生成する
医療情報集計システム。
【請求項2】
前記抽出条件設定部は、提示された前記検査値範囲を変更可能とされ、
前記抽出部は、変更された検査値範囲を抽出条件として、当該変更された検査値範囲に該当する個人を抽出する
請求項
1に記載の医療情報集計システム。
【請求項3】
前記抽出条件設定部は、前記抽出条件として前記検査種別が設定された場合において、前記検査種別に対応する検査値の基準値に基づく抽出条件を設定可能とする
請求項
1または
2に記載の医療情報集計システム。
【請求項4】
前記検査種別に対応する検査値の基準値に基づく抽出条件は、個人の検査値が基準値としての数値範囲内であることとする抽出条件と、個人の検査値が基準値としての数値範囲外であることとする抽出条件とのうちの少なくともいずれか1つである
請求項
3に記載の医療情報集計システム。
【請求項5】
個人の検査値が基準値としての数値範囲外であることとする抽出条件は、個人の検査値が基準値としての数値範囲の下限値より小さいこととする抽出条件と、個人の検査値が基準値としての数値範囲の上限値より大きいこととする抽出条件との少なくともいずれか1つである
請求項
4に記載の医療情報集計システム。
【請求項6】
複数の集計事項の候補のうちから集計対象とする集計事項を設定する集計事項設定部をさらに備える
請求項1
または2に記載の医療情報集計システム。
【請求項7】
医療情報集計システムにおける医療情報集計方法であって、
抽出条件設定部が、医療情報記憶部が記憶する個人ごとの医療情報に基づく要素の集合から、所定の集計事項に対応して抽出する要素についての抽出条件を設定する抽出条件設定ステップと、
出力条件設定部が、前記抽出条件に基づいて抽出された該当要素についての集計結果を示す集計情報にて提示するものとして指定された集計項目を出力条件として設定する出力条件設定ステップと、
抽出部が、前記集合から前記抽出条件に合致する要素を抽出する抽出ステップと、
集計情報生成部が、前記抽出ステップにより抽出された要素に関して集計した結果を示し、前記出力条件設定ステップにより設定された出力条件が示す集計項目ごとに該当する要素数を示す集計情報を生成する集計情報生成ステップとを含
み、
前記抽出条件設定ステップは、要素としての個人が受けた検査種別を前記抽出条件として設定可能であり、
前記抽出ステップは、前記検査種別を含んで設定された抽出条件に基づいて個人としての要素を抽出し、
前記出力条件設定ステップは、抽出された個人ごとの当該検査種別の検査結果を示す検査値のうち、最小値と最大値とによる検査値範囲を提示するとともに、前記検査値範囲を区分する区分単位値の指定を受け付け可能とされ、区分単位値が指定されたことに応じて、指定された区分単位値を出力条件として設定し、
前記集計情報生成ステップは、前記出力条件として設定された区分単位により前記検査値範囲を区分した区分範囲ごとに個人数を示す集計情報を生成する
医療情報集計方法。
【請求項8】
医療情報集計システムが備えるコンピュータを、
医療情報記憶部が記憶する個人ごとの医療情報に基づく要素の集合から、所定の集計事項に対応して抽出する要素についての抽出条件を設定する抽出条件設定部、
前記抽出条件に基づいて抽出された該当要素についての集計結果を示す集計情報にて提示するものとして指定された集計項目を出力条件として設定する出力条件設定部、
前記集合から前記抽出条件に合致する要素を抽出する抽出部、
前記抽出部により抽出された要素に関して集計した結果を示し、前記出力条件設定部により設定された出力条件が示す集計項目ごとに該当する要素数を示す集計情報を生成する集計情報生成部として機能させるための
プログラムであって、
前記抽出条件設定部は、要素としての個人が受けた検査種別を前記抽出条件として設定可能であり、
前記抽出部は、前記検査種別を含んで設定された抽出条件に基づいて個人としての要素を抽出し、
前記出力条件設定部は、抽出された個人ごとの当該検査種別の検査結果を示す検査値のうち、最小値と最大値とによる検査値範囲を提示するとともに、前記検査値範囲を区分する区分単位値の指定を受け付け可能とされ、区分単位値が指定されたことに応じて、指定された区分単位値を出力条件として設定し、
前記集計情報生成部は、前記出力条件として設定された区分単位により前記検査値範囲を区分した区分範囲ごとに個人数を示す集計情報を生成する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療情報集計システム、医療情報集計方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療情報担当者と当該医療情報担当者が担当する医療従事者とが、オンラインにて1対1でメッセージを行うことができる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば製薬会社等の企業や自治体等の機関としてのユーザが、多数の患者が受けた医療に関して集計した情報(集計情報)を必要とする場合がある。この場合、ユーザとしては、自分の要望に応じた各種条件に沿った集計結果が提示される集計情報が得られることが好ましい。
【0005】
そこで本発明は、上記した課題を考慮して、医療に関する集計情報をユーザの要望に応じて柔軟に提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、個人ごとの医療情報を記憶する医療情報記憶部と、前記医療情報記憶部が記憶する医療情報に基づく要素の集合から、所定の集計事項に対応して抽出する要素についての抽出条件を設定する抽出条件設定部と、前記抽出条件に基づいて抽出された該当要素についての集計結果を示す集計情報にて提示するものとして指定された集計項目を出力条件として設定する出力条件設定部と、前記集合から前記抽出条件に合致する要素を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された要素に関して集計した結果を示し、前記出力条件設定部により設定された出力条件が示す集計項目ごとに該当する要素数を示す集計情報を生成する集計情報生成部とを備える医療情報集計システムである。
【0007】
本発明の一態様は、医療情報集計システムにおける医療情報集計方法であって、抽出条件設定部が、医療情報記憶部が記憶する個人ごとの医療情報に基づく要素の集合から、所定の集計事項に対応して抽出する要素についての抽出条件を設定する抽出条件設定ステップと、出力条件設定部が、前記抽出条件に基づいて抽出された該当要素についての集計結果を示す集計情報にて提示するものとして指定された集計項目を出力条件として設定する出力条件設定ステップと、抽出部が、前記集合から前記抽出条件に合致する要素を抽出する抽出ステップと、集計情報生成部が、前記抽出ステップにより抽出された要素に関して集計した結果を示し、前記出力条件設定ステップにより設定された出力条件が示す集計項目ごとに該当する要素数を示す集計情報を生成する集計情報生成ステップとを含む医療情報集計方法である。
【0008】
本発明の一態様は、医療情報集計システムが備えるコンピュータを、医療情報記憶部が記憶する個人ごとの医療情報に基づく要素の集合から、所定の集計事項に対応して抽出する要素についての抽出条件を設定する抽出条件設定部、前記抽出条件に基づいて抽出された該当要素についての集計結果を示す集計情報にて提示するものとして指定された集計項目を出力条件として設定する出力条件設定部、前記集合から前記抽出条件に合致する要素を抽出する抽出部、前記抽出部により抽出された要素に関して集計した結果を示し、前記出力条件設定部により設定された出力条件が示す集計項目ごとに該当する要素数を示す集計情報を生成する集計情報生成部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、医療に関する集計情報をユーザの要望に応じて柔軟に提供できるようになるとの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態における医療情報集計システムの全体的な構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態における医療集計情報作成画面の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態における医療集計情報作成画面の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態における医療集計情報作成画面の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態における医療集計情報作成画面の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態における医療集計情報作成画面の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態における医療集計情報作成画面の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態における医療集計情報作成画面の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態における医療集計情報作成画面の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態における医療集計情報の一例を示す図である。
【
図11】本実施形態における医療集計情報の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態における医療情報集計装置の機能構成例を示す図である。
【
図13】本実施形態における医療情報集計装置とユーザ端末とが医療集計情報の処理に関連して実行する処理手順例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
[医療情報集計システムの全体的な構成例]
図1は、本実施形態の医療情報集計装置400を含む医療情報集計システムの全体的な構成例を示している。本実施形態の医療情報集計システムは、医療ビッグデータストレージ100、医療情報加工事業者、医療情報集計装置400、およびユーザ端末500を備える。
【0012】
医療ビッグデータストレージ100は、多数の患者の医療に関する情報(医療情報)を集積した医療ビッグデータを記憶するストレージである。医療ビッグデータストレージ100は、例えばネットワーク上に設けられたストレージサーバとして構成されるものであってもよいし、クラウドサーバとして構成されるものであってもよい。
医療ビッグデータストレージ100は、多数の医療機関、自治体、企業等から収集したカルテ情報、レセプト、および健診情報等を、医療情報として蓄積してよい。
【0013】
医療情報加工事業者200は、医療ビッグデータストレージ100から医療情報を取得し、取得した医療情報を加工する。具体的に、医療情報加工事業者200は、取得した多数の医療情報について名寄せを行うことで、個人ごとに医療情報を分類する。そのうえで、医療情報加工事業者200は、分類した医療情報ごとに匿名化を行う。
医療情報加工事業者200は、上記のように加工した医療情報を格納した医療情報データベース300を構築する。医療情報加工事業者200は、医療情報データベース300を医療情報集計装置400に提供する。
【0014】
医療情報集計装置400は、提供された医療情報データベース300を記憶してもよいし、ネットワーク上に設けられた医療情報データベース300にアクセスするようにされてもよい。以下の説明では、医療情報集計装置400が医療情報データベース300を記憶するようにされている場合を例に挙げる。
【0015】
医療情報集計装置400は、ユーザ端末500からの要求に応じて、医療情報データベース300を利用して医療集計情報を生成する。医療情報集計装置400は、生成した医療集計情報を、要求元のユーザ端末500に送信する。
【0016】
なお、医療情報集計装置400は、それぞれに所定の機能が割り当てられた複数の装置に分散され、分散された複数の装置が通信経由で連携するように構成されてもよい。また、医療情報集計装置400は、クラウドサーバとして構築されてもよい。
【0017】
ユーザ端末500は、例えば製薬会社等の事業者や自治体等の機関において備えられる端末である。ユーザ端末500は、ネットワーク経由で医療情報集計装置400と接続される。ユーザ端末500は、例えばパーソナルコンピュータの他、タブレット端末、スマートフォン等であってもよい。
ユーザ端末500は、医療情報集計装置400が提供する医療集計情報提供用のウェブサイト(医療集計情報提供サイト)にログインし、ブラウザにて医療集計情報作成画面を表示する。ユーザは、ユーザ端末500にて標示された医療集計情報作成画面に対する操作を行って、抽出条件および出力条件を指定し、医療集計情報を要求する操作を行うことができる。
ユーザ端末500は、医療集計情報を要求する操作に応じて医療情報集計装置400から送信された医療集計情報を記憶可能とされるとともに、医療集計情報を表示、印刷等により出力する。
【0018】
本実施形態において、抽出条件は、集計の対象として指定された集計事項と、当該集計事項に対応して、医療情報データベースにおける要素(例えば、患者等)の集合から必要な要素を抽出するために指定される条件を含む。
出力条件は、抽出条件に従って抽出された要素を医療集計情報において提示するにあたり、集計に関する項目等をはじめとする提示の態様を指定する条件である。
【0019】
[集計情報出力に対応する操作手順例]
以下、
図2~
図11を参照して、集計情報の出力に対応してユーザがユーザ端末500に対して行う操作手順例について説明する。
図2~
図9は、ユーザ端末500にて表示される医療集計情報作成画面の一部を示している。
図10、
図11は、ユーザ端末500にて出力される医療集計情報の一例を示している。
【0020】
ユーザは、医療集計情報を得るにあたり、ユーザ端末500にて動作するブラウザを操作して、医療情報集計装置400の医療集計情報提供サイトにログインする。
ログインに応じて、ブラウザ上には医療集計情報作成画面としてトップ画面が表示される。
図2は、トップ画面の一例を示している。
図2に示されるように、トップ画面においては、集計事項ごとに応じた集計事項選択ボタンBT1(BT1-1~BT1-6)が配置されている。ユーザは、集計事項選択ボタンBT1BT1-1~BT1-6のうちから、今回において必要とする医療集計情報の集計事項に対応する集計事項選択ボタンBT1を操作する。つまり、ユーザは、トップ画面にて、今回において必要とする医療集計情報に対応する集計事項を、複数の候補のうちから指定する操作を行う。
以降の説明では、ユーザが集計事項選択ボタンBT1を操作したことにより、集計事項として「検査数」が指定された場合について説明する。
【0021】
集計事項選択ボタンBT1が操作されたことに応じて、医療集計情報作成画面としての表示は、トップ画面から条件指定画面に遷移する。条件指定画面は、抽出条件と出力条件とを指定する操作が行われる画面である。条件指定画面は、例えば
図3~
図5、
図7、
図8に示されるエリア(AR1~AR5)が、例えば上から下にかけて配置されている。各エリアの配置順や配置位置等のレイアウトについては、適宜変更されてよい。
【0022】
図3は、条件指定画面において最も上に配置されるエリアである患者属性指定エリアAR1の一例を示している。患者属性指定エリアAR1は、「患者属性」としての抽出条件を指定する操作が行われるエリアである。
患者属性指定エリアAR1は、抽出条件とする患者の年齢について、すべてを指定する、あるいは所定の年齢区分ごとに指定する操作が可能とされている。患者属性指定エリアAR1は、年齢区分が示されるエリアをスクロールする操作が可能とされている。
同図では、「0~4歳」、「5~9歳」、「20~14歳」、「15~19歳」、「20~24歳」・・・のよう5歳の年齢幅ごとの区分とした例を示しているが、区分の年齢幅については特に限定されない。また、患者属性指定エリアAR1において、任意の年齢の範囲を指定する操作が可能とされていてもよい。
また、患者属性指定エリアAR1は、抽出条件とする患者の性別について、すべてを指定する、あるいは「男性」、「女性」、あるいは「不明」ごとに指定する操作が可能とされている。
ユーザは、患者属性指定エリアAR1に対して、年齢と性別との各抽出条件を指定する操作を行う。
【0023】
条件指定画面において、患者属性指定エリアAR1の下に傷病指定エリアが配置される。
図4は、傷病指定エリアAR2の一例を示している。傷病指定エリアAR2は、「傷病」としての抽出条件を指定する操作が行われるエリアである。傷病指定エリアAR2における「傷病」の項目は、初期表示の段階では特に傷病名等が表示されていない状態である。
【0024】
ユーザは、抽出条件とする個人の傷病を指定するにあたり、選択ボタンBT2を操作する。選択ボタンBT2が操作されたことに応じて、図示は省略するが、傷病種別を選択する傷病種別選択ウィンドウが条件指定画面上に重畳して表示される。
【0025】
傷病種別選択ウィンドウにおいては傷病種別ごとの名称(傷病名)が示される選択項目が配置される。ユーザは、傷病選択ウィンドウに対して抽出条件としたい傷病名が示される選択項目を選択する操作を行う。傷病選択ウィンドウにおける選択項目を選択する操作が行われたことに応じて、傷病選択ウィンドウが消去される。傷病選択ウィンドウが消去された後の傷病指定エリアAR2においては、「傷病」の項目に対応して、選択された傷病種別の傷病名が表示された状態となる。
【0026】
また、同図の傷病指定エリアAR2においては、抽出条件として「疑い(傷病疑い)」と「抑制予防」についても設定可能とされている。
「疑い」の抽出条件は、選択された傷病の疑いのある個人が該当する。「疑い」の抽出条件は「含む」、「含まない」のいずれかを選択可能とされている。「疑い」の抽出条件について「含む」が選択された場合には、選択された傷病に該当する個人に加えて、選択された傷病の疑いのある個人も対象として抽出することができる。
個人が「疑い」の抽出条件に該当するか否かは、個人の医療情報が示す検査値、服薬、診断結果などに基づいて判定可能とされてよい。
【0027】
「抑制予防」の抽出条件は、選択された傷病を抑制する予防のために服薬、定期健診等の何らかの措置をとっている個人が該当する。「抑制予防」の抽出条件は「含む」、「含まない」のいずれかを選択可能とされている。「抑制予防」の抽出条件について「含む」が選択された場合には、選択された傷病に該当する個人に加えて、選択された傷病の抑制予防を行っている個人も対象として抽出することができる。
個人が「抑制予防」の抽出条件に該当するか否かは、個人の医療情報が示す服薬、診断結果などに基づいて判定可能とされてよい。
【0028】
条件指定画面において、傷病指定エリアAR2の下に検査指定エリアが配置される。
図5は、検査指定エリアAR3の一例を示している。
同図の検査指定エリアAR3は、「検査」に対応する抽出条件を指定する操作が行われるエリアである。つまり、検査指定エリアAR3は、個人が受けた検査種別を抽出条件として指定する操作が行われる。検査指定エリアAR3における「検査」の項目は、抽出対象とされた検査種別の名称が示される。「検査」の項目は、初期表示の段階では特に検査種別の名称等が表示されていない状態である。
【0029】
検査指定エリアAR3は、抽出条件とする検査種別を指定するにあたり、選択ボタンBT3を操作する。選択ボタンBT3が操作されたことに応じて、検査種別を選択する検査種別選択ウィンドウが条件指定画面上に重畳して表示される。
【0030】
図6は、検査種別選択ウィンドウWD1の一例を示している。同図の検査種別選択ウィンドウWD1においては、入力ボックスBX10、検索ボタンBT10、候補項目エリアAR11、選択項目エリアAR12、移動ボタンBT11、移動ボタンBT12、および適用ボタンBT13が配置されている。
入力ボックスBX10は、ユーザが検索文字列を入力する操作を行うエリアである。ユーザは、検索対象とする検査種別の名称の少なくとも一部に対応する検索文字列を入力ボックスBX10に入力する操作を行うことができる。
【0031】
検索ボタンBT10は、入力ボックスBX10に入力された検索文字列に該当する検査種別の検索の実行を指示する操作が行われるボタンである。
検索ボタンBT10が操作されたことに応じて、ユーザ端末500は、入力ボックスBX10に入力された検索文字列を検索条件とする検索要求を医療情報集計装置400に送信する。
【0032】
医療情報集計装置400は、検査種別を分類した検査種別データベースを記憶する。医療情報集計装置400は、受信した検索要求が検索条件として指定する検索文字列を含む名称の検査種別を検査種別データベースから検索する。医療情報集計装置400は、検索結果をユーザ端末500に送信する。ユーザ端末500は、受信した検索結果に含まれる検査種別のリストを候補項目エリアAR11にて提示する。
【0033】
ユーザは、候補項目エリアAR11にて提示された検査種別ごとの項目のうちから抽出条件として指定したい検査種別の項目を1以上選択し、移動ボタンBT11を操作する。移動ボタンBT11が操作されたときに候補項目エリアAR11にて選択されていた検査種別の項目が選択項目エリアAR12にて提示される。ユーザは、このような操作を繰り返し行うこともできる。このようにして、ユーザは、候補項目エリアAR11から1以上の検査種別を選択して選択項目エリアAR12にて提示させるように操作を行うことができる。
【0034】
ここで、候補項目エリアAR11において、検査種別の分類においてさらに細分化された分類がある場合には、大分類の検査種別の項目に続き小分類の検査種別の項目が提示される。具体例として、候補項目エリアAR11におけるエリア部分AR111において、菱形のマークが付された検査種別の項目が大分類であり、当該大分類の検査種別の項目の下にて提示される3つの検査種別の項目が小分類となる。
ユーザは、大分類の検査種別の項目と小分類の検査種別の項目とのいずれも選択する操作を行うことができる。大分類の検査種別の項目が選択された場合には、選択された大分類に含まれる複数の小分類の検査項目が選択されたものとして扱われ、選択項目エリアAR12には、選択された大分類に含まれる複数の小分類の検査種別が提示される。
【0035】
また、いったん選択項目エリアAR12にて提示させたのであるが、選択を取り消したい場合には、ユーザは、移動ボタンBT12を操作する。移動ボタンBT12が操作されたことに応じて、これまで選択項目エリアAR12にて提示されていた検査種別の項目が消去される。
【0036】
ユーザは、抽出条件として選択した1つの検査種別の項目を選択項目エリアAR12に提示させたうえで、適用ボタンBT13を操作する。適用ボタンBT13が操作されたことに応じて、検査種別選択ウィンドウWD1が消去されるとともに、選択項目エリアAR12に提示されていた検査種別が抽出条件として設定される。
【0037】
説明を
図5に戻す。
図5は、上記のように検査種別選択ウィンドウWD1の適用ボタンBT13が操作された後の検査指定エリアAR3が示されている。同図の検査指定エリアAR3において、「検査」の項目には、検査種別選択ウィンドウWD1に対する操作により抽出条件として選択された検査種別の名称が表示されている。
また、「検査値(数値)」の項目における検査値範囲エリアAR31には、抽出条件として選択された検査種別の検査を受けたすべての個人の検査値のうちの最小値と最大値とが示される。検査値範囲エリアAR31における検査値の最小値と最大値は、医療情報集計装置400により提供される。つまり、ユーザ端末500は、検査種別選択ウィンドウWD1の適用ボタンBT13が操作されたことに応じて、選択項目エリアAR12にて提示されていた検査種別の検査値範囲を医療情報集計装置400に要求する。医療情報集計装置400は、要求に応答して、選択項目エリアAR12にて提示されていた検査種別の検査を受けた個人ごとの検査値のうちから、最小値と最大値とを医療情報データベースから検索し、検索した最小値と最大値とを検査値範囲エリアAR31に表示させる。
【0038】
また、「検査値(数値)」の項目には、上記の検査値範囲エリアAR31とともに検査値レンジ設定エリアAR32が配置されている。検査値レンジ設定エリアAR32は、検査値レンジ(区分単位値の一例)を設定する操作が行われるエリアである。検査値レンジは、検査値範囲エリアAR31において示される検査値範囲を区分する単位値である。ユーザは、検査値レンジ設定エリアAR32に対して自分が設定したい検査値レンジの値を入力する操作を行うことができる。
【0039】
具体的に、同図においては、検査値範囲エリアAR31において「0」の最小値から「28.56」の最大値までの検査値範囲が示され、検査値レンジ設定エリアAR32において「5」の検査値レンジが設定された場合が示されている。この場合、「0」の最小値から「28.56」の最大値による検査値範囲は、「5」の検査値レンジによって、例えば0以上~5未満、5以上~10未満、10以上~15未満、15以上~20未満、20以上~25未満、25以上のように区分される。
【0040】
このように検査値レンジが区分されることで、「検査」の項目として選択された検査種別を抽出条件とする抽出結果に基づく医療集計情報が出力されるにあたり、抽出された個人の数が検査値範囲の区分ごとに提示される。つまり、検査値レンジは、医療集計情報における出力の態様を指定する出力条件の1つとなる。
【0041】
そのうえで、検査値範囲エリアAR31における最小値と最大値は、ユーザの操作によって変更可能とされてよい。検査値範囲エリアAR31における最小値と最大値の少なくともいずれか一方がユーザの操作により変更された場合には、変更後の最小値と最大値とによる検査値範囲が抽出条件の1つとして設定される。
【0042】
また、検査指定エリアAR3においては、検査結果区分の設定が可能とされている。同図では、検査結果区分として、「検査」の項目に示される検査種別を抽出する際の抽出条件として、「すべて」、「正常・基準値範囲内」、「異常」、「基準範囲外(下限以下)」、「基準範囲外(上限以上)」のうちから1以上の検査値の条件を指定する操作が可能とされている。
「基準範囲外(下限以下)」は、基準値範囲外として、基準値範囲の下限以下であることを条件とし、「基準範囲外(上限以上)」は、基準値範囲外として、基準値範囲の上限以上であることを条件とする。
【0043】
次に、条件指定画面において、検査指定エリアAR3の下に出力項目指定エリアが配置される。
図7は、出力項目指定エリアAR4の一例を示している。出力項目指定エリアAR4は、抽出結果を反映した医療集計情報を出力するにあたり、提示される項目を指定する操作が行われるエリアである。
【0044】
同図の出力項目指定エリアAR4においては、列項目選択エリアAR41と行項目選択エリアAR42と適用ボタンBT40とが配置されている。
【0045】
列項目選択エリアAR41は、医療集計情報において提示する列項目(集計項目の一例)を選択する操作が行われるエリアである。列項目選択エリアAR41においては、候補項目エリアAR411、選択項目エリアAR412、移動ボタンBT41-1、BT41-2が配置されている。ユーザは、候補項目エリアAR411にて提示されている列項目から任意の複数の列項目を選択し、移動ボタンBT41-1を操作することにより、選択項目エリアAR412に所望の列項目を配置させることができる。また、ユーザは、移動ボタンBT41-1を操作することにより、選択項目エリアAR412に配置された列項目を候補項目エリアAR411に戻すことができる。
ユーザは、医療集計情報において提示したい列項目がない場合には、列項目選択エリアAR41にて列項目を選択する操作は行わなくともよい。
【0046】
また、行項目選択エリアAR42は、医療集計情報において提示する行項目(集計項目の一例)を選択する操作が行われるエリアである。行項目選択エリアAR42においては、候補項目エリアAR421、選択項目エリアAR423、移動ボタンBT42-1、BT42-2が配置されている。ユーザは、候補項目エリアAR421にて提示されている行項目から任意の複数の行項目を選択し、移動ボタンBT42-1を操作することにより、選択項目エリアAR423に所望の行項目を配置させることができる。また、ユーザは、移動ボタンBT42-1を操作することにより、選択項目エリアAR423に配置された行項目を候補項目エリアAR421に戻すことができる。
ユーザは、医療集計情報において提示したい行項目がない場合には、行項目選択エリアAR42にて行項目を選択する操作は行わなくともよい。
【0047】
ユーザは、列項目選択エリアAR41と行項目選択エリアAR42との少なくともいずれか一方に対して項目を選択する操作を行った場合には、適用ボタンBT40を操作する。適用ボタンBT40が操作されたことに応じて、選択された列項目、行項目が医療集計情報において提示する項目として設定される。
【0048】
次に、条件指定画面において、出力項目指定エリアAR4の下に出力形式指定エリアが配置される。
図8は、出力形式指定エリアAR5の一例を示している。出力形式指定エリアAR5は、医療集計情報の出力形式(ファイル形式)を指定する操作が行われるエリアである。ユーザは、提示された出力形式のうちから所望の出力形式を指定する操作を行うようにされる。出力形式指定エリアAR5に対する操作により指定される医療集計情報の出力形式は、出力条件の1つとなる。
【0049】
次に、条件指定画面において、出力形式指定エリアAR5の下に引用符指定エリアAR6が配置される。
図9は、引用符指定エリアAR6の一例を示している。引用符指定エリアAR6は、医療集計情報における引用符の形式を指定する操作が行われるエリアである。ユーザは、提示された引用符の形式うちから所望の形式を指定する操作を行うようにされる。引用符指定エリアAR6に対する操作により指定される引用符の設定内容は、出力条件の1つとなる。
【0050】
ユーザは、上記のように、条件指定画面(患者属性指定エリアAR1、傷病指定エリアAR2、検査指定エリアAR3、出力項目指定エリアAR4、出力形式指定エリアAR5、引用符指定エリアAR6)に対して抽出条件または出力条件を指定する操作を行うと、条件指定画面に対して医療集計情報の出力を指示する操作を行う。医療集計情報の出力を指示する操作は、条件指定画面の所定位置にて配置された出力ボタン(図示せず)に対する操作であってよい。
【0051】
出力ボタンが操作されたことに応じて、ユーザ端末500は、医療集計情報の出力要求を医療情報集計装置400に送信する。出力要求には、条件指定画面における各エリアにて指定された集計情報作成条件(抽出条件、出力条件)が含まれる。医療情報集計装置400は、受信された出力要求に含まれる抽出条件を満たす個人を医療情報データベースから抽出する。医療情報集計装置400は、抽出した個人を対象に、受信された出力要求に含まれる出力条件に従って集計を行い、集計結果を利用して、指定された出力形式による医療集計情報を生成する。医療情報集計装置400は、集計した医療集計情報をユーザ端末500に送信する。
【0052】
ユーザ端末500は、送信された医療集計情報を、例えば条件指定画面にてユーザがダウンロード可能に提供する。ユーザは、提供された医療集計情報をダウンロードし、表示や印刷等により出力することができる。
【0053】
図10は、上記のようにして「検査数」の集計事項に対応して指定された集計情報作成条件(抽出条件、出力条件)に応じて出力された医療集計情報の内容の一例を示している。
同図の医療集計情報においては、日付エリアAR51、条件設定内容エリアAR52、項目情報エリアAR53、および集計結果エリアAR54が配置された例が示されている。
【0054】
日付エリアAR51は、当該医療集計情報が出力された日付(年月日)を示すエリアである。
【0055】
条件設定内容エリアAR52は、ユーザの条件指定画面に対する操作により指定された集計情報作成条件(抽出条件、出力条件)が示されるエリアである。
【0056】
項目情報エリアAR53は、集計結果エリアAR54にて提示される項目数を示すエリアである。項目情報エリアAR53において「件数:4」との表記は、集計結果エリアAR54において提示されるレコードの数が4つであることを示している。また、項目情報エリアAR53において「列数:0」、「行数:3」との表記は、それぞれ、出力項目指定エリアAR4(
図7)に対するユーザの操作によって集計結果において提示するものとして指定された列項目の数と行項目の数とを示す。
【0057】
集計結果エリアAR54は、検査種別選択ウィンドウWD1(
図6)に対するユーザの操作によって指定された検査種別の集計結果を示すエリアである。同図の例では、集計結果エリアAR54において、指定された1つの検査種別に対応して特定された検査値範囲を、指定された検査値レンジにより区分した区分検査値範囲ごとの検査数が示される。
集計結果エリアAR54においては、「検査項目」、「検査名」、「検査値範囲」、および「検査数」の各項目のフィールドが設けられている。「検査項目」、「検査名」、および「検査値範囲」の各項目は、出力項目指定エリアAR4に対するユーザの操作によって選択された行項目が対応する。
この場合には、1つの検査種別について、検査値範囲を「5」の検査レンジにより区分された4つの区分検査値範囲ごとの検査数が示されている。ここで、「10~15」と「15~20」の各区分検査値範囲の検査数については、具体的な数値ではなく「10名未満」となっている。検査数が一定以下にまで少なくなると、対応の個人が特定される可能性が生じてくる。そこで、同図の例では、検査数が10以上では具体的な数値を提示するが、検査数が10未満の場合には、「10名未満」と提示して具体的な数値を提示しないようにしている。このような提示とすることで個人情報の保護が図られる。
【0058】
また、医療集計情報作成画面のトップ画面にて、検査数以外の集計事項選択ボタンBT1を操作した場合には、操作された集計事項選択ボタンBT1が対応する集計事項に対応して用意された条件指定画面が表示される。ユーザは、表示された条件指定画面に対して集計情報作成条件(抽出条件、出力条件)を指定し、医療集計情報の出力を指示する操作を行う。
【0059】
一例として、
図11は、患者数の集計事項に対応して出力された医療集計情報の内容を示している。患者数の集計事項は、トップ画面における集計事項選択ボタンBT1-1が操作されたことにより選択される。
【0060】
図11の医療集計情報においても、
図10と同様に、日付エリアAR51、条件設定内容エリアAR52、項目情報エリアAR53、および集計結果エリアAR54が配置された例が示されている。
日付エリアAR51においては、当該医療集計情報が出力された日付(年月日)が示される。
条件設定内容エリアAR52においては、患者数の集計事項に対応して表示された条件指定画面に対するユーザの操作により指定された集計情報作成条件(抽出条件、出力条件)が示される。
項目情報エリアAR53においては、集計結果エリアAR54にて提示される項目数が示される。
【0061】
また、集計事項が患者数の場合にも、抽出条件として検査種別を指定可能とされており、条件指定画面において検査指定エリアAR3(
図5)が配置され、検査指定エリアAR3における選択ボタンBT3の操作に応じて検査種別選択ウィンドウWD1(
図6)が表示される。ユーザは、検査種別選択ウィンドウWD1に対する操作によって、患者数についての中術条件としての検査種別を指定することができる。
この場合の集計結果エリアAR54には、指定された検査種別ごとの患者数の集計結果が示される。具体的に、
図11の集計結果エリアAR54においては、指定された同じ1つの検査種別ごとに、それぞれ異なる区分検査値範囲に対応する4つのレコード(行)が配置される。各レコードには、対応の区分検査値範囲に該当する患者数が示される。
集計結果エリアAR54は、「検査項目」、「検査名」、「区分検査値」および「患者数」の4つのフィールドを有する。これらの4つのフィールドのうち、「検査項目」、「検査名」、および「区分検査値」の各フィールドは、出力項目指定エリアAR4(
図7)に対するユーザの操作によって選択された行項目に対応する。
【0062】
以上の説明から理解されるように、本実施形態においては、ユーザが医療集計情報作成画面を操作して、集計事項、検査種別を含む各種抽出条件、および各種出力条件のそれぞれを指定することで、所望の抽出条件により抽出した要素について、所望の集計項目による集計結果が示される医療集計情報を得ることができる。つまり、本実施形態の医療情報集計システムは、医療に関する集計情報をユーザの要望に応じて柔軟に提供することができる。
【0063】
[医療情報集計装置の機能構成例]
図12を参照して、医療情報集計装置400の機能構成例について説明する。医療情報集計装置400は、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージデバイス等を備えて構成されてよい。同図に示される医療情報集計装置400としての機能は、医療情報集計装置400としてのハードウェアにおいて備えられるCPUがプログラムを実行することにより実現される。
【0064】
医療情報集計装置400は、通信部401、制御部402、および記憶部403を備える。
通信部401は、ネットワーク経由でユーザ端末500や医療情報加工事業者200内の端末やデータベース等の情報処理システムと通信可能に接続する。
【0065】
制御部402は、医療情報集計装置400における各種の制御を実行する。制御部402は、集計事項設定部421、集計情報作成条件設定部422(抽出条件設定部、出力条件設定部の一例)、抽出部423、および出力部424(集計情報生成部の一例)を備える。
【0066】
集計事項設定部421は、医療集計情報の出力にあたり、集計の対象となる集計事項を設定する。
【0067】
集計情報作成条件設定部422は、医療情報集計装置400が提供する医療集計情報提供サイトにアクセスしたユーザ端末500にて表示される医療集計情報作成画面に対する操作に応じて、集計情報作成条件(抽出条件、出力条件)を設定する。
【0068】
抽出部423は、医療情報データベース記憶部431(医療情報記憶部の一例)が記憶する医療情報データベースから、集計情報作成条件設定部422が設定した抽出条件に合致する要素を抽出する。
これまでの説明との対応では、指定された集計事項が検査数もしくは患者数である場合には、抽出部423は、抽出条件として指定された検査種別の検査を受けた個人を医療情報データベースから抽出する。
【0069】
出力部424は、抽出部423が抽出した要素について、集計情報作成条件設定部422により設定された出力条件に従って集計を行い、集計結果を示す医療集計情報を生成する。出力部424は、生成した医療集計情報をユーザ端末500に送信(アップロード)する。
【0070】
記憶部403は、医療情報の集計機能に対応する各種の情報を記憶する。記憶部403は、医療情報データベース記憶部431を備える。
医療情報データベース記憶部431は、医療情報加工事業者200から取得した医療情報データベースを記憶する。
【0071】
[処理手順例]
図13のシーケンス図を参照して、医療情報集計装置400とユーザ端末500とが医療集計情報の処理に関連して実行する処理手順例について説明する。同図は、前述の事例に対応して、集計事項として検査数が指定される場合の処理手順例を示した。また、同図の処理は、ユーザ端末500のウェブブラウザ上で医療集計情報作成画面のトップ画面(
図2)が表示されている状態のもとで開始される。また、同図に示されるユーザ端末500の処理は、医療集計情報作成画面を表示しているウェブブラウザの処理となる。
【0072】
ステップS100:ユーザは、ユーザ端末500のウェブブラウザ上で表示されている医療集計情報作成画面のトップ画面に対して、集計事項選択操作を行う。この場合の集計事項選択操作は、トップ画面にて集計事項ごとに対応して配置された集計事項選択ボタンBT1(BT1-1~BT1-6)のうち、検査数に対応する集計事項選択ボタンBT1-6を選択する操作である。トップ画面を表示しているユーザ端末500は、ユーザにより行われた集計事項選択操作を受け付ける。
【0073】
ステップS102:ユーザ端末500は、ステップS100にて集計事項選択操作を受け付けたことに応じて、条件指定画面要求を医療情報集計装置400に送信する。条件指定画面要求は、ステップS100にて受け付けた集計事項選択操作により選択された集計事項である「検査数」に対応する条件指定画面を要求する情報である。
【0074】
ステップS104:医療情報集計装置400において集計事項設定部421は、受信した条件指定画面要求に対応する集計事項である「検査数」を、今回の集計対象として設定する。
【0075】
ステップS106:医療情報集計装置400において集計情報作成条件設定部422は、受信された条件指定画面要求が示す集計事項に対応する条件指定画面をユーザ端末500に送信する。この場合には、医療情報集計装置400は、「検査数」の集計事項に対応する条件指定画面をユーザ端末500に送信する。ユーザ端末500は、条件指定画面を受信すると、ウェブブラウザ上の医療集計情報作成画面の表示について、これまでのトップ画面から条件指定画面に遷移させる。
【0076】
ステップS108:ユーザは、医療集計情報作成画面における患者属性指定エリアAR1(
図3)に対して、抽出条件としての患者属性を指定する操作(患者属性指定操作)を行う。ユーザ端末500は、患者属性指定操作を受け付けることで、患者属性に関して指定された年齢、性別等のパラメータを取得する。
【0077】
ステップS110:また、ユーザは、医療集計情報作成画面における傷病指定エリアAR2(
図4)に対して、抽出条件としての傷病を指定する操作(傷病指定操作)を行う。ユーザ端末500は、傷病指定操作を受け付けることで、傷病に関して指定された傷病種別、傷病疑い、抑制予防等のパラメータを取得する。
【0078】
ステップS112:また、ユーザは、医療集計情報作成画面における検査指定エリアAR3(
図5)に配置された選択ボタンBT3を操作し、検査種別選択ウィンドウWD1(
図6)を表示させ、検査種別選択ウィンドウWD1に対して検査種別を指定する操作(検査種別指定操作)を行う。ユーザ端末500は、検査種別指定操作を受け付けることで、指定された検査種別をパラメータとして取得する。
【0079】
ステップS114:ユーザ端末500は、検査種別選択ウィンドウWD1の適用ボタンBT13が操作されたことに応じて、ステップS112にて取得した検査種別としてのパラメータと、先のステップS108、S110にて取得した患者属性、傷病に関するパラメータとを含む抽出要求を医療情報集計装置400に送信する。
【0080】
ステップS116:医療情報集計装置400の集計情報作成条件設定部422は、ステップS116により送信された抽出要求に含まれている検査種別、患者属性、傷病に関するパラメータを抽出条件として設定する。
【0081】
ステップS118:抽出部423は、ステップS116により設定した抽出条件に合致する個人としての要素を医療情報データベース記憶部431が記憶する医療情報データベースから抽出する。
【0082】
ステップS120:抽出部423は、ステップS118による抽出結果に対応する検査値範囲を取得する。具体的に、抽出部423は、ステップS118により抽出された個人ごとの医療データから、該当の検査種別の検査値の最小値と最大値とを取得する。
【0083】
ステップS122:抽出部423は、ユーザ端末500にて表示される検査指定エリアAR3について、ステップS120にて取得された検査値範囲の最小値と最大値とが検査値範囲エリアAR31にて示された状態に更新させる。
このとき、ユーザ端末500では、これまで表示されていた検査種別選択ウィンドウWD1が適用ボタンBT13の操作に応じて消去される。また、条件指定画面における検査指定エリアAR3の検査値範囲エリアAR31は、例えばこれまで検査値範囲の最小値および最大値が示されていない状態から、ステップS120より取得された最小値と最大値とが示される状態に変化している。
【0084】
ステップS124:ユーザは、ステップS122に対応して更新された検査指定エリアAR3の検査値範囲エリアAR31における検査値範囲の最小値と最大値とを変更する操作を行うことができる。当該操作が行われた場合には、ユーザ端末500は、当該操作を受け付け、変更後の最小値と最大値とによる検査値範囲を出力条件のパラメータとして取得する。
【0085】
ステップS126:また、ユーザは、検査指定エリアAR3の検査値レンジ設定エリアAR32における検査値レンジを指定する操作を行うことができる。当該操作が行われた場合、ユーザ端末500は、当該操作を受け付け、指定された検査値レンジを出力条件のパラメータとして取得する。
【0086】
ステップS128:また、ユーザは、検査指定エリアAR3において提示される検査結果区分を指定する操作を行うことができる。当該操作が行われた場合、ユーザ端末500は、当該操作を受け付ける。ユーザ端末500は、受け付けた操作により指定された検査結果区分を抽出条件のパラメータとして取得する。
【0087】
ステップS130:また、ユーザは、条件指定画面における出力項目指定エリアAR4に対して出力項目(列項目、行項目)を指定する操作(出力項目指定操作)を行う。ユーザ端末500は、出力項目指定操作を受け付ける。ユーザ端末500は、受け付けた出力項目指定操作により指定された出力項目を出力条件のパラメータとして取得する。
【0088】
ステップS132:また、ユーザは、条件指定画面における出力形式指定エリアAR5に対して出力形式を指定する操作(出力形式指定操作)を行う。ユーザ端末500は、出力形式指定操作を受け付ける。ユーザ端末500は、受け付けた出力形式指定操作により指定された出力形式を出力条件のパラメータとして取得する。
【0089】
ステップS134:また、ユーザは、条件指定画面における引用符指定エリアAR6に対して引用符を指定する操作(引用符指定操作)を行う。ユーザ端末500は、引用符指定操作を受け付ける。ユーザ端末500は、受け付けた引用符指定操作により指定された引用符を出力条件のパラメータとして取得する。
【0090】
ステップS136:ユーザは、上記のようにして条件指定画面に対して抽出条件もしくは出力条件のパラメータを指定する操作を行ったのち、医療集計情報の出力を指示する操作(例えば、条件指定画面の所定位置にて配置された出力ボタンに対する操作)を行う。当該操作に応じて、ユーザ端末500は、集計情報要求を送信する。
集計情報要求には、ステップS124~S134に対応して取得された抽出条件または出力条件のパラメータが含まれる。
【0091】
ステップS138:医療情報集計装置400において集計情報作成条件設定部422は、ステップS136にて受信された集計情報要求に含まれるパラメータと、ステップS116により設定した抽出条件に含まれるパラメータとを用いて、抽出条件と出力条件とを設定する。
【0092】
ステップS140:抽出部423は、ステップS138により設定した抽出条件に合致する個人としての要素を医療情報データベース記憶部431が記憶する医療情報データベースから抽出する。
【0093】
ステップS142:出力部424は、ステップS140による抽出結果について、ステップS138により設定した出力条件に従って集計し、集計した結果を示す医療集計情報を生成する。
【0094】
ステップS144:出力部424は、ステップS142により生成した医療集計情報をユーザ端末500に送信(アップロード)する。
【0095】
ステップS146:ユーザ端末500は、ステップS144により送信された医療集計情報を、例えばユーザの操作に応じて表示、印刷等により出力する。
【0096】
なお、医療集計情報の出力にあたり指定可能な検査事項、抽出条件、出力条件については、これまでに提示した内容に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0097】
なお、上述の医療情報集計装置400、ユーザ端末500等としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の医療情報集計装置400、ユーザ端末500等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるHDD、SSD等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0098】
<付記>
(1)本実施形態の一態様は、個人ごとの医療情報を記憶する医療情報記憶部と、前記医療情報記憶部が記憶する医療情報に基づく要素の集合から、所定の集計事項に対応して抽出する要素についての抽出条件を設定する抽出条件設定部と、前記抽出条件に基づいて抽出された該当要素についての集計結果を示す集計情報にて提示するものとして指定された集計項目を出力条件として設定する出力条件設定部と、前記集合から前記抽出条件に合致する要素を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された要素に関して集計した結果を示し、前記出力条件設定部により設定された出力条件が示す集計項目ごとに該当する要素数を示す集計情報を生成する集計情報生成部とを備える医療情報集計システムである。
【0099】
(2)本実施形態の一態様は、(1)に記載の医療情報集計システムであって、前記抽出条件設定部は、要素としての個人が受けた検査種別を前記抽出条件として設定可能であり、前記抽出部は、前記検査種別を含んで設定された抽出条件に基づいて個人としての要素を抽出し、前記出力条件設定部は、抽出された個人ごとの当該検査種別の検査値のうち、最小値と最大値とによる検査値範囲を提示するとともに、前記検査値範囲を区分する区分単位値の指定を受け付け可能とされ、区分単位値が指定されたことに応じて、指定された区分単位値を出力条件として設定し、前記集計情報生成部は、前記出力条件として設定された区分単位により前記検査値範囲を区分した区分範囲ごとに個人数を示す集計情報を生成してよい。
【0100】
(3)本実施形態の一態様は、(2)に記載の医療集計システムであって、前記抽出条件設定部は、提示された前記検査値範囲を変更可能とされ、前記抽出部は、変更された検査値範囲を抽出条件として、当該変更された検査値範囲に該当する個人を抽出してよい。
【0101】
(4)本実施形態の一態様は、(2)または(3)に記載の医療集計システムであって、前記抽出条件設定部は、前記抽出条件として前記検査種別が設定された場合において、前記検査種別に対応する検査値の基準値に基づく抽出条件を設定可能としてよい。
【0102】
(5)本実施形態の一態様は、(4)に記載の医療集計システムであって、前記検査種別に対応する検査値の基準値に基づく抽出条件は、個人の検査値が基準値としての数値範囲内であることとする抽出条件と、個人の検査値が基準値としての数値範囲外であることとする抽出条件とのうちの少なくともいずれか1つであってよい。
【0103】
(6)本実施形態の一態様は、(5)に記載の医療集計システムであって、個人の検査値が基準値としての数値範囲外であることとする抽出条件は、個人の検査値が基準値としての数値範囲の下限値より小さいこととする抽出条件と、個人の検査値が基準値としての数値範囲の上限値より大きいこととする抽出条件との少なくともいずれか1つであってよい。
【0104】
(7)本実施形態の一態様は、(1)から(6)のいずれか1つに記載の医療集計システムであって、複数の集計事項の候補のうちから集計対象とする集計事項を設定する集計事項設定部をさらに備えてよい。
【0105】
(8)本実施形態の一態様は、医療情報集計システムにおける医療情報集計方法であって、抽出条件設定部が、医療情報記憶部が記憶する個人ごとの医療情報に基づく要素の集合から、所定の集計事項に対応して抽出する要素についての抽出条件を設定する抽出条件設定ステップと、出力条件設定部が、前記抽出条件に基づいて抽出された該当要素についての集計結果を示す集計情報にて提示するものとして指定された集計項目を出力条件として設定する出力条件設定ステップと、抽出部が、前記集合から前記抽出条件に合致する要素を抽出する抽出ステップと、集計情報生成部が、前記抽出ステップにより抽出された要素に関して集計した結果を示し、前記出力条件設定ステップにより設定された出力条件が示す集計項目ごとに該当する要素数を示す集計情報を生成する集計情報生成ステップとを含む医療情報集計方法である。
【0106】
(9)本実施形態の一態様は、医療情報集計システムが備えるコンピュータを、医療情報記憶部が記憶する個人ごとの医療情報に基づく要素の集合から、所定の集計事項に対応して抽出する要素についての抽出条件を設定する抽出条件設定部、前記抽出条件に基づいて抽出された該当要素についての集計結果を示す集計情報にて提示するものとして指定された集計項目を出力条件として設定する出力条件設定部、前記集合から前記抽出条件に合致する要素を抽出する抽出部、前記抽出部により抽出された要素に関して集計した結果を示し、前記出力条件設定部により設定された出力条件が示す集計項目ごとに該当する要素数を示す集計情報を生成する集計情報生成部として機能させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0107】
100 医療ビッグデータストレージ、200 医療情報加工事業者、300 医療情報データベース、400 医療情報集計装置、401 通信部、402 制御部、403 記憶部、421 集計事項設定部、422 集計情報作成条件設定部、423 抽出部、424 出力部、431 医療情報データベース記憶部、500 ユーザ端末
【要約】
【課題】医療に関する集計情報をユーザの要望に応じて柔軟に提供する。
【解決手段】個人ごとの医療情報を記憶する医療情報記憶部と、医療情報記憶部が記憶する医療情報に基づく要素の集合から、所定の集計事項に対応して抽出する要素についての抽出条件を設定する抽出条件設定部と、抽出条件に基づいて抽出された該当要素についての集計結果を示す集計情報にて提示するものとして指定された集計項目を出力条件として設定する出力条件設定部と、集合から抽出条件に合致する要素を抽出する抽出部と、抽出部により抽出された要素に関して集計した結果を示し、出力条件設定部により設定された出力条件が示す集計項目ごとに該当する要素数を示す集計情報を生成する集計情報生成部とを備えて医療情報集計システムを構成する。
【選択図】
図5