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特許7517597エレベーターのモータの異常検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】エレベーターのモータの異常検出システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20240709BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20240709BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B66B3/00 R
B66B13/14 D
B66B5/02 S
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023514313
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(86)【国際出願番号】 JP2021015764
(87)【国際公開番号】W WO2022219820
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長徳 典宏
(72)【発明者】
【氏名】藤田 武
(72)【発明者】
【氏名】後藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】阪田 恒次
(72)【発明者】
【氏名】子安 秀昇
(72)【発明者】
【氏名】志賀 諭
(72)【発明者】
【氏名】古谷 史郎
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-008354(JP,A)
【文献】特許第5530019(JP,B1)
【文献】特開2010-020490(JP,A)
【文献】特開2011-210143(JP,A)
【文献】特開2018-045302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00 - 3/02
B66B 13/00 - 13/30
B66B 5/00 - 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのモータが動作するときに取得される動作ごとの複数の計測データを、前記複数の計測データの各々が取得される前に既知の情報である前提データごとの複数の前提グループに分類する分類部と、
前記複数の前提グループの各々について、前記複数の計測データのうち当該前提グループに分類された計測データに基づいて当該前提グループの特徴量を算出する算出部と、
前記算出部が算出する特徴量に基づいて、前記複数の前提グループの少なくともいずれかを統合グループに統合する統合部と、
前記複数の計測データのうち前記統合グループに分類された計測データに基づいて、エレベーターのモータの異常を判定する学習モデルを構築する学習部と、
を備え、
前記複数の計測データの各々は、多成分のデータであり、
前記算出部は、前記複数の前提グループの各々について、前記複数の計測データのうち当該前提グループに分類された計測データについての主成分分析によって当該前提グループの特徴量を算出し、
前記統合部は、前記複数の前提グループに含まれる2つの比較グループについて、当該2つの比較グループの各々について前記算出部が特徴量として算出したいずれかの主成分の分散の値に基づく検定統計量を当該2つの比較グループの間の特徴量の差異を表す第1値とし、予め設定された有意水準に対応する値を第2値とし、前記第1値および前記第2値の比較によって、当該2つの比較グループを同一の統合グループに統合するか否かを判定する
エレベーターのモータの異常検出システム。
【請求項2】
エレベーターのモータが動作するときに取得される動作ごとの複数の計測データを、前記複数の計測データの各々が取得される前に既知の情報である前提データごとの複数の前提グループに分類する分類部と、
前記複数の前提グループの各々について、前記複数の計測データのうち当該前提グループに分類された計測データに基づいて当該前提グループの特徴量を算出する算出部と、
前記算出部が算出する特徴量に基づいて、前記複数の前提グループの少なくともいずれかを統合グループに統合する統合部と、
前記複数の計測データのうち前記統合グループに分類された計測データに基づいて、エレベーターのモータの異常を判定する学習モデルを構築する学習部と、
を備え、
前記複数の計測データの各々は、多成分のデータであり、
前記算出部は、前記複数の前提グループの各々について、前記複数の計測データのうち当該前提グループに分類された計測データについての主成分分析によって当該前提グループの特徴量を算出し、
前記統合部は、前記複数の前提グループに含まれる2つの比較グループについて、当該2つの比較グループの各々について前記算出部が特徴量として算出したいずれかの主成分の分散の値の差を当該2つの比較グループの間の特徴量の差異を表す第1値とし、前記第1値および予め設定された第2値の比較によって、当該2つの比較グループを同一の統合グループに統合するか否かを判定する
エレベーターのモータの異常検出システム。
【請求項3】
前記前提データは、エレベーターのモータの属性のデータを含む
請求項1または請求項2に記載のエレベーターのモータの異常検出システム。
【請求項4】
前記前提データは、エレベーターのモータの動作モードのデータを含む
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエレベーターのモータの異常検出システム。
【請求項5】
前記前提データは、エレベーターのモータの動作環境のデータを含む
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターのモータの異常検出システム。
【請求項6】
前記動作環境のデータは、エレベーターが設けられる地域の気象のデータを含む
請求項5に記載のエレベーターのモータの異常検出システム。
【請求項7】
前記複数の計測データの各々は、エレベーターのモータのトルクおよび速度を含む多成分のデータであり、
前記算出部が算出する特徴量は、エレベーターのモータのトルクおよび速度の関係に基づいて算出される
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエレベーターのモータの異常検出システム。
【請求項8】
前記学習部による学習モデルの構築に用いられる前記複数の計測データの各々は、動作回数が予め設定された上限回数より少ないエレベーターのモータについて取得された計測データである
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のエレベーターのモータの異常検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターのモータの異常検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの異常検出システムの例を開示する。異常検出システムにおいて、エレベーターのドアなどの型式に基づいてグループ化が行われる。異常検出システムは、グループの標準的な状態値からの逸脱度に基づいてドアなどの異常の検出を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開2019-008354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の異常検出システムにおいて、例えば新しい型式のドアの動作などの同じ前提で計測されたデータが少ない動作について、標準的な状態値などの算出に十分な数の計測データが得られない場合がある。このような同じ前提で計測されたデータが少ない動作に対して、構築された学習モデルによる異常の判定の精度が低くなる可能性がある。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、同じ前提で計測されたデータが少ない動作に対しても、より高い精度でエレベーターのモータの異常を判定する学習モデルを構築できる異常検出システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターのモータの異常検出システムは、エレベーターのモータが動作するときに取得される動作ごとの複数の計測データを、前記複数の計測データの各々が取得される前に既知の情報である前提データごとの複数の前提グループに分類する分類部と、前記複数の前提グループの各々について、前記複数の計測データのうち当該前提グループに分類された計測データに基づいて当該前提グループの特徴量を算出する算出部と、前記算出部が算出する特徴量に基づいて、前記複数の前提グループの少なくともいずれかを統合グループに統合する統合部と、前記複数の計測データのうち前記統合グループに分類された計測データに基づいて、エレベーターのモータの異常を判定する学習モデルを構築する学習部と、を備え、前記複数の計測データの各々は、多成分のデータであり、前記算出部は、前記複数の前提グループの各々について、前記複数の計測データのうち当該前提グループに分類された計測データについての主成分分析によって当該前提グループの特徴量を算出し、前記統合部は、前記複数の前提グループに含まれる2つの比較グループについて、当該2つの比較グループの各々について前記算出部が特徴量として算出したいずれかの主成分の分散の値に基づく検定統計量を当該2つの比較グループの間の特徴量の差異を表す第1値とし、予め設定された有意水準に対応する値を第2値とし、前記第1値および前記第2値の比較によって、当該2つの比較グループを同一の統合グループに統合するか否かを判定する。
本開示に係るエレベーターのモータの異常検出システムは、エレベーターのモータが動作するときに取得される動作ごとの複数の計測データを、前記複数の計測データの各々が取得される前に既知の情報である前提データごとの複数の前提グループに分類する分類部と、前記複数の前提グループの各々について、前記複数の計測データのうち当該前提グループに分類された計測データに基づいて当該前提グループの特徴量を算出する算出部と、前記算出部が算出する特徴量に基づいて、前記複数の前提グループの少なくともいずれかを統合グループに統合する統合部と、前記複数の計測データのうち前記統合グループに分類された計測データに基づいて、エレベーターのモータの異常を判定する学習モデルを構築する学習部と、を備え、前記複数の計測データの各々は、多成分のデータであり、前記算出部は、前記複数の前提グループの各々について、前記複数の計測データのうち当該前提グループに分類された計測データについての主成分分析によって当該前提グループの特徴量を算出し、前記統合部は、前記複数の前提グループに含まれる2つの比較グループについて、当該2つの比較グループの各々について前記算出部が特徴量として算出したいずれかの主成分の分散の値の差を当該2つの比較グループの間の特徴量の差異を表す第1値とし、前記第1値および予め設定された第2値の比較によって、当該2つの比較グループを同一の統合グループに統合するか否かを判定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る異常検出システムであれば、同じ前提で計測されたデータが少ない動作に対しても、より高い精度でエレベーターのモータの異常を判定する学習モデルを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。
図2】実施の形態1に係る異常検出システムの構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る異常検出システムにおける学習モデルの構築の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る異常検出システムにおける学習モデルの構築の例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る異常検出システムにおける学習モデルの構築の例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る異常検出システムにおける学習モデルの構築の例を示す図である。
図7】実施の形態1に係る異常検出システムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
【0011】
エレベーター1は、例えば複数の階床を有する建物に適用される。建物において、エレベーター1の昇降路2が設けられる。昇降路2は、複数の階床にわたる上下方向に長い空間である。各々の階床において、乗場3が設けられる。乗場3は、昇降路2に隣接する場所である。各々の階床の乗場3において、乗場ドア4が設けられる。乗場ドア4は、乗場3および昇降路2を区画するドアである。エレベーター1は、巻上機5と、主ロープ6と、かご7と、釣合い錘8と、制御盤9と、を備える。
【0012】
巻上機5は、例えば昇降路2の上部または下部などに配置される。例えば昇降路2の上方などにエレベーター1の機械室が設けられる場合に、巻上機5は、機械室に配置されてもよい。巻上機5は、駆動モータ10と、駆動シーブ11と、を備える。駆動モータ10は、駆動力を発生させる装置である。駆動モータ10は、エレベーター1のモータの例である。駆動シーブ11は、駆動モータ10が発生させる駆動力によって回転する機器である。
【0013】
主ロープ6は、駆動シーブ11に巻き掛けられる。主ロープ6は、駆動シーブ11の一方側においてかご7の荷重を支持する。主ロープ6は、駆動シーブ11の他方側において釣合い錘8の荷重を支持する。主ロープ6は、駆動シーブ11の回転によって、かご7側または釣合い錘8側のいずれか一方が駆動シーブ11に巻き上げられるように移動する。
【0014】
かご7は、昇降路2を上下方向に走行することでエレベーター1の利用者などを複数の階床の間で輸送する装置である。かご7は、駆動シーブ11の回転による主ロープ6の移動に連動して昇降路2を上下方向に走行する。かご7は、かごドア12を備える。かごドア12は、かご7の内部および外部を区画するドアである。かごドア12は、かご7がいずれかの階床に停止するときに、利用者が乗降しうるように当該階床の乗場ドア4を連動させて開閉する機器である。かごドア12は、ドアモータ13を備える。ドアモータ13は、かごドア12を開閉させる駆動力を発生させる機器である。ドアモータ13は、エレベーター1のモータの例である。
【0015】
釣合い錘8は、駆動シーブ11の両側にかかる荷重の釣合いをかご7との間でとる装置である。釣合い錘8は、駆動シーブ11の回転による主ロープ6の移動に連動して昇降路2を上下方向においてかご7の反対方向に走行する。
【0016】
制御盤9は、エレベーター1の動作を制御する装置である。制御盤9は、例えば昇降路2の上部または下部などに配置される。例えば昇降路2の上方などにエレベーター1の機械室が設けられる場合に、制御盤9は、機械室に配置されてもよい。制御盤9が制御するエレベーター1の動作は、かご7の走行およびかごドア12の開閉などを含む。かご7の走行において、例えばかご7がいずれかの階床を出発してから他の階床に停止するまでの動作が、駆動モータ10の一回の動作に対応する。かごドア12の開閉において、例えばかごドア12の全閉状態から全開状態までの開動作および全開状態から全閉状態までの閉動作の各々が、ドアモータ13の一回の動作に対応する。制御盤9は、かご7の走行およびドアの開閉などにおいて、複数の動作モードを切り替えて制御を行ってもよい。例えばドアの開閉において、複数の動作モードは、通常開閉モード、通常より低速で開閉させる低速モード、または通常より大きなドアモータ13のトルクで開閉させる大トルクモードなどを含む。
【0017】
エレベーター1において、計測装置14が適用される。計測装置14は、エレベーター1の状態を計測する装置である。計測装置14は、例えばエレベーター1のモータに設けられる。計測装置14は、例えばモータの回転角を計測するエンコーダなどである。あるいは、計測装置14は、例えばモータについての入力または出力の電流または電圧を計測するセンサなどである。計測装置14による計測結果は、例えば制御盤9においてエレベーター1の動作の制御などに利用される。
【0018】
エレベーター1において、遠隔監視装置15が適用される。遠隔監視装置15は、エレベーター1の状態の遠隔監視に用いられる装置である。エレベーター1の状態は、例えば計測装置14による計測結果などを含む。エレベーター1の状態は、例えばエレベーター1の制御信号などに基づく情報を含んでもよい。エレベーター1の制御信号は、例えばエレベーター1の動作モードまたはモータのトルク、速度、もしくは電流もしくは電圧などの指令値を表す信号などである。遠隔監視装置15は、エレベーター1の状態の情報を収集しうるように、制御盤9または計測装置14などに接続される。
【0019】
遠隔監視装置15が収集した情報は、例えばインターネットまたは電話回線などの通信網16を通じて、中央管理装置17に送信される。中央管理装置17は、エレベーター1の状態の情報を収集して管理する装置である。中央管理装置17は、例えば情報センターなどの拠点に設けられる。
【0020】
エレベーター1において、異常検出システム18が適用される。異常検出システム18は、エレベーター1のモータの異常の有無を判定するシステムである。異常検出システム18は、例えば1つまたは複数のサーバ装置などからなる。異常検出システム18の情報処理に関する機能の一部または全部は、エレベーター1が適用される建物に配置された1つまたは複数の装置に搭載されるものであってもよい。あるいは、異常検出システム18の情報処理に関する機能の一部または全部は、当該建物の外部に配置された1つもしくは複数の装置上、またはクラウドサービス上の記憶もしくは処理のリソースなどによって実装されるものであってもよい。異常検出システム18における情報処理に関する機能の一部または全部は、中央管理装置17などに搭載されていてもよい。この例において、異常検出システム18における情報処理に関する機能は、中央管理装置17に搭載される。
【0021】
図2は、実施の形態1に係る異常検出システム18の構成を示すブロック図である。
【0022】
異常検出システム18は、例えば情報センターのオペレーターなどによって端末装置19を通じて操作される。端末装置19は、例えば汎用のコンピュータなどの情報端末である。端末装置19は、例えばインターネットもしくは電話回線などの通信網16または有線通信もしくは無線通信によるローカルネットワークなどを通じて異常検出システム18に接続される。端末装置19は、入力部20と、表示部21と、を備える。入力部20は、オペレーターなどによる異常検出システム18への情報の入力を受け付ける部分である。入力部20は、例えばキーボードおよびマウスなどである。表示部21は、異常検出システム18からの情報をオペレーターなどに表示する部分である。表示部21は、例えば液晶ディスプレイなどである。
【0023】
異常検出システム18は、計測記憶部22と、分類部23と、算出部24と、統合部25と、統合記憶部26と、調整部27と、学習部28と、モデル記憶部29と、判定部30と、を備える。この例において、異常検出システム18は、ドアモータ13などのエレベーター1のモータの異常の有無を判定する。
【0024】
計測記憶部22は、情報を記憶する部分である。計測記憶部22において、計測DB(DB:DataBase)が記憶される。計測DBは、複数の計測データを格納するDBである。
【0025】
各々の計測データは、エレベーター1のモータが動作するときに取得される。各々の計測データは、例えば計測装置14などによって取得される。この例において、1つの計測データは、エレベーター1のモータの1回の動作に対応する。各々の計測データは、例えば複数の成分を含む他成分のデータなどである。各々の計測データは、複数の時点に対応するデータ点の系列である時系列データであってもよい。このとき、時系列データの各時点に対応するデータ点は、複数の成分を含む他成分のデータであってもよい。あるいは、各々の計測データは、時系列データなどの複数のデータ点を含むデータ構造から、代表的なデータ点を抽出したものであってもよい。また、各々の計測データは、時系列データなどの複数のデータ点を含むデータ構造から、平均などの統計的な処理によって算出されるものであってもよい。
【0026】
各々の計測データは、前提データと関連付けて記憶される。前提データは、計測データが取得される前に既知である、計測の前提となる情報を表すデータである。前提データは、例えばモータの属性のデータ、動作モードのデータ、および動作環境のデータを含む。モータの属性のデータは、例えばモータの機種、またはモータがドアモータ13である場合におけるかごドア12の型式などのモータの固有の情報などを含む。モータの属性のデータは、例えば当該モータが展望エレベーターに設けられているか、または乗場3が屋外に面しているか、などの当該モータを有するエレベーター1が設けられた設置環境の情報を含んでもよい。モータの動作モードのデータは、計測データが取得されるときの動作がいずれの動作モードにおける動作であったかを表すデータなどである。モータの動作環境のデータは、当該モータを有するエレベーター1が設けられた地域の気象などの、計測データが取得されるときの環境を表すデータなどである。気象のデータは、例えば気温、湿度、または天候などの情報を含む。天候の情報は、例えば降雨または降雪の有無などの情報を含む。異常検出システム18は、動作環境のデータを、例えば気象庁などの気象情報を提供する機関から取得する。あるいは、動作環境のデータは、例えば昇降路2または乗場3に設けられた図示されない温度計または湿度計などによって取得されてもよい。前提データは、モータの動作回数などの動作履歴の情報を含んでもよい。動作回数は、例えば部品交換または手入れなどの保守作業が行われた時点を起算点とする累積回数などである。
【0027】
分類部23は、計測データを前提データに基づいて複数の前提グループのいずれかに分類する部分である。前提グループは、前提データをラベルとするグループである。
【0028】
算出部24は、各々の前提グループについてその特徴量を算出する部分である。各々の前提グループの特徴量は、当該前提グループに分類された計測データに基づいて算出される。
【0029】
統合部25は、算出部24が算出する特徴量に基づいて、少なくともいずれかの前提グループを統合グループに統合する部分である。統合グループは、1つまたは複数の前提グループを合わせたグループである。統合部25は、複数の前提グループを、1つまたは複数の統合グループに統合する。
【0030】
統合記憶部26は、情報を記憶する部分である。統合記憶部26において、統合DBが記憶される。統合DBは、統合データを格納するDBである。
【0031】
統合データは、各々の前提グループがいずれの統合グループに統合されるかを表すデータである。統合データは、例えば前提グループおよび統合グループの直接的な対応を表すデータである。あるいは、統合データは、前提グループを統合グループに対応させる条件を表すデータであってもよい。
【0032】
調整部27は、各々の計測データについて、前提グループごとに学習モデルの構築の前処理などの調整を行う部分である。調整部27による調整は、例えば前提グループごとの平均が0になるようなバイアスの調整などを含む。
【0033】
学習部28は、前提グループを通じて統合グループに分類された計測データに基づいて、異常を判定する学習モデルを構築する部分である。この例において、学習部28は、調整部27による調整後の計測データを用いて学習モデルを構築する。
【0034】
モデル記憶部29は、情報を記憶する部分である。モデル記憶部29において、モデルDBが記憶される。モデルDBは、学習部28が構築した学習モデルを格納するDBである。
【0035】
学習モデルは、例えば異常の判定に用いられるパラメータのセットなどを含む。当該パラメータのセットは、例えば異常と判定されないデータの分布を表す統計量などである。モデルDBにおいて、例えば統合グループごとに学習モデルが格納される。
【0036】
判定部30は、学習部28によって構築された学習モデルに基づいて、計測データから異常を判定する部分である。判定部30は、モデル記憶部29に予め記憶されている学習モデルを読み出したうえで、異常の判定を行う。判定部30は、例えば学習モデルに基づいて異常と判定する計測データを抽出する。判定部30は、抽出した計測データを例えば端末装置19の表示部21を通じてオペレーターに提示する。
【0037】
図2において、学習モデルの構築における主要な情報の流れが破線によって示される。図2において、異常の判定における主要な情報の流れが実線によって示される。
【0038】
続いて、図3から図6を用いて、異常検出システム18の動作の例を説明する。
図3から図6は、実施の形態1に係る異常検出システム18における学習モデルの構築の例を示す図である。
【0039】
この例において、異常検出システム18は、ドアモータ13についての異常の有無を判定する。各々の計測データは、例えばトルクおよび速度の2つの成分を有する多成分のデータである。トルク成分は、ドアモータ13が発生させるトルクを表すデータである。速度成分は、ドアモータ13が発生させるトルクによって開閉するかごドア12の開閉速度を表すデータである。ドアモータ13のトルクおよびかごドア12の開閉速度は、かごドア12を開閉させるようにドアモータ13が動作するときに、かごドア12の複数の開閉位置ごとに取得される。計測記憶部22は、開閉速度およびトルクの関係などのドアモータ13の入出力特性をよく反映する開閉位置におけるトルクおよび開閉速度の組み合わせを、計測データのトルク成分および速度成分として記憶する。計測記憶部22は、例えばトルクが最大となる開閉位置におけるトルクおよび開閉速度の組み合わせを、計測データのトルク成分および速度成分として記憶する。あるいは、計測記憶部22は、ドアモータ13の入出力特性をよく反映する複数の開閉位置におけるトルクの平均値および開閉速度の平均値の組み合わせを、計測データのトルク成分および速度成分として記憶してもよい。各々の計測データは、かごドア12の開閉のたびに計測記憶部22に蓄積される。ここで、計測装置14などによる計測結果から2成分の計測データを抽出する処理は、異常検出システム18において行われてもよいし、制御盤9または遠隔監視装置15などによって行われてもよい。
【0040】
異常検出システム18は、例えば入力部20において学習開始の操作が行われたときに、学習モデルの構築を開始する。あるいは、異常検出システム18は、予め設定されたタイミングで学習モデルの構築を行ってもよい。予め設定されたタイミングは、例えば定期的なタイミングなどである。異常検出システム18は、例えば次のように学習モデルの構築を行う。
【0041】
分類部23は、計測記憶部22が記憶している複数の計測データのうちから、学習データを読み出す。学習データは、学習モデルの構築に用いられる複数の計測データである。学習データは、例えば計測記憶部22が記憶している複数の計測データの一部または全部である。この例において、分類部23は、動作回数が予め設定された上限回数より少ないドアモータ13について取得された計測データを学習データとして抽出する。分類部23は、学習データとして読み出した計測データを、前提データに基づいて複数の前提グループのいずれかに分類する。
【0042】
図3において、前提グループごとの計測データの分布の例が示される。図3の横軸は、トルク成分の大きさを表す。図3の縦軸は、速度成分の大きさを表す。図3において、前提グループAから前提グループDまでの4つの前提グループが示される。前提グループAは、運転モードM1でドアタイプT1の前提データに対応する。前提グループBは、運転モードM2でドアタイプT1の前提データに対応する。
【0043】
算出部24は、各々の前提グループについての特徴量を算出する。算出部24は、各々の前提グループに分類された計測データの分布について主成分分析を行うことで、当該前提グループの特徴量を算出する。算出部24は、例えば第1主成分の方向、ならびに第1主成分の分散および第2主成分の分散を特徴量として算出する。なお、各々の計測データが3以上の成分を含む場合に、算出部24は、第2主成分の方向などを特徴量に含めて算出してもよい。
【0044】
続いて、図4に示されるように、統合部25は、第1主成分の方向が近い前提グループを抽出する。第1主成分の方向は、トルク成分および速度成分の相関関係に対応する。このため、第1主成分の方向が近い前提グループ同士は、トルク成分および速度成分の入出力の関係が近いグループとなる。統合部25は、例えば第1主成分の方向を向く単位ベクトルの内積が予め設定された範囲で1に近い前提グループを、第1主成分の方向が近い前提グループとして抽出する。なお、各々の計測データが3以上の成分を含む場合に、統合部25は、第2主成分の方向の近さなどに基づいて前提グループをさらに抽出してもよい。この例において、統合部25は、前提グループA、前提グループB、および前提グループCを、第1主成分の方向が近い前提グループとして抽出する。
【0045】
続いて、図5に示されるように、統合部25は、主成分の方向に基づいて抽出した前提グループについて、各々の主成分の分散が近い前提グループを統合グループに統合する。統合部25は、例えば予め設定された有意水準のもとで、F検定などの仮設検定によっていずれかの主成分の分散に有意差がないと判定できる前提グループ同士を、当該主成分の分散が近い前提グループであるとする。この例において、統合部25は、第1主成分の分散および第2主成分の分散がいずれも近い前提グループを抽出する。なお、各々の計測データが3以上の成分を含む場合に、統合部25は、第3主成分の分散の近さなどに基づいて前提グループをさらに抽出してもよい。また、統合部25は、仮設検定によらずに分散の近さを判定してもよい。例えば、統合部25は、いずれかの主成分の分散の値の差が予め設定された値より小さい前提グループ同士を、当該主成分の分散が近い前提グループであるとしてもよい。この例において、統合部25は、前提グループAおよび前提グループBを、統合グループαに統合する。統合部25は、前提グループAおよび前提グループBと、統合グループαとの対応を表す統合データを、統合記憶部26に書き込む。
【0046】
続いて、図6に示されるように、調整部27は、前提グループごとに計測データの調整を行う。この例において、調整部27は、前提グループごとにトルク成分の平均値および速度成分の平均値がいずれも0になるように、計測データのバイアスを前提グループごとに調整する。なお、このときの調整に用いられるバイアスの情報は、例えば統合データとともに統合記憶部26に書き込まれる。図6の横軸は、バイアスが調整された後のトルク成分の大きさを表す。図6の縦軸は、バイアスが調整された後の速度成分の大きさを表す。このように調整が行われることで、統合グループαに統合された前提グループAおよび前提グループBの各々の計測データの分布は、互いに類似した重なり合う分布となる。
【0047】
学習部28は、統合グループαに分類された調整後の計測データに基づいて、学習モデルを構築する。学習部28は、例えば前提グループAおよび前提グループBを統合した統合グループαに分類される計測データの各成分について、共分散行列を算出する。このとき、学習部28は、算出した共分散行列を用いた原点からのマハラノビス距離が予め設定された値より小さくなる範囲を正常範囲とする、マハラノビス-タグチ法による学習モデルを構築する。なお、学習部28は、マハラノビス-タグチ法によらない学習モデルを構築してもよい。学習部28は、例えば統合グループαに分類された調整後の計測データを用いた外れ値検出手法、例えばOne Class SVM(SVM:Support Vector Machine)などによる学習モデルを構築してもよい。学習部28は、構築した学習モデルをモデル記憶部29に書き込む。
【0048】
異常検出システム18は、このように構築した学習モデルを用いて、ドアモータ13についての異常の有無を判定する。異常検出システム18は、例えば入力部20において判定開始の操作が行われたときに、計測記憶部22に記憶されている計測データについて異常の有無の判定を開始する。あるいは、異常検出システム18は、予め設定されたタイミングで異常の有無を判定してもよい。予め設定されたタイミングは、例えば定期的なタイミングなどである。ここで、異常の有無の判定の対象となる計測データは、例えば計測記憶部22が記憶している複数の計測データの一部または全部である。異常の有無の判定の対象となる計測データは、例えば計測記憶部22が記憶している複数の計測データのうちからオペレーターによって指定された計測データなどであってもよい。異常の有無の判定の対象となる計測データは、例えば計測記憶部22が記憶している複数の計測データのうち学習データを含む計測データなどであってもよい。異常の有無の判定の対象となる計測データは、例えば計測記憶部22が記憶している複数の計測データのうち学習データを除く計測データなどであってもよい。また、異常検出システム18は、計測データが取得されるたびに、当該計測データについての異常の有無を判定してもよい。異常検出システム18は、例えば次のように異常の有無を判定する。
【0049】
分類部23は、異常の有無の判定の対象となる計測データを、計測記憶部22から読み出す。分類部23は、読み出した計測データを、前提データに基づいて複数の前提グループのいずれかに分類する。この例において、分類部23は、読み出した計測データを前提グループBに分類する。
【0050】
調整部27は、前提グループに分類された計測データに対して、学習データと同様の調整を行う。調整部27は、統合記憶部26から読み出した統合データなどに基づいて、当該計測データの分類される前提グループが統合される統合グループを判定する。調整部27は、当該統合グループの統合データとともに統合記憶部26に書き込まれたバイアスの情報に基づいて、当該計測データを調整する。この例において、調整部27は、統合グループαの統合データとともに統合記憶部26に書き込まれた前提グループBのバイアスに基づいて計測データを調整する。
【0051】
判定部30は、調整部27が判定した統合グループについての学習モデルを、モデル記憶部29から読み出す。判定部30は、読み出した学習モデルに基づいて、計測データについて異常の有無を判定する。この例において、判定部30は、前提グループBを統合する統合グループαについての学習モデルをモデル記憶部29から読み出す。判定部30は、例えば計測データの原点からのマハラノビス距離が予め設定された値より大きくなるときに、異常を表すデータとして当該計測データを検出する。
【0052】
以上に説明したように、実施の形態1に係る異常検出システム18は、分類部23と、算出部24と、統合部25と、学習部28と、を備える。分類部23は、ドアモータ13が動作するときに取得される動作ごとの複数の計測データを、前提データごとの複数の前提グループに分類する。前提データは、各々の計測データが取得される前に既知の情報を表すデータである。算出部24は、各々の前提グループについて、複数の計測データのうち当該前提グループに分類された計測データに基づいて当該前提グループの特徴量を算出する。統合部25は、算出部24が算出する特徴量に基づいて、複数の前提グループの少なくともいずれかを統合グループに統合する。学習部28は、複数の計測データのうち統合グループに分類された計測データに基づいて、エレベーター1のドアモータ13の異常を判定する学習モデルを構築する。
【0053】
このような構成により、前提グループをその特徴量に基づいて統合する統合グループによって学習モデルが構築されるので、同じ前提で計測されたデータが少ない動作に対しても、より多くの計測データに基づいて学習モデルが構築されるようになる。このため、学習モデルの精度がより高められるようになる。また、統合グループへの統合は、特徴量に基づいて機械的に行われる。このため、新しい機種などが導入される場合においても、当該機種について取得される計測データの異常の判定に用いられる学習モデルを構築する統合グループが機械的に選択される。これにより、このような計測データに対しても、より高い精度で異常を判定する学習モデルが構築される。
【0054】
また、前提データは、エレベーター1のドアモータ13の属性のデータを含む。
また、前提データは、エレベーター1のドアモータ13の動作モードのデータを含む。
また、前提データは、エレベーター1のドアモータ13の動作環境のデータを含む。
また、動作環境のデータは、エレベーター1が設けられる地域の気象のデータを含む。
【0055】
このような構成により、より同質性の高い計測データを前提グループとして分類できるようになる。例えば、型式または設置環境などの違いによって特性の異なる計測データが同じ前提グループに混在しにくくなる。また、動作モードなどの違いによって特性の異なる計測データが同じ前提グループに混在しにくくなる。また、温度などにより巻線抵抗などのドアモータ13の電気的な特性が変化しうる。あるいは、湿度などによりかごドア12または乗場ドア4の敷居における機械的な抵抗などの特定が変化しうる。このように温度または湿度などの動作環境の違いによって特性の異なる計測データが同じ前提グループに混在しにくくなる。これにより、前提グループにおける計測データの分布が多変量正規分布などの扱いやすい分布に近くなる。また、例えばかごドア12または乗場ドア4の敷居が雨などによって濡れている場合に、ドアモータ13のトルクおよびかごドア12または乗場ドア4の開閉速度の関係は、敷居が乾いている場合と異なる関係になることがある。このような天候の違いによって特性の異なる計測データが同じ前提グループに混在しにくくなるので、前提グループにおける計測データの分布が多変量正規分布などの扱いやすい分布に近くなる。これにより、異常検出システム18において、より精度の高い学習モデルが構築されるようになる。
【0056】
また、各々の計測データは、エレベーター1のドアモータ13のトルクおよび速度を含む多成分のデータである。算出部24が算出する特徴量は、エレベーター1のドアモータ13のトルクおよび速度の関係に基づいて算出される。
【0057】
このような構成により、トルクおよび速度の関係性の近い前提グループ同士が統合グループとして統合されるようになる。このため、特性の異なる前提グループが統合されることによる学習モデルの精度の低下が抑えられる。
【0058】
また、各々の計測データは、多成分のデータである。算出部24は、各々前提グループについて、複数の計測データのうち当該前提グループに分類された計測データについての主成分分析によって当該前提グループの特徴量を算出する。
【0059】
このような構成により、主成分分析によって算出される特徴量に基づいて前提グループが統合されるので、計測データの分布などの特性の異なる前提グループが統合されることによる学習モデルの精度の低下が抑えられる。例えば、図3における前提グループCおよび前提グループDは、第1主成分の方向から同じ統合グループに統合されない。このため、これらのような前提グループを分布間の中心距離のみに基づいてまとめてしまうことによる学習モデルの精度の低下が抑えられる。なお、計測データの各成分は、トルク、速度、または入力もしくは出力の電流もしくは電圧などのドアモータ13の動作の特性を反映する情報であればよく、特定の物理量などに限定されない。
【0060】
また、学習部28による学習モデルの構築に用いられる計測データの各々は、動作回数が予め設定された上限回数より少ないエレベーター1のドアモータ13について取得された計測データである。
【0061】
このような構成により、動作回数が上限回数を超えており劣化などの可能性のあるドアモータ13についての計測データは、学習モデルの構築に用いられないようになる。このため、劣化などによって正常の範囲から異常の範囲に近づいたデータが学習モデルの構築に用いられにくくなるので、学習モデルの精度の低下が抑えられる。
【0062】
続いて、図7を用いて、異常検出システム18のハードウェア構成の例について説明する。
図7は、実施の形態1に係る異常検出システム18の主要部のハードウェア構成図である。
【0063】
異常検出システム18における処理の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0064】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、異常検出システム18の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、異常検出システム18の各機能を実現する。
【0065】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0066】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0067】
異常検出システム18における処理の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、異常検出システム18の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。異常検出システム18の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで異常検出システム18の各機能を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示に係る異常検出システムは、エレベーターに適用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 エレベーター、 2 昇降路、 3 乗場、 4 乗場ドア、 5 巻上機、 6 主ロープ、 7 かご、 8 釣合い錘、 9 制御盤、 10 駆動モータ、 11 駆動シーブ、 12 かごドア、 13 ドアモータ、 14 計測装置、 15 遠隔監視装置、 16 通信網、 17 中央管理装置、 18 異常検出システム、 19 端末装置、 20 入力部、 21 表示部、 22 計測記憶部、 23 分類部、 24 算出部、 25 統合部、 26 統合記憶部、 27 調整部、 28 学習部、 29 モデル記憶部、 30 判定部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7