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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】光治療計画装置および光治療計画方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
A61N5/06 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023542065
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 JP2021030080
(87)【国際公開番号】W WO2023021581
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】石川 亮宏
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-029754(JP,A)
【文献】特開2013-236757(JP,A)
【文献】特表2013-536745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06 - A61N 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の患部が見えるとともに、前記被験者の3次元の表面形状を示す3次元表面画像を取得する3次元画像取得部と、
前記3次元表面画像に対して、画像空間上において、前記患部に対して棒状部材を挿入する際の前記棒状部材の位置を調整する棒状部材位置調整部と、
前記棒状部材から光が伝搬する光伝搬領域を取得する光伝搬領域取得部と、
前記3次元表面画像の所定の断面において、前記被験者の前記患部を含む内部形態像と、前記棒状部材と、前記光伝搬領域と、を表示する断面画像を生成する断面画像生成部と、
前記断面画像を表示させる制御を行う表示制御部と、を備える、光治療計画装置。
【請求項2】
前記断面画像生成部は、前記断面画像として、前記患部と前記光伝搬領域とが重畳する第1重畳領域と、前記第1重畳領域以外の非重畳領域とを識別可能な画像を生成するように構成されている、請求項1に記載の光治療計画装置。
【請求項3】
前記患部に対する前記第1重畳領域の重畳度合いを示す第1指標値を取得する指標値取得部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記断面画像とともに、前記第1指標値を表示させるように構成されている、請求項2に記載の光治療計画装置。
【請求項4】
操作者の操作入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記棒状部材位置調整部は、前記入力受付部によって受け付けられた前記操作入力に基づいて、画像空間上における前記棒状部材の位置を調整するように構成されている、請求項1に記載の光治療計画装置。
【請求項5】
前記光伝搬領域取得部は、前記棒状部材のうち、前記被験者に挿入された前記棒状部材の軸部の中心から全周にわたって半径方向外側に照射される光が伝搬する領域を、前記光伝搬領域として取得するように構成されている、請求項1に記載の光治療計画装置。
【請求項6】
前記光伝搬領域取得部は、予め入力された前記棒状部材の先端部からの距離と、前記棒状部材の先端部の位置とに基づいて、前記光伝搬領域を取得するように構成されている、請求項5に記載の光治療計画装置。
【請求項7】
前記3次元画像取得部は、前記患部の3次元の画像である3次元患部画像を取得するように構成されており、
前記3次元表面画像と、前記3次元患部画像とを合成して、前記3次元患部画像を識別可能な合成3次元画像を生成する画像合成部をさらに備える、請求項1に記載の光治療計画装置。
【請求項8】
前記3次元画像取得部は、前記被験者の内部構造の3次元の画像である3次元内部構造画像を取得するように構成されており、
前記画像合成部は、前記合成3次元画像として、前記3次元表面画像と、前記3次元患部画像と、前記3次元内部構造画像とを合成した3次元画像を生成するように構成されている、請求項7に記載の光治療計画装置。
【請求項9】
前記3次元画像取得部は、前記3次元内部構造画像として、前記被験者の血管の3次元の分布を示す3次元血管分布画像、および、前記被験者の骨の3次元の分布を示す3次元骨分布画像のうちのいずれかを取得するように構成されており、
前記画像合成部は、前記3次元表面画像と、前記3次元血管分布画像または前記3次元骨分布画像とを合成するように構成されている、請求項8に記載の光治療計画装置。
【請求項10】
前記断面画像生成部は、前記断面画像として、前記患部と、前記患部以外の他の部位とを識別可能な画像を生成するように構成されている、請求項1に記載の光治療計画装置。
【請求項11】
前記断面画像生成部は、少なくとも前記棒状部材の先端部が写る複数の前記断面画像を生成するように構成されており、
前記表示制御部は、断面の向きが互いに異なる複数の前記断面画像を並べて表示させるように構成されている、請求項1に記載の光治療計画装置。
【請求項12】
前記指標値取得部は、前記光伝搬領域と前記患部以外の部位とが重畳する第2重畳領域の重畳度合いを示す第2指標値を取得するように構成されており、
前記表示制御部は、前記断面画像とともに、前記第2指標値を表示させるように構成されている、請求項3に記載の光治療計画装置。
【請求項13】
プロセッサが、被験者の患部が見えるとともに、前記被験者の3次元の表面形状を示す3次元表面画像を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記3次元表面画像に対して、前記患部に対して棒状部材を挿入する際の前記棒状部材の位置を、前記棒状部材を前記被験者に挿入する前に事前に、画像空間上において調整するステップと、
前記プロセッサが、前記棒状部材から光が伝搬する光伝搬領域を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記3次元表面画像の所定の断面において、前記被験者の前記患部を含む内部形態像と、前記棒状部材と、前記光伝搬領域と、を表示する断面画像を生成するステップと、
前記プロセッサが、前記断面画像を表示させるステップと、を備える、光治療計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光治療計画装置および光治療計画方法に関し、被験者に対して棒状部材を挿入し、挿入した棒状部材から光を照射することにより治療を行う際の治療計画を行う光治療計画装置および光治療計画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者に対して棒状部材を挿入し、挿入した棒状部材から光を照射することにより治療を行う際の治療計画を行う光治療計画装置および光治療計画方法が知られている。このような光治療計画装置および光治療計画方法は、たとえば、特開2020-138940号公報に開示されている。
【0003】
特開2020-138940号公報には、中空の針を経皮的に腫瘍または腫瘍の近傍に穿刺し、針を介して腫瘍または腫瘍の近傍に光ファイバーを配置し、光ファイバーの先端の光拡散部から腫瘍に対して光を照射させることにより、腫瘍の治療を行う光治療装置が開示されている。すなわち、特開2020-138940号公報には、被験者に対して光拡散部(棒状部材)を挿入し、挿入した光拡散部から光を照射することにより、治療を行う光治療装置が開示されている。また、特開2020-138940号公報には、操作者が経皮的に針を穿刺する際に、超音波画像を確認しながら穿刺する構成が開示されている。なお、特開2020-138940号公報に開示されている構成では、針の先端部と光ファイバーの先端の光拡散部とを、略同一の位置に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-138940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、超音波画像は、腫瘍(患部)と患部の周囲とのコントラストの差が小さいため、患部と患部以外とを識別することが困難である。そのため、特開2020―138940号公報に開示されているように、超音波画像を用いて針の先端部の配置を確認することにより、光ファイバーの先端の光拡散部(棒状部材)の配置を確認する場合、患部に対する棒状部材の配置が正しいか否かを操作者が正確に判断することが困難であるという不都合がある。また、特開2020-138940号公報に開示されているように、超音波画像を確認しながら針の穿刺(挿入)を行う場合、挿入直前の患部の確認しかできず、患部に対して照射される治療光の照射範囲を事前に把握できないという不都合がある。したがって、患部に対する棒状部材の配置を正確に把握するとともに、患部に対する治療光の照射範囲を事前に把握することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、患部に対する棒状部材の配置を正確に把握することが可能であるとともに、患部に対する治療光の照射範囲を事前に把握することが可能な光治療計画装置および光治療計画方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における光治療計画装置、被験者の患部が見えるとともに、被験者の3次元の表面形状を示す3次元表面画像を取得する3次元画像取得部と、3次元表面画像に対して、画像空間上において、患部に対して棒状部材を挿入する際の棒状部材の位置を調整する棒状部材位置調整部と、棒状部材から光が伝搬する光伝搬領域を取得する光伝搬領域取得部と、3次元表面画像の所定の断面において、被験者の患部を含む内部形態像と、棒状部材と、光伝搬領域と、を表示する断面画像を生成する断面画像生成部と、断面画像を表示させる制御を行う表示制御部と、を備える。
【0008】
また、この発明の第2の局面における光治療計画方法は、プロセッサが、被験者の患部が見えるとともに、被験者の3次元の表面形状を示す3次元表面画像を取得するステップと、プロセッサが、3次元表面画像に対して患部に対して棒状部材を挿入する際の棒状部材の位置を、棒状部材を被験者に挿入する前に事前に、画像空間上において調整するステップと、プロセッサが、棒状部材から光が伝搬する光伝搬領域を取得するステップと、プロセッサが、3次元表面画像の所定の断面において、被験者の患部を含む内部形態像と、棒状部材と、光伝搬領域と、を表示する断面画像を生成するステップと、プロセッサが、断面画像を表示させるステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明の第1の局面における光治療計画装置では、上記のように、3次元表面画像に対して、画像空間上において、患部に対して棒状部材を挿入する際の棒状部材の位置を調整する棒状部材位置調整部を備える。これにより、患部が見える3次元表面画像の画像空間上において、棒状部材の位置調整を行うことが可能であるため、操作者は、3次元表面画像の画像空間上において、棒状部材を確認しながら棒状部材の位置調整を行うことができる。また、棒状部材から光が伝搬する光伝搬領域を取得する光伝搬領域取得部と、3次元表面画像の所定の断面において、被験者の患部を含む内部形態像と、棒状部材と、光伝搬領域と、を表示する断面画像を生成する断面画像生成部と、断面画像を表示させる制御を行う表示制御部と、を備えることによって、操作者は、被験者の患部を含む内部形態像と、棒状部材と、光伝搬領域とが表示された断面画像を確認することにより、棒状部材から照射される光の領域である光伝搬領域を事前に把握することができる。これらの結果、患部に対する棒状部材の配置を正確に把握することが可能であるとともに、患部に対する治療光の照射範囲を事前に把握することが可能な光治療計画装置を提供することができる。
【0010】
また、この発明の第2の局面における光治療計画方法では、上記のように、プロセッサが、3次元表面画像に対して患部に対して棒状部材を挿入する際の棒状部材の位置を、棒状部材を被験者に挿入する前に事前に、画像空間上において調整するステップと、プロセッサが、棒状部材から光が伝搬する光伝搬領域を取得するステップと、プロセッサが、3次元表面画像の所定の断面において、被験者の患部を含む内部形態像と、棒状部材と、光伝搬領域と、を表示する断面画像を生成するステップと、プロセッサが、断面画像を表示させるステップと、を備える。これにより、第1の局面における光治療計画装置と同様に、患部に対する棒状部材の配置を正確に把握することが可能であるとともに、患部に対する治療光の照射範囲を事前に把握することが可能な光治療計画方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態による光治療計画装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態による3次元画像取得部が取得する3次元表面画像を説明するための模式図である。
図3】一実施形態による3次元画像取得部が取得する3次元患部画像を説明するための模式図である。
図4】一実施形態による画像合成部が生成する合成3次元画像を説明するための模式図である。
図5】一実施形態による断面画像生成部が生成する断面画像を説明するための模式図である。
図6】光伝搬領域、第1重畳領域、非重畳領域、および、第2重畳領域を説明するための模式図である。
図7】一実施形態による断面画像生成部が生成する3つの断面画像を説明するための模式図(A)~模式図(C)である。
図8】一実施形態による画像合成部が生成する断面画像を重畳表示させた合成3次元画像を説明するための模式図である。
図9】一実施形態による表示制御部が表示部において合成3次元画像、断面画像、第1指標値、および、第2指標値を表示する構成を説明するための模式図である。
図10】一実施形態による光治療計画装置が断面画像を表示する処理を説明するためのフローチャートである。
図11】変形例による光治療計画装置の全体構成を示すブロック図である。
図12】変形例による3次元画像取得部が取得する、3次元表面画像と3次元血管分布画像とを合成した合成画像を説明するための模式図である。
図13】変形例による3次元画像取得部が取得する、3次元表面画像と3次元骨分布画像とを合成した合成画像を説明するための模式図である。
図14】変形例による光治療計画装置が断面画像を表示する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1図9を参照して、一実施形態による光治療計画装置100の構成について説明する。光治療計画装置100は、近赤外光免疫療法(NIR-PIT)の治療計画を行う装置である。近赤外光免疫療法では、まず、治療光を吸収することにより蛍光を発する光感受性物質(IRDye(登録商標)700Dxなど)と、腫瘍に選択的に結合する抗体(上皮成長因子受容体の抗体など)とを結合させた薬剤が、点滴などにより被験者に投与される。そして、被験者の全身に薬剤を循環させるために、被験者への薬剤の投与からたとえば1日(24時間)だけ時間が置かれる。この間、被験者に投与された薬剤の抗体が腫瘍に選択的に結合する。この結果、光化学反応を起こして、光感受性物質の化学構造が変化する。この光感受性物質の化学構造の変化によって、抗体の立体構造の変化が引き起こされる。そして、腫瘍に結合した抗体の立体構造の変化が、結合した腫瘍の細胞膜に損傷を与える。その結果、腫瘍の細胞膜の損傷箇所から侵入した水によって、腫瘍が膨張して、破裂することにより、腫瘍は破壊される(死滅する)。本実施形態では、光治療計画装置100は、プローブを被験者に穿刺した状態で患部90(図3参照)に治療光を照射する方式による治療の治療計画を行う。
【0014】
(光治療計画装置の構成)
図1に示すように、本実施形態の光治療計画装置100は、画像取得部1と、プロセッサ2と、記憶部3と、表示部4と、入力受付部5と、を備えている。
【0015】
画像取得部1は、形態画像10を取得するように構成されている。形態画像10は、被験者の患部90(図3参照)を含む領域を表示した画像である。本実施形態では、画像取得部1は、複数の形態画像10を取得するように構成されている。画像取得部1は、たとえば、入出力インターフェースを含む。なお、形態画像10は、MRI(Magnetic Resonance Image)画像、または、CT(Computed Tomography)画像などを含む。
【0016】
プロセッサ2は、取得した形態画像10に基づいて、断面画像50を生成するように構成されている。プロセッサ2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、GPU(Graphics Processing Unit)、または、画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)などを含んでいる。また、ハードウェアとしてのCPUなどからなるプロセッサ2は、ソフトウェア(プログラム)の機能ブロックとして、制御部2aと、3次元画像取得部2bと、棒状部材位置調整部2cと、光伝搬領域取得部2dと、断面画像生成部2eと、表示制御部2fと、を備える。また、本実施形態では、プロセッサ2は、ソフトウェア(プログラム)の機能ブロックとして、指標値取得部2gを含む。また、本実施形態では、プロセッサ2は、ソフトウェア(プログラム)の機能ブロックとして、画像合成部2hを含む。
【0017】
プロセッサ2は、記憶部3に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部2a、3次元画像取得部2b、棒状部材位置調整部2c、光伝搬領域取得部2d、断面画像生成部2e、表示制御部2f、指標値取得部2g、および、画像合成部2hとして機能する。制御部2a、3次元画像取得部2b、棒状部材位置調整部2c、光伝搬領域取得部2d、断面画像生成部2e、表示制御部2f、指標値取得部2g、および、画像合成部2hは、専用のプロセッサ(処理回路)を設けてハードウェアにより個別に構成されていてもよい。
【0018】
制御部2aは、光治療計画装置100の制御を行うように構成されている。
【0019】
3次元画像取得部2bは、被験者の患部90(図3参照)が見えるとともに、被験者の3次元の表面形状を示す3次元表面画像20(図2参照)を取得するように構成されている。また、本実施形態では、3次元画像取得部2bは、患部90の3次元の画像である3次元患部画像21(図3参照)を取得するように構成されている。なお、本実施形態では、3次元表面画像20と3次元患部画像21とを重畳させることにより、3次元表面画像20において患部90が見える状態となる。3次元画像取得部2bが3次元表面画像20を取得する構成、および、3次元患部画像21を取得する構成の詳細については、後述する。
【0020】
棒状部材位置調整部2cは、3次元表面画像20に対して、画像空間上において、患部90に対して棒状部材6(図4参照)を挿入する際の棒状部材6の位置を調整するように構成されている。なお、画像空間とは、3次元表面画像20が表示される3次元の空間である。棒状部材6は、被験者の患部90に光(治療光)を照射するために光ファイバーの先端部に設けられた光拡散部材(ディフューザ)を含む。棒状部材位置調整部2cが棒状部材6の位置調整を行う構成の詳細については、後述する。
【0021】
光伝搬領域取得部2dは、棒状部材6から光が伝搬する光伝搬領域31(図5参照)を取得するように構成されている。光伝搬領域取得部2dが光伝搬領域31を取得する構成の詳細については、後述する。
【0022】
断面画像生成部2eは、3次元表面画像20の所定の断面において、被験者の患部90を含む内部形態像60(図5参照)と、棒状部材6と、光伝搬領域31と、を表示する断面画像50を生成するように構成されている。内部形態像60とは、被験者の患部90を含む内部構造が表示された画像である。内部構造は、たとえば、被験者の脳などを含む。断面画像生成部2eが断面画像50を生成する構成の詳細については、後述する。
【0023】
表示制御部2fは、断面画像50を表示させる制御を行うように構成されている。本実施形態では、表示制御部2fは、断面画像50を表示部4に表示させる制御を行うように構成されている。
【0024】
指標値取得部2gは、治療光が患部90に対してどの程度照射されるかを示す指標値である第1指標値40を取得するように構成されている。また、指標値取得部2gは、治療光が患部90以外の部位に対してどの程度照射されるかを示す指標値である第2指標値41を取得するように構成されている。指標値取得部2gが第1指標値40および第2指標値41を取得する構成の詳細については、後述する。
【0025】
本実施形態では、まず、3次元画像取得部2bが3次元表面画像20(図2参照)を取得する。また、3次元画像取得部2bが3次元患部画像21(図3参照)を取得する。そして、画像合成部2hが、3次元表面画像20と3次元患部画像21とを合成することにより、合成3次元画像22を生成する。その後、表示制御部2fが合成3次元画像22を表示部4に表示する。操作者によって棒状部材6の位置調整が完了した後、断面画像生成部2eが、複数の断面画像50(図5参照)を生成する。また、画像合成部2hが、合成3次元画像22に対して、複数の断面画像50を重畳させることにより、合成3次元画像23を生成する。その後、表示制御部2fが、合成3次元画像23、および、複数の断面画像50を表示部4に表示させる。
【0026】
画像合成部2hは、3次元表面画像20と、3次元患部画像21とを合成して、3次元患部画像21を識別可能な合成3次元画像22を生成するように構成されている。画像合成部2hが合成3次元画像22を生成する構成の詳細については、後述する。
【0027】
記憶部3は、後述する棒状部材6の先端部6a(図5参照)からの距離30(図5参照)、3次元表面画像20、および、3次元患部画像21を記憶するように構成されている。また、記憶部3は、プロセッサ2が実行する各種プログラムを記憶するように構成されている。記憶部3は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、または、SSD(Solid State Drive)などの記憶装置を含む。
【0028】
表示部4は、断面画像生成部2eによって生成された断面画像50、画像合成部2hによって生成された合成3次元画像23、指標値取得部2gによって取得された第1指標値40および第2指標値41などを表示するように構成されている。表示部4は、たとえば、液晶モニタなどの表示装置を含む。
【0029】
入力受付部5は、操作者の操作入力を受け付けるように構成されている。入力受付部5は、たとえば、マウス、キーボードなどの、入力デバイスを含む。
【0030】
(3次元表面画像および3次元患部画像)
図2および図3を参照して、3次元画像取得部2bが3次元表面画像20および3次元患部画像21を取得する構成について説明する。
【0031】
まず、図2を参照して、3次元画像取得部2bが3次元表面画像20を取得する構成について説明する。
【0032】
3次元画像取得部2bは、画像取得部1が取得した複数の形態画像10に基づいて、3次元表面画像20を取得する。形態画像10は、被験者の頭部を撮影したスライス画像である。本実施形態では、3次元画像取得部2bは、複数の形態画像10を用いてサーフェイスレンダリングを行うことにより、被験者の表面形状を示す3次元表面画像20を取得する。すなわち、3次元表面画像20は、被験者の表面形状を示す画像であり、内部が空洞となっている。また、制御部2aは、入力受付部5が受け付けた操作者の操作入力に基づいて、画像空間上において、3次元表面画像20を任意の位置および角度に移動可能に構成されている。
【0033】
次に、図3を参照して、3次元画像取得部2bが、3次元患部画像21を取得する構成について説明する。
【0034】
図3に示す3次元患部画像21は、患部90の3次元の画像である。3次元画像取得部2bは、患部90が写る複数の患部スライス画像(図示せず)に基づいて取得する。患部スライス画像は、操作者が、患部90が写る複数のスライス画像から患部90以外の領域を削除することにより、取得される。また、制御部2aは、入力受付部5が受け付けた操作者の操作入力に基づいて、画像空間上において、3次元表面画像20とともに、3次元患部画像21を任意の位置および角度に移動可能に構成されている。
【0035】
(合成3次元画像)
次に、図4を参照して、合成3次元画像22について説明する。画像合成部2hは、3次元表面画像20と3次元患部画像21とを合成することにより、合成3次元画像22を生成する。具体的には、画像合成部2hは、3次元表面画像20に対して、3次元患部画像21を重畳させることにより、合成3次元画像22を生成する。なお、画像合成部2hは、合成3次元画像22において、3次元表面画像20と、3次元患部画像21とを識別可能に表示する。具体的には、画像合成部2hは、3次元表面画像20の表示態様と3次元患部画像21の表示態様とを異ならせることにより、3次元表面画像20と3次元患部画像21とを識別可能に表示する。本実施形態では、画像合成部2hは、3次元患部画像21の枠線を強調表示することにより、3次元表面画像20と、3次元患部画像21とを識別可能に表示する。図4に示す例では、3次元患部画像21を太線の一点鎖線で図示することにより、3次元表面画像20と3次元患部画像21とが識別可能であることを表している。
【0036】
(棒状部材の位置調整)
引き続き図4を参照して、棒状部材位置調整部2cが棒状部材6の位置調整を行う構成について説明する。なお、本実施形態では、複数の棒状部材6の位置調整が可能であるが、いずれの棒状部材6についても、同様の構成によって位置調整を行うため、代表して、1本の棒状部材6の位置調整を行う構成について説明する。また、棒状部材6の位置調整を行う前に、位置調整を行う棒状部材6の本数が、操作者によって予め入力され、記憶部3に記憶されている。
【0037】
本実施形態では、棒状部材位置調整部2cは、入力受付部5によって受け付けられた操作入力に基づいて、画像空間上における棒状部材6の位置を調整するように構成されている。具体的には、棒状部材位置調整部2cは、入力受付部5によって受け付けられた操作入力に基づいて、棒状部材6の先端部6a、および、先端部6aとは反対側の端部6bの位置を調整することにより、棒状部材6の位置を調整する。すなわち、棒状部材位置調整部2cは、棒状部材6の先端部6a、および、先端部6aとは反対側の端部6bの位置を調整することにより、棒状部材6の挿入角度、および、深さを調整する。具体的には、棒状部材位置調整部2cは、操作者が位置の調整を行った際に、先端部6aの位置座標と、先端部6aとは反対側の端部6bの位置座標とを取得する。そして、棒状部材位置調整部2cは、先端部6aの位置座標と、先端部6aとは反対側の端部6bの位置座標とに基づいて、棒状部材6の挿入角度、および、深さが取得する。
【0038】
(断面画像)
次に、図5を参照して、断面画像50について説明する。断面画像生成部2eは、3次元表面画像20において、棒状部材6が位置する断面の断面画像50を生成するように構成されている。本実施形態では、断面画像生成部2eは、複数の棒状部材6の位置調整が完了した後に、断面画像50を生成するように構成されている。すなわち、断面画像生成部2eは、合成3次元画像22を表示部4に表示させる際には、内部形態像60の再構成は行わず、棒状部材6の位置調整が完了した際に、棒状部材6が配置された断面における内部形態像60を再構成する。
【0039】
また、本実施形態では、断面画像生成部2eは、断面画像50として、光伝搬領域31が識別可能な画像を生成する。図5に示すように、本実施形態では、断面画像生成部2eは、光伝搬領域31の表示態様と患部90の表示態様とを異ならせることにより、光伝搬領域31と患部90とを識別可能に表示する。具体的には、断面画像生成部2eは、光伝搬領域31の表示色と患部90の表示色とを異ならせることにより、患部90と光伝搬領域31とを識別可能に表示する。図5に示す例では、断面画像50上において、第1重畳領域80および第2重畳領域82の各々に対して、患部90とは異なるハッチングを付すことにより、光伝搬領域31を識別可能に表示している。
【0040】
また、図5に示すように、本実施形態では、断面画像生成部2eは、断面画像50として、患部90と、患部90以外の他の部位とを識別可能な画像を生成するように構成されている。具体的には、断面画像生成部2eは、患部90の表示態様と、患部90以外の表示態様とを異ならせることにより、患部90と患部90以外の他の部位とを識別可能に表示する。図5に示す例では、患部90の表示色と患部90以外の他の部位との表示色を異ならせることにより、患部90と患部90以外の他の部位とを識別可能に表示する。図5に示す例では、患部90の枠線を太線で図示するとともに、ハッチングを付すことにより、患部90と、患部90以外の他の部位とが識別可能なことを表している。
【0041】
(光伝搬領域)
次に、図6を参照して、光伝搬領域取得部2dが光伝搬領域31を取得する構成について説明する。図6は、図5に示す断面画像50のうち、患部90と光伝搬領域31とが表示される部分を拡大した拡大画像である。本実施形態では、光伝搬領域取得部2dは、棒状部材6の先端部6aからの距離30と、棒状部材6の先端部6aの位置とに基づいて、棒状部材6において光を照射する範囲を決定する。そして、光伝搬領域取得部2dは、棒状部材6のうち、被験者に挿入された棒状部材6の軸部6cの中心から全周にわたって半径方向外側に照射される光が伝搬する領域を、光伝搬領域31として取得するように構成されている。すなわち、本実施形態では、光伝搬領域取得部2dは、予め入力された棒状部材6の先端部6aからの距離30と、棒状部材6の先端部6aの位置とに基づいて、光伝搬領域31を取得するように構成されている。
【0042】
ここで、被験者に挿入された棒状部材6の軸部6cの中心から半径方向外側に照射された光のうち、治療効果が得られる光量の光の到達範囲は、一般的に、おおよそ9mmであることが知られている。そのため、光伝搬領域取得部2dは、決定した範囲の棒状部材6の軸部6cの中心から全周にわたって半径方向外側に、およそ9mmの距離までを、光伝搬領域31として取得する。なお、棒状部材6の先端部6aからの距離30は、操作者によって、棒状部材6毎に予め入力されている。また、本実施形態では、制御部2aは、棒状部材6の先端部6aからの距離30を、所定の範囲内で入力可能に構成されている。具体的には、制御部2aは、棒状部材6の先端部6aからの距離30を、20mm~40mmの範囲内で入力可能に構成されている。
【0043】
本実施形態では、断面画像生成部2eは、断面画像50として、患部90と光伝搬領域31とが重畳する第1重畳領域80と、第1重畳領域80以外の非重畳領域81とを識別可能な画像を生成するように構成されている。断面画像生成部2eは、第1重畳領域80の表示態様と非重畳領域81の表示態様とを異ならせることにより、第1重畳領域80と非重畳領域81とを識別可能に表示する。図6に示す例では、第1重畳領域80の表示色と非重畳領域81の表示色とを異ならせることにより、第1重畳領域80と非重畳領域81とを識別可能な画像を生成する。図6に示す例では、第1重畳領域80と非重畳領域81とに対して、異なるハッチングを付すことにより、第1重畳領域80と非重畳領域81とが識別可能なことを表している。なお、非重畳領域81とは、患部90のうち、治療光が照射されない領域のことである。
【0044】
また、図6に示すように、光伝搬領域31は、第1重畳領域80と、第2重畳領域82とを含む。断面画像生成部2eは、第1重畳領域80と第2重畳領域82とを識別可能に表示するように構成されている。具体的には、断面画像生成部2eは、第1重畳領域80の表示態様と第2重畳領域82の表示態様とを異ならせることにより、第1重畳領域80と第2重畳領域82とを識別可能に表示する。図6に示す例では、断面画像生成部2eは、第1重畳領域80の表示色と、第2重畳領域82の表示色とを異ならせることにより、第1重畳領域80と第2重畳領域82とを識別可能に表示する。なお、図6に示す例では、断面画像生成部2eは、第1重畳領域80に付すハッチングと、第2重畳領域82に付すハッチングとを異ならせることにより、第1重畳領域80と第2重畳領域82とを識別可能に表示する。また、第2重畳領域82は、光伝搬領域31のうち、患部90以外の他の部位が含まれる領域である。
【0045】
(複数の断面における断面画像)
次に、図7(A)~図7(C)を参照して、複数の断面における断面画像50a~断面画像50cについて説明する。断面画像生成部2eは、少なくとも棒状部材6の先端部6aが写る複数の断面画像50を生成するように構成されている。具体的には、断面画像生成部2eは、3つの断面画像50a~断面画像50cを生成するように構成されている。より具体的には、断面画像生成部2eは、棒状部材6の軸部6cに沿う方向に対して直交する断面の画像である断面画像50a(図7(A)参照)を生成するように構成されている。以下、棒状部材6の軸部6cに沿う方向に対して直交する断面を、コロナル断面とする。
【0046】
また、断面画像生成部2eは、棒状部材6の軸部6cと、軸部6cに直交する水平軸とを含む断面の画像である断面画像50b(図7(B)参照)を生成するように構成されている。以下、棒状部材6の軸部6cと、軸部6cに直交する水平軸とを含む断面をアキシャル断面とする。
【0047】
また、断面画像生成部2eは、棒状部材6の軸部6cと、軸部6cに直交する垂直軸とを含む断面の画像である断面画像50c(図7(C)参照)を生成するように構成されている。以下、棒状部材6の軸部6cと、軸部6cに直交する垂直軸とを含む断面をサジタル断面とする。
【0048】
図7(A)に示す断面画像50aは、コロナル断面の画像である。断面画像50aには、コロナル断面における患部90、患部90以外の他の部位、および、光伝搬領域31が表示される。なお、図7(A)に示す例では、光伝搬領域31が患部90よりも小さいため、光伝搬領域31として、第1重畳領域80が表示される。
【0049】
図7(B)に示す断面画像50bは、アキシャル断面の画像である。断面画像50bには、アキシャル断面における患部90、患部90以外の他の部位、光伝搬領域31、非重畳領域81、および、第2重畳領域82が写っている。
【0050】
図7(C)に示す断面画像50cは、サジタル断面の画像である。断面画像50cには、サジタル断面における患部90、患部90以外の他の部位、光伝搬領域31、非重畳領域81、および、第2重畳領域82が写っている。なお、図7(C)に示す例は、サジタル断面の画像である断面画像50cであり、アキシャル断面の画像である断面画像50bとは異なる断面であるため、患部90が異なる形状で写っている。
【0051】
(断面画像を重畳表示させた合成3次元画像)
次に、図8を参照して、断面画像50を重畳表示させた合成3次元画像23について説明する。本実施形態では、画像合成部2hは、断面画像50を重畳表示させることにより、合成3次元画像23を生成する。なお、本実施形態では、画像合成部2hは、合成3次元画像22(図4参照)に対して、コロナル断面の画像である断面画像50a、アキシャル断面の画像である断面画像50b、および、サジタル断面の画像である断面画像50cを重畳表示させることにより、合成3次元画像23を生成する。なお、図8に示す例では、主として、断面画像50cを視認できるアングルで図示しているが、操作入力によって画像空間上における合成3次元画像23の向きを変更することにより、断面画像50aまたは断面画像50bを視認することができる。
【0052】
(第1指標値および第2指標値)
ここで、光免疫療法では、光感受性物質を含む薬剤を投与し、患部90に治療光を当てることにより、患部90の治療を行う。この際、患部90に照射される治療光の光量が充分でない場合、充分な治療効果が得られない。そこで、本実施形態では、指標値取得部2gは、患部90に対する第1重畳領域80(図5参照)の重畳度合いを示す第1指標値40(図9参照)を取得するように構成されている。具体的には、指標値取得部2gは、患部90全体の体積に対する第1重畳領域80の体積の割合を示す値を、第1指標値40として取得する。
【0053】
また、光免疫療法において治療を行う際には、患部90以外の部位に照射され治療光の光量を低減したい。そこで、本実施形態では、指標値取得部2gは、光伝搬領域31と患部90以外の部位とが重畳する第2重畳領域82(図5参照)の重畳度合いを示す第2指標値41(図9参照)を取得するように構成されている。具体的には、指標値取得部2gは、光伝搬領域31の体積に対する第2重畳領域82の体積の割合を示す値を、第2指標値41として取得する。
【0054】
(合成3次元画像、断面画像、第1指標値、および、第2指標値の表示)
次に、図9を参照して、表示制御部2fが合成3次元画像23、複数の断面画像50、第1指標値40、および、第2指標値41を表示部4に表示させる構成について説明する。
【0055】
表示制御部2fは、断面の向きが互いに異なる複数の断面画像50を並べて表示させるように構成されている。具体的には、表示制御部2fは、表示部4において、断面画像50a、断面画像50b、および、断面画像50cを並べて表示させるように構成されている。また、本実施形態では、表示制御部2fは、複数の断面画像50とともに、合成3次元画像23を表示させるように構成されている。
【0056】
また、本実施形態では、表示制御部2fは、断面画像50とともに、第1指標値40を表示させるように構成されている。また、本実施形態では、表示制御部2fは、断面画像50とともに、第2指標値41を表示させるように構成されている。
【0057】
次に、図10を参照して、光治療計画装置100が、表示部4に断面画像50を表示させる処理について説明する。
【0058】
ステップ101において、画像取得部1は、複数の形態画像10を取得する。
【0059】
ステップ102において、3次元画像取得部2bは、被験者の患部90が見えるとともに、被験者の3次元の表面形状を示す3次元表面画像20を取得する。
【0060】
ステップ103において、3次元画像取得部2bは、3次元患部画像21を取得する。
【0061】
ステップ104において、画像合成部2hは、合成3次元画像22を取得する。具体的には、画像合成部2hは、3次元表面画像20と3次元患部画像21とを重畳させることにより、合成3次元画像22を取得する。
【0062】
ステップ105において、表示制御部2fは、合成3次元画像22を表示部4に表示させる。
【0063】
ステップ106において、制御部2aは、入力受付部5を介して、位置調整を行う棒状部材6の本数を取得する。また、制御部2aは、取得した本数を、記憶部3に記憶する。
【0064】
ステップ106において、制御部2aは、入力受付部5を介して、棒状部材6の先端部6aからの距離30を取得する。なお、ステップ106において、制御部2aは、位置調整を行う棒状部材6毎に、棒状部材6の先端部6aからの距離30を取得する。具体的には、制御部2aは、棒状部材6の先端部6aから光が照射される範囲を決定するための距離30を取得する。また、制御部2aは、取得した棒状部材6の先端部6aからの距離30を、記憶部3に記憶する。
【0065】
ステップ108において、棒状部材位置調整部2cは、3次元表面画像20に対して、画像空間上において、患部90に対して棒状部材6を挿入する際の棒状部材6の位置を調整する。具体的には、棒状部材位置調整部2cは、操作入力によって入力された棒状部材6の先端部6aの位置座標と、先端部6aとは反対側の端部6bの位置座標とに基づいて、棒状部材6の位置調整を行う。
【0066】
ステップ109において、制御部2aは、所定本数の棒状部材6の位置調整が完了したか否かを判定する。所定本数の棒状部材6の位置調整が完了した場合、処理は、ステップ110へ進む。所定本数の棒状部材6の位置調整が完了していない場合、処理は、ステップ108へ進む。なお、所定の本数とは、ステップ106において入力された位置調整を行う棒状部材6の本数である。
【0067】
ステップ110において、光伝搬領域取得部2dは、棒状部材6から光が伝搬する光伝搬領域31を取得する。
【0068】
ステップ111において、断面画像生成部2eは、3次元表面画像20の所定の断面において、被験者の患部90を含む内部形態像60と、棒状部材6と、光伝搬領域31と、を表示する断面画像50を生成する。
【0069】
ステップ112において、指標値取得部2gは、第1指標値40を取得する。
【0070】
ステップ113において、指標値取得部2gは、第2指標値41を取得する。
【0071】
ステップ114において、表示制御部2fは、表示部4において、断面画像50を表示させる。なお、本実施形態では、表示制御部2fは、表示部4に断面画像50を表示させる際に、合成3次元画像23、第1指標値40、および、第2指標値41を併せて表示させる。その後、処理は、終了する。
【0072】
なお、ステップ102の処理と、ステップ103の処理とは、どちらが先に行われてもよい。また、ステップ112の処理と、ステップ113の処理とは、どちらが先に行われてもよい。
【0073】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0074】
本実施形態では、上記のように、光治療計画装置100は、被験者の患部90が見えるとともに、被験者の3次元の表面形状を示す3次元表面画像20を取得する3次元画像取得部2bと、3次元表面画像20に対して、画像空間上において、患部90に対して棒状部材6を挿入する際の棒状部材6の位置を調整する棒状部材位置調整部2cと、棒状部材6から光が伝搬する光伝搬領域31を取得する光伝搬領域取得部2dと、3次元表面画像20の所定の断面において、被験者の患部90を含む内部形態像60と、棒状部材6と、光伝搬領域31と、を表示する断面画像50を生成する断面画像生成部2eと、断面画像50を表示させる制御を行う表示制御部2fと、を備える。
【0075】
3次元表面画像20に対して、画像空間上において、患部90に対して棒状部材6を挿入する際の棒状部材6の位置を調整する棒状部材位置調整部2cを備えることにより、患部90が見える3次元表面画像20の画像空間上において、棒状部材6の位置調整を行うことが可能であるため、操作者は、3次元表面画像20の画像空間上において、棒状部材6を確認しながら棒状部材6の位置調整を行うことができる。また、棒状部材6から光が伝搬する光伝搬領域31を取得する光伝搬領域取得部2dと、3次元表面画像20の所定の断面において、被験者の患部90を含む内部形態像60と、棒状部材6と、光伝搬領域31と、を表示する断面画像50を生成する断面画像生成部2eと、断面画像50を表示させる制御を行う表示制御部2fと、を備えることによって、操作者は、被験者の患部90を含む内部形態像60と、棒状部材6と、光伝搬領域31とが表示された断面画像50を確認することにより、棒状部材6から照射される光の領域である光伝搬領域31を事前に把握することができる。これらの結果、患部90に対する棒状部材6の配置を正確に把握することが可能であるとともに、患部90に対する治療光の照射範囲(光伝搬領域31)を事前に把握することが可能な光治療計画装置100を提供することができる。
【0076】
また、本実施形態では、光治療計画方法は、被験者の患部90が見えるとともに、被験者の3次元の表面形状を示す3次元表面画像20を取得するステップと、3次元表面画像20に対して、画像空間上において、患部90に対して棒状部材6を挿入する際の棒状部材6の位置を調整するステップと、棒状部材6から光が伝搬する光伝搬領域31を取得するステップと、3次元表面画像20の所定の断面において、被験者の患部90を含む内部形態像60と、棒状部材6と、光伝搬領域31と、を表示する断面画像50を生成するステップと、断面画像50を表示させるステップと、を備える。
【0077】
これにより、光治療計画装置100と同様に、患部90に対する棒状部材6の配置を正確に把握することが可能であるとともに、患部90に対する治療光の照射範囲(光伝搬領域31)を事前に把握することが可能な光治療計画方法を提供することができる。
【0078】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0079】
すなわち、本実施形態では、上記のように、断面画像生成部2eは、断面画像50として、患部90と光伝搬領域31とが重畳する第1重畳領域80と、第1重畳領域80以外の非重畳領域81とを識別可能な画像を生成するように構成されている。これにより、断面画像50において、第1重畳領域80を確認することにより、光が患部90に対してどの程度照射されているかを、一見して容易に把握することができる。その結果、棒状部材6の挿入位置が適切であるかを容易に判断することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、患部90に対する第1重畳領域80の重畳度合いを示す第1指標値40を取得する指標値取得部2gをさらに備え、表示制御部2fは、断面画像50とともに、第1指標値40を表示させるように構成されている。これにより、第1重畳領域80を視覚的に確認するのみならず、第1指標値40によって、治療光が患部90に対してどの程度照射されているかを、数値情報として把握することができる。その結果、棒状部材6の挿入位置が適切であるかをより容易に判断することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、操作者の操作入力を受け付ける入力受付部5をさらに備え、棒状部材位置調整部2cは、入力受付部5によって受け付けられた操作入力に基づいて、画像空間上における棒状部材6の位置を調整するように構成されている。これにより、画像空間上における棒状部材6の位置調整を、直感的に行うことができる。その結果、棒状部材6の位置調整を直感的に、かつ、容易に行うことができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、光伝搬領域取得部2dは、棒状部材6のうち、被験者に挿入された棒状部材6の軸部6cの中心から全周にわたって半径方向外側に照射される光が伝搬する領域を、光伝搬領域31として取得するように構成されている。これにより、光拡散方程式などを用いることなく、光伝搬領域31を容易に取得することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、光伝搬領域取得部2dは、予め入力された棒状部材6の先端部6aからの距離30と、棒状部材6の先端部6aの位置とに基づいて、光伝搬領域31を取得するように構成されている。これにより、棒状部材6の先端部6aからの距離30と、棒状部材6の先端部6aの位置とによって、光伝搬領域31をより容易に取得することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、3次元画像取得部2bは、患部90の3次元の画像である3次元患部画像21を取得するように構成されており、3次元表面画像20と、3次元患部画像21とを合成して、3次元患部画像21を識別可能な合成3次元画像22を生成する画像合成部2hをさらに備える。これにより、3次元表面画像20の画像空間上において、棒状部材6の位置調整を行う際に、患部90の3次元の位置を把握した状態で、棒状部材6の位置調整を行うことができる。その結果、棒状部材6の位置調整を容易に行うことができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、断面画像生成部2eは、断面画像50として、患部90と、患部90以外の他の部位とを識別可能な画像を生成するように構成されている。これにより、断面画像50において、患部90と患部90以外の他の部位とを容易に識別することができる。その結果、患部90の位置を把握した状態で治療計画を行うことが可能となるため、治療計画の精度を向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、断面画像生成部2eは、少なくとも棒状部材6の先端部6aが写る複数の断面画像50を生成するように構成されており、表示制御部2fは、断面の向きが互いに異なる複数の断面画像50を並べて表示させるように構成されている。これにより、複数の向きの断面画像50によって光伝搬領域31を確認することができる。その結果、棒状部材6が適切な位置に配置できているかを、複数の向きの断面画像50によって把握することが可能となるため、治療計画の精度を向上させることができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、指標値取得部2gは、光伝搬領域31と患部90以外の部位とが重畳する第2重畳領域82の重畳度合いを示す第2指標値41を取得するように構成されており、表示制御部2fは、断面画像50とともに、第2指標値41を表示させるように構成されている。これにより、第2指標値41を確認することにより、患部90以外の部位がどの程度光伝搬領域31に含まれるかを数値情報として容易に把握することができる。その結果、治療時において、正常な部位に対して、どの程度、治療光が照射されるかを数値情報として把握することができる。
【0088】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0089】
たとえば、上記実施形態では、画像合成部2hが、3次元表面画像20と3次元患部画像21とを合成した合成3次元画像22を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図11に示すように、変形例による画像合成部12bは、3次元表面画像20と、3次元患部画像21と、3次元内部構造画像24とを合成することにより、3次元画像25を生成するように構成されていてもよい。
【0090】
図11に示すように、変形例による光治療計画装置200は、プロセッサ2の代わりに、プロセッサ12を備える点で、上記実施形態による光治療計画装置100とは異なる。
【0091】
プロセッサ12は、3次元画像取得部2bの代わりに3次元画像取得部12aを備える点、および、画像合成部2hの代わりに画像合成部12bを備える点で、上記実施形態によるプロセッサ2とは異なる。
【0092】
変形例による3次元画像取得部12aは、被験者の内部構造の3次元の画像である3次元内部構造画像24を取得するように構成されている。具体的には、変形例による3次元画像取得部12aは、3次元内部構造画像24として、被験者の血管93(図12参照)の3次元の分布を示す3次元血管分布画像24a、および、被験者の骨94(図13参照)の3次元の分布を示す3次元骨分布画像24bのうちのいずれかを取得するように構成されている。
【0093】
変形例による3次元画像取得部12aは、画像取得部1を介して3次元内部構造画像24を取得する。具体的には、3次元画像取得部12aは、3次元内部構造画像24として、3次元血管分布画像24a、または、3次元骨分布画像24bを取得する。
【0094】
3次元血管分布画像24aを取得する場合、3次元画像取得部12aは、画像取得部1を介して、3次元血管分布画像24aとして、患部90の近傍の血管93を撮影した血管画像(MRA画像:Magnetic Resonance Angiography)を取得する。
【0095】
また、3次元骨分布画像24bを取得する場合、3次元画像取得部12aは、画像取得部1を介して、3次元骨分布画像24bとして、患部90の近傍の骨94を撮影したCT画像を取得する。
【0096】
変形例による画像合成部12bは、合成3次元画像22として、3次元表面画像20と、3次元患部画像21と、3次元内部構造画像24とを合成した3次元画像25を生成するように構成されている。具体的には、画像合成部12bは、3次元表面画像20と、3次元血管分布画像24a(図12参照)または3次元骨分布画像24b(図13参照)とを合成するように構成されている。
【0097】
図12は、画像合成部12bが生成した3次元画像25aの模式図である。3次元画像25は、3次元表面画像20と、3次元患部画像21と、3次元血管分布画像24aとを合成した3次元画像である。図12に示すように、3次元画像25aでは、被験者の患部90とともに、血管93が表示される。なお、図12に示す例では、便宜上、血管93を破線で図示している。
【0098】
図13は、画像合成部12bが生成した3次元画像25bの模式図である。3次元画像25bは、3次元表面画像20と、3次元患部画像21と、3次元骨分布画像24bとを合成した3次元画像である。図13に示すように、3次元画像25bでは、被験者の患部90とともに、骨94が表示される。なお、図13に示す例では、便宜上、骨94を破線で図示している。
【0099】
次に、図14を参照して、変形例による光治療計画装置200が、断面画像50を表示させる処理について説明する。なお、上記実施形態による光治療計画装置100が断面画像50を表示させる処理と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0100】
ステップ101~ステップ103において、3次元画像取得部12aは、3次元表面画像20および3次元患部画像21を取得する。
【0101】
ステップ201において、3次元画像取得部12aは、3次元内部構造画像24を取得する。なお、本実施形態では、3次元画像取得部12aは、3次元内部構造画像24として、3次元血管分布画像24a、または、3次元骨分布画像24bを取得する。
【0102】
ステップ202において、画像合成部12bは、3次元表面画像20と、3次元患部画像21と、3次元内部構造画像24とを合成することにより、3次元画像25を取得する。
【0103】
ステップ203において、表示制御部2fは、3次元画像25を表示部4に表示させる。
【0104】
その後、処理は、ステップ106~ステップ114へ進み、その後、終了する。
【0105】
変形例では、上記のように、3次元画像取得部2bは、被験者の内部構造の3次元の画像である3次元内部構造画像24を取得するように構成されており、画像合成部2hは、合成3次元画像22として、3次元表面画像20と、3次元患部画像21と、3次元内部構造画像24とを合成した3次元画像25を生成するように構成されている。これにより、3次元画像25の画像空間上において棒状部材6の挿入位置を調整する際に、患部90の3次元の位置を把握することが可能であるとともに、被験者の内部構造を把握することができる。その結果、操作者は、3次元画像25の画像空間上における棒状部材6の位置調整を行う際に、患部90の位置を把握しつつ、棒状部材6を配置する際に避けなければならない被験者の内部構造の位置を把握することができる。
【0106】
また、変形例では、上記のように、3次元画像取得部2bは、3次元内部構造画像24として、被験者の血管93の3次元の分布を示す3次元血管分布画像24a、および、被験者の骨94の3次元の分布を示す3次元骨分布画像24bのうちのいずれかを取得するように構成されており、画像合成部2hは、3次元表面画像20と、3次元血管分布画像24aまたは3次元骨分布画像24bとを合成するように構成されている。これにより、3次元画像25において、患部90の分布とともに、血管93の分布、または、骨94の分布を把握することができる。その結果、棒状部材6を挿入する際に、避けるべき血管93の位置、または、棒状部材6の挿入を阻害する骨94の位置を博することが可能となるので、より精度の高い治療計画を行うことができる。
【0107】
また、上記実施形態では、画像合成部2hが、3次元患部画像21の枠線を強調することにより、3次元表面画像20と3次元患部画像21とを識別可能に表示する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像合成部2hは、3次元表面画像20の表示色と3次元患部画像21の表示色とを異ならせることにより、3次元表面画像20と3次元患部画像21とを識別可能に表示してもよい。また、画像合成部2hは、3次元表面画像20の表示色の濃さと、3次元患部画像21の表示色の濃さとを異ならせることにより、3次元表面画像20と3次元患部画像21とを識別可能に表示してもよい。3次元表面画像20と3次元患部画像21とが識別可能であれば、画像合成部2hは、3次元表面画像20と3次元患部画像21とをどのように表示してもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、断面画像生成部2eが、断面画像50として、第1重畳領域80と、第1重畳領域80以外の非重畳領域81とを識別可能な画像を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、断面画像生成部2eは、断面画像50において、内部形態像60と、棒状部材6と、光伝搬領域31とが表示されていれば、第1重畳領域80と非重畳領域81とが識別可能でない画像を生成するように構成されていてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、光治療計画装置100が、指標値取得部2gを備え、指標値取得部2gが第1指標値40および第2指標値41を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、光治療計画装置100は、指標値取得部2gを備えていなくてもよい。しかしながら、光治療計画装置100が指標値取得部2gを備えていない場合、第1指標値40および第2指標値41を操作者が把握することができなくなる。したがって、光治療計画装置100は、指標値取得部2gを備えていることが好ましい。
【0110】
また、上記実施形態では、光伝搬領域取得部2dが、棒状部材6の先端部6aの位置と、棒状部材6の先端部6aからの距離30とに基づいて、光伝搬領域31を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、光伝搬領域取得部2dは、光拡散方程式などに基づいて、光伝搬領域31を取得するように構成されていてもよい。光伝搬領域31を取得することが可能であれば、光伝搬領域取得部2dは、どのように光伝搬領域31を取得するように構成されていてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、光治療計画装置100が、画像合成部2hを備え、画像合成部2hが、3次元表面画像20と3次元患部画像21とを合成した合成3次元画像22を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、光治療計画装置100は、画像合成部2hを備えていなくてもよい。光治療計画装置100が画像合成部2hを備えていない場合、3次元画像取得部2bは、光治療計画装置100とは異なる画像処理装置などによって生成された合成3次元画像22を取得するように構成すればよい。
【0112】
また、上記実施形態では、断面画像生成部2eが、患部90の表示色と患部90以外の他の部位の表示色とを異ならせることにより、患部90と患部90以外の他の部位とを識別可能に表示する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、断面画像生成部2eは、患部90の枠線を強調表示することにより、患部90と患部90以外の他の部位とを識別可能に表示してもよい。また、断面画像生成部2eは、患部90の表示色の濃さと、患部90以外の他の部位の表示色の濃さとを異ならせることにより、患部90と患部90以外の他の部位とを識別可能に表示してもよい。患部90と患部90以外の他の部位とが識別可能に表示されていれば、断面画像生成部2eは、患部90と患部90以外の他の部位とをどのように表示してもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、断面画像生成部2eが、断面画像50として、患部90と患部90以外の部位とを識別可能な画像を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、断面画像生成部2eは、断面画像50として、患部90と患部90以外の部位とが識別可能でない画像を生成するように構成されていてもよい。しかしながら、断面画像50において患部90と患部90以外の部位とが識別可能でない場合、棒状部材6の位置が正しいか否かを判断することが困難な場合がある。そのため、治療計画の精度が低下する。したがって、断面画像生成部2eは、断面画像50として、患部90と患部90以外の部位とが識別可能な画像を生成するように構成されていることが好ましい。
【0114】
また、上記実施形態では、断面画像生成部2eが、複数の断面画像50を生成し、表示制御部2fが、断面の向きが互いに異なる複数の断面画像50を並べて表示させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、断面画像生成部2eは、1つの断面画像50を生成するように構成されていてもよい。また、表示制御部2fは、1つの断面画像50を表示させるように構成されていてもよい。しかしながら、断面の向きが互いに異なる複数の断面画像50を表示させる構成のほうが、操作者が光伝搬領域31を詳細に把握することが可能である。そのため、断面画像生成部2eは、複数の断面画像50を生成するように構成されていることが好ましい。また、表示制御部2fは、複数の断面画像50を表示するように構成されていることが好ましい。
【0115】
また、上記実施形態では、3次元画像取得部2bが、複数の形態画像10に基づいて、3次元表面画像20を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、3次元画像取得部2bは、光治療計画装置100とは異なる画像処理装置などで予め生成された3次元表面画像20を取得するように構成されていてもよい。また、3次元画像取得部2bは、3次元表面画像20のボクセルデータを取得するように構成されていてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、3次元画像取得部2bが、患部90が写る複数の患部スライス画像に基づいて、3次元患部画像21を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、3次元画像取得部2bは、光治療計画装置100とは異なる画像処理装置などで予め生成された3次元患部画像21を取得するように構成されていてもよい。また、3次元画像取得部2bは、3次元患部画像21として、PET(Positron Emission Tomography)などによって撮影された画像を取得するように構成されていてもよい。また、3次元画像取得部2bは、3次元患部画像21を、ボクセルデータとして取得するように構成されていてもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、光伝搬領域取得部2dが、所定本数の棒状部材6の位置調整が完了した際に、光伝搬領域31を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、光伝搬領域取得部2dは、所定の本数の棒状部材6の位置調整が完了する前であっても、操作者によって光伝搬領域31の取得を開始する操作入力が行われた場合に、光伝搬領域31を取得するように構成されていてもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、断面画像生成部2eが、光伝搬領域31の表示色と、患部90の表示色とを異ならせることにより、光伝搬領域31と患部90とを識別可能に表示する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、断面画像生成部2eは、光伝搬領域31の枠線を強調表示することにより、光伝搬領域31と患部90とを識別可能に表示してもよい。また、断面画像生成部2eは、光伝搬領域31の表示色の濃さと、患部90の表示色の濃さとを異ならせることにより、光伝搬領域31と患部90とを識別可能に表示してもよい。光伝搬領域31と患部90とが識別可能に表示されていれば、断面画像生成部2eは、光伝搬領域31と患部90とをどのように表示してもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、断面画像生成部2eが、第1重畳領域80の表示色と、非重畳領域81の表示色とを異ならせることにより、第1重畳領域80と非重畳領域81とを識別可能に表示する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、断面画像生成部2eは、第1重畳領域80の枠線を強調表示することにより、第1重畳領域80と非重畳領域81とを識別可能に表示してもよい。また、断面画像生成部2eは、第1重畳領域80の表示色の濃さと、非重畳領域81の表示色の濃さとを異ならせることにより、第1重畳領域80と非重畳領域81とを識別可能に表示してもよい。第1重畳領域80と非重畳領域81とが識別可能に表示されていれば、断面画像生成部2eは、第1重畳領域80と非重畳領域81とをどのように表示してもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、断面画像生成部2eが、第1重畳領域80の表示色と、第2重畳領域82の表示色とを異ならせることにより、第1重畳領域80と第2重畳領域82とを識別可能に表示する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、断面画像生成部2eは、第1重畳領域80の枠線を強調表示することにより、第1重畳領域80と第2重畳領域82とを識別可能に表示してもよい。また、断面画像生成部2eは、第1重畳領域80の表示色の濃さと、第2重畳領域82の表示色の濃さとを異ならせることにより、第1重畳領域80と第2重畳領域82とを識別可能に表示してもよい。第1重畳領域80と第2重畳領域82とが識別可能に表示されていれば、断面画像生成部2eは、第1重畳領域80と第2重畳領域82とをどのように表示してもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、3次元画像取得部2bが、内部が空洞の3次元表面画像20を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、3次元画像取得部2bは、3次元表面画像20の代わりに、内部形態像60を含む3次元画像を取得するように構成されていてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、光治療計画装置100が、3次元画像取得部2bと、棒状部材位置調整部2cと、光伝搬領域取得部2dと、断面画像生成部2eとを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、光治療計画装置100は、3次元画像取得部2bと、棒状部材位置調整部2cと、光伝搬領域取得部2dと、断面画像生成部2eとを備えていなくてもよい。すなわち、3次元画像取得部2bと、棒状部材位置調整部2cと、光伝搬領域取得部2dと、断面画像生成部2eとが、HIS(Hospital Information System)サーバ、または、RIS(Radiology Information Systems)サーバなどのサーバに設けられており、光治療計画装置が、ネットワークを介してHISサーバ、または、RISサーバなどのサーバによって生成された断面画像50を取得し、表示部4に表示させる構成であってもよい。言い換えると、光治療計画装置100は、いわゆる、クライアントサーバシステムの一部として構成されていてもよい。
【0123】
[態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0124】
(項目1)
被験者の患部が見えるとともに、前記被験者の3次元の表面形状を示す3次元表面画像を取得する3次元画像取得部と、
前記3次元表面画像に対して、画像空間上において、前記患部に対して棒状部材を挿入する際の前記棒状部材の位置を調整する棒状部材位置調整部と、
前記棒状部材から光が伝搬する光伝搬領域を取得する光伝搬領域取得部と、
前記3次元表面画像の所定の断面において、前記被験者の前記患部を含む内部形態像と、前記棒状部材と、前記光伝搬領域と、を表示する断面画像を生成する断面画像生成部と、
前記断面画像を表示させる制御を行う表示制御部と、を備える、光治療計画装置。
【0125】
(項目2)
前記断面画像生成部は、前記断面画像として、前記患部と前記光伝搬領域とが重畳する第1重畳領域と、前記第1重畳領域以外の非重畳領域とを識別可能な画像を生成するように構成されている、項目1に記載の光治療計画装置。
【0126】
(項目3)
前記患部に対する前記第1重畳領域の重畳度合いを示す第1指標値を取得する指標値取得部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記断面画像とともに、前記第1指標値を表示させるように構成されている、項目2に記載の光治療計画装置。
【0127】
(項目4)
操作者の操作入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記棒状部材位置調整部は、前記入力受付部によって受け付けられた前記操作入力に基づいて、画像空間上における前記棒状部材の位置を調整するように構成されている、項目1に記載の光治療計画装置。
【0128】
(項目5)
前記光伝搬領域取得部は、前記棒状部材のうち、前記被験者に挿入された前記棒状部材の軸部の中心から全周にわたって半径方向外側に照射される光が伝搬する領域を、前記光伝搬領域として取得するように構成されている、項目1に記載の光治療計画装置。
【0129】
(項目6)
前記光伝搬領域取得部は、予め入力された前記棒状部材の先端部からの距離と、前記棒状部材の先端部の位置とに基づいて、前記光伝搬領域を取得するように構成されている、項目5に記載の光治療計画装置。
【0130】
(項目7)
前記3次元画像取得部は、前記患部の3次元の画像である3次元患部画像を取得するように構成されており、
前記3次元表面画像と、前記3次元患部画像とを合成して、前記3次元患部画像を識別可能な合成3次元画像を生成する画像合成部をさらに備える、項目1に記載の光治療計画装置。
【0131】
(項目8)
前記3次元画像取得部は、前記被験者の内部構造の3次元の画像である3次元内部構造画像を取得するように構成されており、
前記画像合成部は、前記合成3次元画像として、前記3次元表面画像と、前記3次元患部画像と、前記3次元内部構造画像とを合成した3次元画像を生成するように構成されている、項目7に記載の光治療計画装置。
【0132】
(項目9)
前記3次元画像取得部は、前記3次元内部構造画像として、前記被験者の血管の3次元の分布を示す3次元血管分布画像、および、前記被験者の骨の3次元の分布を示す3次元骨分布画像のうちのいずれかを取得するように構成されており、
前記画像合成部は、前記3次元表面画像と、前記3次元血管分布画像または前記3次元骨分布画像とを合成するように構成されている、項目8に記載の光治療計画装置。
【0133】
(項目10)
前記断面画像生成部は、前記断面画像として、前記患部と、前記患部以外の他の部位とを識別可能な画像を生成するように構成されている、項目1に記載の光治療計画装置。
【0134】
(項目11)
前記断面画像生成部は、少なくとも前記棒状部材の先端部が写る複数の前記断面画像を生成するように構成されており、
前記表示制御部は、断面の向きが互いに異なる複数の前記断面画像を並べて表示させるように構成されている、項目1に記載の光治療計画装置。
【0135】
(項目12)
前記指標値取得部は、前記光伝搬領域と前記患部以外の部位とが重畳する第2重畳領域の重畳度合いを示す第2指標値を取得するように構成されており、
前記表示制御部は、前記断面画像とともに、前記第2指標値を表示させるように構成されている、項目3に記載の光治療計画装置。
【0136】
(項目13)
被験者の患部が見えるとともに、前記被験者の3次元の表面形状を示す3次元表面画像を取得するステップと、
前記3次元表面画像に対して、画像空間上において、前記患部に対して棒状部材を挿入する際の前記棒状部材の位置を調整するステップと、
前記棒状部材から光が伝搬する光伝搬領域を取得するステップと、
前記3次元表面画像の所定の断面において、前記被験者の前記患部を含む内部形態像と、前記棒状部材と、前記光伝搬領域と、を表示する断面画像を生成するステップと、
前記断面画像を表示させるステップと、を備える、光治療計画方法。
【符号の説明】
【0137】
2b、12a 3次元画像取得部
2c 棒状部材位置調整部
2d 光伝搬領域取得部
2e 断面画像生成部
2f 表示制御部
2g 指標値取得部
2h、12b 画像生成部
5 入力受付部
6 棒状部材
6a 棒状部材の先端部
6c 棒状部材の軸部
20 3次元表面画像
21 3次元患部画像
22、23 合成3次元画像
24 3次元内部構造画像
24a 3次元血管分布画像
24b 3次元骨分布画像
25、25a、25b 3次元画像(3次元表面画像と、3次元患部画像と、3次元内部構造画像とを合成した3次元画像)
30 棒状部材6の先端部6aからの距離
31 光伝搬領域
40 第1指標値
41 第2指標値
50、50a、50b、50c 断面画像
60 内部形態像
80 第1重畳領域
81 非重畳領域
82 第2重畳領域
90 患部
100、200 光治療計画装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14