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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】有極直流電磁石装置、電磁接触器
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/127 20060101AFI20240709BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20240709BHJP
   H01F 7/06 20060101ALI20240709BHJP
   H01F 7/122 20060101ALI20240709BHJP
   H01F 7/126 20060101ALI20240709BHJP
   H01H 50/42 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01F7/16 Q
H01F7/06 C
H01F7/16 D
H01F7/16 E
H01F7/122 C
H01F7/06 E
H01F7/16 K
H01H50/42 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023574773
(86)(22)【出願日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2023008357
(87)【国際公開番号】W WO2024009559
(87)【国際公開日】2024-01-11
【審査請求日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2022110767
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】関谷 優志
(72)【発明者】
【氏名】高谷 幸悦
(72)【発明者】
【氏名】和賀井 大史
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-249137(JP,A)
【文献】特開2011-28900(JP,A)
【文献】特開昭51-75949(JP,A)
【文献】特開2005-308040(JP,A)
【文献】特開2018-49859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06-31/11
H01F 7/06- 7/17
H01H 45/00-45/14
H01H 50/00-50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
奥行方向に延びる円筒部にコイルが巻かれ、前記円筒部における奥行方向の両側にフランジが形成されたスプールと、
奥行方向と平行に延びる平板状に形成され、奥行方向における両側の縁部が前記フランジに嵌め込まれる内ヨークと、を備え、
前記フランジには、嵌め込まれた前記内ヨークを保持する爪部が形成されていることを特徴とする有極直流電磁石装置。
【請求項2】
前記円筒部に挿入されたプランジャと、
前記プランジャにおける奥行方向の手前側に連結された第一のアーマチュアと、
前記プランジャにおける奥行方向の奥側に連結された第二のアーマチュアと、
コ字状に形成され、一端側が奥行方向の手前側で前記第一のアーマチュアと前記フランジとの間に配置され、他端側が奥行方向の奥側で前記第二のアーマチュアを挟んで前記フランジの反対側に配置され、中央が前記内ヨークに対向している外ヨークと、
前記内ヨークと前記外ヨークとの間に設けられた永久磁石と、を備え、
前記コイルが非励磁のときには、前記第二のアーマチュアを前記永久磁石によって前記内ヨークに吸引し、
前記コイルが励磁されたときには、前記第一のアーマチュアを前記外ヨークの一端側に吸引し、且つ前記第二のアーマチュアを前記外ヨークの他端側に吸引することを特徴とする請求項1に記載の有極直流電磁石装置。
【請求項3】
前記永久磁石は、前記内ヨークにおける奥行方向の奥側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の有極直流電磁石装置。
【請求項4】
前記内ヨークには、奥行方向の手前側に開口部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の有極直流電磁石装置。
【請求項5】
前記フランジは、
奥行方向に直交する縦方向の外側を向いた内側端面と、
奥行方向の内側を向いた底面と、を備え、
前記爪部は、
前記内ヨークの厚さ分を開けて前記内側端面に対向する外側端面と、
奥行方向の内側及び縦方向の外側を向いた傾斜面と、を備え、
前記内ヨークの前記縁部は、前記内側端面、前記底面、及び前記外側端面によって構成される凹溝に嵌め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の有極直流電磁石装置。
【請求項6】
請求項1に記載の有極直流電磁石装置を備え、
前記有極直流電磁石装置によって接点の開閉が行われる電磁接触器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有極直流電磁石装置、電磁接触器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、電磁接触器の有極直流電磁石装置は、プランジャを駆動して接点の開閉を行なうものであり、外ヨークの内側には、永久磁石及び内ヨークが設けられている。永久磁石には、非励磁のときにアーマチュアを内ヨークに吸着させて、プランジャの位置を保持する機能がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/177960号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内ヨークは、その上端と下端をスプールに嵌め合わせて支持することになるが、組立時における振動や衝撃、また永久磁石や外ヨークを近づけたときの吸引力によって、スプールに対して内ヨークに脱落や位置ずれが生じる可能性があった。
本発明の目的は、有極直流電磁石装置において、組立時における内ヨークの脱落や位置ずれを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る有極直流電磁石装置は、スプールと、内ヨークと、を備える。スプールは、奥行方向に延びる円筒部にコイルが巻かれ、円筒部における奥行方向の両側にフランジが形成されている。内ヨークは、奥行方向と平行に延びる平板状に形成され、奥行方向における両側の縁部がフランジに嵌め込まれている。フランジには、嵌め込まれた内ヨークを保持する爪部が形成されている。
本発明の他の態様に係る電磁接触器は、有極直流電磁石装置を備え、有極直流電磁石装置によって接点の開閉が行われる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、内ヨークが爪部によって保持されるため、組立時における内ヨークの脱落や位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電磁接触器を示す図である。
図2】有極直流電磁石装置を示す図である。
図3】有極直流電磁石装置を示す断面図である。
図4】スプール及び奥行方向手前側の爪部を示す図である。
図5】スプール及び奥行方向奥側の爪部を示す図である。
図6】内ヨーク及び永久磁石を示す図である。
図7】スプールに内ヨークを組み付けた状態を示す図である。
図8】比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
《実施形態》
《構成》
以下の説明では、互いに直交する三方向を、便宜的に、縦方向、幅方向、及び奥行方向とする。
図1は、電磁接触器11を示す図である。
ここでは、電磁接触器11を、縦方向の他方、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。電磁接触器11は、下部フレーム12と、上部フレーム13と、を備えている。
【0010】
図2は、有極直流電磁石装置21を示す図である。
ここでは、有極直流電磁石装置21を、縦方向の他方、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。有極直流電磁石装置21は、下部フレーム12の内側に収容されており、非励磁と励磁を切り替えることで接点の開閉を行なう。
図3は、有極直流電磁石装置21を示す断面図である。
ここでは、幅方向の中心を通り、縦方向及び奥行方向に沿った有極直流電磁石装置21の断面を、幅方向の一方から見た状態を示す。有極直流電磁石装置21は、スプール22と、プランジャ23と、上部アーマチュア24(第一のアーマチュア)と、下部アーマチュア25(第二のアーマチュア)と、外ヨーク26と、内ヨーク27と、永久磁石28と、復帰スプリング29と、を備えている。
【0011】
スプール22は、絶縁性を有する樹脂製であり、奥行方向に延びる円筒部31にコイル32が巻かれており、円筒部31における奥行方向の両側に、径方向に突出したフランジ33が形成されている。
プランジャ23は、円柱状の可動鉄心であり、軸方向に進退可能な状態でスプール22の円筒部31に挿入されている。プランジャ23は、円筒部31よりも軸方向に長い。
上部アーマチュア24は、奥行方向から見て略方形となる縦方向及び幅方向に沿った鉄板であり、プランジャ23における奥行方向手前側の端部に、例えばカシメによって連結されている。
下部アーマチュア25は、奥行方向から見て略方形となる縦方向及び幅方向に沿った鉄板であり、プランジャ23における奥行方向奥側の端部に、例えばカシメによって連結されている。
【0012】
外ヨーク26は、縦方向の一方及び他方に一つずつ設けられ、夫々、幅方向から見て縦方向の内側に向かって開いた略コ字状に形成された継鉄である。外ヨーク26は、側片部36と、上片部37と、下片部38と、を備えている。側片部36は、幅方向及び奥行方向に沿った板状に形成されている。上片部37は、側片部36における奥行方向手前側の端部から縦方向の内側に向かって突出しており、縦方向及び幅方向に沿った板状に形成されている。上片部37は、上部アーマチュア24と奥行方向における手前側のフランジ33との間で、フランジ33に接するように設けられている。下片部38は、側片部36における奥行方向奥側の端部から縦方向の内側に向かって突出しており、縦方向及び幅方向に沿った板状に形成されている。下片部38は、下部アーマチュア25を挟んで奥行方向における奥側のフランジ33と反対側に設けられている。側片部36、上片部37、及び下片部38は、プレス加工によって一体成形されている。
【0013】
内ヨーク27は、縦方向の一方及び他方に一つずつ設けられ、夫々、幅方向及び奥行方向に沿った平板状の継鉄である。内ヨーク27は、奥行方向における両側がスプール22のフランジ33に嵌め込まれて支持されている。
永久磁石28は、略直方体であり、奥行方向の奥側で外ヨーク26の側片部36と内ヨーク27との間に介在して、側片部36及び内ヨーク27の双方に吸着して固定されている。永久磁石28は、例えば外側をN極とし、内側をS極とする。
復帰スプリング29は、下部フレーム12の内側底面と下部アーマチュア25との間に介在し、下部アーマチュア25を介してプランジャ23を奥行方向の手前側へと付勢している。
【0014】
上記の構成により、コイル32に通電がない非励磁の状態では、永久磁石28の磁力と復帰スプリング29の反発力によって、プランジャ23が奥行方向の手前側に変位した配置となる。永久磁石28の磁束は、永久磁石28の外側、側片部36、上片部37、プランジャ23、下部アーマチュア25、及び内ヨーク27を順に経て、永久磁石28の内側へと至る。この閉ループとなる磁気回路によって、下部アーマチュア25が内ヨーク27の下端に吸着される。こうして、プランジャ23が奥行方向の手前側へと変位しているときに、図示しない接点支えを介して接点が開き、釈放状態となる。このとき、上片部37に対して上部アーマチュア24が離間し、且つ下片部38に対して下部アーマチュア25が離間している。
【0015】
この状態から、コイル32に通電され励磁されると、コイル32の磁力によって、上片部37に上部アーマチュア24が吸着されると共に、下片部38に下部アーマチュア25が吸着される。これにより、プランジャ23が永久磁石28の磁力と復帰スプリング29の反発力に逆らって奥行方向の奥側に変位した配置となる。コイル32の磁束は、プランジャ23における奥行方向の手前側、上部アーマチュア24、上片部37、側片部36、下片部38、及び下部アーマチュア25を順に経て、プランジャ23における奥行方向の奥側へと至る。この閉ループとなる磁気回路によって、上片部37に上部アーマチュア24が吸着されると共に、下片部38に下部アーマチュア25が吸着される。こうして、プランジャ23が奥行方向の奥側へと変位しているときに、図示しない接点支えを介して接点が閉じ、投入状態となる。このとき、内ヨーク27の下端に対して下部アーマチュア25が離間している。
【0016】
次に、内ヨーク27の嵌め込みについて説明する。
図4は、スプール22及び奥行方向手前側の爪部41を示す図である。
図中の(a)は、スプール22を、縦方向の他方、幅方向の一方、及び奥行方向の奥から見た状態を示す。奥行方向の手前側において、スプール22のフランジ33には、内ヨーク27を保持する爪部41が形成されている。爪部41は、縦方向の一方で幅方向の一方に一つ、縦方向の一方で幅方向の他方に一つ、縦方向の他方で幅方向の一方に一つ、及び縦方向の他方で幅方向の他方に一つあり、計四つが形成されている。縦方向の一方に設けられた二つの爪部41、及び縦方向の他方に設けられた二つの爪部41は、夫々、幅方向から見て同じ位置に形成されている。
【0017】
図中の(b)は、縦方向の他方で幅方向の一方に配置された爪部41を、幅方向の一方から見た状態を示す。フランジ33は、内側端面42と、底面43と、を備えている。内側端面42は、縦方向の外側を向いており、底面43は、奥行方向の内側を向いている。爪部41は、外側端面44と、傾斜面45と、を備えている。外側端面44は、内ヨーク27の厚さ分を開けて内側端面42に対向しており、傾斜面45は、奥行方向の内側及び縦方向の外側を向いている。外側端面44の奥行寸法は、爪部41の高さとなり、内側端面42の奥行寸法よりも小さく設定されている。内側端面42、底面43、及び外側端面44によって構成される凹溝46に、内ヨーク27の縁部が嵌め込まれる。
【0018】
図5は、スプール22及び奥行方向奥側の爪部51を示す図である。
図中の(a)は、スプール22を、縦方向の他方、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。奥行方向の奥側において、スプール22のフランジ33には、内ヨーク27を保持する爪部51が形成されている。爪部51は、縦方向の一方で幅方向の一方に一つ、縦方向の一方で幅方向の他方に一つ、縦方向の他方で幅方向の一方に一つ、及び縦方向の他方で幅方向の他方に一つあり、計四つが形成されている。縦方向の一方に設けられた二つの爪部51、及び縦方向の他方に設けられた二つの爪部51は、夫々、幅方向から見て同じ位置に形成されている。各爪部51は、奥行方向から見て各爪部41と同じ位置に形成されている。
【0019】
図中の(b)は、縦方向の他方で幅方向の一方に配置された爪部51を、幅方向の一方から見た状態を示す。フランジ33は、内側端面52と、底面53と、を備えている。内側端面52は、縦方向の外側を向いており、底面53は、奥行方向の内側を向いている。爪部51は、外側端面54と、傾斜面55と、を備えている。外側端面54は、内ヨーク27の厚さ分を開けて内側端面52に対向しており、傾斜面55は、奥行方向の内側及び縦方向の外側を向いている。外側端面54の奥行寸法は、爪部51の高さとなり、内側端面52の奥行寸法よりも小さく設定されている。内側端面52、底面53、及び外側端面54によって構成される凹溝56に、内ヨーク27の縁部が嵌め込まれる。
【0020】
図6は、内ヨーク27及び永久磁石28を示す図である。
図中の(a)は、内ヨーク27を、縦方向の外側、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。内ヨーク27は、縦方向から見た四隅が、凹溝46及び凹溝56に嵌まり合う縁部61となる。内ヨーク27は、奥行方向奥側の縁部61同士の間が奥行方向の奥側に突出しており、その下端部62に下部アーマチュア25が吸着される。内ヨーク27には、奥行方向の手前側に開口部63が形成されている。開口部63は、縦方向から見て略方形であり、内ヨーク27を縦方向に貫通している。内ヨーク27には、縦方向の外側を向いた壁面のうち奥行方向の奥側に、二つの凸部64が形成されている。
図中の(b)は、永久磁石28を、縦方向の内側、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示す。永久磁石28には、縦方向の内側を向いた壁面に、凸部64に嵌まり合う二つの凹部65が形成されている。したがって、内ヨーク27に永久磁石28を吸着させるときに、一対の凸部64に一対の凹部65が嵌まり合うことで、永久磁石28の位置決めがなされる。
【0021】
図7は、スプール22に内ヨーク27を組み付けた状態を示す図である。
図中の(a)は、内ヨーク27が嵌め合わされたスプール22を、幅方向の一方から見た状態を示す。図中の(b)は、内ヨーク27が嵌め合わされたスプール22を、縦方向の他方から見た状態を示す。ここでは、コイル32を省略してある。内ヨーク27は、フランジ33同士の間に嵌め込まれており、縦方向から見た四隅が爪部41及び爪部51によって保持されている。内ヨーク27を嵌め込む際、内ヨーク27の縁部61が傾斜面45及び傾斜面55に当接するが、強く押し込むことで樹脂製のフランジ33が撓み、凹溝46及び凹溝56に内ヨーク27の縁部61が嵌まり込む。手作業の場合は、例えば奥行方向の奥側にある二つの凹溝56に、二つの縁部61を引っ掛けて、次いで奥行方向の手前側にある二つの凹溝46に、残りの二つの縁部61を押し込むとよい。スプール22に内ヨーク27を嵌め込んだら、内ヨーク27に永久磁石28を取り付け、そしてスプール22に外ヨーク26を取り付ける。
【0022】
《作用効果》
次に、実施形態の主要な作用効果について説明する。
有極直流電磁石装置21は、スプール22と、内ヨーク27と、を備えている。スプール22は、奥行方向に延びる円筒部31にコイル32が巻かれ、円筒部31における奥行方向の両側にフランジ33が形成されている。内ヨーク27は、奥行方向と平行に延びる平板状に形成され、奥行方向における両側の縁部61がフランジ33に嵌め込まれている。フランジ33には、嵌め込まれた内ヨーク27を保持する爪部41及び爪部51が形成されている。したがって、内ヨーク27が爪部41及び爪部51によって保持されるため、組立時における内ヨーク27の脱落や位置ずれを抑制することができる。
【0023】
有極直流電磁石装置21は、プランジャ23と、上部アーマチュア24と、下部アーマチュア25と、外ヨーク26と、永久磁石28と、を備えている。プランジャ23は、円筒部31に挿入されている。上部アーマチュア24は、プランジャ23における奥行方向の手前側に連結されている。下部アーマチュア25は、プランジャ23における奥行方向の奥側に連結されている。外ヨーク26は、コ字状に形成され、一端側が奥行方向の手前側で上部アーマチュア24とフランジ33との間に配置され、他端側が奥行方向の奥側で下部アーマチュア25を挟んでフランジ33の反対側に配置され、中央が内ヨーク27に対向している。永久磁石28は、内ヨーク27と外ヨーク26との間に設けられている。コイル32が非励磁のときには、下部アーマチュア25を永久磁石28によって内ヨーク27に吸引する。コイル32が励磁されたときには、上部アーマチュア24を外ヨーク26の一端側に吸引し、且つ下部アーマチュア25を外ヨーク26の他端側に吸引する。したがって、非励磁と励磁を切り替えることで、プランジャ23を進退させて接点の開閉を行なうことができる。
【0024】
永久磁石28は、内ヨーク27における奥行方向の奥側に配置されている。永久磁石28を奥行方向の奥側に配置することで、内ヨーク27の下端部62における下部アーマチュア25への吸引力を高めることができる。
内ヨーク27には、奥行方向の手前側に開口部63が形成されている。これにより、有極直流電磁石装置21の軽量化を図ることができる。
【0025】
フランジ33は、内側端面42(又は52)と、底面43(又は53)と、を備えている。内側端面42(又は52)は、奥行方向に直交する縦方向の外側を向いている。底面43(又は53)は、奥行方向の内側を向いている。爪部41(又は51)は、外側端面44(又は54)と、傾斜面45(又は55)と、を備えている。外側端面44(又は54)は、内ヨーク27の厚さ分を開けて内側端面42(又は52)に対向している。傾斜面45(又は55)は、奥行方向の内側及び縦方向の外側を向いている。内ヨーク27の縁部61は、内側端面42(又は52)、底面43(又は53)、及び外側端面44(又は54)によって構成される凹溝46(又は56)に嵌め込まれている。これにより、内ヨーク27の縁部61が凹溝46及び凹溝56によって保持されるため、組立時における内ヨーク27の脱落や位置ずれを抑制することができる。
電磁接触器11は、有極直流電磁石装置21を備え、有極直流電磁石装置21によって接点の開閉が行われる。したがって、組立時における内ヨーク27の脱落や位置ずれを抑制した電磁接触器11を提供することができる。
【0026】
次に、比較例について説明する。
図8は、比較例を示す図である。
比較例は、爪部41及び爪部51を省略したことを除いては、前述した実施形態と同様であるため、共通部分については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。内ヨーク27は、その上端と下端をスプール22のフランジ33に嵌め合わせて支持されている。すなわち、上端が内側端面42及び底面43の入隅に支持され、下端が内側端面52及び底面53の入隅に支持されているだけである。そのため、組立時における振動や衝撃、また永久磁石28や外ヨーク26を近づけたときの吸引力によって、スプール22に対して内ヨーク27に脱落や位置ずれが生じる可能性があった。
【0027】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0028】
11…電磁接触器、12…下部フレーム、13…上部フレーム、21…有極直流電磁石装置、22…スプール、23…プランジャ、24…上部アーマチュア、25…下部アーマチュア、26…外ヨーク、27…内ヨーク、28…永久磁石、29…復帰スプリング、31…円筒部、32…コイル、33…フランジ、36…側片部、37…上片部、38…下片部、41…爪部、42…内側端面、43…底面、44…外側端面、45…傾斜面、46…凹溝、51…爪部、52…内側端面、53…底面、54…外側端面、55…傾斜面、56…凹溝、61…縁部、62…下端部、63…開口部、64…凸部、65…凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8