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特許7517634ディスプレイシステムおよびそのための光制御フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ディスプレイシステムおよびそのための光制御フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
G02B27/01
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023028075
(22)【出願日】2023-02-27
(65)【公開番号】P2023147210
(43)【公開日】2023-10-12
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】2204411.9
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519027213
【氏名又は名称】エンヴィシクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー スミ―トン
(72)【発明者】
【氏名】シーア ヤイレン
(72)【発明者】
【氏名】セレドニア クラウチック
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/147570(WO,A1)
【文献】特開2020-013118(JP,A)
【文献】特開2000-193809(JP,A)
【文献】特開2005-084172(JP,A)
【文献】特開平04-281422(JP,A)
【文献】独国特許発明第102020205444(DE,B3)
【文献】特開2008-122850(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0224062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/23-35/231
G09F 9/00
G02B 5/00,5/04,5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のヘッドアップディスプレイであって、前記ヘッドアップディスプレイが、
反射面を有する光学部品と、
前記光学部品上に配置され、前記反射面への光路上にある太陽光を受光する光制御層であって、太陽光受光面およびルーバーの配列を隔てるコア材を備えるものと、を備え、
前記光制御層の前記太陽光受光面が、鋸歯状になっており、
前記太陽光受光面の鋸歯の周期は、前記ルーバーの配列の周期に実質的に等しく
前記太陽光受光面は、太陽光をアイボックスから遠ざけるように傾斜した傾斜表面の配列を有する鋸歯状になっている
ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記ルーバーの配列は、第1の次元と第2の次元を有する2次元の配列であり、前記鋸歯は1次元的であって前記第1の次元に延在する請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記ルーバーは、前記光制御層の平面に対して傾斜している請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記ルーバーは、太陽光を吸収するなど太陽光を減衰するように配置されている請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記ルーバーの配列は、前記光学部品から出射された前記ヘッドアップディスプレイの画像光を伝搬するように構成されている請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
前記光学部品は導波路である、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
前記コア材は、前記ヘッドアップディスプレイの前記画像光に対して実質的に透過性である請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
前記太陽光受光面は、前記コア材及び前記ルーバーの配列を覆うコーティング層である請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項9】
前記太陽光受光面は、反射防止コーティングをさらに含む請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項10】
前記傾斜表面は、当該傾斜表面に入射する太陽光を反射させることで、太陽光の進行角度を変化させる、請求項9に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項11】
前記ルーバーの配列に含まれる前記ルーバーは、実質的に平行である請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項12】
前記ルーバーの配列に含まれる前記ルーバーは、それぞれ実質的に同一の幾何学的形状を有する請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項13】
前記ルーバーの配列に含まれる前記ルーバーは、それぞれ前記ルーバーの配列方向の断面が実質的に長方形または台形である請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本開示は、ディスプレイシステムに係り、特に、発散光線束からなる回折ライトフィールドを用いたディスプレイシステムに関する。より詳細には、本開示は、導波路瞳拡大器を含むディスプレイシステム及び導波路を用いた瞳拡大方法に関する。さらに、本開示は、導波路瞳拡大器等の、ディスプレイシステムの光学部品のための光制御フィルムに関する。いくつかの実施形態は、画像生成ユニットおよび自動車用のヘッドアップディスプレイ(HUD)等のヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
物体から散乱した光は、振幅と位相の両方の情報を含む。この振幅および位相の情報は、たとえば、周知の干渉技法によって感光板上で捕捉されて、干渉縞を含むホログラフィック記録、すなわち「ホログラム」を形成することができる。ホログラムは、元の物体を表す2次元または3次元のホログラフィック復元、すなわち再生画像を形成するために、適切な光による照射によって復元されてもよい。
【0003】
コンピュータ生成ホログラフィは、干渉のプロセスを数値的にシミュレートすることができる。コンピュータ生成ホログラムは、フレネル変換またはフーリエ変換などの数学的変換に基づく技法によって計算されてもよい。これらのタイプのホログラムは、フレネル/フーリエ変換ホログラム、または単にフレネル/フーリエホログラムと呼ばれる場合がある。フーリエホログラムは、物体のフーリエ領域/平面表現または物体の周波数領域/平面表現と見なされてもよい。コンピュータ生成ホログラムはまた、たとえば、コヒーレント光線追跡または点群法によって計算されてもよい。
【0004】
コンピュータ生成ホログラムは、入射光の振幅および/または位相を変調するように構成された空間光変調器上で符号化されてもよい。光変調は、たとえば、電気的にアドレス可能な液晶、光学的にアドレス可能な液晶、またはマイクロミラーを使用して実現されてもよい。
【0005】
空間光変調器は、セルまたは素子と呼ばれる場合もある複数の個別にアドレス可能なピクセルを含んでもよい。光変調方式は、バイナリ、マルチレベル、または連続であってもよい。あるいは、デバイスは、連続(すなわち、ピクセルから構成されていない)であってよく、したがって、光変調はデバイスにわたって連続であってもよい。空間光変調器は、変調された光が反射して出力されることを意味する反射型であってもよい。空間光変調器は、同様に、変調された光が透過して出力されることを意味する透過型であってもよい。
【0006】
ホログラフィックプロジェクタは、記載された技術を使用して提供されてもよい。そのようなプロジェクタは、たとえば、ニアアイデバイスを含む、ヘッドアップディスプレイ「HUD」に応用されている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の態様は、添付の独立請求項において定義される。
【0008】
広義に、本開示は画像投影に関する。本開示は、画像投影方法およびディスプレイ装置を構成する画像投影装置に関する。また、本開示は、イメージプロジェクタと視認システムとを備え、イメージプロジェクタがディスプレイ装置からの光を視認システムへ投影又は中継する投影システムに関する。本開示は、単眼式および両眼式の視認システムに等しく適用される。視認システムは、観察者の片目または両目から構成されてもよい。視認システムは、光強度を有する光学素子(例えば、人間の目のレンズ)と、視野面(例えば、人間の目の網膜)を備える。プロジェクタは「ライトエンジン」と称されてもよい。ディスプレイ装置と、そのディスプレイ装置を用いて形成される(または知覚される)画像は、互いに空間的に分離されている。画像は、ディスプレイ平面上に形成され、又は観察者によって知覚される。いくつかの実施形態において、画像は虚像であり、ディスプレイ平面は虚像平面と称されてもよい。他の実施形態において、画像はホログラフィック復元によって形成された実画像であり、画像は視野面へ投影または中継される。画像は、ディスプレイ装置に表示された回折パターン(ホログラムなど)に光を照射することで形成される。
【0009】
ディスプレイ装置は、画素を含んで構成される。ディスプレイの画素は、光を回折させる回折パターンまたは構造を表示してもよい。回折光は、ディスプレイ装置から空間的に離れた平面で画像を形成してもよい。光学的に周知のように、最大回折角の大きさは、画素の大きさや光の波長などの他の要因によって決定される。
【0010】
実施形態において、ディスプレイ装置は、液晶オンシリコン(「LCOS」)空間光変調器(SLM)などの空間光変調器である。光は、LCOSからカメラや目などの視認体/システムに向かって、回折角の範囲(例えば、ゼロから最大回折角まで)を伝搬する。いくつかの実施形態において、利用可能な回折角度の範囲をLCOSの従来の最大回折角度を超えて拡大するために、拡大技術を用いてもよい。
【0011】
いくつかの実施例において、画像(表示されたホログラムから形成される)が目に伝搬される。例えば、ディスプレイ装置と観察者の間の自由空間またはスクリーンなどの受光面上に形成された中間ホログラフィック復元/画像を、観察者に伝搬してもよい。
【0012】
他の実施例において、ホログラム(の光)自体が目に伝搬される。例えば、ホログラムの空間変調光(ホログラフィック復元、すなわち画像にまだ完全に変換されていない)-非公式には、ホログラムで/により「符号化」されていると言える-は、観察者の目に直接伝搬される。実像又は虚像は、観察者により知覚され得る。これらの実施形態において、ディスプレイ装置と観察者との間に形成される中間ホログラフィック復元/画像は存在しない。これらの実施形態において、目のレンズがホログラムから画像への変換または変換を行うことについて述べられることもある。投影システム、またはライトエンジンは、観察者が実質的にディスプレイ装置を直視するように構成される場合がある。
【0013】
本明細書において「複素ライトフィールド」である「ライトフィールド」を参照する。「ライトフィールド」という用語は、単に、少なくとも2つの直交する空間方向、例えばxとyに有限の大きさを持つ光のパターンを示す。本明細書において「複素」という用語は、単に、ライトフィールドの各点における光が振幅値および位相値によって定義されてもよく、したがって、複素数または一組の値によって表されてもよいことを示すために使用される。ホログラム計算のために、複素ライトフィールドは複素数の2次元配列であってもよく、複素数はライトフィールド内の複数の離散的な位置における光強度と位相を定義する。
【0014】
よく知られた光学の原理に従って、ディスプレイ装置から伝搬する光の角度の範囲は、目または他の視認体/システムによって見ることができ、ディスプレイ装置と視認体との間の距離によって変化する。例えば1メートルの視距離では、LCOSからのわずかな角度の範囲のみが、目の瞳を通過して、ある目の位置で網膜に結像するように伝搬する。ディスプレイ装置から伝搬され、眼の瞳を通過して、ある目の位置で網膜に結像するように伝搬することができた光線の角度の範囲は、観察者に「見える」画像の部分を決定する。言い換えれば、視野面上の任意の1点(例えば、アイモーションボックスなどの視野窓内の任意の1つの目の位置)から、画像の全ての部分が見えるわけではない。
【0015】
いくつかの実施形態において、観察者によって知覚される画像は、ディスプレイ装置の上流に現れる虚像である-すなわち、観察者は、画像がディスプレイ装置よりも自分から遠くにあるように知覚する。したがって、概念的には、観察者は、例えば直径1cmの非常に小さく、例えば1mのように比較的大きな距離に位置する、「ディスプレイ装置サイズの窓」を通して虚像を見ていると考えることができる。また、ユーザは目の瞳を通してディスプレイサイズの窓を見ることになるが、その瞳も非常に小さい場合がある。そのため、視野が狭くなり、見える所定の角度の範囲が、その時々の目の位置に大きく依存することになる。
【0016】
瞳拡大器は、ディスプレイ装置から伝搬され、結像するように目の瞳を通過して伝搬することができた光線の角度の範囲をどのように拡大するかという問題に対処する。ディスプレイ装置は一般に(相対的に)小さく、投影距離は(相対的に)大きい。いくつかの実施形態において、投影距離は、ディスプレイ装置の入射瞳及び/又は開口の直径又は幅(すなわち、画素の配列の大きさ)よりも少なくとも1桁-例えば、少なくとも2桁-大きい。本開示の実施形態は、画像そのものではなく、画像のホログラムを人間の目に伝搬させる構成に関するものである。言い換えれば、観察者が受け取る光は、映像のホログラムに従って変調される。しかし、本開示の他の実施形態は、ホログラムではなく画像が人間の目に伝播される構成-例えば、スクリーン上(あるいは自由空間上)に形成されたホログラフィック復元や「再生画像」の光を人間の目に伝播させる、いわゆる間接視に関連してもよい。
【0017】
瞳拡大器を使用すると、視域(すなわち、ユーザーのアイボックス)を水平方向に広げ、これによりユーザが画像を見ることを可能にしつつ、眼球をある程度動かすことが可能になる。当業者であれば理解できるように、イメージングシステムにおいて、視域(ユーザのアイボックス)とは、観察者の目が画像を知覚することができる領域である。本開示は、非無限虚像距離-すなわち近接場光虚像に関するものである。
【0018】
従来、2次元瞳拡大器は、面からの出力光が、アイボックスやアイモーションボックス等の視野窓を形成する、それぞれ対向する一対の反射面を用いて形成された1次元又は1次元より大きい次元の光導波路を備えている。ディスプレイ装置から受光した光(例えば、LCOSからの空間変調光)は、少なくとも1つの次元で視野(または視域)を増加させるように、導波路又は各導波路によって複製される。特に、導波路は入射光波面の振幅を分割することで余分な光線や「レプリカ」を発生させるため、視野窓を拡大することができる。
【0019】
ディスプレイ装置は、5cm未満または2cm未満など、10cm未満であってもよい第1の寸法を有する活性領域または表示領域を有してもよい。ディスプレイ装置と視認システムの間の伝搬距離は、1.5mより大きいまたは2mより大きいなど、1mより大きいものであってもよい。導波路内の光伝搬距離は、最大1.5mまたは最大1mなど、最大2mとしてもよい。本方法は、15ms未満または10ms未満など、20ms未満で画像を受信し、十分な品質の対応するホログラムを決定することができる場合がある。
【0020】
いくつかの実施形態において本開示に従った回折ライトフィールドまたはホログラフィックライトフィールドの例によってのみ説明される-ホログラムは、複数のチャネルに光を送るように構成され、各チャネルは、画像の異なる部分(すなわちサブエリア)に対応する。ホログラムは、空間光変調器などのディスプレイ装置に表示されるなどして表現されてもよい。適切なディスプレイ装置に表示されると、ホログラムは、視認システムによって画像に変換可能な光を空間的に変調することができる。回折構造によって形成されたチャネルは、単にホログラムによって画像情報が符号化された光のチャネルであることを反映して、本明細書では「ホログラムチャネル」と呼ばれる。各チャネルの光は、画像領域や空間領域ではなく、ホログラム領域にあるといえる。いくつかの実施形態において、ホログラムは、フーリエまたはフーリエ変換ホログラムであり、したがって、ホログラム領域は、フーリエ領域または周波数領域である。ホログラムは、フレネルホログラムやフレネル変換ホログラムであってもよい。ホログラムは、単にホログラムから復元できる画像が有限の大きさを持ち、複数の画像サブエリアに任意に分割できることを反映して、複数のホログラムチャネルに光を送るものとして本明細書で説明されており、各ホログラムチャネルは各画像サブエリアに対応している。重要なことは、本実施例のホログラムは、照明されたときに画像コンテンツをどのように分配するかに特徴があることである。具体的には、ホログラムは、画像コンテンツを角度で分割する。すなわち、画像上の各点は、ホログラムが2次元であることから、光が照射された際にホログラムにより形成される空間変調光における固有の光線角度-少なくとも固有の角度の組に関連付けられる。誤解のないように言っておくと、このホログラムの挙動は従来のものとは異なる。この特殊なホログラムが形成する空間変調光は、光が照射されると、複数のホログラムチャネルに任意に分割され、各ホログラムチャネルは、光線角度の範囲(2次元)で定義されてもよい。空間的に変調された光で考えられる任意のホログラムチャネル(すなわち、光線角度のサブレンジ)は、画像のそれぞれの部分またはサブエリアに関連付けられることが、上記から理解されるであろう。すなわち、画像の一部またはサブエリアを復元するのに必要な全ての情報は、画像のホログラムから形成される空間変調光の角度のサブレンジ内に含まれている。空間的に変調された光を全体として観察した場合、必ずしも複数の離散的な光チャネルが存在することを示すものではない。しかし、いくつかの配置においては、ホログラムが計算されるターゲット画像の領域を意図的に空白または空(すなわち、画像コンテンツが存在しない)にすることにより、複数の空間的に分離したホログラムチャネルが形成される。
【0021】
しかしながら、ホログラムは依然として識別され得る。例えば、ホログラムによって形成された空間変調光の連続した部分またはサブエリアのみが復元される場合、画像のサブエリアのみが見えるはずである。空間的に変調された光の異なる連続した部分またはサブエリアを復元すると、画像の異なるサブエリアが見えるはずである。このタイプのホログラムの更なる固有の特徴は、大きさが異なる可能性はあるものの、任意のホログラムチャネルの断面形状が、少なくとも、ホログラムが計算された正しい面において、入射瞳の形状に実質的に対応する(すなわち、実質的に同じ)ことである。それぞれの光チャネル/ホログラムチャネルは、ホログラムから異なる角度または角度の範囲で伝搬する。これらは、このタイプのホログラムを特徴付ける、または識別する方法の一例であるが、他の方法を使用してもよい。要約すると、本明細書に開示されるホログラムは、画像コンテンツがホログラムによって符号化された光の中でどのように分布しているかによって特徴付けられ、識別可能である。繰り返すが、いかなる誤解もないように言っておくと、本明細書において、光を導くか、または画像を複数のホログラムチャネルに角度的に分割するように構成されたホログラムへの言及は、例示としてのみなされ、本開示は、いかなるタイプのホログラフィックライトフィールド、さらにはいかなるタイプの回折ライトフィールドの瞳拡大に同様に適用される。
【0022】
このシステムは、コンパクトかつ合理化された物理的形態で提供されることができる。これにより、当該システムを、スペースが限られ不動産的価値が高い環境を含む、
幅広い実環境への応用に対応させることが可能になる。例えば、車両や自動車用HUDなどのヘッドアップディスプレイ(HUD)に実装することができる。
【0023】
本開示に従って、瞳拡大は、発散光線束を含みうる、回折光に対して提供される。回折光は、ホログラムなどの回折構造を表示するように配置された空間光変調器(SLM)などの画素化ディスプレイ装置などのディスプレイ装置によって出力されてもよい。回折ライトフィールドは、「光錐」によって定義されてもよい。したがって、回折ライトフィールドの大きさ(2次元平面上で定義される)は、対応する回折構造(すなわち、ディスプレイ装置)からの伝搬距離とともに増加する。
【0024】
空間光変調器は、ホログラムを表示するように配置されてもよい。回折光または発散光は、画像の光またはホログラフィック復元の光であることとは対照的に、ホログラムで/によって符号化された光を含んでもよい。このような実施形態において、したがって、観察者に届く光が、画像そのものではなく、画像のホログラムに従って空間的に変調されるということを伝えるために、瞳拡大器が、ホログラムを複製する、またはホログラムの少なくとも1つのレプリカを形成するということができる。すなわち、回折ライトフィールドが観察者に伝搬される。
【0025】
いくつかの実施形態において、2つの1次元導波路瞳拡大器が提供され、各1次元導波路瞳拡大器は、空間光変調器の射出瞳(又は射出瞳の光)の複数のレプリカ又はコピーを形成することによって、システムの射出瞳の大きさを効果的に増大させるように配置される。射出瞳は、システムによって光が出力される物理的な領域であると理解されてもよい。また、各導波路瞳拡大器は、システムの射出瞳の大きさを拡大するように配置されていると言うことができる。また、各導波路瞳拡大器は、システムが出力する光を見る/受け取るために、観察者の目が位置するアイボックスの大きさを拡大/増大させるように配置されていると言える。
【0026】
車両用のヘッドアップディスプレイが提供される。前記ヘッドアップディスプレイは、反射面を有する光学部品を備える。ヘッドアップディスプレイの動作時に、光学部品は太陽光の眩しさを助長するような形状で配置されている。その反射面など、光学部品が、そこに入射する太陽光からヘッドアップディスプレイの観察者に眩しさを生じさせやすい形状の配置(例えば、太陽光をアイボックスに誘導または伝播させる)であるとも言うことができる。特に、光学部品の反射面は、眩しさを発生させるために、太陽光を受光して、ヘッドアップディスプレイのアイボックス領域(または視野窓)に太陽光を導いてもよい。光学部品には、反射面への光路上にある太陽光を受光する光制御層が配置されている。光制御層は、太陽光受光面およびルーバーの配列を隔てるコア材を備えている。光制御層の太陽光受光面は、ルーバーの配列と一体となって鋸歯状になっている。
【0027】
したがって、光制御層は、光学部品の機能を大きく変化させることなく、入射する太陽光を制御できるように構成されている。特に、光制御層は、受光した太陽光をヘッドアップディスプレイのアイボックスから遠ざけることができる。したがって、太陽光による視聴者への眩しさの危険性が低減される。
【0028】
本明細書で使用されるように、ルーバーは、アングルドスラットであってもよい。そのため、ルーバーの配列は、複数の傾斜したスラットから構成されてもよい。複数の傾斜したスラットの各々は、平行であってもよい。いくつかの実施形態において、ルーバーの配列の隣接するルーバーは、均一な間隔であってもよい(すなわち、ルーバーは一定の「ルーバーピッチ」を有する)。したがって、ルーバーの配列は、周期性を有すると言うことができる。実施形態において、太陽光受光面の鋸歯の周期性は、ルーバーの配列の周期性に実質的に等しい。
【0029】
典型的には、ルーバーの配列は、第1および第2の次元を有する2次元配列である。例えば、ルーバーは、第1の次元に延びる配列として配置され、すなわち、ルーバーは第1の次元において間隔を空けて互いに分離され、各ルーバーは第2の次元に延びる長さを有する。光学部品の反射面は、平面的であってもよい。第1および第2の次元は、光学部品の平面的な反射面の次元に対応してもよい。実施形態において、太陽光受光面の鋸歯状の構成は1次元であり、第1の次元に延在する。例えば、鋸歯状の構成は、傾斜した、または湾曲した表面によって分離された、間隔をあけた鋸歯、突起又は歯の1次元配列を備える鋸歯状の構成であってもよい。
【0030】
実施例において、第1および第2の次元は、互いに垂直である。太陽光は、第1および第2の次元において、光学部品の平面的な反射面に入射してもよい。したがって、入射する太陽光の光線の角度の少なくとも一成分が、第3の次元にあるといえる。しかし、鋸歯状の構成により、光制御層の太陽光受光面は、第1の次元において、ルーバー間で非平面的である。
【0031】
実施形態において、ルーバーは傾斜している。特に、ルーバーは、光制御層の平面及び/又は光学部品の平面的な反射面に対して直交する方向から傾いていてもよい。さらに、または代替的に、ルーバーの側壁の一方または両方は、各ルーバーが台形状の断面を有するように、傾斜していてもよい。
【0032】
実施形態において、ルーバーは、太陽光を吸収するなど、太陽光を減衰させるように構成される例えば、ルーバーは、コア材料のルーバー形状の堀又は溝の配列に光を減衰又は吸収する材料を堆積させることによって形成することができる。実施例において、配列内の全てのルーバーが実質的に同じピッチ、向き及び形状を持つ。
【0033】
実施形態において、コア材は、ヘッドアップディスプレイの画像光に対して実質的に透過性である。例えば、コア材は、画像光に対応する波長の光に対して光学的に透明であってよい。実施例において、ルーバーの配列は、光学部品によって出力されるヘッドアップディスプレイの画像光の光線を、画像を知覚できるように、アイボックスで観察者の目の瞳に伝搬するために必要な透過角の範囲に従って透過するように構成される。
【0034】
いくつかの実施例において、光制御層は、その中に配置された光吸収性のルーバーの配列を有する光学的に透明なコア材を備える。ルーバーの配置により、ヘッドアップディスプレイの画像光を、光学部品の機能を変えることなくその中を通して伝搬させることができる。さらに、ルーバーの配置により、コア材から入り光学部品に至る、太陽光受光面上の太陽光入射角の範囲を制限することができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、コア材は、隣接する一対のルーバーの間に配置されてもよい。コア材は、隣接する各一対のルーバーの間に配置されてもよい。ルーバーの各々は、コア材内に配置されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、光学部品は導波路である。導波路は、実質的に平面であってもよい。実施形態において、導波路は、ヘッドアップディスプレイの動作時に、地面に対して実質的に平坦(例えば水平)な形状で配置される。導波路は、第1および第2の次元において射出瞳を拡大するように配置された導波路瞳拡大器を形成してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、太陽光受光面は、光制御フィルムのコア材及びルーバーの配列を覆うコーティング層の外面によって形成される。実施例において、コーティング層は、ヘッドアップディスプレイの画像光に対して実質的に透明である。コーティング層は、クラッディング、耐液性及び/又は耐擦傷性など、光制御フィルムを保護するための1つ又は複数の材料で形成されてもよい。
【0038】
実施形態において、太陽光受光面は、反射防止コーティングをさらに含む。例えば、反射防止コーティングは、鏡面反射を最小化することができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、太陽光受光面の鋸歯は、太陽光をアイボックスから遠ざけるように傾斜した表面の配列を提供する。特に、傾斜した表面のそれぞれは、そこに入射する太陽光の大部分(例えば、入射する太陽光の96%)が反射される(すなわち、光制御フィルムに結合されない)ように、コア材と空気との間の界面を形成する。傾斜した表面は、第1および第2の次元において、光制御フィルム/光学部品の平面に対して傾斜して配置される。傾斜した表面は、その配置角度により、反射した太陽光をアイボックスに向かう方向から遠ざけるように配置される。
【0040】
実施例において、太陽光受光面の傾斜した表面が、そこに入射する太陽光の反射角度を変える。すなわち、傾斜した表面によって受光される太陽光の角度は、傾斜した表面により反射される太陽光の角度とは異なり、太陽光の角度は、第1および第2の次元における光制御フィルム/光学部品の平面(に対する垂線)に対して測定される。それぞれの傾斜した表面は、第1および第2の次元に平行な傾斜していない表面による鏡面反射と比較して、入射した太陽光の鏡面反射のコースまたは経路を変化させると言えるかもしれない。
【0041】
実施形態において、ルーバーの配列に含まれるルーバーは、それぞれ実質的に平行である。いくつかの実施形態において、ルーバーの配列に含まれるルーバーは、それぞれ断面が実質的に長方形または台形である。
【0042】
実施形態において、ヘッドアップディスプレイは、ヘッドアップディスプレイの画像光の光路が、光制御層を通過する前に光学部品を通過するように配置されてもよい。すなわち、ヘッドアップディスプレイの画像光の光路は、光学部品を通過する前に光制御層を通過しないものであってもよい。いくつかの実施形態において、ヘッドアップディスプレイは、ヘッドアップディスプレイの画像光の光路が、太陽光受光面を通過する前に光学部品を通過するように配置されてもよい。すなわち、ヘッドアップディスプレイの画像光の光路は、太陽光受光面を通過する前に光学部材を通過しないものであってもよい。
【0043】
本明細書において、「太陽光の眩しさを助長する」または「眩しさを引き起こしやすい」という表現は、その構成要素が眩しさを引き起こす可能性があるという意味で使用される。より具体的には、構成要素の物理的な形状、位置および向きを、受け取った太陽光がヘッドアップディスプレイのアイボックスまたは視野窓に向けられる(例えば、構成要素によって反射および/または伝搬される)ようにしてもよい。その反射面などの構成要素は、通常の動作または使用中に、眩しさをサポートする構成で配置されているということができる。反射面は、直射日光などの太陽光の光路上に配置される。眩しさを「助長する」又は「サポートする」構成とは、例えば、ヘッドアップディスプレイのアイボックスに太陽光を照射する-例えば(知覚される)画質を劣化させるような構成である。
【0044】
本開示において、「画像光」という用語は、観察者が画像を知覚できるようにヘッドアップディスプレイのアイボックスに伝搬される光を指すのに用いられる。したがって、画像光は、本開示に記載されるように、画像を符号化した光と、画像のホログラムを符号化した空間変調光とを含んでもよい。
【0045】
本開示において、「レプリカ」という用語は、単に、複雑な複素ライトフィールドが複数の異なる光路に沿って向けられるように、空間変調光が分割されることを反映するために使用される。「レプリカ」という言葉は、瞳拡大器による部分的な反射透過などの複製イベント後の複素ライトフィールドの発生または実例のそれぞれを指すのに使用される。それぞれのレプリカは異なる光路を進む。本開示のいくつかの実施形態は、画像ではなくホログラムで符号化される光、すなわち、画像自体ではなく画像のホログラムで空間変調される光の伝搬に関する。ホログラフィの当業者であれば、ホログラムで符号化された光の伝搬に伴う複素ライトフィールドが、伝搬距離に応じて変化することを理解できるであろう。本明細書における「レプリカ」という用語の使用は、伝搬距離とは無関係であり、したがって、複製イベントに関連する光の2つの分岐または経路は、分岐の長さが異なっていても、複素ライトフィールドがそれぞれの経路に沿って異なる展開をするように、互いの「レプリカ」と呼ばれる。すなわち、2つの複素ライトフィールドは、異なる伝搬距離に関連していても、同じ複製イベントまたは一連の複製イベントから生じたものであることを条件として、本開示に従って「レプリカ」とみなされる。
【0046】
本開示に係る「回折ライトフィールド」は、回折によって形成されるライトフィールドである。回折ライトフィールドは、対応する回折パターンを照射することにより形成されてもよい。本開示によれば、回折パターンの一例はホログラムであり、回折ライトフィールドの一例はホログラフィックライトフィールド又は画像のホログラフィック復元を形成するライトフィールドである。ホログラフィックライトフィールドは、再生平面上に画像の(ホログラフィック)復元を形成する。ホログラムから再生平面に伝搬するホログラフィックライトフィールドは、ホログラムで符号化された光又はホログラム領域の光を含むと言うことができる。回折ライトフィールドは、回折構造の最小の特徴サイズと(回折ライトフィールドの)光の波長で決まる回折角で特徴付けられる。本開示によれば、「回折ライトフィールド」は、対応する回折構造から空間的に分離した平面上に復元を形成するライトフィールドであるとも言うことができる。回折構造から観察者に回折ライトフィールドを伝搬させるための光学系が本明細書に開示される。回折ライトフィールドは、画像を形成してもよい。
【0047】
「ホログラム」という用語は、物体に関する振幅情報もしくは位相情報、またはそれらの何らかの組合せを含む記録を指すために使用される。「ホログラフィック復元」という用語は、ホログラムを照射することによって形成される物体の光学的復元を指すために使用される。ここに開示されたシステムは、ホログラフィック復元が実像であり、ホログラムから空間的に分離されているため、「ホログラフィックプロジェクタ」として説明される。「再生フィールド」という用語は、ホログラフィック復元が形成され、完全に焦点が合う2次元領域を指すために使用される。ホログラムを画素を含む空間光変調器に表示する場合、再生フィールドは複数の回折次数で繰り返され、各回折次数は0次再生フィールドのレプリカである。0次再生フィールドは、最も明るい再生フィールドであるため、一般的に優先再生フィールドまたは第一再生フィールドに対応する。特に断りのない限り、「再生フィールド」という用語は、0次再生平面を指すと解釈されるべきである。「再生平面」という用語は、全ての再生フィールドを含む空間上の平面を指すために使用される。「画像」、「再生画像」、および「画像領域」という用語は、ホログラフィック復元を形成する光によって照射される再生フィールドのエリアを指す。いくつかの実施形態では、「画像」は、「画像スポット」、または便宜上「画像ピクセル」と呼ばれる場合がある個別のスポットを含んでもよい。
【0048】
「符号化」、「書込み」、または「アドレス指定」という用語は、SLMの複数のピクセルに、各ピクセルの変調レベルをそれぞれ決定するそれぞれの複数の制御値を提供するプロセスを記載するために使用される。SLMのピクセルは、複数の制御値の受信に応答して光変調分布を「表示」するように構成されると言える。したがって、SLMはホログラムを「表示」すると共に、ホログラムは光変調値又はレベルの配列であると考えることができる。
【0049】
許容可能な品質のホログラフィック復元は、元の物体のフーリエ変換に関連する位相情報のみを含む「ホログラム」から形成され得ることが分かった。そのようなホログラフィック記録は、位相のみのホログラムと呼ばれる場合がある。実施形態は位相のみのホログラムに関するが、本開示は、振幅のみのホログラフィにも同様に適用可能である。
【0050】
本開示は、元の物体のフーリエ変換に関連する振幅情報および位相情報を使用してホログラフィック復元を形成することにも同様に適用可能である。いくつかの実施形態において、これは、元の物体に関連する振幅情報と位相情報の両方を含む、いわゆる完全複素ホログラムを使用する複素変調によって実現される。そのようなホログラムは、ホログラムの各ピクセルに割り当てられた値(グレーレベル)が振幅成分および位相成分を有するので、完全複素ホログラムと呼ばれる場合がある。各ピクセルに割り当てられた値(グレーレベル)は、振幅成分と位相成分の両方を有する複素数として表されてもよい。いくつかの実施形態において、完全複素コンピュータ生成ホログラムが計算される。
【0051】
「位相遅延」の略記として、コンピュータ生成ホログラムまたは空間光変調器のピクセルの位相値、位相成分、位相情報、または単に位相に対して参照が行われてもよい。すなわち、記載された任意の位相値は、実際には、そのピクセルによって提供される位相遅延の量を表す(たとえば、0~2πの範囲の)数である。たとえば、π/2の位相値を有すると記載された空間光変調器のピクセルは、π/2ラジアンだけ受信光の位相を変化させる。いくつかの実施形態において、空間光変調器の各ピクセルは、複数の可能な変調値(たとえば、位相遅延値)のうちの1つで動作可能である。「グレーレベル」という用語は、複数の利用可能な変調レベルを指すために使用されてもよい。たとえば、「グレーレベル」という用語は、異なる位相レベルが異なるグレーの濃淡を提供しない場合でも、位相のみの変調器における複数の利用可能な位相レベルを指すために、便宜上使用されてもよい。「グレーレベル」という用語はまた、複素変調器において複数の利用可能な複素変調レベルを指すために、便宜上使用されてもよい。
【0052】
したがって、ホログラムは、グレーレベルの配列、すなわち、位相遅延値や複素変調値の配列などの光変調値の配列を含む。また、ホログラムは、空間光変調器に表示し、空間光変調器の画素ピッチと同等の波長、一般的にはそれ以下の波長の光を照射すると回折を起こすパターンであるため、回折パターンであると考えられる。本明細書では、ホログラムを、レンズや回折格子として機能する回折パターンなど、他の回折パターンと組み合わせることに言及している。例えば、再生フィールドを再生平面に移動させるために回折格子として機能する回折パターンをホログラムと組み合わせたり、ホログラフィック復元を近接場光の再生平面に集中させるためにレンズとして機能する回折パターンをホログラムに組み合わせたりしてもよい。
【0053】
様々な実施形態および実施形態のグループは、以下の詳細な説明において別々に開示されてもよいが、任意の実施形態または実施形態のグループの任意の特徴は、任意の実施形態または実施形態のグループの任意の他の特徴または特徴の組合せと組み合わされてもよい。すなわち、本開示に開示された特徴のすべての可能な組合せおよび順列が想定される。
【0054】
本開示において、装置の構造ユニットに適用される場合の「実質的に」という用語は、構造ユニットが、その製造に用いられる方法として技術的に許容し得る範囲内のもので製造されることを意味すると解釈することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
特定の実施形態は、以下の図を参照して、ほんの一例として記載される。
図1図1は、スクリーン上にホログラフィック復元を生成する反射型SLMを示す概略図である。
図2図2は、V1~V8の8つの画像領域/構成要素からなる投影用の画像を示す図である。
図3図3は、複数の離散的な領域に光を導くLCOS上に表示されたホログラムを示す図である。
図4図4は、図2および図3に示すように計算されたホログラムを表示するディスプレイ装置を含むシステムを示す図である。
図5図5は、光ビームを2次元的に拡大するために配置された2つのレプリケーターを含むシステムの透視図である。
図6図6Aは、車両に搭載されたヘッドアップディスプレイから、光制御フィルムを有するレプリケーターを備えたアイボックスまでの画像光の光路を示す概略側面図であり、図6Bは、光制御フィルムからアイボックスまでの画像光の光路を示す概略上面図である。
図7図7は、ルーバーの配列を有する光制御フィルムの一例の断面図である。
図8図8は、本開示の第1の実施形態に係るルーバーの配列を備える光制御フィルムの断面図である。
図9図9は、本開示の第2の実施形態に係る光制御フィルムの断面図である。
図10図10は、本開示の第3の実施形態に係る光制御フィルムの断面図である。
【0056】
同じまたは同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、以下に記載される実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の全範囲に及ぶ。すなわち、本発明は、様々な形態で具現化されてよく、説明の目的で提示された、記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0058】
単数形の用語は、特に断りのない限り、複数形を含んでもよい。
【0059】
別の構造の上部/下部、または他の構造の上/下に形成されているように記載された構造は、構造が互いに接触する場合、および、さらにそれらの間に第3の構造が配置される場合を含むと解釈されるべきである。
【0060】
時間関係を記載する際に、たとえば、イベントの時間的順序が「後」、「後続」、「次」、「前」などと記載されるとき、本開示は、別段の指定がない限り、連続イベントおよび非連続イベントを含むと解釈されるべきである。たとえば、「ちょうど」、「即時」、または「直ちに」などの文言が使用されない限り、説明は連続的でない場合も含むと解釈されるべきである。
【0061】
「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書では様々な要素を記載するために使用される場合があるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。たとえば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素は第1の要素と呼ぶことができる。
【0062】
様々な実施形態の特徴は、部分的または全体的に互いに結合または組み合わされてよく、互いに様々に相互運用されてもよい。いくつかの実施形態は、互いに独立して実行されてもよく、相互依存関係で一緒に実行されてもよい。
【0063】
光学的構成
図1は、コンピュータ生成ホログラムが単一の空間光変調器上で符号化される実施形態を示す。コンピュータ生成ホログラムは、復元用の物体のフーリエ変換である。したがって、ホログラムは物体のフーリエ領域表現または周波数領域表現またはスペクトル領域表現であると言える。この実施形態では、空間光変調器は、反射型液晶オンシリコン「LCOS」デバイスである。ホログラムは空間光変調器上で符号化され、ホログラフィック復元は、再生フィールド、たとえば、スクリーンまたはディフューザなどの受光面に形成される。
【0064】
光源110、たとえば、レーザまたはレーザダイオードは、コリメーティングレンズ111を介してSLM140を照射するように配置される。コリメーティングレンズは、光の全体的に平坦な波面をSLMに入射させる。図1では、波面の方向は垂線から外れている(たとえば、透明層の平面に対して真の直角から2度または3度離れている)。しかしながら、他の実施形態では、全体的に平坦な波面が垂直入射に提供され、入力光路と出力光路を分離するためにビームスプリッタ配置が使用される。図1に示された実施形態では、配置は、光源からの光がSLMの鏡面仕上げの背面から反射され、光変調層と相互作用して出口波面112を形成するような配置である。出口波面112は、フーリエ変換レンズ120を含む光学系に印加され、スクリーン125にその焦点を合わせる。より具体的には、フーリエ変換レンズ120は、SLM140から変調光のビームを受け取り、周波数空間変換を実行して、スクリーン125にホログラフィック復元を生成する。
【0065】
特に、このタイプのホログラフィでは、ホログラムの各ピクセルが復元全体に寄与する。再生フィールド上の特定のポイント(または画像ピクセル)と特定の光変調素子(またはホログラムピクセル)との間に1対1の相関関係は存在しない。言い換えれば、光変調層を出る変調光は、再生フィールドにわたって分散する。
【0066】
これらの実施形態では、空間内のホログラフィック復元の位置は、フーリエ変換レンズの屈折(集束)力によって決定される。図1に示された実施形態では、フーリエ変換レンズは物理レンズである。すなわち、フーリエ変換レンズは光学フーリエ変換レンズであり、フーリエ変換は光学的に実行される。いずれのレンズもフーリエ変換レンズとして機能することができるが、レンズの性能により、それが実行するフーリエ変換の精度が制限される。当業者は、光学フーリエ変換を実行するためにレンズをどのように使用するかを理解している。
【0067】
ホログラム計算
いくつかの実施形態では、コンピュータ生成ホログラムは、フーリエ変換ホログラム、または単にフーリエホログラムもしくはフーリエベースのホログラムであり、その中で、画像は正レンズのフーリエ変換特性を利用することによって遠視野で復元される。フーリエホログラムは、再生平面内の所望の光フィールドをフーリエ変換してレンズ平面に戻すことによって計算される。コンピュータ生成フーリエホログラムは、フーリエ変換を使用して計算されてもよい。実施形態は、例として、フーリエホログラフィーおよびGerchberg-Saxtonタイプのアルゴリズムに関する。本開示は、同様の方法で計算され得るフレネルホログラフィ及びフレネルホログラムに同様に適用可能である。いくつかの実施形態において、ホログラムは、位相ホログラムまたは位相のみのホログラムである。しかし、本開示は、点群法に基づくものなど、他の手法によって算出されたホログラムにも適用可能である。参照により本明細書に組み込まれる、2021年8月26日に出願された英国特許出願GB2112213.0は、本開示と組み合わせることができる例示のホログラム計算方法を開示している。
【0068】
いくつかの実施形態では、画像データを受信し、アルゴリズムを使用してリアルタイムでホログラムを計算するように構成されたリアルタイムエンジンが提供される。いくつかの実施形態では、画像データは一連の画像フレームを含むビデオである。他の実施形態では、ホログラムは、事前に計算され、コンピュータメモリに記憶され、SLMに表示するために必要に応じて呼び出される。すなわち、いくつかの実施形態では、所定のホログラムのリポジトリが提供される。
【0069】
光変調
ディスプレイシステムは、ディスプレイシステムの射出瞳を規定するディスプレイ装置を備える。ディスプレイ装置は、空間光変調器である。空間光変調器は、位相変調器であってもよい。ディスプレイ装置は、シリコン上の液晶、「LCOS」、空間光変調器であってもよい。
【0070】
光チャネリング
ここに開示された光学系は、あらゆる回折ライトフィールドによる瞳拡大にも適用可能である。いくつかの実施形態では、回折ライトフィールドはホログラフィックライトフィールド、すなわち、画像そのものではなく、画像のホログラムに従って空間的に変調された複素ライトフィールドである。いくつかの実施形態では、ホログラムは、画像コンテンツを角度的に分割/チャネル化する特殊なタイプのホログラムである。このタイプのホログラムは、本開示に適合する回折ライトフィールドの単なる一例として本明細書でさらに説明される。他のタイプのホログラムは、本明細書に開示されたディスプレイシステムおよびライトエンジンと組み合わせて使用することができる。
【0071】
導波路瞳拡大器を備えるディスプレイシステムおよび方法について以下に説明する。当業者にはよく知られているように、導波路は、本明細書に記載の配置で使用されるような、比較的小さなSLMまたは他の画素化されたディスプレイ装置など、比較的小さな発光体が発する光を、発光体から比較的大きな距離など離れた場所にいる人間の観察者または他の観察システムによって(用いて)見ることができる領域を増やすために使用することができるため、「瞳拡大器」として構成され得る。導波路は、観察者に向けて光が出射される透過点を増やすことでこれを実現している。結果的に、光は、複数の異なる観察者の位置から見ることができると共に、例えば、観察者は、発光体からの光を見ることができる一方で、頭を動かすことができ、したがって、視線を動かすことができる。すなわち、導波路瞳拡大器によって、観察者の「アイボックス」あるいは「アイモーションボックス」を拡大することができる。これは、多くの有用な使用例を有していて、例えば、自動車用ヘッドアップディスプレイ等のヘッドアップディスプレイなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
本明細書で説明するディスプレイシステムは、回折ライトフィールドなどの光を導波路瞳拡大器を通して誘導して、少なくとも1次元、例えば2次元で瞳拡大を提供するように構成してもよい。回折ライトフィールドは、LCOS SLMなどの空間光変調器(SLM)による光出力を含むことができる。例えば、その回折ライトフィールドは、SLMにより表示されるホログラムによって符号化される光を含んでもよい。例えば、その回折ライトフィールドは、SLMにより表示されるホログラムに対応する、ホログラフィ的に復元された画像の光を含んでもよい。ホログラムは、点群ホログラム、フレネルホログラム、またはフーリエホログラムなどのコンピュータ生成ホログラム(CGH)を含むことができるが、これらに限定されるものではない。ホログラムは、「回折構造」または「変調パターン」と称されることがある。SLMまたは他のディスプレイ装置は、ホログラムと、ソフトウェアレンズまたは回折格子などの1つまたは複数の他の要素とを含む回折パターン(または、変調パターン)を、当業者によく知られている方法で表示するように構成されてもよい。
【0073】
ホログラムは、回折ライトフィールドのチャネリングを提供するように計算されることがある。これは、GB2101666.2、GB2101667.0、及びGB211213.0の各々に詳細に記載されており、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。一般論として、ホログラムは、ホログラフィックに復元される画像に対応するように計算されてもよい。ホログラムが対応するその画像は、「入力画像」又は「ターゲット画像」と称されることがある。ホログラムは、SLM上に表示され、適切に照明されたときに、空間的に変調された光の円錐からなるライトフィールド(SLMによって出力)を形成するように計算することができる。いくつかの実施形態では、円錐は、画像のそれぞれの連続領域に対応する、空間的に変調された光の複数の連続光チャネルを有している。しかし、本開示は、このタイプのホログラムに限定されない。
【0074】
本明細書では「ホログラム」または「コンピュータ生成ホログラム(CGH)」と呼ぶが、SLMは、複数の異なるホログラムを連続してまたはシーケンスに従って動的に表示するように構成されてもよいことが理解されるであろう。本明細書に記載のシステム及び方法は、複数の異なるホログラムを動的に表示する場合に適用可能である。
【0075】
図2及び図3は、本明細書に開示する瞳拡大器と組み合わせて使用することができる、SLMなどの表示装置に表示され得るホログラムのタイプの一例を示す。しかしながら、この例は、本開示に関して限定的であるとみなされるべきではない。
【0076】
図2は、V1~V8の8つの画像領域/構成要素からなる投影用の画像252を示す図である。図2は、例として8つの画像構成要素を示しているに過ぎず、画像252は任意の数の構成要素に分割することができる。図2はまた、画像252を復元することができる符号化された光パターン254(すなわち、ホログラム)を示していて、例えば、適切な視認システムのレンズによって変換された場合を示している。符号化された光パターン254は、第1~第8の画像成分/領域V1~V8に対応する第1~第8のサブホログラム又は成分H1~H8からなる。図2は、さらに、ホログラムが角度によって画像コンテンツをどのように分解することができるかを示す。したがって、ホログラムは、それが実行する光のチャネリングによって特徴付けられてもよい。これは、図3に示されている。具体的には、この実施例のホログラムは、光を複数の離散的な領域に誘導する。離散領域は、図示の例では円盤状であるが、他の形状も想定される。最適な円盤の大きさと形状は、導波路を伝搬した後、視認システムの入射瞳の大きさと形状に関係してもよい。
【0077】
図4は、図2および図3に示すように計算されたホログラムを表示するディスプレイ装置を含むシステム400を示す図である。
【0078】
システム400は、ディスプレイ装置を備え、この配置では、LCOS402を備えている。LCOS402は、ホログラムを含む変調パターン(または「回折パターン」)を表示すると共に、開口部404として機能する瞳、レンズ409、および視野面として機能する網膜(図示せず)からなる目405に向けてホログラフィックに符号化された光を投射するように配置されている。LCOS402を照明する光源(不図示)が配置されている。目405のレンズ409は、ホログラムから画像への変換を実行する。光源は、任意の適切なタイプであってよい。例えば、レーザ光源を備えていてもよい。
【0079】
視認システム400は、LCOS402と目405との間に配置された導波路408をさらに備えている。導波路408の存在により、図示するように比較的大きな投影距離であっても、LCOS402からの全ての角度コンテンツを目で受光することができる。導波路408は、よく知られている方法で瞳拡大器として作用するため、本明細書では簡単にしか説明されない。
【0080】
簡単に説明すると、図4に示す導波路408は、実質的に細長い形成物からなる。この例では、導波路408は、屈折材料の光学スラブからなるが、他のタイプの導波路もよく知られており、使用することができる。導波路408は、LCOS402から投射される光錐(すなわち、回折ライトフィールド)と、例えば、斜めの角度で交差するように配置される。この例では、導波路408の大きさ、位置、および姿勢は、光錐内の、8つの光線束のそれぞれからの光が、導波路408に入るように構成される。光錐からの光は、その第1の平面表面(LCOS402に最も近い位置にある)を介して導波路408に入り、第1の平面表面と実質的に反対側のその第2の平面表面(目に最も近い位置にある)を介して放射される前に、導波路408の長手方向に沿って少なくとも部分的に導かれる。よく理解されるように、第2の平面表面は、部分的に反射性であり、部分的に透過性である。言い換えれば、各光線が第1の平面表面から導波路408内を移動して第2の平面表面に当たるとき、光の一部は導波路408の外に透過し、一部は第2の平面表面で反射して第1の平面に向かって戻る。第1の平面表面は反射性であり、導波路408内から、それに当たる全ての光は、第2の平面表面の方へ反射される。したがって、光の一部は、伝送される前に導波路408の2つの平面表面の間で単に屈折することがあり、一方、その他の光は反射することがあり、そのため、伝送される前に導波路408の平面表面の間で1回以上の反射(または「跳ね返り」)を受けることがある。
【0081】
図4は、導波路408の長手方向に沿って、B0からB8までの合計9つの「跳ね返り」点を示している。図2に示すような画像の全ての点(V1~V8)に関する光は、導波路408の第2の平面表面からの各「跳ね返り」において導波管から透過するが、画像のある角度部分からの光(例えば、V1~V8のうちの1つの光)だけが、それぞれの各「跳ね返り」点、B0~B8から目405に到達できる軌跡を有している。さらに、画像の異なる角度部分からの光、V1~V8は、それぞれの「跳ね返り」点から目405に到達する。したがって、符号化された光の各角度チャネルは、図4の例では、導波路408から、1回だけ目に到達する。
【0082】
上述した方法および配置は、様々な異なるアプリケーションおよび視認システムで実装することができる。例えば、それらは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、または拡張現実(AR)HMDなどの頭部またはヘルメットマウントデバイス(HMD)において実装されてもよい。
【0083】
本明細書では、知覚される画像を形成するために、目が受光した変調光を変換する必要がある虚像について一般的に議論されてきたが、本明細書に記載された方法及び配置は、実画像に適用することができる。
【0084】
2次元瞳拡大
図5に示す配置は、1次元の瞳拡大を提供する単一の導波路を含むが、瞳拡大は1次元以上、例えば2次元で提供することができる。さらに、図4の例では、それぞれが画像の異なる部分に対応する光のチャネルを形成するように計算されたホログラムを使用しているが、本開示および以下に説明するシステムは、このようなホログラムタイプに限定されるものではない。
【0085】
図5は、光ビームを2次元的に拡大するために配置された2つのレプリケーター504、506を含むシステム500の透視図である。
【0086】
図5のシステム500において、第1のレプリケーター504は、互いに平行に積層された第1の一対の表面からなり、図4の導波路408と同様の方法で複製または瞳拡大を提供するように配置される。第1の一対の表面は、互いに同様(場合によっては同一)の大きさ及び形状であり、実質的に一方向に細長い形状である。コリメートされた光ビーム502は、第1のレプリケーター504に入射するように向けられる。当業者によく知られているように、2つの表面間の内部反射、および表面のうちの1つ(図5に示すように上面)の複数の出力点のそれぞれからの光の部分透過のプロセスにより、光ビーム502の光は、第1のレプリケーター504の長手方向沿って、第1の方向で複製される。このように、第1のレプリカ光ビーム508は、第1のレプリケーター504から、第2のレプリケーター506に向かって照射される。
【0087】
第2のレプリケーター506は、互いに平行に積層された第2の一対の表面からなり、第1の複数の光ビーム508のコリメートされた光ビームのそれぞれを受けるように配置され、さらに、それらの光ビームのそれぞれを第1の方向と実質的に直交する第2の方向に拡大することによって複製、または瞳拡大を提供するように配置される。第1の一対の表面は、互いに同様(場合によっては同一)の大きさ及び形状を有し、実質的に矩形である。矩形形状は、第1の複数の光ビーム508を受光するために、第1の方向に沿った長さを有し、その第2の方向に複製を提供するために、第2の直交する方向に沿った長さを有するように、第2のレプリケーターに対して施される。2つの表面間の内部反射、および表面のうちの1つ(図5に示すように、上面)の複数の出力点のそれぞれからの光の部分的な透過のプロセスにより、第1の複数の光ビーム508の中の各光ビームの光は、第2の方向へ複製される。このように、第2のレプリケーター506から第2の複数の光ビーム510が出射され、第2の複数の光ビーム510は、第1の方向および第2の方向のそれぞれに沿い入射する光ビーム502のレプリカを含んでいる。したがって、第2の複数の光ビーム510は、レプリカ光ビームの2次元グリッド、または配列を構成するとみなすことができる。
【0088】
したがって、図5の第1および第2のレプリケーター504、506が組み合わされて、2次元レプリケーター(または、「2次元瞳拡大器」)が提供されるといえる。
【0089】
光制御フィルム
動作時に、図5の2次元瞳拡大器の第2のレプリケーター506の透過面(すなわち拡大された射出瞳)は、画像光が空気を通してアイボックス領域まで透過して見えるための外側表面を形成する。したがって、透過面は、ヘッドアップディスプレイが使用される環境からの太陽光にさらされることがある。受光された太陽光は、観察者に眩しさを引き起こすことがある。例えば、太陽光線がアイボックスへの光路をたどるような角度で外側透過面から直接反射される場合、眩しさが生じることがある。他の例では、太陽光線がアイボックスに到達するために、レプリケーター内で画像光と同じ光路をたどるような角度で第2のレプリケーターに結合されると、眩しさが発生することがある。
【0090】
したがって、本発明者らは、第2のレプリケーター506の透過面上で光制御フィルムを使用して、受光した太陽光の方向を制御し、観察者に眩しさを与えるリスクを低減することを提案する。透過光の方向を制御する光制御フィルムの一例は、光吸収材料で形成された複数の平行なルーバーを有する光学的に透明なフィルムを備えている。このような光制御フィルムは、従来、車両用ディスプレイシステムからの透過光の方向を制御するために使用され、(例えば、夜間に)ディスプレイシステムから出射された光が車両の窓で受光されて、反射されて運転者や乗客に眩しさを与えることを防ぐために使用される。しかし、本発明者らは、同じタイプの光制御フィルムが、車両のフロントガラスに隣接する上向きの向きによって、第2のレプリケーター506に入射し得る直射日光(すなわち、日中)の方向を制御するために使用され得ることを認識した。光制御フィルムのルーバーの向き、ピッチおよび幾何学的形状(例えば、側壁角)は、画像光が、アイボックスに到達するのに必要な限られた範囲の角度でのみ、第2のレプリケーター506の透過面から透過されるように選択されてもよい。
【0091】
図6Aおよび図6Bは、車両で動作するヘッドアップディスプレイにおけるこのような光制御フィルムの使用を示す図である。図示された配置では、空気との界面におけるヘッドアップディスプレイ608の光学部品(例えば図5の第2のレプリケーター506)は、実質的にx-y平面として図示した水平方向に向けられている。例えば、光学部品は、車両のダッシュボードの上向きな面に設けられた開口部に配置されてもよい。光学部品の透過面は、ルーバーの1次元配列からなる光制御フィルム606によって覆われている。ルーバーは、x-z平面として図示した実質的に垂直な平面内にあってもよい。図示された配置では、ルーバーは、垂直面に対して(すなわち、光制御層の平面に対して直交する方向から)傾いている。特に、ルーバーは、傾斜した側壁を有する。ルーバーは、光吸収性または光減衰性であってもよい。
【0092】
図6Aに示すように、ヘッドアップディスプレイ608からの画像光は、光制御フィルム606のルーバー間を通過し、光結合器602(例えばフロントガラス)に伝送される。光結合器602は、画像光を、y方向として図示した実質的に水平な方向に、アイボックス612に向かって方向転換し、そこで、観察者(例えば、車両の運転手)は、(フロントガラスを通して観察される外部シーンと結合された)虚像を知覚することができる。
【0093】
図7は、ルーバーの配列を備える光制御フィルムの一例をより詳細に示す図である。光制御フィルム712は、光制御フィルム712の厚さを規定する第1の表面(底面/内面)および第2の表面(上面/外面)を備えている。図示の配置では、光制御フィルム712の表面が不均一な場合があるため、平坦化のために、第1の表面および第2の表面のそれぞれに光学的に透明なコーティング層(「クラッディング層」とも称する場合がある)が設けられる。したがって、光制御フィルム712は、それぞれの外側表面720、722を有する一対の光学的に透明なコーティング層もしくはフィルム、またはクラッディング層もしくはフィルムの間に挟まれる。当業者は、光制御フィルム712が光学部品(例えば第2のレプリケーター506)の平面透過面上に直接形成される配置においては、第1の表面(底面/内面)上にコーティング/平坦化層が必要ないことを理解するだろう。光制御フィルム712は、光学的に透明な材料のコアと、その中に配置された複数の光吸収ルーバーとを備える。ルーバーは、y方向に延びるように図示された、1次元配列に周期的に配置され、隣接するルーバー間の間隔またはピッチ708は均一である。ルーバー間の間隔は、回折やゴースト像を引き起こすことなく、光吸収を最適化するために十分に小さい。実施例では、ルーバー間の間隔は、10~1000μm、例えば50~250μm程度とすることができる。ルーバーは、光制御フィルム712の全厚を貫通して延び、破線で示すように、第2の表面(上面/外面)からの透過角706の範囲を制限するように配置された向き、ピッチおよび幾何学的形状で構成されている。
【0094】
図示の配置では、各ルーバーは、光制御フィルム712の第2の表面(上面/外面)において厚さ710までテーパー(狭窄)する台形断面(すなわち、非平行で傾斜した側壁)を有する。したがって、各ルーバーの側壁は、傾斜角714で示されるように、光制御フィルム712の第1および第2の表面に垂直な平面(垂直またはx-z平面として図示される)に対して傾斜される。図示の配置では、ルーバーの幾何学的形状は同一で、各ルーバーの対向する側壁が異なる角度で傾いている。当業者が理解するように、他の配置では、ルーバーは、矩形の断面(すなわち、平行で傾斜していない側壁)を有し、および/または光制御フィルム712の第1および第2の表面に対して垂直な平面に向けられつつ、それに対して任意の望ましい傾斜角度を有してもよい。
【0095】
したがって、ヘッドアップディスプレイの光学部品の透過面から入射した画像光704は、ルーバー間の光制御フィルム712および関連するコーティング/平坦化層を透過する。実施形態では、ルーバーは、ルーバー間の光学的に透明なコアを通る画像光704の、アイボックス内のすべての位置で画像が見えるために必要な角度範囲における通過を可能にするように、幾何学的に構成される。したがって、図2図4を参照して本明細書で説明するような特殊ホログラムを実施する実施例では、透過角の範囲は、ホログラムの全ての角度チャネルをアイボックスに到達させるものであってもよい。例えば、画像光704は、例えば図7の実線矢印で示すように、ルーバーの間を通過してアイボックスに至る1つ以上の定められた光路角で(例えば、本明細書に記載の光学部品の複数の透過点からの光線束として)透過されてもよい。ルーバー間の間隔が小さいため、光学部品の透過面に沿った複数の透過点のうちの1つに形成された各レプリカは、光制御フィルム712の複数のルーバーに入射してもよい。
【0096】
しかし、上述したように、光制御フィルム712の第2の表面(上面/外面)には、矢印700で示すように、太陽光が入射する場合がある。したがって、本明細書では、光制御フィルム712の第2の表面(上面/外面)を、光制御フィルム712の「受光面」として説明する。光制御フィルム712の表面には、太陽光が任意の角度で入射してもよく、矢印700で示す光線角度は単なる一例であることは理解されよう。平面上面720(すなわち空気との外部界面)で光制御フィルム712に結合される太陽光は、矢印700で示すように、光が「第1の経路」でルーバーの1つに直接吸収されるような角度で入射してもよい。あるいは、平面上面720で光制御フィルム712に結合した太陽光が、ルーバー間を通過して光学部品(図示せず)に入るような角度で入射してもよい。この場合、光学部品から反射された太陽光は、「第2の経路」でルーバーの1つに吸収されるため、光制御フィルム712によって透過されることはない。しかしながら、太陽光の一部は、平面上面720(すなわち空気との外部界面)で反射されてもよい。この場合、太陽光がアイボックスへの光路に沿う角度で反射するおそれがある。図7は、ルーバー間を透過して光制御フィルム712の外に出るヘッドアップディスプレイからの画像光704の光線と平行な角度で反射した太陽光702の光線を破線で例示する。図示された画像光の光線704は、光学部品の透過点からルーバー間を通過する角度で透過したレプリカの発散光線束の複数の光線の一例に過ぎないことが理解されよう。さらに、同じレプリカの光線は、同じまたは異なる光線角度で隣接する他のルーバーの組の間を通過することができることが理解されよう。したがって、反射した太陽光702は、図示の画像光704と同じ光路を辿ってアイボックスに到達し、観察人に眩しさを生じる。この問題は、以下に説明する実施形態によって示されるように、本開示によって対処される。実施形態の説明において、図7の実施例と同様の符号は、同様の特徴を示すために使用される。
【0097】
図8は、本開示の一実施形態に係る光制御フィルム812を示す図である。光制御フィルム812は、光制御フィルム812の第2の表面(上面/外面)のコーティング層が省略されていることを除いて、上述した図7の実施例と概ね同様である。このように、光制御フィルム812の第2の表面(上面/外面)は、太陽光受光面820を形成する。したがって、図7の実施例と同様に、光制御フィルム812は、光学的に透明な材料のコアを備え、そこに均一な間隔のルーバーの1次元配列が配置されている。ルーバーは、光制御フィルム812の厚さの全体に亘って延び、台形状(すなわち、傾いたまたは傾斜した側壁を有する)に形成されている。上述したように、光制御フィルム812は、図2の第2のレプリケーター506のようなヘッドアップディスプレイの光学部品の平面的な反射面上に形成されてもよい。
【0098】
本開示によれば、光制御フィルム812の受光面820は、鋸歯状である。特に、受光面820は、ルーバーの配列と一体となって鋸歯状になっている。例えば、太陽光受光面820の鋸歯の配置は、下にあるルーバーの配列の形状と一体化、同期または同調している。このように、太陽光受光面820の鋸歯状の形状は、1次元的であり、第1の次元に延在している。図8の実施形態では、鋸歯状の形状は、光制御フィルム812/光学部品の平面に対して傾斜した(すなわち、水平面またはx-y平面に対して傾斜した)表面によって分離された均一な間隔の鋸歯(「突起」または「歯」ともいう)の1次元的な配列を有している。したがって、図8の実施形態では、太陽光受光面820の断面は、概して鋸歯状の構成を有する。さらに、図8の実施形態では、均一な間隔の鋸歯は、ルーバーと同調している。したがって、太陽光受光面820の鋸歯の周期性は、ルーバーの配列の周期性と実質的に等しいといえる。
【0099】
図7を参照して上述したように、光制御フィルム812によって透過される光は、ルーバーの向き、ピッチおよび幾何学的形状(例えば、側壁角)によって規定される角度の範囲806に限定される。このように、ヘッドアップディスプレイの光学部品(図示せず)からの画像光804は、ルーバー間の光制御フィルム712を通過してアイボックスに至る光路を辿るために、限られた角度の範囲806に収まる光線角度でのみ透過する。さらに、図7を参照して上述したように、光制御フィルム812に結合される太陽光800は、透過角806の範囲が限られているため、ルーバーの1つによって吸収されるか、および/またはアイボックスに透過することが防止される。
【0100】
さらに、本開示に従って、上面820(すなわち空気との外部界面)によって反射される太陽光800は、破線で示すように、鋸歯状の形状によって、アイボックスから離れる方向(例えば、本明細書に記載するように自動車用である場合、画像光をアイボックスに反射するフロントガラスから離れる方向)に反射する。特に、ルーバー間の光学的に透明なコア領域上の光制御フィルム812の傾斜した第2の表面(上面/外面)820によって、表面の垂線は、光制御フィルム812/光学部品の平面(すなわち、水平またはx-y平面)の垂線に対して同様に傾斜している。したがって、反射の法則により、太陽光800の角度は、図7の光制御フィルム712の平面720との反射角度と比べて変化する(例えば、増加する)。実施例では、傾斜した表面は、光制御フィルム812/光学部品の平面に対して(法線に対して)、15~75°、例えば30~60°の範囲の角度で、いずれかの方向に傾斜してまたは傾いている。重要なことは、受光面820の傾斜した表面の傾斜または傾きは、反射された太陽光802の光線の角度が、ヘッドアップディスプレイからの画像光804に対して許容/要求される角度806の厳格な範囲内にないために、太陽光線がアイボックスへの光路を辿らず、眩しさを生じないようにすることである。
【0101】
図9は、他の実施形態に係る光制御フィルム912を示す図である。本実施形態の光制御フィルム912は、受光面920を形成する光制御フィルム912の第2の表面(上面/外面)に均一な厚さの光学的に透明なコーティング層が配置されている以外は、図8の実施形態と概ね同様である。したがって、図7の実施例と同様に、光制御フィルム912は、それぞれの外面920、922を有する一対の光学的に透明なコーティング層もしくはフィルム、またはクラッディング層もしくはフィルムの間に挟まれる。
【0102】
光制御フィルム912の第2の表面(上面/外面)に形成されたコーティングは均一な厚さを有するため、受光面920は、図8の実施形態と同様に、下にある光フィルムの第2の表面(上面/外面)と同じ鋸歯状の形状を有する。しかし、受光フィルム912の第2の表面(上面/外面)上へのコーティング層またはクラッディング層を使用することで、表面の平坦化を実現することができるため、平坦でなければアイボックスにおける画質を低下させるおそれがあるあらゆる表面粗さ(例えば、光制御フィルム912の形成に関連する)を低減することができる。
【0103】
コーティングは、光制御フィルム912の鋸歯状の受光面上に必要な厚さの均一性をもって配置することができる、多層構造を含む任意の適切な光学的に透明な層またはフィルムを備えてもよい。いくつかの実施例では、コーティングは、鏡面反射を最小化するための反射防止コーティングを含んでいてもよい。さらに、コーティングは、例えば車両の車室内のダッシュボードにおける環境にさらされるため、コーティング層の材料は、光制御フィルム912を、外的要因による損傷から保護するために、例えば、耐熱性、傷/衝撃耐性、耐液性および他の同様な特性を提供するために選択してもよい。
【0104】
図10は、さらに別の実施形態に係る光制御フィルム1012を示す図である。本実施形態の光制御フィルム1012は、受光面1020を形成する第2の表面(上面/外面)に配置された光学的に透明なコーティング層が均一な厚さを有していないことを除いて、図9の実施形態と概ね同様である。ルーバー間の光制御フィルム1012の第2の表面(上面/外面)によって形成される傾斜した表面は、図9の光制御フィルム912の対応する傾斜した表面とは(水平またはx-y平面に対して)反対方向に傾斜したものとして図示されていることに留意されたい。当業者は、傾斜した表面の傾斜の傾斜方向は、光制御フィルム912の動作に影響せず、いずれの方向もすべての実施形態で使用できることを理解するだろう。
【0105】
図10に示すように、コーティング層の厚さは、光学的に透明なコア領域(ルーバー間)上の光制御フィルム1012の第2の表面(上面/外面)上で実質的に均一である。したがって、図9の実施形態と同様に、コーティングは、光制御フィルム1012によって、透過角1006の範囲内でヘッドアップディスプレイからの画像光がコア材を透過することに影響を与えない。ただし、コーティング層の厚さは、光制御フィルム1012のルーバー上の距離に応じて変化する。図示の形状では、ルーバー上のコーティングの厚さは、ルーバーの配列方向(y方向として図示)において、各ルーバーの一方の側から他方の側に向かって増加する。したがって、受光面1020の鋸歯状の形状は、本明細書で説明するように、より大きく鋭利な鋸歯、突起または歯を有する。鋸歯、突起または歯の角の角度は、鋸歯の次元に沿った距離に応じて変化するといえる。図示の実施例では、各鋸歯の角の角度は、図9の実質的に90°から、図10の90°未満の鋭角に減少している。このようなコーティング層の様々な構成により、ヘッドアップディスプレイの使用時の形状などの用途毎の要件に応じて、コーティングおよび太陽光反射特性をカスタマイズすることができる。
【0106】
本開示の光制御フィルムは、例えば、瞳拡大器(又はその他の光学部品)が太陽光を受けるように配置され得る車両内でヘッドアップディスプレイが使用される場合に、観察者がヘッドアップディスプレイのアイボックスにおいて太陽光による眩しさを感じることを防止する。光制御フィルムは、光吸収ルーバーの配列の形状により角度に応じた透過率を有し、所望の角度範囲でヘッドアップディスプレイからアイボックスへの画像光の透過を可能にする。例えば、透過角の範囲は、図2図4を参照して本明細書で説明したような特殊なホログラムの全ての角度チャネルをアイボックスに到達させることができる。ルーバーのピッチ、向きおよび形状は、回折によるゴースト像の形成を回避するように構成され得る。本開示によれば、光制御フィルムと空気との間の界面における表面の鋸歯状の形状は、鏡面反射した太陽光がアイボックスに到達して眩しさを引き起こすことを防止する。特に、いくつかの実施形態においてコーティング層によって形成された受光面の鋸歯状の形状は、太陽光をアイボックスからそらすように配置され、一方で、画像光がアイボックスに伝搬して完全な画像を提供することを保証する。実施例では、鋸歯状の形状は、太陽光をアイボックスへの軌道からそらすために、ルーバーの配列の次元に沿ってどちらに傾斜してもよい、傾斜した表面を備えている。傾斜した表面の角度は、アイボックスに到達する太陽光の鏡面反射を防止するために、その場(例えば車両内の位置)におけるヘッドアップディスプレイの幾何学的形状に基づいて選択することができる。鋸歯状の受光面がコーティングによって形成される実施形態では、コーティングは、本明細書に記載されるように、自動車用に使用するための耐熱性、機械的抵抗性および流体抵抗性などの適切な保護特性を提供する材料の、柔軟なプラスチック、または他の光学的に透明な材料で形成されてもよい。
【0107】
当業者が理解するように、本明細書に記載された実施形態に対して多くの変形がなされ得る。例えば、光制御フィルムのルーバーの配列は、用途毎の要件に応じて、様々なルーバーピッチ、向き、および幾何学的形状を有する配列に変更され得る。さらに、実施形態では、鋸歯、突起又は歯の間に傾斜した表面を有する鋸歯状の受光面を有するが、他の形状では、反射した太陽光をアイボックスから遠ざけるように方向転換するために、曲面、又は2以上の角度部分を有する表面を鋸歯の間に設けてもよい。したがって、説明した実施形態は、ルーバーの1つまたは複数の側壁と同調する鋸歯を含むが、鋸歯は、ルーバーの配列の次元に沿った他の周期的な位置と一体化することができる。
【0108】
例えば、ヘッドアップディスプレイによる自動車産業への適用など、回折光を用いて画像を形成し、実世界での適用に適したアイボックスの大きさと視野を提供するシステムが本明細書に開示される。回折光は、例えばフーリエホログラムやフレネルホログラムのようなホログラムなど、回折構造から画像のホログラフィック復元を形成する光である。回析や回折構造を利用すると、非常に小さな(例えば1マイクロメートルの)画素を高密度に持つディスプレイ装置が必要となり、これは実際には小さな(例えば1センチメートルの)ディスプレイ装置を意味する。本発明者らは、例えば発散する(コリメートされない)光線束を含む回折光である回折ライトフィールドを用いた2D瞳拡大をどのように提供するのかという問題に取り組んだ。
【0109】
多様な場面で、ディスプレイシステムは、例えば空間光変調器(SLM)」または液晶温シリコン(LCoS)SLMなど、画素化ディスプレイ装置のように、回折光または発散光を提供または形成するように配置されたディスプレイ装置を備えている。このような場面では、空間光変調器(SLM)の開口部は、システムの開口絞りになっている。すなわち、空間光変調器の開口部、より具体的には、SLM内に形成された光変調画素の配列を区切る領域の大きさが、システムから出射することのできる光線束の大きさ(例えば、空間的広がり)を規定する。本開示によれば、システムの射出瞳(光の回折のためのピクセルサイズを有する小型ディスプレイ装置によって制限される)が、少なくとも1つの瞳拡大器を使用することで空間的に拡大され、より大きくなることを反映するために、システムの射出瞳が拡大されることが記載されている。
【0110】
付加的な特徴
本明細書に記載された方法およびプロセスは、コンピュータ可読媒体上で具現化されてもよい。「コンピュータ可読媒体」という用語は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、バッファメモリ、フラッシュメモリ、およびキャッシュメモリなどの、一時的または永続的にデータを記憶するように構成された媒体を含む。「コンピュータ可読媒体」という用語はまた、命令が1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、全体的または部分的に本明細書に記載された方法のいずれか1つまたは複数をマシンに実行させるような、マシンによる実行のための命令を記憶することが可能な任意の媒体または複数の媒体の組合せを含むと解釈されるべきである。
【0111】
「コンピュータ可読媒体」という用語は、クラウドベースのストレージシステムも包含する。「コンピュータ可読媒体」という用語は、ソリッドステートメモリチップ、光ディスク、磁気ディスク、またはそれらの任意の適切な組合せの例示的な形態の1つまたは複数の有形で非一時的なデータリポジトリ(たとえば、データボリューム)を含むが、それらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、実行のための命令はキャリア媒体によって伝達されてもよい。そのようなキャリア媒体の例には、一時的な媒体(たとえば、命令を伝達する伝搬信号)が含まれる。
【0112】
添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な修正形態および変形形態が作成され得ることは、当業者には明らかであろう。本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内のすべての修正形態および変形形態を網羅する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10